産業連携・地域振興部会(第3回) 議事録

1.日時

令和3年11月30日(火曜日)10時~12時

2.場所

オンライン(Webex)

3.議題

  1. 1.令和4年度概算要求等について
  2. 2.地域の中核となる大学の振興(社会実装関係)について
  3. 3.国立大学法人等からの出資範囲について
  4. 4.その他

4.議事録

【須藤部会長】 それでは、ただいまから科学技術・学術審議会産業連携・地域振興部会を開催いたします。
本日は、20名のうち19名が参加しておりますので、10名以上という定足数を満たしております。
それから、今回、議題の関係で徳島大学の取組について御説明いただくために、徳島大学の野地学長にも御出席いただいております。
初めに、事務局の方からお願いいたします。
【浅井課長補佐】 須藤部会長、ありがとうございます。文科省産地課補佐の浅井と申します。本日はお忙しい中、御出席いただきありがとうございます。
本日の資料3-3ですけども、発表者による差し替えがございます。文科省のホームページ上に既に掲載されているものについては、会議終了後に差し替えさせていただきます。御了承いただければと思います。
まず、10月1日付で組織再編がありまして、課名が産業連携・地域振興課となっておりまして、地域支援室の方が拠点形成・地域振興室に名称が変更となっておりますので御報告させていただきます。
また、人事異動がございましたので、新しく着任いたしました事務局の御紹介を申し上げます。拠点形成・地域振興室長の梅原弘史でございます。
【梅原室長】 梅原です。よろしくお願いいたします。
【浅井課長補佐】 また、科学技術・科学政策局長の千原及び産業連携・地域振興課長の井上、あと我々事務局が何名か参加しておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
会議に先立ちまして、まず、ウェブ会議を円滑に行う観点から、今から申し上げる事項について御配慮いただけますと有り難く存じます。
マイクは、ハウリング等を防止する観点から、発言時以外はミュートにしていただきますようお願い申し上げます。また、発言時においては、あらかじめお名前をおっしゃっていただきますようお願い申し上げます。
大変僣越(せんえつ)ではございますが、各参加者皆様のお名前の表示やミュート設定等について、事務局において設定を切り替えさせていただく場合がありますことをあらかじめ御了承ください。
御意見、御質問等を頂く場合がございますが、御意見等ございましたらWebexの挙手ボタンを押していただきますようよろしくお願いいたします。
それでは、須藤部会長、お願いいたします。
【須藤部会長】 本日の議事につきましては、議題1としまして、令和4年度概算要求等について、議題2として地域の中核となる大学の振興について、議題3として国立大学法人等からの出資範囲についてを予定しています。
まず、議題1では令和4年度概算要求等について、これも事務局の方から報告をお願いします。
【浅井課長補佐】 文科省産地課の浅井です。よろしくお願いいたします。資料1-1を御覧いただければと思います。
概算要求の方ですけれども、第2回のときに資料3-2ということで、今後取り組むべき施策の方向性ということで、参考資料1の方にもつけさせていただきましたけれども、その方向で概算要求を行わせていただいております。
今、出させていただいておりますけども、新たな社会や経済の変革が世界的に進む中、コロナショック後の未来を先導するイノベーション・エコシステムの維持・強化に向けての施策となっております。
特に、地域の中核となる大学等が強みや特色を最大限に生かして発展できるような、大学のミッション・ビジョンに基づく戦略的運営の実現推進の観点、また、大学発ベンチャーやアントレプレナーシップ人材の育成を推進して、大学を中心としたスタートアップ・エコシステムを強化するという観点、更に一番下の帯のところですけども、組織対組織の本格的な産学連携を通じたオープンイノベーションの推進によって、企業だけでは実現できないイノベーションの創出を実現するという大枠になっております。
ざっくり、今回の要求のポイントとしては、地域の中核となる大学の振興の社会実装関係が産学連携の関係では出ておりますけれども、ここの部分では、共創の場形成支援という部分と、START事業のうちの大学・エコシステム推進型ということで拠点都市を支援していくという事業が中心となっておりまして、それぞれ、今年度が137億のところ要求は174億、スタートアップの方では約7億のものを24億という形で要求させていただいております。
2個目のスタートアップ・エコシステム形成推進のところですけれども、先ほど申し上げたものも含めて、大学発の産業創出につなげるということでSTARTの事業を約20億から約41億に、また、EDGE-NEXTのプログラムが終了することから、全国展開ということで後ろに資料をつけさせていただいておりますけれども、約1億円の新規事業を要求させていただいております。
また、最後、産学官連携による価値共創の推進ということで共創の場形成支援とそれ以外、オープンイノベーション機構、地域イノベーション・エコシステムとA-STEPについては着実な要求をさせていただいているところです。
次のページを御覧いただければと思いますけれども、共創の場形成支援のところ。こちら右肩の要求額は先ほど申し上げたとおりですが、事業概要のところにありますけれども、こちらは令和2年度から始めた事業ですが、着実に新規拠点を採択できるようにというところと、事業概要のポツ二つ目のところにありますけれども、地域の中核となる大学の可能性を最大限引き出すために、地域共創分野等の拡充に加えて、URAや経営層等の大学マネジメント人材の育成・確保、また、大学スタートアップ創出のための体制構築についての先導的取組を追加的に支援したいということで要求をさせていただいているところです。
ページを2枚めくっていただいて4ページ目になります。STARTの事業の方では、先ほど申し上げました左下のところ、スタートアップ・エコシステム形成支援のところを拡充ということで、今年度4拠点分のみの支援となっておりますので、ここを8拠点分に、そして額も増額したいということで要求をさせていただいております。
更に1ページおめくりいただきまして、5ページ目、こちらが新規の事業として全国アントレプレナーシップ醸成促進事業という形で、背景・課題のところにちょっと記載がありますけれども、アントレプレナー人材の育成というのを我が国全体で進めていきたいというところです。ただ、現状では、昨年度の調査によりますと約3万人しか受講できていない、約1%の学生しか受講できていないという状況にあります。これをスタートアップ・エコシステム拠点に置いて着実に推進していくのに加えて、その成果を全国に展開していくことが必要だと考えております。
そのため、事業概要のところにありますけれども、それぞれのアントレプレナーシップ教育の実施状況とその効果をちゃんと調査して、収集した効果的なアントレプレナーシップ教育の事例若しくは方法を全国の大学に展開すると。これによって着実なアントレプレナーシップ醸成を推進していきたいという要求になっております。
以上が全体になりまして、最後のページに、地域の中核となる大学の振興ということで、後ほど、この次の議題のところで扱うものについて、先ほど申し上げた共創の場形成支援と、大学発新産業創出プログラム(START)の大学・エコシステム推進型が中心となる事業として、今回概算要求で打ち出させていただいているという状況になります。
続きまして、資料1-2の方に行きまして、令和3年度補正予算案として、先週10月26日に概算が閣議決定されましたけれども、ここの中で、新産業創出に向けたスタートアップ・エコシステム機能強化として、補正予算額案ですけれども、50億円という形で計上させていただいております。
事業内容のところに、スタートアップについて、大学のスタートアップを総合的に環境整備すると。1のところですけども、拠点都市の部分について機能強化を加速していただくためのもの、ギャップファンドプログラムの構築・運営やDemo Dayの開催とか活動の場の整備等を支援したいというふうに考えております。
また、2のところですけれども、平成26年度から実施しておりますSUCCESSでは、JSTの研究成果を活用しようとする大学発のスタートアップについて、金銭出資等を実施するという事業を実施しておりますけれども、ここについて追加出資を行って、この事業を更に推進していきたいという補正予算案の中身になっております。
以上になります。
【須藤部会長】 どうもありがとうございました。今、説明がありましたけれども、質問、御意見等を伺いたいのですが、この後の議題とも関連しますので、議題の2の後にまとめて御意見、御質問等をお受けしたいと思います。
それでは、次の議題2としまして、地域の中核となる大学の振興につきまして、これも事務局の方から説明をお願いします。
【梅原室長】 資料2につきまして、室長の梅原から御説明させていただきます。
地域の中核となる大学の振興についてでございます。
2ページをお開きください。政府においては、8月のCSTIの本会議において、当時の菅総理から、地域の中核大学が特色ある研究成果をもとに新しい産業を生み出せるように、必要な政策パッケージを今年度中に取りまとめますと表明されました。それを受けて、政府全体として今検討を進めておるところでございます。
3ページは、研究大学をカテゴリーに分けてございますけれども、一番上の黄色い枠のところに、世界と伍する研究大学というふうに書いてございますが、現在、大学ファンドによる支援について、CSTIを中心に議論を進めてございます。大学ファンドにつきましては、早くとも令和6年度以降の支援を目指しており、世界と伍する研究大学については、ファンドを通じて支援を強化する、そのような方針でございます。
また、右横の黄色の部分でございますけれども、ファンドを通じて博士課程学生への支援も検討しておりますし、今年度から先行して予算措置をして、一部進行してございます。
また、更に青枠の部分でございますけれども、世界と伍する研究大学以外の大学にも、特定分野で世界に比肩する研究力を持っているところとか、地域の課題解決に資する研究をやっているところについても支援をしていくということで、現在、地域中核・特色ある研究大学総合振興パッケージ、略して総合振興パッケージを年度内、1月末ぐらいに取りまとめるべく作業を進めております。
下の方に緑とか青でございますけれども、産学官連携とか、地方創生とかを先行して取り組んでございます。支援策につきましては、先ほど浅井の方から申し上げましたように、JSTの共創の場支援プログラムをはじめとして、関係施策を令和4年度の概算要求でも拡充できるようにお願いしておるところでございます。
一方で、青枠の中のオレンジの部分でございますけれども、各大学のきらりと光るような、まさしく「研究」の部分でございますが、産学連携とか、そういったものだけではなくて、研究力もしっかり伸ばしていくという観点も大変重要だというふうに考えてございますので、ファンドの支援の方向性を見ながら、パッケージの中でしっかり支援していきたいというふうに考えております。
また、これは令和4年度に一度取りまとめたら終わりということではなくて、そういった部分も議論を積み重ねて、令和5年、令和6年に向かってパッケージをどんどん充実していきたい、そのように考えてございます。
4ページは、地域中核の総合振興パッケージのアウトラインを書いたものでございます。一番上の枠囲いにございますように、地域の中核大学、特定分野に強みを持つ大学が、その特色ある強みを十分に発揮して、社会変革を牽引(けんいん)する取組を強力に支援すること、また、その制度改革などについて政府が総力を挙げてサポートする、そういった方向性でございます。
3本の柱を掲げておりまして、1点目は、大学の強みや特色を伸ばす取組の強化、これは政府に様々な支援策、我が省にも各省にもございますけれども、それらを一体的に使って取組を強化していくということ。
また、2点目、つなぐ仕組みの構築ということで、産学官ネットワークや社会実装、そういった仕組みをしっかり強化していく。
また、3点目、地域社会における大学の最大活用の促進ということで、これも各府省の取組等をしっかりつないでいくというところでございます。
次のページをお願いいたします。今説明したことを1枚にまとめたポンチ絵でございます。木のベースとなるところに丸1と書いておりますが、地域の中核となる大学がその強みや特色を伸ばす戦略的経営をされたときに、その左側丸2にあるような、そういった取組にドライブをかける支援の枠組み、我が省で言いましたら共創の場、WPIや人材育成支援事業、そういったものを通じてドライブをかけていくとともに、右端の丸3のところ、文科省内の連携体制の構築、これまで各課ばらばらでやっていたような部分についても、しっかり情報共有の上、各課連携協力して伴走支援をしていく。また、その上の4ポツ、各府省間でしっかり事業連携を図って、伴走支援していくというようなことを検討してございます。
また、一番下にございますけれども、国立大学運営費交付金でありますとか、経営改革促進事業、私学助成、そういった部分につきましてもこれらを全てパッケージとして連動させて一体的に支援していく、そういう絵を描いてございます。
6ページにつきましても基本的には同じことを書いてございますが、右上の枠にございます産学官共創という点では、今、共創の場形成支援、また、大学発新産業創出プログラム(START)ですとか、あと地域活性化人材育成事業、こういったものを中心に据えて取り組んでいきたいというふうに考えてございます。
7ページを飛ばして、8ページをお願いいたします。先ほど各府省の連携というようなことを申しましたが、例えば、これは地域脱炭素ということに絞ってイメージを書いてみたものでございます。地域脱炭素というだけでも各省にこれだけの施策がございます。左端にありますような文科省の共創の場でありますとか内閣府の地方大学・地域産業創生交付金事業、そういったものをベースにしながら、各省の取組にしっかりつないでいく。それを、窓口をまず、しっかり可視化して、さらに、実際の取組にしっかりつないでいくと、そういったことを想定しておるところでございます。
パッケージの説明は以上でございます。
【須藤部会長】 ありがとうございました。
それでは、最初の議題1、それから今の議題2の説明につきまして少し議論をしたいと思います。御意見あるいは御質問等ありましたら挙手をお願いします。挙手機能で示していただければ、こちらで把握できますので、お願いいたします。いかがでしょうか。
突然ばっと説明があって、なかなか質問といっても難しいと思うんですけれども。
梶原委員、いかがですか。
【梶原委員】 御説明ありがとうございました。
資料2の地域の中核となる大学の振興についてです。冒頭御説明がありましたように、研究と社会実装について、それぞれ大学によって個性や、バランスがあり、両方とも重要だと思います。各大学がどういう方向に力を入れて、あるいはどういうビジョンでやっていくのかということに基づいて、研究と社会実装のそれぞれを応援する施策が打ち出されていくことは非常にいいことだと思いますので、正にそのパッケージとして進めていただければと思います。
社会実装について言いますと、4ページの下の方で、大学の意識改革とか自治体の意識改革という表現がありますが、正に今までと考え方を変えるとか方向性を変えると言っている中で、例えばここでは大学に対してのインセンティブを付与するとありますが、実際に動く研究者の方々に対しても、これがすごく意味ある、評価されることなんだということを知らしめていかないと、うまく回らないのではないかと危惧します。研究力の方はよい論文を多く出す等、従来評価がされていると思いますが、社会実装関係のところで各研究者がどのような評価をされていくか、大学に対してのインセンティブを付与することが、実行部隊の変革にまで効くのかというところをしっかり示すとともに、見ていくことが重要と思います。
自治体と大学の連携について、自治体をどのように巻き込むのかというときに、鶏と卵ではないですが、どちらか先に動くのかということはあるのでしょうか。自治体にもリソースが十分にないのだとすると、大学側からもっと情報発信するとかアプローチをするとか、そういうことも必要だと思います。最初からうまく自治体を巻き込むために動けるようにできるとよいと思います。
それから、ページ9や10に各府省の施策の窓口がたくさん書かれていますが、それぞれがどういう関係性なのかも含めて、府省側にも何らかの形で窓口の一本化、若しくは相談先の設定がされると、正に大学との伴走ができるのではないかと思いますので、検討いただければと思います。
以上でございます。
【須藤部会長】 ありがとうございました。何か事務局の方からありますか。
大学で実際にやっている人に対するインセンティブって重要なことだと思うんですよね。大学に対するインセンティブというのは考えれば出てくるんですけれども、実際にやっている方々に対してのインセンティブというのをどうやってやるかとか、その辺で何か文科省の方で考えがあったら教えていただきたいんですけれども。
【井上課長】 よろしいでしょうか。産地課長の井上です。
【須藤部会長】 井上さん、お願いします。
【井上課長】 ありがとうございます。3点頂きまして、どれも非常に重要な点と思っております。
インセンティブにつきましては、個人と大学両方あると思っていて、教員評価とかにつきましては、やはり踏み込んでやっていかないとという梶原委員の御指摘はごもっともと思います。一般的にはおっしゃったように、やっぱり論文とかという話をよく聞きますので、そういったところは正に大学のミッション、ビジョンに応じてやっている社会実装の活動について、大学がそこをどう評価しているのかというところまで突っ込んで大学と話をしながら、正に伴走支援ということで、法人の所管課とともにそういった会話を大学と深めてやっていきたいというふうに思っております。
また、自治体を最初から巻き込むようにというところで、正に共創の場の支援はそういうつくりになっておりますけれども、そういったものがどう拡大していくかというのも課題でございます。共創の場という、まずやる気のあるところからグッドプラクティスを積み重ねていって、しっかりそういった巻き込む形というのをつくっていきたいと思います。
窓口相談先の一本化、ここも課題かと思います。さっきの伴走支援の在り方について、少し具体的に省内でまだ検討中でありますけれども、こういった各省をまたぐものについても、どうやってやっていったらうまくいくかといったこともちょっと検討させていただきたいと思います。先生、参加いただいておりますけれども、CSTIの方とも議論を一緒にやっておりますので、そこも一緒に相談していきたいと思います。ありがとうございます。
【須藤部会長】 窓口については、もう梶原さん自身も委員ですので、是非中で議論していただきたいと思います。
【梶原委員】 そうですね。CSTIでも同じことをコメントしています。ありがとうございました。
【須藤部会長】 どうも井上さん、ありがとうございました。
ほかにありますか。手を挙げている方いらっしゃったら、こちらで気づいていなければ発言していただきたいんですけれども。
【林委員】 林です。手を挙げています。
【須藤部会長】 どうぞ、お願いします。
【林委員】 梶原委員がかなり私の言いたいところも言っていただいたんで、ちょっとだけ補足なんですけれども、地方大学といろいろ共同作業を今、私自身がやっている状況なんですが、やっぱりこう感じるのは、支援と書いてあるんですけれども、具体的に足りていないなと思うのは、研究の分野というよりはむしろ大学の運営側、学長さんに権力集中と、これはこれでいいんですけれども、その周りにきちんと、大学経営をどう考えていくか、持続可能性をどう考えていくかとか、こういったことに関しても十分に、例えばスタッフがきちんと配置できるようなとか、そういったところにどうやって支援すればいいのかなという課題意識を持っています。
どちらかというと事務方という形で、書類のハンドリングだけやっていればいいという、そういう事務方ではなくて、むしろ会社でいうと経営企画とか、社長の周りのサポートをしている部隊とか、こういったところをうまく、こういった総合振興パッケージの中で支援して、大学自体をきちんと、素人じゃなくて玄人として、プロフェッショナルとして運営できるような形の支援を盛り込んでいただければなと思います。
恐らくその中に先ほどのメトリクスの話、評価をどうやってやっていくかとか、単純に論文だけではないよねというところとか、県庁を巻き込んで、正に地域に足がついて、しかも市民とか社会と連携できている地方中核大学という、そこができるようなということにつながっていくと思いました。
以上です。
【須藤部会長】 ありがとうございました。
文科省の方から何かありますか。
【井上課長】 ありがとうございます。正におっしゃるとおりかと思います。特に、戦略的運営で、研究とか社会実装の部分をどうやっていくかというところについては、正に令和4年度の要求で、その場に企画できるようなURAの人材等を確保できるように、そういったところの追加支援もしたいという要求をしているというのが1点と、あと、林先生がおっしゃったように、いろんな大学の運営に関して、外から誰かぽんと1人連れてくれば変わるというものではないですから、そういった内外の人材が一緒になって、本当に戦略的経営ができるようにということを、さっき我々の中でやりたいと思っている伴走支援の中で、一緒に丁寧に大学と会話しながらやるということも併せて取り組んでいきたいというふうに思っております。
【林委員】 よろしくお願いします。
【須藤部会長】 よろしいですか、林さん。
【林委員】 はい。
【須藤部会長】 ほかに挙げている方はいらっしゃるんですか。
【山本委員】 山本ですが、いいですか。手を挙げているので。
【須藤部会長】 すいません。早い者勝ちでしゃべってください。
じゃ、山本さん、お願いします。
【山本委員】 私は、この施策の方向性はいいと思っています。ただ、これをどう具体的に動ける形にするかという、ここからなんだと思っていて、そのポイントは、結局、じゃ、誰が具体的に、例えば予算を受けた大学で動くのかということと、どうチェックしていくのかという部分をちゃんと設計することが必要で、これまでも別に文科省に限らず、経産省とか内閣府とかいろんなところで産学連携支援をやるんですが、そこの落とし込みが少し甘いなということをいつも感じてはいます。
例えば去年ですかね、東京大学に入学した学生の入学式でアンケートを採ったら、10%の学生は将来ベンチャーを起業したいと言っている。入学した段階でですよ。なので、別にアントレプレナーシップ教育をしなくても、そういう土壌というのは醸成されているわけですよね。入学したばっかりなので、まだ大学は何もしていないと。
なので、じゃ、アントレプレナー教育というのは具体的に誰がどう行っていくのか、それをどうモニタリングするのかということが非常に重要ですし、御案内のとおり、GAPファンドはもう欧米では、地方自治体がお金を出して、それで大学がGAPファンドを運用するんですが、これは基礎研究のお金ではなくて事業化のお金なんで、大体1年ごとに区切るんです。最初の年は結構金額は少なくて、大学や地域によっても違いますが、150万程度から300万程度が1年目に予算としては割り当てられて、その代わり1年後に、事業化に向けてここまで行ってくださいと、ここまでの例えばプロトタイプをつくってくださいとか、こういうデータを出してくださいと。そこにパスしたら、2年目は今度は500万から1,000万ぐらいのお金がついて、じゃ、2年目はここまで行ってくださいと。3年目は結構、3,000万とか5,000万とか予算がついて、本格的に事業化に向けた検証が行われるわけです。
そうすると、これは非常にシンプルで、1年目のマイルストーンを誰がどう設計して、ちゃんとできているかできていないか。できていなかったら、残念ながら打ち切るというような運用をできるかどうかということが重要であって、結構日本って、やっぱり1回採択したら落とすのは何か忍びないみたいな形になって、ずるずると行ってしまって、そうすると、結果としては、あんまり将来芽がないものに予算が継続されて、芽がないのでスタートアップもできないんですけれども、何とか起業できないですかねみたいな変な会話に入り込むことが多いです。なので、どういうチェックポイントをつくるのかと。
私はかねがね思っているのは、これはどこの省庁というのは関係なく、日本の省庁全てが、このチェックポイントをつくるときにKPIの設計が下手過ぎると思っているんです。KPIが多過ぎです。KPIはもう絶対三つぐらいに絞って。各事業に何か30個ずつぐらいKPIがあると、もう全然動かなくなってしまっているというようなことだったりとか、30個あると、8割方できているからいいんじゃないかと。でも、一番重要なポイントができていないみたいなことが多くて、何て言えばいいんでしょうか、本質を失うみたいなことを結構感じています。
なので、一番重要な三つのKPIをつくって、このKPI三つは必ず頑張ってくださいという、そういう設計、それをちゃんとフィードバックできるシステム。なおかつ、先ほど本当に経営企画みたいな人が入るということはおっしゃるとおりなんですが、偉い人じゃなくて、本当に研究者に寄り添って、毎日ビジネスプランをディスカッションできる人が、私たちはもう実は、もう毎日スタートアップをつくるためのビジネスプランのディスカッションをやっています。なので、そういうことができるような人材をどうやって採用するかというようなことも重要です。東大TLOは今、中途採用しているんですが、春から夏にかけて1,100人応募が来たんですが、1人も採りませんでした。優秀じゃなかったからなんですが。なので、今も中途採用をやっているんですが、やっぱりなかなか、1,000人来たから採るとか、いい大学だから採るというレベルではなくて、本当にビジネスプランとかをちゃんと考えていくことができるのかという人材をかなり。そういう優秀な人ってなかなか転職もしないですから、そういう方を、転職しないんだったら、どう、クロスアポイントのような形で巻き込めるかみたいなことを考えるのも必要かなというふうに思っております。
つまり、ここの方向性はいいんですが、これを具体的にどう動けるものにするかという設計がもう一段か必要ではないかと。あと誰がどう動くのかということが何か見えるような形が必要ではないかということを考えています。
以上です。
【須藤部会長】 ありがとうございました。確かにKPIって大事なものだけに絞って、例えば三つというのは非常にいい案だと思いますし、当然そうしなきゃいけないことだと思うんですけれども、なかなか今のステージゲートはそんなふうにいっていないですね。おっしゃるとおりだと思います。
毎回文科省に答えてもらうのもかなり酷なんですけれども、いかがですか。何かありますか。
【浅井課長補佐】 浅井です。アントレのところはどういうふうにしていくか。アントレ教育といっても、マインド醸成ができている学生も既にいるというところで、そこから社会実践につなげていくための機会をどういうふうに設計するかと。これらを、連続的にどうつなげ、そこからさらに、その先に起業しようとした場合にどうつなげていくかというのが大事だと思っておりまして、ここのところは拠点都市の支援のところでも、どういうふうな位置付けでやっていくのかということについてについて提案していただいたものを採択したいというふうに思っておりますので、そこは引き続き、御指摘を踏まえて取り組んでいきたいと思います。
KPIのところですけれども、ここは御指摘のようにどうしてもいろんなものをつけがちです。JSTとよく議論してますいますが、こういう方向性にしてほしいというのを言えば言うほど条件が増えていってしまうというところがい悩ましいところです。ただ、何も設定ししないと実施されないかもしれないというところもあって、我々も悩んでおり、よりよいものを考えていきたいと思いますので、引き続きどうぞよろしくお願いいたします。
【須藤部会長】 是非反映していただきたいと思います。
ちょっと順番が、このウェビナーだとよく分からないんですけれども、北岡先生、手が挙がっているのは分かりますので、お願いします。
【北岡委員】 おはようございます。ありがとうございます。
御説明、今の山本社長と一緒で、方向性としては間違っていないのかなと思っています。
今、スタートアップ・エコシステム拠点を京阪神地区でも行っているところの雑感について共有したいなと思うんですけれども、やはり大学間の差というのが、研究力というのは、それはそれぞれ特徴があるのかなと思うんですけれども、一番大きいのはやっぱりサポーター人材の差というか、大学としてそういうものを支える差というのがすごく大きいなというふうに思います。
その中で、この中核大学となるということで、大学個々でサポーター体制をつくるというのは、かなり僕は限界があるのかなというふうに思っています。そういった意味では、先ほど山本社長がおっしゃったように、本当は地域の自治体なのか中核都市なのか分からないですけれども、本来そこがサポート体制をするのか、若しくは地域の中核となる、本当にその大学が地域全体のサポートをしていくというような形にしていく方が効率的だろうなと思う中で、その中でバイオ系に強いところであったりとか、ものづくりに強いところであったりとか、あとはソーシャルイノベーションみたいなものに強いところというのを、地域全体で連携をしていくというのが非常に重要なのかなというところがないと、個々の大学がばらばらにやってできる時代ではないのかというふうに感じています。
二つ目は、やはり省庁連携ということを考えたときに、阪大なんかは特徴的なんですけれども、農学部がないという中で、例えば農学に関していろいろイノベーションをやろうかなと思っても、なかなかやっぱり農水省系との連携というのが非常に難しいところがあって、そういうところなんかをうまく、本来であれば内閣府であり、大学間連携をしている文科省が、うまく課題を、技術を持っている大学とうまくつないでいくような何か仕組みがあると、我々農学部のない大学からすると、非常に新たな分野に進出できるのかなというふうに感じているところもあるので、私からはその2点についてコメントさせていただきたいと思います。
以上です。
【須藤部会長】 ありがとうございました。
文科省の方から何かございますか。
【浅井課長補佐】 文科省産地課の浅井です。確かにスタートアップの関係、拠点都市を含めてどういうふうに制度設計していって、その中で中核大学となるべく、どういう役割分担を果たしていただけるのかというところも含めて一緒に議論していきたいと思いますし、拠点都市の支援という形で、拠点都市内のネットワークをどういうふうにつくっていくかというところも我々としては支援したいと思っておりますので、そこは是非いろいろ議論して進めていただきたいと思っております。
以上です。
【須藤部会長】 北岡委員、よろしいでしょうか。
【北岡委員】 はい。よろしくお願いします。
【須藤部会長】 それでは、西村委員、お願いします。
【西村委員】 ありがとうございます。今までの議論で大体私もいいと思ったんですけれども、若干、地方大学を幾つか見ていて、私も多少、経営のところも入って感じるところは、中核都市である程度の規模感のある大学であれば、こういったものを使いながら支援人材を見て動かせるんですけれども、もしかしたら、もう地方大学の普通の国立大学って、こういうものについていけないんじゃないのかなという、ちょっと危惧を持っているところがあります。
二つの面です。一つは、先ほどの支援人材ってすごく重要で、私も副学長として経営的なこともやって、URAなんかもつけてきたんですけれども、やっぱり回し切れないです。規模が小さくて。この辺がかなり、こういう予算案いろいろとやって特徴を生かせと言われても、そこが体力的に結構厳しいのと、もう1点は、地方大学の少しだけ危惧している点は、制度疲労が起こっています。運営費交付金で動かしていく中堅規模以下の地方大学というのは、もしかしたら運営だけしかできない状態になって、どうも、これは言いにくいですけれども、経営ができない。だから、今までやってきたことの継続のような、運営はできるけれども経営ができないという状況で、学生のことも見られないような、教員の立ち位置から、自分たちのための運営をしていくという状況がちょっと起こりつつあると。この中で、こういったパッケージでいろいろと強化策を入れたとしても、場合によってはその人たち用の、自分たちの自己防衛的な使い方をしてしまうんじゃないかということがちょっと危惧されていて、その辺も丁寧に見ていかないと、大学の規模感において、お金の使い方によっては生かせない可能性があるということです。
それと、今後多分、大きな大学は10兆円基金なんかで相当てこ入れが入ってくると同じように、各大学の経営に対して相当てこ入れをしないと、こういったお金は多分生きないような気がします。
そのときに、1点だけ、評価の面で、いろんな評価、KPIとかいろいろあるんですけれども、社会からの評価というのは余り聞いたことがないんです。例えば住民に対して、これだけのお金をかけてこんな成果が出ました。それがどういうふうにつながりますという社会的な説明というのが余りないような気がしたので、できればそういったことも入れていくと、より自分たちがどういうふうに動いていけば社会のために役に立っていくのか、機能するのかということが、自覚を持って教員側とか経営側にも入ってきて、うまく動くような形も出るかもしれません。
すいません、感想めいたことも言ってしまったんですけれども、私はそういうふうに感じましたので御参考としてください。
【須藤部会長】 地方の大学を見ていらっしゃる西村委員からの、かなり厳しい御指摘なんですけれども、確かに制度疲労とか規模感で難しいというようなことがあると、結構こういう施策をいろいろ打っても、うまく活用してもらえるかどうかという疑問が出てくるんですけれども、どうですかね、これは文科省さん。
【井上課長】 ありがとうございました。非常に深い御指摘を頂きました。今の大学が今のままの形でみんないいのかというのは、恐らく、規模とか持っているメニューとか、いいのかというのは、やっぱり真剣に議論を深めていかないといけない状況が現場で起きているのかなというふうに西村先生の御意見を伺ってちょっと感じました。
高等教育全体としても、連携推進法人とか、いろんな枠組み等を考えて動き出している地域もあるようですけれども、地域にある大学、国公私等含めて、どういう形でそこのエリアの人材や社会経済みたいなものを高等教育が支えていくのかということを、やっぱり我々も、こういう施策を打つ際に、そういったものを見ながら、個別の事業だけでなくて、今回、伴走支援ということを入れていますけれども、我々も高等教育全体の動きともしっかり一緒に、そういった先生の御指摘の点も踏まえて支援を考えていかなければいけないなと改めて思いました。
あとは、制度疲労のところも含めて、今、私が申し上げたような点も含めてどうしていったらいいかというのを、やっぱり丁寧に議論していかないといけないなというふうに思いました。
あと、社会からの評価という点についてですけれども、国立大学については、第4期運営費交付金の配分の考え方で、社会的インパクトという観点も入れるように伺っておりますけれども、それもやっぱり大学のミッションに応じて、具体的にどういうビジョンを描いて、だからどういう社会的インパクトというのを出していくのかというところにつながると思いますので、そういった点も大学と一緒にしっかり議論しながら、評価であるとか、こういった事業の使い方といったものも一体的に考えていけるようにしたいと思います。
【須藤部会長】 社会からの評価は非常に重要なところだと思いますので、是非こういった施策の中に取り入れていただきたいと思います。
次は佐々木委員、手がずっと挙がっています。お願いします。
【佐々木委員】 九大の佐々木です。ちょっと出先からなので聞きづらいかもしれませんけれども、御容赦いただければと思います。
まずは、地域の中核となる大学振興パッケージの御検討、本当にどうもありがとうございます。私自身も世界から見て、日本ってやはり首都にいろんな機能が集中し過ぎというバランスの悪さがあるというのは感じておりますし、地方の大学にできることは本当に多いんじゃないかなと思っております。
このパッケージの中でやはりポイントは、文科省の中の調整と、あとはやっぱり府省の連携だと考えております。
私からは2点申し上げたいんですが、1点目は、文科省さんの中に関わることでございますけれども、多くのJSTの事業等でいろいろやっていただいて本当に有り難く思っております。
他方、公営事業は当然5年とか最長10年ということで時限になります。そうすると、そこで雇用されている人が結局、正職員にならないまま、プロジェクトを渡り歩くという状態が続いてしまうということが研究現場ではやはり苦労することでございます。ここは、最終的にはやはり運営費交付金で正職員化するという、いわゆるパーマネントなポストをどれだけつくれるかにかかっておりますので、是非こういう事業で、幾つか大きな事業できっちりした成果を上げた人が、運営費交付金の方でパーマネント雇用に移れるようなことを是非高等局とも連携して、いい好循環ができればというのが是非お願いしたい1点目でございます。
これは非常にハードルが高いんですけれども、中長期的にでも御検討いただきたいと思いますし、もしかしたら大学ファンドみたいな基金的なものでフォローするというのもあり得るのかなと思っています。
2点目は、府省連携でございます。例えば今回、8ページ目に脱炭素ということで挙げていただいておりまして非常に有り難く思うんですけれども、私もこの分野におりますと、例えばグリーンイノベーション基金ですと、これは経営陣がコミットするということなので、大学は表にほとんど出られない状態であります。
あと例えば環境省さんも非常に一生懸命やっていただいているんですけれども、やはり実証ということになると研究費すら出せないという状況になっております。
特に、例えばカーボンニュートラルですと2050年の目標を掲げておりますので、2050年に活躍する人を育てることこそが一番大事なことでございますので、そこはやはり文科省さんの範囲じゃないかなと思います。
なので、デマケというのは当然大事なんですけれども、大学もある程度、そういった省の事業にもう少しコミットできるような形でうまく連携していただければと思いますし、特に今回、自治体さんが入るというのは非常に重要だと思います。やはり地方の活動をよく知っているのは、その地方の自治体さんでございますので、是非文科省さんと自治体さんの、大学と自治体の連携を、文科省と内閣府、総務省なんかとうまく連携をエンカレッジしていただくような形の府省連携をしていただければ、地域の大学がより発展するいい機会になるのかなと考えております。
私からはその2点でございます。よろしくお願いします。
【須藤部会長】 ありがとうございました。最初の話はちょっと大きな話で、なかなか文科省としても答えるのは難しいと思うんですけれども、いかがですか。最初の方、それから2番目の脱炭素、カーボンニュートラルの話ですけれども。
【井上課長】 ありがとうございました。1点目についてですけれども、本当にありがとうございます。大きな問題提起かと思います。
こういったことを、新しい要素を担う方をどう継続的に支えていくかというところで、我々の努力と大学の努力とこれは協働させていただくことかなというふうに思ってございます。少しきめ細やかに個別の大学ですとか、あとは大学ごとの状況をよく見た上で、今もおっしゃっていただいたようなものをどういった形で支えていくのかということを考えるのかなと思っております。
運営費交付金ということを先生おっしゃっておりまして、一番大きい部分は職員、どうしてもそこになりますけれども、様々に大学の財源が多様化する中で、必ずしも運営費交付金の財源じゃないとパーマネントに雇ってはいけないということでもないわけでして、その経営の中でどういった財源をどういうところに使っていくのかということ、また、大学の中での財務運営がしっかり効率的に行われているということをしっかり示していただくということも併せてやっていかないと、なかなか、どんどん人が増えていきますという世界でもないのかなという気もしていまして、しかし一方で、我々も御支援しなければいけないという認識があるので、そこをうまく大学と文科省の方で協働して議論して、うまく進めていければという感想を持ちました。
あと2点目の府省連携、脱炭素。これは一つの例ですけれども、幾つか先生方から御意見を頂いたテーマで今こういったものをつくり始めておりまして、おっしゃったような点を踏まえてしっかりやっていけるように、いいものにしていきたいと思っております。
【佐々木委員】 ありがとうございます。1点目は、全て大学の運営費交付金にお願いするつもりはもちろんありませんし、正に大学の経営改革の中でできることが多いと思います。なので、例えば文科省さんのこういう産地課さんの事業でやったときに、例えば最後の評価のときに、そういうような研究者をちゃんとパーマネント雇用にしたということを例えば評価項目にするとか、そういうアプローチもあるのかなと思いますので、是非やはり研究者が、すばらしい研究者は引き続き研究を続けられるようにという制度設計をしていただくだけでもかなり大きいのかなと思っております。
2点目は、例えば人材育成ですと、経済産業省さんも例えばカーボンニュートラルですと、やはり人材育成が大事だというのをすごく認識を今、高めているところがありますので、是非文科省さんと連携して、カーボンニュートラルは人材育成も含めて、是非検討していただければ、いい府省連携になるのかなと思いますし、同じように自治体さんも非常に興味を持っておりますので、是非府省連携の方をよろしくお願いいたします。
私からは以上です。
【須藤部会長】 ありがとうございました。カーボンニュートラルとか脱炭素の件は、どうしても経済産業省が中心で動いてしまって、他の府省が動きづらいというところもあるんですけれども、今、佐々木先生が言われたように、人材育成とか地域のこういった細やかな動きというのは、むしろ文科省が旗振ってできることじゃないかなと思いますので、是非よろしくお願いいたします。
時間がだんだん少なくなってきていますけれども、今、ベジタリアの小池さんと高木さん、それから高橋さんと宝野さんが手が挙がっています。ちょっと申し訳ないですけれども、短めに小池さんの方から順番にお願いいたします。
【小池(聡)委員】 それでは、小池でございますけれども、短めにお話をさせていただきます。
地域の中核大学中心に進行して、スタートアップ・エコシステム、地域を巻き込んでということなんですけれども、私のCOIの経験でワークしたところをちょっと参考に述べさせていただきますと、やはり若手をどう活用するかと、拠点を連携した横串をどう刺すかというのは非常に大きなポイントだと思います。
その観点から、実は若手部会というのをつくりまして、若手が交流できるいろんな取組を行いました。ただ、それを横串でやれと言ってもなかなか動かないので、実は若干餌をまきまして、COIの中でCOI若手連携ファンドというのをつくっていただきました。これは大学発ベンチャーとか、起業するもうちょっとプレの段階で、いろんな分野のいろんな拠点の研究者が連携をして、ある研究テーマで企画を出していただいて、私自身、ファンドの審査会の座長を務めさせていただきまして、いろんなものの採択をして、研究をしていただきました。1件当たり100万から300万ぐらいということで、先ほど山本さんがおっしゃっていました、起業に至る前のもうちょっとプレの段階、大学発ファンドですと、やはりデューデリジェンス含めてかなりハードルが高くなると思いますので、その前段階のイニシエーションをやる活動というのが非常にワークをして、若手の研究者が自らいろんなことを企画して連携のイベントをやったり、COI学会という若手の学会をつくったり、あとは若手が自ら事業化支援グループというのをつくってアクセラレーターチーム、事業化するところのいろんな勉強会をやるというような活動につながっていきました。この辺をちょっと参考にしていただければというふうに思います。
以上です。
【須藤部会長】 どうもありがとうございました。
この後、実は徳島大の野地学長にお話しいただくんですけれども、野地学長の御都合で11時半には退席しなければいけないということですので、先ほどの残り3名の方は申し訳ありません、後でもう1回議論の場がありますので、そちらで優先的に御発言いただきたいと思います。
次の議題3の方に早速移りたいと思います。
議題3では、国立大学法人からの出資範囲についてでございますけれども、事務局の方から説明いただいた後、ちょっと順番を変えまして、徳島大学、それから東京農工大学の順番に報告していただきたいと思います。
それではまず、事務局の方からお願いします。
【下岡室長】 産業連携推進室長をしております下岡でございます。それでは、御説明申し上げます。
資料3-1を御覧いただければと思います。国立大学法人等による出資の範囲の検討状況について御相談させていただきたいということでございます。
今提示させていただいている資料は、これは近年の国立大学法人等の出資範囲が少しずつ規制緩和で広がってきて、拡大しておりますという資料でございます。研究成果とか教育研究施設の資源を社会に還元して成長し続けるような、そういうような方向性で出資の範囲を拡大しているという中で、大学発ベンチャーに関して、この資料で言うと、右上の赤で囲った3ポツと、あと一応関係するものとしては5ポツもございますが、今日は主に3ポツのところの拡大について御相談させていただきたいと思っています。
この3ポツは現在の規定の状況ですけれども、これは国立大学法人が出資する際に、ベンチャーキャピタルを通じてファンドに出資するという、そういうスキームなんですが、これはもともと4大学に1,000億円を出資する官民イノベーションプログラムの開始に当たって整備された規定でございます。法律上は特に4大学対象ということはなくて、規定上は全ての国立大学法人等を対象とした規定でこういったスキームが認められておるんですけれども、これが政府出資金を前提とした規定になっておりますので、ちょっと厳しい部分があるのではないかということで、今回検討しているということです。
あと、関連して、大学発ベンチャーに関しては5ポツのところで、指定国立大学法人から大学発ベンチャーへの直接の出資というのも来年度からの施行になりますけれども、こういうのも今拡大されつつあるという状況でございます。
次のページに参ります。本日検討している状況を御紹介させていただきますのは、先ほどのベンチャーキャピタルを通じた出資ということなんですけれども、資料の上の半分のところが現行制度で可能な出資スキームでございまして、国立大学法人がファンドに出資しようとする場合は、国立大学法人自らが設立し運営するベンチャーキャピタルが管理運用する、つまりGPとなるファンドに対して出資するという形のみ認められているというのが現行制度でございます。つまり、ファンドに出資するにはVCを設立しなければならないということでございます。
問題意識としては、こうなってくると、せっかく投資をしたくても地方国立大学など、体力的にVCを設立するのが困難で、事実上難しいところがあるのではないかという問題意識でございます。
一応、このスキームの御説明としましては、ベンチャーキャピタルとかファンドに関しては、これは文科省及び経産省が共同で事業認定をする場合に認められ、さらに、実際の出資の段には、文科省がそれぞれ大臣認可をするという仕組みで運営されているスキームでございます。
今何ができないかということですけれども、例えば下半分でございますけれども、第三者がGPとなるファンド、例えば地銀ですとか民間のVCがGPを務めるようなそういったファンドに対して、大学が出資だけする、つまりLP出資するということが現在認められていないということでございます。
現在、地銀等が大学発ベンチャーに出資するファンドを実際もう立ち上げている例というのは幾つか出てきているんですけれども、大学自身が出資ができないということで、そうなってくると国立大学はその出資を通じた研究成果の社会実装の支援ができないということになりますし、それによるリターンも、地方銀行ですとか民間VCとかそちらに行ってしまうということで、もったいないのではないかというところもございます。
次のページに参ります。先ほど、実際に地銀とか民間のVCが立ち上げている、大学発ベンチャーを支援するファンドがもう実際にできていますということを申し上げましたけれども、実際に例えばこういうものができていますという例示でございます。
例えば、東工大、名古屋大、広島大とそれぞれ書いていますけれども、これは、その大学発のベンチャーを支援するためのファンドということで、要は先ほど来申し上げているとおり、実際この大学が出資できているということではなくて、こうしたところの成果を活用するベンチャーへの出資をするために既にこういうものができていると。これらも非常に最近ということではなくて、4大学ファンド、官民イノベーションプログラムができた10年前の頃から、こうしたファンドがもうできておりまして、既にもう2号ファンドもできているものも多くございます。
次のページに参ります。実際にどのように出資の範囲を拡大していくかという具体的なところですけれども、現行規定上、実は法律上は、4大学を特に対象に規定をしているということではなく全ての国立大学に対して可能ではあるんですけれども、ただ、もっと下位法令の告示ですとか大臣決定とか、そういう下位法令のレベルで様々な条件が付されていると。その中で、政府出資金が原資であることを規定とした規定が含まれている部分がありまして、そこが厳しいので少し緩和できないかということでございます。
具体的には、いろいろ規定が書いてございますけれども、青で書いた部分は、国立大学が投資事業をするという、リスクを取るに当たって必要な体制等がしっかり取れていることを保障する規定ですので、そういったものまで改める必要はないのではないかと思っておりますけれども、赤色をつけた部分が、これは原資が政府出資金であるということを前提として規定している部分ですので、官民イノベーションプログラムの4大学以外が出資するための認定を受けるには必要がないような規程も含まれてしまっているのではないかという、そういう問題意識でございます。
上から見てまいりますと、まず(1)の中で、例えば国立大学の設置するベンチャーキャピタルがGPとして業務を執行すること。これも先ほど来申し上げております、自らVCを設立して、そのVCがGPでなければならないというところでございます。例えばここの部分ですとか、それから、(1)の一番下のところに、VC等が国との意見交換を密接に行う体制を構築するとか、それから(2)に参りますと、政府出資金を前提としているので、政府出資金と合わせて民間事業者からも資金供給が行われるものであることとか、それから3番目のところで、民業補完に徹するものであること、これも結構厳しい規定であろうかと思います。最後に一番下ですけれども、2号ファンドをつくるときには、1号ファンドの方は6か月以内に新規出資を終了し、かつ2号ファンドの部分は1号ファンドよりも民間出資率を増加させるということまで規定している状況でございます。
こうしたものについては、政府出資金でなく、4大学以外の大学が自己財源でやるという場合には、ここまでは規定しなくてもいいのではないかという方向で見直しを考えておりますので、こうしたことにつきまして本日御議論いただき、あるいは御意見いただければと思っております。
それ以外の青字のところは、例えば事業の実施に必要な知識、能力、実績を有する等々、これは必要なものだというふうに思っております。
文科省からの説明は以上でございますけれども、これに関連して、こうしたニーズをお持ちの2大学からそれぞれ御発表あるかと思いますので、よろしくお願いいたします。
【須藤部会長】 ありがとうございました。
それでは、野地学長、よろしくお願いします。徳島大学の例です。
【野地学長】 ありがとうございます。資料共有させていただきますので、しばらくお待ちください。
本日は5分という時間を頂いております。徳島大学長の野地でございます。このたびはこのような機会を頂きましてありがとうございます。
徳島大学の立ち位置なんですけども、四国の小さな大学で、財政的に非常に厳しい状況で、一体どうやって大学を運営していくか、あるいは経営していくかという観点から、地域が豊かになる方法としては、大学発起業ファンドしかないだろうということで、ない知恵を絞って考え出したのが、この徳島大学のファンドでございます。
これまでの議論ですので、もう言いませんが、アントレプレナーが必要で、ファンドスタートアップスタジオが必要であるという観点に立ちまして、一番いい方法は何だろうと考えたのが、結局ファンドをつくることでありました。
仕組みとしては後で説明しますけれども、ファンドとしては10億円程度の規模でございます。LP出資を受けたLPSが10億程度の規模でございます。我々にとっては非常に大きな額なんですけれども10兆円あるいは100億円とか400億円、4,000億円という先ほどの話からすると小さな額でございます。
こういうファンドをつくったんですが、このときにREVIC、株式会社地域経済活性化支援機構に非常にお世話になって、また、このREVICが関与するのに当たって、地方の銀行である阿波銀行にお世話になりました。現在、いろいろ大学発ベンチャーに出資していますけれども、次の出資先も検討中でございます。
そういう中で、先ほど話がございましたように、普通に認可を取るのは非常に厳しく、ハードルが高いので、我々は東京大学のエッジキャピタル方式というのを使いました。これは郷治社長にいろいろアドバイスいただきまして、一般社団法人をつくって、そこからGP会社である産学連携キャピタルをつくりました。ここで、実際にハンズオンをするのに大学には人材がいないので田中様に社長になっていただきまして、REVICから支援を頂きながら運営しております。ここはもう本当に非常に重要でして、後ほど田中さんは委員でありますので、もしあれでしたら何か御発言いただければと思います。
それで、そういうことをやりながら、地方大学で起業に必要なことというのがあります。結局はやっぱり人材が一番重要であります。それがなかなか調達できないというのが問題なんですけれども、これは現在、REVICさんに手伝っていただいているというか、支援していただいている格好です。
あと、研究費がいろいろ来ていないために、途中までのいい研究があるんですけれども、実用化するには、あるいは実装するにはまだ足りないという研究がたくさん地方には眠っていまして、そこにやっぱりGAP投資会社が必要ではないかと考えています。
いろいろ研究があって、ニーズがあっていくのであれば、シーズから入って、このGAPを埋めるところ、この辺になれば大きなキャピタルがまだたくさんあるので問題ないんですけれども、ここを埋めるのが非常に重要で、特に肝腎であると考えています。これでキャピタルゲインが得られれば、いろんな個々の研究を支援するという循環ができますので、その循環ができるような仕組みを是非つくっていきたいと考えています。
もう一つ、日本の場合はスタートアップを特に地方は支援する仕組みがないので、これは生物とのアナロジーなんですけれども、スタートアップの卵はたくさんできてくるんですが、生存確率は低いんです。生物の場合、こういうものがあります。しかし、哺乳類の場合は、子宮という組織をつくって生存確率を上げているわけです。今、インキュベーターというのはここなんですけれども、そうじゃなくて、やっぱりちゃんとした飼育する子宮のような組織が要るであろうということで、我々はU-teraというスタートアップスタジオをつくって、そういう組織をつくっていかないと、多分、どんなに日本中でスタートアップをつくっていっても生き残る確率が非常に悪いのではないかと思っています。
是非文科省がここを支援していただくことが重要ではないかということで、ユニコーンを生む一つの重要な日本のシステムが必要ではないかと思っています。
以上でございます。ありがとうございました。
【須藤部会長】 どうもありがとうございました。
この後、農工大の千葉学長から話を伺いますが、先ほど申し上げましたように、野地学長は時間の関係で11時半には出なきゃいけないということですので、今の野地学長の御発表に関してのみここで質疑をしたいと思います。
まず、先ほど名前の出たREVICの田中さん、お願いします。
【田中委員】 REVICの田中です。
REVICはいわゆる官民ファンドで、かつてJALなどの事業再生のみを行っていましたが、今は機能が増え、地域金融機関の支援を主に行う会社となっております。ファンド業務は、地域金融機関などのファンド業務を支援しており、これまでに全国で44のファンドを組成し、運用しております。大学ファンドのうち、地域金融機関との協議で組成した山陰合同銀行さんとの島根大学ファンドと鳥取大学ファンドになります。徳島大学のファンドは、野地学長がわざわざ大手町に来られて、島根大学と鳥取大学のようなファンドを、大学として組成したいというお話から始まった取り組みです。途中、本日の文科省様の御説明にあったような大臣認可によるファンドも検討しましたが、一連の手続に要する時間と手間が読めず、スピード重視で、大臣認可によらない方法で一気にファンドを組成しています。
REVICが取り組むファンドは多様なため、ファンドに応じて適切な人材を採用しており、例えば観光ファンドだと星野リゾート出身者やJTB出身者など専門性を有する人材を採用しています。大学ファンドにおいては、社長など経営経験があり、投資ができて、理系の修士か博士を保有するメンバーを中心に集めています。
先ほど山本委員からもお話がありましたが、恐らく、今の時点では、地方において弊社にいるような人材を採用するのは条件面などで、かなり厳しいと思っております。弊社のように東京で採用した人材を、地方の大学ファンドに送り活躍してもらう、というスタイルが一つの方法だと私どもは考えております。先ほど野地学長がお話しされた徳島大学におけるスタートアップスタジオ的な機能の一部は、私どもの組織も関与することで、提供できているところもあろうかと思います。
大学ファンドからの投資対象は、いわゆるベンチャー企業なので、弊社が関与したから全てうまくいくというわけではありませんが、弊社の支援スタイルは御説明したような内容になります。
三つの大学ファンドのうち、徳島においては学長と私どもが二人三脚で取り組めたことにより、大学との深い関わりを持ちながら日々活動できております。例えば産学連携部門に対して働きかけたり、TLOさんと一緒に研究者の方を訪問したりしており、島根、鳥取ではそのような活動は十分にできておりませんでした。やはり学長主導の下で大学ファンドを運営するという徳島スタイルは、とても理にかなったことだと思っています。
以上です。
【須藤部会長】 どうもありがとうございました。
そのほか、野地学長に御質問、御意見等ありましたらお願いします。手を挙げる機能を使わないで、直接声を上げてほしいんですけれども、何かありますか。
【佐藤委員】 すいません、佐藤なんですけれども。
【須藤部会長】 佐藤さん、お願いします。
【佐藤委員】 ありがとうございます。ベンチャーキャピタルのファンドの運用期間についてなんですけれども、私は独立して2016年からVCやっているんですが、やっぱり研究開発型ベンチャーって、成果を出すのにすごく時間がかかりそうだなというふうに思っています。当初、マザーズに上場するのも平均で10年以上というふうな時間の中で、たまたま私たちは2016年に投資した会社が今回、上場承認されていくんですけれども、それでも最短で6年かかっていると。5年から6年かかっているというところでいくと、10年、若しくは最短12年ですけれども、ファンドの期間みたいなところの検討というのは足りないとか、もうちょっと長くした方がいいとかあったりするんでしょうか。
【野地学長】 それは私が答えればよろしいですか。
【須藤部会長】 お願いします。
【野地学長】 ありがとうございます。一応10年ということで設計していますけれども、何というか、なるべく早くイグジットする企業を、大学発ベンチャーをつくりたいというだけでして、投資は多分この数年で終わって、あとは本当にハンズオンで育てていく。今2社は、あと数年で上場まで行くというようなところに投資していますので、何とか成果を上げられればと思っています。
徳島としては、大学発ベンチャーが初めてIPOするというのを狙って皆さんに頑張っていただいています。そんな状況です。
【佐藤委員】 ありがとうございます。
【山本委員】 それについて私も意見があるんですが、やっぱり10年はちょっと短過ぎるんじゃないかなと思っています。アレン・マイナーさんは20年ぐらい前から、日本は早く上場させようとし過ぎると。どうしても金融のメカニズムからすると10年というのは理解できるんですが、それとアメリカは確かに早いですが、本当に上場した後は、もう市場からしか資金調達ができなくなるんで、中途半端な形でも上場せざるを得ないプレッシャーが出てくるということを考えると、最低でも15年は要るんじゃないかと。
日本は15歳ぐらいで昔は元服させていたので、早く一人前にしたいという気持ちは分かるんですが、ベンチャーをつくる、スタートアップをつくることが目的でもないし、上場させることがゴールでもなくて、本当にイノベーションを起こすような、世界に影響力を持つようなスタートアップをつくることをゴールとするならば、やっぱり十分な、投資が終わった段階で、まだIPOしないのかというぐらいまで待つとか、あとバイアウトも併せて考えていくことを考えると、まだ、あんまり買手からすると魅力がない形でM&Aせざるを得ないみたいなことが起こるのであれば、やっぱり15年は最低必要ではないかというのが私の意見です。
【須藤部会長】 ありがとうございました。
【田中委員】 皆さんがおっしゃるとおりだと思います。REVICは法律で10年の存続期限が決められた組織だったため、その期限内で島根と鳥取のファンドを組成する必要があり7年半の期限としました。両ファンドともに3年の延長オプションをつけており、結果的にREVICの期限が2031年まで延びたために、延長オプションを行使すれば10年を超えるファンドにすることができる状態にはなっております。山本さんはじめ皆さん言っておられるとおりで、本来大学ファンドの存続期間は15年は要ると思っております。
【須藤部会長】 江戸川さん。
【江戸川委員】 よろしいですか。野地学長に御質問があるんですけれども、今の制度下でできることをしっかりやられているということで、非常にすばらしい事例だなと思ってお聞きしたんですけれども、一方で、やはり制度的な制約もあって、LP出資が大学としてできなかったということで、大学に対し、このファンドがうまくいったときに、キャピタルゲインがしっかり出てきたときに、大学に何らか還元するスキームがあるのかどうかという、その点について、スキーム図の中では株式の寄附というところが記載されてたんですけれども、何か工夫された点がございましたら教えていただきたいんですが。
【野地学長】 ありがとうございます。基本的には寄附に頼るしかなくて、とにかく支出できないわけですから、株を買うわけにいかないので、そうすると、株を持とうと思うと寄附していただくしかなくて、各ベンチャーには必ず大学に株を寄附していただくようにお願いしています。
その中から、逆に株を寄附していただいた場合には、大学がむしろ、例えば施設の使用料を安くするとか、あるいはハンズオンを強くするとかということで還元しています。そういう形で寄附を頂くという。嫌がるベンチャーもありますけれども、大学が支援していく上でそういう仕組みを作ることが一つの義務だとして考えています。
それから、一般社団法人からもしキャピタルゲインがあった場合には、大学に寄附していただくような仕組みを一応考えていますけれども、それは今後の流れでちょっとどう変わるか分かりません。
ただ、大学がLP出資するといっても、地方大学には、お金はないので、逆に出費する仕組みがあったとしても、出費するお金はないと言われます。本学も大学から出資するお金を捻出するのは難しいでしょう。ですから、結局やっぱり銀行さんとか企業さんのLPに頼らざるを得なくて、我々としてはその中から、何というか成功する仕組みをどんどんつくっていくしかないなと考えています。
以上です。
【江戸川委員】 ありがとうございます。ちょっと1個だけ確認なんですけれども、株式の寄附というと株主から寄附してもらうことになると思うんですが、創業者がお持ちの株を寄附してもらうという、そういう形をとられたということですか。
【野地学長】 それは、どの株を寄附していただくかはもう企業に任せていまして、多分資本政策がいろいろあると思うので、その資本政策にのっとって、一番都合のいいやり方で寄附していただいています。
【江戸川委員】 分かりました。ありがとうございます。
【須藤部会長】 まだあると思いますけれども、取りあえず野地学長のお話はここまでにしたいと思います。どうも野地学長、今日はありがとうございました。
【野地学長】 いえ、こちらこそよろしくお願いいたします。
【須藤部会長】 それでは、引き続きまして、農工大の千葉学長の方から御講演をお願いいたします。
【千葉委員】 農工大の千葉でございます。
東京農工大学では、今、大学VCの設置を是非とも進められればということでいろいろ検討させていただいております。
まず、私は昨年学長に就任して、農工大の10年後の姿ということで、ここに示すようなものを大学の中で共有しております。重要な点は、一番下に書いてある大学経営の自律化ということで、大学が十分になる資金を獲得するために新しい価値をどんどん発出していくという、この絵で言うと右側の部分を歯車にしていくと。それを原動力に先端研究を進めて、学生の未来価値を拡張するということです。
目指している姿は、食とエネルギー循環型スマート社会ということで、正に脱炭素社会に貢献するということでございます。
このビジョンを共有するということ自身が大学の中ではなかなか大変でありまして、教授会等での説明なども含めて、今、着実に進めていくということをしているところでございます。
それで、このようなことが進行する背景には、本学は産学連携はかなり活発にやってきまして、ただ、今まで議論がございましたように、非常に時間がかかっております。顕著に割とうまくいき始めている例としては、ここに四つ出しましたけれども、一番上の単結晶窒化アルミニウム、これは特許が非常に高い価値がつきました。それから、2番目のティムスは、今年度第3相の臨床試験まで行きまして、この時点で米国大手企業が365億円のオプション契約を本学発のベンチャー企業と締結ということで、特許の一部を持っている本学にも一定の金額が入ってくることが見込まれています。
あとは3番目が、手書きの、要するに皆さんスマホでスクロールする、この基本特許を持っていましたので、これについても、十数年前にこれは大学の方から海外の非常に大きなIT企業等に仕掛けを行いまして、特許侵害の訴えを大学側から出すという、いろいろあった結果、最終的には国内の企業にこの権利を出すということができております。
一番下のJITSUBOというのは、これは私自身が16年前に起業した会社でございまして、何とか生き延びてM&A等々をして、出資としては30億円ぐらいまで出資を受けておりますが、海外の大手企業との連携などが足がかりになってM&Aなどを達成しております。
いずれも、億単位あるいは何十億というお金になっているのですが、重要なことは出資が全くできていない、要するに株式は一切大学としては保有していないので、一時的に特許料が入ってくるとかそういうことですので、持続性の観点では大きな問題があると思っています。ポイントとしては、やはり海外の市場を狙っていったというところは非常に重要な点だと思います。
それで、大学が自由になる資金をまず確保する方法として、今、私が学長になって打っている手としては、動物病院、これは農学部が今、府中キャンパスにございますが、これを工学部のある小金井キャンパスに拡張するということを今計画し、これを実行することを決定しております。内閣府のイノベーション環境創出で頂いた資金のうちの一部、2億円を投入するということを足がかりに、大学の保有している資金8億円をプラスして、10億円をここに投入することを決定しております。
さらに、診療装置等はリースで5億円程度、総額15億円程度の規模での事業を来年の秋から開始することになっています。これによって、スタッフを40人以上、医療スタッフを雇用するという、かなり大がかりな事業を開始いたします。
ですから、投資としては10億円なんですけれども、大体10年で回収できる事業計画になっておりまして、要するに、10億円が10年間で返ってくるという形になります。その10億円は、いろいろな形での資金に使えるという、あえてこういう形をして、自前の資金をつくり出すということを今、チャレンジしているところでございます。
こういうことに対して、更にもっと基盤的なところ、教員の意識改革あるいはベンチャーマインドということで、例えばこの左にあるのは、ガレージをつくるということで4億円ぐらいかけて今工事しているんですけれども、ここに入る有望な教員、今4名を選びまして、学長裁量経費をそこに3,000万円投入しております。さらに、もう少し基礎的なところに対して12チームを選出しまして、年間トータルで5,000万円の学長裁量経費を投入して、外部のプロフェッショナルチーム等々の支援ももらいながらスタートアップ創出ということを仕掛けております。
それから学生さんは、例えば卓越大学院プログラムの学生さんの起業を促進するということで、右下に「農工大クラフトできました」とありますが、これは卒業生が既にビールないしはベンチャーをつくっているところに参入して、新たに独自なものをつくって、新たに起業ができるようなことを学生が考えていく。更に後輩の学生はそれを上回るものを考えていくというような実証に立った形での起業をやる。そこにプロフェッショナル人材がいろいろ指導しながらというところで、要するに学生レベルから教員、さらには大学発ベンチャーという循環をつくりながら、そこに資金投入をしていく流れをつくりたいということです。
最後のスライドになりますけれども、現在、この赤と黄色以外のところは動いております。要するに、先ほど学長裁量経費と言いました。それから、あとは左の方に資金運用、収益事業とあります。この辺はできる限りのことをして、例えば資金運用も5億円ぐらいは投入して、何千万とか、1億とかそういうお金がリターンするということを、かなり思い切ったことはしているんですけれども、この辺のリスク管理をどうするかということの問題もありますけれども、こういうことを積み上げながら大学発スタートアップに投入していくということをする準備がございますが、基本的には、今、出資、要するに株式への出資ができませんので、今、大学として望んでいることはこの黄色の部分、それから、最終的には赤いリターンというところですけれども、これが回ることによって大学の基本的な活力が増していくだろうというふうに思っています。
これを何とか農工大で一つの好事例としてつくって、これを日本の大学全体がこういう形で資金力を持って教育研究レベルが上がっていくという、そういう基盤をつくるということを是非とも進めさせていただきたいというふうに思っております。
以上でございます。
【須藤部会長】 千葉学長、どうもありがとうございました。
それでは、ただいまの千葉学長の説明、それから、その前の下岡室長のお話、合わせて質疑応答に入りたいと思いますが、最初に、前のところでちょっと切ってしまいましたので、高木さん、高橋さん、宝野さん、何かありましたらお願いします。
順番に、高木さんからお願いします。
【高木委員】 ありがとうございます。
それでは、少し話題を戻らせていただきますが、資料の1-1で御説明のございました全国アントレプレナーシップ醸成促進事業ですが、スタートアップ・エコシステム形成、これは非常に大事な話だと思います。
資料を拝見しますと、アントレプレナーシップ教育受講者は1%程度しかいないということで、これを増やすという、言わば裾野を広げるということだと思いますが、あわせて、スタートアップの創業に近い段階の支援、これも大切です。その際に、スタートアップを創業する経営者の人材と併せて、これを指導できる人材も大変難しいのではないかと思います。
どちらかというと、これを指導できるのは大学の教員というよりは、ベンチャーキャピタリストやコンサルタントなどだろうと思います。EDGEプログラム、EDGE-NEXTに採択された大学の中にも実際にこれを実践されて、成果が上がっている大学があるように聞いております。この辺りの政策を明示的に考えていただければいいと思います。
例えばNEDOで、新規事業も含めて、事業サポーターやメンター人材を登録して、支援をするということも以前やっておられますので、この辺りは、場合によっては他省庁との連携も含めて、御検討いただければと思います。
まずは調査をされるということですので、特に創業に近いスタートアップですと、かなり競争領域という要素が強くなってきます。秘密保持という点についても御留意いただきたいと思います。
関連して、スタートアップだけでなく、地域の中核となる大学の振興ということでも、人材は非常に大切だと思います。
先ほど弘前大学の取組の御紹介がございました。これは日本オープンイノベーション大賞の内閣総理大臣表彰を受賞されたお取組だと思いますが、授賞式のプレゼンをお聞きしていまして、大変すばらしい内容だと思いました。
ここで中心になられて活動されておられる先生の1人は、もともと大手の電機メーカーでマーケティングを御担当されていた方です。この御経験が生きていると思います。人材にかなり依存している、この要素が大きいお取組という面もあると思います。
これで最後にいたしますが、全体の御説明を聞いて、大学改革というトーンが少し弱いように思いました。もちろん先ほどの出資の御説明も大学改革の一環ですが、第6期科学技術・イノベーション基本計画等でも大学改革をかなり重視しております。資料の中にもオープンイノベーション機構、あるいは国立大学経営改革促進事業があります。高等教育局、あるいは内閣府と連携ということにもなると思いますが、是非引き続き積極的にお取組いただきたいと思います。
以上です。
【須藤部会長】 ありがとうございました。
それでは、高橋委員、お願いします。
【高橋委員】 キャンパスクリエイトの高橋です。
私も少し話題を、最初の御説明の方に戻させていただきたいんですけれども、今回、イノベーション・エコシステムの大学の取組への包括的な施策を考えたときに、やっぱり私も気になるのは、大学内の人材をどう考えるかというところで、我々も広域TLOとして活動していく中で、地方の大学の、例えばURAですとか産学連携部分の方々とお話をする機会が大変多いんですけれども、彼らがこういう取組にどのぐらい理解をして、教員とともに取り組んでいこうと考えているかどうかというのは、多くの大学の産学連携部門の方々はそこまで頭が回っていないというか、ついていっていないというようなところが非常に多いように思います。というのも、やっぱり大学の経営陣がURAを採用されるに当たって、若しくは産学連携部門の支援人材を採用するのに、どういう人材を採らなきゃいけないのかというのをどのように考えているのかというところが、ちょっとずれているんじゃないかなと日頃よく思うところです。
その点、ちょっと話を戻しまして、先ほど農工大の千葉学長の御発表を拝見させていただいて、大変先進的な取組を力強くされているなと思って拝見したんですけれども、恐らく千葉学長にはその辺りの支援人材をどう考えるか、どのように採用していくかというお考えがあると思うので、その辺りちょっとお伺いしたいなというふうに思いました。
以上です。
【須藤部会長】 ありがとうございました。
千葉学長、支援人材の件でちょっと短めに回答を。
【千葉委員】 ありがとうございます。大学改革の御質問がありましたけれども、本学では次年度から、教学を担当する経営層と、それから本当の経営ですね、ベンチャーとか、あるいは大学の資金的な運用も含めた経営を担当する者に大きく二つに分けまして、それで、実際にベンチャーも含めた経営、あるいは大学の経営そのものを支援する人というものを広く外部から、完全に雇用ではなくて部分的な雇用という方も含めて、その人たちを雇用していくという、そういう方針を立てております。これはやはり必須のことだと思いますので、是非進めたいと思っております。
以上です。
【須藤部会長】 ありがとうございました。
それでは、宝野委員、お願いします。
【宝野委員】 物質・材料研究機構の宝野でございます。
私は大学ではなく、国の研究所で仕事をしておりますので、若干視点が異なると思うんですけれども、最初の文科省の様々な施策の御説明の中で、リサーチアドミニストレーター、URAの品質保証のお話がありましたが、予算も小さくて、それほど大きな注目を集めていなかったと思うんですけれども、我々国の研究所にとって、経営企画できる人間がいないんだということがいつも問題になるんです。それで、研究者の中でばりばりに研究をやっている方々はそういったマネジメント能力もあるんですけれども、そういった方々をマネジメントに使うのは非常にもったいないということで、それ以外の方々で探そうとするんですけれども、やはり企画とか経営で能力を発揮できるような人材がなかなかいない。
それで、大学でURAを育てておられるんですけれども、こういったURAの方々がこれから、例えばスタートアップ・エコシステムをつくっていく中でどれほどの戦力になるのか。それから、一方で、URAの方々、大部分の方々が大学で閉じられているんじゃないかと思うんですけれども、国の研究所でもそういった企画、経営に積極的に参加したいという、学位を持った方々のニーズがございますので、大学に閉じずにURAの方をもっと外にも出していただけないか。例えば、経験を積んだ方が一度国の研究所に来て、そこで企画、経営とかをやってみて、それでこういったエコシステムの構築に参加するとか、そういった人材の育成が非常に望まれているなという気がいたします。
それで今回、総じてスタートアップ・エコシステムをつくる、個々の小さな機関が企業支援を完璧に行うというのは不可能ですから、このベンチャーキャピタルとかベンチャー支援組織を束ねたエコシステムを私どもも活用していきたいというふうに考えています。
以上です。
【須藤部会長】 ありがとうございました。
それでは、課題3の質疑応答に入りたいと思います。長谷山委員から手が挙がっています。お願いします。
【長谷山委員】 長谷山です。記憶が定かでなく、確認させていただきたいのですが、資料2の2ページにはCSTIの会議資料が含まれていて、地域中核大学に関わる記載はこのページの青枠で囲まれている部分に該当すると思います。また、資料2の4ページは、文科省の資料と思います。
私がお尋ねしたいのは、資料2は、タイトルが『地域の中核となる大学の振興』となっていて、総合振興パッケージに関わるものと理解しますが、4ページ以降の資料は、従来の事業要素が多く、例えば、実施内容が連携・協力や伴走支援となっていて、今までの内容と変わらないように感じます。
本日の野地学長や千葉学長の先進的な取組は、大学の規模に関わらず、特定の領域で行われた、研究水準の高さを背景としたものとなっていて、総合振興パッケージと合致すると理解しています。一方で、4ページ以降の実施内容が伴走支援などとなっていて、総合振興パッケージとどのような関係になっているのか、お話をお伺いできますでしょうか。
【須藤部会長】 井上課長、回答ありますか。
【井上課長】 ありがとうございます。
大学の営みは、様々なものが有機的に連動してなされているものと思っておりまして、その研究というのと社会実装というのはかなり一体不可分のような関係にあるかというふうに認識しております。
今日、産地部会ということで、我々の産学連携に関する事柄にどちらかというとフォーカスしたところを御議論いただき、御提示していますけれども、このパッケージ全体としては、いわゆる社会実装のところにぐっと寄ったところでないところの研究も含めてという形でまとめたいというのが全体像になってございます。
さっき、ここの資料の後ろについている説明をはしょった部分があるので、若干補足をしますと、資料のスライドの11ページを出していただけますか。お手元もよろしいでしょうか。今、こちらの部会で議論いただいていることで、中心でない方の研究、いわゆる産学連携にぐっと寄った部分でないところの研究を含めて、その研究をどういうふうに全体アップしていくかというところの議論も今後行っていくということにしております。
具体的には、大学研究力強化委員会というものが設置されたところでございまして、2ポツに役割というのがありますけれども、我が国の大学等における研究全体を俯瞰(ふかん)した政策の企画・立案と、こういうことをやっていかなきゃいけないという認識の下に、2ポツの一番下の行にありますが、10月にこの委員会を立ち上げたというところでございまして、明日が第1回で、こちらの議論を始めるということになっております。
しばらく息の長い議論になろうかと思います。梅原の方から説明があったように、このパッケージも1回で終わるというものではなくて、今後、令和5年度とか6年度とかそれ以降などに向けての議論ということになりますので、こちらの委員会での議論とも併せて全体パッケージということで考えております。
【長谷山委員】 ありがとうございました。
【須藤部会長】 ありがとうございました。
それでは、ベジタリアの小池社長、お願いします。
【小池(聡)委員】 ありがとうございます。徳島大学の野地学長も、東京農工大学の千葉学長も、やっぱりトップがコミットメントして取り組んでいらっしゃる。これは非常に成果が出てくるものと期待をしております。
それで、先ほどファンドの期間の件の話が多々出ました。私自身、シリコンバレー、日本、アジアでベンチャーキャピタルをやっておりましたので、その観点からちょっと御参考にお話をさせていただきますと、VCファンドは、やはりIRRとかの関係も出てきますので、期間を長くすればいいというものではない現状があると思います。その観点からいうと、欧米は実はセカンダリーファンドというのが非常に充実をしているんです。VCは投資のステージごとに得意な分野があって、シード、アーリーステージに得意なVCがあったり、レイターが得意なVCがあったり、あるいはイグジットもIPOより圧倒的にMA、バイアウトの方が多いので、0、1をつくって、そこから1から10にするところにおいては、逆にそういう企業に渡して総合的な経営リソースを基に成長させていくということは非常に有効だというふうに思います。
そういった意味からすると、ファンド、セカンダリー、バイアウト、その他の在り方を多様的に考えて大学発ベンチャーを成長させ、また、そのリターンが大学にあるような仕組みづくり、こういうものが重要ではないかなというふうに思いました。
以上です。
【須藤部会長】 ありがとうございました。
それでは、江戸川委員、手が挙がっています。お願いします。
【江戸川委員】 先ほど下岡室長から御説明があった資料3-1の関係で少しコメントさせていただければと思うんですけれども、まず、国立大学が子会社であるVCがGPをやっているファンド以外にLP出資ができるようになるという、この道を開くのは非常に、特に地域の大学から見るとプラスになる施策だと思いますので、いい方向だなというふうに思います。
ちょっと、この政策を検討するに当たって、幾つか御留意いただきたい点をコメントさせていただきたいんですけれども、まずは、このLP出資を認めるとした場合に、LP出資というのは、余剰資金の運用としてのLP出資なのか、大学の業務としてのLP出資なのか、つまり、国立大学法人法第22条で言う業務の範囲として考えるのか、余剰資金の運用の範囲で考えるのかという、ここを入り口のところでクリアにした方がいいと思います。
4大学に関しては、子会社でベンチャーキャピタルをつくって、GPとしてこのファンド事業をやっていくということになるので、当然、大学の業務の範囲中で位置づけてもらわないとできない事業をやったわけですけれども、ベンチャーファンドに対してLP出資するというのは、海外の大学でも余剰資金の運用の一環として普通に行われている、これは私立大学でもそうですけれども、そういうものなので、必ずしも国立大法人法第22条の枠組みの中で考えなくてもいいんじゃないかというところは是非御検討いただきたいというふうに思います。
それから、官民ファンドになるのかどうかというところも恐らく、官邸との関係ではポイントになってくるとは思うんですけれども、ここも例えば大学のみがLPで、民間のベンチャーキャピタルがGPをやるような委任組合をつくる場合、あとはLP出資額がファンドの半数を超えるとか、そういう状態になると官民ファンドっぽくなってくるわけですけれども、そうじゃない場合というのは官民ファンドではないというような整理も明確にしていただいた方がいいのかなというふうに思います。
あと、この後、4ページ目ですかね、赤字と青字でいろいろ、改正が必要というような問題提起があったところですけれども、この中で(1)の黒丸の四つ目ですかね、支援・投資委員会を監督、けん制する機関を設置するという、これは恐らく一般的には余りない立てつけなので、こういうのも認めて要求されてしまうと、GPの受け手が少なくなるんじゃないかという懸念があるのと、あと(2)の下から2番目の黒丸ですかね、情報公開を一般に行うということで事業の透明性の確保を求めていますけれども、これも通常のVCではなかなか要求に応えられないというところもあるので、青字のところに関しても、このような業務の範囲として捉えて整理していくのであれば、青字のところでも見直しをかけてもらわないと、なかなかGPの成り手が見つからないという懸念も出てくる可能性があるので、その辺りを、受け手がいなくならないように御検討いただきたいというふうに思います。
以上です。
【須藤部会長】 ありがとうございました。
下岡室長、何かありますか。
【下岡室長】 ありがとうございます。最後の規定のところは、ちょっとこちらでも引き続き検討したいと思います。ありがとうございます。
それから、最初に御指摘いただきました、余裕金の運用でございます。すいません、最初にその辺りをもうちょっとはっきり御説明すればよかったんですけれども、想定していますのが、典型的には例えば特許収入であるとか、縛りのない形でもらった寄附金ですとか、そういったものの運用で考えているということでございます。ですので、そこは比較的自由度が高くていいのかなということでございます。
【井上課長】 少し下岡室長の説明に補足しますけれども、恐らく江戸川先生がおっしゃったのは、財源で何が使えるかというよりは思想としてどうかという御質問かと思ったんですけれども。
【江戸川委員】 そうですね。制度的な立てつけとして、どっちで見るのかというのは多分違うので、財源の話もありますけれども、併せてそちらも。
【井上課長】 そういう意味でいくと、財源は今、下岡の方から説明があったとおりですけれども、事柄としては、これ正に産学連携施策ということで進めるということで考えておりまして、資金を運用してどう回していくかという意味では、おっしゃるように、江戸川委員の観点もありますけれども、ひとまずここのところは、産学連携をどう進めていくかという施策での方向性の整理がやりやすいかなと思っていると。
というのも、現行制度で資料にもありましたように、今の立てつけが全部の国立大学法人ができますよという程度の立てつけになっているのに、その下の法令等で、実際はできないじゃないかというような状態が生じているものですから、そこを解消するというのがまず一歩、やりやすいところかなというふうに思っているところです。
【江戸川委員】 分かりました。
【須藤部会長】 江戸川委員、よろしいでしょうか。
【江戸川委員】 はい。
【須藤部会長】 ありがとうございました。
ほかに手を挙げている方いらっしゃいますか。いらっしゃったら発言していただきたいんですが。
よろしいでしょうか。ちょうど時間になりましたので、この辺で本日の議論を終わりたいと思います。今日のいろんな意見を参考にしまして、今後、文科省の施策に反映していただけるものと思います。
それでは、最後に事務連絡として、今後の予定等について事務局からお願いいたします。
【浅井課長補佐】 文科省の浅井です。本日はありがとうございました。
次回の開催は未定ですので、改めて日程調整をさせていただきまして、決まり次第、御連絡させていただければと思います。
本日の議事録については、前回同様、事務局から委員の皆様にメールにて確認いただいた後、文科省のホームページで公開いたしますので、よろしくお願いいたします。
以上です。
【須藤部会長】 ほかに何かございますか。よろしいでしょうか。
それでは、これにて産業連携・地域振興部会を閉会といたします。どうもありがとうございました。

―― 了 ――

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