情報委員会(第16回) 議事録

1.日時

令和3年4月8日(木曜日)15時00分~17時00分

2.場所

オンライン会議

3.議題

  1. 情報委員会主査代理の指名について(非公開)
  2. 情報委員会の議事運営等について(非公開)
  3. 情報委員会における当面の検討事項について
  4. 情報委員会における下部組織の設置について
  5. 令和3年度情報委員会における研究評価計画について
  6. Society 5.0実現化研究拠点支援事業の中間評価について
  7. その他

4.出席者

委員

安浦主査、相澤委員、井上委員、奥野委員、川添委員、小池委員、後藤厚宏委員、佐古委員、田浦委員、瀧委員、塚本委員、引原委員、長谷山委員、深澤委員、星野委員、美濃委員、八木委員、若目田委員

文部科学省

杉野研究振興局長、塩崎大臣官房審議官(研究振興局担当)、橋爪参事官(情報担当)、宅間計算科学技術推進室長、黒橋科学官、竹房学術調査官

5.議事録

今回の議事は主査代理の指名等があったため、開会から議題2までは非公開。
1.情報委員会主査代理の指名について
科学技術・学術審議会運営規則第6条第7項の規定に基づき、深澤委員が主査代理に指名された。
2.情報委員会の議事運営等について
科学技術・学術審議会情報委員会運営規則(案)(資料3)、科学技術・学術審議会情報委員会の公開の手続について(案)(資料4)に基づき、事務局より説明があり、承認された。

(傍聴者入室)

【齊藤情報科学技術推進官】 今、傍聴の方に入室いただけましたことを御報告いたします。

【安浦主査】 ありがとうございます。
それでは、引き続き、議事を進めさせていただきます。
まず審議に先立ちまして、文部科学省の杉野研究振興局長より御挨拶を頂きたいと思います。局長、よろしくお願いいたします。

【杉野研究振興局長】 ありがとうございます。文部科学省の研究振興局長の杉野でございます。本日は、第11期の情報委員会の最初の会合ということでございますので、私から一言だけ御挨拶を申し上げます。
先生方におかれましては、今回の情報委員会の委員をお引き受けいただきましたことに対しまして、まずは心からお礼を申し上げます。ありがとうございました。
社会のデジタル化、これは日本のみならず世界がしのぎを削る重要な課題となってきております。今年度から始まった第6期科学技術・イノベーション基本計画におきましても、Society 5.0を具体化していくことの重要性が強くうたわれておりまして、社会全体での情報分野に対する期待はますます大きくなっていると考えております。
文部科学省におきましても、Society 5.0の実現化に向けて研究・教育などのデジタル化をしっかりと進めていくことが喫緊の課題となっております。情報分野については、AIなど情報分野そのものの技術を伸ばすだけではなく、他の分野の研究との連携や教育への貢献、次世代計算基盤やネットワーク、データ基盤の整備など様々な課題があると承知しております。本委員会において忌憚のない御議論を頂きまして、先生方から御指導、御助言を賜りながら委員会を進めていきたいと考えているところでございます。
安浦先生、それから深澤先生をはじめ先生方には大変お世話になります。どうぞよろしくお願いいたします。ありがとうございます。

【安浦主査】 杉野局長、どうもありがとうございました。
それでは、続きまして、今回、最初の委員会でございますので、各委員からそれぞれ30秒ということで自己紹介をお願いしたいと思います。資料1の順番でお願いしたいと思います。最初に私からやらせていただいて、続いて相澤委員という形でお願いします。
それでは、まず私は、今回、第11期の主査を務めさせていただきます安浦でございます。九州大学のほうは昨年の9月に理事・副学長を退任いたしまして、情報関係では今、この4月の1日からNIIのほうで少し非常勤としてお手伝いをさせていただいております。この委員会は、極めて国全体の、いわゆるDXを進める中でも重要な役割を担っておりますので、委員の皆様方の御協力をよろしくお願いいたします。
それでは、続きまして、相澤委員、お願いいたします。

【相澤委員】 国立情報学研究所の相澤と申します。コンテンツ科学研究系というところに所属していまして、専門は自然言語処理、情報検索、知識処理等です。今期から初めての参加となりますので、皆様の御指導を賜りながら務めさせていただければと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

【安浦主査】 ありがとうございます。
次、井上委員、お願いします。

【井上委員】 井上でございます。私、一橋大学大学院法学研究科で知的財産法を専攻しております。著作権ですとか特許、商標、そういったものが研究対象となります。私自身はデータガバナンスの問題に非常に関心を持っておりまして、ELSIを踏まえたデータガバナンスの在り方ということについては、この委員会でも議論していきたいと思っております。そのほか学術情報の創造ですとか利活用のエコシステムということにも関心がございます。オープンアクセス、オープンサイエンスなどについてもしっかり議論させていただければと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

【安浦主査】 よろしくお願いいたします。
続きまして、奥野委員、お願いします。

【奥野委員】 こんにちは。京都大学の奥野でございます。私自身は医学研究科に所属しておりまして、主に医学応用、また創薬、医療応用に関して情報科学、計算科学をどういうふうに考えていくのかという観点でコメントさせていただければと思っております。また私自身はスーパーコンピューターを用いた創薬計算等も行っておりますので、次世代計算機等のことに関しましても、いろいろと議論させていただけましたら幸いでございます。よろしくお願いいたします。

【安浦主査】 よろしくお願いします。
川添委員、お願いいたします。

【川添委員】 NTTの川添でございます。よろしくお願いします。私は、NTTで研究開発を見ております。今回のCOVID-19で、本当に人類というのは未知なるリスクを背負う存在だと実感しました。そのためにやはり今のイノベーションをもっと拡充していかなければいけないと思っております。今、注目されているデジタル化におきましても、単なる効率を求めるデジタル化から、やはり新しい価値を生み出すデジタル化に向かうために限界を打破したイノベーションを実行していくということで、私のできる限りのところで貢献していきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。以上です。

【安浦主査】 よろしくお願いします。
続きまして、小池委員、お願いいたします。

【小池委員】 日立製作所の小池でございます。私の専門はヘルスケア系の情報処理になるのですけれども、現在は、4月1日よりライフ事業というところの事業開発を行っているところでございます。この3月までは研究開発グループでエネルギーからインダストリーからいろいろな分野、弊社のビジネス領域の技術戦略全般をしておりました。その関係もございまして、各分野におきまして、情報の利活用ということは非常に重要になってきてございますので、いろいろな観点で、どうやって利活用を進めるかということで貢献していきたいと思っております。よろしくお願いいたします。

【安浦主査】 よろしくお願いいたします。
続きまして、後藤厚宏先生、お願いします。

【後藤(厚)委員】 情報セキュリティ大学院大学の後藤でございます。お世話になります。今の大学院の名前のとおり、情報セキュリティー、またサイバーセキュリティーの関係で、この委員会でもお役に立てればと思っております。昨年度も安浦先生の下で次世代計算基盤検討部会等にも入らせていただきました。そういうところで情報セキュリティーの観点からお役に立ちたいと思っております。よろしくお願いします。

【安浦主査】 よろしくお願いします。
それでは、佐古委員、お願いいたします。

【佐古委員】 早稲田大学の佐古和恵です。私は暗号技術を中心に情報セキュリティー、プライバシー、公平性保証を研究しております。前期に続いてよろしくお願いします。民間企業から移籍して教員になって2年目になりますが、いかに社会に技術を適切に使ってもらうかということに視野を広げて研究しております。どうぞよろしくお願いします。

【安浦主査】 よろしくお願いします。
続いて、田浦委員、お願いいたします。

【田浦委員】 こんにちは。田浦と申します。東京大学で情報基盤センター長をしております。あと、その立場もありまして、8大学で一緒に取り組んでいるネットワーク型の共同利用・共同研究拠点があるのですけれども、そちらの拠点長という立場も拝命しております。今後、データ活用が非常に重要視される中、東大だけではなく大学の情報基盤を担うということで、それらがより連携を深めて取り組んでいくべき時代に来ていると思います。こういうところの議論に参加したことをうまく生かしながら、きちっと貢献していきたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

【安浦主査】 よろしくお願いします。
続きまして、瀧先生、お願いします。

【瀧委員】瀧でございます。私は40年ぐらいAI分野の研究をやってきました、企業にも在籍していましたので、情報処理関係の応用にもかなり力を入れてまいりました。Society5.0実現化研究拠点支援事業推進委員会の主査もやっており、今日、そちらの報告もさせていただきます。今は、大学は定年になりましたが、この後も引き続きデータサイエンス関係の教育・研究をいろいろな形で世の中で進めていきたいと考えております。どうぞよろしくお願いいたします。

【安浦主査】 よろしくお願いいたします。
続いて、塚本委員、お願いいたします。

【塚本委員】 キャタピラーの塚本と申します。皆様と比べますと、一番情報から遠いような印象ですが、、鉱山用の大きな機械ですとか建設機械を造る製造業に勤めております。現職の前はIBMにおりまして、その関係もあり、今回貴重な機会を頂戴したと思っております。在日アメリカ商工会議所で理事として、デジタル系の委員会のとりまとめをやっているなど現在も関係がありますので、皆様のお話等をお伺いさせていただき、たいへん微力ながら少しでも議論のお役に立てるよう頑張ります。どうぞよろしくお願い申し上げます。

【安浦主査】 よろしくお願いします。
続いて、長谷山先生、お願いします。

【長谷山委員】 北海道大学副学長の長谷山です。副学長担務はデータサイエンスです。また、情報科学研究院長を務めております。専門はビッグデータ解析、AIです。データ駆動型科学におけるAIの社会応用に向けた研究を行っております。本委員会に貢献できればと思っております。よろしくお願いいたします。

【安浦主査】 よろしくお願いいたします。
次に、引原先生、お願いします。

【引原委員】 京都大学の引原でございます。現在、図書館機構長、附属図書館の館長も兼ねているわけですけれども、機構長をさせていただいております。学術情報流通に関わる仕事をさせていただいており、前期はジャーナル問題検討部会で主査を仰せつかりまして、審議をまとめさせていただきました。今期続けてということはないと思いますが、ぜひその先の議論をよろしくお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

【安浦主査】 よろしくお願いいたします。
続きまして、主査代理をお願いしております深澤先生、お願いいたします。

【深澤主査代理】 早稲田大学の深澤と申します。今年からなのですが、先ほど安浦先生から主査代理を仰せつかりました。専門はソフトウエア工学、ソフトウエアやシステムのつくり方を研究しています。今、大学ICT推進協議会、AXIESの会長もさせていただいております。そういうところとの連携も図りながら、できるだけのことをさせていただきたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

【安浦主査】 ありがとうございます。
それでは、星野委員、お願いいたします。

【星野委員】 慶應義塾大学経済学部の星野と申します。計量経済学、統計学、機械学習の専門でございまして、理化学研究所AIPセンターのチームリーダーも兼務させていただいております。また内閣官房のEBPMのデータ利活用ワーキングの委員もさせていただいておりまして、政府によるビッグデータと、行政記録データの活用とかデジタル庁関係の仕事もさせていただいております。政策科学においてもビッグデータの重要性というのは非常に高まっております。また今年度から基本法での人文科学の振興ということでございますので、そのような観点から議論に微力ながら貢献できればと存じます。よろしくお願いいたします。

【安浦主査】 よろしくお願いします。
次は、美濃委員、お願いいたします。

【美濃委員】 理化学研究所の美濃と申します。元々京都大学にいまして、実は科学官をやらせてもらったりしていまして、この委員会の前身である情報科学技術委員会の委員もさせていただきました。このたび久しぶりに呼んでいただきまして、理化学研究所の立場を忘れて日本全体のことを考えながら、いろいろと勉強させていただきたいと思いますのでよろしくお願いいたします。

【安浦主査】 よろしくお願いいたします。
次は、八木委員、お願いいたします。

【八木委員】 大阪大学の八木でございます。今期も引き続きよろしくお願いいたします。私は、学生の頃からずっとコンピュータービジョンの研究をやっています。この間、考えてみると40年近く同じような研究を、企業のときも大学に戻ってからもずっとしているのだなとつくづく思った次第です。コンピュータービジョン、いわゆる人が物を見るという機能を計算機で実現する研究をしているわけですが、それに加えて先ほど瀧先生から少しお話がございましたが、今日、中間評価もありますが、Society 5.0実現化研究拠点支援事業をやらさせてもらっておりまして、コンピュータービジョンとは全く違うことを60過ぎてからやり始めました。この事業では学術研究で得られたパーソナルデータをさらに民間で2次利用するという試みをやろうとしています。パーソナルデータの取引市場というものを構築し、学術と産業界との間のエコサイクルがうまく回らないかなと思っています。ウェルネスとか健康というキーワードになっていますけれども、どういう世界が生まれるのか、特にコロナの中で社会も変わってきていますので、我々の取組が先進的なものとして世の中に根づくことを願って今頑張っているところです。よろしくお願いいたします。

【安浦主査】 ありがとうございます。
それでは、若目田委員、お願いいたします。

【若目田委員】 若目田でございます。本職は日本総研というところで官民データの活用・流通に関するコンサル・アドバイス等をしておりますけれども、今回、立場として経団連の中でデータ戦略ワーキングの主査を務めていますので、経団連と学術研究の橋渡しの役割を担いたいと思っております。もう一つ、dataex.jp、データ社会推進協議会の理事を務めておりまして、今後、産官学のデータ流通に関するいろいろな仕組みをつくっていくという役割を担っております。そういうデータ流通の活性化であるとか、そのためのデータガバナンスとかプライバシーガバナンスの必要性というものを認識しておりまして、そういう観点からいろいろと貢献できたらと思っております。よろしくお願いいたします。

【安浦主査】 よろしくお願いいたします。
以上、お一人御欠席でございますけれども、第11期の委員の皆様方の自己紹介でございました。かなり幅広い分野から御参加いただいておりますので、それぞれのお立場から日本全体のことも考えながら、この委員会での御審議をよろしくお願いしたいと思います。
それでは、議題3に入ってまいりたいと思います。情報委員会における当面の検討事項でございます。初回でございますので、この情報分野に係る最近の施策の動向を、まず事務局から御説明いただいた上で、各委員の皆様から問題意識等を伺いながら意見交換をさせていただきたいと思います。
それでは、資料の5に従って、橋爪参事官から御説明を頂きます。橋爪参事官、よろしくお願いします。

【橋爪参事官】
それでは、資料5に沿って最近の施策の動向等を御紹介させていただきたいと思います。まず資料5の2ページですが、内容としては、情報分野に関連する主な政策動向、それから情報分野に関する文部科学省の主な取組、そして今後の検討ということでまとめさせていただいております。
3ページですが、主な政策動向として5点御紹介しようと考えております。1つ目は、国全体の科学技術・イノベーション基本計画、これが新たにスタートしておりますので、その御紹介、それから2つ目としましては、前期の情報委員会における主な検討の状況、それから3点目、4点目で文部科学省としてのデジタル化、特に研究に関するDXについての取組方針、それから最後に、政府全体のAI戦略に関して御紹介をしたいと思っております。
順次進めていきたいと思いますが、4ページ目をお願いします。科学技術・イノベーション基本計画ですが、これは科学技術・イノベーション基本法に基づく基本計画でございます。これはもともと科学技術基本法という法律であったのですけれども、令和3年の4月1日に改正が行われまして、法律名が科学技術・イノベーション基本法に変わるとともに、法律の対象も、従来除かれていた人文科学のみに係る科学技術がが含まれることになりまして、あらゆる学問分野が対象になったということ、それから法律の名称にもありますように、イノベーションの創出もカバーするようになったということで、大きな改正があったところでございます。科学技術・イノベーション基本計画は、第6期となっておりますが、この新しい基本法に基づく最初の基本計画ということになります。
6ページをお願いします。今まで1期から5期まで続いてまいりましたが、特に基本計画第5期では、世界に先駆けてフィジカルとサイバーが融合する社会、Society 5.0の概念を提言しております。ただ、その後、なかなかこれが実現に至らない状況になっているということで、第6期では、特にSociety 5.0を具体的に実現していこうというところが主要な課題になっております。
7ページをお願いいたします。科学技術・イノベーション基本計画第6期の概要でございますが、Society 5.0を実現していくということで、情報分野に関する記載が非常に多くなっております。下のパートの(1)に関して、サイバー空間とフィジカル空間の融合による新たな価値の創出ということで、デジタル化の推進やデータ戦略の推進、それからBeyond 5G、スパコン、半導体、量子技術など情報関係の取組というものが多く入っております。また、そのパートの一番下のところでは、AI技術について、政府の戦略に沿って進めていくことも記載されております。また研究力の強化という観点でも、右のパートにもありまして、(2)で新しい研究システムの構築というところでは、オープンサイエンスとデータ駆動型研究の推進が主要な事項になっております。このように、科学技術・イノベーション基本計画におきまして、情報分野をしっかり進めていくということがうたわれているところでございます。
8ページ目ですけれども、具体的には、主に文部科学省関連では、データ基盤の整備とか、SINETや富岳などの計算基盤、そうしたインフラの整備の観点、それから先端技術の研究開発ということでAI戦略の実施、それから基盤分野を含めた数理・情報科学技術研究の加速といった点などがミッションとして与えられているところです。また人材育成の観点でも、デジタル社会を担う人材の育成や教育体制の充実があります。まだほかにもございますが、特に情報の観点からは、このような記載が盛り込まれておりまして、文部科学省としても、これに従って具体のアクションを起こしていくことが求められています。こうした基本計画に盛り込まれている内容、課題につきましては、前期の第10期の情報委員会におきましても、かなり熱心に議論を頂きまして、そうした情報委員会の提言も含めて内閣府とも調整しながら基本計画に盛り込んできたという状況でございます。
続きまして、9ページです。前期の情報委員会の取組状況について、情報委員会本体としては、先ほど申し上げましたように、前半では第6期に向けた検討を行っていただきました。その後、去年の9月には、コロナ禍を踏まえた今後の学術研究、そして情報分野の取組方針について、学術分科会と共に提言を出していただいたという状況であります。それから検討部会を2つ設置していただいておりまして、1つはジャーナル問題検討部会、これにつきましては引原委員に主査を務めていただきまして、今年の2月に一旦、審議まとめを行っていただいております。ですので、これをいかに実施していくかというのがこれからの課題になってございます。それからもう一つの検討部会は、次世代計算基盤検討部会でございます。現在は、ポスト富岳を含めた次世代計算基盤の在り方について検討を行っていただいているところでございます。これは、まだ検討は継続しておりますので、引き続き、その検討を進めていくということで、後ほど、この検討部会の設置についても御審議いただければと考えてございます。
続いて、10ページから、それぞれの提言の概要と、ジャーナル問題検討部会の審議まとめの概要を載せておりますが、10ページのほうを少しだけ触れさせていただきます。コロナ新時代に向けた学術研究及び情報科学技術の振興方策ということでございますが、方針としては基本計画に盛り込まれているものと同じ方向ですが、まず学術研究への投資が非常に重要だということと、情報科学技術が学術研究全体の振興を支える基盤であるという考え方の下で、それを支える情報科学技術への投資の拡充も併せて行っていく必要がある、さらには研究のデジタル・トランスフォーメーションを推進して、研究手法、そして研究環境を高度化していくことが重要だということが基本的な方向性として示されてございます。詳細については御覧いただければと思いますので省略をさせていただきます。
11ページ、12ページは、ジャーナル問題検討部会の審議まとめでございますが、それぞれ課題を早急に取り組むべき課題、それから着手すべき課題、検討を開始すべき課題ということで整理をしていただいております。ここで御指摘いただいた課題について、具体の取組方針も書いてありますので、これを順次実施していくということが課題となってございます。
続いて、13ページ以降で、文部科学省におけるデジタル化推進への取組に関して御紹介をさせていただきます。13ページは、文部科学省としてのデジタル化推進プランということで、教育、研究、そして文化、スポーツまで文部科学省の担当分野におきましてデジタル化を進めていくということでございます。
特に研究に関しましては、18ページを御覧いただきたいのですが、研究のデジタル・トランスフォーメーションということで、先ほどもございましたが、単に研究の行為あるいは過程をデジタル化していくということだけではなくて、研究の手法そのもの、あるいは研究環境を次世代のものにレベルアップして、研究をめぐる様々な環境を変えていこうというような取組でございます。主に3つの柱で開始をしておりまして、1つ目は研究データの収集・共有とAI・データ駆動型研究の推進、それから2つ目としまして、研究施設・設備のリモート化・スマート化、そして3つ目として、これらをつなぐ次世代の情報インフラの整備ということでネットワークや計算基盤の整備を挙げております。現在、取組を開始しているものではありますが、DXは、短期的に完了するものではなくて長期的に取り組んでいくべき課題ですので、いかにこれを充実・加速していくかが喫緊の重要な課題と考えております。後ほど今後の検討課題について御議論いただきますが、この点をしっかり進めていく必要があると考えておりますので、御意見を賜れれば大変ありがたいと考えております。
続きまして、20ページですが、AI戦略について御紹介をさせていただきます。2019年に国としてのAI戦略が策定されております。21ページも含めて、主な内容としては人材育成、研究開発、社会実装、データ・トラスト・セキュリティー、このような観点から各府省の取組をまとめているところです。文部科学省におきましては、20ページの人材育成と研究開発を主に担当しておりまして、人材育成につきましては、初等中等教育段階から大学、そしてエキスパートレベル段階まで各レベルに応じて取組を行っております。また研究開発につきましては、理化学研究所に研究拠点としてAIPセンターを設けまして、産総研、NICTと共にAI研究の中核機関として、主に基礎理論や高品質かつ信頼できるAIを中心に取組を進めております。
22ページは、人間中心のAI社会原則についてですが、AI戦略に合わせてAIを実装していく上での原則として定められておりまして、G20等で国際的に発信をしてきております。
以上が主な政策動向でございます。
続きまして、23ページ以降で、それに従って当省で取り組んでいる施策を御紹介させていただきます。
24ページに、全体をまとめておりますが、主に研究開発の支援、それから情報システムの基盤整備、それから教育・人材育成というカテゴリーで整理しております。
25、26ページは、それぞれAIに関する研究支援の取組、25ページは理化学研究所に拠点を設けて取り組んでいるというもの、それから26ページはJSTの競争的資金で支援を行っているというものでございます。JSTの競争的資金に関しましては27ページ、28ページに、それぞれ最近開始したものの概要を載せさせていただいておりますが、27ページは信頼されるAI、それから28ページはSociety 5.0時代の基盤ソフトウエア技術ということで取組を開始しつつあるところでございます。
それからその他の研究開発支援としては、29ページにSociety 5.0の先導事例を実現していくための支援というものを行っておりますが、これは後ほど中間評価として御審議を頂きます。
30ページはマテリアルの分野、それから31ページはバイオの分野でもデジタル・トランスフォーメーションを進めていくという取組でございます。
32ページから基盤の整備というところでありますが、32ページ、33ページは、計算資源ということで、スーパーコンピューター富岳や大学のハイパフォーマンス・コンピューティング・インフラについてです。それらを整備・運営して、全国の研究で使っていただくような枠組みを整備しています。
34ページは、ネットワークと研究データの基盤でございます。国立情報学研究所でSINETというネットワークを整備していただくとともに、令和4年度からはこれをグレードアップしていく予定でございます。その際には、ネットワークのみならず研究データ基盤も併せて機能として増強していくことを構想しております。こういうことでインフラとしては計算資源、それからネットワーク、研究データ基盤、この3本柱で進めているところでございます。
35ページは、SINETと連携をいたしまして、広域でデータを収集・集積・解析するシステムを9大学2研究所で進めていただいております。これも全国で使っていただける基盤として成長していくということが期待されております。
それから基盤関係では、36ページが、共用施設等のリモート化・スマート化を支援する取組、あるいは37ページは、JSTの科学技術情報の流通促進事業です。
38ページのデジタルを活用した大学・高専教育高度化プランは、大学や高専のデジタル化を支援する取組でございます。
39ページ目以降が、教育・人材育成でございますが、GIGAスクールの構想の実現、それから40ページですけれども、大学における数理・データサイエンス・AI教育の全国展開、それから41ページ、42ページでは、エキスパートレベルの人材育成に関して、それぞれ、統計人材、それからデータ関連人材の育成に取り組んでいるところでございます。
以上が主な取組でございます。
今後の検討に関してですが、本日の議論のたたき台にしていただくために、事務局で1つの案を用意させていただきました。46ページ目を御覧いただければと思います。第6期科学技術・イノベーション基本計画がスタートしておりますので、それについてどう具体的に取り組んでいくのかという戦略を御検討いただくということが最も大きな課題と考えてございます。その内容としては、例えば、情報分野の研究開発課題としてどのようなものに重点化していくのか、あるいは、研究のDXの推進をどう加速していくのか、また、教育その他の分野との連携という課題もあるかと思います。また、このような検討を行うには、横串の視点としてセキュリティ、トラストの観点、あるいはグリーンの観点、あるいは国際の観点も重要かと考えております。また半導体戦略やBeyond 5Gといった経産省、総務省が中心となっている取組とも整合性を確保しながら進めていく必要があるかと考えております。
それから情報委員会本体そのものではありませんが、下部組織または外部の組織と連携して検討する課題として幾つかあると考えております。まず計算基盤の関係では、ポスト富岳を含む次世代計算基盤の在り方について検討部会を引き続き設けていただいて審議していくということが1つございます。またネットワークの関係では、SINETにつきまして、様々な分野に活用を拡大していくということが課題になっております。この点は実施機関でありますNIIとも連携して検討を行っていくということかと考えております。またデータの関係では、データ基盤を整備していくとともに、ルールについても整理・整備していく必要があろうかと考えております。また、学術情報流通の関係に関しましては、大学図書館のDXというのも1つ課題かと考えております。これは、あくまで事務局の案でございますので、本日、先生方に御議論いただければ大変ありがたく存じます。
資料5の説明を以上で終わらせていただきます。よろしくお願いします。

【安浦主査】 橋爪参事官、どうもありがとうございました。
本当に情報委員会がやらなくてはならない、議論しなくてはならない問題というのがたくさんあるということで、その中で事務局から整理していただいたものを今お示しいただきました。ただいまの御説明につきまして、この11期、今年度と来年度で議論しておく必要がある問題等、委員の皆様方からお気づきのことがありましたら、ここで20分ほど時間を取って議論をしたいと思いますので、御意見等を頂ければと思います。御自由に御発言ください。川添委員、どうぞお願いします。

【川添委員】 御説明ありがとうございました。
最後にまとめていただいたところで1つだけコメントさせていただければと思います。今回、COVID-19で本当にいろいろと環境が変わったということをかなり意識したといいますか、今までと違う観点で考えていかなくてはいけないポイント。それから政府も発表した、2050年のカーボンニュートラル、ここでグリーンというふうに挙げているのはもしかしたらそれかもしれませんが、そのカーボンニュートラル、環境エネルギーを考えてやっていくという点。それは今回のこの検討事項の中で言えば目的でもあって、かつ、それをベースにした取組、あるいは研究開発を考えていかなくてはいけないと思っています。そういう観点で、これまで議論されてきたと思うのですが、今後、どういう形で進めていくのかという考えがもしあれば教えていただきたいと思います。
よろしくお願いします。

【安浦主査】 その問題点について、今後、この委員会で、グリーンやカーボンニュートラルをテーマにした話題提供を頂いていくことも考えていかざるを得ない状況かとは思っておりますので、今、御指摘いただいた点を今後の進め方の中で少し検討させていただきたいと思います。
ありがとうございました。

【川添委員】 よろしくお願いします。

【安浦主査】 奥野委員、お願いいたします。

【奥野委員】 奥野です。よろしくお願いします。
私、前期もこの委員会に出ておりましたけれども、昨年も時折話は出ていたのですが、やはり人材育成の観点というのを考えていく必要があるのではないかと。どちらかというと昨年は、ハードウエアとか物に関する基盤とか、そういう議論はかなりリッチになりまして、途中からコロナの件でそういう話にもなりましたけれども、やはり特に人材育成というのを真剣に立ち返ってやらなければ、本当に我が国の情報技術・情報科学というのが強くならないと思っています。また、どうしてもこの委員会の議論というのは、高等教育以上というか大学以上の議論になるのですけれども、やはり世界で、20年後、30年後に本当の意味で日本が勝っていくためには、小中学生の情報教育から見直す必要があるのではないかと。そう考えると小中学生の情報教育をできるような教員というのが恐らくいないと思いますので、大学の情報学の先生方が下に降りていって本来どうすべきかといったことを考えるとか、そういうことも非常に重要なのではないのかと思いました。昨年の委員会では、そのような視点の話というのは全くなかったので、例えば人材育成にフォーカスを絞った話も必要なのではないのかと思って御提案させていただきました。

【安浦主査】 どうもありがとうございます。
GIGAスクールで小中学校にも端末が配られておりますので、その生かし方も含めた議論というのも必要になってまいります。どちらかというとこの委員会は、研究振興局の下にあるということで研究に偏った面がございましたけれども、もう研究だけでは社会が動かないということは見えていますので、文部科学省が関係する教育、研究、さらにはそれを支える事務等の業務一般、そういったことの情報化まで含めた議論も何らかの形で、この委員会で全部やるかどうかは別として考えていく必要があるということは、参事官ともいろいろ相談しているところでございます。また先生からもいろいろ御指導いただければと思います。
どうも貴重な御意見をありがとうございます。
瀧先生、お願いします。

【瀧委員】 瀧でございます。
今回、第6期の科学技術基本計画のところにイノベーションというものがタイトルの中にも入ってきたわけですが、このイノベーションを考えようとすると、従来の施策はかなり基礎的なところが中心だったと思います、それから情報インフラ的なところが中心だったと思います。これからイノベーションを起こそうと思うと、社会を巻き込むということが非常に重要になってくるかと思います。よく議論の中にGAFAの話が出てきますが、GAFAはどちらかというと民間主導でやってきた技術イノベーションだと思います、そういったことも少し考えながら、イノベーションが起きやすいように、いろいろなことを併せて考えていく必要があるかと思うのですが、主査の先生はその辺りをどうお考えでしょうか。

【安浦主査】 今の視点も非常に重要でございまして、この委員会にも井上委員とか星野委員とか法律関係の先生方、あるいは経済の先生方、さらに経団連の若目田委員とか、そういう経済界からの委員の方も御参加いただいております。まさにイノベーションは、社会を変えていくということですから、制度からサービス、そしてそれを支える技術という考え方で、全てを一体として研究もやっていかないといけませんし、教育自身が、去年からそういう環境でやらざるを得ない状況に入っております。そういうことも含めてこの委員会で、少なくとも問題を洗い出して整理するというところはやらせていただいて、具体的なところは個別に、また、この委員会の下につくるか、あるいは別途つくっていただくかは文科省と相談させていただきますけれども、国としてきちっと検討していく必要がある問題であるという認識をしております。

【瀧委員】 ありがとうございます。

【安浦主査】 ほかにございますでしょうか。
田浦先生、どうぞ。

【田浦委員】 ありがとうございます。田浦です。
奥野先生がおっしゃった人材育成というところに私も1票入れさせていただきたくて発言させていただきます。人材育成はもちろん、ユニバーサルに大事で、いろいろなタイプの人材が要ると思うのですけれども、この情報基盤を担うという重要な責務に関して、いわゆる研究をばりばりやるタイプの教員が評価されるのとは違う点で評価されないといけないというか浮かばれない。基盤を設計、そして運用まで含めてやっていくのに非常に高度な情報系の技術を有しているのですけれども、やはりいわゆる論文で評価される研究者とは違うことに普段の時間を使わないといけないので、そういう方が現状の評価システムの中でうまく評価されないという問題があると思っています。なので、人材育成という中に、そういう基盤を担う人を含める場合に、併せて人材の評価という視点、評価の仕方をこれまでの論文だけではない評価、そういう方々に対するキャリアパス等の視点を含めていただけるといいのではないかと思って付け加えさせていただきました。

【安浦主査】 どうも大切なポイントをありがとうございます。
情報技術、情報学といったものが社会の基盤になっているということは、物を作って終わりという話ではなくて、そのシステムを運用して継続的に発展させていくという作業が常に必要になってくるわけです。そこをどう評価していくかというのは非常に重要なポイントで、田浦先生は実際に基盤センターで、日々そういう業務をやる人たちとも常に付き合っておられるということでございます。日本の科学技術あるいは教育も、遠隔教育等を入れようと思うと、今までの小中学校の基盤だけでは動きませんので、そういうことを支えていく仕組みも必要になってきます。そういうことも含めた仕組みと人材のキャリアパス、育成方法、こういったものは何らかの形で検討していただくように、参事官には初等中等教育局とか高等教育局との間も連携を取りながら考えていただくようにお願いしておりますので、そういったところも含めた御議論を、できればこの委員会で、社会としてどうあるべきだというようなことを、特に経済界等から入っていただいている委員からも出していただければ、何らかの提言的なものをつくっていけるのではないかと思っておりますのでよろしくお願いいたします。
田浦先生、どうもありがとうございました。
今、瀧先生とか田浦先生のお話にも出ましたように、いわゆる情報の技術の話ではない制度の話ですとか社会の仕組み、成り立ちに関わる問題が、ここでも議論をする対象になると思いますけれども、この辺につきまして、井上委員とか星野委員から何かございますでしょうか。
星野先生、どうぞ。

【星野委員】 具体的にという話で考えますと、例えばこれはコロナの話で、今もございましたが、ハーバードのラジ・チェティという経済学者がおりまして、その方がビッグデータをずっと集めていました。目的はコロナとかでは全くなくて、どういう地域でどんな教育活動がされていて、どういう投資や消費行動が行われていて、生活行動があって、どんな雇用がされていたかという、それはあくまでも雇用とか経済とか教育に関するデータが集まっていたのですが、コロナになって、実はそれがアメリカで一番いいデータであって、米政府がそのデータを使っていろいろな政策を考えるということができたということがございまして、平時においてもそういった経済状況だとか社会科学的な、社会の人々の行動を可視化するというかデータを集めておくというのはそういった非常時において、非常に重要かと思います。今後、様々な地震などが起きるかもしれませんし、今回のコロナだけに限らず、そういった投資をしておくということは人々の安心にもつながりますので、そういった観点で、インフラだけではなくて、どういったデータを集めるかということに関しても御議論いただければと思います。
ありがとうございます。

【安浦主査】 どうもありがとうございます。
データ基盤でどういうデータを集めるかということも、この委員会の1つの大きな議論のポイントかと思います。
小池委員から手が挙がっております。お願いいたします。

【小池委員】 小池でございます。
そういう意味で申しますと、やはりデータ・フリー・フロー・ウィズ・トラストの枠組みというものをどうしていくか、データガバナンスをどうしていくのかというのも結構関係しているのかと思います。こういうことはやったほうがいいですよねというところまでですと、なかなかお金が回らなくなってしまうので、何らかの形でビジネスが回っていくようにならないと、サステーナビリティーがないというか、データを集めて、それをマネタイズして、みんながハッピーになるという形にならないと思います。それをするために、やはりデータの規制は、誰のデータかとか、データガバナンスが決まっていかないと、その辺りが進まないのかと思いますので、DFFTはDFFTで、またお考えになる委員会等はあるとは思いますけれども、そういうところも視野に議論ができたらいいかと思います。
以上でございます。

【安浦主査】 どうもありがとうございました。
特に個人のデータの取扱い等に関しては、この後、審議いたします八木先生のほうでやっていただいているプロジェクトの評価の中でも、また御意見等を頂ければと思います。よろしくお願いいたします。
ほかに何かございますか。
井上委員、お願いいたします。

【井上委員】 恐れ入ります。井上でございます。
データガバナンスの話が今出てまいりましたけれども、これは本当に重要な問題と考えております。データオーナーシップといいますと、例えばパーソナルデータ、産業データ、様々な種類のデータがあるわけですけれども、今までの知的財産権ですとか、そういう枠組みではなかなか捉え切れない新しいタイプのデータオーナーシップの問題が生じているということです。この問題を社会の中でどう解決していくかということを考えますと、例えば法律で、国がこういう形にしましょうというようなトップダウン型の解決策もあるわけですし、それから民間が知恵を出し合いながら現場の知恵で解決していく、契約などのやり方もあると思いますが、そのいずれかということではなくて、共同規制といいますか、様々なステークホルダーが集まって知恵を出し合うことで解決策を見いだしていくというのが最近の動きなのかと思います。こういうことを実証しながら、この後出てくる話だと思いますけれども、実証を回しながら利用者の声も聞いてつくり出していくことが重要だろうと思っております。こういった観点につきましても、ぜひこの委員会で様々な議論を頂けたらと考えております。
以上です。

【安浦主査】 どうもありがとうございます。
その辺、井上先生の御専門の立場からもいろいろ御意見を頂ければと思います。

【井上委員】 よろしくお願いいたします。

【安浦主査】 あとお二方、手が挙がっております。後藤委員から手が挙がっております。お願いいたします。

【後藤(厚)委員】 ありがとうございます。後藤でございます。
今非常にいい御意見が出ているなと思ってお聞きしておりました。そこで、この委員会の進め方について質問ですが、例えばデータの関係ですと、ちょうどデジタル庁の関係で、官邸でデータ戦略の議論がされており、それから私が関係しているところですと、セキュリティー関係ではサイバーセキュリティー戦略が議論されている。つまり非常に関連の深いことが他の省庁やいろいろなところで議論されているわけなので、そういうところと、今後この委員会としてどのようにリエゾンを取っていくのだろうかと思いました。情報委員会のテーマは全て大事なので、いろいろなところに影響があると思っております。さらに加えれば、昨今、データに関しては世界的に、さきほどDFFTの話がありましたが、実態としては相当国の問題が影響している状況でございます。そういうことも意識しながら進めなければいけないだろうと思うと、文科省の配下で議論するにしても、他の省庁の議論といかに連携させて議論を進めるかというところが大事であり難しいところだと思っております。何か進め方についてお考えがあればお聞きしたいと思ったところでございます。

【安浦主査】 どうも貴重な御意見をありがとうございます。
橋爪参事官、その辺については何かお考えがありますでしょうか。

【橋爪参事官】 ありがとうございます。
重要な御指摘で、研究分野だけでなく社会全体を見据えたデジタル化に関する様々な議論が、他省庁でも進んでおります。文科省からも参画をしているケースもありますし、そうでない場合もありますが、事務局としては、そのような情報をしっかり収集しながら、情報委員会の議論にインプットさせていただき、また、情報委員会、文科省の議論を、他の検討の場にもつなげていきたいと考えております。そのような外部の検討の状況も見据えながら、議論が進むように事務局としてもサポートをさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

【後藤(厚)委員】 ありがとうございます。
特にこちらからの発信も大事だと思いますので、ぜひよろしくお願いいたします。

【橋爪参事官】 先生には様々な議論の場に御参画いただいていると思いますので、ぜひ御相談させていただければ大変ありがたいと思っています。

【後藤(厚)委員】 分かりました。よろしくお願いします。

【安浦主査】 どうもありがとうございます。
それでは最後に、八木先生から手が挙がっておりますので、八木先生、お願いします。

【八木委員】 1点だけ思ったのは、データは集めても、それだけではあまり意味がなくて、やはり価値というものが出てこないといけないわけですね。そういう意味で、単純にデータだけが世の中に流通することを考えてもなかなか難しくて、例えばそのデータで何か物を作るとなったら、そのドメインが何かということで、さらに付加価値というもの、例えばアノテーションをこういう具合にやればいいとか、こういうデータの取り方をすればいいとか、そういったところの論点が必要なのではないかという気がします。いわゆる基盤も必要だし、教育も要るけれども、全てにおいて最終的にそのデータが価値を生み出してうまく回るためには、実際には他の分野との連携に近い部分が入ってくると思います。そういうことの教育や、また施策が必要なのかと思います。データも単に集めるのではなくて、アノテーションやクレンジングされたデータをつくり出していくことも必要でしょうし、そういう観点もぜひ御検討いただけたらと思います。

【安浦主査】 どうもありがとうございます。
この後、先生のプロジェクトの中間評価の審議をさせていただきますけれども、具体的にそういう問題にぶつかっておられるのだと思います。

【八木委員】 やはり価値を出すのはすごく難しいです。

【安浦主査】 ありがとうございました。そういう点も今後の議論で検討させていただきたいと思います。
今日の議論をお聞きになって委員の皆様方、まだまだ思うところがたくさんおありかと思います。よろしければ簡単な箇条書きでも結構ですので、もし、会議では言えなかったコメント等ございましたら、事務局にメール等で出していただけましたら、今後の進行の参考にさせていただきたいと思いますのでよろしくお願い申し上げます。時間の関係で、この議論は、今日はここで打ち切らせていただきます。
それでは、議題4に移ります。情報委員会における下部組織の設置についてということで、本委員会の下部組織の設置について御審議いただきます。事務局から資料6に基づいて設置案を御説明お願いします。

【齊藤情報科学技術推進官】 先ほど資料5の説明でもありましたとおり、第10期に設置いたしました次世代計算基盤検討部会につきましては、その検討を引き続き進めていただく必要がありますことから、第11期においても、こちらの下部組織を設置いただきたいと考えてございます。
また、このほか、下部組織を置いての検討が必要になった場合には、都度、委員会の決定を頂きながら進めてまいりたいと考えてございます。
以上でございます。御審議のほどよろしくお願いいたします。

【安浦主査】 今ここに挙がっております下部組織を続けるということで、何か御意見等ございますでしょうか。このほか、今後必要となったものがありましたら、ここで御審議いただきまして、下部組織をつくって細かく御検討いただくという形で、先ほど頂きましたような御意見等を反映するような下部組織につきましても今後検討させていただきたいと思っております。何か特に御意見、御質問ございますでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、これはお認めいただいたということで、原案どおり決定させていただきます。
続きまして、令和3年度情報委員会における研究評価計画についてということで、こちらも事務局から説明をお願いします。

【上村専門官】 ありがとうございます。事務局でございます。
それでは、資料7で、今年度の研究評価計画(案)に関して御説明をさせていただきたいと思います。
まず評価の目的でございますが、文部科学省における研究及び開発に関する評価指針、それから研究計画評価分科会における研究開発プログラム評価の試行的実施と研究開発課題の評価の実施について、これらに基づきまして新規課題、継続課題、終了課題について御審議いただくとなっているものでございます。
評価対象課題でございますが、まず事前評価に関しましては、総額10億円以上が見込まれる新規課題等に関しては、御審議いただくことになっております。2ページ目に予定案がありますが、こちらは7月もしくは8月辺りの情報委員会での御審議を頂く予定になっているものでございます。それから2番目の中間評価に関しましては、本日この後、Society5.0実現化研究拠点支援事業に関して御審議いただければと考えております。事後評価に関しましては、富岳のシステム開発、こちらに関しまして、1月から2月に御審議いただくことを予定しているものでございます。
評価方法に関しましては、事前評価、中間評価、事後評価とも、こちらの委員会で評価を行った上、研究計画・評価分科会に報告し、審議いただくというようになっているものでございます。必要に応じて外部有識者から成る検討会において事前評価を行うということも可能となっており、今回の中間評価においては、有識者会議による評価結果をここに諮らせていただくところでございます。
2ページ目でございますが、留意事項としまして、利害関係者の範囲がここに記載されております。公平で透明な評価を行う観点から、原則として利害関係者が評価に加わらないようにするというものでございますが、その範囲が、課題に参画している場合、代表者と親族関係にある場合、自ら判断される場合、情報委員会において加わらないことが適当であると判断された場合と、こういったのを利害関係者の範囲として、置かせていただいているところでございます。
それで、戻っていただく形になりますが、目的のところで、この研究計画・評価分科会のところに第10期と現状書いてありますが、この後、第11期での研究計画・評価分科会が開催される予定になっているところでございます。こちらで、この評価の実施についてが、また更新されていく予定になっております。本日は、この10期の内容に基づいてとなっておりますが、今後、こちらが更新され次第、改訂するということまで含めて、本日、この案の御審議を頂ければと考えております。
3ページ目以降は、事前評価等のひな形となっておりますので、こちらは御参考としてつけさせていただいているものでございます。
以上でございます。

【安浦主査】 ありがとうございました。
ただいまの説明につきまして、御質問等ございますでしょうか。
研究計画・評価分科会の第11期の正式な評価の方針は、4月の半ばに予定されている分科会で決定される予定です。今のところ本質的に大きな変更はないと聞いておりますので、ここでは第10期の方針に基づいて、お認めいただければと思っております。いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
ありがとうございます。それでは、この案のとおり決定させていただきたいと思います。
それでは、続きまして、ただいま決定しました評価計画に基づきまして、これからSociety 5.0実現化研究拠点支援事業の中間評価に入りたいと思います。本日の委員会では、瀧先生を中心に取りまとめをお願いしておりますSociety 5.0実現化研究拠点支援事業推進委員会で取りまとめられました評価書をベースに審議をお願いしたいと思っております。
事業評価の審議に当たりましては、先ほど出ました利害関係者につきましては、この審議には参加できないこととなっております。本事業につきましては、事業推進の責任者でもいらっしゃる八木委員、それから理化学研究所も加わっておられるということで美濃委員が利害関係者に当たると事務局で判断、又は御本人から申告いただいております。このほかに利害関係者に当たる方が、もしいらっしゃいましたら御申告いただければと思いますけれども、よろしいでしょうか。
それでは、八木委員と美濃委員には御退席していただいて、控室に移っていただく操作をさせていただきます。事務局のほう、よろしくお願いします。

(利害関係者退室)

【安浦主査】 よろしいですか。

【上村専門官】 はい。今、御退室いただけました。

【安浦主査】 それでは、利害関係者の退室が確認できましたので、審議を行いたいと思います。まずは事務局から資料8に基づきまして説明をお願いいたします。

【上村専門官】 事務局でございます。資料8で、Society 5.0実現化研究拠点支援事業の中間評価結果(案)について御説明をいたします。
3ページ目を御覧いただけますでしょうか。こちらに外部有識者による検討会、先ほど御紹介いただきました推進委員会の名簿となっているところでございます。瀧先生に主査、取りまとめを頂いております。それから長谷山先生にも御評価、御指導、御助言を頂いております。こちらで御審議いただいた内容をベースに、本日は、さらにこちらの情報委員会で御審議いただくというものでございます。
4ページ目になります。このSociety 5.0実現化研究拠点支援事業でございますが、平成30年度からの5年間の事業になっております。ステージゲートを経ることで、最大5年間延長が可能となっているものでございます。
概要・目的でございますが、2段落目になります。本事業Society 5.0実現化研究拠点支援事業は、Society 5.0の具体像、これを情報科学技術を基盤として描き、その先導事例を実現するための研究開発を行う大学等の先端中核拠点に対し補助金により支援を行うものとなっているところでございます。大阪大学のライフデザイン・イノベーション研究拠点が採択となっております。
その採択事業に関しましてですが、個人の健康や医療・介護に関するデータ、それに日常生活の中で生み出される様々な生活関連データ等、これを連結したものをパーソナル・ライフ・レコード、PLRと呼びまして、5ページに変わりますが、収集・分析し、個人と社会へ還元するサイクルを通じて地域の社会的課題の解決を目指す取組を行っているものでございます。このPLRを収集・管理・分析、さらに2次利用するためのプラットフォームを構築し、データ取引市場を介して新たな製品開発等のイノベーションにつながる仕組み、これの試験運用を行っていこうとしているものでございます。
少し戻る形になりますが、特徴としましては、再利用する際にデータ利用者の再同意を得るダイナミックコンセント、それから仮名化による突合せの可能性を保持してプライバシーを守るというようなところでございます。
7ページまで進めさせていただきたいと思います。研究開発の必要性等とありますが、こちらは、事前評価いただいた内容でございまして、そちらを要約したものをここに書かせていただいております。必要性に関しましては、国の基本方針推進のためという点。それから有効性に関しましては、様々な波及効果が見込まれるという観点で評価を頂いているところでございます。それから効率性に関しましては、情報科学技術を核として統合する。それから学長等のリーダーシップ。それから、ページを進めていただきまして、多種多様な企業の参画の可能性。それから有識者による評価・指導及び助言を行う体制。それから供用基盤の強化と。こういったところを含めまして効率的な実施が期待できるというように事前評価を頂いていたものでございます。
予算に関しましてですが、年間約7億円で推移してきているところでございます。
体制に関しましては、大阪大学が代表機関でございまして、協力機関として理化学研究所、それからNECが入られているところでございます。それからグランドチャレンジという取組を行っておりますが、こちらで全国の24大学に参画を頂いているというような状況でございます。
9ページ目からが、評価票となっているものでございます。評価結果、課題の進捗状況に関してですが、こちらは推進委員会で御議論いただいたときの観点で分類しているところでございます。まず実現を目指すSociety 5.0像としてですが、本採択事業では、人生のQOL向上をデザインすること、これを目的としており、育児、高齢者生活、スポーツ及び学び等の場面での見守り、これによる予測・予防・アドバイスを行うこと、それにより「孤育て」感、これは孤立感を伴った育児ということになりますが、その「孤育て」感、それから認知症、けが及びひきこもり等の軽減、これを行うことによるQOL向上を目指すものとなっているものでございます。
10ページ目に行っていただきますが、研究を基にしたデータの収集・分析、及び個人と社会への還元のサイクルを通じて社会的課題を解決し、人生のQOL向上を目指すのが採択事業の社会像となっているものでございます。
続きまして、このSociety 5.0に向けた目標(ターゲット)及びアプローチに関してでございますが、見守りによる母子や高齢者の支援、それから若年者の健全な認知発達の促進及び健康的な人間関係の構築・維持の支援、遠隔での学生のモニタリングを通した授業や生活の支援、それから熱中症の予兆検知やスポーツの実施時のけがの防止策の策定等、大阪府や北摂地区、大阪大学における課題、こういったものに対してデータで取り組むものでございます。これらの実証に際し、キャンパスの中での人流センシングとかグランドでの運動のセンシングというものが可能となる実証フィールドを構築したり、データ利用の際の再同意の仕組みや、それを実現するためのスマホアプリの開発、そういったものを含めた制度面・技術面での検討も行っております。こういったことで、データ駆動型社会に向けた実践型人材の育成も行いつつ、倫理的・法的・社会的課題、ELSIの観点に対しましては、文中には記載してはいないのですけれども、専門委員会を組織するとともに外部有識者による諮問会議、それからデータ倫理審査会等を拠点及びコンソーシアムに対して組織しているところでございます。
続きまして、研究開発体制に関してでございますが、データ基盤でありますPLR基盤に対しましては、NEC社の情報基盤システムをベースとして構築しまして、理化学研究所によるデータ分析機能を実装し、運用ルールの作成を大阪大学が担う等々で行っております。それから一般社団法人になりますが、データビリティコンソーシアムを設立しまして、こちらで運用する体制となっているところでございます。また若手研究者を対象としたグランドチャレンジを公募しまして、これまで全国19都道府県の24大学の研究グループが採択となって参画をしている状況でございます。データビリティコンソーシアムは、企業が参画しているものでございますが、PLR基盤のデータ利用をする企業に対しましては、情報セキュリティーやプライバシー保護等の対策等ができているということを厳しい条件として課しています。そのようにしてデータを扱う上でのマネジメントを徹底しているというところも特徴となっているところでございます。
さらに進捗の詳細(エ)でございますが、PLR基盤及びMYPLRは令和3年4月、つまり今月でございますが、運用開始に向けて準備をしているところでございます。またセンシング基盤とデータ収集のためのフィールド整備を行っております。それから実践型の人材育成に関しましては「実データで学ぶ人工知能講座」、それから「ビジネスAI講座」等を開講し、毎年20名程度の受講者規模となっています。それから新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い、もともとはデータの収集を対面で行うことを中心としていたのですが、こちらは縮小せざるを得なかったというところはございます。ただ、データ収集の手段をスマートフォン等ほかの手段に変更するなど手法の修正やデータ収集以外の研究項目の前倒し、こういったものを実施している状況でございます。また大阪大学におきましては、全学生を対象とした、13ページに移りますが、アンケートを実施いたしまして、このようなアンケートを実施するとともに、メディア教育及び未来の学校支援の在り方についてプロジェクトの内容の再考も行っているところでございます。
さらに事業終了後の継続性に関わることについても、その後に書かせていただいているところでございます。まずデータビリティコンソーシアムに関しましてですが、賛助会員が31社及び協賛会員10機関、それから自治体及びアカデミア等々含めまして多くの参画を得ている状況となっております。またテーマごとに部会を設置しまして、ビジネスモデルや課題解決に向けた取組を開始しているところでございます。それからスタートアップ企業等、これは先ほど御説明させていただいた中で、企業には厳しいデータ管理のための条件を課しているとお伝えしましたが、そういったリソースを持てないスタートアップ企業等に対しましても、参画しやすくするために、企業自らがパーソナルデータを保有することなく、それらのデータを用いたAIソフトウエア開発やシステム開発、こういったものが可能となる体制をデータ・ファウンドリーと呼んで構築することの検討を始めている状況でございます。
以上が課題の進捗状況でございます。
続きまして、本中間評価案での各観点の評価を御説明させていただきたいと思います。
必要性でございますが、Society 5.0における目指す姿とこれまで説明させていただいた内容は捉えていただいているところでございまして、さらにコロナ禍においても社会ニーズを捉えているというところから必要性を評価、推進委員会の中では頂いたところでございます。
それから有効性に関しましては、子育てを行う母親の心理状況、それから会話の活性度等、直接センシングすることが困難な心理状況や健康状態の推定にもAIやビッグデータ解析等も用いて取り組んでいる点。それから本プロジェクトで構築されたデータ流通の仕組みというものが、データ利用時に再同意を取得することを含めまして、研究データを多様な目的に、また別目的で収集した要配慮個人情報を含むデータを突合せして活用できる仕組みとなっていることから、国内で先行して展開されている他のデータ流通方式に、さらに必要な点を補っているというふうに捉えていただきまして、有効性を評価いただいているというような状況になっているところでございます。
さらに効率性でございますが、拠点長、拠点本部長を中心としたマネジメント体制、それから知的財産やデータガバナンス及び情報セキュリティーの観点での専門委員会等を設置するといった体制に加えまして、データ利活用のための人材育成、それからグランドチャレンジで若手を含めたチャレンジの機会の創出、こういったものにも取り組んでいるところから、効率性は高いとしているところでございます。
さらに、今後の事業の発展に向けては、幾つかの助言点、それぞれの観点でも記載しているところでございますが、特に重視した観点としまして、その下に2つございます。課題の解決を目指す地域課題をより具体化した上で課題解決状況を判断する指標及び目標値を明確にし、今後、実証の場となる自治体等との連携をより強化する。社会課題解決に取り組むことを期待する。そういった観点。それからもう一つは、社会課題の解決と民間企業での利活用との両面で研究データが役立ち、データ提供者へフィードバックするところまでを実証することを期待するということを含めて、全体として本課題は継続という御評価を頂いておりますので、こちらの情報委員会の中でも御審議いただければと考えているところでございます。
私からの説明は以上でございます。

【安浦主査】 ありがとうございました。
この事業評価を御検討いただきましたSociety 5.0実現化研究拠点支援事業推進委員会の主査を務めていただきました瀧委員、それからメンバーとなっていただきました長谷山委員から、何か補足等ございましたらお願いしたいと思います。
瀧先生、いかがでしょうか。

【瀧委員】 瀧のほうから少し補足いたします。
いわゆる大学を中心としてこういったプロジェクトを推進するということで、6ページを見ていただきますと、図3に研究プロジェクトが一覧として出ているわけです。それぞれが目標を持ってプロジェクトを推進していて、これらが総合的にまとまって全体の進捗を達成するという形になっているわけです。それぞれの研究プロジェクトについて見ますと、非常にうまく進んでいるというのが見えるのですけれども、全体として見ていくと、それぞれのプロジェクトのいいところがうまくまとまってシナジー効果が出るようにするということを推進委員会のほうからさらにお願いしております。
それから今、説明がありましたように、やはり社会課題を解決する形で成果を見せるというのが非常に重要になっていますので、そういうところを早く見せるようにするというのも1つの目標として、さらに強く進めていただくということになっています。
それからPLRを使って個人情報等のデータ流通の1つの形をきっちり実現して、それが社会のこういうデータ流通の1つの見本になるように進めていただくというのは非常に重要と考えています。
今回、その辺を見ていただいて、ELSIの問題と、それからデータを利用する、データを提供する先を評価するというのも非常に重要だというのが分かってきまして、その辺りの評価もかなり力を入れていただいているところでございます。
全体としては、非常にうまく進んではいますが、さらに頑張っていただかないといけないところは、我々の推進委員会で助言点という形で各項目について詳しくお願いしているところでございます。
以上でございます。

【安浦主査】 瀧先生、ありがとうございました。
長谷山先生から何かございますでしょうか。

【長谷山委員】 長谷山です。
瀧先生に充分に補足頂いておりますが、私から1点だけ発言させて頂きます。個人情報の社会応用に向けたデータ流通は、様々な所で取り組まれてきましたが、今回の事業は、この挑戦的な課題に大学が取り組んだからこそできる前進を期待されたものと思っています。信頼のおけるデータの流通をどのようにして社会実装するかということに果敢に挑戦し、成果を出したものと考えております。
以上です。

【安浦主査】 どうもありがとうございます。
それでは、ただいまの事業評価案につきまして、委員の皆様方から御質問あるいは御意見等、御自由にお願いしたいと思います。
佐古委員、お願いいたします。

【佐古委員】 ありがとうございます。
実は一般社団法人MyData Japanの副理事長も務めさせていただいていて、パーソナルデータを、いかに社会の価値として提供できるのか。その一方で個人の尊厳といいますか、個人がしてほしくないことをしてしまわないかということに興味を持って活動しております。先ほど八木先生もおっしゃられていたように、パーソナルデータをいかに価値化するかというところに御苦労があるというのはとてもよく分かるところであります。一方で、この分野でよく言われているのが、マルチステークホルダーということです。有識者の中に、弁護士の先生などがいらっしゃいますが、やはり市民団体とか消費者団体の声を入れて一緒に検討していただく体制があるとよいと思いますので、もしもそのような依頼ができるようであれば追加いただけるとうれしいです。今回のテーマとして、セキュリティー・トラストということが挙げられていたので、このトラストをどう担保していくのかというのも、ぜひ一緒に検討していただけるとうれしいです。
あと、すみません、もう1点ですけれども、データ・ファウンドリーの記述があまりよく分からなかったのですが、パーソナルデータを保持しないだけで全てがオーケーではないと思っておりまして、パーソナルデータを保持しなくても、それを活用した結果が差別につながるといった、安全・安心ではない使い方をしていないことを担保できるような仕組みもぜひ検討していただければうれしいです。
以上です。

【安浦主査】 貴重な御意見、ありがとうございます。
田浦先生と引原先生から手が挙がっております。田浦先生からお願いします。

【田浦委員】 田浦です。ありがとうございます。
意見というか質問でいいでしょうか。

【安浦主査】 はい、どうぞ、質問でも結構です。

【田浦委員】 まず1つは、この成果の中のPLRを収集する基盤ですけれども、どこまでがこのプロジェクトの成果、アウトプットのスコープになっているのかという話で、この基盤自身を今後、パーソナルデータを収集して活用するようなプロジェクトで使えるものとして提供するところがスコープに入っているのか、または、このモデルが回ることを実証するところまでがスコープなのかという辺りをもし御存じでしたら教えていただきたいです。
あともう一つ、ダイナミックコンセントのもう少し具体的なイメージを教えていただきたく、特に、佐古先生も気にされていた、利用者に同意を取る仕組みが、使う側の性善説によっているものなのか、それとも目的外の利用がシステムとしてできないようになっているとか、検知できるとか、そういうところが仕組みとして入っているのか、という辺りをもし御存じでしたら教えていただきたいです。

【上村専門官】まず1つ目頂いた御質問でございますが、後者と申しますか、しっかりと回っていくところまで、このモデルがきちんと活用されて、できることであれば自立していけるところまで、このプロジェクトで考えていければと期待しているところでございます。それがこの当初の5年間となるか、ステージゲート評価を含めたその先までとなるかというところは、まだこの後のことかとは存じますが、少なくともこの5年間でそれが終わってしまってというような形ではなく、きちんと回るようなところまでを期待しているところでございます。それがまず1つ目の頂いた内容に関してでございます。
2つ目に関してですが、今回、参考資料として、12月に八木先生から情報委員会の中で御紹介いただいたものを参考資料7としてつけさせていただいておりますので、そちらを参照いただくような形で説明をさせていただければと考えております。こちらの13ページが再同意のことについても書かれているものでございます。原則的には、本人が同意した形で提供されるというような形態を取っておりまして、さらに、もともとは研究を行いながらデータを提供いただくところに発端があるわけですが、企業等が利用する場合というのは、当初の目的とは異なる用途になってきますので、都度、同意を取っていくというようになります。こういった企業がこういった用途でデータを使いたいと考えておりますがよろしいでしょうかという問合せが、スマホを通じてですけれども、データ提供者に行くことになっており、それで了承を得られたもの、同意を得られた場合にのみ使えるというような仕組みになっているところでございます。

【安浦主査】 よろしいでしょうか。
引原委員、どうぞ。

【引原委員】 すみません、事業終了後の継続性についての記述がありますが、よく内閣府のオープンサイエンスの委員会で議論していると、ファンドが終わってしまうと結局は継続せずデータも放棄されてしまってどこにも使われない、あるいは消却されてしまうということが多々起こるという指摘があります。ステージゲートで事業が継続した場合、やはりデータとしての維持と、ファンドがなくても続けてけるストーリーが分かりませんでした。もしそこまで計画されているのであれば、その辺りをお教えいただきたいです。
もう1点は、データに対してです。うまくいくデータばかりではなく失敗データも当然ながらあるわけですけれども、そういったものを全て置いていかれるつもりなのかどうかということもお教えいただければと思います。

【上村専門官】 ありがとうございます。
先ほども少し触れさせていただきましたが、自立化というのは非常に大事に考えておりまして、まず、こちらの公募を行った際に、公募要領の中には、5年度目、補助金額と同等の負担を求めるということがあります。つまり、ただ補助をするというだけではなくて、自立に向けた回収と申しますか、そういったところも期待しているというのが公募の段階からお伝えさせていただいているところですので、そういった観点に基づいてスタートいただいているところはございます。この事業に関しましては、このデータビリティコンソーシアムで会員を集めて、そこで会員がデータを有料で使ってくということを考えております。この有料で使った収益といったものは、データ提供者にも何らかの形での還元ということも想定しておりますし、それに加えて、これを運営している機関の維持、それから発展のためにも使っていくというようなことも含めて考えているところでございます。ですので、このデータ利活用、それから人材育成ももちろん有料で行っておりますけれども、そういったところが現状で考えている収入源ではございますが、そういったことを含めていずれ自立化していくと。つまり、補助金が終わったところで、このプロジェクトを含めデータが無駄になってしまうということがないように進めていただいているといったようなものでございます。

【安浦主査】 引原先生、よろしいでしょうか。

【引原委員】 姿勢はよく分かりました。了解いたしました。

【安浦主査】 若目田委員から手が挙がっていますので、これを最後にさせていただきたいと思います。若目田委員、お願いします。

【若目田委員】 今の御質問に通じるのですけれども、年間7億円で、今まで3年間で21億円、今後、毎年7億円という補助額は、総務省の情報銀行関係の補助金や、経済産業省の産業データ共有の補助金に比べてもかなり立派な金額であるわけで、かけた分がどういうところに使われていて、今後の回収プランをお見せいただかないと、正直判断はつきにくいのかというのがありました。
また、目標としては、毎年何人ぐらいに使っていただくかということと、企業からの目標収益や企業の数等、やはり具体的な数値をお示しいただかないと、判断はつきかねるところはありました。でも先ほど、相当額ぐらいは回収するというところが目標であるということを聞いて、少し理解ができたというところです。
以上です。

【安浦主査】 どうもありがとうございます。
まだいろいろと御議論あるかと思います。特に今の若目田委員あるいは引原委員からの御質問等に関しては、こういう事業というのは、増える一方のデータをハンドリングするためのコストもかかりますし、利用者が増えて収入も増えていく可能性もあると。その辺りのビジネスモデルがどうなっているのかということについても、まだ、この事業が実際に動き出したのが平成30年の秋からであり、この報告書を書くまでに動いた期間は、実質1年半から、長く見積もっても2年しかないわけで、非常に苦労されている状況かと思います。そういうことも含めて、この中間評価では、5年目のステージゲートまでにこういうところははっきりさせてほしいというポイントを明確に、我々情報委員会からも加えていったほうがいいのではないかと、今の御意見等を伺って感じております。この評価票の案につきまして、このほかにも御意見をお持ちの方もあるかと思いますので、事務局までメール等で御意見を頂きましたら、それらも踏まえて事務局と私のほうで修正案を作成させていただきまして、そして書面で再度、委員の皆様にお諮りさせていただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
特に御異論ないようですので、そういう方向で進めさせていただきます。今日、御発言いただけなかった方で御意見、御質問お持ちの方は、ぜひメールベースでお願いしたいと思います。できれば1週間以内でお願いできればと思います。
事務局は、それでよろしいですか。

【上村専門官】 事務局から後ほど締切り等を含めて御連絡させていただくという形でよろしいでしょうか。

【安浦主査】 ええ、そうしてください。

【上村専門官】 この後、評価スケジュール等々も主査の安浦先生と相談させていただき、日程を検討させていただいて御連絡させていただければと考えております。

【安浦主査】 分かりました。
瀧先生、長谷山先生、原案をまとめていただくのにお時間を使っていただきまして本当にありがとうございました。

【瀧委員】 ありがとうございました。
こちらの推進委員会のほうでも非常に細かい点も議論をしているのですけれど、今日、皆様から頂いた意見も事務局と相談して、大阪大学にさらにフィードバックできるようにしたいと思います。

(利害関係者入室)

【安浦主査】 ありがとうございます。
それでは、本日の議論はここまでとさせていただきたいと思います。
事務局から今後の予定など連絡をお願いしたいと思いますけれども、八木委員、美濃委員には会議室にお戻りいただきたいと思いますが、もう戻られていますでしょうか。

【齊藤情報科学技術推進官】 はい、戻っていただいてございます。

【安浦主査】 それでは、事務局のほう、よろしくお願いいたします。

【齊藤情報科学技術推進官】 今後のスケジュールでございますが、次回委員会の詳細につきましては、また事務局より別途御連絡させていただきます。よろしくお願いいたします。
本日の議事録につきましては、事務局で案を作成いたしまして、委員の皆様にお諮りし、主査の御確認も頂きました後、ホームページにて公開させていただきます。
以上でございます。

【安浦主査】 それでは、先ほどの評価票につきましては、再度、御参加いただいた委員
のほうに書面で最終確認させていただきたいと思いますので、御協力のほどよろしくお願いしたいと思います。
それでは、本日の情報委員会は、これにて閉会とさせていただきます。次回以降も審議すべきことがたくさんございますので、よろしく御参加のほう、お願い申し上げます。

【齊藤情報科学技術推進官】 それでは、これでミーティングルームを閉めさせていただきます。本日は、どうもありがとうございました。

―― 了 ――

お問合せ先

研究振興局参事官(情報担当)付

(研究振興局参事官(情報担当)付)