情報委員会(第15回) 議事録

1.日時

令和3年2月3日(水曜日)10時00分~12時00分

2.場所

オンライン会議

3.議題

  1. ジャーナル問題検討部会審議まとめ(案)の報告
  2. 計算科学技術分野の事業評価
  3. その他

4.出席者

委員

西尾主査、井上委員、上田委員、奥野委員、梶田委員、喜連川委員、鬼頭委員、栗原委員、田浦委員、瀧委員、辻委員、長谷山委員、引原委員、福田委員、八木委員、安浦委員、若目田委員

文部科学省

杉野研究振興局長、塩崎大臣官房審議官(研究振興局担当)、橋爪参事官(情報担当)、宅間計算科学技術推進室長、三宅学術基盤整備室長、黒橋科学官、竹房学術調査官、池内学術調査官

5.議事録

【西尾主査】 それでは、定刻になりましたので、科学技術・学術審議会情報委員会の第15回会合を開催いたします。今回が第10期の最後の開催となります。
本日も、新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、オンラインで開催することにいたしました。今回の議事は全て公開とし、報道関係者も含めまして、傍聴者の方にもウェブ参加いただいておりますので、その点、御了解ください。
本日は、乾委員、来住委員、佐古委員、津田委員から欠席の御連絡を頂いております。
それでは、事務局から配付資料の確認と、オンライン会議の注意事項の説明をお願いいたします。

【齊藤情報科学技術推進官】 それでは、議事次第に基づきまして配付資料を確認させていただきます。資料1-1、1-2として、我が国の学術情報流通における課題への対応について(審議まとめ)でございます。資料1-3が、ジャーナル問題検討部会開催状況等についてでございます。資料2-1が、計算科学技術分野の事業について、資料2-2から2-4が、計算科学分野3件の事後評価票及び中間評価票でございます。
参考資料は、1から11-2まで12個つけてございます。参考資料1が、9月に御審議いただきました令和2年度情報科学技術分野における研究評価計画でございます。資料2から資料10までが、計算科学技術分野の事業の評価についての参考資料でございます。資料11-1が、第6期科学技術・イノベーション基本計画の検討状況でございます。資料11-2が、基本計画の答申の素案でございます。
以上、事前に皆様にはお渡ししておりますが、もし問題などあれば、事務局までお申し出いただければと思います。
引き続きまして、本日のオンライン会議の注意事項について述べさせていただきます。本日は、通信の安定のため、発言時を除き常時マイクをOFF、ビデオをOFFとしていただくようにお願いいたします。主査の西尾先生におかれましては、常時マイクをON、ビデオをONにしていただければと思います。
発言する際には、「手を挙げる」ボタンを押して御連絡いただければと思います。主査の西尾先生におかれましては、参加者一覧を常に開いていただきまして、手のアイコンを表示している委員を指名してください。
議事録作成のために速記者の方に入っていただいております。そのため、発言する際は、お名前から御発言いただくようにお願いいたします。
トラブル発生時には事前にお伝えしております事務局の電話番号まで御連絡をお願いいたします。
傍聴者の方には、本日はZOOMで参加いただいております。システムが不調の場合には、後日公開する議事録を御覧いただければと存じます。
注意事項については、以上でございます。

【西尾主査】 どうもありがとうございました。
資料の点等でもしお気づきの点がございましたら、遠慮なく御連絡ください。
本日は、ジャーナル問題検討部会の審議のまとめに関する報告案件1件、「京」の運営に係る事後評価、HPCIの運営に係る中間評価、ポスト「京」で重点的に取り組むべき社会的・科学的課題に関するアプリケーション開発・研究開発に係る事後評価の議題があり、併せて3件の審議事項を予定しております。
それでは、まず1月26日に行われました第10回ジャーナル問題検討部会で議論された審議まとめ(案)について、事務局から説明をお願いいたします。

【三宅学術基盤整備室長】 ジャーナル問題検討部会の事務局をしております学術基盤整備室の三宅でございます。私からは、資料1-1から1-3に基づいて御報告をさせていただきます。
前回の情報委員会で、ジャーナル問題検討部会における中間まとめを報告させていただきました。その後、ジャーナル問題検討部会での議論も進みまして、1月26日に審議まとめ(案)の議論をさせていただきました。そこでもいろいろと御意見を頂きまして、ただいま最終的なまとめに向けて修正をしているところでございますが、現状、まだまとまっておりませんので、今回、情報委員会への御報告は、第10回のジャーナル問題検討部会で提出させていただきました審議まとめ(案)に基づいて御報告をさせていただければと思います。よろしくお願いいたします。
まず資料1-3に基づきまして、ジャーナル問題検討部会の中間まとめ以降の審議状況について簡単に御報告させていただきます。
1-3の最後の4ページ目でございます。11月26日の第8回で中間まとめが取りまとまりまして、それにつきましては、前回御報告させていただいたとおりです。その後、第9回ということで、政策研究大学院大学の林委員より、研究評価の観点でプレゼンテーションいただきまして、改めてこれまでの議論のまとめについての意見交換を行いました。1月26日の第10回におきまして、審議まとめ(案)ということで、最終的な議論を行いまして、現状では、修正については主査一任という形になっておりますが、その修正については、今、事務局において作業をしているところでございます。
具体的な内容につきましては、資料1-1と1-2について御報告させていただきます。本文につきましては、資料1-2になりますが、お時間もございますので、資料1-1の概要に基づいて、中間まとめからの変更点を中心に御紹介をさせていただければと思っております。
では、資料1-1、我が国の学術情報流通における課題への対応について(審議まとめ)(案)の概要でございます。
全体構成につきましては、中間まとめから大きな変更は行っておりません。まず1に、はじめにということで、ジャーナル問題検討部会の検討に至った経緯として、ジャーナルにまつわる問題点を書かせていただいています。
2.が、改めて学術情報流通をめぐる状況ということで、海外出版社のお話、海外でのオープン化への動きなどにつきまして、改めて整理をさせていただいています。
3.で、議論の方向性ということで、議論の内容は多岐にわたることから、短・中・長期の課題を整理いたしまして、それぞれについて議論を進めるという流れでございます。こちらにつきましては、中間まとめから大きな変更はございません。
具体的な対応は4.の、対応する問題の解析と対応でございます。
(1)につきましては、改めてこちらのジャーナル問題の位置づけということで、ジャーナル問題につきましては、単なるジャーナルの購読経費の削減方策を講じる問題ではなく、我が国の研究振興戦略そのものの問題となっているということを指摘させていただいております。
(2)以降が、具体的な内容でございます。
まず(2)は、早急に取り組むべきことということで、中間まとめにも内容を基本的には記載させていただいております。もともとの中間まとめでは、文章の形で書いておりましたが、やはり具体的に各機関がどのようなことを行わなければいけないのかということを明示したほうがよいのではないかという御意見も頂きまして、改めてその点についても整理させていただいたところでございます。
具体的な内容につきましては、本検討部会として要請する具体的な取組を整理させていただいております。
具体的には、大学の特に執行部においては、研究戦略に基づく契約形態の決定、契約内容の経費配分の組換え、同程度の規模や契約状況等の機関がグループ化し交渉主体を明確にする取組の検討、情報の共有及び補完を可能とする有機的なネットワーク構築の検討をさせていただいております。
また、大学の中でも図書館等の学術情報流通部門につきましては、関連データの収集・分析と結果の共有、APC支払額等のデータの収集、執行部や研究者への情報提供及び説明。
大学図書館コンソーシアム連合(JUSTICE)については、契約主体のグループ化を検討している大学等への役割分担を含む戦略の明示や、会員館間でもさらなる情報共有、JUSTICE自体の機能強化の検討、交渉・契約内容の透明化への努力。
研究資金配分機関においては、研究成果の原則オープンアクセス化の明示や、その支援の枠組の検討、文部科学省については、各機関におけるAPC支払額の実態調査の実施及び結果の共有、バックファイルへのアクセス維持やセーフティネット構築等への適切な支援とさせていただいているところでございます。
概要2ページ目でございます。(3)が、着手を開始すべきことということで、こちらについては、オープンアクセス等々の取組について中心に書かせていただいたところでございます。
今、着手を開始すべきこととして、学術情報資源の分散配置とアクセスする仕組みの構築があります。そのため、助成された研究で得られた成果論文については、オープンアクセスを義務化すべきと。その際、プレプリントサーバーへの登載や、紀要や最終稿の機関リポジトリへの登載など多様性を認め、研究者が戦略的に選択できるようにすべきという点。また、研究者にとって不利益になることが発生しないよう、プラットフォームの構築とその開放に向けた環境整備を進めるべきであるとさせていただいております。
(4)が、計画を開始すべきことでございます。こちらについては、ジャーナルにまつわる評価の問題について整理をさせていただいてございます。こちらについては、中間まとめではこれからの議論となっておりましたので、こちらはかなり中心的に加筆をしたところでございます。
学術情報流通に係る根本的な問題は、そもそも研究活動をどのように評価し、そういう環境を作れるかという観点。また、高い評価を得るために、インパクトファクターへの偏重がますます強まり、状況は悪化の一途をたどっている。その評価に係る悪循環を断ち切らない限り、ジャーナル問題の根本的な解決は困難である。指標の誤用や定量的評価の偏重を解消するために、関係機関は研究評価を行うに当たり、特定の指標に過度に偏ることなく、研究活動の多様性が評価されるよう方針を明確にするとともに、その評価指標をあらかじめ明示すべきとさせていただいております。
最後に、おわりにということで、ジャーナル問題をめぐる動向は刻一刻と変化していて、世界の研究コミュニティにおいても、あるべき学術情報流通を追い求めている状況。我が国においても、引き続き、研究者にとって学術研究を遂行するために最適な学術情報流通環境を保つため、全ての関係者が問題解決を主体的に進めて行くことを期待という形でまとめさせていただいております。
これに基づいて、第10回で議論を行いました。全般的に様々な御意見を頂いておりまして、その修正を続けているところでございます。特に頂いた御意見としましては、オープンデータの観点ではございますけれども、こちら、ジャーナル問題検討部会ということで、やはり研究データについては、エビデンスとしての観点で記載させていただいたところでございますが、現状、世界の潮流が既にエビデンスというよりは、次の研究を促すデータの保存・共有・公開、こういう活動に入っていることから、そのような活動を主体的に進めなければいけないことや、また、それについて、評価の観点でのオープン化を指向するかどうかというのは、研究機関の意識の問題も大きいということで、そのような取組について評価で重視するような観点です。
また、元々のまとめではあまり記載がなかった観点でございますが、査読に関しての御意見も頂きまして、現状の大手出版社の査読システムについては、コミュニティの査読システムに乗っかっている状態であると。学術情報流通としての査読システムの在り方は出版社が決めるものではなく、研究者自ら、学会等のボランティアと出版社の商業活動を区別して対応すべきではないか。また、出版社に対して、科学者のコミュニティに対して公平な買入と還元を行うよう促すようなことが必要なのではないかという御意見を頂いたところでございます。
こちらのような御意見を踏まえまして、現在、事務局で案の修正をしておりまして、主査に確認の上、最終版をまとめたいと思っております。
最終版につきましては、ホームページに公開させていただく形になりますが、情報委員会の皆様にもメール等で最終的なものについてお送りさせていただければと思っております。
駆け足でしたが、以上でございます。よろしくお願いいたします。

【西尾主査】 どうも、御説明ありがとうございました。
それでは、ジャーナル問題検討部会で主査として取りまとめに多大なる御尽力を頂いております引原委員から補足等ありませんか。

【引原委員】 引原でございます。発言の機会を頂きまして、ありがとうございます。
詳細につきましては、今、三宅様から御報告いただいたとおりでございますが、最終回におきまして、今後の方向性として重要なオープンデータに関する問題や査読システムに関する問題等のジャーナル問題の根本的なところについて議論がありました。これまでの部分と将来をどうきちんと分析して、皆様方に納得していただくかという点としては重要だと思いますので、そこの部分を加筆した上で、最後のまとめにさせていただきたいと思っております。
ジャーナル問題検討部会につきましては、数年前に一度こういう議論はされたわけですけれども、それが実行されないまま現状に至って、もう一度ここで議論したということになっておりますので、同じような議論を繰り返すということは避けたいと思っております。今回は、どのセクター、どのステークホルダーが何をすべきかということを明示させていただきましたので、それぞれが実行に入れるように、今後の行動を促していただければと思っております。特に関係機関、あるいは大学等も含めてですけれども、国大協、内閣府、文科省等、関係するところがもう少し次のフェーズに移って、同じところに戻らないように議論を進めていただくよう促していただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
以上でございます。

【西尾主査】 どうもありがとうございました。
引原先生からおっしゃっていただいた最後のところはやはり大切で、この問題は繰り返し議論されてきた経緯があるのではないかと思います。どの機関が何をするのかということに関しては、審議まとめ(案)に記していただいているところですが、それをいかに実践していくかというフェーズがあるのではないかと私も思っております。貴重なコメントを頂きましてありがとうございました。
また、文部科学省の方では、記載内容を実現していくことが重要だと思いますので、コーディネーション役を務めていただくようなことを何とぞよろしくお願いいたします。
それでは、皆様から、今の説明につきまして御質問等ございませんでしょうか。安浦先生、どうぞ。

【安浦委員】 おはようございます。安浦です。非常に重要な問題をしっかりまとめていただきまして、どうもありがとうございます。
現在、このパンデミックの状況で、地球全体に対して、教育とか他の分野もそうですけど、いわゆるDX、デジタルトランスフォーメーションの議論が巻き上がっていますので、これは昔からあったものだから別扱いというふうにするのではなく、一体化して、全体的なデジタルトランスフォーメーションの流れの中にきちっと入れていく。しかも、ここまでクリアにしっかり議論されている部分というのはまだあまりないわけですから、まず手始めにここからやってくれというようなメッセージも最終的な報告には入れていただいたほうがいいのではないかと思います。
以上です。

【西尾主査】 非常に貴重なコメントであると思います。現況を踏まえて、安浦先生からおっしゃっていただいたようなことに関して、最終的な報告には明確に書いていただいたほうが良いのではないかと思います。

【引原委員】 ありがとうございます。おっしゃるとおりでございまして、これまでずっと議論してきたオープンアクセスというのがゴールであるとか、グリーンであるとか、ハイブリッドであるとか、いろいろあるわけですけれども、それに対して、世界的には、その流れの中で今回のパンデミックの中で、プレプリントというオープンアクセスの仕方が大きくクローズアップされたわけです。基本的な考え方はオープンアクセスで、オープンデータなわけです。それに対して、国内では、まだ拒否感がかなり強いところがございます。そのため、両面から説明しないといけないだろうと思っております。もちろん書かせていただいておりますので、そのように進めたいと思っております。
もう1点は、いまだに私の分野はまだまだ、というようなことも言われる方がいらっしゃって、分野論をかなり強く言われます。しかし、国の状態としては、もうそういう状態ではないという認識をもう少し広めていかないといけないのではないかと思っております。
以上でございます。

【西尾主査】 ありがとうございました。
ほかに御意見ございませんでしょうか。栗原先生、どうぞ。

【栗原委員】 大変貴重な御提案、ありがとうございます。
やはり国内でも、学術誌の振興に非常に努力している学会も多いと思いますので、今書かれている最後の、全ての関係者が問題解決を主体的に進めて行く、というのは非常に大事な点だと思います。引原先生もその点を非常に強調されましが、そのとおりだと思いました。いろいろな学術誌でインパクトファクターを上げるなど、努力はされていますので、その関係者の方に、どう今後努力していくべきかということも、ぜひお伝えいただければと思います。
新しい方向性に、追いついている学会も、それほど追いついていない分野もあると思いますので、関係者で少しずつ努力できれば大変いいことだと思います。私自身も含め努力したいと思いますので、よろしくお願いいたします。

【西尾主査】 栗原先生、コメントありがとうございました。
ほかにございますか。喜連川先生、どうぞ。

【喜連川主査代理】 先日、NIIの遠隔講義のシンポジウムで、スタンフォード大学から御発表いただきました。そのとき講演者は、要するに、本来であれば20年後にはこうなっているようなことを、今、ある意味でいいチャンスで、強制的にやらされているという言い方をされました。恐らく、そういう感覚は非常に多くの研究者や学者は気づいてきていると思います。こういうITを使った本来の研究や教育の姿ってどうなるのだろうというものを推定すると、本来はこんな姿ということはみんな描けているわけです。
そう思うと、私は安浦先生の御意見に反対するつもりでもないですが、現状の問題をきれいに整頓して、これまでなおざりにしていた次の一歩という感じのおまとめは、これは非常に大人のおまとめで大変いいと思いますが。このまま解析接続するこの線上を一歩一歩進むというのもアプローチかもしれないのですが、私の感覚からすると、本来どうあるべきかというところを考えて、大きな大学のリテラシーの高い分野が範を示すということをしないといけないと思います。コロナのリセットという、この機会をどう活用するかということが、我々には、求められているのではないかなという気がします。
ぜひ、そういう視点でもお作りいただければありがたいと思いますし、NIIもそれを支援させていただきたいと思います。この混沌とした状況をきっちり整理いただいて、もう一歩先のフェーズに入ってもいいのではないかと思います。よろしくお願いします。

【西尾主査】 引原先生、いかがでしょうか。

【引原委員】 ありがとうございます。喜連川先生が今言っていただいたように、スパゲティ状になった問題を解きほぐして、ここはここまでと、皆様、いろいろとおっしゃるのですけれども、そうではなくて、それぞれがきちんと関係していて、何をやればどうなるかということを示すことが今回重要だったと思っております。
その上で、もちろんオープンデータも含めて、10年後はどうあるかということを見越して書いているのですけれども、まだ議論が起きていないところもたくさんありますので、その点については、どういう形になるか分かりません。けれども、すぐに実行できるフェーズに移さないといけないと思っております。まとまったと言って3年経っても何も進まなかった結果、研究者は今かなりぎりぎりの状況にあるのだと思います。特にオープンデータに関して言えば、もう遅いかもしれないと私は思っておりまして、5年前からずっと言い続けているのですけれども、まだなかなかそこのフェーズに入りきれないというところがあります。
そのため、まず入れるところから進めていただくというのがいつもの言い方ですけれど、進んでいるところの例を、範を示すという言い方をされましたけれども、皆様に納得して進めていただくように、図書館で、というのはもうフェーズとしてはかなり外れてきていると思いますので、各大学の執行部、あるいは研究者の運営組織において、研究運営としてやっていただかないといけないのではないかと私は思っております。よろしくお願いします。

【西尾主査】 喜連川先生、よろしいですか。

【喜連川主査代理】 頑張ってください。

【引原委員】 ありがとうございました。

【西尾主査】 どうもありがとうございました。
ほかによろしいですか。
それでは、先程来の委員からのコメントをベースに、審議のまとめを最終的なものにしていただけますようにお願いします。ありがとうございました。

【引原委員】 どうもありがとうございました。

【西尾主査】 それでは、次の議題に移ります。計算科学技術分野の事業評価についての審議です。まず事務局より、審議の進め方や、評価対象事業の全体像について説明をお願いいたします。

【齊藤情報科学技術推進官】 本日は、議題2におきまして、「京」の運営の事後評価、HPCIの運営の中間評価、ポスト「京」で重点的に取り組むべき社会的・科学的課題に関するアプリケーション開発・研究開発の事後評価の3件について、御審議いただきたいと思います。これらの事業につきましては、全て計算科学技術分野の事業でございまして、安浦委員に主査をお務めいただいておりますHPCI計画推進委員会において、あらかじめ御検討いただき、評価書を取りまとめていただいております。本日の委員会におきましては、HPCI計画推進委員会で取りまとめられた評価書をベースに御審議いただきたく存じます。
事業評価の審議に当たりましては、参考資料1にお示ししておりますとおり、利害関係者の範囲とその取扱いについて9月の情報委員会で御審議いただき、定めております。本件の利害関係者につきましては、事業評価の審議には参加できないこととなっております。本日審議を行う3件の事業評価につきまして、2件目の議題でございますHPCIの運営に係る中間評価につきましては、事業実施機関に所属されてございます喜連川委員と田浦委員、3件目の議題でありますポスト「京」で重点的に取り組むべき社会的・科学的課題に関するアプリケーション開発・研究開発に係る事業評価につきましては、課題実施者として奥野委員が利害関係者に当たると事務局で判断、または自己申告を頂いてございます。このほかに利害関係に当たる方はいらっしゃいますでしょうか。

【西尾主査】 今のところ、いらっしゃらないようです。

【齊藤情報科学技術推進官】 それでは、先ほど申し上げました利害関係者でいらっしゃる委員につきましては、この議事をお聞きいただくことは構いませんが、それぞれ利害関係のある事業の評価に関する御発言についてはお控えいただくようお願いいたします。
それでは、個別の事業評価の審議に入る前に、3事業の全体像について事務局から説明させていただきます。

【宅間計算科学技術推進室長】 計算科学技術推進室長の宅間でございます。よろしくお願いいたします。
では、まず資料2-1を御覧いただけますでしょうか。本日は、3つの計算科学関係事業の中間評価、または事後評価についての御審議をいただきます。これらの3事業は別事業でございますけれども、密接に関連するものになりますので、まず全体像を御説明させていただければと存じます。
計算科学分野では、大きく分けまして、「京」「富岳」といったフラッグシップ機の開発・運用、HPCIの運営、アプリケーション開発という3つの柱で事業を行っております。この中で、本日、赤く囲んでおります3つの事業が評価の対象となっております。
1つ目は、昨年度に運用を終了しました「京」の運営の事後評価でございます。1点、留意事項といたしましては、「京」の開発につきましては、平成25年度に既に事後評価を終了しておりますので、今回は、安定的な運用やそれを通じた成果の創出などの運用に係る事後評価になります。
2つ目は、「京」を中核としつつ、国立大や研究機関のスパコンをSINETでつなぎ、一体的に運用しているHPCIの運営の2回目の中間評価になります。安定性・利便性や、また、それを通じた成果の創出などを評価いただきます。こちらについては、「京」もHPCIの一部として運用されておりますので、さきの「京」の運営の事後評価の内容とも密接に関連、また重複している部分がございます。
3つ目は、昨年度に終了いたしました、ポスト「京」で重点的に取り組むべき社会的・科学的課題に関するアプリケーション開発・研究開発の事後評価になります。こちらは「京」を活用したアプリケーションの開発を行ってきておりますので、本事業の成果は「京」の成果としても引用されてございます。したがって、こちらも「京」の運営の事後評価と密接に関連、また重複する部分がございます。
これらの事業の成果は、全体といたしまして、「富岳」の開発・運用や、また「富岳」を活用した研究成果の創出につながっております。こうした全体像の中で、この3事業の評価を御審議いただきます。
なお、この資料の2枚目でございますけれども、こちらの3つの評価は全てHPCI計画推進委員会で御評価を頂いたものでございます。この情報委員会にも御所属いただいている先生方にも複数入っていただいておりますけれども、こちらで御審議いただいた内容をベースに、本日さらに御審議いただくものでございます。
まず資料2-1については、以上でございます。

【西尾主査】 ありがとうございました。
続きまして、事務局より、3件の事業評価票(案)について、それぞれ説明をお願います。3件の事業評価(案)を事務局から御説明いただいた後、それらの審議を行うこととしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

【宅間計算科学技術推進室長】 事務局、宅間でございます。
それでは、資料2-2のほうで御説明いたします。「京」の事後評価でございます。
まず4ページ目に行っていただきまして、評価の概要でございますけれども、平成24年に共用開始、昨年度に7年間の運用を終了した「京」の事後評価になります。事業としては、平成22年度から開始しております。予算額、また実施体制は、5ページ目に表示のとおりでございます。共用の促進、成果の創出、施設の運営・整備、研究教育拠点の形成などの観点で評価を行っていただきました。
7ページに行っていただきまして、評価票でございますけれども、まず事業の概要は、今の説明と重複しますので割愛いたしまして、8ページ目のあたりから主な成果がございます。主な成果ですけれども、少しピックアップして御説明申し上げます。
まず運用に関しまして、全体の稼働率93%、ここには書いていないのですが、ジョブ充填率は平均75%以上と、高い水準で運用されております。
次のポツでは、利用促進に関して、登録機関による中立・公平な利用選定や、公募回数の拡大やオープンソフトウェアの利用環境整備などによって、企業を含む多数の利用者に利用されております。
次のポツから、「京」でなければ成し得なかった成果について挙げております。例といたしまして心臓シミュレータですけれども、「京」で初めて心臓を構成する心筋細胞の一つ一つの動きを計算することが可能になりました。現在では、こちらは臨床応用に向けた研究が進んでいるところでございます。
次に、例えば、台風・豪雨の予測につきましても、「京」により世界で初めての超高解像度での全球シミュレーションに成功いたしました。これまで全球シミュレーションでは再現が難しかった積乱雲をリアルに表現できるようになったというような成果が挙げられております。気象分野につきましては、昨年7月の熊本で発生した豪雨における線状降水帯を高精度に予測する研究にも活かされた成果も挙げられているところでございまして、将来の気象予報に革新をもたらすことが期待されております。
このほか、長周期地震動に関するシミュレーションや、グリップ性能と低燃費性能を両立したタイヤ素材の開発、世界最大規模のシミュレーションによるダークマターの進化過程の解明などが実現いたしました。
また、9ページですけれども、「京」の運用後期には、「富岳」のターゲットアプリケーションの開発にも用いられ、「富岳」の開発プロジェクトに必要不可欠な研究基盤として機能しております。このアプリケーションは、後ほど御説明いたしますポスト「京」のアプリケーションの開発事業の成果でございますけれども、ほぼ全てのターゲットアプリケーションにおいて目標としていた性能に達しております。
また、HPCIと一体的に運用され、Spring-8などの大型実験施設との連携活用も進められました。
また、若手研究者枠の設定を通じて、人材育成されております。
これらより、次世代のフラッグシップ機である「富岳」につながる貢献や、情報科学全体への貢献があったと考えられます。
以上の成果を必要性、有効性、効率性の観点で再評価いただいております。
必要性に関しましては、11ページのあたりにまとめがございますけれども、いずれの項目でも、事業は円滑に遂行され、また、利用の促進の結果、「京」に対する需要は高く、「京」でなければ到達しえない成果が多数生み出されており、本事業の必要性は高いと御評価いただいております。
また、有効性につきましては、14ページ目のあたりにございますけれども、安定的な運用により、「京」でなければ成し得なかった優れた科学的成果を数多く生み出し、また、それを積極的に広報するなど、有効性は高いと御評価を頂いております。
続きまして、効率性につきましては、15ページ目のあたりにございますけれども、高いジョブ充填率で極めて安定的に運用され、継続的なコストの低減の取組を行ったことや、関係機関・地元との連携で効率的に実施されたことを御評価いただいております。
また、15ページ目の下のあたりでは、その他の項目ですけれども、積極的に海外機関との協力関係を築きつつ運営したことや、他の大型研究施設との連携を推進したこと、若手枠の設置、講習会・イベントを通じて人材を育成したこと、地元自治体・地元教育機関と連携を行ったことなどを御評価いただきました。
17ページに参りまして、科学技術基本計画等との関係ですけれども、「京」の成果が幅広い分野で様々な成果を生み出しただけでなく、「富岳」の開発に当たっても「京」が活用されたということで、科学技術全体に貢献したと御評価いただいております。
また、次の項目で、総合評価ですけれども、全体の評価の総括に加えまして、「京」の成果があったので、今現在、緊急的に実施しております「富岳」でのコロナ対策などにおいても、早期に成果を創出することができたことなどを挙げまして、「京」が計算科学や科学技術全体に果たした役割が大きかったことを御指摘いただきました。
また、最後に、18ページ目、今後の展望の部分ですが、「京」のノウハウを「富岳」にも活かすべきことや、引き続きHPCI全体として緊密に連携されること、「富岳」での検証が次世代計算基盤の検討に活かされることを期待することなどを指摘いただきました。
資料2-2については、以上でございます。
続きまして、資料2-3の方を御説明させていただきたいと思います。資料2-3は、HPCIの運営の中間評価になります。
4ページ目に行きまして、評価の概要でございますけれども、事業としましては、平成24年から開始しておりまして、2回目の中間評価ということになります。
事業の目的でございますけれども、高速ネットワークによる「京」または「富岳」、国内の大学等のシステムや共用ストレージを結んだシームレスな利用を実現する計算環境を構築するものであり、多様なユーザーニーズに応え、画期的な研究成果を創出し、科学技術の発展、産業競争力強化に資するともに、人材育成や裾野拡大に貢献することを目的とするものでございます。
事業の実施体制は、3の(2)のところに記載のとおりでございます。
また、評価の項目ですけれども、資料5ページ目の下ほどにありますように、安定性、利便性の高い運営や、利用者の拡大、また成果創出などの観点で御評価いただいております。
7ページ目から評価票が始まっておりますけれども、事業の概要は割愛いたしまして、8ページ目のあたりからの成果のところをピックアップして御説明申し上げたいと思います。
まず安定性、利便性の項目におきましては、少し飛ばして御説明しますが、稼働以来、認証システムに不正アクセスが発生せず、ネットワーク障害なども迅速に復旧作業が実施、共用ストレージも書き込みサービスを途絶えることなく連続稼働するなど、安定的に運営されました。また、計算資源につきましては、計算機の追加や更新がなされており、多様性が担保され、また、総量も拡大してまいりました。さらに、コロナの状況におきまして、利用の手続を遠隔ベース化するなども実施しており、利用者環境変化にも柔軟に対応しております。
また、フラッグシップの端境期におきまして、資源提供機関の協力のもと、計算資源の総量を確保して、フラッグシップ不在の計算資源不足を補い、研究継続に貢献しております。
9ページに参りまして、利用拡大についてでございますけれども、例えば、若手枠を設けることや、利便性を考慮した申請の受付などを通じまして、毎年100人程度の新規参加者が参加しております。高度化支援を通じて、アプリケーション性能の改善が図られるとともに、そうした成果を広く社会に還元しております。
産業界に関しましては、講習会などを通じて利用拡大に努めており、計算規模の大規模化や新規参加も毎年得られているところでございます。一方、企業に関しては、新規参加の割合はやや鈍化しつつありますので、産業界の利用の裾野拡大に向けた仕組み作りが必要と御評価いただきました。
次の項目の利用分野の拡大・シミュレーションの大規模化につきましてですけれども、利用ニーズを踏まえたアプリケーションのプリインストールや講習会の実施などによりまして、AI・データ科学なども含めて、利用分野の拡大や利用促進が行われました。利用者向けのポータルサイトでの情報提供など、様々な分野の利用者がシステムを利用しやすくなるような取組を実施しております。これらにより、利用者は平成24年度から延べ1万3,600人に達しております。
大規模並列計算への支援やプログラム性能の改善を行うことで、計算資源の効率的な利用にも貢献しております。
10ページ、成果創出の項目ですけれども、安定的で利便性の高い多様なシステムを持ち、利用促進を通じて、企業を含む多くの利用者に利用されました。その結果、様々な分野で優れた成果が挙げられております。
例えば、物理分野では、重い原子核の分裂における非対称型の質量分布の微視的機構が解明されました。
生命科学分野では、例えば、ヌクレオソームが遺伝情報を読み取る動的メカニズムが解明されております。
宇宙分野におきましては、星が成長する過程を高解像度で計算することに成功し、星の成長過程を明らかにしております。
工学・ものづくり分野におきましては、タイヤゴムのフィラー充填の微細構造設計に係る重要な情報を明らかにしております。
これらは、実空間における再現や実験に多大なコストがかかる不可能な研究が多く、大規模計算などにより初めて実現可能になったものでございます。我が国全体の研究ニーズと計算資源をマッチングしたことにより成果が創出されたこと評価いただいております。
事業実施体制については、11ページのところからですけれども、RISTを代表機関といたしまして、事業実施機関が連携し、HPCIコンソーシアムとも連携いたしまして、効果的・効率的に運営してまいりました。
成果の利活用に関しましても、利用報告書のポータルサイトでの公開や、シンポジウムの開催などを通じて、効果的に広報が行われてまいりました。
次のその他の項目ですけれども、コロナウイルス感染症対策といたしまして、HPCIでは臨時公募を実施して、緊急的に課題を実施しております。そうしたことから、柔軟な事業実施体制で運営されたと指摘を頂いております。
以上の主な成果を、必要性、有効性、効率性の観点で再評価いただいております。
必要性につきましては、12ページ目の下のあたりですが、本事業の必要性は高く、科学技術の発展や産業競争力の強化に欠かせない事業であるということを御指摘いただいております。
また、有効性につきましては、13ページ目のあたりですけれども、本事業を通じて優れた成果が多数創出され、我が国全体でニーズと資源のマッチングが可能になり、より有効に計算資源が活用されることが可能になったことや、端境期に研究全体の継続に有効に機能したことなどから、有効性は高いと御評価いただいております。
次に、効率性につきましては、13ページ目から14ページ目にわたりまして、アプリの高速化などによりまして計算資源の効率的な活用がなされたことや、利用者ニーズを踏まえたアプリケーションのプリインストールや、人材育成、成果報告、成果公開、諸外国の動向調査などを挙げまして、効率的に事業が実施されていると評価されております。
14ページ目の次の項目で、科学技術基本計画との関係ですけれども、Society 5.0の実現に向けて、多様なビッグデータを分析可能とする計算資源は必要不可欠な情報基盤であるということを指摘いただきました。
また、今後の研究開発の方向性といたしまして、評価を総括して、本事業を継続すべきと御評価いただいております。
また、その他の項目におきましては、HPCIの中長期的な展望について、コンソーシアムの提言なども踏まえて、引き続き検討する必要があることを御指摘いただきました。
資料2-3については、以上でございます。
資料2-4につきまして、引き続き御説明を申し上げます。
資料2-4、4ページ目のところに評価の概要でございますけれども、本事業は平成26年度から開始しまして、昨年度末で終了した事業についての事後評価になります。各研究課題については、「富岳」成果創出加速プログラムレビュー委員会という委員会がございまして、そちらで昨年度末に評価を一旦行っております。今回、その結果を基に、HPCI計画推進委員会で事業全体の評価を行っていただいております。
事業の目的ですけれども、ポスト「京」に関して、重点的に取り組むべき社会的・科学的課題を特定し、その解決に必要なアプリケーションプログラムとシステムを協調的に開発することを目的とする事業でございます。
事業の概要ですけれども、平成26年度から9つの重点課題、28年度から4つの萌芽的課題を選定・実施してまいりました。具体的な課題は、御覧のとおりでございます。
評価の項目につきましては、5ページ目のあたりにございますけれども、アプリケーションの開発及び普及や、社会的・科学的課題の解決への貢献、人材育成などの観点につきまして行いました。
評価票は6ページ目からでございますけれども、概要の説明は割愛いたしまして、8ページ目あたりから、主な成果につきまして御説明申し上げます。
まずアプリケーション開発及び普及の取組でございますけれども、「富岳」の開発目標の一つには「最大で「京」の100倍のアプリケーション実効性能」が掲げられておりました。対象となる9つのターゲットアプリケーションについては、本事業の重点課題で開発されております。そちらの表にお示しのとおり、ほぼ全てにおいて目標とした性能倍率を達成しております。
9ページ目に参りまして、本事業全体を通じて、ターゲットアプリケーション以外にも多数のアプリケーションが複数開発されております。また、そうした成果は、ゴードンベル賞などのファイナリストに選出されるなど、国際的にも高い評価を得ております。
次の項目に参りまして、社会的・科学的課題の解決への貢献でございますけれども、社会的・国家的見地から高い意義があり、世界を先導する成果の創出が期待できる先進的な課題として、9つの重点課題が実施されております。「京」を用いた大規模シミュレーションによって、社会的・科学的課題の解決に貢献する成果が多数創出されております。
例えば、健康長寿社会の実現に関しましては、例えば、バクテリアの細胞質などをモデリングし、数千万から1億原子に至る規模のシミュレーションに初めて成功しております。また、がんの変異による薬剤反応性の高精度な予測、マルチスケール心臓シミュレーションなどの成果が挙げられました。
少し飛ばしてしまいますけれども、10ページ目の防災・環境に関しましては、例えば、南海トラフ沿い巨大地震による長周期地震動のシミュレーション、観測ビッグデータとの同化による局地的大雨や竜巻の予測精度向上などの成果が挙げられております。
また、11ページ目からですが、エネルギー問題については、例えば、絶対に発火しない長寿命電解液の開発や、石炭ガス化炉、洋上ウインドファームなどの実機におけるデジタルツインの実現に向けた世界初のマルチスケール・マルチフィジックス統合シミュレーションなどの成果が挙げられました。
産業競争力の強化については、例えば、窒化ガリウムの結晶生成について、常識とされていた反応経路が誤りであることを指摘するなど、マテリアル分野のプロセスインフォマティクスの進展に寄与する成果や、シミュレーションによる曳航水槽試験の代替が可能であることを実証するなどの成果が挙げられました。
基礎科学の発展については、例えば、ブラックホールの周囲における物質の相互作用などを明らかにするなどの成果が挙げられております。
以上のように、優れた成果が複数挙げられ、今後、「富岳」でさらに迅速または精密に計算できることによって、健康長寿社会の実現においては、例えば、臨床現場への迅速な情報提供が可能になることや、防災・環境に関しては、自治体・企業などで活用される災害予測、エネルギー問題や産業競争力に関しては、例えば、産業界で活用される開発設計などの最適化や、基礎科学では、新しい知の創出などが期待されておるところでございます。
続きまして、12ページ目のあたり、萌芽的課題というのがございますけれども、「富岳」で新たに取り組むチャレンジングな課題として、4つの萌芽的課題が実施されておりました。一つ一つの御紹介は省きますけれども、総じまして、「富岳」による成果創出に向けて、多くの知見や計算手法が確立されたところでございます。
本項目のまとめ、13ページ目のあたりにございますけれども、これらの成果については、数多くの論文などとして発表されるとともに、先ほども申しましたゴードンベル賞など、様々な賞を受賞しているところでございます。また、この成果は、「富岳」のCo-designの中でシステムとアプリケーションが随時フィードバックを行いながら進められた結果として得られたものであることを指摘されております。
次の項目で、産業連携体制ですけれども、それぞれ実施課題の中において、以下のようなコンソーシアムが構築されるなど、開発されたアプリケーションの社会実装体制が構築されております。
次の項目で、人材育成について、14ページ目のところでございますが、本事業を通じて約1,100人の研究者が雇用されており、これらの人材が、今後「Society 5.0」を支える人材として、スパコンの開発・利用に携わり、貢献していくことが期待されております。
以上の成果を、必要性、有効性、効率性の観点で再評価いただいております。
必要性に関しましては、14ページから15ページ目にかけてでございますけれども、本事業は、国が実施しなければ実現困難であり、国や社会のニーズへの適合性が極めて高いこと、また、開発されたアプリを用いて様々な分野で画期的な成果が創出されており、今後「富岳」上で活用されることにより、我が国が直面する課題に対応できる、より独創性、優位性の高い成果が期待できることなどを御評価いただきました。
有効性につきましては、15ページ目、16ページ目のあたりでございますが、優れた成果が多数創出され、今後「富岳」で活用されることにより、例えば、次世代電池材料の提案や、産業界の現場における開発・設計の最適化、太陽系の形成過程の解明など、世界を先導する成果が期待できること、また、16ページのあたりですけれども、本事業におけるアプリケーションと「富岳」のシステムのCo-designにより、「富岳」は世界最高水準の汎用性を持つマシンとして開発され、この結果はランキングで4部門1位という結果にもつながっております。今後、この「富岳」を用いて、幅広い分野での活用・成果創出が期待できることから、本事業の有効性は高かったと御評価いただきました。
有効性の最後のところで、本事業の評価の直接の対象外ではあるのですが、御指摘いただいたことがございます。「富岳」成果創出加速プログラムは、この事業の後継事業ですけれども、今年度から既に開始しております。そちらや、今年度緊急に実施したコロナ対策研究においても、既に大きな成果が挙げられているところでございます。このように、立ち上がり初期から多くの成果が創出されているのは、本事業をはじめとして、各研究分野でのアプリ開発、産業連携体制の構築や人材育成が継続的に実施されてきた成果として高く評価できると御指摘いただいております。
次に、効率性の項目ですが、16ページ目のあたりですけれども、Co-designは、「富岳」の成果を最大化する観点から、効率的な手法であること。また、本事業は、文科省に設置された有識者委員会や、各課題について設置された諮問委員会などが階層的に事業の進捗管理を行っておりますけれども、事業全体で効率的な運営が実施されたということを御評価いただいております。
17ページ目に参りまして、科学技術基本計画との関係でございますけれども、「科学技術基本計画」で提唱されている「Society 5.0」の実現に向けて、その実現を支える「富岳」を最大限活用する観点からも、本事業の有効性は認められることなどを御評価いただきました。
18ページ目に参りまして、総合評価ですけれども、全体の評価を総括していただくとともに、本事業は効率的・効果的な運用の下、多様な分野での先導的で画期的な成果を創出しただけではなく、「富岳」開発におけるCo-design、各分野における人材育成と産学連携の推進により我が国の計算科学全体の水準を引き上げた、という観点から大きな意義があったと御評価いただいております。
最後に、今後の展望ですけれども、本事業の成果を引き継ぎ、「富岳」を活用した成果の創出や社会実装が進み、「富岳」の成果を国民がいち早く実感できるようにすること、本事業で開発されたアプリケーションにとどまらず、新たなニーズやシーズに応じた形で、継続的に「富岳」から成果が創出される枠組が構築されること、また、今後の我が国における計算基盤についても、「京」や「富岳」の開発で培われたCo-designの技術や経験が活かされる体制が構築されることが期待されることなどを御指摘いただきました。
以上でございます。

【西尾主査】 ありがとうございました。宅間室長には、大部にわたる資料を簡潔に要領よく御説明いただきまして、ありがとうございました。
これらの事業評価を検討いただきましたHPCI計画推進委員会の主査をお務めでいらっしゃいます安浦委員から、補足等ありませんでしょうか。

【安浦委員】 安浦です。
一遍にこういう3つの非常に関係性の高い事業の最終評価2つと中間評価1つを行っておりますので、委員の先生方にも少し分かりにくい部分もあるかとは思いますけれども、資料2-1の図を御覧いただきながら、それぞれの評価書を見ていただければと思います。
これは次の「富岳」の運営、あるいは、その「富岳」の次をどう考えるかという計算基盤の将来を議論する、そういう意味合いからも重要な評価であるという認識で、HPCIの委員会のほうで様々な議論をしていただいております。
「京」については終わったので、最初のときに事業仕分けでいろいろ問題ございましたけれども、それに対するある程度のソリューションをきちっと社会に対して出す必要があるだろうということ。それから、ポスト「京」で重点的に取り組むべき課題に関するアプリケーション開発については、「富岳」でこれがどういうふうに活かされようとしているかということで、予測した性能をCo-designでほぼ達成しているということで、かなりうまくいっているのではないかと思います。
HPCIの運営につきましては、これは我が国の計算基盤を支える重要な、非常に息の長い事業でございますけれども、「京」と「富岳」の端境期の約1年半を支えたという実績、あるいは、その間にも、非常にスピードの速い分野でございますので、その分野に対して、このHPCIに加盟しているいろいろな機関が様々な柔軟な対応を行って、我が国の計算基盤をいろいろな面で支えてきているという実態を評価させていただいております。
問題点もいろいろございますので、それは中に書き込ませていただいておりますけれども、そういう視点で、情報委員会の方で御審議いただければと思います。よろしくお願いいたします。

【西尾主査】 安浦先生、重要なコメント、および追加情報を頂きましてありがとうございました。
それでは、審議に移ります。ただいま説明のありました3件の事業評価につきまして、御質問であるとか御意見があります場合は、どの事業に対するものか、資料2-2、2-3、2-4のどの部分に関するものなのかを明確におっしゃっていただいた上で、御質問、御意見等を頂ければと思いますので、よろしくお願いいたします。
辻委員、どうぞ。

【辻委員】 辻でございます。どうも、御説明ありがとうございました。
資料2-3のHPCI運営の中間評価についてのコメントでございます。
まず、研究の運営周りに関するお話だということですけれども、とかくHPCIに関して、使う側の研究の新規参加が拡大されているだとか、あるいは、コンピュータ性能そのものが良くなったというところに注目されがちですけれども、やはりHPCI運営の中間評価ということですので、例えば、運用する側について、幅広い研究分野全体を支える情報学の分野としての人材育成がどうであったかといったところが非常に重要なポイントではないのかなと考えております。
それで、例えば、コンソーシアムで効果的・効率的な連携をされているというところであったり、安定運営をされていたりという御説明は入っていたのではございますけれども、それに加えまして、HPCI運営を通じて、いわゆる情報学分野として、この運営を通じてこんな育成ができたとか、こんな人材が多数生まれてきたというようなところを御評価いただくと、よりこの後の「富岳」も含めて、幅広い情報学としての貢献をうたえるのではないかと感じたのですけれども、いかがでしょうか。

【西尾主査】 どうも、貴重なコメント、ありがとうございました。
この件について、安浦先生、あるいは、事務局の方からお答えいただけますでしょうか。

【安浦委員】 貴重なコメント、ありがとうございます。
評価書の後ろの方、14ページのあたりから人材育成のことを書いております。残念ながら、計算機科学分野の人材育成については、まだまだ、考える必要がある部分が多いという認識は委員会としては持っておりまして、それを非常に短いフレーズで書き込んでいます。特に最後のところで、人材育成の機能強化という書き方で書いておりますが、これは委員会の中では、計算機科学の視点から見たHPCIの話と、利用者側から見たHPCIの話、これをどういうふうにバランシングしていくかということが非常に重要な課題であるという認識を持って、この報告書全体を構成しているつもりでございます。
辻委員が納得されるぐらいに明確に表に出た記述にはなっていないかとは思いますが、一応、計算科学の視点から見た議論もやっております。こんなところでよろしいでしょうか。

【西尾主査】 辻委員、どうも、貴重な御質問、ありがとうございました。今の安浦先生の御説明をもとに、もう少しご懸念の点を強く出したほうがよいのか、ご意見をいただければと思いますがいかがでしょうか。

【辻委員】 どうもありがとうございます。
既に推進委員会の方々の中では御議論されていらしたということですので、特に申し上げなくてもいいのかと思ったのですけれども、その過程を確認させていただけたというだけで結構でございます。どうもありがとうございました。

【西尾主査】 もし事務局のほうで、その点を何らかの意味で追記できるようなところがありましたら、ぜひ、対応をお願いいたしたいと思います。どうもありがとうございました。
ほかに御意見ございますか。鬼頭委員、どうぞ。

【鬼頭委員】 鬼頭でございます。
まずは「富岳」に関して先にコメントしますけれども、科学分野とか基礎研究の分野では非常に有効なものを作っていただいたというのと、IaaSの分野に関しては、非常に成果が高かったと私は思っております。
しかし、先ほどの質問とかぶりますが、全般に定性的に書かれていて、例えば、1,100人の技術者のコンソーシアムがあったとありますが、最終的には何人の技術者を育てるのか、やはりハードウェアというのは、利用者がいて利用するものですから、KPIとしての数値化というのが、いつも疑問です。
例えば、アマゾン、グーグル、マイクロソフトなんかも、HPCという形でサービスを始めていますが、門戸を開いて、いろいろなところから個人でも申し込めるような形でどんどん加速していると思います。一方こちらは、基礎研究のためにあるマシンであり、前も言いましたけれども、産業界の使いやすい形にはなかなかなっていないと感じております。
私のイメージするものは、本屋に行くと、「富岳」の使い方という本が置いてあり、産業界の人間でもいいですけれども、一般の人たちがそれを買って使うという世界が来るといいなと思っております。
今、まだIaaSの段階ですけど、将来的にはPaaS、SaaSという段階に行く計画が必要だと思っています。これからぜひ文部科学省の方に、お願いしたいのが、数値化して評価していただきたいということです。少し定性的に書かれていましたので、何人に利用された、何人にする計画である、それに対して何人足りなかったということが、恐らく普及という意味では非常に大事なKPIになってくると思いますので、KPIの数値化をお願いしたいというのが1つと、あともう一つは、今言いましたように、私はHPCの民主化というのがあると思うので、そのためのIaaS計画、PaaS計画、SaaS計画という点について、コメントいただければ非常に助かります。

【西尾主査】 そうしましたら、安浦先生、この件についての回答をお願いできますか。

【安浦委員】 安浦です。鬼頭委員、貴重な御意見、ありがとうございます。
まさにそこの運用の部分に関しては、1つは、「京」は割と閉じた空間でやって、終わってしまいましたので、「富岳」の今回の評価には入っておりませんが、「富岳」をどういうふうに利用していくかという利用割当の中で、運用機関側からの御提案で、まさにIaaSとか、さらにクラウド利用みたいな利用をやらせる、そういう仕掛けを作りたいという御希望が出ていて、議論をしております。
今回の評価とは関係はございませんけど、まさにおっしゃるとおりで、今までは一番のベースとして、科学技術の幾つかの分野でのLINPACK、それからもう少し複雑な応用アプリケーションの性能だけで議論をしていたわけです。だから、性能をKPIとしていたわけですけれども、それを利用という視点で、もう少し幅広い世の中、Society 5.0を支える道具であるという視点に立ったKPIの作り方について評価の立場から、それをどういうふうに、数値で表せばいいのか、それから、実際の「富岳」の運用の中で、どういう制度を作ればいいのかということは、今後の非常に大きなテーマかと思っております。
HPCI計画推進委員会で引き続きそこを議論していただくのが1つの考え方でありますけど、もう一つ、計算基盤の議論をする部会がございますので、どちらで議論していくか、今後考えていってもらうように、次期の主査なり委員会に引き継ぎたいと思っております。
まさに「富岳」の使い方という本が出て、あるいは、そういうユーチューブの動画が出て、富岳ユーチューバーが生まれるような世界というのも想定しないといけないと思いますし、「富岳」だけではなくて、各大学にある基盤計算機をどこまで産業界あるいは一般のユーザーが使えるようにするのか、その辺の大きな政策についても今後検討していく必要があると思います。
どうも、貴重な御意見、ありがとうございました。

【鬼頭委員】 最後に一言だけコメントです。
私は、まだ本当にHPC、スーパーコンピュータは閉じられた世界だと思うので、ぜひカジュアルなものに、民主化していただきたいと思っておりますので、ぜひ、次の段階ではSaaS化して、オープンな形としていただきたいと思っております。よろしくお願いいたします。

【西尾主査】 鬼頭委員、どうもありがとうございました。非常に重要なキーワードとして、HPCIの民主化ということでおっしゃっていただきました。
この件に関しては、鬼頭委員にお伺いしたいのは、資料2-2から2-4に関して、どこかの部分を今の段階で修正すべきだということではなくて、今頂いた御意見を、今後「富岳」の運用といったところできっちり活かしていくということでよろしいのでしょうか。

【鬼頭委員】 はい。過去のものはもう変えられませんので、やはり今後、どういう形があるのかという点が必要だと思いましたので、意見をさせていただきました。

【西尾主査】 どうもありがとうございました。
あとは、KPIについて、どれだけのユーザーに対してのものだとか、そういう意味の数値目標等も必要ではないかということでおっしゃっていただきましたので、事務局のほうで、何かコメントをいただけないでしょうか。

【宅間計算科学技術推進室長】 ありがとうございます。事務局でございます。
まず、利用者などの人数の定性的なところの実績につきましては、例えば、延べ人数1万1,000人だとか、企業200社が利用したというようなところをなるべく定量的に書いたつもりではございました。
一方で、委員に御指摘いただいたような目標数値、KPIとしてそういったものを定量的に示していないというのは御指摘のとおりでございますので、今後、「富岳」の運用に当たって、そうした点を踏まえて参りたいと思っております。
それから、なるべく幅広く使っていただくというところも御指摘のとおりで、「京」も、広い利用者に対して講習会などを通じて利用を広げてきた努力をしてきたところでございます。ただ、まだまだというところでございますので、「富岳」につきましても、そこにますます力を入れていくつもりで今進めているところでございます。
1つ例を挙げさせていただくと、例えば、「富岳」につきましては、なるべく、高校生も含めて、幅広い国民に使っていただくべきというような方針で考えておりまして、高校生が「富岳」を実際使ってみるというような体験も、既に理研、また大学と協力していただいてやっていただいたという実績もございますので、少し御紹介をさせていただきます。こうしたことをこれからもやっていければと思っております。
事務局から、以上でございます。

【鬼頭委員】 ありがとうございます。

【西尾主査】 事務局から言っていただいたことが国民レベルに伝わっているということがさらに大事かと思いますので、アウトリーチ活動についても今後さらに努めていただければと思います。
鬼頭委員、どうも、重要な御指摘、ありがとうございました。
梶田委員、どうぞ。

【梶田委員】 京都大学の梶田でございます。私のほうからは、資料2-3のHPCI運営中間評価票について御質問させていただきたいと思います。12ページの必要性のところ、「第3の科学」ということで、計算科学分野ではシミュレーションが非常に重要なことだと思うのですが、やはり今後のことを踏まえますと、「第4の科学」と言われているデータ駆動型科学への貢献や関わり方というのは大変重要だと思います。そういった意味では、データ駆動型科学への貢献についてどういう議論になっているのか、ぜひ御紹介いただければありがたいです。よろしくお願いします。

【西尾主査】 重要な観点かと思います。これも安浦先生、あるいは事務局の方からお答えいただきたくお願いします。

【安浦委員】 安浦です。
まさにデータ科学の話は議論の対象に当然ならないといけないわけですけど、これまでの動きに対する評価として、今のところ、HPCIはシミュレーションベースであったため、それに対する記述だけになっております。しかし、おっしゃるように、今後はデータ科学への対応も考えるべきだということを、もう少し表に出して書き込む必要があるのかもしれないと思います。
実際、「京」である程度、実時間まではいかないけど、研究で十分な時間でシミュレーションができるようになったのが、「富岳」では、ほぼ実時間に近いようなシミュレーションができているというような、そういう大きな違いが出てきているというところで、割と「富岳」と「京」の間の違いを議論しておりました。データ科学のところは記述から抜けていたかと思いますので、これは事務局とも相談させていただきたいと思います。
委員会では、当然データ科学の話は、委員の中にも御専門の先生方たくさんいらっしゃいますので、議論されていましたけど、記述の中からは少し弱いような気がいたします。どうもありがとうございました。

【西尾主査】 そうしましたら、「第4の科学」と言われているデータ駆動型科学に関して、資料2-3の適切なところで必ず言及していただくことが重要だと思いますので、事務局と安浦先生の方でよろしくお願いいたします。
梶田先生、そういうことでよろしいでしょうか。

【梶田委員】 ありがとうございます。
データ駆動型科学の先にあるオープンサイエンスという話になってきますと、先ほど鬼頭委員からも御指摘のあった市民への開放という、いわゆるシティズンサイエンスという話にもつながっていきますので、ぜひお願いしたいと思います。

【西尾主査】 ありがとうございました。
喜連川先生、どうぞ。

【喜連川主査代理】 喜連川です。
この会議では、国家の戦略として「富岳」をどう見るのかという視点をもう一度再確認していくことが必要だと思います。つまり、何でもかんでも「富岳」というわけにはいかなくて、逆に言うと、そんな中庸なものをつくってみても仕方がないということです。
西尾先生は出ておられなかったのですが、次世代計算基盤検討部会で、比較的長めのプレゼンをそれぞれの委員にしていただく機会があり、前回、量子分野の伊藤先生が非常にいい御発表をされました。その発表では、やはりスパコンは新たな科学をつくるというところに期待したいと、この1点は譲れないという言い方をされました。そして、同時に、飛沫じゃないという言い方をされました。
つまり、どういうことかというと、飛沫のシミュレーションについての成果が各所で報道されていますけれども、あのシミュレータというのは「富岳」である必要は一切ない、単一コアで十分できる話だとおっしゃられる。
ということはどういうことかというと、先ほど、評価のところは記述が大変改善されたと思うのですけれども、我々が、このスパコンを国家の中でどういうところに位置づけるかという点で言うと、「京」でなくてはできないもの、「富岳」でなくてはできないものを実行するために、この大きな予算投下をしているということを忘れるべきではないということです。
つまり、そういう意味で言うと、第二階層を含めたHPCIで飛沫のシミュレーションは十分できますから、「富岳」はもっと「富岳」しかできないものに注力すべきです。高校生が使うということについては、CSRとしてほんの少しやるのは構わないかもしれませんが、そもそも「富岳」は民主化するべきものではなくて、完全に尖った領域をやるためのものとしてポートフォリオに位置づけるべきだということ、そして、第二階層を含めて全員が共通のゴールを持って進めていくという意味で言うと、やはりこの第一階層の役割というのは、最も新しいものをどう実現していくのかということではないかと思います。
したがいまして、先ほどの記述の中でも心臓のシミュレータと書かれていましたけれども、その後どうシナリオが出てくるのかというところはやや薄い。シミュレーションができましたということしか書いていない。しかも、どれぐらいの計算リソースが必要だったからできたということは何一つ書いていないような気がいたします。
このように、やはり難しい問題を「富岳」に解いていただきたいと国民も思っていますし、多分、有識者も思っているのではないかと思いますので、この辺のきっちりとした整理をぜひこの評価書の中にも入れていただくことが、国家を強くすると思います。一般受けの良い問題ばかり狙いますと、第二階層と取り合いになってしまいます。そんなことをすべきではないと思いますので、少し御検討賜ればありがたいと存じます。

【西尾主査】 ありがとうございました。ポートフォリオの観点から、喜連川先生から非常に示唆に富む御発言を頂きました。
その点に関して、安浦先生、いかがでしょうか。

【安浦委員】 喜連川先生、どうもありがとうございます。
次世代計算基盤部会では、そういうことを考えてやらせていただいておりまして、多くの先生から、医学分野での違いがどれだけ出てきているかという御説明もあったと思います。「富岳」の成果としては、コロナの薬の候補物質を探索するという話ですけど、まだ表に出せる状況ではないということです。ただ、これは「富岳」でないとできなかったということもあるので、飛沫の話はあまり表に書かずに、コロナに対しても効果を上げているという表現にさせていただいているというのが実態でございます。
まさに喜連川先生がおっしゃるように、特にトップとしての「京」、「富岳」のようなフラッグシップというのは、新しい科学を作るための我々の武器である、国の最重要な力の源泉であるという、そういう形のメッセージを鋭く出していくような評価、表現にもう少し見直しをさせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。

【西尾主査】 ありがとうございました。
私も、先ほどの宅間室長からの説明の中で、「京」があったからこそできた、ということを強調してお話いただきましたことが印象に残っております。
その「京」だからできたということの一方で、喜連川先生がおっしゃっていただいた観点から、もう一度、第二階層のスパコン等ではできないのかというところをもう一回精査していただくことも重要だと感じた次第です。

【宅間計算科学技術推進室長】 事務局からよろしいでしょうか。

【西尾主査】 宅間室長、どうぞ。

【宅間計算科学技術推進室長】 ありがとうございます。フラッグシップのポートフォリオという点、非常に重要な御指摘を頂いたと思っております。
「京」の事後評価のときも、HPCI計画推進委員会のほうでも、「京」でなければ何ができなかったのかというようなことをきちんと書くべきという御指摘をたくさん頂きました。記載のところは、なるべくできる限りそのようにさせていただいておりまして、例えば、心臓シミュレータでも、「京」以前では計算に年単位の時間がかかることから、事実上不可能でございました。そうした成果が「京」で上がっているというようなものを特に取り上げて、評価票の8ページ目のところには書いたつもりでございました。
そこが1点と、それから、飛沫の件で、一つ一つの計算が決して「富岳」を必要としないという点は、そうというふうに我々も聞いてございますけれども、今回、非常にたくさんのケース、内閣官房等の政策担当部局からの依頼も多く、非常に多くのケースを一遍に短時間で検証しております。そうしたことは、やはり「富岳」の規模があったからできたことというふうにも認識しているのと、また、結果において、スパコンというものが国民の実生活に役立つというところが非常に分かりやすく伝わったという側面は大きかったかなと思っております。そういった意味で、あのような取組は重要であったと、事務局としては考えております。

【橋爪参事官】 補足させていただきますと、スパコンの重要性については、もちろん「富岳」を中心としながらも、大学のHPCI全体で取り組んでいかないといけないところだと思っておりますので、今まで以上に連携を強めて全体として考えていくことが重要だということは、先ほどの御議論で改めて認識しているところでございます。
それから、ポートフォリオの関係に関しましては、喜連川委員のおっしゃる「富岳」でなければできないところ、科学を大きく進める役割、これはもちろん重要ですが、一方で、国民の皆様の財源で整備しているというところから、なるべく幅広く裾野の広さの含め、両方の観点のバランスを取ってやっていくことが重要ではないかと思っております。
その点では、最初に鬼頭委員から御指摘いただきました、なるべく多くの人に知ってもらうということについては、「富岳」もそうですが、HPCI全体としても取り組んでいかなければならないという観点から、もちろんそれで全ての計算資源を使い切るということではありませんけれども、もし接していただける機会があれば、なるべく若い方、初等中等教育段階からの観点も含めて考えていきたいと思います。
いずれにしても、全体のポートフォリオをどう考えていくかという御指摘は重要でございますので、本日の議論を踏まえまして、今後、「富岳」の活用の仕方を、HPCI計画推進委員会等々の議論でも御意見いただきながらしっかり考えていきたいと思っております。
員会等々の議論でも御意見いただきながらしっかり考えていきたいと思っております。

【西尾主査】 喜連川先生から貴重な考え方をお話しいただいたことと、鬼頭委員から先ほどコメントを頂きました、企業サイドにおける通常のスパコンではできないような新たなイノベーションを起こすような計算ということを考えた場合、私は鬼頭委員のおっしゃっていることと喜連川先生がおっしゃっていることが完全に直交することではないと思っております。両方の観点から新たな科学を生み出す計算、あるいは、企業における今までにないイノベーションを起こすための計算がいろいろと考えられるのではないかと思います。そういう観点で今後のポートフォリオを考えていただければと思います。

【喜連川主査代理】 すみません。今のまとめで全然反対はないのですけれども、国民との対話ということであれば、やはり学生さんも多い7大学の基盤センターは、そういう情報発信がすごくやりやすいはずで、そのやりやすいところを使うべきだと思います。また、飛沫のパラメータをたくさん振ることについても、情報基盤センターの分を使えば、もっともっと多様なことができるはずです。
だから、やはり我が国において、一千数百億円かけて一つのパワフルなマシンを作る意義を考えると、やはりそれしかできない問題を解くということ以外に理由づけができないのではないかというのが僕の印象で、1つの意見として申し上げました。そして、この意見のほうが、HPCI、つまり、第二階層と第一階層が融合して一緒に頑張っていこうというムードをもっと強く出せるのではないかと思います。今は、やや違和感が出ているような気がしています。
以上です。

【西尾主査】 ありがとうございます。
安浦先生の委員会において、さらに次の富岳をベースにした国全体のHPCIのネットワーク化の構想等も考えていただいておりますので、そういう中で、今、喜連川先生がおっしゃった第一階層、第二階層の連携をうまく取って、各々の特徴が活きる形での運用を考えないといけないと思います。その辺りは今後、文部科学省のほうでも明確にしていただきながら進めていただければと思います。

【橋爪参事官】 特に喜連川委員のご意見に異があると事務局が申し上げているわけではございませんので、HPCI全体を考えて、今後、役割、特徴を生かしながら取り組んでいきたいと思います。
いろいろと御指摘ありがとうございます。

【西尾主査】 田浦委員、どうぞ。

【田浦委員】 田浦です。「京」の運用の事後評価の資料の
13ページ下から2番目のポツに、「京」の利用により想定される波及効果について、費用対効果が高いと書かれています。ここは恐らく、参考資料2の2ページ目に1兆2,384億円という経済波及効果があると書かれている部分を根拠としているのですが、HPCI計画推進委員会のときにも、費用対効果という言葉遣いはそもそもおかしいでしょうというコメントがあったと思います。この1兆何千億円という数字を、あまりどういう意味なのか説明せずにぱっと書いて、適当であるとするようなことにならないほうがいいと思います。
これは参考資料として理研が出してきたものですけど、やっぱり情報委員会というラベルを付けて発表するわけですから、どういう意味の数字なのかという中身を教えていただけないでしょうかというコメントです。

【西尾主査】 今の御質問に対して事務局の方でお答えできますか。

【宅間計算科学技術推進室長】 今御指摘いただいた部分は、理研の方で実施していただいた調査で、費用対効果の分析をしていただいたものでございます。田浦先生から今御指摘いただいた御意見については、HPCI計画推進委員会でも頂きました。
こちらの評価票においては、参考資料の一つとして引用するにとどめまして、こうした評価によればこういうことが言われているという記載にとどめたところではございます。1つの参考資料として使用しているつもりであり、その結果をそのままこの評価票に直接引用しているつもりではないのですが、こういう書き方でもまだ不十分ということであれば、書き方を少し修正しないといけないと思っているところでございます。

【西尾主査】 田浦先生、ここのところは、もう少し評価票からは薄めた方がよろしいのしょうか。

【田浦委員】 個人的には、表現として薄めるとか、そういう問題ではないような気がしていて、この数字を根拠に、費用対効果が高かったというのであれば、この数字は何を意味している数字なのかということがもう少し分かるようにしないといけないと思います。薄めればいいという話ではないような気がしています。

【西尾主査】 分かりました。
そうすると、理化学研究所の方で、ここの1兆2,000億円という数字の算出根拠を精査していただいた上で、ここの書きぶりを考えていただくということでよろしいですか。

【田浦委員】 はい、私はそれでよいと思います。

【西尾主査】 もし、記述として問題があれば、もちろん記載しない、ある程度算出が可能である数値であれば、参照することは構わないということでよろしいですか。

【田浦委員】 はい。ありがとうございます。

【西尾主査】 栗原先生、おっしゃっていただきましたことはコメントとして承って、対応できるようだったら対応するということでよろしいですか。

【栗原委員】 重複した意見になりますが、先ほどのポートフォリオや社会との出口ということは、資料2-4の最後の18ページの今後の展望のところにもう少し書き加えるということでも良いと思いました。
また、この最後のところに、技術や経験が継承できる体制が構築できることが重要だとお書きいただいていますが、せっかくこのアプリケーション創出に、若い方も含めた大勢の研究者が集まっているので、この体制がここで消えるのは具合が悪いということでお書きいただいているのだと思います。社会にも、科学と同じように、イノベーションを起こすために必要な課題があり、人材のリソースをそこに割くということも必要なので、誰でも使えるような体制やリソースも必要だと思います。例えば、経済的・財政的な支援、総合的な支援体制というのも必要だと思いますので、今後の展望のところにそのような言葉をもう少し書き加えると良いと思います。
以上です。

【西尾主査】 栗原先生、そこはコメントとして承って、対応できるようだったら対応するということでよろしいですか。

【栗原委員】 そうです。先ほど、鬼頭委員、喜連川委員から御意見の出たようなことを少し言葉として足すと、意味が明確になると思いますし、研究者個人だけの努力というよりは、もう少し体制そのものにも関わることだと思うので、何かもう少し書き加えられたらい
かがかと思います。

【西尾主査】 分かりました。
若目田委員、どうぞ。

【若目田委員】 若目田でございます。私も少し重複するかもしれませんが、国費を投じているので、日常的なところで効果があるということだけではないという御指摘も、個人的には非常に理解できます。
恐らくそういう日常なところに加え、やはり課題も含めて、目指す目的やゴールを国民と共有して、例えば、地球レベルの課題やSDGsへの貢献等、世界トップの技術で達成すべきものを国民と共有するということも1つのコミュニケーションであると感じました。
経団連としてプレゼンさせていただいたときのものとも通じるのですが、戦略的に出口を明確にする領域というのは、やはり経済界側、各産業も自己投資をしながらやっていく部分があると思います。経済界側のほうでやりにくい部分というのは、課題や短期目標を無理に短いところで設定せず、破壊的イノベーションを創出するような創発的な研究のような野心的に挑戦する部分に関して、国の役割として期待しているということを申し上げました。喜連川先生のおっしゃったこととも通じるのですが、「富岳」の今後に向け、そのような考え方も狙っていただきたいと思います。
それと、3点目は、これも「京」の運用の課題等でもあったかもしれませんが、やはり目標を達成するには、コンピューティングパワーだけではなく、シミュレーションや元になるデータが十分に集約されて、本来やりたいことができていたのだろうかというところを、聞きたいと思います。仮にそこにまだまだ課題があるのであれば、環境面では、コンピュータパワーの目標だけではなく、データ戦略等も明確にして、今度はHPCIの計画等をすり合わせることによって、やはりまだ課題があるのであれば、そういうデータ戦略等を打ち出したらどうかと思いました。
以上です。

【西尾主査】 どうもありがとうございました。
経済団体からの貴重な御意見だと思いますので、今、頂いた御意見に対して、事務局の方で対応できることがありましたら、よろしくお願いいたします。
瀧委員、どうぞ。

【瀧委員】 報告書の全体のトーンとして、AIとかSociety 5.0という単語が非常にたくさんちりばめられています。実際に、スーパーコンピュータで成果が出て、実用化されて、非常に有益なのは、やはりシミュレーション科学の分野になっていますが、AIとかSociety 5.0についてたくさん書き込むと、今後、それに対する回答がきちんと出るような仕組みを仕込んでおく必要があるのではないかと思いました。

【西尾主査】 AIとか機械学習のことを書いた限りにおいては、その記載事項を将来どのように実現していくのか、ということを十分に念頭に置いた記述とすべきだということで、瀧先生、それでよろしいでしょうか。

【瀧委員】 それで結構でございます。

【西尾主査】 ありがとうございました。
それでは、今までに頂きましたご意見、コメントは重要な観点ばかりですが、1つの大きな問題は、この時点でポートフォリオを明確に示しておく必要があるのではないかということだと思います。そこにつきましては、先ほど事務局の橋爪参事官からも、今後の対応について明確にお話しいただきましたので、そういう観点を踏まえて、事務局と修正をさせていただきまして、修正後の扱いにつきましては、主査預りとして一任いただければと思いますが、よろしいでしょうか。特段反対はございませんか。
それでは、最後に、第6期科学技術・イノベーション基本計画の検討状況について、簡単に説明をお願いいたします。

【橋爪参事官】 時間もございませんので、事務局から簡単に御説明させていただきます。参考資料として11-1、それから、本文として、11-2を配付させていただいておりますが、11-1を用いて説明させていただきます。
この情報委員会におきましても、第6期の科学技術基本計画に向けた提言について、何度も御議論いただいて、我々も、総合政策特別委員会を経由して内閣府にそのような意見を届けてきたわけでございますけれども、第6期科学技術・イノベーション基本計画につきましては、素案ができて現在パブリックコメントを募集中となってございます。
11-1の2ページ目を御覧いただければと思いますけれども、改めまして、この第6期の基本計画につきましては、科学技術基本法が改正されて科学技術・イノベーション基本法となりますので、それに基づく初めての「科学技術・イノベーション基本計画」ということになります。5年間の計画でございまして、来年度から開始されるというものでございます。
2ページ目ですが、現在の素案のポイントだけ御紹介させていただきます。
第5期の基本計画で、日本においては、世界に先駆けて「Society 5.0」という未来の社会像を提言してきたわけでありますけれども、データ、サイバー空間、情報技術の活用に対する、コロナも含めた社会の要請というのが加速度的に高まってくる中で、その提言が実現に至っていないというのが現状の認識として示されてございます。
そのために、第6期の計画としましては、このSociety 5.0を実現していくということが主要なテーマになっておりまして、そのための政策というものが幾つかカテゴリーに分けて記載されております。3つのカテゴリーになっております。
3ページの下半分のところでありますけれども、情報関係を中心に、その一端を御紹介させていただきますと、まず、国民の安全と安心を確保する持続可能で強靱な社会への変革という観点で、サイバー空間、フィジカル空間の融合による新しい価値の創出、そのために、次世代のインフラ技術の整備・開発を行っていく、それから、データ戦略をしっかりと完遂していくという点がございます。また、将来に向かっては、AIの技術、あるいは、量子技術などをしっかりと推進していくというところも書かれてございます。
また、もう一つのカテゴリーであります、知のフロンティアを開拓し研究力を強化していくという点では、大きな項目として、新しい研究システムの構築(オープンサイエンスとデータ駆動型研究の推進)ということで施策がまとめられておりまして、おおむね御提言いただいた内容については、このあたりに記載されているところでございます。
その他、この計画からは、教育・人材育成という観点では、初めて初中教育に言及しているということで、その中でも、教育のデジタル化というところが重要性を指摘されているところでございます。
加えまして、先般法改正も行われましたけれども、10兆円の大学ファンドについても記載されているというような状況でございます。
本文につきましては、お時間があるときにまた御覧いただければと思いますが、次のページに行っていただきまして、今、パブリックコメント中でございまして、3月の閣議決定、来年度からの実行というのを目指しているという状況でございます。
簡単ではございますが、以上でございます。

【西尾主査】 ありがとうございました。
情報関連に関して、第6期基本計画において我々がより活動を強めていくことが多々記載されております。ただし、それだけ我々の責任が重いということも言えると思いますので、皆様方と共に頑張ってまいりたいと思います。
それでは、この回の委員会が今期の最後になりますが、事務局を代表しまして、杉野研究振興局長から一言お願いできないでしょうか。お願いします。

【杉野研究振興局長】 研究振興局長の杉野でございます。
本日が第10期の情報委員会の最後の会合ということで、一言御礼の御挨拶を申し上げたいと思います。
主査の西尾先生をはじめ、委員の皆様には、お忙しい中、2年間の御審議をありがとうございました。
特に、この2年間は、情報分野にとっては大きな変化のときだったのではないかと考えております。
新型コロナウイルス感染症の世界規模での流行によりまして、サイバー空間やデータ、AIの活用、あるいは、デジタル化が加速されまして、今や社会のあらゆる場面で情報分野への期待が高まっております。
一方で、我が国の学術情報基盤を見れば、SINETの世代交代や「富岳」の完成・共用開始、そして、ポスト「富岳」の議論の開始など、大きな節目となる時期でございました。
また、教育との連携や「第4の科学」としてのデータ駆動型科学の発展、オープンサイエンスの進展などの流れも進んできております。
さらに、サイエンスコミュニケーションに関しましても、ジャーナルのみならず、プレプリントなどの新たな動きも出てきております。
このような大きな変化の時期に、委員の皆様には、Society 5.0の実現を目指す第6期科学技術・イノベーション計画や、コロナ新時代を見据えた今後の取組の基本方針を御議論いただき、その方向性を示していただきました。
大変難しい課題を熱心に御議論いただきましたことに感謝申し上げますとともに、文部科学省といたしましては、御議論いただいた方向性をしっかりと踏まえ、具体的な取組を確実に前進させていきたいと考えているところでございます。
今期の情報委員会は本日で終了ということでございますけれども、委員の皆様には、今後も様々な場面で引き続き御指導いただきますようお願い申し上げまして、御礼の御挨拶とさせていただきます。
本当にどうもありがとうございました。

【西尾主査】 杉野局長、本当にすばらしいメッセージをいただきましてありがとうございました。心より御礼申し上げます。
私からも主査として一言御礼を申し上げます。今期は、杉野局長がおっしゃられたとおりでして、非常に重要な時期であったと思っております。その時期におきまして、委員の皆様から大変貴重な御意見、コメント等を多々頂きましたことに対しまして、改めて感謝申し上げます。
皆様と共に、今後の日本の情報分野の進展のために活発な議論をしましたことを基に、今後、その議論の内容が必ずや実現していくこと、さらにすばらしい情報基盤が構築されることを祈念いたしまして、今期の終わりの挨拶とさせていただきます。
皆様、本当にありがとうございました。
また、事務局の方々には、各回の委員会の準備のこと等で大変お世話になりまして、委員の皆様の活発な議論を導いてくださいましたことに対し、厚く御礼申し上げます。誠にありがとうございました。
では、これにて、この会を閉会とさせていただきます。

―― 了 ――

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研究振興局参事官(情報担当)付

(研究振興局参事官(情報担当)付)