産業連携・地域振興部会(第2回) 議事録

1.日時

令和3年7月30日(金曜日)15時~17時

2.場所

オンライン(Webex)

3.議題

  1. アントレプレナーシップ教育に関する現状について
  2. センター・オブ・イノベーション(COI)プログラムの成果について
  3. 今後取り組むべき施策の方向性について
  4. その他

4.議事録

【須藤部会長】 それでは、定刻となりましたので、ただいまから科学技術・学術審議会産業連携・地域振興部会を開催いたします。
本日は、お忙しい中、御出席いただきましてありがとうございます。私は、この審議会の部会長を務めております須藤でございます。よろしくお願いいたします。
まず、本日、定数20名のうち、現在、16名出席されております。10名が定足数でございますので、それを満たしているということを確認いたしました。後ほど何人かの委員の方が参加されると思います。
それでは、まず事務局の方からお願いいたします。
【浅井課長補佐】 産業連携・地域支援課の浅井です。本日は、お忙しい中、御出席いただきありがとうございます。
まず、前回から今回にかけて人事異動がありましたので、新しく着任しました事務局の紹介を申し上げます。
地域支援室長の池田一郎でございます。
【池田室長】 26日付けで地域支援室長に着任いたしました池田と申します。どうぞよろしくお願いします。
【浅井課長補佐】 また、本日、事務局側として、課長の井上、また、後ほど局長の千原も参加する予定となっております。また、我々事務局が何名か参加しておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
会議に先立ちまして、改めてにはなりますけれども、ウェブ会議を円滑に行う観点から、御配慮いただきたい事項を申し上げさせていただきます。
マイクは、ハウリング等を防止する観点から、発言時以外はミュートにしていただきますようお願い申し上げます。また、発言時においては、あらかじめお名前をおっしゃっていただくようにお願い申し上げます。大変僭越(せんえつ)ではございますが、皆様のお名前の表示やミュート設定等について、事務局より設定を切り替えさせていただく場合がありますこと等、あらかじめ御了承いただければと思います。御意見、御質問等を頂く場面がございましたら、ウェブの挙手ボタンを押していただきますようにお願いいたします。
以上になります。
【須藤部会長】 ありがとうございました。
それでは、本日の議事についてでございますけれども、まず議事1としまして、アントレプレナーシップ教育に関する現状について、議事2としまして、センター・オブ・イノベーション(COI)プログラムの成果について、それから議題3としまして、今後の取り組むべき施策の方向性についての三つを予定しております。
まず議題1、アントレプレナーシップ教育に関する現状についてでございますけれども、事務局の方から報告をお願いいたします。
【浅井課長補佐】 産地課の浅井でございます。今、資料を共有させていただいております。お手元にあるものでは、資料1と書かれているものになります。この資料1については、前半で概要を申し上げさせていただくとともに、後半で、昨年度、文科省の委託調査として実施したものについて、内容を御報告させていただければと思います。
それでは、1枚おめくりいただきまして、2ページ目です。全体の概要として、各種報告書によると、諸外国に比べて我が国ではアントレプレナーシップに係る各種指標が相対的に低いという状況が出ております。左下の図にありますように、ランキングでも、G7の主要国中6位、アジア諸国でも6位という形になっております。また、右下にありますように、起業家的枠組みというところで、世界のアントレプレナーシップのモニターをするプロジェクトチームが出している指標で、日本は、30位台から40位台という形で、やや弱いというふうに指摘されているところです。また実際、後ほど報告しますけれども、我が国の大学におけるアントレプレナーシップ教育の受講者は3万人程度で、全体の1%の学生にしか提供されていないというのが現状になります。
次のページをお願いします。我が国で起業が少ないと考える原因で、これは今年3月の成長戦略会議で報告されたものですけれども、失敗に対する危惧、身近に起業家がいない、また学校教育等が原因ではないかというふうに指摘されているところです。
次のページをお願いします。一方で、AI時代と言われる大学教育におけるアントレプレナーシップの必要性ということで、ジョセフ・E・アウンさんの指摘等ですと、一番下のところですけれども、アントレプレナーシップ、特に社会的起業家精神を教えることというのは、国家にとって重要であり、大学にとっての優先事項であるべきだという御指摘を頂いているところです。
次のページをお願いします。そんな中、これまでの産地課のアントレプレナーシップ教育施策についてなんですけれども、復習になりますが、2014年から2016年にかけてグローバルアントレプレナーシップ育成促進事業(EDGE)という形で、若手の研究者、大学院生に対して、イノベーションを起こす人材の教育プログラムを開発・実施してきました。それを受け、2017年から今年度、2021年度まで、次世代アントレプレナー育成事業(EDGE-NEXT)ということで、もう少し枠組みを広げて、若手研究者、大学院生に加え、学部生や社会人も含めて、五つのコンソーシアムについて規模を広げてきたという状況になります。昨年度からスタートアップ・エコシステム拠点都市という形の取組が始まりまして、そこでは、実際には更に広い規模で、アントレプレナーシップ教育からGAPファンド、若しくは起業支援体制など、創業期まで一貫したスタートアップ支援体制をどういうふうにつくっていくかというようなところの取組を現在進めているところです。
右側の方に木の図がありますけれども、アントレプレナーシップという言葉は結構広い部分を指しまして、実際、醸成、動機付け、マインドセットとも言われますけれども、意識醸成段階から、コンピテンシー、実際に起業しようとしたときの必要な能力を得る段階、また、それをもって社会実践をどうしていくかというところまで、幅広いものがありますので、今般このように分類しておりますけれども、今後分析する場合に、一概にアントレプレナーシップ教育はどの状況かというときに、どの辺りで議論するかというのが、人によってイメージしているアントレプレナーシップのスコープが変わってくるというところを注意しながら議論していく必要があるというふうに思っております。
次のページをお願いします。直近やってきた次世代アントレプレナーシップ育成事業(EDGE-NEXT)の実績ですけれども、右下にありますように、これまでの成果としては、2017年から2020年度までで、延べ3万8,000人超のプログラム参加者で、その中から起業件数としては135件が出てきていて、外部資金の獲得額としては合計約7.5億円という形で、アントレプレナーシップだけの部分についてでも成果が出てきているという状況になります。
次のページにありますように、今目指しているスタートアップ・エコシステム拠点都市という形ですけれども、目指す姿としては、世界に伍するスタートアップ・エコシステムを構築するという観点で、拠点都市として、大学だけではなくて、民間、自治体が一緒になって、どういうふうにエコシステムをつくり上げていくかというところで、それぞれの持つリソースを結集しながら世界に伍していく形をつくり上げていくと。その中でも、基盤となる人材育成に力を入れていっていただいて、我が国全体のアントレプレナーシップ醸成を強化していくという形を目指しているところです。
次のページをお願いします。そういう状況の中で、昨年度、有限責任監査法人トーマツに委託をしまして、アントレプレナーシップ教育の実現に向けた部分で、どういう状況になっているかという調査・分析を委託したところです。
次のページにありますように、背景は述べてきたとおりですけれども、左下、目的としては、基本姿勢とか受講者の部分、アントレプログラムとか、他大学・地域との連携とかインフラの整備状況等々について、アンケートを採っております。対象としては、右の方にありますように、大体1,000校に送って、回収率は6割程度で、それを分析しているという状況です。財源等の関係で、EDGE-NEXTをやっている大学とそうでない大学というので差異が明確に見られますので、そこを分けて調査・分析をしているという状況になります。
次のページをお願いします。アントレプレナーシップ教育を実施する大学の割合ということで、EDGE-NEXTと、それ以外の4年制大学、短期大学等について分けたグラフとなっているところですが、全体としては、約6割強の大学が「今後実施する予定もない」という回答となっています。全体では約27%の大学がアントレ教育に取り組んでいるという状況になります。
次のページをお願いします。今実施していない大学で、実施の見込みがないという話がありましたけど、そのような大学のアントレ教育の必要性についても調査をさせていただきました。見ていただくと分かりますけれども、そのような大学のところで、7割程度の4年制大学では、アントレ教育の必要性を認識しながらも、下の方に緑と黄緑ですけれども、リソースが不足しているとか、ほかに優先すべき内容があって、必要性はあるんだけれども実施できていない状況があるというのが挙げられています。
次のページをお願いします。12ページのところですけれども、アントレ教育の受講者数ということで、EDGE-NEXTの大学のところは学部生、大学院生と、社会人とか他大学の学生が含めておりますけれども、その他の大学では受講者の多くが自大学の学部生になっているというのが現状です。
次のページをお願いします。アントレ教育の内容、具体的に何をやっているかというところで、これは全体のところですけれども、それぞれ入門、応用、教育実践という形で分類してお伺いしたところ、入門とか応用の途中までは大体5割なんですけれども、教育実践のところ、ビジネスプランに基づく仮説検証や顧客ヒアリングの場の提供というところが低くなっているというところで、これ全体の中で実践編に相当する部分の割合は約7%にとどまっているというのが現状でございました。
次のページをお願いします。アントレ教育の予算について、これもEDGE-NEXTと、そうではない大学で結構違いますので、そこを区分しますけれども、EDGE-NEXTではない大学にあっては、約4割の大学がアントレ予算を確保していなくて、500万以上という予算を計上している大学は1割、全体では35%の大学が予算がないというふうに回答しているという状況になります。
次のページは、ヒト、モノ、カネの、ヒトの部分、指導者の部分で、人的リソースのところです。EDGE-NEXTのところが格段に多いのは当然というところではありますけれども、その他の大学では、1大学当たり指導者が1名を切っているという状況になりまして、各大学でそれぞれ指導者が不足しているというのが現状になっております。
次のページをお願いします。それでは、アントレ教育に対する支援体制の整備状況ということで、ヒトやソフト、ハード、カネの部分を、ざっくりと、EDGE-NEXTと、17ページのそれ以外の大学に分けているところですけれども、全体の傾向として言えるところは、よりやっているところほど、それぞれパーセントが高いのは当然なんですけれども、若干分析しますと、やはりインキュベーション施設があるかどうかとか、GAPファンドの提供があるかどうか、また受講後のネットワークの提供があるかどうかみたいな部分が、できているところ、できていないところで大きく差が出てきているのではないのかなというふうに感じております。
18ページをお願いします。アントレ教育の実施に当たっての課題というところでお伺いしているところですけれども、EDGE-NEXTを取り組んでいる大学においても、やはり課題が多いと。やっているからこその課題というふうに感じるところなんですけれども、受講者の裾野の拡大、アントレ教育を指導する教員の育成、また協力者の不足のところに課題を抱えているという状況になっております。
19ページは、EDGE-NEXTをやっていない大学ですけれども、そういう大学においては、特にアントレ教育プログラムの設計・運用、ここに関わる教員の育成に課題を感じているというふうに回答していただいているところです。
ここまでが全国の調査で、委託調査の中では、海外の事例、先進事例を調べていただいたんですけれども、20ページがバブソン大学ということで、アメリカ、世界でアントレプレナーシップ教育のランキングでナンバーワンとなっている大学なんですけれども、ここの大学というのは、全学部の学生の必須科目として、1年間の長期実践型のプログラムを提供しておりますし、学内の学生・教員、学外教員、政府関係者と幅広い対象にそれぞれプログラムを提供していて、正にアントレ教育の中心となるような取組を行っているという状況になっております。
その次のページが、実際にどういうような仕組みをつくっているかというところで、起業のためのアイデア形成から、実際のラボを活用した製品開発、資金を得るためのピッチイベント、そしてそれがベンチャーの候補からベンチャーになっていくというところで、VCとの連携とか、一番上にありますように、企業や卒業生からの寄附金により設立された起業支援組織みたいな形で、仕組みとしてつくられているというところが分かります。日本の大学で、必ずしも全ての大学がこういう形にはならないところではあるんですけれども、こういううまくいっているところというのを、考えながら取り組んでいく必要があるという状況になります。
次の22ページが、これまでの全体のまとめですけれども、国内大学におけるアントレ教育の取組というのは限定的で、主な数値としては、アントレ教育の実施大学が27%、アントレ教育の受講率は1%程度で、ステージごとのアントレのところでも実践編の割合が7%程度と、実践がやや少ないというのが現状。またアントレ教育の年間予算も、予算がないと言っているところが35%程度というところで、限定的なリソースの中で取り組んでいると。また、民間や他大学等外部機関との連携、先ほどバブソン大学はそういう仕組みができて、仕組みとして成り立っているという話をさせていただきましたけれども、それに比べると、ほとんどの大学で不十分になっているという状況になっているのではないかと。
23ページが、これらの調査結果を踏まえながら、有識者の中でアントレプレナーシップ教育の全体像というのを描いていただきました。ここではそもそも、小中高校、学校教育、また大学の学士までを踏まえて、アントレ教育に関わらず、大学卒業までに広く身につける能力が何かと、その上にアントレプレナーシップ、マインドセットの醸成から、既存組織とかスタートアップとかスモールビジネスとか、単に起業に関わらず身につけるべきコンピテンシー、そしてそれを社会の実践としてどういうふうにしていくかというところを整理していただいたところです。
次のページが、それらを踏まえた課題の整理のところなんですけれども、アントレ教育の現状を踏まえますと、受講者の裾野が広がらないと。ここの部分は、大学全体としての理解が不足しているとか、一部の教職員による活動で、なかなか裾野が広がらないという指摘があります。また、それのためにもというところもありますけれども、アントレ教育のリソースが不足しているということで、指導する体制の部分もあれば、外部からのリソースの確保ができていないというところも課題として考えられます。また、成果を生むための仕組み、これまで国の事業、文科省のEDGE、EDGE-NEXTでも、その後のGAPファンド等、起業につながるところまでの一体的な仕組みという形で事業を実施していなかったというところもあるんですけれども、アントレ教育とその後の起業に至るプロセスの接続がうまくなされていないのではないか。また、アントレ教育後に成果を出すために必要な外部との連携、先ほど申し上げましたファンドとかVCとか、CVCとかいろいろありますけど、そういうところとの連携ができていないのではないか。最後のところが、アントレ教育の効果検証や方法論が不足している、また成功事例を知る機会が不足している。新たな取組をやろうとしたときに、これが効果的だから広めていくべきだというところがなかなか、ほかの人に伝えるための努力が不足していたのではないかというところが課題として考えられます。
また、前回、地域の中核となる大学のところが議題にありましたので、主にグローバル拠点都市を想定していますけれども、都市部とその他の地域において、環境の違いというのを整理してみました。大学の連携の候補ということで、グローバル拠点都市であれば豊富な連携先が存在する一方で、地方部は主要な連携先が存在しない。また、取り巻く環境としても、これはどちらにも共有していることですけれども、関係機関との連携が不足している。また、外部のスタートアップ関係者とアントレ機関の接点が少ない、特にグローバル以外のところでは、更に地域内のリソースに限界があるというところにあります。
それらを踏まえると、一番下、エコシステムを形成していく上でのポイントとして、グローバル拠点都市共通に言えることですけれども、学内外を接続する人材をどういうふうに設置していくか。プラスアルファ、地方部と言われる、主要な連携先とかリソースが少ないところであれば、オンラインを活用することによって、不足するリソースをカバーしていくなどの取組が効果的ではないかというふうな形で分析をしてもらっているところです。
最後、26ページになりますけれども、エコシステム形成に向けた目指すべき姿という形で、実際に、大学の学内外を接続する人材から、学生、起業家、卒業生、大学生、VC・エンジェル等について、どういうような形で連携をしていくかというところの姿を書いていただいております。これらも参考にしながら、今後の我々のエコシステム形成に向けた取組を進めていきたいというふうに思っております。
調査結果については以上になります。
【須藤部会長】 どうもありがとうございました。
それでは、これから少しディスカッションに入りたいと思うんですけれども、ちょっと順番が前後しましたが、この部会で、最終的には今後取り組むべき施策の方向性というのを議論しようと思っていますが、前回第1回のときは、地域の中核となる大学の機能強化に向けた戦略的な運営、そういったところを議論していただきました。今日突然、アントレプレナーと出てきたんですけれども、大学を中心としたスタートアップ・エコシステムの形成というのが、前回の議論に引き続いて、地域の大学のもう一つの大きな課題になってくると思っています。その後、本日またCOIについてやりますけれども、産学連携による新たな価値共創の場というのをどう考えるかという、その3本柱を議論することによって、最終的に、今後取り組むべき施策をまとめたいというふうに考えております。そういった意味で、このアントレプレナーシップの話を事務局にしていただきました。
それでは、少し議論したいと思いますけど、何か御意見ある方いらっしゃいますか。
林委員、手が挙がっていますね。林さん、お願いします。
【林委員】 ありがとうございます。アントレプレナーシップの教育や活動例について、スイスの連邦工科大学とか、デンマークの工科大学とか、スウェーデンの王立工科大学、KTHなど海外の大学例を調べた経験があります。それと、私自身日本の大学でやはりアントレプレナーシップ教育を実際にやってみて、ただいま報告された調査の結果を拝見すると、正にそのとおりだと思う点が多いです。幾つか追加させていただきたいと思う点を述べさせていただきます。
先ほど挙げた欧州の理工系大学のアントレプレナーシップ教育は大学ごとに特色あるものですが、結構ボランティアベースで始まった背景があるようです。機械工学分野は技術そのものに大きな価値があった時代から最近は部品創りだけでは十分な価値を創出できなくなってきた、Industrie 4.0 やIoTの新しいトレンドのなかで機械工学としてどのように付加価値を確保するのかという課題意識を共有する先生方が学部内でアントレプレナーシップの教育をしようという背景で始まってきたと聞きました。ただ、教育プログラムとしては専門分野の教育プログラムに対してあくまでも副専攻であり、メインストリームに位置付けられていないようです。この状況はやはり日本でも同じだと思います。
一方で、うまくやっているところはスイス連邦工科大学 (ETH) だと思いました。スイス企業に限らず世界中の企業との連携が大変強く、企業からの資金提供もあって予算があり、スタートアップ支援を含めた実質的なアントレプレナーシップ教育を進めていました。
日本の大学を見たときに、一つ課題かなと思うのは、まずは大学、大学の学長さん、あるいは理事長さんとか経営層が、アントレプレナーシップ教育をどういう優先順位に置くかということだと思うんですね。現在の大学の評価システムではアントレプレナーシップに優先順位に置いたとしても大学の評価が上がるわけではありません。結局は、影響力のある雑誌に論文数が幾ら出ているかとか、そういったことで大学自体のブランド力が決まってしまいます。そういう現状があると、やはりアントレプレナーシップにどうしても優先順位は置けないという現実があるのかと思いました。
もう一つは、大学内の工学部など強い学部がアントレプレナーシップを重要であるという意識を持っているかどうかも重要です。やはり科学、技術を主体にやっているのが大学であって、アントレプレナーシップ教育の重要性を例えば工学部で認識されて、学校全体の合意形成につながっていかないといけないと感じました。
説明されたアントレプレナーシップ教育への支援を出すというのは絶対必要だと思うんですが、大学の経営層やリーダーシップの方々の考えを変えられるような、大学の評価軸を変えるということを地道にやっていかないと、地に足がついていかないのではないかなと思います。。
以上です。
【須藤部会長】 ありがとうございました。重要な御指摘だと思います。
それでは、江戸川委員、お願いします。
【江戸川委員】 江戸川です。御説明ありがとうございます。
私からは、アントレ教育が誰のためかと、そういう観点でコメントさせていただきますけれども、最初に、起業を志す人ですね、これからベンチャーをつくりたい、そういう学生が増えていますけれども、こういう方々にとってのアントレ教育というふうに捉えたときには、やはりアントレ教育というのは実践的で、なおかつプロによる支援があった方がいい、そういうことになってくると思います。その点で、従来はGAPファンドとEDGEをはじめとするアントレ教育がリンクしていなかったところが多かったと思いますので、ここでGAPファンドの施策や事業化に向けた支援、メンタリングとアントレ教育が連携していくということは極めて重要だと思います。
特にその中で、事業化に向けた支援をするメンターの方々のメンタリングが、このアントレ教育の中で紹介されているフレームワークなんかを踏まえた支援になっているかどうかというところが恐らく課題として出てくると思いますけれども、できれば、この教育プログラムとメンタリングというものが連動すると、起業を志す方々からすると、非常にいいプログラムになっていくのではないかというふうに思っておりまして、今回のスタートアップ・エコシステム形成支援の着眼点というのは、この辺りを深めていく、連携をしっかりやっていくということなので、期待できる取組だなと思っております。
一方で、これとは逆のことを申し上げますが、私は、「アントレプレナーシップはイノベーションを通じて社会を発展させる燃料である」と捉えていて、必ずしも、ベンチャーを起業するとかスモールビジネスを起業するとか、こういう起業家だけが備えればいいものではないというふうに理解しておりまして、そういう意味で、アントレ教育が単にベンチャー等を起業するためのノウハウ取得の場になってしまわないことが非常に大事であると考えております。受講している人数が少ないというのは、そもそも教育を提供している機関が少ないということもあるのかもしれませんが、もともとアントレ教育が起業を目指している人のためのプログラムだというふうに思っている学生が多いのではないかという懸念もありまして、そういう意味では、今回の政策の方向性で、どんどんスタートアップとか起業というところに、狭くこのアントレ教育を定義してしまうことがないかどうかというところは若干懸念しておりまして、その辺り、より広く、アントレプレナーシップが重要なんだという観点を持って今後進めていただくこともお願いしたいというふうに思っております。
以上です。
【須藤部会長】 どうも江戸川委員、ありがとうございました。
それでは続きまして、高木委員、お願いします。
【高木委員】 高木です。御説明どうもありがとうございました。
今まで文部科学省は、EDGEやEDGE-NEXTなど、このアントレプレナーシップ教育を積極的にやってこられて、大変よろしいと思います。私自身、この受託側の大学、具体的に言いますと東京大学ですが、その諮問委員を、EDGE、EDGE-NEXTを通じて拝命していました。御存じのとおり、東京大学では非常にベンチャー創出が盛んです。ですからEDGEプログラムのときに、東京大学が単独で進められていたときには、かなりハイレベルなことをやっておられました。今日の御説明の資料1の5ページの右側の図の、アントレプレナーシップの発揮が中心でした。全体では、図の一番下は動機付け・意識醸成段階、それから上の方で社会実践段階がありますが、この社会実践段階のことをやっていました。その時は、先ほど協力者というお話がありましたが、ベンチャーキャピタリスト、現役のコンサルタント、こういう方々がメンターに入っていただいて、非常に実践的なことを行っていました。
ところがEDGE-NEXTになって、複数の大学がグループになって参加するようになったときに、大学間でこのアントレプレナーシップ教育に期待するレベルに格差がありました。動機付けなど基本的なレベルを期待する大学も参加されたのでやむを得ないと思いますが、結果として全体のレベルが少し下がってしまったと思います。
アントレプレナーシップ教育を今後より実のあるものにしていくため際には、意識的なレベル分けも必要だろうと思います。例えば大学でも、学部での教養課程、専門課程、大学院での修士課程、博士課程というのがあるわけです。同じ学術分野でも、その教え方、教える人、メンター、それから教える人のモチベーションも大分違うわけです。これを学部の学生と博士課程の学生を十把一絡(から)げに教育するということではなくて、きちんとそのレベル、グレードを明確に分けて、進めていただければよろしいのではないかと思います。今日の資料でも、例えば23ページに全体像が書いてありますが、特に国の事業として行う場合、受託した大学は文部科学省の事業の方針に従わざるを得ないわけですから、この点は行政側として御検討いただければと思います。
以上です。
【須藤部会長】 どうもありがとうございました。
それでは、西村委員、お願いいたします。
【西村委員】 ありがとうございます。西村です。私は大学の教授ですが、もともとベンチャー企業の社長でもあったので、その立ち位置から少し考えさせていただきたいと思います。先ほど江戸川委員のおっしゃったことがすごく刺さっていて、アントレプレナーシップ教育イコール起業家をつくる、つまりこれを出たら起業してほしいよねということに余りにも偏っていると、これは学生にはかなりのプレッシャーになると思います。「ベンチャーつくればかっこいいよ」と簡単に言うけれども、日本社会を見ていただければ、まだ大企業志向であって、安定志向でもある。その中でベンチャー企業で働くことの厳しさと孤独感というのを、私がベンチャー企業の社長の時には物すごく感じました。特に、国立大学発ベンチャーを第一号でつくったんですけれども、大学関係者は皆さん兼業で、ほとんどの人は片手間で入ってきている。その中で自分だけが大企業を辞めて専業でやるというのは精神的にしんどかった。だからこそ、そういう厳しい社会なんだということを本当はまずしっかり認識すべきです。いきなり初心者をそういう厳しい場所に放り込むということに、それと、たかが1年、2年ぐらいの大学の教育で起業家をつくろうということに、少し怖さを感じた方がいいと思います。
このことを感覚的に分かっている学生たちと、形式的につくっている人たちが、どうしてもごっこみたいな形で、何となくアントレ教育みたいな感じのことを行い、きれいな教育で収めてしまっている気がします。だったら、最初から、アントレプレナーの意識、起業家的な意識というのは大企業に入っても必要なとなると割り切って、その意識について教育することに注力する。私たちは起業家的な意識を「プロジェクトマネジメント能力」と言葉を換えて、大学院生には全員教えているんですね。そうすると、その後の研究の仕方が変わってくる。だからそういう起業家マインドを教えるんだとか、起業家マインドを醸成させることが大学教育全体の底上げになるんだということも意識すべ気だと思います。こういった教育的な視点で再検討する意義もあると思います。
それと、アントレプレナーシップの教育が、初心者教育にとどまっている感じがします。起業家は何回も何回も失敗しながら、もまれながら成長して本物の経営者になっていくと思うので、例えば中級、上級とか、経営者の段階に合わせて教育を行う。こういったレベルの経営者に対する教育を大学ができなかったら、初心者に対する初級教育もできないと思います。アントレ教育を大学でやるべきかどうかについて考えるのであれば、大学でも中級、上級の、本物の経営者に対して、ガチにやりながら教育することができないと、初級教育もできないと思います。ですから、大学がどこまで踏み込んでアントレ教育、起業家の育成を行うのかということも考えるべきだと私は思います。
以上になります。
【須藤部会長】 ありがとうございました。
あと3名の方から手が挙がっていますけれども、後の議題もありますので、この3名の方で、取りあえずこの議論は終わりにしたいと思います。
それでは続きまして、栗原部会長代理、お願いします。
【栗原部会長代理】 栗原です。ありがとうございます。
江戸川委員がおっしゃった、西村委員も先ほどおっしゃっていましたけれども、大学、教育でのアントレプレナーシップ教育というのは、本当に起業家を目指す人だけではなくて、企業、会社に入る人にとってもこういった機会を求めるというのは、現実にいろいろな起業家支援をしていると多くありますので、そういうことが大学の場で、起業家だけではない幅広いプログラムとして存在するというのは、これはこれで一つ意義があるだろうなというふうに思います。ただ、もう一方で、西村委員がおっしゃったように、そういうことを目指すのか、それとも、今、学生から起業している人も結構いて、じゃあ本当に起業したい人が実践的に、どうチームアップして、どうマネタイズしてというようなことが学べるのかというようなことを本当に目指すとすると、恐らくちょっとこういうプログラムではなかなか難しいんだろうなと思うので、どちらを目指すのかということを今後考えていった方がいいのではないかなと思ったのが1点です。
それからあと、ちょっとそれとも関係するんですけれども、とはいえ、今回この部会の方で取り上げた一つの意図というのが、地域大学の役割ということなのであれば、地域大学がこういった何がしかのアントレプレナーシップ教育においての基盤になるための一つの要素としては、やはり地域企業がどう参加するかだと思うんですね。そうすると、地域の企業に働くような社会人の人たちも、やはりこういうプログラムに参加する機会があっても全然不思議ではないですし、それから、起業するときの経営者としての教育ですとか、あるいは何か物を作っていく、サービスを考えていくときのマーケティングの場というような形で地域の企業が参加するということは十分あるのではないかなと思いますので、ちょっとそういう観点で、もう一度この仕組みについてエッジを効かせていくというのはあるのではないかと思いました。
以上、2点です。
【須藤部会長】 どうもありがとうございました。
それでは、小池委員、お願いします。
【小池(聡)委員】 小池でございます。アントレプレナーシップ、この辺は、私自身が結構ずっと長く関わってきた分野なので、いろいろ意見があるんですが、短い時間なので、簡単に申し上げます。
私、シリコンバレー中心にベンチャーキャピタリストとして、シードアーリーステージで投資をしておりました。大学発ベンチャーも投資をしておりましたけれども、基本的には、大学卒業して、すぐ起業して、そういう人たちのマネジメントの下に投資をするということは、ほぼありませんでした。日本に戻ってからも、そういうスタートアップのエコシステムの構築だとか、あとは大学でアントレプレナーシップとかビジネスプランについても講義をしておりましたので、その観点から言うと、大卒でアントレプレナーシップ教育を受けてすぐ起業して、そのまま物になるかというと、なかなかそうではないというふうにも思っています。
アメリカも、キャリアで考えると、大卒ですぐ起業してというのは、実はそんなには多くないんですよね。大体アンダーグラッド、それからマスターを取ってから、1回どこか大手企業や新興企業に入って、その後にもう一回、ビジネススクールに戻って、それからスタートアップに行ったり、コンサルに行ったり、投資銀行に行ったりして、その後に、スタートアップでの経験を経て自分で起業するというようなキャリアが結構多いというふうに思います。大学で少し知識をつけただけでベンチャーを、創業するぐらいはできるかもしれないですけど、そのマネジメントも含めてできるほど甘くはないということなので、どちらかというと、アメリカのバブソン大学を出ても、みんな起業するわけではく就職している人も多いのが事実です。米国ではビジネススクールの中で、リカレント教育として、就職してからもMBAプログラムのほか、夜間やファストトラックのアントレプレナーシッププログラム、リーダーシッププログラム、エグゼクティブマネジメントプログラムなどに参加してから起業するというのもあるし、エクステンションカレッジで同様の講座があるということも非常に多いので、このアントレプレナーシップ教育というところも誰をターゲットに何をゴールにしてやるのかというのを、もう少し大学の方でも幅広く、いろいろな層を捉えて考えてもいいのではないかと考えます。
以上でございます。
【須藤部会長】 どうもありがとうございました。
それでは、高橋委員、お願いします。
【高橋委員】 キャンパスクリエイトの高橋です。私は産学連携を大学の研究者と、企業さんと推進している立場から、大学発ベンチャーやスタートアップというところでどう考えるかというのをお話ししたいと思うのですけれども、私が考えるスタートアップというのは、研究成果のアウトプットの幾つかある手法の中の一つだというふうに考えていて、先生方から起業したいのだというお話を伺うときに、よく思うこととしては、研究のスタート段階で、これは起業できるような研究シーズなのか、若しくは産学連携でどなたか実装してくださる企業をつかまえて実用化に走っていくのか、いろいろ手法があると思うんですけれども、その見極めをしながら、研究をどういうふうに発展させていくのかというのを考えてこない先生が結構多くていらっしゃる。こういうアントレプレナーシップの研修を取り入れることで、自分の研究の立ち位置はどこなのかというのを研究のスタートのところで考えることのできるような仕組みになるといいなというふうに思います。
あともう一つは、やはり一番難しいのは社会実装段階、ここにも今、スライドが出ていますけれども、やっぱり実装していく、本当に社会に出していく、マネジメントしていくというところに関しては、座学で幾ら勉強してもというところが、皆さんおっしゃるようにあるかなと思うので、私どもも今やっているところではあるのですが、伴走をいかにしっかりやっていくかというところが非常に大事ではないかと思います。皆さんおっしゃるようなメンタリングの部分なのかもしれませんが、そこをどれだけきちんとプログラミングしていけるのかというのを議論していただければなと思います。
以上です。
【須藤部会長】 どうもありがとうございました。
たくさん意見を頂きました。最後に、今後の方向性、施策の方向性という議論でまとめに入ることになると思うんですけれども、是非その部分の議論の中に反映していきたいと思っております。どうもありがとうございました。
それでは、次の議題に移りたいと思います。センター・オブ・イノベーション、COIの成果について、この成果を受けて今後の共創の場をどうやって築いていくかという議論に入りたいと思います。
まず、COIを担当していましたJSTの酒井部長から説明をお願いします。
【JST(酒井)】 JSTの酒井でございます。本日はよろしくお願いいたします。資料に基づきまして、COIプログラムの成果について御紹介をさせていただきたいと思います。
COIプログラムは平成25年に始まりました、いわゆるファンディングプログラムでございまして、そのスタートしたときに掲げられておりましたコンセプトが、この「今の夢 10年後の常識 新しい未来を作りたい」、それから「人が変わる」「大学が変わる」「社会が変わる」と、こういうキャッチフレーズを掲げまして、具体的なプログラムの目標としましては、1番目が、企業、大学それぞれ単独ではできない革新的なイノベーションを産学連携で生んでください、社会実装まで到達してくださいということ。それから2番目としましては、そのような活動ですね、イノベーションを持続的に生み出すようなプラットフォームを整備してくださいと、この二本立てで、成果を生むことと、仕組み、拠点を形成するということの両輪をやってくださいということでスタートしております。
もう少し細かい御説明としまして、実際の運営の方法としましては、水色で囲いました社会ビジョン主導、そこの社会ビジョンからのバックキャスティング型で研究開発計画、拠点活動計画をつくって、さきほどのゴールに向けた活動をしていただく。それから、産学が一つ屋根の下、アンダーワンルーフで、目標を共有して一体的に活動していただきたいと。このような活動を支えるためにはマネジメント組織が必要だということで、この中心になる機関に研究推進機構というマネジメント組織、リーダーを支える組織を必ずつくってくださいと、そういう要件でスタートいたしました。
最初スタートするときに、このビジョン1、2、3という、三つの大きなビジョンをプログラム側でお示ししまして、これに基づいて具体的な各プロジェクトのビジョンを、それぞれ実施する側で立案いただいた。そこからバックキャストしまして、COI拠点は、この下の絵にありますとおり、企業、産業界出身のプロジェクトリーダーと、大学、アカデミア出身の研究リーダー、この2人リーダー体制で拠点をマネジメントしてくださいという体制でございます。
次、お願いします。これは9年間のプログラムでございますので、実は最初、トライアルという、育成型のようなもので採択したプロジェクトもあったのですが、最終的に18のプロジェクトを支援してきておりまして、今年度が最終年度でございます。プロジェクトに対する評価は、中間評価を2回、18のプロジェクトに対する評価として既に実施しております。
拠点はたくさんございますので、省略させていただきますが、ビジョン1というものが健康、ヘルス、医療の内容のものが多くて、ビジョン2という水色のものが、少し特徴のあるテーマでございまして、芸術でありますとか感性でありますとか、そういったテーマを取り上げております。それから、ビジョン3はものづくりのテーマが多いようなグループになっております。
次でございます。プログラム全体としての運営体制としましては、文部科学省のほうに、上の薄いオレンジ色で書かれておりますガバニング委員会が設置されておりまして、この委員長が、元の東大の総長です小宮山先生でして、小宮山先生がかなりこのプログラムについては実態的に、いろいろコンセプトを打ち出されて、牽引(けんいん)してきていただいているところです。
JST側の運営体制としましては、全体のマネジメントのリーダーとして、元の東大の副学長であります松本先生にお願いしておりまして、その下で、実際上プロジェクトに対して直接的にいろいろ指導、支援を行っております中心の方々は、ビジョナリーリーダーというふうに書かれている方々でして、ビジョン1のところでは、元協和発酵キリンの社長の松田リーダー、ビジョン2の方は、今日ご参加の委員でいらっしゃる小池社長、それからビジョン3は、ちょっと最近交代したので、名古屋大学の医学部の教授であります水野先生になっておりますが、しばらく前までは産業界の、ものづくり企業のCTO経験者の方などにビジョナリーリーダーをしていただいておりました。
次でございます。主立った成果は資料を御覧いただければと思います。
次です。先ほどの図に実は少し書いてあったのですが、各プロジェクトを直接的に御指導いただくビジョナリーリーダーという体制のほかに、プログラム全体を横串的に、横断的に支援する有識者グループとして、構造化チームというものが設定されておりまして、このチームは、かなりいろいろな試み、トライアル的にいろいろな活動をしてきていただいた中で、最終的に、ここに掲げておりますような三つぐらいの活動に収れんしてきました。若手の活躍促進というところと、健康・医療データに関わる連携を支援する活動、それから規制・制度への対応といったところ、最終的にはこの辺りが中心的な活動になってきました。メンバーについては、これは現在の姿ですが、かなり途中入れ替わっております。
次です。特にこの構造化チームの特徴的な活動として御紹介したいのは、若手の活躍促進ということで、実を言いますと、今日御出席の小池ビジョナリーリーダーに非常に牽引していただいてきている活動なんですけれども、もともとこの9年間のプロジェクトの中で、やはり実際上の活動の中心的なメンバーというのは、任期制の、いわゆるポスドク等の方が多いという中で、そういう方々が、各拠点のリーダーの指示の下で活動をしているというような実態がある中で、そういう若い研究者の方々の主体性、自主性を引き出すにはどうしたらよいだろうかということで、最初の頃はハッカソンのようなことをやったりしながら、最終的にかなり有効に機能したのではないかと思っている活動が、プログラムの内部ファンディングの仕組みとして、少額の研究費の内部公募をしまして、拠点をまたいだコンビネーションで提案してきたものについて、若い方々にそういう少額のお金を配分する、若手御自身の考え、研究計画で実施するものについて支援しますよという活動をしまして、これは後ほど御紹介するプログラムの全体評価でも、拠点をまたいだ連携を促す上では、各拠点のトップのリーダー同士が連携をやろうとするよりも、若い方が直接つながってしまう方がうまくいったというような御評価を頂いております。
次、お願いします。これはちょっと省略させていただきます。
この半年間、プログラム全体に対する評価、外部評価を実施しましたので、この結果について御紹介いたします。全体評価の目的は、先ほど言いましたように、18のプロジェクトに対する中間評価は実施したのですけれども、プログラムに対する評価はしていませんでしたので、終了する少し前、1年前の時期に、早めにこの全体の評価を行ってしまおうということで、得られた評価結果は、COI各拠点の今後の発展にも活用したいものですが、今日御紹介も頂いております後継の性格を持つCOI-NEXTのプログラムの運用にも、反映できるものは反映していきたいという趣旨で実施いたしました。
評価項目につきましては、プログラム全体の運営手法がよかったかどうかということと、それから全体としての進捗、成果はどうかという観点で評価を頂きました。
3ポツの評価の進め方でスケジュールを書いておりますが、これは半年間かけまして、かなり丁寧に御覧いただいたと私どもは思っております。
次、お願いします。外部から御評価いただいた委員の方々は、このような方々で、委員長といたしましては、NIMS、物質・材料研究機構の前の理事長であります岸先生にお願いをいたしました。産学の両方から委員に入っていただきました。
次です。総合評価としましては、御覧いただいているとおりですが、掲げておりましたプログラム目的どおり、産学連携での革新的なイノベーションの実現、イノベーションプラットフォームの整備が進みつつあると。そうした活動を通じて社会課題の解決に貢献する好事例が実際生まれつつあるということと、それから、「人が変わる」「社会が変わる」「大学が変わる」について、これも十分可能性が見えてきたという御評価を頂きました。それから、プログラムの趣旨には、今日の資料では明確に記載されていなかった部分では、新たな学術的な研究、要は新たな学問分野ができるきっかけとか、研究の深化につながるような可能性も一部見えましたという御評価を頂きました。このようなことだったので、このCOIプログラムのオペレーションの仕組みですとか個別の成果を更に継続発展させてほしいということで、次なるJST、文科省その他のプログラムに活用してほしいという御評価を頂きました。
次です。今後に向けた提言といたしましては、COIプログラムの1番、ユニークな運営の仕組みを次でも活用したらどうでしょうかということで、1番、企業出身の方々がプログラムマネジャーとして、プログラムの運営をしていただいたということ。それから、2番は実施側です。プロジェクト側ですけど、御紹介しました企業出身のプロジェクトリーダーとアカデミア出身の研究リーダーという組合せはよかったのではないかと。3番、ビジョン主導、バックキャストはよろしいということと、それから、実施計画を柔軟に見直す、途中でも、世の中の状況の変化、あるいは拠点自身の進捗具合に応じて計画をどんどん見直していいただきましたと、それを許容しましたというところを評価いただいています。4番としては、これは産学連携で、企業も参加したプロジェクトを組んでくださいということですが、企業さんへは国費は配分されませんということで、リソースを持ち寄ってくださいということは、かえって本気の企業だけが集まる結果になったのではないか。それから5番は、御紹介しました研究推進機構というプロジェクトマネジメント組織を設置したということです。
それから、2番としましては、成果の創出状況は一定の成果が出ているということと、今後もその活動を継続すると、より発展するような、途中段階というか、進捗しつつある成果もあるので、さらなる活動を継続してほしいということで、それにはプロジェクトを実施している大学等々の自助努力はもちろん当然重要なんだけれども、文科省やJSTにおいてさらなる支援ということも検討していただきたいというような趣旨のコメントを頂いております。
次、お願いします。3番、先ほど御紹介した構造化チームの若手支援の活動は、更に次でも生かしてほしいと。
4番、今回のビジョン主導・バックキャストですとか、COIプログラムの取組の仕方がユニークで、一定の効果を発揮していると思われるんだけれども、それほど社会で必ずしも多く知られていないので、こうしたユニークな活動が一定の実績があったということを、より広報してほしいという御指摘です。
5番目の御指摘としては、この全体評価では把握し切れなかったような、より細かい次元でグッドプラクティスを把握したり、あるいは見直したらもっとよくなる部分もあると思われるので、より詳細な調査を更に深めてほしいという御指摘を頂きました。
以上が全体評価の模様でございます。
この後、18あるプロジェクトのうち、二つのプロジェクトだけ取り上げまして、具体的にどうかというのを御紹介したいのですが、この2拠点を取り上げました意図は、先ほど申しましたように、プログラムの目的が、イノベーション創出、具体的な研究開発成果を生むということと、持続的なプラットフォームをつくるという両面がございますので、この両面、両方のサイドとも比較的御説明しやすい拠点を取り上げさせていただきました。
一つ目が弘前大学の拠点でございまして、これは健康をテーマに掲げた拠点ですが、拠点の名称が「真の社会イノベーションを実現する革新的『健やか力』創造拠点」ということで、これ自身が拠点ビジョンを表しているわけですけれども、彼らはキャッチフレーズとしまして「短命県返上」、青森県の平均寿命が日本で一番短いそうで、短命県返上と。言い換えますと、もう少し格好よく言うと健康寿命延伸ということで、非常に分かりやすい拠点ビジョンを掲げていらっしゃいます。
次、お願いします。これも拠点ビジョンの補足説明でございます。短命県だからこそいろいろな課題があるので、課題先進地域なので、そこからイノベーションをやるぞという意気込みを示されております。
次です。体制としましては、これ自体が、先ほど申しました持続的なイノベーションプラットフォームの姿の一部分になっていくと思うのですが、これは途中で改組してつくられた現在の体制でして、真ん中にあります弘前大学医学部の附属組織として健康未来イノベーションセンターという、COI拠点活動の中核となる大学の組織を途中でおつくりになりましたということでございます。ちょっと小さい字で書いてあるんですが、実は左側のデータ解析部門というところには、外部からデータサイエンティスト、専門家を、正規の教授として新しく雇用されたというようなこともございます。
次です。このCOIの活動を継続してきたことによって、最新の……。
【須藤部会長】 酒井さん、すみません。もうそろそろ時間なので、うまくまとめてください。
【JST(酒井)】 すみません。これは15の共同研究講座がありまして、具体的に言いますと、かなり外部資金も獲得できるようになったという状況でございます。
次、お願いします。弘前の場合は、地域連携です。県内での連携、これ自体がプラットフォームを構成していると、大学の中のセンターと、それから地域連携。それから、今度は外部のアカデミックな連携で、データ解析といった部分に関しては、強力な大学、日本で第一級の研究室を実際プロジェクトに組み込んで、そこと一緒にやることによって非常に優れた拠点に成長したということでございます。これら全てが組み合わさってイノベーションプラットフォームになっているのではないかと私どもでは理解しております。
時間がございませんので、ここはもう省略させていただいて、次へ進みます。
名古屋大学ですが、名古屋大学は地域のモビリティーをやっている拠点でございまして、地域の高齢者の移動の課題を解決するということで、自治体と連携していると。それもいろいろなタイプの自治体です。いろいろなタイプというのは、右側が中山間部で、かなり人口密度が低いところ、それから左側の上が、いわゆる普通のと言いますか、典型的な地方都市。左下がオールドニュータウンと呼ばれている、かつてニュータウンだったんだけれども高齢者の割合がとても増えている、いろいろなタイプに応じた高齢者に対する移動サービスの開発設計というのをやってきているということでございます。
COIでのいろいろな活動を積み重ねて、それから、ほかの国プロ等の活動も踏まえて、外部と連携するような学内の大きな組織を、改組してつくってこられたと、これ自体がイノベーションプラットフォームになっているという理解でございます。
COIについては以上でございまして、一番後のページだけ御紹介したいんですが、こうしたレッスン、先ほどのCOIプログラムの経験、実績を踏まえて、次の、後継の性格を持つCOI-NEXTの運営には、先ほどの全体評価の御指摘も横目で踏まえながら、これは既にスタートしているんですけれども、ある程度反映しながら制度をつくってきたところでございます。このような御紹介でございます。
時間が超過しまして、失礼いたしました。
【須藤部会長】 どうもありがとうございました。それでは、ただいまの説明に対して御質問、御意見等ございますか。
千葉委員、お願いします。
【千葉委員】 東京農工大学の千葉でございます。御説明ありがとうございます。
COI、イノベーションということで、この大きな目標というのは、やはりこれだけ組織立っているので、少なくともイノベーションというものがどうなってきているかということがもっと明確に示された方が、実はこのプロジェクトが発展的になるのではないかというふうに思います。どういうことかというと、経済的な観点というのをもっと入れてみてはどうかなというのが私の意見でございまして、例えば80億円のお金を投入して、これは税金なんですけれども、最終的には税収がそれ以上に上がるとか、外貨獲得がそれ以上に上がるということが達成できると、これはそんなに人に気を遣わなくてもどんどん発展するわけです。そういう流れがどのレベルでできているのか。
確かに、プラットフォームがこういう形でできましたという話はよく分かるんですけれども、現実的にお金がどう回るかという、大学の人間はそういう表現が余り好きではないのはよく分かっているんですが、そこの部分こそ、先ほどのアントレプレナーシップとも関係するんですけれども、失敗を恐れずにやるとか、勇気を持ってやるという、学生たちにそういうことを言っているんですけれども、本来であれば研究者や教員もそういうマインドを持ってチャレンジしていって、実際成果がどこまで行ったのかということを検証する、あるいはされる。それによって、思いどおりにいかなかったとしたら、なぜうまくいかなかったのかということをしっかりと共有していくことによって次につなげる、こういう真剣勝負の世界というのをしっかりつくっていくことが大事ではないかと思います。
以上です。
【須藤部会長】 ありがとうございました。
酒井さん、何か、今の御指摘で。
【JST(酒井)】 じゃあちょっと、私で十分お答えできるかどうかはあれですけれども、コメントバックをさせていただきますと、一つには、そこまで数量的にというか、プログラムの開始当初に、アウトカムをそのように明確に測定するということまで設計していなかったということがございます。とはいいながら、走りながらやってきたことによって、このような外部資金獲得額が約300億円ですとか、この外部資金というのは、他の競争的資金もありますし、それ以外のものもあります。それから企業からのリソース提供額として300億円ぐらいということで、これは令和元年度時点なんですけど、下に書いてありますとおり、元年度時点では国費が出ていったお金が500億円ぐらいですので、それにある程度、桁としては合うぐらいのフィードバックはございましたということが一つございます。
それからもう一つは、一部のプロジェクトでは、例えば医療経済の評価などを今始めているというような、ちょっと後づけですので、先生が御発言された意図とはちょっと違うとは思うんですけれども、そういった活動も着手はしております。
簡単ですが、以上です。
【須藤部会長】 小池さん、何かありますか。今の議論について。
【小池(聡)委員】 ありがとうございます。今、千葉先生がおっしゃったところは非常に大事なところです。やはりこういうプログラムはROIをきちんと明確にし、経済的な指標も出していくことが重要だということで、実はCOIのガバニング委員会やビジョナリーチームの方で、進捗・成果をKPIを設定しなるべく数値として表すように指導してきました。酒井さん、この資料以外にもいろいろありましたよね。
【JST(酒井)】 そうですね。すみません、ちょっと。
【小池(聡)委員】 もう少し具体的な、例えばベンチャー企業一つ取っても、何社できましたというだけしか書いていないんですけど、この中ではかなり、実は資金調達にも成功して、ビジネスとして非常にうまくいっているベンチャー企業も幾つか出てきております。そのような成果の数字の積み上げというのは、この資料の中には入っていないかもしれません。千葉先生がおっしゃった観点では、COIに関しましては、進捗・成果をもう少し具体的なKPIにより管理しておりましたので、まだ今、COIは続いていますが、最終年度が終わって報告できるようにしたいと考えております。
【JST(酒井)】 はい。ありがとうございます。
【須藤部会長】 どうもありがとうございます。
【小池(聡)委員】 すみません。
それと、COIプログラムに関わっていた者として、今、酒井部長が御説明していただいた中で二つ、私は重要な点があると思っています。一つは、若手の活用ということになります。大学を中心にしたこういうプロジェクトは、中核となる先生方の力は非常に大きいんですけれども、やはり横串を刺して、なおかつ社会実装していくという観点になると、若手をどう活用できるかというのが一つのキーになります。あともう一つは、今、VUCAの時代ということで、非常に先が読めない不透明な時代になっております。今回もCOIプログラムの最中にCOVID-19ということがありまして、昨年度初めに、今までの計画をそのまま続けるというよりは、いち早くそれに対応した形に変えていくということを指示いたしました。その結果、非常にフレキシブルな対応ができて、いわゆるウイズコロナ、アフターコロナ、それからポストコロナに関わるような、今までの研究成果を社会実装、ドライブできるような成果が出てきました。こういう変化に柔軟に、スピーディーに対応していくというところでも、若手の力というのは非常に有効だったということだけ付け加えてコメントさせていただきます。
以上です。
【須藤部会長】 ありがとうございました。
今、3名から手が挙がっているんですけれども、後で議論もまとめてありますので、久世委員だけこの場で発言していただいて、高木さん、田中さんは、まとめの議論のときに、最初に発言していただきたいと思います。
久世委員、お願いします。
【久世委員】 ありがとうございます。小池委員から御話があったCOIの後継プログラムCOI-NEXTに関わっています。その立場からも意見を述べさせていただきます。先ほど議論があったポイントには、私も賛成です。まず、数値目標やKPIは、もう少しはっきりすべきだと考えています。また、企業他からの外部資金やリソースの提供規模は、10倍以上ないと、強力な拠点を継続的に運営できません。さらに、そのような拠点形成を目指し、大きな経済効果を生むときに、必ずしも最先端の技術が必要とは限りません。JSTのプログラムは、最先端の研究に関連したものが多いですが、COIやCOI-NEXTにおけるバックキャスト型での拠点形成では、既存の最先端の研究や技術だけでなく、必要な技術やスキルは、柔軟かつスピード感をもって、企業、ベンチャー、大学、海外などと本気で連携することによって取り入れるといったアプローチが重要だと考えます。
小池委員の若手の活用にも賛同します。COI-NEXTの共創分野では、本格型1件と育成型12件が採択され、活動を進めています。ここでは、若手や女性の活躍が、大変重要で必須の要件になっています。各拠点には、本気で若手を拠点運営や推進にも参画させていただくようお願いしています。その結果として、次世代の強力なリーダーが育成されるはずです。
JSTの酒井さんに質問ですが、若手を参画させることが、COI-NEXTの提案の採択条件として明確には規定されていませんが、そのような要件を盛り込むことは可能でしょうか。
【JST(酒井)】 いや、入れられないことはないと思います。すみません、ちょっとそこまで、やはり今まではプログラムの設計がそこまで配慮が十分できていなかったということだと思います。
【久世委員】 分かりました。
以上です。どうもありがとうございます。
【須藤部会長】 ありがとうございました。
それでは、前回と今回の今までの議論を少し念頭に置いていただいて、議題3に移りたいと思います。「今後取り組むべき施策の方向性について」に入りたいと思います。
最初に事務局の方から、簡単な資料の説明をお願いします。
【浅井課長補佐】 産地課の浅井です。前回の最後のところで部会長から御指示ありました、部会での主な意見は何かということでまとめさせていただいております。
全部を読み上げるのは省略いたしますけれども、全般的に、各施策の効果、成果、課題を明らかにするべきという話とか、特に人が課題、課題というか鍵になるという話がありました。また、地域の中核となる大学のところで、論文数だけの指標で評価ではないという話がありましたので、こちらは当部会でどうこうしていく話ではないとは思いますけれども、参考資料2の15ページを映し出していただければと思うんですけれども、内閣府の方で、研究力の多様な評価指標ということで、論文数以外に、論文を使う指標だけではなくて、研究力、イノベーション力をどうはかっていったらいいかというところで検討が進められているという状況にあります。今回、産地部会は、そういうところも踏まえながら我々としては考えていく必要があるという状況です。
資料戻って、大学ファンドの関係も含めて、高等局との連携が重要という話であったりとか、あとスタートアップのところ、今日もありましたけれども、アントレ教育のところで実践的に学べるような仕組みが大事だという御指摘を頂いたところです。
このような指摘も踏まえまして、資料3-2の方を映していただければと思うんですけども、今後取り組むべき施策の方向性について、案をつくっておりますので、御意見等いただければと思います。
まず一つ目が、地域の中核となる大学のところですけれども、ここの産学連携で社会実装の関係として、知と人材の集積拠点である多様な大学の力を最大限発揮すると。そのときに強みと特色を生かして、地域発のイノベーション創出に取り組む中核となる大学を後押しすると。具体的な中身は、関連事業のところにも挙げさせていただきましたけれども、共創の場の形成支援ということで、産学拠点の形成の支援数を増加させるとともに、産学連携マネジメント人材の育成確保のためのメニューを創設すると。また、地域におけるスタートアップ創出力の強化に向けて、エコシステムの拠点都市の支援を強化していくという方向性を考えております。
二つ目、正にこれがスタートアップのところですけれども、ほぼ同じ内容にはなっておりますが、議論ありましたように、スタートアップのときにはアントレプレナーシップと大学発ベンチャーのGAPファンド等の支援、ここのところを一体的に組み合わせながら支援をしていく仕組みというのを強化する内容として、我々も後押しをしていきたいというふうに思っております。この際、関連事業のところにありますように、EDGE-NEXTが本年度で終了するので、次のページを見ていただければと思いますけれども、先ほどの議論にあったように、それぞれのプログラムを独立させるという形ではなくて、スタートアップ・エコシステム拠点都市の支援のところを拡充させていくという方向性で我々は考えていきたいと思っておりまして、この赤の矢印のところとか、地方大学も含めた共創の場の支援拠点を核として、アントレとかスタートアップの関係の強化をする。また、希望者にアントレ教育の受講機会を提供するという形で広げていきたいというふうに考えております。
戻っていただいて3ポツですけれども、産学連携のところで新たな価値をどういうふうに進めていくかというところで、共創の場の支援がありましたけれども、COI-NEXTのところ、ここを継続的な、新規採択を行うとともに、先ほど人が鍵というお話も頂いておりますので、URA等のマネジメント人材の育成・確保、またスタートアップのところの連携体制について追加支援をしていきたいと。
また、A-STEPのところでも、トライアウトのスキームを活用して、地域の課題解決に資する個別の研究開発を強力に支援していきたいと。また、先ほども話題に出ましたけど、URAのマネジメントについては、今年度、質保証制度を創設すると、その中で能力の可視化、育成を図っていくというところもありますし、我々の共創の場形成支援プログラム等の大型公的研究費においても、マネジメント人材の育成とか継続雇用の方針等を評価するなど、大学における配置や活用、ここは正に大学の戦略になると思いますが、こういう戦略を後押しできるように配置や活用を促進していきたいというふうに思っております。関連事業は、下の方に主なものを挙げさせていただいております。
以上になります。
【須藤部会長】 ありがとうございました。それでは、今後の方向性について議論していきたいと思います。
その前に、先ほどのテーマ、関連ありますので、まず高木委員の方から発言をお願いします。
【高木委員】 どうもありがとうございます。高木です。COIについて、ビジョン主導・バックキャスト型研究開発を成功させておられるということで、この成功のポイントは何かということをお伺いしたいと思います。産業界、それからアカデミア、どういう役割分担なのか、あるいはどういうスキルセットの方々が参加しているのか、例えばアカデミアで、自然科学だけではなくて、人文社会科学系の方も入っておられるのか。複数の大学が参加されている場合、いいとこ取りをしているのかどうか。要するに、今、産学連携で組織対組織の大型連携が求められていますが、もし、大学と企業の間で、このようなビジョン主導・バックキャスト型研究開発がもっと進めば、大型の研究開発につながると思います。成功のポイントについて、もし分かれば教えていただきたいと思います。
以上です。
【須藤部会長】 これは酒井さんでよろしいでしょうか、それとも。高木さん、どなたにお聞きしたらよろしいですか。
【高木委員】 お分かりになる方にお願いします。どなたがお分かりになりますでしょうか。
【JST(酒井)】 じゃあ、まず口火を酒井の方から切らせていただきますが、現場感覚といたしましては、ビジョン主導ということが実際にどうやってある程度――ある程度というのは、やはりうまくいっていないプロジェクトも実際には、体感的にはあるかなとは思うんですけれども、うまくいっているところもあると。一つには、しつこくビジョナリーリーダーの方々が、そうやらないと駄目ですよと、繰り返しおっしゃっていただいたということと、外部から来た企業出身の拠点側のプロジェクトリーダーの方がかなりそういうことを指導されたということが大きくて、人文科学系の先生が関わっているプロジェクトというのも、一部ありますけれども、実質的にそこが深く関わったというのは、COIの場合はそこまで多くはないと思います。
それから、いろいろな組織が連携するということに関しては、例えばやはり好例は、先ほど御紹介した弘前でございまして、データサイエンティストは外からと。京大、東大からということで、これは一例ですけれども、ほかにも健診データを取る部分でも、彼らは短命県なんだけれども、途中からは長寿の地域と連携したりとか、そういういろいろなカップリングを非常に意欲的にやっていらっしゃるという好例がございます。
お答えになっているかどうか分かりませんが、以上です。
【須藤部会長】 よろしいでしょうか。
【高木委員】 はい。ありがとうございます。
【須藤部会長】 それでは……。
【齊藤課長補佐】 すみません、文科省の齊藤でございますけれども、私もCOI担当として、ちょっと補足させてもらってよろしいでしょうか。
【須藤部会長】 お願いします。
【齊藤課長補佐】 基本的に、今、酒井部長からお話しいただいたとおりでして、うまくいっている拠点と、うまくいっていない拠点がございます。私の経験上、うまくいっている拠点というのは、頻繁に行われるVL等のサイトビジット、拠点面談の結果をしっかり反映するために、定期的なに、RL、PL、そのほか研究者も含めた打合せを行ってきておりまして、その中で反省事項についてしっかり対応できるように、バックオフィスであるURAとか、そういう方々が頑張って対応してきているところがうまくいっているところかなと思います。うまくいった要因のポイントの一つとしては、URA等のバックオフィスがちゃんとしっかり機能しているところというのは一つ言えるのではないかなと思います。

【須藤部会長】 ありがとうございました。
【小池(聡)委員】 すみません、小池ですが、よろしいでしょうか。先ほどのビジョンからのバックキャストという点ですけれども、これは企業も同ですが、やはり、その企業の存在意義であるとか、目指す姿、ビジョン、ミッション、バリューというのが重要です。そのベクトルがぶれたら、絶対うまくいかないと思うんですね。特に先生方は自分の研究の研究費を取ってきて、自分の研究ができればいいという形になって、ばらばらなものが、何のためにやっているのか分からなくなるようなプロジェクトというのは、初期の頃ありました。ですからビジョンをきちんと据えて、それに常に照らし合わせながら、先生方がやっているベクトルをきちんと合わせるということが非常に大事だと思います。その点、COIはそこをかなり徹底してやりましたので、うまくいったのではないかと思います。
あともう一つは、マネジメントとコミットメントなんですね。マネジメントは、フェーズ3の社会実装に近いフェーズになったら、この事業に共感したプロの経営者を実はヘッドハントして、新PLに据えたりもしてきました。そういった意味では、そういう結構荒技をやりながら、うまくCOIというのが導かれてきたのではないかと思います。

【須藤部会長】 どうもありがとうございました。
それでは、お待たせしました。田中委員、お願いいたします。
【田中委員】 REVICの田中です。地方大学ファンドの取り組みにおいて、学長や研究担当理事の方と日常的に議論しますが、これまでは事業化を前提とした研究費を獲得し、事業化を出口とした研究を実施する、というパターンが標準だったかと思います。一方で、今年度より、地域拠点育成に関するプログラムがCOI-NEXTに収れんしたということは、多分このアプローチが今後一つの王道になっていくと思っております。これまでに共創の場の取り組みの現場に接する機会がありますが、大学や自治体がまずはビジョンに立ち返ろうと議論を行おうとするのですが、ビジョンのコアになるよって立つものがないので、関係する皆さんは、さあ、どうしようかとかなり混乱しておられます。
大学側の事情として、学長も研究担当理事の方も、先生方のために研究費を何とか確保したいものの、過去の標準パターンと勝手が違い、まずはビジョンを書いて、そのビジョンにたどり着くような研究課題を導き出しましょう、というプロセスが、実は容易ではない。従前通りシーズドリブンで発想される経営幹部が多く、目線を合わせ、認識をぴたっと合わせることがなかなかできません。
ここで是非教えて頂きたいのですが、COIプログラムの成功事例において、目線や認識を合わせ、ビジョンからのバックキャストアプローチを受け入れ、皆で注力しようという思いに至る上での、成功の要因は何か、具体的なポイントについて是非お聞きしたい。
私が見る限り大学の現場は混乱しており、余り簡単なマネジメントではなななななななななないと感じております。どうやって皆さん一枚岩になったのか、成功事例につきご存知の方がいれば、教えていただきたい。
【須藤部会長】 これはどなたが回答できるんでしょうか。
【田中委員】 例えば、実務に関わっておられた小池さんでしょうか。
【齊藤課長補佐】 そうですね。小池さんがいいと思います。
【小池(聡)委員】 じゃあ、ちょっと。すみません。
【須藤部会長】 ちょっと時間も押しているので、短めに回答を。
【小池(聡)委員】 ええ、手短に。例えば、先ほど酒井部長から御紹介あった成功事例の一つで弘前大学があったと思います。これはもう本当に単純に、明確ですけれども、青森県というのは日本で一番短命県なんですね。この短命県日本一を返上しようということで、弘前大学中心に、地域住民も、もう自分事として参画をして、1,000人以上の住民に15年以上に渡り、2,000項目以上の健康データを取り続けています。これは、もうビジョンというか、ベクトルが、誰もが皆んな一致しているんですね。とにかく短命県日本一を何とか解消したいということでやり続けてきたことが、多項目で長期の健康ビッグデータにつながっています。これだけの健康ビッグデータは世界どこを探してもないんですよ。ということで、もうAIの一流の先生方が、こんなデータを扱えるチャンスがあるのかということで、全国から集まってきて、そこにまた企業も集まってきてということで、もうマグネット状態になりまして、好循環を生んだという一つの成功事例です。この事例からも、ビジョンが非常に明確であるということは重要ではないかなというふうに思いました。
以上です。
【須藤部会長】 ありがとうございました。
それでは、特に全体の施策の方向性、全体について議論したいと思います。
北岡委員から手が挙がっています。北岡さん、お願いします。
【北岡委員】 御説明ありがとうございます。大阪大学の北岡です。いろいろ成功事例なり教えていただきまして、ありがとうございます。
その中で、私自身、これだけ成功事例が18拠点から出てくるのであれば、これは前からJSTさんとか、いろいろお願いをしているんですけど、それが、先ほど御指摘あったように、本当の意味での社会実装、成功事例って何なのかというところを見据えて、やはりA-STEPとかSTART事業とかACCELをうまく活用していくという、全体像を示していただくのが必要かなと思っています。やっぱりベンチャーであれば、調達額であり、エグジット、IPO、時価総額というのが当然最終的な目標になってきますし、大企業との連携であれば、事業部に移管されて、それがどういうふうに製品化されたかというところになってくると思うんですけど、そこまで見据えたときに、私、何となく今、いろいろなプロジェクトに絡んだときに、A-STEPとかSTARTとかACCELが、こういう成果を本当の意味で社会実装するに当たっては、うまく連携ができていないのかなと思いますし、活用もできていないなと思うんですね。
そういった意味では、JSTさん全体のガバナンスの中で、これを本当に社会実装するためにはどの予算を充当すれば最終的な社会実装につながるのかということを、もう少しJSTの中でのガバナンスを利かせてうまく動かしていただければなというのが、私自身がお願いしたいところでございます。
以上です。
【須藤部会長】 ありがとうございました。今のは、なかなかすぐに回答するのは非常に難しいと思います。
【浅井課長補佐】 文科省の浅井です。実は産学連携に限らず、基礎研究のフェーズから、いい成果というのをどういうふうに実用化につなげて、大学との共同研究につなげる、若しくはスタートアップにつなげるとかいろいろありますけれども、どういうふうに社会実装につなげていくかというのは大きな課題でありますので、JSTにお任せするという話ではないと思っておりますので、文科省としてもしっかり取り組んでいきたいというふうに思っております。ここをこう変えるといいよというところがあれば、是非御指摘いただければと思っておりますので、引き続きよろしくお願いいたします。
【北岡委員】 そういう意味では、やっぱりプロジェクト間というか、例えばCOI、A-STEP、START、そういう各責任者同士の意見交換が本当に定期的になされているのかなというのが私自身すごく感じていまして、我々が見ていると、これは、あのプロジェクトでやったものを、なぜもう一回やるのというようなところ、我々は逆に気付いているんですけど、JSTさん内部の方が、それを逆に気付いていない、若しくは気付いていて目をつぶっているというのが散見されるので、そこは簡単なことだと私自身は思いますので、よろしくお願いいたします。
【浅井課長補佐】 御指摘ありがとうございます。JSTとよく相談しながら進めたいと思います。ありがとうございました。
【須藤部会長】 社会実装がうまくいくかどうかというのは、文科省、JSTに限らず、内閣府のプロジェクトとか、今一番話題になっていますし、今一番注力しているところですので、この辺を国としてはうまくやっていかなければいけないのではないかなというふうに思っています。
そのほかございますか。今出ている3-2と、その下の図がありますよね。この辺が今後の方向性の案、最初のたたき台になってくると思います。是非この辺について御意見をお願いします。
林委員、お願いします。
【林委員】 林です。今日、委員の方々がおっしゃった意見の中で、アントレプレナーシップの考え方は、別にスタートアップをつくるだけではないよねという点は非常に重要だと思います。この新しい施策を考えていくときに、こういった議論をうまくKPIや、あるいは評価軸に落とし込むということを工夫していきたい、やっていただけるといいなと思います。
大学の評価をどうやって高めるかという課題に大学の学長さん、経営者、先生方も真剣に取り組んでいらっしゃいます。アントレプレナーシップ教育を実行した結果、技術の社会実装できた結果が、影響力のある雑誌に論文が何十報も出たと同じぐらい大学として評価されるのだという、この仕組みを何か入れていきたいと思います。評価の方法はいろいろあると思いますしユニークな評価軸、たとえば最近は社会の評価は「いいね」の数で決まってくるところもあります。このような新しい感覚をいれていくのは今は難しいかもしれませんが、柔軟に検討していただければと思いました。
以上です。
【須藤部会長】 どうもありがとうございました。
それでは続いて、西村委員、お願いいたします。
【西村委員】 ありがとうございます。私は地方大学の立場からお話させていただきます。大題目に地域の大学の機能強化、魅力アップのようなことが書いてあったことに関してですが、大学の魅力アップには研究だけではないと思っていて、教育についても重要であると思っています。この視点で考えていくと、先ほどの議論のアントレ教育も重要ですが、小池委員だったでしょうか、おっしゃっていたことに同感で、社会人への教育も重要であると思います。地方大学の立ち位置は時代が変わる中で変化してきており、地域社会の全体に対して貢献すべきとなってきています。こうなると、地方大学の教育の対象は高卒の子たちだけではなくて、地域の人たち全体になるのかなと感じます。
このように考えると、リカレント教育にもより注力していく。逆に言うと、リカレント教育を行うことで、地域社会の方々と学生たちが共に学ぶとか、研究者たちが共につくるということができるんですね。私は地方大学には「地域のたまり場としての機能」があるとずっと言っているのですが、地方大学が地域のたまり場になって、いろいろなセクターの人たちが大学内に入ってきて、学生たちと共に学び合う、教員たちと共に何かを創り出すような雰囲気を作り出すことも、この「共創の場」の延長上にあってもいいのかなと思っています。
その場合、地域の経営者の教育は、結構重要だなと私はずっと思っています。リカレント教育というと「時代の変化にキャッチアップするための学び直し」という考え方が主流だと思いますが、私は「社会背景が大きく変化する中で新しいことを興し、新しい社会を開いていく人材をつくるためのリカレント教育」も必要であると思います。このようなリカレント教育を企業経営者とか地域のリーダー格の人材を対象として提供することも必要だと思います。このようなリカレント教育の場に、フレッシュな学生たちを放り込むとか、若手の研究者たちを絡ませたりすると、経営者たちが持ち込んできたリアリティーのある課題の解決を行う実践的な雰囲気を直に経験をさせることができます。だから、地域が抱えている課題を教育題材として活用できるという、地域にある大学が持っている最大の強みを生かすような教育の仕組みであるとか、新しい研究を生み出していく仕組みをこれからの事業にもビルトインしないと、魂を持って動かないような気がするんです。
以上のように考えましたので、意見させていただきました。ありがとうございます。
【須藤部会長】 どうもありがとうございました。
それでは続いて、荒金委員、お願いします。
【荒金委員】 荒金でございます。私はCOI-NEXTのメンバーに入れていただいているんですけれども、COIに関しては、私も勉強中ですけれども、非常にいいプログラムで、いろいろもっといい指標をつくるですとか、実際にはうまくいくところと、いかないところ、それからこのプログラムに応募はするんだけれども、全く箸にも棒にもかからないところの差がすごく大きくなっているような感じはするので、そこの、特に落ちてしまうような大学をどう底上げしていくかということに関しても、もう少し何かできればいいのかなというような印象を持っていますが、今日はアントレプレナーシップのところの、今映っている資料だと2番のところになると思うんですが、最初に江戸川先生の方からお話があって、皆さんからもお話があったんですが、私も非常に同じような印象を持っておりまして、ただベンチャー企業を立ち上げるためだけのプログラムとか、その支援を余り強くするのはなという感じがしておりまして、私、企業に勤めておりますけれども、企業でもアントレプレナーシップ的な考え方とかベンチャー的な思考というのは大変役に立つし、重要な視点でもありますので、多くの大学生は企業に行くことも考えれば、そういう素養の一つとして大学でやる教育というのはあるべきではないかなというような気がしております。多分、今出ている資料は同じ比重でやるということで書いているんだと思うんですけれども、是非、今日ほかの先生方からお話があったようなことを参考にしていただいて、少し考えていただければ有り難いかなというふうに思いました。
以上です。
【須藤部会長】 ありがとうございました。
それでは、佐々木委員、お願いいたします。
【佐々木委員】 佐々木です。今日のお話、ずっと聞かせていただいて、日本全体のイノベーションのエコシステムを盛り上げるという、この産地部会の役割、そして文科省の役割が非常に重要だということを改めて認識しました。それに向けて、EDGE-NEXTとかCOIとか、いろいろな事業を継続していただいて、改めて心より感謝申し上げたいと思います。
私がよくお話しするのは、現場のまさに大学院生、大学生とお付き合いしている人間ではございますけれども、特に大学生、学部生は、起業したいとか留学をしたいとか、ばりばり研究したいという、非常に学びたいという意識をすごく持っているんですけれども、これはちょっとコロナ禍(か)というのもあるんですけれども、大学院生になると、もう修士1年生から就活が本格的に始まって、今ぐらいの時期ですと、夏のインターンシップにどこに行こうかということで、心は大学院にあらずという状況になってしまっています。それで夏を過ぎると、ほぼ、どういうところに就職したいなというところが決まって、心は大学院にあらずで、後はそつなくきっちり修論研究をして、就職できればなという意識になってきています。そういう若い人材の取り合いで、特に企業さんが若い人をかなり、どんどん早い時期から採っていこうという雰囲気になっております。
なので、今回、COIだったり、ベンチャー企業をつくる支援だったりと、いろいろなメニューをつくるのを政府で一生懸命やっているんですけれども、学生さんの心が、どちらかというとそっちにどんどん向かっているというよりは、どんどん離れていっているという、ちょっとそういう意識を感じます。なので、政府が旗を振っても、学生さんはあんまりそういうところに、特に大学院生は興味を持たなくなっているというようなことも危惧しております。
これは産地課さんのこの部会で議論できる話にとどまる話ではなくて、やはり日本全体で、若い人が修士課程から博士課程に行って、大学院にもうちょっと腰を落ち着けて、ある意味お給料ももらいながらいろいろな研究にチャレンジする、そういうことをしないと、もう若い人が、要はほとんどこういうところに入ってこないという状況にどんどんなっているのではないかなと思います。ですので、COIとかベンチャー支援とかいう「入れ物」をつくるだけではなくて、やっぱり若い人に経済的な支援もきっちりして、こういうようないろいろなイノベーションの施策に入ってもらうという、そういう若い人向けの、特に大学院生向けのインセンティブもやはりきっちり入れるべきではないかなと考えております。幸いにして文科省さんも、あとJSTさんも、博士課程生の支援プログラムをつくっていただいたというのは有り難いんですけれども、大学ファンドも含めて、若手の支援とセットでこういうイノベーション施策を動かしていただけると効果的になるのかなと思います。
ちょっと全体的なコメントですけれども、私からは以上でございます。
【須藤部会長】 ありがとうございました。文科省の方から何かありますか。
【浅井課長補佐】 文科省の浅井です。御指摘ありがとうございます。御指摘いただいている点は重要でして、前回のときも高等教育局との連携という御指摘を頂いているように、単に産学連携のところだけをやっていけばいいという世界ではなくなっておりますので、ほかの局課との連携とかも進めながら取り組んでいきたいと思いますので、引き続き御指導いただければと思います。ありがとうございました。
【佐々木委員】 よろしくお願いします。
【須藤部会長】 それでは、栗原部会長代理、お願いします。
【栗原部会長代理】 ありがとうございます。2点ありまして、一つは、最初にコメントしたこととも関係するんですけれども、地域企業の巻き込みというところを、今考えているいろいろな施策の中で少し盛り込むことができないかなというふうに思います。地域企業が協力して、いろいろと、こういったアントレプレナーシップですとか実際の起業に協力するという場になり得ると思いますのと、あと、地域企業で働くような人たち、あるいはそこを経験した人たちが、社会人としてまたその地域の大学で学ぶというような、そういった地域とのやり取りができるようなプログラムに少しでもなったらなというふうに思いますというのが1点です。
2点目に、やはり大学の中でこれらのプログラムが是非閉じないでほしいと。閉じないでほしいし、逆に、閉じない制度だと思うんですけれども、そうしていくと、大学の中だけで考えているプロジェクトではないので、いろいろな社会との接点ですとか、場合によってはいろいろな企業からの協力ですとかということがどんどん関わってくると、じゃあ果たして、大学の中でそれぞれのプロジェクトが一体どういう位置付けで、本当に大学でオーソライズして進んでいるのかということが、逆に外部からすると心配になってくるというところがありますので、全部のプロジェクトではないですけれども、やはり大学の研究戦略ですとか、あるいは経営戦略、そういった中でこのプロジェクトが実際に位置付けられていて、きちんと学長含めて、皆さんで応援している、認識しているということが分かるような形で採択をした方がいいのではないかというプログラムが幾つかあるのではないかと思いますので、その辺を。プロジェクトに対してのガバナンスにも関わってきますし、外部の人とのいろいろな関係性が発展していくことを考えると、そういった要素を考えていただけないかなというふうに思います。
以上です。
【須藤部会長】 ありがとうございました。その辺のことは、是非この方向性の中にうまく記述していければと思いますので、よろしくお願いします。
それでは次に、長谷山委員、お願いします。
【長谷山委員】 大変に分かりやすく資料にまとめて頂き、事業成果が出ていることがわかりました。興味深くお聞きしました。異なる視点から、2点発言させていただきます。
まず1点目ですが、世界でDXが加速しており、今までの事業計画に基づくPDCAの実施では、実現された拠点や支援が世界のレベルと異なるものになってしまう可能性があります。本日ご説明の方向性について異議を唱(とな)えるものではありませんが、具体的実施に向けて詰めていく過程で、実施者の強靱(きょうじん)なガバナンスとミッションの明確化は必須としても、事業実施に自由度を認める設計となるようお考えいただければと思います。
2点目は、生み出したベネフィットとプロフィットについての議論です。先ほど千葉委員からもお話がございましたが、今回の方向性については、大学側が受け取ってそれを使う形態で方向性が書かれています。これからの大学は、新しい取り組みに着手しながら、社会にベネフィットやプロフィットを生み出す役割を担って行くものと思います。そのように考えると、今後取り組む施策で実施大学等が、新しい取り組みに投資する資金を生み出すことにチャレンジすることができる枠組みを、含めて頂けないかと思います。実施する大学のインセンティブや、参画企業のインセンティブ、地域のインセンティブにも繋がるのではないかと思います。
世界中で働き方が大きく変わる現状において、日本も多様な人材が活躍できる仕組みを早急に作り出す必要があることは、政府方針からも見えております。大学教員のキャリアについても多様性が必要と感じています。多様な人材が活躍し、イノベーションを生み出す場となるために、踏み込んだ雇用形態の変革についても、チャレンジの中に組み込むことができるような自由度があると良いと思います。
以上2点、発言させていただきました。
【須藤部会長】 どうもありがとうございました。
それでは、高木委員、お願いします。
【高木委員】 高木です。先ほど文部科学省から、論文以外の評価指標について、内閣府の検討状況のご説明がありました。これは産学連携にとりまして大変重要なことだと思います。産業界におりますと、産学連携、社会実装に積極的な大学の研究者とお目にかかる機会が多いですが、大学の研究者の評価は、どうしても論文が中心になるというお話を聞きます。大学の研究者の活動は、教育と研究のほか、アドミニストレーション的なものが主で、あとは社会貢献という項目もあるようですが少し中途半端なように思います。是非、論文以外の、社会へのインパクト、イノベーション力、社会実装などの評価指標もご検討いただければよいと思います。産学連携を議論するときに、大学の研究者のモチベーションを高めるために、インセンティブを与えるという言い方をしますが、このインセンティブをもっと踏み込んで、評価というところまで御議論いただければよろしいのではないかと思います。そのためにも、前回も申し上げましたが、高等教育局、あるいは内閣府とも連携して、引き続き進めていただければと思います。
以上でございます。
【須藤部会長】 どうもありがとうございました。大体議論の時間が終了していますので、この辺で今日の議論を終わりにしたいと思います。
今後この方向性について、うまく取りまとめていくことになると思います。今日御発言できなかった内容等ありましたら、事務局の方にメールでも、何でも構わないと思うんですけれども、送っていただきたいと思います。それから、発言したけど、もう少し強調したい点等ありましたら、是非そういったものも送っていただければ、事務局の方でうまく取りまとめて、この3-2の中に入れていただけることになると思いますので、発言した内容、あるいは発言できなかった内容、何でも構いませんので、是非事務局の方に送っていただきたいと思います。
それでは最後に、事務局から日程等の連絡をしていただきたいと思います。よろしくお願いします。
【浅井課長補佐】 文科省産地課の浅井です。御意見ありがとうございました。本日頂いた意見、若しくは後日メールで頂く意見も踏まえながら、概算要求につなげていきたいというふうに思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
次回の開催については未定となっておりますので、改めて日程調整をさせていただきまして、決まり次第、御連絡させていただきたいと思います。
また、本日の議事録については、事務局から委員の皆様に、前回同様、メールにて確認させていただいた後、ホームページで公開させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
【須藤部会長】 事務局の方は、もうよろしいでしょうか。
【浅井課長補佐】 はい。
【須藤部会長】 それでは、これで本日の部会を閉会としたいと思います。どうもありがとうございました。

―― 了 ――

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