産業連携・地域振興部会(第4回) 議事録

1.日時

令和4年7月22日(金曜日)13時~15時

2.場所

オンライン(Zoom)

3.議題

  1. 令和4年度予算等について
  2. 大学を中心としたスタートアップ・エコシステム形成の推進について
  3. 今後取り組むべき施策の方向性について
  4. その他

4.議事録

【須藤部会長】  それでは、定刻となりましたので、ただいまから科学技術・学術審議会産業連携・地域振興部会を開催いたします。
 本日は、お忙しい中、御出席いただきまして、誠にありがとうございます。本部会の部会長の須藤でございます。よろしくお願いいたします。
 まず、出席の状況ですけれども、定数20名のうち出席、これは全員でよろしいんですね。全員20名の方が出席しておりまして、定足数を満たしていますので、確認いたしました。
 それから、本日は議題(2)におきまして、スタートアップ・エコシステムの形成に関する取組について説明いただくために、東京大学の宮脇先生、早稲田大学の島岡先生、東京工業大学の辻本先生、名古屋大学の河野先生、名古屋市の鷲見室長にも出席いただいております。
 それでは、最初に事務局から本日の会議の留意事項についてお願いいたします。
【邉田課長補佐】  部会長、ありがとうございます。私、文科省科学技術・学術政策局産業連携・地域振興課課長補佐の邉田と申します。どうぞよろしくお願いいたします。7月15日付で着任してございます。7月1日には専門官としてこちらに来たんですけれども、課長補佐として正式には15日付ということでございます。
 本日は、皆様、お忙しい中、御出席いただきまして、誠にありがとうございます。
 また、こちら、事務局として、産業連携・地域振興課長の井上、産業連携推進室長の下岡等々、事務局として参加させていただいております。
 本日出席予定でした科学技術・学術政策局長の千原につきましては、急遽別用務ございましたので、本日欠席とさせていただきます。
 それでは、会議に先立ちまして、まずウェブ会議を円滑に行う観点から、これから申し上げる事項について御留意いただきますよう、よろしくお願いいたします。
 委員の皆様におかれましては、マイクは、ハウリング等を防止する観点から、発言時以外はミュートにしていただきますようお願い申し上げます。また、御発言時は、あらかじめお名前をおっしゃっていただきますようよろしくお願いいたします。
 各参加者の皆様のお名前表示、また、ミュート設定等について、状況に応じて事務局より設定を切り替えさせていただくこともございますので、あらかじめ御容赦いただければと思います。
 また、御意見、御質問等の際は、挙手ボタンを押していただきまして、それから部会長からの御指名をいただいてから御対応いただくということで、よろしくお願いいたします。
 また、本日、久世委員におかれましては、13時50分頃までの御出席と聞いておりますので、その旨了承いただければと思います。
 また、傍聴の方にお願いなんですけれども、こちらの設定の手違いでございまして、Q&A機能がカットできていないかと思いますけれども、Q&A機能につきましては、会議を円滑に進める観点等々で、お使いにならないように、ぜひよろしくお願いいたします。御協力いただければ幸いでございます。
 以上です。それでは、部会長に進行をお返しいたします。
【須藤部会長】  ありがとうございました。
 本日の議事でございますけれども、議題(1)としまして、令和4年度予算等について、議題(2)としまして、大学を中心としたスタートアップ・エコシステム形成の推進について、議題(3)としまして、今後取り組むべき施策の方向性についての3つを予定しております。
 それでは、まず最初に、議題(1)令和4年度予算等について、事務局から御報告をお願いいたします。
【邉田課長補佐】  ありがとうございます。それでは、邉田より資料1-1について御説明いたします。また、資料1-2については、下岡室長より御説明させていただきまして、最後に御質問等をまとめてさせていただくということで、よろしくお願いいたします。
 それでは、資料1-1について共有させていただきます。
 最初なんですが、いきなり3ポツになっているんですが、全体の令和4年度予算の資料について抜粋してきたということで、御容赦ください。科学技術イノベーション・システムの構築ということで、1ページ目でございます。委員の皆様におかれましては、昨年御説明している内容も多かろうと思いますので、簡単に説明させていただきます。
 三本柱でございまして、地域の中核となる大学の振興(社会実装関係)、その下、大学を中心としたスタートアップ・エコシステム形成の推進、産学官連携による新たな価値共創の推進ということでまとめさせていただいております。
 まず、地域の中核となる大学の振興(社会実装関係)でございますけれども、令和3年度予算、144億円のところ、令和4年度、147億6,500万、括弧内でございますけれども、令和3年度補正予算として25億がついているところでございます。
 内容でございますけれども、「知と人材の集積拠点」である多様な大学の力を最大限活用して社会変革を推進していくということで、強み・特色を生かして、地域発の人材育成や研究、イノベーション創出に取り組む大学を後押しする事業でございます。大きなものといたしまして、共創の場形成支援ということで、いわゆるCOI-NEXTであるとかOPERAというような拠点事業がこちらになります。
 また、そのほか、大学発新産業創出プログラムということで、JST事業でございますけれども、STARTと呼んでいる事業のうち大学・エコシステム推進型ということで、組織型で対応させていただいているところでございますけれども、こちら、令和3年度補正予算で25億というところがついているというところでございます。
 その下、大学を中心としたスタートアップ・エコシステム形成の推進というところでございまして、こちら、上と少し重複するところもございますけれども、全体で23億円でしたところ21億円、その他、令和3年度補正予算で50億円というところでございます。25億につきましては、上と重複してございます。
 内容でございますが、スタイルシート創出加速ということで、起業に挑戦しイノベーションを起こす人材を育成するとともに、創業前段階から経営人材と連携するなど、大学、事業会社、ベンチャーキャピタル、ベンチャー企業との間での人材、知、資金の好循環を起こし、スタートアップ・エコシステム形成を推進するという事業でございます。
 上で少し大学・エコシステム推進型を説明させていただいたSTART事業でございますけれども、それ以外にもプロジェクト推進ということで、個々のプロジェクトに応じた支援事業をやってございまして、それらを合わせまして全体で20億程度と、プラス、令和3年度補正予算で25億というところでございます。
 また、全国アントレプレナーシップ醸成促進事業ということで、新規に9,000万弱がついているというところでございます。
 一番最後、産学官連携による新たな価値共創の推進という事業でございまして、全国の優れた技術シーズの発展段階に合わせた支援であるとか、産学官共創拠点の形成等々のための事業でございまして、大きなものとしては、オープンイノベーション機構の整備、上にも書かせていただいております共創の場形成支援、あとは、地域イノベーション・エコシステム形成プログラムということでございまして、事業の進行に合わせまして自然減といった、終わった事業についてなくなっていっているところもございまして、オープンイノベーション機構の整備や地域イノベーション・エコシステム形成プログラムについては、少し減になっていると。その他、A-STEP事業が挙げられるというところでございます。
 次のページをお願いします。次のページ以降で、それらの事業についての詳しい資料をつけさせていただいておりますので、それらについては後々御確認いただければと思いますけれども、特に4ページ目、左下枠囲いに書いてございますけれども、令和3年度補正予算についての説明をさせていただいております。
 ギャップファンドプログラムの充実、スタートアップ・エコシステム拠点都市におけるスタートアップ創出機能の強化というところで、先ほど御説明した補正予算が措置されているというところでございます。その50億の中には、JSTの研究成果を使って大学発ベンチャー等々、活用していただくところに支援させていただくというところのSUCCESSという事業がございますけれども、そこへの追加出資の25億が併せて計上されているというところでございます。
 1枚めくっていただいて、先ほど新規の事業として全国アントレプレナーシップ醸成促進事業というところで御説明させていただいておりますけれども、中ほどにあります事業概要でございますが、全国及び海外で実施されているアントレプレナーシップ教育について、基礎的なものから実践的なものまで継続的に実施状況とその効果を調査し、収集したものについて全国に展開していくというような事業を新たに立ち上げさせていただいているというところでございます。
 すみません。駆け足でございますけれども、1-1につきましては、説明は以上でございます。
【須藤部会長】  それから、1-2の下岡室長のほうからあるんですよね。
【下岡室長】  続けまして、資料1-2について、産業連携推進室より御説明させていただきます。
 本件は、スタートアップの促進の観点から、本年4月から施行された国立大学法人等からの出資範囲の拡大、LP出資ができるようになったという話でございまして、次をお願いします。
 まず前提として、全体的な動きの説明から少しさせていただきます。国立大学法人による出資の範囲ですけれども、これは近年、国立大学法人が研究成果ですとか、一部教育研究施設の資源の社会への還元という観点もございますが、こうした観点から、国立大学法人が自ら投資を呼び込んで成長し続けるというモデルを実現するために、近年規制緩和をし、出資範囲を拡大しているという大きな流れがございます。
 この1枚の資料の中にたくさん入ってございますけれども、例えば、左側の下のほうにある2ポツですと、一番古くは、平成16年の承認TLPへの出資ですとか、次に古いのが右上の赤囲い、特定研究成果活用支援事業、これは国立大学法人がVCやファンドに対して出資ができるスキームで、この4月から拡大したところでございますけれども、これは後ほど詳しく説明しますので、ここではこれくらいにしますが、それに加えて、また左側に戻りますけれども、大きな1ポツ、大学のシーズを基にした共同研究を行う、あるいは、その共同研究をマッチングするオープンイノベーション機構といったものを行う法人への出資が令和3年から政令改正でできるようになっているでありますとか、それから、右の下のほうですけれども、4、5、6の部分でございます。
 これはいずれも令和4年度からですけれども、大学の研究成果を活用したコンサル、研修・講習を行う事業者、これはもともと指定国立大学法人に限られて出資が認められていたものが、全ての国立大学法人に広がったであるとか、その下、指定国立大学法人に関しましては、令和4年度から、大学発ベンチャーへの直接の出資もできるように広がった。それから、6ポツのところ、教育研究施設等の管理を行う法人に対して出資というのも、これは全ての国立大学法人に対してできるようになったと。こういった出資範囲の拡大という大きな流れがございます。
 本日御説明させていただきますのは、実は昨年のこの部会でもこういうことを考えていますということを御紹介させていただきましたので、見覚えがあるような資料となってしまって恐縮でございますけれども、時間が経ちましたのでもう一度軽く御説明させていただきますが、もともとはこの上半分の仕組みが制度改正前から出資が可能なスキームでございました。国立大学法人がVCを設立して、そこが行うファンドに対して出資ができると。これはもともと官民イノベーションプログラム、4大学を対象として、政府出資金が原資であるような、そういうプログラムを前提としてつくった制度でございましたので、言ってみればやや窮屈といいますか、国立大学法人がVCを設立し、事業認定を受け、それに基づいたファンドに対した出資であれば可能ということでございましたので、なかなかVCを設立するための体力が難しい大学もあるのではないかということもございました。この上半分のスキームは、一応全ての国立大学には開いていた制度ではあったんですけれども、実質的に様々な大学でも取り組みやすいようにしようということで作られたのが下半分の、制度改正で本年4月から可能となった出資スキームで、従来できなかった、ほかのGPが設立したファンドに対するLP出資ができるようになったということでございます。
 ほかのGPが設立したファンドということですけれども、一番下の米印に書いてありますけれども、あくまで当該国立大学等における技術に関する研究成果を活用した大学発ベンチャーに投資・支援することを目的としたファンドに対する出資ができるようになったということでございます。
 次のページでございます。具体的には法令上どのように変わったかということでございますけれども、もともとは政府出資金を原資としていたことを想定していたときに入っていた規定の中で、政府出資金に由来するというふうな規定について、厳し過ぎるところを削除したということでございまして、例えば、1つ目のポツで、GPは、国立大学法人が設立したVCでなければならないというところであるとか、あるいは、次の、国との意見交換は密接に行う体制であるとか、その次の、民業補完に徹しなければならないであるとか、こうしたようなところは基本的には政府出資金に由来する規定であるので、削除すると。
 そのほかも細かくいろいろございますけれども、もろもろ政府出資金であるために置かれていたというところを削除し、ただ、下半分のところですけれども、その代わり、削除した部分でも引き続き必要というところに関しては、認可の基準のところで、認可の基準と申しますのは、個々の出資の際には引き続き文部科学大臣の認可が必要でございますので、そこに必要な規定、例えば「資金運用管理委員会」等の体制整備をしっかり義務づけるであるとか、そういった必要な体制の整備に関しては、認可の基準のところの規定に入れるなどして適正性を確保するということで、制度改正を図ったということでございます。
 4月から改正しておりまして、現時点で申請等が出てきているということではございませんけれども、これから恐らくいろいろ出てくるかと思いますので、また状況を本部会でも御報告させていただきたいと思います。前回の部会で御意見伺いましたところでございましたので、今回このような形になりましたという御報告でございます。
 私からの説明は以上でございます。
【須藤部会長】  どうもありがとうございました。
 それでは、ただいまの事務局からの説明、資料1-1、1-2ですけれども、これについて御質問、御意見がある方いらっしゃいますか。
 それでは、梶原委員、お願いいたします。
【梶原委員】  ありがとうございます。
 資料1-1と1-2にそれぞれ1つずつ御質問させてください。
 1-1の全国アントレプレナーシップ醸成促進事業ですが、これは5年間で1機関年8,000万という事業規模となっていますが、現在、学生の1%しかアントレプレナーシップ教育を受講していないということに対して、5年間でどの程度増やすというような目標はあるのでしょうか。また、5年間同じパターンを続けなければならない理由がよく分かりません。好事例ができて、それを展開していくのだとすると、毎年同じ内容にはならないような気もします。8,000万を5年間でどう使っていくのかというのがよく分からなかったので、もう少し御説明いただければと思います。
 それから、1-2の規制緩和について、この4月からということで非常に良い方向に進んでいると思います。要望があってこういった規制緩和をしていると思うのですが、まだ3か月ではありますけれども、例えば、この規制緩和をしたことによって、実際に具体的な大学の動きがあるのかどうかは把握されているのでしょうか。そういった状況を文科省として、どのように把握するのかしないのかといったところを教えていただければと思います。よろしくお願いいたします。
【須藤部会長】  事務局のほうから回答できますか。
【下岡室長】  産業連携推進室の下岡よりお答えさせていただきます。
 まず、今画面に映っておりますアントレプレナーシップの醸成促進事業でございます。5年間、1機関で8,000万円ということでございます。これは実際のところ、1機関に委託をしまして、その中で5年かけて様々なことをやっていこうというふうに、単年度ぶつぶつということですとなかなか腰を据えて取り組めないものですから、5年間かけて、例えば、プログラムを開発ですとか、あるいは、それを全国展開していくにはどういったことが求められるかですとか、効果測定していくにはどういうような効果の測定の指標を立てて、どういうふうに効果を測定していくであるとか、それで実際に効果を測定していくであるとか、そうしたもろもろのことをまとめて、ここの1つの大きな事業の中でやっていこうという、そういう大きな事業でございます。
 ですので、同じことをやっていくというよりは、そういういろいろな内容ことが入っているということでして、今まさにちょうど委託の手続をしているというところでございまして、実際にこれから動いていくところです。
【井上課長】  若干補足してよろしいでしょうか。
 恐らく梶原委員がおっしゃったのは、実際あちこちで展開されているものがあるので、その話とこの話とどうなのかということと、何でこれは5年間で1件で1個なのというところかと思います。
 前者の各拠点都市中心にやっているものは、これと別の、資料で申し上げると4ページ目の左側、このオレンジのところのほうで実際動いているものへの支援はやっておりますという形で、これはやっていくと。
 この1件のものは、これ、各地いろいろばらばらに、正直手探りで、今日も発表ありますけれども、やっていただいていて、あと、海外でももういろんなものが進んでいる中で、少しこういった情報を整理して、効果的なアントレ教育どうやるかというのを、現状と海外状況と分析しながら、なるべく構造化して、いい形のものというのをある程度整理したいという思いがありまして、そういった情報収集、分析、効果測定の方法、こういったものはこの5年のものでまとめてやるという形で事業を設計したということでございます。
 ですので、オンゴーイングで1%3万人を増やすというのは、このオレンジの四角のほうでやっていき、それを広げていく。そこでいいものをどうやってやっていったらいいか、本当にそれは効果が上がって、どういうふうにやったほうがいいのかという分析等は、この1本の委託のところで、横串で海外の情報も拾いながらまとめて、それをまたこのオレンジのほうにもバックして、よりクオリティを上げていく。こういった構造でやらせていただきたいということでございます。
【梶原委員】  ありがとうございました。
 粘り強く、継続的に実施するというところがポイントだと思いました。この委託事業だけでなく、全体としてどのようにエコシステムをつくっていくのか、自律的にしていくのかというところには、継続性も重要だと思いますので、現在、単発で取り組んでいらっしゃるところを俯瞰的に考えて、より良いプログラムにするように、過去の振り返りも含めて進めていただければと思いますので、お願いいたします。
【須藤部会長】  規制緩和の動きのほうはよろしいんですか。
【下岡室長】  続けて御説明させていただきます。
 この4月からの動きという御質問をいただきました。少しその前からのお話を含めてさせていただきますと、本日の資料には入れていなくて申し訳ないのですけれども、実は、私どものほうで調べてみますと、全国各地で、大学の研究成果を基にしたベンチャーを支援しようというファンド、例えば地方の銀行などが主に出資してできているファンドが、全国各地にできているという状況があるということを前提に、私ども、この制度改正をさせていただいたわけなんです。
 また、その過程では、幾つかの大学から、今日も農工大学、千葉先生も御出席いただいていますけれども、やはりそういうことに関して御関心を示される大学もあるという話も伺いながら、制度改正をしたものでございます。
 4月以降、具体的に3月頃から以降の動きとしまして、幾つかの大学からこの制度に関する質問ですとか相談が少しずつ出てきており、まだしっかりとした申請ベースにはなっていないものの、ちらほらと相談が出て来始めているというところですので、引き続き、そういう大学の状況を伺いながら、状況を把握してまいりたいと思います。
【梶原委員】  ありがとうございました。
【須藤部会長】  それでは、栗原部会長代理、お願いします。
【栗原部会長代理】  ありがとうございます。
 私も梶原委員と全く同じところの質問なんですけれども。1つは、アントレプレナーシップ醸成の促進事業ということで、先ほどの梶原委員からの質問に対しての回答のほうは分かったんですが、そうすると、この事業で何かアントレプレナーシップのプログラムを組んで実際にやるということのプロジェクトではなくて、どうやっているのかとか、あるいは、その効果がどうだったかという、そういう調査業務としてこれが位置づけられているように思えるんです。
 そうすると、この小さい予算額に対して申し上げるのは大変申し訳ないんですけれども、こんなにお金をかけてやるんでしょうかと。各大学でどうやっているかというのは、物すごく違いがあると思いまして、それを一通りサーベイしてという、それにこれだけのお金をこの調査業務に費やすということの効果が正直ちょっと分からないので、単年度だけとか最終年度とかでやるというのはいいんですけれども、5年間かけて4億円の調査業務というのは一体何だろうかというふうに思うので、それよりは、やはり各地域で、あるいは、各大学で、大学の中でも、どういう学部で、どういう教育の一環の中でアントレプレナーシップの教育を組み込んでいるかって本当にまちまちだと思うんですけれども、その辺については、もう少し効果的に分かる方法を考えたほうがいいかなと思いましたので、ぜひ今後の展開として御検討いただければと思います。
 2つ目が、やはり国立大学法人による出資についてなんですけれども、ここは教えていただきたいんですけれども、1つ目の3ポツで、今回拡充されたのは、今までGPに対して参加できたけれども、そこは正直GPを大学でつくるというのは難しいので、むしろGPは民間とかなんですけれども、ファンドにLP出資をすることができるということでした。
 ただ、このLP出資についても、これまでの実施指針から削除した事柄は分かるんですが、それをLP出資のほうに、上述の実施指針から削除した規定を条件付で追加というふうにありまして、これらの事柄がLP出資のときに現実に求められると、結構LP出資の有効性がというか、これを満たさなければいけないということだと、正直それもまた有効裡に効くのかなと思うので、ここが適用されてしまうんでしょうかと。もう少しLP出資の柔軟性があっていいのではないかと思いました。
 もう一つ重要なのは、5ポツの、これはファンドに対しての出資ではなくて、大学発の個別のベンチャー企業への出資ができるという、個別企業に出資ができるようになったという、これが新設というふうにありまして、これはとても大きいことだと思って。そうしますと、ファンドへの出資以上に、自分の大学でその出資についてのいろいろな評価ですとか、その後の管理ですとかということを見ていかなければいけないですし、場合によっては、出資先のガバナンスの在り方を、また国立大学法人のほうが出資者として見ていかなければいけないという、大学側にすごくリソースが求められると思いますので、その辺は、そういう個別ベンチャーへの出資をする際の大学法人の体制ということをしっかりつくっていただかないといけないなと思いましたので、それは留意事項としてお願いしたいと思います。
【須藤部会長】  ありがとうございました。
 まとめて何か回答ございますか。下岡さんとか、井上さんでもいいんですけれども。
【下岡室長】  まず先に、今、直近に御質問いただきました出資のスキームのほうからでございます。
 まず、削除した規定の、「政府出資金を財源とする場合」という条件付で追加したという、資料1-2の3ページ、この下半分の一番上のポツのところのことで御指摘をいただきました。
 これなのですけれども、ここの「政府出資金を財源とする場合」で追加をしたということは、このLP出資の場合全般にかかるものではございません。これは、例えば、一番分かりやすいのは、官民イノベーションプログラムというのは引き続きこの制度として走って残っておりますので、この制度の運用に当たっては、上半分にあるような規制緩和をしてしまってはいけないものですから、そのように政府出資金を財源としている場合については、引き続き従前どおりの規制をかけますと。官民イノベーションプログラムでなくても、いずれにしても政府出資金が財源となるような場合には、もともとの規律は生きていますという趣旨でございました。
 ここの一番上にあったもの、しかも、色がついてあったものですから、分かりづらくて申し訳ございません。
【井上課長】  御指摘ありがとうございました。金額がかなりあったので、我々も、これ、リーズナブルな形でやりたいと思っております。
 一方、アントレ教育を広めてきて、どれだけ効果があったのか、効果測定はどうなっているのかという、そのことについても、実は、様々に予算を効果的に使えているのかというところの検証でいろいろ求められておりまして、かつ、国内に限らず、海外どうなっているのかというのをちゃんと見るようにと。そこの部分も、ちょっとコロナで止まっていた部分もありますけれども、これはしっかりやっていかなければいけないと。スタートアップ・エコシステム全体の中でも、やっぱり日本がガラパゴス化しないようにという観点も大分あるものですから、そういったところも含めて、海外の様々な調査等も含めての展開ということで考えております。
 いずれにしましても、しっかり応札していただけるように設計するとともに、あとは、適正な予算規模というのはしっかり見ていくようにしたいと思っております。ありがとうございます。
【栗原部会長代理】  ありがとうございます。
 ぜひ目的をはっきりさせていただきたいのと、それに必要な調査費というところの規模感というのを考えていただければと思いますので、よろしくお願いします。
【井上課長】  ありがとうございます。
【須藤部会長】  どうもありがとうございました。
 それでは、千葉委員、お願いします。
【千葉委員】  ありがとうございます。
 ただいまの議論に関係したところでしたので、質問というよりも、コメントというか、私の考えですけれども。指定国立に限定した形でのベンチャーへの直接投資というところについて、出だしのところはすごく理解できるんですけれども、このファンクションは全部の大学にとって非常に重要だと思っています。
 というのは、ベンチャーを始める先生たちがまだ生まれたばかりのシーズを育てていくというようなところに、大学が初期の段階で出資できますと、その後それが一定の期間内に価値がぐっと上がります。そうしますと、その後にファンドからの投入というようなときに、株価がかなり上がった形で、要するに、大学が大きな権利を確保した状態でさらに追加出資を受けられますので、その仕組みというのはすごく重要になると思っています。
 というのは、大学は国の予算で様々なインフラとかサポート体制をいただいていて、それを例えばベンチャーの育成にいろいろな形で投入することができるわけです。重要なのは、それをリターンとしてまた大学に戻ってくるような仕組みをつくるというところが大事で、これがまさに国力を上げて、それから、それほど予算を投入しなくても国の発展にも寄与するというモデルだと思いますので、この資本政策というか、価値が上がっていくところに、どれだけ早いところに大学のお金が自由に入れられるか、この仕組みが大事だということをぜひ御理解いただければと思います。
 ファンドですと、実はGPに投入した企業が魅力を感じると、相当の株式を持っていくということが条件になったりとか、実際に様々交渉してみるといろいろなことが分かってきましたので、こういうことも踏まえて、大学が発展するにはどういうものが重要かということをぜひ共有して、逐次こういうものはより良いものにバージョンアップしていただければと思います。
 以上です。
【須藤部会長】  御指摘ありがとうございました。
 それでは、高木委員、お願いします。
【高木委員】  ありがとうございます。
 少し視点を変えさせていただいて、資料1-1の7ページ、産学共創プラットフォーム(OPERA)のスライドにデータが示されております。民間企業との1件当たりの研究費の平均が270万円程度とまだ少なく、課題であると記されています。2015年の経団連の提言も記されておりますが、翌年2016年に経団連で「産学官連携による共同研究の強化に向けて」という提言をしています。私も参画させていただきましたが、当時、若干数字は違いますが、1件当たりの平均が231万円、500万円以上が9%しかないという数字で議論した記憶があります。
 スライドの数字は令和元年ということで、今はもう少し良くなっていると思いますが、文部科学省が様々な政策を進めてこられる中で、改善はしてきていますが、まだまだ途中だと思います。様々な施策を継続していかないといけないと思いますが、例えば、特徴的なのは、前のページ、6ページにありますオープンイノベーション機構の整備だと思います。これはマネジメント機能や財務基盤強化、大学改革、研究力強化など、非常に特徴的な取組で、世間でも注目されています。
 ただし、平成30年度採択校は、今年が最終年度です。この資料は令和4年度の予算ということなので、少し先のことで申し訳ないのですが、次年度以降、例えば、他の大学への水平展開、あるいは、政策として次のステップに進められるなど、もし方向性、方針があればお伺いしたいと思います。もちろん、来年度のことですので、検討はこれからということでも結構でございます。よろしくお願いします。
【須藤部会長】  ありがとうございました。
 今の最後の高木委員からの御提案で、事務局のほう、下岡室長、何かございますか。
【井上課長】  では、私のほうからよろしいでしょうか。
 ありがとうございます。OI機構のほう、高木先生も本当にいろいろありがとうございます。しっかり成果を上げていただきつつございまして、成功して、今、政府全体の中で、世界と伍するという助長ファンドを用いた施策ですとか、ガバナンスのスタイルまで変えて大学全体で世界と闘っていくんだというところまではいかなくても、やっぱり強い特色ある、強みある研究を持っている大学にどう支援するかというパッケージという議論もございまして、こういった中で産学連携というのは非常に重要なものとして位置づけられております。
 少しこういった新しい予算スキームなりも動く中で、全くこの事業の後継という形ではないとは思いますけれども、しっかりこの機能をどうつくっていくかというのを考えていきたいと思っています。
 特に、このOI機構、結構大きめの大学が多うございまして、特に今、地域の中核や特色あるというところでパッケージで考えているようなところだと、ちょっとこの仕組みもきついなというところも正直ありまして、もう少しきめ細やかに、例えば、さっき予算で紹介しましたけれども、共創の場とか、そういった強い弾を、研究の案件を持っているところを中心にそういう機能をしていって、いきなりどかんとつらい規模ではなく、その規模に沿った形でこういったものを徐々に御支援できるようなスキームというのも検討しているところでございます。
【高木委員】  ありがとうございます。
 文部科学省のこの分野の政策は、2016年の第5期科学技術基本計画以降、非常に継続性を持って、一貫性を持って進められておられます。お話もありましたように、現状も分かってきましたので、ぜひPDCAサイクルを回しながら、継続性、一貫性を持って進めていただければと思います。
 どうもありがとうございました。
【井上課長】  ありがとうございます。
【須藤部会長】  すみません。時間がなかなか迫っていますので、田中委員と林委員が手を挙げておられるんですね。では、お二人の質問で終わりにしたいと思います。
 まず、田中委員からお願いします。
【田中委員】  資料1-2の3ページをお願いします。私はこれまで大学ファンドを4つ作ってきましした。現在あらたに並行して複数大学のファンドをつくろうとしています。
 大学ファンドを作る際、大学側にとってはいろいろな選択肢があって、自ら子会社としてGPを持つ場合は1つの選択肢にすぎません。その場合、このページで言えば、上側の記述の通り様々な足かせがあったため、これまでは大学が直接GP子会社を持つという選択肢を阻んでいました。その足かせを回避するために、私共としてはやむを得ず、過去に東大UTECが取った方法にならい、大学と資本関係がなく人的関係のみがある大学関連法人をGPとすることで、大学ファンドを立ち上げてきました。
 ここに来て新たな大学ファンドを検討する中で、今回の規制緩和が実施されたことを受け、大学側としては子会社としてGPを持ちたい、という話が出てくるようになりました。実際に、規制緩和後の要件を調べてみると、この資料には書かれていていない足かせがまだいくつもあり、例えば計画認定ですとか、あるいは、適宜報告する義務など、他にもいくつかあり、二の足を踏んでいる、というような状況が実態としてあります。
 あと、大学からの出資方法で言うと、大学がGPに出資する方法と、今回の規制緩和で可能となったようにLPとしてファンドに出資する方法と、あと、さっき千葉委員から言われた直接ベンチャーに投資をする方法があります。仮にファンドを用いる場合は、GPへの出資もLPとしての出資も、いずれもファンドの期限、例えば10年のファンドであれば、10年後になってファンドを閉めた時点で一定以上の成果がでていない限り資金回収ができません。一方で、ベンチャーに直接大学から出資をし、それも早期に出資することで高い株式シェアを持つ、という方法であれば、ベンチャーが成功した時点で回収が可能となります。ただし、当然ながら大学として投資検討を行い、投資し、投資先管理をする仕組みをつくることが必須であり、容易ではないことは言うまでもありません。ぜひ申し上げたような点については、制度を整えていただければと思っております。
【須藤部会長】  それでは、続けて林委員、お願いします。
【林委員】  林です。最初のアントレプレナーシップのところに少し戻って、コメントとお願いなんですけれども。
 今回、アントレプレナーシップの教育の重要性が盛り込まれたのをとてもうれしく思っています。私自身も工学系大学でこの講座を立ち上げようとかいろいろやっていたんですけれども、いろんな苦労がありました。
 海外の大学が進んでいるのは確かですが、海外の大学でも悩みがあるのは確かです。これ、いろいろ意見交換もさせていただいたんですが、大学の中のアントレプレナーシップ教育をやっていくということは、工学部の立場からしても、理学部の立場からしても、なかなか大学の評価につながらないとか、つまり、この位置づけ自体が非常に曖昧というのがどうも根っこにあるような気がしていまして、結局は大学の評価のメトリックスに関係していないとか、こういったところも確認する重要点かと思いますので、ぜひともここをよろしく調査していただきたいと思います。
 それと、5年間ということですけれども、時間軸から考えると少し遅過ぎるというか、もうやるのであれば、1年やってある程度目途をつけて次をやっていく。5年経って初めて何か分かりましたというのはないように、ぜひとも、途中からピボットできるような形もいいですけれども、スピード感を持って進めていただければと思いました。よろしくお願いします。
【須藤部会長】  ありがとうございました。
 まだあると思いますが、時間も迫っていますので、この辺で議論を打ち切りたいと思います。
 それでは、議題(2)に移りたいと思います。大学を中心としたスタートアップ・エコシステム形成の推進についての報告でございます。資料2-1に基づきまして、宮脇先生、島岡先生、辻本先生より説明をお願いします。続けて資料2-2の説明もしてもらいますので、その後、まとめて議論の場を設けたいと思います。
 では、よろしくお願いします。
【辻本副本部長】  よろしくお願いします。それでは、Greater Tokyo Innovation Ecosystem(GTIE)の取組と今後の方向性について御説明させていただきます。
 目次はこのようになっております。最初にまず概要について、それから、東京大学と早稲田大学の教育について御説明いただいて、最後に課題と今後の方向性について説明させていただきます。
 まず私から、GTIEのこれまでの取組の概要について御説明いたします。
 これまでの経緯ですが、御承知のとおり、令和2年に東京エリアがスタートアップ・エコシステム拠点都市に選定されました。その後、3つのプラットフォームがSCORE事業で採択されております。イノベーションデザインプラットフォーム、T-UNITE、横浜プラットフォーム、それらのプラットフォームが集まりまして一つになったものがGTIE、Greater Tokyo Innovation Ecosystemです。現在、令和3年度の補正予算事業の追加措置をいただきまして、GAPファンドの取組を開始しております。
 体制はこのようになっておりまして、主幹が東京大学、早稲田大学、東工大の共同主幹となっております。現在86機関集まりまして、今後とも増えていくと思いますけれども、それぞれの特徴を生かしてスタートアップ・エコシステムの形成に取り組んでおります。
 ビジョンは「世界を変える大学発スタートアップを育てる」ということで、四本柱の活動をしております。1つ目がGAPファンド、2つ目がアントレプレナーシップ教育、3つ目が起業環境の整備、4つ目がエコシステムの形成です。
 こちら、重複は削除させていただきますけれども、目標値として、こちらに令和7年度末の目標値を設定させていただいております。
 GAPファンドについて御説明いたします。今現在書類審査が終了したところでございますが、採択予定19件のところに四十数件の応募がありまして、非常にレベルの高い案件が出てきたというふうに自負しております。
 今、3つのコースで運営しております。グローバルコース、ユニコーンコース、スタンダードコースです。詳細は割愛しますが、グローバルコースは、グローバル市場を目指していくようなディープテックのスタートアップ、ユニコーンコースは、実際にアメリカに行って市場開拓を行うような、そういったプログラムとなっております。
 こちらがグローバルで指定している8分野のディープテック分野になります。
 ファンディングだけではなくて、専門のVC・CVC、アクセラレータと組織的契約を結ばせていただきまして、各チームに複数名のメンター、そして、各大学からファシリテーター、さらには、知財や士業の先生方にスポットに入っていただいて、チームで支援していく体制をつくっております。
 これまでの経緯ですけれども、補正ということで、1か月程度の短い募集期間ではあったんですが、四十数件の応募がありまして、多様な研究分野から非常にレベルの高いチームが応募していただきました。審査におきましては、大学の研究者の評価であったり、専門のVC、アクセラレータの評価を行っていただいております。
 今後とも、こういった研究者の方々、スタートアップをつくる前の先生方、学生たちですけれども、非常に大きな成長が期待できます。
 教育につきましては、後ほど、東京大学、早稲田大学から説明いただきます。
 拠点の整備といたしましては、東工大田町キャンパスのところで採択者が利用できるような場所を準備したいと考えております。
 また、コミュニティの形成も非常に重要だと思っておりまして、オンラインベースで、こういったことに関心があるGTIEに参加している13大学(今後も増えるかもしれませんが)の学生、若い先生が気楽に参加できるようなコミュニティをつくろうということで進めております。
 それでは、東京大学からお願いいたします。
【宮脇ディレクター】  引き続きまして、東京大学のアントレプレナー教育、過去5年間やってきましたGlobal Tech EDGENEXTの成果と、今立ち上げていますGTIEでの活動の進捗を説明いたします。
 次、お願いします。まず、この人材育成プログラムですが、東大、筑波、静岡、お茶の水という、かなり特色のある4大学が連携して、参加者が全てグループワークで当事者として全て315件のビジネスプランをつくったこと。
 2番目は、受講生を育てるアントレ教育人材を育てるという形のプログラムをやり、5年間で110名の教員が参加いただきました。特にこの一、二年、実際のキャンパスベンチャーグランプリの参加受講生から非常にいいアドバイスをいただいたというコメントがあり、教員のレベルの質の向上というものを実感しております。
 3番目の成果としては、多様な起業チーム、それから、新規事業、ソーシャルベンチャー、もちろん研究成果を使った事業化、それから、研究所と大学との混成チーム、海外で起業するという事例、そして、最もここで強調したいのは、異業種の企業間で実際新規事業をつくっていた案件が、このEDGENEXTから生まれております。
 次、お願いします。もう一つの目標であるエコシステムをどうつくっていくかという観点で、まず下側のちょっと紫のところは、受講生の受入れです。このコンソーシアムでは、中の学生だけではなくて、企業からの参加、そして、特に国立研究所からの参加ということが多いわけですけれど、それ以外に、やはりトップのプログラムに押し上げるためには、世界トップの海外の大学機関、インド工科大学の大学院生チーム、4チーム16名が東大のプログラムに参加し、お互いにビジネスプランを発表して交流する、こういうかなり世界からも認知されたプログラムに仕上げてきました。
 一方、そういうチームをどうこれから支援していくかということなんですが、この教育のプログラムを次につなげる、つまり、後継プログラムにつなげるということが、実際に起業家を生んでいく一番のいい重要なポイントなので、NEDO TCPと連携しまして、毎年3チーム採択いただきまして、それがNEP、TCPというような次の形で民間資金の獲得ということでスタートアップはつくってきております。
 次、お願いします。この今までの経験からすると、東大は、このGAPファンドをこれから入手する、そして、入手した後の実際事業化を磨き上げる、こういうところを担当しております。
 次、お願いします。結果的には、この4つのプログラムで今実行していまして、ファーストフェーズ、研究成果をどう事業化に生かしていくか、2番目は、その枠組みから見えてきた必要な人材、企業との連携を面談でマッチングを図る、そして、その骨子を肉づけするサードフェーズと、今後何をやって検証作業をやっていったらいいかという計画をつくるサードフェーズ、それを実際検証して海外の場で発表するフォースフェーズから成り立っています。
 次、お願いします。現在7チーム、これはこの真ん中に書いてあるところのチームが動いているんですが、この7チーム、4チームは、昨年のSCOREの採択チームが東大のプログラムに参加し、この緑の枠で書いたところは、今後のGAPファンドの応募をしている。つまり、教育とGAPファンドが車の両輪のように結構行き来しながら高めていく、こういうプログラムになっているところが、このGTIEのプログラムの特徴であります。
 また、86機関参加いただいているということなので、これを市場と結びつけていくということで、JETROを介して海外の有識者とつながる、そして、国内企業にインタビューやヒアリング機会をつくってもらう、こういう形の活動を進めております。
 以上です。
【島岡副所長】  続きまして、島岡から報告させていただきます。Skyward EDGコンソーシアムの取組成果報告と取組成果のGTIEへの展開でございます。
 次、お願いします。EDGE-NEXTプログラムでは、早稲田大学を主幹といたしますSkyward EDGEプログラムが、国内外との様々な機関の連携によるダイナミックなプログラム展開を行いました。国内では早稲田大学を主幹大学といたしまして、東京理科大学、多摩美術大学、滋賀医科大学、山形大学の非常に個性豊かな大学と連携いたしまして、様々なプログラムを展開しております。自治体では、富山県や東京都、北九州市と、また、海外では、日米欧三極の機関連携によるグローバルネットワーク形成ということと、アジアにおけるエコシステム形成を行いました。
 次、お願いします。主な成果でございますが、もともとの目標は5年間で5機関で5,320名の受講者数ということだったんですが、結果として、2万767名ということで、目標を大きく上回る4倍の受講者数、また、起業、新規事業件数も45件ということで、もともとの目標を大きく上回って達成しております。
 次、お願いします。こちらがコンソーシアムが提供した教育プログラムの全体像の一部でございます。ステップ1の意識醸成、ステップ2のアイデア創出、ステップ3の仮説検証、そして、ステップ4の実践への橋渡し、ステップ5の起業に至るまで、非常に様々なプログラムを各大学が提供しておりますし、それから、Skyward EDGEとして、合同プログラムも複数行っております。
 次、お願いします。こちらがGTIEで行います早稲田大学の役割でございます。早稲田大学は、アントレプレナーシップ教育の裾野拡大、外部連携、グローバル展開の役割を担うということで、小中高・教諭、それから、大学生、大学院生等々に、ここにありますようなプログラムを、一部民間資金も投入しながら展開していく予定でございますし、GAPファンド獲得チームにも展開する予定でございます。
 次、お願いします。EDGE-NEXTからGTIEへということで、Skyward EDGEコンソーシアムは、今後も連携の継続・発展を行っていきます。5大学コンソーシアム等の合同プログラムも継続実施いたしますし、単位互換制度も継続します。これらの大学は全てGTIEに協力機関として参加いただいております。早稲田大学も、T-UNITE、GTIE、それぞれ主幹機関として教育部門等を担っております。
 このように、EDGE-NEXTからGTIEへの連結というのも、皆様の支援等によりましてスムーズに行われておりますし、今後もこれを生かして、持続的・複層的なベンチャーエコシステムの構築に頑張っていきたいと思います。
 以上でございます。
【辻本副本部長】  では、最後に、我々の課題感と今後の方向性について簡単に述べさせていただきます。
 まず、大学の中のマインドの醸成、文化の形成が非常に重要だと思っています。より優れたシード、先生方、学生が次々と出てくる、そして、裾野が広がっていくことで、より最終的に質の高い多くの案件が出てくると思いますので、継続的な取組が必要だと思っています。今回GAPファンドをやらせていただいて、非常に有力なチームが、これだけの大学が集まるとこれだけ出てくるんだなというぐらいの手応えがありましたので、さらに拡張していくことが必要だと思っています。
 一連の一貫性のある取組を教育から実際の事業化まで、そして、民間に手渡していくところまで一貫して行っていくために、GTIEの内外での連携強化はさらに必要だと思います。ある機能は持ったアクターは参加しているけれど、別の機能がさらに必要とか、それから、地域や国境を越えたようなプラットフォームの拡大も必要だと思っております。こういった連携によって、より優れたシーズが大学を超えて形成されてくるようなことが期待されると思っております。
 さらに、教育、マッチング、起業家コミュニティの形成における情報技術の活用も重要だと思っております。
 教育に関しましては、実際に起業するようなことをカリキュラムに入れたようなビジネススクールのようなものが有効ではないかと考えております。大学の中でいい失敗をして、そこから成長していけるような仕組み、企業から起業人材をスクールに受け入れるような仕組みが重要だと思っています。
 最後に、越境型の起業家コミュニティですね。国境や専門分野、そういったものを超えたコミュニティが形成されることで、より強いチームが生まれてくるのではないかと考えております。
 以上になります。
【須藤部会長】  それでは、河野教授、鷲見室長より説明をお願いします。
【河野室長】  引き続きまして、名古屋大学と名古屋市のほうから、Tongali及び名古屋市の小中高生アントレ教育の取組について御紹介をさせていただければと思います。
 まず、Tongaliでございます。東海地区の大学が取り組むアントレプレナーシップ教育と起業支援活動のためのプラットフォームの総称でございます。
 ここにビジョン、ミッションを掲げておりますけれども、未来に繋がる価値を創り、届けることができるトンガった人材を育成すること。そして、大学から生まれてくる技術、研究成果、そして、アイデアを発掘して、イノベーションにつながるような、最初の起点となるような活動をここでは行っております。
 このTongaliプロジェクトですけれども、2015年から始まりました。東海地区の5大学、下にございますけれども、名古屋大学、豊橋技術科学大学、名古屋工業大学、岐阜大学、そして、三重大学、この5大学のアントレプレナーシップを実施するというところから始まっております。
 その後、今東京のほうから話がございましたけれども、EDGE-NEXTの採択、そして、SCOREの大学推進型、STARTの大学・エコシステム推進型のほうに採択いただきました。これに伴って、9大学、11大学、17大学というような形で、参画する大学も増えてきております。現在では、三重県、岐阜県、そして、愛知県、静岡県の浜松地区までの中で18大学が参画しているというところでございます。今年度は豊田工業大学さんが入って、現在も参画したいという大学がいるところでございます。
 当初アントレプレナーシップから始まったというところでございますけれども、この地域の5大学だけではなくて、この地域の学生、高校生から大学生、大学院生、社会人まで含めた形で、誰もが受講できる、参加できるアントレプレナーシップ教育の共通プログラムをつくるというところから始めました。
 この共通プログラムの年度の一番最初は、毎年マインドの醸成、マインドセットから始まっております。そして、その次に、スクール、いわゆるゼロから1をつくり上げるための思考や方法について学び、学生さんたちのアイデアと課題についてフィットさせることを考えさせていきます。夏休みに入ったら、コロナでなかなかできないところもあるんですけれども、ソーシャルアントレプレナーシップ研修などに参加していただいて、課題に対する解決策を練習問題として解いていきます。それに加えて、自分たちのアイデアを醸成していきまして、秋にアイデアピッチコンテストを毎年実施しているんですけれども、そこで学生さんたちに発表していただき、ここで入賞した学生チームが中心になってビジネスプラン、ビジネスモデルをさらにブラッシュアップさせていきまして、次の年に開催するビジネスプランコンテスト、その後のリーンローンチパッド、仮説検証、そして、海外研修というような形につないでいきます。
 今お話しさせていただきました共通プログラムというのは、このアントレプレナーシップの段階で言うと、2段階目から、マインドセットから6の始めぐらいまで、いわゆるアントレプレナーシップ教育とか起業に興味を持った学生を主対象としたものになっております。現在START事業では、その手前、こういうような教育とかに非常に興味がない学生さんにも、ぜひ気づきとか、この教育の大切さとかを知っていただくような事業ということを、いわゆる裾野の拡大、そういうようなことを実施しております。
 大学、18大学のところでは、1年生、2年生を対象とした教養科目で、そういう教育を実施するということ。そして、初等教育、小中高生などの裾野の展開というような形につきましては、名古屋市さんが実施するというところでございます。
 こういうようなアントレプレナーシップ教育、起業家の思考とか行動法則を学ぶことによって、自らは起業しないという方でも、ベンチャー企業とか、スタートアップとかで働くキャリア、または、将来企業からスピンアウトするような形のものにもつながっていく可能性が高いからというような形で実施しております。その後、高度化というところで、海外の大学と連動したようなプログラムとか、地域の自治体と連動したアクセラレーションプログラムにつなげていっているところでございます。
 教育の実績です。初年度、2015年、2016年というところは、共通プログラムを実施したと申しましたけれども、参加した学生さん、延べ数十名です。各種コンテストにおきましても、十数チームが参加しているというところから始まっております。
 これは現在です。名大での講義も1,000名以上が参加している形まで増えてきました。Tongali全体で、5大学に限ってなんですけれども、科目数も3倍に増えています。全体での教育受講者数も4,000人以上、そして、何としてもこのコンテストですね。受講する学生さんだけということではなくて、動く学生が増えてきたというところが非常にうれしく思っているところでございます。
 昨年度は8社がここから起業しております。少し御紹介させていただきますと、名大工学部の博士たちが起業した青山大岳、そして、理系の学生さんと文系の学生さんが融合してつくったエドギフト、岐阜大学では機能性繊維の開発をしている学生さん、留学生の起業と、非常に多岐にわたっております。多くのこの学生さんたちは、Tongaliのビジネスプランコンテストを大体経由して、その後の起業教育、仮説検証のプログラムを経由した後、NEDOのTCPとか、NEPとか、GAPファンドを経て起業するというケースが多くなっております。
 4つ御紹介させていただきましたけれども、アプリとかソフトウェアというような形ではなくて、学生さんの起業というようなことでも、研究成果とか、ものづくりのベンチャーが増えてきているというのが、この地区の特徴かなと考えております。
 アントレプレナーシップからTongaliが始まりましたと申しましたけれども、現在では、その活動も起業支援のほうにも広がってきているところでございます。教育から次のステージとして、シーズ育成系、こちらのほうは、自分たちの技術、研究成果が本当に事業の可能性があるかどうかを検討するステージになります。可能性があるということになったら、GAPファンド、インキュベーションプログラムのほうに上がっていきます。ここでは、先ほどの東京さんと同じなんですけれども、POCを固めていくというステージになります。ここで固められたら起業、起業した後、各大学では、メンタリングとか、オフィス、インキュベーション施設、ネットワーク、コミュニティ、称号授与というような形の各大学の支援策というのはあるんですけれども、地域でのファンド、大学ファンドというようなことも準備をしているところです。
 その後のアクセラレーションにおきましては、名古屋市さん、愛知県などが実施しております自治体のアクセラレーションプログラムに継続させていく、接続させていくというような形で、大学だけではなくて、自治体と一緒になって大学発ベンチャーを成長させていくというプラットフォームを現在構築しているところでございます。
 もう少し起業支援を御紹介させていただきますと、シーズ育成金ということをお話しさせていただきましたけれども、名古屋大学を含めた先の5大学では、スタートアップ準備資金と名称して実施しております。毎年、開発資金200万円弱掛ける10チームに開始資金を提供したりとか、そのチームに対する伴走支援というような形の支援を行っております。
 ステージが上がるとGAPファンドです。今年度におきましては、START事業で、昨年度はSCORE事業で実施してはいるんですけれども、開発資金として、条件はありますけれども、上限3,000万円の開発資金を提供させていただいた。加えて、仮説検証プログラム、メンタリング、そして、知識、ノウハウなどを提供した。起業後におきましては、地域での大学発ベンチャーファンドを用意しております。2016年に第1号ファンド、これは25億円で、日本ベンチャーキャピタルさんがGP、そして、2号ファンドは2019年度にBeyondさんがGPというような形で組成をさせていただいております。
 GAPファンドの実績です。昨年度は8大学を対象として実施させていただきました。45チームがエントリーをしているんですけれども、エントリーしたら普通すぐに審査をするというのが一般的かなと思うんですけれども、我々は、この45チーム、エントリーしたチームに、私みたいな産学連携の人間が全てのチームに伴走支援として入って、その技術、研究成果が誰の顧客の課題を解決するのかという仮説検証プログラムを2か月間実施いたします。それで、この審査におきましては、こういう技術に加えて、ビジネスプランについての審査を行います。結果、45チームに対して、昨年度は21チームが採択、そして、インキュベーションプログラムの提供というような形になります。
 時期が終わったらもう終わりというような形ではなくて、その後のフォロー壁打ち、次年度のSTARTエントリーとかというような支援も実施しておりますし、こういうような支援をしている結果、21チーム中4チームがもう既に起業したというところでございます。
 その他、環境の整備として、コミュニティ形成、イノベーションとか、起業に関係する人たちのコミュニティの形成以外にも、グローバル展開、シンガポール国立大学、ノースカロライナ州立大学と提携しながら、教育、研修などを進めているところでございます。
 ここからは名古屋市の鷲見のほうから、小中高生におけるアントレプレナーシップ教育について御紹介をさせていただければと思います。鷲見さん、お願いいたします。
【鷲見室長】  名古屋市スタートアップ支援室長の鷲見です。私からは、小中高生の起業家育成の取組について説明させていただきます。では、お願いします。
 Tongaliのプログラム、大学の取組につなげるために、名古屋市では、小学生、中学生、高校生の起業家育成を行っています。また、今、アントレ教育ではないんですが、スクールイノベーションというのを教育委員会でやっていますので、そこで全体を底上げしていただいて、とがった人材を育てていくという形にしています。
 また、後で説明しますが、上級コースとかを設定して、一連の流れで大学まで、また、起業までしっかり支援していけるような流れをつくっていきます。
 次、お願いします。小学生ですけれども、たまご塾ということで、カードゲームを通じて起業や社会について学んだり、また、地元起業家と交流するプログラムを行っています。対象が4年生から6年生で、2時間のプログラムになっています。
 この後ずっと出てきますけれども、我々、KPIとしてアンケート指標を取っていまして、起業や経済活動に興味を持った、起業に興味を持ったかということと、将来起業してみたいかどうかというのを、それぞれ小中高生に聞いています。これを1つの目安に、いろいろプログラムを考えながらやっています。
 また、上級コースを今年からやっていこうということで、一度受けた人は、引き続き受けられるように、少しルールを複雑化したものとか、起業家カードゲームというのを新しく作って、今進めているところでございます。
 次、お願いします。もう一つ大きなのが、トワイライトスクールというものがありまして、放課後教育なんですけれども、どうしても今のものだと申込制になりますので、もともと意識が高い方が申し込んでいる形になります。これをできるだけ裾野を広げるために、無関心層の方も参加していただけるように、学校の放課後事業を使ってのモデル事業を今年から開催していきます。1時間程度で、経済カードゲームをよりシンプルにしたものになります。トワイライトですので、低学年も含む形で進めていきます。ちょうど来週から5校スタートしていきます。
 次、お願いします。次に、中学生は、具体的にアプリなどを開発しながら進めていくというプログラムになっています。簡単なほうはプログラミングを学ぶという形なんですけれども、それに地元起業家による講演などを通じて、起業家意識を身につけていきます。
 また、今年から上級コースとして、去年も少し難しいコースをやっていたんですけれども、それを改変しまして、具体的にオリジナルなものをつくっていくということで、より起業意識、事業を新しくつくっていく意識を身につけていただくプログラムを始めていく形になります。
 次、お願いします。高校生なんですけれども、高校生はもう実際に事業がつくっていけるということで、実は起業家育成事業ではなくて、スタートアップ創出促進事業という名前でやっています。
 大きく2つありまして、次、お願いします。1つが、裾野を広げるために、広く講演会を開催していきます。例年、ここ2年やってきましたけれども、100人以上の高校生が参加されています。
 次、お願いします。もう一つ、コアなプログラムとして、6日間にわたる、ユースキャンプと呼ばれるプログラムを行っています。実際にビジネスをつくる体験ということで、手元資金を与えて、そこで実際に活動して、どのぐらい収入を得ることができたかということからスタートして、事業をしっかりブラッシュアップして発表していくという取組になっていきます。昨年は、ここから実際に起業した方なども出ておりまして、今年はアフターフォローというのをしっかり充実させようと思っていまして、もう実際に起業していったり、様々な事業活動をしていく方のフォローアップと、併せてその活動の場を提供させていただこうと思っています。
 次、お願いします。河野先生ですかね。
【河野室長】  最後になりますけれども、このように、我々、東海地域では、スタートアップ・エコシステムの起点となるアントレプレナーシップ教育、そして、ベンチャー起業活動支援を地域一体となって実施しております。
 が、まだまだ課題は残っております。裾野の拡大も、今、小学校、そして、大学の取組も御紹介させていただきましたけれども、まだまだ始まったばかりです。大学、Tongaliのほうでは、4年度になんですけれども、1万人にアントレプレナーシップ教育の展開ということを目標としているところです。
 それ以外にも、世界のマーケットを見据えたスタートアップの育成、そして、起業支援人材の育成、CxO人材不足とか、多々まだまだ課題が残っておりますけれども、地域一体となって今後も対応していきたいと考えているところでございます。
 以上でございます。
【須藤部会長】  ありがとうございました。
 それでは、ただいまの説明に対して御質問等ございましたら、お願いいたします。
 林委員、お願いします。
【林委員】  すみません。最初に質問させていただきます。
 特にGTIEのほうに対して、スタートアップを起業するというところまで、かなり綿密に検討されて活動されているというのはすばらしいなと思ったんですが、これ、起業後にどういうふうにされていくのかとか、単に起業までの教育ということを主体に目的があるのか、あるいは、大学発ベンチャーがきちんと持っていけるかという、大学発ベンチャーの実績というところまで見られているのかということと、それに関連して、産業界との連携というか、産業界の巻き込みというところが少し見えなかったんですけれども、その点どのように考えていらっしゃるか、教えていただければと思います。
【辻本副本部長】  ありがとうございます。
 2点ございまして、まず1点目ですが、協力機関のところのVC・CVC、そういったような都市機能を持っている方々に入っていただいています。大学VCもそうですね。そういった方々に、このGAPファンドの審査の過程で、現在公募を行っておりまして、1チーム当たり1機関ということで、東工大と契約を結ばせていただいて、VCから適切な方2名、入れ替わっていただいてもいいということで、5チームの中に入っていただくようにしています。
 先生ないしは学生とVCがその段階から一緒になって事業をつくっていくということで、特にグローバルコースに関しましては、制度上もそうですが、出資を検討するということになっておりますし、ユニコーンないしはスタンダードでもそうですが、こういう出資機能を持っているところが実際に伴走に入るというところで、その後、起業後、こちらのモデルを卒業した後でも、そういったパートナーがついて様々な人脈を拡大して事業化していくというところに対する支援の、そのまま続くかどうかは分からないんですけれども、少なくとも民間の人とこの段階でつなげるということを設計しております。
 それから、成果についてなんですけれども、GTIEがプロジェクトとして始まったのは去年11月ということですので、GAPファンドは今回GTIEとしては1回目ということで、13大学で取り組んでおりますが、そういう意味では、今回はスタートアップをつくる前、直前の人たちを対象としておりまして、もちろん、まだこれからということではありますけれども、参加している各大学からのスタートアップ創出というのは非常に活性化しておりますのと、昨年度複数のプラットフォームで実施しておりましたGAPファンドですとか、それ以前に参加大学が実施したGAPファンドからはスタートアップが出ておりまして、私が行っておりましたイノベーション人材プラットフォームからも、既に1社と、これから1社準備しているというところをお伺いしております。
【須藤部会長】  それでは、荒金委員、お願いします。
【荒金委員】  ありがとうございます。
 まず、GTIEのほうの今出ている11ページで構わないんですが。この教育とか支援のところなんですけれども、大学間の連携はすごくたくさんのところが参加なさっているということですが、教育するに当たって、やっぱり実際に起業なさっている方の数というのは、まだまだその中では少ないと思うんですけれども、今先生おっしゃったように、支援とか伴走する人たちのメンバーというのは、どういう形でフォローの体制を継続的につぎ込んでいこうかというところを少し教えていただければと思います。
【辻本副本部長】  非常に重要なポイントで、課題でございまして。
 まず、メンターのところは、先ほど申し上げたとおり、VC・CVC、特に政府系であったり、今公募して選定がちょうど終わったタイミングでして、10社選ばせていただきまして、各チームにそのVC・CVCの方が入っていただくんですけれども、そうそうたる有力な、特にかなり早い段階のところにコミットしていただけるようなVCの方々に入っていただいております。
 そういった方々、今回入っていただくとともに、今後、協力機関にも、まだ入られていないところが多いので、入っていただきながら、GTIEのネットワークを、そういう支援者、実際のプロフェッショナルの方々で、もちろん御自身でエグジットしたような経験がある方もいらっしゃったりしますので、あるいは、そういうVC・CVCからの連携で、そういった経営者人材ともつながっていけると思いますので、そういった強いネットワークが必要ですし、拡張していくということでおります。
 ファシリテーターのほうが、これがちょっと課題があるかもしれないです。大学ごとに体制が大分違っておりまして、長年取り組んできたような大学ですと、人材が豊富だったり、厚かったりしますけれども、この部分が大学間で層が違うので、この部分の方々のトレーニングとか育成というのはかなり大きな課題かなと思っておりまして、先ほどの課題で申し上げたスクールのようなところで、こういった方々も次々と育てていく必要があるかと考えております。
【荒金委員】  ありがとうございます。
 まさに受けるほうではなくて、先生がおっしゃった支援するほうとファシリテートする人たちの力量アップというんですか、視座を上げるということにもすごく役立つプログラムであるといいなと思いました。ありがとうございました。
【宮脇ディレクター】  東大の宮脇です。今の荒金様と林様の質問に対して、別の角度からお答えしたいと思います。
【荒金委員】  お願いいたします。
【宮脇ディレクター】  今までのEDGE-NEXTというのが、教育という段階で、なかなか次の段階に行けない。それから、国内で起業するケースは多いんですが、やはり海外に羽ばたいていくような人たちは極めて少ない。今回のこのGAPファンドのユニコーンというのは、通常のGAPファンドと違って、海外市場を開拓するために、日本のメンターではないんです。向こうの支援者とつないで、実際の市場開拓のための交渉をアメリカでやるというプログラムなんですね。
 だから、要するに、今までの国内の中で支援者をどう育てていくかということだけではなくて、海外のいわゆるエコシステムも活用しながら、海外に羽ばたくような人材を送り出していく。これが今回のユニコーンという形の新たな試みでやっていて、かなり有力な、それに、ユニコーンになりそうなチームがこれに参加していただいているので、ぜひこのプログラムで活用して、世界に羽ばたいていただいたらと思っています。
 要するに、市場との触れ合いが余りにも今まで少ないというところを、どうこの中で埋めていくかという形の活動も非常に重要かなと考えております。
 以上です。
【荒金委員】  ありがとうございます。
 机上の理論だけではなくて、非常に実践に基づいたプログラムがこのユニコーンの特徴だということで理解いたしました。
【須藤部会長】  ありがとうございました。
 ちょっと時間が押しているので、高橋委員、栗原部会長代理、小池委員も手を挙げているんですか。では、3人、簡単に質問のほうをお願いします。
 高橋委員、お願いします。
【高橋委員】  では、簡単に。今2つ御質問させていただきたいと思っておりまして、1つは、スタートアップの実ビジネスにどのくらいつながるようなプログラムになっているかというのを聞きたかったんですけれど、これについては、先ほどの御質問に対する御回答で、かなり実ビジネスにつながるようなプログラムになっているのかなというような印象を受けました。
 できれば、その検証、どのくらい実ビジネスにつながったかというところ、起業家がどのくらい生まれたか、起業した件数だけではなくて、本当にその起業したベンチャーさんたちがどのくらいビジネスとして成功しているのかというところまで見られるといいなと思いました。
 もう一つは、先ほどGTIEにしても、Tongaliのプロジェクトにしても、両方の御報告にもありました横串であったり、あとは縦の取組、縦というのは、私が申し上げたのは、高校生から社会人まで広く参加できるようなアントレプレナーシップのプログラムになっているというのがありました。辻本先生からも、コミュニティづくりというところで、越境型のコミュニティをつくるというようなお話があったんですけれども、アントレプレナーシップの教育をしていただくに当たって、そこら辺の枠にとらわれ過ぎないようなプロジェクト、取組、コミュニティがとても大事ではないかと思うんですが、その辺り、どのくらい力を入れて取り組みたいと思っているかというところをお伺いしたくて御質問させていただきました。
【須藤部会長】  ありがとうございます。
 ちょっと質問のほうを続けたいと思います。栗原部会長代理、お願いします。
【栗原部会長代理】  ありがとうございます。
 いずれの取組も大変すばらしいなと思ってお聞きしておりました。その上で、質問といいますか、コメントなんですが、3点ありまして。
 1つは、このアントレプレナーシップ教育についての対象の人たちですね。拝見しますと結構工学系が多かったりするんですけれども、こういう起業とかを考える上では、例えば、文系の中のいろんなファイナンスですとか、そういったチームがあったり、あるいは、マーケティングのチームがあったり、そういうチームワークが大変重要だと思いまして。ですので、大学の中でも、ほかの学部も含めて横断的にやるというのも効果があるのかなというふうに拝見していましたので、質問といいますか、コメントです。これが1点です。
 2点目に、先ほどの御質問に対して、宮脇先生のほうで、市場との触れ合いは重要だというふうにありまして、まさに拝見していて、非常にいい起業のアイデアまではできるんですけれども、ビジネスモデルまではできるんですが、本当の起業がどこまであるのかなと思うと、そこに1つ大きい崖があるような気がしまして。これをやっぱり高めるために、市場との触れ合いとか、それから、最後のピッチも、海外ですと、アクセラレーションプログラムですと、もうVCにピッチするというようなことで、非常に切迫感というか、があります。ですので、例えば、そういうような形で、本当にここで次の起業を目指すというところまでのもう一段の意識の高まりとか、あるいは、フィージビリティの高まりということが追加されるといいなと思いました。
 3点目が、その地域の地場で強い技術とか起業さんってたくさんあると思うんですが、そういうところの触れ合いとかつながりというのがちょっと感じにくかったところがありまして。恐らくプログラムの中とか、あるいは、その中に入っている方々の中にはそういう方もいらっしゃると思うんですが、社会課題ですとか、あるいは、プレで何かをつくるとかというときに、地域の企業と関わりがあるといいなと思いました。
 以上3点です。
【須藤部会長】  ありがとうございました。
 小池委員、お願いします。
【小池(美)委員】  質問ではありませんが、世界に羽ばたけるベンチャーをということで、感じたことを話します。私の会社は東北大発ベンチャーで、海外展開をしようというフェーズに来ています。そこで困ることは、英語力の低さです。やはり海外展開をするにはコミュニケーションが取れないとどうしようもありません。弊社には20人近くの社員がおりまして、平均年齢が30前半で、殆どが大学院までの教育を受けています。しかし、かなり英語ができませんし、交渉力とかディスカッション力もありません。海外ですと、そういう教育の時間があり、非常にうまくディスカッションができるようです。最近は日本の小学校等でも力を入れていると聞いていますが、現状は能力が不足しているために、語学力のある大学の先生にサポートいただいています。 先ほど、子供の段階からアントレプレナーの教育をと伺いしまして、早めに海外のアントレプレナーシップのクラスと交流し、実際に英語でもディスカション力を身につける機会を持っていただくと、非常に大きな刺激になるのではないかと思いますので、よろしくお願いいたします。
 以上です。
【須藤部会長】  ありがとうございました。
 後半の2つは主にコメントだったと思いますが、最初の質問に対して、発表された方で何か回答はありますか。
【辻本副本部長】  では、一言だけ。GTIEのほうは、これからコミュニティを設計するということで、設計まで一応ある程度はできていまして、実際に内製化して、中に人を配置して、これから取り組んでいくつもりで進んでいっておりますので、専門家を東工大として一緒にチームを組んで進めていくということを詰めております。
 以上です。
【須藤部会長】  どうもありがとうございました。
 後半の2つも、コメントですけれども、貴重なコメントだったと思いますので、ぜひ参考にしていただければと思います。どうもありがとうございました。
 それでは、次の議題(3)に移りたいと思います。今後取り組むべき施策の方向性についてでございます。まず、事務局のほうから説明をお願いします。
【邉田課長補佐】  ありがとうございます。資料3に基づきまして簡単に御説明をさせていただきます。
 実は、議題(1)、議題(2)のところで先生方に御議論いただいたところも内容として入ってくるというところでございます。
 今後取り組むべき施策の方向性について(案)というところで、まず1つ目、地域の中核・特色ある研究大学の振興(社会実装関係)というところでございます。
 先ほど高木先生に対して、井上課長からもお話ありましたけれども、参考資料2をお願いします。こちら、先ほどもありましたけれども、CSTIのほうで本年2月に取りまとめられている地域中核・特色ある研究大学総合振興パッケージというところでございます。
 めくっていただきまして、背景につきましては、先生方よく御存じのとおりかと思いますけれども、地域の大学を取り巻く現状としては、活動成果の側面として、新産業の創出、産業構造の転換に、地域の大学が貢献できていないであるとか、めくっていただきまして、特定分野に強い大学を取り巻く現状といたしまして、上位に続く大学層の厚みが形成されるよう、特色ある強みを伸ばす施策の展開が必要ということで、るる検討がなされまして、7ページ目、地域中核・特色ある研究大学総合振興パッケージということで、総合振興パッケージ、3つの観点で取りまとめられてございます。
 一番上の枠囲みですけれども、地域の中核大学や特定分野の強みを持つ大学が、“特色ある強み”を十分に発揮しということで、社会変革を牽引する取組を強力に支援していく。実力と意欲を持つ大学個々の力を強化するのみならず、先進的な地域間の連携促進、社会実装を加速する制度改革などと併せて、政府が総力を挙げてサポートする。地域社会の変革のみならず、我が国の産業競争力強化やグローバル課題の解決にも大きく貢献ということで、下の3つ、大学自身の取組の強化、繋ぐ仕組みの強化、地域社会における大学活躍の促進というところで、取組を強化、進めていくというパッケージとして記されてございます。
 次のページをお願いいたします。総合振興パッケージにおける支援全体像ということで、それを受けて図示したものでございますけれども、それぞれ、大学自身の取組の強化、先端的な取組にドライブをかける支援の仕組みということで、大学の強みや特色を伸ばす事業等を通じて、事業間の連動を図りながら、強みや特色の更なる発揮を支援して、それらを支える体制づくりとも連携していくであるとか等々の政府全体としての支援をしていくというところをまとめさせていただいているというところでございます。
 その次のページ以降、2-1、2-2、2-3と、各取組の強化についてお示ししているところでございますけれども、最後、27ページ、今後に向けてというところで、総合振興パッケージは、全国に存在する我が国の様々な機能を担う多様な大学が、戦略的な経営の展開を通じて自身の強みや特色を発揮し、研究力向上や人材育成等により新たな価値を創出するとともに、社会との協働により人文・社会科学も含めあらゆる知見を総合的に活用し、成長の駆動力としてグローバル課題の解決や社会変革を牽引することを目指すというところで、本パッケージ、中ほどにありますけれども、文部科学省で検討の緒に就いた、大学の強みや特色を伸ばす取組強化の具体化・実質化等に向けた議論の動向も踏まえつつ、今後、改定を行っていくというところでございます。
 その次のページ、参考として、研究大学に対する支援の全体像、世界と伍する研究大学については、大学ファンドによる大学の支援というところはなされているんですけれども、その下、地域の中核となる大学であるとか、特色ある特定分野で世界トップレベルの研究拠点を形成したり等々の大学について、しっかりとこのパッケージにおいて取組を強化していくという流れになってございます。
 続いて、参考資料3、こちら、今COI-NEXTで採択している本格型拠点及び育成型拠点の一覧という、これもイメージしていただくために、こういう今まで特色を持って、強みを持って、それを伸ばしていこうというところの取組に対して、こういうところに支援をしていただいているというイメージを持っていただくために載せさせていただいております。
 続いて、参考資料4、先ほどもありましたとおり、パッケージ全体を議論するということでございまして、大学研究力強化委員会について、こちらにつけさせていただいております。そこでの主な御意見を見ていただこうと思いますけれども、次のページをお願いします。
 1番、全学的な研究マネジメント体制の構築ということで、2つ目のところですけれども、URAや技術職員等の人材も含めた研究マネジメント体制については、直接的には成果は見えにくいけれども、適切に各種評価に組み込んでいくべきだ。一方、特に地方大学では圧倒的にURAが少なく、育成しても他大学や外部に流出してしまうことも多いため、実態を検討すべきであるというところ。
 また、その下でございます。外部資金を使うに当たり、時間も手間もかかり過ぎており、研究力向上を阻んでいると、そういうような実態もあるので、大学が十分に体力を蓄えることができるよう、URAや技術職員等の専門職人材を最大限に活用したりというところが、組織レベルでしっかりと対応することが必要なのではないかというふうな話。
 もう1枚めくっていただいて、2ポツとして、魅力ある拠点形成による大学の特色化、大学の研究基盤の強化というところでございますけれども。日本全体の研究力を上げるには、地方の中堅・小規模大学の研究力の強化が必要だと。小さなWPIのような研究拠点を設けられるようにするのが効果的ではないか。
 その下、大型のプロジェクトの申請や維持・発展は難しいということで、連携を促進していって、第2、第3のシーズを引き上げていく仕組みが重要ではないか。
 その下、構築した拠点や育成した人員等が、プロジェクトとしての支援終了とともに根づかないことが多いということで、大学自身が柔軟かつ戦略的に新たな研究を育てていけるような仕組みを持っていくことが必要ではないかというようなこと等が議論の中で出てきているというところでございます。
 それを受けまして、資料3に戻っていただきまして、1ポツ、地域の中核・特色ある研究大学の振興というところで、矢印、「知と人材の集積拠点」である多様な大学の力を最大限活用して社会変革を推進していくため、強み・特色ある研究力を生かして、地域発のイノベーション創出等に取り組む、研究大学を後押しというところの1つ目でございます。
 施策の方向性として、全体的にしっかりとこれからも充実させていくというところはあるんですけれども、新たな取組として、研究力向上に向け、地域の中核となる大学の研究面での強みや特色を最大限生かす取組を後押ししていくべきではないかというところを考えてございます。
 1枚めくっていただいて、イメージですけれども、こちら、大学研究力強化委員会の公表資料からでございますけれども、総合振興パッケージの今後の方向性(イメージ)というところで、当然、大学全体の研究力の底上げのために、基盤的活動の強化、緑のところもあるんですけれども、特に今回のところは、中ほどにあります赤いところについて、しっかりと新しい取組をしていくべきではないかと考えているところでございます。
 真ん中にありますとおり、WPIであるとか、COI-NEXT、もっともっと違うところでも魅力ある拠点形成による大学の特色化みたいなものを今図っているところでございますけれども、そういう特色や強みをしっかりと形成していただいているところについては、更なる発展に向けて、それを核として、しっかり大学をどう発展させていくのか、リソースの再配分も含めてかもしれませんけれども、そういう経営として、それを核に研究力の向上であったり、研究活動の国際展開、社会実装の加速・レベルアップを実現できる環境を整備していく。特色ある研究の国際展開、地域の経済社会、国内外の課題解決に向けていくというような取組を支援するということを考えてございます。これはこれから予算要求をしていくということでございますので、なかなか規模等々についてはお答えすることができないところではありますけれども、そのための調整を今始めております。
 当然、大学任せというようなことではなくて、横に書いてある一気通貫の伴走支援体制の構築というところでございまして、我が省内の体制もしっかり整えながら、どの目的に対してどういうような経営戦略もしくは研究戦略を構築していって、どういった人を、例えばURAであるとか、知財であるとか、国際契約であれば保護的なところの専門人材の強化であるとか、そういうようなところの強化をして、どういうふうに大学自体を発展させていきたい、研究力の向上を図っていきたいのかというところをしっかりお聞きして、伴走支援をしながら支援をしていくという体制も含めて、しっかり整えていってはどうかというふうなことを考えてございます。
 戻っていただきまして、資料3の1ページ目、続きまして、大学を中心としたスタートアップ・エコシステム形成の推進ということでございます。
 参考資料5をお願いします。スタートアップ創出元年ということで、これから年内にアクションプランである5か年計画というものをつくっていくということになってございますけれども、先ほど来、拠点での各種取組のところにもあって、委員からも御発言等々ありましたけれども、我が省として関係するところとしまして、その下にあります起業家育成の強化、都市・大学の機能強化といったところが、これは総合科学技術・イノベーション会議第61回の資料から抜かせていただいておりますけれども、スコープに入ろうかというところでございますけれども、特に起業家育成の強化であるところでは、政策の方向性として、先ほど来御議論もありました初等中等教育段階からの起業家教育、STEAM教育を強化といったところ等々、全体的にスタートアップ・エコシステム形成について抜本的強化策を取りまとめていくというところでございますけれども、特に文科省に関係するところとして、こういうようなところも取り上げられているという状況を踏まえまして、資料3に戻っていただきまして、3ページ目をお願いします。
【須藤部会長】  議論する時間がなくなってしまうので、もう少し簡潔にお願いします。
【邉田課長補佐】  すみません。すぐ終わります。
 ここでも書かせていただいておりますけれども、充実の方向性ということで、今までやっているところの充実も図りながら、特に小中高のアントレプレナーシップ教育プログラムの裾野拡大というところもしっかりやっていきたい。
 その次のページ。ということで、拡大方策(案)、EDGE-PRIME Initiativeということで、スタートアップ・エコシステム拠点都市においていろいろやっていただいているところでございますけれども、760万人の小中高生が所在しているというところで、そこに対して、教育課程外を中心になるかもしれませんけれども、その横、学生を含め、若手起業家等によるセミナー・出前講座・プログラムを提供するようなところも含めて、種々こちらに対しても取組を拡大させていきたいと考えておるところでございます。省庁横断で一体的に推進していきたいというところでございます。
 すみません、長くなりまして。以上でございます。
【須藤部会長】  ありがとうございました。
 今後の方向性ということで、かなり自由なテーマですけれども、残り10分ほどありますので、少し自由に議論してみたいと思います。
 佐々木委員、お願いします。
【佐々木委員】  九大の佐々木です。まずは、アカデミアに対していろいろな検討をしていただいていて、非常にありがたく思っております。ありがとうございます。
 私からは、特に大学ファンドで、特に数大学にかなり支援がされることになると思いますし、そうすると、それ以外の大学、特色ある大学とか地域の中核大学への支援も御検討いただいているのは非常にありがたく思うんですけれども、かなりギャップが広がるのではないかなというのは、多分アカデミアの多くの先生方の心配事項かなと思います。
 なので、ぜひ世界と闘う大学だけではなくて、ある程度のステップを踏んで、大中小のそれぞれの大学がそれぞれ頑張れるような、やる気が出るような施策を考えていただければと思います。コメントに近いですけれども、よろしくお願いします。
【須藤部会長】  ありがとうございました。
 10人ぐらいの人が手を挙げて、あと残り10分ありませんので、取りあえず順番に、1人1分ぐらいで短めにお願いします。
 宝野さん、お願いします。
【宝野委員】  地域の中核大学の特色ある分野を伸ばすために拠点化していくという案、大いに賛成なんですが、その際に、やはり一大学だけで固まらずに、日本の研究で今非常に問題になっているのは、人材が十分にいないということだと思います。ですから、拠点を形成されたら、そのときにオールジャパンで様々な大学、あるいは、国研等から人材がクロアポとかいった形で参画できるようなデザインが望ましいのかなと思いました。
 それから、これは共創の場やオープンイノベーション拠点に関しても全く同じでございまして、オープンイノベーション拠点をスポンサーするときは、例えば、他機関からもコアになる研究者を招聘するとかいった仕組みが大切ではないかと思います。
 それから、スタートアップ・エコシステムに関しましては、全ての研究機関がこういったスタートアップ支援を十分にやっていく体制を取るのは非常に困難ですから、地域ごとにエコシステムが形成されて、様々な形でスタートアップ支援ができるようになるということが望ましく、私たちもそういったものができれば使わせていただきたいなと思っております。
 以上です。
【須藤部会長】  どうもありがとうございました。
 それでは、山本委員、お願いします。
【山本委員】  山本です。私は、沖縄県に、私が提案したんですが、県のGAPファンドというのをやっていまして、これは何年かやっていて、先週もその審査に行ってきたんですが、1件最大500万で、最大3年間というものです。
 事業化を目的としたものになるんですが、これ、何かというと、大体1年間20件、1億円の予算しかないんでけれど、20件なんですが、先週は41件応募があって、ずっと審査していると、私、琉球大学でこの先生が非常に面白いなとか、こういう強みがあるんだなとか、沖縄高専からも申請があるし、OISTからももちろんあるんですけれど、というのが物すごくよく分かってきます。
 その中には、もしかすると本当にグローバルに、これ、すごいことになるのではないかなというシーズもあるんですよね。なので、地域の特徴を生かしたとかという、よくそういうせりふは出てくるんですが、GAPファンドを自治体でやるというのが、一番その地域の特性を生かしたシーズがどんどん出てきて、スタートアップ・エコシステムにつながってくるというので、分かりやすいのではないかなと思っています。
 ちなみに、この話をいろいろしていたら、神戸市も今神戸市のGAPファンド、これは医療に特化したものですが、そちらも私が審査をやっているんですが、始めているというような状況で、その輪を広げていったほうが、現実的には本当に特徴が生かせるものになるのではないかなと思っています。
 以上です。
【須藤部会長】  ありがとうございました。
 次は、長谷山委員、お願いします。
【長谷山委員】  手短に発言させていただきます。この部会で議論することではないかもしれませんが、参考資料2の28ページ、研究大学に対する支援の全体像として、地域中核・特色ある研究大学総合振興パッケージが記載されています。極めて重要なもので、国際卓越研究大学がどのように選ばれるのかだけでなく、この事業全体で日本の今後の科学技術力を向上するために、大学がどのような役割を担うのか、大変に注目を浴びていると思っています。御支援いただいている文科省に大学人として心から感謝します。
 一方で、資料3の2ページを拝見しますと、地域中核・特色ある研究大学総合振興パッケージの今後の方向性(イメージ)の中に、大学間の連携・ネットワークのハブ機能強化が記載されていることは理解ができるのですが、それに並んで、WPIやCOI-NEXTが明示されています。特別に、この2つだけがこのように示されますと、2月1日開催の総合科学技術・イノベーション会議から外れて理解されるのではないかと思います。
 また、一気通貫の伴走支援は、今までの文科省の事業の中でも掲げられていると思います。そもそも、この地域中核・特色ある研究大学総合振興パッケージは、新しいコンセプトで打ち出され、皆が注目しているときに、WPIやCOI-NEXTの既存の2事業だけが特別に明記され、さらに今まで文科省が実施なさって来た伴走支援が記載されると、今後行われる選定評価に誤解を与えるのではないかと思います。非常に重要な資料ですので、本来の目的が理解される資料にまとめていただきたいと思います。
 以上です。
【須藤部会長】  ありがとうございました。
 すみません。ちょっと大事なコメントだったので、井上さん、何かありますか。
【井上課長】  ありがとうございます。
 ちょっと時間も限られていますので、また別途御説明したいとことも思っております。
 十分説明し切れていない部分はありますけれども、まさに新しいものとしてということで、かなり局課を超えて、今までと違う進め方になるものというので準備を進めているので、先生のコメントも踏まえまして、またちょっとブラッシュアップしていきながら、あと、世界と伍するより、丁寧にやっていかなければ、丁寧というのは変な意味ではないんですけど、やっぱり学校ごとのいろんな規模感みたいなことも考えて、一緒に我々も考える体制を取りたいと思っていますので、また引き続き御指導のほど、よろしくお願いいたします。
【須藤部会長】  井上さん、やっぱり長谷山先生と一回、別に話してみてください。
【井上課長】  そうですね。
【須藤部会長】  ちょっと違った角度から物を言っているような気がするので、よろしくお願いします。
【井上課長】  はい。
【須藤部会長】  それでは、西村委員、お願いします。
【西村委員】  ありがとうございます。
 長谷山先生の意見に私は賛成です。これから出していく予算について、その在り方を再認識することもそろそろ重要な時期に来ていると思います。
 それと、支援という言葉がずっと残っていることに違和感を感じています。大学側は、お金を頂いて何かしていただく、何かそういう一方向が見えていて、アウトプットに対する責任の採らせ方とか質の管理というのが本当にできているんだろうかということが気になります。先ほどもアントレプレナーシップ教育に関する報告がありましたが、御意見の中にもあったけれども、じゃ、幾ら稼いだのか、幾ら稼げそうなのか、投下した予算は回収できるのか。これ、アントレプレナー教育だと絶対だと思うんですよね。
 その視点で見ると、アウトプットに対して実質的な評価を行う仕組みをこれからは入れ込むべきです。これからもお金はどんどん大学に流れると思うんです。これはすごくいいことだと思うんです。ただ、それを生かすしくみにすることに、もう少し重点を置いて考えられるのがいいのかなと思います。予算主義から決算主義のような感じの転換が恐らく必要になります。ただ、大学側については、私が見ていて思うのは、成果の報告を行うときに、文科省の顔色を見て出していくような感じの出し方があるのも確かだと思います。だから、もうお互いに、結果に対する評価の仕方を変えませんかということについて考えないと、せっかく投下する予算が生きてこないかなと思います。コメントなのかどうか分からないですけど、私はそういうふうに感じながら報告の内容を見させていただきました。
 以上になります。
【須藤部会長】  どうもありがとうございました。
 次は、江戸川委員、お願いします。
【江戸川委員】  江戸川でございます。私から1点コメントをさせていただきます。
 スタートアップ・エコシステム形成支援事業の活動について、今日、各拠点の説明もありました。ここでやっぱりマインドの醸成がされて、裾野を広げるという施策、ここが充実してきていることは非常にいいことだと思うんですけれども。今後やはり重要なのは、誰しもが納得する大きな成功実績を多く出していくことだと思いますので、そこの質の観点から意見を述べさせていただきます。
 私の立ち位置というのは支援者の見地になりますけれども、ユニコーンを狙えるような有望なシーズに出会った場合、やっぱり地域性よりもトップクラスの支援者に支援してもらいたいというふうに考えますので、私自身は日常的にそうしたアレンジを行っているわけですが、今日御説明のあったGTIE以外の7拠点において、VC等の支援者についてベストな支援体制を構築するというのは、難しい面もあるのではないかと思います。
 その意味では、ユニコーンを狙えるような有望なプロジェクトには、質の高い支援が受けられるような全国区のユニコーン・エコシステムと仮に申し上げますけれども、そういった全国区のエコシステムを強化していって、強固に連携することを前提に、施策の役割分担を行っていくということも同時に考える必要があるのではないかと思っております。
 例えば、質の高いVCを認定して支援体制を構築しているSTARTの起業実証支援型、旧プロジェクト支援型をより強化して、ユニコーンを目指せるプロジェクトは、こちらを優先的かつ高確率で活用できるようにするといったことも一案ではないかと思いますので、今後、裾野が広がった効果として、質の高いプロジェクトというのも増えてくると思いますので、地域のエコシステムとユニコーン・エコシステム、この両方をバランス良く後押ししていただければと思っております。
 以上です。
【須藤部会長】  ありがとうございました。
 最後ですが、小池委員、お願いします。
【小池(聡)委員】  すみません。では、ちょっと手短にお願いします。
 ちょっと細かい点なんですけれども、1つは、地方大学を中心にしたいろいろ活性化の中で、小中高アントレ教育等のところがありました。事例も紹介されました。
 私、経済産業省の「未来の教室」、STEAM教育の担当もして、実際に授業なんかも地方の高校でやったり、あとは、文科省の別のプロジェクトで、マイスター・ハイスクールの委員もやらせていただいて、実は、地方の中高生、特に高校生の地域課題に対する観点というのは非常に鋭く、なおかつ、授業でビジネスプランコンテストもやらせていたんですけれども、私もアメリカ、日本で長くベンチャーキャピタリストをやっていましたが、びっくりするようなレベルの高いプレゼンも中にありました。
 ですから、ここの小中高アントレ教育、そこをシームレスに地方大学とつなげて、地方大学の学生自体が、その地方の課題を知っている地方の人であるということでないことも多いものですから、そういった意味で、そこからグローバルに持っていくような仕組みで、ぜひここをシームレスにつなげていただきたいなと思いました。
 あと、これまでのCOIで私、9年間経験させていただいて、拠点を見た中で、URAの活用というのが非常に有効であるんだけれども、有効に機能していないケースが多いということを見てきました。逆に、適材適所がなかなかうまくいっていない。このURAは、こっちの拠点であればすごくワークするのにというようなこともありましたので、逆に、流動性とか、育成ネットワーク、金沢大学の山崎学長なんかは、この辺すごくやっていらっしゃいましたけれども、ぜひURAの有効活用というのを推進できる形を詰めていただきたいと思いました。
 最初の頃に、もう一つ、これは最後になりますけれども、大学のプリンシパル投資に関してなんですけれども、ここに関しては、自治体GAPファンドといろいろ意見があって、非常に有効だと思いますけれど、やはりここにはコミットして、これを面倒見てくれる、アメリカで言うと、私もシリコンバレーで投資をしていたときは、ほとんどVCが投資する場合は、エンジェル、メンターがついて、その人が、少額ですけれども投資もして、コミットして、そのインナーサークルの中で、次のシリーズA、シリーズB、シリーズCみたいな形をきちっと誘導する。あとは、リクルーティングも含めてやるということがワークして初めて成功企業が出てくるという図式のエコシステムを大分見てきました。
 ですから、これ、全体の仕組みだけではなくて、誰が初期の段階でコミットしてやるかは非常に重要だと思いますので、アメリカなんかですとエンジェルのネットワークがかなりありますけれども、その手の切り口の仕組み、あとは、直接投資を、ファイナンシャルなエクイティ投資をしないでも、スエットエクイティといいますけれども、汗をかいて対価として株式をもらうような仕組みが、先生方、あるいは、大学にもあってもいいのではないかなと。そういう制度設計も考えられたらいいのではないかなと思いました。
 以上です。
【須藤部会長】  ありがとうございました。
 今の小池委員の最後に言われたところ、非常に重要なところで、チームづくりというのは本当は大事なところだと思います。
 まだこの後もこの方向性で議論していきますので、今日いただいたコメントを随時反映しながら方向性をまとめていければと思います。どうもありがとうございました。
 それでは、少し時間をオーバーしてしまいましたけれども、最後に事務局からお願いします。
【邉田課長補佐】  ありがとうございます。
 貴重な御意見、いろいろありがとうございます。超特急で今予算要求に向けて調整中でございますので、ぜひとも反映させていただきたいと思っています。
 また、説明が長くなりまして時間超過しまして、大変申し訳ございませんでした。
 次回の部会でございますけれども、次回開催は未定でございますので、改めて日程調整をさせていただき、決まり次第、御連絡させていただきます。
 また、議事録についてでございますけれども、本日の議事録については、事務局から委員の皆様にメールにてお送りいたしまして、御確認いただいた後、文科省ホームページで公開いたしますので、よろしくお願いいたします。
 以上でございます。
【須藤部会長】  ありがとうございました。
 それでは、本日の部会をこれにて閉会としたいと思います。ありがとうございました。
 
―― 了 ――

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