産業連携・地域振興部会(第5回) 議事録

1.日時

令和5年1月25日(水曜日)15時~17時

2.場所

オンライン(Zoom)

3.議題

  1. 令和5年度予算案等について
  2. 地域の中核大学・特色ある研究大学の強化に向けて
  3. 大学発スタートアップへの支援に向けて
  4. その他

4.議事録

【須藤部会長】 それでは、時間となりましたので、ただいまから科学技術・学術審議会産業連携・地域振興部会を開催いたします。
本日は、お忙しい中、御出席いただきまして、ありがとうございます。
定数が20ですけど、今、何人入られているでしょうか。
【邉田課長補佐】 途中出席の方がいらっしゃいます。佐々木委員、途中から入られる予定ですが、今、出席が14です。
【須藤部会長】 10名以上が定足数となっておりますので、満たしていることを確認いたしました。
それでは、最初に事務局から留意事項等をお願いいたします。
【邉田課長補佐】 ありがとうございます。文部科学省科学技術・学術政策局産業連携・地域振興課課長補佐の邉田でございます。
皆様におかれましては、御多用中にもかかわらず御出席いただきまして、誠にありがとうございます。
本日は、事務局といたしまして、産業連携・地域振興課長の井上、同じく、拠点形成・地域振興室長の梅原、産業連携推進室長の篠原が参加してございます。どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、会議に先立ちまして、ウェブ会議を円滑に行う観点から、これから御留意いただきたいところについて申し上げさせていただきます。
マイクにつきましては、ハウリング等を防止する観点から、御発言時以外はミュートにしていただきますと幸いです。また、御発言時は、あらかじめお名前をおっしゃっていただければありがたいところでございます。
会議中、大変僣越ではございますけれども、各参加者の皆様のお名前の表示、ミュート設定等、事務局より設定切り替えさせていただく場合がございますので、あらかじめ御了承いただければと思います。
また、御意見、御質問等の際は、挙手ボタンを押していただければ大変助かります。
以上でございます。部会長、よろしくお願いします。
【須藤部会長】 それでは、本日の議事について、まず議題1としましては、令和5年度予算案等について、議題2としまして、地域の中核大学・特色ある研究大学の強化に向けて、議題3としまして、大学発スタートアップへの支援に向けての3つを予定しています。
また、本日は、第11期の部会としまして最後となりますので、最後に皆様から一言ずつ、次期の部会に向けて検討が必要と考えられることについてコメントをいただければと思っております。
それでは、まず議題1で、令和5年度予算案等について、事務局のほうから報告いただきます。よろしくお願いします。
【邉田課長補佐】 それでは、資料1に基づきまして、御説明をさせていただきます。令和5年度予算案等ということで、昨年12月に成立しました令和4年度第2次補正予算につきましても、併せて御報告をさせていただければと思います。また、最後に、御参考までに研究税制についても御報告をさせていただければと思ってございます。
まず、1枚目、地域中核・特色ある研究大学の振興、次の議題にもなってございますけれども、大きな予算が措置されておりますので、まずは、こちらについて簡単に触れて、次の議題でより詳しく御説明、御意見をいただければと思ってございます。夏にも少し説明させていただいたところでございますが、我が国の研究力の発展を牽引する大学群の形成をしていかないといけないということで、国際卓越研究大学と相乗的・相補的に連携をしながら、共に発展していくための研究大学の支援をするというところでございまして、国際卓越研究大学みたいに全てを整えていくということではないんですけれども、うまく特定分野等々、強みを伸ばしていって特色を伸ばしていって、社会課題の解決や研究力の向上に寄与していただこうというところの支援をさせていただくというものでございます。
こちら、令和4年度第2次補正予算として2,000億円、そのうち、黄色いところに書いておりますけれども、四角囲いさせていただいておりますが、1,498億円については基金を造成して対応すると。その他補正予算としては、下にあります502億円、これ施設整備でございますけれども、こちらについては基金ではなく、ワンショットの予算として措置があったというところでございます。
また、これについては、この黄色いところについては、来年度予算案におきましても1.8億円が措置されております。付随する事務費というふうにお考えいただければ結構でございます。事業内容でございますが、この黄色いところ、1,498億円の基金でございますけれども、令和4年度中に基金を造成いたしまして、当面5年間、基金より継続的に支援しようというところでございます。支援件数最大25件、申請ごとに複数大学でも連携しながら申請できるようにしてございますけれども、支援対象は見ていただいたとおり、強みのあるところについて伸ばしていただいて、しっかりと研究大学を発展していただくというような取組、そのために必要な経費等々について支援をするというものが黄色い事業。
それと併せまして、その下の502億円、同じく最大25件と書いておりますけれども、施設整備も併せて支援する予定でございまして、これについては、また改めて、議題2のところで詳しく御説明というところで考えてございます。
次に行ってください。続きまして、こちらも令和4年度第2次補正予算額1,500億円と書いてございますけれども、国際展開する大学発スタートアップの創出と高校生等へのアントレプレナーシップ教育の拡大というところで、こちらも、大きくは基金とそれ以外という形になってございます。大学発スタートアップ創出、抜本的強化をしていくために、昨年、スタートアップ育成5か年計画が立ち上がりましたけれども、その元年ということで、しっかりと予算を措置いただきまして、これも、基金部分について988億円でございますけれども、今年度中に基金を造成して、速やかに公募を始めていくというような事業になります。
事業内容ですが、黄色い部分、大学発スタートアップ創出の抜本的強化というところで、事業実施令和4年度に造成して原則5年間ということで支援していくものでございますが、大きく分けて2つ、ギャップファンドプログラムを新設と書いておりますけれども、今までもやっているところもございますので、抜本的に強化をして拡大をしていくというところが1つ。
その横、地域の中核大学等のスタートアップ創出体制の整備ということで、しっかり、大都市圏だけではなくてもっと地方の研究成果に目を向けて、しっかりとそれを掘り起こししましてスタートアップに向けていく、その上でエコシステム形成をしていくというところを支援していこうというものがついているところでございます。
その下でございますけれども、こちらは基金ではないですが、起業家層の拡大に向けたアントレ教育の高校生等への拡大ということで、EDGE-PRIME Initiative、10億円ということで書かせていただいておりますけれども、今までもJST-START事業で、大学生レベルのアントレプレナーシップ教育を展開してきたところでございますけれども、それをより、将来設計の入り口である高校生以下へ下げていって、その段階から興味を持っていただこうというような取組を展開していこうというふうに考えてございます。
その横の施設整備事業は、先ほどお伝えした502億円と重複しておりますので割愛させていただきます。
めくってください。ここからは、例年御説明している内容ですのでパパパッと御説明させていただきますけれども、共創の場形成支援ということでJST事業、こちら前年同額で措置されているところでございます。COI-NEXT、OPERAになります。OPRRAについては、これからクロージングに向けてというところでございますけれども、1枚めくっていただいていいですか。COI-NEXTなんですけれども、ちょっと大きな変更がございまして、来年度、いつも育成型と本格型で、育成型から取って本格型に昇格するものがあったり、本格型に直接応募して本格型で取ったりというような事業設計をしていたんですけれども、来年は本格型に直接応募するという枠の設定がなくなりまして、育成型から入っていただいて次に昇格していくという形になっていきます。
1枚めくってください。こちらがCOI-NEXTの拠点マップということで、令和4年度採択拠点が破線というか点線で囲っているところになります。これ御参考までですけれども全国津々浦々でこのような取組が進んでいるというところでございます。
また、同じくJST事業、START事業でございます。大学・エコシステム推進型とプロジェクト推進型で、拠点支援と、個別のスタートアップ創出のための研究支援というところでございますけれども、こちら、先ほど申し上げました基金との関係もありますが、前年と少し減っている額で措置ということでございますが、そこの基金の部分ともうまく連携しながら、もともとやっていたアントレプレナーシップ教育の大学部分であるとか、もともとやっていたその起業実証支援、ビジネスモデル検証支援という個々の事業についても、今取っている事業をしっかりと進めていくとともに、基金の中でどういうような支援をしていくかというところとも併せて、スタートアップの創出のための支援というのは実質的には拡大されるというところでございますけれども、事業としては見かけ上減っている形になります。
続いて、全国アントレプレナーシップ醸成促進事業は、夏のときも縷々御説明をしていろいろ御意見いただいたところでございますけれども、国庫債務負担行為で5年間でやっていく事業、淡々と前年同という形で続けさせていただくというところでございます。
続いて、JST事業の研究成果最適展開支援プログラム、A-STEPでございます。こちらも前年同額で措置されているところでございます。もともと、中に箱囲いしていますけれども、産学共同の育成型、本格型とありますが、このほかにトライアウトとして300万ぐらいの小さな支援をしていたんですけれども、そちら、スタートアップでついた基金で一体的にやろうというところでございまして、こちらはそれ以外のところで、前年同額の予算で措置されているところでございます。
続きまして、OI機構の整備、こちらは大分予算が減っているように見えるんですけれども、これまでやってきた5年間支援の採択したところが終わっていて、クロージングに向けて、来年度は、右下にあります採択機関4件について支援をするというところでございます。
続いて、地域イノベーション・エコシステム形成プログラム、こちらについても大きく減っているようになるんですけれども、継続分につきまして、しっかりとクロージングに向けて事業を展開していくというところでございます。
知財活用支援事業、こちらはJSTの知財活用支援事業でございますけれども、こちらについても前年同額でございまして、しっかりと進めていくと。知財の関係につきましては、スタートアップの基金のほうでもしっかり見ていかないといけないだろうというところで、実質的には拡大という形にはなろうかと思いますけれども、両輪でしっかり回していくために、前年同というところでございます。
つくばにあります研究交流センターも、前年同というところでございます。
最後、研究開発税制につきまして御報告、担当課ではないんですけれども、民間企業の研究開発投資を維持拡大するために、研究開発、試験研究費の何%か控除して結果につなげていこうという目的で、研究開発税制を整えておりますけれども、そのオープンイノベーション型、共同研究される場合に企業がどこと組むかで、20%から30%の控除がなされて、最大では法人税額の10%までということなんですけども、試験研究費の何%か控除されるいう取組でございます。
続いて、令和5年度税制改正大綱、これは簡単に申し上げますと、もともと現行制度のところですけど、大学発ベンチャーに限ったところでお伝えすると、認定された大学VC等が出資するものについては影響があった、適用がされたんですけれども、見直し後、そうでないところ、そうでないVC等の出資先であっても、一定要件を満たせば対象となるという形に拡大をされてございます。国内の既存企業とスタートアップのオープンイノベーションを加速させようということで範囲を拡大したというところでございます。
最後、先導的研究開発人材の活用育成ということで、博士人材の活躍を税制で後押ししますということも入っておりますので、後で見ていただければと思います。
以上でございます。
【須藤部会長】 説明どうもありがとうございました。それでは、何か質問等ありましたらお願いいたします。挙手ボタンを押していただければと思います。いかがでしょうか。高木委員。
【高木委員】 よろしいでしょうか。
【須藤部会長】 お願いします。
【高木委員】 高木です。御説明ありがとうございました。
1ページ目の地域中核・特色ある研究大学の振興についてですが、これは大変重要なことだと思います。国際卓越研究大学以外の、特に地方の大学への支援に十分配慮するという法律の付帯決議、そして国際卓越研究大学との相乗的・補完的な連携を行うというご説明がありました。
この特色ある研究大学の振興という政策と、地域の中核という位置づけが若干気になります。地域中核につきましては、地域イノベーション・エコシステムということで、10ページに別のプログラムがありますので、これらは明確に区別して進められるのがよろしいと思いました。
つまり、地域の大学の特色がその地域のニーズにマッチしているとは必ずしも限らないと思いますので、地方の大学でも、場合によっては遠く離れた企業との連携も必要かもしれません。例えば弘前大学の健康増進プロジェクトのように、地方の大学でありながら、大企業が多数参加する全国規模、オールジャパンの連携もあります。ぜひそういう形のものを目指していただくことを期待したいと思います。
以上でございます。
【須藤部会長】 ありがとうございました。何か、今のコメントに対して、文科省のほうから御発言ありますか。
【梅原室長】 ご指摘のとおり、その地域に閉じて取組を進めようという意図ではなく、日本全体、また国内外の課題解決に向けて、幅広いパートナーと連携していただくことを想定しております。そのような方向で制度設計していきたいと考えております。
【高木委員】 今、国内外とおっしゃられて、特に外国も、海外も視野に入れるということですので、これは大変すばらしいと思います。ぜひよろしくお願いいたします。
【須藤部会長】 ありがとうございました。それでは、続きまして、田中委員、お願いいたします。
【田中委員】 資料6P(地域中核・特色ある研究大学の振興)にある、黄色い部分(地域中核・特色ある研究大学強化促進事業)と青い部分(地域中核・特色ある研究大学の連携による産学官連携・共同研究の施設整備事業)の関係性を正しく理解したいので確認させてください。黄色の部分に、強みや特色ある研究、社会実装の拠点ということで、具体的にWPI、共創の場が例示されております。いずれも大きな予算を取っている社会実装拠点が対象である、として例示的に特定いるのかと思いました。一方の青い部分は、予算規模が大きい(平均20億円程度×最大25件)のですが、こちらも黄色い部分と同様に社会実装に重点を置いた予算措置なのか、あるいは必ずしもそうではないのか確認させてください。社会実装は文科省の重点政策の1つでもあり、正しく理解したく御意見いただけると助かります。
【梅原室長】 施設整備につきましては、例えばオープンイノベーションや、スタートアップ創出に向けたインキュベーションの施設ですとか、産学連携の目的で使っていただく施設を想定しております。
大学の研究力向上に関する構想として、国内外の課題解決や産学連携、地方創生、そういったところを目指す大学がいらっしゃって、その中で、こういったオープンイノベーションの施設整備事業も使いたいのであれば、基金事業と併せて御応募いただくというような立てつけかと思っております。
【田中委員】 よく理解できました。ありがとうございます。
【須藤部会長】 それでは、小池委員、お願いします。
【小池(聡)委員】 小池でございます。高校生のアントレ教育、非常に期待をしております。
私は文科省の別のプロジェクトでマイスター・ハイスクールというプロジェクトの委員をやっておりまして、前にも少しお話ししたことがあると思いますが、地域自治体と産業界と専門高校で、非常にいい取組ができているプログラムです。あともう一つ、経産省の未来の教室、STEAM教育の担当として、農業高校で、地域課題をテーマとしたアントレ教育を行い、チームをつくってピッチをさせるような取り組みもやりました。
地方の大学はその地域出身者ばかりではなく、別の地域から来た学生も多く、地域への関心が薄いケースもありますが、地元の高校生は、親とかおじいさんおばあさんとかからも、その地域の様々な課題を感じていて、地域の本質的な課題を理解しています。チームを作って地域の課題に関する新しいアイデアやチャレンジのビジネスプランをピッチさせたところ、私は長くベンチャーキャピタリストやっていましたので、いろんなビジネスプランを見ていますけれども、非常に目からうろこの、本当に地域課題の中核を捉えた素晴らしい事業計画が出てきたという経験をしました。
また、アントレプレナーシップは教科書的に教わるものではないと思っていまして、やはり実体験であるとかトライしている人の横でその姿を見ながらいろいろ学ぶことが非常に多いと思います。ですから、高校生だけではなく、小中学生まで遡ってもいいと思いますが、このアントレ教育が、机上の教育という形だけではなく、実際の現場に入り込んでいけるようなプログラムをぜひ取り入れていっていただきたいと思います。その観点からいうと、経産省などの他府省や、文科省でも、マイスター・ハイスクールを担当している初等中等教育局などとも連携を密に取っていただいて進めることを、ぜひお願いしたいと思います。
また、共創の場、COI-NEXTのほうも委員をやらせていただいておりますが、その中で、昨年、スタートアップ創出/成長促進支援推進委員会が発足し、多数の応募の中から4拠点を採択して、その拠点を中心にスタートアップ支援と社会実装実現に向けた体制・仕組みづくりの支援をこれからスタートするところです。そちらとも、うまく連携していただきたいと思います。
それともう一つは、COIでも若手支援の各種取り組みを行っていましたが、COI-NEXTにおいても、次世代を担う人材育成支援委員会が発足し、次世代を担う若手人材のスキル向上やキャリアパス形成につながる人材育成支援の提案公募を行っています。私も委員として、これから審査・採択に入っていくところですが、そちらもぜひ、全体の取組の中で連携をしていただけると非常にありがたいと思っております。
以上でございます。
【須藤部会長】 ありがとうございました。文科省のほうから何かありますか。
【篠原室長】 文科省産業連携推進室長の篠原と申します。
【須藤部会長】 お願いします。
【篠原室長】 今、小池先生からいただきました、アントレプレナーシップ教育の御指摘に関しては非常に同意するところです。教育という言葉だと、教える人と学ぶ人がいて一方向みたいなイメージを私たちも持ちがちですが、アントレプレナーシップ教育に関しては、互いに学ぶとか、実践的な取組、あるいはインタラクティブなやり取りを通して学ぶ、さらには振り返りやフィードバックをもらうようなプロセスも非常に大事になりますので、先行している事業の知見などもいただきながら取り組んでまいりたいと思います。私たちの取組に関して、また、資料3のところでも改めて説明させていただきます。
【梅原室長】 COI-NEXTとの連携につきましては、ご指摘のとおりですので、しっかりやっていきたいと思います。
【須藤部会長】 よろしくお願いします。
あとお二方、手が挙がっていますので、まず、部会長代理の栗原委員、お願いします。
【栗原部会長代理】 ありがとうございます。私も高校生等へのアントレプレナーシップ教育の拡大というところです。高校生向けのビジネスプランコンペティションを行っている金融機関がありまして、それを見ますと、起業はしませんが、いつ起業してもおかしくないし、これが契機となって数年後に起業して成功している人も多くいるので、この時期から、起業するということ、それによって何を解決するのかという問題意識を持たせる教育は本当に重要だなと思います。こういった制度ができることは大変いいと思います。
それで、10億円規模で、かつ1拠点1.2億で8拠点、大学等支援とありますが、、対象は大学なのでしょうか。むしろ高校なのではないかと思いますし、8拠点ではなく、全ての高校にこういうカリキュラムを入れるというようなことがあってもいいと思いますし、ある大学では、起業家の教育ではないのですが、その高校の近くの地方大学の研究に高校生が入って一緒にできるような、そういうことを自主的にやっているところもありますので、まさに、高校生と大学生と起業家というところが地域でつながるというような仕組みがつくれると良いと思います。そういう取り組みを見せられるような形で、この10億円の一部を使っていただければ良いと思います。
以上です。
【須藤部会長】 ありがとうございます。何か回答はありますか。
【篠原室長】 栗原委員の御質問に関してお答えしますと、大学を通じて高校生を対象にしたアントレ教育を支援するという枠組みになってございます。平成24年から、大学生までのアントレプレナーシップ教育というのを段階的に進めてまいりました。その流れも踏まえ、8つのエコシステム形成拠点に大学を中心としたプラットフォームをつくって、100を超える大学や自治体、あとは民間企業などと連携をしています。そのネットワークやノウハウを生かして、高校生等に対してもアントレプレナーシップ教育を広げていく形を考えていますので、大学を中心とした拠点への支援という形を今回は取らせていただきます。
高校との連携に関しては、高大連携の新しい形という側面も出てくるかもしれないと思っていますし、地域でいろいろな取組が行われているところも大事にしながら、広げていければと思っています。
【須藤部会長】 ありがとうございました。それでは、佐藤委員、お願いします。
【佐藤委員】 佐藤です。よろしくお願いします。高校生等へのアントレプレナーシップ教育の拡大というところで今、栗原先生がおっしゃっていたのは、本当に私もそうだなというふうに思って聞いていました。本当に大事なところだと思います。
一方で、私のほうで高校生のカリキュラムを結構やってみたところ、実は高校生たちが今すごく忙しいという現状がありまして、というのも、やっぱりもう高校1年生の段階から、理系文系に分かれてもう大学受験のために必死で準備をしている。留学とかも全て高校からみたいな形になっているので、高校生は本当に忙しいです。
そう考えたときに私は、もうちょっと早い段階から、特に中学生、最近中高一貫私立等が出てきていまして、そうなったときに一番時間とか、様々なことを吸収できる余力があるのは中学生の頃かなというふうに思っていて、これを高校生だけに閉じてしまうのはとてももったいないなというふうに思っていますので、今後中、学生までに拡大できるような施策等ができるといいなというふうに思っております。
また、小学校に関しては、最近、探究学習とかで、様々な世の中の課題を自分事で解決していくみたいな教育が行われていますので、そういった意味でも中学校だけがぽこっとちょっと空いちゃっているのかなという感じもしていますので、そういったところも御検討いただけたらうれしいです。
以上です。
【須藤部会長】 ありがとうございました。
【篠原室長】 皆さんすごく忙しいというのは高校生、さらには中学生、小学生、何か常態化しているようなこともあるようですが、そんな中でも、例えば短期集中の取組とか、探求的な学習の時間などの活用とか、拠点とも相談しながら考えていきたいと思います。
総合的な学習、探究的な学習というのは、小中高、新しいカリキュラムを通じて大事にされている部分で、中学校が空いているわけではないので、つながりを考えながら対応してまいりたいと思います。
【佐藤委員】 分かりました。非常に理解できました。ありがとうございました。
【須藤部会長】 長谷山先生、ちょっと時間が押しているんで短めにお願いします。
【長谷山委員】 地域中核・特色ある研究大学の振興の図で、左側の黄色い部分に、支援対象として、社会実装の拠点(WPI、共創の場等)を有すると書かれていますが、これは、社会実装はWPIや共創の場の実施大学だけでなく、独自展開している大学を排除しない、つまり、実施大学とそうでない大学に優劣をつけないという意味と理解してよろしいでしょうか。括弧書きは単なる例だと理解してよろしいでしょうか。
【梅原室長】 ありがとうございます。例示でございます。WPI、共創の場といったものを、いわゆる既に持たれている強み、特色、そういったものの拠点の例示として使用しております。それで等として書かせていただいておりますので、ほかの事業のお金を取られている場合もあるでしょうし、また、大学独自に様々にリソースを固めて拠点形成されている例もあろうかと思いますので、そういったものも併せて審査していく、そのような方針でおります。
【長谷山委員】 既存の事業の採択が必要とされていて、参加できない条件があったのでは、多様性に欠け、地域中核大学をつくっても既存事業の後継となってしまっては意味がないと思います。より広く、より多様な挑戦ができる形にしていただきたいと思います 以上です。
【須藤部会長】 ありがとうございました。この辺で議題の1はまとめたいと思いますけれども、いずれにしても、今までかなりいろんな文科省の施策が多くあって、非常に多岐にわたり過ぎているなという気がしていたんですけど、ここ一、二年、共創の場とか、ここにある地域中核とか、大きなプロジェクトにまとめようとしていただいているということで、いいことだなと思います。OPERAとかオープンイノベーション機構の推進とか、それから地域イノベーション・エコシステムとか、まだまだ続いていますけども、それを新規採用しないで、うまくこの大きなプロジェクトの中につないでいこうという施策を文科省がやっていただいていますので、ぜひ、この辺はうまく統合して、実際にある大学あるいは企業が負担にならないようにうまくまとめていっていただければと思います。どうもありがとうございました。
それでは、次の議題2に移りたいと思います。先ほどから議論になっていますけども、地域の中核大学・特色ある研究大学強化に向けてについての詳しい報告でございます。梅原室長のほうから説明があると思います。よろしくお願いします。
【梅原室長】 研究大学を取り巻く現状について、資料にありますように、日本の研究大学においては、特定分野では強みや特色を有する大学が、論文指標で見ましても、それぞれのグループに多数存在しております。
一方で、第1グループと第3グループの大学を比較しますと、研究時間という面で、規模が小さくなれば研究に充てる時間が短くなっていることや、第2、第3グループの大学が欧米の主要国と比べて論文数で見劣りがするという状況があり、非常に課題があるというふうに認識しております。
昨年2月に総合振興パッケージが取りまとめられました。大学が自身の強み、特色、そういったものを伸ばす戦略的な経営を展開することで、ポテンシャルを抜本的に強化していただく、それで、大学がまず変わる。また、大学がそういったポテンシャルを使って、さらに、総合知をフル活用して主体的に社会に貢献していく、それらを通じて社会が変わっていく、そういった姿をこのパッケージで目指しておりまして、3本の柱として、「大学自身の取組の強化」、「繋ぐ仕組みの強化」、「地域社会における大学の活躍の促進」を掲げ、様々な施策を盛り込んで総合的に政府で支援しております。
研究大学に対する支援について、世界と伍する研究大学については、大学ファンドの運用益による支援ということで現在、国際卓越研究大学の公募が開始されております。
また、特定分野の研究でトップレベルにある大学や、産学連携、地方創生に取り組んでいる大学、また、それぞれの要素を併せ持つ大学につきましては、「地域中核・特色ある研究大学総合振興パッケージ」で一体的に取り組むこととしております。
その上で、今後、特色ある強みを持ち、成長する研究大学群を我が国としてつくっていく際、日本全体の研究力の発展を牽引するシステムをいかに構築していくかという点において、大学ファンドの支援対象大学と、地域中核・特色ある研究大学が車の両輪として連携し、発展していく姿を描いております。
また、地域中核・特色ある研究大学については、さらに魅力ある拠点づくりを進めていただいて、それを核に戦略的な経営を進め、大学の魅力ある活動を広げていただきたい、そのように考えております。
令和4年度の補正予算、来年度予算案を踏まえた今後の総合振興パッケージの方向性に関して、研究大学向けの支援として3つのレイヤーを資料に書かせていただいております。
緑の部分につきましては、大学の運営費交付金、また私学助成といった基盤的活動をしっかり引き続き強化していくということ。また、青の部分は、大学や研究領域を超えた共同研究システムをしっかり構築していくこと。そして、赤の部分は、個々の大学が持つ研究の強みの最大化に向けて、現在、様々な施策に取り組んでおるところでございます。
赤の部分の中の枠囲いについて、まずは、研究大学に特色ある拠点づくりをしていただくために、WPIや共創の場で新規公募を引き続き行っていきます。WPIにつきましては、より小さな大学にも使っていただきやすいように、従来の7割程度の規模要件で申請ができるといったWPI COREを新たに設けたり、共創の場も育成型を強化したりといった方向で、しっかり地域中核・特色ある研究大学の取組を支援していきたいと考えております。
それに加えて、大学の拠点の特色や強みを基にして、さらに横展開して、資料の2つの矢印にあるような、基礎研究で世界のエクセレンスを目指す方向性ですとか、その地域、また、国内外の課題解決、そういった方向で大学の取組をレベルアップさせる、そういった経営戦略の下で環境整備を行っていくというようなものについて、先ほど説明のありました2,000億の基金等を用いまして、強力にバックアップしていきたいと考えております。
2つの事業から成っておりまして、1,500億円の基金部分と、500億円の施設整備部分がございます。現在、有識者会議で制度設計の議論を行っていただいておりますが、1,500億円の基金部分については、日本学術振興会に基金を造成して、JSPSから公募・採択を行うことを想定しております。
また、施設整備は、文科省の直接執行で公募・採択を行う予定です。基金は5年間の予算措置で、1提案当たり最大55億円、25件程度を想定しております。その55億円の内訳は、一つには人件費、調査費などに幅広く使っていただく環境整備のお金として25億円。また、研究機器等の設備費として30億円を想定しております。
施設整備につきましては、1提案当たり最大20億円で25件程度を想定しておりますが、オープンイノベーションや、スタートアップ創出に向けたインキュベーション、そういった産学連携を目的としており、それが大学の研究力向上戦略に合致する場合は、こちらも併せて申請していただくことが可能になると考えております。
制度設計につきましては、文科省のほうで事業設計委員会を設けまして、公募に向けた基本方針や、公募要領に盛り込むべき事項について3月末を目途に取りまとめ、文科大臣決定としてまとめたいと考えております。それを踏まえて、次にJSPSのほうで事業推進委員会を設置して、公募要領の作成、公募、採択といった事務を行っていく予定です。
今後のスケジュールとしては、文部科学省の事業設計委員会で3月末までに事業の基本方針を定め、JSPSに引き継ぎたいと考えております。
JSPSではこの基金について、早ければ5月ぐらいを目標に公募に入り、年内に結果を公表するようなところを想定しております。
また、施設整備は経済対策の補正予算になりますので、年度内に公募をかける考えでおります。2月頃を目途に公募を開始し、できるだけ早く、来年度の頭に、大学に交付したいと考えております。
本件の報告については、以上でございます。よろしくお願いします。
【須藤部会長】 ありがとうございました。それでは、ただいまの御説明に対しまして、御質問、御意見等ありましたらお願いします。佐々木委員、お願いします。
【佐々木委員】 九大の佐々木です。まずは、総合振興パッケージを御検討いただきましてありがとうございました。アカデミアから見ますと、国際卓越研究大学の話が出て、それ以外の大学はほとんど支援がないのかということで、多くの大学さん非常に途方に暮れていたと思いますので、バランスよく2つの事業が立ち上がったということは、皆さん方に感謝申し上げたいと思います。
他方、国際卓越研究大学のほうは、報道でいいますと40大学ぐらいが少なくとも検討していると言われておりますし、ということになると、例えば40ぐらいの大学、数十大学は、国際卓越研究大学を目指しますと、ある資料では申請書では宣言しておきながら、他方、あの地域、中核大学とか、特色ある研究大学も目指しますみたいな申請もすることになりまして、そうすると大学としては、ある意味、自己矛盾しているような書類を申請するようなことになりかねないと思います。なので、御質問は、例えば、国際卓越のほうに申請していた大学も(音声途切れ)もちろん地域の中核とか特色は(音声途切れ)その両方に申請していいのかどうかというのが、文科省さんの中でどういう整理をされているのかなというのをぜひお聞きしたいと思いました。
私からの質問は以上です。
【須藤部会長】 文科省のほうから回答をお願いします。
【梅原室長】 基本的には、国際卓越研究大学に申請された大学については、この地域中核・特色ある研究大学の基金には申請いただけないと。要するに、国費の両取りにならないように、両方は申請できないという整理で考えたいと思います。
【佐々木委員】 分かりました。ありがとうございます。
【須藤部会長】 久世委員、お願いします。
【久世委員】 梅原さん、いつも大変お世話になっております。確認ですが、共創の場形成支援プログラムが掲載されていたチャートを見せていただけますか。地域共創分野は、地域の特色や強みを活用し、地域の課題を解決することが目標のひとつになっています。最終的には、強力に世界をリードするグローバル拠点になることを目標にしていると理解しています。その過程で、世界中の強力な人材も拠点活動に参画してもらえますし、グローバルに活躍できる人材も育ちます。その理解でよろしいでしょうか。資料に、地域の課題を解くということのみ記載されていたので、質問させていただきました。
【梅原室長】 共創の場の目的自体はご指摘のとおりですし、基金のほうも必ずしも地域に閉じる必要はないと考えます。
【久世委員】 資料の最初に大学の4つのカテゴリー分類がありました。ここで、共創分野と地域共創分野は、下の2つのカテゴリーに相当すると思われます。この2つのカテゴリーに分類される大学のあるべき姿を、どのように考えられているのでしょうか。
【梅原室長】 大学が目指すべきゴールはそれぞれ多様だと思うんですが、まさに共創の場事業の地域共創分野で地域課題に向き合っておられるような大学は、そういったことを突き詰められるのかもしれません。また、その拠点のグッドプラクティスを他の分野に広げることや、社会実装に当たって、例えば知財の機能が弱いというときには、専門人材を雇ったり、大学間連携によって機能を補っていただいたりとか、大学の経営戦略の中で共創の場で培った取組を広げていくような、そういったことをこの基金でやっていただきたいと考えております。
また、グローバルな方向を目指す大学は、例えば海外の人材を配置するための人件費に使っていただくとか、また、新しい分野を取り込むために大学間連携で新しい研究所をつくるとか、そういったことを戦略的に学長レベルの視点で描いていただいて、お金を使っていただければというふうに考えております。
【久世委員】 なるほど。世界トップレベルの研究拠点として、大学自体がそういう機能を持ってもいいし、4番目のカテゴリーのように、大学自体は、その機能を持たないかわりに、トップレベルの研究拠点と連携することを示唆しているわけですね。
【梅原室長】 そうですね。自分にないものはぜひ他から持ってきていただいて、それは自分の大学に連れてくる場合もあるでしょうし、また、他の大学の機能をそのままお借りする場合もあるでしょうし、まさに共創の場と考え方はそれほど遠くないと考えております。
【久世委員】 大変よく分かりました。ありがとうございます。
【須藤部会長】 それでは、荒金委員、お願いします。
【荒金委員】 ありがとうございます。皆さんいつもお世話になっております。すみません。先ほどの資料の5ページ、お願いできますでしょうか。先ほど別の委員の方の御質問にもありましたが、この中でWPIとか、共創の場で採択されているとか、そこは特徴があるということの例の一つとして挙げられていて、これに限定するものではないというお話がありましたが、ここの、今回のパッケージというんですか、プロジェクトで最も大事なのは、ここの矢印がこの上と右に出ておりまして、より特色ある研究を国際展開するためにはどういうふうにしたらいいかとか、または地域に、右側に伸ばして、国内に限ってでもいいけども、その地域でより課題解決をするためにどうしたらいいかということに向けた、まさにおっしゃったその経営戦略を各大学から御提案いただき、それをその経営戦略が非常にリーズナブルかということを採択する、そういうプログラムということで、研究ネタのよしあしとか、地方に根差しているかとか、そういうことを見るものではないという認識と理解でよろしいでしょうか。
【梅原室長】 まさにそのとおりです。今回の事業はあくまで研究事業でも拠点事業でもありませんので、大学の研究力向上にむけた経営戦略を支援するための基金、そういったふうに御理解いただければと思います。
【荒金委員】 そうなりますと、例えば先ほどおっしゃった、人をどうするかとか組織をどうするかとか、他大学との連携も研究テーマを一緒にやるというんじゃなくて、どういう連携の仕方を経営的な観点でやるかとか、そういうことを非常に期待されているプログラムだというふうなことで理解いたします。よろしいですね。ありがとうございます。
【須藤部会長】 ありがとうございました。すみません。ちょっと時間押しているので、北岡先生、ちょっと短めに。西村さん、後で、後半に少しありますので、そこでお願いします。
【北岡委員】 すみません。ありがとうございます。私も一言で、今、荒金さんからもお話があったように、やはり地方ってなかなか人が集まらないというのが一番の課題で、確かにいい研究とか、いい先生は確かにいるんだけども、やっぱりなかなか人が集まらないというのが課題だなと、私、ふだんから感じています。
そういった意味で、ある意味文科省さんが出向するぐらいの勢いで、やっぱり今より、自分たちが考えているこの今議論しているコンセプトをぜひ採択されたところに継承するということも、十分考えていただきながら進めていただければというふうに思います。
私からは以上です。
【梅原室長】 資料の左に青い矢印を引いておりまして、一気通貫の伴走支援体制の構築と書いておりますが、この事業につきましては、お金を渡して終わりということではなくて、文部科学省もJSPSもしっかり、大学の課題に向き合って膝を突き合わせて一緒に考えていくということを考えております。COI-NEXTでも今やっていただいておりますけども、良いところを継承しながらやっていきたいと考えております。
【須藤部会長】 ありがとうございました。すみません。まだまだあると思いますけど、もう一度、後半に次期のこの部会に向けての御意見をお聞きする機会ありますので、そこでいただきたいと思います。
それでは、次の話題、議題の3に移りたいと思います。大学発スタートアップへの支援に向けてにつきまして、篠原室長のほうからお願いします。
【篠原室長】 本日は、大学発スタートアップ支援の方針である政府のスタートアップ5か年計画と、それに伴う私たちの取組に関して紹介をさせていただきます。
スタートアップ5か年計画は、昨年11月にまとめられました。2022年からの5年間の取組と5年後の達成目標を定めているものです。計画の実施により投資額を10倍にするとか、メンターによる若手人材の育成をJSTとかJAXAなどでも取り組んでいくとか、
スタートアップ関連部分では、全国各地の研究大学で起業が積極的に進むような運動を展開するとか、大学発の研究成果の事業化の支援に向けて5年間分1,000億円の基金をJSTに新規造成といったようなことが書かれております。基金は、議題1、資料1の2ページ目でも説明差し上げたもので、988億円の基金として予算化されています。そのほか、大学へのインキュベーション施設の整備が500億円ほど、高校生以下へのアントレプレナーシップの教育の拡大について、記載があります。アントレプレナーシップ教育に関しては、起業家を講師に招いてのプログラムの新設や、総合的学習の授業を活用した教育機会の実施の拡大、とがった取組を既にやっているような高校であるとか、あとは突出した能力を有する小中高生に対する支援といったものも複合的に考えていきたいと考えています。
次は、知的財産に関して、スタートアップのために株式・新株予約権の活用など、スタートアップが成長しやすい環境の整備について検討するというもの、あとは大学による海外への特許出願支援の強化といったものが挙げられています。施策の説明については、ポイントを絞らせていただきます。資料2、6ページの黄色の部分、「大学発スタートアップ創出の抜本的強化」の中の左側の白丸にあるギャップファンドプログラムの新設の部分は、海外への展開、国際市場への展開を目指すスタートアップの創出というところがポイントになってまいります。
次の7ページ目の資料が、988億円の基金に関する現在の検討状況について報告をさせていただくための資料です。上段の青い四角囲みの中の1点目と2点目は、これまで取り組んできたスタートアップ・エコシステム拠点都市への支援をベースに取り組んでまいりますが、事業の進捗管理や資源配分の最適化に向けて、ガバニングボードの設置によりしっかりとした事業運営体制を設け、単なるばらまきにならないようにきちんとハンドルしていくという趣旨ます。 3点目は、スタートアップ創出に向けて進める研究開発案件を全国で広く発掘するためのスキームを構築するとともに、国際展開を目指す大型案件の支援の強化に取り組むということです。
実施スキームのⅠは、JSTにガバニングボードを置いて、基本方針の策定、進捗状況の管理、そして事業全体を通じて共通して取り組むべき案件、例えば情報の集約や発信などを実施していくことを想定しています。実施スキームⅡは、「ハブ&スポークの構築による全国的な案件発掘と支援」とあります。ひとつは、他府省の拠点事業も含めて、スタートアップ創出に向けて研究開発案件を発掘・支援するような体制を、拠点都市の大学を中心に構築していきたいと考えています。もうひとつは、拠点都市に含まれない地域、15県ほどございますが、そういったところをスポークと表しています。拠点都市(ハブ)から地域(スポーク)へとノウハウを展開して、地域の支援体制も強化していくということを想定しています。現状カバーできていない地域や、拠点都市内で相当程度の案件が見込まれるようなエリアを新たに採択して、応援していくということを考えています。そして、実施スキームⅢは、国際展開を目指す案件の大型支援ということで、ポテンシャルの高い技術シーズについて、事業プロモーターのマネジメントを入れて、国際市場への挑戦を目指した事業戦略・知財戦略をつくることで、出口を見据えた事業化を目指した研究開発を推進していくというところを考えています。
5年間の基金なので、複数年を見越して、支援の規模に関しても、スキームⅡとスキームⅢでめり張りをつけながら取り組んでいきたいと考えています。
スケジュールは、今年度中にJSTに基金を造成した上で、年度明けから公募・審査・採択と進めたいと思います。こちらのスケジュールは、お伝えできるタイミングになりましたら速やかにお知らせします。
8ページ目の資料は、参考資料として簡単に触れさせていただきます。内閣府が定めている星型のスタートアップ・エコシステム拠点都市にかぶせる形で、文部科学省が大学を支援するためのプラットフォームを置いています。スタートアップ・エコシステム拠点都市は全部で8つありますが、九州は2拠点ありますので、プラットフォームは一つにまとめて、全国7か所支援しているという枠組みになっています。アントレプレナーシップ教育に関しても、このプラットフォームに対しての支援を通じて、広げていくことを考えております。
10ページ目の資料で、「①拠点都市を中心とした面的展開」と書いている部分では、資料3、6ページ目の左下にある10億円について、スタートアップ・エコシステム拠点都市に重ねたプラットフォームを通じて支援をしてまいります。これ以外でも、グローバルサイエンスキャンパスジュニアドクター育成塾やスーパーサイエンスハイスクール、先ほどお話のありましたマイスター・ハイスクールといった先端的な取組をやっているところに関して、アントレプレナーシップ教育も積極的に取り組んでいただくことを考えています。また、各学校へのアントレ教育の支援に関し、起業家を学校に派遣するという取組を中小企業庁がやっていますので、連携しながら、全国的な取組を進めていくということを考えています。ポイントとしては、学校教育ももちろん、学校教育以外の取組に関しても広く応援をすることで、できるだけたくさんの機会をつくっていくことを考えています。
11ページ目は、高校生以下のアントレプレナーシップ教育を全国的にやるという機運を国としてつくっていくため、起業家教育推進大使という旗振り役を10名任命させていただきました。昨日、任命式を行ったところです。この推進大使の方々は、起業家の方々、経済団体の代表の方々、あとはスタートアップを支援する団体の方々など幅広く任命させていただいています。今後、イベントへの御登板や広報活動などにおいて御協力をいただくという予定になっています。
長くなりましたが、説明は以上になります。
【須藤部会長】 どうも説明ありがとうございました。それでは、ただいまの御説明に対しまして、御意見、御質問等ありましたらお願いします。まず、山本委員、お願いします。
【山本委員】 いわゆるギャップファンドというのは非常に重要で、欧米ではもうスタートアップはギャップファンドから生まれているというのを言っても過言ではないぐらいなので、これは非常に重要かなと思っています。昨日も実は私、某超大手企業のCVCの方とお会いしていたんですが、やっぱりCVCで投資をしても、試作品を作るとかそういうのは事業部からお金持ってくるしかないんですが、なかなか事業部が面倒くさがるというか、プライオリティーが下がるというのがあって、そこで、このギャップファンドが使えたらということはあるので、何が申し上げたいかというと、VCやCVCと連携することができればより効果的だと思います。
重要なのは、研究費に使われないことです。ギャップファンドは研究費ではないので。なので、アメリカのように、1年目でこの部分まで行ってくださいというマイルストーンを決めて、それがクリアしたら2年目は、じゃあこのマイルストーンをクリアしてくださいというふうに、だんだんと金額と支援が上がっていくような形の設定が必要で、いわゆる申請書みたいな審査みたいなのは絶対やめてほしくて、そのマイルストーンを誰が決めるのかというのをCVCやVCの人が絡んでくると、より具体的になるのかなということが1点。
2点目は、この取組の中で、私は、非常に大きく抜けているのが、チームビルディングプログラムがないということだと思います。大学にはかなり有効な研究シーズはあります。例えば沖縄県は県のギャップファンドを出していて、そこからもスタートアップが、琉球大学とか沖縄高専といったところから生まれてくるので、かなりシーズはあるなということは感覚として持っています。
ただ、技術がよくてもチームが駄目で失敗するベンチャーのほうが、技術が駄目で失敗するベンチャーより圧倒的に多いんです。ということは、どういうチームをつくるのかということが非常に肝になるので、もちろん高校生の教育もいいんですけれど、ちょっと育つまで時間がかかるんで、それを考えると、今できるスタートアップについて、どういうチームづくりをするのかということを考えないといけない。ただ、ベンチャーキャピタルはチームビルディングっていいますけど、あれは採用とポジショニングを決めただけみたいなベンチャーキャピタルもあるんで、この人はCEO、この人はCTO、この人はCFOと決めているだけで、野球で言えば、あなたはピッチャー、あなたはセンター、あなたはキャッチャーと決めても、どういうチームになるかどうか決めてないと、何か問題が起こったときに、ぼろぼろになるということがあります。
今、マスメディアとかでも注目されているベンチャーとかでも、チームが駄目で失敗するようなベンチャーを私幾つも知っているので、これを支援するようなプログラムを検討いただければ、今から言ってももう遅いのかもしれませんが、もし可能性があるのであれば考えていただければと思っております。具体的には私、もう無料で提供してもいいですけど、チームビルディングのプログラムを持っていて、神戸市とかいろんなところで既に実施していて、非常に喜んではいただいております。
以上です。
【須藤部会長】 回答ありますか。
【篠原室長】 マイルストーンの設定に関して、CVC、VCとしっかりつくっていく必要があるという御指摘は、費用対効果等の面からも重要だと思いますので、しっかり検討していきたいと思います。
チームビルディングのプログラムに関する御指摘については、今まで、拠点でもいろいろ取り組んではいると思いますが、改善なども今後の検討課題としてあるかもしれません。チームビルディングのプログラムを無料で御提供いただけるというお話に関しても、必要に応じて御相談させていただければと思います。
【須藤部会長】 ありがとうございました。それでは、江戸川委員、お願いします。
【江戸川委員】 ありがとうございます。江戸川でございます。私もこのページ、ギャップファンドに関連してのコメントになりますけれども、まずは、こういった事業が基金で5年という長期にわたって支援できるようになったというのは非常によかったと思います。それから、地域でのエコシステム形成と、大型の案件を支援する取組、特にグローバル展開を意識した大型案件ということだと思いますが、これはしっかり分けて、かつ、役割分担というんですか、連携ができるように設計していただいているように見えますので、その点は期待していたとおりで、非常にいい形だと思っております。
その上で2点コメントしたいのですけれども、まず、右側のこの大型案件のほうの事業プロモーターですけれども、現状のSTARTのプロジェクト推進型ですとVCが事業プロモーターになっていると思いますが、日本のベンチャーエコシステムの今の課題というのは、START事業を始めたときとは違って、かなりベンチャーエコシステムが育ってきているというか質も高まってきているんだけれども、アメリカとか中国との比較で見たときに、その成長率というか発展のスピードが遅いというところに課題があると思うのです。
そう考えたときに、事業プロモーターに卒業していくようなところが出てきたりとか、だんだんもうここは育ったのではないかという認識が出てきたりしている面が、ここ数年の政策を見ているとあるようなのですが、むしろ我が国において強いと思われているプレーヤーがもっと強くなるようにサポートしなきゃいけない。そのため、もっとこのSTART事業をVCが活用したいと思うようにサポートしていくというか、この事業自体の中身も変えていく必要があるんじゃないかというのが私の見方です。
また、最近、AMEDとかNEDOとか、ディープテック、ライフサイエンスのスタートアップをつくった後の、いわゆるVCの投資にレバレッジ効果を効かせるような補助金というのが充実してきているので、早く会社を立ち上げてそちらのお金を取りに行ったほうがいいのではないかというふうに思える環境になっているんです。大学発ベンチャーは、かつて会社を立ち上げるのが早過ぎてうまくいかなかったという反省の下にSTART事業が始まっているという側面もありますので、しっかり会社をつくる前の支援も、見劣りしないぐらいの金額、採択率の高さがあるように運用してもらいたいなと思います。その辺りのこれからの具体的な施策について期待しておりますので、よろしくお願いします。
以上です。
【須藤部会長】 篠原室長、何かありますか。
【篠原室長】 御指摘ありがとうございます。会社をつくる前の支援という部分、大学発スタートアップの特色も見ながら考えていきたいと思います。
【鈴木専門官】 補足です。
今、江戸川先生御指摘いただいた点は、大変重要な点だと理解しておりまして、プロモーターの今後の関わり方も含めて、今の詳細な事業設計を進めている中で、ぜひ見直してまいりたいと思っています。
また、早く起業し過ぎてしまったという点についても、既存の起業実証支援は3,000万掛ける3年といった規模ですが、今回は、それよりも大型の支援ができるような資金もございますので、しっかり強い、大きなスタートアップを起業前にしっかり育てられるような形で運用したいと考えています。
【江戸川委員】 ありがとうございます。
【須藤部会長】 ありがとうございました。次は、高橋委員、お願いします。
【高橋委員】 キャンパスクリエイトの高橋です。私もこのページについて2つ御意見申し上げたいと思います。
1つは、皆さんもおっしゃられた、右側の大型の個別案件ごとの支援というところで、皆さんもおっしゃられた事業プロモーターがどこまでやるのかなというところは、今私どもいろんな大学のシーズ発掘をお手伝いして、スタートアップの種になるようなシーズを発掘したいや、やる気のある先生を発掘したいというような大学の御要望に合わせて調査をすることが多いんですけれども、先生方からよく言われるのが、こういう事業プロモーターの方が、ずっと支援してくれているわけじゃなくていいところだけ御支援して離れていくというところで、信用ならないというんじゃないですけど、本当に一緒にやるという気にならないというようなお声がちらほら出る。そこはちょっと、うまく埋めるといいなと思うところ。
あともう一つは、真ん中のところです。新たな案件発掘のところで、私どもも発掘事業をやっていて、いいシーズなんですけれども、例えばですが、知財の知識が全くなくて、もう論文ばんばん出されてしまっていて、ここから知財戦略をつくるのかと思ってしまうようなシーズがあったり、研究の中身はいいんだけれども起業をするような意識が全くない、もしくはあったとしても少し方向がずれてたりとかというような先生方もかなりいらっしゃって、そこは何かうまく、この右の図にあるような、支援人材なのか、もしくは経営人材と研究者のペアリングを早い段階から意識づけるような会話の場というか、少しフランクな情報発信の場が、研究者とこういった取組の中であるといいのかなというふうに思いました。
以上です。
【篠原室長】 今御指摘いただいたように、大学側のキャパシティーとか意識を上げていく必要性もあるかと思います。支援人材、経営人材といったところに関しては、大学が自前で育てる、あるいは外から連れてくる、いろいろな方策あるかと思いますけれども、例えば経産省は経営人材のマッチング事業を来年度予定しているということなので、経産省と連携して大学に情報発信しながら対応していきたいと思います。
【鈴木専門官】 御指摘いただいた事業プロモーター、そのおいしいところだけ持っていっているんじゃないかという御懸念につきましては、恐らくプロモーターではないものの大学さんとしっかり連携しているようなVCさんもいらっしゃるんじゃないかと思っておりまして、基金事業を新しく考えていく中で、今後事業プロモーターにどういう役割を担っていただくのがいいか、どういう方に入っていただくのがいいかというところを含めて、しっかり考えていきたいと思っています。
また、特に研究重視をされている先生方にしてみると、やはりどうしても論文を出したいといった方も多くいらっしゃるということは認識しております。そういったところについては、しっかり取り組まれている大きな大学ですと、その辺りのノウハウがしっかりたまっているところもありますので、そういったところから、例えば地方の、まだこれからしっかり取り組んでいただかないといけない大学に対してノウハウを継承していっていただいたりとか、そういったことをこの仕組みの中にしっかり取り込んでいきたいと思っています。
【高橋委員】 ありがとうございます。
【須藤部会長】 どうもありがとうございました。
【山本委員】 すみません。さっきちょっと1点、言い忘れたこと、いいですか。
【須藤部会長】 どうぞ、山本委員。
【山本委員】 すみません。すぐ終わります。ギャップファンドですが、研究費ではないので、丸々民間企業に委託で出せるようにしてほしいんです。そのほうがよっぽどスタートアップに対して、そこで選んできた試作品の信頼性とかデータの信頼性も高いので、スタートアップにつながりやすいので、もう民間にそのままお金を出して試作品を作らせるとか、データを取るとかということもやれるような柔軟性を持ってほしいと思っています。各大学でテクニシャンを採用して、何か一からやるみたいなことをやっていたら多分時間的に遅くなるということだけです。
以上です。
【須藤部会長】 篠原室長……。
【鈴木専門官】 鈴木からお答えさせていただきます。非常に重要な御指摘でして、現行の事業でもある程度、大学の先生方がしっかり要件を定めて、データの取得ですとか試作品の作成、外注、そういったことができるようにしていますので、そういうところを引き続きどんどん積極的にやっていいということは、大学なり拠点のほうにもメッセージとして出していきたいと思っています。
【須藤部会長】 ありがとうございました。それでは、この議題の質疑応答はここでおしまいにしたいと思います。
それと、まだ残り30分ぐらいありますので、最後の話題ですけども、御承知のように第11期のこの産業連携・地域振興部会、今日が最後の部会になります。令和5年度からまた新たなメンバーでスタートするわけですけれども、その次期12期の部会に向けて、こんなことを議論したほうがいいんじゃないかというようなことをぜひお伺いしたいと思います。別に次期に向けてではなくても、今の問題点でもいいと思うのですけれども、ぜひ本日、この11期としては最終ですので、皆様の御意見をお聞かせ願いたいと思います。
まず、西村委員、先ほど途中というか、手が挙がっていて遮ってしまいましたので、まず西村委員からお願いします。
【西村委員】 ありがとうございます。そうですか。
【須藤部会長】 さっきのお話でもいいです。
【西村委員】 分かりました。いろんな施策が出て、私も長い間こういうのを見させていただいて、あとCOI-NEXTなんかも関わらせてもらって、とてもこう、ちょっと言い方はあれですが、すごく丁寧に制度設計された施策が出てきているなというのは感じているところと、今回、お金の面、要は予算の面でも相当大型になってきて、かなり量的にはすごく充実したかなと思うんですけども、ちょっと逆に危惧をしていて、これで本当に結果が出るのかなというのが最も気になるところです。
先ほどの山本さんのお話で、例えばギャップファンドはちゃんとそういうふうに使わなきゃいけないんだけど研究費に使っちゃうとか、チームビルディングがちゃんとなかったらできませんよねとか。あと、事業プロモーターが何となくやるんだけども、最後までやってないから出来上がらないとか。結局、質の管理がどうやってやるんだろうな、特にアウトプットの質の管理というのがますます重要になってくるし、あとは中途半端なものでつくり上げたものを企業にしても全然駄目なので、やっぱりその辺の、もうちょっとプロフェッショナル的な感覚で、少なくとも社会実装に持っていくとか、要はこれ、税金をかけて出していったら、国全体でやっている大学の生み出した知財をどう社会に活用するかって話ですよね。そこに対しての力が実はほとんどケアされてなくて、いつの間にか、ちょっと変な言い方しますが、お金を与えて自助努力で何とかしなさいといっても、多分それでは、社会に全然落ちないんです。
だから、もう制度設計はすごくできたんで、どう社会に落とし込むかという、そのことについての仕組みをそろそろしっかりと考えられたほうがいいのかなと思っていて、ちょっと変なこと言いますけど、大学を飛ばして、私たちの近くではベンチャーがいっぱいできてきているんですよね。スタートアップ。その人たちは、なぜかというと、先端技術とか考え方というのはITの世界はそうですし、かなり大衆化されているんです。
だから、もう待ってられないから自分たちで勝手にやっていくとか、高度な人材というのは普通に大規模じゃなくても中小でもいるし、中小企業が資金出して第二創業的にやったところのほうが圧倒的に成長するし、だから場合によっては大学飛ばしみたいなことがこれから起こるかもしれないといったときに、なぜ大学がここに絡んで、知財を生み出して、日本のこれからの成長力の駆動力になるかということについての落とし込み方のところにもう少し考えを入れたほうがいいのかなというのがちょっと聞いて感じたところです。施策を批判するわけではないです。こういったものに魂を入れるというところに力を入れると、より効果が出るのかなと思ったので、そういったことでちょっと感じたところを言いました。
以上になります。
【須藤部会長】 ありがとうございました。それでは次に、宝野委員、お願いします。
【宝野委員】 どうもありがとうございます。このところ、様々なスタートアップ支援施策が進められているんですが、規模の小さな大学や国研で独自にニーズの可能性を判断できる優れた目利きを確保できないということが非常に問題じゃないかなと思っています。そういう観点から、日本全体で人材が限られている中、スタートアップ・エコシステムや、単独の大学、国研などで、個別に支援体制を整えなくても専門家が確保されたプラットフォームを利用できる、様々な施策というのが効果的であるなというふうに感じました。
それで1点、注意していただきたいのが、スタートアップの件数を数値目標と設定するというのは危険じゃないかなというふうに思います。大学教員というのは非常に忙しくなっておられまして、これバランスを失うと日本の研究力が低下していくんじゃないかというふうに、私、最近危惧しています。ですから、知財スタートアップの専門家、それから大学においてスタートアップ支援公募提案、これ、大変な数の提案を出していくということになりますから、それを支援していけるURAの育成なんかも重要なのかなというふうに思いました。
そういう観点で、次期の部会においては、様々新しいスタートアップ支援の施策、これを一つずつ評価していって、施策の有効性をしっかりフォローしていくということが重要になってくるのかなというふうに思いました。もちろん短期で成果が見えてくるものではございませんので、先ほど御指摘があったように、評価指標としては件数ではなく投資額で評価するという案というのはいいのかなというふうに感じました。
以上です。
【須藤部会長】 どうもありがとうございました。そのほかございますか。ぜひ皆様から一言ずつお願いしたいんですけども、部会長代理の栗原委員、何かお願いします。
【栗原部会長代理】 ありがとうございます。今日お聞きしたことの感想と、今後の方向性に対して感じたことですけれども、先ほどご説明頂いた国際卓越大学は、採択されるとその大学のプレゼンスが上がったように見えます。それに対して、地域中核大学ですとか、今回のギャップファンドを利用するような大学については、これらにより、ぜひ大学のプレゼンスの向上につながるような、そんな仕組みになってほしいと思います。
それとの関係で、この資金をもらうことが、特定の研究者だけの判断に留まらず、大学の中で理事会や経営委員会等でも認識し、きちんとその大学の運営の中で位置づけて価値を出していくように取り組んで頂きたいと思います。そして、研究者も、従来の教育とか研究に対してかけるリソースとこのプログラムに対してかけるリソースを確保できるような環境が、大学の中につくられるべきだと思います。これが1点目です。
2点目に、いろんな資金、特に基金の出す対象が、整備費が多いですが、アントレプレナーや大学発起業を促進するような場合は、人件費やマーケティング費用、データ取得や委託費等の費用のほうが多いと思うので、そういう費用に柔軟に使えるような仕組みにしていただきたくて、設備取得やハードを造らないと資金がもらえないような仕組みではないほうが良いと思います。
3点目に、入口を拡大していくことは重要なのですが、一方で出口を考えることも重要ですね。出口の一つは地域の企業に利用されることもあると思うので、この部会の産業連携・地域振興という観点からしますと、地域リソースとどうつながるのかということが正直見えなかったので、出口をどう見据えるのか、その中で地域に対してどういう効果があるのか、どういう存在意義があるのかということを示しながら案件ができると良いと思います。
4点目ですが、様々な基金がありまして、その基金の出し手の機関のガバナンスを、これから見ていかなければいけないと思います。効果測定と併せて、基金の出し手の側によりよい運営をしていただきたいと思います。
以上、多くなりましたが4点を申し上げました。
【須藤部会長】 どうもありがとうございました。
ぜひ皆様から意見をお聞きしたいんですけど、申し訳ありませんが、取りあえず委員の方、ビデオをオンにしていただけますか。こちらから指名したいなと思うんですけど、ビデオがオンになっていないとよく分からないので、差し支えなければオンにしていただきたいと思います。それでは、取りあえず、手の挙がっている佐々木委員、お願いします。
【佐々木委員】 佐々木です。まずは、私も何年かこの産地部会に入らせていただいて、ちょうど何年か前は産学官連携のガイドラインをつくったりして、その頃から比べますと、産業界と大学の距離って本当縮まったなというのを感じました。産学連携がある意味、普通に行われるようになりまして、どこの大学さんでもやはり共同研究等が、プロジェクトが増えているということでありますし、さらになかなか手が回ってなかったスタートアップについても、こういう形で施策を取っていただいて、非常にありがたく感じております。
他方、宝野先生もお話しされたんですけど、大学側の、特に教員のポストってほとんど増えてないんです。ですから、メニューは増えて予算は増えて、でも受け手側の大学の、実績におけるその責任を背負える方のポストがほとんど増えてないというのが現場の状況です。なので、せっかくいろいろ考えていただいて、メニューは増えているんですけども、それをきっちりやっぱりやっていただける方がいない。メニューが増えてもなかなか応募する余裕もなくなっているというのが、大学の多くの現場だと思います。
他方、いいこともありまして、やはり今回もそうですけど、かなり基金化ということで、複数年度で予算が使えるようになったという、数年前ではあまり考えられないことが起こっております。なので、やはり産学連携の活動に予算を振り向けて売り入れていただくのも大事なんですけども、やっぱり産学連携を牽引していただいている人のポストを増やすという、そういうような取組をぜひしていただきたいと思います。
まだまだ大学でも、URAの方の雇用とか、企業経験の方をなかなかお雇いしにくかったり、専門家人材をなかなかお雇いする余裕がなかったりしますので、産学連携を担当する人のポストを増やすというところを、ぜひ将来的に御検討いただければと思います。
私からは以上です。
【須藤部会長】 どうもありがとうございました。それでは、申し訳ありません。こちらから指名させていただきます。荒金委員、お願いします。
【荒金委員】 ありがとうございます。荒金です。私は比較的最近、この1年ぐらいですか、参加させていただいて皆様の議論を伺わせていただいているんですが、共創の場でも、また、これからのプログラムとしても、私、企業出身ですけれども、経営的な視点というものが非常に大学にもある必要とされるようになってきているなということを強く感じております。ただ、今、佐々木先生もおっしゃったように、経営的な視点やアプローチを要求されるものの、大学サイドのほうでは本当にごく一部の優秀な先生に全てが集中して、経営的な体制構築のことも担当しながら、研究もやるみたいな形で、そのフォロー体制が十分ない中、御苦労なさっているような、そういう事情も伺えます。
それで、今後は、今日の説明にもありましたけれども、2番目にあった、地域の中核大学云々の話にありましたが、やはり、日本の大学の特徴のある研究を進めるためにも、その周りのフォロー体制というんですか、大学全体としてその研究力を上げていくためにどういう仕組みづくりや陣容を整えるべきかという、そういう議論や施策こそやっぱり推進していかないと、技術一辺倒をやれやれといっても、スタートアップだけつくれといってもなかなか難しいので、今回御提案あったプログラム、大変私は期待をしているところです。こういうプログラムを十分活用した今後の大学のいろんなパフォーマンスに期待をしたいと思っています。
以上です。
【須藤部会長】 どうもありがとうございました。それでは、次は井戸川委員、お願いします。
【江戸川委員】 ありがとうございます。江戸川でございます。私はスタートアップ・エコシステム関係でちょっとコメントさせていただければと思いますが、先ほどの基金の話、ほかの委員の方からも出ていますけれども、やはり基金のような形で中長期的に、こういったエコシステム関連、スタートアップ関連の支援施策が打てるようになったというのはすごくいいことだと思っています。というのも、どうしても政策を議論すると、毎年毎年テーマを変えていかなきゃいけないということになるんですが、現実的に、スタートアップもそうですけど、スタートアップを立ち上げる可能性のある研究者の方々も、その人が慣れていくというか、学んでいって対応できるようになっていくというのはやっぱり時間がかかるんですよね。ですから、政策的には何か次のステップに移ってしまうのだけれども、現実的にきちんとできるようになるというのは数年かかるということもあって、エコシステムの発展というのもやっぱりそういう軸で見ていかなきゃいけないんだと思っています。
私の事務所ではCFO養成プログラムというのを主催して、3年ぐらい人材育成もやってみているんですけれども、やはりこういう企業家やCFO人材が足りないという話もずっとなくならないですし、あとはベンチャーキャピタリストの方も、人材の創出や育成は常に課題になっていると思います。企業家だけでなく支援者も含めていろいろな人材の課題というのは出てくるんだと思っていて、こういうところを埋めていくのには相当な時間がかかっていくということで、じっくりそういった環境整備のサポートをしていくということをお願いしたいなというふうに思っております。以上でございます。
【須藤部会長】 ありがとうございました。次は、北岡委員、お願いします。
【北岡委員】 ありがとうございます。北岡です。皆さん言っていることは同じなので簡単に言いますけど、やっぱり人材が、いい人材を大学に巻き込まなきゃいけないんですけど、やっぱりそこに結構壁があって、大学の人事制度であったり、いわゆる人気ポストであったりというので、やっぱり本気で産業界から大学に来てもらえるというためには、相当大学の人事システムを変えなきゃいけないと思っていて、本学では結構それをてこ入れ始めているんですけど、そこを本気でしないと、先ほど委員の方々言われた、マイルストーンを設定するとか、いわゆるチームビルドをするとか、本気で汗をかいてくれるプロモーターを入れるといっても、結局形骸化してしまうというところがあるのかなというふうに思います。
そういった意味では、本当に大学が変わるために、その人事システムとかをどう変えたらいいのかとかというのを、ぜひ産業界の方、当たり前のように人事システムというのがあって、私も産業界にいましたけど、当たり前の人事システムが大学に入らない、そういうところを何かこう、ぜひ議論をしていただいて、外堀から本当に大学の人事システムなりが変わるような議論があってもいいのかなと。
それが結果的には、大学でとか国研がやっている技術シーズが、産業界の方々が本気でそれを社会実装まで持っていけるようなことになって、障壁が取れていくんじゃないかなという意味で、ぜひ何かそういう、私が変わらないといけないところもあるんですけど、大学をどう変えるかという根本的な人事システムとか経理システムとかそういうところに、何か風穴を空けていただけると助かるかなと思います。
私からは以上です。
【須藤部会長】 どうもありがとうございました。それでは、次、久世委員、お願いします。
【久世委員】 次年度以降の期待について述べさせていただきます。共創の場形成支援プログラムでの活動が、4年目に入っています。その活動を通して感じるのは、大学も変わる必要はありますが、それ以上に、産業界や企業も、考え方、アプローチ、大学との連携方法などを抜本的に変革しないと、お互いに弱体化するという危機感があります。
共創の場形成プログラムでも、大学と企業が、個別の具体的なテーマで現場連携しているケースは多くありますが、経営層がトップダウンに企業戦略として連携するといったケースは、ほとんどありません。新たなレベルの連携を目指して、共創の場でも取り組んでいます。
例えば、再生可能な植物由来のプラスチックで資源循環エコノミー実現をビジョンに掲げる金沢拠点は、そのようなアプローチをとっています。拠点のリーダーの高橋PLは、積極的に産業界、アカデミア、自治体から、熱意ある多様なメンバーを集め、活動されています。この拠点の後藤副PLは、三井住友信託銀行のテクノロジーベースファイナンスチーム(TBF)のリーダーです。TBFは、まさに、この会社の戦略的な取り組みで、博士号を有するメンバーを集結し、カーボンニュートラルやサーキュラーエコノミーといった社会課題に、技術と金融で取り組んでいます。高橋PLと後藤副PLを中心に、日本で新しいレベルの大学、企業、自治体連携を目指している拠点として期待しています。
共創の場形成プログラムのような優れた産学連携のプログラムがあるにもかかわらず、各プログラムが産業界の経営層に効果的にアプローチできていません。経営層へのアプローチや経営層の参画を加速する仕組みや仕掛け、専属チームなどがあると、かなり改善されると感じています。
【須藤部会長】 ありがとうございました。それでは、次に小池委員、お願いします。
【小池(聡)委員】 小池でございます。今日はありがとうございます。1番目は、先ほど私申し上げましたけども、小中高生アントレプレナーシップに関して非常に突っ込んでいろいろ施策をつくっていただき、私は非常に期待をしております。
また、先ほど言いましたように、経産省の未来の教室のSTEAM教育の一環として、実際に学校で講義をし、チームを組んで、ビジネスプランを作成しピッチをしてもらうことをやりました。最近、専門高校が過疎化で統合されて、工業高校と農業高校と商業高校が一緒になっているケースがあります。そうすると、地域の社会課題としては、農業とか食とか観光などに関わるテーマが多いのですが、地域の課題設定には農業科の学生が出てきて、ソリューションとしてテクノロジーが必要となるケースでは、工業科の学生が俺たちの出番だと出てきます。また、ビジネスプランですから、数値も含めて事業計画をつくるという段になると商業科の学生が力を発揮するというような形で、非常にいいフォーメーションで、高校生とは思えないくらい素晴らしい事業計画が出てきたことが、非常に印象に残っています。
アントレ教育の取り組みは、高校も普通高校だけではなく、専門高校、高専、大学も含めて、交えてやることは有効だと思います。また、高校生に今日・明日起業しろというような教育は疑問があります。いろいろ経験積んで、課題設定能力をきちんと養ってもらうということを重視していただきたいと思います。最も需要なことは、社会課題の解決に対して、自分事になって取り組んでもらうということです。数年後の主役はこの世代の子供たちです。他人事ではなくて自分事として捉える中で、いろいろなアイデア・解決策が出てくると思います。
もう一つは、今回、その支援先を採択する方針として、全体を底上げしていく、あるいはバランスよくポートフォリオを組んで支援していくのか、選択と集中で特徴のある拠点を重点的に尖らせていくのかという議論があると思いますが、そのときに、皆さんおっしゃっているように、きちんとマイルストーンとKPIを設定して評価と判断をしていくことが重要だと思います。また、今はVUCAの時代ですから何があるか分かりませんので、一度採択されたら数年間安泰ということではなく、サッカーでもJ1、J2、J3があり、昇格したり降格したりといった厳しい世界がありますが、メリハリを持って、評価やピボット(方向転換)をしていく必要があると思っています。
その中で、例えば各大学、50社スタートアップをつくって、1社はエグジットを目標とするということがどこかに書いてありましたけれども、やたらめったら数をつくればいいというものでもないと私は思っています。もともとベンチャーキャピタリストやっていましたので、経験上、スタートアップで成功するのは一握りで、投資をした中でもかなりリビングデッドが出てくる可能性があります。特に大学発ベンチャーで安易に創業したケースは、かなりリビングデッドになっているのが実態としてあるのではないかなと推測されます。
そうした環境の中では、やはり投資という観点からすると、特に大学発のディープテック系は時間かかりますので、ファンドの期間内でエグジットすることは難しいケースが多くなります。そこをうまく引き継げる、欧米ではセカンダリーファンドがうまく機能していて、ファンドの投資先をシームレスに引き継いでいく仕組みができています。そういうファイナンスの仕組みづくりも、この設計の中で、いろいろ外部も使いながらうまくやっていかないと、せっかくいいものが、途中で挫折したり、あるいはリビングデッドになってしまうということが予想されます。その点を御留意いただければと思います。
あとはやはりチームですね。スタートアップは、そこに市場があるのかニーズがあるのか、ビジョンがきちっとしているのか、チームがきちっとできているか、そういうようなことも含めて、外部環境に対応できるような体制、この辺の支援・指導というのが非常に重要だと思います。
以上になります。
【須藤部会長】 ありがとうございました。残り5分ぐらいになっているんですけど、あと4名の方、まだ発言いただいていないので、申し訳ありません、1人1分程度でお願いしたいと思います。高橋委員、お願いします。
【高橋委員】 ありがとうございます。高橋です。手短にお話しさせていただきます。大学のこれからというところを考えてお話をさせていただきたいと思うんですが、やっぱり産学連携、私も20年弱ぐらい関わってきておりまして、大きく大学難しいなと思うのは、組織の中間管理職に当たるような方々がいらっしゃらない、特に国立大学の場合です。なので、研究に関しても各自が自由でやっているし、産学連携も各自が自由でやっている、やってもやらなくてもいいみたいなところがやっぱりあるのが一番大きな課題かなというふうに思ったりもしています。
ただ、それをじゃあ大学に入れろというのはなかなか難しいことだろうと思うので、大学の組織の中に合うような形で、例えば普通の会社だったら普通に行われる、会社としてのビジョンとか目標だったりとかというのを浸透させる中間管理職に当たるようなところの代わりができるような組織を学長直轄でつくるとか、何かそういう大学に入り込みやすいようなサポート体制ができるといいのかなというふうに、お話を伺いながら思っておりました。どうもありがとうございました。
【須藤部会長】 ありがとうございました。続きまして、田中委員、お願いします。
【田中委員】 私は(株)地域経済活性化支援機構(REVIC)という半官半民の組織で、地域金融機関と共に地域経済活性化の手段としての地方大学ファンドに取り組んでおり、これまでに島根・鳥取・徳島・高知の4ファンドを組成・運営してきました。弊社のゴールは、地域金融機関を中心として民間企業が自らのビジネスとして、日本全国で地方大学ファンドに取り組む状況を作り出すための呼水としての事例作り、弊社ではモデル化と呼んでいますが、にチャレンジしております。
これまでに弊社は地域金融機関と共に、観光ファンドや地元企業応援ファンドなど、数多くの地域活性化ファンドを組成・運営して来ましたが、既に私どもの関与がなくても、地域金融機関においてファンドの取り組みは、当たり前のトレンドになっております。しかしながら、地方大学ファンドは地域金融機関だけでは展開しきれない領域がたくさんあり、大学側の関与並びに弊社のような支援会社に大きく依存しております。
弊社は、広島大学と金沢大学において、新たに地方大学ファンドを立ち上げることになりました。過去の取り組みと大きく異なりますのは、R4年度の「共創の場のスタートアップ創出/成長の促進支援」に採択いただき、大学側に起業支援チームを設置するという新たなチャレンジになります。この予算措置は、起業支援チームの取り組みに対する人件費他の経費をカバーするものであり、弊社をはじめとした支援機関と大学側が一体となった起業支援体制に基づく取り組みになっています。
弊社が取り組む4つの地方大学ファンドにおいて、大学側の支援者のみなさんはいずれも通常業務の片手間で起業支援をおこなっており、自ずと限界がありましたが、人件費負担をするすべがない以上、止むを得ないことと思っております。新たな2大学ファンドについては、今回の予算措置に基づく、起業専属チームを設置することで起業支援のプロ人材育成・チームビルディングの可能性に期待しております。とはいえ、大学側に起業支援チームが設置できたとしても、全ての支援業務を大学側だけでやりきることは現実的ではないので、それを私どもが支援する体制で2大学においてモデル化に取り組んでまいります。今後は広島大学・金沢大学において、国の予算も活用した起業支援、ベンチャー投資、ハンズオン経営支援の取り組みを推進し、モデル化を目指してまいります。最終的には、国の予算も活用しつつ、地方大学と地域金融機関と民間企業をはじめとした産学金連携に基づくスタートアップ創出/成長支援体制から、大学発ベンチャーが次々と生まれ新産業創造を目指すようなエコシステムが形成されることを期待しております。
国としても、今回の「共創の場のスタートアップ創出/成長の促進支援」のように、大学発ベンチャーを創出・成長させる活動を支援する予算、特に起業支援人材の人件費をカバーして頂けると、全国から多様な人材が参加する基盤が整い、活動が一気に加速できると考えております。
以上です。
【須藤部会長】 ありがとうございました。それでは、長谷山委員、お願いします。
【長谷山委員】 長谷山です。手短に。丁寧に設計されていて、発展的に行われていると思っています。一方で、大学ファンドのように卓越国際研究大学ができたときに、地域中核・特色ある研究大学の振興の施策が大変に重要と思っています。
そう考えると、このスタートアップを属人的なものとして立ち上げるだけでなく、総長直下に、プロで構成される組織をつくることを可能とする事業を立ち上げていただけると良いと思います。大学人は、研究と教育しかやったことがありませんので、プロフェッショナルが入って下さると、もっと活発になるのだろうと思いました。
以上です。
【須藤部会長】 ありがとうございました。それでは、山本委員、お願いします。
【山本委員】 私の意見はもう、ほぼ西村委員の意見と同じですので、もうとにかく、どういう支援ができるのかというソフトの検証というか、それをちゃんとやっていかないと駄目だと思っているので、そこだけです。
1点だけ言いますと、月曜日に弁護士さんや弁理士さんで大学発ベンチャーに何が支援できるのかという勉強会みたいなのがあって、ピッチコンテストに対してどんなコメントを言うかというのをやったんですが、私、弁護士さんや弁理士さんの偉い先生に、そんなんじゃ全然駄目だという話をしたんです。やっぱり彼ら、上から目線で審査してあげるみたいな、こんだけのプレゼンじゃ分からないよみたいな話しかしないので、支援じゃないですよ、それというようなことで、そこのワーキンググループはじゃあどういうことをやっていこうかと今考え始めていますが、専門家というとすぐ士業というか、そこを浮かべそうですが、もちろん弁護士さんでもできる人もいるし弁理士さんでもできる人もいるけど、資格を取っている人だったらできるということではないので、どういうサービスを誰が提供できるのかということをちゃんと検証していくことが重要だと思っています。
以上です。
【須藤部会長】 どうもありがとうございました。
それでは、この辺で今日の議論は終わりたいと思います。最後に、事務局のほうから連絡をお願いします。
【邉田課長補佐】 ありがとうございます。本日の議事録につきましては、事務局から委員の皆様にメールにて御確認いただくこととしておりまして、その後、ホームページに公開いたしますので、よろしくお願いいたします。
また、部会長からお話ありましたとおり、本日、第11期、最後ということになります。部会長はじめ委員の皆様におかれましては、御多忙の中、積極的に御参加いただきまして、また、貴重な御意見いただきましてありがとうございました。
次の期のお願い等々につきましては、ちょっと親会議の科学審との兼ね合いもあって、また改めて、お願い、御連絡をさせていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
最後に、委員として1期、その後、2期4年にわたって部会長として本部会をまとめていただきました須藤部会長におかれましては、今期をもってその任を終えられるということでございまして、御挨拶を賜りたいと思いますので、よろしくお願いします。
【須藤部会長】 挨拶と言われましたけど、ちょっと私の不手際で時間がオーバーしてしまい、申し訳ないのですけれども、簡単にしたいと思います。
今、紹介ありましたように、6年間、この部会を担当させていただきましたけど、佐々木委員が言われていましたが、その前からやっていますけど、産学連携という意味ではこの10年間ぐらいでかなり大きく進歩したのじゃないかなという気がします。大型の共同研究を各大学で始めたり、今日話題になったスタートアップの支援というのも少しずつ進んできていると思います。とにかく、大学、企業、それからスタートアップ、意識がかなり変わってきて、高まってきたんじゃないかなと思っています。この部会で関係している地域振興という観点から見ても同じようなことが言えると思います。
文部科学省、いろいろと苦労をしていただいて、産学連携のガイドラインをつくっていただいたり、それから過去のプロジェクトでいうと、COIとか、あるいはオープンイノベーション機構の整備とか、こういったことを通じて、かなり大学、それから産業界、特に地域の産業界と大学との連携も進んできたと思っています。今日いろいろ紹介ありました、地域の振興パッケージとか、共創の場の支援というようなことで、少しずつまとめて大きなくくりとして動き出しているところだと思います。
今後、これからこの施策をぜひ、いろいろ皆さん言われたように、有効的に機能していかなきゃいけないかなということを思っています。今日いろいろ議論していただいて御意見出ましたけれども、ぜひ、この辺を次期に向けて、文部科学省のほうでは反映させて進めていっていただきたいと思います。
とにかく、こういったことを進めるに当たって、大学あるいは企業がいろんな資料を作るので負担になると逆効果になりますので、ぜひいろいろ統合してもらって、シンプルになりつつあると思いますけども、もっともっと各大学、企業が負担にならなくて効率的に産学連携が進歩できるように、この施策を継続的に発展していただければと思います。
その辺が私の感想でございまして、どちらにしましても、ここまでいろいろ皆様方に御支援いただきましたし、また、文部科学省あるいは事務局のほうとしてもいろいろサポートしていただきました。本当にありがとうございました。今後ますます発展することを祈念しております。どうもありがとうございました。
【邉田課長補佐】 先生、どうもありがとうございます。本来ですと拍手で感謝の意を申し上げたいところなのですけれども、オンラインで恐縮です。どうもありがとうございます。
事務局から以上です。
【須藤部会長】 それでは、ここで本日の部会を閉会としたいと思います。どうもありがとうございました。

―― 了 ――

 

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