参考資料3 附置研究所等訪問における主な意見

1.全国共同利用に関する課題

(1)予算関連

  • 法人化後、特別教育研究経費をはじめ、競争的原理の中で全国共同利用システムを維持しなければならないことが、研究活動の安定性という点で課題。
  • 全国共同利用に経常的に必要となる経費を毎年度要求しなければならない。
  • 共同利用の成果が上がれば上がるほど、一方で大学の共同利用に係る負担も大きくなるので、それに対する支援が必要。
  • 共同利用に供する設備の更新について、別枠の予算の創設を検討すべき。
  • 我が国が国際競争を勝ち抜くために、世界のCOEとしての全国共同利用の重要性や成功事例を積極的にアピールし、それを予算獲得に結びつけることが必要。
  • 装置を購入するのではなく装置を造るという全国共同利用の拠点としての性格を踏まえた予算措置が必要。
  • 共同利用は組織の負担も大きいので、スタッフの増員等の支援も検討が必要であり、研究所の活動に着目した柔軟な支援のあり方の検討が重要。

(2)全国共同利用システム関連

  • 大学の中に全国共同利用の研究所・研究施設がある意義を再度考慮し、大学のポリシーと全国共同利用のミッションの関係の整理が必要。
  • 全国共同利用研究施設に対する大学の運営方針と研究者コミュニティの意向が一致しなくなった場合の方策を検討しておくことが必要。
  • 国や世界レベルで行うべき研究を担っている研究施設については、全国共同利用研究施設として、国や研究者コミュニティ全体で支えるべきではないか。

(3)国際的な共同利用・共同研究関連

  • 国内のみの共同利用だけでなく、海外における研究や海外の研究機関との共同研究等、「国際共同利用」というべき枠組みを検討していく必要があるのではないか。
  • 海外研究拠点を持つ研究所にとって、旅費は大きな負担になるが、限られた予算は、できるだけ研究施設の充実のために使い、外部の研究者が施設に来る際には、旅費は自己負担としてもいいのではないか。
  • 海外からの研究者の受け入れ態勢については、そのための経費が一応計上されてはいるものの、長期滞在のサポートは不十分である。

(4)その他

  • 独立行政法人において研究設備の一般利用が進んでいくなか、独法との違いも含めて、国立大学法人としての全国共同利用について、もっと宣伝し、広く理解を求めていくことが必要。
  • 国による施設の老朽化対策が非常に遅れており、対応が遅れるほど老朽化面積が増える現状にある。全国共同利用を含めた研究活動の活性化のため、これらは喫緊の課題。
  • 共同利用を行うために必要な施設の面積を、学生数とは関係なく確保できる方策が必要。
  • 全国共同利用の実施にあたり、限られた職員で最大限の努力をしているが、技術職員の不足等により研究スタッフがオーバーワーク気味になっている。
  • 共同利用の中身も歴史的に見ると移り変わってきており、固定的な概念ではない。それぞれの研究分野の特性等に配慮することが必要。
  • ネットワーク型の共同研究拠点の仕組みが硬直的にならないよう、多様なアイディアを支援する枠組みを確保できないか。
  • ネットワーク型共同研究が成果を生むためには、あくまで研究目的に合った形で研究所・研究施設の特徴を生かして流動性を高めていくことが必要。
  • 全国各地への研究拠点の適正な分散配置を行い、それぞれに特色を持たせることで地域を活性化させていくことが必要。

2.その他の課題

(1)予算関連

  • 特別教育研究経費として概算要求する場合に、共同研究を行っている他大学との兼ね合いや学内での関係等により、順位付けが困難。
  • 競争的資金で立ち上がった事業について、恒久的に研究する必要のあるものについては、別枠で運営費交付金等において、事業の継続を支援する仕組みが必要。
  • 新しいものを創出するような研究には基盤的経費の確保が不可欠であり、運営費交付金の拡充を期待したい。
  • 外部資金による共同研究の実施や新しい人員の雇用、巨大プロジェクトでの装置の設置などに伴うスペースの不足が課題。

(2)その他

  • 国家戦略と大学としての戦略は必ずしも完全には一致しない。そのズレの部分への制度的対応を検討する必要がある。
  • 研究所の組織形態は、その研究所が最も研究・教育効果を出せるスタイルであることが必要である。そのためには、研究所の組織形態の選択は各大学にゆだね、文部科学省はそれをサポートする、という体制が重要。
  • 次期中期目標への附置研究所の記載は、研究所の立場に一定の安定性を付与するという意義がある。中期目標の記載事項から外すという点については、慎重な議論が必要。
  • 研究内容・成果を、国際的・長期的視点に立って適切に評価する仕組みが必要。
  • 競争的資金の獲得のために、絶えず新しいプロジェクトを提案しなければならない状況であり、研究者があまりに多忙になっている。
  • 研究ネットワークの構築は重要。ネットワークを構築し、研究の裾野を広げ、それを拾い上げていく仕組みの検討が必要。

お問合せ先

研究振興局学術機関課

-- 登録:平成21年以前 --