情報委員会(第21回) 議事録

1.日時

令和3年10月26日(火曜日)10時00分~12時00分

2.場所

オンライン会議

3.議題

  1. 第20回情報委員会(書面調査)の結果の報告
  2. ジャーナル問題検討部会に係るアンケート結果の報告
  3. 情報委員会における下部組織の設置について
  4. 研究開発課題の検討について
  5. 分野別研究開発プラン(仮称)及び分野別研究開発プログラムの策定とその評価について
  6. その他

4.出席者

委員

安浦主査、相澤委員、井上委員、川添委員、小池委員、後藤厚宏委員、後藤吉正委員、佐古委員、田浦委員、瀧委員、塚本委員、長谷山委員、引原委員、深澤委員、美濃委員、八木委員、若目田委員

文部科学省

池田研究振興局長、坂本大臣官房審議官(研究振興局及び高等教育政策連携担当)、川口参事官(情報担当)、三宅学術基盤整備室長、宅間計算科学技術推進室長、黒橋科学官、竹房学術調査官、池内学術調査官

オブザーバー

井上弘士 九州大学大学院システム情報科学研究院教授、大倉和博 広島大学大学院先進理工系科学研究科教授、大武美保子 理化学研究所革新知能統合研究センターチームリーダー、影広達彦 (株)日立製作所研究開発グループテクノロジーイノベーションセンタ統括本部先端AIイノベーションセンタ長、木村朝子 立命館大学情報理工学部教授、佐藤健 国立情報学研究所情報学プリンシプル研究系教授、関嶋政和 東京工業大学情報理工学院准教授、日高浩太 日本電信電話(株)研究企画部門担当部長、藤吉弘亘 中部大学工学部教授、森達哉 早稲田大学理工学術院教授、山口弘純 大阪大学大学院情報科学研究科教授、渡辺晴美 東海大学情報通信学部教授、青木孝 科学技術振興機構研究開発戦略センターフェロー、高島洋典 科学技術振興機構研究開発戦略センターフェロー

5.議事録

【安浦主査】 それでは、定刻になりましたので、科学技術・学術審議会情報委員会の第21回会合を開催したいと思います。本日も、コロナウイルス感染拡大防止のため、オンラインで開催することにしております。
今回は、報道関係者も含めまして、傍聴者の方にもウェブ参加をいただいておりますので、委員の皆様方、御了解ください。
また、通信状態等に不具合が生じるなど、続行ができなかった場合には委員会を中断する可能性がありますので、あらかじめ御了承ください。
本日は、奥野委員と星野委員から御欠席という御連絡をいただいております。そのほかの委員は、少し遅れられる方もいらっしゃいますけれども、御出席の御連絡を受けております。
また、本日の議題4に関しまして、この案件を御検討いただきました12名の有識者の先生方にオブザーバーとして御参加いただいております。必要に応じて御意見をいただくことがあります。
それでは、配付資料の確認とオンライン会議の注意事項の説明を事務局からお願いします。

【上村専門官】 ありがとうございます。事務局でございます。資料の確認の前に、前回の委員会以降、事務局に異動がございましたので、御紹介をさせていただきます。
研究振興局長の池田でございます。
参事官補佐の神部でございます。
それでは、研究振興局長の池田より御挨拶をさせていただきます。

【池田局長】 おはようございます。9月の人事異動によりまして研究振興局長に着任いたしました池田でございます。よろしくお願いいたします。
また、委員の皆様方には、本日、お忙しい中お集まりいただきまして、ありがとうございます。
近年、デジタル化の進展などにより、多様なデータの収集が容易になる中で、データ駆動型研究の重要性が一層高まっております。この情報委員会では、最先端の情報科学技術の研究開発の推進と、それから、あらゆる分野のデータ駆動型研究等を支える情報基盤の整備といった両方の面から御議論をいただいていると伺っております。
委員の皆様方には、本日から御議論をいただきます研究開発課題や、中間まとめをいただいております研究DXとそれを支える学術情報基盤の在り方等を踏まえて、今後、情報委員会として、今後の研究開発等の推進方策について取りまとめを進めていただければと考えております。
また、次世代計算基盤や次世代ネットワーク基盤、研究データ・オープンサイエンスの推進に関する検討など、下部組織等での議論も含めて、さらに議論を深めていただければと存じます。特に本日は、オープンサイエンスの進展を踏まえ、大学図書館に求められる役割や機能等について検討するための新たな下部組織の設置についても御意見をいただければと考えております。
どうぞよろしくお願いいたします。

【安浦主査】 よろしくお願いいたします。

【上村専門官】 ありがとうございます。
それでは、議事次第に基づきまして配付資料の確認をさせていただきます。まず、資料1-1から1-4でございますが、こちらは、議題1の書面調査の結果と、科学技術・学術審議会における報告に関する資料となっております。資料2-1から2-3は、議題2のジャーナル問題検討部会に係るアンケートの結果報告に関する資料となっております。資料3-1、3-2は、議題3の下部組織設置にについて御審議いただく件の資料でございます。それから資料4は、議題4の研究開発課題の検討に関する資料、それから、資料5-1、5-2は、議題5の分野別研究開発プラン等に関する資料となっております。
また、参考資料1及び2につきましては、第19回情報委員会の議題1において御報告させていただいた内容になっておりますが、次世代計算基盤検討部会の検討状況について8月27日に中間取りまとめとしてまとまりましたので、御参考として配付させていただいております。それから参考資料3、こちらに関しましては、議題2の関連で、2月に取りまとめましたジャーナル問題検討部会の審議まとめでございます。参考資料4は議題3の関連として情報委員会の運営規則を参考としてつけさせていただいております。参考資料5につきましては議題4の関連、それから、参考資料6につきましては議題5の関連となっております。
皆様、既にダウンロードいただいているかと存じますが、もし現時点でお困り事とか不都合がありましたらお知らせいただければと思いますが、今現在、いかがでしょうか。もしありましたら、事務局までお電話で御連絡いただければと存じます。
引き続き、オンライン会議の注意事項を申し上げさせていただきたいと思います。
通信安定のために、発言の場合を除き、常時ミュート、それからビデオをオフにしていただけますでしょうか。主査の安浦先生は常時マイクをオンで、ビデオをオンにしておいていただけますでしょうか。
発言する場合には、「手を挙げる」ボタンを押して御連絡いただければと思います。
主査の安浦先生は参加者一覧を常に開いていただき、手のアイコン表示をしている委員の先生方を御指名いただければと思います。本日は、オブザーバーも含めて出席されている方が大変多くなっておりまして、安浦先生にはお手数ではありますが、何とぞよろしくお願いいたします。
それから、議事録作成のために速記者を入れております。速記の方のために、発言する際にはお名前から御発言いただけますとありがたく存じます。
もしトラブルが発生した場合には、事前にお伝えしております事務局の連絡先に電話にて御連絡いただければと思います。
傍聴の方はZoomで参加しております。
以上が事務局からの御説明です。

【安浦主査】 池田局長、上村様、ありがとうございました。
それでは、議事に入ってまいります。本日は、まず第20回情報委員会として、書面調査を行いましたので、その結果報告を行います。
それから、ジャーナル問題検討部会に係るアンケート結果の報告について、引原先生も含めて少し御報告をいただきます。それから、情報委員会における下部組織の設置について、審議事項として審議させていただきます。その後、時間を取りまして、次々年度以降の大きな研究開発の課題について検討をしていただきたいと思います。これは、本日全て結論を出すわけではなくて、今後、1回か2回、さらに議論を続けていきたいと思っております。それから、分野別研究開発プラン及び分野別研究開発プログラムの策定とその評価について、少し事務的な案件がございます。以上のように、報告案件2件、審議案件3件を予定しております。
では、まず、書面調査としました第20回情報委員会の結果を資料1-1から1-4に基づいて事務局から説明をお願いいたします。

【上村専門官】 ありがとうございます。事務局でございます。それでは、御説明をいたします。
資料1-1から資料1-3につきましては、今月13日に開催された科学技術・学術審議会総会で配付された資料となっております。皆様に書面調査で御意見をいただいた内容は、第11期の情報委員会の活動について、でございましたが、こちらの結果は既に委員の皆様にはメールでお送りさせていただいたものでございます。そちらに基づきまして、資料1-1の内容を総会で安浦主査より御報告いただいております。
書面調査の結果から1点だけ変更点がございましたので、御説明をさせていただければと思います。2つ目のポツでございますが、「次世代計算基盤検討部会等の下部組織を設置し、」とあるところで、書面調査の際は「部会」となっていたところが、科学技術・学術審議会の体系に基づきまして、「下部組織」という名称で変更させていただいております。以上が変更点でございます。
今月13日に開催された総会においては、9月9日でおまとめいただきました資料1-2、議論の中間まとめも、情報委員会での調査結果として併せて御報告をいただいております。
加えまして、安浦主査から補足説明として、資料1-3を用いて、研究データの共有・利活用の促進、これを学術界全体で進めることの重要性という観点でお話をいただきました。
これら3つを合わせて、3分と限られた時間で御説明いただきました。その結果、総会の場で委員からいただいた主な御意見を資料1-4にまとめさせていただいていますが、非常に有意義な御意見をいただけたのではないかと思っております。
簡単に御紹介させていただきますと、まず1つ目は、科学データに限らず、様々な場面で生じるデータに関しまして統一の基準やフォーマットを整備することも必要ではないか、こういった利活用のための整備が重要ではないかという御意見をいただいております。
それから2つ目、データの共有・利活用の仕組みだけではなくて、実際にどう使われ、どういう成果を生んでいるかといったところも重要だという御意見もいただいております。
それから3つ目、オープンとクローズ、これら両方を戦略的に考えることの重要性という御意見をいただいていたという状況でございます。
私からの説明は以上でございます。

【安浦主査】 どうもありがとうございます。
実際に審議会の場でいただいた時間は3分でございましたので、資料1-1、1-2はほとんど説明せずに、資料1-3を中心に、今後データが非常に大事になるという点をかなり強調して御報告をいたしました。それに対して、資料1-4にございますような御意見をいただきました。1番目の御意見は、行政データや民間のデータ等も含めてということか、という御質問でございましたけれども、こういうことも情報委員会でも検討していきますということでお返ししております。それから、仕組みづくりの話だけではなくて、データを実際に使ってどういう研究成果が生まれているかといった点もきちっと報告していくようにしてほしいという御要望でしたので、それについても検討していきますと答えております。それから、3番目につきましては、我々も、データの共有・利活用だけではなくて、「管理」という言葉を資料1-3でもきちっと入れておりますので、オープン、クローズ、どちらのことも意識しておりますと答えております。
全体の質問の3割以上がこの情報委員会の話に来まして、幅広くいろいろな分野の方々が、今後のデータの共有や利活用の重要性について御認識をいただいているという実感を私としては個人的にこの会議で受けました。
この件について御質問、御意見等ございましたらお願いします。よろしいでしょうか。
それでは、続きまして、ジャーナル問題検討部会に係るアンケート結果の報告について、資料2-1から2-3に基づきまして事務局より報告をお願いします。

【三宅学術基盤整備室長】 それでは、学術基盤整備室、三宅から失礼させていただきます。
まず、アンケートの件でございますが、ジャーナル問題検討部会、こちらは前期の情報委員会で設置させていただきました委員会でございますので、期が替わって委員の交代もございましたので、簡単に設置の経緯から御説明させていただきます。資料は2-1から2-3でございますが、まず、資料2-1を御覧ください。
1ページ目、ジャーナルを取り巻く現状でございます。こちらはジャーナル問題検討部会設置前の整理ペーパーでございます。文部科学省においては、平成18年、21年、24年と、あと26年に、学術分科会下の委員会などにおいてジャーナル関係の議論を継続的に行っておりました。ジャーナル問題検討部会での報告が出る前ですと、平成26年8月に報告書を出しておりまして、こちらにありますように、例えばジャーナルに関して最も合理的な契約形態を選択するであったり、ジャーナルの利活用状況等、必要なデータを収集することであったり、論文を機関リポジトリで公開する等々の御報告をいただいて、対応してきたところでございます。
ただ、ジャーナルを取り巻く現状の部分でございますが、市場の特殊性、例えば出版社が寡占化していることや、中国も含め世界的な論文数の増加、こういうことを背景に、継続的にジャーナルの講読価格の上昇が定常化しているという現状がありました。
また、近年のオープンアクセス・ジャーナル、いわゆる購読型ではなくてオープンになっているジャーナルの普及に伴いまして、出版社自身の収入確保という観点もございますけれども、いわゆる出版物を売るのではなくて、掲載をする際に論文処理費用を取るという形、これをAPCと呼んでおりますが、こちらの負担という新たな負担が出てきまして、その負担の問題が顕在化したという状況でございます。
これ以外にも様々な、APCの対応も含めてジャーナルを取り巻く問題が複雑化・拡大をしていたということがございました。それらの問題は大学図書館だけではなくて、研究者、また大学の執行部も含めた、研究の戦略の在り方も含めた議論が必要な問題という形に変化してきたことがございまして、前期の情報委員会においてジャーナル問題検討部会を設置して議論させていただいたところでございます。
2ページ目が検討部会の概要でございます。
審議事項は先ほどの内容のとおりでございまして、少し補足させていただきますけれども、もともと学術分科会下でこのような議論はさせていただいたところですが、前期の科学技術・学術審議会から、もともと研究計画・評価分科会の下にあった情報科学技術の審議会組織と、学術分科会下の学術情報基盤に関する委員会、こちらを統合して情報委員会という形で設置をさせていただきました関係で、ジャーナル問題検討部会につきましては情報委員会下に設置をさせていただきまして、議論をさせていただいたところでございます。
委員につきましては、2ページ目の下にございまして、情報委員会の委員でもいらっしゃいます引原先生に主査を務めていただきまして、大体1年ほど議論を重ねてきたという状況でございます。
3ページ目以降が審議まとめの概要でございます。内容が多岐にわたり、これを説明するとかなり時間を取ってしまいますので、アンケートに関係する部分をかいつまんで説明させていただきます。
3ページ目の学術情報流通をめぐる状況というところでございます。3つ目の部分でございますけれども、オープンアクセスの進展に伴う課題の一つとして、粗悪学術誌を媒体とする粗悪な出版社による収奪が行われているという問題が指摘されたところがございました。
また、4ページ目で、対応する問題の解析・対応ということで、一番上のところでございますけれども、大学や大学図書館コンソーシアム連合、資金配分機関及び文部科学省に対して、具体的な取組の要請をいただいたところでございます。大学等研究機関については、ジャーナルの契約形態の決定の話や、図書館については、APCも含めたデータの収集ということを提言いただいたところでございます。この中で文部科学省に対しましては、各大学等研究機関におけるAPC支出額の実態調査の実施及び結果の共有ということの提言をいただいたところでございます。
この2点につきまして今般アンケートを行いまして、その内容を取りまとめましたので、御報告をさせていただくというのが今回の報告の内容でございます。
では、具体的なアンケートの結果について御報告差し上げます。
まずは、APC調査のスタートアンケートということで、資料2-2を御覧ください。
目的につきましては、先ほどの審議まとめにありますように、その実態の把握とその共有を目的としております。アンケート自体は国公私の800大学を対象にして実施をしまして、全体で76%の回答をいただいたところでございます。
2ページ目が主な設問項目ということで、主にAPCの支払い状況の把握状況です。把握をしている場合はどのように把握しているのか、把握していない場合はその理由は何かということを設問項目とさせていただいているところでございます。
3ページ目がそのアンケート結果の最初の部分で、APCの支払い状況の把握状況でございます。こちらにありますとおり、やはり、把握をできている、もしくは把握するよう準備しているというところがまだ少ないという現状がアンケート結果に表れております。国立大学においても半数以下という状況になっておりまして、準備をしているところも含めて50%弱と。全体で見てみますと、国公私全体ではやはり2割程度のところがAPCについて状況把握をしている、もしくは準備をしているという回答をいただいているところでございます。
4ページ目でございますが、把握しているところはどのような形で把握しているのかという内容でございます。こちらにつきましては幾つか項目がございますけれども、主に財務会計システムのデータをそのまま利用するのか、そのデータを加工して把握をしているという回答をいただいているところでございます。
5ページ目でございますが、ではどこがそのようなことについて取りまとめを行っているのかという内容でございます。連携しているところもございますので、複数回答可としておりますが、そちらの部署について問い合わせたところ、国立大学においては大学図書館を中心に行われているような形になっておりまして、私立大学も含めると、研究推進担当部署や財務・会計担当部署と連携をしつつ、この内容の把握に努めているという状況でございました。
6ページ目が、具体的な金額についても御回答いただいております。ただ、これは大学の規模や研究分野によってかなり変わりますので、そこまでの深掘りの統計は取っておりません。ただ、大きなところですと1億程度の支払い実績が出てくるという状況もございますので、負担についてはかなり大きくなっているものではないかと認識はできます。
最後、7ページ目でございます。把握をしないという理由について問うた問いでございます。これにつきましては、把握する必要性を感じないという回答をいただいているところが一番多いのですが、それ以外に、財務会計システムからAPCデータを抽出するのが困難。やはりAPC自体が研究者個人の研究費からの支出の例が多くて、大学としてなかなか把握をすることが困難であると。もしくは財務会計システム自体を導入してなくて把握することができないという回答をいただいているところでございます。8ページでございますが、その他の回答におきましても、実際に抽出するのが困難ということもありますので、やはりなかなか把握しようとしても把握するのが難しいという実態がこちらのアンケートで出てきたかなと考えております。
以上のような状況でございます。こちらにつきまして、スタートアンケートと銘打っておりますが、現状を見てみますと、APCの金額の把握の重要性を今後とも文部科学省としてもお伝えするとともに、具体的な取り方が難しいという御意見をいただいておりますので、深掘りの調査としまして、先行して大学・組織として把握を行っているところにやり方についてお尋ねしまして、その方法について情報共有して、対応を促していきたいと考えているところでございます。
続きまして、資料2-3が学術情報流通に係る懸念すべき事例への対応状況アンケートの結果でございます。学術情報流通に係る懸念すべき事例として、例えばハゲタカジャーナルという言い方をされているものや、いわゆる学会投稿や参加費を搾取する目的のようなものも含めて大学の対応状況について把握をするということと、どちらかといえば、どのような取組を行っているか情報共有するという目的で行ったものでございます。こちらにつきましても、APCのアンケートと同様に800大学を対象にしまして、73%の大学から回答をいただいているところでございます。
2ページ目が主な質問項目で、具体的な取組の有無について、対応している部署について、また、どのようなことを行っているかについては、具体的な取組について自由記述の形で収集をさせていただいたというものでございます。
3ページ目でございます。どのような対応をしているかということでございますが、パンフレット作成、注意喚起、問合せへの回答、もしくは今後行うことを考えているという回答をいただいておりますが、国立大学につきましては、かなりの割合で御対応いただいているところでございます。やはり大学の規模等々も含めて対応状況はありますが、研究大学を中心にこのような対応を学内で行っていただいているという状況が結果として出ているかと思います。
取組を行っている部署につきましては4ページ目にございます。こちらにつきましては、大きく分けて研究推進担当部門か、もしくは図書館、こちらも複数回答でやっていますので、それを連携してという対応が多いのかと思っています。取組の内容につきましては、パンフレット・ウェブサイトなどを作っている、注意喚起を行っている、もしくは論文投稿説明会で説明している、このようなところで対応いただいているというところでございます。
5ページ目以降につきましては、今回のアンケートでは、公開してもいい事例についてはその旨も併せて御回答いただくようにしておりましたので、具体的な取組事例について列記をして、こちらを大学に共有させていただくという形でまとめさせていただいております。
5ページ目がウェブサイトの作成ということで、各大学における注意喚起等を行っているウェブサイトのURLを御報告いただきまして、そちらを掲載させていただいております。
それから、7ページ目以降では広報・周知ということで、例えばリーフレット、研究倫理ガイドの中であったり、教員ハンドブックであったり、メールであったり、ポスターであったり、チラシであったりと、このような取組の具体例について御紹介をいただいているところでございます。
それから、少し飛びますが、11ページ目からは具体的な説明会等での説明ということで、論文執筆のセミナーの中でその注意喚起を行っている例や、また、研究倫理の関係で説明をするというような形で御対応いただいているということを御回答いただいたところでございます。
こちらにつきましては、アンケート結果を大学にフィードバックする形で、今後も引き続きこのような事例に対する対応方法について情報共有を図ってまいりたいと考えております。
事務局からは以上でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

【安浦主査】 三宅室長、どうもありがとうございました。
それでは、本検討部会で主査をお務めいただきました引原先生から何かコメントがあれば、短くお願いしたいと思います。

【引原委員】 ありがとうございます。引原でございます。ジャーナル問題検討部会の主査を仰せつかりました。三宅室長から御説明いただきましたけれども、ジャーナル問題というのは、購読費用だけの問題ではなくて、研究データと、その信頼性に関わる問題だと認識しております。そのような意味で、今後のデータの関連の議論にもこのジャーナル問題というものは底流でかなり関わると思いますので、今回説明いただいたアンケート結果はかなり重要だと思っております。特に予算に関わる議論で、エビデンスに基づく議論が重要という認識がありながら、その十分な調査が今までなされてきていないわけです。今回、それが実態としてどうなのかということが分かりましたので、今後の政策あるいは議論への反映を期待しております。ぜひよろしくお願いいたします。
以上でございます。

【安浦主査】 引原先生、どうもありがとうございました。まだ、アンケートが取れた段階で、問題が解決しているわけではございませんので、引き続き、この後、議論します。新しい下部組織も検討しておりますので、その中の検討内容とも非常に関係深いと思いますので、よろしくお願い申し上げます。

【引原委員】 ありがとうございました。

【安浦主査】 本件について、何か御質問はございますでしょうか。各大学、非常にお困りのところがおありと思いますし、それぞれの分野あるいは教員によっては、研究者、教員が問題の本質を認識していないという場合もございますので、そういうことも含めて、国全体の問題として、この情報委員会からいろいろとこの問題についての議論、それから注意事項があれば発信していく必要があると思っております。よろしいでしょうか。
特にどなたも御発言ございませんので、本件、御報告を承ったということで、次に進ませていただきます。
それでは、ここまでは報告でしたが、この後の3件は審議でございます。情報委員会における下部組織の設置の審議で、資料3-1及び3-2に基づきまして事務局から説明をお願いいたします。

【三宅学術基盤整備室長】 では、引き続きまして、学術基盤整備室、三宅から失礼いたします。
今回は、新たな情報委員会の下部組織の設置についてお諮りさせていただきたいと思います。
参考資料4にございますけれども、下部組織の設置については、情報委員会の運営規則第2条で、「委員会は、その定めるところにより、特定の事項を機動的に調査するため、下部組織を置くことができる」、「下部組織の名称は、委員会において定める」としておりますので、今回お諮りする次第です。
具体的な設置の審議につきましては、資料3-1を御覧ください。科学技術・学術審議会情報委員会における下部組織の設置について(案)ということで、今回設置をさせていただきたいと考えております下部組織は、「オープンサイエンス時代における大学図書館の在り方検討部会」でございます。調査審議事項としまして、「オープンサイエンス等の動向を踏まえた、これからの大学図書館に求められる役割や機能等に係る事項」でございます。このような形の下部組織の設置をお願いさせていただければと思っております。
では、具体的な内容につきましては資料3-2を御覧ください。
資料3-2ですが、先に2ページ目を御覧いただければと思いますが、昨今の政府文書等における大学図書館に関する記述を抜粋させていただいております。恐らくこの政府の議論の中では、オープンサイエンスという状況や、研究データの扱いに関して様々な議論がなされる中で、大学図書館においてもいろいろな記載がなされているところでございます。
具体的には、科学技術・イノベーション基本計画の中では、やはり研究データの管理・利活用機能などの大学図書館のデジタル転換等を通じた支援強化を行うために、2022年度までにその方向性を定める、ということや、研究者の研究データ管理・利活用を促進するため、大学図書館職員等も含めた人材もしくは図書館のデジタル転換等の取組について方向性を定める、ということの御示唆をいただいているところでございます。
また、前期の情報委員会と学術分科会の提言の中でも、コロナ禍により、学術情報の集積拠点である大学図書館への物理的なアクセスが制限された結果、教育研究活動に大きな影響が生じたことを踏まえ、大学図書館においては、今後、より一層、デジタル化を進めることが必要であるということや、最後の部分でございますけれども、大学図書館のデジタル化と学術情報のデジタル化は密接に関連する課題である、我が国全体で、多様な学術情報資源の共有等により、大学図書館が相互に連携したデジタル・ライブラリーとなるよう検討・取組を進めるべきであると御示唆をいただいております。
これらの御提言をいただいておりまして、今般、大学図書館に関する議論をする場を設置させていただければというものでございます。
資料3-2の1枚目に戻りまして、こちら設置の内容についての案でございます。こちらも、本日の議論を踏まえまして、内容については修正等を加えて、具体的な議論を進めさせていただければと思っております。
概要につきましては、先ほどの政府文書等の内容を踏まえて書かせていただいております。このような環境の中で、大学図書館という場や、流通を担う役目について検討させていただくものというものでございます。
主な審議の論点案、4つほど書かせていただいております。あくまでも大学図書館というものを中心に、それがどのような形で機能を持ち、役割を果たしていくかという観点でございますので、今後の大学図書館に求められる教育研究支援機能やサービスについての観点、また、その機能を実現するための情報科学技術及び「場」としての大学図書館の効果的な活用についてという論点、また、これらを実現するための人材という観点、また、大学図書館間の効果的な連携、このようなことについて論点として掲げまして、議論を進められればと考えております。
なお、もし設置をお認めいただけましたら、早急に委員等を決めまして、委員構成につきましては、運営規則上、委員会の主査が指名することとなっておりますので、安浦主査と御相談の上、速やかに設置に向けて準備を進めまして、可能であれば、年明け以降、議論を進めまして、結果につきましては情報委員会に御報告をさせていただくという形で進めさせていただければと思っているところでございます。
事務局からは以上です。審議のほどよろしくお願いいたします。

【安浦主査】 ありがとうございました。
それでは、ただいま御説明ございました下部組織の設置案につきまして、御質問、御意見等を伺いたいと思います。御質問、御意見がある方は挙手にてお知らせください。いかがでしょうか。瀧委員、お願いいたします。

【瀧委員】 瀧でございます。
図書館でいろいろな文献を調べるに当たって、図書館司書の方が従来からサポートされていると思います。そこで、オンライン化したときに、いわゆる検索機能に相当するものだけで必要な学術情報にたどり着くかどうかという問題があると思います。そういうところをサポートするような情報システムについても今後重要かと思います。
以上です。

【安浦主査】 どうもありがとうございました。非常に重要なポイントだと思いますので、検討部会の中でも検討していただければと思います。ありがとうございました。
それでは、相澤委員、お願いいたします。

【相澤委員】 図書館というのは、どの大学にもある、歴史ある非常に重要なところで、重要な審議であると思います。先ほどの議題にございました資料2-2や資料2-3のアンケート結果にある担当部署のところを拝見しますと、例えばAPCですとかハゲタカジャーナルの問題についての部署を見た場合に、やはり図書館が一つの中心になっているということと、学内の研究推進担当部門等及び関連の部署との連携が今後重要になってくるという2点が読み取れるかと思います。そういった方面も、難しいこととは思いますが、ぜひ御検討事項に入れていただければよろしいのではないかと思いました。
以上です。

【安浦主査】 ありがとうございます。これは多分、大学の構造改革とも関係してくる話であると思います。研究と最終的な成果の公表、あるいは公表されたデータ及び成果、文献等がスムーズに他の研究者に伝わるという仕組みを国全体としてサポートしていく、そのために図書館がどういう役割を果たすかということをぜひこの検討部会では御検討いただきたいと思っております。今御指摘がありましたように、大学の中での組織的な壁があるなら、そういうところは改善すべきであるというようなメッセージも検討部会から出てくるのであれば、出していただいていいのではないかと思っております。どうも貴重な御意見ありがとうございました。
それでは、塚本委員、お願いします。

【塚本委員】 ありがとうございます。図書館は非常に重要な場だと思います。今回せっかくこういった議論をなさるのであれば、今自治体の中でも全体をクラウドにしようという流れもありますので、適切であれば、共通的な範囲で持てる部分と各大学で持つ部分といったような、抜本的な議論をしていただければと思います。よろしくお願いいたします。

【安浦主査】 どうもありがとうございました。クラウド化でまさに共有できる部分は共有していくというのは時代の方向性ですので、そういった考え方もぜひ入れていただければと思います。
美濃委員、手を挙げていただいていましたけど、何かございますか。

【美濃委員】 図書館の使途については、昔、デジタル化が図書館に入ってきたときにいろいろ議論したのですが、図書館の役割が変わると、そこで働いている人たちの技量のスキルセットが変わってくると思います。その辺りをきちっと考えて人材育成をしていかないと多分うまく動かないと思います。そのような図書館に求められる人材のスキルセットといった話を、従来どおりの司書の資格などに加えて何が要るのかという議論もしていただく必要があるのではないかと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
以上です。

【安浦主査】 どうも貴重な御意見ありがとうございます。人材育成とさらっと書くのではなくて、その人材とはどういうスキルを持った人なのかというところまで踏み込んで、新しい図書館の人材のスキルセットの議論もしてほしいという御意見かと思います。これも重要なポイントかと思いますので、ぜひ検討部会で御検討いただきたいと思います。
ほかにございますか。よろしいでしょうか。
それでは、今いただきました御意見等も踏まえまして、資料3-1の下部組織の設置をお認めいただけますでしょうか。
御異議ないようですので、本件は御承認いただいたこととしたいと思います。どうもありがとうございました。
構成につきましては、委員会の主査が指名することになっておりますので、検討部会の主査の先生とこの検討部会のメンバー等も検討させていただきたいと思います。そこで今いただきましたような御意見に対しても検討していただける委員の方を選ぶように考えていきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。
それでは、次の議題4に移りたいと思います。研究開発課題の検討についてでございます。資料4に基づいて事務局より御説明をお願いします。

【上村専門官】 ありがとうございます。事務局でございます。資料4と参考資料5を用いて、研究開発課題の検討について御説明させていただきたいと思います。
まず、資料4の2ページ目を御覧いただけますでしょうか。こちらは、6月3日の情報委員会において資料1として出させていただいたものですが、今回、そこに赤枠をつけさせていただいております。中間まとめでも御議論いただきましたが、研究DXとそれを支える学術情報基盤のあり方、これの御議論を一旦いただきましたので、それに続く御議論としまして、情報分野の研究開発課題というのが位置づけられていたかと存じます。今年度は、第6期の基本計画を踏まえた情報分野における研究開発等に関する推進方策をおまとめいただくようになっていくかと考えておりますが、今回は、情報分野の研究開発課題に関しての御議論をいただければと存じます。
次に、3ページ目を御覧いただけますでしょうか。表の上に一文書かせていただいてございます。来年度以降、実際は推進していく上では再来年ということになりますが、重点的に進めるべき研究開発課題、すなわち、JSTのCRESTやさきがけの基になります戦略目標の候補をイメージしていただければと思いますが、このような研究開発課題、研究開発テーマについて、情報委員会で御議論をいただくための第一案を、JSTの御協力の下に、こちらの表にあります有識者の皆様の御助言をいただいて作成させていただきました。有識者の方々は、情報委員会の委員の方から何人か御推薦をいただき、また、情報処理学会の各研究会の方々等を御推薦いただいて、皆様から御意見を伺ってきたところでございます。第一案の作成におきましては、JST CRDSの俯瞰報告書を出発点とさせていただいております。
では、4ページ目を御覧いただけますでしょうか。まず、JST CRDSの俯瞰報告書では、技術トピック群から4つの基本的な考え方(技術、産業、社会、基盤)の観点で、国として推進すべき21の重点テーマが挙げられております。
こちらを基に有識者の御意見・御助言をいただきながら、5ページ目に移らせていただきますが、こちらの研究開発課題案をまとめさせていただきました。この各課題の案に関しましては、この後、少しお時間をいただいて御説明をさせていただければと考えております。
まず1つ目、「AIと人間の共進化」でございますが、これはもともと俯瞰報告書に書かれているものでございます。高度なスキルをAIが学習して、人間とAIが協調することでレベルアップを図るという内容になっております。
それから次の「社会システムを支えるAIアーキテクチャー」に関しましては、AIが様々な社会システムに組み込まれている状況(ユビキタスAI)において、多数存在するAIシステムやエージェントの間での交渉・協調・連携等に取り組む研究開発の内容となっております。
続いて、「AIと科学」も俯瞰報告書の内容でございますが、AIやデータ駆動型科学、データ駆動型研究によりまして、これまで人間が到達できていないような科学的発見や理解といったものを目指していくという研究開発の内容になっております。
それから、「AI×ロボット融合」については、AIとロボットの融合的研究から両分野の共進的な進展を狙うものでありまして、身体性を介した自らの行為と世界の関係を学習し、構造化されていない動的環境に柔軟に対応するロボットを目指すものでございます。
「社会的に成長するロボット」でございますが、人間の社会的行動を理解し、自らも社会的・道徳的規範に基づいた社会的行動を取ることができるようなロボットの実現を目指していくものでございます。
続きまして、「ヒト情報学」は、今回、有識者の皆様の御意見をいただいて拡大していった内容でございます。こちらは、「ヒト」に対する本質的な理解を深めるための分析技術やモデル化技術、それから、自然と調和の取れた活力ある社会を創出するための情報通信技術を創出することとなっておりますが、またこの後に参考資料を用いまして、補足で御説明をさせていただければと思っております。
その次の「Swarm AI」も、今回、有識者の皆様の御助言に基づいて拡大していった内容でございますが、多数のAIが人間社会に浸透した状況を想定し、人間とAIがチームで動いているときに、適応的群戦略を創発するSwarm AIの実現を考えているものでございます。こちらもまた後ほど参考資料を用いて御説明させていただければと考えております。こちらは、1つ目と2つ目の融合にも比較的近いかとも考えているところでございます。
それから「コグニティブセキュリティ」に関してですが、人間の認知や思考、意思決定などに悪影響を与える攻撃からの防御に関する研究テーマとなっております。
それからその次の「信頼できるデータ流通基盤」もセキュリティ関連でございますが、様々な実在の間でのデータ流通が重要になってくる中で、信頼できるデータ流通を実現するための基盤技術の研究開発となっております。こちらもまた後ほど参考資料で御説明させていただければと考えております。
それから、「データ駆動型人間中心基盤」ですが、人の情報から自然環境のデータまでを広く集めてきまして、そのような多様なデータを活用して、ビッグデータサービスやAIサービスを提供できるような次世代のデータ駆動型基盤を目指し、これにより、人から人への意思の伝達や人と自然環境の調和などを目指していく研究テーマとして考えているところでございます。
それから、「数学と情報科学」でございますが、数学や数理科学と情報科学の連携・融合による新しい理論・技術の構築を目指していくテーマとなっているところでございます。
それから、「地球環境と情報」は新しく追加したものでございますが、地球環境の解決を目指した「Clean by ICT」と「Clean of ICT」、並びにこれらの「融合技術」と、こういったものを両面で取り組んでいくという観点で目指していくものでございまして、これも後ほどもう少し補足をさせていただければと考えているところでございます。
こういったものを挙げてきたような状況でございますが、6ページ目を御覧いただけますでしょうか。こちらは、AI・ビッグデータ、ロボティクス・インタラクションといった研究分野、研究領域の上に、今お伝えした研究開発の課題案を並べてみた図でございます。例えば「データ駆動型人間中心基盤」は、AI・ビッグデータという分野と、それから人間に関わるところの間に位置するものと見ていただければと思いますし、「AI×ロボット融合」は、その名前が示すとおりではございますが、AIとロボティクスの両方にまたがる、その間に位置するような内容と見ていただけるのではないかと考えております。
さらにその次のページを御覧いただければと思いますが、こちらは、JST及びNEDO等の競争的資金での事業をマッピングしたものでございます。CREST、さきがけやNEDO等のテーマを記載させていただいているものですが、こちらで見ましても、先ほどこれをオーバーラップする前と同様に、比較的左側のAI、ロボティクス、人間の辺りにまたがるところ、もしくは社会までかかっていくところ、この辺りに比較的事業が多く見られるのかと考えられます。一方で、右側の、コンピューティングやセキュリティも幾らかはあるのですけれども、どちらかといえば左の方が多い傾向が、今回書かせていただいている研究開発課題の内容やほかの事業等の動きからも見られるのではないかと考えております。これは御参考として、議論の材料にしていただければと考えているところでございます。
資料4の8ページになりますが、今回いろいろと議論させていただいて、皆様から出た御意見で、関連する点、留意すべき点として幾つか列記させていただいたものでございます。今回、研究開発課題という研究開発のテーマですので、技術的内容が議論の中心にはなってはいたのですけれども、一番上にありますように、やはり目指すべき社会を想定した上で、どのような技術が必要かという議論が重要ではないかという御指摘をいただきました。また、2つ目でございますが、インタラクションについては、最近、コロナ禍でテクノロジーに関して非常に関心が高まっていて、予算的にも戦略的に投入されている部分もあるものの、一方で、身体的観点、例えばアクセシビリティーとかユーザビリティーといった言葉で言われるような観点はまだ弱いところがあるのではないかという御指摘をいただきました。それから3つ目、ソフトウェアやプログラミングという観点も重要ではないかという御意見もいただきました。
以上、資料4に関する御説明をさせていただいたところでございます。
続きまして、参考資料5でもう少し補足をさせていただきます。こちらは、先ほど御紹介させていただいた、JSTの俯瞰報告書から発展させたり、新たにテーマとして追加したりしました5テーマに関して、一件一葉の形でまとめさせていただいたものでございます。こちらもかいつまんで御紹介をさせていただければと思います。
まず、1つ目の「ヒト情報学」でございますが、情報技術を発明した欧米が敷いたレールの上を後追いするのではない観点で、社会を形成する生物種としての人類、すなわち「ヒト」に対する本質的な理解を深めるための分析技術等々に取り組んでいくことが重要であると。主な研究目標の丸1 に書いておりますが、情報技術が社会で活用されるときに、直接的・間接的影響を考慮し、複雑な因果関係を解析する分析技術となっておりますが、情報技術のポジティブな効果、それからネガティブな影響、こういったものも両面で考えていきながら取り組んでいくことの重要性についての御意見もいただきました。
また、丸2 にありますように、人文社会系の学問等々との連携を含めた人間に対する理解を深める上での有用なモデル化技術の創出、それから、丸3 にありますように、複雑な社会とか多様な人々の全てに対して、五感を通じて世界の情報を提供できるような新しいテクノロジー、インクルージョンを実現できるようなユーザーエクスペリエンスの向上を目指していく観点も重要であるという御意見もいただきました。
こういったものが融合することによって、より豊かな社会、体験を基軸とした人間社会の活力を情報技術によって得られるのではないかというところをまとめさせていただいたものでございます。
続きまして、2ページ目、2つ目の「Swarm AI」でございます。先ほども少し御説明させていただきましたが、多数のAIが人間社会に浸透した状況でどういうことになるかというと、主な研究目標の1つ目のところでございますが、AIと人間のインタラクションがどんどん進んでいくことで、ストリーム型オンラインデータと申しますか、次々に、ストリーム型というよりも、もう少し複雑にいろいろなチャネルでデータが随時入ってくるような状況になっていくのではないかと思います。そういった状況でも常に追従して継続して学習できるような機械学習アルゴリズムの開発が筆頭に挙げられております。それに加えて、AIが能動的に人や社会に働きかけられるようなインタラクション、それから、合意形成とか群戦略構築のための技術開発、それから、複雑系科学も含めて、そういったものを支える解析基盤の重要性を挙げさせていただいております。
続きまして3ページ目、こちらは「信頼できるデータ流通基盤」でございますが、信頼できるデータ流通を実現するために、研究目標として丸1 、丸2 、丸3 と書かせていただいております。1つ目、データの機密性、完全性、可用性を保証する技術。それから、2つ目はニュースやソーシャルネットワークといったコンテンツ・データの内容に関わる信頼性を確保する技術。それから3つ目、ネット通販や社会制度などのサービスにおける信頼できるデータ流通、蓄積、利用を実現する技術。こういったところを挙げさせていただいております。
続きまして、資料4ページ目でございます。こちらは「データ駆動型人間中心基盤」でございますが、「人から人への意思の伝達」、それから「人と社会の相互理解」、「人と自然環境の調和」、こういったことを実現していくために、ビッグデータサービス、AIサービスを提供できるデータ駆動型基盤を開発するということですが、人のパーソナルデータだけではなく、災害や環境のデータを活用し、平時、それから非常時にも対応できるようなデータ処理基盤などを目指していければとなっているところでございます。
それから、続きまして5つ目、「地球環境と情報」でございます。「Clean by ICT」、それから「Clean of ICT」、これらを融合して取り組んでいくことを挙げさせていただいております。真ん中の青と緑のところにも書かせていただいておりますが、「Clean by ICT」は環境問題解決に関する技術になっていくかと思っておりますし、「Clean of ICT」は、自然エネルギーを活用していく上で電源が不安定になっていく状況等あると思いますが、そういったものを前提としたコンピューティング技術、それから、電子機器がごみとなって山積みになっていかないような廃棄物ゼロ環境センシングといったものを代表的な研究目標として今は挙げさせていただいております。
参考資料5に関する御説明は以上でございます。
再度、資料4に戻らせていただいて、5ページ目でございますが、こちらが今回、第一案として挙げさせていただいている研究開発課題案の一覧でございます。こちらについて今回と例えば次回で御議論いただいて、この中でどういったものが重要であるかや、優先順位について御議論いただくことが一つの方向性ではないかと思っておりますので、皆様の御議論をいただければと思います。
私からの御説明は以上でございます。

【安浦主査】 ありがとうございました。
ただいま御説明いただきましたように、研究開発課題の検討を14名の有識者の先生方にしていただきまして、ここに挙がっているような12個の課題が提案として出てきております。本日は、この検討に御協力いただきました12名の有識者の先生方にもオブザーバーとして御出席いただいておりますので、何か御質問等があればお答えいただけると思います。
情報委員会として、この12個の中から選びますという話では必ずしもなくて、こういう視点も考えるべきではないかということや、ここにはないような御意見もぜひ出していただきたいと思っております。今お話がございましたように、今回で議論を尽くすのではなくて、これから30分ほど御意見等をいただきまして、その結果、その後またじっくり委員の皆様方にお考えいただいて、12月に予定しております次回の委員会でも引き続き御議論をいただいて、大まかな方向性を出していければと考えております。
この議論の結果はもう来年度は予算が動いておりますので、再来年度の予算要求や戦略目標等に反映されるということで、長期的な視点を持って御議論いただければと思います。
それでは、御質問、御意見お願いいたします。瀧委員、どうぞ。

【瀧委員】 瀧でございます。
非常に俯瞰的で、重要なテーマが提案されていると思います。全般的にわたると思いますが、社会が非常に複雑になってきています。国内もそうですけれども、世界との関係も非常に複雑になってきていますので、多様な価値観をサポートするような視点での情報システムの在り方あるいはAIの在り方という考えでの研究も進めていただければと思います。

【安浦主査】 ありがとうございます。
オブザーバーの先生方から、何かそういう視点での議論をなされたことがあるのであれば、お一方ぐらい御意見いただければと思いますけど、どなたかございますか。特によろしいですか。
瀧先生、ほかに何かございますか。

【瀧委員】 以上でございます。

【安浦主査】 井上弘士先生、お願いします。

【井上弘士先生】 井上でございます。議論は、恐らくこの中でいうとヒト情報学が近いのではないかと私個人的には思っておりまして、ここは御提案いただいた先生もおられるので、補足していただければとは思いますが、結局、このテーマの議論が出たときに、情報ってそもそもいい面と悪い面があって、そのいい面、悪い面がどういう影響かというのは人によって違うよねという議論もありました。そういった観点からも、多様性を持った人にとって、人に限らず社会も入るかもしれませんけれども、情報が本当にどういう価値があるのかといったことを探求する必要があるのではないかという議論がございました。情報共有ということでコメントさせていただきました。

【安浦主査】 ありがとうございます。
大武先生も同じ質問に対するお答えでよろしいでしょうか。

【大武先生】 はい、そうなります。理化学研究所の大武です。「ヒト情報学」について、参考資料5の1ページ目の右下の所、社会へのインプリケーションという部分に、人が自己と他者に価値を見いだせる社会という項目を入れています。こちらが、多様な価値観をサポートする研究を推進した結果、実現することと考えています。現在、SNSなどにおいて、価値観が異なるコミュニティが分断し、対立し合う状況が生じ、問題になっています。異なる価値観を持つ個人や、コミュニティ同士が、それぞれの価値を尊重し、お互いを認め合えるように、情報を提示したり、議論の場を提供したりできる仕組み、技術が必要ではないかという提案になっております。以上、補足させていただきました。

【安浦主査】 ありがとうございました。
それでは、八木委員、お願いします。

【八木委員】 八木です。
全体を見ていて、なるほどと思って見させてもらっていました。私自身も、人やロボットといったこと並びにコンピュテーショナルに関することが中心的話題になるだろうとは思っているのですけれども、その一方で、実社会といいますか、いろんな学問社会との接点を捉えてくると、例えば物理、また化学、そういった分野の方々がまだまだツールとしての技術でしか使えていないのではないかという気がします。特に、AIとの接点などを見ていくと、物理世界で扱われているモデルと、人が制する世界との間をうまくつなぐ社会というのはなかなかできていないのではないかと思っています。その中で一番接点があるのは数学と物理、情報科学なのかもしれないのですけれども、そういう議論はこの中で何かあったのかお聞きしたいと思いました。

【安浦主査】 オブザーバーの先生方で、今、八木委員から御指摘があったような議論はあったかどうか、どなたかお答えいただけますでしょうか。高島様、どうぞ。

【高島フェロー】 CRDSの高島です。
数学については有識者の方とはあまり議論にならなかったのですけれども、CRDSでは、数理科学と申しますか、いろんな学問の根底にある数学の問題をぜひ取り扱うべきだと考えております。まだ検討が不十分ですけれども、先生が先ほどおっしゃったように、物理のモデルや数理科学における力学のモデルといったもの、数理科学と、情報科学あるいは工学などと両方うまく成長していけるような課題についてもう少し検討を深めていきたいと考えております。
ありがとうございます。

【安浦主査】 ありがとうございます。
八木先生、いかがでしょうか。

【八木委員】 ありがとうございます。ぜひ御検討いただけるといいかと思います。周りの分野の方々を見ていても、なかなかツールとしてしか使われていないように感じますので、そこはより融合すれば他の分野の発展にもつながるのではないかと思いました。

【安浦主査】 どうもありがとうございます。
それでは、引原委員、どうぞ。

【引原委員】 ありがとうございます。今の八木先生のお話にも関係すると思うのですけれども、サイバーの部分に関わるAI、その他の情報処理の話と、やはりフィジカルといいますか、その部分のインターフェースの部分の議論がこの文面を見ると欠けているような気がします。その辺りはいかがでしょうか。

【安浦主査】 どなたか御回答ございますか。高島様、どうぞ。

【高島フェロー】 インターフェースという形では大きな議論はしておりませんけれども、当然、サイバーとフィジカルというのは、融合といいますか、両方が絡み合っていくものですので、その中でのセンシングですとかデータの分析処理、あるいはそれをさらにアクチュエーションしていく、社会に戻していく、実世界に戻していく、そういうようなところについてはそれぞれのところで、用語には出ていないのですけれども、意識はして進めているつもりでございます。ただ、アクチュエーションはなかなか難しいという議論は出ておりました。

【安浦主査】 どうもありがとうございます。
木村朝子先生、どうぞ。

【木村先生】 はい。インターフェースという観点では、全般にインターフェース、人というところで、フィジカルな部分というのが大変大事だという話はしておりました。先ほど大武先生がおっしゃっていたのですけれども、ヒト情報学のところで、実際に今、現状のフィジカルの世界で起こっているような問題をしっかり捉えて、アクセシビリティーとかユーザビリティーも含めてインクルージョンを実現するような、そういうユーザー、基本的にはほとんどのものが全て人間が体験するものなので、そういうところにつなげて、現実問題をしっかり順番に問題を分析して、問題に対してアプライしていく、改善していくことによって、共通の見解としての改善法が見つかるのではないかというので、そういう部分もこの提案に入れ込んでいるという理解です。
以上です。

【安浦主査】 ありがとうございました。
井上由里子委員、お願いいたします。

【井上由里子委員】 ありがとうございます。おまとめいただいたものを拝見いたしまして印象に残っておりますのは、人間中心ということが色濃く出ているようなテーマが複数あることです。AIと人間の共進化ですとか、社会的に成長するロボット、それから一番中心になるのはヒト情報学、そしてさらにはデータ駆動型人間中心基盤などがその例ですがデータ・AIに関わる研究で、「人」、あるいは「社会」との関係に注目して、それとの中でうまく調和のできるような社会を築いていこうという方向性が表れていて、情報科学、情報学が人文社会系の学問領域とも連携しながら進んでいくのではないかと期待を持って拝見しておりました。
もう1点、「信頼できるデータ流通基盤」については今年の6月に政府が「包括的データ戦略」を打ち出していることもございまして、「Data Free Flow with Trust」が重要な課題にになってきています。こちらについてはぜひ強力に推進していただきたいと考えています。
以上でございます。

【安浦主査】 どうもありがとうございました。
それでは、美濃委員、どうぞ。

【美濃委員】 美濃です。面白い話が一つあって、ヒト情報学に欧米の敷いた路線に乗らず、と書いてあるのですけれど、やっている話はやはり普遍的な話だという気がします。そうすると、情報処理のレベルが上がってくると社会が違うというような話が出てきますので、それこそ文化的な話に組み込んで何か新たなことをやると独自なことができるわけですけれど、そういう視点の議論はされたのかは気になりますので、少しお聞きしたいと思います。
以上です。

【安浦主査】 オブザーバーの先生方、いかがでしょうか。社会が欧米とは違うという、今回のコロナでもそういう違いが出てきたと思いますけど、高島様、どうぞ。

【高島フェロー】 文化的な背景や、慣習、あるいは倫理的な問題は、共通の部分もあるけれども、かなり大きく変わるところもあると思いますので、そういうところは踏み込んでいかないといけないと考えています。実際に研究を進めるとなるとこのテーマは特になかなか難しいと思います。論文が書きにくいとか、実際の研究になかなか結びつかないとかはあると思うのですけれども、このような課題を設定する、社会としての課題を設定する、それはきっと、我々がやるのであれば日本の価値観に関わってくると思います。日本が日本としての価値観をどこに求めて、どういう課題に向かって解決策を考えていくかという、少しメタの研究になるかもしれないですが、かなり長期的に考えて進めるべきではないかなと考えております。
大武先生、何かございましたらお願いします。

【安浦主査】 大武先生、追加をお願いします。

【大武先生】 文化的な違いというところで、新型コロナの感染拡大という状況に対する人々の行動や政策判断が、文化的な違いによって大きく異なっているのはよく知られていることです。結果、感染拡大状況自体が、国によって大きく異なる、つまり、文化差が、感染状況の違いという形で顕在化しています。同様に、情報通信技術が共通であっても、それが社会に与える影響を把握するためには、文化を考慮することが不可欠です。この時、情報通信技術を社会が受け身で取り入れるだけでなく、社会や文化の要請に基づいて、情報通信技術を設計するという、逆向きのプロセスが必要と考えられ、これには、新しい情報学の構築が必要です。例えば、意思決定をする、個人が意見を持つこと自体が、既に西洋文化に起因していて、そういった中で意思決定支援が情報学の中で扱われています。情報学自体が、西洋文化に立脚している。これに対し、東洋文化の、自然中心といいますか、もう少し違う世界観から出発して、情報学が作れないだろうか、と議論したり考えたりしております。
以上、補足しました。

【安浦主査】 ありがとうございます。
それでは、川添委員、お願いします。

【川添委員】 御説明ありがとうございました。今回、12の非常に重要な研究テーマがここに出てきておりますけれども、その中で気になったものが1点あります。最後に書いてある「地球環境と情報」の部分ですけれども、このテーマは非常に重要であるのは間違いないのですが、このテーマとしてやるべき研究開発もあるとともに、上に並んでいるほかの研究テーマも、実は全部これに関係してくると思っています。といいますのも、日本としては、2050年カーボンニュートラルで、実はNTTグループ、弊社も2040年カーボンニュートラルということを、つい最近、宣言しました。例えばAIあるいはロボットなども含めて全てがカーボンニュートラルに向かうということであるならば、ある意味評価尺度あるいは目的関数として、いかにCO2を出さない技術なのかという観点で、各研究テーマも見ていかなくてはいけない状況になっているのではないかと思っていまして、この部分を今後うまく絡めていかないといけないのかと思っています。確かにそれぞれの学問で、究極を追い求める研究というのは非常に重要でありながら、人類がウェルビーイングであるための目的関数としてのカーボンニュートラルをぜひ盛り込んでいただきたいと思っています。よろしくお願いします。

【安浦主査】 どうもありがとうございます。大局的な見方をお示しいただけたかと思います。
それでは、相澤委員、どうぞ。

【相澤委員】 本当にそれぞれの課題は非常によく考えられていて、すばらしいものだと思います。資料4の6ページに俯瞰図を示していただいているのですけれども、実はこの背後にある四角囲みのキーワードや並び方は重要だと思います。この辺りも御検討されていることと思いますし、過去の経緯とか現在のプロジェクトの構成との整合性もあるかと思うのですけれど、例えば、数個のプロジェクトはAIというキーワードがタイトルに入っているとか、この四角の中ではAI・ビッグデータで一つの四角になっていて、データってビッグなだけでなくて、少数データはどうするかとか、いろんな観点があると思います。この際、四角を分けてみるとか、この配置についてももしかしたら検討の対象かと感じました。

【安浦主査】 ありがとうございます。
上村専門官、この図は文部科学省で作られたのでしょうか。

【上村専門官】 ありがとうございます。こちらの下敷きになっている図は、今回の皆様に御議論いただいた中でもいろいろと御意見をいただいたところです。もともとは俯瞰報告書にあった領域の分類になっていまして、そこから、いただいた御意見を踏まえて、最終的に文部科学省で少し更新をさせていただきました。例えば「AI・ビッグデータ」は元から「AI・ビッグデータ」だったのですけれども、今「ロボティクス・インタラクション」となっているところはもともと「ロボティクス」だけだったのですけれど、やはりインタラクションの観点は重要であるという御意見をいただき追記しました。また、コンピューティングというところも、先ほどソフトウェアも重要ということを少し触れさせていただきましたけれど、そういう御意見を念頭に置いております。また、上のところは、「人間」と「社会」となっておりまして、もともと「社会システム」と書いていたところではありましたが、人間と社会という観点を少し強調するような形で書いております。これが平面に並んでいるという見方もできるのですけれども、一方で、縦に積層しているというように見ていただくこともできます。つまり、上が社会といいますか、アプリケーションといいますか、真ん中の辺りがミドルで、下が基盤というふうにも見ていただくという意図も実は持っていたところでございます。
ただ、こちらは、やはりいろいろな御意見をいただいてきたところで、まとめ上げるところも、皆様の御意見を一つにというのはなかなか難しいところではありました。今回は、この挙げさせていただきました研究開発課題を並べて、位置づけ的なものをより特徴的に見ていただくという観点で、このくくり方や並べ方というものも考えさせていただいて、最終的に文部科学省としてこのように書かせていただいたというような状況でございます。

【安浦主査】 ありがとうございます。
相澤先生、もしより良い御提案があるのであれば、ぜひ次回までにいただけますでしょうか。

【相澤委員】 今の御説明で、10人いれば10通りあるということがよく分かりましたので、結構でございます。

【安浦主査】 ここの絵とか並び方をどう書くかで、結構それぞれのプロジェクトの位置づけもがらっと変わってきますので、非常に重要な御発言だったと思います。もしお考えがあるのであれば、遠慮なく事務局に出していただければと思います。

【相澤委員】 御説明ありがとうございました。

【安浦主査】 ほかに御意見等ございますでしょうか。若目田委員はいらっしゃいますでしょうか。経済界から見たら、こういう研究開発課題というのはどう見えるかという御意見がもしございましたらお願いできますでしょうか。

【若目田委員】 経団連、若目田です。御指名ですので発言したいと思います。掲げて頂いた研究開発課題案は、総じて大変重要なものであると評価をしております。ただし、情報分野の目線としては、先ほども御指摘ありましたが、昨日開催されたデータ戦略推進ワーキンググループの中で示された、包括的データ戦略の今後の具体的な進め方も参考にしながら進めていくべきかと思いました。例えば、パンデミックや防災、教育、健康、医療など準公共分野と言われる領域の課題を起点とした検討の重要性が指摘されています。
研究開発課題案で言いますと、最後に「地球環境と情報」というテーマがありますけれども、その他のテーマについても、SGDsの観点でどういった社会課題に研究成果を生かせるのかという点も意識していただければと思います。また、SDGsの観点以外にも、例えば我が国の産業競争力の観点や、冒頭の資料に少しそれを意識された部分はあったかもしれませんけれども、経済安全保障の観点から我が国が自ら育てるべき技術は何であるかといった目線で全体をチェックし直していただくといいのではないかと思いました。
全体に関しては非常にいいテーマだと理解をしております。
以上です。

【安浦主査】 非常に重要なポイントを御指摘いただいたかと思います。特に社会と一言で言っているところが、もっと細分化して考えると、それぞれのテーマごとに応用分野が違って見えてくるというような感じもいたしますので、今の若目田委員の御意見も御参考にしていただいてまた検討を続けていきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。どうもありがとうございました。
本日の御議論はこの程度にさせていただきまして、引き続き次回も議論を続けていきたいと思います。次回までに、委員会の先生方で御意見や、こういう視点から絵を描いてみたらどうなるかという御要望等ございましたら事務局にお出しいただいて、あるいは、次回、自分が10分程度、思うことを話したいというような御希望がございましたら、そちらも出していただいて結構です。これは国の情報関係の研究方針を決めていく上で非常に重要なポイントかと思いますので、引き続き、委員の先生方、よろしくお願い申し上げます。また、オブザーバーで参加していただきました研究開発課題の検討をしていただいた先生方も、非常によく考えていただいてまとめていただきましてありがとうございました。引き続き、本日いただいた御意見等も踏まえながら深掘りをしていただければと思いますので、よろしくお願い申し上げます。
それでは、議題の5番目に移りたいと思います。分野別研究開発プラン(仮称)及び分野別研究開発プログラムの策定とその評価についての議論でございます。資料5-1と5-2に基づきまして事務局より御説明をお願いします。

【上村専門官】 ありがとうございます。事務局でございます。それでは、分野別研究開発プラン(仮称)及び分野別研究開発プログラム策定とその評価について、御説明をさせていただきたいと思います。
まず、資料5-1の1ページ目を御覧いただけますでしょうか。
第5期の科学技術基本計画が策定された後に、「国の研究開発評価に関する大綱的指針」が改められております。そこで「『研究開発プログラムの評価』のさらなる推進を図る」ということが示されておりました。これを踏まえまして、文部科学省でも評価指針を持っておりますが、こちらにも、研究開発プログラムごとの評価と、それを実施するということが述べられております。
これまで情報委員会で、皆様に、各個別の事業と申しますか、研究開発課題と申しますか、こちらの事前評価や中間評価、事後評価を実施いただいてきており、そういった個別の事業をまとめた研究開発プログラムという形での評価もこれまで重要と言われてきておりますが、それほど多くの頻度では行ってこなかった状況でございます。
2つ目の丸でございますが、第10期、先期の情報委員会の中で、研究開発プログラム評価を試行的に実施していただきました。ほかの分野別委員会でもそういったことを実施したのですが、試行的にやってきたというのもありましたけれども、そこで意見を集約してみると、評価作業が非常に困難であったという意見が多数提出されたという状況でありました。そこで、先期、第10期から今期の第11期にこれが引き継がれまして、8月の研究計画・評価分科会で新たな手法が提案されるということに至っております。この研究開発プログラムの評価に関して、情報委員会の皆様にも、今後、その状況の把握をしていただくということが今の提案の中に含まれておりますので、ここで、その新しい手法及びそれを行っていく上でのフォーマットに関して御意見を伺えればと考えております。こちらは研究計画・評価分科会から情報委員会に依頼として出ているもので、今回、皆様の御意見を集めさせていただくものでございます。
3つ目の丸のところに新たな手法の内容を書いてございますが、少しこれを読ませていただきます。
1つ目のポツですが、毎年度、各分野別委員会等、すなわち情報委員会において、政策評価体系に基づき、「分野別研究開発プラン」の案を策定し、それを毎年8月、研究計画・評価分科会に出して決定するというのが1つ目でのプロセスでございます。
2つ目のプロセスとしましては、後ほど御説明いたしますが、文部科学省の中で設定しております政策評価に「達成目標」というものがございまして、その単位で「研究開発プログラム」を設定する、となっております。
また、政策を評価するための仕組みとして政策評価と行政事業レビューがあり、そこで指標を挙げてフォローアップをしておりますので、そういった指標を用いて「研究開発プログラム」ごとに情報委員会で状況を把握していただき、冬の研究計画・評価分科会に情報委員会から報告いただくことをもって毎年の研究開発プログラムの評価とするとなっているのが、新しい手法として提案されているものでございます。
こちらをもう少し御説明させていただければと思います。資料は飛びまして、3ページ目になります。こちらが、「分野別研究開発プラン」のフォーマットの案でございます。1つ目に、大目標と書いてありまして、これが施策目標というものにひもづけられていて、概要を書くとなっているところでございます。この施策目標も政策評価に対応するものでございまして、これだけだとなかなか分かりにくいと思いますので、後ほど、情報分野ではどうなるかという例をお示しして説明させていただければと思っております。ここではまず、フォーマットの形だけ御説明をさせていただければと思っております。2つ目に、研究開発プログラムという単位、その下のところになりますけれども、こちらでその概要を記載するようになっております。これは先ほど述べさせていただきましたように、政策評価の中の「達成目標」という単位で作ることになっています。その下に上位施策というのを書きます。例えば情報委員会ですと、後ほどお示ししますが、第6期科学技術・イノベーション基本計画といったものに相当するものではないかと考えております。
次のスライドに行きますと、フォーマット案の2ページ目として、この線表を描くというのがフォーマットになっております。この線表の矢印一つ一つが具体的な事業と申しますか、研究開発課題となっているもので、そこの中に、政策評価で用いている指標や行政事業レビューで用いている指標といったものを書いていくことになっております。
こちらが研究開発プランのフォーマットですが、その次のページは、研究計画・評価分科会の事務局が、ナノテクノロジー・材料科学技術分野で例示的に作ったものです。皆様におかれましては情報分野で作成したほうがお分かりいただきやすいかと思っており、7ページ目が、私ども事務局で、現在分かる範囲、検討している範囲で一旦作成をさせていただいたものでございます。
この施策目標8-3や、達成目標1、3と書いているのは、先ほども申し上げましたように政策評価でございまして、こちらは冬頃に公表になるものでございますが、文部科学省の中で政策を推進していく上で今設定しているものでございます。そちらで概要を書かせていただいているのが一番上の大目標で、これは「オープンサイエンスとデータ駆動型研究等の推進」と位置づけておりまして、いわゆる研究DXのことを書いているものになっています。その中で、情報分野として、もしくは情報委員会の皆様にプログラム評価として対応いただく対象が2つあります。1つが達成目標1、こちらは、AI等の革新的な基盤技術の研究開発を進める等、データ駆動型研究の推進に必要となる基盤といった、いわゆる研究開発の推進の部分になっているところでございます。もう一つの達成目標3、こちらは、次世代情報インフラ、「富岳」、それからハイパフォーマンス・コンピューティング・インフラ(HPCI)と、こういったものを対象としているところでございます。
こういった分類で研究開発プログラムをくくり、具体的に対応する事業がどうなっているかと申しますと、「対象となる現研究開発課題等(暫定)」と書かせていただいているところですが、1つ目は、AIPや、Society 5.0実現化研究拠点支援事業、それから統計エキスパート人材育成といった事業が入っています。2つ目は、「富岳」、ハイパフォーマンス・コンピューティング・インフラ(HPCI)の構築といった事業でございます。
これでは、情報分野全体に対してどういうことなのかがお分かりにくいと思いますので、資料5-2を作成しました。こちらでもう少し御説明をさせていただければと考えております。
こちらは「情報分野の全体像」と書いておりますが、情報委員会の皆様に御議論いただくもの全体をこの1枚におおよそまとめてみた資料になっております。先ほどのプログラム1と3という形でお伝えした内容と非常に近いのですけれども、大きく分けますと、左側、「次世代社会を切り拓く先端的な情報科学技術の研究開発」といった内容と、それから右側、「次世代の研究開発を支える情報基盤の構築・運用」といった内容に大きく分かれるのではないかと考えております。
その中で、今扱っております、もしくは要求中のものも含めて、対象となる事業をその下に列記させていただいております。黄色の箱でくくっているところはデータ利活用の促進に主に即するところで、その外に出ているところは、直接的なデータ利活用の部分というよりは、もう少し基盤的なところも書かせていただいております。こういった全体像が情報委員会で御議論いただく内容かと思いますが、その中で下線を引いたところが、先ほど少し読ませていただいたところではございますが、情報委員会の皆様で進捗をフォローアップいただくプログラム評価の対象と今のところ考えられるものでございます。先ほども少し申し上げましたとおり、個別の事業の評価というよりも、それらをくくったときの全体の評価というのがプログラム評価となっております。こちらで見ますと、例えばSINETとかデータ駆動型研究の環境整備というものは、ここの中でのプログラムと申しますか、大きなくくりの中で評価の対象としては入っておりませんが、もちろん、情報委員会の皆様で、ネットワークの整備といったものに関する御議論は今後も行っていただくことにはなるのではないかと考えております。
そういった補足説明をさせていただくのが、この資料5-2でありました。
もう少し御説明をさせていただければと思いますが、参考資料6を御覧いただけますでしょうか。
こちらの14ページが、実際にその研究開発プログラム評価を行うときに、その状況を把握いただくフォーマットでございます。具体的にどういうアクションを行うことになるかと申しますと、今御覧いただいているそれぞれの測定指標や成果指標、活動指標といった指標に相当する数値がどうなっているかを、毎年、事務局でまとめて書かせていただきまして、情報委員会の皆様に提示させていただいて、それで進捗としてどうなのかを御議論いただくことになっております。その下の丸1 、丸2 、丸3 が、事業ごととなってございますが、そういった事業ごとに進捗の数値を記載し、場合によっては、備考のところに「進捗状況を示す資料等を添付し」というのが細かい赤い字で書いてありますので、そういった資料の追加も行いながら、ずっと下に行っていただきまして、「現状についてのコメント(任意)」という欄に、これらの数値を見ていただき、情報委員会の皆様からいただいた御意見を記入させていただくことで、情報委員会としての情報分野研究開発プランの進捗状況と申しますか、プログラム評価という扱いになります。これを毎年冬に行う研究計画・評価分科会に提出しまして、こういう研究開発プログラム評価を行っておりますという報告を行うというところでございます。
再度、資料5-1の1ページ目に戻らせていただきますと、こういった新しい研究開発プログラム評価のやり方をどのようにお考えいただくかという点、それから最後に書いておりますがフォーマットに対しての御意見を情報委員会の委員の皆様から出していただいて、いただいた御意見をまとめて研究計画・評価分科会に報告としていければと思っております。皆様からの御意見、御質問も含めて言っていただければと思います。
私からの御説明は以上でございます。

【安浦主査】 どうもありがとうございました。
非常にややこしいお話で、1回聞いただけではお分かりにくかったかもしれませんが、科学技術・学術審議会の下の研究計画・評価分科会から、このようなフォーマットで進捗状況の評価をしてほしいという要望が来ております。それには対応せざるを得ませんが、一方で、本委員会は、資料5-2の図でお示ししましたように、その枠を超えた日本全体の情報科学技術の方向性、今回もやったところですけれども、そういう議論と、それから、図書館等も含めた全ての学術分野の基盤を支える学術情報基盤の在り方、あるいはそれをどう整備していくかを広く議論いただいておりますので、他の委員会と比べて、かなり守備範囲が広い状況かと思っております。やはり広い視点で御議論いただくことがこの委員会としては最も大切だと思っておりますが、一方で、ここで下線が引かれている部分に関しては先ほどのフォーマットにのっとって報告を上げないといけない状況でございますので、御協力をお願いすることになるかと思います。審議事項としては、ここで御質問、御意見等がもしあればいただきまして、それに対してどういう方針で臨むかを事務局と私で相談させていただきたいということでございます。
どなたか、御質問とか御意見はございますでしょうか。瀧先生、お願いいたします。

【瀧委員】 瀧でございます。
参考資料6の16ページについて質問したいのですが、上にナノテクノロジープラットフォーム、真ん中辺りにマテリアルデータインフラと書いてあるのですが、それぞれの研究の目的や内容によって評価の仕方は変わると思うのですけれども、測定指標、成果指標、活動指標は、それぞれの分野である意味勝手に決めていいのでしょうか。やはり成果が見えやすいものをここに持ってくると非常に見えやすいと思います。それが当初の目標に合致しているかどうかを決定するのがなかなか難しいのではないかと思います。それから、ソフトウェアの分野であれば、いろいろな評価指標を出せると思いますので、その辺のところもあらかじめ参考例のようなものを幾つかつくっておく必要があるのではないかと思いました。よろしくお願いいたします。

【安浦主査】 瀧先生、貴重な御意見ありがとうございます。
事務局、何かございますか。

【上村専門官】 ありがとうございます。今、御意見いただいた指標等に関するところでございますが、実際、こちらの事業の政策的な評価指標を書いているのですけれども、今回書かせていただいてはおりませんが、大体この情報分野の事業に関しましては、指標というのが、例えばその事業で出てきた論文数や特許数というものを挙げているのが現状でございます。行政事業レビューシートや政策評価の中では大体そのような形で評価を行っているのが現状ですので、瀧先生が御指摘くださったように、本来はもっと、個々の研究であれば、その研究の特徴を生かした指標になっていくのではないかと思いますけれども、今後、このプログラム評価の中で皆様に見ていただく指標は、そういった比較的一般的な指標になると御想像いただけると今のところはいいのではないかと思っております。

【安浦主査】 瀧先生の御指摘のような将来的にあるべき姿は何であるかということを議論しながらやっていく必要があると思いますけれど、もう既に走っている、例えば八木先生のプロジェクトなどは急に変えられてしまうと大変困られると思います。今回、固めてしまう必要性も必ずしもないのではないかと思いますので、その辺は徐々に、どういう指標を使うかということを今後議論しながら、例えばAI分野ではこういう指標を考えてもいいのではないかという御意見を今後の御議論で検討していければと思っております。事務局、そのような方向でよろしいですか。

【上村専門官】 ありがとうございます。そういった御意見が今回出たということを次の研究計画・評価分科会に上げさせていただくということと、それを含めて、方針が決まれば、情報委員会としてもそういう進め方を検討していくというのは大変ありがたいことと思います。ありがとうございます。

【安浦主査】 時間がもう参っておりますので、ほかに御意見等ございましたら、事務局までメール等でいただければ幸いでございます。それらも踏まえまして事務局と私で整理させていただきまして、最終的には主査預かりとして御一任いただきたいと思いますけれども、よろしゅうございますでしょうか。
ありがとうございます。それでは、そのような方向性で御承認いただいたということにさせていただきます。
あくまでも、資料5-2にある広い視点から、我が国の学術情報基盤と情報科学技術の在り方について、今後もこの委員会では自由な立場から様々な御意見をいただければと思っておりますので、よろしくお願い申し上げます。
本日の議論はここまでとさせていただきたいと思います。
それでは、事務局から今後の予定など事務連絡をお願いします。

【上村専門官】 ありがとうございます。本日は、皆様、御議論いただきありがとうございました。
次回の情報委員会の予定、こちらは御案内させていただいているかと存じますが、12月10日(金曜日)10時から12時まで、という予定となっております。よろしくお願いいたします。
それから、本日の議題4と5で御意見をいただければと思っておりますので、締切り1週間後、11月2日を締切りと一旦させていただければと思います。議題4で、もっと御意見をいただけるとか、もう少し時間をもって御検討いただきたいという御意見がありましたら、それでも構いませんが、できればこの1週間の間に御一報いただければと思います。再度、事務局から御意見の収集に関しましてはメールで御連絡をさせていただければと思っております。
以上でございます。

【安浦主査】 どうもありがとうございます。
それでは、本日の情報委員会はこれをもちまして閉会させていただきます。お忙しいところ御参加いただきましてありがとうございました。オブザーバーの先生方もありがとうございました。

―― 了 ――

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研究振興局参事官(情報担当)付

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