情報委員会(第44回) 議事録

1.日時

令和7年10月6日(水曜日)16時00分~18時00分

2.場所

文部科学省東館17階 17F1会議室 及び オンラインのハイブリッド形式

3.議題

  1. AI for Scienceの実現に向けて(一部非公開)
  2. 情報委員会における下部組織の設置について
  3. その他

4.出席者

委員

相澤主査、尾上委員、湊委員、青木委員、天野委員、石田委員、大武委員、川添委員、川原委員、小林委員、中野委員、引原委員、星野委員、宮田委員、盛合委員、若目田委員

文部科学省

淵上 研究振興局長、坂下 大臣官房審議官(研究振興局及び高等教育政策連携担当)、阿部 参事官(情報担当)、栗原 計算科学技術推進室長、土井 学術基盤整備室長、原田 科学官

オブザーバー

Sakana AI株式会社 伊藤 錬 COO
国立研究開発法人科学技術振興機構研究開発戦略センター(CRDS)永野 智己 フェロー
慶応義塾大学理工学部 栗原 聡 教授
理化学研究所計算科学研究センター(R-CCS)次世代計算基盤開発部門 近藤 正章 部門長


 

5.議事録

【相澤主査】 それでは、定刻になりましたので、科学技術・学術審議会情報委員会の第44回会合を開催いたします。本日も現地出席とオンライン出席のハイブリッドでの開催としております。
報道関係者を含め、傍聴者の方にオンラインで御参加いただいております。また、通信状態等に不具合が生じた場合などは、チャット機能や電話等で事務局へ御連絡ください。
本日の出席ですけれども、佐古委員より欠席と御連絡をいただいております。また、議題1に関連いたしまして、JST/CRDSより永野フェロー、人工知能学会より栗原会長、Sakana AIより伊藤COO、理化学研究所より近藤部門長に御出席いただいております。
まず、事務局の御紹介、配付資料の確認と、ハイブリッド開催に当たっての注意事項について、よろしくお願いいたします。
【轟木参事官補佐】 事務局でございます。
では、まず、本日陪席いたします科学官を御紹介いたします。
オンラインで参加しております科学官の原田でございます。よろしくお願いいたします。
続きまして、会の開催に当たり、局長の淵上から一言御挨拶させていただきます。淵上局長、よろしくお願いいたします。
【淵上研究振興局長】 研究振興局長の淵上でございます。
本日、お忙しいところ、お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。情報委員会の開催に当たりまして、一言御挨拶を申し上げます。
前回8月5日の情報委員会では、AI for Scienceをはじめとした議題につきまして、委員の皆様に様々な観点から活発な御意見をいただきました。どうもありがとうございました。
皆様方の御意見も踏まえまして、現在、来年度から始まります第7期の科学技術・イノベーション基本計画を見据えて、AI for Scienceの推進に向けた検討を進めているところでございます。
先日は、第7期基本計画に向けて、別途設けられております科学の再興に関する有識者会議という場におきまして、私のほうから、AI for Scienceによる科学の再興というテーマでプレゼンを行ったところでございます。
本日の委員会では、「AI for Scienceの実現に向けて」と題しまして、産業界、国研、アカデミア、それぞれの視点から御発表いただく予定でございます。皆様、大変お忙しいところ、お時間をいただきまして、誠にありがとうございます。
加えて、私どもの現在の検討状況も御報告申し上げた上で御議論いただくという予定になってございます。
前回に引き続き、幅広い視点から忌憚のない御議論を賜れれば大変ありがたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
【轟木参事官補佐】 淵上局長、ありがとうございました。
続きまして、議事次第に基づきまして配付資料の確認をさせていただきます。現地出席の方はお手元の配付資料を、オンライン出席の方はダウンロードいただいている資料を御確認いただければと思います。
我々から配付させていただいている資料は、資料1、資料1-1から資料1-5、そして資料2の全部で6点でございます。なお、Sakana AI様からの資料については、委員の皆様限りとさせていただいておりますので、御了承くださいませ。
続きまして、ハイブリッド開催に当たっての注意事項を申し上げます。
御発言時を除き、マイクは常にミュートとしていただけますと幸いです。
ビデオは常時オンにしていただき、通信状態が悪化した場合はビデオを停止していただければと存じます。
運営の都合上、現地出席の方も含めて、御発言いただく際は「手を挙げる」ボタンを押して御連絡いただければと思います。
御発言される際は、名前をおっしゃってから御発言いただけますと幸いです。
恐れ入りますが、マイクの数が限られているため、現地出席の方が発言される場合は大きめの声で御発言いただくようお願いいたします。
傍聴希望をいただいた方には、Zoomにて御参加いただいております。
トラブルが発生した際には、現地出席の方は手を挙げていただき、オンライン出席の方は電話等で事務局まで御連絡いただければと思います。
事務局からの案内は以上でございます。
【相澤主査】 ありがとうございました。
本日は、AI for Scienceの実現に向けて、そして、情報委員会における下部組織の設置についての2件の議題を予定しております。
まず、事務局より議題(1)AI for Scienceの実現に向けての進行について説明をお願いいたします。
【阿部参事官】 事務局、担当参事官をしております阿部です。
議題(1)では、オブザーバとしてSakana AI、JST/CRDS、人工知能学会、理化学研究所のそれぞれからAI for Scienceに関する見解を御紹介いただきたいと考えております。時間が限られており恐縮ですが、質疑応答を含めて、それぞれ15分程度で進めていただければと考えております。その後、文部科学省における検討状況について御説明させていただき、皆様と意見交換を行えたらと考えております。
議論に当たって、簡単に背景等を最初に述べさせていただきたいと思いますが、御承知のとおり、AIが今世界でいろいろなところで進展している中、科学研究の在り方そのものも大きな変革の途上にあると考えております。
海外ではデータ駆動型の研究も進んでおりますし、また、研究の設備等が自動化・リモート化・自律化が大きく進んできており、研究の高度化・高速化が急速に進展しているものかと思います。
一方、日本では、イノベーションを促進するとともにリスクに対応するため、本年5月にAI法が成立しまして、AI基本計画が今年の冬頃にも策定されるという状況です。世界で最もAIを開発・活用しやすい国を目指すという方針が示されているところです。
そうした中、第7期科学技術・イノベーション基本計画の方向性としまして、5つの柱の1つとして、このAI for Scienceが取り上げられている状況となっております。
AI for Scienceの急速な進展により、あらゆる分野で研究の生産性が飛躍的に向上しようとしている中、日本もこの潮流に乗り遅れてはならず、技術的優位性、不可欠性、これを確保しなければならないと考えます。
日本の強みを生かしたAI for Scienceの先導的実装に取り組むことが喫緊の課題ではないか、そういったことを考えながら本日の議論が進められればと考えております。
どうぞよろしくお願いいたします。
【相澤主査】 ありがとうございます。
それでは、まず、Sakana AIの伊藤COOより御発表いただきます。
傍聴者の方におかれましては、恐縮ながら発表資料は非公開とさせていただきます。
なお、伊藤COOは、この後の御予定がございますため、本発表及び質疑応答が終わりましたら御退席されます。
では、どうぞよろしくお願いいたします。
【伊藤COO】 ありがとうございます。今日は、この機会にオブザーバ参加をお認めいただきまして、本当にありがとうございます。
資料を20ページぐらい作っておりますけれども、かいつまんで要点だけ、冒頭5分、10分で発言させていただきたいと思います。
3ページ目から参ります。我々、外国人2人、日本人1人でつくった会社なんですけれども、ちょうど2年前の今頃に創業いたしました。
実は、創業する前に、どうして日本でやるんだろうかとか、AIが本当に日本の科学技術の発展にどういう実体的な影響をもたらせるだろうかというお話をさせていただいたのが、ここにいらっしゃるNTTの川添さんでございます。我々3人の恩人で、日本でやれという背中を押してくださったのが川添さんで、かつ、それがどうやって日本の科学技術に生きるんだろうかというテーマをデイワンから議論させていただきましたので、同じ委員会でお話の機会をいただくのは大変な光栄でございます。
続きまして、具体的に今、2023年から見て2年間たちまして、AIの発展がどうなっているのかというのを7ページ目で御紹介したいと思います。
端的に申し上げますと、今AIと言うと、いろんなレイヤーがございます。今何が起きているかと言いますと、若干ジャーナリスティックに申し上げると、ChatGPTの最新バージョン、GPT-5というのが出ましたときに、言葉を選ばずに言えば、その前の4oに比べて、失望が広がったんですね。それはいい意味でも、悪い意味でも、そんなに大きな改善が感じられないなと。要するに、数学オリンピックで銀を取るか、金を取るかぐらいの、若干人間の認知を超えるようなところまで、汎用モデルという意味では来ていて、実は元の性能の改善という限界効用を逓減しているという状況にあります。
そうしますと、どうやってモデルをつくるかという細かい話は別として、AIの発展はこれで終わったのかというと、そうではなくて、我々、この3番目と4番目のレイヤーの間のレイヤー3.5が大事になったという言い方を最近するんですけれども、モデルがどこまでよくなっても問題は解決しないと。なので、各モデルを大きくしたり、あるいは、リーズニングといって、モデルに考える力を養わせたりして、モデルだけをよくする時代というのがいよいよ終わりを告げて、レイヤー3とレイヤー4の間のレイヤー3.5、モデルを大きくするだけではないいろいろな創意工夫が大事になってくる時代に入ってまいりました。
8ページ目は、古き良き時代、モデルを大きくすればするほどいいといった時代は2023年で終わりを告げ、9ページ、モデルは考えることが大事だという時代、これは2024年の末ぐらいから今に至るまでやってきましたけれども、これだけでも、GPT-5の期待はずれといいますか、モデルだけではやっていけないなという時代に入ってきたんだということを示していると思います。
11ページ目に、レイヤー3.5とは何なのかということをお示ししています。右側のレイヤー3.5のお話をする前提として、左側に、MITがこの夏に出したレポートがございます。企業の実装、あるいは研究への実装の場合も含めて、95%のAIを使ったプルーフ・オブ・コンセプトは失敗したという残念な結果が出ております。
その失敗の原因というのが、モデルだけに依存するといいことが起きない。やはりレイヤー3.5という、モデルと実装をつなぐレイヤーを新しく開発していかないといいことは起きないんだということが、MITのレポートからも明らかになっております。
では、このレイヤー3.5というのは、どういうコンポーネントが入っているのかと言いますと、分かりやすい例で言うと、12ページへ行っていただきますと、モデルコンダクターと我々呼んでおりますけれども、今、1,000個も1万個も100万個も、いいモデルが世の中に落ちております。そのモデルを、一番いいモデルを使うよりも、駄目なモデルも含めて、いろんなモデルをコンステレーションのように使い分ける。これをすることによって、一番いいモデルだけを使うよりも、悪いモデルも混ぜたほうが結果的なパフォーマンスが上がる。加えて、同じようなタスクをするのであれば、安いモデルを使うことによって、コストの低減にもなる。コストオプティマイゼーションにもなるという、まさにレイヤー3の上にあるメタモデル的なモデルを使い分けることが大事であるというのがますます主流になっております。
13ページへ行っていただきますと、それだけで全ての話が済むわけではなくて、一番右にございますメモリというところを見ていただきたいんですけれども、いわゆるモデルにデータを突っ込めば何かいい話ができるかというと、実はそうではなくて、例えば、私ども、今銀行さんというのをお客様にして、大きな実装をやっているんですけれども、一番世界でいいモデルに、銀行さんの持っているデータを全部突っ込めば、ChatGPTに銀行のデータを全部読ませても、私への住宅ローンをアプルーブしていいかどうかの答えは出ません。なぜ出ないかというところが、このレイヤー3.5の質問であり答えになりまして、それは様々なワークフローの中から、ノウハウであるとか、いわゆる暗黙知というのをどうやって吸い上げていくか。マニュアルだけを読めばいいわけではない、データだけ読めばいいわけではない、実際このワークフローが人間の手によってこれまでどう精査されてきたのか。我々、メモリという言葉で呼んでおりますけれども、これはモデルでもデータでもないことという意味なんですけれども、ここに落とし込んで初めて答えが出るという、このメモリをつくっていくというのが最近のレイヤー3.5の二大アイデアの一つでございます。
1つはモデルマネージャーといって、いろんなモデルをコンステレーションのように使い分けること、もう一つは、モデルには全く入っていない話として、この暗黙知、ノウハウというのを使える形で吸い上げていくことというのが、今の研究と開発の最前線の2つでございます。その2つを要約しますと、我々、レイヤー3.5というふうに呼んでいるわけでございます。
15ページへ行っていただきまして、これはAI Scientistという我々の発表なんですけれども、いわゆるエージェントの発想でございます。エージェントというのは、いろいろなプロセスを上手に統御してくれる。例えば、ハワイ旅行に行きたいんだと言ったら、航空券も買う、ホテルも予約する、その航空券のフライトの時間に合わせてタクシーも予約するとか、要するに、一連のプロセスを全部お任せでやってくれるというのが、いわゆる一番シンプルなエージェントの定義でございます。これを科学技術の発見、科学的な発見に使うとどうなるのかというのを我々やりましたのがAI Scientistというもので、実は去年の8月に第一弾を発表しまして、今年1月に第二弾を発表いたしまして、機械学習という分野でICLRという国際学会がございますけれども、ここのワークショップにAIだけが書いた論文を提出してみました。それで、人間のピアレビュー、査読に通るところまで熟練度は上がってまいりました。
もちろん、けちをつけることは幾らでもできまして、もっと面白いアイデアじゃないかとか、これはしょせんPhD学生ぐらいのレベルだねとかですね。これからの発展段階は幾らでもあるんですけれども、我々は、これを自分たちのフラグシッププロジェクトだと思っておりますので、どんどんバージョン3、4、5とつくっていきます。今、人間がこの分野で面白いペーパーを書いてごらんという一つのナッジをするだけで、アイデアジェネレーションから、そのアイデアの検証から、ピアレビューから、これまでに書かれたことがないかという精査から、その全てを自分で、ヒューマンインターベンション一切なしでやって、ICLRのピアレビューに通るところまでは来ました。
これが何を意味しているかというと、もちろんそのエージェントの進化というのもあるんですけれども、科学的発見のプロセスが変わってくるんだと思うんです。それは、人間がAIに取って代わられるという意味ではなくて、人間が科学的発見をするときの使い方として、この我々のキーワード、iterateするという言葉を使っておりますけれども、とにかく生煮えのアイデアでもぶつけてみて、あとはAIが形にしてくれて、もう一回ぶつけてみてという、ツールというよりは、自分の同僚、部下のような形で、どんどん、一発でいいものをつくれなくても、100回も200回も壁打ちをする相手として、科学の発見に貢献するんじゃないかと。我々は、それが一番現実的な、起きつつある科学のゲームチェンジなんじゃないかというふうに見ております。
ですので、もともとはAI Scientistというのは、このエージェンティックソリューションの一つのネタとして我々つくったものでございますけれども、今回皆様で御討議いただくAI for Scienceにも、これを使っていろんなことができますだけではなくて、iterationをしながら科学の発展を促進していくというのが我々の考えでございます。
最後のページでございますけれども、このShinkaEvolveをちょうど先月公開いたしましたけれども、これはAIがAI自体を改善していくという、無限のループに載せていくというサイクルへの一歩となる研究の御紹介でございます。
私からの冒頭の御説明は以上でございますので、ぜひ質疑応答などをさせていただければと存じます。
【相澤主査】 ありがとうございました。
では、ただいまの御発表につきまして御質問等がございましたら、挙手にてお知らせください。よろしくお願いいたします。
川添先生、よろしくお願いします。
【川添委員】 伊藤さん、御紹介いただきましてありがとうございます。大変な褒め言葉をいただいて、もう恐縮しています。
私から御質問ですが、最後のところのパートで御説明いただいた、AIに論文を書かせてというところ、まさにこの委員会がテーマにしているAI for Scienceというところに直結するお話だなというふうに思います。
その中で、サイエンスの定義なんですよね。今までサイエンスというものはどういうことかというと、例えば、この地球上のいろいろな現象に対してそこにある法則を見つけ出すということが非常に大きな特徴でした。しかしそれは、AIの中で言うと必ずしも同じではなくて、AIはどちらかというと、データとデータの間の相関関係を導いているんですよね。今までのサイエンスは因果関係を明らかにしてきました。 因果関係が見つかるということは、実はものすごく効率性が上がったり、あるいは、すごく現象の理解を深めたりということがあると思います。ただ、何よりも一番いいと思っているのは、やっぱりAIを今動かすために大量のGPUを稼働させるということをやっているんですけれども、この因果関係さえ見つかってしまえば、もうGPUを動かさなくても、場合によってはある方程式で解けるというふうになるので、AIがそれを導き出すというところにつながったら一番いいと思うんですよね。
AIを使って方程式を導き出し、その後はもうGPUを使わないというところまで行けるか、その辺の感触はいかがでしょうか。

【伊藤COO】 ありがとうございます。
まさに川添委員おっしゃったように、AIは相関関係しか見いだせなくて、因果推論はできない。何回も研究の盛り上がりはございまして、因果推論ができるんじゃないかと思ってはやっぱり駄目、というのを繰り返しています。
実は、うちのチームにも、因果推論だけやってきた非常に優秀な研究者がおりまして、心の中ではもう一回因果推論をやってみたいと思って、いろんな論文を書いているんですけれども、今のところ因果推論はなかなか遠いだろう、基本的にはできないだろうと言われています。
その中で、AIがどういう科学技術の発展や発見に資するかというのを2つに分けて御説明したいと思います。1つ目は、15ページですけれども、このAI Scientistのアイデアジェネレーションというのが一番左側にございまして、仮説づくりなんですね。こういう現象を見たら、こんな仮説が通るんじゃないかという、帰納法・演繹法で言うと、帰納法的にいろんな世の中の事象を見て、仮説をつくっていくわけです。演繹し切るかどうかは別問題として、この仮説をつくっていくというところでは、100個も200個も、人間が思いもよらぬものも含めて仮説をつくってくれるので、これがAIの一番初期的な使い方であるというのは間違いないと思います。
その仮説が本当に正しいものかというのを演繹的に証明し切る。今、川添さんがおっしゃった方程式に入れていくというところは、2つ課題があると思っていて、それは、シミュレーションをする前提として、全ての必要な因子をカバーできているかどうか。なので、これ、なぜ因果推論ができないかにも関連する話ですけれども、方程式に突っ込むべき全ての因子が特定できていないと、コンプリヘンシブな証明をし切れるわけはないので、まず、そういったシミュレーションをする前提としての交絡因子というのをしっかり取れている分野があるのかどうかというのが、1つ目の課題だと思います。
もう一つの課題は、実はモデル自体だと思っておりまして、今モデルは、汎用モデルという言い方を我々はよくしますけれども、コーディングもできる、数学もできる、「枕草子」も読めるというモデルをつくっているわけですけれども、一部、コーディングだけに特化したモデルというのは、コーディングの中だけであれば、言語と違って揺れ幅がありませんので、より交絡因子に特化したような計算ができるわけです。ただし、これはコーディングランゲージだけですけれども。数学モデルになれば、より特化した計算ができるわけですね。
今、我々の業界で進んでいるのは、汎用モデルから特化型へという流れで、1個だけディスクレーマーをつけさせていただくと、それはモデルだけではないんです。ある分野に特化したモデルもつくる、レイヤー3.5もつくるということで、これをやっていくことで、その分野に必要な交絡因子というものを、なるべくas comprehensive as possibleにカバーしていけるようになるというのが、我々のこの業界の仮説です。
そうしますと、理想的かもしれませんけれども、伝統的な今の生成AIを使ってアイデアジェネレーションをする。幾つも幾つも仮説をつくるというのは、様々な基盤モデルを使ったアイデアジェネレーションに委ねて、それを本当に証明し切るかどうかというのは、この交絡因子を限定した特化型の分野をつくっていくことだと。そうすると、川添さんの最後の御質問にあった、GPUの利用量を下げていくことができるのかというのは、まさに後者になればなるほど、それを設計し切ればし切るほど、シミュレーションの幅が下がっていきますし、正確性も上がっていきますし、GPUの消費も下がっていくという、これが我々にとっては、科学実験にAIを突っ込んでいく際の一番理想的なシナリオだとは思っております。
【川添委員】 ありがとうございました。
厳密な方程式じゃなくても、例えば、近似方程式みたいなものに最終的になればいいなと思っているんですよね。かつ、それが必ずしも人間が理解できなくてもよくて、それはまさに3.5という言い方でもいいのかもしれないんですけれども、そういうものが必ず因果関係に結びつくというところに最終的になればいいなと思いますので、引き続きよろしくお願いします。
ありがとうございました。
【伊藤COO】 ありがとうございました。
【相澤主査】 ありがとうございます。
本日、非常に時間が厳しいところでございますので、川原委員、盛合委員、一言ずつ短めによろしくお願いいたします。
【川原委員】 それでは、シンプルに行きます。
レイヤー3.5という話が特徴的で、しかも、それがいろんな科学分野でちょっとずつ違うものを用意しなければならないと理解しました。
AI for Scienceがアカデミアだけで何とかなる時代でもないので、Sakana AIさんのような人がトップの研究者と組みながら進めていくんだろうなと思っているんですけど、その中で、日本でオープンの場とクローズドの場はどういうようなものをつくるとインダストリーと協調しながら進められるのか、そこのヒントをいただけないでしょうか。
【伊藤COO】 ありがとうございます。
特化型といったときに、まさに我々、銀行さんと、これはアカデミアではなくてインダストリーですけれども、始めた理由は、インダストリーとしての銀行を特定したかったというよりは、何に使うかという具体性が必要だということだと思うんです。かつ、その具体性があまりにも狭いものだと、予算投下を正当化できないので、正しいバランスだと思うのは、汎用ではなく特化にしなければいけない。ただし、その特化の分野が十分な産業規模、学術規模を持っているということだと思うんですね。
ですので、文科省さんやこのコミュニティで、あるところを何かの形で支援するというときには、どの分野のどの研究であればそれなりの資源を投入するのにふさわしい規模が出るのかというところを見いだして、そこに集中的に特化した特化モデルですね。ここでいうモデルというのは、いわゆるレイヤー3のモデルだけではなくて、3.5も含めた特化型の環境を整備していく、そういう特定化していく作業というのが今後すごく大事になるんだろうと思います。
【川原委員】 なるほど。目利き力が問われるという話、よく分かりました。ありがとうございます。
【相澤主査】 ありがとうございます。
では、盛合委員、よろしくお願いします。
【盛合委員】 1点、お金、予算の話をしたいと思います。
どこの組織でも今AIの活用をしようということで、いろんなモデルを導入しようとしていると思うんですけれども、なかなか予算に限りがあるので、何アカウントぐらいにしようとか、どれくらいのモデルにしようみたいなところはあるんですけど、今日3.5のお話をされて、安いモデルも含めて使い分けるというアプローチをちょっとおっしゃっておられました。これ、でも、日本全体でも恐らくそうだと思うんです。皆さん、サイエンティストがみんな扱いたいだけ使うと、多分、国の予算はパンクしてしまうと思うんです。
そこで、Sakana AIさんのオーケストレーションの考え、どんなふうにモデルの選択をしたりされているんでしょうかという、そのアプローチを教えていただけますか。
【伊藤COO】 直接的な答えにはならないですけれども、技術的なことでお答えすると、我々、アプリオリではないというのがキーワードでして、例えば、卑近な例ですけれども、表計算をするんだったらこのモデル、文章を書くならあのモデルというのを特定するわけではないんですね。ある課題をやるときに、1,000個のモデル全部にやらせてみるんです。その結果、一番よかったものを採用するわけです。
ただし、毎回1,000個やっていると、普通にやるよりももっと計算資源がかかってしまう、お金がかかってしまいますので、これを繰り返す中で、どのモデルとどのモデル、2つか3つぐらいにやらせていいほうを選べばいいなという、メタモデルのサイクルを築いていくんですね。これ、我々は進化系計算と呼んでいるんです。
出発点は、1,000個のモデル全部にやらせてみて、いいものを取る。そこで一切人間のロジックに基づいた価値判断をしない。結果的にいいものだけをやる。そして、このいいものが何かというアルゴリズムは、日々刻々変わっていくわけです。なぜかというと、ロジックを基に選んでいるわけではなくて、結果としてよい結果を出すものに最適化していくので、どのモデルを選ぶのかというアルゴリズムも日々進化していくというのが、モデルコンダクターとかモデルマネージャーと呼んでいるレイヤー3.5のモデル選択の基盤になる考え方でございます。
【盛合委員】 ありがとうございます。示唆に富んだ回答、ありがとうございました。
【相澤主査】 ありがとうございました。
では、こちらにて伊藤COOは御退席となります。改めて、御発表いただき、大変ありがとうございました。
【伊藤COO】 ありがとうございました。中座で失礼いたします。
(伊藤COO 退席)
【相澤主査】 続きまして、発表を進めてまいります。
案の定と申しますが、盛り上がってしまいますので、本来ならば御発表の後、5分ずつ質疑の時間を設けることになっておりましたが、質疑は最後にまとめてという形で進めさせていただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
では、続きまして、JST/CRDSの永野フェローより御発表をいただきます。これ以降は、傍聴者の皆様へも資料が公開されます。よろしいでしょうか。
では、よろしくお願いいたします。
【永野フェロー】 御紹介ありがとうございます。JST研究開発戦略センター(CRDS)の永野でございます。
CRDSでは、AI for Scienceに係る検討・調査・分析等を組織横断で進めているところです。現時点の見解としてお示しいたします。
(P2)まずはAI for Scienceの背景にある、AI発展の3つの潮流ということで私ども捉えておりまして、AIそのものの基本原理等の発展・開発、AIによるリスク等への対処、そして、ブルーのところの3つ目として、AIによって様々な業界や分野のトランスフォーメーションが進んでいく、その一つにサイエンスもあるだろうというものです。
(P3)この図によって、AI for Scienceに係る一つの検討の土俵といいますか、景色みたいなもののたたき台を御提供したいと考え作成いたしました。
まず、構図のブルーの中央のところですが、科学研究プロセスの基本的なサイクルを示しております。このサイクル、いわゆるクローズドループを形成するサイクルとオープンなループとそれぞれあるかと考えておりますが、それらのところで、仮説生成から研究・実験の遂行、そして分析や成果の活用、論文執筆等々、様々なところでAIの活用が進んでいきます。
左下には、これは一つの考え方として、研究の主体を人間とAIとで分類しています。支援系のAI for Scienceとして、人間が主体であるようなものを、また、自律系AI for Scienceということで、AIが主体として研究を実行していくものというふうに置いています。
右側、研究開発においても、よりバーチャルなものが主体的なものと、フィジカルな実験系であったりフィールドであったりというような研究系、やはりこれも分野・領域によってバーチャルとフィジカルによる操作の度合いが違うだろうということを示しています。
そして、大事なのは、下側のベースの基盤のところですけれども、AI研究基盤です。基盤と申しましても、先ほど来議論ありましたように、汎用的な基盤・モデル、ツール、それから、科学の分野毎やドメイン特化、ドメインスペシフィックなものとして様々なものを組み合わせて、これがマルチなレイヤーとしてAI基盤のモダリティを組み合わせて使っていくことを想定した表現をしています。
さらに図の左上ですけれども、薄いブルーのところ、研究開発投資における資金配分などにAIを活用していこう、あるいは、研究開発の評価にAIを活用していこう、こういった動きも当然ございまして、これらの全貌がAI for ScienceないしAI in Scienceという言葉に含まれると考えております。
(P4)これは論文事例からの御紹介ですが、必ずしもこの論文の主張としてではなく、一つのイメージとしてご覧ください。
支援系のAI for Scienceでは、人間が主体的に、道具としてのAIをいかに活用していくのか。そして、右側、自律系AI for Scienceを考えるときは、これは将来の姿も含むかもしれませんが、主体としてのAIが研究活動を実行していく。それぞれにその在り方を考えていくことが当然必要となります。
(P5)この考え方や解釈はいろいろあろうかと思いますけれども、支援系のAI for Scienceは、それぞれの分野やステップごとに拡大し広がっていきます。まずは優秀な助手としての役割を担っていくかたちを考えますが、各ステップにおいては、従来の手法による限界を打破するような変化や進展を遂げていくと見ています。政策面では、こういった観点からのAI for Scienceの底上げや裾野拡大、あるいは、個々の分野の加速や発展・融合促進に資するような施策が大事になってきます。
一方、自律系のAI for Scienceというものを考えたときには、それ自体がAI for Scienceの一つの最先端であるし、科学研究の本質的な革新や、圧倒的な研究競争力が生まれる可能性があるのではないか。先ほどの議論もそうでしたけれども、人間の介在が少ない、あるいは、ほとんどなしに自律的な研究サイクルを回すようなもの、そういったものが科学研究にゲームチェンジを起こす可能性があると見ています。
自律系のAI for Scienceが動いていくと、もしかしたら今後AIが自ら高速な自己改良を進めていく可能性もあるでしょうし、AI駆動による研究の爆発的な発展や、超知能化というものにつながっていくことがあるとも言われている。これが現在のAIモデルの延長で実現されるというような考え方と、あるいは、さらにもう一段ないし二段のブレークスルーが必要といった見方もあります。こうした議論は、一つのシナリオの想定としてもあるでしょうし、メタサイエンスの観点も重要になってくると考えています。
(P6)以前にもCRDSからお示ししたことのある図ですが、同じような議論を3重ループとして表現しています。中央にある1番として、科学研究の基本的なサイクルがまずある、そして、2として、分野や領域ごとの個別・特化型のサイクルというのも当然あります。さらに広がったところとして、3番目のプロセスとして、研究のインテグリティであったり、論文の出版や作成、科学コミュニケーション、情報・知識の流通、そして評価・ファンディング、オープンサイエンス、科学観の変容といったところまで含めての大きなループが存在します。3番目のループは非常に広範囲に及びますが、こういったものは、国際的には「メタサイエンス」として、科学の在り方自体を研究の対象とする、あるいは、科学の在り方をより良く改善する実践を含めてメタサイエンスと呼び、メタサイエンスの国際的なコミュニティで検討や活動が行われています。
(P7)こうした進化・発展の方向性を2つの軸で概念化して表現を試みています。縦軸は、研究開発が自動化・自律化へと向かっていく、そのレベル感を表したものです。横軸は、特化型でクローズドループをつくりやすい領域・対象なのか、あるいはより汎用型でオープンなループとして研究サイクルが構成されるものかを表しています。当面まずは、より限定的で特化された研究対象の統制レベル下で、自律化が進んでいくのではないか、いずれ統制がより緩和された対象、すなわちオープンループになっている、あるいは、より複雑性の高い研究対象へと発展していくのではないかとして、イメージとしてマッピングしています。
例えば、計算科学のような分野はよりクローズドなループによる研究開発がしやすいですが、一方、創薬や地球環境のような分野になってきますと、人間(臨床)を対象とする、あるいは非平衡開放系でより複雑な対象の研究開発になりますから、そうしたものへのAIの適用あるいはAI駆動の研究開発は、自律化も高難度なものとして、徐々に広がっていくだろうとして表現しています。いずれこの破線の先には、AGIやASIといったものにつながっていくのかもしれないということで、右上に表現しています。この縦横軸による表現は厳密なマップではありませんので、一つのイメージとして御理解いただければと思います。
(P8)各分野における研究開発において、バーチャルな操作/フィジカルな操作の度合いを、V/Pのレシオで表現した論文からの引用です。例えば、計算機科学のような分野では、バーチャルな研究開発の度合いが高いですが、一方、表の上のほうにある化学や、中段あたりの医学の分野では、フィジカルな操作が研究開発においても大半を占めます。このようにそれぞれの分野・領域に応じて、あり得べしAI for Scienceの進展の仕方や、開発の仕方は当然異なってくるということを考慮する必要があります

(P9)関連する論文統計を簡単に御紹介いたします。
これはAI関連の代表的なキーワードを幾つかピックアップして、Scopusデータベースから取った統計になりますが、各国のAI関連論文数を分野単位で比較したものになります。
(P10)今のデータを基にしたものですが、この表は縦に見ます。当該国のAI論文規模に対して、その当該国、当該分野のAI論文数がより小さいものがブルー、さらに薄いブルーで、より大きいものがピンク、赤で示しております。
例えば、日本を見たときには、材料科学や化学領域でのAI関連論文規模が、全分野の中では大きめとの傾向を示しています。
(P11)今後の分野横断推進と分野推進の考え方の一つの土台をお示ししています。これまでの現行施策では、例えば、研究DXや、計算・通信基盤、あるいは分野ごとにAI for ScienceにかかってくるようなDX型の施策が進んでまいりました。
そして今後重要になってくるだろうと思われるのは、上側のところで、支援系AI for Science・自律系AI for Scienceそれぞれの発展・拡張・最適化に向かう際の、ツール開発やユースケースの創出、分野間の融合による新しい領域の発展をAIを活用して促進することがあります。さらに、それらを加速するための研究基盤整備や人材育成、普及促進策が重要になってくると考えています。
また、メタサイエンスの観点として、AI時代における「科学」とはどのような扱いをしていくべきなのか、そもそも私たちが科学として理解をするとはどういうことなのか、AIが主体的に駆動するかもしれない科学を人間社会がどう理解し適切に取り扱うのかの、根本的な問いに一緒に取り組むことが重要になります。その際、人文社会科学を含む総合的なアプローチによる研究開発のかたちを模索していく必要があろうと考えております。
P13以降は参考資料になりますが、どういったものを含めているかだけ御紹介します。P13-14は各国のAI関連政策、あるいはAI for Scienceに係ると解釈できる施策を分析した一覧表です。P16以降は主要分野として、ライフサイエンスやマテリアルサイエンス、環境・エネルギー分野における先端的なAI for Science研究事例を幾つか挙げています。また、オートノマスラボに関連するような装置の規格やデータに関する国際標準化動向例をお示ししています。
以上でございます。
【相澤主査】 ありがとうございました。
では、御質問等ございましたら、メモでよろしくお願いいたします。急ぎ足で申し訳ございません。
続きまして、人工知能学会の栗原会長より御発表をいただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
【栗原会長】 今は慶應なんですけれども、ちょうど今、人工知能学会の会長を仰せつかっておりますので、その立場でお話しさせていただきたいと思います。
じゃ、めくっていただいて、僕の自己紹介は次で、もう3ページ目で。
今日からノーベル賞のですよね。どうなるかは分かりませんが、2年連続で情報系は、さすがに自然・物理の先生が怒っちゃうので、もうないとは思っておりますけれども。やっぱりこれは非常に大きなことを意味していて、1つは、AIを作った側ですよね。作ったヒントの先生に対して。それからもう一つは、人工知能を使って偉業を成し遂げたということで、去年2つあったわけです。
次をめくっていただいて。つまり、今はもちろん人工知能を使ってイノベーションを起こしているわけですけれども、ただ、もちろん今のSakana AIさんからありましたように、今のAIというのはある意味お金がなければできない。ですから、アイデアと金がなければ何もできないという状況をどうするかというのは、一つの日本としての課題は間違いはない。
一方、AI for Scienceということを突き詰めていくにおいては、もちろん道具としての人工知能から、先ほど話したように、自律型と申しますか、自分でどういうふうにしていく、人工知能に対して、もうそろそろ自分で考えるところを付与するというところにも向かっていかなければならないだろう。例えば、ソニーの北野社長みたいにノーベル・チューリング・チャレンジとか、こういったものは一つの大きな柱になるでしょうと。
ところが、一方なんですけれども、この5ページ目ですけれども、かといって、例えば、このオフィスツールとかWeb、クラウドとありますが、何を書いているかというと、インターネットが出てきてから今までというのは、結局IT技術ってどうなっているかというと、要は、これをしないと負けるみたいな、つまり、効率化と僕は言っていますけど、効率化にしか使ってきていないと僕は思うんですね。
AIというのは人工知能なので、本来は効率化以外に使って何ぼの世界だと思うんだけれども、結局、人工知能をビジネスシーン、また、アカデミアもそうかもしれませんけれども、効率化の延長線上でしか使っていないとなってくると、そもそもAI for Scienceなんて言っている以前の問題でしょうとしか僕には思えない。だから、今は喫緊の課題だと思っています。つまりは、現状ですと、人工知能の本来の価値まで引き出していない、そのような状態でバブルがはじけてしまっては身も蓋もないというのが、今、僕もかなり緊迫した状況だと思っています。
次をめくっていただいて、ですから、釈迦に説法ですけれども、いかにしてこういったクリエーションに使っていくかであるわけですけれども、そもそもAIは効率化ではなくて、イノベーションに使わなければいけないと。
そうすると、次のページをめくっていただくと、先ほど伊藤COOの話がありましたけれども、やはり因果なんですよね。結局難しいのは分かっているとはいえどもですけれども、結局僕らというのは、ある事象を説明するときに、これが起きたらこれが起きるという形で進んだときに、これがどう説明できるかというのが大きいと。
そうすると、例えば、左上に書いたみたいな、つまり、2つの因果ノードがあったときに、それをある人間がつなぐことができて、つないでつながってほぐしたときに僕らは何か価値を生み出すということが基本的なイノベーションだと思ったときに、上の右ですけれども、距離が離れているところに、教育だったら足場掛けという言い方をしますけれども、することだって結びつけられて何かしら腑に落ちることはあるかもしれませんし、それから、左の下は、これ、SFプロトタイピングと最近呼んでいますけれども、そこで言うと、AIが突拍子もないことを言ったときに、それをどういうふうにつなぐかということですよね。結局つなぐということは、結局それは因果なので、ここは逃げられない話だと思って、だから、ここをどうつなぐかだと思っていますと。
このときに、次から幾つか簡単なポンチ絵を出しましたけれども、11ページ目へ移動していただいたほうがいいかと思うんですけれども、例えば、これが一個一個因果ノードを持ったときに、普通の人間でも上段と中段はつなげるかもしれないけれども、下段というのはなかなか難しい。僕自身も、サイエンスではないんだけれども、例えば、NEDOの研究でクリエーターと一緒になって作品を作ることをやりました。そうすると、やはりトップクラスのクリエーターというのはいろんなアイデアを出す。アイデアというのは、つまり、いろんな因果をつなげられるんですね。つまり、その人はもちろんつなげるだけの何かしらいろんな頭の中に素地があるところだと思うわけですよ。
そうすると、次をめくっていただくと、結局何が重要かというと、AIじゃないんですよね。AI for Scienceで重要なのは、そもそも我々のおつむのところになってくるわけですけれども、その議論がまだ何もされていないのは僕は危機にしか思えないというのは、技術等を高めていってもサイエンスは高まるわけはないんですよね。結局、人間が。これは、例えば、今年の5月の人工知能の全国大会で結構著名な先生を集めて話をしても、結局は人間のおつむですねということをつつくんですけれども、そこの話をなかなか僕は逃げている気がします。
ただ、人とAIの関係を考えたときに、例えば、このスライドですが、囲碁のことを考えたときに、囲碁空間というのはすごい膨大な組合せがある中において、もちろん人間ができるエリアは限られている。で、AIを使って広がっていらっしゃいました。
そのときに、先ほどのいろんなファウンデーションモデルを組み合わせようという言い方をしましたけれども、結果的にAIを使ったディベートにおいても、やっぱりばかでかいファウンデーションモデルが勝つんですね。つまり、今のスケールにおいては、どこまでできるか分からないけれども、やはりでかいのをつくれば、つくったのが持っていくという図式は基本的には変わらないと僕は思っています。
そうしたときに、例えば、右側ですけれども、ファウンデーションモデルの構築した知識空間があったとすると、一人一人は点在しているわけですよ。このときに、次をめくっていただくと、さっき壁打ちの話がありました。何をやっているかというと、基本的には左側なんですけれども、こちらの一人一人というのは、もちろん個性があり、バランスがあるので、一人一人の人間が、例えば、ChatGPT-5レベルの全知識空間をナビゲートできているわけはないんですよね。そうなってくると、もちろんAIが言ったことを解釈できなければ壁打ちはできませんので。ということは、自分ができる度量において壁打ちをすると広がっていくかもしれないけれども、基本的には、自分自身が想像できる想像圏というのがあるとすると、そこからはなかなか出れないと思うんですよ。
ところが、そう見たときに、よくちまたでいうプロンプトインジェクションですよね。インジェクションとか、最近、1日に10万字もやり取りするとかいう変な人が出てくるんですけれども、そういうトリッキーなやり方をしている人について、みんな同じような空気を感じるんですけれども、多分その人たちというのは、インジェクション的なことが起きていて、自分の想像力圏を結果的に出れているんだと思うんですね。
そのときに、彼らは神からの啓示とか何か恐ろしいことを言うんですけれども、でも、何かしらそこに新しい発見があることは間違いないと思っていますが、ただし、これでもいろんなアイデアは出てくるかもしれないけれども、本来のAI for Scienceと言ったときの人間の知識空間の中から出ていないんですよ。というのは、だって、この学習したモデルは、AIが獲得した人間のデータでできているわけですから、そこから新たな価値は多分出てきようがないと思っています。
次をめくっていただくと、そのときに、去年のノーベル化学賞、ハサビスさんたちが取ったのは何をやったかというと、ここは人間の知識能力に対して、AIの思考能力、推論能力を使うことによって、例えば、タンパク質の空間があった中において、人間を上回るものを発見したというのが彼らがやったことだとしても、基本的には、その推論能力とか思考能力はLLMのものを使っているわけなので。もちろんそれでもすごいことができるのは間違いないんだけれども、ただ、もちろん、いわゆる科学技術における一般的には、多分これで相当できるんだと思っています。
ところが、次をめくっていただいて、本来の意味でも、新しい発見というのは、そこから出なければできないですよね。特に、これに関して何が起きるかというと、大体ノーベル賞を受賞した先生方が、「いやあ、もう基礎研究じゃないけど、みんなやらない」みたいなことをちくちく言いながら、ひと月たつとみんな忘れるわけですけれども。ただし、ノーベル賞を取った方に聞くと、大体何を言っているかというと、狙って取ったのは一つもないはずなんですね。つまり、結局は偶発的なイベントとか失敗というのがあったときだけ外に出れるわけなので。だから、あえて失敗しろとは言っていないんだけれども、そういった状況になったときに、少なくとも今の我々というのはトライディレイができる生き物なので、偶発的な失敗とかができるから、それで未知の発見ができていますと。
問題は、次をめくって、なので、最近でも関西のある企業の人と意見が一致したんですけれども、よく調べて、失敗のデータとかログデータに鍵があると思っているんですね。つまりは、既成のデータというのは成功したものだから、そこからはなかなかそういう偶発性はなかろうと思ったときに、実は一番肝腎な日頃のログデータ、失敗データというのは、ほとんど取っていないはずなんですよ。と思ったら、ところが、そこが鍵ではなくて、そこからいかにしっかり取り出せるかが重要な話であって、ということは、まずこういったところから取り組むというのが、いわゆるこれがサイエンス実施の一歩だと思っています。
そうすると、次をめくっていただいて、この赤というのが何かしら偶発の失敗とかをしたときに、それを自分から見つけるにはいいんだけれども、それをさらにファウンデーションモデルをつくることによって、何かしら、因果ができるか分かりませんけれども、システムを見つけるとしたら、人間だけが見つけるのに比べれば、より大きな発見ができるかもしれないし、究極は、次のページなんですけれども、これはSakana AIさんもおっしゃっていた、まさに次なんですけれども、このAIモデルが自律化したときには、AI自身が実験して失敗できるレベルでつくらなきゃいけないわけです。そうすると、だから、ダスティブじゃなければいけませんけれども、そうなったときにはかなり大きな発見ができるだろう。
ただ、重要なのは、これがちゃんと説明責任がなければ我々が使えませんので、AIが説明できること、そして、それを我々が理解できるレベルにどういうふうにAIが落とすかというところは、当然必要になってくると思っています。
そうすると、その自律化をどうするかというところは、次のページは、これは全部吹っ飛ばしちゃっていますけれども、僕自身は、3.5というところは、あれはまだファウンデーションモデルの組合せのレベルと僕には思えています。ですから、3.5では駄目だと思っていて、その上で、インをしっかりできるモジュールを上につくらなきゃ駄目だと思っていて、それ自身がサイエンスは持っているんですけれども、それができた暁には、実際サイエンスのほうに進んでいけるんじゃないかと思っているところです。
次、最後はまとめのページなので、以上です。ありがとうございました。
【相澤主査】 どうもありがとうございました。
では、こちらもメモということで、よろしくお願いいたします。
続きまして、理化学研究所の近藤部門長からの御発表となります。準備ができましたら。では、よろしくお願いいたします。
【近藤部門長】 御紹介ありがとうございます。また、本日は御説明させていただく機会をいただきまして、誠に光栄です。理化学研究所の近藤と申します。
次のページをお願いいたします。本日は、特に「富岳NEXT」、「富岳」の次のスーパーコンピュータシステムの開発プロジェクトの御紹介も兼ねているんですけれども、まずその前に、AI for Scienceの高度化に向けた計算基盤の要件ということで、まず理研として何を考えているか、何を行っているかというところを少し御紹介させていただきます。
次のページをお願いします。ここの理研におけるAI for Science推進のための取組というものを、ごく簡潔にですけれど、まとめさせていただいています。
まず最初に、理研TRIP-AGISというプロジェクトを理事長のリーダーシップの下で実施しております。特にここでは、汎用的な基盤モデルを開発する。特に科学基盤モデルを開発するというところと、それを活用して、実験の自動化技術ですとか、シミュレーション技術と組み合わせて、科学研究の自動化を推進すること。そして、開発した基盤モデルとそれらの利用技術というものを幅広い分野に展開していって、科学研究の革新を目指すというところを目指した活動になっています。
また、別の視点にはなりますけれども、米国のエネルギー省と文部科学省の事業取決めというものがございます。こちらは特にスーパーコンピュータのシステムソフトウェアですとか、最近ではAI for Scienceの国際的連携というところに着目した日米連携の活動になっております。また、その中では、理研とアルゴンヌ国立研究所でMoUを結ばせていただいて、このAI for Scienceの推進に関して研究とか、あるいは、基盤モデルの相互利用といったところを進めさせていただいている次第です。
次のページをお願いします。こちらは「富岳NEXT」の調査研究のときに、特にAI for Scienceが重要だということはもう分かっておりましたので、そのためのロードマップをまとめさせていただいて、紹介になっていますけれども、詳細については、この資料を御覧いただければと存じます。
次のページをお願いします。そのときに、我々として何が将来このAI for Scienceのために必要なっていくかというところで、特に次世代のAI・HPC融合プラットフォームと計算基盤を開発していくことが重要だろうというふうに考えています。
特にデータ生成ですとかモデル構築、推論・思考に至るまで、もちろん計算環境が必要なわけですけれども、それを包括的に支援するようなワークフローを実行できる、そういう計算システムが必要になります。
かつ、マルチモーダルの基盤であったり、大規模モデルになったり、また、現状では分かっていないところでありますけれども、一人のサイエンティストが成果を出すために、どれぐらいのトークンがその研究に必要になるのか。
また、今後はAIエージェントを加速していきますと、もしかしたらそのAIエージェントが自律的に、先ほどからもお話がありましたように、自律的にシミュレーションを駆動する。そうすると、またそのループが加速すると、計算資源の必要な性能値も高まってまいります。その辺も加味して、どのような計算基盤が必要かということを考えつつ、また、どのようなソフトウェアを用意すべきかというところが非常に今後重要になってくるというふうに考えています。
その下に、その例として、基盤モデルを、例えば、個別のサイエンティフィックデータによってさらに特化型にして、それで推論によって様々な仮説の検定ですとか、実験の献立をつくるですとか、また、さらにシミュレーションを行う、あるいは、ロボットラボで実験を行うといったことも含めて、それらを自動化して、また、それがフィードバックされて結局データにも返ってくるし、基盤モデルもアップデートできるというところが、将来的にこのワークフローの重要な部分になってくるかと思っています。
次のページをお願いします。こちらは、その結果、どのようなシステムが将来的な実際計算基盤として求められるかというものが、国からまとめられた報告書の取りまとめになっております。
重要な部分を赤字にしておりますけれども、特にAI for Scienceの取組を通じて、そのために必要な計算資源量として、AI性能については、実行性能として50EFLOS以上ですとか、例えば、下のほうに機能的な側面では、AI等の研究開発のプラットフォームとして、世界で使われている基本的なアプリケーションが円滑に利用できるようにする、そういったことが求められている次第です。
次のページをお願いします。ここまでが前半の部分でして、これを基に、我々、「富岳NEXT」の開発プロジェクトというものを今年の初めから始動させていただいてまいりました。
次のページをお願いします。こちら「京」から「富岳」、「富岳NEXT」ということで、理科研究所、現状では計算科学研究センターですけれども、大規模なフラッグシップな計算基盤を運用して開発・運用をさせてきました。その経験もあったことで、先ほどの理研とアルゴンヌの連携ですとか、DOEと文部科学省の連携といったものの成果につながっているという一つの例かと思っています。
今後、「富岳NEXT」が話の中心になるわけですけれども、次のページをお願いいたします。現状としまして、スケジュール感を示しておりますけれども、今年度に基本設計ということで、大枠のシステムの構成を決めて、来年より実際の詳細設計を始めて、2030年ぐらいに運用開始を目標に、現状開発を進めております。
特に、今年の前半から取り組んでまいりましたけれども、実際にどのパートナーベンダーさんと組んで開発をするかというところで、6月にはCPUと全体システムは富士通さんにお願いすること、そして、8月には、GPUのベンダーとして、NVIDIAさんとパートナーシップを組むということを調達によって決めて、発表をさせてまいりました。非常に多くの反響をいただいている状況かと思います。
次のページをお願いします。そのときに、どういう開発戦略に沿っているかというところをここに書かせていただいています。
重要なところは技術革新ですけれども、少し見にくいですが、図がありますけれども、高性能CPU-GPUの密結合による広帯域・ヘテロジニアスなノードアーキテクチャ、これが特にAIとHPCの融合といったところで非常に重要になるというふうに考えていますので、その構成をめどにしていることと、あと、Made with Japanということで、国産技術のみではなかなかもう競争力あるシステムをつくれないという事実もありますので、積極的に海外のベンダーとも組みつつ、それによって日本の技術をさらに高度化していくというところも狙っていますし、さらにソフトウェアですとか、そのシステムを継続的にアップデートしていけるような体制ですとか実力をつけていくことを目指しております。
次のページをお願いします。先ほどの中に性能100倍を目指すと言いましたけれども、ここで、現状、半導体のテクノロジーを考えますと、ハードウェアの性能のみを大幅に高めるというのがなかなか難しくなってきておりまして、ハードウェアの性能では、うまくいって6倍程度になる。なので、あと100倍を目指すためには、何かサイエンスのブレークスルーのために100倍を目指すためには、残り20倍程度をどこで稼ぐかというところで、AIの力を借りることが重要であろうというふうに考えています。
その中には、サロゲートモデルの利用ですとか、混合精度演算機の利用ですとか、AIハードウェアの活用ですとか、あるいは、もしかするとAI for Scienceによって新しい、先ほどの想像できないような、そういう計算によって達成するということも入るかもしれません。このようなものを実行できる基盤をつくることが大事だろうというふうに考えられます。
次のページをお願いします。こちら、先ほど説明したところとかぶりますので、飛ばせていただいて、次のページをお願いします。こちらが、どのようなシステムを目指しているかという大枠の数字を書かせていただいています。こちらを基に、調達を実施して、今ベンダーさんに参画していただいている状況です。
次のページをお願いします。具体的なシステム構成として、CPUとGPUがどのようにつながっていて、それらがどのような並列構成になっているかというイメージ図を書かせていただいていますけれども、それぞれCPU部分とシステム部分は富士通さんと我々理研が担当するですとか、GPU部分は当然NVIDIAさん、また、GPU間のコネクションはNVIDIAさんと我々というところで、あと、CPUとGPUは、より広帯域でつながれるような技術を念頭に検討を重ねている次第です。
次のページをお願いします。そのときに、ソフトウェアをどのようにするかというのが、性能100倍ですとか、特にAI for Scienceでサイエンティストの皆さんに使っていただく上では非常に重要になると思っています。そこで、ソフトウェアの開発が重要になるわけですけれども、ここにどのようなシステムソフトウェアを開発していくかというところを書かせていただいていますけれども、特に下から2つ目と一番下のところ、AIアプリも含めてスケーラブルに実行するようなものですとか、あるいは、AIとHPCを有機的に連携させるような、そういうワークフローのソフトウェア、そして、Agentic AI等を活用した科学シミュレーションと各種ツールやサービスの融合などが行えるというところが今後重要になってくると考えていますので、それを集中的に開発していきたいというふうに考えています。
次のページをお願いします。こちら、エコシステムの形成に向けてということで、開発して広く使われないと意味がありませんので、広く使われるようなシステム、「富岳NEXT」だけではなくて、一般的にも多く使っていただけるようなシステムを目指してエコシステムをつくっていくということを重要視して、例えばですけれども、事前にテストベッドをつくって、それを使っていただいて、もう既に「富岳NEXT」時代にレディなソフトウェアをつくる、AI for Scienceも含めてレディになっていただいて、実際の成果をすぐに生み出していただけるような環境をつくるですとか、AIコーディングを使ってチューニングですとか、あるいはGPU化をしていくというところをサポートですとか、そういうところも含めてエコシステムを構築していくというところをここに書かせていただいています。
次のページが、そのテストベッドのお話ですけれども、こちらは省略させていただきまして、最後のページをお願いいたします。
最後、まとめになりますけれども、特に我々、データスケールの大規模計算環境というものを目指しています。それによって、特にAI for Scienceは、モデルの構築等、あるいは使っていくということも重要ですけれども、今後、自律的なAI等も含めますと、その計算能力、計算資源量というのも一つの重要なキーファクターになってくると考えております。そのような研究プラットフォームをどのようにつくって活用していただくかというのは、非常に重要な課題になってくると思っています。
また、産業競争力に資するということで、富士通さん、そしてNVIDIAさん、このような世界トップの企業様と連携させていただきながら、日本の技術の高度化を考えていくというところが重要になってくると思います。
最後に、赤字の部分ですけれども、特に本日のメッセージとしまして、計算資源というものは、特に日本では、フラッグシップのシステムの開発というものも含めて、世界からも一目置かれている分野だというふうに考えています。それによって、いろいろ我々と連携していただける、特に米国のトップのサイエンティストとかと連携できるという事実もございます。また、NVIDIAさんというように、今現状でAIの世界のトップ企業と言っていいと思うんですけれども、その方たちと一緒に連携できるといったものも、従来の系列があったからこそと思っています。
というところで、「富岳」に代表されるような計算資源インフラを持つ日本の強みを発展させて、世界トップのAIベンダーですとか研究者を引きつけることができていると、辛うじて日本の中でも引きつけることができている部分かと思っています。
そこで、それらの連携を発展して、我が国の存在感を示しつつ、AI for Scienceの勝ち筋につなげていくということが極めて重要ですし、我々も、それを日頃から考えて、そのためにサイエンティストの皆様にどういうものを提供できるかということを考えていますし、また、この視点を持って、かつ、ここには時間の都合上、書かせていただいていないんですけれども、量子コンピュータというのもまだ日本で非常に強みのある分野かと思いますけれども、それも含めてAI for Scienceを考えていくということは非常に重要だと思っていますので、ぜひ、我々だけではなくて、政策も含めて、この辺を十分に議論していただけると幸いに思っています。
以上です。ありがとうございました。
【相澤主査】 どうもありがとうございました。
それでは、最後の御発表となります。事務局、阿部参事官より、文部科学省における検討状況についてということで御説明をいただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
【阿部参事官】 では、量がありますので、ポイントを絞ってになりますが、AI for Scienceの推進に向けた基本的な考え方についてということで御説明したいと思います。
まず、中身に入る前に、AI for Scienceの言葉遣いについて、次のページで整理していますけれども、真ん中ほどの青字のところです。言葉だけ捉えますと、AI技術を科学研究のあらゆる段階に適応し様々な分野で活用する取組というふうに捉えられているかと思いますが、政策的に捉えるときには、AIそのものの研究であったり、環境構築、人材育成、社会実装まで含めて、少し広い概念として考える必要があろうかと思っております。
その上で、中身の説明に入りたいと思いますけれども、はじめにという次のページにおきましては、冒頭少し御説明しておりますので省略させていただきますが、一番下のところ、AIは、基礎研究段階を含めたあらゆる分野の科学研究の姿を根本から変えつつあるという状況かと思います。AI for Scienceを我が国の「科学の再興」の駆動力として、日本の科学力の反転攻勢のチャンスとするためには、やはりここ数年が勝負であり、スピード感を持って取り組むことが必要ではないかという問題意識を持っているところです。
ではまず、海外がどうなのかというのを調べたのが次のページになります。
各国におきましては、AIを重要技術と位置づけて、AIに関するインフラ整備・研究投資などを総合的に進める国家戦略がどんどん整備されているということで、ここではアメリカ、EU、イギリス、中国を取り上げておりますが、特にアメリカについて吹き出しになっているのが右下になります。
この取組の概要につきましては、4本の柱から成っていまして、データの話、計算基盤の話、そしてAIのモデルとシステムの話、これらを使って応用研究をどんどん進めると。大体各国似たような柱立てになっているのかと認識しております。
次のページ、EUの概要のところを載せておりますけれども、EUにつきましては、2025年、今年の4月に行動計画が発表されており、その中でAIファクトリーやAIギガファクトリーという取組が大きなお金をかけながら進んでいます。下から少し上の青字のところ、「科学におけるAI戦略」というものが、明日には発表される状況になっているところ、御紹介です。
こういった世界の情勢を見ながら、では日本はどうするのかというところですが、まず、日本の強みを少し整理してみようということで書いたものが、こちらのページになります。
日本全国をつなぐ流通基盤としてのSINET、また、研究データ基盤としてのNIIにあるRDC、こういったものがあるということは、世界にもまれな世界最高水準の情報基盤を有しているのではないかと考えております。
また、ライフサイエンスやマテリアル分野を始めまして、これまで蓄積してきました質の高い実験・観測データがあることは、AI for Scienceを推進するための大きな資産ではないか。加えまして、数理科学をはじめとした基礎科学力の蓄積というものも日本にはあるのではないかと。
さらには、AIやロボットに対する社会的受容性が比較的高く、制度的にもAI導入に適した環境が整っているというところもあろうかと思います。
また、長年蓄積されてきました中小企業などにおける先端機器等の製造能力というものも、日本にはあるのではないか。
加えまして、課題先進国とも言われますけれども、少子高齢化・人口減少が進展しているというのも、日本の特質・特徴、現状を捉えて考えるためには必要かと考えております。
こういったものを頭に置きながら、次のページで基本的な考え方を書いてみたものでございます。
日本の資産・リソースを十分に活かして、勝ち筋となるような、そういった分野の研究力を世界トップ水準に引き上げる必要があろうかと思いますが、そのためには、まず、研究インフラの構築・整備は不可欠だろうと思います。AIの利活用を前提に、中長期的な観点から、研究インフラと研究体制を一体的に捉えていく必要があろうかと思います。
その上で、日本の勝ち筋となるような先導的・先駆的な取組を世界トップ水準に引き上げていくとともに、次の種や芽を出していくというところの取組も一緒にやっていくことが必要だろうと思います。
加えまして、AIそのものが安全保障上も極めて重要な技術となりますので、信頼できる、また信頼されるAIの取組、AIそのものの研究開発ということで、こちらではScience for AIと書いていますが、こういった取組もやっていく必要があろうかと思います。
あわせて、高度な人材が不可欠となりますので、AI関連人材の育成・確保に向けて、全てのレイヤーで推進していく、そのための環境を構築していくことも重要だろうと思っております。
また、先駆的取組等を通じて、あらゆる分野においてAI for Scienceが波及していくためには、2030年代、全国どこでも誰でも、AIを使って研究活動が可能となるような社会を実現していくということをイメージする必要があろうかと思います。加えて、科学とビジネスが非常に近接化しておりますので、ビジネスとの好循環、こういったことも課題認識として持ちながら進める必要があろうかと思います。
こうした取組を戦略的に推進するためには、国としての推進体制を構築していくことが必要だろうということで、それをもちまして、研究インフラと研究システムを抜本的に改革していく必要があろうかと考えているところです。
今申し上げましたものを少しイメージにしたのが次のページになります。
目指す将来像となっておりますが、ここでは、下の丸3から説明させていただきますけれども、次世代情報基盤の構築ということで、先ほど御説明あった「富岳NEXT」の開発を始めまして、国として、やはりこの情報基盤をしっかりと構築していくということは、引き続きやっていく必要があろうかと思います。
これに、さらに右上の丸2、研究システムそのものをどんどん自動・自律・遠隔化して、研究データをどんどん出していく。
そして、それを、左上の丸1になりますが、各分野において科学基盤モデルの国産化なども含めまして進めまして、AI駆動型の研究開発を強化していく。そして、どんどん成果を出していく。これらを一体的に捉えて、サイクルが回るように進めていくことが必要であろうと考えております。
次のページから、8月5日の情報委員会でいろいろな御意見をいただいたところですが、それ以降、精力的にヒアリングを進めておりまして、現在、約70名以上の方から御意見等を聞き取っているところですけれども、そこの中から特に多く御意見をいただいた点を、ここでポイントを絞って載せているところです。1つ、AI for Scienceの現状というところでは、生成AIの活用は進んでいる一方で、実験系の業務への応用がまだ途上ではないかということであったり、また、AIの探索の幅が広がっていっていて、“見つけてくる”もしくは“組合せでの発想”というものは進んでいる一方で、新たな発見というのはまだできてないのではないかという点。
日本の強みというところでは、伝統的な蓄積がある数理の話、世界的にも強いライフやマテリアルの話、ロボット、そして、良質なデータという点を御指摘いただいています。
また、方向性として、投資規模では米中に対して勝ち目がないため、日本の強みにいかに戦略的に投資していくのかという点であったり、国産の基盤モデルの必要性、自国でつくれる技術力の維持という点の御指摘もいただいております。
また、AIの新しい原理・アーキテクチャの創出であったり、シームレスなシステムにすべきであるという点。分野特化型のモデルなどが主流になってくるのではないかということで、オーケストレーションをしていくようなAIエージェントが重要ではないか。また、生成AIが入ることで変わる科学研究について、メタサイエンスという観点も重要ではないかというご指摘をいただいています。
次のページ、続きになりますけれども、データの戦略というところで、これまで蓄積してきた独自のデータをいかに活用するかというところが重要ではないか。データセットをつくるというところがAI研究と同じくらい重要ではないかという点。
期待される推進体制として、異分野の研究者が主体的に交流・連携する場の創出が重要ではないかという点。機動的に計算資源分配・マッチングを行う仕組みが必要ではないかという点。
それから、中核的な研究領域特化型の拠点を複数形成して、自由な交流や研究を行うということも必要ではないか。また、AI活用のアイデアを概念実証でどんどん試して、方向性をAIの専門家に助言してもらう、そういった検証をしていく必要があるのではないかということ。AI研究者とチームを組んで、本格的な発展に進めていくということも望ましいのではないかと。
また、使いたいと思ったときに気楽にデータや計算資源、AIにアクセスできる、そういう試せる場が必要ではないかという点。また、失敗や計画の変更を許して、研究者の主体性を尊重するような制度が求められるのではないかという点。
人材に関しましては、AI・データの管理・活用をサポートできる専門人材が重要ではないかという点と、エンジニアが重要であるということ、ここは前回の委員会でも御指摘あったところかと思いますが、処遇改善やエンジニアを主体とした開発体制、AI for Engineeringという御指摘もいただいているところですけれども、そういったところも重要ではないか。それから、人材流動性、スタートアップの創設、こういうものも促進すべきではないか。こういった幅広い御意見をいただいているところです。
こういったヒアリングなども踏まえながら、今後の方向性と課題というものをまとめてみたものが次のページになります。
日本全体のAI for Scienceを、スピード感を持って戦略的に推進することが必要だろうというところで、AI利活用を前提に研究基盤・研究システムも転換していくということが必要かと思いますが、ここでは大きく6つに分類させていただいています。
1つ目が、AIの研究とAI利活用研究において先駆的・先導的な取組を推進するということ、あわせて萌芽的・探索的な研究であったり、きっかけづくりというものもこの中には含まれるかなと思います。
2つ目が、AI駆動型研究を支えるデータの創出・活用基盤の整備ということで、研究システムをどんどん自動・自律化していく、そしてデータを出すという取組が必要かと思います。
3つ目が、次世代情報基盤の構築ということで、計算資源の拡張・共有であったり、戦略的な研究資源の分配、また、データの管理・利活用・流通の在り方をどうしていくのかということがあろうかと思います。
4つ目が、人材の育成・確保、産学・国際連携の強化ということで、様々な取組が必要ですけれども、トップサイエンティストやデータサイエンティスト育成、リテラシーの向上、リスキリングなど、様々人材育成にはあろうかと思います。また、産学連携等についても、科学研究から産業への橋渡しであったり、スタートアップ支援などもあろうかと思います。
こうした丸1から丸4のようなことを進めようと思いますと、やはり丸5としまして、大胆な投資も必要となってくるでしょうし、そのための推進体制の構築というものも大きな課題になってくるのではないかと捉えているところです。
この推進体制の中におきましては、単に体制を構築するだけではなくて、ネットワーク化であったり、コミュニティの強化であったり、また、オープン&クローズ戦略、そういったことも検討していく必要があろうかと思っております。
以降のページにつきましては、こちらの丸1から丸6に対する方向性や補足説明ということになります。
次の12ページ目のところは、まず丸1として、先駆的・先導的な取組の推進というところになりますけれども、アメリカやヨーロッパ等におきましては、国家的な取組として、リソースを有効活用して、戦略的に推進しておりますので、日本として、ここをどうしていくのか。
例えば、一番下にありますけれども、計算資源等のリソースを戦略的・機動的に分配しながら、重点分野への集中投資により、世界をリードすることを目指すプロジェクト型の研究や、あらゆる分野に波及・振興及び日本独自の競争優位性を築くための先駆的な研究を目指す個人型の取組、こういったものを両輪として、柔軟かつ機動的な研究開発を推進することが必要ではないかと考えているところです。
次のページが、データ創出・活用基盤の整備というところになりますが、AI for Scienceの実現のためには、より多くの研究者がAIを活用した研究環境を利用するということ、また高品質かつ大量のデータを継続的に生み出す研究システムの構築が重要だというところになりますが、大規模なオートメーション/クラウドラボの形成をやっていくことが不可欠ではないかと考えております。高品質な研究データを創出・活用するために、全国の研究大学等において、コアファシリティを戦略的に整備するとともに、先端的な研究設備・機器の整備・利活用・高度化・開発を推進するということが今後必要になってくることではないかと考えております。
次のページが、次世代情報基盤ということで、情報資源の戦略的状況というところになりますが、科学研究におけるAI for Science、AI利活用を本格的に進めていくためには、GPUを搭載した膨大な計算資源を有する計算基盤が不可欠になってくるところです。
計算資源の確保に向けましては、アカデミア・民間企業の既存の計算資源の有効活用と、そういったものも関係省庁と連携して最大限追求していくということが必要になりますけれども、短期的実装と中長期的な全体底上げを見据えつつ、共用計算資源の増強に向けた取組を強化することが必要ではないかと考えております。
ここは少し重要な点なので説明をもう少し説明させていただきますけれども、その際、クラウドサービスでは、即時の利用に加えまして、セキュリティ対策など、日々の運用やそのための人員確保などの、そういったものをサービス事業者に任せられる利点があると思います。
一方で、オンプレミスでの計算基盤の運用では、利用者のニーズに基づいたカスタマイズがしやすいという点であったり、また、計算基盤の運用を通じた専門人材の育成ということも行うことができるかと思います。そのため、使用用途などにもよりますけれども、日本の科学研究を支える上では、中長期的に考えれば、オンプレミスでの整備・運用というところも有益であると考えます。
特に日本では、複数のハイパフォーマンスコンピューティングで共有の枠組みがあり、HPCIという枠組みをつくっておりますけれども、これらを高速につなぐSINETが長年にわたり整備・運用されているほか、研究データの管理・利活用のための中核的なプラットフォームとして位置づけられたNIIのRDCが構築されている。こういったことは他国にない強みであると言えるかと思います。
また、国内の大学等研究機関の有するHPCほぼ全てがSINETに結ばれているからこそ、「富岳」の16万ノードを含む巨大な計算資源を、HPCIという枠組みで全国共有的に管理・運用できる情報基盤が構築されているといったものは、日本の強みであると考えます。
さらに、日本におきましては、質量ともに各国に先行している材料データ、医療画像、それから、地震観測データや地球観測データのような、テラバイトからペタバイト級のデータが局所的に蓄積されているという状況もあるという中、基盤モデルの学習をはじめ、これらのデータを大量に扱う場合には、オンプレミスとして設置・運用したほうが効率的である場合もあろうかと思います。また、医療データなどの個人情報等の観点から、外部にデータを持ち出すことが難しいという面もあると聞いております。
他方、オンプレミス等の計算資源の整備や調達・整備に一定期間を要するというところもありますので、日進月歩で進むAIに係る研究開発におきましては、即時の利用拡大が可能なクラウド型の利用も念頭に、サポートしていく必要があろうかと思います。特に、既存モデルにおける推論などでの活用や、フィージビリティスタディ等で基盤モデルの開発などを可及的速やかに推進するという観点からは、こういったクラウドでやっていくということも有効と考えます。
ただ、このクラウドサービスにおきましては、新しいGPUインスタンスがリリースされた直後などにおきましては、世界中で一概にそれを確保するために、利用待ちであったり、また、在庫なしの状況が頻発するということもあると聞いております。したがいまして、これらの契約につきましては、個々の研究者によるオンデマンド型の支払いもさることながら、例えば、一定のまとまりを前提とした上で、リザーブドコミット契約を念頭に置いた利用が、即時性や効率性の観点からも効果的ではないかと考えるところです。
共用計算資源の増強につきましては、こうした特異なAI開発環境を踏まえつつ、AI for Scienceを可及的速やかに推進する観点から、当面のクラウド計算資源の確保と併せて、中長期的視点から、早期のGPU調達と並行して、オンプレミスでの計算資源の拡充・利用を推進していく、こういったハイブリッド戦略が有効ではないかと考えているところです。
ここの部分、説明が長くなって恐縮ですけれども、以上になりますが、15ページ目には、ヨーロッパの取組について紹介を入れております。

それから、16ページ目、AI関連人材の育成のところですけれども、国内におけるAI研究開発力の底上げと研究開発人材の育成、これを一体的に進める必要があるというところで、文部科学省におきましては、初等中等教育段階から若手研究者育成まで様々なプログラムを行っておりますけれども、こういったところと一体的に人材育成を幅広くやっていく必要があろうかと思います。
17ページ目は先ほど御紹介ありましたので飛ばしまして、18ページ目、丸5、大胆な投資資金の確保・環境整備ということで、研究投資の重要性のところになりますけれども、ここでは、世界全体のAI投資額の推移が左上、その中で、2024年を取り出しまして、民間投資の状況を示しているのが右上になります。GAFAを中心に、アメリカが圧倒的に多い状況かと思います。左下が、5年間における各国政府の投資額を表しております。最近では、EUでは、今年の2月に200億ユーロの基金を設立したり、また、中国でも国家AI基金といったものを設立しているという状況だと承知しております。
それから、19ページ目、丸6としまして、推進体制の構築になります。AI for Scienceの取組を強力に推進するためには、やはりリソースが必要となるところですけれども、組織や分野を超えた戦略的・統合的な推進が不可欠であろうと考えております。AIに係る動向は非常に進展・改革が速く、不確実性を伴うため、数年後の明確な勝ち筋を明示できるものではないのではないかと捉えております。中長期的な視点で柔軟かつ効率的な支援が、だからこそ必要ではないかと考えているところです。各取組を有機的に加速するための仕組みを構築して、全体の最適化・効率化を図りつつ、研究開発を機動的に推進することが必要ではないかと考えている状況でございます。
それから、20ページ目、工程表の素案と入れておりますが、こちらは今後の議論を踏まえながら高度化していかなければならないところですけれども、来年度から始まります第7期科学技術・イノベーション基本計画の5年間を集中改革期間と位置づけまして、スピード感を持って戦略的に推進することが必要ではないかと考えております。
次のページが最後になりますが、おわりにというところです。
AIの急速な進展によりまして、研究開発の在り方そのものが歴史的な転換点を迎えていると考えております。AIがまさにこのゲームチェンジャーになってきているというところかと認識しております。
そのため、AI研究開発力が科学研究力に直結する時代になっていると捉えておりまして、AI for Scienceが日本の「科学の再興」の重要な駆動力の一つになるのではないかと。
一方で、AI研究における国際競争は非常に激しいものがありますので、切迫感・危機感を持って取り組むことが重要ではないかと思っております。
そういった中で、日本の強みを創出し、技術的優位性・不可欠性を確保していく。そして、反転攻勢に向けた駆動力としていくということが必要であろうと考えており、一番下に記載しているとおり、スピード感を持って強力な政策誘導が必須ではないかと考えております。
以上のような形で、今の検討状況を御紹介させていただきましたが、以降につきましては、参考資料が大量に載っております。ここでは一つ一つ申し上げませんが、ざっと何が入っているのかだけ御紹介したいと思います。
24ページ目以降、ヒアリングについて、先ほど簡単に申し上げましたが、もう少し細かい、どのような御意見があったかというのを数ページにわたって入れておりますので、時間あるときに眺めていただければと思います。
その後ろに、AIの発展の歴史であったり、AIランキング、論文の動向、各国のAI戦略の概要としてアメリカ、中国であったりを入れております。
また、48ページ目には日本のAI法の概要の御紹介、49ページ目には我々の方で取り組んでおります生成AIの透明性・信頼性の確保に向けた事業の御紹介、50ページ目にはAI for Scienceで何がどう変わるのかというイメージを持たせるような資料を入れています。ここでは科学研究がどう変わるのかという資料でして、左が過去、Beforeというところで、研究者の方が非常に時間をかけながら、いろんな調べ物をし、探索をして、実験をして、論文を作っていたところ、それが現在は、ある程度実験については自動化していき、またスーパーコンピュータ等について非常に高度化していますので、高速化している部分もあろうかと思います。そこに、さらにAIを活用すること、AIの開発を進めることで、AI基盤モデルの開発、データをどんどん出して使っていくこと、AIエージェントの開発、こういったことを進めることによって、右にあるAfter、将来として、AIエージェントとの対話による科学研究を遂行するようなものが見えてくるのではないか、そういうイメージでございます。
あわせて、1ページ飛ばしまして、52ページではどのように変わっていくかということでライフ・イノベーション、55ページではマテリアル・イノベーションも同じような資料を入れています。59ページ目、60ページ目については、変わる防災・地球環境、変わるフロンティア領域ということで御紹介をしております。
62ページ目では、理化学研究所の取組の紹介をしておりますけれども、特に63ページのところを一つ御紹介したいと思います。「日本版科学者AIジャムセッション」という取組を理研のほうで準備していることで、参加申込み中になっておりますけれども、こちらは、今年の2月にアメリカで開催されたものを今度は日本でぜひやろうというものでございまして、日本の科学者が最先端AIを研究に活用するために、入り口をつくるんだという取組、こういった機会をつくるという取組もこれから始まっていこうとしているところの御紹介です。
その後ろの方の資料については、研究インフラの状況であったりとか、海外の状況含めて、日本でどういった取組をしていくかという参考資料を幾つか入れているのを、ぱらぱらと御覧になっていただければと思います。
後ろの方では、HPCIの状況であったり、また、今後の計算資源がどのような推移になっていくのかというのを71ページ目に入れております。
ちょっと説明が長くなって恐縮ですが、事務局のほうからの説明、以上になります。よろしくお願いいたします。
【相澤主査】 どうもありがとうございました。
それでは、質疑・討論の時間に入ってまいりたいと思います。
ここで、現地の御参加の方も含めまして、可能でありましたら、ビデオをオンでお願いしたいと思います。現地参加の方におかれましては、お手元のZoomの下のほうにありますビデオボタンを押していただけましたらビデオオンになりますので、よろしくお願いいたします。
討論の時間は25分弱という形でございますので、少し短めに、なるべく多くの方に御発言いただけるような形で、また、本日ちょっと言い足りないという場合には、いつものとおり、後日、事務局宛てに御意見をお送りいただけるような機会もございますので、よろしくお願いいたします。
では、挙手いただいた方からお願いしますということで、湊先生から、よろしくお願いいたします。
【湊委員】 今日、相関と因果という話が2回ぐらい出てきたと思うんですけれども、相関って割と数学的にきちっと定義できるんですけど、世の中の人が因果と行っていることは、実は数学的にはなかなか定義するのは難しいと思っています。
結構因果と言っている中には、単に時間的にずれて発生する相関関係のことを因果と言っている場合も結構あって、そういう場合というのは、それはそれで役に立つんですけど。例えば、地震で縦揺れのP波が来てから横揺れのS波が来るとかというのは科学的な知識だと思うんですけれども、それはそれですごく役に立っているとは思うんですけれども、でも、それは別にP波がS波の原因になっているわけではなくて、別に原因があるわけですけれども、でも、世の中の人にとっては、例えば、エルニーニョが起きているから気温が高くなるとか低くなるとか、そういうのって、本当の因果かどうかというのは怪しいわけですけれども、でも、そういうのも含めて、全部何となく因果と言っているのかなと思っています。
なので、本当の因果というのは、結果を動かしても原因に影響しないとか、原因を動かしたら結果に影響するとか、そういうのが本物の因果だと思うんですけれども、その辺が何かごっちゃになって使われているので。ただ、どちらにしても、科学で客観的に検証するというところで、時間的にずれて発生する相関でも、それはきちっと証明できれば非常に世の中に役に立つので、そういうものを。
だから、今、何を因果と言っているのかというのは、ちょっと注意して言葉を使わないといけないなと思いました。
感想です。すみません。
【相澤主査】 ありがとうございます。
因果について、栗原先生から一言いただけますか。
【栗原会長】 湊先生、こんにちは。栗原ですけれども。
僕自身も、因果って、先生おっしゃったように、いかに僕も広い色で使っちゃっていると思っています。例えば、今だったら、金利を下げたらどうなるんですかみたいな。でも、少なくとも僕の場合、時間というよりかは、やっぱりある事象が起きたときに、その事象が次の事象に影響を与えるという、そのぐらいでは少し制約を与えていますけれども、少なくとも重要なのは、僕らが分かるレベルの因果が、それが物理的であり何なりというところまでちゃんとつなげられる説明可能性があるとか、その辺りはかなり重要なんだろうなと思って使っています。
【相澤主査】 ありがとうございました。
では、続きまして、尾上先生、よろしくお願いいたします。
【尾上主査代理】 私から永野フェローに。御説明の中で、各国、各分野のAI論文規模という、この資料を見せていただいて、読み取り方をどう考えていけばいいかなというのをすごく悩んでおります。
これ、例えば各国の動向がこれで読み取れるかというと、ちょっとよく分からないなと思ったりとか、あるいは、先ほど阿部参事官が御説明いただいたような、いろんなAI for Scienceの施策が打たれた上で、そうすると、これがどう変わってくるのかというところがあったりとか、日本はどこを目指す、全分野で合計して比率を見ると1位になるようになるので、全部1位を目指すのか、もうこんなとんがったり、とんがっていないところがあっていいものを目指すのか。これだけではなくて、ひょっとすると、各分野、各国の総論文中のAI論文化比率みたいなのでプロットすると、もう少し特徴が出るのかなと思ったりなんですけど。
例えば、CRDSでこれを見ながら、どういうふうに知見を得ようというのが何かありましたら、教えていただければと思います。
【永野フェロー】 御質問ありがとうございます。
おっしゃるとおりでして、これ自体は2024年時点のスナップショットの論文数に関する傾向として、しかも、キーワードで検索して抽出しているだけのものになります。中にはノイズも含まれるようなデータであることは、まず前提として御容赦いただければと存じます。
P10の表は、その国において、ある分野においてAI関連のキーワードが出てくるような論文がより多いのか少ないのかの傾向を見るようなものですので、傾向として国ごとの違いは見えてきます。ただ、その違いをどう解釈するかは、このような論文統計だけからではやはり無理があります。実際の各分野、さらにもう少し詳しい領域で、どういう研究開発動向があるのかの実態との関係を見ながら検討する必要がありますので、あくまでそうした検討の入り口段階において、一つの傾向を把握するためのものだと御理解をいただければと思います。

【尾上主査代理】 ありがとうございました。もっと分析すると、いろいろ面白いのが出てくるかなと思いました。
【相澤主査】 ありがとうございました。
では、星野先生、よろしくお願いいたします。
【星野委員】 大変勉強になりましたが、資料1-5のところに関してコメントがございまして。
全然違う例で理解いただければと思いますが、世界的に営業活動にAIを使って、AIで営業の効率化をしようとするような会社は結構いっぱいいるんですけれども、結構うまくいってないと。何でうまくいってないかと言ったら、例えば、トップ営業マンがそんな暗黙知とかデータを出してくれるわけはないでしょうと。もしそれをやってしまってAIに取って代わられたら大変なことですよね。
同じような形で考えますと、多分、日本の場合、ライフサイエンスとか、材料構造の一部とか、かなり集中してそのような形でうまくこのようなAI for Scienceに取り組むということが非常に重要かと思いますが、その際に、やっぱりインセンティブ設計をどのようにするかということは非常に重要かと思います。
やはり資源が限られているところで、特定の、かつすごく強いところに使っていただくために、単にシステムがあれば使ってくれるだろうとか、それを使ってくれなかったら研究費を取れないようにするとか、いろいろネガティブなことを考えると、どうしてもやはりなかなか抜け道はございますので、やはりちゃんとそれを使っていただいて、成果を出していただいて、それをほかのところでも使っていただいたら、何なら使っていただいた研究のコオーサーシップを一部認めるとか、何かしらデータを出していただく、フィールドを出していただくという方に対するインセンティブ設計をちゃんとしないと、なかなか抜け道があって、結局、業績評価される学者からしたら、なかなかそんな暗黙知なり何なりを出すということは難しいかと思いますので、やはり強い分野で日本が勝てるために、そこに集中投資するとなれば、分野を絞って、非常に強いところに使っていただくための何かしらインセンティブ設計をちゃんとしないと、なかなかうまくいかないんじゃないかなとちょっと思いました。
以上でございます。
【相澤主査】 ありがとうございます。
インセンティブ設計、この委員会でも時々話題になる点でございます。非常に重要かと存じます。
もし何かフォローがありましたら。よろしいでしょうか。ありがとうございます。
では、引原先生、よろしくお願いいたします。
【引原委員】 先ほど栗原先生が、AIは本来効率化のための使い方ではないとおっしゃっていましたけれども、文部科学省の方の基本的な考え方についてというのは、かなり効率化を目指したようなテーマが多かったように思いますね。だから、その効率化の先に何を目指すかというところは、やはり先生方がちゃんと御議論される必要があるのではないかなと思いました。
もう一つは、先ほどデータとAIの開発、あるいはそれが両輪だという話があったんですけれども、2025年から義務化されて成果、論文とそのエビデンスデータをオープン化するという話はあるんですけれども、まだ粒度が非常に粗いと思うんですね。それをそのまま入れたからといって、AIがそれに基づく何かの推論をするとかいうレベルではなくて、どういう方向のデータを出していくようにすればいいのかとか、そのところがまだ曖昧なので、ただただ出せと言っても、そこはインセンティブみたいな話にて、何か違うところに行ってしまうような気がしてしまいましたので、その辺の制度設計というのが重要なのではないかなと思いました。
よろしくお願いします。
【相澤主査】 ありがとうございます。
そうですね。あと、後ほどまた事務局からのフォローがありましたらと思いますが、これについてよろしいでしょうか。ありがとうございます。
では、小林委員、よろしくお願いいたします。
【小林委員】 小林です。近藤さんにちょっとお聞きしたいんですけど。
14ページの絵を見ますと、富士通、NVIDIA、その間をつなぐリンクという、非常にシンプルで分かりやすいんですけど、逆に、これが理研が組むことによって得られる効果というか、単にそれぞれがつくっているものをつないでいるのではないというようなところは、どういうところがあるんでしょうか。
【近藤部門長】 特に、最近のAI向けのコアクセラレータといいますか、加速器を作っているベンダーさんのモチベーションとしては、やはりAIの市場が大きいということもあるので、AIに特化したシステムに行きがちなところを、我々、AI for Scienceのためには、AIとHPCが融合したシステムが重要だというふうに考えていますので、GPUだけではなくて、かつGPUにもちゃんとHPC向けの性能が出るものと、CPUも、特にHPC向けのオーバークローの中には重要な面もありますので、それをいかにうまく広帯域で組み合わせられるかといったところですとか、あとは、そのためのネットワークをどう構築するかといったところは、恐らくは各ベンダーが独立にやっていてはできないところを、我々がこういう体制をつくらせていただいたことによって初めてできるところかなと思っている次第です。
【小林委員】 そうですか。ぜひ、そういう形で進めていただけると人材育成にもつながると思いますので、よろしくお願いします。期待したいと思います。
あと、もう一つは、やっぱり今回も100倍という数字が出てくるんですけど、その100倍が、6倍掛ける20倍で120倍ぐらいの、こういう計算なんですか。すみません。ここに書いてある100倍の意味なんですけど。
【近藤部門長】 実際そういうことで、掛け算ということですね。
【小林委員】 そうですか。そうすると、その20倍の根拠というのは、ここに幾つか書いてありますけど、ここはある程度今でも使えるようなことが書いてあるようにも思うんですけど、これは、それをさらにもっと何か工夫をするような意味を込めて書いてあるんですか。
【近藤部門長】 すみません。説明が不足していたかもしれないんですけど、特にAIのハードウェア性能というのはどんどんかなり伸びている状況かと思います。「京」のときには全くなくて、「富岳」である程度入れたんですけれども、現状ではAIの需要が高いということで、AIの性能は一番下にあるんですけど、300倍ほどになると。
これをうまく活用してAI for Scienceで100倍を達成するためには、ここの300倍のところのハードウェアをいかに有効利用できるかというところで、それを助けるソフトウェアですとかライブラリというものを構築することで、この最大20倍のところを理研が主導して狙って、掛け算として、ハードウェアで五、六倍からこの20倍を掛け合わせて、やはりアプリの形がここに100倍というぐらいないとブレークスルーは起きないという意見も多いので、それを一緒に頑張りましょうという意思表示だと思っていただければと思います。
【小林委員】 このアプリと書いてあるのは、従来のシミュレーションから、AIも含めて100倍ということになるんですか。
【近藤部門長】 はい。AIを有効利用したシミュレーションで100倍ということです。
【小林委員】 そうですか。平均どのぐらいなのかなという気はしますけど、期待しております。ありがとうございました。
【相澤主査】 ありがとうございます。
では、天野委員、続いて、若目田委員の順番でお願いいたします。
【天野委員】 今回、計算資源の整備という点で、オンプレミスということをかなり重要視していらっしゃるというのを伺いまして、かなり意外に思ったんですけれども、一方で、HPCI、つまり今のスパコンのやり方というのを割とそのまま使っていくような印象を受けて、それとオンプレミスの話があまり結びつかなかったので、どのようにこれをやっていくのかというのを、もうちょっと御説明いただければありがたいなと思います。
【阿部参事官】 事務局です。ありがとうございます。
クラウドサービスを利用できる環境が徐々に増えてきていますので、それを有効に活用するということも必要でしょうし、一方で、全体的な計算資源、各国を見ていましてもどんどん増強していて、日本もこれから利用が進めば一定程度の規模の計算量は増えていくだろうという状況にあると思っていますので、HPCIの増強・強化を含めて、オンプレでの強化ということもやっていく必要があろうかと。そのため、ハイブリッドの戦略が重要ではないかと申し上げたのは、そういう意味合いで申し上げたところです。
【天野委員】 ハイブリッドは重要だと思うんですけれども、これ、HPCIというのは、ある程度拠点をつくって、そこにセカンドティアとかサードティアのスパコンを装備するというやり方ですよね。それ、オンプレミスというのは、もっと細かいところにGPU資源を配分するということなんですか。
【阿部参事官】 ありがとうございます。
このHPCIに限らず、それぞれの分野の中で必要な計算資源を別途確保しなければならない部分も出てくるだろうという意味で使っております。医療データ等々、なかなかこういったネットワーク上に載せられないという話も聞いておりますので、そういう場合には、オンプレミスで整備しながら活用するということがあろうかと考えております。
【天野委員】 なるほど。これは何か面白いというか、今までなかった枠組みなので、難しいかもしれませんが、頑張ってくださいませ。
【栗原計算科学推進室長】 では、1点補足いたします。計算科学推進室長の栗原でございますが。
恐らくオンプレミスという用語の趣旨が多岐にわたるので、その御理解かなと思いました。そういった点では、べアメタルというほうが正しいかもしれませんね。HPCIはクラウドではなくべアメタルという趣旨でのオンプレミスという発言でございました。
一方で、クラウドという単語は、民間クラウド事業者のクラウドもありますし、また、HPCI自体の運用の改善も、HPCI計画推進委員会でも継続して議論をしているところでございます。ですので、HPCIをさらにクラウド的に利便性高く利用可能にしていく、そして、HPCIの資源をさらに整備したり、多様な計算資源を適切に利用できるようにしていきたいと、そういう趣旨でございます。
【天野委員】 分かりました。ありがとうございます。
【相澤主査】 ありがとうございます。
では、若目田委員、大武委員、青木委員で、恐らくこれで時間いっぱいとなると思いますので、お三方ということで、よろしくお願いいたします。若目田委員。
【若目田委員】 今オンプレミスの話が出たんですけど、私もそこは非常に関心を持って伺いました。
多分、重要なことは、本当に必要なものに必要なリソースを我が国に確保するということに関しては疑いの余地はないのではないかなと思うんですが、やっぱりそれに関しては、その集約化というか、そういう意味で、計算リソースだけではなく、一部あったと思いますけれども、研究者の仕事の中で、もう共有してもいいこと、本当にいろんな交渉事とか、そういうことも含めて、リソースだけではなく、AIが入ることによって変わる、その集中化とか、そういった部分というのも非常に重要ではないかなというふうにちょっと思っております。そういう意味で、ばらばらとというよりは、必要な研究に対して必要なリソースを合理的に戦略的に設けるということには意味があるのかなと思いました。
今回、データ創出基盤という言葉、これ、今まで情報基盤とかデータ基盤という表現だったと思うんですけれども、多分、データ創出基盤という言葉が非常に新鮮に受け止めました。これは研究の過程におけるデータそのものを、人とか、先ほどインセンティブの問題があったと思うんですけれども、そういうことによらず、ある種自動的に創出していくという考え方かというふうに受け止めましたが、非常にこの部分に関しては重要でかつ面白い考え方だなと思って、ぜひ推進すべきかなというふうに感じました。
それにもちょっと関連するんですけれども、日本の強みとかというところになると、少子高齢化とか人口減少、これで生産性・効率性の重要性ということが示されると思うんですけれども、それ以外にも、少子高齢化等と人口減少ということで言うと、多分パーソナルデータとか個人データの活用とか、かなり意識をして研究サイドに集約して、活用できる環境をつくるということに関して、何らかの工夫であるとか、場合によっては法制度等々も必要になる部分かなと思いますので、本当に重要なことに関しては、その研究領域に関して、かなり恣意的にデータを集約し、かつ、今後は自動的にデータが創出される、そういう流れをつくるということと、その対象領域、今、特に医療に関しては、国の中でも医療データの活用に関する法制度の見直しということで、個情法の改定と同期を取ってやっておりますけれども、必ずしも研究・民間連携するのは医療だけではないと思います。同じように必要な領域、重要な領域に関しましては、戦略をしっかりつくって、場合によっては制度的なもの、物によっては民間も巻き込んだデータ戦略と、将来的にはデータ創出基盤の連動、こういったところを目指すべきかというふうに思いました。
以上でございます。
【相澤主査】 ありがとうございました。
では、大武委員、よろしくお願いいたします。
【大武委員】 よろしくお願いします。大武美保子です。
このAI for Scienceがある将来がどうなるかをシミュレーションすると、今もあると思うのですけれども、やりやすい研究ばかりどんどん増えていくという、何かそういう、ほとんどがつまらない研究で、たまに面白い研究があるという状態になりそうなことが容易に想像がつくと、まず考えました。
特に、Sakana AIの伊藤様がお話しされていましたように、最後の実社会と着地させようとするときに、結局、モデル化できるものしかAIで回せないので、の時、どれをモデル化していくのかを川原委員が質問されていました。データができれば、できたところでみんなで寄ってたかって研究をする、けれども、モデルもデータもないところはいつまでたっても研究されないということが起こりえます。
もちろん、AIがどのデータを取ったほうがよいといった助言をしてくれて、戦略的にデータを取ることも行われるかとは思うのですけれども、このツールを別に日本だけとか研究者だけが持つわけではなくて、みんなが持つ状態になると、ある中で効率よくたくさんできる人がたくさんやる、物量がものを言うようになりそうです。そういうふうになったときに、それで勝つには、あるいはそのような状況で本質的なことをやるにはどうしたらよいかを考えることが大切だという視点は、どこかに書いておくことが重要ではないかと考えます。
【相澤主査】 ありがとうございます。貴重な意見いただきまして。
永野フェローから、メタサイエンスで少しもしあれば。
【永野フェロー】 大変ごもっともと思います。「面白い研究」や「社会から支持される研究」には、様々な見方があると思います。研究する側から見たときには、このようなAIの時代がどんどん進んでいったときに、果たしてどこに研究者としての好奇心の発露を求めるのか、あるいは生み出していくのか、そういうところのほうが非常に大事なのではないかと考えます。そうしたとき、今回議論しているようなAI for Scienceの世界観において、研究者の好奇心に駆動される、そこから生まれる新しい価値やその提起が、おそらく最後、私たち人間が科学することの砦であったり拠り所になるのではないかとも思っています。

【相澤主査】 ありがとうございます。
大武先生、よろしいでしょうか。
【大武委員】 ありがとうございます。
あともう一つだけ。栗原先生がおっしゃっていた、失敗データが全然ないという話をおっしゃっていたのですが、私はむしろ、本当はあるけれども共有していないのではないかと予想しています。マテリアルサイエンスなどの分野で実験するときに、論文だけ読んでもうまくいかない場合があるのは、マテリアルサイエンスの人はみんな知っていることです。簡単にまねされたくないので、作り方は書いてあるものの、ちょっとしたコツまで書いているとは限らないこともあります。このため、論文に基づいてAIとロボットに実験させても、うまくいきませんでしたということはあるのではないかと思います。私はマテリアルサイエンスの実験をAIとロボットにさせたことがないのですが、他の科学の領域においても、そういったことがあり得る中で、うまく行かなかった結果のデータも共有する仕組みをつくっておけば、セレンディピティなども出てくるのではないかと思いました。

ありがとうございます。
【相澤主査】 どうもありがとうございました。
では、最後となりますが、青木委員、よろしくお願いいたします。
【青木主査代理】 短く言いますけれども、やはりAIにとって、特にデータ戦略というのは鍵だと思っておりまして、これは当然ながら、基盤的には、GakuNin RDMのように、オールジャパンで研究者が広くアクセスできるデータ基盤の整備ということは日本固有の特徴かなと思っておりまして、研究の多様性という意味でも、今の御発言にありましたけれども、そういう意味で、ボトムアップで重要かと思います。
一方、それと両輪ということかもしれませんが、国民をはじめとするステークホルダーに対して、5年程度で成果をしっかり見せていくということも必要かと思いますが、そのような意味では、CRDSの永野さんの発表の13ページにある部分ですとか、あるいは文科省の資料の4ページの丸1、これは米国の動向ということで書いていただいているんですが、こういったところにある種ワールドクラスの科学データセットの構築というところが、ちょっと深掘りをするポイントとして見ていただくのもよいのではないかと思います。具体的には、日本として強い分野に特化したデータセットの構築というある種のグランドチャレンジを推進するということも重要ではないかと。
それから、そうなってくると、国としてのデータガバナンスの確立ということ、NASAではチーフサイエンスデータオフィサーというのがいるみたいなんですけれども、ある種、そういう意味で、国を横断してトップダウンで権限を持ってワールドクラスの分野特化型の科学データセットを構築して、こういうこと自体にファンディングしていくということも考えるべきではないかなと思って伺っておりました。ファンディングスキームの中で、皆さんがおっしゃっているデータ提供者に対するインセンティブの設計ということも検討していく必要があるかなと思っておりました。
以上です。
【相澤主査】 ありがとうございました。
では、以上をもちまして意見交換の時間を終了といたします。ただいまいただきました御意見も踏まえまして、事務局とさらに検討を進めてまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
さて、2番目の議題となります。続きまして、前回の情報委員会にて言及のありました、次世代情報基盤に関しての本委員会における下部組織の設置について、事務局より御説明をよろしくお願いいたします。
【土井学術基盤整備室長】 それでは、資料2を御覧いただければと思います。
本委員会の下に、「AI for Scienceを支える研究データの管理・利活用と流通の在り方ワーキンググループ」を設置させていただきたいというものでございます。
情報基盤のうち、研究データの管理・利活用を支える研究データ基盤につきましては、NII RDCの機能高度化等を進めている「AI等の活用を推進する研究データエコシステム構築事業」が来年度で終了するということ、また、研究データの流通を支えるネットワークに関しましては、現行のSINET6が令和9年度までの運用という状況になってございます。
このことから、本委員会での御議論や5月に取りまとめていただきました中間取りまとめを踏まえまして、研究データ基盤とネットワークの今後の在り方について、本ワーキンググループを設置させていただきまして、御議論を深めていただければと考えております。今後、本ワーキンググループのメンバーを検討させていただきまして、本年中には第1回を開催し、遅くとも来年の5月、6月頃までには御議論を取りまとめていただきたいと考えております。先生方におかれましても、御協力のほど、よろしくお願いいたします。
以上、本ワーキンググループの設置につきまして、御審議のほど、どうぞよろしくお願いいたします。
【相澤主査】 では、ただいまの御説明に対しまして、御質問や御意見などがありましたら、挙手にてお知らせください。よろしいでしょうか。
では、こちらは下部組織の設置についてということで、AI for Scienceを支える研究データの管理・利活用と流通の在り方ワーキンググループ設置ということで御了解をいただけますでしょうか。
では、本件承認ということで、決定させていただきます。
ありがとうございました。本日の議論はここまでとさせていただきます。追加の御意見等がございましたら、会議後に事務局までメールで御意見をいただければと思います。
その他、事務局より事務連絡ありましたら、よろしくお願いいたします。
【轟木参事官補佐】 事務局でございます。
今後の開催予定については現時点では未定となっておりますが、今後、別途、日程調整の御連絡をさせていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
また、先ほど相澤主査からございましたように、本日の議論について追加で御意見等いただけるようでございましたら、来週10月17日金曜日18時までに事務局までお送りいただけますと幸いでございます。どうぞよろしくお願いします。
事務局から以上です。
【相澤主査】 では、御審議、御意見交換等、また、本日は大変密度の濃い御発表をいただきまして、大変ありがとうございました。
こちらにて閉会とさせていただきます。次回もどうぞよろしくお願いします。ありがとうございました。

―― 了 ――

 

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