英国の学術研究推進体制及びファンディングシステム
1.学術研究システムの特徴
- 運営費における国費支援の割合が高く(約6割)、実質的にほぼ全てが国立大学に相当している。
- リサーチ・カウンシルや民間研究助成財団(charity)の中に設けられている研究所においても高度な学術研究が実施されている。
2.教育研究支援の基本的考え方
各大学の主たる財源
- 授業料収入や寄付、研究収入に加え、基盤的経費は4つの地域別に設けられている高等教育財政カウンシルが支援している。
研究費
- 国からの支援は、「デュアルサポートシステム」の考え方に基づき、基盤的経費(研究補助)は高等教育財政カウンシル、特定の研究プロジェクト経費はリサーチ・カウンシルを通じてそれぞれ行われている。
- 特に医学関係の研究分野では、民間研究助成財団が重要な役割を果たしており、英国最大の医学関係の民間研究助成財団である「Wellcome Trust」の支援額は医学分野のリサーチ・カウンシルであるMRCの支援額を上回っている。
3.主たるファンディング機関と研究支援プログラム
- 基盤的経費は教育技能省(イングランド)等の下に設けられている高等教育財政カウンシルが配分を行っている。
- 高等教育財政カウンシルは、教育補助と研究補助をそれぞれ別々の指標を用いて算定し各大学に措置している。
- 研究プロジェクト経費は科学技術庁(OST)の下に設けられているリサーチ・カウンシルが7つの研究分野毎に組織を設け配分を行っている。
- 直接研究に係る人件費(ポスドクや技術者などの給与であり、研究代表者の給与は含まれない)の46パーセント相当額を間接経費として措置している。
4.各国独自の取組み
- 学術研究投資基金(SRIF,Science Research Investment Fund)
デアリング報告で学術研究基盤の老朽化、陳腐化が指摘されたことを受け1999年に創設された「基盤整備共同基金」が前身となっており、2001年度以降、科学技術庁(OST)と教育技能省が共同運営している。
- デュアルサポート改革
- 基盤的経費と競争的資金の双方の相当規模の拡充
- フル・エコノミック・コストの導入
リサーチ・カウンシルに研究費の応募をする場合、現在は研究代表者の給与は対象外となっているが、2005年9月からは、研究代表者の給与も含め当該研究プロジェクトの遂行に係る全ての経費(フル・エコノミック・コスト)を4つの区分に分けて応募することになる。
リサーチ・カウンシルは当面研究プロジェクトのフル・エコノミック・コストの80パーセント相当額を措置することとしているが、2010年までにこの割合を100パーセントにすることを目標としている。
- SRIFからの追加投資によるインフラ整備の推進

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