情報委員会(第43回) 議事録

1.日時

令和7年8月5日(火曜日)14時00分~16時00分

2.場所

文部科学省旧庁舎2階第2会議室 及び オンラインのハイブリッド形式

3.議題

  1. 第42回情報委員会(書面審議)の報告について
  2. Society 5.0実現化研究拠点支援事業の取組状況について
  3. 第7期科学技術・イノベーション基本計画に向けた検討について
  4. 令和8年度概算要求の方向性について(非公開)

4.出席者

委員

相澤主査、尾上委員、湊委員、青木委員、天野委員、大武委員、川原委員、小林委員、佐古委員、中野委員、引原委員、星野委員、盛合委員、若目田委員

文部科学省

淵上 研究振興局長、坂下 大臣官房審議官(研究振興局及び高等教育政策連携担当)、阿部 参事官(情報担当)、土井 学術基盤整備室長、栗原 計算科学技術推進室長、原田 科学官、込山 学術調査官

オブザーバー

大阪大学 D3センター ライフデザイン・イノベーション拠点本部
 特任教授 八木 康史
 

5.議事録

【相澤主査】  それでは、定刻を少し過ぎておりますが、ただいまより科学技術・学術審議会情報委員会の第43回会合を開催いたします。本日も現地出席とオンライン出席のハイブリッドでの開催としております。
 報道関係者を含め、傍聴者の方にオンラインで参加いただいております。また、通信状態等に不具合が生じた場合、ただいま御案内がありましたとおりですが、チャット機能や電話等で事務局へ御連絡をよろしくお願いいたします。
 本日は石田委員が欠席と御連絡をいただいております。また、発表者として大阪大学、八木先生に御出席をいただいております。
 それでは、最初に、文部科学省で人事異動があったと聞いておりますので、配付資料の確認とハイブリッド開催に当たっての注意事項と併せて事務局よりお願いいたします。
【轟木参事官補佐】  こちら事務局でございます。文部科学省のほうで人事異動がございましたので、御紹介をさせていただきます。
 研究振興局長として淵上、大臣官房審議官(研究振興局及び高等教育政策連携担当)として坂下、情報担当参事官として阿部が着任しております。
 それでは、まず、局長の淵上及び審議官の坂下から、オンラインではございますが、一言御挨拶をさせていただきます。局長、よろしくお願いいたします。
【淵上研究振興局長】  淵上でございます。今御紹介いただきましたように7月15日付で研究振興局長に着任をいたしました淵上でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 委員の皆様方におかれましては、本日、お忙しいところお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。本委員会の開催に当たりまして、一言御挨拶を申し上げます。
 世界的にAIの研究開発が進展する中、本年5月にはいわゆるAI法が成立をしたところでございます。これはAIによるイノベーション促進とリスク対応を両立し、我が国が世界で最もAIを開発・活用しやすい国となることを目指したものでございます。
 また、科学研究における新たな潮流として、AI for Scienceが高まるとともに、その原動力となる研究データの保存・管理、流通、活用を支える情報基盤がますます重要となっております。このため、AI等の情報科学技術の研究開発の推進や様々な分野の科学研究を支える情報基盤の強化等について、より一層の議論が不可欠と考えております。
 本委員会では、AI、オープンサイエンス、情報基盤など、情報分野に関する重要かつ多様なテーマについてこれまでも多分な御議論いただいております。本日も忌憚のない御議論をいただければ幸いでございます。どうぞよろしくお願いいたします。
【轟木参事官補佐】  ありがとうございました。続きまして、審議官、よろしくお願いいたします。
【坂下大臣官房審議官】  7月15日に文部科学省大臣官房審議官(研究振興局及び高等教育政策推進担当)に着任いたしました坂下でございます。本日はお時間いただきまして、誠にありがとうございます。情報委員会の開催に当たりまして私からも一言御挨拶を申し上げます。
 先ほど淵上のほうからも申し上げましたとおり、AI法の成立など、あらゆる分野で今AIの潮流がさらに勢いを増しているところでございます。こうした急速に進展する国際潮流を踏まえまして、我が国の研究力、国際競争力をさらに向上させるためにAI for Scienceの取組が非常に重要と考えております。
 文部科学省におきましては、その加速に向けて、AI for Scienceを支える研究データ基盤をはじめとした情報基盤の強化を含め、組織横断的に施策を講ずるべく検討を進めているところです。
 また、政府におきましては、令和8年度からの第7期科学技術・イノベーション基本計画に向けた検討がまさに現在進められているところでございまして、AI for Scienceを含めたAI分野、この重要な柱の一つになると考えております。
 本日は、これらに関する議論のほかにSociety 5.0実現化研究拠点支援事業の現状ですとか、また令和8年度の概算要求の方向性についても御議論いただけると伺っております。ぜひ忌憚のない御意見をいただきまして、文部科学省としましても、先生方から御指導、御助言を賜りながら政策を進めたいと考えております。引き続きどうぞよろしくお願いいたします。
【轟木参事官補佐】  ありがとうございました。
 続きまして、本日出席の事務局の紹介をさせていただきます。科学技術・学術政策局研究開発戦略課政策科学推進室企画官の根津でございます。
【根津企画官】  根津です。よろしくお願いいたします。
【轟木参事官補佐】  続きまして、科学技術・学術政策局の参事官(研究環境担当)付参事官補佐の伊藤でございます。
【伊藤参事官補佐】  よろしくお願いいたします。
【轟木参事官補佐】  続きまして、研究振興局大学研究基盤整備課学術研究調整官の山村でございます。
【山村学術研究調整官】  よろしくお願いいたします。
【轟木参事官補佐】  続きまして、参事官(情報担当)の阿部でございます。
【阿部参事官】  よろしくお願いいたします。
【轟木参事官補佐】  続きまして、本日オンラインにて陪席いたします科学官及び学術調査官を御紹介いたします。
【原科学官】  科学官の原田でございます。
【込山学術調査官】  学術調査官の込山でございます。よろしくお願いいたします。
【轟木参事官補佐】  なお、淵上局長及び坂下審議官におかれましては、この後の御予定がございますので、こちらで退席となります。
 続きまして、議事次第に基づきまして配付資料を確認させていただきます。現地出席の方はお手元の配付資料、オンライン出席の方はダウンロードいただいている資料を御確認ください。
 本日は資料1から資料4、資料3については四つの、計七つの資料がございます。不備等ございましたら事務局まで御連絡をいただければと思います。
 続きまして、ハイブリッド開催に当たっての注意事項を申し上げます。御発言時を除き、マイクは常にミュートでお願いいたします。ビデオは常時オンにしていただき、通信状況が悪化した場合はビデオを停止していただければと思います。運営の都合上、現地出席の方も含めて御発言いただく際は「手を挙げる」ボタンを押していただければと思います。御発言される際はお名前をおっしゃってから御発言いただけますと幸いです。
 恐れ入りますが、マイクの数が限られているため、現地出席の方は発言される場合はお近くのマイクに声が届くように大きめの声で御発言をいただくようお願いいたします。
 傍聴希望をいただいた方にはZoomにて御案内をしておりまして、御参加いただいております。
 トラブルが発生した場合は、現地出席の方は手を挙げていただき、オンライン出席の方は今表示している下部にあります電話番号を通じて事務局まで御連絡をいただければと思います。
 事務局からの案内は以上でございます。
【相澤主査】  ありがとうございました。
 それでは、まず本日の議題の確認をいたします。第42回情報委員会(書面審議)の報告について、Society 5.0実現化研究拠点支援事業の取組状況について、第7期科学技術・イノベーション基本計画に向けた検討について、令和8年度概算要求の方向性についての4件の議題を予定しております。議題4については非公開の議題となります。

 それでは、まず、議題1、書面審議として実施した審議については報告をすることとなっておりますので、第42回情報委員会の結果を報告いたします。
 お手元の資料1となります。「次世代の科学技術・イノベーションを支える情報基盤の在り方について(中間まとめ)」でございます。
 皆様、御審議いただきましたので、内容については御承知のことと思いますが、まず9ページで簡単に審議過程について振り返りをさせていただきます。
 本議題は、第12期、第13期の2期にわたりまして審議を行っております。まず、令和7年1月20日に次世代の科学技術・イノベーションを支える中長期的な情報基盤の在り方について、今後の議論を進めるに際し、その土台となる検討をAI等の活用を推進する研究データエコシステム構築事業推進委員会に要請をするという形でお願いをしまして、13期の第1回目となります4月24日に御報告をいただきました。その場で次世代の科学技術・イノベーションを支える中長期的な情報基盤の在り方について提言をいただき、それに基づき、その場で意見交換をした後、第42回として5月16日から5月23日の間に書面審議をいただき、最終的に「次世代科学技術・イノベーションを支える中長期的な情報基盤の在り方について(中間取りまとめ)」として決定をいたしました。
 こちらにつきましては、7月15日に開催されました科学技術・学術審議会総会にて報告をいたしております。内容につきましては、資料1の3ページ目に1枚の要約図としてまとめてございますが、情報基盤への期待・影響として、情報基盤は、AI時代の新たな科学技術・イノベーションを切り開くインフラとなる。AIを活用してあらゆる垣根を越えた新たな知の創造を支援し、AIが出力する情報の信頼性を担保する新たな情報基盤の構築が必要。AIモデルのさらなる高度化、AI for Scienceの拡大、分野融合や裾野の広い研究の促進、社会課題の解決や我が国全体の研究力・産業競争力の向上といったことが書かれております。
 これについて、また本日、皆様に御議論をいただく機会があることと存じます。そういったことも踏まえまして、さらに事務局と検討を進めてまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 何か御質問等、この場でございましたらよろしくお願いいたします。
 よろしいでしょうか。
 ありがとうございました。

 では続きまして、議題2に移ります。Society 5.0実現化研究拠点支援事業、こちら、実施期間は平成30年度から令和9年度まで10年間で、現在は8年目となっています。資料2に基づきまして八木先生より進捗状況の御報告をいただきます。
 また、今後の進め方につきまして、有識者として皆様の御意見、御助言を賜ればと思いますので、よろしくお願いいたします。
【八木先生】  大阪大学の八木でございます。よろしくお願いいたします。
 ライフデザイン・イノベーション研究拠点というのが我々の事業名となります。第2ステージに入ってからいろいろ考えることもあって、副題として、「『人と人のつながり』がもたらす未来」という言葉を少し置かせてもらっています。
 未来の世界ってどう変わるんかなというのを考えると、今、まさに万博でも石黒さんのロボットがいて、ロボットが人と一緒に暮らすような世界観が出てきたりしていますし、それからコロナ禍における大学教育においてもeラーニングとかで学習のスタイルが変わってきたりしました。それと、医療においても、遠隔の医療だけでなく、病院に行くことなく在宅で対応できる世界観というのも出てきています。トータルにライフスタイルが大きく変わるというのが皆さんも感じていることではないかと思っております。
 我々、そんな中から大きく三つのソリューションを研究開発することに加えて、もう一つ重要なポイントは、AI=データというぐらい、データの意味づけがすごく大きくなってきました。すなわち、パーソナルデータをいかに安全に利活用できる、そういう社会をつくることが、いろんなソリューションをより発展させることにつながるだろうというので、三つのソリューションと、データの安全な利活用できる取引の技術やまた仕組みというのを考えてきました。
 今日はそれらのことを報告させてもらいますが、実際にいろんな人々と接している中で、やはり日本の抱えている、また先進国が抱えている問題というのは、少子高齢化の中で、人々がなかなか一緒にいる時間がない。人と人の孤独や、また心の問題が大きな課題になってきている点だと感じました。
 それから、社会の特性としては、AIと共創する社会というのがまさにやってきた。これらを両方考えていくと、AIの力を使って人と人のつながりというのをうまく再定義してつくり上げていくということが必要だろうというので、我々、人と人がつながるウェルビーイング社会というのがひとつ考えるべきことかなと思って今進めています。
 最初に、ウェルネス、高齢者の見守りという部分に関してお話しさせてもらおうと思います。高齢者の場合、要支援・要介護の問題が起きてきて、これはイコール介護費の増大ということなるわけです。これは日本社会が抱えている大きな問題です。
 じゃあ、そういう、要支援・要介護にならない社会をつくったらいいじゃないのって言うけども、じゃあどうすればいいのというのを考えていくと、要支援・要介護の中で最大の要因というのは、やはり骨折や関節、いわゆる身体的フレイルの問題、それからもう一つは認知の問題、この二つを両方考えると、要支援・要介護とも約50%ぐらいこれに起因しているんですね。実際に認知機能の低下リスクがあるかどうかというのをアンケート調査しても、大体そこに書いてあるように、三、四割の高齢者がリスクあるという結果が出てきています。それから、転倒という問題を考えても、3割ぐらいの人が、これは本人が不安を覚えています。
 だから、身体、認知の問題に取り組むことで、全体に介護費を落とせるような技術としてつくれないかということを今想定してやっています。
 ところで、生活習慣病に対応したいろんな技術は数多くありますが、認知の場合だと簡単なアンケート調査が大体主流で、精度がすごく低いという問題があります。
 身体フレイルも、やはり見ないといけないのは、駄目になってからではなくて、フレイル期、またその前のプレフレイル期から捉える必要があるというので、身体と認知を捉えるような場づくりをしようというので、我々、いろんな新しい計測機器をつくったり、また、認知機能に関しても、非常に高精度に測れる、今ここに書いてある「デュアルタスク」というシステム自体は、MCIと健常者の識別が、これは確定診断の結果で出ているんですが、98%ぐらいの性能で識別できます。
 そういう計測技術をつくりつつ、少し遊びの要素も、ゲーミフィケーションの要素も加えて、我々、ステーション型の拠点をつくって、そこにみんなに遊びに来てもらう、楽しんでもらう、そういう場づくりをして、気楽に計測しながら実は健康ができる。実は来てもらうというのが一番重要で、人と人のつながりを生む大きな要素ですし、出てくること自体がいわゆる体のトレーニングにもなるというので、我々、そういう場づくりを第二ステージで進めています。
 加えて次のページにありますが、気楽に計測できる技術と、それから、もちろん従来やられているような生活習慣病とかですと、健康診断とか、いろんなアンケートの結果とかも併せて、人間ってやっぱりどこかだけが悪いわけじゃなくて、総合的に判断していかないといけないので、大阪大学の老年内科、循環器内科、精神科、整形外科、それから看護学科の方々に総合健康のアドバイスのための構造図をつくってもらって、それからアドバイスを行うような話をしています。
 加えて、それを個々のお年寄りに伝えるときにはいろんなAIのコミュニケーションツールを使っていこうというので、在宅でもできるようなLINEのアバターの技術や、また、我々のところは石黒さんがいますので、石黒さんのところのロボットアバターを使ったコミュニケーション技術、それからもちろんLLM等を使って自動的に応答できるような仕組みなどの多様なAIコミュニケーションツールを介してコミュニケーションができ、またそこに行きたいと思えるような集いの場をつくっていくというようなことを今進めています。いわゆる高齢者の新たなつながり作りです。
 次にやっているのが、子育てしやすい社会をつくることです。社会の中でお年寄りの反対側にあるのは、赤ちゃんが生まれてくるお母さん方と子育ての問題ですね。子育ての問題って、実は昔はおじいちゃん、おばあちゃんにいろんな話を聞いたりとか、周りの方々に聞ける場があったのですが、今は、父子・母子家庭が多くなり、相談する相手のない社会になりつつあります。
 そこで、子育ての問題を解決するために、まず育児困難感を持っている方々がどんな困難感か持っているかをスクリーニングするアンケート技術をつくりました。
 次のページお願いします。子育て問題に対して、市町村では、ハイリスクの人に対するアプローチは割とそろっていますが、実はポピュレーションアプローチってあんまりありません。我々は、大阪大学の人間科学部の先生にアンケートをつくってもらって、二百何項目の中から絞り込んで、81個の質問をすることによって、21の因子、また五つの要素、そこに書いてある子供の気質と状態とか、サポート体制の問題とか、育児の困難さがどういうところに起きているのかというのをアンケートで分かるような仕組みをつくりました。これは自治体とかでは各地域における分析のために使う、また個人は、自分自身が今どういう状態にあるのかを知る手段として利用することができます。
 そういうアンケートを一つのベースにして、実際のお母さん方をサポートする仕組みづくりも実際やっています。ここに「サイバー空間」多様な支援の開発と書いていますが、ウェブで座談会をやって、いわゆる医療関係者とコミュニケーションできる場や、またチャットボットのようなもので、座談会で得られた情報を基にサービスをする仕組みとかをつくっている次第です。
要は、育児困難感を抱えたお母さん方が、座談会を通じて相談した結果をデータベースとして、新しいお母さんのサポートに利用していく仕組みです。サイバーの中にこれまでに体験した人たちがそこに存在して、実際のフィジカルの空間に今抱えている問題の人という世界観をつくったりしています。
 これも自治体と今連携していて、岡山県の奈義町って子供の出産数の一番多いところとかとは協定を結んでやっていますし、あと大都市系もやらせてもらっています。今、1万人を対象にこの仕組みを定着すべく動いているところで、多くの自治体、次のページ、全部で医療機関31機関かな、企業も、実は言えないのですけど、NDAを結んで、自社の商品に入れようと検討が始まっているという段階です。
 その次は大学生の学びと心の健康というので、15ページ目に行ってもらえますかね。阪大でもちょうどコロナ禍のときにアンケートをしました。そうすると、4割の学生がモチベーション維持ができなかったんですね。特に賢い子は、何で私、大学に来てるのという、本当に心の病になっていくという学生が多かったです。
 それは考えていくと、いわゆるeラーニングで教育支援をやっていくというのも重要ですが、それよりもまずは心の健康支援を積極的にやる必要があると考えて、心の健康支援をやる仕組みを積極的につくろうというのでやらせてもらいました。
 じゃあ、どういう取組がいいんだろうとしたときに、いろいろ調査をやっていく中で、まず一つ目には、支援を必要とする学生の3割は睡眠不全なんですね。大体夜中にゲームとかして、大体ぼろぼろになっていて、休みがちになってくる。ということは、睡眠をちゃんと見守ってやるということが重要だなというのが分かってきました。
 それから二つ目には、保健センターとか学生相談室とかに学生が相談に来たりしますが、大体、問題が起きてから半年以上たってから来るケースが多いです。通常、治るまでに1.5倍、3倍の時間がかかると言われているので、半年遅れるということは1年半かかる。卒業にどんどん近づいていくという課題があります。
 なので、早く見つけて、早く相談できる場づくりをしてやらないといけないというのが重要だというので、我々、その次のページですけども、早期の相談支援として、睡眠の状態を検知する技術をつくろうとしました。普通に言えば睡眠異常って、アップルウォッチとか、ああいうのを使えばできるじゃんというのがあるのですが、アップルウォッチを全学生に配るというのはほとんど非現実的な話で、現実に学生が絶対持っているものってスマホなんですね。だから、スマホのネーティブの機能だけで何ができるのかというスタンスでやらさせてもらって、実は、アプリさえダウンロードすれば、ほとんど何もすることなく、大体1時間ぐらいの誤差で睡眠異常を検知できるという技術ができました。
 それから二つ目には、相談時の負担を見ると、実は精神科の先生とかに会うのはやっぱり嫌なんですね。それで遅れる部分があります。そこに石黒さんのやっているようなアバターの技術を持っていこうと。アバターが相談相手になってくれる。でも、そのアバターは実は先生がその裏にいるようなアバターで、そうすると、最初何回かアバターとやっていると、今度は本当のリアルな先生に会いたくなってくるんですね。だから、導入期にすごく有効に働くというのが実際の研究の中でも出てきて、その次のページですけども、今、大阪大学の中で社会実装に向かっています。睡眠アプリに関しては大阪大学の公式アプリに9月1日にリリースされることになりました。
 ですから、学生も職員も、「マイハンダイ」という公式アプリからダウンロードしていつでも利用することができるようになります。今後は、入学時にダウンロードしてもらえるように、検討を進めていきたいと思っています。
 それから、アバター学生相談というのは、大阪大学の健康相談のセンターで運用を開始。試験運用をもう開始しています。これは大阪の中でグッドエビデンスをつくった上で、今、私学のほうから青森大学や京都橘大学さんからぜひ展開してほしいと。展開する上でも阪大でいいサクセスを出してねというので、向かっていっているところです。
 続きまして、最後になりますけども、データの活用です。19ページまで飛んでください。我々考えたのは、パーソナルデータの第三者提供です。普通に例えば研究データですと、学術研究の例外によってパーソナルデータの活用って比較的やりやすいんですけども、民間企業とかにデータがちゃんと生のまま行かないとAIの開発もできませんし、例えば開発したエンジンだけ持って帰っても、再現性というのがデータがなければ当然できないわけなので、パーソナルデータを仮名データの状態で第三者提供するという仕組みづくりを拠点活動の最初からやっています。
 加えてデータを、我々PLRと言っていますが、医療データから日常生活まで全部連結したデータを提供するという仕組みにしています。それが本人同意に基づき安全に利活用する仕組みと。同意の仕組みをまず我々つくり上げました。20ページ目になります。基本的にはダイナミックコンセントの仕組みでデータの同意を取るようにしています。最初はそれだけでやっていました。
 すなわち、データの利用のリクエストがあったときに同意するかしないかを決めますが、実はそれって手続がすごく煩雑になるんですね。データを提供した方も煩雑になるので。
 そこで、ちょっと新しい同意の形で、撤回可能な包括同意という、あらかじめ同意という仕組みをつくりました。じゃあ、これ、オプトインですかと言われると、それでもないです。というのは、一番最初に同意方式の選択ができるんですね。あらかじめ同意をするか後で決めるかを選択するという部分がここに導入された。本人の意思で決めれるんです。あらかじめ同意すれば、従来のオプトインのような形でできますけども、きっちりと誰に渡したということを我々はスマホアプリで本人に通知しますので、嫌なら撤回できるという仕組みになっています。オプトインのときってきっちりとした説明しないといけないって言いながら、世の中そんなうまくいってないけども、これはそういう意味ではきっちりとできていると思います。
 そういう仕組みをつくってやって、実際に実験的にやっても、同意判断に対してネガティブな方々というのは比較的少ないというのがあります。
 そういう同意の仕組みの下で、我々、実際の1次利用、2次利用できる、また、データの取引ができる事業者も外出しで社団法人をつくって仕組みをつくり上げております。一般社団法人データビリティコンソーシアムというのをつくって、逆に言うと阪大の色がないほうがいいだろうと言いながら、私、代表理事しているんですけども、データの1次利用側から2次利用したい人がリクエストが来ますと、データの1次利用した人に同意を取りつつ、個人の同意も取って2次利用が行われるという一連の仕組みが回る仕組みをつくって運用をしようとしています。
 実際に運用、この運用の仕組みの19ページ目になりますが、我々の仕組みの一番大きいのはダイナミックコンセント、改良型のダイナミックコンセントを持っているというところです。情報銀行とか、正直うまくいかなかったと思うんですね。それってやっぱり包括同意であるというところで、データの質の問題もあります。あと、次世代医療基盤の話もやはり課題が十分使いやすい形になっていない。我々、ストレートに、本人同意の下にデータを利活用するという仕組みを医療データも含めて今動かしています。
 おおむね今申し上げたぐらいで時間的にいっぱいかなと思うんですけども、第2ステージは論文書くよりもちゃんと社会実装していきなさいというのがあって、なかなかアカデミアが社会実装するのは難しいところですが、社会実装のためにはどういうことを考えないといけないというのをきっちり整理して社会に提供していくことが我々の役割だろうとしてやっております。
 データ取引はやっぱりなかなか難しいんですね。データを集めてからできるわけじゃなくて、データの使い方のニーズをちゃんと聞いた上で最適なデータを用意しないといけないというのがやっぱり第一にございます。今は民間さんからこういうデータを集めてほしいというのをもらいながら、今、データを集めて回し出したというところで、そうすると、先物買いですね。こういうデータが欲しいと言われているものをカップリングしてデータを集めるということから今始めているというところでございます。
 我々の技術がベースになって、一つの礎になって、横展開して多様な年代層とか多様な仕組みの中に入っていくことを私としては期待する次第です。
 以上、ありがとうございました。
【相澤主査】  ありがとうございました。
 では、ただいまの八木先生の御発表に対しまして、御質問、御助言等がございましたら、挙手にてお知らせくださいませ。オンラインの方も挙手機能を使いましてどうぞよろしくお願いいたします。
 いかがでございましょうか。
 では私からまず。最後の先生の御説明で社会実装という言葉が出てきましたが、社会実装は非常に幅広い意味を持つ言葉だと理解しています。この場合は、大学自体が地域の拠点として機能していくということも想定されていますでしょうか。
【八木先生】  大学がビジネスするのはなかなか難しいので、最後のエデュテインメントとのような世界観は大阪大学が大阪大学の中でつくったものを他の大学にも横展開できたらいいなと思うし、横展開するたくさんの大学が出てきたら、それこそ共同でそういうのを運用できれば運用費もでるじゃないかと思っていますし、文科省がついでにお金を出してくれたらみんな使えるんじゃないかと思ったりもしています。
 それから、最初のほうのやつというのは民間企業さんが受け取り手になりそうな今流れが、例えば母子の話とかは実はもう動き出していて、あとは、マネタイズモデルになるかというところを企業さんが絞り込んでいるという状況ですね。高齢者も部分機能で、部分的な機能で受け手となりそうな企業さんが出てきている。自治体も実は検討しておりまして、ただ、自治体の場合には、どこかの企業が受け取り手になった上で自治体に展開しないといけないというので、少し時間かかりながらやっていこうかなと思っていて、少なくとも我々、社会実験を進めて、価値があるというところまではきっちり見せて、どうやれば社会実装につながるかというところまで見せられればまずひとつの成功かなと個人的には思っております。
【相澤主査】  ありがとうございます。つまり、一つ枠組みの上にウェルネスとライフスタイルとエデュテインメントがあって、エデュテインメント自体は高等教育の中で使っていくということでしょうか。
【八木先生】  そうですね。エデュテインメントの話も、実はこれ、今、学生と言っていますけども、学生の中の横展開もあるわけですが、実はもっとあるのは、産業医を使ったら一番いいんだと思います。そういう受け取り方が次に出ないかというのは期待しているところです。
【相澤主査】  ありがとうございます。
 では、ほかはいかがでございましょうか。
 中野先生、よろしくお願いいたします。
【中野委員】  御報告ありがとうございました。個人情報の扱いはとても大事なところだと思っているんですけれども、MYPLRの御提案いただいていて、多分他大学でも聞いたことがあって、民間でもやっているものがあって、そういったいろんな方式が複数ある状態が今後も続くのか、どこかで標準化ということも考えたほうがいいのか、あるいは世界標準とかという可能性があるのか、この辺りの今後の展開を教えていただけますでしょうか。
【八木先生】  非常に難しいところで、いろんな仕組み自体、ここに書かせてもらっているだけでも、ステークホルダーが違うんですね。おのおのの立場でシステムができているところはあるかと思います。私自身はやはりもっとストレートに、一番重要なのは、データを提供する個人なので、個人に一番優しい形での仕組みをいかに邪魔くさくなく、マネタイズの世界へ持ち込めるかというところで動いたらいいなとは思っていますが、最終的には良いものが勝つかどうかはまた分からないし、デファクトが誰が取ってくるのかという話は進む中で変わってくるかなとは思っております。
 統計的なデータを扱うだけだったらこんな面倒くさいことしなくてよくて、やっぱりAIのエンジンをつくるためのデータとかになってくると、特に個人情報を残したまましようとすれば、ちゃんとデータを提供する。誰にデータを提供したいということを相手にも知らせながら提供していく仕組みがここは要るとは思っています。
【中野委員】  とても難しいところだと思うんですけれども、ユーザーサイドからすると、どこの機関に情報提供したかだんだん分からなくなってしまうようになってくるのかなと。
【八木先生】  提供した先は、さらにその先に提供することは禁止されています。なので、自分が誰に提供したかはちゃんとポータルサイトの上で全部自分が分かるという仕組みになっています。
(提供先の記録が)出てくるわけですね。それは提供できればちゃりんちゃりん(インセンティブの記録)があるので、本人にとってみたら、どれだけこれまで社会に役立ったかなというのは可視化される。
【青木主査代理】  青木です。ありがとうございます。中国とか、米国とか、プラットフォームですね、あと欧州、相当カラーが違うと思うんですね。
【八木先生】  違いますよね。
【青木主査代理】  そういったときに、先ほど御挨拶が局長からもありましたけども、観点として、例えばAIが最も開発しやすいような国に持っていくという観点と、それから、先生おっしゃるような改良型のダイナミックコンセントのような、ユーザーのほうにかなり配慮したと。そこら辺、どこら辺の類型を狙っているのかとか、あるいはAIの開発の観点でいったら、先生のこういうやつで、いわゆる日本がかなりほかと違ってAIやりやすいような発展を遂げることができるかどうか、そこら辺、ちょっと大きな話なんですけども、何かありますか。例えばAIの場合、著作権なんかがよくありますよね。日本はそういう意味だと個人情報、結構厳しいほう。
【八木先生】  日本は厳しいほうだと思います。
【青木主査代理】  前はそうだったと思うんですね。個情委がちょっとまた違うスタンスを出したりするわけですけども。
【八木先生】  でも、あれもなかなか法案成立には至らないんですよね。
【青木主査代理】  それをちょっと難しいところあるんだったら国にどう働きかけるのか、そこら辺ちょっとどういうふうにお考えかというのは。
【八木先生】  トップダウンにやっていけば、もしかすると世の中変わるかもしれないけど、不満もいっぱい出てくるというのがあるので、やはり個人の尊厳を傷つけないというのが一番にあるべきだと僕は思っています。
 データの価値という観点で、外の国でできるじゃないですかというのは、例えば生産事業におけるデータとかというのは、物の品質は場所が変わってもあんまり変わらないので、いいわけですが、人のデータというのは、人種、文化によっても変わりますし、医療だと、類似した病気はあるけども、日本人に効くかというのはまた違う話になっているんですね。
 だから、外で学習したモデルに対して、最後、もう一遍ファインチューニングをかけていくとなったときには、やはり日本のデータが必ず必要になってくると思います。その意味で価値あるものになると信じていますけどね。
【青木主査代理】  つまり、日本で仕組みを整えるということは、日本がやりやすいかどうかは関係なくとにかく重要なことだという側面はあると。
【八木先生】  あると思いますね。そういう仕組みが十分機能するという話になれば、他の外国でもより安全に扱いたいと思っている国は、そういう仕組みを導入したいとはなると思うんですね。アメリカの中でも州ごとによって体制が違うわけですよ。
【青木主査代理】  そうですよね。州によって全く違う取扱いになりますよね。分かりました。最近、あと、連合学習の話結構出てくる。巨大なバイオバンク同士でお互いにモデルだけ交換させてくれるわけですね。そういうものと、こういう国で自分たちの国にやりやすいような仕組みをつくっていくというのは、どんなふうに考えればいいんですかね。
【八木先生】  連合学習でどこまで学習効率が上げられるかということとも関係してくるとは思うんですね。概念としては当然連合学習の考え方なわけですけども、本当にどこまでファインにできるのか。それからあと、連合学習と、それから、モデルは共有しつつ、自分のところに最適化する部分は自分のところのデータを活用するというのはもちろんあるわけなので、その意味では連合学習との相性もいいと。
【青木主査代理】  なるほど。分かりました。ぜひ頑張っていただいて、初めに出だしのプランとえらく最後のほうが物凄い本質的な問題が入ってきている、非常に感心して伺っておりました。どうもありがとうございます。
【八木先生】  ありがとうございました。
 じゃあ、最後にどうぞ、ぜひ一言。
【若目田委員】  ありがとうございます。ずっとこのプロジェクト、拝見をしていて、基本、MYPLRというものが多分、先ほどダイナミック(コンセント)……。
【八木先生】  そうですね。
【若目田委員】  ここが肝だと思うんですけど、上は多分アプリケーションの世界ですよね、スマホのアプリとか、そういう。これは先ほど民間が引き取られるとか、これ阪大さんでやり続けるとありましたけど、MYPLRというのは、全て多分共通だと思うんですけど、これはこの事業が終わった後は、誰がこの辺の機能を強化したり、それぞれのアプリケーションのサービサーとやり取りするのかどうかというのは、社団法人がずっと投資し続けるみたいな形なのかどうかという、この一番肝のところの今後の方針。
【八木先生】  一番難しい質問をされてしまいました。
【若目田委員】  それともう一つは、既にMYPLRは2次利用。
【八木先生】  そうです。第三者提供。
【若目田委員】  これ、今、結構高齢者とか、心の健康とか、割とデータ的にはセンシティブなものだと思うんですけど、これを2次利用で活用したいという先にはどんなところが過去、業態とかいいと思うんですけど、あって、何件ぐらい今まで2次利用されたんですか。
【八木先生】  本当の2次利用の取引まで行ったのはこれまで1件だけなんですよ。今、ちょっと事業形態変えてきて、企業さんに事前ヒアリングをしてデータを集めるものも、企業さんの集めたものもカップリングしてデータを取る仕組みに今変えてきているんですね。それを実は今年からやり出したところで、今、企業6社さんが相乗りしてやり出そうとしてくれているところです。
【若目田委員】  企業のリクエストを受けて、実行するのはウェルネスのアプリであったり、ライフスタイルのアプリが取ってくるんですね。
【八木先生】  そうですね。
【若目田委員】  1点目のほうのPLRの今後の維持強化とか、難しいと言いましたけど。
【八木先生】  これは難しいですね。だから理想的には、受け取り手の企業がないか、または企業が本当は出てきてくれるのが一番ありがたいのはありがたいんですけども、やっぱりビジネスモデルとしてのサクセスストーリーが出ないと企業もやっぱりなかなか、若目田さんも企業なので当然御存じかと思いますが、やっぱりなかなか難しいところはあるので、これがどうマネタイズになるのかというところを見せれば、興味を持って、ぜひうちで引き取りますというところが出てくるだろうと期待はして、あと残りの時間をやろうと思います。
【若目田委員】  分かりました。情報信託、総務省の管轄だったと思うんですけども、先ほど、必ずしもうまくいってないというか、多分官デ法での個人のデータの仕組みとしての寄付だと思うんでですけども、その辺がなぜうまくいかなかったのかという。先ほど同意が包括とあるんでけど、多分包括同意をやったアプリは1個も結果なかったような気がしていて、その辺、多分、阪大さんの今後の出口と、ぜひ総務省さんとも意見交換とかもして、あちらのその辺の原因みたいなものを反映して、出口に向かっていければいいんじゃないかと思います。
【八木先生】  ありがとうございます。
【若目田委員】  引き続きよろしくお願いします。
【八木先生】  こちらこそ。
【相澤主査】  ありがとうございました。議論が尽きないところでございますが、時間が過ぎてしまいましたので、引き続き何かありましたら後ほどお寄せいただければと思います。
 ありがとうございました。ここで八木先生は御退席ということでよろしくお願いいたします。
(八木先生 退席)

【相澤主査】  続きまして、議題3に移ります。現在、第7期科学技術・イノベーション基本計画の策定に向けて検討が進んでいるところでございます。政府における検討状況、研究環境基盤部会、先端研究開発基盤部会における議論について御説明いたしまして、第7期基本計画の方向性に関する論点案、基本計画専門調査会における論点案に示されているAI for Scienceについて皆様に御議論いただくということでよろしくお願いいたします。
 まず事務局からの説明でございます。
【轟木参事官補佐】  ありがとうございます。それでは、事務局より次期基本計画の検討状況について、それとそれに関する文科省の動きについて説明をさせていただきます。
 本日は資料3-1から3-4に従ってそれぞれ各担当から御説明をさせていただければと思います。
 それでは、早速ですが、まず初めに科政局研究開発戦略課の根津企画官からよろしくお願いいたします。
【根津企画官】  根津でございます。資料3-1に基づきまして、第7期科学技術・イノベーション基本計画に向けた政府及び文科省の検討状況について御報告いたします。
 1ページおめくりいただきまして、科学技術・イノベーション基本計画ですが、こちら、科学技術・イノベーション基本法に基づいて5年に一度策定するものでございます。現在、第6期の基本計画期間となってございますが、資料にありますとおり、2021年4月から開始された計画でございますので、今年度が最終年度ということになってございます。そのような中、関係府省で今第7期に向けた議論が進んでいるというところでございます。
 次のページを御覧いただければと思います。こちらは昨年12月23日の総合科学技術・イノベーション会議で科技担当大臣が御説明された資料の抜粋になってございます。下の今後のスケジュールにございますとおり、総合科学技術・イノベーション会議で総理から諮問がございまして、その下に基本計画専門調査会という会が設置されてございます。本年の夏頃に基本計画専門調査会における中間取りまとめ(骨子)がまとめられ、年末に素案が作成され、最終的には3月末に閣議決定されるというスケジュールが想定されてございます。
 次のページ以降は7月25日に開催された基本計画専門調査会の資料のうち、方向性に関する論点案を抜粋したものでございます。
 まず、論点案1、4ページ目でございますが、科学の再興・技術・イノベーション力の強化というところで、まず、科学の再興。基礎研究力の回復が最重要課題であって、基礎研究力を抜本的に強化するという方向性が書かれてございます。
 また、技術・イノベーション力の強化というところでは、国家として戦略的に重要な技術領域を選定して、一気通貫で支援するという方向性が打ち出されてございます。
 続きまして、5ページ目を御覧ください。こちらに先ほど主査からも御紹介いただきましたAIシフトによる研究力の向上が記載されてございます。こちら赤枠で囲わせていただいてございますが、具体的には、AI for Scienceは、研究力の生産性の向上のみならず、新しい科学研究の在り方そのものを変革し得るものであって、AI、データ科学、ロボット技術を活用した研究開発方法論の革新(AI for Science)を推進し、それを支える研究データの取得、研究データ基盤を含む情報・計算基盤及び先端研究設備の共有・集約化・自動/自律化・遠隔化を強化すると記載されてございます。
 その下でございます。科技人材の育成ということで、多様な科技人材や各教育段階における科技人材の育成が盛り込まれているほか、6ページ目でございますが、大学改革といったところ、あるいは成長する大学への集中支援、アジア最大のスタートアップ・エコシステムの形成、地域イノベーションの推進、また、国立研究開発法人の役割の再定義、ミッションの再定義というところが盛り込まれてございます。
 7ページ目が最後になりますが、グローバル戦略・科学技術外交や官民の研究開発投資の確保といったことも盛り込まれているところです。
 8ページ目を御覧いただければと思います。先ほど申し上げたとおり、基本計画の検討の中で重要技術領域を定めるという方向性が打ち出されてございますけれども、先ほど申し上げた基本計画専門調査会の下に重要技術領域検討ワーキンググループが設置されてございます。調査・検討事項の箇所にありますとおり、2030年代を見据えて、我が国が戦略的に取り組むべき重要な技術領域について、社会経済上の影響等の観点を踏まえつつ調査・検討等を行うと掲げられてございまして、年末にまとめられる素案に向けて今検討が進められているというところでございます。
 続いて9ページ目以降は文科省の検討状況の御報告になります。9ページ目の資料は、2月25日に開催した第3回基本計画専門調査会で文科省からプレゼンした資料になってございます。資料にありますとおり、施策1から施策5まで整理をして、施策1は、多様で豊富な「知」を得るエコシステムの強化、施策2は、その主役となる科技人材の育成・活躍促進、施策3が、研究活動の戦略的な国際展開、施策4が、我が国の自律性・不可欠性を確保する経済安保に係る研究開発等の推進、施策5が、「知」の価値化ということでイノベーション・エコシステム強化といったところを盛り込んでございますが、特に施策1について詳しく説明した資料を10ページ目につけてございます。
 10ページ目を御覧いただければと思いますが、施策1の多様で豊富な「知」を得るエコシステムの強化の一番上の水色の箱のところに、「組織・分野の枠を超えた研究ネットワークの構築」と記載してございますが、上から二つ目のポツ、世界の潮流として、研究設備の共用・集約化、自動/自律化、遠隔化、サービス化による研究の生産性の向上、研究データ基盤を含む情報基盤を支えるデータ科学やAIを活用した研究の高度化が図られており、日本も全体的な推進が求められているということで、二つ下の矢印の通り、第7期においては、高度かつ高効率な研究環境(インフラ、データ、支援機能、人的資源等が最適に集約・開放されたプラットフォーム)を実現し、それを組織・分野を超えてオールジャパンで活用することにより、研究パフォーマンスの最大化を図るという方向性を文科省としても基本計画に打ち込んでいるというところでございます。
 今後も情報委員会をはじめ、皆様方の議論を参考にさせていただきながら基本計画の策定に文科省としても貢献してまいりたいと思ってございます。
 根津からの説明は以上でございます。
【轟木参事官補佐】  ありがとうございました。
 続きまして、科政局参事官(研究環境担当)付の伊藤補佐からよろしくお願いいたします。
【伊藤参事官補佐】  御紹介いただきました伊藤でございます。私のほうから資料3-2を用いまして、研究開発基盤部会とその下の先端研究開発基盤強化委員会での議論について報告いたします。
 先ほど根津企画官から、基本計画に向けた文科省の取組の検討ということで、施策1から施策5までを検討しているという御説明がありました。そのうちの施策1につきまして、文部科学省での方向性として、資料の3-2の24ページ目以降で簡単にご説明します。冒頭の現状認識(第6期の振り返り)といたしまして、研究力強化に向けて様々な取組がなされてきたところでございますけれども、世界の潮流としては、ポストSociety 5.0時代における研究活動の大規模化、加速化、DX化ということで、研究設備の共用・集約化、自動/自律化、遠隔化、デジタル化、サービス化による研究のスピードアップがされています。第7期基本計画においてはこういった取組を我が国でも強化することが必要と考えております。
 次のページでございますけれども、こういったことを具体化するために、文部科学省といたしまして、これを実行するために、施策として大きく四つのカテゴリーに分けまして検討をしています。
1. 研究設備・機器の活用最大化、2. 資金活用の最大化、3. 研究効率の最大化、4. データ活用の最大化ということで、4. のところにつきましては、本日の委員会の冒頭で御説明いただきました情報委員会で御検討されているところと思いますけれども、研究開発基盤部会及び先端研究開発基盤強化委員会では、1. 、2. の部分を中心に議論いただきました。
 まず、研究設備・機器活用の最大化ということで、複数共用拠点の全国ネットワーク化でありますとか、また、研究設備等の高度化といったことも重要ですし、また、競争的研究費につきましても、機器を購入するというのではなくて共用機器を活用するというような形で研究機器の扱い方というものを変えていけないかということを検討してきたところでございます。
 この要素を「研究開発基盤部会(第12期)議論のとりまとめ」として報告書にまとめており、さらにこちらを実行するための詳細な方向性が、資料3-2の冒頭にあるとおり、7月10日にとりまとめられていますので、御説明をさせていただければと思います。
 資料3-2の1ページ目に戻っていただきまして、「長期的に目指す姿」という「目標」と書いてございますけれども、我が国全体として共用設備等の整備・運用の仕組みを構築いたしまして、共用を前提とした研究環境に転換するとともに、併せて先端的な研究設備の高度化かつ開発の場とすることを掲げております。
 「今後10年で目指す姿」というところがその下の括弧に書いてございますけれども、共用設備等の情報を一元的に集約・見える化し、設備利用や整備の基礎情報とするということと、全国の研究者が活用できる研究拠点を形成し、ネットワーク化をするということを掲げております。
 また2ページ目には、共用を前提とした研究設備等の整備・運用には抜本的に変容するということを目指し、技術専門人材とともに戦略的・計画的に当初から共用を目的に研究設備等を配置するということ、また、競争的研究費の使途の変容ということで、研究の停滞を招かないことを前提といたしまして、設備等の購入から利用料金の形状に変えることを基本とし、共用設備等の利用による研究活動の質の向上と効率化を実現するということを目指していくとされています。
 また、計測データ等を利活用し蓄積できるようなプラットフォームということで、こちら、五つ目のポツになりますけれども、我が国の中核的プラットフォームとして位置づけられた研究データ基盤システムとの接続を通じたデータ利活用の促進ということも目指して進めてまいりたいと考えておりますし、また、共用の場を接続点とした産学の連携によりまして、研究ニーズや開発、革新的なアイデアに基づいて先端的な研究設備に係る要素技術開発、試作機開発、利用技術開発等が進展し、いち早く共用の場に共用設備等を導入する仕組みを確立するということを掲げております。
 これを進めるに当たりまして、目指す姿の実現に向けてということで、3ポツ以降では、当面の5年間で取り組む事項ということで、この一つ一つについて詳細が記載されています。
 この中には、共用研究設備等から創出されるデータを統合的に活用するための標準化等に協力したりですとか、研究データ基盤システムとの接続を目指した共用機器の整備の在り方ということに向けて取り組んでいこうということがまとめられているところでございます。
 私からの説明は以上でございます。
【轟木参事官補佐】  ありがとうございました。続きまして、振興局大学研究基盤整備課の山村調整官からよろしくお願いいたします。
【山村学術研究調整官】  今御紹介にあずかりました山村でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 資料3-3を御覧いただければと思います。私どものほうも、今御説明がありました第7期基本計画に向けた検討の中で、また、それを受けました文部科学省の検討を受けまして、4月から研究環境基盤部会におきまして具体的な検討を進めてまいりまして、その取りまとめを7月1日に行いました。資料3-3の最初がその取りまとめの概要となってございますので、この概要を基に御説明をさせていただきます。
 まず、水色の「AI時代にふさわしい科学研究の姿」でございます。我が国の研究の質と量を最大化していくということには様々な取組があろうかと思いますけれども、その取組の一つといたしまして、基盤となる研究環境の高度化・高効率化を図っていくということが必要であるという認識の下で、その観点からこの部会におきましては検討を進めてまいりました。
 先ほど資料3-2の中で文科省全体の検討という説明がありまして、画面共有のみとなりましたけれども、P25のうち、緑の部分の取組に係る検討でございます。私どものこの資料の方でも同じものを添付しておりまして、少し先の10ページのところに、その資料がございますが、先ほどの説明が青のところでございまして、私ども、緑のところの大規模集積研究基盤の整備というところをこの部会のほうで検討を具体的に進めてきたという流れでございます。
 研究環境の高度化・高効率化と申し上げたときには、先ほどの前の説明にありましたけども、やはり諸外国の例を見てみますと、研究設備の集積化・自動化・自律化・遠隔化等による研究の生産性の向上ですとか、AI for Scienceによる科学研究の革新が図られるという例も出てきてございまして、やはりこのような潮流も踏まえていかなければならないということが前提となってございます。
 また、研究環境の高度化・高効率化を図る意義も改めて確認をいたしまして、これはやはり研究者がより創造的な活動に従事することが可能となるということや、研究から得られるデータやAI、これを最大限に活用することで科学研究の進め方、在り方に変革をもたらすということにもつながると思ってございます。
 ただ、そういった意義、もしくはこの絵を実現していくためには、やはり単に研究設備の機器を集積化、また自動化・自律化、遠隔化を行うということだけではなくて、研究者自身、科学研究の進め方ですとか、科学研究の在り方そのものを変わっていくんだ、変革していくんだというマインドがしっかり根づいていくというふうなことも重要でありまして、変革の原動力となり得る組織が一体となって拠点やネットワークを形成して取り組んでいくということが必要でございます。
 そのための具体的な取組の方向性といたしまして、ピンク、左側でございますけれども、大きく五つの事項を挙げさせていただいてございます。
 まず1. が大規模集積基盤の整備というものでございまして、ここにつきましては、中核となる研究装置を核といたしまして、先端設備群や関連する設備・機器を段階的に整備・集積をし、ワンストップでシームレスに統合された研究環境を構築することが必要であると。
 そして、研究の加速化やセレンディピティを誘発し、遠方からでも意欲・能力ある優れた研究者が研究環境にアクセスをできるよう、集積される機器と設備というものは、最も効果が最大化される形で、自動化、自律化、遠隔化を図っていくことが必要であるというものが1点目でございます。
 2. は、データの蓄積と、AIとの協働による研究の最適化・新領域の開拓でございます。自動化・自律化された設備・機器が集積されることで蓄積されたデータというものは分野の壁を越え、あらゆる科学研究における重要な資源となり得ます。研究者の専門的知見とAIが協働いたしまして、これらのデータを活用することで、研究サイクルの加速化や探索領域の拡大と分野・領域を超えた研究力の強化につながってまいります。
 また、AI for Scienceの可能性を最大限引き出していくためにも、情報基盤の強化・高度化や持続可能な体制を構築していくということも重要でございます。
 なお、2. のところにつきましては、当部会の審議におきましても、先ほどの冒頭、主査から御説明がございました、のこちらの委員会における中間とりまとめにつきまして御報告をいただいてございます。2. の取組を進めるに当たりましては、中間取りまとめと軌を一にした取組をしていかなければならないということにつきましても本文のほうに記載をさせていただいてございますので、政府一体となって進めてまいりたいと考えてございます。
 そして3. は、体制の構築と人材の育成でございます。まず新たな科学研究の姿を構築するに当たりましては、やはり研究者のみではなくて、ソフトウエア、ハードウエアのエンジニアが一体となった体制が必要でございます。
 また、この研究環境下での研究パフォーマンスを最大化させていくという視点でございますと、技術・実験支援の職員ですとか、研究コンサルテーションを行う人材に加えまして、研究や技術的な素養を有し全体を俯瞰的に捉えて統括マネジメントができる人材の配置や処遇が必要であると。さらに新たな科学研究の場というものを教育的な資源とも捉えまして、自身の研究分野に加えて、AI、データサイエンスの素養を有する人材の育成というものを大学と連携して進めていくということが必要であると、ここは特に大きく意見をいただいたものでございます。
 そして4. は、環境を構築していく中では産業界との協働が必要であるということ。
 また、国際頭脳循環の促進といたしまして、こういった築いた研究環境が世界の研究者を引きつけて国際頭脳循環のハブの一つとなるよう取り組んでいくことが重要であるというふうな御提言をいただきました。
 そして実際、こういった環境を築いていくに当たってはということで、右の「取組の具体化に向けて」でございますけれども、やはり大規模集積含めまして大きな構想となってきますので、組織としては大規模な設備・機器ですとか、人的資源等の基盤を有しまして、科学研究の変革の原動力となれるような組織である必要があるということが1点目でございます。
 そして2点目で、大学共同利用機関というものを考えたときに、やはりこういった拠点となれる、中心的機関となれるポテンシャルを有しているのではないかということで、ここは部会において大学共同利用機関というところに少し期待をするということを御提言させていただいています。
 そして最後に、ただ、大学共同利用機関だとしても、なかなかこれは一つの機関がというよりも、大学共同利用機関同士でもそうですし、共同利用・共同研究拠点ですとか、研究開発法人等、様々ございますので、そういったところともしっかりと連携・協働しながら、オールジャパンとして取り組んでいけるような研究推進体制をしっかり構築をしていくことが必要であるとなってございます。
 この意見のまとめを踏まえまして、また事務局におきましてよりよい形で具体化を進めて実行に移してまいりたいと考えてございます。
 私からの説明は以上でございます。
【轟木参事官補佐】  ありがとうございました。最後に参事官(情報担当)の阿部より、AI for Scienceの実現に向けて御説明申し上げます。よろしくお願いいたします。
【阿部参事官】  資料3-4を御覧ください。タイトルとして、画面に出ておりますが、「2030年代を見据えた情報科学技術の推進について」ということで、特にAI for Scienceが一つキーワードになってきていますので、この実現に向けてという副題をつけてございます。めくっていただきまして、2ページ、「現状と課題等」というところ、簡単にまとめております。本日以降もいろいろ御議論させていただきますので、今後この辺りもブラッシュアップする前提でございますけれども、今日の検討の材料という形で見ていただければと思います。
 研究力の抜本的な強化が、日本の科学技術・イノベーション政策における重要な課題の一つだということはこれまで各担当からもお話があったとおりです。
 その中で、AIは、研究力の生産性のみならず、科学研究の在り方そのものを変革する力を持っているのではないかというところで、様々な社会課題の対応にも不可欠な技術だという状況です。
 一方、他国においては様々な取組が進んでいまして、研究の高度化・高速化が急速に進展している状況かと思います。そうした中、日本においても、日本のAI開発・活用が遅れている等の問題意識の下で、AI法が今年の5月に成立したところでございまして、これに基づいてAIの基本計画が今後策定される予定になっております。また、世界で最もAIの研究開発・実装がしやすい国を目指すという方針も出されている状況でございます。
 そうした中、近年、AIを科学研究に組み込むことで、研究の範囲、スピード、これを飛躍的に向上をもたらすAI for Science、これが創造性・効率性などの観点で科学研究の在り方に急速かつ抜本的な改革をもたらしつつあるということで、各国においても環境整備が進んでいるところかと思います。
 「科学の再興」を掲げる日本として、AI技術の急速に進展する国際潮流を踏まえて、オープンサイエンスや研究セキュリティー等の観点にも留意しつつ、日本固有の強みを生かした分野横断的・組織横断的なAI for Scienceの先導的実装に取り組むことが喫緊の課題ではないかという認識をしているところです。
 2030年代の本格的なAI時代に向けて、AI時代を支える研究インフラの抜本的強化とAI for Scienceを推進するということで、科学研究にパラダイムシフトを起こすということが必要ではないかと。
 これまで以上に科学技術・イノベーション力が国力に直結する時代だということで、AI for Scienceの成果や手法、ノウハウが産業界や社会へ展開・波及されることで、社会的課題の解決、また社会変革へとつながる駆動力とすることが大切ではないかというところを記載しております。
 続いて3ページを御覧ください。ところで、AI for Scienceとは何かというところがございますので、これまでいろいろ出されている文章から少し整理を試みているものでございます。AI技術を科学研究のあらゆる段階に活用し、様々な分野で活用する取組といった概念で捉えられているのかと思いますが、具体的には下の真ん中の辺りにAIの活用例ということで書いておりますけれども、現在、科学研究で創出されるデータの改良や情報の抽出、シミュレーションの高度化・高速化、実験や研究室の自律化、新しい研究テーマ等の提案、こういったものがいろいろ活用されつつある状況かと思います。
 その意味で1. として、AIが各研究を高度化・効率化するということが意味としてあるかと思います。
 さらに2. としてAIが科学研究を自律的に駆動するという面も出てきているかと思います。
 一方、下になりますけれども、AI for Science、これを政策論としていろいろ考えていくときには、科学研究の革新という観点からはもう少し広い概念で捉えることが必要ではないかと思います。
 具体的には3. 、AIそのものの研究開発、具体的にはイメージとしてはScience for AIというところかと思います。
 4. 、AI for Scienceを実現するための研究環境。今日いろいろ議論も出ておりますけども、データの保存・管理、流通、活用を支える情報基盤であったり、また、人材育成、リテラシーの向上、こういうものが入ってくるのかと思います。
 さらに5. として、科学研究から社会実装への取組として、産業界の橋渡しであったり、また社会データをどう活用していくかと、そういったものもやはり議論としては頭に置かなければならないのかなと考えております。
 その上で、次のページ、4ページ目になります。2030年代、AI for Scienceの実現に向けてというところでございますが、AIは、あらゆる分野の研究活動を支えるキーテクノロジーであり、これからの時代、AI力=研究力ということも言えるのではないかと思います。AI for Scienceによる科学研究の革新により知の共有が加速し、新たな付加価値が創出されるのではないかと。そのため、AI for Scienceにより科学研究の在り方をスピード感を持って抜本的に変革していくことが必要ではないかと。
 この青字のところですが、イメージというところですけども、例えば2030年代、全国どこでも誰でも、AIを使った研究活動が可能となる社会を実現し、研究効率・生産性の向上、研究者の創造性を最大化することで、国際的な潮流の中で我が国のプレゼンスを確保しつつ、日本の研究力低下を反転していくといったような方向性を持って、戦略的・重点的に取り組むことが重要ではないかということで、下に、こちらも議論のためのイメージというところになりますけれども、実現する社会像として、例えばと書いてありますが、誰もが先端研究施設・機器への自由にアクセスしてデータを取得できるような環境を構築するとか、爆発的に増大するデータをAI利用を前提に誰でも安全かつスマートに活用できる強靱な次世代情報基盤の革新をしていくであるとか、AI基盤モデルを構築して膨大な研究データをあらゆる分野で活用できる環境をつくるとか、AI時代の科学研究を先導・刷新し、AI研究力を強化し、AIシフトによる各分野の研究力を向上する。
 研究作業の自動化・自律化・高速化等により研究環境を高効率化し、研究者の知的創造活動時間を大幅に創出していくとか、また、論文や研究データ等国際的なオープンサイエンスの潮流における我が国の主導権を発揮していくとか、そういった将来を考えてはどうかというところでございます。
 次、5ページ目になります。そのためには、次代の国際競争環境を一変させるAI駆動型のデータ創出・管理、相乗的活用のエコシステムを戦略的に国内に構築し、基礎研究の強化から革新的イノベーション創出に至るまで、産学官の広範な用途に開放していくことが必要ではないか。
 多くの意欲ある研究者及び先端的研究リソースのポテンシャルを最大化する科学研究システムの革新を実現して、日本の研究力・国際競争力の抜本的強化につなげることが必要ではないかということで、2030年に向けて以下の取組を重点的に強化してはどうかということを書いております。
 一つは、革新的な創造性をもたらす科学基盤モデルの国産開発。
 研究システム自動・自律・遠隔化による研究データ創出・活用の高効率化。
 AI for Scienceの原動力となる研究データの保存・管理、流通、活用を支える情報基盤の抜本的強化。
 世界を先導する戦略的な産学連携・国際連携。
 透明性・信頼性の確保に向けた生成AIの研究開発や革新的なAIの研究開発。
 最後にAI for Scienceを支える幅広い人材育成などというところで、議論用の資料をまとめておるところです。
 以下、参考資料をたくさんつけておりますが、時間も限られますので、ぱらぱらと御覧いただければと思います。7ページ目が、AIの歴史、それから、AI for Scienceということ、これはよく見る図かと思いますけども、こういった資料や、次のページには政策文書でAI for Scienceが今どういう記載がされているのか。
 また、9ページ目には令和6年度の科学技術・イノベーション白書で、AIがもたらす科学技術・イノベーションの変革について取り上げられているもの。
 さらに10ページ目、AI for Scienceに関する定義ということで、各国でどういう形で使われているのかというものを載せております。
 11ページ目には先ほど御紹介したAIの活用例、それから12ページ目では、2024年のノーベル賞が化学賞、物理学賞とともにAI関連が受賞している御紹介。
 13ページ目が諸外国の政策動向ということで、特につい先日、7月23日にアメリカでAI行動計画が発表されておりますので、そのポイントを紹介しております。
 アメリカにつきましては、14ページになりますが、「AI for Science,Energy,and Security Report2023」ということで、こういったレポートも出ておりまして、AIが科学技術の進歩のための強力な新たな基盤となるといった点や、科学と安全保障におけるAIの可能性を実現するためには国家的な取組が必要だという点、また、今や大きな国際競争であるといったことが指摘されているというものでございます。
 15ページ目が各国におけるAI戦略をまとめたもの、16ページ目が「AIのイノベーションとAIによるイノベーション」ということで、研究開発力の強化、インフラの高度化、人材育成、AI利活用の推進といったもの。こちら、内閣府のAI戦略会議で出された資料を抜粋しております。17ページも同様の資料でございます。
 また、18ページ目には、NISTEPでまとめられている報告書から持ってきておりますけれども、AIモデルの発展の歴史的な流れであったり、また基盤モデルと次世代AIモデルによるAIロボット駆動科学の進展がこういったステップでなされているであったり、また、次世代AIモデルの目指す姿といったものを参考に入れてございます。
 19ページ目はAI関係の論文がどのような状況であるか。また20ページ目、これもNISTEPの調査ですけれども、ICT技術の変革の実態ということで掲載しております。また21ページは、その調査の中で聞いた自由記述例を御紹介しております。
 22ページは、AI活力ランキングというものでございまして、世界の動向のランキングの一つでございまして、23ページ、国別AIランキングというものもございますので、御参照いただければと思いますが、ここで特に分析を見てみますと、AI人材の育成、海外からの人材誘致、政府の積極的投資、スタートアップへの投資環境の整備などが課題ではないかといった指摘もなされているところです。
 24ページは、世界的な組織別のAIランキングや世界的なAI研究者のところを抜粋しております。
 25ページは、個人や企業における生成AI利用ということで、社会的にどれぐらい活用が進んでいるかというものを見ていただければと思います。
 26ページ以降、第7期科学技術・イノベーション基本計画に向けた検討というところの資料から幾つか持ってきているものでございますので、御参照いただければと思いますが、27ページ目に基本認識のところにAIと科学の融合、AIの影響を前提とした研究開発、こういった潮流がある中で、目指すべき未来社会像のところにwith AI時代の到来を踏まえて、いかなる未来社会像を描くべきかという指摘がなされているというところです。
 また28ページ目は、先ほど紹介ありましたけど、AIシフトによる研究力の向上というところも論点として出されているところです。
 29ページ目は、文部科学省の科学技術・学術審議会学術分科会で議論されている資料で、こちらにおいてもAIを活用した研究の高度化・高速化が図られる中、今後の学術の在り方はどうかという議論がなされております。
 30ページ目、今日の議事次第の(1)で御報告いただいたものになりますが、こちらの委員会でまとめていただいた次世代の情報基盤の在り方の中間まとめ、この真ん中のところ、AIを取り込んだエコシステムの構築というところで、「AI利用を前提」としたというのが一つのキーワードかなと思っております。
 それから31ページ目は、AIを活用した科学研究の刷新のイメージというところ、32ページ目は、情報基盤のほうの全体のイメージになります。
 33ページ目がAI法の概要でございますが、日本のAI開発・活用が遅れている、また多くの国民がAIに対して不安だという中で、イノベーションを促進しつつ、リスクに対応するため、新たな法律ができたというところでございます。
 34ページ目、AI戦略会議、6月に出された資料ですけども、今後のAI政策の進め方という中に基本計画をまとめていく旨が書いてございます。
 35ページ目、AI戦略会議のときに総理が御発言した内容になっていますが、この中でAI法により、世界で最もAIの研究開発・実装がしやすい国を目指してまいりますという点。
 それから、下線を引いておりますが、基本計画には、私たちの暮らし、特に、地方の暮らしがどう変わるか分かりやすいビジョンを盛り込んでくださいといった発言もなされているというところでございます。
 36ページ目が、これまでの科学技術・イノベーション基本計画の流れの参考として入れております。第5期ではSociety5.0が提唱され、第6期ではその具体化を目指すんだという流れがあったのかと思います。
 そうした中、37ページ目になりますが、我が国が直面する未来社会というお題目の中で、Society5.0の実現には道半ばだという指摘があるということと、AI分野での研究領域の盛り上がり、市場の動向というものが書かれた上で、これまで以上に科学技術・イノベーション力が国力に直結する時代なんだという指摘がなされております。
 38ページ目、こちらも御参考になりますが、NISTEPではポストSociety5.0に向けてということでいろいろ調査がなされており、次に向けたシナリオの検討がされており、「共生のための科学技術イノベーション」というようなキーワードが出されております。
 39ページ目、AI関連の政府全体の予算の状況でございます。当然主な施策をまとめていますので、全てが入っているものではありませんが、ざっくり申し上げますと、右上にあるとおり2,000億円程度になっているところでございまして、その推移が40ページ目にあるので、御参照いただければと思います。
 最後、41ページ目になりますが、今日もデータが重要だという御議論あったかと思いますが、公的資金による研究データの管理・利活用についてということで、オープンサイエンス等々の議論がある中、参考資料を1枚入れております。
 以上になります。
【轟木参事官補佐】  ありがとうございました。こちらで事務局からの説明は終了になります。ここで資料3-2の説明の中で不足していた資料がございまして、大変失礼いたしました。ここで皆様に配付したいと思いますので、お受け取りくださいませ。
 では、相澤主査にお返しいたします。
【相澤主査】  どうもありがとうございました。
 では、ただいま御説明いただいた内容を踏まえまして、特にAI for Science実現に向けてということで、2030年、あるいは近未来のあるべき姿や課題等について委員の皆様から御意見をいただければと存じます。議論の時間はこの委員会の中では短いものですが、その後もメール等で御意見いただければと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
 また、各意見に対する回答は事務局それぞれからということでよろしくお願いいたします。
 では、天野先生、よろしくお願いいたします。
【天野委員】  すばらしい計画だと思うんですけれども、AI for Scienceというふうにサイエンスにかけるのが僕にとってはかなり違和感がありまして、今、例えば、僕の専門としている半導体、ハードウエアの設計なんかに対するAIの導入のスピードはすばらしくて、何もサイエンスに限る必要はないのではないかなと思います。計画全体として非常にすばらしいと思います。
 以上です。
【相澤主査】  では、まとめて後で御返事いただくことといたしまして、続けて皆様からの御意見をお聞きしたいと思いますが、いかがでしょうか。
 小林先生、よろしくお願いいたします。
【小林委員】  ありがとうございます。この資料の中で、情報基盤の整備、高度化あるいは人材育成というようなことが示されたと思いますが、もちろんポスト「富岳」で整備が進められつつあると思いますけど、やはり幅広い利用者に対する情報基盤の整備という意味では、情報基盤センターのさらなる共同化というものも必要かなとは思うところです。
 ですので、ただ、現状見ますと、利用支援はある程度予算がついているような気がするんですけど、どうしてもインフラのほう、あるいはそれを支える人材に対する予算といったものが依然として限られていて、大学側での自己負担的なところがあるように思います。
 ですので、言葉として集積化という言葉が出ていましたけど、私はどちらかといったら、分散・共有型というか、電力の制約もありますので、集約の効率化という意味では重要かもしれませんけど、分散されているものをうまく連携させて、仮想的にワンストップで使えるような環境をさらに高度化していくことも必要かなと感じて聞いておりました。
 以上です。
【相澤主査】  ありがとうございます。では、委員からの御意見続けてということで、星野先生、よろしくお願いいたします。
【星野委員】  御説明ありがとうございます。非常に興味深いですし、大変重要だと思っておりますが、実は私、前、公認会計士協会と共同でAIがどのように職にインパクトを与えるかという研究をさせていただいて、論文化もさせていただきましたけども、そこですごく大事だった、難しかったのは、そもそも公認会計士ってそれなりに決まったような職業であっても、会計士側のほうがどのような仕事にどのように時間を使っているかとかということがあまり分かってなくて、職の分類というんですかね、どのような要素があるのかをまず分類していって、10分類ぐらいにさせていただいたんですけども、そのようなことをまずするところから結構始めさせていただいて、その中のどの要素がどれだけAIで代替できるかとか、その時間を減らせるかみたいなことを結構させていただきました。
 非常に重要ではありますけど、抽象的にならずにとなりますと、何がAIを使って生産性を向上するのか。多少海外では結構そういった社会科学者、結構研究に参加して、そういったもの自体の研究もしておりますけども、我が国の領域のラボにおいて、例えばビッグサイエンスのラボですね、素材だとか、生命科学だとか、そういった分野で、どのように人々が時間を使っていて、時間を使って、何が生産性に向上するのかということをもう少し解像度高く理解できますと、じゃあ、それに対してここはこういうふうに具体的に使ってあげたらいいとか、ここの部分を伸ばしてあげたらいいとか、お金を出してあげたらいいみたいなことになると思います。可能であれば、少し分野を絞ってもいいので、何かしら特定分野において、研究活動の、インタビューだとかと、何かしら質問紙調査みたいなことはされると思いますが、もう少し具体的に解像度を上げる形で、どのようなところに関して、特にAIが生産性を向上させるんだといったことと、それに対してどれだけ資金を費やすべきなのかといったことを調べていただくみたいなことがあると、より具体性が高まり、有効性が高まるかと思っております。
【相澤主査】  ありがとうございました。では、尾上先生、よろしくお願いいたします。
【尾上主査代理】  ありがとうございます。非常に重要なポイントだと思います。資料3-4の3ページ目ですが、これ2ページ目にAI法のお話が出ておりますけども、こういうところを国として目指すということでいうと、1、2はもちろんですけど、3、4、5、特に4、5ですか、こういうところをきっちりやっていくというところが日本としては重要なんじゃないかなと思います。
 あとは、投資効果ということもきっちり考えないといけないと思っておりまして、こういうものが研究の質の向上、あるいは社会の充実度の向上にどういうふうにつながったかというのが絶えず見えるように施策を打っていく、そういうようなことをうまくやっていただけるといいかなと思いました。
【相澤主査】  ありがとうございます。ほかはいかがでございましょうか。
 時間の許す限り、皆様から御発言いただければと思いますが。
 若目田委員、どうぞ。
【若目田委員】  若目田でございます。今日、大変盛りだくさんな資料で、全てとても大切なものだなということで、非常にいいきっかけになりました。
 2点あります。データが重要というようなことは、多分AI戦略としても、両輪というか、場合によってはネックになるとしたらデータのほうじゃないかというのは、よくここに来て強く言われていることで、かつ、第6期のビジョンですかね、国民の安全・安心と一人一人の多様な幸せ、まさにパーソナルデータ、個人情報そのものが研究によっても大いに使われるような、そういった形にならなければ多分実現できないことなんだろうなと思います。
 そういった意味で、データに関してのもう少し具体的な施策もやっぱり必要ではないかなとちょっと感じます。上位目標の達成のために、データを共有しようじゃなく、重要な社会課題とか、ここに書いてあるような優先すべき課題に対して、どのようなデータが、どのような形で、どれだけの量が必要となるのか、それがどういうAIの高度化に資するのかみたいな部分を明確にして、それをどこにどんなポリシーで収集するかって、こういったようなところが明確になってなければ、なかなかデータの集約が必要とか、いつでも研究者が使えるといってもそんな簡単なことはないなと思っております。必要があれば、重要な学術研究のために、個情法を塗り替えるような制度の検討があってもいいんじゃないかというぐらい重要なことかなと思っております。
 2点目は、設備の共用とか集約化って、これもとても大切なことだと思います。先ほど御発言があった、私も全く賛同するところなんですけども、研究の現場の一人一人の改革が必要と言っていたところが、多分AIを契機にもう待ったなしだというところが重要かなと思っていまして、今の働き方として、本当に研究者の方が何に時間を費やしているのかどうか。私もAIのデータ基盤のところでいうと、結構研究そのものよりも、データを取得するための交渉とか、それを学内の倫理委員会に通すための準備とか、割とそういうものに取られているみたいなのもあって、それが全てかどうかあれですけども、研究の現場の、先ほど会計士の議論でしたけども、本当に何がネックになっていて、それは一人一人がやらずに全部集約化する、それは大学で集約どころか、日本で集約するみたいな、そういう発想で、研究設備とかだけではなく、そういうプロセスのしっかりした把握と、集中できるものは集中するということに関していうと、設備だけではなく、1か所で検討する。先ほど学術利用の適用除外の議論ありましたけど、それが全ての研究所の方が適用除外の判断を悩むと時間がもったいないので、どこか1か所で判断するとか、そういうような設備だけではなく、そのプロセスをしっかり分析をした上で集約する、そういうような人とか体制というのも検討が必要ではないかなと思いました。
 それと人の育成だけじゃなく重要なのはインセンティブだと思います。人を動かす仕組みがないと人は動きませんので、それは多分研究者もしかりだと思います。これは民間もそういうようなことを乗り越えてきている企業が成長していますので、ぜひ人の育成と人を動かす仕組み、あとは何らかの学習の基盤をつくりますって、その基盤だけじゃなくて、基盤そのものを改善していく、そういうモニタリングする仕組み、こういったところとかも必要じゃないかなと思いました。
 大変重要な課題だと思います。貢献できる部分は民間側もしっかり貢献していきたいと思います。以上です。
【相澤主査】  ありがとうございます。では、湊先生、よろしくお願いします。
【湊委員】  ありがとうございます。3-4の最初の3ページ目のところのAI for Scienceとはって書いてあって、1、2、3、4、5と書いてあるんですけど、例えば5の科学研究から社会実装への取組というのは、これはサイエンスじゃなくてエンジニアリングそのものだと思うんですよね。だから本当はAI for Engineeringというのもきちっと言うべきではないかと今ちょっと聞いていて思いました。これ、最初の天野先生の御意見とも通じるところがあると思います。
 特に例えば、論文書ければサイエンスって思っているのかもしれないんですけど、例えば材料科学とかである機能を持つものを、材料をつくりたいって目標がはっきりしていて、それで材料のいろんな組合せをAIを使ってがんがん探索するというのが今すごくはやっていると思うんですけれども、そういうのは目標がはっきりしていて、それに向かってどうやって製造すればいいかということなので、まさにエンジニアリング、工学そのものだと思うんですよね。ただ、それが論文という形で出ているので、サイエンスと言われていると思うんですけども、だから、サイエンス&テクノロジーとか、サイエンス&エンジニアリングとか、そういう言い方もあってもいいんじゃないかなと聞いていて思いました。
 私からは以上です。
【相澤主査】  ありがとうございます。では、引原先生、お願いいたします。
【引原委員】  ありがとうございます。重要な視点たくさんいただきましてありがとうございます。
 今、湊先生が言われた3-4の資料の5ページ目なんですけれども、ここでAI for Science自身を、AIをツールとして見るのか、AI自身をサイエンスの起爆剤として見ているのかがちょっと曖昧になっているんじゃないかなと思っています。
 というのは、後で2030年に向けて以下並べてありますけれども、どちらかというとこれツール的なことが並んでいるように見えます。ですから、今おっしゃったエンジニアリング的な部分はやはり少し別立てでしたほうがいいのではないかなというのが私の感覚です。
 科学的手法としては、当然ながら理論があって、数値計算があって、実験があってとあるんですけども、第4の手法として、じゅうたん爆撃的にいろんなパラメータをサーベイするというのは昔からあるわけですよね。それが容易になったということであって、科学的手法自身が変わったわけではないわけですよ。少なくとも二つの手法で一致しなければ科学としては成立しないというか、論文としては成立しないのが当たり前なんですけれども、それをAIだけで成立するかと言われると、それは間違っていると思います。
 だから、それに基づいて科学基盤モデルの国際開発という表現を導き出したとしたら、それはちょっとまずいのではないかなと私は思いましたので、コメントさせていただきました。よろしくお願いします。
【相澤主査】  ありがとうございました。まだまだ御意見あることと思うのですが、今日、本当に議題がめじろ押しなので、一旦ここで区切らせていただきまして、引き続き皆様には御意見賜れればと思っていますので、どうしましょうか、こちらで御返事の時間を。
【轟木参事官補佐】  そうですね。
【相澤主査】  順番に少しお気づきの点ございましたら一言ずついただければと思います。よろしくお願いします。
【阿部参事官】  では、まず私のほうから、全体をまとめている立場からになって恐縮ですけども、資料3-4は、あくまで今日の議論用にまとめさせていただいたものなので、今いただいたような御意見を踏まえてさらにブラッシュアップしていかなきゃいけないと思っています。
 その上で、個別に幾つかコメントいただきました。例えば最初にいただいたサイエンスに限る必要はないという点は、そのとおりかと思っていまして、目指すべきところの世界観というところでは当然サイエンスに限る話ではないのかなという点。
 ただ一方で、文部科学省の立場から、科学技術政策の観点からは、ある程度サイエンスをどう変えていくかというところもあって、それをどううまく表現するのかなというところが課題かなと思いましたので、ここはまた改めてよく検討したいなと思いました。
 それから、最後のほうで御指摘いただきました点、ツールなのかどうかという、ここも御指摘のとおり、少しまだ曖昧な、両方の意味合いが当然あるのかなと思っているところではあるんですけども、分かりにくいところもありますし、まだまだ検討が浅いかなと自分自身思っているところがありますので、いただいたコメントを踏まえながらよく考えていきたいなと思っております。
 それから、より具体的に現場の状況を、どこがどうなってどういうふうになっていくのかという点は御指摘のとおりかなと思いますので、よく各担当課とも相談しながら、より現場目線で見たときに、AIを使って何がどう変わっていくのかということをもう少し分かりやすく表現できるようなことを考えていきたいなと思います。そのプロセスを把握しながら、どうやっていくのかであったり、また人を育成することと人をどう動かしていくのかの仕組みであったり、インセンティブというようなコメントいただいていたかと思いますけど、大変重要な御指摘かなと思いましたので、よく検討できればと思います。
 併せて解像度を高く見るという点も、まさにそれが多分我々やらなきゃいけない仕事かなと思っているところですので、分かりやすい資料、どういうふうにこれを表現していくのかというところを考えたいなと思いました。
 それから、4、5が重要な点という点と、そこをどう見せていくというところも多分同じところかなと思っていまして、今日は非常にまだまだ本当に項目立てみたいなところしか示せていませんけれども、さらにこれをどういうふうにしていくのかというところまで含めて、もう少ししっかりと検討を深めていくようなことができればと思っておりますので、コミュニケーション、意見交換、引き続きさせていただけるとありがたいと思っております。
 全体的な話で恐縮ですけれども、私のほうからは以上になります。
【山村学術研究調整官】  私からもよろしいでしょうか。大学研究基盤整備課の山村でございます。小林先生と星野先生からいただきました御指摘につきまして御返答差し上げたいと思います。
 まず、小林先生から集積化ではなくて分散型でもいいのではないかという御指摘をいただきました。私どもの部会のほうでも同じような御意見ございましたけれども、議論を進めていく中で、やはり今回どうしてこういうことということを考えたときに、一つはやはり研究者の皆様が、研究の在り方といいますか、科学研究の在り方そのものを変えていけるような研究環境をしっかり構築をしていきたいと。そのときにやはり設備を集積をして、研究工程といいますか、研究過程の中でしっかり自動・自律化というものを図りながら、ワンストップでシームレスな形での研究工程をしっかりと整備をしていくことが大事なのではないかと。
 それを活用して研究の加速化を進めていくというふうなものが非常に大事ではないかというところもございましたので、一定規模の集積は必要であろうというところの発想で進めていく必要があるということでした。ただ、大規模集積と言っても限界があるとは思いますので、足りない要素は先ほど申し上げました拠点ですとか研発法人等、それぞれが有しているポテンシャルを活用すべく連携をしながら、みんなで総体としてこういった科学研究の姿を築いていけるような研究環境を構築していこうというところでこのような書き方を今般させていただいたところでございました。先生からいただいた御意見等もまた参考にさせていただきたいと思ってございます。それが1点目でございます。
 星野先生から少し分野を絞ってというところの御意見いただいたかと認識してございます。それも私どもの部会の中でもございまして、資料3-3の本体で申し上げますと、4ページ目、本文4ページ目のほうの一番上の白丸、1に入る前の白丸のところに、今般、こういった取組に関しては最も考えられる実施機関や研究分野等から着手をし、と少しアテンションを入れさせていただいてございました。
 これは今こういった分野に関しましては、ライフサイエンスの分野とあと材料の分野というところで非常に進んでいるというふうなところが共通の認識であると思ってございますので、そういった分野から着手をしながらも、とはいえ、ほかの分野にもどんどんこういったものを広げていける可能性をしっかり探っていくというところが重要ではないかと考えてございますので、そういった形でこれから進めていきたいということを考えているところでございます。
 以上でございます。
【伊藤参事官補佐】  私からもよろしいでしょうか。先ほど山村さんからの御説明にもありましたが、AI時代にふさわしい研究環境の在り方として大規模集積という点もございますが、私どものほうでは全国で誰でも研究者がアクセスできるような研究基盤を整備しましょうという方向で議論されております。
 大規模集積をすることで飛躍的に向上する部分もございますけれども、全国に研究基盤を整備いたしまして、最先端の機器に全ての研究者がアクセスできるような環境にするということでデータが増えていくという部分もあると思いますので、一緒に連携をさせていただきながら、一つの施策ではなくてパッケージでデータ基盤というものも充実させるような取組を一緒にできていければと考えております。
【川原委員】  時間ないところ、すいません。今の議論で少し注意しなければならないなと思っているところがありまして、ちょっとあえて割り込ませていただきました。AI for Scienceテクノロジーのほうがふさわしかろうというのは私もそういうふうに感じていますが、ツールの進化がどう研究全体に与えるかに関しても、一度、情報の専門家だからこそ予想し得る未来についても思いをはせる必要があるかなと思います。
 といいますのも、グーグルとかがつくっているようなAIにはもう既にディープリサーチ機能がついていて、数十ページのしっかりしたレポートを自動的につくることができますし、最近、ディープシンク機能というのができまして、数学オリンピックとか、物理オリンピックとか、それぐらいの勝てるレベルの深い思考を10分かけてやるというのが出てくるようになっています。
 また、プログラミングに関しても、あえてプログラミングできる人が時間短縮のためにそういったものを使ってAIにコードを書かせるというのが普通になってきていますので、そうなるとちょっと研究の仕方、研究指導の仕方、研究の評価の仕方も大分変わってくるのではないかなと思います。
 それが結局行き着くところ、何の競争になるのかというのは今のうちから押さえておかないと、科学技術自身の評価自身が変わってくる部分もあるかと思いますので、それに関しては情報の専門家がしっかり見ていく必要があると思います。
 さらに機器の集約化に関しては、集中、分散、両方必要な要素があると思いますが、一つはやっぱりこれをサービスとしてどう提供できて、どう付加価値を生めるかということだと思います。SPring-8のような1点ものであれば、もちろん1個しかないので、集中して共用をかけるという話だと思うんですけども、GPUが面白い例だと思っていまして、買おうと思ったら買えるんですけれども、AWSとかグーグルとかで借りたほうがトータルの予算としては抑えられるし、まずソフトが使いやすいのがそろっているので、設定する必要もないというので、ちょっと高くても付加価値が高いので使うと聞いています。
 そういったものは、分散して持てるようなものでもあえて集約をかけることで付加価値を生んでおりますので、これも単にいろんなところに重複して買っているものを集約をかけるというだけではなくて、それをAIを前提とした研究の中でどう付加価値を生む存在にしていくのかというのもやっぱり考えないと駄目かなと思っています。
 以上です。
【相澤主査】  どうもありがとうございました。ただいまいただきました御意見も踏まえまして、事務局とさらに検討を進めてまいります。事務局より本議論に関して補足がありましたら、どうぞよろしくお願いいたします。
【阿部参事官】  ありがとうございました。追加で御意見等いただけるようでございましたら、本委員会閉会後、事務局まで御連絡いただけますと幸いでございます。
 なお、次世代情報基盤の検討に関しましては、ワーキングを立ち上げ、有識者の皆様と今後も議論を進めていきたいと考えております。その点、お含みおきいただけますと幸いでございます。
【相澤主査】  ありがとうございました。ただいまコメントがありましたとおり、次世代情報基盤については、今後ワーキングを立ち上げ、さらに議論を深められたらと考えております。立ち上げに関する詳細は追って御説明させていただきますが、委員の皆様におかれましてはその旨御承知おきいただけましたら幸いです。よろしくお願いいたします。
 
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科学技術・学術審議会情報委員会運営規則第5条に基づき、議題4は非公開とした。
 
議題4. 令和8年度概算要求の方向性について
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【相澤主査】  ありがとうございます。
 では、本日、ちょっと司会の不手際もありまして、時間が超過しておりますので、ここで議事、終了させていただきます。追加の御意見等ございましたら、会議後に、御質問含めて、事務局までメールでいただければと思います。
 そのほか事務局より御連絡ありましたらよろしくお願いします。
【轟木参事官補佐】  ありがとうございます。事務局でございます。今後の開催予定について御連絡でございます。今後の開催予定については現時点では未定となっておりますが、10月頃の開催を念頭に別途事務局より日程調整の御連絡をさせていただければと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 また、先ほど相澤主査からございましたように、本日の議論について追加で御意見をいただけるようでございましたら、来週8月15日金曜日18時までにお送りいただけますと幸いでございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 事務局から以上です。
【相澤主査】  では、8月15日18時までということでよろしくお願いいたします。
 それでは、こちらで閉会とさせていただきます。どうもありがとうございました。次回もよろしくお願いいたします。
 
―― 了 ――

 

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