情報委員会(第32回) 議事録

1.日時

令和5年6月14日(水曜日)16時00分~18時00分

2.場所

文部科学省 東館15階 15F特別会議室 ※オンライン会議にてハイブリッド開催

3.議題

  1. オープンサイエンスの推進について
  2. その他

4.出席者

委員

相澤主査、青木委員、天野委員、石田委員、尾上委員、小林委員、佐古委員、長谷山委員、引原委員、星野委員、湊委員、美濃委員、盛合委員、若目田委員

文部科学省

森 研究振興局長、奥野 大臣官房審議官(研究振興局及び高等教育政策連携担当)、工藤 参事官(情報担当)、河原 計算科学技術推進室長、藤澤 学術基盤整備室長、原田 科学官、竹房 学術調査官、松林 学術調査官

オブザーバー

林 科学技術・学術政策研究所データ解析政策研究室長
国立情報学研究所 
 山地 コンテンツ科学研究系教授、吉田 学術コンテンツ課長
科学技術振興機構
 中島 情報基盤事業部長、松尾 情報企画部長

5.議事録

【相澤主査】それでは、定刻になりましたので、科学技術・学術審議会情報委員会の第32回会合を開催いたします。本日は、新型コロナウイルス感染症の感染防止対策も行いつつ、現地出席とオンライン出席のハイブリッドで開催することといたしました。
 報道関係者も含め、傍聴者の方にはオンラインで御参加いただいております。また、通信状態等に不具合が生じるなど、続行できなかった場合、委員会を中断する可能性がありますので、あらかじめ御了承ください。
 本日は、川添委員が欠席と御連絡をいただいております。
 また、オブザーバーとして、国立情報学研究所の山地先生、吉田学術コンテンツ課長、科学技術振興機構の松尾情報企画部長、中島情報基盤事業部長、後ほど合流ということでございます、科学技術・学術政策研究所の林室長にも御出席をお願いしております。
 また、前回欠席されておりました佐古委員が本日は御出席されておりますので、まずは一言、自己紹介をお願いいたします。よろしくお願いいたします。

【佐古委員】  前回は出席ができず、申し訳ありませんでした。暗号技術を中心にセキュリティ、プライバシー、あと公平性やトラストの研究をしております、早稲田大学理工学術院の佐古と申します。
 私は3年前までNECの中央研究所に行って同じ内容の研究をしておりましたが、3年前から大学で、学生と一緒に研究を進めております。
 また、一般社団法人MyDataJapanの副理事長もしておりまして、これは、一般の市民の人に、このIT社会において自分のデータに関するリテラシーを高めていただいて、自分のデータを自分のために使うことができる、そういうような社会にしたいなと思って活動しております。どうぞよろしくお願いいたします。

【相澤主査】  ありがとうございます。よろしくお願いいたします。
 続きまして、配付資料の確認と、ハイブリッド開催に当たっての注意事項とを併せて事務局より説明をお願いします。

【佐々木参事官補佐】  事務局でございます。それでは、議事次第に基づき配付資料を確認させていただきます。現地出席の方はお手元の配付資料を、オンライン出席の方はダウンロードいただいている資料を御確認ください。
 まず本日、資料が4点ございまして、資料1、2、3の3点と参考資料を1つ、お配りさせていただいております。参考資料につきましては、前回事務局資料で、NISTEPで行っている調査について2020年のものを参照させていただきましたけれども、ちょうどその委員会の直後に、この2022年版が公開されておりましたので、参考資料として本日お配りさせていただいているものでございます。
 もし現時点で、この配付資料に関してお困り事、資料が足りないですとか、何か不具合等ございましたらお知らせいただければと思いますが、いかがでしょうか。もし何かございましたら、現地出席の方は手を挙げていただきまして、またオンライン出席の方は事務局までお電話で御連絡いただければと存じます。
 引き続き、ハイブリッド開催に当たっての注意事項を申し上げます。発言時を除き常時ミュート、マイクをオフにしていただければと存じます。また、ビデオについては常にオンにしていただければと思います。
 会議中に通信状況が悪化するような場合につきましては、主査を除き常時ビデオの停止にしていただくことをお願いさせていただきます。
 また、運営の都合上、現地出席の方も含めて、発言する場合は、Webexの「手を挙げる」ボタンを押して、お知らせいただければと思います。現地出席いただいている方は、このiPadの下のところ、顔のマークを押していただけると上のほうに「挙手」と出ますので、そちらを押して合図を送っていただければと思います。
 主査は参加者一覧を常に開いておいていただきまして、手のアイコンが表示されている委員を指名していただければと存じます。
 現地出席の方が発言する場合につきましては、本日もこちら、マイク2系統用意しておりますけれど、真ん中の三角形のものでまずは音声拾っておりますので、少し大きめの声で御発言いただけますと大変ありがたく存じます。
 また、本日、議事録作成のため、速記者を入れております。速記者のために、発言する際は、お名前から御発言いただければと存じます。
 何かトラブルが発生した際には、現地出席の方は手を挙げていただいて、オンライン出席の方は電話で事務局まで御連絡いただければと存じます。
 本日、傍聴者の方もいらっしゃいまして、Zoomで傍聴いただいております。
 事務局からの御案内は以上でございます。

【相澤主査】  ありがとうございます。
 それでは、本日は、前回に引き続きまして、議題としては1件、オープンサイエンスの推進についてとなっております。
 まず、事務局からオープンサイエンスの推進に関する最近の動きや前回の議論などについて御説明をいただいた後に、御参加いただいておりますNIIとJSTから関連する事業について御発表をいただき、最後に総合討論を行いたいと思います。
 それでは、資料1に基づき、事務局から御説明をお願いいたします。よろしくお願いします。

【佐々木参事官補佐】  では、資料1に基づいて御説明させていただきます。
 1枚おめくりいただければと存じます。まず、最近の動向として、前回の委員会の後、G7が開催されておりまして、そこでまとめられたものを、こちらで御紹介させていただいております。
 こちらでお示ししているG7の広島首脳コミュニケにおきましては、FAIR原則に沿って、科学的知識並びに研究データ及び学術出版物を含む公的資金による研究成果の公平な普及による、オープンサイエンスを推進すると。あるいは、その意義がその後に書かれている。こういったことが盛り込まれているところでございます。
 また、1ページおめくりいただきまして、G7の科学技術大臣会合の共同声明におきましては、こちらも同じようにFAIR原則に沿ってオープンサイエンスの拡大のために協力するといったことが盛り込まれるとともに、3つ目のところでは、研究成果のためのインフラの相互運用性及び持続可能性を促進するということで、前回も御意見いただいたようなところと関連するところが盛り込まれているところでございます。
 おめくりいただきまして、最近の動向③でございますが、先週、統合イノベーション戦略2023が閣議決定されてございまして、この太字の一番初めのところですけれども、我が国の競争力を高めるために、研究者が自らの研究成果を自由にかつ広く公開・共有することができ、国民が広くその知的財産にアクセスできる環境の構築が必要である、など、オープンアクセスあるいはオープンサイエンスの推進について盛り込まれているところでございます。
 次、おめくりいただければと思います。4ページ目につきまして、前回、少し質疑応答の中で言及させていただきましたが、オープンサイエンス、オープンアクセスの国民に対するメリットとしては、COVID-19に関する研究成果の即時オープンアクセスにより、科学者から市民に対する情報開示やワクチン・治療薬開発等に貢献したということが言われているところでございます。
 こちら、その下、米国OSTPの即時オープンアクセス方針の1つ目の真ん中後半あたりから、研究成果の即時公開を行ったことにより、研究とデータが効率的に流れ、アクセス可能な新しい洞察が発見の速度を加速させ、科学の変換が急増するという強力な結果がもたらされたといったことが書かれているところでございます。
 また右下のところは、本日、現時点でまだお越しいただいておりませんけれども、オブザーバーで参加いただきます林先生がまとめられているところで、メリットとして、知識の共有と普及の促進ですとか、医療や公衆衛生の向上、社会的経済的影響といったものがあるといったことが、お示しされているところでございます。
 次に、また、1ページおめくりいただきまして、CSTIでのその後の検討状況について御紹介させていただければと思います。
 こちら、前回にも似た資料を御紹介させていただいておりまして、真ん中の緑のところですけれども、変わらず2025年度の新規公募分から、学術論文等の即時オープンアクセスという方針を示すことを検討していると。この下に具体的施策。これもほとんど、前回お示ししたものとほぼ同じで、4番につきまして表現が少し変わっておりますけれど、内容についてはあまり変わっていないものというふうに承知しております。
 1枚おめくりいただきまして、CSTIのほうではもう少し、オープンアクセスに向けて直面する課題と、それに対する解決策といったものが踏み込んで議論されているところでして、オープンアクセスに向け直面する課題として2つ、この黒字のところですが、学術情報の流通が出版物(デジタル・紙媒体)に依存している、市場支配・高価格化が起きていると。また、大学・研究機関が個別に出版社と契約しているといったようなところが課題になっていると。
 特に、この個別契約によって、団体交渉が難しく、スケールメリットが生じていないですとか、個別に購入するコレクションとその所属する研究者のニーズが一致しないといったような課題が生じているといったことを分析しまして、この次のページで、解決策としてどのようなものがあるか、次のページに、具体的対応策として、メニューを3つ示されているところでございます。
 1つ目は価格交渉力の強化でして、こちら大規模な研究大学での団体交渉、この一番下のところにございますが、スケールメリットを働かせて有利な条件の契約を目指すといったようなところが書かれております。
 また、1-2については、先ほど所属研究機関によって研究者が読める論文、あるいは研究の情報、学術情報が違ってくるといったところを踏まえまして、すべての研究者を取り残さない利用環境の整備、2行目あたりに書いてございますが、セーフティネットの役割を果たすようなことが何かできないかといったことが書かれているところでございます。
 また、右側、メニュー2につきましては、学術コミュニケーションの変革ということで、これは前回もたくさん御意見いただいているところでございますけれども、学術コミュニケーションの場と創発の推進として、プレプリントの活用、推進ですとか、2つ目のところで、グリーンOAに向けて基盤整備を進める。
 その下、メニュー3のところにつきましては、ゴールドOAの推進。こちら基本的な方針として、グリーンOAやプレプリントの活用が基本ではあるんですけれども、当面はゴールドOAの推進も進めていくといったことが書かれているところでございます。
 1ページおめくりいただければと存じます。こちらでは、同じくCSTIのところで紹介されているものでして、前回の委員会でもお示しさせていただいておりますが、我が国のオープンサイエンスのプラットフォームとしては、JST様の御提供されているプラットフォームとNII様で御提供されているプラットフォームがあるところでございます。
 これらについて、後ほど、それぞれの運営されている方々から御紹介いただきまして、前回事務局のほうで、課題としては、オープンサイエンスを支える基盤が課題を抱える可能性ということでお示しさせていただいておりまして、本日、運営主体側からの御説明もお聞きいただいて、そこに対してどのように進めていくべきかなり、御議論をいただければと考えているところでございます。
 1ページおめくりいただきまして、前回の振り返りにもつながるんですけれども、前回事務局からお示しさせていただいたその課題、仮説に加えまして、前回委員会の場で多く出た御意見も踏まえて、オープンサイエンスの推進の論点としては、このような形で整理できるのではないかという案をお示しさせていただいております。
 まずはオープンサイエンスの意義そのものを共有するということで、次に、オープンサイエンスのプロセスとしてどのようにやっていくべきかということを明確化すること、実際に現場にオープンサイエンスを落とし込むためにはどのような取組が必要かということ、それに加えて、前回、数多く御意見をいただいておりますが、プレプリントを推進していくということ、これらに加えて、留意点として、ベストプラクティス・成功事例の創出ですとか、評価などインセンティブを付与していくというようなことがあるのではないかといったところをお示しさせていただいております。
 1ページおめくりいただきまして、こちらでは前回皆様からいただいた御意見を今お示しした論点整理の軸に沿って幾つか整理させていただいて、おおむねこれで尽きると思っておりますけれど、こういった形で整理させていただいております。
 意義については、例えば、きちんとその意義や効果を定義することが重要ですとか、プロセスとして、このオープンアクセスするということ、あるいはグリーンOAのところをプロセスに入れ込むことが研究者のためになるといった御意見をいただいているところでございました。
 実装につきましては、いろいろと御意見いただいておりますが、研究者の手間ですとか負担、そういったものが減るような対策が必要なのではないかということを御意見いただいております。
 またプレプリントにつきましては、非常にその分野、特にこちらにいらっしゃっている先生方の分野は近い分野ということではありましたけれども、その各分野においてプレプリントのビジビリティが非常に高いということですとか、あと実際、そのプレプリントを進めていくに当たっては、そのプレプリントサーバなりの信頼性ですとか、学術雑誌との関係性といったところでも対策が必要であるといった御意見をいただいているところでございます。
 これらに加えまして、その他のところで、成功事例ですとかベストプラクティスのことを御指摘いただきましたし、評価に関するインセンティブ付け、そういったところも御指摘いただいているところでございます。
 これで簡単に振り返りとさせていただければと思います。
 この次の11ページ、12ページ目につきましては、先ほど参考資料でお配りしたと申し上げましたNISTEPのほうの「論文のオープンアクセスとプレプリントに関する実態調査2022」の関係しそうなところを簡単に抜粋させていただいたところでございます。
 11ページでは論文と、今回プレプリントの公開経験というのがパーセントとしてまとめられておりましたので、特徴的なところを抜き出させていただきました。
 また、次のページにおきましては、論文、プレプリントの公開を経験したことがないという方の中で、経験したことはないけれど公開してもよいと思っている方、思っていない方がどれくらいいるかということ、また、その経験したことはないけれど公開してもよい、あるいは公開したくないと思っている理由というところで、少し分析して有意に意味がありそうなところを下に定性的に書かれておりまして、例えば、この黒字のところで内的要因、赤字のところで外的要因、プレプリントにつきましては、外的要因として、投稿したい雑誌がプレプリントを認めていないから、公開したいと思っているけれど公開した経験はない、また、査読がないから公開した経験もないし、公開する意思もないといったようなところがまとめられているところでございます。
 事務局からの説明は以上でございます。

【相澤主査】  ありがとうございました。
 それでは、続きまして、資料2に基づきまして、NIIから御説明をいただきます。御準備をよろしくお願いいたします。

【山地先生】  山地です。もう説明を始めてしまってよろしいですか、相澤先生。

【相澤主査】  では、資料投影の準備をお願いします。

【山地先生】  画面、見えていますか。

【相澤主査】  はい。大丈夫です。では、準備ができましたら、よろしくお願いします。

【山地先生】  お時間いただき、ありがとうございます。NIIの山地です。オープンサイエンス基盤研究センターでNII Research Data Cloudを開発、運用するセンターのセンター長をしております。
 今日、こういう題目でお話しするんですけれども、事前に文科省のほうから、こういった4点について重点的に資料を用意して皆様に御説明するように指示いただいておりますので、これに沿って紹介いたします。
 まずは、NII Research Data Cloud、皆さん御存じだと思うんですけれども、私のところで今、研究開発をして、2021年から運用を開始しております。
 この緑のぐるっと回ったものが研究データのライフサイクルで、このライフサイクルに沿って使っていただける、この3つの基盤から構成されていています。
まず管理基盤、研究中に使うもので、データを公開する、論文を公開する手前で、日々の研究で使っていただく基盤です。次に、機関リポジトリのクラウドサービスであるJAIRO Cloud。
これは、各大学や研究機関、あるいは研究プロジェクトで、データベースとして、その成果を公開していただくんですけれども、その情報を全部集めて、串刺し検索をするのがCiNii Researchです。これを検索基盤と呼んでいます。この3つの基盤で、NII Research Data Cloudを運用しております。
 CiNiiに関しましても御質問いただいているところ、一部分を紹介するんですけれども、もう既にCiNii Articlesという昔のCiNiiを止めて、このCiNii Researchに統合して、検索できるデータの範囲も順次広げながら、皆様に既に使っていただいております。
 このJAIRO Cloudは、昔からつくっていたリポジトリシステムを、CERNがつくっているInvenioというのをベースにつくり直したんですけれども、その公開がちょっと遅れていて、図書館関係者の方々には特に御迷惑をおかけしております。
やっとこの新しいシステムへの移行というのを、今ちょうどやっているところで、第1弾としては約300機関で移行を進めているところです。
 当然、大きな移行なので、いろいろトラブルを乗り越えながらやっているんですけれども、想定内の範囲で、移行が順次進められているというのが現状です。
 秋口、年内には全て移行が進みまして、新しいWEKO3というシステムの上で、特にデータのハンドリングが便利になる機能を充実させながら、研究論文だけじゃなくてデータの公開も積極的にやっていただけるようなシステムの機能づくりを皆さんと一緒にやっていく予定です。
 このCiNiiも、JAIRO Cloudも、既に今までつくってきた基盤を、データも扱えるように拡張したものですが、新しく今回つくったのは、研究中に使うデータの管理システム、GakuNin RDMというものです。
 このGakuNin RDMですが、運用を開始してから既に70機関弱、67機関が、参加機関として申請していただいていて、順次、我々の予想以上に急激に利用機関数は伸びていっております。
 総合大学だけでなく、最近では、こういった単科大学も、利用機関として申請いただいて、組織のデータ管理システムとして採用いただくという、そのスタートラインに立てているという状況です。
 まだ全学的に使うというよりも、基盤センターを中心に、試行的に使っていただいているというスモールスタートなんですが、参加機関数に関しては順調に伸びているというのが現状です。
 こういったNII Research Data Cloudなんですが、まず1つ目にお題として、研究データをアップロードする研究者に対してGakuNin RDMで提供している機能はどんなものがあるかというのを質問いただきました。GakuNin RDMだけじゃなくて、このJAIRO Cloudのところも含めて、我々が持っている機能を紹介したいと思います。
 データアップロードするときに、GakuNin RDMというのは、アメリカのセンター・フォー・オープンサイエンスというところがつくっているオープンサイエンスフレームワークというのをベースに、アメリカと一緒につくっています。
これはウェブベースで、ウェブブラウザで使う研究データの管理システムなので、大量にデータが入ってきたり、大規模なデータが入ってくるときには、もうちょっとこなれた機能が必要だということで、各大学で実験装置からGakuNin RDMにデータを直接投入するような、各大学が持っているコアファシリティとの連携に取り組み始めたところです。
 これはまだ、それぞれの大学が、構想としてこういうことをやりたいということをもってスライドにしていただいている段階なんですけれども、各大学からこういうニーズがありますから、GakuNin RDMにコアファシリティをつないで、実験装置からデータやメタデータが直接GakuNin RDMに入ってくるというところについて、ケーススタディーを今後、うまくつくっていこうと思っています。
 その一つの先行している事例なんですけれども、これは理研と一緒にやっているんですが、SPring-8のデータをGakuNin RDMで管理するというものです。当然SPring-8が保有するデータなので、一個一個のデータが大きいということ、あるいは、たくさんのデータを扱うという、これまでGakuNin RDMが、どちらかというと不得意としていた領域です。この大量のデータ、大規模データへの対応について、理研と仕様を検討し、年度内には1つ、ケーススタディーがつくれればいいかなということで、プロジェクトを進めております。
 こういったことを、さきほどのコアファシリティの話にも順次展開していこうと思っております。
 このGakuNin RDMの中に入ってくるデータなんですけれども、現状で、ここに図示しておりますように、今まではデータをドロップボックスみたいに、このウェブブラウザ上で簡単に保存できるという機能だけだったんですけれども、このメタデータ登録機能というのが既に備わっております。
内閣府のほうで制定した、多分ムーンショットで扱うことをベースに決められた、15項目のメタデータは、このGakuNin RDMの中で管理できるようになっています。
 現状では15項目のメタデータで、これ、ある意味、15項目という意味ではダブリンコアに近いんですけれども、簡素なメタデータで、本当に研究の中で使っていただく、使っていくメタデータとしては、もう少し分野ごとに違うとか、詳細なメタデータを管理したいというニーズもあります。これをムーンショット目標2のプロジェクトと一緒に、そこでは未病のデータベースというのをつくっていますが、より細かい、研究の中で直結して使っていくメタデータの管理というのも、このGakuNin RDMの中で扱えるように、機能の拡張を並行して進めております。
 かつ、GakuNin RDMの中でデータ管理したものは、直接このGakuNin RDMの中からJAIRO Cloudのリポジトリにデータあるいは論文を登録することができるような機能がもうほぼ出来上がっています。年度内か年内には皆さんに、試行運用を経て、新しいJAIRO Cloudの環境の上で、この機能を使っていただくことができるように準備を進めているところです。
 この機能を使いますと、研究者にとってみれば、リポジトリがGakuNin RDMの中から1つのフォルダーのように見えて、そこでデータがGakuNin RDMの中でメタデータとともに管理したファイル、データや論文が簡単にリポジトリに登録できるような機能になります。
 ここで一旦リポジトリに入れるんですけれども、それをすぐに公開するのが嫌だという、運用形態のリポジトリが多いと思いますので、そういった場合には、いろんなワークフローが実現できます。
図書館がキュレートして公開するとか、公開するときにも、このスライドで示しているように、単純にフルで公開するんじゃなくて、利用申請をしてからデータが扱えるようなフローが持てるような制限公開の機能というのも、JAIRO Cloudの中で今つくっております。
これは部分的に機能ができていて、実証実験を大阪商業大学と一緒にやっているんですけれども、こういった機能もJAIRO Cloudから使っていただけるように提供する予定です。これも多分、年度内に、一般の全てのJAIRO Cloudのリポジトリを使っていただけるように提供する予定です。
 続きまして、3つ目は、著者最終稿を掲載する研究者に対してJAIRO Cloudが提供している機能にどんなものがあるか。グリーンOAを促進するための機能、JAIRO Cloudとしてどういうものを持っているかというお題なんですけれども、先ほども説明があったように、各国でオープンアクセスの義務化というのはどんどん進んでおります。
 これはフランスの例なんですけれども、フランスは早期からオープンアクセスを進めてきているんですが、昨年度は67%の論文がオープンアクセスになっています。徐々に徐々になんですけれども、オープンアクセスのレシオというか、レートは各国、増えてきているようです。
 日本も、これに倣って、リポジトリの運用も一段と加速していく必要があるんですが、その中でグリーンがどのぐらい役に立つかというか、現実的にオープンアクセスに寄与できるかという話です。
 これはフランスのINRIAという研究機関の例です。INRIAは、HALというリポジトリ、フランスのNational repositoryを使っていますが、そこに登録しているものがほぼほぼフルテキストということは、ほぼグリーンOAに近い形で論文を公開しているという実績があります。
 これは、ライデン大学が提供しているウェブサービスからスクリーンショットを撮ってきたんですけれども、縦軸がゴールドOAのパーセンテージで、横軸がグリーンOAです。各リージョン、アフリカとか、アジアとか、ヨーロッパといったリージョンで、どういうふうにオープンアクセスの論文に対してゴールドOAとグリーンOAの間に相関関係があるかというのを示したものです。
アジアだとゴールドOAがほとんどで、グリーンOAはあまり運用されていないんです。ヨーロッパだと、大体ゴールドOAは二、三十%ぐらいなんですけれども、各点が大学のリポジトリで、グリーンOAを主体にオープンアクセスを実現している大学が増えてきています。
 このデータは、昔は、この橙色も左のほうに寄っていたんですけれども、年を追うごとに、この右のほうにグリーンOAの率がどんどん増えていっているというのが現状です。グリーンOAはなかなか実現するのは難しそうなんですけれども、各国ではグリーンOAも、ゴールドOAあるいはダイヤモンドOAと併存して、一つのオープンアクセスの手法として広がっているというのが現状です。
 このグリーンOAを実現する上で、既にグリーンOAに対して国内でコントリビュートしている、実践している大学で、どういうフローになっているかというと、まず、それぞれの大学で新しい論文がどういうふうに出たかというのを何らかの方法で取得して、それをリポジトリに載せていいかというのを確認して、それを確認するウェブサイトがりあるんですけれども、ここの情報のアップデートがあまりよくないので、結局それぞれの論文について出版社のウェブサイトに行って、載せていいかどうかというポリシーを確認して、それをベースに載せてよさそうだったら、研究者に連絡して、本文をもらってリポジトリに登録するという、結構面倒なワークフローを経て、1本の論文をリポジトリに登録しているのが現状です。
 このグラフは、研究者にリポジトリへの搭載をお願いしたときに、どのぐらいの論文が本文としてもらえて、リポジトリで公開できているかというのを、各年を追って、その変化を示したものです。この4機関、機関A、B、C、Dで、積極的にグリーンOAを展開している機関では、結構な率でグリーンOAに成功しているんです。
 平均成功率は36%ですが、一番優秀な機関Aの場合は、平均56%で、本文をもらって、オープンアクセスが実現できている。最高の成功率は73%で、きちんと対応すれば、かなりの率でグリーンのオープンアクセスが実現できるんですけれども、そのフローが面倒ということで、それを省力化する機能を、JAIRO Cloudのオープンアクセス推進機能というので支援しようとしています。
 この機能も年度内に提供できる予定なんですけれども、我々はデータベースから各大学でどういった論文が公開されているかというのを取ってきます。それを全部整理して、半自動的に、その著作権処理というか、それをグリーンOAとして載せていいかどうかというのを確認する機能をもって、メタデータを半自動的にJAIRO Cloudに登録して、本文を登録するアシスト機能というのを用意しております。
 これに加えて、JAIRO Cloud全体でオープンアクセスの推進の進捗率を見たりとか、各機関間でのオープンアクセスの状況を比較できるような、そういったダッシュボード機能も同時に用意しています。
 この機能自体は既に実証していて、JAIRO Cloudの移行が遅れていたので、まだ本番のところには、この機能は展開できていないんですけれども、2021年から、こういった大学と実証実験を重ねながら、機能の拡張というのを進めて、これだったら使っていけるかなというところまで落ち着いてきたので、これも年度内には新しいJAIRO Cloud内に展開して、グリーンOAというのが、よりやりやすくできるような環境を提供しようと思っています。
 最後はCiNiiの話です。論文・研究データを検索する者に対してCiNii Researchで提供している機能はどんなものがあるかなんですけれども、論文に関しては皆さん御存じだと思うのですが、論文も、データも、どんどん今はコンテンツとして国内のデータベースから情報を収集して、検索できるデータの量というのを増やしていっております。
 これはデータを検索したときの結果なんですけれども、データにひもづいた論文も、そのページの中で表示できるような、そういった機能を提供しております。
 こういったCiNii Researchのデータ検索機能を提供しているんですけれども、そのCiNii Researchの中で論文とかデータを検索している人たちが、どういった行動をしているかというのを少し見てみた結果をここに示しています。データを見ている人は、その後、CiNiiに滞留して、いろんなところをクリックして、CiNiiの中を徘徊しながら、さらに深い検索をしているというのが、一般的な論文よりも断然多いというのが、データの数自体は少ないんですけれども、分かってきています。
 かつ、一般の例えばGoogleの検索エンジンなどからCiNiiの詳細、書誌詳細ページとか、データの詳細ページに行くんですけれども、例えばGoogleから論文の書誌詳細ページに行った後に、そこからさらに検索する行為というのは大体この30%ぐらいなんですけれども、データの場合には、70%ぐらいの人が、さらに検索して、一覧に行って、またデータ、論文を調べるという、CiNiiの中で、そういった、より検索行為を深めている研究者が増えているというのは分かっておりまして、こういったログを細かく見ながら、CiNiiのユーザーインターフェースの新しい機能というのも今後、拡張していくということに我々は取り組んでおります。
 また、著者検索機能というのも既に実装しておりまして、これも年度内に提供予定です。この機能自体はできていて、今までより非常に名寄せアルゴリズムも精度の高いものが提供できて、研究者にとって、例えば科研費を書くときとか、調べものをするときにも、著者というビューで学術情報を調べるというのがよりやりやすくなるんですけれども、やはり人に関わる情報なので、本当に精度、十分な結果が得られているかとか、もし何かあったときに、我々事業部内で、その問合せに対して、きちんとこのワークフローをもって対応できるかというところも、特に論文より人に関するものはセンシティブだと思うので、それに合わせて運用体制を構築していくという意味で、機能はできているんですが、これも年内あるいは年度内に機能として提供できるように準備をして進めております。
 CiNiiの機能自体はそんなところなんですけれども、これも先ほどのオープンサイエンスに関する課題に直結すると思いますが、オープンサイエンスのモニタリング機能というのもCiNiiに絡めて、今つくろうとしているところです。これは世界的にもやはりホットな話題で、研究者、研究評価というところも絡めながら、オープンサイエンスを推進していくインセンティブモデルを提供する機能として、例えばヨーロッパのEuropean Open Science Cloudが主体として提供しているOpenAIREというディスカバリーサービスや、イギリスのCOREというディスカバリーサービスも、こういった機関ダッシュボードとか、研究評価のダッシュボードというのを提供しています。
 なぜかというと、検索できるということは、このディスカバリーサービス、検索サービスの背景にはナレッジベースという知識ベースがあって、そこで論文とか、人とか、データの相関関係というのが記述されているので、そういう情報を使ったダッシュボードを、それぞれディスカバリーサービスや検索サービスが提供するというのは最近の流れになってきています。
 これはやっぱりCiNiiとしても対応すべきだということで、まだモックアップの段階なんですけれども、例えば機関や研究者ごとの研究成果だったりとか、それの時系列的な変化とか、オープンサイエンス自体の進捗とか、あるいはその機関における研究力評価とか、URAの方々や研究者、個人も含めてなんですけれども、使っていただけるようなダッシュボードにならないかということで、今、URAの方々とも相談しながら、どういった機能が必要かというのをヒアリングしながら、実装の準備を進めているというのが現状です。
 以上がお題としていただいた内容なんですけれど、もう一つだけ簡単に、もっと便利な機能ということで紹介させていただきます。NII Research Data Cloudとして、この3つの基盤を中心に今、基盤の提供をしているんですけれども、研究データのエコシステムという新しい文科省での事業の中で、この7機能というのを新しく追加しております。
 その中で今一番進んでいるのはデータガバナンス機能というものなんですけれども、DMPをつくって、それをうまく使っていくための機能です。データガバナンス機能と我々は呼んでいます。
 現状ではDMPというのは、研究者にとってみれば、何か知らないけれど、出せと言われて書かなきゃいけないドキュメントという状態です。本当はDMPというもの自体が、研究データを管理する上で非常に重宝されるというか、役に立つものでなければいけないんですけれども、まだ現状では、そこまでうまく、このDMPというドキュメントを研究に反映するというところまでできていなくて、何か公募を通ったときに出さなければいけないドキュメントというのが現状です。
 そうではなくて、DMPというものを、よりこの研究データ管理とか研究推進に使えるためのものになるような機能をNII Research Data Cloud上でつくっております。それをデータガバナンス機能と言っています。
 例えばDMPプラスアルファの情報入力が必要なんですけれども、研究データの管理計画を立てると、それに沿って、必要な管理環境、ストレージとか計算環境が、そのDMPに沿ってデプロイされて、最終的にはDMPに書いた情報に基づいて研究データの公開をアシストしてくれるような機能です。
 我々のつくった、このデータガバナンス機能というのは、こういったリサーチのフローに沿って状態を管理するというか、研究者と一緒に、常にこれは研究の状態が変わってくるので書き換えていく必要があるんですけれども、このガバナンス機能のDMPの中でクレームして、それに沿ってデータ管理機能とか公開機能を使っていきます。
 そのときに、特に我々は、まだプレリミナリーな段階なんですけれども、データと、それを分析するコードとの関係を常にマッピングしながら、研究公正にも対応できるように、研究の変遷をきちんと捉えられるような機能として、このガバナンス機能をつくっています。、これもファーストバージョンができたので、今、幾つかの大学、3つか4つぐらいの大学で、実際に試験的に、まだユーザインターフェースなどはこなれていない状態ですが、ぜひ使ってみたいという大学が出てきているので、これも大学の方々に実際に使っていただきながら、機能、本当の研究に役に立つDMPというところをRDC上に実装していくというのを進めております。
 単なるルールに基づいてやらなければいけない仕事から、それを自分の研究の種にして研究を加速化するような、そういった研究データ管理を推進していくような機能を、GakuNin RDMを中心に機能提供をしていこうとしているという一つのエグザンプルを紹介させていただきました。
 以上で説明を終わります。

【相澤主査】  ありがとうございました。
 本日、もう1件御発表をいただいた後に、議論の時間を少し長めに取ってありますので、この場では、ただいまの御発表に対して、御質問がありましたら挙手にてお知らせください。いかがでしょうか。
 引原先生、よろしくお願いいたします。

【引原委員】  京都大学の引原です。山地先生、どうもありがとうございます。
 私は本委員会で図書系の関係の委員としては非常に少ないうちの1人なので、あえて申し上げます。今日、最初に御説明のありましたJAIROに図書系の関係者は協力してきましたけれど、図書系の関係者に対して何の案内もないまま、今日の説明をされているように思います。
 それが、図書系の方々が、この秋に公開されると言われても、スケジュールも知っていないし、しかも仕様も分からない状態で、今日できましたという。こういうようなやり方は図書系の委員として許せないと思うんです。それに対してコメントをお願いしたいと思います。

【山地先生】  それは何についておっしゃっていますか。先ほどのオープンアクセスのことでしょうか。

【引原委員】  例えば、9ページの図書系の話です。

【山地先生】  はい。我々NIIのサービス説明会やオープンフォーラムでは丁寧に説明さしあげていますので、そこで聞かれていないということであれば、改めてまた御説明します。あとは図書館総合展など、そういうところでも紹介しておりますので、案内が足りないということであれば、もう少し丁寧に、JPCOARといったところと密接に連携しながら、情報提供していこうと思っております。御指摘ありがとうございます。

【引原委員】  この委員会の前回の委員会もそうなんですけども、多くの委員の先生方から、そういう作業の部分を図書系の方々がやるようにという御意見が、かなり出てきています。それにもかかわらず、その図書系の方々に情報が行っていないという現状は非常に問題だというのが今の指摘です。
 もう1件あります。メタデータの登録ページのところで、ムーンショットのトライアルのもの、この15項目のメタデータですけども、それはどこがどう取ったらダブリンコアに近いのかという、そこの部分の説明が一切ないと思うんです。これはまだ試行段階だということであれば良いのですけども、このままだと、この説明を聞いた人が思考停止になると思いますので、やはり言い方を、もう少し考えていただいたほうがいいと思います。
 以上です。

【山地先生】  15項目というのはダブリンコア程度のと言ったのですが、15項目の内容とダブリンコアの内容は全く違うじゃないかというふうにおっしゃっているんでしょうか。

【引原委員】  そうです。

【山地先生】  それはそのとおりだと思います。

【引原委員】  だから、それをダブリンコアを引き合いに出して言ってしまうと思考停止になることがあるのではないですか、というのが今のコメントです。
 以上です。

【山地先生】  どういう思考停止になるんですか。

【引原委員】  もうこれで、このまま使えばいいというふうに思われる方が多いということです。

【山地先生】  このまま使えばいいかということに関しては、内閣府が提示しているメタデータは、これぐらいはきちんと付与して出しましょうというふうに内閣府が言っている15項目のメタデータなので、それに対して、少なくともムーンショットに関しては、それに準じてメタデータを提出していくことになるのではないでしょうか。

【引原委員】  ムーンショットはムーンショットの話でいいと思いますけれども、一般の、全体としての研究として考えたときに課題があるという意味です。図書館関係者からも、ぜひ聞いてくれと言われていますので、あえて申し上げました。
 以上です。

【山地先生】  何が課題かよく分からなかったのですが。

【引原委員】  今の2点は課題だということです。

【山地先生】  15項目のメタデータについて何が問題かをお聞きしたいのですが。15項目のメタデータについては、システム開発側に問題があるというよりも、内閣府のメタデータタスクフォースみたいなところでよく議論していただくのがいいのではないでしょうか。

【引原委員】  図書系の方々の意見として言いたいことは、これで完成したものであるというような説明ではまずいのではないですかということです。内閣府の15項目のメタデータで足りないというのであれば、そのことをきちんと提示していただくのが、開発としては重要なんじゃないかということです。

【山地先生】  図書館側がもし15項目では十分でないというのであれば、それは我々システム開発側がやるべきことではなく、図書館側でやるべきことではないでしょうか。

【引原委員】  図書館側でメタデータの項目について検討するということは、どこでも言われていないと思います。図書館側でやるべきことであるというのは決めつけであって、このシステムの開発の問題ではないでしょうか。

【山地先生】  図書館側が苦痛であるならば、図書館側がそういうことに対して意見をまとめればいいと思います。
 先ほども説明しましたけれども、ムーンショットの中では15項目では不十分だということで、今これはムーンショット目標2の合原先生のところと一緒にやっているんですけれども、15項目にプラスしたメタデータを管理する機能というのをGakuNin RDMの中で実装しています。
 そういうことをやっていく中で、今は、未病のデータベースをつくるために、ムーンショット目標2の中で必要なメタデータ項目というのをつくって、皆様に、まずお見せすることになると思うんですけれども、その機能というのは、できるだけ汎用的につくっていっておりますので、そういった事例を見ながら、自分のところでは、こういった15項目プラスアルファの使い方というのができるんじゃないかというのを考えてもらって、一緒に、この機能拡張をどうしていったらいいかというのを進めていくというのが、順番としては、そんな感じがいいのではないかなと思います。

【引原委員】  今おっしゃったことを最初に言われるべきであったと私は思いました。
 以上です。

【相澤主査】  ありがとうございます。1点目、2点目、図書館の関係者との十分な情報交換、情報提供と連携が必要であるということで、質疑としては一旦ここで、まとめさせていただければと思います。
 ほかに御質問等ございますでしょうか。尾上委員、よろしくお願いいたします。

【尾上主査代理】  尾上でございます。山地先生、ありがとうございます。17ページから19ページ目までにある、18ページのこの成功率というものの定義というのを教えていただきたいんですが、17ページ目のこのフローの中の最初のフローを出して、スタートしたけども、登録に至ったか至っていないかということで成功率が定義されていると解釈してよろしいでしょうかというのが1点です。
 あともう1点は、この機関A、B、C、Dで、やはりこの差があるというのは、これは登録を担当されている方の調べ方であるとか、あるいは研究者側の意識、要するに、それがなかなか見つからないとか意識できていないというところのほうも要因なのかなと思うんですが、今回、19ページにJAIRO CloudのOA推進機能というのを提示いただいていて、こういうツールでサポートすることで、より見つけやすくなる、あるいはその登録がしやすくなるから登録率が上がっていくだろうという想定なのか、あるいは、要するに標準的なツールで、ある程度スキルをそろえていくというのが大事だという意味なのか、何かその辺りを少し教えていただければと思います。

【山地先生】  まずは1つ目なんですけれども、説明の仕方が足りなかったのですが、成功率というのは、本文提供依頼をしたもののうち、どれだけ本文が獲得できたかということなので、一番初めのところからの成功率ではありません。それよりかは下の段階、OAポリシーも確認していけるぞとなった上での成功率です。それがこの程度あるという話です。
 次に、18ページ目の、この成功率の高い・低いの結果には、どんな違いがあるかという話なんですけれども、これは具体的に聞いてはみましたが、正直なところ、それがどういう風土の違いによるものかというのはよく分かっていません。これを調べた人たちも含めて我々がびっくりしたのは、成功率が低いところはこんなに低いんですけれども、思ったよりかは結構成功率が高いということで、研究者の方々は頼まれれば協力しているというのが現状です。なので、これをさらに引き上げるための機能が欲しいんですけれども、まずは、その19ページ目で言いたいのは、引き上げる前に、なかなかこれは面倒な作業ですし、そもそも、例えばクラリベイトみたいなデータを買っている、お金持ちの図書館しか、こういう作業ができなかったんですけれども、JAIRO Cloudを利用いただいている全ての機関に、この機能が提供できるというところで、オープンアクセスを総体として推進したいというのが1つ目にあります。
 その上で、さらに、この本文の提供率というか、OA率をどう上げるかという話なんですけれども、これも幾つかありまして、マンデートされているので、研究者は意識すると思いますので、リテラシー教育がやはり必要です。そのときに、こういった機能があるというカップリングでやったほうが多分、受けはいいと思いますので、そこで上げていきたいというのが1つです。もう一つは、これはまだ具体的には、どう使うかというイメージができているようでできていないんですけれども、GakuNin RDMの中から簡単にリポジトリに登録できますので、常にDMPの中でどうクレームするのか、GakuNin RDMの中で著者最終稿をどういうふうにきちんと保存するのかという、そのテンプレートはまだできていないんですが、そこが管理されていれば、依頼があったときに、プチッとボタンを押すだけで著者最終稿をリポジトリに上げるということでより簡単にして、機能連携でOA率を上げていきたいという目論見はあります。

【尾上主査代理】  ありがとうございます。よく分かりました。

【相澤主査】  では、いろいろと御質問、御意見あることと思いますが、時間となりましたので、次の御発表に移りたいと思います。
 山地先生、ありがとうございました。

【山地先生】  ありがとうございます。

【相澤主査】  では、続きまして、資料3に基づきまして、JSTから御説明をいただきます。よろしくお願いいたします。

【松尾先生】  JST情報企画部の松尾と申します。どうぞよろしくお願いいたします。本日は説明の機会をいただきまして、どうもありがとうございます。
 それでは、科学技術情報連携・流通促進事業の情報サービスについて御説明をさせていただきます。
 次のページをお願いいたします。こちらですが、JSTの情報事業は、こちらの図にありますように、オープンサイエンスの潮流とか、ユーザーニーズ等を踏まえまして、現在このようなサービスを展開しております。本日は、この中で真ん中左のJ-STAGE、それから、その右のJxiv、さらには2つ右のJ-GLOBAL、この3つのサービスについて御説明をさせていただきます。
 次のページをお願いします。
 まず、J-GLOBALですが、こちらは、アカデミアから企業まで幅広い利用者層に科学技術情報を提供するプラットフォームです。
 こちらの真ん中の図にありますように、例えば文献書誌・抄録のデータベースとか、その左側の科学技術用語、研究者、特許データベース等10種類のデータベースをつなぐことで、いろんな切り口から、想定外の発見とか、異分野の知を入手する機会を提供しております。
 特に真ん中の赤丸で囲んだ文献書誌・抄録、これが論文データベースなんですけれども、国内外の論文情報を集めまして、現在6,200万件を超える規模のデータを登載しております。
 さらに、外国誌の書誌・抄録につきましては、日本語に翻訳しておりまして、こちらはユーザーに好評をいただいております。
 また、国内外の論文本体、この赤丸で囲んだのは、文献の書誌・抄録のデータベースですので、こちらから論文本体にアクセスする、リンク機能を整備しております。
 次のページをお願いいたします。こちらがJ-GLOBALの利用イメージなんですけれども、左上のように、検索画面は至ってシンプルなんですが、検索結果につきましては、先ほど御説明した10種類のデータベースの詳細画面に移るということになりまして、その中でも論文データベース、文献書誌・抄録情報につきましては、全文にリンクできるボタンが設置されておりまして、右下のほうに赤丸で囲んだところがあるんですけれども、こちらを押すと、右上の表のように、DOI経由で2,640万件、その他含めて3,400万件のリンクを整備しております。
 これによりまして、国内外の膨大な論文情報を、そのエッセンスであります二次情報、書誌・抄録で絞り込んで、必要な論文本体への効率的なアクセスをサポートしております。
 次のページお願いいたします。また、J-GLOBALにつきましては、詳細検索機能も用意しておりまして、左上のほうに、10種類のデータベースから特定のデータベースを選んで検索したりとか、例えば論文データベースであれば、タイトル、著者名等で絞り込むという機能もございます。
 また、このページの下半分に活用例を書いているんですけれども、こういった機能をユーザーの方々に使っていただいて、文献の抄録等で検索したり、さらには全文リンクで詳細情報にアクセスできるということで、非常に効率化が図れたとか、あと専門分野以外に幅広く様々な分野を探索するときに役に立ったというような声をいただいております。
 以上がJ-GLOBALの御説明になりますが、ここから先は説明者を交代させていただきます。

【中島情報基盤事業部長】  J-STAGE、Jxivについて説明させていただきます。
 次の次のスライドまでお願いします。担当しております中島と申します。
 J-STAGEは、日本の学協会等が発行する学術ジャーナルの電子出版を担うプラットフォームです。現在、収録誌数は3,756誌、収録記事数が550万記事以上になっております。我が国の科学技術刊行物の国内外への情報発信及び流通を促進する、またオープンアクセスを推進するということを目的として掲げております。これらのコンテンツは学協会等の発行機関によって出版されておりますけれども、それが現在、利用機関が2,255機関になっております。
 次のスライドをお願いします。来歴をこちらに示しています。1990年代に、主に海外を中心にジャーナルの電子化というのが進められましたけれども、日本では少し後発と聞いていますが、99年にJ-STAGEを開始いたしました。その後、機能の拡張を行いまして、当初はPDFの公開だけであったものが、全文のHTML公開などをできるようにするなどの拡張を行ってきております。
 主な出来事としましては、2015年に登載対象コンテンツを拡大しておりまして、それまでは主に査読付論文誌を中心に登載しておりましたけれども、この時点で、紀要ですとか、技法などといった査読のない科学技術逐次刊行物についても載せられるようにポリシーを変更いたしました。
 また、その次の年、2016年に、電子図書館事業、NII-ELSが終了しまして、そこに登載されていた多くのジャーナルがJ-STAGEを利用するようになったということがございました。
 2020年には、データリポジトリJ-STAGE Dataをリリースしております。
 2022年にプレプリントサーバーJxiv、こちらはJ-STAGEと現在のところ直接の関係はありませんけれども、リリースをしております。
 次のページをお願いします。こちらは運用体制と機能になります。
 左上の簡単な模式図で全体像を描いておりますけれども、この下の枠のところが、JSTが提供しているサービスになります。
 その中の上の部分、四角の部分がシステムで、ジャーナルを出版する基本機能をJ-STAGEが開発して、運用して、提供しているといったものです。
 オプション機能としては、投稿審査システムですとか、剽窃を検知するシステムを提供しています。
 また、全ての記事についてDOIを登録しております。
 下にナレッジと書いておりますけれども、J-STAGEセミナーというセミナーを年に二、三回開いて、学協会の担当者あるいは編集委員会の皆様に、最新の電子出版のトレンドですとか、オープンアクセス等も含めた情報の提供を行っています。
 また、後ほど御説明しますが、ジャーナルコンサルティングプログラムという、ジャーナルの品質強化のためのプログラムも提供しています。
 上に登載されるコンテンツであるジャーナルについては、発行機関が運営しております編集委員会の下にジャーナルのポリシーあるいはコンテンツの作成、査読等の役割を担っております。これらの出版費用の負担というのも学協会、発行機関が行っています。
 一方で、JSTが提供している部分については無料で利用できるといった体制になっています。
 次のページをお願いします。こちらはファクトデータを示しています。
 左上は登載誌の分野を示していまして、どの分野についても多くのジャーナルが登載されています。ただし、これは発行機関が選んだ分野であり、かつ複数の分野を選ぶことができるということに御留意いただければと思います。
 左下は言語の種別で、英文誌が15%、550誌程度ありますけれども、そのほか4割前後は、それぞれ和欧混在誌、和文誌といったプロファイルになっています。
 右下はフリー/オープンアクセスがどれぐらいかということで、8割、9割ぐらいのジャーナルがフリーでアクセスできる。ただし、これは必ずしもオープンアクセスとは限らない、オープンアクセス誌と名のっていないところもありますし、またライセンス等を明記していないといったところもありますが、フリーで読むことができる雑誌の数を表しています。
 右上は、J-STAGEを使っている学協会が日本にある学協会のどの程度の範囲なのかということを一つの指標として調べたものですが、学術会議に協力学術研究団体として登録されている団体が学会名鑑に載っていますけれども、学会名鑑が2,000団体程度、J-STAGEが2,200機関程度、重なっているのが1,200程度で、重なっているところは半分程度とかなり多いとは思うのですが、まだ1,000団体については載っていない団体もあるということで、いかに日本に多くの学術団体があり、かつジャーナルが発行されているかということが見てとれるかと思います。
 次のページをお願いします。J-STAGE中長期戦略というのを平成31年、2018年度の3月に出しております。これまで、そのときまでは電子化を中心の目的として行ってきたんですけれども、そこからはコンテンツ自体の品質向上も含めて、学協会と共につくり上げていくということをポリシーとして掲げています。
 次のページをお願いします。その中でジャーナルコンサルティングプログラムというのを始めて、現在も続けております。海外の専門のコンサルタント会社と契約をしまして、JSTと発行機関の3者が協力して、品質向上あるいはオープンアクセス化に取り組んでおります。
 発行機関から様々課題として寄せられていることを下に書いておりますけれども、日本の学協会、規模が大きくないところは特に、J-STAGEに載せてジャーナルを発行しているところが多いので、オープンアクセスやCCライセンスなどについてよく分からないですとか、投稿規約をどう直したらいいか分からない、またジャーナル維持するための費用面でオープンアクセスをすることが難しいですとか、一定期間会員のみに公開することが会員へのベネフィットであるといったような、学協会の運営に係るような問題というのも挙げられております。
 次のページをお願いします。J-STAGEは以上で、その付随するサービスとしてJ-STAGE Dataがございます。これはJ-STAGEの登載論文に関連するデータを登載・公開するデータリポジトリになります。
 次のページをお願いします。このようにJ-STAGEと相互リンクをしておりまして、データ単体でも閲覧できるというようなリポジトリです。単体でDOIがついておりますので、データだけで流通して、引用されて、活用されるということを積極的に行えるようなプラットフォームです。このデータは、出版社である学協会と著者との間でキュレーションをしておりますので、品質の高いデータが登載されているというふうに考えています。
 次のページをお願いします。最後にプレプリントサーバーについて御紹介します。
 こちらは2022年3月24日、1年3か月ほど前にリリースをしております。日英2か国語対応、学際分野も含めた全分野対応しております。
 プレプリント、すなわち査読前論文をオープンアクセスで公開しています。
 投稿は、研究者の方に投稿していただきたいという意図から、researchmapまたはORCIDのIDを必要としています。
 JSTによるスクリーニングの後に、数日以内に公開いたします。ただし、スクリーニングであり査読ではありませんので、内容の保証はないということを明示しています。
 こちらについてもDOIを付与し、投稿・公開・閲覧は無料というサービスになっております。
 次のページをお願いします。現在までの公開状況を示しております。公開プレプリント数は今日の時点で190を超えておりますけれども、こちらに分野別、また英語、日本語別に示しております。やや英語のほうが多いという、当初の予想とは違った出版状況になっています。
 次のページをお願いします。Jxivにおける課題ですけれども、まずスクリーニング体制というのが課題だと考えています。海外のarXivでは、200名程度のスクリーニング担当により運営されているというふうに聞いていますけれども、JSTでは現在、内部職員と一部の外部有識者にて行っておりまして、体制が薄い状況です。スモールスタートで始めたというのがありますので、当初予定どおりといえばそうなんですけれども、今後、投稿が増えることを予想して、体制の強化が必要だというふうに考えております。
 また、システム面の課題としても、スモールスタートということで、今、出版する機能のみですけれども、検索機能やプレビュー機能、また外部の閲覧者からコメントをもらえるような、オープンサイエンスにより貢献するような機能、あるいはジャーナルとの連携機能等々の強化が必要というふうに考えております。
 御説明は以上です。

【相澤主査】  ありがとうございました。
 それでは、ただいまの御説明に対しまして、御質問がございましたら挙手にてお知らせください。よろしいでしょうか。
 では、御質問がないようでしたら、早速でございますが、次に議論に移りたいと思います。改めまして、御発表いただきありがとうございました。
 では、これまでの御発表を含めまして、委員の皆様から御意見や御質問等がございましたら、いただきたいと思います。第1番目の文科省からの御発表の資料の9ページ、10ページに論点整理の案、あるいは前回、皆様から頂戴いたしました御意見等も、まとめとしていただいておりますので、それも参照しながら、前回欠けていた観点、あるいは本日のNII、JSTからの御発表に対する追加の御質問や御意見等でも構いませんので、自由に御発言をいただければと思います。よろしくお願いいたします。いかがでしょうか。
 では、小林先生、よろしくお願いいたします。

【小林委員】  東北大の小林です。御説明ありがとうございました。非常に研究者を支援する体制が進められていることを理解しました。
 使う側からの視点でちょっとお聞きしたいんですが、それぞれ、すばらしい機能を実現されていると思うんですけど、この全体像を見たときに、それぞれの関係性というのは、どういう形なのでしょうか。最終的には相互運用といったところもあるかと思いますけど、最終的にはワンストップでこういったものがアクセスできるようになっていくのかということと、あとは文科省の資料にもありましたけど、国際連携といったときに、どういう情報を国際連携の枠組みの中に収めて、国際的なプレゼンスを高めるような仕組みになっていくのか。そこら辺はどういうふうに進められているのか、教えていただければと思います。

【相澤主査】  これにつきましては、文科省からの御回答でよろしいでしょうか。

【工藤参事官】  では、すみません。

【相澤主査】  工藤参事官、お願いします。

【工藤参事官】  文部科学省でございます。今、小林委員から御質問いただきました、JSTが運営するプラットフォーム、J-STAGE、それからJxivと、NIIが運営しているプラットフォーム、こちらの文科省の資料で8ページを御覧なっているかと思いますけれども、こちらのRDCとJ-STAGEは既に連携しておりまして、相互に、基本的にはCiNii Researchを通じて、それぞれの情報にアクセスできる体制がつくられてございます。
 ただ、国際連携につきましては、現在、これはCSTIを中心に議論が進んでいたこともございますけれども、European Open Science Cloudと、いわゆる、このJAIRO Cloudと同じようなシステム、ヨーロッパについてはございまして、そことの間で相互運用というのを検討中という状況でございます。
 山地先生、この点のEOSCとの関係について補足、お願いできればと思いますけれども、よろしいでしょうか。

【山地先生】  EOSCの前に、ドメスティックな話も一緒に話させていただいてもよろしいですか。

【工藤参事官】  はい、お願いします。

【山地先生】  工藤さんから話があったように、既にCiNiiとJ-STAGEは、もう連携を始めています。ただ、我々のところも、例えばJ-STAGEや、Jxiv、researchmapとの連携、researchmapのデータは、全てCiNiiも入ってきて連携しているんですけれども、これはもう少し密に連携する必要があるというのは当然で、それがまだできていないんです。まずは、うちの持っているプラットフォームの中で、きちんとコンポーネント連携することを始めているんですけれども、これだと当然、小林先生がおっしゃったように、国内のサービスだから、それがつながって効率的に、例えば二重投資にならないようにとか、お互いにうまく連携して使えるようにしなければいけないというのは当然の話なので、次のステップとして、JSTの各サービスと一緒につなげるというのは、より具体的に進めていこうと思っています。
 コロナも終わったので、実際に人に会いながら、具体的にこの機械と機械をつなげることをやっていこうと思っています。
 次に、海外との連携が2つありまして、まずは、そのサービス同士がきちんとつながって国際共同研究がきちんとうまく進むようにしましょうという話と、その上でオープンになるものをうまく使いながら日本のプレゼンスをどのように高めていくかという2段階があると思います。
 1つ目の、まずは公開する前も、きちんと機械と機械、サービスとサービスがつながって、例えばヨーロッパの研究者がNII Research Data Cloudの中に入って国際共同連携や共同研究をするとか、その逆の話も始めたところです。
 ちょうど、この間のG7のサミットが仙台であったので、いいエグザンプルになると思って、東北大学の先生に協力いただいて、そのときに、フランスの核融合施設との共同研究のデータをNII Research Data Cloudの中でも扱いながら実際にシステム連携しましょうというのをデモで出させていただきました。先程工藤さんから紹介があったEuropean Open Science Cloudというのは、NII Research Data Cloudのヨーロッパ版といったもので、もっと大きいんですけれども、そこで連携を始めているところです。
 それに加えて、例えば、日本の研究者の公開している情報が、ヨーロッパの検索サービスの中でも見つかるようにして、プレゼンスを高めるというものも並行して進めております。例えばヨーロッパの検索サービスに我々のCiNiiのデータを全て提供していて、同時に検索できるというのは実現しています。
 その中で、さらに次のステップは、先ほどのスライドの最後のほうにもありましたが、ではどうやって、もっとアカデミックが主導に、インパクトファクターに代わる研究評価の指標を研究者ドリブンにつくっていけるかというのが、少し話がずれてしまうんですけれども、次の課題にあります。機械同士でつながり、公開している情報もお互いに検索できて、見つけるようになります。では、その上で、日本のプレゼンスというか、その日本の研究者の研究成果がどのように使われたかがきちんと全世界的に見える化するというところもまだなんですけれども、指標も含めて進めていこうと思っているという、半分できている話と、これからの話をさせていただきました。
 以上です。

【小林委員】  ありがとうございました。研究者側としても、非常にインセンティブが高くなるような内容と思いますので、ぜひ進めていただければと思います。ありがとうございました。

【相澤主査】  ありがとうございます。
 それでは、御質問等ほかにありましたら、よろしくお願いいたします。青木先生、よろしくお願いいたします。

【青木委員】  相澤先生、ちょっと全般的なお話でもよろしいでしょうか。

【相澤主査】  はい。

【青木委員】  今の私は新参者で大変恐縮なんですが、大学の経営という観点で少し中でヒアリングを行ったんですけども、G7の仙台科学技術大臣会合コミュニケ、文科省の資料の2ページにございます学術出版物及び科学データの即時オープンアクセスの即時というところが結構、物議を醸し出しておりまして。というのは、先ほど御意見がございましたが、特に図書館部門あるいはセンター部門、業務の爆発といいますか、複雑化について、関係者がかなり議論しているというような状況でございます。
 特に、まず2点そこはございましたが、論文の即時OA化については、当然、出版社との調整とか、あるいは研究者の支援という管理運営業務が非常に大きくなってくるということで、OAポリシーですとか、利用条件とか、エンバーゴ等の確認ですね。こういった交渉も入るんだろうということで、個別大学でやるのかどうかということと、当然やるんでしょうけども、あるいは、ある程度全体で一元的に効率化できないかという、そういったところは、どこが音頭を取っていくのがいいんだろうかという疑問がございます。
 それから、グリーンOAの強化について、山地先生のスライド16にございましたが、先行する欧州がございますので、やはり大学現場の状況、システムもそうなんですが、業務の状況を知りたいという意見もかなりございまして、そういったところもどうなっているんだろうかということが非常に気になっているというのがOA化のところでございます。
 データの即時公開という、2点目も、例えばメタデータ付与、研究者の異動に伴う長期公開、データ公開の管理とか、問合せ、品質保証等、管理運営業務がどういうふうになっていくのかという議論がございまして、その中で、先ほど山地先生のNIIのワークフローが非常に、ある種の業務効率化といいますか、DXといったものがどの程度これからうまく使えるようになってくるかということを非常に期待をしているところでございます。
 前回申し上げましたが、日本の場合、いいことは何でもやってしまうという傾向にあるので、研究者のFTE、研究時間をそがないという観点が一番重要です。それが、こういった少ないスタッフの中でどうやっていくかということの工夫が必要かなということを私自身も考えております。
 それから、そういう意味でいうと、山地先生には非常にお世話になっておるわけですが、日本はネットワークはリッチなのにデータはプアだというふうにならないように、そこも、要は、インフラを含めて基盤的な予算の確保が、恒久と言ったら言い過ぎですけども、個別大学を超えて要るんじゃないかなというところは非常に強く思っているところです。
 そのほか、ボトムアップでは、研究者の意識改革のための教材開発やベストプラクティスのコンテンツ化、これがかなり重要だということで、非常に私自身もそういうふうに思っています。
 そういったところで3点申し上げました。
 以上です。

【相澤主査】  重要な御指摘をいただき、ありがとうございます。
 では、よろしくお願いいたします。

【工藤参事官】  青木先生、ありがとうございます。多分、5ページ目の仙台コミュニケにつきまして、まさに御当地で、御尽力いただいたかと思いますけれども、これについては、内閣府と共に、かなり長い間議論してきておりまして、恐らく、これを2025年から即時オープンアクセスというのを実現しようとすると、確かに、著者最終稿のリポジトリへの収容まで含めて、いろいろな業務負担が発生するんじゃないか。それは事務局としての大学内における図書館の業務であったり、それから個々の研究者の、確かにその研究時間という分の観点について、議論もなされております。
 我々としては、やはりグリーンOAを基本としつつ、今回このオープンアクセス推進のために、今お手元の文科省の資料でいうと、7ページ目のメニュー1と2を行って、それから、その付随する形もやらせていただいているんですけれども、特にこれから議論していくのは、リードとAPCを合わせて、ゴールドOAはどのように捉えていくかというのを今、議論しているところでございます。
 この話は結局、ゴールドOAになってしまえば、リポジトリ収容についての、ある種の業務は削減されるわけというのも当然あります。ただ、それを一方的に、政府資金でとか、大学からの持ち出しでゴールドOAを実現してしまうと、これはパブリッシャーの思うつぼといいましょうか、やはりパブリッシャーの支配力をより強化してしまう方向に出てしまうので、その辺のバランスを見ながら、ここを交渉することで、リードを下げて、かつAPCを得る、これによってオープンを進めるという戦略を書きつつ、あと他方、このメニュー3として書かせていただいているとおり、これまでFAからのゴールドアクセス、APCの支払いについては、これもFAの、それぞれの公募要領に明示されていると思いますけれども、グリーンOAを前提としつつも支払うことができるということがありまして、これを確認しつつありますので、こういったことを組み合わせることで、ゴールドOAもやりながらグリーンOAをやっていくということを進めております。
 また、今日の議論をさせていただいておるのも、メニュー2で学術コミュニケーションの場と創発の推進と書かせていただいたり、グリーンOAに向けた基盤整備と書かせていただいていますけれども、まさにメタデータをどうしていくのか、それから、特に著者最終稿を使用する際に、エンバーゴ後に速やかに、それぞれのリポジトリに収容させていただくような手段とか、これも交渉しなければいけないというふうにメニューされておりますし、まさに青木先生にも今、御意見いただいたように、山地先生のところで何とかメタデータを自動化する仕組みみたいなことも別途進めてございます。
 こういったものを組み合わせていくことで、我々としても内閣府が立てた、この2025年に即時OAを実現するというのも一つの目標にきちんと捉えて、そこに間に合っていくような、ある種の財政的なものも含めた様々な措置というのを検討していかなくてはいけないと、そういうふうに認識してございます。
 まさにその点について、今御提示させている資料に表していると、そんなところでございます。

【青木委員】  ありがとうございます。

【相澤主査】  ありがとうございました。

【工藤参事官】  ありがとうございます。

【相澤主査】  では、ほかに御質問、御意見等がございましたら、よろしくお願いいたします。では、石田先生、次が美濃先生でお願いします。

【石田委員】  私は学術情報の立場でもありますし、図書館でもありますので、少し、その立場からコメントさせていただきたいと思います。
 先ほど御説明いただいたシステム等に関しては、大分その基盤が整ってきているというふうに私は考えておりますし、こういう最初はシステム的なものをきちんとつくるというところが重要なのかなとは思っているんですが、やはり話を聞いていますと、研究者とシステムだけで、データのオープン化もそうですし、データの公開というものができるわけではない、それを研究者の人たちとシステムだけでやり取りするというのは、なかなか難しいかなと思います。
 そういう意味では、先ほど少しありましたけれども、図書館の人たち、もしくはそのURA等の人たちが支援をするというところが必要になってくるのではないかなと思っています。
 その場合、例えばNIIさんがやっている、データの公開等に関しても、このシステムができればすごくいいのかなとは思うんですけれども、こんなに単純にデータの公開がすぐ、研究者がデータをつくって、ボタンを押して、公開すればそれで済むかというと、そんな単純なフローでいかないところもあるのではないかなと思います。
 そこには、オープンアクセスでもそうですけれども、権利の問題とか、個人情報が入っているか入っていないかとか、必要なデータが全部そろっているかとか、そういうところを確認しなければいけないところがあったりするので、ぜひ、今後のステップということにはなるんでしょうし、もちろんNIIさん等もお考えにはなっているとは思いますけれども、やはりその支援をする側の人たちの観点も取り入れてシステムをつくっていただく、もしくはフローを策定していただくというのが、こういった、せっかく良い大きなシステムをつくられた場合の有効活用にもなりますし、それがオープンサイエンスの促進にもつながるのではないかなと思いました。
 以上です。

【相澤主査】  ありがとうございます。
 それでは、続けて美濃先生、よろしくお願いいたします。

【美濃委員】  理化学研究所の美濃でございます。この文科省の資料7の価格交渉力の強化というところで、大規模研究大学でまとまって団体交渉しようという話があるのですけど、ここに国研は入れてもらえない、別に値段は高くなっても構わないんですけど、この団体交渉に入れるのか入れないのかというのが、研究所内でいつでも問題になっており、大学から差別されているとかいうような話が出てくるんですが、その辺り、国研の扱いに関しても何か方針を出していただいて、一緒に交渉させていただくとか、何かその枠内でやらせていただくとか、そういう話をちょっと考えていただきたいというのは要望でございます。
 それは1つ置いておきまして、もう一つは、この機関リポジトリの話なんですけど、これは将来的にどうされていくのかというところがすごく気になりまして。JSTさんがやっておられる方明確で、学会に出した論文に関しては面倒見ましょうというような形になっているわけですよね。それでは、NIIさんが公開基盤をつくったときに、海外の学会に出したものは、こういう体制ができていなければ機関リポジトリに入れなさい、あるいはグリーンOAは機関リポジトリを見なさいというような話があるわけですけど、そのグリーンOAをNIIさんが引き受けるとかいう話になってくると、機関リポジトリを機関が持つ意味というのは、将来的にどうなるのか。今すぐそれができるわけじゃないので、今は考えないと思うんですが、将来的になくなるような方向なのか、やはり機関リポジトリというのは、大学評価あるいは機関評価のために、各組織が必ずその研究成果とかいろんなものを集めなければいけないというような話で、これが恒常的に必要になるものなのかどうかという辺りを、やはりビジョンを示してもらわないと、今後、各大学とか、うちのような研究所が投資していく方向というのは定まらないので、その辺りを教えていただけると、あるいは方針を議論して決めていただけると、動きやすくなるなと思うので、お願いしたいと思います。
 以上です。

【相澤主査】  ありがとうございます。

【工藤参事官】  すみません。石田委員のことも含めて、美濃委員からの話もそれぞれ回答します。
 石田委員から御指摘いただいている点につきましては、今、山地先生の資料の28ページに、NII RDCの新たな機能群の整備という形で、昨年度から事業を始めております。つまり、RDCをさらにアップグレードする事業をやっておりまして、この中におきまして、我々としても、各現場で働く方々が具体的にどういうアクションを行ったらよいのかということを洗い出して、それを何とかこのフローに落とし込むようなことができないかということも、今年度から一部の大学を中心になってしまうんですけども、そういう人員もつけて、サーベイを始めるような形も取り始めておりますので、いずれそれらが積み重なって、この事業の中に実装されるというふうに理解しているというのが1点ございます。
 あと、美濃委員から御意見いただいた国研をどうするか、国立研究会開発法人をどうするかというところなんですけども、今、我々と内閣府の間で、大規模大学という話にさせていただいている経緯が若干ございまして、もともとナショナル・サイト・ライセンスをどうするかという議論というのは過去何度も出てきて、そのたびに、なかなか難しいというふうになって、今のJUSTICEの形に落ち着いたという経緯があるという理解を我々は持っています。
 ただ、今回その話を考えるのと、あと、ドイツがやったみたいに、ナショナル・サイト・ライセンスに非常に近い形というのを実現した形を見ていくと、やはりコレクションの、なるべく買っているものが近いというのは結構、大きいんじゃないかという認識に立っておりまして、そういう意味ですと、いわゆる単科大学さんとか、それから大学の中でも、総合でなく医学部を含まないところであるとか、こういったところの、いわゆる全て同じ形になっていないものを一緒にするのは、なかなか難しいだろうと、今そういう認識に立って、なるべく総合大学でホールコレクションで買っているところを中心に、まずは1回大きな塊の交渉体制をつくって、そこを突破口にしていこうという発想を持っていますというのが1つ。
 もう一つ、メニュー1-2として書かせていただいているんですけれども、これは、どちらかというとセーフティーネット的な概念を考えておりまして、いわゆる、この問題点の中にもサジェスチョンさせていただいているように、機関が持っているポリシーで買っているコレクションと、当該機関内に所属している研究者の方向性が違った場合、どうしても読めない方という状況が全国で今生まれてきています。
 こういった状況に応えるためには、1つ、全国でそう読めなくなっている方に対して、これは出版社が認めたことは、多分ないと思うんですけども、なるべくそういった方々に合うアカウントを付与する形で、読めない方に対しても必要な情報が行き渡るようなものがつくれないかというような2段構えの方策が、この交渉事項を想定しています。
 国研についての扱いが、ここに来て、どうするかというのはあるんですけども、どちらかというと国研も、ある種の大学と比べてみると、国研によって分野がそれぞれ違っていて、買っているコレクションもそれぞれ違っているという状況を考えたときに、それぞれの法人ごとの得意とする分野のコレクションを買っていただいて、そこで読めているものをカバーして、読めないものについては、今我々が考えているこのデジタル・U・ライブラリ的な、ある種のセーフティーネットのほうに御参加いただくのが一つの在り方じゃないかなとは直感的には思うんです。現状、内閣府と国立研究開発法人どうするかというのは、まだ話がそこまで進んではいないので、アナロジーとしては、大学であれば、いわゆる単科大学さんに近いような立ち位置なのではないかなと思います。多分、理研さんのは若干違うんですが、ただ文献もないので、その部分をどうするかというのは今後の課題かというふうに受け止めてございます。
 というのと、あとは機関リポジトリの将来像ですね。これについても、機関リポジトリは、始まった当初からだんだん機関数を増やす形で、増えてきております。ただ、今、美濃先生から御意見いただいたように、実際は増えてきてはいますが、中には、小規模の大学等では、自分のところでは持ち切れないという話というのも出てきてございます。
 今のお話は、多分そういった状況を踏まえて、機関リポジトリの在り方をどうしていくのかという問題提起かというふうに私も受け止めております。
 現状、今この議論は、オープンアクセスをどう実現していこうかという流れの中で、機関リポジトリの扱いも、こういった形で紹介させていただいているんですけれども、今いただいた論点については、恐らく、このオープンアクセスを、まず皆さんの中で、少なくともアカデミアの中でどんどん進めていく、それについて必要なプロセスは何かを明らかにして、それが今回、一つの提言になるかと思うんですけども、それが済んだ後の宿題事項として、今後、機関リポジトリをどのようにサステナブルなものにしていくかという論点として受け止めさせていただくのではないかなと、そんなふうに思っております。
現時点で、個々の大学が必ず管理すべきだとか、そうではなくてセントラルにすべきだというのを、申し上げるのが難しいので、そこはこれから、やはり皆さんのこの議論が片づいたときに、次に、それを本当にサステナブルにやっていくために必要なことは何かとなったときに、まさに出てくる話だと思いますので、そういう議論する土壌が整った段階で、議論させていただければと思います。

【美濃委員】  ありがとうございます。

【山地先生】  山地です、少しだけ付け加えてよろしいですか。

【工藤参事官】  お願いします。

【相澤主査】  よろしくお願いします。

【山地先生】  最後のものなんですけれども、多分システム的にというか、世の中的には集中と分散の繰り返しで、もう少ししたら、もう集中でいいのではないかという話になってくるというのは、美濃先生がおっしゃるとおりです。JAIRO Cloudは、もう今、集中になっているので、ある意味、そういう見せ方の問題で、システム的にはいかようにもなると思います。
 そのときに、では実際に、それは集中なのか分散なのかというのを考える一つの判断といいますか、議論のきっかけになるのは、データというアセットを組織としてどう管理するかという議論が一つ出てくると思います。データを組織として管理して、それを保存、公開していくかという中で、機関リポジトリをどう位置づけるか、組織のデータポリシーに関係してくると思います。
あともう一つは、ワークフォースの問題です。集中したときに、システムとしては集中しているけれども、今、例えばグリーンOAに関しても、データに関しても、図書館というワークフォースを最大限活用しながら、各組織における、そのデータの効率や、データの公開、論文の登録を分散処理していこうというのが、リポジトリを分散して運用していくというところの、裏の思いがあると思います。その2つが、今後、本当にどう集中させるのがいいのか、それとも分散のままのほうがいいのかというところの議論のきっかけになるかなと思います。
 以上です。

【相澤主査】  ありがとうございます。 では、続きまして湊先生、よろしくお願いいたします。

【湊委員】  Jxivについてお尋ねしたいんですけど、よろしいですか。最近、やはりアメリカのarXivがかなりアクセスが多いというか、もうかなりデファクトに近い状態になってきているような印象があるんですけれども、たしか、私が前に聞いた話だと、ここも協力金というか、ここを維持するために各大学に協力金を求められていて、大学で、図書館が払っているか、どこが払っているかは大学によると思うんですけど、払っていたと思うんですね。たしか、これはダウンロード数じゃなくて、アップロード数を基準に何か協力金を求められているというふうに前に聞いたことがあって、ダウンロード数は大体、全国の大学の規模にほぼ比例するぐらいの感じなんですけど、アップロード数というのは結局、論文を発表する研究者がたくさん所属している東大とか京大とかに、かなりバイアスがかかっているというか、あまり詳しい話は聞いていないので、もしかしたら、ちょっと不正確なところがあるかもしれませんが、そういう話を聞いたことがあります。
 その協力金も大学によってはばかにならない金額になっていて、もちろん電子ジャーナルとかに比べれば、まだ安いのかもしれないですけど、やっぱりそのarXivも維持するのに結構、それなりにお金がかかっていると。
 Jxivは、今はスモールスタートで、ほとんど維持費とかも、ほかのJSTから見たら誤差の範囲ぐらいなのかもしれませんが、もし本格的にちゃんと、アーカイブまではいかなくても、ある程度の存在感が示されるぐらいの規模になると、維持費は非常にかかるんじゃないかなと思うんですけど、そのときに受益者負担で、どうやっていくのかというところは、どう思っていらっしゃるのかなというのを聞かせてもらえたらと思います。

【相澤主査】  そうしましたら、JSTの中島さん、お願いします。

【中島情報基盤事業部長】  JSTです。arXivは研究者コミュニティーから立ち上がったというところで、研究機関のコミュニティー中心にサービスモデルが出来上がっていると理解しておりますので、そういった負担の仕方がなされているのではないかと思います。私もその辺り、正確なことを存じているわけではないんですけれども、ちょっと事情は違うというふうに思っております。
 J-STAGEにおいても、欧米では学術出版社、商業出版社や大手の学会がジャーナルを出版している状況ですけれども、日本では公的機関であるJSTが、ジャーナルプラットフォームを運営しているという状態と、少しアナロジー的に考えておりまして、少なくともスタートの部分、あるいはこれが発展していく部分では、こういった公的な取組が必要ではなかろうかというふうに考えております。
 また、発展の仕方によっては、モデルとして、受益者が負担していくというのもあるかもしれません。J-STAGEでも、投稿審査をする部分については一部、受益者負担を始めたりしておりますので、またその利用のされ方によって、都度、検討されていくべきものかというふうに考えております。

【湊委員】  では、まだ先の議論ということで、もうちょっと大きくなってから考えるということでしょうか。

【中島情報基盤事業部長】  はい。まだ最初のスタートの部分で、そこまでは考えに至っていないというのが現状です。

【湊委員】  分かりました。ありがとうございます。

【中島情報基盤事業部長】  ありがとうございます。

【相澤主査】  ありがとうございます。
 では、天野先生、よろしくお願いいたします。

【天野委員】  アップロードに応じて課金するというのは割と理にかなっているような気がして、そうでないと、がんがん出してしまいますので、やはりある程度の質のものを保証するということで、受益者負担ということでも、アップロード数に応じる課金というのは多分、今後、Jxivなども取り入れていく必要があるのではないかなというふうに考えています。まず、これが1点です。
 僕はプレプリントが将来的にやっぱり伸びてきて、そういう形が論文的なものは大体そういう方向に落ち着くのかなというふうに思っています。ただ、我々の周辺、情報系では、やはりオープンソースの流れがありますので、ソフトウエア関係は全部GitHubで今、データベースをつくられておりまして、GitHubに載らないような我々のハードウエアの資産、とても大きいサイズの設計データとか、あるいは今までチップ系の設計データは、チップの各会社の秘密保持のために、共有することができなかったんです。
 ただ、最近、ハードウエアの世界でもオープンソース化というのが進んできているので、どんどんそういうのが共有できるようになってきています。
 なので、GitHubに入らないような共有オープンソースというのとうまく連携して、そういうデータを取り込んでいただければ、みんなが割と使うということで、アクティビティーがすごく高くなる可能性があるのではないかと思います。
 以上です。

【相澤主査】  ありがとうございます。アーカイブのお話ですが、JSTさんから追加で何かコメントありますでしょうか。

【中島情報基盤事業部長】  御助言ありがとうございます。運用していく中で検討してまいりたいと思います。

【相澤主査】  ありがとうございました。
 それでは、ほかに御意見、コメント等ございましたら、よろしくお願いいたします。石田先生、よろしくお願いします。

【石田委員】  JSTさんにお聞きすることかと思うんですが、私が知らないだけなのかもしれませんけれども、今、国際会議の会議録、カンファレンス・プロシーディングスというのを出版する場所が、小さいワークショップであったり、独立系の会議であると、その出版サイトがない場合があるんですけれども、そういったものも、出版できる場所といいますか、掲載していただけるような場所というのをつくる御予定とかはあるんでしょうかと。
 割となくなってしまうことが多いので、情報系とかでは会議録というのは非常に重要な情報源ですので、そういうものがちゃんと残っていくと、それはそれで資産になるのかなと思いましたので、お聞きいたしました。

【中島情報基盤事業部長】  JSTです。よろしいでしょうか。J-STAGEに登載されているコンテンツの中でも、定期的に大会が開かれて、そこでプロシーディングスが発行されるという、シリアルな発行のされ方をしているものは、J-STAGEに登載をされている場合もございます。
 また、そうではなくて、一時的なもので、逐次刊行物という形を取れない場合には、例えば論文の形態をしていればJxivにも載せていただくことが可能ですので、それも御検討いただければと思います。
 以上です。

【石田委員】  分かりました。ありがとうございました。

【相澤主査】  ありがとうございます。新しい使い方という意味でも貴重な御意見をいただいたと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 では、ほかに御質問や御意見等ございましたら、よろしくお願いします。
 では、湊先生、よろしくお願いします。

【湊委員】  今の会議録の件ですけども、ちょっと前までは情報系だと、SpringerのLNCSが多かったと思うんですけど、ここ数年は割とドイツのDagstuhlの紀要に出すというところも増えてきていて、その両者が今、一番多いような気がします。
 ドイツのDagstuhlは、たしかドイツの学会か国がやっているところだったと思いますけれども、割とJSTのJxivに近いのかなという気もするんですね。もう独自のフォーマットがあって、そのフォーマットに従って出して、それで査読まで受けてというような形でやっているので、そういう何か、いわゆるEasyChairと言われている査読システムを含めて、トータルでサポートされると、使う人が増えるんじゃないかなという気がします。
 ただ、それにしても、やはり維持費がかかるので、そこをどうするかというのは課題だと思います。

【相澤主査】  ありがとうございます。いかがでしょうか。何かコメントありますでしょうか。
 関係して、私もついでに1つ質問です。J-STAGEさんから、J-STAGE Dataとの連携ということをお示しいただきましたが、ただいまのJxivについてはデータ連携は、どのように考えておられるのでしょうか。

【中島情報基盤事業部長】  JSTです。Jxivについては、付録のような形で簡単なデータを載せることが可能ですが、現在のところJ-STAGEやJ-STAGE Dataとは直接リンクをしてはおりません。また、これも将来的な課題かと思います。

【相澤主査】  ありがとうございます。以上、J-Stageの今後についての議論でした。
 さて、そろそろ時間も押してまいりました。ほかに御質問やコメント、御意見等ございましたら、挙手にてお知らせをいただければと思います。
 では、天野先生、よろしくお願いいたします。

【天野委員】  大したことではないんですけど、今の湊さんの、EasyChairみたいな会議運営ツールとくっつけて何かアーカイブつくってやるというのは、すごいアイデアかなと思っていて、会議運営ツールはろくなものがないんですよね。なので、この辺すばらしいのができれば、ユーザーはすごく増えるんじゃないかと思います。
 以上です。

【相澤主査】  アイデアをありがとうございます。
 盛合先生、よろしくお願いします。

【盛合委員】  山地先生の資料の28ページのところにありました、このNII RDCの新しい機能群の中に秘匿解析機能、つまり論文等のデータベースに対して、いろんな機微な情報も多分、隠したまま解析するというような機能で、私はこれを知らなかったので、ちょっと検索してみたら、大学の先生方、研究者の方中心に実証実験が今行われている途中だというふうに書いてあったんですけども、これは、お使いになられている先生方で、どんな印象かというのと、あと、こういうものをフィードバックして、実際に機能としてリリースされていく予定なんですかというところを、お伺いできればと思いました。

【相澤主査】  それでは、山地先生、どうぞ。

【山地先生】  ありがとうございます。まだ実験を始めたばかりで、フィードバックは具体的には実証実験の参加機関からは得ていませんが、内部でその前に、さらに事前の実証実験をやっておりまして、これは機密性の高いデータをお互いに出し合って、分析するんですけれども、基のデータがお互いに見えないままデータが計算できるという機能です。NTTと一緒にやっていますが、もちろんここで計算機のパフォーマンスといいますか、やはり通常の計算より、かなり時間かかることになりますので、実際の利用に耐え得るものなのか、あと、もう少し、この用意している関数で十分に、実際のこの研究データの分析に耐え得るものなのかというところを今、使ってもらいながら意見をいただいているところですので、それをフィードバックいただきながら、改善できるところは改善するというサイクルを一つ回そうとしているところで、ぜひとも実験に参加していただければありがたいなと思いながら聞いておりました。
 以上です。

【盛合委員】  ありがとうございます。でもこれは大学のみが対象でしょうか。

【山地先生】  やはり機密性の高いデータは見せられないというのは、企業の方との共同研究でやりたいとか、あと個人情報を持ち寄ってというところもあるんですけれども、産学連携の中でやるというのは非常に面白いかなというふうに思います。
 我々は今データ基盤も、産業界の方々に、共同研究の中でどういうふうに使っていただけるかというところの認証の機能も含めて実証しようとしているところなので、そこも含めて、また先生に相談させていただければと思います。

【盛合委員】  ありがとうございます。

【相澤主査】  ありがとうございます。では、佐古先生、よろしくお願いいたします。

【佐古委員】  ありがとうございます。私もこの機能にとても興味を持って拝見していたので、盛合さんの質問にかぶせる形でお聞きしたいんですけれども、秘密計算ですと、例えばデータA、B、Cの平均を秘密計算で計算できて、その後、データA、B、C、Dの平均を取ると、それも秘密計算でできるんですけれども、その2者の結果からDの値が漏れてしまうということが、私は長くから課題だなと思っておりまして、そのような推論制御について、もしもお考えがあったら聞かせていただきたいと思っております。
 以上です。

【山地先生】  私も詳しくないので、十分な答えにならないかもしれないんですけれども、以前も同じような御質問をいただいて、当然この総当たりでやったりですとか、データを見ていく過程の中で、もともとのデータが分かってしまうのではないかというのはあります。それも懸念といいますか、問題はまだ残ったままです。
 ですが、その使える関数の中で、そこをうまく隠すような、止めるような機能が入っているようでして、今、そこは試行錯誤というか、どちらかというと、アドホックというわけではないですが、ノウハウで対応しているというのが現状のようです。

【佐古委員】  ありがとうございます。レポート楽しみにしています。

【相澤主査】  ありがとうございます。
 では、小林先生、最後に、よろしくお願いいたします。

【小林委員】  ありがとうございます。山地先生の資料で7ページのこの理研との連携というものがありますけど、既に検討は進められているとは思いますが、今、将来のHPCIの在り方みたいなことも検討されているので、ぜひ、そのHPCIレベルとの連携の仕組みをしていただくと、いろいろなシミュレーションやAIのデータなどがうまく利活用できるような仕組みになるんじゃないかなというふうに思っていますので、どうぞよろしくお願いいたします。

【相澤主査】  ありがとうございます。

【山地先生】  ありがとうございます。ちょうど今朝、当方の参加している合田のほうから聞いたのですが、HPCIのほうでもデータ管理というのが1つイシューとして挙がっていて、どういうふうに連携していくかというのが今後の課題になりそうなので、そこはまた深く連携しながら、やらせていただければと思います。よろしくお願いします。

【相澤主査】  ありがとうございます。ほかにもいろいろと御質問や言い足りないことなどあるかと思いますが、ちょうど時間となりましたので、本日のこの場での議論はここまでとさせていただきます。
 特に冒頭、引原先生からいただきました図書館と基盤との連携等、重要な観点もございましたので、そういったことも含めて、次のまとめにつなげていくということにさせて頂ければと思います。本日は御議論いただき、大変ありがとうございました。
 この場で言い足りなかったことなど、追加の御意見等がありましたら、会議の終わった後に事務局までメールでいただければと思います。
 では、最後に事務局から、事務連絡があればお願いいたします。

【佐々木参事官補佐】  ありがとうございます。事務局でございます。次回委員会の日程につきましては、今、調整させていただいているところで、明日を締切りとさせていただいておりますので、まだ御回答いただいていない方は、これを機に御回答をお願いできますと幸いです。よろしくお願いいたします。
 また、先ほど主査から御指摘ありました追加の御意見提出については、1週間後、21日水曜日18時までにお送りいただけるとありがたいです。どうぞよろしくお願いいたします。
 以上でございます。

【相澤主査】  それでは、これで本日の委員会を閉会とさせていただきます。どうもありがとうございました。次回もよろしくお願いいたします。
 
―― 了 ――

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