参考資料2 学術研究の推進方策に関する総合的な審議について(学術分科会長私案)

平成26年2月5日
分科会長私案

学術研究の推進方策に関する総合的な審議について

 学術研究は、社会の諸活動の基盤となる知を蓄積するとともに新たな知を生み出し、社会・国家・文明の発展の原動力となるものである。そのため、学術振興は先進各国において重要な施策として位置づけられ、公的な資金により支えられてきた。これは、人類社会の持続的な発展を図る上で、学術研究が果たすべき役割が非常に大きいという国民の期待の現れでもある。
 昨今、国家財政状況の逼迫の中、学術の中心である大学等を支える基盤的経費や、多様な学術研究活動を支えるための予算が減少傾向にある。我々は、学術研究の衰退により、我が国の将来的な発展や国際社会への貢献が阻害されるということに強い危機感を共有している。
 このような状況を踏まえて、学術分科会として改めて学術研究の振興の在り方について抜本的な議論を行い、人類社会の発展への貢献の在り方や、そのために必要な自己改革の具体的方策を提示することが、現在の我々の責務と考える。
 ついては、以下の論点(案)等について、より機動的・集中的に審議を行うため、学術研究を巡る動向を踏まえて調査等を行うこととして設置されている「学術の基本問題に関する特別委員会」において議論を行うこととする。

【主な論点(案)】
(学術の意義・役割、社会に対する説明責任)
○学術の本来的意義を踏まえ、社会の期待に積極的に応えていくことの必要性について
 ・国力の源としての学術研究の意義(持続可能な人類社会を支えるイノベーションにおける役割を含む)
 ・東日本大震災により顕在化した現代社会の諸問題について、本質的な考察を行い、独創的な課題解決手法を提示することが求められている学術研究が担う責務
 ・学術研究に対する国民の信頼を回復し、その期待に応えていく方策
 ・学術研究の成果や意義を積極的かつよりわかりやすく社会に説明・発信するための取組   等

(財政支援関係)
○学術の意義・役割等を踏まえた成果最大化のための効果的な支援の在り方について(現下の財政状況も踏まえて)
 ・学術研究の多様性や卓越性を支えるために必要な予算構造・規模等の考え方
 ・大学改革や国際的な動向等を踏まえた学術研究支援の在り方
 ・基盤的な経費と競争的な研究資金の適切なバランス
 ・競争的な研究資金における間接経費の在り方   等

※科研費の具体的な在り方については、特別委員会の議論を踏まえつつ、例えば、国際共同研究や融合領域研究、若手人材育成等を促進する観点から、基本的な構造の在り方(種目、審査・細目等)を含め、研究費部会・審査部会において検討。

(研究環境の改善、支援体制の強化関係)
○研究に関する周辺業務を軽減し研究に専念できる環境を整えるための具体的方策について
 ・研究支援者との望ましい役割分担の在り方
 ・研究支援者の確保・育成方策
 ・外国からの研究者の受入れや国際的な研究集会の開催等に関する支援の充実
 ・優れたトップの強力なリーダーシップが発揮できる体制、迅速な意思決定システムの構築
 ・教育、社会サービス、管理運営業務等にかかる周辺業務の軽減   等

※上記に加え、関係部会等の議論を踏まえつつ、以下の事項についても学術研究推進方策全体としてとりまとめを行う。また、国立大学改革や大学院改革等の大学全体をめぐる動き等を踏まえるとともに、大学分科会等とも連携し、学術政策全体に横軸を通すものとなるよう留意する。

○独創的・先端的研究の推進(大型プロジェクト、共同利用・共同研究の推進、学問分野の融合 等)
○研究基盤の充実(施設・設備、研究情報基盤 等)
○若手研究者等の育成(優れた若手研究者への支援、大学院の充実、キャリアパスの多様化、女性研究者の研究活動支援、学術研究職(大学等教員)の魅力の向上 等)   等

【検討スケジュール】
○ 平成27年度予算の編成や第5期科学技術基本計画の策定に向けた検討にも資するよう、平成26年4月頃を目途に骨子を提示し、夏頃を目途に一定の審議をとりまとめる。
○ 審議状況は適宜、分科会に報告する。

お問合せ先

研究振興局学術研究助成課

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