本審議会答申「我が国の高等教育の将来像」においても、大学の機能別分化の一つとして「世界的研究・教育拠点」が挙げられており、このような大学全体の構造改革の方向性の中で、「21世紀COEプログラム」の評価・検証を踏まえ、その質的な向上を図るべく、今後の在り方を検討するものとして、ポスト「21世紀COEプログラム」を検討し、より充実・発展した形で具体化していく必要がある。その際、今後、我が国が、大学のみならず国全体の国際競争力を強化し、持続的に発展していく観点から、国公私立大学を通じた競争的環境の下で、国際的にも魅力ある世界的な教育研究拠点(人材養成の場)の形成を重点的に図る、との最も基本的な考え方は堅持していくことが適当である。具体的には、1.大学における優れた研究者養成機能の活性化、2.独創的・先端的な基礎研究水準の向上、3.我が国の知的・文化的価値の創造・充実に資するため、プログラム終了後の将来的な発展も見据えてその研究基盤の重層化、豊富化を図ることを目的とすることが適当である。このため、その対象を特定の学問分野、研究領域等に偏った重点支援の方法ではなく、基礎研究の場の多様性の確保、学際・融合・新領域の創成の観点から、すべての学問分野を範囲として、世界最高水準の卓越した教育研究の実施が期待される拠点への重点的支援を実施すべきである。
また、国際的な場でリーダーシップを発揮できるなど世界水準の人材養成を行う教育研究拠点の形成を進めるに当たっては、大学院の組織編制を柔軟に行い、学内・学外との連携を強化して、国内外の優秀な研究者、学生が協同で教育研究を進められる体制の整備が求められる。そのための様々な工夫・試みも必要であり、施設・設備の共同利用の促進などを含めた教育研究機能の充実を図っていくことを通じて、国外のトップレベルの研究者や第一線で活躍している研究者にとっても魅力ある大学院を形成していくことが重要である。
なお、このような拠点への重点的支援を行うに当たっては、国は、大学の教育研究活動に係る直接的な支援のみならず、これら世界最高水準の拠点に対する施設・設備の整備や拠点形成の国際化への対応、学生への経済的支援の実施などの関連施策を併せて充実していくことも重要である。
研究振興局振興企画課学術企画室
-- 登録:平成21年以前 --