産業連携・地域振興部会(第7回) 議事録

1.日時

令和6年2月2日(金曜日)10時~12時

2.場所

文部科学省東館15階 科学技術・学術政策局会議室1 及び オンライン(Zoom)

3.議題

  1. 産業連携・地域振興の取組について
  2. 産業連携・地域振興の現状と課題について

4.議事録

【中出課長補佐】  定刻となりましたので、これから進めさせていただければと思っております。

 文部科学省産業連携・地域振興課の中出と申します。本日はどうぞよろしくお願いいたします。
 今から産業連携・地域振興部会でございますが、前回、書面審議で部会長と部会長代理の選出を皆様方に御協力いただいてさせていただきました。冒頭、久世部会長、栗原部会長代理から一言いただければと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。このまま、マイクとかなく、口頭でお話しいただけましたら、カメラも映っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 では、久世部会長、よろしくお願いいたします。
【久世部会長】  久世です。このたびは、部会長に選出いただき、ありがとうございます。委員の皆様と御一緒に産業連携・地域振興部会の議論を盛り上げていきたいと思いますので、御支援、御協力、よろしくお願いいたします。
【中出課長補佐】  では、栗原部会長代理、お願いいたします。
【栗原部会長代理】  ありがとうございます。今回、部会長代理を拝命いたしました。またよろしくお願いいたします。
 私も、この部会、少しずつ名前が変わっておりますけれども、関わらせていただいている中で、産学の関わり方が変わってきたな思っております。その中で、産業の世界におりましても、例えば脱炭素やDXにしても、自社だけではできない、民間だけでもできない、アカデミアの方との関わり方というのもより重要になっていると思っておりますので、ここから、今の延長線上ではない、将来に向けてどうあるべきかということを改めて考えさせていきたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
【中出課長補佐】  部会長、部会長代理、どうもありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 では、ここから、議事進行を久世部会長にお願いできればと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
【久世部会長】  ただいまから、科学技術・学術審議会産業連携・地域振興部会を開催いたします。本日はお忙しい中、御出席いただきまして、誠にありがとうございます。定数が20名のうち、対面での御出席は8名、オンライン9名御出席ということで、10名以上の定足数を満たしていることを確認いたしました。
 まずは、事務局より、注意事項と留意事項の説明をお願いします。
【中出課長補佐】  ありがとうございます。
 改めまして、皆様におかれまして、本日、御多用の中、どうもありがとうございます。オンラインで参加されている方々も、どうもありがとうございます。
 本日、事務局といたしまして、科学技術・学術政策局長の柿田が参加しております。よろしくお願いします。
【柿田局長】  柿田でございます。
 本日は御参加いただきましてありがとうございます。後ほど事務局から説明を少しさせていただきますけれども、ここ数年の間に、おかげさまで多くの予算が獲得できている状況でございまして、この部会の関係するものにつきましても、地域中核大学の支援でありますとか、スタートアップ創出支援に4桁億円の規模で予算がついております。しっかりこれらの施策を生きる形で、進めていかなければいけないと思っておりますし、さらに、進める中で、より価値が出る形でそれぞれの大学であるとか地域含めて施策が進めていかれるように、常に改善をしていくということも必要だと思っております。ぜひそういった面でも忌憚のない御意見をいただきたいと思っておりますし、それから、我々、科学技術・学術審議会の中にたくさんの部会・委員会がございまして、今日の部会もその一つでございますけれども、産業連携、人材育成、国際、そういった事項ごとに委員会がございますが、それぞれが縦割りではなくて、相互に関わり合うような議論がますます必要になってきていると思います。本日の産業連携あるいは地域振興という事柄におきましても、例えば、その中にスタートアップが入っておりますので、スタートアップと人材育成、とりわけ博士号取得者とスタートアップをもっと密接に結びつけて、学生を、修士、博士、そしてスタートアップへという流れ、これをもっともっと見えるような形にしていって、学生たちの意識の中にスタートアップということを身近なものにしていくことも大事かなと思っております。
 ぜひ幅広い視点での人材育成のこと、あるいは国際の視点も含めてどうなのかとか、多様な観点からの御意見をいただけましたら大変ありがたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
【中出課長補佐】  併せまして、産業連携・地域支援課長の池田、拠点形成・地域振興室長の廣野、産業連携推進室長の迫田が本日参加しております。どうぞよろしくお願いいたします。
 会議に先立ちまして、事務的なことを何点か申し上げます。ウェブ会議、今回、ハイブリッドということで、対面とオンラインの会議でございます。オンラインで御参加の先生方におかれましては、ハウリング等が起こる観点から、御発言以外のときにはマイクはミュートにしておいていただければと思います。また、御発言に際してでございますが、オンラインの方々は、「挙手ボタン」を押していただきまして、御指名いただきましたら、カメラはオンのまま、お名前をおっしゃっていただいて、御発言いただければと思います。また、対面の方々、先生方におかれましては、先生方の前にございます名立てを縦にしていただければと思います。また、会議中、恐縮ではございますが、参加者のお名前など、ミュート設定は事務局のほうでさせていただくかもしれませんけれども、御容赦いただければと思います。
 以上でございます。
 それでは、部会長に進行をお返しいたします。よろしくお願いいたします。
【久世部会長】  それでは、本日の議題を進めさせていただきます。本日の議題は二つありますが、事務局から、特に、議題(2)の現状と課題について、集中的に議論してもらいたいとのことでした。本日は時間も限られておりますので、効率的に進めていきたいと思います。
 それでは、まず、議題(1)の産業連携・地域振興の取組について、事務局より、御報告、よろしくお願いします。
【中出課長補佐】  ありがとうございます。部会長にも今おっしゃっていただいた、議題(2)のほうで皆さんと特にディスカッションということなので、コンパクトに10分程度で御説明させていただければと思います。
 今、画面に映っております。対面の方は目の前のiPadにも映ってございますが、「産業連携・地域振興の取組について」というところでございます。
 1ページめくっていただきまして、次のページが目次でございます。四つ項目がございまして、この四つ、簡単に触れさせていただければと思います。後ほど詳細は御説明いたしますが、一つ目、「地域中核・特色ある研究大学強化促進事業について」、二つ目、「共創の場形成支援プログラムについて」、三つ目、「大学発スタートアップ創出の抜本的強化に向けて」、そして四つ目が、これから国会で審議がございますけれども、「令和6年度の政府予算案について」の御説明をさせていただければと思います。この辺りが、産業連携・地域振興という取組の大きなところでございます。
 では、ページを二つめくっていただいて、まず、地域中核・特色ある研究大学強化促進事業でございますが、こちらは、背景となる地域中核・特色ある研究大学総合振興パッケージが政府全体の取組としてまとめられ、一体的に進められているところでございます。幾つか項目がございますが、地域の中核大学や特定の分野の強みを持つ大学の社会変革を牽引する取組を国として支援していくというところが大きなポイントになっておりまして、三つの軸、大学自身の取組の強化、繋ぐ仕組みの強化、地域社会における大学の活躍の促進というようなもので構成されております。
 次のページは概念的にまとめているものでございまして、今申し上げたような三つに関わるような施策というのを総動員しながら取組を進めていくというようなところでございます。
 また、次の6ページは、今申し上げたところの、特に大学自身の取組の強化に関する国の関係施策でございまして、細かい字で大変恐縮ではあるのですが、それぞれ、文部科学省だけではなくて、内閣府や経済産業省が様々な施策を動員しながら取組を進めていく。大学自身の取組に向けた、背中を後押ししていくというところでございます。この中に、真ん中から少し右上のところに人材育成・社会実装というのがございます。ここの中の一つ目、共創の場形成支援というところのも、この後、御説明を少しさせていただきますが、約138億ということで、大学の拠点というのを推進しております。
 また、右側の赤い囲みのところは、令和4年度の2次補正予算で措置されました約1,500億円の地域中核・特色ある研究大学強化促進事業ということで、先ほどの目次の1番にまさに該当するところでございますが、文部科学省として、今、取組を進めているところでございます。
 めくっていただいて、7ページでございますが、我々が進めている地域中核というところが左にございまして、また、右側は、先生方もよく御存じであるかと思いますが、大学ファンドの運用益による支援、国際卓越研究大学ということで、これらを両輪としながら日本の研究を後押しし、さらに伸ばしていくというような取組をやっているところでございます。
 個別の事業ということで、8ページになります。先ほど申し上げました地域中核・特色ある研究大学強化促進事業でございますが、こちらはJ-PEAKSという略称で我々は呼ばせていただいております。こちらは、また細かい字で恐縮でございますが、支援件数としては最大25件程度ということで、一番下の方、支援内容でございますけれども、戦略的実行経費ということで、専門人材の人件費であったりとか、いわゆる大学としての戦略を進めていくために必要な基盤的な経費が5年間で5億程度が最大、そして、下のBには、研究設備等整備経費ということで、1件当たり最大30億円ということになっております。これらの事業は、右の支援のスキームにありますが、文科省から、JSPSに基金を設けまして、そこから大学を支援していくところでございます。こちらは、昨年公募をし、昨年末に採択が決定いたしました。
 それが次からのページでございまして、10ページの右下に採択大学12とございまして、国立9、公立1、私立2でございます。先ほど25件程度を支援というふうに申し上げましたが、昨年に関しては12大学を採択しておりまして、また後ほど少し触れますが、令和6年度の公募については今後実施していく予定でございます。
 1ページめくっていただいて、11ページと次の12ページが昨年末に採択をした際の総評でございます。
 さらにもう1ページめくっていただいて、13ページは、我々、できるだけ大学を支援していきたいところでございますので、来年度申請される大学の方々におかれましては、事前相談というのを受け付けており、オンラインでの相談も可能ということで、さらに取組を進めていくところでございます。
 ちょっと駆け足で恐縮ですが、2番目の事業、共創の場形成支援プログラムでございます。こちらは、名称にもありますとおり、COI-NEXTということで、過去、COIでやっていたものを、さらに取組を進めるということでやっている事業でございます。15ページの冒頭にありますとおり、未来のありたい社会像を拠点のビジョンとしまして、そこから、バックキャスト、ビジョンを描いた上でどういう研究開発課題が必要かということを突き詰めていくということと、あと、②ということで赤字でございますが、自立的・持続的な拠点形成が可能になるようなシステムを構築するということを目途としながら、政策を進めているところでございます。
 16ページでございますが、こちらは令和2年度から事業を開始してございますけれども、右肩に、細かい字で恐縮ですが、本格型拠点30拠点、育成型拠点18拠点ということで、全国、様々な都道府県において取組が進んでいるところでございます。
 次のページでございますが、三つ目の柱ということで、「大学発スタートアップ創出の抜本的強化に向けて」でございます。こちらは、次の18ページでございますが、政府全体としてスタートアップというのを大きく推進しているところでございます。こちらも、文科省だけではなく、様々な省庁の施策を動員しながら進めているところでございまして、次のページでございますが、スタートアップ育成5か年計画、産地課というのは、産業連携・地域振興課、当課のことでございますけれども、どういうふうなものが関係するのかというところでございますが、ここでちょっと御紹介したいのは目標のところでございまして、大きくポイントとなりますのは、目標の二つ目の丸でございます。創業の「数」のみではなくて、「規模の拡大」というところで、当然、数的なものも求めながら、規模の拡大というのもしっかりやっていこうというところが、スタートアップ育成5か年計画の大きな軸になっているところでございます。
 時間の関係もありますので、3ページほど飛ばせていただいて、22ページでございます。こちらはスタートアップに関係する文科省の施策を概念的にまとめたものでございまして、左下から右上に矢印が伸びてございますが、起業人材の育成というところから、起業、成長・発展というところをスムーズに進めるような取組を、ポイント、ポイントでやっているところでございます。
 次のページをめくっていただいて、その中で一つ大きな事業でございますが、こちらも先ほどの地域中核と同様でございますが、令和4年度の2次補正予算において1,000億の基金をJSTのほうに造成をしております。こちらで、①、②というふうに分かれてはいますが、①のほうはディープテック・スタートアップ国際展開プログラムということで、大きなもの、国際市場を目指したものを支援していくという、研究開発と事業化への推進でございます。右側の②のところはスタートアップ・エコシステム共創プログラムということで、次のページのほうが分かりやすいかと思いますが、様々な地域で、プラットフォームとしての取組が進んでいたり、これからさらに進めようというところがございまして、これまでの拠点としてのプラットフォーム七つに加えまして、今般から地域プラットフォーム二つを加えた九つの拠点で、取組というのを推進している、そこを後押ししているということでございます。
 めくっていただいて、25ページは、先ほどの矢印で言うと一番左下にあるようなところでございますが、アントレ教育施策ということで、文科省でも様々なことの取組をしているところでございます。
 26ページでございますが、アントレ教育というのを、大学のみならず、小中高向けにも取組を進めているところでございまして、こちらも令和4年度2次補正予算から開始をし、令和6年度当初予算でも計上しているようなところでございます。
 27ページでございますが、アントレプレナーシップ教育に関しては、文科省としては起業家教育推進大使というのを任命しているところでございまして、今後、こういった活動というのもさらにやっていこうというようなところでございます。
 最後に、次のページから「産業連携・地域振興課の令和6年度の予算案」というところでございますが、今、大まかな事業のところは大体申し上げましたので、こちらは御参考いただければと思いますが、めくっていただいた29ページのところは全体の概要を書いてございまして、特に当課でやっております事業についての記載になっているところでございます。この辺りは、先生方、もしお時間がございましたら、お目通しいただければと思います。
 説明については、以上でございます。
【久世部会長】  御説明ありがとうございました。
 それでは、今の御説明に対しまして、御質問、コメント、御意見がありましたら、ぜひよろしくお願いいたします。会場の方は、先ほど事務局から御連絡いただいたように、名札を立ててください。
【中出課長補佐】  そうですね。そういう形でお願いします。
【久世部会長】  オンラインの方は、挙手のボタンをよろしくお願いします。
 高木委員、よろしくお願いします。
【高木委員】  高木でございます。御説明、どうもありがとうございました。
 今の御説明の中で、一つ、非常に良いと思いましたのは、22ページまでになりますが、アントレプレナーシップ教育の初等中等教育への組込みということでございます。これは非常に大切な取組だと思います。現在でも例えば高専の生徒さんを対象にした事業創出コンテストを民間でもやられておりますし、それを基にスタートアップを起業される方がいます。大学に編入後もそのスタートアップに対する支援をする取組が回り出したところだと思いますので、ぜひ力を入れていただきたいと思います。
 若干気になりますのは、初等中等教育ですと学習指導要領がありますので、このようなアントレプレナー教育をする際に十分に時間が取れるのかどうかと言う点です。最近、STEAM教育が話題になっておりますが、それをやろうとすると学習指導要領との関係が難しくなるという話も聞いておりますので、その調整も今後留意していただければと思います。
 高校生以下の教育の効果は大きく、マインド面で大学教育とかなり異なるのではないかと思います。2000年から2年間、アメリカの大学に行っておりましたが、米国の先生が言うには、米国の研究者、さらに学生も含んでいいと思いますが、自分の研究成果を社会に実装したい、世の中にインパクトを与えたいというモチベーションが非常に強いということです。一方、日本では、それに比べてモチベーションが少し弱いのではないかと思います。むしろ失敗を恐れるということでは、OECDの加盟国の中で日本は確かワーストワンくらいです。なるべく若い人たちを対象に、最近ですと、ミレニアル世代、それに続くZ世代は、社会貢献へのモチベーション、自己能力の向上という意識が非常に高いと思いますので、ぜひそういう動向とベクトルを合わせて取組を進めていただければと思います。
 以上でございます。
【久世部会長】  ありがとうございました。
 事務局のほうから、よろしくお願いします。
【迫田室長】   大変貴重な御意見、ありがとうございます。高校生に関しては、去年始めたばかりで、かなり歴史が浅く、これから小中学生にもしっかりと拡大しようと思っております。まだまだボリュームが少ないといったところがありますし、実は10年前から大学はやっていたのですけども、高校生をこの1年間やって、進路選択の一つとしてスタートアップも視野に入れながら、また、将来やりたいことをビジョンに見据えて大学に進学するというところは結構重要かなと思います。高校生の方といろいろお話しすると、すごくためになったというか、きっかけになったというお声をいただいているので、高校生もしっかりやっていきます。また、この前、北海道で小学校5年生から中学校3年までを対象にした40人ぐらいのアントレ教育を行いましたが、大変好評でした。少し早いかなと思いましたが、実際にワークショップをして、銀行の係がいてお金を貸し借りしながら儲けていくというか、そのようなシミュレーションを1日かけてやったのですが、とても満足度が高かったということと、保護者の方も、このような実践的な教育というのは学校にはないのでとても重要だということで、しっかりとここはやっていきたいと思います。
 既存の総合学習とか探究とかでやって、結構やりくりしていただいているところがありますので、早めに僕らは、例えば学校にプログラム提供をしたり、前の年度からしっかりと仕掛けづくりをアナウンスしていこうとか、しっかりと現場で根づかせるような取組をしていきたいと思いますので、今後ともよろしくお願いいたします。
【久世部会長】  よろしいでしょうか。
【高木委員】   ありがとうございます。
【久世部会長】  ありがとうございます。
 先ほどの小中のアントレプレナー教育って、向こうのほうで手を挙げていただくのですか。希望しているところに行かれるんですか。
【迫田室長】   これから小中でやろうとしているのは、手を挙げていただいたところに、講師を派遣したり、プログラムを提供していくということを考えています。ここが結構課題なのは、プログラムが、試行錯誤、トライ・アンド・エラーというか、まだ固まってないというか、これだというプログラムがまだないので、今、やりながら、また、欧米のものをそのまま輸入というのもなかなかできないところもありますので、うまくカスタマイズしていけたらなということで、ここもやりながら考えているところでございます。
【久世部会長】  ありがとうございます。
 それでは、オンラインのほうから挙手いただいておりますので、先に、林委員、よろしくお願いします。
【林委員】    委員の林です。今日は、対面ではなくて、今、インドのムンバイに居りますが、ども、オンラインで参加させていただいています。
 アントレプレナーシップ教育について、私、東京の大学と地方の大学で多少お手伝いをするような機会が今までもありました。ここ数年見ると、大学内でもその意識が高まってきていることを感じます。と。特に東京の大学ですと、恐らくそれがだんだん普通になっていくように感じます。一つ課題があるとすると、都市部と地方大学での格差がまだあるのではないかというのが実感です。ですから、これからの活動の中でそういった格差をどういうふうになくしていくか、ここら辺のことを一つお聞きしたいのと、もう一つは、アントレプレナーシップ教育の大学内の位置づけがまだ確立できてないのではないかなと感じることが多いです。特に、例えば、理学部、工学部、技術系が強い大学ですと、当然、カリキュラムの中に専門教育に関する授業が非常に多くあるわけですが、アントレプレナーシップの授業を受けますかというと、なかなか受けにくい。大学の中でも、悪い言葉で言えば、専門的な部分に比べると亜流な部分かなというような先生方の認識もまだ残っているところもあるかと感じます。ここ数年で少しずつ変わってきているなという実感はありますが、こういった既存の学部・大学院の中でのアントレプレナーシップ教育を大学としてどうやって位置づけるんですかというところに、大学内でそれを変えていきましょうという意識を持っている先生方は多いと思いますが、同時に、文科省から、どういう支援とか、あるいは方針を示すとかいった活動をされているのか、ここら辺もお聞かせいただきたいと思います。
 以上、2点でございます。よろしくお願いします。
【久世部会長】  ありがとうございます。地域間格差と大学間格差、および、大学でのアントレプレナーシップ教育の位置づけに関しての御指摘でした。
 事務局のほうから、よろしくお願いします。
【迫田室長】  貴重な御意見、ありがとうございます。我々、同じ問題意識を持っています。解決方策として現在実施していますのは、七つのプラットフォーム、複数の大学が連携してプラットフォームを形成し、アントレプレナーシップ教育を行う取組を行っておりまして、例えば、九州大学さんはかなり進んでいるのですが、その周辺の大学にもそういったプログラムを普及するように、教師を派遣していくとか、教育プログラムを提供していくとか、講習をするとか、そういった取組を行っているところでございます。また、プラットフォームに入ってない大学の方々はどうするのかというところも結構課題でして、そういった方々には、全国で網の目のように、漏れがないように、例えば、教員向けの講習、FD向け講習などを行ったりして、やはり講師が重要だろうということで、教員向けにどうやって教えたらいいのかということを、先月、2日間ぐらいかけて教えたりして、結構好評を得ているところでございます。そのため、地域に漏れなくしっかりと広げていきたいなと思っておりますし、また、面白いのは、先ほど高木先生からも御紹介がありましたが、結構、民間企業でやるシーンが増えていると。例えば、リクルートさんとか、民間ではないですが、日本政策金融公庫さんとか、スタートアップさんでも、アントレプレナーシップを業として、ビジネスとしてするというところも増えていますので、こういったところと一体となってアライアンスを組みながら、大きなアントレプレナーシップのムーブメントみたいなものを起こせたらなあと思っています。
 2点目の大学内のアントレプレナーシップの地位というのは、結構大きな課題かなと思っています。ある大学では必修化して全員に教えているという大学もあれば、ある大学では、全学部を対象にしているんだけども、指導教官がよしとしないという声を聞いたりもしますので、ここはじわじわと広げていくところでございまして、必修化した大学の動向をグッドプラクティスとして横展開、必修化したらこんなにうまくいきましたよ、こんな成果がありましたよというところをこれから見せていって、必修化してない大学にも見える化をしていくというところが重要なのかなと思っております。まだ懐疑的な方々も多いので、かといって明確な実績があるというわけじゃないので、今からしっかりと実績をつくって、じわじわ普及していくというところが重要なのかなと思っています。研究者の方って結構、エビデンスがないと理解していただけないので、こんな成果がありましたというところをやっていきたいと思います。
【林委員】  ありがとうございました。一つ、大学の評価の軸にもこういった活動を入れていただくと、多分、大学も変わりやすいのではないのかと思います。あと、外からの力を入れるというのは非常にいいと思いますし、実業経験者を教員の一部に採用して、リアルな世界を学生さんに見せていただくというのも大事だなと思いました。よろしくお願いします。
【迫田室長】  ありがとうございます。うまくいっているところは、大体、民間の方が中心になっていることが多いのかなと思いますので、ここは一つ注目すべきところかなと。引き続き、よろしくお願いします。
【久世部会長】  ありがとうございました。
 それでは、千葉委員、小池聡委員の順で御発言お願いします。
 千葉委員、よろしくお願いします。
【千葉委員】  千葉でございます。今の高木委員は林委員からの御意見は全くごもっともと思って、私もその関連で発言させていただこうと思っていたのですけども、それから、文科省からのお答えも、非常に真摯に取り組んでいただいているということで、本当にありがたいことだというふうに思っています。大きな予算ですので、今、こういう方向に国が目を向けているということについては、自分自身も本当に緊張感を持って、ここで本当の成果が見える形にならないと日本の未来が閉ざされてしまうのではないかぐらいの、それほど重要なものだというふうに思っています。
 特に、私、大学人としては、今、林委員が言われた、大学としての在り方ですね。ここは、15年ぐらいやっていて、本当にゆっくりなんですね。このスピードが上がらないと、この大きな施策というのも加速度的には広がりにくいんじゃないかなと思っています。今まであった議論では、アントレプレナーのところに学生が出たいというのがかなり出るんですけども、研究室の価値観と相入れない部分があって、そこが足かせになる場合がかなりあります。現在でもあると思います。実際、大学教員の一定数の価値観というのは少し前の価値観で、少し前と言うと怒られるんですけど、基礎研究が最も重要で、それやるとすばらしいというような価値観、これはこれで決して間違っていないのですが、そこに、学生の未来とか、日本の社会のあるべき姿とか、そういうものをもっと加味して考えていくと、アントレプレナーとかスタートアップとかいうものの重要性が理解できてくるのではないかなと思います。この工夫は、大学は相当頑張らないといけないなというふうに思っているところです。
 一つ分かりやすいのは、アントレプレナーシップあるいはスタートアップがどんどん成長していくと、実は、基盤研究も発展するし、研究費や研究力というのも増してくる。こういう成功モデルを示すというのが、大学の多くの教員にとっては非常にインパクトがある。ただアントレプレナーは大事ですと言ってもなかなか伝わらないんですけども、実はそれが研究室の発展とか研究領域の発展と連動していくんだということの成功モデルというのが直接的に理解を得る上では一番大事なのかなと、私は思っています。突き詰めると、アントレプレナーも、トップレベルの研究者になるのも、実は、精神構造というか、覚悟の点、あるいはやるべき点というのは、非常によく類似しているのですね。こういう点も一つ一つ解きほぐしながら理解していって、相乗的な力、研究力も上がるし、社会実装の力も上がるというような流れをつくることが、この事業が大きく発展する要かなというふうに思っています。
 これは意見ですので、特に回答していただかなくて結構です。どうもありがとうございます。
【久世部会長】  大変貴重な御意見、ありがとうございました。
 それでは、続きまして、小池聡委員、お願いします。
【小池(聡)委員】  小池聡のほうの委員でございます。よろしくお願いします。
 各先生方から、スタートアップ、アントレプレナーシップの話題が特に多かったわけですが、私も、これらのテーマは非常に重要だと思っております。私自身、1990年代はずっとアメリカにいて、シリコンバレーを中心にインキュベーション型のベンチャーキャピタリストをやっていました。それから日本に戻り、日本、中国、ベトナムなどでスタートアップへの投資・育成を行ってまいりました。また、自らも何社も創業して、上場したのもあれば、失敗したのもあります。先ほどスタートアップの数の話が出ましたが、やみくもに数を追ってどんどんスタートアップを創出すればいいという話ではなく、地域の課題なり、日本の課題なり、社会の課題というのを自分事として認識して、このために自分が何か貢献してやりたいという思いがないと、その先、自分のキャリアディベロップメントも含めてですけれども、進んでいかないんじゃないか。あるいは、そうあるべきだというふうに思っています。そういった意味で、私は文科省の別の事業でマイスター・ハイスクールという事業の委員を担当していますが、これは非常にすばらしいプログラムだと思っております。これは、地方が疲弊していますので、地域の専門高等学校と地域の産業界が連携して、産業界から教頭・副校長レベルで専門高等学校に来てもらって次世代地域人材を育成しましょうという、かなり産業界がコミットした事業で、非常にうまくいっています。
 あともう一つ、私は、経産省の未来の教室という事業を担当し、地方の高等学校でSTEAM教育をやらせていただき、その講義の中でビジネスプランコンテストをやったのですが、地域の課題をある程度、本当に自分事として認識して分かっているのは子供たちじゃないかと。特に高校生ですね。自分の親、おじいさん、おばあさんとかが、特に農業などでかなり苦労しているのを見ながら、地域の課題というのを認識している。ですから逆に、そういうビジネスプランコンテストをやると、現実的な課題に対して、すごく斬新ないいアイデアが出てきて、そこでいろんな解決策というのを自分事として出してくる。大学の場合は学生も先生方も外から来た人も結構多いので、地域のこととか地元愛みたいなことで言うと、地域の中高生などと連携をしながら、地域の課題を解決し、日本経済、地域経済を活性化させていくことが必要だと思います。その観点からすると、私は、COIを10年間、COI-NEXTのほうも委員と領域のアドバイザーをやらせていただいておりますが、大学と産業界だけではなく、地域の若い人たちを巻き込むとすごく活性化して、そこから生の声が聞こえてきて、地域の実際の社会課題を題材としたアントレ教育にも繋がり、学生たち、先生方、産業界もそこで何かやろうという思いになって行くと思います。日本も、どんどんシュリンクしていくんじゃなくて、ここからもう一回元気を出してやろうという思いを起こさせるためにも、若い人たちを巻き込むというのが非常に重要だと思っていますので、これは意見になりますけれども、アントレ教育だけじゃなくて、共創の場、その他を含めた事業でぜひ、若い方がその中に入り込める仕組みをつくっていただきたいというふうに思っています。
 以上です。
【久世部会長】  ありがとうございました。若い人を巻き込むことは大変重要だと思います。
 それでは、オンラインからお二人に挙手いただいております。まず、長谷山委員から、よろしくお願いします。
【長谷山委員】  長谷山です。私も、アントレプレナーシップは非常に重要だと思っています。関東の大学に比べて、私が所属する関東から離れた大学はマインドの醸成が遅く、千葉委員がおっしゃったように、全国の大学全体に、このような予算を投じられて、成果を早期に出せるようにと、プレッシャーを感じています。
 私は、情報系、AIの研究分野におりまして、研究院長も務めておりますことから、少し情報系に寄ったお話をさせていただきたいと思います。
 デジタル人材の不足で、世界の中で我が国のDXが大変遅れてしまった現状にあって、国立大学にもデジタル人材輩出に貢献すべく入学定員増が可能になりました。文科省の関係の皆様には、大変な御苦労の中、このような事業が実現したものと心から感謝します。ただ、定員増の効果はすぐに出るものではなく、AIの社会実装、つまり社会の実データにAIを適用してDXを起こすAI人材が少ない状況は未だ続くということです。ほかの委員からもありましたように、ピュアサイエンスをする者はアントレより価値が高いというような、古い気質の教員が残っている限り、スピードアップはなかなか難しいというふうに思います。また、その裏には学生の親の考え方が大変に大きく、大企業に就職し安定した生活を営むことが重要で、博士には進学せずに、修士課程を修了して就職を選択します。ただ、一方で産学連携も活発に行われ、産には産の新しいアントレ人材の育成が始まっていると理解しています。スピンオフが一つの例と思います。うまく学と産がつながることによって、日本流のアントレ、起業家精神を持つ人材をいかにして生み出すのかということが、重要だと思います。
 ちなみにこのようなAI人材は、生成AIの基盤モデルをつくる基礎的な研究から、プロンプトエンジニアリング、ファインチューニングなど、多様な研究に広がっています。ほかの分野の研究者から、プロンプトエンジニアリングというものが研究になるんだろうかと言われたこともあります。AIやデジタルをいかに使いこなすアントレ人材を増やしていくのかということは、大きく注目すべき点だと思います。
 以上、意見でございます。
【久世部会長】  ありがとうございました。
 続きまして、山本委員、よろしくお願いします。
【山本委員】  山本です。まず、最初に申し上げたいのは、今、ここで共有されている大学発スタートアップ創出・成長に向けた文部科学省の施策というところですが、この方向性はとてもよいというふうに思っております。今回は地域の大学ということがテーマですが、御案内のとおり私は東京大学TLOの社長を23年務めておりましたので、東京大学発スタートアップというところばかりをよく見ていたわけですが、2年前の東大の入学式でアンケートを取ったら、入学者の1割が将来アントレプレナーになりたいと答えているということであったりとか、五、六年前、もうちょっと前かもしれませんが、東京大学は御案内のとおり進振りというのがあって、1年生、2年生は駒場の教養で、その後に本郷でという流れがあるわけですが、東大の先生が面白いことをやって、学生に自分たちが受けたい事業を企画して講師も依頼しなさいということをやったことがあって、私のところに講師依頼があって、スタートアップ、アントレプレナーに関する授業をやってほしいということで、そういうことをやったこともあって、何を申し上げたいかというと、1点目は、若い人たちの意識というのは私たちが思うよりもスタートアップにかなり目が向いているなあということを感じます。
 2点目は、私、沖縄県のアドバイザーみたいなこともやっていて、もう20年くらいやっているのですけど、沖縄県で、多分、地方自治体としては初めてだと思うのですが、ギャップファンドを始めました。これは大学や高専の研究シーズを事業化するためのお金を自治体が出すということをやっているのですけど、私、そこの審査員もやってはいるのですが、そこの中からビジネスって生まれてくるんですね。というようなことで言うと、結構、地域でも十分そういうシーズというのはあるなと。さっき選ばれていたOISTとかではなくて、琉球大学とか沖縄高専からの応募が多くて、そういう中でもスタートアップというのは結構生まれてくる可能性を秘めた記述というのがある。それとは別に、NIMS発スタートアップを私が知っているアクセラレーターの方に紹介をして、彼がビジネスプランをブラッシュアップして、去年の11月ぐらいですが、シンガポールのピッチコンテストで優勝して2,000万円獲得したスタートアップもあるというような話もございます。
 2点目に申し上げたいのは、今、大学発新産業創出基金のところでも、私、ここにもちょっとコミットしているので、これからそこを議論していくのですが、ぜひ、この議論として間違ってほしくないのは、地域のスタートアップを地域の力だけで解決しようとするというようなことが起こりがちです。九州だったら、九州の中のベンチャーキャピタリストと九州の中でのアクセラレーターとか、そういう人たちを巻き込んで何とか九州で成功させようとか、あるいは、中規模とか、地域の大きな大学だと、その大学の中だけで閉じて解決しようとしがちなんですが、世の中にはいろいろと、先ほど申しましたような優秀なアクセラレーターの人とかベンチャーキャピタルの方とかいらっしゃるので、そういう人は割と、東京とか、大阪とか、京都とか、そういうところにいがちなので、そういう人たちに地域から気軽にコネクトできて相談ができるような、要するに、優秀な人っていうのは、アクセラレーターであれ、ベンチャーキャピタリストであれ、経験が豊富なので、そういう人たちとコミュニケーションができるようなネットワークづくり、ネットワークづくりと言うとちょっと抽象的になるのですけど、どう具体的にコネクトできるかというようなことをちゃんとつくっていかないと、カリフォルニア州より小さい面積の国なので、日本の中で地域をあんまり分断しないように考えていただくことが重要ではないかなと。そうしていけば、こういう資金というか、こういうお金が生きた金になっていくのではないかなというのが、私の意見です。
 私は以上です。
【久世部会長】  山本委員、ありがとうございました。
 皆さん、まだまだ御意見あるかと思うのですが、議題(1)については、挙手いただいている上田委員を最後とさせていただきたいと思います。
 上田委員、よろしくお願いします。
【上田委員】   まず、冒頭の文部科学省からの丁寧なご説明、ありがとうございました。資料はいろいろなテーマをカバーしているので、非常に充実した内容であると感じています。その一例が、資料の16ページ目にあるCOI-NEXTの拠点マップで、今日の産業連携・地域振興部会のテーマが、基本的に産業連携と地域振興であることを考えると、この16ページ目のスライドは非常に重要であると感じています。
 一方で、この拠点マップを見て少し気になるのは、各拠点が縦割りになってしまい、連携が進んでいないのではという懸念です。
今、日本のいろいろなところで縦割りがどんどん進んでいて、この背景には、いろいろな取組と共に、知識や経験が増えたことによって、新たな領域ができてくる。新たな領域ができることによって、それぞれで新しい組織ができたり、グループができていくことはいいことなのですが、それぞれが小さなグループで縦割りになってしまうと、目論んだ成果が出しにくくなってくる。一方、アメリカを見ると、そういう同じような活動については、どこかがとりまとめるような形になっていて、例えば、運動で病気を治そうという、スポーツメディスンという分野では、トップにNIHがあって、その下に全米17の研究機関がぶら下がる形になっています。そのことを考えると、この拠点マップについて、何かグルーピングをしているという部分はあるのでしょうか。もう一つは、それぞれのグループでコーディネーターという人たちが必要だと思います。コーディネーターというのは、単に世話役ということではなくて、製薬の分野であれば、以前はMR(Medical Representatives)と言われる人達が、顧客であるお医者さんに各種情報を提供したり、自社の製品を売り込む役割を担っていたのですが、最近はMSL(Medical Science Liaison)という名前に変わって、自社の製品を売り込むというのではなく、むしろ中立的な立場で、博士号を持った人財がお客様の研究者といろいろなディスカッションをして、お客様の目標達成に貢献するというような中立的な役割を担っています。そういうMSLのような人が、この拠点マップの中の各拠点をうまくグルーピングして、上手くいっている事例、あるいは滞っている事例を共有しながら、いろいろなアドバイスをして、頓挫することなく目標を達成できるようにしていくということが重要になると思います。今、そういうグルーピングについては何か考えておられるのでしょうか。
【久世部会長】  御質問、ありがとうございます。
 それでは、お答えいただけますでしょうか。
【廣野室長】  廣野でございます。COI-NEXTは、令和2年度からスタートした枠組みでございますけれども、今、こういう形で拠点数が増えてきましたので、推進の枠組みを令和5年度から見直したところがございます。その中で、各拠点で描いているビジョンを、便宜的にという部分はまだありますけれども、五つのグループに分けまして、領域ごとに、担当するPO、副PO、アドバイザーという形で伴走チームをつくって、支援をしていただいております。それぞれ拠点ごとに分断されているというわけではなくて、領域担当ごとのPOが一堂に会して意見交換や情報共有をする機会も設けておりまして、そういったグルーピングと全体の情報共有、そして、それぞれの拠点に対して、集約された情報を展開していく、拠点同士のつながりも促していく、そういう取組はさせていただいています。
【上田委員】  ありがとうございます。
 もう一つの質問は資料の24ページですが、ここには「スタートアップ・エコシステム共創プログラムの参画大学」という切り口で、
どちらかと言えば地域の切り口でグルーピングして取り組んでいるように見えます。
この資料では、各グループの主幹機関というのが決まっていると記載されていますが、
冒頭、柿田局長からも、横の連携が重要だという話があったように、各グループの横串を差すような人たちも想定されているという理解でよいでしょうか。
【迫田室長】  これは、これから横串を差す取組をする予定でして、まずは、今、9プラットフォームが決まったという段階です。ただ、先ほど山本さんからもありましたとおり、地域の中に顧客がいる場合はいいんですけども、実はあるプラットフォームの地域のシーズを、ほかのプラットフォームの顧客がBtoBとかも含めてあるかもしれない、国外かもしれないということで、9プラットフォームが横で連携できるような、情報共有であったりとか、また、それぞれでCXOバンクとかをつくったりしているんですけど、横で連携したらいいじゃないのみたいな、別にCXO相談、全国津々浦々、地理的にも結構コンパクトな日本でありますので、横でダイナミックな連携ができるような仕組みをこれからやる予定でございます。
【上田委員】  ありがとうございました。
【久世部会長】  ありがとうございました。
 それでは、議題の二つ目に移る前に、委員の皆様からの御質問、御意見に対して事務局から説明や補足等ありますでしょうか。また、スタートアップに関しても、千葉委員、小池聡委員、長谷山委員、山本委員の4委員から御意見がありましたが、いかがでしょうか。
【迫田室長】  大丈夫です。
【久世部会長】  ありがとうございます。
 それでは、二つ目の議題に移りたいと思います。事務局のほうから、御説明、よろしくお願いします。
【中出課長補佐】  ありがとうございます。先ほどと同様、資料は大部でございますが、できるだけコンパクトに御説明申し上げたいと思っております。
 今画面に映させていただいておりますとおり、産業連携・地域振興の現状と課題ということでございますが、先に資料2-2のほうを少し御覧いただければと思います。内容については後ほど御説明しますが、先ほど上田委員からも、まさに産業連携・地域振興というところが、今日のテーマというか、一つの論点ということでおっしゃっていただきましたが、その通り、大きな丸の産業連携、地域振興、人材育成というところを、この後、先生方にも御議論いただきたいというふうに思っているところでございます。先に、ある意味、ゴールというか、今後、今日の先生方の議論を我々事務局としてどうつなげていきたいかということについて、少し触れさせていただきます。
 大きく二つの流れがあるかと思っておりまして、一つは、令和7年度の概算要求に向けてということでございます。政府のほうでは、文部科学省であれば、財務省に概算要求というのを例年8月末に提出することになってございます。そこに向けて新たな施策・事業を我々としても今後打ち出していきたいというふうに思っているところでございまして、最後に次回の御案内などはいたしますが、先生方には、4月辺り、そして夏頃に御議論いただきながら、その議論の過程を踏まえながら、我々も考えていきたいというのが一つの流れでございます。
 もう一つは、現在、第6期の科学技術・イノベーション基本計画というのが走ってございまして、そちらは令和3年度から令和7年度でございます。つまり、令和8年度から第7期の基本計画が動くところでございます。例えば、現在の第6期の例で言いますと、令和3年度に開始したわけでございますが、令和元年、2年前ぐらいから大きな議論の進展が始まっているところでございまして、そういう意味では、令和8年(2026年)の2年前ということで、まさに今年でございますので、先生方、そういったこともちょっと意識いただきながら御議論いただけますと幸いかと思っているところでございます。
 ちょっと前置きが長くなったのですが、そういった観点で、産業連携、地域振興、人材育成について、少し先生方の御議論を進めるという意味で、現状と課題ということで資料を準備いたしましたので、資料2-1について、御説明をさせていただければというふうに思っているところでございます。
 まず、2ページでございますが、我が国の産業連携の進展の状況と課題ということでございます。左側は共同研究の実施件数と受入額、右側はいわゆる特許に関する実施許諾件数及び収入額の推移というところでございますが、これらは、下にありますとおり、規模という意味では、全体としては着実に拡大をしているというような状況はあるのかなあというふうに捉えているところでございます。
 ただ、3ページでございますが、例えば、左側の表にございますとおり、日本と、特にアメリカの大学と比較しますと金額的に少し開きがあるのかなあというところであったりとか、右側の上、「「組織」対「組織」の連携」というふうに書いてございますが、民間企業と大学との共同研究の構成比、金額ベースで言いますと、1,000万未満というところがやはり大きいのかな、他方、日本の大学でも、最近、大阪大学、東京大学が大きな規模で民間企業との連携を進めているというような事例もあるということでございます。そういう意味でも、課題ということで、さらにそういったような取組が進んでいく、「組織」対「組織」の本格的な産学連携というのが一つ課題としてあるのではないかというふうに思っているところでございます。
 次の4ページでございますが、大学発スタートアップの現状でございます。下のグラフは日本における大学等発ベンチャーの新規設立数でございますが、上に少し赤字で書いてございますけれども、令和3年度は244社が新規設立ということで、一時期落ち込んで近年は増加傾向にあるものの、米国と比較すると数的にも少し少ないのではないかと。
 次に5ページでございますが、もう少し日本の中を詳しく見ますと、上場した大学発ベンチャーということで、昨年時点でございますけれども、上場56社、1.4兆円ということで、プライム、スタンダード、グロースに着目して見ますと右側のグラフになりますが、全体の中で大きなポーションを占めている。これは、ある意味、一角をなしているのではないかというのが現状でございます。
 他方、課題ということで、次の6ページでございます。先ほども少し触れましたが、今度はユニコーンという数に限って見てみますと、アメリカなどは比較をすると数に大きく違いがあるのではないかということで、特に経済規模ということを考えると、決して高いと言えるような数字ではないのかなあというような状況でございます。
 次の7ページも、先ほど数と規模という話もさせていただきましたが、投資額ということに着目して言いますと、米国に比べると約100分の1というようなデータもあるようなところでございます。
 続きまして、8ページでございますが、先ほど、地域のスタートアップに関する、地域でのリソースの話、地域の連携、そして全国的な連携という先生方の御指摘もございましたが、スタートアップに関して各大学がどういうふうに整備をしているのかというのが、こちらのスライドでございます。やはりまだまだ、大学ではリソースの不足というところも含めて数的に伸びてきてないというところで、一番下に課題というふうに書かせてございますが、産学官のリソースを結集して、地域や都市単位で企業支援体制の整備というのを進めていくというのが一つ重要なのではないかというふうに思っているところでございます。
 9ページでございますが、こちらはまた日米の比較になりますけれども、いわゆる出口のところの投資、そして、その後の上場というところ、下のほうはアントレプレナーシップ教育ということで、先ほど来、先生方のほうからもいろいろ御指摘ありますが、例えば、そういった教育を提供している大学の比較であったりとか、また、企業活動率というところも比較をすると、日米で有為な差があるというような現状でございます。
 今、産学連携、産業連携というところで申し上げましたが、地域振興という観点で幾つかスライドを次のページから紹介させていただきます。
 地域の大学を取り巻く状況ということで、幾つか、数字、バックデータを出させていただいておりますが、人材教育の側面ということで、若者にとって地域の大学にひょっとしたら魅力がないのではないかであったりとか、産業構造の転換に地域の大学が貢献できてないというようなことも現状としてあるのではないかというふうに思ってございますし、11ページでございますが、これは日本全体を見たときのいわゆる層の厚さということを分野ごとに論文の数の規模とかtop10補正論文数とかをNISTEPのほうで集計している表でございますけれども、こういったところで大学の層の厚みというところが形成されるように、特色ある強みを伸ばす施策の展開が必要ではないかというふうなものが、現状であったり、課題というところでございます。
 12ページでございますが、先ほども、地域のばらつきというか、格差というか、そういった御指摘が先生方からもありましたが、例えば、科学技術に関連する予算であれば、上位5都府県で全体の33%を占めているというようなデータがあったりとか、13ページでございますが、都道府県別の大学研究開発経費ということで、上位の4都府県で全体の半分ぐらいを占めているというようなものが現状でございます。
 さらには、14ページでございますが、民間企業との連携というところで見ましても、先ほどと同じような傾向がございまして、やはり旧帝国大学が所在しているような都府県というところが上位を占めているというのが現状でございます。
 駆け足で恐縮でございますが、15ページに行きまして、産学連携の活動の状況ということで、先ほど、県をまたがって、その県にはニーズがないというような場合にどういうふうに連携していくのかという話も一つの御指摘でございましたが、ある意味、似通った話としまして、大企業比率とか同一県の比率というところが数字として出てきているところでございます。
 16ページでございますが、大学からの特許出願でありましたりとか、さらに次のページに行っていただきまして、地域間の格差の分析というところでも、左下に赤字で書かせていただいておりますけれども、三大都市圏に研究員・研究者が集中しているというのが格差として表れてきているというようなデータの分析もあるところでございます。
 最後に、三つ目の大きな論点として人材育成というところに関する現状と課題でございまして、18ページでございます。アントレ教育における現状と課題ということで、国公私立大、短期大などを対象として調査を行ったところ、学生の受講率は3.2%。先ほど正規の授業というようなSTEAM教育の話などもございましたが、正課科目として開講しているのは220校というようなことが現状でございまして、さらには、その下に黒字で書いておりますけれども、アントレ教育について課題があると回答した学校が400校もあるというような状況でございます。そういったものの解決方策みたいなものを一つ考えられるのではないかというところでございます。
 続きまして、最後のページでございますが、我が国におけるということで、今度は世界との比較ということをしていきますと、アントレに関するランキングということで、順位としては非常に低いというようなものが幾つかの調査でも出ているところでございます。
 最後に、資料2-2のほうに戻っていただきまして、こちらは、先ほど触れましたが、産業連携、地域振興、人材育成という、この後、久世部会長に議論のほうはリードしていただければと思いますが、三つの論点というのを掲げさせていただいております。その中でも、先生方の議論の取っかかりとして、論点設定というのを幾つかさせていただいております。産業連携の中でございますが、「大学等に眠るイノベーションに繋がりうる研究シーズをより多く発掘するにはどのような支援や大学の体制が必要か」というのが一つ目でございます。二つ目、「大学等発スタートアップの創出に向けて、既存の枠組みのみではなく大企業・大学との協働等による支援は可能か」、三つ目、「大学等における知財マネジメント等の産学官連携に関するノウハウや好事例をどのように横展開するか」というのが、論点として考えられるかというところでございます。続きまして、地域振興でございますが、「大学等がその強みや独自性を活かして国内外の社会課題の解決に貢献できるようにしていくためには今後さらにどのような支援がありうるか」「地域におけるイノベーション・エコシステムの形成や地域経済の活性化に死する研究開発施策としてどのようなものが考えられるか」。そして、最後でございますが、人材育成ということで、「アントレプレナーシップ教育を普及・展開していくためにはどのような方策が考えられるか」。この辺りを先生方の御議論の一端としてお示しをさせていただいているところでございます。
 事務局からは、以上でございます。
【久世部会長】  御説明、ありがとうございました。
 事務局から御説明ありましたように、三つの論点があります。この三つの論点は、それぞれ関連しているので、厳密に区別するのは難しいですが、時間の制限もあるので、この三つの論点ごとに時間を区切って議論できればと思います。
 また、質問に関しましては、このセクションごとか、最後にまとめて、事務局からお答えいただきたいと思います。
 それでは、全体としては、11時50分を目途に40分間ということで、活発な御意見、御討議、よろしくお願いします。まずは、産業連携についてお願いします。
 それでは、田中委員、よろしくお願いします。
【田中委員】  ありがとうございます。私は、REVIC(地域経済活性化支援機構)の立場で、地方大学の大学ファンドを組成・運営し、大学発ベンチャーを起こして投資をして上場ないしは大成功にチャレンジし実現してもらう、というような仕事を10年程やっております。地方大学は、山本委員が先ほど言われた東大の世界とある意味すごく対照的なところがあります。私どもが関わる鳥取、島根、徳島、高知、広島、金沢は、広島を除くといずれも、いろいろなランキングで47都道府県の下のほうに近い県にはなりますが、どの大学にも、魅力的な大学発ベンチャーにつながるような、とても面白い研究テーマがあります。今挙げた県の各大学の偏差値は、東大に比べると下位のランキングかとは思いますが、上場はじめ一定の成功が期待できるようなケースも出てきており、地方大学発ベンチャーのポテンシャルを感じております。一方で、先ほど山本委員が、東大を筆頭に東京や大阪には、ベンチャーキャピタル初め、事業化を手伝える人材がいると言われましたが、地方にはその手の人材はほぼおりません。REVICが地方大学で事業化支援をする人材を抱えているとはいえ、そういう人材が普通にどんどん育つわけではなく、私どもも大変苦労して育てているところがあります。文科省が用意した1,500億円を有効に活用し、しっかりとベンチャー化してエコシステムを創出するには、おそらくそのような人材をどれだけ現場に数多く投入できるかということにかかっているのだと思います。
 REVICは、期限がある組織で、現在のところ残り7年程度しか存続できないということもあり、今の所これ以上、新規の地方大学ファンドには関わらないという方針でおりますが、今なお数多くの国立大学等から地方大学ファンド立ち上げの相談が来ております。岸田政権になり多くのスタートアップ予算がついたおかげで、ベンチャーは幾らでも起こせる時代が到来したのは間違いないものの、経営人材がいないが故に存続できずつぶれていくベンチャーの数も急増するのではないかと危惧しています。昔のことをよくご存知の大学関係者からは、2001年当時の平沼プラン(大学発ベンチャー1,000社計画)のときと同じ光景が今広がりつつあり、何とか支援してくれないかという相談すら来ております。やはり、大学発ベンチャーの経営人材をどう供給するか、あるいはどうやって人材育成するか、という喫緊の課題の解決において、実業の経営現場で経験を積んだ人材にどうすれば活躍してもらえるのか現実的かつ具体的な方法を以てトライアンドエラーを重ねることが大事だと思っており、その観点から産・学の協力に基づく解決策即ち産学連携に大いに期待しております。
 一方で、大学に人材がいないかというと、大学の教員の中には地元企業の新規事業開発を支援している方も少なからずいらっしゃいますので、そういう方が兼業を通じ企業から応分の報酬をもらい、活躍しやすい環境を大学側が整備したら良いと思っております。REVICの大学ファンドチームに、新たにシンガポールのA*STARから転職してきた研究者がおり、彼曰くA*STARの研究者の中には年俸二、三千万円級の先輩がいたのに比べ、日本の大学の教員の給与水準が低く、職場として魅力に欠ける、と話していました。大学の給与水準が頭打ちであるならば、大学の教員も学外にも目を向け、しっかりと報酬を得られるように活躍の場を広げ、企業のR&Dや事業開発に兼業で関わるなど、事業化人材として産業連携や地域振興や人材育成に挑戦する活動も大切なのではないか、とあらためて思います。
 大学ファンドやスタートアップに関するいろいろな組織やプロジェクトを見ていると、いずれの取組も全て、特定の個人の影響力が取組の推進力となっており、極端に属人的な取組としての側面が強いように思います。例えば学長がファンドをやるぞと力をいれれば関係者は一気に動くし、あつい思いを持つ頭取がファンド組成を推進すると速やかにファンド組成が具体化する、といった具合です。文科省初め政府が推進しようとしているスタートアップの方向づけに対し、産・官・学それぞれに、あつい思いと大志を持った影響力の強い個人がいて「私が当事者となり、自分でやる」という思いで行動する人こそが全ての原動力のように思います。このような人材を1人でも多く増やせるかどうかが、スタートアップにつながる産学官連携活動の成否を、根底から左右するカギだと思っています。
 以上です。
【久世部会長】  ありがとうございます。
 続きまして、オンライン参加の委員から御願いします。高橋委員も二人おられるのですが、オンライン挙手が肌色の高橋委員、よろしくお願いします。
【高橋(祥)委員】  高橋でございます。簡潔に1点だけなんですが、様々なデータを、海外とのデータをお出しいただいたんですけれども、結局、どれが重要なKPIなのかというのは設定して関係者で共有したほうがいいのかなというところはあります。例えば、大学発スタートアップの創出、年間当たりの創出の数が大事なのか、あまりにいろんなデータがあり過ぎて、いろんなステークホルダーの方がどこを向くのかというのが、認識が統一されてないなというふうに感じています。例えば、ユニコーンの数の比較もありましたけれども、ユニコーンの数をKPIにしたところでダウンラウンドのIPOも多い状況ですので、それは目指すべきじゃない数字だろうというところもありますし、じゃあどの数字を優先してみんなで向かっていくのかというのをちょっと打ち出していただきたいなというふうに思いました。
 1点だけ、以上です。
【久世部会長】  御質問、ありがとうございました。産業連携パートの最後のところでまとめて、ご質問にお答えいただくということでお願いいたします。ありがとうございました。
 続きまして、オンラインの北岡委員、よろしくお願いします。
【北岡委員】  北岡です。ありがとうございます。スタートアップ事業に関わらせていただいているという点でちょっとコメントをさせてもらいたいと思うんですけど、まさに産業連携のところについては、民間の力をどうやって入れていくかというのについて、各大学でそれに対する取組というのは一歩ずつ進んでいるのかなという一方で、民間の人が大学に来ていきなり何か活動できるかというと、これは結構壁があって、大学人の中にもそういうことに対してたける人材をうまく教授ポストとか准教授ポストであてがっていくという両輪が必要なのかなというふうに感じています。
 もう一つは、関西の取組と、一昨日あった会議の事例を紹介させてもらいますと、実は8大学の本部長会議という産学連携の会議が10数年継続されています。実は日本の帝国大学系の大学の産学連携スタートアップ支援の取組の標準化というのはその会議で長く継続されてきて今に至っているかなということで、先日も迫田室長も出席されてきたと。この取組というのは8大学に閉じてきたというところもあったんですけど、一方で私自身、個人的に関西の私立大学の産学連携の部会みたいなものをここ数年させていただいたりしていて、そういう先人の取組をどういうふうに共有化していくかというのについては、別に費用とかは必要ではないので、誰かが時間を割いてどれだけそれを貢献していくかというところかなというふうに思いますので、そういったところをしていくと、産業連携というところに関する、いわゆるマネージ、ノウハウや好事例の共有化であったり、悩みに対する課題解決というのは、意外と簡単にできるかな。実は、誰が時間を割いてそれをやるかというほうがむしろ難しいんですけど、そんなに大きなプロジェクト予算が要るわけではないということについては、何か施策として進められるのではないかなというふうに思っております。
 私からは、以上です。
【久世部会長】  北岡委員、ありがとうございました。
 それでは、オンラインの高橋委員、よろしくお願いします。
【高橋(め)委員】  高橋です。産業連携の1番目のポツに関して、意見を申し上げます。私どもは広域で活動している技術移転機関なんですけれども、大学からも自大学の研究シーズの発掘をやってほしいという御依頼を最近よく受けるようになりました。よく思うこととしては、まず、先生方が社会課題に向かっていく研究を積極的に取り組むというマインドになるようなコミュニケーションが学内で取れてないというのがすごく多くて、私たち、シーズ発掘のためのヒアリングを研究者とするんですけれども、半分は啓蒙活動だと思っています。なので、そういう啓蒙活動をしっかりできるような取組を学内でどうつくっていくかというのが大きな課題かなと思います。
 あともう1点、それに関連してですが、私どもで関わらせていただいている大学の中で、産学連携部門で社会課題を一つフォーカスして、どういう課題があるのかというマッピングをして、その解決手段をプロットするというようなマップを作っている大学さんがありました。その中で、自分たちの研究者自身が、自分はこの位置に解決手段を持っているというのが、全体像を見せられて、ここに貢献できるというようなところを研究者が認識して、それを認識したものを産業界とつなげていくというような活動をしている大学さんがありまして、とてもいい取組だと思っています。シーズ発掘するためには、そういう取組を学内で行うというのも大事なことかなと思っています。
 最後に、ほかの委員の方々もおっしゃられていましたが、こういう取組をするのに、学内に閉じる、地域に閉じる活動ってすごくやりにくくて、我々、広域で活動しているので特に思うんですけれども、地域とか組織を限定されてしまうと、きちっとした解決手段が提案できないんですね。当然であると思うんですけれども、そこは、早めに取っ払える、広域で活動できるようなところにフェーズを移していくことが必要かなと思っております。
 以上です。
【久世部会長】  高橋委員、ありがとうございました。
 それでは、多くの委員に挙手いただいていますが、挙手順にお願いしたいと思います。まずはオンラインの佐藤委員、それから会場のほうに一旦戻ります。
 それでは、佐藤委員、よろしくお願いします。
【佐藤委員】  ありがとうございます。産業連携、地域振興、本当に大事な課題だと思っております。資料のところで高橋委員からの指摘にあったのですが、どのKPIをやっていくのというところもひもづいていると思うんですけれども、米国の大学生は1,800万人で、日本の学部生とかっていうのは290万人からすると、6分の1の人数でいくと、結構、日本の年間224社起業しているという数字は悪くない数字なんじゃないかなというふうに思います。こういうふうな資料を作ると、ベンチャーキャピタルとか起業の数みたいなところでいくと米国に圧倒的に負けていますみたいな資料が必ず出てくるんですけれども、その中でもきらりと光ってやっているところとかっていうのをちゃんとフォーカスして、日本の大学発でもすばらしい研究とか濃いものがたくさん出てきているんだよというアピールをしていかないと、先日のベンチャーキャピタルの発信もそうだったんですが、米国にいつも負けているみたいなことを言われ続けているのはよくないので、事実としてはあるんですけれども、ちゃんと数字から見て日本でも結構やれているんだよというところもアピールしていかないといけないのかなというふうに、個人的に思っています。
 あと、ベンチャーキャピタルという仕事をやっておりますので、起業創出というところは非常に重要なんですけれども、出口のところに関しても非常に重要だと思います。昨今、IPOをしても、株価がつく会社とつかない会社があります。そうなってくると、我々ベンチャーキャピタルとしても出口をきちんと意識した投資をしなくてはいけません。出口を考えると、M&Aというところでいくと、圧倒的に日本は米国に比べて数が、ここに関しては事実として少ないと思っています。規模もちっちゃいです。そう考えると、産業界とのニーズの連携であるとか、そういったところが最初から支援をして、いずれ、M&Aを目指して起業するというわけではないのですけれども、そういったところの出口のところも意識した投資というのをやっていかないといけないのかなというふうに思います。
 最後に、ここに関しては、起業させるのもいいんですけれども、目利きができる人材の不足というものもございまして、起業するというところを押し出すのも重要なんですが、研究者がVCになっていくみたいな道も結構育てていかないと、今だと分かる研究のところだけにお金がついてしまうようなことになりかねないぐらい、結構、ベンチャー村はちっちゃいので、そこの育成も含めてやっていけたらより盛り上がるのかなあというふうに、個人的に思います。
 以上です。
【久世部会長】  佐藤委員、ありがとうございました。
 それでは、会場から小池美穂委員、よろしくお願いします。
【小池(美)委員】  まず、知財マネジメントの件と、あとはスタートアップについて、意見を述べさせていただきたいと思います。
 知財マネジメントの件なのですけれども、これは、大学の研究分野があまりにも広域でございまして、知財部に属する少人数の人材だけでは、知財の価値の判断や出願、そしてライセンス支援ができないというのが実情なんですね。ですので、これは、官による知財支援で何か大きな仕組みづくりを考えられないかということが、一つ思ったことでございます。
 もう一つ、スタートアップ、今回の資料で、今まで私が見落としていたのかもしれませんが、ようやく、スタートアップ創出の数だけではなくて、規模という言葉が頻繁に出てきて、フェーズが進んだと思いました。先ほど、高橋委員、佐藤委員も話されたましたが、じゃあ、そもそもユニコーンの定義って何ですかというところに帰すると、ユニコーンというのは2013頃にアメリカのベンチャーキャピタリストが作った言葉でありまして、当時のITのスタートアップに対し、企業価値を示すためであって、それを今、全ての分野の日本のベンチャーに当てはめるのは、非常に疑問を感じます。ユニコーンは、日本の経済活性のエンジンにすることが目的だとしますと、別にユニコーンだけではなくて、ミドルコーンとかがたくさん出てもいいし、あるいは、先ほど委員がおっしゃったようなM&Aもあるでしょうし、国としての評価の仕方を見直していただければ、非常にいろんなものがさらに見えてくるかと思いました。
 以上です。
【久世部会長】  小池委員、ありがとうございました。
 続きまして、佐々木委員、よろしくお願いします。
【佐々木委員】  九大の佐々木です。産学官連携担当副学長を7年半やっておりまして、その中で、この産地部会、毎回参加させていただいて、本当に勉強をさせていただいております。九州大学はちょうど、国際卓越研究大学を目指すべき大学でもあり、なおかつ地方の中核大学を目指すべきということで、ある意味、両方の視点で発言させていただきたいと思います。
 まず、2017年ぐらいからこの部会に参加させていただいていて、そのときの資料をもう一回見ますと、産学連携、かなり進んだなというのは、資料の中身が全然違っているということで、非常に感慨深く思っております。では、その間何が起こってきたかというと、多分、七、八年前は、まず、共同研究をどうしようというところでガイドラインをつくっていたりしていて、技術をどう橋渡しするかとしていたのが、さらに進んで、知財をどう橋渡しするか、事業モデルをどう橋渡しするかと。さらに、今回、スタートアップというのは、まさに事業体そのものを大学がつくって、それを社会に移管すると。そういう観点で高度化してきたというのが、これまでの取組だと思います。ただし、課題もあるということで、あえてクリティカルに、せっかく来させていただきましたので、3点ぐらい発言させていただきたいと思います。
 まずは、スタートアップに対して、これだけ予算もついて、期待されているということはいいことなのですけども、果たしてスタートアップがVCさんの目にきっちり留まってマネタイズして、ちゃんと投資家の投資にお応えできるレベルになっているかというと、まだまだ力不足のところはかなりあると認識しております。その足腰を強くする部分で、3点あると考えています。1点目は、この資料にはあまり書かれてないのですけれども、結局、スタートアップを作っても、単なるアイデアベースですと最後はエグジットとかM&Aまで行きませんので、その中でまだまだ弱いのは、知財をきっちり日本の大学が取るというところですね。基本特許については、特に単独特許を取るという部分があまりにも予算もなくて弱過ぎるのではないかなと感じております。なので、特許出願をするだけでも大学になかなか予算がない中で、世界から投資を受けるということになると、PCT出願をして、なおかつ海外で特許を取っていくと、各国移行も考えないと駄目なんですけど、それに対する予算はほとんどないという状況です。なので、将来、VCさんにきっちり評価いただくときに知財を持っているところでないと世界で相手にされませんので、スタートアップのバブル的な予算を少しでも知財を取るというところに回していただけるといいのかなと思いました。
 それから、2点目なんですけども、幾つかの委員からお話がありましたが、こういうようなスタートアップを含めて、大事なのは人材です。これは言うまでもないです。局長がお話しされました、修士から博士に行って、スタートアップに行ってくれればという、アメリカ的なエコシステムをつくるということで、本当にそれができればなあと思っておりますけども、他方、海外のトップ大学なんかを見ますと、大学の先生がスタートアップまでやるというケースは少なくて、むしろ、CXO人材が大学の中でたくさんいて、いい成果が出てきたら、この成果はいいから自分たちで会社をつくらせてくださいみたいなところでプロの経営人材がスタートアップを立ち上げると。そのときに、誰が研究するんですか、技術開発するんですかといったときに、博士研究をやったような人材がまさにCTO的な形で入ってスタートアップが立ち上がるということだと思います。なので、大学にプロのCXO人材をいかに呼び戻すか、お越しいただくかというところが大事なポイントですので、スタートアップの支援の中でそういうようなCXO人材が来ていただくような形にしていただきたいと思います。
 3点目は、この資料の一番最後に国際比較がございました。私自身、大学院はスイス連邦工科大学チューリッヒ校(ETH)でしたので、これはスイスが2位で日本が劣後しているという表になっているのですが、スイスでどうだったかというと、スイスの場合、メガファーマがあって、金融、銀行があって、コンサルはあるんですけど、研究開発を一生懸命やるような、いわゆる大企業ってほとんどないんですね。だから、フィンランドに似ていると思いますけど、自分たちでつくらないと自分たちの就職の場所がないという、切羽詰まったところから始まっています。なので、大企業さんに就職できて、そこで技術開発をきっちりできるというのは決して悪いことではなくて、これは日本の強みでありまして、ただし、大企業に行って、そこで新しいイノベーションを起こしてないというところがやはり課題であります。ということは、本質的な課題というのは、大企業でもまれて、技術開発もして、いいアイデアもあった人をどうスタートアップに引き込んでいくのかと。できれば地方のそういうところで花を咲かせていただいて、その地方で産業を生み出して、雇用を生み出して、そこに人を回すという、人材の流動化をいかに政策的に進めていくかというのが、3点目のポイントではないかなと思っております。
 特に企業さんですと、50歳を過ぎると、そろそろ第二の人生をということで、むしろ大学に戻りたいという方はいらっしゃるんですね。ですから、九大でもCXO人材の公募をしたら数百人単位で応募をしてくるというところがありますので、そういう地方でCXO人材を雇用できるポストをつくっていただくだけでも、それをやりたいという東京圏にいるような方も結構多いので、そういう方が地方に来ていただくような、そういう人材の流動化を後押しするような施策をつくっていただくと、地方も含めてスタートアップが盛り上がるのかなあと思います。これは高度人材の流動化という労働法制にも関わる大きな話でありますので、ぜひ霞が関全体で取り組んでいただきたいなと思っております。
 以上3点、よろしくお願いいたします。
【久世部会長】  佐々木委員、ありがとうございました。
 私の不手際で、最初の産業連携のパートでかなり時間を使ってしまいましたが、地域振興と人材育成のパートも、このあと時間を取りたいと思います。
 現在、6名の委員が産業連携パートで挙手されておりますが、高橋委員の御質問から時間が経過してしまっているので、一旦、事務局からお答えいただきたいと思います。高橋委員からは、KPIはいろいろ用意されていますが、どの部分を重視していくのかといった方針に関しての御質問をいただきました。事務局からの回答、よろしくお願いします。
【迫田室長】  ありがとうございます。事務局からの説明が、私はいつも講演で留意点も含めて説明しているのですが、生情報で断面だけしかお伝えしなかったので、ちょっと補足させていただきます。
 おっしゃるとおりでございまして、例えば、ユニコーンって少ないよねと言われるのですが、これは上場しやすいから少ないよねという話もあって、日本のそういった上場しやすさはユニコーンの数に結構効いているんじゃないかということで、ここってどうなんだとか、または、ユニコーンの先の、そもそも時価総額ウン兆円の企業をつくるのが重要であって、そこは通過点じゃないかとか、いろいろ御意見があって、そういったところも含めて、結構、いろんな前提条件は違うんですよと言いながらこの数字を出していますけど、この補足がなくて、申し訳ございません。
 あともう一つは、大学発スタートアップの社数で言いますと、米国の4分の1って、僕は結構いい数字かなと思っています。実はこれ、少ないですよという説明をする人もいるんですけど、いえいえ、違うでしょうと。だって、GDPって米国と比べたら日本って6倍ぐらいの開きなので、結構いい線いっているかなというふうに思っています。
 その続きなんですが、その先に、例えば投資環境は30分の1と100分の1とか、スタートアップへの資金供給は圧倒的に少ないというのは事実かなと思いますので、今、創出はいいんだけれども、創出から成長のところのステージをどうしていくかというところがかなり重要かなというふうに思っています。そのため、投資環境をどう良くしていくのかというところが、KPIの重要なところかというふうに考えています。
 その先を申し上げますと、課の方針というよりかは、室長として、個人としての意見かもしれないのですけど、ではどうするかというと、海外から投資家を呼びましょうとか、日本国内のVCを育てましょうということを当然やってはいるのですが、私は、そういったところを見ていると、日本の宝ってまだまだあると、大企業というところがあるというふうに思っていまして、今、GDPが3位から4位に転落することが確実になりましたが、そこを支えているのは大企業のところかなと思っていまして、まだまだ、技術力であったり、生産管理であったり、本当に何よりも顧客ネットワークですね。グローバルに顧客基盤があったりとか、ネットワークがあるところ、そういったところを利用していくのがこれからの、単純にスクラッチで欧米のような大手新興企業をつくりましょうというよりも、大企業と協業させて、うまくアライアンスを組むというところが大変重要かなと思っていまして、そういう意味では、じゃあ重要なKPIは何なのかというと、この投資環境のところをどうしていくのかというところが重要かなと思っています。CVCであったりとか、また、その前の、ファーストカスタマーとして大企業がつくだけでもティッピングポイントになってスタートアップがすごいスケールするというところもありますので、ここのスタートアップと大企業施策、今までOI(オープンイノベーション)機構で、大企業と大学の共同研究とか、スタートアップと大学とかはあったのですけども、スタートアップと大企業を、エコシステムを回すような、また、そこに大学が入り込むような、それがウィン・ウィン・ウィンの関係を築くような、そういったエコシステムができないかなというところが今と考えていて、実はこの論点の2番目のところに大企業と入れているんですが、そういう気持ちで示させていただいた次第でございます。
 長くなりましたけども、そういったところでございます。
【久世部会長】  ありがとうございます。
 高橋委員、今の事務局からの説明でよろしいでしょうか。
【高橋(祥)委員】  投資額というところが一番大事ということは分かったんですけど、それを分かりやすいメッセージで、投資額を増やすためには各プレーヤーが何をしたらいいのか、人材のところなのか、海外誘致なのか、みんながそこに向かっていくという認識をそろえることが大事だと思いますというところです。ありがとうございます。
【久世部会長】  ありがとうございました。何を重点的に考えているかといったメッセージ発信も大事かと思います。よろしくお願いします。
 それでは、お待たせしました。栗原部会長代理、よろしくお願いします。
【栗原部会長代理】  ありがとうございます。私も、産学連携だけではなく、全体に関することですけども、4点あります。
 1点目ですが、先ほどのお話の中で、中学生、高校生のビジネスコンテストをやっている日本政策金融公庫の例を拝見したんですけれども、とても高校生とは思えない、すばらしい起業のプランでして、共通するのは、何を解決したいかということを高校生ながらも捉えていて、そのためにどういうことをやっていくかというプランになっているんですね。それは恐らく、今回、大学でも行われるアントレプレナー教育と同じだと思うんですけれども、どう起業すればいいかという視点だけではなく、何を課題解決したいのかという、そこの問いを立てるという力が重要だと思いました。ですから、大学よりもっと前からやるべきだと思いますし、大学のアントレ教育の中でも、そこを出発点として、その力を養うこと、あるいはそれを考える機会が重要だと思いました。今後の仕組みの中に、社会課題の問いを立てるということができるようなプログラムにぜひしていただきたいと思います。そして、そもそも企業とか地域の社会人の人もその課題意識があると思うので、その人達がこのプログラムに参加できる仕組みが地域なり企業側のほうでもあると良いと思います。その結果、佐々木委員がおっしゃったように、企業人が、実際の起業の中で、CXO等の役割を持って人材的にも貢献できることにつながっていくかなと思っております。これが1点目です。
 2点目に、先ほど、資金が最後にネックになるというお話ですとか、大企業志向があるというお話でしたけれども、私、最近違うことを思っていまして、若い人の就職の志向として大企業離れが進んでいると思っています。ですから、連携する先としては、従来の大企業という発想ではなく、スタートアップ企業も考えるべきだと思うんです。ターゲットとする企業を少し変えて、スタートアップ企業と大学教育の結びつきを考えたほうがいいのではないかと思いました。
 変えるという意味においては、実はもう一つあって、大企業の中でも、研究分野のところへのアプローチだけでなく、先ほど迫田さんがおっしゃったのですが、CVCや、CVCを持つ企業にアプローチをするというのは大変有効なのではないかと思います。これが2点目です。
 3点目は、ちょっと連携とは違うのですが、議題(1)のところとも関係しますけれども、昨年度の補正から様々な予算がついて、プロジェクトが立ち上がっていますが、これらは大学への投資だと思うんですね。文科省としてもそうですし、国民全体としても、大学にこれだけ投資しているわけなので、受け取った大学も受け止めて、これらを利用して本当に大学が強くなることについて、大学の経営計画と、そのモニタリング・評価の中でも確認し説明していく必要があると思います。こういったプログラムが大学の中で全体として位置づけられ、経営会議の中でこれをやるということが明確になっている必要があります。そうすれば、これらのプロジェクトをやっているという、やっている人に対しての評価も、大学の中でもっと上がるのではないかと思います。ぜひ、大学はこれらのプログラムによって大学の価値をどう上げていくのかということを経営方針として挙げていただきたいし、そのモニタリングをしていただきというのが3点目です。
 4点目は、文科省や、今回の予算、例えば1,000億を担当するJST等に対してなんですけれども、上田さんがおっしゃられましたが、それぞれのプログラムが出しっ放しで終わりではなくて、地域へのインパクトも含めて、うまくいっているのかどうかのフォローが必要だと思いますし、特に単年度ではなくて基金ですから、4年なら4年の間に、または、初年度やってみた結果として残り3年もこのまま継続するのかということを、見直していただきたいと思います。そのために、横の連携をもっとしたほうがいいんじゃないか、当初はこういう仕組みでつくったけれども、ちょっと見直しがあるんじゃないか、というような観点でプロジェクトを見ていただけるプログラムのコーディネーターのような人材を、ぜひ文科省の中とかJSTの中で改めて位置づけていただいて、そういうスキルも磨いていただきたいなと思います。
 4点、以上です。
【久世部会長】  ありがとうございました。2点目のCVCですが、各社のCVCリーダー同士のネットワーキング活動などにアプローチするのも効果があるのではと感じました。3点目に関して、COI-NEXTの時も、連携企業の中期経営計画に共同プロジェクトが重要経営テーマとして入るぐらいの覚悟と積極性を企業側に持ってもらうことを強調していました。ありがとうございます。
 時間が厳しくなってきましたが、林委員、荒金委員、高木委員、小池聡委員、山本委員が挙手されています。申し訳ないですが、コンパクトにポイントをまとめていただければと思います。
 それでは、林委員、よろしくお願いします。
【林委員】  林です。コンパクトに発言させていただきます。
 まず、産学連携のところで、私が今まで地域イノベーション・エコシステム形成プログラム等でお手伝いしたときの経験と今の経験を合わせると、学長レベル、あるいは大学経営トップのレベルの意識は、大分積極的ですし、意識も変わっているなと感じています。一番大きな課題感は、実はその下のスタッフ部門の人材のレベルが全然追いついていってない。かつての事務方のような考えしかない人がいっぱいいる中で、なかなかプロデューサー人材というのがいないというのが課題だと思います。したがってここは、今回のような地域振興施策で支援するときに、その人材育成をどうするのかと。例えば、4年とか5年のプロジェクトに競争資金として提供するのであれば、その中でそういったスタッフ部門の人材育成までどういうふうにやるのかというのを視点として入れて、むしろその期間で育成するんだという意識でやる。そのためにはかなり、ハンズオンで文科省側から何らかの人材的なことも支援していく必要があると思います。アドバイザーとして外部人材を派遣する進め方でも良いと思いますが、そのような仕組みを盛り込むのが大事かと思いました。
 地域振興に関しては、大学が地域、自治体とどういうふうにかみ合ってこのプロジェクトを実行するのかという視点を必ず入れることが大切だと思います。大学だけでやろうとするのではなく、自治体を巻き込んですすめるという仕組みを競争資金の応募の中に盛り込んで提案をしていただくのは大事だと思いました。
 もう一点、人材育成としてのアントレプレナーシップ教育等は、大学の評価のKPIの中に必ず入れ込むことは大切だと考えます。論文数は幾つ出ているかとか、特許は幾つ出ているかとか、こういったことはもうKPIに入っていると思いますが、あえて、アントレプレナーシップと社会貢献、ここを具体的にKPIに盛り込むことで大学に変革を促すということではないかと思います。
 以上です。
【久世部会長】  林委員、ありがとうございました。
 それでは、荒金委員、よろしくお願いします。
【荒金委員】  ありがとうございます。コンパクトに、産業連携のところの1番と2番について、企業の立場からコメントさせていただきたいと思います。
 私、COI-NEXTのADをさせていただいておりますが、企業サイドとして感じるのは、そもそも資料の一番最初に書かれている、「大学等にあるイノベーションにつながる研究シーズを発掘する」というのがありますが、正直、圧倒的にイノベーションにつながる研究シーズの数が各大学に少ないですね。特にそれは地方において強く感じることも多く、基礎研究に対する否定的な御意見もありましたが、そもそも大学の今の状態においてイノベーションにつながる研究シーズを創出することが自分たちのミッションであるという意識自体がまだまだ行き着いてないのかなという感じがします。従って、そういう啓蒙ですとか、人材育成とか、評価、それから、イノベーションにつながる研究シーズを創出できる方たちを集めてくる、そこにかなり体制をつくっていかないと、競争力のない研究シーズに対してスタートアップを幾らつくっても長続きしませんし、企業にとっても魅力がないというところがあるんじゃないかなと思います。そこの体制の強化というのは、今日お伺いした全体像の中ではあんまり見えないなと思って、コメントさせていただきました。
 以上です。
【久世部会長】  荒金委員、ありがとうございました。
 それでは、高木委員、よろしくお願いします。
【高木委員】  ありがとうございます。高木です。産業連携について、コメントさせていただきます。
 組織対組織の産学連携をするときに、事業化できる人材、あるいは産業界の経験のある人材が大事だという御意見が出ておりました。まさにこれが先ほど迫田室長が言われたオープンイノベーション機構の整備事業で、私も委員として参画させていただいております。その際に気にしたのは、学外から来られた方が実力を発揮できるかどうか、そういう体制をつくれるかどうかということで、これは幸い文科省の事業ですし、経営トップのリーダーシップ、副学長あるいは理事直轄の機構ということで、皆さん実力を充分発揮されておられ、大学の中には、学外から来られた方で副学長になられた方もいらっしゃいます。
 この事業の特徴的なことは、一つは財務基盤の強化です。今回の中ではあまりその話が出てないのかもしれないのですが、オープンイノベーション機構というのは、プロフィットセンター、利益を得る組織です。これは共同研究や産学連携活動の価値に見合った費用を獲得するということです。この意義は非常に大きく、例えば、いろいろな外部人材を大学が確保しようとしたときに、ゼロサムで考えると進みません。例えば産学連携の人材を採用しようとしても、現場からはそのようなお金があるなら研究費をもっと増やして欲しいということになる。産学連携を進める人材を採用するためには、新しい仕組みの中から費用を獲得して人件費を捻出するということが必要だろうと思います。また、大学の単年度主義的な財務リテラシーも、大学の将来の活動にとっては考えなければいけないと思います。
 2番目は、スタートアップ支援ということについてです。オープンイノベーション機構のように産学が非常に密に連携しお互いの気心が知れるようになると、大学の持っている技術を活用したスタートアップの支援に関して、かなり大企業の理解が得られやすいのではないかと思います。オープンイノベーション機構の整備事業は、2023年度が最終年度なので、発展型の新規事業も御検討いただければと思います。
 最後になりますが、人材育成の議論がいろいろ出ています。これは一般的な話として申し上げたいのですが、育成する以上は、何を目指すのか。その資質・能力、つまりコンピテンシーを明確にした上で、育成を考えるべきだと思います。スタートアップの場合にしても、必要なのは単一のコンピテンシーではないはずです。複数のコンピテンシーを1人の人間が持つ場合も、またチームでやる場合もあると思いますが、なかなかコンピテンシーの話が出てきません。文科省の政策でコンピテンシーが出てくるのは、技術士制度です。IEA(国際エンジニアリング連合)が、技術者に必要な13のコンピテンシーを標準化していますが、これをブレークダウンして日本の技術士制度では8つのコンピテンシーを提示しています。ぜひ、人材育成についてはコンピテンシーの視点も考慮して進めていただければと思います。
 以上でございます。
【久世部会長】  高木委員、ありがとうございました。
 それでは、小池聡委員、よろしくお願いします。
【小池(聡)委員】  時間がないので、ちょっと手短に。
 まずは、ユニコーンとか、投資の規模とかの話があったんですけど、私、投資家の立場で言うと、やっぱりマーケットなんですよね。幾ら投資して、それがどのぐらいの期間でどういうリターンがあるかで、小さくたって、マルチプル、IRRが良ければ、その投資のほうがいいわけなので。結局、私もアメリカで投資やっていたときに山ほどビジネスプランを見ましたけれども、ノースアメリカではこのぐらい、ヨーロッパではこのぐらい、アジアではこのぐらい、日本ではこのぐらいのマーケットになるから投資しませんかと来るんですね。日本は、アメリカでこんなのがあります、だから日本もこのぐらいマーケットがあるんじゃないですかみたいな、どんどんシュリンクしていくわけです。ですから、最初からグローバルなマーケットをにらんだものであれば、投資というのは集まります。私は、技術は、日本はすごいと思うんです。だから、どういう技術かというだけじゃなくて、マーケットと、もう一つは誰がやるかなんですね。それこそ、イーロン・マスクにしても、ピーター・ティールにしても、ジャック・ドーシーにしても、みんなシリアルアントレプレナーで、皆さん、いきなり創業したわけではなくて、どこかのスタートアップで修業をしながらいろいろ経験してから、何度も起業している。ですから、いろいろ苦労し失敗した経験も含めて何度もチャレンジした経験のある人材がもっと必要です。どちらかというと大企業に長くいた人がリタイアして人材プールになって、その人がCXOをやってうまくいくかというと、僕は感覚的にはどうかなあと思うところもあって、技術をつくるとともにチャレンジしてマーケットをつくれる人というのをどんどん増やしていかなればならないと思っています。そのためには、そういうシリアルアントレプレナーを創出する環境とエコシステムが必要です。そういう人たちは、虎視眈々と、エンジェル投資家として少し投資して、本当にいい技術やビジネスだったら自分が入り込んでやるというのが海外では普通だと思うので、そういう場づくりというのが非常に大事じゃないかなというふうに思いました。
 あと、出口(エグジット)はIPOよりM&Aが主流なので、例えば、私がアメリカにいた頃は、シアトルはマイクロソフトに買ってもらうための会社が山ほどできていました。今は、生成AIブームもありますが、マイクロソフトやアマゾンの本社があるシアトルはAIスタートアップの中心地になっています。そういうふうな形で、特徴のある地域の場というのが出てくると思うんですね。日本は課題先進国と言われていて、日本の地域の課題というのはグローバルな課題につながっていくと思うので、そういうチャンスを、特徴を出して、グローバルな視点で地域を育てていくということが重要じゃないかなと思っています。
 以上です。
【久世部会長】  御意見、ありがとうございました。
 それでは、お待たせしました。山本委員、よろしくお願いします。
【山本委員】  いっぱいあるんですけれど、端的に言います。
 まず1点目は、佐々木委員がおっしゃったことが非常に重要だと思います。うまくいってない大学は、出願の予算がないので、いい発明が出たら企業に半分譲渡して、共願にして、企業に出願費用を持ってもらうということをやっています。これだとスタートアップは絶対生まれないですよね。なので、最初からスタートアップが想定されているのであれば、今回、JSTで予定しているようなところの予算で拾えるんですが、最初からはなかなかそれが見通せないというようなときには単願の出願予算を持てるということが非常に重要で、これが重要かなあというのが1点目です。
 2点目は、ここで言う産業連携の2ポツですが、ずっと前から言っているんですけど、エンジェル税制を法人適用まで拡大したほうがいいと思っています。何かというと、例えば、ペプチドリームは非常に成功したケースと言われていますが、あれは、まだ草創期だった頃に私がペプチドリームの社長を武田薬品の長谷川社長やアステラスの竹中会長とかにお引き合わせしているときに、海外のメガファーマがアライアンスと同時に出資をしたんですね。ノバルティスですが、ペプチドが何だか分からない人も、ノバルティスが出資しているのだったらいい会社だろうということで資金が集まるし、上場した後も、ペプチドが何だか分からなくても、ノバルティスが出資している会社はいい会社だろうということをみんな考えるので株を買って、ノバルティスはそれを売ると投資した金額以上のリターンが得られるというようなことで言うと、財務省は健全なので反対するのですが、大手企業が税金を払うために節税対策をするぐらいだったら、例えば、上限を決めてもいいので、10億円なら10億円とか、5年間なら5年間というふうに決めて、スタートアップに投資した金額は税金から控除されるというふうにすれば、結構、資金が集まりやすくなるのかなあと。
 あと、この2ポツのところで言うと、フィンランドのアールト大学なんかは、リスキリングプログラムで大学に帰ってきた人たちが良い技術に会うと、その人たちがアントレプレナーになるというような流れができています。そういうようなことも導入できるのではないかなということと、何よりも重要なのは、大学で研究のために購入した設備をスタートアップが安くレンタルできるみたいなことが必要かなと。ETHでスタートアップをつくりたいと言ったら、テクノパークチューリッヒが近くにあって、そこでは、翌日、オフィスが設けられて、ETHで使っていた研究設備がすごく安価な金額でレンタルできるんですね。日本だと研究のために購入した設備は研究のために使えという制約があるので、そこを変えればいいのかなあということがあります。
 4点目は、例えばユニコーンで言うと、私、おおといプリファードの人たちとお酒を飲んだんですけれど、彼らは彼らの悩みがあって、プリファードはどういうアライアンスで、どういう会社とだったら組みたいのか、こういうアライアンスだったら組みやすいですよというのをプレゼンしていくようなプログラムを私のほうでつくろうとしていて、そういうことを横展開できるようなことができると面白いのかなと。
 あと、産業連携の3ポツのところですが、大学技術移転協議会で私のやり方はずっと教えていて、要するに、発明のヒアリングから、弁理士さんへ発注して、どうやって事業化を考えるかというプログラムはやっていて、もう23年間やっているのですが、そういう意味ではノウハウの共有とかはいろいろとやっております。その点で言うと、多くの大学の人たちは特許出願のためのヒアリングをしていて、事業化のためのヒアリングはできてないというのがあるので、これをずっと共有し続けているというのが実態です。
 以上です。
【久世部会長】  山本委員、ありがとうございました。
 私の不手際で、産業連携、地域振興、人材育成の三つのパート別に議論する予定でしたが、時間が不足し、地域振興と人材育成について十分な議論ができませんでした。大変申し訳ありませんでした。
 今後の部会運営に向けて、より委員同士でのつっこんだ議論ができるような会議の進め方や形態についても、栗原部会長代理および事務局と検討しておきたいと考えています。
 それでは、事務局から御願いします。
【池田課長】  産地課長、池田です。今日はお時間が十分取れなくて、すみません。今、久世先生からもお話いただきましたので、進め方は相談させていただきたいと思います。
 あと、私のほうから一言申し上げると、この産学連携・地域振興、スタートアップ関係であれば、エコシステムをどうやってつくるかというところが多分、最終到達点かなと思っています。我々、御紹介した施策のみならず、ほかにも担当しているものがあったりするので、そういったものをからめて、どうやってエコシステム、特に我々が気にしているのは、人とか、CXOやCEOが不足しているということもありますし、そういう拠点事業をやっていく中では伴走支援をよりよくするためにどうしたらいいかといったところは、我々は今かなり悩んでいるところですので、そういったところも含めて、いろいろ御相談等させていただければと思っております。今日は時間が足りなかったので申し訳ございませんが、引き続き、よろしくお願いいたします。
【久世部会長】  池田課長、ありがとうございました。
事務局から、次回以降の予定についてお願いします。
【中出課長補佐】  事務的な連絡で恐縮でございます。先生方、議論をありがとうございました。
 本日の議事録につきましては、事務局から委員の皆様にメールで御確認いただいた後、文部科学省のホームページで公開をいたします。よろしくお願いいたします。
 また、次回でございますが、次回第8回は4月17日の10時から12時、9回目は夏頃ということで、また日程調整をさせていただければと思います。
 皆さん、いろいろと御意見、どうもありがとうございました。
 事務局からは、以上でございます。
【久世部会長】  ありがとうございました。
 これをもちまして、産業連携・地域振興部会を閉会といたします。本日は、活発に御議論いただき、ありがとうございました。
 
―― 了 ――

お問合せ先

科学技術・学術政策局産業連携・地域振興課

(科学技術・学術政策局産業連携・地域振興課)