情報委員会(第47回) 議事録

1.日時

令和8年5月12日(火曜日)16時00分~18時00分

2.場所

文部科学省東館17階 局4会議室 及び オンラインのハイブリッド形式

3.議題

  1. 理研AIPセンター10年の振り返りと今後の方向性
  2. 情報委員会(第46回)書面審議について(報告)
  3. 「HPCI(革新的ハイパフォーマンス・コンピューティング・インフラ)の運営」の中間評価について
  4. 海外公的機関におけるAI for Scienceを見据えた研究インフラ(プラットフォーム)の動向
  5. 「第7期科学技術・イノベーション基本計画」について(報告)
  6. 「AI for Scienceの推進に向けた基本的な戦略方針」および公募について(報告)
  7. 令和9年度情報科学技術関連施策の方向性(案)【非公開】

4.出席者

委員

相澤主査、尾上委員、湊委員、青木委員、天野委員、石田委員、大武委員、川原委員、川添委員、小林委員、中野委員、引原委員、星野委員、宮田委員、若目田委員

文部科学省

生田 大臣官房審議官(研究振興局及び高等教育政策連携担当)、阿部 参事官(情報担当)、栗原 計算科学技術推進室長、山本 学術基盤整備室長、
鈴木 科学官、込山学術調査官、國本 学術調査官

オブザーバー

理化学研究所革新知能統合研究センター(AIPセンター)杉山 将 センター長
国立情報学研究所(NII)中島 律子 上級学術基盤研究員
国立情報学研究所(NII)合田 憲人 副所長


 

5.議事録

【相澤主査】  それでは定刻になりましたので、科学技術・学術審議会情報委員会の第47回会合を開催いたします。委員の皆様におかれましては、お忙しいところお集まりいただきましてありがとうございます。
 本日も現地出席とオンライン出席のハイブリッドでの開催としております。また、報道関係者を含め、傍聴者の方はオンラインにて御参加いただいております。また、本日は理化学研究所AIPセンターより杉山センター長、国立情報学研究所より中島上級学術基盤研究員と合田副所長にオブザーバーとして御参加いただいております。どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、事務局側の出席者の御紹介や配付資料の確認、ハイブリッド開催に当たっての注意事項について、事務局よりよろしくお願いします。
【池田参事官補佐】  事務局でございます。4月から轟木の後任として着任いたしました池田です。以降、よろしくお願いいたします。
 新年度の人事異動等を受けまして、事務局側の体制に変更がございましたので御紹介いたします。
 まず、大臣官房審議官(研究振興局及び高等教育政策連携担当)として生田が着任しておりますので、一言御挨拶させていただきます。
【生田審議官】  ありがとうございます。ただいま御紹介いただきました生田と申します。4月1日付で研究振興局の担当審議官になったところでございます。
 私自身は1年前まで実は研究振興局にいたんですけれども、そのときと比べても、これだけAIが、今までの「あったら便利」から、「もうなきゃ困る」みたいなものになり、科学研究はそれが大前提で国際競争も進んでいるような大きな転換期にあると承知しております。そういった中で皆様方にも御議論いただいて、無事、戦略方針を策定させていただいたり、ARiSEの公募が本日開始ですとか、SPReAD 1000も先般公募を開始しておりますように、文科省としてもなるべくスピーディーにいろんなことをここまで進めてきたと思っております。より一層、この転換期にあるからこそ、政策の柔軟性とか、今までだったらこうじゃなかったよねみたいなところも含めて、情報科学技術政策の在り方自身も周りから注目されているんじゃないかなと思います。本日も、今後の情報科学技術政策の在り方を御議論いただくと伺っておりますので、ぜひ忌憚のない御意見を頂戴できればと思います。よろしくお願いいたします。
【池田参事官補佐】  続きまして、陪席いたします科学官・学術調査官の紹介をさせていただきます。
 まず、科学官の鈴木でございます。御発言可能であれば、御挨拶ください。
【鈴木科学官】  科学官の鈴木です。よろしくお願いします。まだ科学官になったばかりで不慣れなところがありますけれども、自分の持っている知識ですとかをこちらに生かしていきたいと思っていますので、これからよろしくお願いします。
【池田参事官補佐】  ありがとうございます。続きまして、学術調査官の込山でございます。
【込山学術調査官】  学術調査官の込山でございます。2期目になりますが、引き続きよろしくお願いいたします。
【池田参事官補佐】  続きまして、学術調査官の國本でございます。
【國本学術調査官】  千葉大学の國本と申します。よろしくお願いいたします。不慣れなことも多いと思いますが、よろしくお願いいたします。
【池田参事官補佐】  続きまして、議事次第に基づきまして配付資料の確認です。現地出席の方はお手元の配付資料を、オンライン出席の方はダウンロードいただいている資料を御確認ください。なお現地におきましては一部、大部の参考資料につきましては印刷しておりませんので、オンライン等で確認いただきますようお願いいたします。
 もし現時点でお困り事、不具合等ございましたらお知らせいただければと思いますけれども、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 続きまして、ハイブリッドの開催に当たりましての注意事項を申し上げます。まず、御発言時を除きまして、マイクは常にミュートとしていただけますと幸いです。また、ビデオは常時オンとしていただきまして、通信状況が悪化した等の場合にはビデオを停止いただければと存じます。
 また、運営の都合上、現地出席の方も含めて、御発言いただく際は「手を挙げる」ボタンを押してから御連絡ください。御発言される際は、お名前をおっしゃってから御発言いただけますと幸いです。また恐れ入りますが、マイクの数が限られておりますので、現地出席の方が御発言される際には大きな声で御発言いただきますようお願いいたします。また、傍聴希望をいただいた方にはZoomにて参加いただいております。
 また最後、不具合等が発生した場合は、現地出席の方は手を挙げていただきまして、オンライン出席の方はチャット機能ですとか電話等で事務局まで御連絡ください。
 事務局からの案内は以上でございます。
【相澤主査】  ありがとうございました。
 本日は7件の議題を予定しております。議事次第のとおりです。なお、議題7は令和9年度情報科学技術関連施策の方向性(案)につきまして議論いたしますが、科学技術・学術審議会情報委員会運営規則第5条第3条、参考資料1にございますが、こちらに基づきまして非公開とさせていただきます。
 それでは7つの議題のうちのまず議題1「理研AIPセンター10年の振り返りと今後の方向性」について、理研AIPセンター、杉山センター長より御説明を願います。
【杉山センター長】  杉山でございます。本日はお忙しいところお時間を取ってくださいましてありがとうございます。
 まず最初にこのAIPプロジェクト、10年という大変長い期間をいただいて、安定した環境で研究することができました。このような仕組みをつくってくださった文科省の皆様並びに情報委員会の皆様に心より御礼申し上げます。
 では、早速中身に入りたいと思います。次のページをお願いします。AIPプロジェクトは2016年度から今年の3月まで行いましたが、研究拠点として理研にセンターをつくりました。研究グループとしましては、汎用グループ、目的グループ、社会グループという3本柱で活動してまいりました。
 AIPの運営ビジョンとしましては、機械学習の技術を軸足に、基礎から応用・社会まで一気通貫の研究体制をしく。そして産学官で連携し、研究成果を国際的に発信する。さらに国際的な高度AI人材の登竜門を目指すということで活動してまいりました。
 次のページをお願いします。3つのグループの成果をざっと御紹介できればと思います。まず汎用グループですが、最先端の機械学習技術の原理を解明することを目指していました。また、既存技術では対応できない難問を解決しようということで、新たな技術を創出してまいりました。さらに、日本の機械学習研究の国際的な認知度を向上させるという目標を持ってやってきました。
 これらに対しましては、大雑把には、例えば深層ニューラルネットやトランスフォーマー、拡散モデルなどの最先端のモデルがどうして高い予測能力を持つのか、推論能力を持つのか、生成能力を持つのかということを数学的に証明することに成功してきました。また、スパース最適化、多段階最適化、超高次元最適化など、大変重要な問題になっていますが、これらに対する理論保証つきの最適化法をつくることにも成功しました。
 2番の新しい技術に関しましては、不完全な教師情報だけからでも学習可能な新しい技術であったり、データから因果関係を推論できる技術、さらには不確定性を考慮した大規模適応学習の技術などを開発してまいりました。
 そしてこれらの成果が評価されて、ICLRとか、AISTATSとか、ICCOPTといった主要な国際会議でAIPのメンバーが基調講演を行うことができました。また、それらの業績が評価されて、NeurIPS、ICML、ICLR、AISTATS、ISMPなどの主要な国際会議で理事や運営委員長等にメンバーが選出されました。
 次のページをお願いします。幾つか主要な成果の細かい話がここに書いてありますので、もしお時間がございましたら眺めていただければと思います。ここは飛ばさせていただきまして、次のページに行きます。
 次は2つ目の目的グループでございますが、2本柱で、AI for Scienceですね、AIによるサイエンスの研究の加速、あとは日本が抱える社会課題解決への貢献ということで活動してまいりました。
 大きく4つの分野で活動してまいりまして、まず医療AIに関しましては、割と早期の段階でNature CommunicationsとかNature Aging等に出る基礎成果が得られまして、それらを基にがんの再発予測やALSの超早期検知、アルツハイマーの多遺伝子機構を解明してまいりました。これらの一部が医療機器として無事に薬事承認されました。大変時間がかかりましたが、内視鏡AIの部分と胎児心エコーに関しましては無事に承認されましたので、今後、実際に企業も関わっていますので、製品をつくって、システムをつくって病院に納入していくところまで進めていきたいと思っています。
 防災・高齢社会に関しましては、理研が持っています「富岳」全系を使った地震シミュレーションを行いまして、計算防災基盤を確立しました。また津波のリアルタイム予測であったりとか、物理制約を持ったディープラーニングを使って地震の地殻変動を解析したり、さらには全球、地球全体をカバーする災害評価ベンチマークを国際展開したりしました。
 遺伝・バイオ分野に関しましては、科学発見の信頼性をちゃんと議論する。これは昔はいわゆる仮説検定という技術を使って、P値が5%以下ならば発見したとみなそうとしていたわけですが、今のデータドリブンサイエンスの時代では、同じデータを仮説の生成と仮説の検証に2回使ってしまいますので、いわゆる古典的な仮説検定はバイアスを持ってしまうんですね。それを正しく補正する技術をつくって、ICMLとかNeurIPSで発表してまいりました。また、2型糖尿病遺伝リスクや鬱病の脳回路、さらには骨関節症ゲノムの解析などを行ってまいりまして、これらは主要なジャーナルに論文を発表いたしました。
 最後、メディア・知識処理に関しましては、CVPR、NeurIPS、EMNLPなどの分野で発表していまして、例えば3次元の再構成・高速位置合わせの技術とか、記述式答案の自動採点の商品化を行ったりとか、あるいは結晶構造の推定、AIの作曲支援など、いろいろ行いました。
 次のページに行っていただきまして、この後2ページ分はまた目的グループの幾つかの成果のまとめがございますので、こちらももしお時間がございましたら眺めていただければと思います。
 次のページに行っていただきまして、最後、社会グループでございますが、AIと人間社会の持続可能な共生基盤を構築していこうということで、技術・倫理・経済・制度・文化の統合を目指してまいりました。
 いろいろな分野で研究してまいりましたが、まず技術に関しましては、セキュリティの分野と公平性・説明可能性の分野で、いろいろなセキュリティの防御法であったりとか、攻撃耐性の評価であったりとか、あとは公平性のいろいろ技術をつくってまいりました。
 その次が情報空間の健全性とデータ駆動型行政というところがありますが、こちらは現状の分析が中心になっていますが、偽情報による行動の回避であったりとか、生成AIによるデータの汚染の評価、ダークパターンの分析をしたりとか、あとは因果推論とかバイアス補正を使って政府の統計をうまく分析するといったことを行ってまいりました。
 最後、人間-AI共生設計、AIガバナンスの部分に関しましては、これは議論を行う部分になりますが、AIシステムの利用時の品質モデルをつくったりとか、人間中心のAIをどう設計するかといった方法論であったり、AIの責任・法的人格に関する議論を行ってまいりました。
 またもう少しグローバルに、EUのAIの法律の整合の標準化であったりとか、あとはパーソナルAI技術の普及、さらには認知的なオフローディング対策ということで、いかに情報をうまく共有するか、グラフ文書という概念でシステムをつくるようなことを行ってまいりました。
 次のページをお願いいたします。これがまたそれの幾つかの代表的な成果ですので、ここもちょっと飛ばさせていただきまして、次のページをお願いします。
 これはちょっと数字だけですが、一応やっぱりこのAIの分野、主要な国際会議でどれぐらい論文が通っているかが国際的にもベンチマークになっていますので、数が全てではないですが、これは2020年ぐらいから2026年までの主要な機械学習の国際会議での論文発表数と採択数を書いています。順調に増えていまして、ここ数年は40件、三十何件といったぐらいの数の論文が通っています。
 AIPの予算は10年間大体同じ額を安定していただきましたので、人数はそういう意味であまり変わっていないんですね。ですが、この2020年頃から26年までにかけて論文数が多分倍ぐらいには増えていますので、同じ人数ではありますが、研究員の質を高めることによってたくさん論文を通すことができるようになったのが一つの評価かなと思っています。
 またそれ以外にも、スポットライトやオーラルといったトップ1%2%みたいな採択も一定数出てきていますので、数だけではなくて、インパクトに関しても一定の評価が得られていると考えています。
 次のページをお願いいたします。評価されたという意味では、そもそもAIPにいるメンバーが国際的に認知されているのかが重要な尺度かなと考えていまして、例えば主要な国際会議のボードメンバーですね、これは私ばかりで申し訳ありませんが、ICMLとNeurIPSという2つの大きな会議のボードメンバーを出し、NeurIPSは既に終わっていまして、ICMLは今始めています。ACMLは私がつくった国際会議ですが、それのボードメンバーをやっております。あと、主要な国際会議のジェネラルチェアも、AISTATSでEmtiyaz Khanさんがジェネラルチェアになったり、あと乾さんがEMNLP-IJCNLPでジェネラルチェアをされたり、私はNeurIPSのジェネラルチェアを2016年に行っています。
 もうちょっと実務的なプログラムチェアのほうも、AISTATS2025にEmtiyaz Khanさん、ICLR2024もEmtiyaz Khanさん、AISTATS2019が私という感じで、主要な国際会議で委員長を務めることができています。
 あと研究の評価としましては、キーノートとかプレナリーが一つの尺度かなと思いますが、先々週行われたAISTATS2026で鈴木大慈さんがプレナリートークを行いました。私はICLR2023でプレナリートークを行いまして、その他たくさんありますが、主要なところでもメンバーが呼ばれたということで、これは一応客観的に国際的に評価されたあかしかなと理解しています。
 次のページをお願いいたします。サイエンスの部分に関しましては、論文の数を増やそうとしているわけではないですが、Nature、Nature Communications、Nature Geneticsといった主要なジャーナルに幾つか論文が出ていまして、また、下のほうに国際的な受賞も幾つかありますが、AISTSTSのBest Paper Awardとか、ICLRのOutstanding Paper Awardとか、ACLのOutstanding Paper Awardといった、主要な国際会議で本当にトップ・オブ・トップに選ばれた論文が幾つか出ているところは誇れる成果かなと思っています。
 次のページをお願いいたします。人材に関しまして、やはり非常に出入りの多い分野でして、AIPで百数十名ぐらい大体人を雇用している感じですが、毎年二、三十名が転出していく状況ですので、二、三十名を採用して二、三十名が出ていくような感じでこれまで回してきています。昨年度末までに224名が輩出されていまして、若手が中心なのであまり高いポジションにいる人はたくさんいないですが、教授も数名出たり、准教授も何名か出たりしていまして、あと、海外のたくさんの大学にポスドクがアシスタントプロフェッサーになるケースが出ています。
 転出に関して2025年だけ、一番右下のグラフの部分で大きく増えているんですが、これは10年プロジェクトの最後の年ですので幾つか終了したチームがありますので、そこのメンバーが転出したことで2025年だけ増えていますが、また26年度から新しく雇っていますので、全体の数としては変わらないような状況になっています。
 では、次のページをお願いいたします。今後の話をこれからしていきたいところですが、10年間という安定した期間をいただいて基礎研究に軸足を置いてやってまいりましたが、新しい、新開拓の必要性を感じています。科学研究としての機械学習の本質の理解とアルゴリズムの構築は本当に必要なことだなと思っています。この数年でもう生成AIが出てきて、AI分野のパラダイムも一気に変わった気がしますが、やっぱりその中でも変わらないものが明らかにあるのは、10年の研究を通して幾つか分かってきています。その部分の追求はある意味10年前から既に始めている我が国の強みの一つであるかと思いますので、そこを国際的に戦えるように強化していく必要があるかなと感じています。
 また、科学研究の強化は日本において非常にやっぱり強みのある分野だと思いますので、特に理化学研究所も物理とか化学とか医学の研究をたくさん行っていますが、そういったドメイン指向のAI技術を開発していくことが重要かと思います。その時に特に物理世界のAIというものもやっぱり非常に、フィジカルAIという名前で既に我が国でもたくさんプロジェクトが立ち上がっていますが、ここは強みのあるところですし、AIPセンターそのものはもうちょっとベースのAI技術のほうが主体にはなりますが、そこにしっかり我々が貢献していくことが今後ますます重要になっていくだろうと考えています。
 あと人材に関しましては、この10年を振り返ると、やっぱり情報系の日本人の学生がドクターに行くケースが残念ながら全然増えていないのが実情です。今後少子化で子供の数も減っていくでしょうから、その部分が大幅に改善することは難しいかなと感じるのが正直なところであります。
 一方、国際的な研究拠点としてどんどんいい人材を集めてきて、AIPを登竜門として我々のところで活動して、世界で活躍してもらうという活動は割とこの10年うまくいきましたので、これはぜひ続けていって、我が国の研究所を経由して優秀な人材が世界に散らばっていく。場合によっては、一部の人は戻ってきてもらうようなことができれば今後につながるかなと思っています。
 あと、理研の中に今いますので、理研内のほかのセンターや領域との連携を促進していこうということで、特にAI for Scienceの部分は理研の中で行う価値が非常にあるかなと思っていますので、この辺に力を入れていく必要があるかと思っています。
 これらのことを踏まえまして、グループをこの4月から再編しまして、第2期のAIPとして再編しまして、マセマティカルインテリジェンス、ドメインインテリジェンス、フィジカルインテリジェンスという3つのグループをつくりました。
 次のページをお願いします。これがその3つのグループの絵ですが、マセマティカルインテリジェンスの部分はこれまでの汎用グループの発展系ということになりますが、最先端の機械学習技術の数理的な原理解明と、高信頼機械学習の新概念をつくっていこうということで、これは引き続き私がグループディレクターを務めています。
 ドメインインテリジェンスに関しましては、科学や産業などのドメインに特化したAI技術をつくっていくということで、特に科学のほうが今軸足を置いていますが、これは引き続き上田さんがこのドメイングループのグループディレクターを務めています。
 3つ目、新設されたのがフィジカルインテリジェンスでして、物理世界の多様なデータに対応した実用的なAI技術をつくっていこうということで、もともとチームディレクターをしていた原田さんにグループディレクターをこの4月から務めてもらっていまして、今、外部資金の獲得を目指しているところです。
 この3つのグループが連携しながら研究を進めていこうということでやっています。
 この10年が終わりまして、今後としてはやっぱり人材の若返りも非常に重要かなと思っていまして、このリーダー格は、そもそも構想をつくったのがもう二、三年前ですので、当時のメンバーでスタートはしているんですが、今後理研の中長期期間がこれから6年間ありますので、その間にちゃんと次世代のリーダーを中でしっかり育成して、次につながるようにしていきたいということで、この4月からそういう活動も理研の中で行っています。
 これで時間が来てしまいましたのでここで終わりにしようと思いますが、各3グループの細かい研究の目標の説明は次のページ以降に書いてありますので、そこももしお時間がございましたら見ていただければと思います。
 以上で終わります。どうもありがとうございました。
【相澤主査】  杉山センター長、どうもありがとうございました。
 それでは、ただいまの御説明を踏まえましてもし御質問や御意見などがございましたら、1件か2件お受けしたいと思いますが、いかがでしょうか。オンラインで御参加の方、もしありましたら挙手にてお知らせください。現地参加の方はリアルな挙手でお知らせいただければと思いますが、いかがでしょうか。お願いいたします。
【小林委員】  東北大の小林と申しますが、どうもありがとうございました。大変すばらしい成果を上げていらっしゃることを理解しました。
 一つお聞きしたいんですが、この研究グループの汎用・目的・社会という3つから構成されているということで、汎用は広く基盤的な技術かと思いますが、この汎用をベースに、例えば目的・社会・ドメイン指向の研究との連携によって何か新しい成果が生まれたとか、そういうことはあったのでしょうか。
【杉山センター長】  ありがとうございます。技術の面ではある意味完全につながっているところでして、汎用グループがつくった技術はドメインに特化しない、入力がXで出力がYでというようなレベルで研究をしていますが、それが実際に目的グループのほうに行ったときには、入力Xが医療画像でYが病気の診断であったりという形で、具体的なドメインの知識を入れることでアルゴリズムをさらに洗練化させていくということで、お互いに研究が発展しているところです。
 逆方向の矢印も結構ありまして、現場のほうからやっぱり必要な技術が組み上がってきますので、それをまた汎用的な枠組みに持ち込んで新たな研究を開始するといった、こういったエコシステムがこの10年うまく回ってまいりました。これは社会系のほうも同じでして、やっぱりセキュリティとか信頼性とかの問題、最終的には数学的な問題に落ちますので、汎用グループの技術とうまく融合しながら研究していくことがこれまでもずっと進んでまいりました。
【小林委員】  ありがとうございました。そういうシナジー効果が発揮できたところをもう少しアピールされるとよろしいのかなということも感じました。
【杉山センター長】  ありがとうございます。
【相澤主査】  それではオンラインで御参加の川添委員、よろしくお願いいたします。
【川添委員】  ありがとうございます。杉山センター長、ありがとうございます。私がちょっと御質問したいのは物理世界AIの展開の話です。フィジカルインテリジェンスもそれに当たると思いますが、この新しいAIにおいては、私の認識だと、今までラージランゲージモデルなどで扱ってきたデータと違って、場合によってはトランスフォーマーを超えるものになるかもしれないし、超えるものが必要かもしれないと思うんですよね。ゲノムのモデルなんかはスタンフォードユニバーシティーがHyenaという新しいモデルアーキテクチャを研究したりしてデータの特性によってトランスフォーマーを超えるものが必要になってくるような事態になっていると思うんですけれども。そんな形で新しいモデルアーキテクチャも含めて研究するようなことは今計画されているんでしょうか。
【杉山センター長】  ありがとうございます。まさにそこがターゲットになっていまして、トランスフォーマーで時系列予測的な解析をするのはやっぱり一列に並んだものが得意なので、そうでないところにはうまくいかないことがありまして。今、ビジョン、ランゲージ、アクションのVLAモデルなどがロボットの世界で結構使われ始めていますが、やっぱりこれが今の段階では全然汎化しないですね。なので、オートリグレッシブ的な予測ではなくて、もうちょっと多分ディフュージョン的に同時にやるようなアプローチもありますし、また新たなアーキテクチャもいろいろ検討されている段階ではありますので、その部分でも何とか国際的に目に見える成果を出せるように今後やっていきたいと思っています。
【川添委員】  ありがとうございます。新しいモデルアーキテクチャを研究するに当たっては、必ずしもAI for Scienceだけじゃ私は足りないと思っていまして、逆にScience for AIですよね。やっぱりサイエンスで導いてきた真理・真実をうまくAIのモデルアーキテクチャに適用していくようなことを進めていかないと、ちょっとそういうところまで至らないのかなと思うんですけれども。
【杉山センター長】  ありがとうございます。ちょっとScience for AIという言葉がいろんな含みがあってなかなか使いにくい言葉ではあるんですが、理研の中で実はまさにそういう議論をしていまして。理研の中でTRIPというプロジェクトが立ち上がっていまして、そこでいろんな分野をまたいで研究しようと、トランスフォーマティブなリサーチをするというグループなんですが。そこでまさに逆方向ですね、Science for AIの研究をしていこうということで、既に内部的には数学とか、物理とか、脳科学とかの人たちが入った新しい議論が始まっていますので、そちらのほうからも何か新しい芽が見つけられないかなということで、積極的に探索していきたいと思っています。
【川添委員】  ありがとうございます。以上です。
【杉山センター長】  ありがとうございます。
【相澤主査】  ありがとうございました。それではこちらで一旦質疑は終了といたしましす。杉山センター長、どうもありがとうございました。
【杉山センター長】  どうもありがとうございました。失礼いたします。
【相澤主査】  続きまして議題2に移ります。書面審議として実施した第46回情報委員会の結果を報告いたします。事務局よりよろしくお願いいたします。
【池田参事官補佐】  資料2-1、2-2に基づきまして御説明いたします。前回の第46回の委員会では、2026年1月14日から1月20日にかけまして、情報分野の研究開発プランの案の変更に伴うもの、及びAI for Scienceによる科学研究革新プログラム事前評価票、今で言えばSPReAD、ARiSEとなっておりますけれども、これについて書面審議をお願いしておりました。
 審議結果はメールにて御連絡させていただいておりましたけれども、いただいた御意見を踏まえまして、1月23日に相澤主査御一任で、資料1、2のとおり、情報委員会決定としております。その後、1月26日に開催された研究計画評価分科会へ提出させていただきました。
 以上です。
【相澤主査】  ありがとうございます。研究計画評価分科会での議事も無事に終了ということで、皆様、書面審議への御協力をありがとうございました。
 続きまして議題3に移ります。「HPCI(革新的ハイパフォーマンス・コンピューティング・インフラ)の運営」の中間評価に当たっては、第13期研究計画評価部会における研究開発課題の評価について、こちらは参考資料4となりますが、こちらに基づきまして、利害関係者の方は審議に参加できないこととなっております。事前に利害関係の有無について確認いたしましたところ、委員の皆様はいずれも該当がございませんでしたので、このまま議事を進めさせていただきます。
 それでは、「HPCIの運営」の中間評価について御説明をよろしくお願いいたします。栗原室長。
【栗原計算科学推進室長】  計算科学推進室長の栗原でございます。
 資料3「HPCIの運営 中間評価票(案)」に基づきまして御説明させていただきます。本件につきましては、既に本年3月5日に開催されましたHPCI計画推進委員会第68回の会合におきまして、HPCIの運営状況、利用促進、また成果創出、今後の方向性等につきまして、本日御出席いただいております合田先生も委員として御参画いただきまして、HPCI計画推進委員会にて専門的観点から既に一度御審議いただいて、この中間評価票案を作成しております。本日、そちらの別委員会での審議も踏まえまして、情報委員会として中間評価票案を御確認いただきたいというものでございます。
 資料3の1ページ目にございますとおり、本件は、令和4年度から8年度までを事業期間とするHPCIの運営について、令和8年2月時点までの取組状況を踏まえまして中間評価を行うものでございます。
 事業の目的としては、HPCI、すなわち革新的ハイパフォーマンス・コンピューティング・インフラ、スーパーコンピュータ「富岳」を中核としつつ、国内の大学・研究機関等が保有するスーパーコンピュータやストレージネットワーク、こちらはSINETも一体的に活用して、多様なユーザーニーズに応える共用計算基盤を確立するものでございます。
 1ページ目の下から2ページ目にかけまして、機能とか、実施機関、また資源提供機関の記載がございます。単に個々の計算機を運用するということではなくて、2ページ目に各資源提供機関の一覧もございますが、我が国全体として計算資源、ストレージ、認証基盤、利用支援、また課題の選定や成果公開等を組み合わせた、HPCIとしての、研究者や産業界の利用者が円滑で高度な計算資源を活用できる環境を整備することを目的としているものでございます。
 2ページ目の下に評価項目という欄がございますが、こちらの評価に当たりましては、第1に安定的かつ利便性の高い運営体制、第2に産業界を含めた利用者・利用分野の拡大、第3に加速部の対応を念頭に置いた、こちらはGPU等をイメージしておりますが、利用者の支援、第4に成果創出及び成果の利活用という観点での確認をしております。
 それぞれについて4ページ目から詳しく記載しております。1点目の利便性の高い運営体制でございますが、HPCIはRIST(高度情報科学技術研究機構)を代表機関といたしまして、国立大学、国立研究開発法人等の計算資源提供機関と、NII(国立情報学研究所)、理化学研究所、東京大学、筑波大学など複数の関係機関が連携して運営されているところです。認証基盤、共用ストレージ、課題の選定、利用者の管理や窓口や支援といった機能を分担しながら、全体としての運営が行われております。
 特に令和6年度までの間の不正アクセスが発生しておらず、また迅速な原因究明とか復旧対応もなされており、共用ストレージに関しても東西2拠点で100ペタバイト弱のストレージを整備しまして、データ保全またサービス継続を図るような仕組みにして、またデータ利活用基盤としての高度化が進められております。また、計算資源に関しても、理研のHOKUSAI BigWaterfall2の追加など、拡充も継続的に行われているところでございます。
 2点目が産業界を含めた利用者・利用分野の拡大でございますが、利用者が1月時点で3万2,600人でございまして、令和2年時点では1万3,600人でございましたので、非常に大きく拡大しているところでございます。産業界利用者に関しても3,200人から8,000人で、増加しております。利用制度に関しても、HPC経験の豊富な、スパコン経験の豊富な利用者による利用だけではなく、初心者向けの試行課題であるとか、また成果専有を希望する方向けの産業有償課題であるとか、また随時募集の枠組みもございます。多様なニーズに対応する枠組みとなっております。また、AI/データサイエンス分野を重点分野として位置づけることもこちらに書いてございますとおりです。
 5ページ目に参りまして、利用環境の面では、従来方式の認証基盤の安定的運用を続けてまいりましたが、さらにOAuthを用いた新方式への切替えを実施いたしまして、安全性とともに利便性の向上が図られております。HPCIのポータルサイトのリニューアルであるとか、ユーザー支援システム、また窓口とかヘルプデスクに関しても改善を進めていることも書いてございます。
 また3点目、加速部対応を念頭に置いた利用者支援と書いておりますが、近年、AI for Scienceの進展に伴いまして、GPUをはじめとする加速部の利用が進んでおります。HPC単独の分野でもGPUの整備、その活用がHPCIの各資源提供機関でも進んでいるところでございます。HPCIにおいてもこの高度化支援を令和6年度までに16件の実施、またMPIとかOpenMP、OpenACC、GPUプログラミング、チューニング技法等に関する講習会を40回開催しておりまして、743名の出席者のうち4割は企業の方だということも書いております。これはアカデミアのみならず、産業界における普及拡大にも寄与しているものだと考えます。オンライン講習会は非常に数を増やしまして、年10回に増加させ、また未経験者向けの実習等も実施しているところでございます。
 4点目、成果創出・成果の利活用でございますが、HPCIを活用した研究成果は、材料とか、生命科学分野であるとか、ものづくり、地震、防災、気象など、多様な分野で使われているわけですが、6ページ目からこちらにそれぞれの分野を挙げています。
 例えば材料分野では高分子の力学応答の分子レベルでの解析。樹脂とかゴム材料設計等です。
 また生命科学分野では、1億原子規模に至るまでのMD、分子動力学の計算であるとか、また実験データとの統合や機械学習との連携等を進めているところでございます。
 地震、防災等の分野でも、能登半島地震などを対象にした高精度のシミュレーションを行いまして、耐震設計とかリスク評価、プラントや橋梁とか産業設備、ものづくり関係にも非常に応用が進んでいるところです。
 気象分野に関しましては、レーダーのデータとか再解析のデータであるとか、様々な非常に本来統合的に扱うのが難しい部分も含めまして、豪雨とか、線状降水帯、台風等の解析・検証等を進めています。これはいずれも実験や実空間での再現が困難なものをこの多様な計算資源で進めたところになります。
 以上を踏まえまして、最後になりますが7ページ目の中段から、本評価票案では本事業を高く評価できると書いておりますが、まず、必要性に関して7ページ目に書いております。「富岳」を中核としつつ、多様な計算資源を高速ネットワークで接続して、そして我が国唯一の重要な研究インフラとして、AIとか、AIとシミュレーションの融合、データ駆動型研究、研究DX等の進展を踏まえて、必要性はさらに高まっていることをこちらでも書いています。
 8ページ目に参りまして、有効性に関しましては、HPCIを通じまして多くの優れた成果が先ほど御説明したように出ておりますが、またRISTとの連携、HPCIコンソーシアムとの連携、各資源提供機関との連携によって、我が国全体でのニーズと計算資源のマッチングが行われて、その仕組み自体が現時点まで有効に機能していることも書いてございます。
 そして8ページ目の下から効率性を挙げておりますが、特にアプリケーションの高度化の支援、加速部への対応等も通じて、講習会や、またポータルサイトの運営、成果公開のデータベースもございます。そちらも効率的に進めている。そして効果的に、諸外国の調査等も踏まえながら、資源配分も有償利用等に関しても効率的に運営されていることを書いてございます。
 そして最後に、これを踏まえた今後の研究開発の方向性をまとめていますが、9ページの下にありますとおり、本課題については「継続」としたいことをこの案で書いております。その理由として、その下に書いてございますが、本事業が我が国の科学技術・学術研究を支える基盤として安定的に運営されていて、また利用者数とか産業利用に関しても拡大し、幅広い成果創出につながっています。
 一方で、今後はAI for Scienceの本格化等、様々な課題もございます。次の10ページ目にわたっても書いてございますが、GPU等の加速部の利用拡大、研究データの大規模化とか、新たな利用者の拡大もございます。その他というところにもありますが、そのため、文部科学省のワーキンググループでも議論されているような「次世代計算基盤を見据えた今後のHPCIの運営に係る検討を踏まえた対応策」というものもございます。こういった議論も踏まえ、引き続き、HPCI共用計算資源を利便性高く、効率的・効果的・安定的に提供するとともに、人材育成も含めて異分野連携、また産業利用の拡大も含めて進める必要があると。さらにこの辺りに取り組んでほしいという視点での評価を書いております。
 HPCIの利用環境高度化、ユーザビリティーの向上とともに、HAIRDESCという新しい「次世代HPC・AI開発支援センター」も設置されている点も含めております。こちらの取組と緊密に連携することによって、我が国全体の科学技術計算基盤としての一層の発展につながることが期待されると書いております。
 本件は既に3月5日に議論されたものということはお伝えしたとおりでございますが、本日御審議いただくものも通じまして、AI for Science時代にもふさわしい共用計算支援の在り方に引き続き取組を進めてまいりたいと考えております。
 簡単ですが、御説明は以上となります。
【相澤主査】  栗原室長、御説明ありがとうございました。
 必要性・有効性・効率性の観点からのまとめに続きまして、今後の方向性として本課題は継続という提案、その他に中長期的な展望も御紹介いただきました。
 それでは、ただいまの御説明を踏まえまして御質問や御意見などがありましたら挙手にてお知らせください。よろしくお願いいたします。天野先生、よろしくお願いいたします。
【天野委員】  ありがとうございます。実は最近「富岳」にログインする機会を得まして、セキュリティの問題、それからログインの環境等にかなり努力が払われていることが分かりました。予想以上に頑張っている様子が分かりました。
 ただ、今、多分システムの切替え途中なのかもしれませんが、全体として複雑で分かりにくい点もありますので、もうちょっと利用者の認証から利用までのところを簡単にする点に関しても努力を払っていただければありがたいなと思います。頑張っていることは認めます。
 以上です。
【栗原計算科学推進室長】  ありがとうございます。事務局からお答えいたします。
 天野委員、御指摘ありがとうございます。5ページにもそういった認証のシステム、またユーザー管理の支援システム等に関しての取組を紹介しておりますが、やはりまだまだ取り組むべきところが多いと認識しております。
 その点では、最後の10ページ目にありますHPCIコンソーシアムでの御指摘、HPCIコンソーシアムは毎年政府に対する御提言をいただいておりますが、そちらの御指摘や、また文部科学省の有識者会議の中でも対応策が議論されております。田浦東京大学副学長を主査にして検討を進めていただいておりますが、そういったところも踏まえて、まさに今御指摘いただいたような、新しい時代にも対応するような仕組みですね、迅速で分かりやすい申請の仕組み、そしてまた利便性も高く、安定運用、利用者拡大にもつながるような、そして人材育成にもつながるような仕組みを目指してまいりたいと思います。御指摘ありがとうございます。
【天野委員】  僕は思ったよりよかったと思っていて、この調子でよろしくお願いします。
【栗原計算科学推進室長】  ありがとうございます。
【相澤主査】  ありがとうございます。それではオンラインで御参加の宮田なつき委員、よろしくお願いいたします。
【宮田委員】  宮田です。ありがとうございました。
 一応確認ですけれども、4ページの利用者数のところで、延べ人数は今ユーザー登録している人のユーザー数みたいなイメージなんですか。「延べ」がどうやってカウントされているのかだけお伺いしてもいいですかね。
【栗原計算科学推進室長】  事務局でございます。
 お答えいたしますが、HPCIに関しては、HPCIに関する統計情報、また公募課題に関する情報等を取りまとめて、こちらにつきましてはポータルサイトでも提供しておりますが、これに関しては、それぞれの募集に関する応募の課題や採択の課題に関する情報がありまして、そちらで利用者数の統計が取られております。
 なので、その点では例えば「富岳」に関しては、それぞれ「富岳」の課題に関する採択者数150件であるとか、応募や課題がそれぞれの定期募集、また随時募集等、個別に分かれて出されておりまして、それぞれの課題ごとの利用者数があり、その利用報告書等に基づいてこれらの数値が出されております。
【宮田委員】  なるほど。延べなので増えていくのは当たり前なので、ちょっと利用者の拡大に貢献していると言っちゃっていいのかなということだけ、ちょっと気になったなというところです。増えているんだとは思いますけれども、そこは一応大丈夫ですかという確認をしてよろしいですか。
【栗原計算科学推進室長】  ありがとうございます。事務局でございます。
 確かにこちらは延べ人数ということで出しておりますので、単純にこれ自体が倍になったとか、1万3,000人に対して3万2,000人が3倍であるというようなことは評価できないと考えております。
 一方で、この累積の延べの推移で見たときにも順調な伸びを示していることはこのHPCIポータルサイトでも示しておりまして、その点では説明にも注意しながら我々もこういったデータを用いてまいりたいと思います。御指摘ありがとうございます。
【宮田委員】  分かりました。ありがとうございます。
【相澤主査】  どうもありがとうございます。よろしくお願いいたします。小林委員。
【小林委員】  御説明ありがとうございました。私どものグループはHPCIに関わっていたので、これができるまではどちらかというと各基盤センターがそれぞれ独自にユーザー支援などをしていたわけですけれども、これができて一体的な運営ができたということで、基盤センター同士のつながりや、もちろん利用者の方々にとってもいい環境ができたと思っております。
 どちらかというと、これまではこてこてのHPCの人のための基盤だったわけですけれども、この後で議論されるのかもしれませんけれども、AI for Scienceのような、どちらかというとHPCをこれまで使っていなかったような方々がたくさんこの環境を利用するような状況になったときに、それに対する対応などは既に立ち上がっていらっしゃるのか、あるいは今後の取組なのか、そこら辺をちょっとお聞きできればと思います。
【栗原計算科学推進室長】  ありがとうございます。その点では従来型の様々な大規模なシミュレーション基盤としてのスーパーコンピュータもありますし、また、今後AIとかデータとかシミュレーション等も一体に扱うようなAI for Scienceの一体的な基盤としても、今おっしゃったような基盤センター等のつながりが今までこのHPCIとしては進んでまいりましたけれども、さらなる改善を目指して、先ほど申し上げたようなHPCI計画推進委員会やその下でのワーキンググループも含めて、対応策も検討されて議論が進んでおります。
 その点では、御指摘にあるような新しい中長期的な発展に向けての将来像の検討であるとか、その構築も大変重要だと考えております。その点もHPCI計画推進委員会の田浦主査、またその委員の皆様の御審議であるとか、またこの指摘の中の9ページ目、10ページ目にあるような、そちらでも御審議いただいたような様々な事業との連携や関係機関との緊密な連携も生かしながら、新しい利用促進とか新しい体制の構築に進めてまいりたいと思っております。
【相澤主査】  ありがとうございます。
 それでは時間となりましたので、質疑の時間を以上といたしましす。ただいま3件の御質問、御確認をいただきましたが、資料の案としては問題がないと考えられますので、資料3についてはただいま説明がありましたとおり承認させていただければと思いますが、よろしいでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
【相澤主査】  ありがとうございます。では、案のとおり進めるということにします。御審議をどうもありがとうございました。
 それでは、続きまして議題4に移ります。令和9年度情報科学技術関連施策の方向性について、議題7の検討に上がっておりますが、こちらを検討するに当たりまして、「海外公的機関におけるAI for Scienceを見据えた研究インフラ(プラットフォーム)の動向」について、NII知識コンテンツ科学研究センター、中島上級学術基盤研究員より御説明を願います。よろしくお願いいたします。
【中島先生】  御報告させていただきます、NII、中島と申します。
 次のページをお願いいたします。我が国のAI for Scienceを促進するための新たな情報基盤整備の参考とするために、海外の公的機関等におけるAI及び学術知識グラフを活用した学術基盤プラットフォーム構築事例に関する委託調査を、昨年度末2か月程度実施いたしました。
 調査対象は主要国の代表的なプラットフォーム10機関について、主に公開情報、ウェブサイトですとか文献等を用いて、外形的な情報をまず固めるということで実施したものです。
 本日は、この調査のうちの欧州のEOSC、オランダSURF、米国NSF ACCESS、韓国DataONについて、またNIIが追加で調査したAmerican Science Cloudについて御報告いたします。
 次、お願いします。まず欧州のEuropean Open Science Cloud、EOSCについて御報告します。こちらはFAIR原則に基づき、研究データを分散型で保存・共有・再利用できるオープンな統合プラットフォームになっております。左下にありますように、運営体制はEC、欧州委員会と非営利団体のEOSC協会、EOSCステアリングボードの3者で運用されております。
 次、お願いします。プラットフォームの特徴としましては、FAIR原則に基づく分散・フェデレーション型研究基盤ということで、フェデレーション化により、既存の研究基盤を置き換えることなく相互運用性を確保、ほかのノードのリソース利用を可能にしております。それは認証や機能の統合により実現されており、ノード間でのシームレスなアクセスが可能になっています。
 各ノードは国・地域・テーマ別のプラットフォームがネットワークのノードになっておりますけれども、このうちEOSC EUノードというものが最初の運用拠点で、ハブともなっています。研究者向けのフロント、計算資源、ストレージ、ノートブック、ツール、カタログへの入り口を提供するとともに、ほかのノードに向けて認証等のコアサービスを提供し、フェデレーション全体の相互運用性を支えています。
 次、お願いします。こちらはシステム構成の少し詳しいことを書いておりますので、よろしければ後ほど御覧いただければと思います。
 次、お願いします。AIについては、AI4EOSC等のプロジェクトでAIの開発から利用まで一気通貫で利用できるプロジェクトや、そのほか様々な取組がなされています。また、EOSCの豊富な情報資源をファインダブルにするために学術知識グラフが用いられています。
 次、お願いします。続きましてオランダのSURFになります。SURFはオランダにおける計算・データ・研究情報基盤を統合提供する全国研究プラットフォームで、現在、大学等を会員とする協同組合として運用されています。左の表の下から2番目に資金源とありますけれども、メンバーからの出資・会費・サービス利用料、政府・公共機関からの助成金・補助金、また共同プロジェクト・外部資金等から運営されています。
 次、お願いします。こちらも計算・データ・研究情報基盤を統合提供するプラットフォームになっていますが、この下の図にあるとおり、計算基盤の提供のほか、コンサルティングサービスといったメニューを提供しています。
 次、お願いします。豊富なサービスメニューをそろえておりまして、こちらにあるものはその一部ですけれども、例えば大規模な計算資源を必要とする場合、あるいはそれほど計算資源は必要ないが使いやすいものを必要とする場合など、様々な研究活動に必要なメニューを柔軟に提供しています。
 次、お願いします。財団として設立されましたが、協同組合に移行したということで、会員向け、非会員向けのパッケージが提供されている枠組みになっています。
 次、お願いします。続いて米国のNSF ACCESSです。こちらはHPCから商用クラウドまで、先端計算資源へのアクセスを統合する全米研究計算基盤ということで、NSFが所管、資金提供し、課題採択された左下にある4大学が現在運用を行っています。対象ユーザーは米国の研究者等で、無料で利用することができます。
 次、お願いします。特徴としましてはオンプレと商用クラウドのハイブリッド構成を構築しているということで、HPC等の大学・研究機関が保持するHPCのほか、商用クラウドリソースを活用することができます。
 次、お願いします。商用クラウドとしてCloudBankという仕組みが検討されており、例えばAWSとかGoogle Cloud等の商用クラウドをNSFの研究基盤の一部として制度化されています。ユーザーである研究者がリクエストすると、その保持しているクレジットをドルに換算して商用クラウドが提供されるといった仕組みが確立されています。
 次、お願いします。GPU計算・ストレージ基盤を全国で共有することで費用対効果も高いことが報告されております。
 次、お願いします。続きましてAmerican Science Cloudです。これはAmSCと呼ばれているようですけれども、Genesis Missionの主要な研究基盤としてDOE所有データによるAIモデルの構築と活用を促進するということで、昨年末に始まったプロジェクトで、現在立ち上げ段階です。トランプ政権のOBBB法によって定義され、エネルギー省が管轄しています。左下にあるように、DOEが所管し、資金提供し、12月に採択されたオークリッジ国立研究所等4機関が立ち上げを担っています。対象ユーザーはDOEの科学者、施設利用者等となっています。
 次、お願いします。こちらはAmSCの構造とGenesis Mission、モデル構築プログラムなどとの関係を示していますが、インフラであるAmSCのほか、ModConというAIモデルを開発するチームの促進を図るコンソーシアムなどもGenesis Missionの投資対象となっており、これら、またNSFの先ほどのNSF ACCESSやNAIRRプロジェクト等とも連携してAIの促進が進められています。
 次、お願いします。こちらは割愛させていただきます。
 次、お願いします。非常に速いスピードでプロジェクトが運営されています。1年で最低限のミニマム・バイアブル・プロダクトを開発するということで、1年で一連のAI研究が実施できる基盤の試行運用を開始するということです。
 次、お願いします。最後に韓国のKISTIのDataONになります。研究データの保存・分析機能を一体的に提供する国家研究データ基盤です。
 次、お願いします。研究データプラットフォームとして保存から分析まで一体的に提供可能ということで、下にあるようにKorean Access Federationという、こちらもフェデレーションで、分野のプラットフォーム等との連携が可能になっています。
 次、お願いします。そして、データだけではなく、次世代のプラットフォームのためには計算資源との連携が必要という考えの下、KRDC、Korea Research Data Commonsの構築が行われておりまして、2026年中をめどに開発終了というスケジュールとなっております。
 次、お願いします。まとめになります。左側は海外プラットフォームから見える次世代プラットフォームの特徴を挙げています。フェデレーションによる資源の統合化、またAI駆動型研究を支えるデータ・エコシステムの構築ということで、AI基盤モデルや知識グラフの一体的な提供。効率的な運営ということで技術支援、トレーニングの提供、共同調達によるコスト効率化などが図られていると把握しております。これはそれぞれのプラットフォーム1つだけということではなくて、今見てきたプラットフォーム全体でこれらの取組が行われていると把握しています。
 右側は日本の学術プラットフォーム整備において取り組むべき具体策として挙げておりますが、こちらも計算基盤、データ基盤との連携、また、AIを専門としない研究者であっても容易にAI基盤モデルや計算資源を活用できる環境の提供。また、プラットフォームの安定かつ持続的な発展・運営のための体制強化ということで、人材配置や財政基盤の強化等を挙げております。
 御報告は以上になります。
【相澤主査】  ありがとうございました。EOSC、SURF、NSF ACCESS、それからAmerican Science Cloud(AmSC)、韓国KISTIということで御紹介いただきまして、最終ページでまとめを頂きました。御紹介ありがとうございました。
 そうしましたら、1件か2件、御質問、フィードバック等をいただければと思います。御意見のある方、御質問のある方は挙手にてよろしくお願いいたします。川原委員、お願いいたします。
【川原委員】  すぐ答えられないかもしれません。いろいろ調査してこういうものがあることは分かったんですが、誰がどのように受益者としてありがたがっているのかみたいな像を教えていただけるとありがたいですけれども、できれば。整理されていますか。
【中島先生】  基本的には自国だったり、その地域であったりといった研究者が受益者となりますが、プラットフォームのタイプによって、広くどの研究者にも使えるようなプラットフォームを目指すタイプと、先端的な研究を推進するタイプと、様々なプロジェクトが走っておりまして、かなり、今御紹介した中では広くいろいろな層の研究に提供できるようなプロジェクトが走っていると考えています。
【川原委員】  ありがとうございます。
【相澤主査】  ほかはいかがでしょうか。石田委員、お願いいたします。
【石田委員】  御説明いただきましてありがとうございました。類似の質問かと思いますけれども、その利用率といいますか、どれぐらいこういったものが利用されているのか、もしくは浸透しているのかというところももし御存じでしたら教えていただきたいと思います。
【中島先生】  ありがとうございます。ちょっと全てについて把握してはいないですけれども、例えばNSF ACCESSとかのユーザー数ですと1万以上、昨年の利用が1万以上というようなデータもありましたので、かなり多く、アメリカからして多いと言えるかどうか分からないですけれども、多数のユーザーが使っていると思いますし、SURFなどはほとんど全国で浸透して使われていると思っております。
【石田委員】  ありがとうございました。
【相澤主査】  ありがとうございます。では時間となりましたので、いま一度、御紹介をいただきました中島研究員、どうもありがとうございました。
【中島先生】  ありがとうございました。
【相澤主査】  続きまして次の議題、「第7期科学技術・イノベーション基本計画」、及び「AI for Scienceの推進に向けた基本的な戦略方針」及びその公募について、文科省より続けて御説明をお願いいたします。
【池田参事官補佐】  資料5及び資料6に基づきまして説明いたします。第7期の科学技術・イノベーション基本計画が昨年度末に決定されました。少し時期を逸してしまいましたが、簡単に御説明いたします。
 まず科学技術・イノベーションをめぐる情勢として、やはり研究のサイクルが加速度的に短縮されていて、ビジネスと科学がどんどん近づいていると。また、そういった破壊的な技術をめぐる実装競争の国際的な激化や安全保障の分野と科学技術・イノベーション政策との近接化あるいは戦略技術の囲い込みといったものが生じております。今回この場に関わるものとしてやはり深いのはAIと科学の融合ということで、科学研究のパラダイムの転換があること。また、科学技術人材の獲得競争の激化があるということで、我が国としては研究力が20年間程度かけ低下し続けていることですとか、投資が伸び悩んでいることといったところで、科学の再興を果たすといった旗振りの下、様々な政策を展開しているところでございます。
 第7期の基本計画の方針につきましては、まずは国家安全保障との有機的連携の強化や外交戦略を位置づけるといったことにつきまして、ヒト・カネ・モノと情報に対する刷新ということで、右側の点線の四角のイメージのように、これまで「縦割り」「自前主義」「デジタル転換の遅れ」ということで組織間にばらばらしていたところを、今後は横串を通して、特に研究機器・設備やデータといったものをいかに横でつなげていくかといった議論が必要だとされております。今回の非公開議題において、改めて議論させていただきます。
 また、1から6まで様々な柱を記載させていただいておりますけれども、中でもマル1の知の基盤としての「科学の再興」といったところは、極めて重要かと思っております。
 次の2ページ目、時間の関係上、割愛しますが、特に一番左下のところ、AI for Scienceによる科学研究の革新ということで、AI for Science、そして並行してScience for AIを推進し、データの創出・活用基盤を整備するといったこと。
 そしてまた右のほうの上、研究施設・設備、研究資金等の改革ということで、設備・機器の組織管理への転換、全国の研究者からのアクセスを確保すること。産学官の協働による先端的な研究設備・機器の整備・共用・高度化の促進ですとかオープンアクセスの推進等々ということで、こうしたインフラ面とAIによる科学研究の駆動といったものをしっかり組み合わせることによって、「科学の再興」のエンジンとなっていくといったことを文部科学省としては考えているとした次第でございます。
 次のページにつきましては、政府として定めた重点的な技術領域といったものも決まっておりますけれども、こういったところもしっかり踏まえまして、我々としては、予算の確保ですとか今後の事業展開を推進していくといったことで、省庁横断的に、あるいは連携しながら進めていくといった方針が打ち出されております。
 続きまして、轟木のほうから、AI for Scienceの推進施策について報告させていただきます。
【轟木参事官補佐】  ありがとうございます。AI戦略官付の轟木と申します。
 戦略方針について、御報告させていただければと思います。資料6-1を御覧ください。AI for Scienceの推進に向けた基本的な戦略方針につきましては、情報委員会でも御議論いただきまして、本年3月31日に、文部科学省において決定をいたしたところでございます。
 一枚おめくりいただきまして、本戦略方針について、目次のような構成で整理をしているところでございます。
 2ページ目でございます。総論のところでは、日本国内において、AI法、AI基本計画として、今、池田のほうから御説明がありました第7基本計画が策定されたところ、国際的にもAI for Scienceに関して各国で国家戦略が策定されるなど、国際競争が激化している点に触れつつ、日本として今、AI for Scienceに危機感とスピード感を持って対応する必要があることを述べ、AI for Scienceの戦略的な推進に当たっては、日本の強みを最大限に生かす必要があるということで、情報基盤、研究基盤、社会基盤という3つの基盤で日本の強みを整理するとともに、日本の課題として、研究力・人材、計算資源、研究データに加え、横断的課題・ガバナンスも含めて整理をさせていただいたところです。
 そのような中、4ページ目、今後の方向性と目的というところで、本戦略方針では、2030年代には、AIが研究の自然な一部として活用される環境を実現し、日本が自律性と信頼性を備えた研究国家として、AI for Science先進国の地位の確立に向けて、政策的な目的として3点、科学研究の革新と科学的発見の加速・質の変革、研究力の抜本的強化と科学の再興、そして、それを通じた日本の国際優位性・戦略的自律性の確保を目的に据えているところです。
 その実現に向けた具体的な手段といたしまして、5ページ目から、研究力・人材につきましては、世界を先導する科学研究の創出と、AI for Scienceのあらゆる分野での波及・振興による科学研究の底上げ、これを両輪で推進をするということ、そして、AI基礎研究を強化するとともに、AI関連人材の育成を行うこと。
 そして、計算資源については「富岳NEXT」の開発、HPCIの戦略的増強、利便性の向上、産学・国際連携を通じた計算資源を活用すること。
 そして、研究データにつきましては、高品質データの創出と一体的な運用を実現するための研究インフラの整備を行っていくということとしてございます。
 また6ページ目、重点分野につきまして、第7期基本計画における17領域、これを重点分野としつつ、具体的な事業の推進に当たりましては、世界トップレベルの研究がなされていることや、日本の強みはデータセットを有していること、データ駆動型研究やAI研究者とドメイン研究者の協働体制が構築されていることなどを踏まえて、基礎研究段階からの研究開発を推進していく必要があるといたしまして、当面のターゲットといたしまして、そのような点に加えて、産業インパクトや国際競争力があり、相対的優位を確立できるものですとか、研究開発生産性の向上に大きく影響を及ぼし得る基盤的なもの、公共性が高いものに該当するものから、順次、設定をするということとしてございます。
 7ページ目、AI for Scienceにおける研究データの取扱いに関する考え方については、これまでもオープン・アンド・クローズ戦略の下で、オープンサイエンス等の原則に基づいて管理等が行われていたところであると思いますけれども、今回、AIの技術的進展等を踏まえて、AIの利活用等により研究データの流出などの想定外の不利益を被るおそれがあること、これが指摘をされているということを踏まえまして、その対応といたしまして、研究促進とリスク低減、このバランスを踏まえたAI利活用に係る研究データの取扱いに関する考え方及びチェックリストを整理させていただきました。
 9ページ以降、各論においては、研究力、人材、データ、基盤、それぞれの論点に基づきまして、今後の取組を具体化するとともに、特に産学連携におきましては、科学とビジネスが近接化している点、AI技術が様々な産業分野に浸透し、産業の在り方が変容している状況下におきまして、科学研究活動によって創出されるデータや、AI研究等を通じて、より高度で信頼性の高いAIの開発による産業界への影響は非常に大きくて、データ、計算基盤の活用も含めた産学が連携したAI for Scienceの推進は極めて重要であること。そして、国際連携につきましては、日本が国際的な発展において不可欠な地位を確立するために、日本の強みを生かし、世界トップレベルの研究機関、研究者との間で相互の強みを補完し合う互恵的な連携・協働体制を戦略的に構築する必要があるということとしております。
 また、本戦略方針の実行に当たっては、今後5年間を集中改革期間といたしまして、研究力、人材、計算資源、研究データについて、合計20個のアクション項目も整理をさせていただいているところでございます。今後、本戦略方針に基づきまして、令和9年度概算要求も見据えて、AI for Scienceの推進に向けた具体策について検討していく予定でございまして、情報委員会におきましても、特に研究インフラについて御議論、御知見をいただければと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 続けて、まさにこのAI for Scienceを体現する取組として、資料6-3、6-4を用いまして、SPReADとARiSEの事業についても、簡単に御説明をさせていただければと思います。
 資料6-3、1枚目を御覧いただければと思います。本事業は、人文・社会科学から自然科学まで、あらゆる分野におけるAI for Scienceの波及・振興を目的としてございまして、迅速な支援、伴走支援、独創的研究の芽出し支援、この3つの柱を置いてございます。4月17日金曜日に第1回の公募を開始したところでございまして、来週5月18日月曜日が第1回公募の締切りということとしてございます。
 迅速な支援につきましては、AI分野の技術的革新は極めて速く、従来の審査スキームでは研究の着想から実際に実施するまで時間がかかってしまうという声も踏まえて、年に2回の公募を行って、効率的かつ適切な審査をすることとしてございます。
 AI導入に必要な伴走支援につきましては、AI for Scienceの実施に当たっては、計算資源の活用方法やAIに関するノウハウ等が必要になってきますけれども、これがAI導入の障壁となるという場合もありますため、本事業を通じて、研究者がAI導入に必要な知見を適時適切に得ながら研究推進できるよう、コミュニティーの形成等を実施する予定でございます。
 また、独創的研究の芽出し支援につきましては、特にAI for Scienceの分野においては、分野横断的で探索性が高く、必ずしも将来の展開が見通しやすいものではないもの、対象がかなりあると思ってございます。だからこそ、多様な分野における自由で挑戦的な取組を支援していきたいと考えてございます。
 本事業におきましては、この3つの柱を実現するために、その審査・採択スキームにおいて、機動的かつ挑戦的な手法を導入するということとしてございまして、例えば審査区分を決定する際の参考情報として、AIインタビューを活用したり、ピアレビューと無作為抽出を組み合わせた採択課題候補の選定を実施いたします。なお、その際、最終的な採否につきましては、研究分野のバランス等を考慮しまして、審査委員会において総合的に判断するということとしてございまして、無作為抽出のみによって採択課題を決めるという仕組みにはなってございませんことを付言させていただきます。
 最後、資料6-4に基づいて、ARiSEについても御説明させていただければと思います。ARiSEにつきましては、本日5月12日13時から、JSTより公募を開始させていただいたところでございます。こちらの事業につきましては、世界を先導する科学研究成果の創出により、我が国がAI for Scienceにおいて技術的不可欠性と戦略的自律性を確立し、不可欠な国際研究パートナーとなって、日本がAI for Scienceの先進国の地位を築くことを目的としてございます。
 本事業は、大きく戦略ターゲット型と国際・融合型、2つのプログラムから成ってございまして、戦略ターゲット型につきましては、マテリアル、バイオ、大型研究施設・研究装置に関する3つのターゲットを設けまして、それぞれごとに予算規模、採択課題等を設定し、科学基盤モデル、AIエージェント、次世代AI駆動ラボシステム等の開発を一体的に推進し、産学の共同により先駆的取組を早期実装・ビジネス化・イノベーション創出をすることを目的としてございます。
 また、戦略ターゲットにつきましては、基本方針において、研究動向等を勘案し、追加、改定することとしてございます。
 国際・融合型につきましては、ターゲットという形は設けず、新興・融合分野等のあらゆる分野を対象といたしまして、研究力の高い同志国等との戦略的な国際連携により、チームを構築し、AI for Scienceに係る独創的な研究やツールの開発・高度化を推進するもの、もしくは新たな勝ち筋の探求、国際的なチャレンジへの参画等を目指す取組を支援していくこととしてございます。
 本事業につきましては、共通事項として、AI研究者及びドメイン研究者のCO-PI体制であることですとか、オープンクローズ戦略を踏まえたデータマネジメントプランの策定を求めているところでございます。
 また、本事業によって創出されたデータにつきましては、各分野、ドメインの特性等に応じたデータ基盤ですとか、NII RDCの利活用を推奨しているところでございます。
 私からの説明は以上でございます。
【相澤主査】  ありがとうございました。事務局より、さらに補足がありましたらお願いいたします。
【池田参事官補佐】  事務局より1件、参考資料8に関しまして、簡単に御紹介させていただきます。
 本日、議題もございましたHPCIの中間評価ですとか、今、轟木のほうから御説明がありました戦略方針でのいわゆる共用計算資源を2030年度までに10倍以上といった目標等々を掲げております。
 こうした中で、我々としても、まず、AI for Scienceの推進に向けた共用計算資源に関する各大学や研究機関の今後の整備計画など、この情勢において、計画の変更があるかどうか、そこにある課題は何かということをしっかりと我々も把握をして、今後の政策立案に役立てていきたいと考えております。今日から近いうちに、全国の国公私立大学、大学共同利用機関、高専、国立研究開発法人等に対しまして、オンライン上でのアンケートを悉皆調査といった形で実施したいと思っております。こうした結果、改めまして、我々としての計算資源の政策にも役立てていくということで、簡単に御紹介させていただく次第でございます。
 以上です。
【相澤主査】 科学技術のイノベーション計画、AI for Scienceの推進に向けた基本的な戦略方針、SPReAD、ARiSEについて、これから、情報委員会で情報基盤の在り方等を議論していくに当たっての参考となるべき御報告をいただきました。この報告につきまして、確認しておきたいこと、あるいは御質問等ございましたら、挙手にてお知らせをいただければと思いますが、いかがでしょうか。盛りだくさんでございましたが、よろしいでしょうか。
 引原先生、よろしくお願いいたします。
【引原委員】  今後の戦略ですけれども、そういう中で、国際化のことをかなり謳っていらっしゃって、データに関する国際的な連携をとるというところの考えは分かるんですが、技術的なところとして今でも日本のデータサーバーがほとんど認証が取れていない状況があります。その状態でデータ連携などできるはずがないというのがヨーロッパとかで議論している中で出ております。
 さらには、データの真贋性というか、そのデータが何時何処で取られたか、タイムスタンプ自身もほとんど無視されている状態があって、このデータに対して、使い方の議論としてAIはいいですが、元のデータがきちんとしたものであるかどうかを保証するという体制づくりが、やはり抜けているように思います。そのところは、議論する必要はなくて、これだけの要件はきちんと守れということを決めるべきではないかと思います。その点をまた議論していただければと思います。よろしくお願いします。
【相澤主査】  ありがとうございます。
 データ連携に当たって、データの基盤、特に認証やプログラム等が重要であるという御指摘でございました。
 そうしましたら、引原先生の御意見をいただきましたところで、次の最後の議題に移りたいと思います。
 7番目の議題ですが、冒頭に申し上げましたとおり、非公開議題とさせていただきますので、事務局にて御準備をお願いいたします。
(傍聴者退室)
-----------------------------------
《議題7. 令和9年度情報科学技術関連施策の方向性(案) は非公開》
-----------------------------------
 
【相澤主査】  ありがとうございました。
 それでは、本日の議事はここまでとさせていただきます。
 事務局より連絡がございましたら、よろしくお願いいたします。
【池田参事官補佐】  事務局でございます。
 次回の情報委員会は、7月から8月の中旬頃を開催と考えておりますところ、また、日程調整、御協力いただけますと幸いです。
 本日の議論につきまして、追加で御議論いただけるようでしたら、来週の19日18時までに、一旦は事務局までいただければと思います。今日の非公開議題につきましては、いつでも御意見を受け付けておりますので、日付を問わず、ぜひお願いいたします。
 以上でございます。
【相澤主査】  追加の御意見も、ぜひよろしくお願いいたします。
 それでは、本日、これで閉会とさせていただきます。御議論いただきまして、どうもありがとうございました。
 
―― 了 ――
 

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