ドイツの学術研究推進体制及びファンディングシステム

1.学術研究システムの特徴

  • 州立大学が高等教育機関の約7割を占め(学生数では95パーセント以上)、大学における研究活動の中心的役割を果たしている。
  • 非政府・非営利研究機関(マックス・プランク学術振興協会等)が、高度な学術研究を実施している。

高等教育機関数(2002年)

内州立 学生数
総合大学 99 85 1,391,363
教育大学 6 6
神学大学 17 0
芸術大学 50 45 31,325
高等専門学校
(単科・専門大学)
187 132 516,545
359 268 1,939,233

(出典:独教育研究省資料)

主な大学外の公的研究機関の研究者数(フルタイム換算・2001年)

名称 合計 内訳
理学系 工学系 医学系 農学系 人文・社会系
マックス・プランク学術振興協会 9,428 7,173 1,013 1,177
ヘルム・ホルツ協会ドイツ研究センター 20,657 10,780 7,472 2,138
フラウン・ホーファー協会 8,867 3,020 5,553 103
ライプニッツ学術連合 8,902 4,513 1,069 1,760
その他 24,052 6,296 5,299 1,175 5,079 6,203
71,906 31,782 19,146 5,498 6,054 9,426
(参考)大学等高等教育機関 101,443 27,645 19,470 26,186 4,573 23,569

(出典:独連邦教育研究省資料 ※-は不明等)

  • マックスプランク学術振興協会(79研究所)
    基礎研究において、学際的な分野やコスト面などから大学では困難な研究等を実施。
  • ヘルムホルツ協会ドイツ研究センター(大規模研究所)(15研究所)
    加速器や研究用原子炉など大規模装置を配備している国策的な研究機関。
  • フラウンホーファー応用研究促進協会(58研究所)
    応用技術を中心とした自然科学、工学・技術の研究開発を実施。
  • ゴットフリード・ヴィルヘルム・ライプニッツ学術連合(80研究所)
    連邦と州の協定に基づき、政府の助成を受けている独立の研究機関。地域における研究振興を担う。
    ※1990年以降、旧青色リスト研究所に旧東独の研究所を統合、1997年に現在の名称に変更。

2.教育研究支援の基本的考え方

各大学の主たる財源

  • 管理行政収入(病院収入等)、外部資金及び基本的資金からなるが、州(一部連邦)からの支援である基本的資金が約60パーセントを占める。
  • 建築物、大規模設備経費は州と連邦が50パーセントずつ負担する。
  • 授業料は原則として課していないが、学生負担を求める州が増加し、授業料の導入が議論されている。

研究費

  • 連邦政府による「プロジェクト助成」と連邦及び州政府の共同による特定の研究機関(マックス・プランク協会等)への一般的な「機関助成」により支援。
  • 連邦・州政府が共同で財政支援するドイツ研究協会(DFG)が、大学の研究を支援。

高等教育機関数(2002年)

支出(百万EU) 割合
総合大学(病院等を除く) 12,845 42.3%
総合大学附属病院等 13,902 45.8%
教育大学 88 0.3%
神学大学 28 0.1%
芸術大学 460 1.5%
高等専門学校
(単科・専門大学)
3,052 10.0%
30,374 100%

(出典:独教育研究省資料)

主な研究機関等への連邦・州助成(2002年)

連邦・州助成額
(百万EU)
連邦:州の負担率
マックス・プランク学術振興協会 935.2 50:50
フラウン・ホーファー協会 384.4 80:20
ライプニッツ学術連合 697,0 50:50
ヘルム・ホルツ協会 1551,5 90:10
ドイツ研究協会 1227,0 58:42

(出典:独連邦教育研究省資料)

3.主たるファンディング機関と研究支援プログラム

  • 州立大学の基礎的経費は州が措置。
     基礎的経費は、法律に基づき費目の流用などが禁止されていたが、柔軟化を図る動きがある。
  • 大学の研究プロジェクトは、連邦政府(教育研究省等、大学への第3者資金中約25パーセント)のプロジェクト助成のほか、DFG(同約3割)等が助成している。
  • 間接経費は一部で措置されている(10パーセント程度)が、連邦教育研究省、DFGの資金については措置されていない。
    ※ 独研究協会予算(2003年)単位:百万EU
    • 一般研究助成 745.3(57.5%)
    • 特別研究領域(学際、長期の共同研究) 361.6(27.9%)
    • 卒後課程(研究者育成プログラム) 67.3(5.2%)
    • その他 122.8(9.5%)
    • 計 1,297.0(100%)

4.各国独自の取組み

  • フトゥール(futur)
     連邦教育研究省により、1000名を超える学術、経済関係者の参加を求め将来の社会的需要に基づいた研究開発を実施するためのプログラムを2001年より開始している。
  • エリート大学プログラム
     国際的なトップ大学と競合できる大学を育成するため、2006年から2011年までに、総額19億ユーロ(約2,565億円)、毎年最高3億8千万ユーロ(513億)の助成を、最大10の大学、40の卒後課程、30のエクセレンス・クラスターに競争的資金として配分することが計画されている。
  • 非政府・非営利研究機関(マックス・プランク協会等)
     学際的な分野やコスト面から大学では実施困難な新分野の基礎研究等を実施している。

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研究振興局振興企画課学術企画室

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(研究振興局振興企画課学術企画室)