1.競争的研究資金制度改革の必要性

○ 世界最高水準の研究開発成果の創出には、意欲ある研究者の優れた提案に基づいて実施される研究開発に対して、重点的に資金を提供することが必要である。
 そのため、第2期科学技術基本計画期間中においては、競争的研究資金の倍増を目指すとされており、これに併せて、競争的研究資金の効果を最大限に発揮させるため、競争的研究資金制度の運用面や制度の在り方について踏み込んだ改革を行うことが必要である。

○ 米国は、競争的研究資金を公正で透明性の高い評価に基づいて主に大学等に配分し、競争的な環境での研究開発活動の下、世界最高の研究開発成果の創出と経済活性化のための技術革新を実現している。
 米国の大学等においては、競争的研究資金の獲得と活用に、能力主義を徹底し、競争的な環境を形成するための研究開発システムを構築している。特に、研究開発に係わる人件費のかなりの部分を競争的研究資金で充当しており、これが競争的で活性化された研究開発環境を実現している大きな要因となっている。

○ 日本の大学等を中心とする研究開発システムは、1競争的研究資金の獲得やその研究開発が必ずしも研究者の処遇、研究実施場所の配分等に反映されない、2若手研究者の独立性が低い、3人材の流動性が不十分等の問題を有している。
 さらに、競争的研究資金による研究開発の多くはグループによって行われ、かつ一人の研究者が複数の課題に参加している場合があり、研究者個人の各研究開発課題における責任と役割分担が不明確になり、研究開発の体制が複雑になっている。
 そのため、研究者個人の発想や能力を発揮する研究開発を推進すべき競争的研究資金制度の効果が最大限に発揮されていない。

○ このため、競争的研究資金制度の改革については、以上のような実態を踏まえつつ、競争的研究資金の約8割が配分されている大学等の改革とも調整を図りつつ、検討することが必要である。

(注)競争的研究資金とは、資金配分主体が、広く研究開発課題等を募り、提案された課題の中から、専門家を含む複数の者による、科学的・技術的な観点を中心とした評価に基づいて実施すべき課題を採択し、研究者等に配分する研究開発資金をいう。
 なお、第2期科学技術基本計画においては、「競争的資金」という文言が使われているが、本「中間まとめ」においては、資金の性格をより明確にするため、「競争的研究資金」とした。

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