日本の学術研究推進体制及びファンディングシステム

1.学術研究システムの特徴

  • 高等教育機関の中で私立大学が、学校数・学生数ともに全体の約8割を占め、高等教育の普及に大きな役割を果たすともに、国立大学が高度な学術研究推進に重要な役割を果たすなど、国・公・私立大学がそれぞれ特色ある研究教育を展開している。
    • 国立大学では自然科学分野の担当教員の占める割合が約80パーセントとなっている。
    • 国立大学の附置研究所は20大学に59研究所(うち全国共同利用型が10大学20研究所)、研究施設は、全国共同利用型が24研究施設設置されている。(平成17年度現在)
    • 平成17年度の科学研究費補助金の採択件数上位30機関のうち国立大学が24を占めている。
  • 我が国の学術研究の中核的研究拠点として、世界最高水準の研究を行う大学の共同利用の研究所として、全国の国公私立大学等の研究者、研究者コミュニティーの多様なニーズに応え、独創的・先端的な研究の推進や学術研究環境等を提供する4つの大学共同利用機関法人が設置されている。


学校数(平成16年4月1日現在)

大学 短期大学 高等専門学校
国立 87 2 55
公立 77 37 5
私立 544 400 3

教員割合(平成15年4月1日現在)

人文・社会 理学・工学・農学・保健 その他
国立 16.3% 78.1% 5.6%
公立 21.9% 70.1% 8.0%
私立 35.7% 52.5% 11.8%

※1 このほかに、放送大学学園立の放送大学及び株式会社立大学がある。
※2 学生募集を停止している機関を除く。

研究所数(国立学校設置法上〔大学入試センターを除く〕:大学研究所要覧2003年版)

区分 自然系 人文・社会系 その他 合計
理学工学系 医学系 薬学系 農学系 小計
大学共同利用機関研究所 11 1 1 13 4 1 18
国立大学附置研究所
(うち共同利用型研究所)
29
(17)
15
(1)
1 3 48
(18)
10
(1)
58
(19)
合計 40 16 1 4 61 14 1 76

大学共同利用機関法人 4機構16研究所

人間文化研究機構 人間の文化活動並びに人間と社会及び自然との関係に関する研究
 国立歴史民俗博物館、国文学研究資料館、国際日本文化研究センター、総合地球環境学研究所、国立民族学博物館
自然科学研究機構 天文学、物質科学、エネルギー科学、生命科学その他の自然科学に関する研究
 国立天文台、核融合科学研究所、基礎生物学研究所、生理学研究所、分子科学研究所
高エネルギー加速器研究機構 高エネルギー加速器による素粒子、原子核並びに物質の構造及び機能に関する研究並びに高エネルギー加速器の性能の向上を図るための研究
 素粒子原子核研究所、物質構造科学研究所
情報・システム研究機構 情報に関する科学の総合研究並びに当該研究を活用した自然科学及び社会における研究諸現象等の体系的な解明に関する研究
 国立極地研究所、国立情報学研究所、統計数理研究所、国立遺伝学研究所

2.教育研究支援の基本的考え方

  • 国立大学法人については、授業料収入・病院収入等の自己収入に加えて、国が基盤的経費(運営費交付金及び施設整備費補助金)を措置している。
    また、公立大学については地方公共団体が、私立大学については、教育研究水準の維持向上や学生の経済的負担の軽減等を図るため、国が経常費補助金、施設設備費補助金及び設備整備費補助金により助成を行っている。
  • 大学の自主的・自律的な取組みを支援するため、国公私を問わない競争的なファンディングが充実されつつある。
  • 大学における教育研究の安定的実施のための基盤的経費の確保を前提としつつ、国からの競争的な資源配分の例として、科学研究費補助金、21世紀COEプログラム等が挙げられ、その支援の充実も図られている。

★ 我が国の研究支援は(結果として)、英国におけるデュアルサポートシステムと類似した構造となっている。

  • 国立大学等の財政構造(大学共同利用機関法人含む:平成17年度
     運営費交付金(55.8パーセント)、自己収入等(44.2パーセント)
     ※ 予算積算ベース
  • 私立大学の財政構造(平成15年度)

3.主たるファンディング機関と研究支援プログラム

  • 国立大学法人については、国からの運営費交付金(その使途には限定がなく法人の裁量に任される)及び施設整備費補助金等の他、国立大学財務経営センターからの施設整備に係る資金の貸付及び交付により、また、私立大学については私学助成(経常費補助金、施設整備費補助金及び設備整備費補助金)により、国(文部科学省)が支援している。
  • 学術研究プロジェクトは、文部科学省及び関係独立行政法人が支援している(科学研究費補助金等)。
  • また、産業技術振興、医療高度化等の政策的観点から、大学において経済産業省、厚生労働省等の研究プロジェクトが実施されている。
  • 間接経費は、例えば科学研究費補助金の主要研究種目に30パーセント措置されるなど一部の競争的資金に措置されているが、それ以下の割合のもの、措置されていないものもあり、全体的には不十分な状況となっている。
  • 民間研究支援財団からの支援や産業界からの寄附金等は、国からの支援との比較において少額となっている。

文部科学省(平成17年度)

(運営費支援・教育を含む)

  • 国立大学法人等運営費交付金、施設整備費補助金等(大学共同利用機関法人を含む)
     1兆3,614億円
  • 私学助成
     3,496億円(私立大学を設置する学校法人)

(競争的資金・教育を含む)

  • 21世紀COEプログラム 382億円

(競争的資金・研究のみ)

  • 科学研究費補助金 1,880億円
  • 科学技術振興調整費 395億円

文部科学省所管独立行政法人

  • 日本学術振興会 297億円
    (特別研究員 142億円
  • 科学技術振興機構 1,046億円
    (戦略的創造研究推進事業 476億円
    独創的シーズ展開事業 96億円

文部科学省以外の政府機関(特定目的研究)

  • 厚生労働科学研究費補助金 382億円
  • 総務省 戦略的通信研究開発推進制度 318億円
  • NEDO(経済産業省)産業技術研究助成事業 62億円

民間団体等

  • 受託事業収入(企業等から) 1,596億円

4.我が国独自の取組み

  • 21世紀COEプログラム
     世界最高水準の大学づくりを推進するために、「第三者評価による競争原理」を導入し、主として研究上のポテンシャルの高い大学の研究教育拠点に対し、高度な人材育成機能を加味した重点支援を実施している。1件当たり年間1~5億円程度の補助金を5年間継続的に交付しており、事業開始2年経過後に中間評価を行う。平成14年度に開始され、これまで11領域の計93大学274拠点が採択されている。
  • 国立大学及び大学共同利用機関の法人化
     自主性・自律性を高め、競争的な環境の下で自己責任において、個性的で魅力ある教育研究を展開できるよう、平成16年4月から国立大学及び大学共同利用機関を各大学等ごとに法人化。これにより予算面の裁量が拡大し、各大学等の判断により、より柔軟な研究費の配分等が可能となっている。

お問合せ先

研究振興局振興企画課学術企画室

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(研究振興局振興企画課学術企画室)