3.具体的な対応方策 4.競争的研究資金の効果的・効率的活用

(1)配分機関における資金の配分方針・配分方式の在り方

○ 配分機関は、将来急速に発展しうる科学技術の領域に対して先見性と機動性を持って的確に対応するため、競争的研究資金制度内における領域間・分野間・プログラム間等の配分額を、科学技術振興の観点から、総合的、戦略的に検討する。

(2)研究開発の形態と研究代表者の役割

○ 研究者個人の創意に基づく研究開発を推進する競争的研究資金制度においては、個人研究を中心とする。

○ 研究目的の達成のために、異分野の融合や産学官連携等によりグループ研究で行う必要がある場合、事前評価において、グループ研究であることの必然性、研究代表者の責任と権限、実施体制の評価を実施する。その際、責任や役割分担の不明確な研究分担者への極めて少額の研究費の配分については、控えることとする。

○ 各競争的研究資金制度において、研究代表者を、課題全体の研究計画の立案、研究費の使途等について裁量権を持ち、課題の運営・管理、進捗に責任を有する者として位置付ける。

(3)規模の適正化

○ 一定の研究開発成果が得られるよう、1課題当たりに研究開発遂行に必要かつ十分な研究費を配分し、研究開発期間は、3~5年程度とする。

(4)競争的研究資金の弾力的運用

○ 研究費は、予算上、備品費、消耗品費、役務費、旅費等の費目で構成されており、交付要綱等により、費目間の振替の制約(例えば、振替率の制限、費目額の10~30%等)があるが、これを更に弾力化することを検討する。

○ 研究開発課題の実施期間内において、研究機関での年度間繰越を柔軟に行えるよう検討する。

○ 複数年度にわたる研究開発課題の継続年度における経費の交付を、年度当初から速やかに行えるようにするため、柔軟な執行を図るべく努める。

○ 研究開発の初年度には、機器や機具の購入、設備の整備等に経費を要し、多くの研究費を必要とする等、研究開発の実態と進捗に合わせた資金の配分を行う。

(5)知的財産の帰属

○ 知的財産権の研究機関への帰属を進めるとの知的財産戦略の方向に沿い、競争的研究資金による研究開発から得られた知的財産は、原則研究機関帰属とする。委託による研究開発成果である知的財産を受託者に帰属するという、いわゆる日本版バイドール条項(産業活力再生特別措置法第30条)を平成14年度中に全ての委託研究開発制度に適用し、米国並みの運用を導入する。また、委託研究以外の研究開発にあっても機関帰属となるよう、個々の競争的研究資金制度の在り方を検討する。

○ 研究機関における研究開発の過程で作成・取得された研究成果物(研究データ・情報、研究資料、研究材料、実験装置、試作品等)について、平成14年5月に出された文部科学省における研究材料移転等に関する検討結果も踏まえ、研究機関の内部規定等により機関帰属とするとともに、その産業利用については、研究機関と第三者との契約等により、研究者への対価還元を図りつつ、適切な管理と活用を図る。

○ この際、発明者(研究者)が機関に権利を譲渡・移転することの代償に商業的利益の配分を受けることについて、内部規定を整備し、知的財産による商業的利益の発明者個人への十分な還元が図られるようにする。

(6)年複数回の受理

○ 研究者に多くの競争的研究資金獲得の機会が与えられるよう、年複数回の申請書の受理を検討する。

(7)外国人研究者への対応

○ 各競争的研究資金制度において、英文による申請書の受理を可能にし、その旨を各制度の公募の際、明文化する。

○ 一定条件の下で、外国居住の外国人研究者からの応募も可能とする制度を創設する。

(8)申請者の年齢によらない制度運用

○ 高齢の研究者や定年前の研究者からの申請についても、厳正な評価を経て、優れた研究開発が実施されるよう、制度運用の改善に努める。

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研究振興局振興企画課学術企画室

(研究振興局振興企画課学術企画室)

-- 登録:平成21年以前 --