情報委員会(第23回) 議事録

1.日時

令和4年2月10日(木曜日)13時00分~15時00分

2.場所

オンライン会議

3.議題

  1. 令和4年度予算案について
  2. 「富岳」のシステム開発の事後評価について
  3. 情報分野の研究開発課題及び振興方策について
  4. その他

4.出席者

委員

安浦主査、相澤委員、井上委員、奥野委員、後藤吉正委員、佐古委員、田浦委員、瀧委員、塚本委員、長谷山委員、引原委員、深澤委員、星野委員、八木委員、若目田委員

文部科学省

池田研究振興局長、川口参事官(情報担当)、三宅学術基盤整備室長、宅間計算科学技術推進室長、黒橋科学官、竹房学術調査官、池内学術調査官

5.議事録

【安浦主査】  皆様、お忙しいところお集まりいただきましてありがとうございます。科学技術・学術審議会情報委員会の第23回の会合を開催したいと思います。
 本日も、コロナウイルス感染拡大防止のため、オンラインで開催することにいたしました。今回は、報道関係者も含めまして、傍聴者の方にもウェブ参加で傍聴いただいております。
 また、通信状況等に不具合が生じるなど続行ができなくなった場合には、委員会を中断する可能性もございますので、あらかじめ御了承ください。
 本日は、委員としては川添委員、小池委員、後藤厚宏委員、それから美濃委員の4名の委員から御欠席の御連絡をいただいております。ほかの委員の先生方は、既にウェブ会議に入っておられるということでございます。
 それでは、配付資料の確認とオンライン会議の注意事項の説明を、事務局からお願いします。
 
【上村専門官】  ありがとうございます。事務局の上村でございます。
 それでは、議事次第に基づきまして、まず配付資料の確認をさせていただければと存じます。
 今回、配付資料が非常に多くなっておりますが、まず資料1-1、こちらは令和4年度予算案の概要でございます。資料1-2は次世代計算基盤に係るシステム検討ワーキンググループの検討状況、それから資料2-1と2-2が議題2で御審議いただきます事後評価に関する資料で、この関連の資料が参考資料1となっているところでございます。
 それから、資料3-1、3-2、3-3、3-4が議題3で御審議いただきます関連の資料でございます。資料3-4に関連しまして、参考資料2として、9月9日付で情報委員会の皆様におまとめいただいた議論の中間まとめをお配りさせていただいています。
 それから参考資料3、4、5に関しましては、議題4のその他のところで少し御説明をさせていただければと考えている資料でございます。
 資料の御説明は以上でございます。既に皆様、ダウンロードいただけているのではないかと思いますが、もし現時点で何かお困り事とか不具合等がありましたら、おっしゃっていただければと思いますがいかがでしょうか。
 それでは、続きましてオンライン会議の注意事項を申し上げさせていただきたいと存じます。
 まず、通信安定のために、御発言いただく場合以外はミュート、マイクオフ、それからビデオオフにしていただけますでしょうか。主査の安浦先生は常時ミュートを解除したマイクオンの状態、それからビデオオンの状態にしていただければと存じます。
 御発言いただく場合には、「手を挙げる」ボタンで御連絡をお願いいたします。主査の安浦先生は、参加者一覧を見ていただきながら、手のアイコンで委員を御指名いただければと存じます。
 それから、議事録作成のために速記者を入れております。速記者のために、御発言いただくときにはお名前を言っていただいて、御発言をよろしくお願いできればと存じます。
 トラブル発生時、先ほどの資料の不具合等も含めてですけれども、何かトラブルがありましたら事務局にお電話をいただければと存じます。
 傍聴の方々はZoomで御参加いただいております。
 事務局からの説明は以上です。
 
【安浦主査】  ありがとうございました。
 それでは、議事に入ってまいります。本日は、報告案件として1件、令和4年度の予算案について。それから審議案件としましては2件、「富岳」のシステム開発の事後評価についてと、過去2回議論してまいりました情報分野の研究開発課題及び振興方策についてということで、議題を予定しております。
 それでは初めに、令和4年度の予算案につきまして、資料1-1及び1-2に基づきまして、事務局より報告をお願いします。
 
【神部参事官補佐】  参事官(情報担当)付補佐をしております神部と申します。令和4年度予算案の概要につきまして、説明をさせていただければと思います。
 資料1-1の2ページ目をお願いいたします。こちらは情報分野の全体像の資料です。情報分野は大きく、最先端の情報科学技術の研究開発、そしてデジタル基盤の構築・運用、こういった2つの柱で進めており、この下にございます赤の下線で引いております箇所がそれぞれ主な予算関連事業となっております。こちらにつきまして、それぞれ概要を用いて説明させていただければと思います。
 次のページをお願いします。まずデジタル基盤の構築に関してですが、令和4年度に新規で事業を立ち上げることになっておりまして、こちらが研究データエコシステム構築事業となっております。
 概算要求時にも本委員会にて皆様に様々な御意見を頂戴したところでございますが、今回、予算案としましては9.9億円を計上させていただいているところでございます。
 背景としましては、研究DXなどの推進によりまして、オープン・アンド・クローズ戦略に基づく研究データの管理・利活用を促進していくことといった政策ニーズがございます。
 そういった中で、中段でございますが、未解決の課題が幾つかございまして、こちらを解決していくために本事業を推進していくこととなっております。
 具体的な実施内容につきましては、下に2つの内容がございます。
 1つが、全国的研究データ基盤の構築・高度化・実装というものでございまして、こちらが未解決の課題の1つ目の丸、2つ目の丸に該当するものでございます。
 各分野におけるデータプラットフォームや、各機関におけるリポジトリ等の構築が進められておりますが、これらをつないで、分野・機関を超えてデータを共有・利活用していくといったことを、この全国的なデータ基盤で実装していくことを目指しております。
 また、実際に研究データを管理していくに当たっては、研究者に求められる責務、または負荷が様々ございます。そういった負担を、できる限り軽減していくような機能を、この事業の中で構築していきたいと考えております。
 2つ目の内容が、研究データ基盤の活用に係る環境整備となっておりまして、こちらが未解決の課題の3つ目の丸に該当するところでございます。
 研究データのルール・取扱い等に係る制度や、データサイエンスに不可欠なデータマネジメント人材の不足といった課題に対応していくための環境整備を行っていくことになります。
 実施体制につきましては、中核機関を中心としまして、共同実施機関が連携した形で進めることを想定しております。最終的には、この右側の下にありますように、全国的な研究データ基盤が様々な分野のデータプラットフォームと連携しまして、多様なデータの流通を促進していく。それらに対して、企業や研究者が外部からアクセスしていくといった環境をつくっていきたいと考えております。
 続きまして、次のページをお願いします。こちらは補足の内容でございます。先ほど説明しましたデータエコシステム構築事業につきましては、こちらのポンチ絵の真ん中にございますが、この資料につきましては、令和3年度にマテリアル分野をユースケースとしたデータプラットフォームの構築ということで補正予算をいただいた事業でございます。
 研究DXを進めていくに当たっては、マテリアル分野がユースケースとなりまして、ただいま先行的に進めております。その成果が、先ほど説明しましたデータエコシステム構築事業と連携していくことを想定しております。
 また、補正予算でSPring-8のデータセンターを整備させていただきました。SPring-8の大量のデータも、このデータエコシステム構築事業と連結することで様々なユーザーに利活用していただくことを目指していきたいと考えております。
 次のページをお願いいたします。続きまして、基盤の1つ、SINETでございますが、SINETにつきましては、令和4年度より、次世代学術研究プラットフォームとしまして、100Gbpsから400Gbps化するということで、今、作業を進めております。そのための運用経費を、フロンティアの予算の中で措置していただいているところでございます。具体の予算額については切出しができていないところでございますが、この右上の予算額の中の内数で措置されています。
 次のページをお願いいたします。続きまして、「富岳」とHPCIの運用でございます。「富岳」が令和3年3月から共用を開始し、引き続き、令和4年度も「富岳」及びHPCIの運用を進めていくといったことでございますが、1つ、令和4年度から大きく変わる点としましては、一番下の2-2というところにございます、次世代計算基盤に係る調査研究4.3億円を、今回新規で措置いただいているところでございます。
 次のページをお願いいたします。こちらは、次世代計算基盤検討部会におきまして中間取りまとめをしていただいた概要でございますが、ポスト「富岳」については、フラッグシップシステム及び国内の主要な計算基盤、データ基盤、ネットワークが一体的に運用されていくといったことを目指すことが定められております。
 一方で、これを進めていくに当たっては、事前に調査研究などを進めていくことによって、我が国で独自に開発すべき技術などを特定していくことが求められておりまして、そのための調査研究の経費を今回措置させていただいたところでございます。
 後ほど、さらに詳細につきまして説明がございますので、またお時間をいただければと思っております。
 次のページをお願いします。続きまして、先端科学技術の研究開発の内容でございますが、AIPプロジェクトでございます。
 AIPプロジェクトは、理研AIPセンターとJSTの戦略的創造研究推進事業の中の一部で研究開発を進めているものでございますが、令和4年度も引き続き研究開発を進めていくといったところでございます。
 補足としまして、令和3年度の補正予算でございますが、左下のところに理研AIPセンターの補正予算としまして、計算用サーバーのアップグレード及び各種ストレージの増強といった措置をさせていただいたところでございます。
 AIに関しては、政権としても非常に注目している分野でございまして、理研AIPセンターの研究開発をさらに加速していくために、この補正予算の措置をさせていただいたところでございます。
 次のページをお願いいたします。続きまして、Society 5.0実現化研究拠点支援事業でございます。こちらは2018年度からスタートしておりまして、令和4年度は5年目に当たる年になります。
 こちらについては引き続き、前年度同様約7億円の予算を措置させていただいているところでございます。
 令和4年度におきましては、ステージゲートの評価も行うことにしておりまして、引き続き、次年度以降につながるような検討を行って、実施していきたいと考えているところでございます。
 次のページをお願いいたします。続きまして、統計エキスパート人材育成プロジェクトでございます。こちらは令和3年度、前年度からスタートした事業でございますが、統計数理研究所が中心となりまして教員育成のプログラムを開発し、また、参画機関がそのプログラムを使いまして共同研究やファカルティ・ディベロップメントを通じて人材を育成していく事業になってございます。
 令和3年度におきましては第1期の研修を実施したところでございますが、令和4年度におきましても引き続き第1期の研修を実施していきたいと思っております。
 さらに、第1期の内容を踏まえまして、第2期に向けた改善を行うといった検討を行っていきたいと考えているところでございます。
 予算額としては、前年と同額を措置していただいているところでございます。
 次のページをお願いします。最後でございますが、こちらは当付の予算以外も含めた、文部科学省全体の研究DX推進の資料になってございます。先ほど説明しました事業ももちろん含まれておりますが、それ以外も含めまして全体で436億円を措置いただきまして、前年よりも30億円以上増えている状況でございます。
 さらに補正予算としましても113億円措置したところでございまして、文部科学省としても研究DXをしっかり推進していきたいと考えているところでございます。
 以上でございます。
 
【宅間計算科学技術推進室長】  計算科学技術推進室長の宅間でございます。私からは、次世代計算基盤の検討状況について御報告申し上げます。
 ただいま資料1-1に基づきまして御説明がございましたが、本情報委員会の下部組織であります次世代計算基盤検討部会におきまして、本年度夏にいただきました中間取りまとめを踏まえまして、来年度予算案に次世代計算基盤に係る調査研究に必要な経費を計上したところでございます。
 その具体的な調査研究で検討するべき内容や、調査研究の実施体制等につきまして、資料1-2にお示ししております有識者委員会を別途設置いたしまして、現在、御意見を頂戴しながら検討しているところでございます。
 現段階はまだ検討の途上でございますが、2ページ目にお示しいたしました論点に沿いまして、調査研究で検討するべき内容や、その方向性についての御議論をいただいているところでございます。
 今月末に、このワーキンググループとしては最終の会合を予定しておりますけれども、その後、この内容を我々のほうで公募要領等に反映いたしまして、来年度からこの調査研究を行っていくという段取りを予定しております。
 状況の御報告をさせていただきました。以上でございます。
 
【安浦主査】  ありがとうございました。それでは、ただいまの2つの御説明に対しまして、委員の先生方、御質問等がございましたらお願いしたいと思います。御質問のある先生は挙手ボタンでお知らせください。
 よろしいでしょうか。もう予算が発表されて大分時間がたっているから、先生方もかなり御理解いただけているのではないかと思います。
 塚本先生、どうぞ。
 
【塚本委員】  どうもありがとうございます。1つ質問がございます。資料1-2で御説明いただきました2ページ目で、次世代計算基盤に係るフィージビリティスタディの実施に向けた論点整理の1つ目の丸の3個目、「日本が独自に保有すべき技術と国際協調する技術の特定」に関する点です。ほかの項目も大事なのですが、こちらも大変重要だと思います。現在議論になっている経済安保の法制化とも関係しており、いろいろと複雑なのではないかと拝察いたしますが、経済安保法制との関係について、どのように整理されているのか、もしもお話しできることがございましたら、教えていただければと思います。よろしくお願いいたします。
 
【宅間計算科学技術推進室長】  ありがとうございます。御指摘いただきましたとおり、この独自に保有すべき技術・国際協調すべき技術の特定というところに関しては、経済安保との関係も非常に重要なことと認識しております。
 そういった観点も踏まえ、我が国で保有するべき技術、または国際協調するべき技術、日本の技術の強みも把握しながら、どこを開発していくか、どこの範囲までを開発していくかというところを、このFSの中で、具体的に検討していくことになると考えております。
 
【塚本委員】  どうもありがとうございます。
 
【安浦主査】  どうもありがとうございました。
 そのほか、御質問等ございますか。よろしいでしょうか。
 それでは、続きまして2番目の議題、「富岳」のシステム開発の事後評価についての審議に移りたいと思います。
 事業評価の審議に当たりましては、令和3年度情報科学技術分野における研究評価計画に基づきまして、利害関係者につきましては審議に参加しないということになっております。
 本日御出席の委員のうち、当方で把握しております利害関係者はいらっしゃいませんけれども、利害関係者に当たると自ら判断される委員の方がいらっしゃいましたら、今ここで手を挙げていただければと思います。
 よろしいでしょうか。では、特に利害関係者はいらっしゃらないということで、事務局から、資料2-1、2-2に基づいて説明をお願いしたいと思います。
 
【宅間計算科学技術推進室長】  それでは、引き続きまして計算科学技術推進室長、宅間でございます。
 資料2-1の3ページ目を御覧いただきまして、本日お諮りいたしますのはこちらの政策マップの下の緑で囲った部分にございますが、「富岳」のシステム開発になります。
 「富岳」は平成26年度から開発を開始いたしまして、昨年度、開発・製造を完了いたしまして本格共用に至っておりますので、このタイミングでシステム開発についての事後評価を行っていただくものでございます。
 留意点といたしましては、「富岳」の運用は始まったところであり、これからでございますので、そちらの部分の評価は今回の対象ではございません。
 それでは、資料2-2を御覧いただきまして、こちらで御説明を申し上げたいと思います。
 まず、こちらの事後評価結果案につきましては、3ページ目にございますが、文部科学省の局長諮問委員会として設置しているHPCI計画推進委員会においてあらかじめ御審議をいただいた内容でもございます。
 4ページ目でございますが、1.背景等は先ほど御説明したとおりですので割愛いたしまして、2.のところにございますように、「富岳」のシステム開発につきましては、平成25年に事前評価、平成30年に中間評価を実施しております。
 その際の評価は(3)のとおりでございますが、例えばSociety 5.0実現の観点でありますとか、国際的優位性維持の観点、また成果普及の観点、技術・人材の維持、成果創出の観点から必要性・有効性・効率性について、当時「適当」と評価されて製造等に至ったところでございます。
 予算につきましては、次のページ(4)のとおりでございます。
 6ページ目から事後評価票になっておりますが、6ページ目につきましては割愛いたしまして、7ページ目、施策の概要でございます。
 中間評価以降ですが、令和元年に理研の神戸計算科学研究センターに筐体が搬入開始されまして、昨年度、3月9日に本格共用を開始いたしました。現在に至るまでの間、スパコンランキングは、御存じのとおりですが4部門で1位を維持してきたところでございます。
 また、「富岳」は「京」の最大100倍のアプリ実行性能、及び省電力性を開発目標といたしました。また、命令セットには広く使われているArmアーキテクチャの採用ですとか、OSにLinux、またソフトウェアの管理システムSpackの採用、また半精度計算の対応等によりまして、汎用性の高いシステムを実現し、AI・ビッグデータ解析に用いることのできるSociety 5.0に必要な基盤としての性能も具備するものでございます。
 7ページの下のところから、各3つの観点で評価をしていただいておりますが、必要性の観点につきましては、8ページ目にありますように、「富岳」により独創性・優位性の高い成果が期待できるかなどの観点から評価をいただいております。
 この評価をするに当たりましては、事前・中間評価で評価をした観点に加えまして、中間評価以降に生じた状況変化といたしまして、例えば新型コロナウイルス感染症の世界的な流行ですとか、自然災害の甚大化による被害が相次いだことなどがございました。これらに対する研究開発を進める必要性がこれまで以上に増大しているといたしまして、そうした研究に対応することの社会的・経済的意義についても評価に加えて事後評価を行ったところでございます。
 9ページ目以降が事後評価の具体的な内容に入ってまいりますが、まず、開発目標どおりの性能を、具体的にはあらかじめターゲットアプリを定めてコデザインによって開発をしてまいりましたが、それぞれの目標性能を達成し、これにより幅広い分野での卓越した研究成果が期待できるというようなこと。また10ページに入ってまいりますが、「富岳」の開発を通じまして、半導体設計技術ですとかアプリ開発技術等の技術、また、これに関わる人材が維持・育成されたこと。それから、新型コロナウイルス感染症や気象災害等に関する研究成果を本格共用前から上げてきたこと等によりまして、必要性の評価項目を十分に満たし、必要性が高いと評価いただいたという内容でまとめております。
 続きまして有効性の観点ですが、こちらについては成果の創出、特にSociety 5.0において重要となるようなAI・ビッグデータにおいても高い性能を有するか、また、戦略的な利活用促進や成果の発信に努めたかなどの観点で評価をいただいております。
 11ページ目以降、事後評価の内容に入ってまいりますが、ターゲットアプリの目標性能を達成したことや、目標を超える省電力性を達成していること。また、Armの採用ですとか半精度計算への対応等により、AI・ビッグデータ等にも活用できるCPUを開発したこと。また、新型コロナウイルス感染症の拡大で各国スパコンの開発の遅れが生じましたけれども、「富岳」に関しては目標どおりに開発を完了し、国際優位性を確保したこと。また、クラウド的な利用等、戦略的な利活用の検討を行っていること。既に新型コロナウイルス感染症、気象災害、先ほど申し上げたような成果が出され、ゴードン・ベル賞ファイナリストであるとか、COVID-19研究特別賞を受賞した成果などが出されていること。
 また運用の面では、Society 5.0利用推進枠というものを設けまして、そうしたものに資する研究を優先的に進めていくという制度を設けておりますが、そうしたことから有効性も高いと評価をいただいたという内容にしております。
 その下、効率性でございますが、これにつきましては計画や体制の妥当性等の観点で評価をいただいております。
 具体的には14ページ目以降、事後評価の内容に入ってまいりますが、各開発に関する関係主体におきまして、緊密な連携や外部有識者による評価などにより、適切にPDCAサイクルを実施したということでありますとか、また、半導体不足の状況も世界的にございましたけれども、調達面での工夫等により予定どおりの調達を実施したこと。また、CPUの省電力性能についても、様々なレベルの工夫により高い省電力性を達成したこと。また、「京」で培ってきた体制・知見を活用し、効率的に開発を実施したこと。また、コロナ下においてもスケジュールどおり、かつ予定どおりの開発予算で開発を完了したということから、効率等も高いと評価いただいたという内容でまとめております。
 次の項目は科学技術基本計画等への貢献状況ですが、特にSociety 5.0の実現に向けまして必要な性能を備えるとともに、Society 5.0利用推進枠の運用等、Society 5.0の実現や科学技術の発展に果たす役割は大きいとさせていただきました。
 15ページから総合評価が始まっておりますが、こちらにつきましては今申し上げたことの総括ですのでほぼ省略をいたしますが、16ページ目の下から3のパラグラフにおきまして、「富岳」開発を通じて得られた技術・人材が経済安全保障の観点からも重要であるということを、先ほどの御質問もございましたが、そうした御指摘もいただいたところでございます。
 その次が今後の展望となっておりますが、HPCIの裾野拡大や人材育成の検討の必要性や、成果創出のための「富岳」利用環境の向上。また、Society 5.0に向けたユーザーの利用支援や成果の積極的広報。また、「富岳」の成果が我が国全体の計算基盤に対して様々な形で還元されるとともに、基盤センター等の知見が「富岳」運用に活用されること等につきましての期待をいただきまして、最後に、次世代計算基盤の検討について、「富岳」を活用した新計算原理の研究等にも生かされることについても、今後への期待ということで言及をいただいたところでございます。
 事後評価結果案の内容につきまして、説明は以上でございます。
 
【安浦主査】  ありがとうございました。それでは、審議に移りたいと思います。ただいま説明のありました事後評価結果案につきまして、御質問、御意見等を伺いたいと思います。
 この委員会で最終的にこれを認めて、科学技術・学術審議会研究計画・評価分科会に上げることになりますので、よろしくお願いいたします。
 瀧先生、どうぞ。
 
【瀧委員】  瀧でございます。システム面での評価ということなので、「京」のときにもありましたけれども、これだけCPUの数が増えてきてメモリの量も多いので、故障も時々起きるはずです。
 その時のメンテナンス性が非常にいいということが「京」のときに報告されておりましたので、その辺についての何か言及はされないのでしょうか。
 
【宅間計算科学技術推進室長】  メンテナンス性については、これからの運用の中で評価されていくところになるため、この事後評価票において直接的に評価した部分はないかと思います。
 ただ、「京」のときに培った技術を今回も継承したという点で、そういったところについても「富岳」にも受け継がれているというように広くは読めるかと思います。
 
【瀧委員】  はい。また、9ページの重点1から重点9、アプリケーション名が書いてあるのですが、これが5領域9分野の何に対応しているかというのを、アプリケーションの後に小さく記述しておいたほうがいいように思うのですが、どうでしょうか。
 
【宅間計算科学技術推進室長】  そうですね。その辺りを少し省略してしまっておりますので、御指摘を踏まえて、修正できると思います。
 
【瀧委員】  以上です。
 
【安浦主査】  瀧先生、貴重な御意見ありがとうございます。最初のメンテナンス性の問題につきましては、また2年後ぐらいにこの委員会にかかってきます運用に関する中間評価で成果を見て、設計のときから考えていたものがしっかりと生かされていたかどうかという評価をしていくということかと思います。これは開発に対する事後評価でございますので、この委員会としては、メンテナンス性が本当によくなっているかどうかをまだ検証したわけではないという立場で、この事後評価票は書かれていると判断しております。
 
【瀧委員】  分かりました。
 
【安浦主査】  それから、2番目の件は非常に大事なことです。他分野の方が見ても、名前だけ見ても何の分野のアプリなのかが分かりませんので、この資料のどこかに、それぞれのアプリの簡単な説明をきちんとつけていただくようにお願いしたいと思います。瀧先生、どうもありがとうございました。
 田浦先生、この委員会にも参加されていましたけど、何か付け加えることはございますか。
 
【田浦委員】  いえ特段。大丈夫です。
 
【安浦主査】  はい、ありがとうございます。
 ほかに何か御質問、御意見ございますか。
 それでは、ないようですので、ただいま瀧先生からいただきました御意見等を踏まえ、一部、事務局で修正させていただいて、本委員会で承認したという形にさせていただきたいと思います。
 修正後の扱いにつきましては、主査預かりとして御一任いただきたいと思いますけども、よろしゅうございますでしょうか。
 特に御異論ないようですので、そのように進めさせていただきます。
 それでは、どうもありがとうございました。では修正の作業をよろしくお願いいたします。
 
【宅間計算科学技術推進室長】  はい、承知いたしました。
 
【安浦主査】  それでは、情報分野の研究開発課題及び振興方策についての審議に移りたいと思います。
 本日は、前回及び前々回の委員会でいろいろ御意見をいただきました、我が国として今後重点的に推進すべき情報分野の研究開発課題について御議論いただきますとともに、今年度の前期におまとめいただきました研究DXの推進方策の中間まとめと併せて、今年度のまとめとして、情報分野の振興方策の取りまとめとしていきたいと考えております。
 まず、審議に先立ちまして、先日1月26日に行われました第79回科学技術・学術審議会研究計画・評価分科会におきまして、私から、研究DXの推進について少しお時間をいただいて説明をさせていただきましたので、その内容と、研究計画・評価分科会の委員からのコメントにつきまして、資料3-1及び3-2に基づきまして、事務局から御紹介させていただきたいと思います。
 ではお願いします。
 
【上村専門官】  安浦先生、ありがとうございます。事務局の上村でございます。
 では、事務局から御説明をさせていただきたいと思います。資料3-1で御紹介をさせていただきたいと思います。
 今、安浦先生から御説明がありましたように、科学技術・学術審議会研究計画・評価分科会で、安浦主査に御説明いただいた内容でございます。
 研究計画・評価分科会は、この下に分野別委員会を持っており、その分野別委員会の主査等がお集まりいただいている場でもございます。そういったところで、安浦主査からDXの推進についてお話をいただきました。
 では、一枚おめくりいただいて、次の資料を見ていただければと思います。
 まず、この研究DX、研究のデジタルトランスフォーメーションの考え方を最初に御紹介いただいております。研究の在り方そのものに大きな変革期を迎えているという状況でございますので、デジタル技術×研究データにより、価値創造を行っていくものを研究DXというように、最初に御説明いただいております。
 また次をおめくりいただき、この研究DXに関してのアプローチとして、研究データの共有・利活用の推進、それから研究データ基盤の整備、この2つの観点で御説明をいただいております。
 次のページを御覧いただきますと、こちらはNISTEPの調査結果でございますが、研究データの公開に対してポジティブな影響について、直接研究者が回答したものをお示ししております。
 回答いただいた中で、研究データの公開でよい結果が得られたという回答が22.9%ありました。円グラフのオレンジのところです。水色のところは、記述はあったのですが、よい影響があったかは特になしとなっていますので、この数字を見比べてみますと、やはり記述があった方々にとっては、データ公開により、よい結果があったという感想が得られたことを示すものでございます。円グラフの横に、その詳細が記載されています。
 こういった御紹介をいただいて、その次のスライドになりますが、科学技術・イノベーション基本計画でも、右下にありますけども、「新たな研究システムの構築(オープンサイエンスとデータ駆動型研究等の推進)」に位置づけられていることも御紹介いただいております。
 続きまして、次のスライドでは、各国の取組状況を御紹介いただいたものでございます。
 続きまして、その次のスライドですけども、これらをまとめていきますと、これから取り組むべきこととしまして、研究データは戦略的な資源であることから、学術界全体で研究データの共有を促進して、データ駆動型研究を推進していく流れを創成することが大事ですということや、これを通して学術界全体で研究プロセスの変革を早期に引き起こしていくところの重要性をお話しいただいております。
 次のスライドにおいて、ユースケースとして、マテリアル分野のお話を少し御紹介いただいております。
 少し資料をスキップさせていただき、9ページ目を御覧いただきますと、研究データ基盤の整備に関してでございますが、こちらは情報委員会でもこれまで幾つか御議論いただいている内容も含んでいるところでございます。
 次のスライドに関しましては、先ほども御説明いたしましたけれども、情報分野の全体像をお話しいただいて、その後、研究データ基盤のお話を幾つかいただいているところです。
 13ページ目を御覧いただきますと、戦略的な研究データの管理・利活用のための研究データ基盤の高度化というところも御紹介いただいております。
 その次がまとめでございます。1つ目は、研究DXの核となる研究データの共有・利活用に関して、国内外で非常に関心が高まっている状況を御説明いただきました。2つ目では、これを契機として、研究データを戦略的資源と捉えることをお伝えいただいております。さらに、研究DXへのアプローチ、これを情報委員会と他の分野別委員会の皆様とで連携して検討していきたいとお話をいただきました。以上が研究計画・評価分科会で安浦先生から御説明いただいた内容でございます。
 それを受けまして、資料3-2になりますが、こちらが、研究計画・評価分科会の中で委員の皆様からいただいた御意見の概要でございます。
 例えば、一番上にありますように、分野によりましては、データ共有の重要性が認識されているにも関わらず、データ共有がずっと進んでいないとおっしゃられている分野もあります。
 一方で、分野によりましては、個人情報保護法、それから倫理指針等といったものに関わる機微な情報があるということも踏まえて、すぐに共有・利活用というところまでは困難であるとおっしゃられていた先生もいらっしゃいました。
 こういった幾つかの御意見をいただきながら、今後は、この情報委員会と分野別委員会とで個別に連携の方法を議論していくことになっていくのではないかというところでございます。
 事務局からの説明は以上でございます。
 
【安浦主査】  ありがとうございました。10分程お時間をいただきまして、それぞれの分野別委員会の主査を中心に御出席されていたわけでございますけども、全体的にデータ駆動型の研究への移行の重要性は、皆様、どの分野も認めておられました。また、それを支えるための基盤、情報基盤もそうですし、ここの御意見の最初にありますように、そういう仕事をする人をしっかりと育ててインセンティブを与えていくという問題点もありますよと、というように、私の受けた印象では御出席の全ての分野が、このような基盤をつくることに期待を持っておられるように受け取られました。
 ただ、2番目のポイントにございますように、これは医学系など非常に機微なデータもありますので、そういったところに対してセキュリティの確保、しかも3番目のポイントなどではそれを特別なお金を払わずにできるようにしてほしいという厳しい注文をいただいております。
 そのような意味で期待感は非常に大きい一方で、そのために研究者に新たな仕事が増えないように、情報技術がしっかりそれを支えてほしいという期待感にあふれた時間だったのではなかったかと感じております。
 今の説明につきまして御質問等がございましたら、どうぞ御自由にお願いします。
 佐古先生、どうぞ。
 
【佐古委員】  ありがとうございます。まさしくデータ公開によっていろいろなメリットもあるかと思っております。
 最初の資料の3ページ目において、22.9%にとってよい結果があったという貴重なアンケートを取っていただいた結果があるかと思います。よい評価にならなかったコメントとしては、特になしという御紹介がありましたけれども、それ以外に、もしも貴重な意見がありましたら教えていただきたいと思います。多分、個人情報保護の話もあったのではないかと思っております。
 
【安浦主査】  上村専門官、いかがでしょうか。
 
【上村専門官】  事務局、上村でございます。御質問いただきありがとうございます。
 こちらは、調査結果の中で、確かによい結果の詳細としてこのような形でお示ししているところでして、ただ、この水色のところが、特になしという状況ではございますので、そこは明確な御意見として捉え切れていないと私どもとしては認識していたところです。
 もし、池内学術調査官から何か補足等いただけるようであれば、お話しいただければと思います。何か補足もしくは修正等はございますでしょうか。
 
【池内学術調査官】  ありがとうございます。池内と申します。こちらの調査を実施させていただきました。
 こちらではポジティブな影響についてお伺いしているところですが、一方で、何か問題があった場合にも差し支えない範囲でお書きくださいということで、実際に何が起きたのかということをお尋ねしております。
 ここを聞いた理由といたしましては、研究データ公開に関していろいろと理念としてはよいことと言われているのですが、実際に、では日本の研究者にどんなことが起きているのかということを聞きたかったということがあります。
 御質問にあったように、やはり心配をする、データを公開すると盗用されてしまうのではないかとか、出し抜かれてしまうのではないかということが非常に大きなバリアになっているということがありまして、では実際に悪いことがあったのかどうかということも聞いております。これに関しては、回答者のうち5.8%の方が、実際に公開をしたら問題がありましたと答えられています。
 その内容を見ますと、データを公開したことによって問合せに回答しなければならなかったという手間がかかるということや、公開したものが間違って解釈されたとか、引用されずに利用されてしまったということが、僅かではありますが何件かはございました。
 ただ、私としては、大勢の方が公開されて――567名の方が公開されている中で、実際にそういう問題が起きた方というのはごく僅かであったというふうにも解釈できるかと思っております。
 以上です。
 
【安浦主査】  どうも、詳しい御説明ありがとうございました。
 佐古委員、よろしいでしょうか。
 
【佐古委員】  ありがとうございます。僅かな声かもしれませんけれども、これから皆さんに安心して使っていただくためには、そういうところのケアも考えていけたらいいのではないかと思っております。ありがとうございました。
 
【池内学術調査官】  ありがとうございました。
 
【安浦主査】  御質問ありがとうございます。
 それでは、八木先生、どうぞ。
 
【八木委員】  3つございます。1つ目は、非常にいい言葉として「戦略的資源」ということが書かれているかと思います。データというのはやはり資源であり、知的財産である。その知的財産という観点が、やはりもっときっちりと伝わるほうがいいのではないかと思います。
 そうなることによって、データの共有がより進むと思います。単純に共有というと、人によっては無料で何でももらえるというようなことを思う人もいるのですが、そのデータをしっかりと使える形にして社会の中へ出すというのは、データをつくった人がきっちりと責任を持ってやっているわけなので、その価値が社会の中で共有されて、その意識が共有されて発展していくと、よりデータ駆動型の社会が発展するだろうと思います。
 それから2つ目は、パーソナルデータの観点でいうと、個人情報保護法も重要ですけど、法律は個人の立場、消費者側の立場の世界とは少し違う世界感がある部分があると思います。やはり、常に言われるのが社会受容性の問題なので、その点を意識したデータの流通を考えていかないといけないのだろうといつも思っています。それがうまく進めば、医療データにしても何にしても、社会の中で、より使われるようになるだろうと思います。
 今も私達は、特に高齢の方に、被験者として来ていただくのですけど、私が死んでからでも、幾らでも好きに使ってくれていいよ、未来のために研究してくれるならいいよという具合に言ってくださるのですけども、そういうことがしっかりと整理されて使いやすくなったら、よりよい社会ができるだろうと思っています。
 それから、データ活用で悪い例というのもたまにあります。私達の研究では、ある真っ当な雑誌に論文を投稿すると、採択前にレビュワーから「検証したいからソースプログラムとデータを全部渡してほしい」と言ってくるのです。普通はそんなことあり得ないのですけど、そのようなことを言ってくるレビュワーもいるというのが、恐ろしい時代かと思います。
 実際にできたものが、GitHub等にプログラムを置くような文化ができてきていますけども、そこはやはり我々としても、データを扱っていく社会の中で、研究者のモラルをきっちりとつくり上げていくことも、併せてしていかないといけないのではないかと思います。
 以上です。
 
【安浦主査】  八木先生、どうも貴重な御意見ありがとうございます。戦略資源としての取扱いについては、研究計画・評価分科会でも、データを準備する人に対するインセンティブをどうつくるかという問題は非常に重要であるという御意見も出ておりました。この辺は、この委員会でも今後いろいろ議論していく必要があるかと思います。
 それから、個人情報保護法を中心とした法制度の問題につきましても、今日この後の資料3-4にも少しは触れておりますけども、社会制度との関係も非常に重要なポイントだと思います。
 そして最後のモラルの問題、これはやはり国際的なアカデミアの社会全体でしっかりしたものをつくっていく必要があると思います。そういうところに対して、日本として、それぞれの分野で発言をしていくことが非常に重要ではないかと、個人的には思っております。どうも貴重な御意見ありがとうございました。
 それでは、引原先生、お願いします。
 
【引原委員】  ありがとうございます。今、八木先生もお話しになっておられたのですけど、データに関して、やはり今は論文とコードとデータがセットになったものをオープン化するようにという要求が出てきていると思うのですが、先ほどの22.9%のオープンにされたというのは一体どういう形だったのかというフォローが必要ではないかと気になっています。
 さらに、オープンにした場所ですが、出版社のサイトなのかローカルサーバーなのか、あるいはリポジトリなのかによって、影響も大分違ってくると思います。そういうところの分析がもう少しあるのかどうかをお尋ねしたのですけど、いかがでしょうか。
 
【安浦主査】  池内先生、いかがでしょうか。
 
【池内学術調査官】  はい、度々失礼いたします。まず公開先ということですが、お尋ねのとおり、論文の補足資料として公開したというのが一番多くなっております。
 前提としては、分野のリポジトリですとか大学の機関リポジトリなどに公開することをぱっと想定されるかとは思うのですが、今のところ一番多いのは、雑誌の付録的な補足資料として公開しているものが多くなっております。
 
【引原委員】  ありがとうございます。それに加えてお尋ねして申し訳ないのですけれども、その時に、補足資料であるということは論文の補足であって、それからさらに次の研究を出すようなものではないという意味でよろしいですか。
 
【池内学術調査官】  そうですね、補足資料につきましては、先生方よく御存じのようにいろいろありまして、データそのものを公開している場合には二次利用も簡単にできるかと思うのですが、集計したものがPDFで載っている場合には、その数字をまた改めて拾って再分析という感じで、すぐに加工して使えるようなものではないというのが、論文の補足資料の問題として指摘できるかと思います。
 パーセンテージで申し上げますと、論文の補足資料と答えた方が59.4%、複数回答になりますが、学術機関のリポジトリは57.6%ということで、近い数字ではあるのですが、今のところは入手先としても公開先としても、補足資料が最も多くなっております。
 
【引原委員】  ありがとうございます。今のデータの上で、一言コメントだけさせていただきたいのですけども、戦略的にデータを扱う場合に、どこに日本としてそのサイトを確保していくかというのが重要だと思うのですが、リポジトリというのはやはり見えるようで見えないという部分がありますので、リンクサイト等を、NIIが開発されているGakuNinRDMとかできちんと管理されるということが重要ではないかと思います。
 まだそこまで研究者の方が理解されていないことが多いので、それを含めて、どういうことをやっていくべきかということ、また、研究者になったときに知るような形にしていかないといけないと思いました。
 以上でございます。
 
【池内学術調査官】  すみません、もう一言だけ付け加えさせていただきますと、第3位の公開先は個人とか研究室のウェブサイトとなっておりまして、この場合はやはり、二次データベースから引っかかってくるような感じではありませんので、埋もれてしまうのではないかと考えられます。
 以上です。
 
【引原委員】  その場合は継続性という意味で非常に問題があって、先生が異動されたり、あるいは退職されたりしたときにそのデータが失われてしまうということが、今一番問題になっていると思いますので、そこは喫緊の課題だろうと思っております。ありがとうございました。
 
【池内学術調査官】  ありがとうございました。
 
【安浦主査】  池内先生、ありがとうございます。引原先生、どうも貴重な御意見ありがとうございます。この辺は今後も、来年度にかけて、データ基盤を整備していく議論をこの委員会でもやっていくことになると思いますので、ぜひ、いろいろな御意見、お知恵を出していただければと思います。よろしくお願いいたします。
 それでは、あと後藤委員と若目田委員が手を挙げられていますので、御発言をお願いします。後藤委員からお願いします。
 
【後藤吉正委員】  後藤でございます。今回この研究DXについて審議会で御報告いただいたり、今日のお題に取り上げていただいたり、非常に大事なことだと思います。本当にありがとうございます。我々が関心を持って進めないといけない大きな流れだと思います。
 これに関して、今いろいろな御意見が出されている研究データ公開は非常に大事だと思いますが、これと表裏一体だと思いますけれども、まさに、既にこの発表の中でも取り上げられているような、研究の進め方、研究のシステムそのものも、大きく変わりつつあのではないかと思います。
 例えば研究のデータを分析するためのツールの開発を一緒にしないと、研究は進みません。ですから研究そのものとツールの開発が一体になっていて、ツールの開発となると、いわゆる研究とは少し違ったエンジニアリングのような取組となり、エンジニアリングと研究を一体に進めないといけないというようなことがあるのではないかと思います。そういうような研究の進め方、研究のシステムの進化についてもいろいろと掘り下げて、あるいはそれに基づいてサポートしていただくということが大事ではないかと思います。
 それからもう1つ御発言したいのは、研究DXのプラットフォームづくりとしてマテリアルの例を挙げていただいていて、これは非常に大事だと思うのですが、マテリアル分野以外でもこういった研究DXのプラットフォームづくりが大事な分野があるのではないかと思います。
 既に御発表の中でも言及されていますが、ライフサイエンスで使うゲノム関係もそういうものに該当するのではないかと思います。そういった分野でのサポートや振興についても、これから深めていっていただければと思います。
 以上でございます。ありがとうございました。
 
【安浦主査】  どうもありがとうございます。今、御発言いただいた点は、今後のこの委員会のテーマにも絡んでくると思いますので、今後ともよろしくお願いいたします。
 マテリアルはたまたま、先ほどの来年度予算の話とも絡んでいたので例に挙げただけでございますので、生命科学は生命科学でしっかりやられておられますし、ほかの分野、人文・社会系も含めていろいろな検討は進められていると認識しております。ありがとうございました。
 それでは、若目田委員、お願いします。
 
【若目田委員】  私から幾つかコメントさせていただきたいと思います。本日お話を伺って、研究データの公開や共有の課題は、民間の企業間のデータの共有の課題や、自治体や行政のデータの公開の課題と全く同じではないかと感じています。
 例えば、データ公開に関する研究者の負荷が問題となっている点ですが、これは民間事業者や自治体にとっても事情は同じです。
 これは、メタデータやデータのフォーマットだけでなく、データの公開や流通における種々の事務手続、活用しやすいフォーマットへの変換やデータクレンジングなどの整備作業、データ利用者との契約や利用条件の交渉などの関連作業の負荷や、それを誰がやるのかという課題は学術データに限らない共通の課題だと思います。ですので、民間や行政のデータの公開や流通の課題や、それらへの対策がどのように検討されているかなどをよく連携して進めるべきです。
 また、研究の成果や論文の公開というデータのカテゴリーと、画像やセンサーデータ、取引履歴といった、いわゆるAIの学習データやビッグデータとは、恐らく多少論点が違うのではないかと感じます。産業界との連携という点でも、特に後者は今後より重要性が高まると思います。
 ですので、履歴データや大量画像のように、今後の研究に必要なデータを誰が整備していくべきかという論点では、研究者が個々に都度データを集めるという合理性のなさに対し、組織化、共通化の取組はとても重要だと思います。また、先ほど八木先生からもありましたように、今後はプライバシーなど消費者受容性の拡大を目指し、データのガバナンスやプライバシーガバナンスの在り方についても検討すべき要素と感じます。
 それともう1つは、グローバルな観点もあろうと思います。研究データのグローバル共有という点では、個人情報に関するEUとの十分性認定が重要な課題となっておりますし、最近ですと経済安全保障や、各国のデータのローカライゼーションの課題があります。グローバル規模でIoTによる観測データを収集する越境課題は民間でも非常に重要な課題となっており、DFFTの具体化によってこの課題を紐解くべく経済産業省などで検討が進められている状況です。同じくグローバル規模で研究データを越境し共有、流通する際の課題や対応方法の検討もアジェンダに入れるべきかと感じました。
 以上でございます。
 
【安浦主査】  どうもありがとうございます。いずれも非常に重要な問題で、単に研究データだけの問題ではなくて、いわゆる社会的なデータも含めて、今後、国全体で考えていく事項は多いと思います。
 これはデジタル庁などの仕事とも重なってくると思いますので、情報委員会としてはあくまでも学術研究データの問題として捉えながらも、今御指摘のあった点との関係性も常に意識しながら、必要であればこちらから、社会全体のデータの取扱いに対して発信をしていく必要もあるのではないかと思いました。どうも、貴重な御意見ありがとうございました。
 それでは、本件はこういう発表をしたという前提の下で、今度は、情報分野オリジナルの研究開発課題についての議論に移りたいと思います。
 資料3-3が前回、前々回議論してきたもので、資料3-4は今お話ししたデータ基盤の話と資料3-3の話を併せて、本委員会の今年度の全体の取りまとめということでまとめたものでございます。
 事務局から御説明をお願いしたいと思います。
 
【佐々木専門職】  事務局の佐々木でございます。
 それでは、情報分野の研究開発課題についてと、情報分野の振興方策につきまして、併せて御説明させていただきます。
 まず、資料3-3の情報分野の研究開発課題についてでございますが、一枚おめくりいただきまして、スライド1が前回、第22回の情報委員会で御提示させていただいた研究開発課題案でございます。こちらに対して、前回の委員会において、委員の皆様から資料も御用意いただきまして様々な御意見をいただいております。その場でいただいた御意見はこの後、スライド2、3で御紹介させていただきますけれども、そういったものも踏まえまして、これらの12個のものを拡充したり、あるいはもともと関連が深いと思われるものが幾つかございましたので、そういったものも整理・統合したりいたしまして、最終的に3つほどの研究開発課題案に集約したというところが、今回お示しさせていただいているものでございます。この後、御紹介させていただきたいと思います。
 一枚おめくりいただきましてスライドの3でございますが、こちらで皆様の御意見を簡単にまとめさせていただいております。
 幾つか御紹介させていただきますと、例えば日本の情報という視点が重要という御意見であるとか、先ほども御発言がありましたけれども、DFFTという観点が重要、あるいは経済安全保障の観点が重要。また、情報技術の負の側面の解決を事前にデザインしていくことが必要であると。また、新しい目的関数を置くことで生まれる新しい価値観に向き合う研究開発が重要であるという御意見もいただいております。
 そのほかにも、人間の認知・心理であるとか、心理学的な要素を入れた、心理面も重視した研究が必要であるという御意見もいただいております。
 それに加えまして、先ほども若目田委員から御発言がありましたが、グローバルな社会経済活動とデジタル技術の関係を分析・予測する研究開発が重要であるというような御意見もいただいておりましたし、社会との相互作用が大きな課題については、社会との関係性、倫理や法規制の問題にも配慮することが重要であるというような御意見もいただいております。
 後藤吉正委員の御意見につきまして、前回の委員会の場の後にメールでいただいたところがありますので、簡単に御紹介させていただきますと、下2つがいただいたものなのですが、例えばロボットについては、一般的に想像されるものだけでなく、自動運転車もその対象として考えるべきではないかという御意見ですとか、その次の太字のところでございますが、既存の大規模データは関心が高まっているというようなところもありますので、そういったものについて社会・経済的分析も含めて人文・社会科学的側面の研究を複合して進めることが望ましいといった御意見をいただいおります。
 続きまして、人の認識・認知に関する研究を深めることが重要ですとか、その研究が進むと、その成果を悪用される可能性もありますので、そういったことも踏まえて研究を進めることが重要という御意見もいただいております。
 また、データの提供者側だけではなくて、データの利用者、データを受け取る側の観点での検討も必要であるという御意見をいただいているところでございます。
 一番下の田浦委員の御意見でございますが、地球環境と情報、環境問題の解決に向けてシミュレーションを行う、あるいはデータを集めてくるような基盤というのも重要であるという御意見ですとか、データの流通についても、個人レベルだけではなくて企業レベルの管理、コントロールもできるような基盤が必要であるという御意見もいただいているところでございます。
 おめくりいただきまして次のスライド4でございますが、こちらも負の側面と言えますが、SNSが児童や生徒に及ぼす悪影響の解決にも力を入れてほしいという御意見をいただいております。
 また、塚本委員からの御意見ですが、メタバースが最近非常に発展して、注目を集めていることも踏まえまして、そのルールも含めて、人間とロボット、アバターの共生社会を目指して研究を進めてはどうかという御意見もいただいております。
 また、AIの社会実装を進めるための研究活動ですとか、複数のユーザーが関わる判断・意思決定を支援するAIの技術養成についても必要であるという御意見をいただいております。
 また、サイバーとフィジカルのインターフェースのところが非常に弱いというような御意見をいただいておりまして、そこについて、安定性だけではなくて安全性についても考えることが必要であるという御意見をいただいているところでございます。
 次は深澤委員の御意見でございましたが、人間の脳科学的な振る舞いに注目することが重要だという御意見ですとか、その次でございますが、人間の行動変容に関する研究も重要であるという御意見もいただいております。
 続きまして、その下に移らせていただきますけども、先ほど相澤委員の御意見として御紹介させていただいたものと関連しますが、日本語の言語処理モデルについても日本が中心になって取り組むべきであるとか、脳について、脳科学と情報科学が共同で研究することが重要であるという御意見もいただいております。
 美濃委員の御意見につきまして、一番下のポツにつきましては、委員会の後にメールでいただいたものでございますが、人間が成長していく過程で、一生の中で常に情報と向き合っていくといいますか、情報を受け取るような存在でございますので、どうやって人間が学習をしていくかというメカニズムを研究することも大変重要であるという御意見をいただいております。
 続きまして八木委員からは、時間軸も含めて四次元で地球全体を動的にモデリングすることが重要。そういったものが新しいサイエンスの芽を多数生むことが期待できるといった御意見をいただいているところでございます。
 若目田委員からは、カーボンニュートラルが非常に重要であるという御意見ですとか、情報技術の負の側面についても、きちんと事前に投資を行うことが必要であるという御意見をいただいております。
 おめくりいただきましてスライドの5でございますが、今御紹介させていただいたような御意見を踏まえまして、1ページ目で、前回お示しした12個のものを拡充ですとか整理を行わせていただいたものでございます。
 白い背景のところからまず御紹介させていただきますが、白い背景のところが、前回から拡充したところを示しておりまして、赤字で、どういったところが追加されたかということをお示しさせていただいております。
 例えば「ヒト情報学」につきましては、人間の理解ということがもともと書かれておりましたけれど、より具体的に、認知・学習・行動変容などに関するメカニズムについて理解を深めるべきということで追加をさせていただいております。
 また次は、もともとなかった課題ではございますが、「情報脳科学」というタイトルをつけさせていただいておりますが、情報科学と脳科学とが連携して、共同して研究を進めていくことが重要であるという御意見を受けて、1つ新しくつくらせていただいたものでございます。
 「コグニティブセキュリティ」につきましては、心理面ですとか、あるいはグローバルな社会経済活動に与える影響の分析・予測が重要であるといった御意見をいただいておりましたので、それを取り入れさせていただいております。
 2行下の「信頼できるデータ流通基盤」でございますが、組織も含めていろいろなものの様々な実在の間でのデータ流通が必要であるとか、DFFTにも対応することや、あるいはデータの提供者側・利用者側の双方にとっての観点で考えることが必要という御意見をいただいておりましたものを取り入れさせていただいております。
 「データ駆動型人間中心基盤」につきましても、心理状態ですとか、人と人との合意形成というところを取り入れさせていただいております。
 次の「社会システムを支えるAIアーキテクチャ」につきましては、もともとこの課題だけではなくて、もう1つ「Swarm AI」という課題もございましたが、ユビキタスAIとここでうたっている概念の観点で関連するところが深いと思っておりまして、後段といいますか2行目の最後のところで、「適応的群戦略創発の」と書かせていただいているところを追記することで、「Swarm AI」の要素も入れつつ拡充することができるのではないかと考えております。
 次の「社会的に成長するAI・ロボット」につきましては、これもロボットに関連する課題が3つほどございまして、「社会的に成長するロボット」と、「AIとロボットの融合」、「AI・ロボットと人間の共進化」という課題をもともとお示しさせていただいておりましたが、そういったものを一つのテーマとして集約させていただきつつ、メタバースを含むサイバー空間の活用が発展していることを踏まえた研究が必要であるということを追記させていただいているところでございます。
 続きまして、「クリーンICT」ですが、これはもともと「地球環境と情報」という名前で挙げさせていただいたものの名前を変更させていただいております。「グリーン」ではなくて、もともとこの提案の中で「Clean by ICT」、「Clean of ICT」と、クリーンであるというところを重視しているということで、名称にもそれをつけたらいいのではないかと。
 実際、この二、三行の概要では出てこないのですが、ここに対して田浦委員を中心に御意見いただいているところもありますので、これについてはそういった中身の拡充も考えられるところだと考えております。
 続きまして、「AI・データと科学」でございますが、これももともと「人工知能と科学」と提案させていただいていたものを、「AI・データと科学」と名前を変更させていただきました。データだけではなくて、AI・データ駆動型科学が重要であるということで、それに関するテーマとして、いただいた御意見を踏まえて追記をさせていただいております。
 最後の「数理と情報」につきましては、具体的にこれを拡充できるような御意見を明示的にいただいていなかったところではございますが、前回・前々回の委員会の場におきましても、これは大変重要であるという御意見もいただいておりますので、残させていただいております。
 これら白い背景のところについては、もともと12あったものを集約させていただきまして10個のものになっているのですが、これらをさらに、関連が深いものをここにお示ししているように3つほどの課題に集約することができるのではないかと考えておりまして、提案させていただきたいと考えております。
 青い背景のところに書かせていただいている内容を、次のスライドでも全く同じことを書かせていただいておりますので、次のスライドで御説明させていただければと思います。
 スライド6でございますが、情報分野の研究開発課題と今後の検討の進め方についてということで、まず1つ目が、本委員会での検討結果を踏まえて、以下の3つを情報分野の研究開発課題としていいか、この点について御審議をいただければと考えております。
 先ほど御紹介しましたが、「人間理解に基づく情報科学の新潮流の探求」、「Society 5.0の社会実装に向けた信頼基盤の構築」、「カーボンニュートラルを中心とする社会課題解決を支える情報科学技術の開発」と、3つの研究開発課題として集約してお示しすることができるのではないかと考えております。
 簡単に読み上げさせていただきますが、「人間理解に基づく情報科学の新潮流の探求」につきまして、これは例示でございますが、脳を中心とした様々な人間を理解する取組を通じまして、人間にとっての情報に対する理解を深める。その深めた理解に基づいて、人間や社会・文化まで含めて記述できるようなモデル化技術を創出する。また、それによって人間・社会・文化に与える影響を予測・分析し、人間・社会・文化の脆弱性を克服するための科学や技術を創造するという課題として設定させていただいております。
 この点につきましては、御意見の中で幾つかいただいていたものもありまして、この研究開発課題につきましては、日本語言語モデルを含めまして、日本固有の情報に配慮することが必要であるとか、情報技術の負の側面の解消について併せて検討することも重要であると考えております。
 次の「Society 5.0の社会実装に向けた信頼基盤の構築」ですが、データ流通やAI・ロボット利用が進展していき、先ほどサイバー空間の利用も進むということもお話しさせていただきましたが、これらの信頼性の高度化と可視化・共有・保証の方法について、技術面のみでなく制度面からも研究し、データ駆動型社会とそれを支える情報技術基盤を構築するという課題として設定させていただいております。
 先ほどの質疑の中で、個人情報保護法の扱いですとか社会的受容性の扱いといったところの御意見もありましたが、例えばこの研究開発課題の中で、そういったものも踏まえて技術的にどこまでできるのか、あるいは、技術だけでは限界があって制度的に対処しないといけないといったことについても、ここで考えることができるのではないかと考えております。
 次の「カーボンニュートラルを中心とする社会課題解決を支える情報科学技術の開発」ですが、1つ目の読点と2つ目の読点の間にそれぞれ2つの概念を書いておりまして、環境問題を解決するために情報技術を使うというものと、情報科学技術自身が地球環境に与える負荷を低減させるような研究を組み合わせて、総合的に環境問題解決を目指すという研究開発課題として提案させていただいております。
 これらにつきましては、事務局で、皆様からいただきました御意見を踏まえて拡充・整理させていただいたものであり、内容あるいは表現、例示も幾つかさせていただいておりますが、後ほど御紹介させていただきますように、ここからさらに深掘りをしていく余地が大きくあると思っております。その中で議論をしていただくためにも、よりインパクトがあるような、あるいは注目を引けるような例示も必要だと考えておりまして、例えばそういった御意見ですとか、あるいはこの3つの中でも特にこれが重要であるというような御意見をいただければと考えております。
 次の下の箱でございますが、上記の課題における具体的な研究内容等について、今後どのように検討を進めるのが良いか、ということで、上の3つの課題につきましては、もともと御提示させていただいた12個の課題についても幾つか、大き過ぎるので課題としてより絞り込むべきという御意見をいただいておりましたが、それをさらに大きくくくっているところもございますので、これを研究開発課題案として今回決定いただくことを考えておりますが、この内容についてさらに深掘りの検討が必要だと考えております。それをどのように進めるのかについても、この後、御意見を賜れればと考えております。
 例示といたしまして、例えば若手研究者にこの研究開発課題をお示しさせていただいて、あるいは先ほど白い背景と言って御説明させていただいたような、これまで御紹介させていただいたテーマも併せて御紹介して、ヒアリングあるいは意見交換をするであるとか、学会と連携してイベントを企画すると。単純なヒアリングではなくて、そういった場を設けて意見交換をするような形で進めることができるとよいのではないかと事務局で考えておりますが、これらをさらに具体化するであるとか、よりよい方法、あるいはほかの手段がありましたら、そういった御意見もいただければと考えております。
 研究開発課題につきましては、御説明は以上となりますが、併せて、情報分野の振興方策についても御説明をさせていただければと思います。資料の3-4をお開きいただければと思います。
 こちらは、「はじめに」と1章と2章の3部構成となっております。1章につきましては、昨年の9月9日に情報委員会決定としてまとめていただき、本日の参考資料の2としてつけさせていただいております情報分野における研究開発等の進め方の中間まとめをベースに用意させていただいておりますが、先ほどの1月の研究計画・評価分科会で安浦先生に御紹介いただいた内容なども踏まえまして、少し追記させていただいた形で用意しております。
 2章につきましては、まさに今御説明させていただきました情報分野の研究開発課題について、もう少し背景的な要素も含めながら記載をしているものでございます。
 具体的にまず、「はじめに」のところでございますが、「はじめに」については、この取りまとめの表題にもつけておりますが、第6期科学技術・イノベーション基本計画を踏まえまして、情報分野の発展が非常に重要である、必要であるということを書かせていただいているところでございます。
 1章につきましては、昨年9月に決定いただいたものからどこが変わったかというところを御紹介させていただければと思います。2ページ目、「1.2.研究データ等管理・共有・利活用のシステム・ツール」とありますところの上2つが、今回新たに付け加えさせていただいているところでございます。ただ、もともと9月の段階でも書いていただいたところもあり、完全に新しいものを付け加えているというよりも、もともとあった記載をより拡充する形で記載をさせていただいております。
 「1.2.研究データ等管理・共有・利活用のシステム・ツール」から数えて2つ上の丸のところでございますが、「それに加え、研究データ基盤の構築・高度化に当たっては」のところについて、ここまでは研究データ基盤の構築の重要性ということを書かせていただいているところでございますが、それに加えまして、SINETですとかHPCIといったものと一体的に整備していくこと、さらに、国の掲げている「デジタル田園都市国家構想」とも整合させて一体的に整備していくことが必要であるということを書かせていただいております。
 次の丸につきましても、先ほどマテリアルの例があって、ライフサイエンスやゲノムも重要ということも御発言いただいておりましたが、ここで書いてあるように、昨年9月の段階でも、マテリアルや生命科学等の分野においてAI・データ駆動型研究の成功事例をつくることが大事だということも書いていただいておりましたが、それをはじめとして、研究DXの多様なユースケースを形成して、どのようにやるべきか、そのユースケース、あるいはよい事例の普及を図っていくべきであるということ、また、複数分野の研究者が協働する研究コミュニティの活性化によって、AI・データ駆動型研究の推進が必要であるということを書かせていただいております。
 もう1点、記載を少し更新させていただいたところがございまして、3ページ目の「1.4.研究データ等管理・共有・利活用にあたる人材」の1つ上の丸のところでございますが、「研究者・研究機関におけるデータの戦略的な管理・共有・利活用を促すため、データ管理・共有に関する取組の評価等の導入が重要である」と書かせていただいております。
 もともと昨年9月の段階では、研究者本人といいますか個人に対して、メリットを感じられるようにデータ提供に対して評価をするべきだということを書いていただいておりましたが、よりそれを拡充しまして、単純な提供だけではなくて、戦略的な管理・共有・利活用を機関も含めて行っていくことについて評価をすることで進めていくべきではないかということで書かせていただいたところでございます。
 1章につきましては以上でございまして、続きまして2章でございます。4ページ目に移っていただければと思いますが、ここから2.1、2.2、2.3とさせていただいておりますのが、先ほどの資料3-3のスライド6で御紹介させていただきました、3つの研究開発課題案に対応するものとして記載させていただいておりまして、それぞれ、その背景と研究開発課題の概要と、それに関連する留意点という形で構成をさせていただいています。
 2.1の「人間理解に基づく情報科学の新潮流の探求」につきましては、概要・留意点は先ほど御説明させていただいたとおりでございますが、背景としましては、幾つも御意見いただいておりました情報技術の負の側面について触れる形で書かせていただいております。
 2.2の「Society 5.0の社会実装に向けた信頼基盤の構築」につきましては、先ほど御説明させていただいたとおりでございますが、AI・ロボットの利用が進むですとか、あるいはメタバースを含めてサイバー空間の活用の進展が進んでいるといった背景を踏まえまして、先ほど御紹介したような概要の研究開発課題を進めることが必要であるということを書かせていただいております。
 ここにつきまして、先ほどの研究開発課題の中でといいますよりも、人間・AI・ロボットの共生が進む社会における留意点といたしまして、3つ目のところで、サイバー空間・フィジカル空間との融合の下での安全性に配慮することが必要であるということも書かせていただいております。
 2.3の「カーボンニュートラルを中心とする社会課題解決を支える情報科学技術の開発」につきまして、最後のところ、次の5ページ目の一番下でございますが、先ほど資料3-1の御指摘の中でも、あるいはその前の事後評価の中でも御意見いただいておりました経済安全保障や、Data Free Flow with Trust(DFFT)についても、そういったものも含めた研究開発を進めていくことが重要であるということを書かせていただいております。
 かなり早口で御説明させていただきましたが、説明は以上でございます。御審議のほど、どうぞよろしくお願いいたします。
 
【安浦主査】  ありがとうございました。今回、新しい部分としては、資料3-3でこれまで2回議論してきた話を少し集約したものでございます。これが資料3-4の後半部分に当たりますので、基本的には資料3-3の最後のページに対する御意見、あるいはこれの1つ前のページに対する御意見等を中心に御議論をいただければと思います。よろしくお願いします。
井上委員、どうぞ。
 
【井上委員】  ありがとうございます。井上でございます。途中で音声が途切れてしまったところがありましたので、最初に確認させていただきたく発言をさせていただきます。
 資料3-3の5ページ目で、「情報脳科学」というものを新規に設けましたということでございました。もともとあった「ヒト情報学」と「情報脳科学」の関係がよく分からないなというところがありまして、その部分でちょうど音声が途切れてしまったので、お聞かせいただきたいです。
 「ヒト情報学」では、人の認知・学習・行動変容に関するメカニズムの理解をするというもので、新規に立てられた「情報脳科学」はそれを基に新たな方法論を創出するということなのではないかとも理解していたのですが、「ヒト情報学」の箱の中の説明を見ますと、後半には、新たな情報通信技術の創出を目指すというようなことが書いてあって、少し関係が分からなくなっておりましたので、御質問です。
 もう1つ、3番目の柱ですけれども、「カーボンニュートラルを中心とする社会課題解決を支える情報科学技術の開発」と書いてあります。青いところの最後、総合的な環境問題の解決を目指すと、環境に焦点を当てたような書きぶりになっているかと思うのですが、その後にある白の枠を見ますと、「クリーンICT」はまさにそのとおりですが、その次の「AI・データと科学」ですとか「数理と情報」というのは環境問題解決を超えたもののようにも見えます。この3番目の柱の焦点や外縁について確認させていただければと思います。よろしくお願いいたします。
 
【佐々木専門職】  事務局でございます。1点目の「ヒト情報学」と「情報脳科学」の関係につきましてでございますが、「情報脳科学」から御説明させていただきますと、脳に注目することが大変重要であるという御意見を幾つもいただいておりまして、脳機能の構造の解明に情報科学と脳科学が共同で取り組むことが非常に重要であると。また、脳がアイデアの宝庫であるという御意見もいただいておりまして、その解明に取り組む中で情報科学においても新しい技術を創出することができるのではないかという御意見をいただいておりましたので、つくらせていただいております。
 「ヒト情報学」につきましては、御指摘いただいているとおり、認知・学習・行動変容等に関するメカニズムの理解というところで、脳に近いところではございますけれども、脳に限らず、人間がどういうふうに行動するのかというところの理解を深めるといいますか、脳の機能構造の解明だけに注力するというものではないというところで、完全にこの「ヒト情報学」の中に「情報脳科学」を取り込むということにしてしまいますと、いただいた御意見を反映し切れないか、そこの重要性が伝わりづらいかというところもございまして、2つに分けて挙げさせていただいております。
 2点目にいただきました、「カーボンニュートラルを中心とする社会課題解決を支える情報科学技術の開発」について、「AI・データと科学」、「数理と情報」がより広いものではないかという御指摘だったかと考えておりますが、御指摘のとおりではございますけれども、単純にこれらが全て含まれるというよりは、これまで御意見いただきました「クリーンICT」、「AI・データの科学」、「数理と情報」というものを踏まえまして、これらを使って、カーボンニュートラルを中心とする社会課題解決、ここで書いているのは環境問題の解決でございますが、そこに注力した研究開発課題とするのがよいのではないかというふうに御提案させていただいております。
 以上でございますが、何か不足等がございましたら、引き続き御指摘いただければと思います。
 
【安浦主査】  井上先生、よろしいでしょうか。
 
【井上委員】  ありがとうございました。1番目の問題についてはよく分かりました。脳科学を特出しするということで理解いたしました。
 もう1つの問題でございますけれども、そうしますと、3番目の柱の青いところの最後については、総合的な環境問題解決を目指すという、環境だけなのでしょうか。それとも、社会問題解決を目指すということでいいのか、いかがでございましょうか。
 
【上村専門官】  事務局でございます。御指摘ありがとうございます。確かに、ここは最後に「総合的な環境問題解決を目指す」と締めてしまうと、御指摘いただいたとおりではございます。資料3-4の、全体の取りまとめの後のところに、「カーボンニュートラルに加え」、「国家的・社会的課題対応のために求められる科学・技術の創出を目指す研究開発も重要である」と書かせていただいておりますが、ここまで含めてと御理解いただくほうがよりいいと思います。恐らく井上委員もそういう形での御指摘をいただけたのではないかとは思っておりますが、ここは社会課題全体と御理解いただけると、より意図が伝わるのではないかと存じます。ありがとうございます。
 
【安浦主査】  よろしいでしょうか。
 
【井上委員】  ありがとうございました。
 
【安浦主査】  カーボンニュートラルを特出ししているのは、政府の全体の政策課題という意味でカーボンニュートラルを宣言していますので、わざとそこを目立たせるために、少しひずみはあると思います。
 文章では、資料3-4の最後のところで全体をカバーするような文章をつけさせていただいているというところです。
 
【井上委員】  分かりました。そうしますと、カーボンニュートラルというのを特出しして打ち出す必要はあるのだけれども、そのほかの社会課題も含むということでしょうか。
 
【安浦主査】  恐らく、研究課題でここをやっていけば、カーボンニュートラルだけでなく、いろいろな社会問題、SDGsに絡むような話も含めていろいろと関係が出てくると思いますので、そういった、先生がおっしゃる社会問題全体に対する対応という認識でいていただいていいのではないかと思います。
 
【井上委員】  分かりました。ありがとうございました。
 
【安浦主査】  表現は、またこちらで検討させていただきます。貴重な御意見ありがとうございます。
 ほかに何かございますでしょうか。12個もあったのをどうまとめていくかというので、事務局も随分苦労されてきていたのですけど、1番目は人間というものを中心とした情報学の新しい流れをつくるという観点で、2番目は、今、八木先生のところなどでも進めておられるSociety 5.0の流れの中での、今流に言うと社会をDX化していく中でのいろいろな問題に取り組んでいくという話。そして3番目はもう少し幅広く、カーボンニュートラルとか、情報関係だけではない分野に対しても影響を与えるような情報学の進歩をつくっていくという、大まかに言えばそういう3つにまとめたところでございます。
 相澤先生、どうぞ。
 
【相澤委員】  ありがとうございます。私は、この3つの課題へのまとめ方、非常にすばらしいまとめ方だと思ってお伺いいたしました。
 今、安浦先生がまとめられたDXについてということで、2番目の課題を御説明いただいたので、非常によく腑に落ちたという感じなのですが、書きぶりの問題で1点だけ、もしあえてコメントするとしますと、2番目の課題の信頼基盤とか、「信頼」という言葉はいろいろな意味で使われていることもありまして、信頼基盤の構築というとトラスト基盤ですとか、割と制度面重視の印象もなきにしもあらずの書きぶりになっているのではないかと思いました。
 重要であることは確かなのですが、もともとの課題が非常に幅広いものでありましたので、少し書きぶりのところで、技術だけではなく制度もという、制度オンリーじゃないキーワードも盛り込むとよいかと思いました。以上です。
 
【安浦主査】  ありがとうございます。資料3-3の5ページ目の、2番目のところの「信頼基盤」という書き方が、少し偏って見えるという御意見でよろしいのでしょうか。
 
【相澤委員】  はい。「信頼基盤」とは何かという解釈が、場合によっては少し狭いスコープに見えるかもしれないということです。
 
【安浦主査】  分かりました。その辺は、また事務局と検討させていただきます。
 ここで、今まで議論してきたものを事務局から説明していただきましたけど、まだ、いろいろとじっくり見ていただいて、御意見が出てくると思います。
 今日はそろそろ予定している時間に近づいておりますが、この資料3-3の3つのまとめと、それから資料3-4の資料の文章化したときの、これが今年度のこの委員会の、一番大きなアウトプットになるわけですけど、そこも含めて御意見をいただければと思います。何かございますでしょうか。
特に御意見が出ないようですので、それでは、またじっくり読んでいただきまして、事務局へメール等で御意見をいただければと思います。それを踏まえて、事務局で資料3-3及び資料3-4についてもう一度、私あるいは主査代理の深澤先生も含めて検討させていただきまして、次回に少し報告をさせていただこうかと思いますけど、事務局、それでよろしいですか。
 
【上村専門官】  上村です。そのように進めさせていただければと存じます。
 それで、もし先生方がよろしければ、資料3-3の6ページ目の一番下のところ、今後の検討の進め方に対しても、少し御意見を伺えればありがたいと思っております。
 こういった、3つにまとめた状況で、詳細はまたメールでも御意見いただき、先ほどいただいた御意見も含めて、もう少しブラッシュアップさせていただき、言葉ももう少しいいものに変えていくというように進められればと思っております。大体このようなまとまりになってきたときに、今後の検討の進め方について、先ほど御説明させていただきましたように、若手の研究者にお集まりいただいてとか、個別かもしれませんがヒアリングとか、そういった方法もあるかとも思いますし、学会との連携もあるかと思います。何かこういったものを深めていく上で、よりよい方法ですとか御意見、アイデアがございましたらば、先生方から伺わせていただけると、今後のテーマ推進において参考にさせていただけると思っておりますので、少しお時間を使っていただけるとありがたいのではないかと思いました。安浦先生、いかがでしょうか。
 
【安浦主査】  はい。ぜひ、そういう御提案もお願いしたいと思います。特に学会ですとか学術会議のようなアカデミアの集まり、あるいは経済・産業界と産学連携の集まり等で、情報科学の分野で日本は次にどうするべきかという議論をする場を、先生方がもし御存じであったり、あるいは主催されていたりするものがあれば、ぜひ、御紹介いただきたいと思います。そういったところで日本の情報学をどちらに向けて走らせるかという話を、このコロナ下の、閉じ籠もりぎみでなかなか直接お会いしてお話しできない中で検討していかないといけないという環境ですけども、できるだけいろいろな方に参加していただく場をつくっていくきっかけにもしたいと思いますので、そういう御意見も併せて寄せていただければ助かります。
 特に2番目のものとか3番目のものは、人文・社会科学系とも関係してくる部分が強いので、もし、そういったところと連携した意見交換会のようなものを持てるのであれば、そういうものもつくっていきたいと思いますので、御提案いただければ助かります。よろしくお願いしたいと思います。
 深澤先生、どうぞ。
 
【深澤主査代理】  ありがとうございます。そのとおりだと思っておりますが、この上の3つの研究課題に関して、どうまとめていくのかというプロトタイプのようなものを事務局でつくっていただければと思いました。
 例えばキーワードを列挙するだとか、何か文献とかそういうところがあるのだったらそういうのを列挙するだとか、まだ、これだけでは漠然としているものがあるので、これをより具体的にするためには、何かそのようなものが必要ではないかと思いました。
 そのキーワードをどうやって集めるかは、また、この下にある若手の研究者のヒアリングだとかで集めればいいと思いました。
 以上です。
 
【安浦主査】  ありがとうございます。その辺、非常に大事かと思います。
 井上先生、どうぞ。
 
【井上委員】  ありがとうございます。今後の検討の進め方の例のところで、研究者ですとか学会という言葉が書いてございますけれども、今、安浦先生がおっしゃったように、産業界、企業との対話というのも非常に重要です。そしてそれに加えて市民、一般の方と意見交換するというのは非常に重要ではないかと思います。サイエンスカフェですとか、いろいろな場を使えると思います。「市民」からという視点も必要ではないかと思います。
 2番目の柱のところで1つ申し上げたいのですけれども、技術の面だけでなく制度面からも研究するということになっていますが、今日、八木先生からもお話がありましたように、社会的受容性のようなことを考えると、一般市民がどのように受け止めるかということが重要になってきますので、制度だけでなくて、それを取り巻くものも重要ではないかと思いました。
 以上です。
 
【安浦主査】  どうもありがとうございます。まさにそこが、今からの情報学の発展に非常に大きなポイントだと私も思っております。
 その辺を含めて、JST、後藤理事がいらっしゃいますので、JSTのいろいろな仕掛けも使わせていただいて、いろいろと考えたいと思います。
 長谷山委員、お願いします。
 
【長谷山委員】  長谷山です。安浦主査の御発言と一部重複しますが、若手研究者には今までいろいろとヒアリングを行ってきたと理解しています。学会と連携したイベントや、文部科学省事業の中でも実施してきたと理解しています。
 そういたしますと、今までとは少し切り口が異なるヒアリングを検討しても良いのではないかと思います。例えば、先ほど安浦主査からお話しがあった、JSTには「創発的研究支援事業」、「次世代研究者挑戦的研究プログラム」があります。特に「次世代研究者挑戦的研究プログラム」では、インターンシップなど実践力養成に向けた取組が多く実施されています。採択された大学は透明性をもって学生を選考することになっていますので、企業の方が参加して評価を行うタイミングで実施大学に協力頂き、関わる企業の皆さんの生の声を聞くような、踏み込んだヒアリングも良いのではないかと思います。
 JST「次世代研究者挑戦的研究プログラム」については、ちょうど八木委員が情報系でPOを務めていらっしゃると思いますので、採択された若手研究者から生の声を聞くなどのヒアリングもよろしいのではないかと、今までのヒアリングと視点を変えてはいかがかと思います。
 以上、意見です。
 
【安浦主査】  どうも、貴重な御意見ありがとうございます。また、八木先生には個別に御相談させていただくことになるかもしれません。よろしくお願いします。
 塚本委員、どうぞ。
 
【塚本委員】  どうもありがとうございます。皆さんがすでにおっしゃった内容と似ておりますが、1つは、この3つのエリアに関し、日本は優れているのか、進んでいないのか、について、グローバルで比較したときの強み弱みのようなものが簡単でいいので分かると、より理解がしやすくなるのではないかと思いました。
 もう1点は、ヒアリングのところですが、カーボンニュートラルは2050年となっていますので、もしよろしければ高校生ですとか、2050年に活躍するような世代の人たちにも意見を聞く機会があれば、より幅広いアイデアが出てくるような気もいたします。よろしくお願いいたします。
 
【安浦主査】  どうもありがとうございます。やはり未来を支える人たちからの意見というのは非常に大事だと思います。ありがとうございます。
 後藤委員、どうぞ。
 
【後藤吉正委員】  後藤でございます。JSTの名前が何度か出てきましたので。最大限、頑張らせていただきたいと思います。
 それから、私の個人の意見ですが、これを3つにまとめていただいて、内容そのものについては非常によいと思うのですけれども、この文章上に表現する必要はないと思うのですが、これはどれも過去に全くやったことのない研究ではなくて、ある程度なされているわけです。ですから、どこまでできていて、何が未解決かというあたりを、ある程度クリアにしておかないと、実際に進めるときに難しくなるのではないかと思いますので、御配慮いただければと思います。
 以上でございます。
 
【安浦主査】  どうもありがとうございました。
 それでは、いろいろ御意見いただきましたことを参考に、皆様方からさらにメール等で御意見をいただければと思います。
 事務局、締切りはどうなっていますか。
 
【上村専門官】  ありがとうございます。できれば、最後にもう一度改めてお伝えいたしますが、1週間、2月17日までにいただけるとありがたいと思っておりますが、そちらでいかがでしょうか。
 
【安浦主査】  では、取りあえず1週間後ということで、2月17日まででお願いします。もし遅れられた場合でも遠慮なく、遅れてでも投げていただいて結構ですけど、できるだけ17日までにお願いしたいと思います。
 そして、この情報分野の研究開発課題案を決定するに当たり、いただいた御意見をまとめて、次回3月10日にこの委員会を開催する予定にしておりますので、1か月先に、より練った資料をお示しできるようにさせていただきたいと思います。
 事務局、それでいいですよね。
 
【上村専門官】  はい。次回に関しては、今日の議論の状況で安浦先生と御相談させていただいてと思っていたところでしたので、また改めて、御相談させていただけるとありがたいと思っております。
 
【安浦主査】  では、本日の議論はここまでとさせていただきますが、昨年10月の第21回情報委員会におきまして設置が決まりました「オープンサイエンス時代における大学図書館の在り方検討部会」について、事務局より御案内があるということですので、御紹介をお願いします。
 
【三宅学術基盤整備室長】  事務局の三宅でございます。昨年10月に「オープンサイエンス時代における大学図書館の在り方検討部会」の設置をお認めいただきまして、審議に向けて準備を進めておりました。このたび第1回の開催日が決定しましたので、その御報告でございます。
 参考資料3にございますとおり、来週2月16日、水曜日、10時から12時に第1回を開催することとなりました。こちらにつきましては、プレス公表等もさせていただいているところでございます。
 併せて参考資料4でございます。こちらの検討部会の委員構成でございます。
 大学図書館の関係者を中心に、研究データや著作権、人材等、いろいろな専門家の方に御参画をいただくとともに、国立国会図書館からもオブザーバーとして参画をいただいているところでございます。
 また、情報委員会からは引原委員と深澤委員に御参画をいただいているところでございます。
 今後、本年いっぱい議論を進めまして、一定の取りまとめをしていきたいと考えております。適時、情報委員会にも御報告させていただけると思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 以上でございます。
 
【安浦主査】  ありがとうございました。引原先生、深澤先生、よろしくお願いいたします。
 それでは、事務局から今後の予定など、事務連絡をお願いします。
 
【上村専門官】  事務局の上村でございます。本日は皆様、御意見、御議論いただきありがとうございました。
 次回の委員会に関しましては、先ほども申し上げさせていただきましたが、この後、安浦主査と相談をさせていただき、決まり次第、御連絡を差し上げたいと考えております。
 また、今日の議題3に関しての御意見を、先ほども申し上げさせていただきましたが2月17日、18時までを一旦締切りとさせていただいて、メールでお送りいただければと考えております。
 本日いただいた御意見で、この資料3-4でお出ししているところが、情報委員会決定とする資料になりますが、そこに書き込む観点、それから、先ほど御意見いただきましたように今後の議論の仕方としていただく御意見というところも、主査と整理をさせていただきながら、どこまでを書き込んで、どこを今後の参考とさせていただくかというところも踏まえて、この後、安浦主査に御相談をさせていただければと考えております。
 事務局からは以上でございます。
 
【安浦主査】  ありがとうございました。
 それでは、議員の皆様、大変お忙しいところ、熱心に御議論いただきましてありがとうございました。これで閉会とさせていただきます。次回もまた、よろしくお願い申し上げます。
 
―― 了 ――

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