情報委員会(第30回) 議事録

1.日時

令和5年2月6日(月曜日)16時30分~17時30分

2.場所

オンライン会議にて開催

3.議題

  1. 第29回情報委員会(書面調査)の結果の報告
  2. 下部組織からの報告
  3. その他

4.出席者

委員

安浦主査、相澤委員、井上委員、奥野委員、川添委員、小池委員、後藤委員、佐古委員、田浦先生、瀧委員、塚本委員、中島委員、長谷山委員、引原委員、深澤委員、星野委員、美濃委員、八木委員、若目田委員
(オープンサイエンス時代における大学図書館の在り方検討部会)
 竹内主査(以下「竹内検討部会主査」と記載。)

文部科学省

森 研究振興局長、木村 大臣官房審議官(研究振興局及び高等教育政策連携担当)、工藤参事官(情報担当)、河原 計算科学技術推進室長、藤澤 学術基盤整備室長、黒橋 科学官、竹房 学術調査官、松林 学術調査官

5.議事録

【安浦主査】  それでは、定刻になりましたので、科学技術・学術審議会情報委員会の第30回会合を開催いたします。今回が第11期の会合としては最後の開催となります。
 本日は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止のためにオンラインで開催することにいたしました。今回も、報道関係者を含め、傍聴の方にはオンラインで参加いただいております。また、通信状態等に不具合が生じるなど、続行できなかった場合、委員会を中断する可能性がありますので、あらかじめ御了承ください。
 本日は、先ほどありましたように、相澤委員と小池委員が少し遅れて御出席されると御連絡をいただいております。一応、全委員に御出席いただける予定になっております。また、下部組織からの報告のために、オープンサイエンス時代における大学図書館の在り方検討部会の主査である竹内先生にも御出席いただいております。
 それでは、配付資料の確認とオンライン会議の注意事項について、事務局より御説明をお願いします。

【佐々木参事官補佐】  ありがとうございます。事務局でございます。議事次第に基づいて配付資料を確認させていただきます。ダウンロードいただいている資料を御確認いただけますでしょうか。
 本日、この議事次第のほかに、資料が1から4までの4つと、参考資料が1から8までの8つ、合わせて12個の資料をお送りさせていただいております。もしお手元にファイルが届いていない、あるいはURLが開けないなど、何かございましたら、事務局に御連絡をいただければと思います。もし現時点でお困り事や不具合などございましたらお知らせいただければと思いますが、いかがでしょうか。もし何かありましたら、メールで事務局の連絡先を案内させていただいておりますので、そちらまでお電話で御連絡をいただければと存じます。
 続きまして、オンライン会議の注意事項を申し上げます。まず、発言時を除き、常時ミュート、マイクオフにしていただければと思います。また、ビデオにつきましては、常時オン、ビデオ開始としていただければと思います。会議中に通信状況が悪化するような場合には、安浦主査を除いて、ビデオの停止、ビデオをオフとしていただければと思います。発言をする場合には「手を挙げる」のボタンを押して御連絡をいただければと思います。安浦主査は、参加者一覧を常に開いておいていただきまして、手のアイコンを表示している委員を指名いただければと思います。
 本日、議事録作成のために速記者を入れておりますので、速記者のために、発言される場合には、お名前から発言をお願いできればと思います。また、何かしらトラブルが発生しましたら、お電話にて事務局まで御連絡をいただければと思います。本日、先ほど御案内いただきましたが、傍聴者はZoomで参加をしているところでございます。
 事務局からの御案内は以上でございます。

【安浦主査】  ありがとうございます。本日は議題が2つございまして、前回、書面調査で行いました第29回情報委員会の結果の報告、それから下部組織からの報告、この2件を予定しております。
 それでは、初めに、書面調査として実施しました第29回情報委員会の結果を報告いたします。資料1に基づきまして、事務局より説明をお願いします。

【佐々木参事官補佐】  ありがとうございます。まず、振り返りのために参考資料2を最初に少しだけ御覧いただければと思います。本件につきましては、情報分野研究開発プランとして策定いただいたものにおいて定めている情報分野の研究開発プログラム、こちらに2-1から2-4まで4つございますけれども、事業ごとに設定させていただいているものでございまして、これらについて行政事業レビューシートなどで既に公表している指標を用いて状況をまとめさせていただいて、それを基に御意見を頂戴するという形でプログラム評価とさせていただいておりました。
 資料1に移っていただければと思います。こちら、4つのプログラムについて、昨年12月に書面調査という形でお願いをさせていただいておりまして、御意見を頂戴し、その後、安浦主査に一任となりまして、1月6日付で決定しているところでございます。
 こちらについて、プログラムが4つございますと先ほど申し上げましたけれども、プログラムの(1)と(2)と(4)については特段の御意見はいただかなかったところでございました。プログラムの(3)につきまして、少し言及させていただきます。5ページ目を御覧いただければと思います。
 こちら、「3.プログラムの実施状況」、「(1)プログラム全体に関連する指標及びその状況」のところを御覧ください。プログラム(3)はAI等の活用を推進する研究データエコシステム構築事業でございまして、こちらの事業につきましては本年度開始しているところでございまして、指標に関する数値がほとんど空欄となっており、見込みで1か所だけ埋められているところで、この点について、御説明が不十分であったという御指摘もありました。このような形で作っているので空欄になっているところが多いんですけれども、来年度以降もプログラム評価自体を継続して実施するというところについてはまだ決まってございませんが、同じフォーマットで実施する場合には、この数値が埋まっていくところでございます。
 また、6ページ目に移っていただければと思いますが、「4.プログラムの現状についてのコメント(任意)」というところ、こちらにつきまして、委員の先生方から御意見をいただいて書くという形で評価を進めさせていただきまして、こちらは事業内容をより適切に評価できる指標を引き続き検討すべきという御意見を頂戴しておりまして、このように書かせていただいているところでございます。
 このプログラム評価につきましては、情報委員会として1月6日付で決定した後、1月31日の研究計画・評価分科会にて御報告いただいて、情報分野のプログラム評価について特段御意見がありませんでしたので、この内容で確定したという状況でございます。また、前回御説明させていただいた際に、これは試行ということで、その後どうなるかというような御指摘をいただきましたけれども、まず今年度、試行した結果を研究計画・評価分科会で1月31日に議論しておりまして、そこでの意見を取りまとめて、次期の分科会に申し送りして、次期の分科会においてどのように進めるかというところを検討される予定となっているところでございます。
 事務局からの説明は以上でございます。

【安浦主査】  ありがとうございました。今、事務局からありましたように、1月31日の研究計画・評価分科会で報告させていただきまして、今後、こういう形を続けるかどうかということも含めて幾つか意見が出ておりまして、まだ研究計画・評価分科会としては今期は結論を出さずに、その成果をお伝えして、次期に議論していただくという結果になっております。
 ただいまの説明に対しまして御質問や御意見がございましたら、挙手にてお知らせください。よろしいでしょうか。それでは、特に御意見がないということで、続いて下部組織からの報告に移りたいと思います。
 まず、次世代計算基盤検討部会に関する報告をした後、オープンサイエンス時代における大学図書館の在り方検討部会に関する報告をお願いしたいと思います。
 では、まず次世代計算基盤検討部会について報告します。資料2でございます。説明は事務局から行っていただきます。

【谷本参事官補佐】  事務局でございます。資料2に基づきまして御説明いたします。
 まず1ページ目に、次世代計算基盤検討部会の概要についてまとめております。資料の中ほどに、「開催実績と主な議題」という形でまとめておりますけれども、この部会は前期の情報委員会から設置されまして、今期も引き続き検討が進められているところでございます。特に第3回、令和2年11月30日の回から第7回、令和3年6月21日の回では、次世代計算基盤について集中的に議論いただいておりまして、令和3年7月29日には中間取りまとめの案が示されているところでございます。
 次に、2ページ目には中間取りまとめの概要を1枚にまとめております。詳細な説明は割愛いたしますけれども、この中間取りまとめでは、次世代計算基盤の必要性、次世代計算基盤のあり方、次期「フラッグシップシステム」に求められる役割についてまとめられております。加えまして、ページの左下のオレンジの枠にありますとおり、「フラッグシップシステム」の開発にあたって調査研究を行い、具体的な性能・機能等について早急に検討を開始する必要があるという旨がまとめられているところでございます。
 次に、3ページ目でございます。こちらは、研究振興局長の私的諮問機関として別途設置をしておりますHPCI計画推進委員会の下に設置いたしました次世代計算基盤に係るシステム検討ワーキンググループについて、このページと次のページにまとめております。このワーキンググループでは、令和3年の7月から翌年の2月まで計7回開催をしておりまして、関係者へのヒアリングを行いながら、この調査研究にて検討すべき内容や実施体制について議論いただいたところでございます。
 次の4ページ目に、調査研究の実施に向けた論点についてまとめております。これらの項目についてワーキンググループにて具体化を進めた上で、調査研究の実施につなげているところでございます。
 次に、5ページ目には、その検討の結果を踏まえて実施しております次世代計算基盤に係る調査研究事業の概要をまとめております。この事業は令和4年5月から公募を開始いたしまして、その後、採択を経て、8月から実施している状況でございます。右下のところに実施体制を書いておりますけれども、6ページ目にさらに詳細の体制をまとめております。
 6ページ目でございますけれども、この調査研究では、システム調査研究チームとして2チーム、新計算原理調査研究チームと運用技術調査研究チームをそれぞれ1チームずつ、合計で4チームを採択しております。そのほか、この資料の上部にありますとおり、評価委員会やPD会議、運営委員会を構成し、検討を進めているところでございます。評価委員会は、本調査研究の計画及び成果に関する評価ですとか当省への助言等を実施する目的として設置しておりまして、そのほか、公募の選定審査も行っております。採択以降、これまで2回開催しているところです。また、PDは、各チームに対して必要な指導・助言を実施することを目的としているほか、運営委員会は各チーム間の情報共有や進捗の把握、成果のとりまとめ等を目的としております。月に1回程度の頻度で開催をしておりまして、これまでに計6回開催をしているところでございます。
 今後、これらの評価委員会や運営委員会などを中心として検討を進めてまいります。進捗状況に応じて、適宜情報委員会でも御報告をさせていただく予定でございます。そのほか御参考として、7ページ目には各チームの研究概要、8ページ目には評価委員会のメンバーやPDの名簿を記載しているところでございます。
 御説明は以上でございます。

【安浦主査】  ありがとうございました。こちらのほうは、今の御説明にありましたように評価委員会が設置されまして、実際に、先ほど示されましたような4つのチームが採択されて、いわゆるFSに当たる研究をやっていただいております。その内容につきましては、評価委員会でチェックはしますが、詳しくは3人のPD、筑波大学の朴先生と東京大学の田浦先生と東北大学の小林先生、このお三方がしっかりと各チームの活動を見ていただいて、評価委員会にもPDとしての御意見をいただくような形で全体をマネージするという形で進めているところでございます。この次世代計算基盤検討部会の活動につきまして、何か御質問あるいは御意見等がございましたら挙手をお願いします。よろしいでしょうか。
 若目田委員、どうぞ。

【若目田委員】  せっかくの機会なので、1つ質問させてください。今回、システムチームが2つ選定されている形になっていると思います。7ページに簡単な説明がありますが、これはフィージビリティスタディを両方でやって、どちらかの考え方を選択するのか、分担を決めてフィージビリティスタディをやっているのか、2つ選ばれた背景とそれぞれのすみ分け、収束の仕方等を教えていただけたらと思います。

【安浦主査】  これは、2つは独立に提案されたものでございます。それで、最終的にこれを融合できるのか、どちらか片一方を取るのか、これはまだ決まっておりません。今、出ている図、7ページの左側の理化学研究所の御提案は、比較的今までの路線に近い話で、一般のメーカーさんと、半導体が勝負になりますので、世界的な半導体企業、そういったところを巻き込んでフィージビリティスタディを行っているというチームでございます。
 それから、神戸大学のチームは、国産にこだわって、国産の企業を巻き込んで、新しいタイプのアーキテクチャで臨もうという、そういう立場を取っているFSになっております。これらから、いいとこ取りして、両方まとめていくのか、どちらか一方になるのかというのは、今後のFSの進み具合を見ながら、PDの御意見も聞きながら評価委員会で決定していくと、そういう形になります。
 以上です。

【若目田委員】  ありがとうございます。両案が切磋琢磨して、いいものを目指すという考え方ということで承知しました。

【安浦主査】  どうもありがとうございます。ほかに何かございますでしょうか。よろしいでしょうか。ほかに特に御意見はないということで、それでは、次の報告に進みたいと思います。
 次は、オープンサイエンス時代における大学図書館の在り方検討部会に関する報告に移りたいと思います。こちらは、検討部会の主査である竹内先生に御出席いただいておりますので、竹内先生から御報告をお願いしたいと思います。竹内先生、よろしくお願いいたします。

【竹内検討部会主査】  ありがとうございます。ただいま御紹介をいただきました千葉大学の竹内でございます。オープンサイエンス時代における大学図書館の在り方検討部会は、昨年2月より8回の審議を行いましたので、その概要を御報告いたします。参考資料7として検討部会の名簿がございますので、御確認ください。情報委員会からは、京都大学の引原先生、早稲田大学の深澤先生に御参加いただきました。心よりお礼を申し上げます。
 さて、この検討部会が発足した背景には幾つかの政策文書がありますが、情報委員会の委員の皆様におかれましては御存じのことばかりと思いますので、時間の関係もあり、省略をさせていただきます。また、2020年春以来のCOVID-19パンデミックの下において人々の行動が制限され、物理的に大学図書館へのアクセスが制限され、教育・研究に大きな影響を与えたことも、物理的な場所に制約されない大学図書館の在り方について早急に検討することを後押ししたことを強調させていただきたいと思います。
 検討部会では、参考資料8にあるようなトピックについて専門的な御報告をいただきながら、それを手がかりに議論を進めてまいりました。本日は資料3及び4としてお示しする審議まとめ案とその概要案をベースに報告をさせていただきます。これらの資料は、去る1月25日に開催された第8回会合において提示されたもので、その際の委員の皆様方から示された意見はまだ反映されてないものであることを御了承いただければと思います。
 それでは、進めさせていただきたいと思いますけれども、今回の審議においては、大学図書館の本質を意識しつつ、オープンサイエンスに対応した大学図書館機能を実現するために何をすべきかという観点から審議を行いました。キーとなるのは、「デジタル・ライブラリー」という概念です。これは、2020年9月30日の科学技術・学術審議会学術分科会・情報委員会提言において示されたものです。ここでいう「デジタル・ライブラリー」は、1990年代に議論された「電子図書館」構想とは異なり、コンテンツのデジタル化を経た結果として、運営やサービス、職員の知識やスキルの変革を内包する形で、自らのDXを推進する大学図書館のことを指すものです。検討部会では、この「デジタル・ライブラリー」を次期科学技術・イノベーション基本計画が終了する2030年度を目途に実現するものと位置付けて、コンテンツとそれに関わるサービス、サービス環境、人材の育成と確保、そして、これらを実現する上で不可欠な大学図書館間あるいは他の学術情報提供機関との連携という4つの側面から検討をいたしました。また、検討に当たっては、各大学図書館が目指すべき1つの理想と言える方向性の提示を目指しました。
 それでは、以下において、この4つの側面に係る審議内容について御紹介をいたします。第1の点である今後の大学図書館に求められる支援機能や新たなサービスについてですが、ここで鍵になるのは、既存のコンテンツをデジタル化することと、今後、学術研究等の成果として産み出されるコンテンツをオープン化することです。過去の蔵書のデジタル化に関しては、既に国立国会図書館ほかの機関でデジタル化が進展していることも踏まえ、大学図書館はそれらと相互補完するようなデジタル化を進め、「ナショナル・デジタル・アーカイブ」と呼ばれるような基盤を構築し、それを利活用する方向を示しています。
 また、今後生み出される研究成果については、機関リポジトリ等を通じた学術論文等のオープンアクセスを積極的に進めるとともに、永続的なアクセスを保証する必要があることを明記しました。また、雑誌論文のみならず、図書等についても、商業流通がなじまない著作物を中心に、大学図書館がデジタル化・オープン化を担う可能性についても検討すべきとしています。
 オープンサイエンスにおいては、オープンアクセスと並んで研究データが重要になっています。基本的な考え方として、研究データから始まる知識の再構築に対応し得る研究者の立場に立った研究データ管理環境、及びその支援体制の構築が求められているという認識を示し、その支援においては、研究のライフサイクルの各段階において様々な人材が必要で、大学図書館もそこに関与するという枠組みを示しました。これに関与する様々なものがそれぞれの役割を明確にした上で連携、協力し、利用者としての研究者にとって効果的な支援体制を構築することを目指します。
 そのために、まず大学図書館が果たすべき役割としては、公開されている研究データの発見可能性を高めることがあり、そのためにはデータ作成者、あるいは論文の執筆者たる研究者、データ、そのデータを用いた研究の成果としての論文に識別子が付与されることを前提に、それらをひもづけるようなシステムの構築が必要であるとしています。
 教育に関しては、DXに対応して、著作物を教材として円滑に利用するための制度ができたことを踏まえ、著作物を扱い、著作権法について知識のある大学図書館が情報リテラシー教育としての著作権教育や個別の事例についてのコンサルテーションを担当することも考えるとしています。
 第2の点であるサービスを実現するための情報科学技術及び「場」としての活用ということについてですが、「デジタル・ライブラリー」の実現には、大学図書館機能を物理的な「場」に制約されない形で再定義することが必要となることから、ここでは「ライブラリ・スキーマ」と名づけられた論理構造を明確にし、教育・研究のDXの中で様々な利用者に適した図書館のサービスをデザインすることを提案しています。また近年、大学図書館が主導してきたラーニングコモンズについては、その成果を評価した上で見直しを求めています。これは、学習環境については大学全体として再構築すべきとの考えに立つからです。しかしながら、「デジタル・ライブラリー」の実現によって物理的な場が不要になるわけではなく、物理的な場としての大学図書館は、物理的な空間と仮想的な空間が融合する場として、あるいは、仮想的な空間に対する高度なインタフェースといった付加価値を持つ場として発展していくものと位置づけました。
 第3の求められる人材については、「デジタル・ライブラリー」を実現する上で必要な知識やスキルについて整理・検討した上で、その専門性を認定する制度の構築などを進め、専門職としての能力開発の促進、新たなキャリアパスの形成など、構造的な課題の解消を目指すとしています。特に研究データ管理に関わる点から、学問の在り方や研究のライフサイクルの理解が不可欠となっています。また、これからの大学図書館には、高度な知識やスキルが求められる業務が多くなっているにもかかわらず、その専門人材は不足しており、また、専門家として確立されていないという問題があります。専門人材のキャリアパスやポジションの確立など、構造的な課題を解消するための仕組みを整備することを国の責務として明記いたしました。
 また、現場の教職員に対するSDやFD、今後の状況の変化に対応するためにリカレント教育の重要性を指摘し、大学には職員自らのリカレント教育に対する意欲を向上させるなど、組織的な支援が必要であるとしました。このような今後の大学図書館の役割の明確化とそれに基づく業務の再構築の考え方を踏まえ、各大学は大学全体における人的資源配分の見直しや教育・研究推進体制の構築等と連動する形で、大学図書館における組織体制と人的資源の配分を見直すことを求めています。
 第4に、大学図書館間の連携についてですが、「デジタル・ライブラリー」の実現に向けて、一大学一図書館という前提にとらわれず、複数の大学図書館でコンソーシアムを形成するなど連携した対応をするとしています。御承知のように、大学設置基準においては、大学に必要な施設として図書館が挙げられており、各大学が責任を持って大学図書館を設置し、適切な人材を割り当て、運営していく責任を有していることについては議論の余地がありません。しかし、大学図書館に求められる新たな機能やサービス、それに伴う人材の配置、育成を考えると、大学内における関係部署との協働や一大学図書館だけで対応することは容易ではなく、「デジタル・ライブラリー」においては、必ずしも「一大学で完結する形で一つの図書館システムを整備する」という前提にとらわれず、複数の大学図書館でコンソーシアムを形成するなどして対応することを有力な手段と捉えています。また、そのような「デジタル・ライブラリー」構想を実現する過程で新たに生じる共通の課題等を検討する場を国において設置し、新たな支援方策等を検討するとし、国として推進すべきことを示しております。
 最後に「むすび」として、「デジタル・ライブラリー」には大学全体の教育・研究の活性化につながることを期待しつつ、その実現に向けて大学全体として取り組む必要があることを示し、大学図書館が主体となりつつも、大学執行部において全学的な取組として対応されるべきものであるとしました。また、各大学図書館には、上記の4つの観点から述べられた具体化のための方策について、各大学のミッションに沿って優先的に扱うべき課題から取り組むことを求めています。連携・協力については、モデルケースを明らかにして、その成果を共有する仕組みの構築に国として支援が不可欠であるとしています。
 このまとめの内容には、大学図書館の現状からすると、大きな飛躍が求められている部分もありますので、2030年度の「デジタル・ライブラリー」の実現に向けて、今後丁寧なフォローアップが必要と思われます。本審議のまとめにおいて、構想を実現する過程で新たに生じる共通の課題等を検討する場を国において設置するとありますので、この場が早く設置され、2030年に向けた具体的なスケジュール、手順等が描かれることを期待しているところであります。
 以上で私の報告は終わらせていただきます。どうもありがとうございました。

【安浦主査】  竹内先生、どうもありがとうございました。それでは、ただいまの御説明に対しまして御質問や御意見等ございましたら、挙手にてお知らせください。この部会のメンバーであられました引原委員、深澤委員、何か追加して御報告されることはございますでしょうか。

【引原委員】  引原でございます、御説明ありがとうございます。今、竹内先生から御説明いただいたことなんですけれども、やはり各大学、各機関におきまして、図書館だけではなくて、情報関係のセンターとか、あるいはほかの部局の関係者たちが大学全体として方向性を持つことが非常に重要だと思っております。この資料に関しましては、大学の執行部が確実に目を通していただきたいなと考えております。
 以上、コメントでございます。

【安浦主査】  ありがとうございます。
 深澤委員は何かございますか。

【深澤主査代理】  今の引原委員のコメントの続きですが、これでこの話を終わりにしてしまうときっと、大学にこの文書が来て、そのままどこにも反映されない、つまり、図書館として何も変わらないことになってしまうことがとても懸念されるのですが、事務局もそれは懸念されていて、今後、マイルストーンをどうやって打っていくのか等に関して検討を進められていくことを聞いております。ぜひそこで、この案が少しでも実現されることを祈念しております。よろしくお願いいたします。

【安浦主査】  引原委員、深澤委員、ありがとうございます。一応、目標として2030年ということで、もう2023年に突入したわけで、あまり時間がないんですよね。結構、職員のリスキリング、あるいは、職員としてもある程度新しいタイプの職員を入れていかないといけないという問題もあるのではないかと思いますけれども、そういう組織構造改革はなかなか大学では時間がかかりますので、今、引原委員、深澤委員がおっしゃいましたように、やはり執行部ができるだけ早くこの問題を認識して取組を始めていただかないと、すぐに6年、7年はたってしまいますから、2030年に緒に就いたというような感じにならないようにする必要があるのではないかと思いながら、私もこの資料を読ませていただきました。
 委員の先生方から、何か御意見、御質問はございますでしょうか。前回会合を開催した第28回の委員会で、具体的にジャーナル問題に関して、ちょっと深掘りした話を、実際の出版社にも出てもらって話をしてもらいましたけど、あれはこの図書館問題の一部であって、決して全体ではなくて、図書館のデジタル・ライブラリー構想を実現するためには、あそこで議論になったジャーナルの問題もある程度は何らかの方法で解決していく必要は当然あるわけで、その話は当然やりながら、ここに書かれている話を議論するという理解で、竹内先生、そういう理解でよろしいでしょうか。

【竹内検討部会主査】  ジャーナル問題につきましては、引原先生が主査を務められましたジャーナル問題検討部会がございまして、そこで既に方向性について議論されていて、それに沿って今我々は様々なアクションを起こすという段階でございますので、今回のこちらの検討部会では、電子ジャーナルに関する問題は含めないということで整理をして議論したところでございます。

【安浦主査】  ありがとうございます。非常に配慮されて御議論いただいたものかと思います。
 瀧委員、どうぞ。

【瀧委員】  今、安浦先生から2030年の話が心配されているという話が出ましたけれども、やはり詳細なアクションプランを今後検討していただきたいと思います。大学の規模によってどのようにしたらよいのかが分かるようにしていただきたい。複数大学で取りまとめていくという話もございましたけれども、余裕のある大学とそうでない大学ですと、やはりついていけない大学があると非常に困りますので、2030年には全ての大学がちゃんと対応できている形になっているように進めて頂ければと思います。アクションプラン、よろしくお願いいたします。

【安浦主査】  ありがとうございます。これは文部科学省及び、この後の情報委員会への宿題になるのではないかと思います。事務局から何か、それについて計画などはございますか。

【藤澤学術基盤整備室長】  学術基盤整備室の藤澤です。どうもありがとうございます。まさに今、先生方がおっしゃったとおり、これまで図書館関係のいろんな報告等を出していますが、それで終わってしまっております。しかも、執行部になかなか届かないと引原委員から御発言がございました。まさに我々としては、きちんとロードマップをつくっていくため、次のステップを考えていくために、この検討部会で基本方針、基本的な考え方をつくっていただいたということでございます。この報告をしっかり踏まえ、一歩一歩、できるところから取り組んでまいりたいと考えております。以上でございます。

【安浦主査】  藤澤室長、どうもありがとうございます。ほかに何か御質問、御意見等ございますでしょうか。
 私から1点お尋ねしたいのですが、データも非常に重要なファクターになるというお話がございました。データという意味では、全ての大学にあるわけではないですが、大きな大学には博物館がございます。博物館が持っているいろいろな、いわゆる標本に当たるようなものは、現物はもちろん持っておかないといけないのですが、例えば昆虫の標本とか魚の標本とか、これはデジタル画像にして、データにして持つという取組も博物館で始まっているようにお聞きしていますけれど、そういうものも図書館で扱うことになるのでしょうか。それとも、博物館と図書館の境目がどんどんなくなっていくような気もしますけれど、その辺りは竹内先生、何かお考えございますでしょうか。

【竹内検討部会主査】  ありがとうございます。博物館、図書館等の連携というのは、かつてからMLA連携という言い方で広く進められてきたところでございまして、博物資料も図書館資料もデジタル化をしてまいりますと、あまり区別がなくなっていくというようなところがございます。ですので、現時点としては博物館は博物館で、図書館は図書館でそれぞれ持っている資料のデジタル化をそれぞれが進めていくことになると思うんですけれども、これがウェブ上では当然のことながら融合していく形でのサービスの構築が求められているのは、まさに先生のおっしゃるとおりだろうと思っております。
 その方向性というのは、既に日本国内においても様々示されておりまして、国立国会図書館が中心となっている文化資源の検索環境というようなものもございますので、大学図書館あるいは大学博物館がそういうものに積極的に参画していくことができます。研究のリソースとしての大学の所蔵物、これは図書に限らず博物資料も含めてですが、そういったものを広く利活用していく環境はもう完成というか、枠組みは既に出来上がっていると思いますので、これについては一歩ずつ進んでいくということではないかと思います。

【安浦主査】  どうもありがとうございました。MLAということであれば、アーカイブ、文書館もそこに入ってくるんだと思いますけど、そういうところまで大きくは視野に入れてあるということかと思います。よろしくお願いいたします。
 奥野委員、どうぞ。

【奥野委員】  よろしくお願いします。私の分野というか、専門家の都合のいい要望なんですけれども、私自身、例えばバイオ系あるいは医学系とかのデータベースをよく扱うんですけれども、今回、研究のオープンサイエンスといったところで、研究データのオープン化の対応に関してという文言が書かれていたりとかしているんですけれども、我々の分野とかですと、データベースに入れるデータのコンテンツのキュレーションとか質の高いデータにしていくとか、そういう人材が本当の意味ではすごく重要、AIの開発においても非常に重要になるんですけれども、その人材を育成する場所とか、あるいはそういう人材を雇う場所とか、昔からデータキュレーションをする人は重要だと言われているんですけども、なかなかそういう職種が定着しない。今回、ここの中で求められる人材というところもありますけれども、例えばそういうことも意識をされたような文言を入れていただくとか、そういういう意味では非常に重要な立ち位置になってくるんじゃないかなと思っています。
 今のデータサイエンスが非常に重視はされているんですけれども、例えばデータベースだと、どうしてもデータベースのシステム開発とか、情報学系はそちら側の人材育成をやるんですけれども、データコンテンツの教育はドメイン側に寄ってしまいますから、ちゃんとした教育ができない状況になっていますので、まさに図書館が中心になって、そういう人材育成を担っていただくという形になるといいかなと思いました。

【安浦主査】  どうもありがとうございます。その辺りは、この報告ではどういうふうに考えておられるのか、竹内先生、もしよろしければお願いできますでしょうか。

【竹内検討部会主査】  この問題については、特にキュレーターをどういうふうに育成するのかというところに今の御質問のポイントがあったかと思うんですけれども、今回の検討部会の中で、研究のライフサイクルと、それに沿う形での研究データに係る様々な支援についての議論はいたしました。特にこれは京都大学の引原先生からプレゼンをいただいてご説明いただいた枠組みに沿ってという形だったわけでございますが、その議論をしたときにも、キュレーターというのは一体どういう人たちが今後なっていくのかということについて、完全に1つの方向性があるわけではなくて、いろいろな可能性があるという理解をしていたところであったかと思います。
 研究データ管理に係る人材というのは、様々な形で育成がされていかないといけないというのは全くそのとおりでございまして、ごく一部の図書館の人たちだけがその教育を受けて、そういったところに入っていくということでは決してないという理解をしております。そのことにつきましては、先生方のお手元にあります、資料4の8ページ辺りに書いてある話ですけれども、非常に難しいのは単に図書館の人材だけを教育すればいいという話だけではないということです。また広く認識をされているところでございますけれども、こういう人たちを育てていくことを考えますと、当然彼らのキャリアパスといったようなものも併せて考えていかないといけないということを、この報告書の中では言及をしているところでございます。
 このことにつきましては、引原先生に補足していただけると大変ありがたく存じます。よろしくお願いいたします。

【引原委員】  御指名を受けましたので、ちょっとコメントさせていただきます。情報委員会でも研究のライフサイクルに関するプレゼンをさせていただきましたが、やはり研究をマネージするだけでなく、それを基にしたデータをどう世の中に出していって、新しい研究を創発していくかと考えたときに、そのステップステップで、やはりキュレーターがいたりライブラリアンがいたりということの全体の流れの認識がようやくできてきたのではないかなと考えています。
 その意味ではキュレーター、先ほど竹内先生がキュレーター自身の定義がもう一つ明確ではないとおっしゃっていまして、確かにそうなんです。奥野先生がおっしゃったように、データをよいものにしていくという意味のデータのキュレーションというのもあれば、AIでモデルを作って、それからシミュレーションして戻してきて、フィードバックをかけたようなことによるモデルのキュレーションみたいなものもありますし、いろんなタイプがあると思うんです。
 ですから、それを分野ごとで、やはり若手の研究者の人たちに加わっていただきながら、1つの論文を作るような作業としてそういうものを明確にしていきながら、データベース自身を再構築していくという大きな流れが多分あり得ると思います。それはまだアンノウンなので、図書系の人たちがどういう形で加わるか、あるいは全体の流れを意識してマネージするかということを今回まとめていただけたものだと思いますので、次のステップで、多くの先生がおっしゃったキュレーションというのが日本全体でやはり議論されていくべきことなのではないかと思っています。
 もう一つ言えば、企業の人たちの意見を聞いていますと、やはりデータのキュレーションがなかなかできていなくて、タコつぼの中でデータが終わってしまっているという、企業においてもそういうことを聞いています。ですので、これからつくっていく、ひょっとしたら面白い分野なのかもしれないと考えております。
 以上、コメントでございます。

【安浦主査】  引原委員、どうもありがとうございました。この問題は今回の図書館のデジタル・ライブラリー化という話を超えた、より大きな学術分野全体の研究者が持つべきスキルと、それを支援する人たちをどういうふうに遇するかという、日本の中で今まであまりうまくいってない、URAもつくりはしたんですけど、各大学でやっていることが違うとか、そういう問題も含めて、もう一度学術を発展させるためにはどういう人たちが必要で、その人たちをちゃんと遇する組織体制をどうつくっていくかという、かなり大学及び研究機関の在り方の根本に関わってくる問題をはらんでいるのではないかと思いますので、ぜひその辺りも含めて、今後、次期の情報委員会あるいは、この上部の科学技術・学術審議会で議論をしていただきたいことではないかと感じております。引原委員、貴重な御意見をどうもありがとうございました。
 それでは、若目田委員、どうぞ。

【若目田委員】  私も自分の専門外かなと思っておりましたが、今日お話を伺いまして、非常に重要な施策だと認識をしました。その上で、今お話にあった点とちょっと重なるかもしれませんがコメントいたします。本日も説明のあった文科省の別施策「AI 等の活用を推進する研究データエコシステム構築事業」ですが、こちらも、いわゆる研究データ基盤という観点で、全アカデミアのデータの分野間連携や横断検索など活用の高度化を目指し登録を促進する予定で、それらを担うデータマネジメント人材の育成というタスクもあったと思いますので、施策として重なる部分もあり、連携すべきところもあるのかなと思いましたので、その辺を意識いただけたらなと思います。もう一点、民間事業との連携についてですが、民間でも映像資料とか文献など様々なデジタルアーカイブ事業が進んでおりますので、それらを推進している事業者や団体との連携や情報交換を進めていただいて、我が国のデジタルアーカイブの全体最適が図れるように検討いただくことが望ましいと思いました。
 最後に、図書館という物理的なアセットについてです。デジタル・ライブラリー化されても、「場」としての大学図書館の効果的な活用を検討すべきという論点があったと思いますが、こちらも非常に重要と思います。学修環境整備に関する既存業務のうち、主に大学図書館が担ってきた部分について引き続き行うかどうか改めて整理する点については、様々なステークホルダーを入れて、クリエーティブな目線で、デジタル化された後の図書館の在り方の模範ケースを早期に示し、かつ、そういったものがデジタルアーカイブ化の両輪として動くような進め方を期待します。
 以上です。

【安浦主査】  貴重な御意見、どうもありがとうございました。
 八木委員、どうぞ。

【八木委員】  どうもありがとうございます。Society 5.0の事業をやらせてもらっている中で、データのいわゆる流通取引というのを今、想定しています。学術研究で集めたデータがそのまま運用しやすいかというと、必ずしもそういうわけではない。また、社会の中に流れているデータが使えるかというと、あるタスクを想定したアノテーションがついているわけでもないので、そのままで活用できないというのが現実だと思います。データをどのように集めるのか、データをつくり、管理するのかという、集める段階からきっちりとしたガイドラインを設けてデータを集めるということを研究者自身も意識してやっていかないと、運用と活用はなかなか生まれないなというのが実は本音で、Society 5.0の事業の中では第2ステージに進めさせてもらうということで、第2ステージの中でガイドライン作りを実際にやっていこうとしています。研究分野ごとでも違いますし、研究者側の方でも、バックグラウンドの違いによって、かなり集め方の違いが、データの作り方の考え方が違うので、そこは整理し、一つの方向性を出すということは極めて重要かなと思っている次第で、Society 5.0ではぜひそうやって実現し、広く周知できればいいなと思っております。

【安浦主査】  八木委員、どうもありがとうございます。先ほどの若目田委員の御指摘にもありましたように、この辺は八木委員のSociety 5.0のプログラム、あるいは研究データエコシステムのプログラム、こういったところとの関係も非常に大きいので、ぜひ引き続き、次の期の委員会でも議論を続けていただきたいと思います。どうもありがとうございました。八木委員、ぜひ頑張ってください。
 それでは、川添委員、お願いします。

【川添委員】  ありがとうございます。若目田委員から民間企業との連携についてちょっと触れていただいたので、その点はぜひお願いしたいと思います。私からは、実は、私自身、今、電子情報通信学会の会長をしておりまして、その学会の中でも議論している内容が非常に関連深いなと思って発言させていただこうと思います。今学会のほうで、要は、日本の学会、大体同じような課題を抱えていると思うんですけども、会員数の減少とか、あるいはインパクトファクターがどんどん低下しているという中で、どうにか国際化していきたいと思っています。その取組の一つとして、論文を多言語で扱えるようにするというものを、今までだと論文の多言語化は著者に任せていたと思うんですけども、学会みたいな組織が多言語化をするプラットフォームに応じて、例えば専門用語みたいなコーパスは学会が管理したりして、より一層、論文も含めて、海外から見てもらうこともそうですし、あるいは海外から投稿してもらうことも含めて、組織がこういう支援をやっていかないといけないんじゃないかなという議論を今、実施しています。今回のこの図書館みたいなところにおいても、もしかしたらそういうようなファクターに関して言えば、国際化できるかというところの観点、非常に重要かなと思うんですけど、いかがでしょうかという質問です。よろしくお願いします。

【安浦主査】  どうもありがとうございます。竹内先生、国際化についてはどのようにお考えでしょうか。

【竹内検討部会主査】  なかなかお答えするのが難しい問題というのが正直なところでございますけれども、知識がグローバルに流通される際の条件としては、単なる翻訳では機能しないということを、先生方に申し上げるのは釈迦に説法だろうと思います。先ほども御発言がございましたように、専門用語のコーパスのようなもので、マルチリンガルな専門用語のバックアップがないと、当然これはうまくいかないだろうということがあります。その辺りについては、図書館でそこまで突っ込んでやっているかというと、多分そうではないとお答えせざるを得ないと思います。ただ、以前から、日本語のコンテンツであっても、少なくともメタデータあるいは抄録についてはきちんと英語で公開をしていくことの重要性は言われておりまして、そういったことを機関リポジトリでも行っている大学は幾つもあるのではないかと思います。
 日本語で書かれている資料の国際流通性ということで言いますと、そういったことをやることによって、コンテンツの盗用を防ぐといったようなことでも非常に大きな意味があるのではないかと思います。そこは本当にお恥ずかしい話ではありますけれども、情報の発信が必要だと図書館が言ってきたところではありますが、そこまで留意してやってきたかというと、多分そこまでは言えないところかと思います。今回の審議まとめの中でも、オープン化の推進ということは言っておりますけども、国際的流通にかかる諸問題までは踏み込んではいないところかと思います。大変貴重な御意見と思いますので、今後、ロードマップというか、アクションプランをつくっていく中で、考えないといけないこと、留意すべきこととさせていただきたいと思います。どうもありがとうございます。

【川添委員】  ありがとうございました。一学会だけでもできない大きな話なので、いろいろな方々とぜひ連携していきたいなと思っています。よろしくお願いします。

【竹内検討部会主査】  ありがとうございました。

【安浦主査】  川添委員、竹内先生、どうもありがとうございました。
 それでは、予定の時間になりましたので、本日いただきました御意見は、文部科学省の今後の政策にも生かしていただきたいと思います。それから、各先生方それぞれ、また今後のいろいろな委員会あるいはプロジェクト等で活動される中で、今日の議論を少しお考えいただければよろしいかと思いますので、ぜひお願いしたいと思います。
 竹内先生におかれましては、昨年2月からの期間で精力的な検討に御尽力いただきまして、ありがとうございました。

【竹内検討部会主査】  どうもありがとうございました。

【安浦主査】  これで本日の議題は全て終了いたしました。委員の皆様におかれましては、2年間にわたりまして、第11期情報委員会の審議に御協力いただきまして、誠にありがとうございます。本日は全員御出席いただけたということで、最後に皆さんのお顔を拝見できてよかったと思っております。
 今期の情報委員会では、一昨年に策定されました第6期の科学技術・イノベーション基本計画を踏まえまして、情報分野をどのように振興していくべきかの振興方策を、研究開発と基盤整備の2つの側面から取りまとめました。また、学術情報の流通につきましても、委員からの御発表や学術出版社からのヒアリング、事務局で行った調査結果などを基に、多岐にわたる課題につきまして御議論をいただきました。
 そして、研究計画・評価分科会との関係でも、研究開発課題の評価や分野別研究開発プランの策定、プログラム評価の試行への対応など、いろいろ御協力いただきましたことを御礼申し上げます。委員の皆様方の御協力に改めて感謝を申し上げますとともに、文部科学省におかれましては、ぜひ当委員会での議論を今後の政策に生かしていただきたいと思っております。
 以上、私からこの委員会への御協力への御礼を申し上げさせていただきます。どうもありがとうございました。
 それでは、事務局、お願いいたします。

【佐々木参事官補佐】  ありがとうございます。それでは、事務局を代表いたしまして、局長の森より一言御挨拶させていただきます。森局長、よろしくお願いいたします。

【森研究振興局長】  研究振興局長をしております森でございます。本日は今期の情報委員会の最後の会合でございますので、事務局を代表いたしまして一言御礼を申し上げたいと思います。
 安浦主査をはじめ、委員の先生方におかれましては、大変お忙しい中、この委員会の審議に熱心に御参加をいただき、そして御議論いただきまして、誠にありがとうございます。今期の情報委員会では、先ほど主査の御挨拶にございましたように、第6期の科学技術・イノベーション基本計画を踏まえた情報分野の振興方策の取りまとめを中心といたしまして、研究開発と基盤の構築・運用の両面から、様々な観点から御審議いただきました。また、学術情報流通に係る課題についても御審議をいただいたところでございます。さらには、研究開発課題の評価等について、これは審議の回数で言いますと、15回にわたって開催をいただいて、たくさんの御負担をおかけしたのではないかと思っているところでございます。
 多岐にわたる課題を精力的に御審議いただいたことに改めて感謝を申し上げますとともに、文部科学省といたしましても、いただいた御意見、そして御審議等を踏まえまして、具体的な取組を進めていきたいと考えているところでございます。
 今期の情報委員会は本日で終了でございますけども、委員の先生方におかれましては、今後も様々な形で私どもに対しまして御意見、また御助言をいただければと考えているところでございますので、よろしく申し上げたいと思います。誠にありがとうございました。

【安浦主査】  森局長、どうもありがとうございました。
 それでは、これをもちまして、第30回の情報委員会を閉会とさせていただきたいと思います。御協力、どうもありがとうございました。
 
―― 了 ――
 

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