令和8年9月17日(木曜日)16時15分~18時15分
経済産業省本館17階 国際会議室 及び オンライン
【大野座長】 それでは、これより第3回産業競争力・研究力中核大学群に関するワーキンググループを開催いたします。
委員の皆様におかれましては、御多忙のところ御出席いただきまして、誠にありがとうございます。
私、本ワーキンググループの座長を務めます大野です。どうぞよろしくお願いいたします。
議事に先立ちまして、本ワーキンググループは、文部科学省及び経済産業省それぞれの審議会の下に設置されたワーキンググループの合同の開催であるということを御案内申し上げます。
また、本日のワーキンググループにつきましては、YouTubeにて会議の模様をライブ配信しておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、議事を進行してまいります。本日は、産業競争力・研究力中核大学群に期待される取組、政府が果たすべき役割、評価制度の在り方について御議論いただくこととしております。
それでは、事務局から委員の出欠などをお願いいたします。
【宮崎室長】 本日は、委員の皆様におかれましては、会場またはオンラインより御出席いただいております。また、鮫嶋委員、波多野委員は御欠席となります。本日御欠席の鮫嶋委員からは意見書を提出いただいております。
なお、本ワーキンググループでは、事務局以外に関係省庁にも御参加いただいております。
また、8月の人事異動に伴いまして事務局の体制に変更がございましたので、この場をお借りして御紹介させていただきます。
まずは文部科学省側の新任者を御紹介いたします。
清浦科学技術・学術政策局長でございます。
浅野研究振興局長でございます。
大土井大臣官房審議官でございます。
北野産業連携・地域振興課長でございます。
中村産業連携・地域振興課拠点形成・地域振興室長でございます。
続きまして、経済産業省側の新任者を御紹介いたします。
中野大臣官房審議官でございます。
福地イノベーション政策統括調整官でございます。
【大野座長】 どうもありがとうございました。
それでは、次に、配付資料の確認をお願いいたします。
【宮崎室長】 本日、資料1から4に加えまして、参考資料1、2を配付してございます。不足する資料があれば事務局までお知らせください。オンラインで御参加されている方々におかれましては、会議中、もし音声などに不具合がございましたら、チャットなどを用いてお知らせください。また、本日の審議につきまして、会議資料、会議終了後の議事録は文部科学省及び経済産業省のホームページに掲載することとしております。
【大野座長】 ありがとうございました。
それでは、議事次第に沿って進めてまいります。まずは、事務局より資料3「産業競争力・研究力中核大学群に期待される取組、政府が果たすべき役割、評価制度の在り方」について御説明をお願いいたします。
【宮崎室長】 資料3に沿って御説明いたします。
2ページ目以降、前回のワーキンググループにおける主な御意見を整理させていただいております。
まず、本大学群に必要な「産業競争力強化へのビジョン」に関して重要と考えられるポイントといたしまして、将来の産業を支える革新的技術の創出、基礎から応用、実用化といった異なるフェーズの研究を同時並行で推進できる体制、国のレジリエンスへの貢献、あるいは周辺技術も含めて産学が共創する場としての魅力、出口である産業競争力の強化を第一に据え置くこと、そして大学自身の変革も含めて適切なリスクを負うことが重要であるという御意見がございました。
「研究力、人材」につきましては、研究開発と人材育成を一体的に実施するべき、大学の知を価値創造につなげられる人材の育成が急務、産業競争力の源泉は人材であるといった御意見がございました。
1枚めくっていただいて、「経済圏への深い貢献」については、地域や産業と一体となった価値創出は重要であるということ、また地域経済圏、あるいは全国的・国際的な産業、サプライチェーンへの貢献を考えるべきということ、国内外の多様なステークホルダーと共創できるエコシステムが重要であるということ、企業戦略に合わせて柔軟に対応できる大学側の体制が求められるということ、長いサプライチェーンを考えると特定の研究者だけでカバーすることは難しく、組織対組織の連携を目指すべきということ、そして産学一体で研究力と産業競争力の高みを目指していくべきという御意見を頂きました。
ページをおめくりいただきまして、産業競争力強化という目的に照らして、大学だけではなく「産業界に求められること」についても御議論いただきました。まず、大学に対する捉え方の転換が必要ではないかということで、具体的には大学をイノベーションを創るパートナーとして捉えること、大学をどう生かし切るかの戦略を本気で考えること、あるいは経営層も将来像の策定に関わって、人材、資金、事業化を含めて、大学と同様にリスクを取ってコミットすること、これらの重要性が指摘されました。また、人材に着目いたしますと、大学と一緒になった人材育成や、様々な形での人材交流が重要であるという御意見、また研究シーズを事業化につなげるコーディネーターが重要であるという御意見もございました。
次のページに参りまして、「政府としての後押し」についてでございます。まず、支援につきましては、長期、短期の両方の視点から取組や成果を考えていく必要があるという御指摘がございました。また、施策の効果を高めるためのポイントといたしまして、成果連動型のインセンティブ構造、大学、国研、企業間の柔軟な人材移動、手続・評価の簡素化、成果や価値創出を中心にした仕組みづくり、今回の政策の重要性について関係各所への十分な説明、そして政府全体での取組といった点が挙げられました。
そのほかの論点ということで、6ページに移りまして、制度の在り方や目指すべき姿についても様々な御意見を頂戴いたしました。
7ページでございます。改めて産業競争力・研究力中核大学群の政策目的をお示ししております。「科学とビジネスの近接化」という時代の中で、「技術で勝ってビジネスでも勝つ」新技術立国を実現するためには、優れた科学技術力が不可欠になっております。
一方で、近年の傾向といたしまして、知の源泉としての日本の大学の国際的な競争力には課題がございます。また、日本企業の大学等への研究開発投資も諸外国に比べて規模が小さいことに加え、海外比率が高まっているという状況にございます。
こうした中で、いかにして世界で競い成長する大学を生み出し、産業界と大学が一緒になってイノベーションを起こしていけるかということが喫緊の課題でございます。そのために本政策においては、大学経営層の強いコミットメントの下で、特定分野の研究力を生かしながら、産業界のパートナーとして産業競争力強化に貢献していく大学を選定し、研究基盤、あるいは産業連携機能を含めた体制の整備を図りながら、産学協同のプロジェクトを大規模、中長期的に支援していくということでございます。
8ページ目には、御参考まで日本企業と海外の大学の大型連携の事例を御紹介させていただいております。
続きまして、「産業競争力・研究力中核大学に期待される取組」ということで、9ページに総論として4つの論点をお示ししております。一つ目は、産業競争力強化に貢献するビジョンとコミットメント、二つ目に迅速かつ柔軟な意思決定ができる自律と責任あるガバナンス体制、三つ目に産業競争力強化に資する研究力強化と人材育成、四つ目が産業界、経済圏との深い関係性と高い評価、コミットということでございます。
10ページ目から13ページ目には、それぞれの論点に関しまして具体的な取組例、そして評価の観点を記載させていただいております。いずれのページもこれまでのワーキンググループで頂いた御意見を踏まえまして修正してございますけれども、抜けている論点などございましたら、後ほどぜひ御議論いただければ幸いです。
また、御議論の参考として、14ページにオーストラリアの「トレイルブレイザー大学制度」の概要をまとめてございます。こちらは、大学の研究成果の事業化と産学連携を主導する大学の創出を目的とした制度でございます。オーストラリアの戦略的優先分野を意識しながら、産業界とのパートナーシップ、人材交流などを求めつつ、大学に対して支援を行うというものでございます。
また、15ページにはカナダの「ファースト・リサーチ・エクセレンス・ファンド」という制度の概要をまとめてございます。こちらも科学的卓越性、カナダにとっての戦略的重要性、大学のビジョン、コミットメントを含めた計画を見ながら、大規模研究プログラムを支援するというものでございます。参照いただければ幸いです。
続きまして16ページ、産業競争力・研究力中核大学群の「選定の在り方」についてでございます。ぜひ本日御議論いただきたい論点といたしまして、3点提示させていただいております。
一つ目は、分野ごとの選定大学数の観点です。選定大学には、特定分野でグローバルレベルで人材や産業界を巻き込んで、産業や研究の発展をけん引するという役割が期待されますので、選定に当たっては真にその役割を果たすことができる大学に厳選してはどうかということでございます。
二つ目は、選定主体・連携の観点でございます。今回の制度では、これまで御議論いただいておりましたとおり、大学自身の経営力や特定分野における高い研究力を求める方向でございます。他方で、実際のプロジェクトにおいては、複数の機関が連携する可能性も想定されますので、選定主体は単体の大学としつつ、取組の中で複数の機関が連携するという形があり得るのではないかということで書かせていただいております。
三つ目は、大学ごとの認定分野数の観点です。各大学の強み、あるいはビジョンを生かして、特定の分野に経営資源を集中投下しながら、産業競争力強化に貢献していくという制度趣旨を踏まえたときに、大学からの認定分野数に何らかの条件を設けるべきか、これらの観点について御議論いただければと存じます。
続きまして、「政府が果たすべき役割」について、17ページを御覧ください。右側に本制度を通じて目指す姿のイメージ図をまとめてございます。産業競争力・研究力中核大学において、研究あるいは体制の整備がされるということを前提に、大学と産業界の共同プロジェクトを核にした好循環が生み出されて、これが産業競争力の強化につながっていくというイメージを描いたものでございます。
政府の役割といたしましては、水色の四角のところにございまして、特定の分野単位の取組の後押し、大学の全学的な研究基盤・体制整備の後押しが考えられるのではないかということでございますけれども、本日は政府の後押しの在り方についてぜひ御意見を頂ければと思っております。例えば分野単位の取組の後押しについて、使途やタイミングも含めてでございますけれども、どういった支援が必要か。また、政府、大学、企業の役割分担はどのように変化し得るのか。さらには、制度環境面ではどういった後押しが必要か、こうした点について御議論いただければ幸いです。
ページをおめくりいただいて、18ページ、「ステージゲート/評価制度」についてです。これまでも委員の先生方から事業期間中の緊張感を保つことが必要だという御意見を頂戴しておりました。制度の実施に当たっては、大学の改革、あるいは取組が後戻りすることなく、継続的に実施されること、そして産業界と大学の関係が強化されていくということが重要だと考えておりまして、そのためのステージゲートの考え方の案をお示ししております。
3年から5年程度の頻度で認定継続の可否判断を行ってはどうかということでございます。その際は観点のところにも記載がございますけれども、大学自身が設定した今期目標の進捗と達成状況、それから次の期の目標の妥当性を、分野に精通する有識者の先生方にも御参画いただきながら評価して、必要に応じて改善に向けた助言、場合によっては支援の打切りの検討をしてはどうかと考えております。
また、こうしたステージゲートとは別に、継続的に取組状況を自己モニタリングできるような仕組みを設けたり、あるいは主に要件の充足状況を確認するための年次フォローアップを設けたりということも考えられるのではないかと思っておりまして、こうした点についても御議論いただければと存じます。
19ページは、参考として国際卓越研究大学とJ-PEAKSのステージゲート、評価の仕組みについてまとめてございます。
最後20ページは、本日御議論いただきたい論点について改めて記載しております。
事務局からの説明は以上でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
【大野座長】 どうもありがとうございました。
本日は、委員の皆様に御議論いただきたい点を2回に分けて御発言いただく予定にしております。まず第1回目としては、資料3の20ページを御覧いただければと思います。こちらに記載がありますように、まず「前回議論の振り返り、産業競争力・研究力中核大学群の政策目的、産業競争力・研究力中核大学に期待される取組」について御意見を頂きたいと思います。
委員各位から2分半程度を目安に御発言いただきたいと思います。委員の皆様の御発言が終わり次第、関係省庁として御出席いただいている皆様から、必要に応じて御発言いただきたいと思います。多くの皆様に御発言いただきたいと思いますので、恐縮ですが、御発言は2分半をお守りいただければと思います。
それでは、いかがでしょうか。前回あいうえお順で始めたと思いますので、今回は皆様もう御発言の準備はできているという前提で、あいうえお順の逆順からいきますと益委員からになりますけれども、よろしゅうございますでしょうか。
【益委員】 益でございます。それでは、2分半ということなので、二つ述べさせていただきたいと思います。
第1点目、今回の制度に限らず、大学には最近、国際卓越研究大学制度、J-PEAKSをはじめ様々な支援制度があります。当たり前ですが、今回の申請だけを切り出して、この制度でこれをやりますという計画にならないようにということは大事です。
特に大学自身が自分たちは何のために存在する大学なのか、10年後、20年後にどのような大学になろうとしているのかをまず明確に示す。その大きな将来構想の中で様々な支援を受けて、何を変えてきたのか、まだ何が変えられていないのか、今回、これを元に何をさらに変化しようとしているのかを一つのストーリーとして語れないといけないと思っております。
さらに、その上で産業競争力・研究力中核大学ということを銘打っているわけですから、自大学はどの分野の研究力を中核に据え、なぜその分野について自分たちが中核を担うのか、それが日本の産業競争力にどうつながるのかを示すということが必要でしょう。
第2点目、研究力について、私は正面から研究力について評価すると。単純な論文数は意味がありませんが、例えば私が関係している半導体業界であれば、ISSCC、IEDM、VLSIシンポジウムのように、グローバルに産業界とアカデミアの双方が最高峰と認める国際会議があります。分野によってはそれがジャーナルの場合もあるのかもしれません。そこでトップカンファレンス、トップジャーナルの採択件数ではなく、世界のトップで戦える研究室が幾つあるのか、若手研究者がどれだけ育っているのか、博士学生がどれだけ挑戦し、採択されているのか、そこまで見ることによって一人のスター研究者ではなく、大学としての研究力の厚みが増しているかを見ることができると思います。大学の存在意義と将来構想がまずあり、その実現のために今回何をするのか、何を変えるのか、そして世界で戦える研究力が本当に広がっているのかという評価にしていただければと思います。
最後ですが、言葉を換えて言うと、申請大学が当該分野において世界最高峰とは何かを自らが定義し、そこに挑戦できる研究者層の厚みを見るという視点、ビジョンとKPIの間を大学自身が将来構想でつなげるということが大事かと思っております。
以上です。
【大野座長】 どうもありがとうございました。
それでは、続きまして野口委員、お願いいたします。
【野口委員】 論点(一)についてコメントしたいと思います。
1回目、2回目の議論を通じまして、研究力向上そのものではなくて、産業競争力向上と研究力向上の好循環を生み出す大学の形成を目指す点はもちろん評価できますし、そのとおりであります。今回の資料を読ませていただいても、科学とビジネスの近接化を背景に、産業界への貢献による資金獲得と「知」と人材の再投資の好循環を構築することが政策目的として示されていることも大変よく理解できます。技術で勝つだけでなく、ビジネスでも勝って、そして人材育成でも勝つということもよく分かります。
その上で、検討で追加してほしい点があります。一つは、産業競争力強化の定義をもう少し明確にしたほうがよいのではないかと感じています。今、共同研究とか社会実装とかスタートアップ、人材育成とか様々な要素が含まれていますけれども、好循環を考えるのであれば、例えば最終的に何を目指すのか、国際市場のシェアなのか、新産業創出なのか、地域経済活性化なのか等々、整理したほうが大学も戦略を立てやすくなるので、産業競争力強化の定義を明確にしたほうが良いのではないかと思った点です。
それから、期待される取組について、政府の産業政策との適合性ではなく、先ほど益先生も少し触れられました大学独自の将来ビジョンも絶対重視すべきだと思っています。国の重点分野に合わせるだけだと、各大学が似たような提案になってもいけないと思っていますし、そのことへの懸念があります。つまり、資金や人材があったとしても、なぜその大学がその分野を担うのか、世界で勝てる独自性は何なのかを重視すべきで、理念とか大学の哲学がなかったら、大学全体のベクトルに合わせることもままならず、組織としての力が発揮できないと思いますので、その点は非常に重要と思料します。
あとガバナンス、経営力も今回重要な部分の一つとして示されていますけれども、CFOの配置とか戦略的資源配分はもちろん大事です。ただ、単なる体制整備だけで終わらせてはいけないので、実際に資源を集中できたかとか、学内のバリア、既得権益を乗り越えられたかとか、資源集中できたかという実効性を重視する視点も必要です。
最後に産業界と経済圏との関係性ですけれども、私はこの要件が最も制度の特色を表していると思っております。特に今回評価したいのは、先ほども言及していただいたサプライチェーン横断での関係性という考え方で、エコシステムの形成の責任を大学だけに負わせないことも重要で、例えば文中にもありましたトレイルブレイザー大学制度でも触れられましたように、企業の長期間のスパンによる継続投資や企業からの人材派遣、複数企業の参画も非常に重要で、エコシステムの形成の責任は大学だけではなくて、企業のコミットメントも評価対象にするべきだと考えます。
以上です。
【大野座長】 どうもありがとうございました。
それでは、千葉委員、お願いいたします。
【千葉委員】 千葉でございます。今回の第3回のワーキングはかなり重要な局面だと思っておりまして、前回までの議論を理念から今回、恐らく制度設計に移していくという目標があると思います。
重要だと思うキーワードは、これまで出たものにも若干重なるところもありますが、研究力と産業競争力を別物にしないということ。
それから、大学単独ではなく、企業とか国研、地域を含むエコシステムで考える。
それから、TRL6からTRL7で日本の場合止まってしまう構造がかなり強いのですけれども、これを変える。
それから、博士、若手人材を最終成果の一つとする。
それから、短期成果だけでなく、国家価値とかレジリエンスまで見るという考え方を打ち出す重要なポイントに来ているのではないかと思っております。簡単にいいますと、日本の研究開発、イノベーションシステムそのものを変えるということです。要するに大学を強くする政策から、大学を中核として日本のイノベーションエコシステムを強くする政策へと転換することが、今回目指すべき重要な本質になる部分ではないかと思っております。
もう少し具体的にいいますと、産業競争力と研究力を因果関係として捉えていく。要するに強い研究が価値を生んで、そこから資金、人材獲得につながる、そして次の研究への再投資が行われるということです。
産業か研究かという二者択一ではなくて、社会との接点が新しい研究課題を生み、それが次の基礎研究を強くするという循環。これを中心になって進めていく大学に焦点を当てることが大事だと思っています。
以上です。
【大野座長】 ありがとうございます。
それでは、続きまして田中委員、お願いいたします。
【田中委員】 田中でございます。第2回目は海外出張で留守でしたので、そのことを踏まえて申し上げますと、国際卓越研究大学と今回の産業競争力・研究力中核大学との違いは、ガバナンスと国際性は必要条件であって、それは十分条件にならないと。今回十分条件と言われているのは、明らかに産学連携の力、また産学官、国研と大学と産業界との連携ということだろうと思います。
そこのところにこれからの焦点が来ることは明らかだと思っております。今、千葉先生もおっしゃっていたように、産業界との連携と研究力を分けないでつながるということはおっしゃるとおりだと思っていますが、さらに必要なのは、高いスタンダードになるかもしれないのですが、国内だけの産学連携でよいのかということがあると思います。例えば卒業生が海外で仕事をしているのか、海外の企業に勤めているのか、卒業生が海外の大学で教えているのか、その連携はどうなのか。
海外の大学がどんなに産学連携しているかというのを肌で知っている人間が、ちゃんと帰ってきて自分の大学に来るのかということも今後重要です。特にOECD諸国の欧米間では、ある国の大学が違う国の産業と結びつくこともあるように思いますので、そういうことを今後日本も見なければならないのではないか。
ですから、国際性も必要条件で、ただ国際化していくことでは特に評価しないとおっしゃっていると思うのです。事務局もそうお考えだと思うのですが、そうするとその後はどうなるのかというところまで考える必要があろうかと思っていまして、まずはポテンシャルだと思うのですが、海外の企業とのつながりがあるのか。産学官、国研と大学と企業とどうつながるのか。そういったかなり幅の広い視野で見ていく必要があろうかと思います。
ですから、視野も広げて、奥行きも深くという必要があると思いますが、我々の大学がそこについていけるかどうかも相当厳しい基準になると思うのですけれども、それぐらいのアンビションを持つ必要があろうかと思っております。
以上でございます。
【大野座長】 どうもありがとうございます。
それでは、続きまして久世委員、お願いいたします。
【久世委員】 主に産業界の立場から申し上げます。中核大学群政策を真の意味で産業競争力の強化につなげるためには、これまでも申し上げてきたとおり、大学側だけでなく、企業側の経営コミットメントを制度の中に明確に組み込む必要があると考えております。
その上で、中核大学群には、個々の研究者による共同研究の場にとどまらず、企業と大学が継続的かつ組織的に研究開発に取り組む戦略的な共創拠点になることを期待します。
高度成長期には、企業の中央研究所が一定の成果を上げてきました。しかし、現在、AI、量子、バイオ、先端材料、宇宙などの分野では、最先端の知識、人材、研究設備を一企業だけでそろえることは極めて困難になっています。したがって、大学や国の研究所との連携が不可欠になっております。
先ほど田中委員からも御発言がありましたが、海外では、企業が大学や国の研究所との共同研究を経営の延長線上に位置づけ、自社の研究開発の拡張体制として捉えています。一方、日本では、大企業を中心にコーポレート研究所を設け、自前主義で研究開発を進めてきました。かつてはそれが有効に機能しましたが、現在では、その仕組みだけでは立ち行かなくなっていると考えます。
そのため、中核大学群は、共同研究に加え、知財、人材交流、設備共有、スタートアップの創出、さらに企業と連携した社会実装・産業実装までを一体的に支援できる体制が必要だと考えます。
一方で、一方的に大学側だけに改革を求める制度であってはならないと考えております。企業側も、中核大学群との連携を研究部門の個別案件ではなく、自社の成長戦略、研究開発戦略、人材戦略、知財戦略の重要な一部として位置づけるべきです。
そのため、大学側には、企業側のコミットメントを確保していただきたいと思います。大学と企業が対等な立場で、企業トップや経営層も交えて継続的に議論し、互いの戦略を共有しながら、取り組むべき分野の特定や人材戦略を双方の経営マネジメントに組み込んで進めていただきたいと考えております。
以上です。
【大野座長】 どうもありがとうございました。
それでは、続きまして折茂委員、お願いいたします。
【折茂委員】 ありがとうございます。私からは2点お話しさせていただければと思います。
まず、産業競争力・研究力中核大学群ということで、国際卓越研究大学制度、それからJ-PEAKSといった様々な国の施策がありますけれども、この大学群に期待されるところは、研究力の向上はもちろんのことだと思いますが、それに比して産業競争力の向上にきちんと貢献できているのかということが非常に重要であると改めて考えてございます。
そうしたときに、国のミッションですとか目指す姿ですとか産業競争力、この分野をこのように強くしていきたいといった思いを大学側も研究力の強化ですとかやりたい研究をするだけではなく、そういった国としての方向性に合致しているのかということ、ここの意識は非常に重要だと思います。一方で産業界も大学側にそれを考えさせるだけではなくて、何を自らの企業でやるのか、ないしは産業界でやるのか、この部分は大学と二人三脚でやっていくのかといったところを真に考えていくということが重要かと思います。
ただ1点、産業競争力の向上といっても、近視眼的になるのではなくて、短期的に成果を出すところ、それから国の在り方を中長期的に考える視点も重要なポイントであると考えてございます。
そして2点目ですけれども、少しスペシフィックな御指摘になるかと思いますが、既に様々な点を網羅的に資料上書いていただいております。企業側にも産学連携を本気になっていただく体制ということで、当然のことながら産学連携人材をきちんと大学側で整えるということはありますけれども、加えて国のミッションを担っていくという意味では、相当機微に触れる情報なども大学、産業界共に持つということだと思います。
そうしたときに、少し踏み込んだ発言になるかもしれませんけれども、研究セキュリティですとか情報セキュリティといったことが日本の大学においてグローバルレベルになっているのかということはやや懸念しているところでございます。そういった観点で研究者、大学の自治というところに任せるということはもちろんありますけれども、一方で企業側にも安心して大学と機微に触れることも含めた共同研究をしていただけるような研究環境を整えるということも大学側に求められることではないかと考えてございます。
以上です。
【大野座長】 どうもありがとうございました。
それでは、小川委員、お願いいたします。
【小川委員】 ありがとうございます。久世委員のように積極的にコミットメントしてくださる企業が現れることを経団連としては切に祈るところでございます。制度をつくりました、政府が支援します、産業界がやってくれるのでしょうねというプレッシャーを経団連は常に受けるわけでありますけれども、他方で企業の取組は経営合理性に左右されるものであります。ですので、企業が中長期的に投資や連携をしたくなるような大学群になっていただかなくてはいけません。
そのためには二つあると思っています。一つは先ほど海外に行くのではなくてという話もありましたけれども、特定の分野についても世界トップレベルであるという研究力を示していただくということです。それからもう一つは、折茂委員が指摘され、私も何度も指摘してまいりましたが、産学連携がスムーズにいくような研究支援人材や知財、研究セキュリティの確保など、大学内の体制をしっかり整えていただくことが企業にとって非常に重要な点だと思っております。
そうしたところをしっかり大学で誰が責任を持って実行するのかというところが大事だと思っています。特定分野にある程度特化するということは、大学群の趣旨からしても重要だと思うのですけれども、だからといって特定分野の部門に丸投げということではなくて、大学トップが責任を持って全学的にこうした改革を進めていただくということが重要であろうと思っております。
それから、大学の観点からも先ほど御指摘があったと思いますが、企業の側から見て、最近、産学連携とか大学改革に関して様々な施策が次々と打たれていること自体はとてもありがたいと思いますが、ともすれば一つ一つがばらばらに見えてしまって、どういう関係にあるのか分からないとか、どこをどう使っていいのか分からないという混乱ももしかすると生まれるかもしれないと思っています。
17分野に紐づくものだけでも相当いろいろな施策が今矢継ぎ早に打たれていると思うのですけれども、実際の現場はかなり重なるところもあると思いますので、そうしたものがばらばらではなく、連動して相乗効果を発揮できるような整理も必要であろうかと思っております。
以上です。
【大野座長】 ありがとうございました。
それでは、オンラインで江戸川委員、お願いいたします。
【江戸川委員】 ありがとうございます。江戸川でございます。
もう皆様おっしゃっているとおりで、やはりこの施策の特徴は産業競争力が大きく、産業競争力というワードが入っているために多くの方々からの期待が集まっていると私は理解しています。
そういう意味で、いろいろ課題等を解決しなければいけないところはあるのですけれども、重要なのは重点的に支援する分野へのリソース投入というのがしっかり行われることだと思っております。
これは、大学の人的・資金的リソースを投入するということも含めたコメントなのですけれども、その上で産業界から多くの資金を拠出してもらう。場合によっては、設備等を拠出してもらうということで、トータルでこの領域について施策がなかった場合と比較して、重点的に大きな資金、リソースが投入されているという状況をつくり出すことだと思っております。それが重要な1点目。
もう1点が研究力ももちろん重要なのですけれども、課題は産業化、事業化のところで出口をしっかり見据えて進めていくというところです。短期的、中期的にはコストが出ていくということなのですけれども、少なくとも長期的には全体として見たときに黒字になっていなければいけないというか、しっかり事業、産業をつくり出して、もうかる形に持っていけていなければいけないということなので、そこを見据えて担い手もきっちり検討しながら進めていくということがこの施策で求められているし、特徴的なところかなと思っております。
以上です。
【大野座長】 どうもありがとうございました。
それでは、関係省庁として、内閣府、外務省、厚労省の皆様も御出席いただいていますので、もし御意見がございましたら御発言いただければと思います。それでは、上山参与からお願いいたします。
【上山内閣府本府参与】 ありがとうございます。私から産業競争力・研究力中核大学群という政府の政策目的について、2つほど申し上げます。
まず一つは、この大学群がきちんと指定されたことによって、これまで国際卓越研究大学、それから25個にわたるJ-PEAKSという大学を選んできて、最後のピースとして我が国における研究大学群というものがはっきりと見えてきたという意味で政策目的が達成されつつあるのは素晴らしいと思っております。
したがって、この制度によってどの大学を選ぶかというときの視点の中にも、恐らくは研究大学群として40~50存在することも念頭におくべきかと思います。イギリスだとラッセルグループで24ぐらいですけれども、そのような大学群が明確になりつつあるということです。この40~50の研究大学群が、我が国全体の大学と研究開発法人も入れてもいいですが、我が国全体の中央研究所の役割を担えるのかということをこの制度の延長として考えていくべきだと思っております。そのような視点で企業が大学群を見ることができるのか。企業の中央研究所と同じような形でこれを使えるのかという視点がとても重要だと思います。これが1点です。
それから、産業界とアカデミアの連携でいうと、ここ30年以上にわたって産学連携が繰り返し議論されていたけれども、実際にはほとんどワークしなかった。御存じのように企業から大学への共同研究費はたかだか数百万レベルにとどまっている。30年以上続いてきたこのトレンドを大きく転換させるにはどうすればいいのか。一番重要なのは、産業界という一言でくくるのではなくて、それぞれ個社の経営戦略の中にきちんとこの仕組みが入るかどうかを考えることです。個別の企業が自社の経営戦略上、この関わりが決定的に組織の生き死にに関わるという状況にならない限り、本格的な産学連携が生まれない。それのために、どういう仕組みを作っていけば、産業界、あるいは企業のインボルブメントをも高めるのかという視点がとても重要だと思います。
その仕掛け作りが、この制度の中でどのような大学を選ぶのか、どのような形のステージゲートの評価をしていくかということにかかっているので、そこの制度設計に関してはかなり丁寧にやっていかなければ、これまでと同じような産学連携の不毛な形が続いていく。このことに気をつけなければいけないということを申し上げたいと思います。
以上です。
【大野座長】 ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。オンラインからよろしゅうございますか。宮園議員から御発言いただきたいと思います。お願いします。
【宮園CSTI議員】 宮園です。どうもありがとうございました。
今、上山参与がおっしゃったことの繰り返しになりますが、国際卓越研究大学、それからJ-PEAKSの間を埋めるような立場で、産業競争力・研究力中核大学群がそろうことによって、日本の研究大学を支える仕組みがしっかりとできたと。そこに科学とビジネスの近接化の中で、産業界とアカデミアの連携を強めるという趣旨は大変ありがたく思っております。
第7期の科学技術・イノベーション基本計画でいろいろと議論してきた中で、やはり日本の研究力が低下している。科学の再興が重要という中では、産業競争力・研究力中核大学の認定は欠くことのできない非常に重要なプログラムということで、ぜひこの形で強く推進していただきたいと思いますし、様々な形で応援していきたいと思います。
その中で産業界との連携だけでなく、地域との連携、できれば日本全体をカバーして、研究力を支援していくような方向で行ければと考えております。実は、文部科学省でEPOCHという研究機器や共用研究機器の支援を行いましたけれども、日本全体で取りこぼしがないように、そしてそれぞれの拠点で地域をカバーし、国際連携に関しても地域の特色を生かしながらやっていただくということでいろいろとやってまいりました。そこには実際にかなり多くの産業界の方々の連携も入ってきております。
そういったことも含めまして、アカデミアと産業界の壁を低くして、お互いが連携しながら人材育成を含めてやっていくということで、これからいろいろと議論を進めていただきたいと思います。ぜひこの形で進めていただくことを支援したいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
【大野座長】 どうもありがとうございました。ほかによろしゅうございますでしょうか。
それでは、御発言いただきましてありがとうございました。
続きまして、2つに分けたうちの後半に行きたいと思います。「選定の在り方、政府が果たすべき役割、ステージゲート/評価制度」について御意見を頂きたいと思います。今回は、委員の皆様から4分半程度を目安に御発言いただきたいと思います。
また、1回目と同様に委員各位の御発言が終わり次第、関係省庁として御出席いただいている皆様から、必要に応じて御発言いただきたいと思います。
先ほどの順番でよろしゅうございますか。では、益委員からお願いいたします。
【益委員】 益です。ありがとうございます。16ページに3点ほど提示されていたかと思うのですが、その3点ともう1点加えさせていただきたいと思います。
まず、大学からの認定分野数に条件を設けるべきかという話ですが、特定の大学があまりに多くの分野の拠点になるのは、この制度の強みの集中という趣旨から考えても違和感があります。
一方で、大学によって規模も研究者数も、博士の学生も大きく違いますので、1大学何分野までと一律に決めるのもおかしいと思います。むしろその大学が掲げる将来構想と経営資源から見て、本当に責任を持てる世界水準まで引き上げられる分野の数なのかという観点で判断すればよいかと思います。
二つ目の特定の分野をけん引するハブとして集中的に強化する観点から、分野ごとに採択大学を限定するということについてですが、分野ごとに採択大学を限定することについては、一定の限定は必要だと思いますが、一方で限られた資源を集中し、日本として世界と戦える拠点をつくる制度ですから、全ての分野で多数の大学を選ぶというのはないと思います。
また、分野によっては研究者数も産業構造も違いますので、1分野何大学と一律に決めるのも難しいと思います。
さらに、採択大学を限定するのであれば、通常の公募で申請書を比較するだけで本当に選べるのかという問題も出てくると思います。選ぶ側にも相当な分野の見識が必要ですし、公平性、透明性をどう担保するかということが重要になるかと思います。
三つ目の複数の大学がという話ですが、私は必ずしも単体大学に限定する必要はないと思っています。しかし、複数の大学の強い研究室を単に寄せ集めればいいというものでもありません。複数大学で提案するのであれば、それぞれの大学の将来構想が整合し、その分野を一緒に強化することがそれぞれの大学自身を強くすることにもつながる必要があります。
したがいまして、単なるプロジェクト期間中の連携ではなく、15年後にも残る組織的連携なのか、そこまで見て選定する必要があると思います。これも場合によっては、その先に法人の統合とか大学統合まで見るぐらいの大きな構想があってもよいと思います。
3点に共通しているのは、形式的に何分野、何大学、単独か連携かを先に決めるより、大学がどのような将来像を描き、その中でこの分野をなぜ自らが担うかを見ることが必要だと思います。
最後ですが、これまで申し上げてまいりましたが、この制度は選ばれた大学を強くする制度ではなく、他大学、国研、企業、スタートアップを巻き込み、その分野の研究開発、産業競争力強化のエコシステムをつくる制度であるべきです。その際、人材育成だけに注力するのではなく、育てた人材が大学、企業、国研、スタートアップを実際に動くようになったかを見ることが必要です。したがって、クロスアポイントメントの件数等ではなく、人材が動く市場が形成されたかということが重要だと思います。
産業界についても、共同研究費を出すだけではなく、人材を出し、研究開発のリスクを共有し、事業化にも関わるということが必要になります。これは何度も出てきたとおりです。
ステージゲートでは、共同研究費額や外部資金だけではなく、他大学、国研、企業、スタートアップとの関係がどれだけ深まり、人が動き、民間からの次の投資が自律的に生まれるようになったかを見るべきだと思います。15年後、政府支援が終わった後に何が残るのか、設備だけではなく、人が動く仕組み、企業が投資する仕組み、そして次の研究開発が自律的に生まれるエコシステムが残る。そこまでを評価する制度になれば、単なる大学支援、研究支援だけではなく、日本の研究開発システムそのものを強くする制度になると思います。
以上です。
【大野座長】 どうもありがとうございます。
それでは、野口委員、お願いいたします。
【野口委員】 16ページにあります選定の在り方の論点が三つありましたので、まずそこから言及したいと思っています。
論点(一)の分野ごとの選定大学数で、資料では真にその役割を果たせる大学に厳選という表現があります。基本的に私も集中投資は賛成です。ただ、1分野1大学のような固定的な考え方は少し回避する案もあると思っています。例えばAIと半導体とバイオといった分野でも研究領域が広くて、産業構造も異なると思っています。ですので、世界レベルの拠点形成に必要な規模感を基準に選定数を決めることも一考ではないのかなと思います。このことについては、集中投資の考え方は非常には賛同しますけれども、分野ごとに産業構造とか研究開発の特性がやや異なるかもしれませんので、一律の採択数でなくて、世界的な競争力を確保する観点から、柔軟性も踏まえながら判断すべきではないのかなというのが論点(一)のところです。
論点(二)の単独大学か連携大学かということですけれども、資料は選定大学が単体の大学と記載されています。私は、これは妥当だと思っています。理由としましては、経営改革の責任主体を明確にできることや、ガバナンス評価をしやすいためです。責任を曖昧にしないというのは非常に重要な観点で、一方でハブ大学と連携大学群という形態は非常に重要なので、そういう発想も必要ではないかと思っています。
現在の日本の大学の研究力はやや分散している部分もあるので、1大学だけで世界トップレベルの研究開発や社会実装を担えるケースはやや限られるかもしれませんので、認定主体は単独大学としつつも、他大学や国研を巻き込むネットワーク形成をむしろ積極的に評価すべきではないのかなと思っています。
それから、論点(三)の大学ごとの認定分野数ですけれども、ここは少し条件を設けるべきかもしれないと思っています。趣旨は強めに集中投資するというのは大変よく分かりますが、あまり多くの分野を認めると総花的になります。一方で、複数の世界的強みを持つ大学も存在しますので、原則1~2分野程度で特別な場合のみ追加ぐらいが現実的かなという感じもしています。
あと2つ目の政府が果たすべき役割です。これも重要な論点だと思っております。政府は、資金提供者でもありますけれども、エコシステムの形成者でもあるべきだと思っております。産学連携を進めていく障害は資金不足だけではないので、規制や標準化、データ連携など様々なボトルネックがあるので、省庁横断で規制の緩和や標準化、国際連携を推進して、環境整備を担う役割は大いに期待したいところです。
また、ステージゲートと評価制度が18ページから19ページに言及されています。評価頻度については、資料で3年から5年と書かれていますけれども、これは妥当だと思います。研究開発や産学連携は成果が出るまで時間がかかるので、毎年厳しく単年度評価をすると短期成果主義になりかねないので、そういったスパンの評価の頻度が重要と思っています。
一方で、成果指標と改革指標に分けるのも重要でないのかなと思っています。成果指標でいけば、もちろん資料で触れています大型の共同研究費受入額や社会実装件数もありますけれども、例えば言及がありましたCFOの設置や人材の流動化、ガバナンス改革などは、大学自身でもコントロールできますので、研究環境によって変わる成果指標とコントロールできる改革指標、両方見るべきだと思っています。
加えて、支援の打切りも言及されています。成果が出なかったら、もちろん即打切りではなくて、改革努力とか産業界とのコミットメントが失われた場合に、見直すという考え方を一方で念頭に置くのも重要ではないのかなと思いました。
最後に、ほかに言及すべき事項があればということで、2点触れたいと思っています。
今回、認定された大学とされない大学の関係はもちろんあると思っています。採択された中核大学を集中的に支援するのも非常に重要ですけれども、2回目のワーキンググループでは選定大学だけが強くなるのではなくて、日本全体の研究力を押し上げるハブとなるべきという意見がありました。認定大学が他大学にどのように成果を波及させるかや、地方大学や特色ある大学との連携をどう評価するか、国研との役割分担をどうするかは少し整理しておいたほうが良いと思いました。
もう1点ですけれども、あまり議論されていないと思うのですが、15年という期間がありますので、制度終了後の自立化が重要だと思います。今回は、産業界の貢献による資金獲得と再投資の好循環を一つの目標としておりますけれども、例えば15年の制度終了時に、共同研究や知財、寄附金、スタートアップ収益など、補助金がなくても成長できる状態をどこまで求めるのかというのも議論は必要と思っています。
本制度は、認定大学を強化するだけではなくて、日本全体の研究開発システムを強くすることが重要ですので、認定大学から他大学への波及効果や、さらには支援終了後の自立的な成長モデルについても今後議論する必要があるのではないかと思いました。
私からは、以上です。
【大野座長】 ありがとうございました。
それでは、千葉委員、お願いいたします。
【千葉委員】 まず、選定についてですけれども、何人かの委員からも御発言がありましたが、大学そのものを選ぶというより、大学、分野、エコシステムを総合的な形で選ぶという考え方が重要だと思います。認定主体は大学でよいと思いますけれども、大学が全てを持つ必要はありません。ほかの大学群、あるいは企業、国研、スタートアップ、自治体、海外機関をどれだけ本当の意味で束ねられるかというのも能力だと思います。
また、強い分野だけを選ぶのではなくて、2035年、2040年からバックキャストして、日本が将来の世界で競争できる産業をつくれるかを見るべきです。これは非常に重要なことで、選ぶ側にもかなりの大きな負荷がかかると思いますけれども、要するにパストエクセレンスだけではなくて、フューチャーポテンシャルとトランスフォーメーションケイパビリティ、すなわち大学自身の資源配分、人事、研究組織、企業との関係が本当に変われるかを評価していくことが重要だと思います。
それから、政府の役割を示していただきましたけれども、かなりもっと拡張する必要があるかなと思っています。要するに研究費を出して、その後、支援をするというだけではなくて、研究、実証、そして規制緩和、標準化、調達、ファイナンス、市場形成までをつなぐ必要がとにかくあります。ここの部分をいかに円滑に進められるかは、政府の役割も極めて重要であると思います。そうしなければ、日本は長年問題となっている社会実装の壁は越えられないと思います。政府は、ファンディングエージェンシーからマーケット、イノベーションアーキテクトへ変わる必要があると考えております。
それから、ステージゲートについては、当初のKPIを達成したかだけではなくて、環境変化から何を学び、戦略をどう変えたかを評価していただきたいと思います。アウトプットとしては、論文、特許、共同研究費、博士、スタートアップ等ですけれども、アウトカムの部分、企業投資、人材流動、社会実装、市場形成、国際連携等、これらが評価対象になると考えます。
それから、先ほど申しましたトランスフォーメーションが重要な要素になります。要するにコンティニュー、エクスパンド、ピボット、イグジットというポートフォリオマネジメントとして評価を使うことが重要ではないかと思います。
あと2点だけ申し添えますと、一つはいろいろ御意見が出ていますとおり人材です。この制度の最終成果の一つを博士人材、若手研究者、研究開発マネジメント人材、起業家の育成に置いていただくことは極めて重要だと思います。10年後、この制度が成功したかどうかは、何本論文が出たかだけではなくて、この制度から次の日本を担う30代、40代の研究者、経営人材、起業家がどれだけ実質的に育ったかで判断されるべきではないかと思います。
それから、最後にもう一つは研究基盤です。これも十分お考えいただいているところだと思いますが、大学の研究力低下を研究者個人の問題にしてはいけないと思います。施設、設備、技術職員、データ基盤などが老朽化すれば、世界レベルの研究はできません。大学ごとに施設整備の責任を負うのではなく、大学、国研、企業をつなぐナショナルリサーチインフラストラクチャという考え方を入れていただきたいと思います。このことだけではなくて、日本全体の問題かもしれませんが、時間がたてば老朽化する、これに対して計画的に先手で打っていく、すなわちそこへの投資も実は次の機動力になるという考え方に今こそ変えていく。これこそが持続可能な発展の国の在り方ではないかと思っております。
この制度によって数個の大学が強くなったということで終わるのではなくて、その大学をハブとして日本全体の研究力と産業競争力が上がったと10年後に言える制度にすることが最も重要だと思います。
以上でございます。
【大野座長】 どうもありがとうございました。それでは、田中委員、お願いいたします。
【田中委員】 ありがとうございます。田中でございます。
まず、選定の在り方から申し上げますと、認識論としてどう捉えるかなのですけれども、私立大学と国立大学の決定的な基盤の違いがございます。これは、私大連盟でも計算しておりますけれども、私立大学のランニングコストに国のお金、いわゆる国民の税金が入っているのは8.6%ぐらいでございます。私立で頑張っているところは10%を超えているところが若干ありますが、平均でいえば10%未満。国立大学の場合には平均で見たときに58.8、60%弱なのです。頑張っている国立大学は60%を超えていて、少し弱いところは57~58%だろうと思います。ただ、約6割と約1割で国民の税金の入り方が違うので、そのまま規模で比較することはあまり意味がないと思います。
6ページにポテンシャルのある大学に積極的に手を挙げていただくと書いていただいていますけれども、ポテンシャルを見ていただくと、ただ単にスタートアップの数が多いかとか少ないかではなく、スタートアップのポテンシャルがどのぐらいあるか。例えば10のうち4とか5が成功するのかというのと、100とか200あってそのうちの10、20が成功しているのかは、10成功しているのと5成功していることの違いではなくて比率が違いますから、そういうところを見なければならないと思いますので、選定の観点としてはポテンシャルを見るということと、インフラに与えられている国のお金の違いも考慮していただく必要があると思っております。
それともう一つは、先ほど申し上げたとおり、今回は産学連携と産業競争力の強化が十分条件になるところだと思いますので、どのように見るかですが、大企業との提携だけが産学連携とか産業競争力の強化ではないのではないか。例えばスタートアップにどれだけの投資が来ているかということも重要だろうと思います。ですからスタートアップの数ではないと申し上げましたが、どれだけのスタートアップがどのくらいの投資を受けているかということも大事だろうと思います。それが何年たったらイグジットしたのかということや、IPOで成功したのかということも見ていただく必要もございますが、スタートアップの数だけではなくて、成功率やどれだけの予算を集めたかで見ていただく必要があります。産学連携で大企業と大学との連携だけを見ると、スタートアップに目が行かなくなるので、そちらも見ていただく必要があろうかと思っております。
もう一つ、私が第1回目の会議のときに規模と期間ということで申し上げて、国際卓越研究大学と地域中核・特色ある研究大学の間に来るだろうと思ったので70~100億ぐらい、年限でいうと25年ではなく10年ではないので15年と申し上げて、大体その方向でお考えいただいているのは大変ありがたいと思いますが、野口先生もおっしゃったとおり、15年の後に持続性が当然必要になるわけです。持続性を考えて、資金として頂いたお金を使い切ってしまうのではなく、どうやってエンダウメントにするのか。
寄附チェアというのは、お金を頂いた分だけ使ってしまえばそこで終わってしまうので、ポストは消えてしまうのです。ですから、欧米、OECD諸国でやっているようにエンダウメントをつくってその運用益でポストを維持していくことが必要だろうと思います。そのような形で継続性を考える。エンダウメントをしっかりつくり、それがいかにうまくいくかというポテンシャルを見ていただく必要があると思います。それが長い目で見たときの制度化につながりますから、15年の年限が終わった後でも継続し得る大学と、資金が消えればそこで力が急に落ちる大学の差が出るだろうと思います。そういうことを見ていただく必要があると思っておりまして、政府が果たすべき役割はそういう意味でこちらにも書いていただいていますけれども、大学のやる気を政府がどう評価するか、やる気のある大学をどう引き当てるかというところに注力いただきたいということでございます。
短いですけれども、私から以上でございます。
【大野座長】 どうもありがとうございました。
それでは、久世委員、お願いいたします。
【久世委員】 まず、選定についてです。容易な課題ではなく、明解な解があるわけではありませんが、先ほど上山参与がおっしゃったように、このプログラムを成功させるには、産業界が本気で人材、設備、予算を投入することが重要だと思います。
先ほど申し上げたように、各企業の中長期の経営戦略には、共通する領域が幾つかあると考えます。本制度は一企業を支えるものではなく、日本全体の産業競争力を高めるものです。したがって、そうした企業共通の戦略領域を束ね、大学と連携して取り組む必要があります。ただし、選定時点でそこまでのマッチングを完了させることは難しいと思います。選定後、企業群と大学の経営層が対等な立場で、戦略領域、大学の強み・戦略・ケイパビリティと産業界のニーズとのマッチングを丁寧に議論し、テーマを選定していく必要があります。
具体例として、戦略17分野のマテリアルを挙げます。現在は、レアアースやレアメタルの探索技術、あるいはレアアースを使用しない材料などが主に記載されています。一方、石油化学を手がける企業にとっては、ナフサ代替原料の開発が極めて重要です。日本のマテリアルの企業は現業または現業に近い領域では連携が難しく、データの共有やAI for Scienceの活用にも苦労しています。しかし、各企業が中長期的に共通して抱える「ナフサを何で代替するのか」という課題には、バイオナフサやバイオエタノールなど複数の選択肢があり、先端技術と基礎研究の双方が必要です。
現在、日本ではナフサクラッカーの統合に向けた動きがあり、例えば旭化成、三井化学、三菱ケミカルも経済産業省の支援を受けながら取り組んでいます。人材面でも設備面でも、まだ十分とは言えません。ナフサ代替を日本全体の課題として明確に位置づけ、各企業から研究者も資金も集中的に投入するくらいの取組を行わなければ、本来目指している成果にはつながらないと思います。
先ほど千葉委員から、フューチャーポテンシャルやチェンジマネジメント、すなわち変革の可能性を評価すべきとの御発言がありました。企業側にも、採択後、各社の経営層が参画し、半年あるいは1年をかけて継続的に戦略やテーマを定めていくほどの覚悟が必要です。こうしたコミットメントを選定時にどのように確認するかは、重要な課題だと思います。
第2に、政府の役割です。大学や国の研究所との共同研究には、既に研究開発税制上の税制優遇があり、その拡充も進められています。これは非常に重要ですが、先ほど申し上げたように、各企業による活用は十分ではありません。その根本的な原因を掘り下げる必要があると考えます。その上で、税制や補助金だけでなく、知財、研究セキュリティ、人材交流、設備共有など、産学連携を進めやすくする環境整備が必要です。
また、中核大学群との連携を、企業や産業全体の価値を生む投資として位置づける必要があります。各企業が中核大学群との包括的連携を中期経営計画や研究開発戦略に組み込み、その方針や進捗を統合報告書やIR活動を通じて説明することを、政府として後押し、推奨していただければ、企業側の取組も進むと考えます。
第3に、評価制度についてです。大学側について、共同研究、人材交流、知財、社会実装などを評価することは重要ですが、企業側のコミットメントも評価に取り込むべきではないでしょうか。例えば、経営層が関与しているか。中期経営計画に明確に位置づけられているか、複数年にわたり資金や人材を投入しているか、さらに企業が事業化・産業化・社会実装に責任を持っているか、といった点です。評価の直接の対象は大学であっても、その先に連携する企業や産業界が存在します。企業側の取組も適切に評価に組み込まなければ、従来の産学連携を抜本的に変えることはできないと考えます。
繰り返しになりますが、日本企業の研究開発は自前主義を中心としてきました。今後はそこから脱却し、産学共創型へ真の意味で転換して、研究力の強化と産業競争力の強化を同時に実現することが重要です。大学を選定して支援するだけの制度にとどめず、大学と企業の双方に長期的なコミットメントを求め、連携関係そのものを評価する制度としていただきたいと思います。
以上です。
【大野座長】 ありがとうございます。
それでは、折茂委員、お願いいたします。
【折茂委員】 ありがとうございます。
まず、16ページの選定の在り方は大きな論点かなと思いますけれども、そのお話に入る前に、恐らくこの事業の前提として通底する考え方かなというところではございますが、私自身、非常に強く思っているところとしては、日本という国において財源もアセットも相当限られている、場合によってはシュリンクしている中で、グローバルに競争していけるような産業群を新たにつくっていくためには、一定集中させ、効果的に活用していく必要がある。翻れば、薄くばらまいていくものではないということがこの議論に通底するところだと考えてございます。
そうした中で、政府としての役割も論点に挙がってございましたけれども、いろいろな考え方があろうかと思いますが、私といたしましては国として今後の日本の産業を考えていく上で不足するところないしは伸ばして維持・拡大していきたいところ、場合によってはチョークポイントになってしまいそうなところを当然のことながら産業界側で担保できるところもあれば、大学と産業界が連携することで、そこを充足していくことも考えるかと思います。
そして、その絵姿を国側、政府側がしっかりと描き、そこにある意味、手を挙げていただく大学群の皆様が貢献していただく姿をしっかりと描いていくということが政府の役割として非常に重要ではないかと考えてございます。
その前提において、16ページのそれぞれの論点を述べさせていただきますけれども、まず1点目の分野ごとの選定大学数の観点につきましては、先ほど申し上げましたように薄くばらまくものではないということは私自身非常に感じているところでございます。
一方で、特定分野のある意味広がりといいますか、定義といったところにもよるかと思いますが、諸外国を見ても半導体なら半導体、量子なら量子といったところで1大学だけでよいのか。それぞれの大学に得意な分野があることなど、様々な考え方から、複数大学が選ばれているというのは、諸外国を見ても言えることかなと思います。
そうした観点で分野ごとの選定大学数については、曖昧な言い方で申し訳ないですけれども、一つではないが、そう多くないと思います。そういった観点が、まず論点の一つ目でございます。
それから、先に3点目をお話しさせていただきますけれども、大学ごとの認定分野数の観点も当然大学の規模によってほぼ全ての領域においてトップないしはトップに近い大学もいらっしゃれば、ある領域において非常にお強い大学、様々いらっしゃるかと思います。
ただ一つ申し上げたいことは、例えば17分野、戦略分野一つ取ったとしても、産業競争力の強化を考えたときに、一つの分野だけでいいのか。出口を考えたときには、もしかすると複数分野連携したほうがいいかもしれない。そういったときには、出口を見据え、一定数の認定分野を認めることも、リーズナブルな考え方の一つとしてあろうかと思ってございます。
それから2点目、選定主体連携の観点とありますけれども、こちらにつきましては基本的に責任の所在を明確にしていくという意味では、私としては単体の大学がよろしいかなと考えてございます。ただ、条件として、出口として15年後、産業競争力強化のエコシステムをつくっていくという観点においては、そのほかの大学、それから地域との連携を採択の条件にしていくということは必要ではないかと考えてございます。
それからもう一つ、ステージゲートの考え方になりますけれども、まずアウトプット、アウトカム指標は想定し得ると思いますが、しっかり成果が出ているのかというのは、事業趣旨に鑑みますと非常に重要なことかと思います。具体的には、実際産業が興っているかというところもあれば、グローバルでも参照されるような取組が日本から発出できているのかといったところがあろうかと思います。
一方で、15年後、その先20年、30年後ということを考えますと、未来への投資もしっかりできているのか。それは研究の観点ということもあれば、先ほど来人材への投資ですとかエコシステムの拡充といったところが委員の皆様からお話がございますけれども、そういった中長期的な観点で成果を出す素地ができているのかということも各年度で見ていく上で重要ではないかと思います。
その際に、先ほど千葉委員からもございましたが、さはさりながら今これだけ激動の環境の中において、正直3年後もどうなっているか分からない中で、最初に言ったからできているのかできていないのかという話ではないと思っております。そういった意味で、レジリエンス、柔軟性といった観点でなぜうまくいかなかったのか、これから数年にかけてどのようなリカバリープランを考えているのか。この点をしっかりと御説明いただき、アクションが明確であれば、より重視して評価するべきところかなと考えてございます。
以上でございます。
【大野座長】 どうもありがとうございました。
それでは、小川委員、お願いいたします。
【小川委員】 ありがとうございます。
最初に、選定イメージについては、皆さんおっしゃっていることはそれほど違わないと思いますし、私もそれほど違ったことは考えていません。リソースの集中投下が重要ですので、10大学も20大学も選ぶという話ではないと思います。
1大学1分野や1分野1大学と限ることも適切ではないと思いますが、さりとて例えば公募して各大学から出される提案に任せて、極端な話、どの大学も半導体を出してきたというのでは困るのではないかと思います。先ほどバックキャストという話もありましたけれども、国として将来に向けてどういう分野を育てていく必要があるのかという全体のポートフォリオを考えて選ぶという視点も必要ではないかと思っております。
それから、分野を限定することは重要なのですが、それが支援の縦割りにつながらないようにしていただきたいと思っております。以前の会合でも申し上げましたけれども、実際に企業が連携するときには、今一つのビジネスをするにも多様な分野が関わってきますので、学内だけでも他の分野との連携が必要ですし、必要があればほかの大学や国研など学外のリソースとの連携もぜひ積極的にやっていただきたいと思っていますので、選定された分野のものだけしか支援の対象にならないといった縦割りにつながるようなことにはならないようにする必要があると思います。
それから、政府支援の話ですけれども、横の支援とおっしゃっている体制の強化は、先ほど申し上げたように産学連携を円滑に進めるための学内の体制の整備にぜひ手厚く支援していただきたいと思います。
それから、分野単位の支援についてです。共同プロジェクトという言葉も大分出てきているので、杞憂かもしれませんけれども、あえて申し上げたいのは、民間も大学もコミットメントして、一緒にやるところが重要なのですが、その割合、度合いはやはりグラデーションがあると思っています。基礎に近いところや協調領域など、どちらかといえば政府のほうが多めにリスクを分担するほうがいいところと、出口が近くて、極端な話、政府支援がなくても、企業が大型の資金を投じて共同研究できるようなところもあります。
科学とビジネスの近接化といいますけれども、そうはいっても分野によって基礎のところから企業が一気にお金を投じるところもあれば、なかなかそうはいかない分野もあると思います。ですので、分野単位の支援について、あまり固定的・硬直的なマッチングファンド方式を入れるといろいろ行き詰まるのではないかと思っております。
最後に、評価制度のところも皆さんおっしゃっているとおりだと思います。どなたかもおっしゃいましたけれども、経営改革の実行と研究の進展とはタイムフレーム的に分けて考える必要があるだろうと思います。
特に基礎の研究に短期の成果を求めるべきではない一方で、経営改革などはスピード感をもって断行していくという意味で、ある程度スピード感をもって評価していく必要があると思います。
それから、益委員や千葉委員がおっしゃっていた育てた人材の輩出先や活躍も評価すべきというところは大いに賛成でございます。産業界にとっても重要なアウトカムだと思いますので、賛同させていただきたいと思います。
以上です。
【大野座長】 どうもありがとうございました。
それでは、オンラインから江戸川委員、お願いいたします。
【江戸川委員】 ありがとうございます。江戸川でございます。
最初に16ページから一つ一ついきたいのですけれども、分野ごとの選定大学数の観点については、記載のニュアンスは同意なのですが、やはり競争がなくなるとよくないので、場合によっては途中で打切りということもあり得るという観点からは、複数は選定しておいたほうがいいのだろうという感覚は持っております。
続いて2点目、選定主体、連携の観点ですけれども、連携することは当然合理性があるはずなので、大学群として選定されるべきなのだと当初思っていましたが、今回は単体の大学を選定するという方向になっているということで、考えてみるとそのほうが複雑なガバナンスの問題や経営や運営の問題が出てこないので、それがいいかなと思っているところですので、これで特に異存はないところです。
それから3点目ですけれども、大学ごとの認定分野数の観点ということですが、皆様からも御指摘がありましたが、大学の規模とか経営力、体力によって当然差があるということですので、何か制限を設けるというよりは、そうした運営が実行できるのかどうかという観点をしっかり審査する。場合によっては、執行側の体制を切り分けた上で、それぞれが独立した認定を受けた主体としてきっちり動けるのかどうかというところを見ていくことでカバーできると思います。逆に、そういった体制を取るのが難しい規模の大学の場合は、それほど多くの採択はできないということになってこようかと思います。
お示しいただいた論点に関してはそんなところなのですけれども、私から一つ提案がありまして、先ほど上山先生から40から50の研究大学群が見えているというお話がありましたが、恐らくまだ表に見えていないものも含めるとそれ以上の候補はあるのだと思います。そうしたところが今回採択を受けるために動くと考えたときに、私は国際卓越研究大学制度に関与していませんが、客観的に見えていたところでは、結局分厚い申請書を書けるところが勝つという状況になる可能性もあるというのが一つの懸念で、そういった体制を今十分に備えているところが有利になるというのは、必ずしも合理的ではないと思っております。
スタートアップのアクセラレーションプログラムなどでよくやるのですが、少しのお金を出して3か月や半年走らせてみると、しっかりできるチームなのかそうではないのかというのは分かってくる。例えば最初は少し簡単な提案で多めに採択をして、どれぐらいの期間かというのはまた議論があるところだと思いますが、例えば1年以内で走らせてみて、そこでいろいろな企業等を巻き込むという活動も含めて進めていった結果として、本番の申請書を出していただいて、最終的な採択先を決定するという2段階で評価していくといったスクリーニングをかけていく仕組みがあってもいいのではないかと思ったところです。
最後に1点だけ、政府に期待することとしては、かつて産官学連携ガイドライン追補版で議論した知の価値づけのところが、いまだに大学もいろいろな運用があって、企業から見て透明性があり、大学から見てしっかりサステナブルな収入を得るところに対価設定がまだ行き着いていないところがあると思いますので、こうした政策を実行する前に、政府として考え方や在り方を固めて発信する、提供することがあると、より良い形での連携ができるのではないかと思ったところでございます。
以上です。
【大野座長】 ありがとうございました。
それでは、御発言があれば関係省庁からの御意見も頂きたいと思います。上山参与、お願いいたします。
【上山内閣府本府参与】 ありがとうございます。
選定ということが議論に上がるとなって、いろいろ考えることがありました。まず申し上げたいことは、今回の産業競争力に関する大学の問題の背後には、17領域と言われている我が国の成長戦略があるということだと思います。ということは、ステージゲートも含めて評価の対象は、それをやった大学だけではなくて、政策そのものがうまくいったかどうかということも、やがて評価にさらされるだろうということをまず考えなければいけないということだと思います。
選定に関して少し考えたのですが、恐らくは2つの選択があるだろうと。一つは、どこかの基幹大学を選び、そこにある程度のある領域の成長戦略まで踏まえたような研究開発をするというミッションを与え、そしてそれがいろいろな大学との連携の中で絵を描くというパターンです。
もう一つは、ある領域ごとの明確な研究開発戦略を選定する側が持ち、きちんとした知見に基づいて、どのようなアウトカムが生まれる可能性があるかということをきちんと明記し、大学を選んで動かしていくというものです。この二つがあるのだと思います。
これは産業競争力ですから、先ほど申し上げたように個社の経営戦略がきちんと合致してつながらなければならない。私も政府に入ってからいろいろなことをやってきましたけれども、企業は競争領域と協調領域と分けて、協調領域ではデータすらそれほど出さない。ましてや競争領域に入った途端に、個社の経営戦略上極めて重要な情報はできればあまりシェアしたくない。これが基本的に我が国の企業の体質ですから、ここで考えられるべきことは、川上の研究開発が企業の競争領域にまで踏み込むようなインボルブメントを求めなければいけない。つまり、経営戦略上重要なディシジョンがそこで行われるということを大学側とシェアすることが求められるということだと思うのです。
その視点から見たときに、少なくとも私が知っている限り、単体としての大学にそこまでの政策上のアウトカムを引き受けるような大学は私には現状で存在するとは思えない。なにも大学が悪いと言っているわけではなくて、幾つかの背景があります。このような産業界との関係において、大学が物事を動かしていくだけの事務局が存在するのか。プロフェッショナルな事務局がいて、産業界ときちんと対話ができるのか。対話し始めた瞬間に、産業界側は、こういう事務局がパートナーだったら話はできないと言って退いていく。つまり、それだけのプロフェッショナルな事務局が育っているかというと、現在はまだ大いに疑問があります。
また、大学の戦略上、これを引き受けてやるだけのきちんとした情報を持っているかというと、これもかなり怪しい。ましてや連携をやるとなったときに、連携の他大学の情報も全て引き受けて、単体の大学がそれを動かしていくだけの本部の力があるようには少なくとも現状見えない。さらにいうと、企業との共同研究に関していうならば、必ず出てくるのが知財の問題ですけれども、知財をどこまで共有するのか。企業との間のそれほど強い交渉力を持っている大学が存在するようには見えないということです。
2番目の論点は、自分自身も関わった地域中核・特色ある研究大学の反省でもありますけれども、あそこの中では結局25大学を選びましたが、多くの大学は連携の大学を持っているのです。連携するということは、悪いことではないと思いましたけれども、連携したことによって、選ばれた大学が最終的な連携効果のアウトカムを出しているかどうかはかなり精査しなければいけない。
その意味で求められるべきことは、17領域の経済成長に資するストーリーの中で、どのような大学の連携群を政府として選んでいくかという視点だと思います。だとすれば、対象となり得るのは恐らく10~20校ぐらいかもしれませんが、それぞれの大学が持っている研究シーズをきれいに見て、それを政策上のテーブルに置いて、その中で○○の研究シーズは17領域の中のどこに関わっているのかという絵を行政側が描かなければいけない。
それはなかなか大変な仕事でありますけれども、それをやらない限り、今回の産業競争力に資する大学群の政策が、17領域の経済成長にきちんと貢献していますと言い続けることができるのか、また、それを政策の評価の対象となったときに耐えられるのかという気がいたします。
ですから、選定の在り方そのものから最終的な評価に向けてのストーリーをつくっていかなければ難しいのだろうと思います。企業を相手にするとなった瞬間に、従来の大学支援の形とは全然違う要素が入ってくる。とても難しい企業のインボルブメントをここに入れていくということは、それを個別の大学でやりなさいと言ってもやれるような体力を持っている大学はあまり知らないです。
したがって、その仕組みもつくらなければいけないし、そのような支援もしなければいけないし、大学の仕組みを産業界とのインボルブメントに向けて大きく変えていく仕組みもここの中に入れていかなければいけない。それぐらいの大きな画期的な政策の座組だと思いますから、ぜひとも経済産業省と文部科学省の間でタッグを組んで、最終的なミッションをコンプリートしてほしいと強く思っております。
以上です。
【大野座長】 ありがとうございました。
ほかにいかがでしょうか。オンラインから宮園議員、お願いいたします。
【宮園CSTI議員】 どうもありがとうございます。
皆様にいろいろコメントいただきましたので、特に追加することはございませんが、あえてCSTIの立場から申しますと、先ほどから戦略17分野が話題となっています。
一方で、第7期の科学技術・イノベーション基本計画におきましても、17の重点的な分野を出しておりまして、これはかなり手厚く産学連携を一気通貫で支援するというものです。例えば研究開発税制の優遇といったことも着々と進んでおります。ですので、戦略17分野とマッチしておりますけれども、この仕組みもぜひ取り込みながら進めていただきたい。
特に17分野の中で国家戦略技術領域6分野、AI・先端ロボット、量子、半導体・通信、バイオ・ヘルスケア、フュージョンエネルギー、宇宙は、全体として何らかの形でカバーできるように御検討いただければと思います。これは、もちろん国際卓越研究大学やJ-PEAKSの大学がこういった分野をやられると思いますが、ぜひ新しいプログラムでも御検討いただければと思います。
私からは以上です。
【大野座長】 ありがとうございます。ほかにはいかがでしょうか。よろしゅうございますか。
それでは、本日御欠席の鮫嶋委員の意見書を事務局から読み上げさせていただきます。
【宮崎室長】 時間も限られておりますので、抜粋しながら御紹介させていただきます。
まず、本大学群に期待される取組及び選定の在り方につきまして、産業競争力強化の観点からは、この領域で日本が勝つという政府のトップダウン的な視点を持った選択と集中が必要であり、大学にはこの分野に資源を集中させるという意思表示、選定する側には特定の分野に多くの大学が選定されるようなことがないようにする配慮を期待する。
また、大学と企業の関係を産業の将来像を共に議論するレベルへ引き上げる必要がある。認定大学には議論のハブとなる構想力と求心力を強化いただきたい。この観点から選定においては、産業シナリオを共有できる能力も評価すべき。
一方、企業には人材、資金、実証の場を提供しながら事業化を進める役割があり、認定制度においては大学の構想力と求心力、そして企業の投資、事業化能力が連動する仕組みが重要と考える。
次に、政府が果たすべき役割につきましては、産業競争力強化のボトルネックを解消する内容を支援対象とするべきである。ボトルネックは、大学ごとではなく分野ごと、産業の成熟度によって整理すべきである。その上で必要な支援を見極めて、内容に対して柔軟に支援できる制度設計とすることが重要である。
評価制度につきましては、共同研究の件数、金額等だけを重視するのではなく、産業競争力への貢献、人材育成、新たな研究、産業分野の開発、社会実装などを含めて幅広い観点から評価することが重要である。中でも人材育成は、産業競争力の基盤となる重要な評価項目として位置づけるべきである。
また、評価に当たっては、今後どのような計画で取り組み、どのような成果を目指すのかという将来計画の妥当性、実効性も重視すべきである。重点分野への資源配分、研究、人材育成、産業界との連携、社会実装等について、具体的な目標と計画を明確に示すとともに、その達成状況を評価する仕組みが望ましい。
また、一律のKPIではなく、各大学が設定する目標を基本としつつ、産業競争力への貢献という共通の評価軸で確認することが適切と考える。
以上でございます。
【大野座長】 どうもありがとうございました。
少し時間が押してまいりましたので、私からも幾つかコメントさせていただいて、その後でまだ時間があるようだったら絶対にこれは言って帰りたいという御発言を受けたいと思います。
私からは4点ございますけれども、もう既に議論されている点ではございますが、1点目は事業の目的です。国際競争は、既にエコシステム同士の競争になっている。つまり、国に閉じるだけではないのですけれども、エコシステム同士の競争になっていて、場合によっては産官学、あるいは軍まで入ってエコシステムを持っている国々もあります。そういうところと産業競争力で競争しなければいけない我々の立場としては、ここで大学の知と人材を産業競争力につなぐことで、さらに競争力を上げていくという役割があるのだと考えています。
2点目は、大学と企業のコミットメントです。大学には経営層が責任を持って重点分野への資源配分や研究成果の価値化などをできるようになっていなければいけませんし、企業との関係を自ら説明できる体制が必要です。そういう意味で、選定のときにもこういうところがチェックされるべきだと思います。同時に企業のコミットメントも求められます。その意味で民間の競争力への投資として、事業に参画しやすい形になっている必要があると思います。
企業に最初から10年、15年先までの固定的なコミットメントを求めるというのは現実的ではありません。そういう意味ではその部分においてはジョイントベンチャーをやっているようなイメージが適切なのかもしれません。つまり、継続する、拡大する、あるいは見直しをするということを双方の経営者が協議する場所が必要です。この仕組みを組み込むことで、産学連携が、あるいは産学融合と言ってもいいかもしれませんけれども、その分野で実現すると思いますし、これが先ほど話題にもなりましたレジリエンスということにもなるかと思います。事業環境が必ず変わりますので、それにどう対応するかということが重要なポイントだと思います。
次に3点目ですけれども、選定と評価であります。各産業分野において、世界から人材や産業界を引きつけられる、そして企業、国研、他大学などを巻き込みながら、産業と研究の発展をけん引できるかが重要ですので、それを見るということであります。
上山参与から現状に対するかなりかなり厳しい見解をいただきましたけれども、その中でもやっていけそうだということを選んでいく必要があります。そういう意味で今までの実績、ビジョン、あるいは経営層の体制、覚悟という曖昧な言い方をしていいかどうか分かりませんけれども、加えて産業界からの評価とコミットメントを見ていく必要があります。コミットメントを得るためにも、先ほどのコミットしやすい仕組みが必要だと思います。
加えて、継続的なモニタリングと対話を組み合わせるというのが評価のあるべき姿だと思います。事業環境が変わる中でいかに生き残って、さらに事業を発展させられるかというのは、国も企業もそうですし、本事業にコミットする大学にも、そうした経営が求められますので、計画を固定して守るというものではなくて、環境変化に応じた軌道修正をどのようにしてきたかというのが問われるべきだと思います。もちろん必要に応じて助言や支援の見直しを行う仕組みは重要だと思います。
政府の役割が第4点ですけれども、政府はこのような取組を後押しする資金面の支援とともに、産学の取組をさらに発展させられる制度上の仕組みを入れていただく必要があると思います。もっと平たく言うと、障害があるようなものについてはぜひお考えいただきたいです。調達に極めて時間がかかるWTOの問題であるとか、スタートアップだと大学にある設備を利用したときに、国研も同じですけれども、どこまで営利活動ができるのかという点は非常に曖昧な現状があります。現場での課題を具体的に整理するということはぜひ前向きにお願いしたいと思います。
もう1点は、民間資金の獲得や成果に応じて、次の支援が増えるという制度設計は、年度予算を扱う上では難しいわけです。国際卓越研究大学は10兆円のファンドがあるのでそういうことができます。提案に書いたことができているかどうかということをチェックして、場合によっては打切りだというのではなくて、よりうまくいったときにはもちろん企業からのリターンもある設計にすべきですし、そうなると思いますけれども、国としても次の支援が用意されているということが極めて重要な制度設計のポイントかと思います。
あとは、エコシステムの競争なので、立てつけとして産業競争力に寄与すれば良く、前もいろいろなところでお話ししましたけれども、デマケで応募させないということはないようにしていただきたいと思います。
ただ、国際卓越研究大学制度は特別な支援スキームなので、あそこの基盤的なところは手当てされていると思っていいと思いますけれども、例えばJ-PEAKSに既に選ばれているから、ここは違うのだということではなく、我が国の産業競争力に資するものは、全部まな板の上に乗せるという格好で考えるべきだと思います。
ということで、これから具体的に落とし込んでいく必要がありますけれども、皆様と今後とも議論を重ねて、実効ある制度の実現につなげていきたいと本ワーキンググループの座長として思います。
ほぼ時間になりましたが、先ほど申し上げましたように絶対これは言って帰りたいということはございますか。
それでは、本日は皆様から貴重な御意見を頂きました。ありがとうございました。皆様から頂いた意見などを踏まえて、第4回以降のワーキンググループでは、さらに深い議論をさせていただければと思います。
閉会に当たりまして両省の局長から御挨拶を頂きたいと思います。まずは、文部科学省科学技術・学術政策局の清浦局長より御挨拶を頂きます。
【清浦局長】 先生方、今日はありがとうございました。この事業の重要性と難しさをひしひしと感じた次第でございます。
様々な御指摘を頂きました。通底するところでは、やはりエコシステムを意識した制度設計をしなくてはいけないという点は共通していたかと思います。単にA大学とB企業の話ではなくて、成長戦略に資するエコシステムにどう貢献するかということかなと思ってございます。
私は、今日の議論を聞きながら、いま一度注意しておかなくてはいけないかなと思っていますのは、分野ごとという言い方を一口に言っているのですが、ここをもう1回丁寧にリビジットする必要があるということでございます。17分野は、非常にシャープに出口とつながっている分野もあれば、分野そのものが横軸的な分野もあると思います。
実際に世界のイノベーションのクラスタも、横軸の分野と組み合わさって違う分野に発展していく。最初は想定していなかった分野、例えばチップの研究をしていたのに、バイオとくっついてくるとか、いろいろな事例があって、そういうエコシステムがどんどん発展していくものを設計していかなくてはいけないというのが大事な点だと思いますし、それをつくらないと今の世の中のスピード感とリニア型ではないイノベーションの仕組みの中に追いつかないというのが迫られている命題と理解いたしました。
私からは以上でございます。
【大野座長】 ありがとうございました。
それでは、続きまして経済産業省イノベーション・環境局の菊川局長より御挨拶を頂きます。
【菊川局長】 本日はどうもありがとうございました。本日は内閣改造の日でもあり、遅参いたしましたことをおわび申し上げます。
本件は関係者全員が責任を共有して進めていくものだと考えております。
私もイノベーション・環境局長を務めて3年目に入りました。この1年ほどの間に、例えばスイスのETH、バークレーのライオンズ学長、NUSのタン学長、最近ではMITのコーンブルース学長ともお会いしてきました。なぜかと申しますと、これらの大学は、我々にとってライバルでもあるからです。こうした大学と戦っていくのかと思うと、身が引き締まるといいますか、心が折れそうになることもあります。
しかし、日本のアカデミアの基礎をつくり、こうした大学に勝っていくという観点からすれば、グローバルにどう戦うかを考えなければなりません。
私自身、AIを相手にいろいろと壁打ちをすると、例えば、ある分野ではどの大学が強いのかと聞いてみることがあります。残念ながら日本の大学が出てこず、今申し上げたような海外の大学が挙がってくることが多いです。もちろん、日本の大学が挙がる場合もございます。
そうした中で、どのように世界で勝っていくのか、そして、日本の産業界と大学が一緒になって、日本の産業競争力を高めていくのかということを考える必要があります。一方で、産業構造も変わっていくので、本日も様々な御議論がありましたが、大学や研究を取り巻く構造の変化と産業構造の変化をどのように結びつけていくかは大きな課題だと思っています。
いきなり産業界と大学を結びつける話をしているわけではありません。実はこれは前体制において、合田局長、西條局長らとともに、企業と大学を結びつけて人材育成をする「契約学科」という制度を進めてきました。次の段階として、科学技術・イノベーション基本計画の国家戦略技術領域の6分野を対象とした研究開発税制を整備しました。企業にとっては40%の税額控除、大学と連携する場合には50%の税額控除となる。これは前例のない控除率です。韓国にも同様の制度がある中で、我が国が競争に勝ち切るためにつくったものです。この制度を通じ、大学にある拠点を文部科学省と一緒に認定する制度を具体化する段階に入ってきました。本大学群制度により、いよいよ産業と大学でタッグを組んで、日本の産業競争力を上げるというところまでホップ・ステップ・ジャンプの形で進んできたわけです。
先ほど上山参与から、大学を起点として産業につなげていくのか、それとも産業政策を起点として大学を位置づけていくのかというお話がありました。文部科学省とも現在議論させていただいていますけれども、非常に重要な論点を頂いたと思っております。本日の皆様の詳細な御議論を踏まえ、しっかりと制度をつくっていく必要があると思っています。
また、今後のフロンティアに近い領域、例えば量子のような分野については、比較的政策の方向性を考えやすい面があります。一方で、現在の日本を支えている既存産業についても、AIをはじめとする様々な技術の進化を取り入れ、その基盤から生まれ変わっていかなければなりません。フロンティア領域と既存産業の変革の双方を、どのように進めていくかについても、非常に深い論点があると本日感じた次第です。
そうした中で、この制度を最初から一斉に本格実施するのは簡単ではないと思います。本日、江戸川委員から試行的に実施するという趣旨の御提案がありました。非常にありがたいアイデアである一方、現在の厳しい財政、マクロ経済環境の下で、試行的な取組に財政資金を用いることについて国民の理解を得られるか、そして何よりもそれだけの時間的な余裕があるかどうかといったところの厳しい環境も踏まえて、制度設計をしていく必要があろうかと思います。
今回は大学を対象として議論していますが、本日、大野座長からお話があったとおり、国研も同様の課題があると思います。私自身、産総研を担当しておりますが、国研における課題についても共通する点が多いと考えておりますので、同様に対応策を検討していきたいと思います。
本日は、貴重な時間を頂きましてありがとうございました。関係省庁の皆様にも御参加いただき、本当にありがとうございました。本日頂いた御意見を踏まえ、しっかりと対応してまいります。
【大野座長】 どうもありがとうございました。
それでは、最後に事務局から連絡事項について御案内をお願いいたします。
【宮崎室長】 本日は誠にありがとうございました。本日の議事録につきましては、事務局で作成しまして、関係者の皆様に御確認いただきます。
次回以降の開催につきましては、調整の上追って御連絡させていただきます。
【大野座長】 委員、そして関係省庁の皆様におかれましては、お忙しい中お集まりいただきまして、ありがとうございました。本日は以上で終了させていただきます。どうもありがとうございました。
――了――
科学技術・学術政策局 産業連携・地域振興課
研究振興局 大学研究基盤整備課 大学研究力強化室