資料2-2 今後の学術研究の大型プロジェクトの推進の在り方に係る論点に対する作業部会における主な意見

【今後のロードマップの策定に向けて】

【論点1】大型プロジェクトの性格と定義の更なる明確化の必要性について【別添1参照】

・ロードマップにおける学術研究の大型プロジェクト(以下、「大型プロジェクト」)の基本的性格・定義は、日本学術会議が第一期マスタープランを作成する際に設定したものを踏まえており、現状からみても適切と考えられる。日本学術会議の「マスタープラン2014」においては全分野から200余もの計画を網羅し、それをもとに「重点大型研究計画」として選定された27計画においては、先の大型プロジェクトの定義がほぼ尊重されたと考えられる。

・現時点で学術の大型プロジェクトの性格規定と定義に大きな変更を加える必要はないが、今後マスタープラン及びロードマップの策定プロセスにおけるその明確化と活用を強めることは必要ではないか。

【論点2】ロードマップ策定の方針・プロセスについて【別添2参照】

・我が国の学術分野の将来を大きく左右する大型プロジェクトの基本的性格として幅広い分野コミュニティの合意が前提であり、分野コミュニティが全体的視野に基づく将来展望に向けて合意形成を進める体制が、マスタープラン及びロードマップ策定のプロセスを通し強化されていくことが期待される。

・ロードマップは学術の大型プロジェクトの推進における透明性や公開性を確保する新たな試みとして進められていることから、その策定のプロセスにおいても、個々の計画評価作業そのものは別として、そのほかの部分ではさらに公開性を高める方向で進むことが望ましい。

・ロードマップの仕組みは、パブリックコメントに寄せられた意見やフォローアップ調査が示す具体的な推進の成果から見ても、国民の支持を得られるものと考えられ、その内容や考え方、成果を国民や研究者に発信し広めるため、シンポジウムその他の広報活動を強めていくことが必要である。

・日本学術会議のマスタープラン、または「重点大型研究計画」を踏まえた本作業部会におけるロードマップの審査においては、ヒアリングの前に書面審査を行い、ロードマップの基準を満たす計画についてのみヒアリングを行うことが効果的ではないか。

・第一期に比べ第二期のロードマップ策定におけるヒアリングは時間的にも改善されたが、大型プロジェクトの審査はできる限り万全を期すべきであり、上記も併せてさらにヒアリングの時間等に関して改良を検討していく必要があろう。

【論点3】日本学術会議との一層の連携方策について

・評価項目について、日本学術会議においては学術的な観点、文部科学省においては実効性の観点に重点を置いた評価の役割分担が適切になされ、それが計画の実施に向けて有効に機能していると考えられる。従って、今後もこの役割分担の考え方を維持して行くべきであろう。

・ロードマップにおいては、概算要求が可能なレベルの準備や実施体制の構築が十分になされているかなど、計画の実現性が重要な判断材料となる。このようなロードマップの審議方針を早めに表明しておくことは、日本学術会議におけるマスタープランの検討においても有効な判断材料となるのではないか。

・上記の大型プロジェクトの定義や評価の考え方、またマスタープランやロードマップの効果や方針などについて、日本学術会議と一層の連絡と連携を深めていくべきである。

【学術研究の大型プロジェクトの推進の在り方について】

【論点4】大型プロジェクトと共同利用・共同研究の推進について

・大型プロジェクトの推進は、共同利用・共同研究拠点では大学間等のネットワークを形成し、その中心となって推進するという形態が主となる。一方、共同利用機関は既に構築されている共同利用コミュニティの支持を受けながら自らの組織が計画の立案・推進・運営の主体となり、共同利用コミュニティと協力しながら建設・運営する形をとることが多い。こうした違いは、形態やサイズの異なる様々な大型プロジェクトとその共同利用を進める上で有効である。更に、共同利用機関が共同利用・共同研究拠点主導の計画を支援することも有効である。

・大規模研究計画に関してはとりわけ、複数の大学が密接に関わって推進することが自然な形で行われるようになっていくのではないかと期待される。そのためにも、こうした連携活動に対する評価を高めることが重要である。

【論点5】大型プロジェクトの持続的な推進方策について

・大型プロジェクトで整備した施設・設備は、安定的に運営し成果を出すことが求められる。そのためにも、減少傾向にある運営費交付金だけでなく、新たな財政的工夫や、分野によっては自力等で運営費を確保することも必要になるのではないか。また、成果に応じた財政支援の視点を強めるべきであろう。

→(現状)
 「大規模学術フロンティア促進事業」において推進する大型プロジェクトで整備した施設・設備の運営費は主に国立大学法人運営費交付金にて措置されているところであるが、運営費交付金の減少傾向の中、各プロジェクトの安定的な運営経費の確保が課題となっている。なお、プロジェクトの大型化により一国だけでは整備が困難となる施設・設備について、国際共同事業として実施し、参加国間で建設・運用等に係る経費を分担するALMA計画やTMT計画のようなプロジェクトもある。

・大型プロジェクトの推進に当たっては、文科省の財源のみならず、他省庁の財源を活用していくことも当然あり得る。マスタープラン、ロードマップに盛り込まれた計画が、他の省庁でも有効に活用されていくようにすべきではないか。またその実施状況に関するフォローアップ調査も、継続的に行うべきではないか。

・大型プロジェクトはとりわけ、その進捗状況、成果、運営等に厳しい評価の目を向ける必要がある。実施計画については、きめ細かな中間レビュー、完成時評価、さらに定期的な運営と成果の評価が必要であり、そのため、さらに充実したプロセスを確立する必要があるのではないか。

→(現状)
 「大規模学術フロンティア促進事業」として新たに着手又は実施中の計画について、作業部会で評価(事前評価、進捗評価、中間評価)を実施。
 事前評価:「ロードマップ」に取上げられた計画のうち、「大規模学術フロンティア促進事業」として新たに着手する計画に対して、今後の事業推進に当たっての留意点等を明らかにするため実施。
 中間評価:実施中の計画について、情勢の変化や研究目標の達成状況等を把握し、運営改善、計画変更等の要否の確認を行うため定期的に実施。
 進捗評価:実施中の計画について、設備等の本格運用開始前に、当初計画に対する進捗状況及び今後の運用体制を評価するとともに、今後の事業推進にあたっての留意点等を明らかにし、今後の事業の運営改善、計画変更等に資するため実施。

・大型プロジェクトの年限は、次期計画等を考慮すれば厳格に考えるべきである。ただし分野や計画の性質により画一的な判断は避けるべきで、個々のプロジェクトの国際的視点も踏まえた成果、運用状況等の十分な定期評価を踏まえて、財政状況を考慮し適切な判断を下す仕組みを強化すべきではないか。

→(現状)
 作業部会において、各プロジェクトの今後10年間の進め方についての検討を行い、年次計画を策定している。
 年次計画で設定した当面の終期が到来する段階でプロジェクトの期末評価を行い、今後の「大規模学術フロンティア促進事業」としての位置付け(期間の延長、国の支援の在り方等)を明確にすることとしている。

お問合せ先

研究振興局学術機関課

企画指導係
電話番号:03-5253-4111(内線4082)

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-- 登録:平成26年12月 --