情報委員会(第11回) 議事録

1.日時

令和2年8月21日(金曜日)10時00分~12時00分

2.場所

オンライン会議

3.議題

  1. コロナ新時代における情報科学技術の取組方針についての検討
  2. その他

4.出席者

委員

西尾主査、井上委員、上田委員、奥野委員、梶田委員、来住委員、喜連川委員、鬼頭委員、栗原委員、佐古委員、瀧委員、辻委員、津田委員、新居委員、引原委員、福田委員、八木委員、安浦委員、若目田委員

文部科学省

杉野研究振興局長、塩崎大臣官房審議官(研究振興局担当)、橋爪参事官(情報担当)、錦学術企画室長、黒橋科学官、竹房学術調査官、池内学術調査官

オブザーバー

髙橋 理化学研究所生命機能科学研究センターチームリーダー、林 文部科学省科学技術・学術政策研究所上席研究官

5.議事録

【西尾主査】 それでは、定刻になりましたので、科学技術・学術審議会情報委員会の第11回会合を開催いたします。本日は、前回に引き続きまして、コロナウイルス感染症拡大防止のため、オンラインで開催いたします。
今回の議事は全て公開となります。また、報道関係者も含め、傍聴者の方にもウェブ参加をいただいております。
それでは、前回7月の会合以降、事務局に異動があったということですので、紹介をお願いします。
【齊藤情報科学技術推進官】 前回7月に開催いたしました第10回委員会以降、事務局に異動がございました。ここで御紹介をさせていただきます。
まず、研究振興局長に杉野が着任しております。
次に、大臣官房審議官(研究振興局及び高等教育政策連携担当)に塩崎が着任しております。
研究振興局長の杉野から一言御挨拶を申し上げさせていただきます。
【杉野局長】 先月研究振興局長に着任いたしました杉野でございます。どうぞよろしくお願いいたします。また、情報委員会の開催に当たりまして、本日お忙しいところお集まりいただきまして、ありがとうございます。
御承知のとおり、新型コロナウイルスの感染拡大によりまして人々の生活様式や研究者の研究環境が大きく変わりつつあり、リモートでの活動やオンラインでの意思疎通を可能とする情報科学技術には大きな期待が寄せられております。文科省におきましても、「富岳」やSINETなどの情報基盤の整備、また、研究のリモート化や研究データの利活用に関する施策などを一層進めていく必要があると考えております。
本委員会におきまして現在御議論いただいておりますコロナ新時代に向けた提言の発出に向けまして、専門的なお立場から多面的に御議論いただきまして道筋を示していただければと思っております。今後も学術の振興、Society5.0の実現などに向けて我々も全力で取り組んでまいりますので、引き続き御助言を賜れますと幸いでございます。何とぞどうぞよろしくお願い申し上げます。
【西尾主査】 杉野局長、今おっしゃっていただきましたことを我々も心に留めて頑張ってまいりますので、どうかよろしくお願いいたします。ありがとうございました。
【杉野局長】 よろしくお願いします。
【西尾主査】 それでは、配付資料の確認とオンライン会議の注意事項の説明を事務局よりお願いいたします。
【齊藤情報科学技術推進官】 議事次第に基づき配付資料を確認させていただきます。配付資料につきましては、既に送付させていただいておりますが、議事次第に基づいて確認いただければと思います。
まず資料1として、本日お話しいただく理化学研究所の髙橋先生の御発表資料、資料2といたしまして、文部科学省科学技術・学術政策研究所、林先生の御発表資料、資料3-1といたしまして、先日行われました第79回学術分科会で出された提言の骨子案、また、資料3-2といたしまして、その学術分科会(第79回)で出されました情報科学技術関係の意見、資料4といたしまして、これまでの情報委員会で御議論いただいた御議論の取りまとめの素案、それから、参考資料といたしまして、文部科学省における情報科学技術関係の主な取組、今年度の取組と、大学・研究機関等におけるデータ共有についてという資料をつけさせていただいております。万一、お手元に届いていない資料等がございましたら、事務局までお申し出いただければと思います。
引き続いて、オンライン会議の注意事項について述べさせていただきます。
通信の安定のため、皆様におかれましては、御発言時を除き、常時マイクをOFF、ビデオをOFFとしていただければと思います。西尾主査におかれましては、常時マイクをON、ビデオをONとしていただければと思います。
発言される場合は、「手を挙げる」ボタンを押して御連絡ください。西尾主査におかれましては、参加者一覧を常に開いていただき、手のアイコンを表示している委員を御指名ください。
また、本日は議事録作成のため、速記者の方に入っていただいております。発言する際は、お名前から発言をお願いいたします。
トラブル発生時には、お電話にて事務局まで御連絡いただければと思います。
本日は、傍聴者の方にもWebexの機能で参加いただいております。システムが不調の場合は、後日公開する議事録を御覧いただければと存じます。
事務局からは以上でございます。
【西尾主査】 それでは、コロナ新時代における情報科学技術の取組方針について、提言としてまとめることを視野に置きながら、前回に引き続き検討を進めていきたいと思います。本日は、研究のデジタルトランスフォーメーションの観点で理化学研究所の髙橋先生、研究データの観点で科学技術・学術政策研究所(NISTEP)の林先生にご参加いただいております。お二人から御発表をいただいた後、学術分科会における議論の概要及び前回会合での御議論等を基に事務局で取りまとめました素案を説明いただき、今後の取りまとめに向けた議論をしてまいりたいと思います。
それでは最初に、髙橋先生から資料1を基に、時間が限られていて恐縮ですけれども、12分を目安に御説明をいただければと思います。お願いします。
【髙橋チームリーダー】 よろしくお願いいたします。
御紹介いただいたとおり、私は、理化学研究所の髙橋と申します。生命機能科学研究センターは神戸に本部がありますが、私は大阪で研究をしています。従前から我々のところでは、実験ロボットを使った生命科学実験の自動化に関して取り組んでおりますので、この取組の御紹介をさせていただければと思います。
最初に、かつて行った実証実験を御紹介します。産学の6拠点――産総研、慶應大学、理研、味の素、九州大学、東京医科歯科大学の産学6拠点の間で、インターネットを介して実験プロトコルを転送して、その6拠点それぞれに、安川電機と産総研が開発したLabDroidという双腕型の同じタイプの実験ロボットを置きました。一般的に生命科学等、実験科学では、専門性が異なるラボに新しい実験系を立ち上げようとすると、通常数か月から場合によっては年単位の時間が必要です。なぜかというと、現場に暗黙知あるいは匠の技というものがあるからです。この実証実験では、例えば産総研の抗体の検証、東京医科歯科大学のChip PCRというDNAとタンパク質の相関を調べる方法、あるいは、慶應大学のCell-basedというドラッグスクリーニングといった実験プロトコルを転送いたしました。当然のことながら、即座に実験を再現できました。ロボティクスや 情報科学の研究者にとっては当たり前のことですけれども、生命科学の研究者にこれを話しますと、非常に驚かれます。
もう一つ、もう少し最近の仕事を御紹介します。AIとロボット、計測機器を連携させて、iPSの維持培養操作を自動化いたしました。細胞を長期維持するときには、定期的に継代という操作が必要なのですが、ここに示しておりますグラフにありますように、細胞の都合で夜間でも休日でもいや否なしにテクニシャンの方が出勤してこの操作を行う必要があり、研究現場における労働環境改善の非常に大きな足かせになってきました。ロボットにこの継代操作を実装して、自動顕微鏡で観察した結果の画像解析から細胞数の増殖の予測を行い、これに基づいて最適な継代時刻を推定してロボットに指示を出すクローズドループシステムを構成しまして、1月から稼働しています。今回の事態において、弊所では活動制限レベル4、ほとんどラボでは実験が行えない状況となりましたが、人が立ち入れない状況でもほぼ無人で稼働いたしまして、貴重なiPS細胞サンプルを守ったという実績があります。
このラボラトリオートメーションの研究は従前から行っていますけれども、そもそものモチベーションとして、『Nature』でも何度も特集されていますが、他の研究者が行った実験が再現できない「再現性の危機」というものが叫ばれております。これにより、労働環境への影響や研究不正の原因、研究効率の低下といった弊害が出てきます。
こういったことを解決するためには、3つのことに主に取り組む必要があります。まず1つは、実行環境を整える。これは実験自動化ロボットで何とかしようと。それから、プロトコルの記述が、自然言語で行うと情報が足りなかったり、精度が不足したりします。これはプログラムとして、形式言語として書いていくことで対処しています。それから、データの集積を行っていく必要があると。これはIoTプラットフォームを開発しております。
まずロボットを用いると、当然ですけれども再現性は向上します。我々のラボの中でこのqPCRというターゲットを使ったのですけれども、これで実験操作が一番うまい人にさせても、変動係数10%という非常に大きな変動があります。これはチャンピオンデータなので、毎日このデータが出るわけではありません。これをロボットで行うと、何度やらせても安定的にCV値で4%以下という結果が得られます。
こういった大きなメリットがありますが、なぜ研究現場でロボットの自動化普及が進んでいないかといいますと、先行してロボティクスが普及してきた産業ロボットは、製造とか品質の検査とか決められた作業を何度も精度良く繰り返すというところは得意である一方、研究現場では、やることに非常に多様性があります。今見ていただいているのは、『Nature Protocols』の創刊以降現在までの引用数解析を行った結果ですけれども、きれいなべき乗則で分布しておりまして、いわゆるパレートの法則がある。非常に多様性があります。それからさらに、研究現場では、やることが毎日変わります。そういったフレキシビリティがなかなか技術的には取り組みにくかったところであると考えます。
我々のアプローチとしては、ここにプロセスオントロジー工学を応用いたしまして、毎日ばらばらのことをやっているのですけれども、よく見ると、モジュールとしては共通部分が多くて、このモジュールをプロセスライブラリとして整理して、さらに、やることによって得意・不得意、それぞれロボットだって人とか機器がありますので、こういったものに連携させてスケジューリング、振り分けていくことで、プロトコルのカバー率、それから、プロトコルの変更への即座の対応をしております。
このときに重要になってくるのが、フォーマルに実験プロトコルをどのように記述していくかということで、このためにLabCodeという実験プロトコル記述言語を開発しております。現状、各ロボットベンダーは特別な規格でプログラムを書かないとロボットは動かないのですけれども、我々が開発したLabCodeを用いると、一度プロトコルをこういった形でプログラムの形で書くと、各社のロボット、どんなものにでも対応できるようなコマンドセットで生成することができています。
去年、これを使って異種ロボット連携の実証実験をやってみました。東京大学の先端研で実際に使われているゲノム編集の実験プロトコルを題材にしまして、これをまずLabCodeで記述する。さらに、このシステムの配下にどんなロボットあるいはどんな機器がどういうふうに配置されているのか環境定義ファイルも同時に入力してコンパイルします。
このときに使った実験系ではまだ完全に自動化されていなかったので、人間が動く必要がある部分の人間の作業手順書も含め、双腕型ロボットへのプログラムと、別のタイプのロボットへのプログラムを生成します。そのときに動的計画を用いて、どういう組合せでどの部分をどのロボットが実行すると最適なのかということを計画させました。このような、自動ワークフロー計画技術というものを開発したのですが、今後このラボの研究現場にこういうロボティクスを落とし込んでいく上では重要な要素技術になると考えております。
最後に、データ集積の問題ですが、これもLabLiveというIoT情報システムを開発しており、プロトタイプ版は既に筑波大学、産総研、理研で稼働しておりまして、現場の研究者に非常に喜ばれています。このシステムのアイデアは、研究室にある様々な機器やロボットの状態のデータを一元的に管理するものです。アイデアはシンプルですが、今まではこういうふうに一貫して取れるデータを全て保存・確認しようということをやってきませんでした。iPS細胞培養系では、今までは全く気づかれなかったような環境条件依存性を発見することに成功するなど、研究にも既に役立っています。
今回御紹介したようなラボラトリオートメーションの研究は、JSTの未来社会創造事業の一環としてやらせていただいているのですが、いわゆるサイバーとフィジカルの二重構造になっているので、この2つのレイヤーをいかに結合するかということが非常に大事になっていきます。ですので、要素技術そのものよりも、それをどういうふうに統合していくかということが大事になってきます。そのため、我々のところではLDOSと呼んでいまずが、こういう分散オペレーティングシステムの開発を行っております。こういったものを使って、我々がプロトタイピングラボと呼んでいるロボットを10台程度集積したロボット実験施設の設計に取り組んでおり、今日御紹介したようなコンセプトの実証を行っていくことを試みております。
今日は生命科学を中心にお話しましたが、コンセプト自体も生命科学だけではなく、実験科学一般に成り立つものだと考えています。つまり、最終的にやりたい野望として、科学実験を物理科学過程のプログラミングとして再定義できないのかと考えています。そうすると、たくさんのメリットがあります。
今年から義務教育でもプログラミングが必修化されますが、あと10年もすると彼らが大学生になって、プログラミングというスキルを当たり前に持った世代が社会に出てきます。そういったいわゆるロボットネイティブとでも言うべき世代の力を生かして、科学研究の現場で連続的にイノベーションを起こし続けるためのプラットフォームを今から準備していく必要があると思います。
それから、ラボがロボット化、ネットワーク化されると、研究の在り方自体が変わっていくと思っております。研究者が実験を実行するときに、必ずしも手元でやらなくても、クラウドのどこかにあるロボットに投げて、その実験の結果だけ返ってくるということでも研究が成り立つようになります。このときのプロトコルというのは数値化、つまりプログラム化、形式化されていますので、これは別の人がダウンロードして再現実験するということも即座に可能になります。
これをさらに発展して、別の研究者が新しい実験を考案するということも可能になります。そうすると、成果の発表の仕方自体まで踏み込んで考えていく必要があるのではないかと考えております。つまり、実験プロトコルと結果をセットで即座に公開できるという状況になると、実験家と理論家のより効率的な協業が可能になっていくわけです。これを実現するためには、今の科学研究現場では、実験して結果を得て、その後論文にまとめ、それをPDFにきちんと製版して、出版社に送ってレビューして、印刷して、それで初めて成果が共有されるのですが、もっと速く回していくことが可能になっていくと思います。
そうしますと、誰が考案した実験か、誰にどういうふうに影響を与えたかという全てのデータがネットワーク上に存在するので、必然的に、より客観的に個別の成果の影響力解析が可能になる可能性がある。今の研究者の評価というのは、雑誌の平均引用回数、いわゆるインパクトファクターでされていることが多いのですが、こういったことにも踏み込んでゲームチェンジが起きる可能性があると考えております。
今の状況は、COVID-19のパンデミックがきっかけとなって研究の在り方を考え直していこうという趣旨で議論が進んでいるというふうに理解しております。歴史的に見ると、感染症は、必ず何らかの技術革新に結びついてきたという歴史があると思います。これは、ジョン・ケリーさんという方が書いたペストのときの中世の研究ですけれども、人口減少、賃金上昇があって、そこからイノベーションへの圧力がかかって、グーテンベルクが印刷術を発明したと。
COVID-19も社会のあらゆるところで同じような変化を誘発する可能性があると思っています。移動制限がかかって、ラボをIoT化・ネットワーク化しなければいけなくなりましたが、グーテンベルク以来の紙の出版物をモデルとする現在の学術の発表や評価の形態がソーシャルネットワーク型に変化していく可能性があるのではないかと思います。
以上です。
【西尾主査】 髙橋先生、本当に興味深いプレゼンテーションありがとうございました。研究現場におけるデジタルトランスフォーメーションがここまで進んでいるということを大変感銘を受けながら伺わせていただきました。
それでは、御質問とか、何かコメント等ございませんでしょうか。
喜連川先生、どうぞ。
【喜連川主査代理】 喜連川です。どうも大変興味深い御発表ありがとうございました。インダストリーにおいてラボラトリオートメーションに対応するものがファクトリーオートメーションだと思います。ここは日本が結構頑張ってきたところで、基本的に物を作ったり、人手のいる作業をするところにロボットを介入させようという流れは、このコロナパンデミックの前から相当なされてきていると思います。実はアフリカでの石油の精製も、ほとんど人がいない中でなされている。
そのような中で、この先生の研究のプロセスの実験の自動化というのが、産業全体や全体のほかの空間から見たときにどう位置づけられるのかというのを御説明いただけるとありがたいです。
【髙橋チームリーダー】 御質問ありがとうございます。おっしゃるとおり、日本は、特に自動車産業が非常に力を持っていたということもありファクトリーオートメーションにかなり力を入れてきていまして、産業ロボットの完成度も目を見張るものがあります。我々が使っている双腕型ロボットも、もともとは安川電機の産業ロボットをベースにしたもので、今までロボットのハードウエアが原因で実験が止まったということが一度もありません。止まるときは必ず人間がミスをしているか、周辺の機器が故障しています。
そういう状況の中で、ラボや研究の現場にどうしてロボットがまだ十分導入されていなかったかというと、主に2つ原因があったと思います。1つが、先ほど発表の中でも述べさせていただきましたようなフレキシビリティの問題です。対応しなければいけない実験のプロトコルや動きの種類が、先ほどのデータでも2,000種類以上あり、多分全部足すと数万種類以上あると思います。こういったものをティーチングするティーチングマンがやはりかなりボトルネックになってしまいます。また、即座に新しい実験を実装しようとしても、プログラムし直さなければいけない。これに対して、我々は、動きをモジュール化して組み合わせるアプローチで何とかできないかということを試みているところです。
もう一つは、ただ単に動きを自動化するだけではなくて、対象からのフィードバックが必要ということがあります。Industry4.0などで工場の製造現場でも同じようなことが取り組まれていると思うんですけれども、1つの違いは、実験科学の場合は生物を対象にしていることです。特に生命科学は生き物を対象にしていますので、IoTあるいはユビキタスコンピューティング、サイバーフィジカルといったものがプログラミング可能なデバイスの自律分散系として対象の不確実性をできるだけ最小化するようにシステムが組まれているのに対して、科学の研究現場でロボティクスを応用するときは、未知の内部構造を持った対象に対する知識を発見するためにロボットやプログラミングの力を使っていこうということになります。
そうしますと、そもそも製造現場では、入力される素材の品質や特性は基本的に決まっていて制御された状況であり、これに対して同じ操作をすると同じプロダクトが得られるというストレートな構造であるのに対して、やはり生き物を対象にすると、細胞の個性や履歴、またどういう患者さんから採ってきたかによって内部状態が全然違います。まず内部状態の特定、センシングから始めて、それに対してどういう操作をするかということをその場で決め、さらに同じ操作をしても同じ結果が得られないのでフィードバックをかける必要がある。そこが可能になるようなセンシングの技術、AIの技術、情報科学の技術がそろってきたのがやはり本当に最近だと思います。そういうことで、ここ5年ぐらい、海外でも国内でも、生命科学あるいは実験科学の分野でのロボティクス、AIの応用が進んできているというふうな状況だと認識しております。
【西尾主査】 喜連川先生、どうですか。
【喜連川主査代理】 ありがとうございます。このCOVIDの中、数年で、世の中で動いているものがほとんど全てロボットになるというふうに変容すると考えている人がたくさんいます。IT屋にとっては非常に大きなチャレンジなのですが、これまでは先生がおっしゃられたように、実はやってみるとうまくいかないという状況だったので、お伺いしていてすごいなと思った次第です。またいろいろ御教示、御議論させていただければと思います。どうもありがとうございます。
【西尾主査】 髙橋先生、ありがとうございました。
そうしましたら、時間の加減で、安浦先生と栗原先生までとします。安浦先生、どうぞ。
【安浦委員】 九州大学の安浦です。非常に面白いお話ありがとうございました。特に19ページの将来像のところで、ロボットクラウドバイオロジー研究所というものに非常に興味を持ちました。今の喜連川先生の話ともつながると思いますけれども、プロトコルの中に環境条件とか機材の準備に関する諸々の条件設定や、材料となる細胞自身の条件をどうやって持ち込むのかというのが1つ目の質問です。
もう一つの質問は、化学や生命科学の実験をやるときに時間軸のゆらぎが効いてくると思います。効率だけ狙って速くやればいいというものではなく、偶然性による発見みたいなものが失われていく可能性はないのかという、2点をお伺いしたいです。
【西尾主査】 興味深い御質問ですが、髙橋先生、簡潔にお答えいただけますと助かります。
【髙橋チームリーダー】 まず環境条件に関しては、ラボの中の環境条件に関して、形式的に書けるような記述の言語を開発し、システムがどこに何があるのかを把握しています。対象のばらつきに関しては、これもセンシングでその場に応じて状態を推定しながらフィードバックをかけていくしかないというお答えになるかと思います。そういうこともありまして、クローズドループということを強調させていただきました。
2つ目ですが、セレンディピティとか偶然による発見に関しては、AIによって科学実験自体、科学自体を自動化しようということも試みております。鍵になるのは、モデルベースでやるということだと思います。つまり、モデルベースということは、未知の構造を持った対象に関する知識を蓄積するための入れ物を、実行可能なシミュレーションモデルの形でフォーマルに定義しておきます。そうすると、こういう実験を行うとこういう結果が得られるだろうと予測が得られます。それが合っていれば、多分モデルはその条件では正しいし、合ってなければそこに何らかの齟齬があるということが分かって、ここでサプライズというものが定義できるわけです。それを用いて機械に何らかのアノマリーみたいなものを記述する能力を増やしていくという方策になっていくかと思います。非常に大きな問題なので、すぐにできる問題でないですけれども、そういった方策が1つあり得るかと思っています。
【安浦委員】 ありがとうございました。
【西尾主査】 安浦先生、よろしいですか。
それでは、栗原先生、どうぞ。
【栗原委員】 東北大学の栗原です。どうも大変興味深いお話ありがとうございました。化学の分野には『Organic Syntheses』という100年前から合成法を蓄積しているデータベースがあります。これは研究者が発表した新しい合成法を、必ず再現性をチェックしてから採録することになっているため、信頼性が高いです。合成法の開発をロボットですれば、非常に均質なデータが取れて、その後の例えばラボレベルの合成からプラントレベルへのスケールアップのための有効なデータベースとなりのではないかと考えます。そういう方向性を進めるのに大変重要な御研究と拝見しました。
測定では、装置を動かすプログラムとして、従来はかなり複雑なものを書いていたのですが、今は、LabVIEWという外国で作られたグラフィック言語プログラムが日本の国内で普及しています。今回のオペレーションシステムのように、やはり日本の中で豊かなオペレーションシステムが出来ていくと大変心強いと思っております。ぜひ新しい実験が組めるような、フレキシビリティのあるものをお作りいただければと思います。
先ほど安浦先生の言われた偶然による発見というのは、主に科学者の観察によるものが多いので、データの観察と実験の観察を一緒に組み合わせて記録するというようなことがあると、大分そういうところが補完されるのではないかと感じました。ありがとうございました。
【西尾主査】 髙橋先生、今の御意見に何かコメントありましたら、よろしくお願いします。
【髙橋チームリーダー】 おっしゃるとおり、ラボレベルのところからタンクでの培養、さらに生産に向けたスケールアップをどのようにやっていくかということは非常に大きな問題です。我々の分野での経験では、やはり培養系を変えると、最適条件が全然変わってきます。ダイナミクスが変わってきて、そのたびに何らかの最適化をかける必要があるという経験があります。我々はベイズ最適化をよく使いますが、そこをどういうふうに乗り越えていくかというのが1つの課題かと思います。
それから、最後におっしゃっていたような、人をこのループの中にどういうふうに組み込んでいくかというのも非常に重要な課題で、機械だけで完結しているとどうしても漏れてしまう気づきのようなものがあると思います。そこは今後の課題として取り組んでいかなければいけないと考えております。
【西尾主査】 研究者とマシンとの関係のもとで、今後、科学における発見等を我々がどのように捉えていくのか、その辺りの課題には非常に興味がありますし、また議論していかなければならないと思っております。髙橋チームリーダーの今後の研究のご発展を祈っております。どうもありがとうございました。心よりお礼申し上げます。
【髙橋チームリーダー】 ありがとうございます。
【西尾主査】 それでは次に、林先生から、時間が限られて恐縮ですが12分間を目処に御説明をお願いいたします。
【林上席研究官】 文部科学省科学技術・学術政策研究所の林と申します。ふだんは日本学術会議特任連携会員や喜連川先生が主査を務める内閣府の研究データ基盤整備と国際展開 ワーキング・グループの活動を含めて、オープンサイエンス全般の活動に取り組んでおります。今回依頼を受けて、COVID-19で加速するデータの再利用と研究の変容について事例を紹介させていただきたいと思います。
まず最初に、COVID-19で顕在化したものは、研究の新旧両フレームとその課題ということです。先ほど髙橋先生からポストグーテンベルクの話が出ましたけれども、こちらにお示ししている従来の研究スタイルに比較して、データ主導型あるいはプレプリント・研究データに着目して、あるいはオープン等、新たな研究スタイルが生まれようとしています。これ自体はインターネットの発達とともに進行していましたけれども、COVID-19で大幅に加速しています。特に最近、一番ホットなトピックはプレプリントの是非ということで、研究成果をいかに早く出すか、一方、信頼性をどう確保するかというところで、COVID-19に関する査読つき論文あるいはプレプリントの公開や撤回がいろいろ起きているということが、まさに変容の過渡期を表す象徴的な事例ではないでしょうか。
あるいは、科学研究の変容自体は、多次元で多発であるということは皆さん御存じだと思います。例えばNIMSさんが行われているマテリアルインフォマティクスに代表されるような、ビッグデータから仮説を探索する形の研究が始まったり、あるいは理研さんが行っている脳科学や社会課題解決、文理融合をそもそも前提とした研究も始まっております。COVID-19では、ソニーCSL、OISTの北野先生が分子シーズという取組で迅速な国際協働を始めています。そして、髙橋先生の先ほどの御紹介というのは、私はいつも科学の高度化の可能性ということで御紹介させていただいております。ちなみに、私どもNISTEPでは「きざし」というメディアを発行しておりまして、2017年に実はこの活動を政策向けに御紹介させていただいて、陰ながら応援しておりました。
さて、私のお題は、研究データの再利用を中心とした新しい研究・教育スタイルの可能性の事例紹介ということで、その御説明に入りたいと思います。まず作業仮説として、大学等研究機関に物理的に入れないことによって、自身やほかの研究データを中心とした情報リソースの利活用が進むのではないかと考えました。またさらに、物理的な制限の中で科学者の知的好奇心が新しい研究様態を生み出しているのではないかということで調査を始めましたが、時間が限られていましたので、私が持っている既存のネットワークから事例を収集したところ、以下の4つ、それぞれ後ほど御紹介しますが、ゲノムサイエンス、生態学、情報学、それから、物理学からそれぞれ興味深い事例が集まりましたので、御紹介させていただきたいと思います。
早速ですけれども、まずそもそも移動の制限とネット情報流通の増加ということで、航空機の旅客数の月次推移が去年に比べてがくんと下がっています。それは当然鉄道でも同じような状況であり、その一方でインターネットトラフィックも昨年比で増えているというような状況があります。これが物理的な制限があるということの1つのエビデンスであります。
そういう中で、御存じの方は多いと思いますが、ゲノムサイエンスはドライの研究としてそもそもデータを再利用する文化が進んでおりました。こちらは広島大学の坊農先生から拝借したスライドです。パブリックデータベースから研究者によるデータの精査を行って、価値づけを行って、それを可視化するなどして論考にまとめるということがあります。これは2020年に出た論文の例なんですけれども、今お示ししましたように、2015年以降の原著論文32本のうち、再利用データのみで書いている論文は12本、オリジナルデータと再利用データを組み合わせたものは残り20本全てです。つまり、データの再利用が当たり前の世界がCOVID-19より前から進んでいたわけです。
それがCOVID-19でどういうふうになったかというと、生命科学分野の有用なデータベースやツールの使い方を紹介する教育啓発サイトであるTOGO TVに伺ったところ、5月の視聴回数、総再生時間ともに、去年と比較して倍増しているということが分かりました。やはりこの物理的制限の中でドライの研究者は何らかの形でデータを使うことを加速していることがある程度のエビデンスで示すことができました。
続いて、今度は生態学の事例を御紹介させていただきたいと思います。これは東京都立大学、大澤先生の事例です。e-Statと言われるウェブ上のオープンデータで、水害の発生頻度と土地被覆、地形の情報を組み合わせることによって水害を抑制できる立地条件をまとめたものを2020年に発行しております。大澤先生はこういったデータを組み合わせて価値を見いだすことが得意な先生で、象徴的な事例は、かつて近鉄が行った駅のツバメの巣の写真を集めるキャンペーンのデータと土地被覆データを組み合わせることによって、どういう条件なら人がいてもツバメが巣を作ることができるかといったようなことをまとめた論文なども書かれております。
この大澤先生にも2015年以降の原著論文の状況を伺ったところ、13本中、再利用データのみ利用の論文が8本、オリジナルと組み合わせたものが3本ということで、ほとんどがデータの再利用をしているということと、大澤先生の場合は、データパブリッシング、データペーパーも既に5本出されているというような状況です。これは大澤先生自身に作っていただいたスライドなんですけれども、No Field work, No facility, Only internetでこれらの活動を行っているというような状況でございます。
続きまして、これが一番インプレッシブな事例だと思いますが、情報学の観点からの事例を御紹介させていただきます。同じ名前ですけれども、東京大学の大澤幸生先生に御提供いただいた情報を御説明します。大澤先生自身は、システム創成学(チャンス発見学、データ市場創成)という分野の研究をされている方ですけれども、その方が自分の専門学理、つまり、モデルやシミュレーションをCOVID-19データに転用したところ気づきがあったということです。大澤先生はこれをどうしたかというと、ふだんの研究の投稿先と違うプレプリントサーバー上にその論文を公開して、幅広い分野から御意見やパートナーを募集しました。
それをSNSも活用して行った結果、まず医学、経営系情報学者等との国際コラボレーションが生まれております。これはある意味科学インパクトですけれども、これだけではなくて、横浜市との提携で、市民への啓蒙、生活への導入など社会インパクトのほうにも発展させているという興味深い事例でございます。これを一言でまとめますと、データの再利用が進むことで、興味関心を持った研究者が分野を超えて自由に研究を進めて様々な価値を発見するということです。これ自身は実はオープンサイエンスによって研究データの利活用が進むとこういう世界が来ると予察されていたものですけれども、そのストーリーが実際現実的に日本でも起きたと。それをCOVID-19がまさに駆動したと言えるのではないでしょうか。
なお、COVID-19に関しては、NISTEPでプレプリントの分析を行っております。こちらはプレプリントのタイトルと概要を自然言語処理してクラスター分析した結果です。この図でお示ししたいのは、COVID-19のプレプリントを分析すると、医学や関連する生物科学者だけでなく、物理学者や社会科学者の貢献がどうやらあるようだということが分かったということです。
これをプレプリントのサーバー別で見るとより顕著でございます。例えばケモアーカイブであれば、治療薬探索のプレプリントが多いとか、物理系であれば、アーカイブを見ると、感染拡大、情報・データ分析、そして、感染モデルに関しての貢献が多い。あるいはSSRN、これは社会科学系のプレプリントサーバーですけれども、それは社会・経済・政策、倫理とかそういったことを含む貢献をしているということが分かっております。当然の話ではありますが、国際社会課題は他分野、これは「多」の分野も入るべきですが、研究者の興味を引きつけているということが分かっております。
実は物理学者が感染モデルに関して非常に興味を持っているということは様々に分かっておりました。残念ながら、統計的にそれを示すことは今回時間の関係でできなかったのですが、興味深い事例が出てきましたので、最後に御紹介させていただきます。これは電通大名誉教授の植田憲一先生からいただいた情報です。植田先生はもともとレーザー研究で紫綬褒章を取られているような御高名な研究者ですけれども、その植田先生は、WHOのデータを毎日御自身で収集して、物理の観点で眺め続けるということをされました。
そうすると、やはり何か気づくことがございまして、その中で自分で希望的な観測で検証を繰り返して、御自身の言葉なのですが、自らの間違いを実感すると。科学は間違いから学ぶものだということを自ら実践した上で、大学・企業等で講義をされておりますので、それを共有してディスカッションをし、常識にとらわれないアイデアを披露したりするなどということをサイクルとして繰り返しております。
植田先生は、SIRモデル自体や実効再生産数とか集団免疫獲得のシミュレーションなども自身で試してみて、その結果をぐるぐる回していくという活動をされております。すなわち、科学者としての思考、実践、啓発を行っておりまして、それで、要は、若手の研究者にチャレンジを促しています。こういう表現をされています。従来モデルが当てはまらない場合、専門家は原理的に存在しないはずで、従来の知識がかえって見誤らせる可能性もある。誰もが平等に考察できる場をCOVID-19は生み出しているので、すなわち、未知の事象に関するデータに対して、バイアスなく科学的な取扱いをどう行うべきかということを自ら実践して、産学の研究者に対して科学リテラシーの教育を行い、挑戦を促すということをやっているということが分かりました。
本筋からずれますけれども、こういった教育系の観点で面白いデータが取れていましたので、最後に御紹介させていただきます。実はオンライン授業化によって物理的な壁、要は、移動時間や手間がかからないので、教養科目や他分野の授業を履修しているという兆しが見えております。これは、ある大学の大学院共通科目の履修が前年度に比べて非常に増えているということです。つまり、学びの多様化が進んでいるということは、将来の研究者の行動変容を促し、イノベーションを促すのではないかということが示唆される結果となりました。
以上、COVID-19は、もともと変化の途上にあった科学のデジタルトランスフォーメーションを間違いなく加速させているようです。今回は限られた事例ですが、少なくとも科学者の一部は自発的に研究データの共有や再利用を進めています。分野やセクターを超えた知識の共有によって、多様なインパクトを生み出す事例も生まれているようです。そして、従来の定型にとらわれない科学者教育に活用している事例も確認することができました。
最後に、英文校閲会社にも聞いてみたところ、依頼が前年同月比15%増で推移しているということで、たまった論文をこの機会に書いているというデータも得られましたので、参考までに御紹介させていただきます。これを研究者に伺うと、今はたまっているデータ、自分のデータを再利用しているようなものですけれども、次のネタが仕込めていないのでちょっと心配だというお話も伺っております。
以上、私からの説明を終了させていただきます。
【西尾主査】 林先生、ありがとうございました。現実のデータからのいろいろな示唆、特に最後の事例から得られている示唆というのは、我々が気づいていない点も明らかになってきていることをお話しくださいまして、ありがとうございました。
それでは、御質問とかコメントございませんでしょうか。喜連川先生、どうぞ。
【喜連川主査代理】 グローバルに見たときに、COVID-19において世界から、やはり日本からのデータがほとんどないということを強く言われます。AMEDの会議でもそう言われています。やはりまず日本のデータ共有、データのオープン化がかなり少ないという現状をどこかでもう少し訴えていただき、そういうデータを捕捉していただければありがたいと思います。
特に医学系の場合、日本の中で統合的にCOVID-19のペーシェントレコードを集める場所はありません。ですから、例えば今回分かってきている後遺症のデータを誰がどう集めるのかみたいな話が何一つない。だから、ブライトサイドの裏面もNISTEPさんとしておまとめいただけるとありがたいので、よろしくお願いします。
【西尾主査】 林先生、いかがでしょうか。
【林上席研究官】 ありがとうございます。まさにブライトサイトと御表現いただいたとおり、今回は、あくまで変容を促すためにこういった事例があるよというトーンで御紹介させていただきました。
ダークサイドという表現は適切ではないかもしれませんが、より現実サイドとして、データの流通を促すためのルールづくりがそもそも整っていない、あるいは学から産への研究データの展開を現実的にどのように行うことで、学の貢献が認められ、産業が発展するかといったような泥臭いながらも非常に大事な議論があるのは承知しております。そういった観点についても事例や統計データを集めるということを御提案いただいたということで、よく検討させていただきたいと思っております。
【西尾主査】 ありがとうございました。今おっしゃられた中で、データが流通するときのポリシー、ルールが決まっていないというのは、大きな問題だと思っております。今後、情報委員会でもきっちり考えていかなければならない問題だと思っています。ありがとうございました。安浦先生、どうぞ。
【安浦委員】 ありがとうございます。「Nextstrain」というCOVID-19のウイルスの遺伝子配列がどういうふうに変わっていくかという系統樹を毎日更新しているサイトが世界的にありますが、日本で見つかっているのが極めて少ないです。これはどういう理由なのかというのをもし御存じだったら教えていただければというのが1つです。
もう一つは、人の流れが止まったことによってこういう新しい研究スタイルが生まれているというお話がありましたけれども、一方で、統計によると、貨物の移動はあまり下がっていません。もし貨物の移動、物の移動まで止まってしまうとまた大きな変化が出るのかどうか、もし御意見あったら教えていただきたいと思います。
【林上席研究官】 御質問ありがとうございます。まずCOVID-19の貢献が少ないのは、データとして言えるのは、NISTEPでプレプリント及びWHOに登録されたCOVID-19に関する査読つき論文の数を数えたところ、日本の数は13位とかそもそも非常に少ないという、つまり、COVID-19に関する研究活動自体が少ないことが示唆されているという状況かなというところでございます。
貨物のほうに関しましては、むしろアマゾンの流通量のような物流は増えている、あるいは物流関係の売上高は上がっているというようなデータも伺っております。こちらもそれがもし今後第2波あるいは別のウイルスが新たに発生する混沌とする時代になった場合には、私どもNISTEPには科学技術予測という活動がございまして、そういう中でのワイルドカードあるいはブラックスワンのような、つまり、予期せぬことが起きたときに社会がどうなっていくかという科学技術予測調査の中で捉えて考えていくような話かなと思っております。
以上です。
【安浦委員】 どうもありがとうございます。よろしくお願いします。
【西尾主査】 辻委員、どうぞ。
【辻委員】 辻でございます。まずオープンにしていこうということで、それによって学びの多様化とか、あるいは他分野の研究者の興味を集められたという、そういうすばらしいポイントにスポットを当てられたというのはよく分かりました。その一方で、データをオープンにしてデータの流通が多くなればなるほど、信頼性の点に関していろいろ懸念が出てくるのではないかと考えております。例えば前提条件がどう変わっているとか、あるいはデータをどういった環境で収集しているかということによっていろいろと変わってくることもあろうかと思います。
そういったことで、例えばスライドの2ページでも御指摘いただいておりますけれども、データ及び成果の質とか信頼性のばらつきといったものが今後増大することも考えられるわけですけれども、その点について何か考察されているようなことがございましたら、御教示いただけますと幸いです。
【林上席研究官】 御質問ありがとうございます。御指摘の点は全くそのとおりでございまして、今議論できるところとしましては、プレプリントと査読つき論文の兼ね合いのところに注力して調査しております。すなわち、プレプリントは、とにかく査読が終わっていないものなので、その取扱いには非常に慎重にならなければいけないですけれども、その一方、社会課題解決のためには早く共有をしたいということと、それからもう一つ、実はこちらのほうが長いロングレンジでは大事だと思うのは、研究者にとって、自分が最初に見つけたということが示せるということ、すなわち先主権の確保という意味では、プレプリントが今後非常に役に立っていくのではないかと拝察しております。
一方で査読つき論文は、これまでどおり非常にロバストでエスタブリッシュされた研究成果メディアとしてこれからも重要な位置づけを示し続けるとは思いますけれども、2点問題があると思います。1つは、査読のためにどうしてもタイムラグが生じるということ、それからもう一つは、査読自体が本当にちゃんと科学的な信頼を得る形になっているのかということです。これはCOVID-19に限らず、査読の是非については常に議論されてきております。たかだか二、三名の研究者、ピアのレビューのフィルタリングだけでよいのかという話と、最近は原著論文至上主義の中で、査読論文ゲームマニピュレーションみたいなことが起きていること自体も議論になっております。要するに、論文を書くために研究をやっているようなことが起きたりもしている中で、この査読つき論文が唯一無二の信頼できるメディアかというと、そうでもないということになっています。
今、プレプリントのほうで議論が進んでいると私が思うのは、クラウドピアレビューという考え方です。原理・理念としては、世の中に出されたプレプリントをグローバルに全世界の人にピアレビューしてもらうということになりますが、それをちょっとモデレートにした形です。ある研究者コミュニティの中でもっと多数のピアの中でもんでもらって、改訂をして版を変えていって、研究成果としてまとめ上げるというような、つまり、自分で全部まとめ上げて勝負ではなくて、いろいろなピアを巻き込んでどんどん改訂をしていって版を重ね、ブラッシュアップしていくということが、プレプリントの共有から起きそうな予感がしております。
そうすると、そのプロセスの過程の中で恐らく信頼性のある成果とそうでないもの、あるいは語弊を恐れずに申し上げれば、信頼性のあるデータを出せる研究者とそうでない研究者というものがフィルタリングされていくことになろうかなと思います。これは単なる主観の洞察にすぎませんけれども、そういったことを議論していって、新しい研究スタイルを一つずつ積み上げていくことになるかと考えております。
【辻委員】 ありがとうございました。
【西尾主査】 林先生、どうも興味深い御発表ありがとうございました。幾つか貴重なコメントがございましたので、今後さらにそのことについて御考慮いただければと思います。
【林上席研究官】 はい。ありがとうございます。
【西尾主査】 それでは、事務局から、前回の学術分科会における議論の概要及び提言の素案を説明いただければと思います。
【橋爪参事官】 それでは、資料3-1、3-2を用いまして、前回の学術分科会の議論について御紹介させていただきます。資料3-1は、前回の学術分科会におきまして議論の基になった提言骨子案でございます。表題としては、「ポスト・コロナ社会に向けた今後の技術研究及び情報科学技術の振興方策について」ということで、学術研究、それから、情報科学技術分野、両方を含めたものになっております。最終的には、ここで行っていただいております議論も含めて一本化をしていくという方向性でございます。
内容を簡単に御紹介いたします。まず「はじめに」ということで、今回の新型コロナウイルス感染症の影響についての検討の背景という中で、その影響が学術研究の現場にも非常に厳しい形で及んでいる、情報科学技術に対しては、これまでも非常に重要な役割を期待されてきたわけではありますけれども、コロナ禍においてICTを活用したリモート化・デジタル化がより一層求められるときに、その遅れも顕在化したとの認識が書かれております。
2ページ目でございますけれども、検討の方向性のまず1点目としまして、ポスト・コロナ社会への構造転換の中で、学術自体の在り方を問い直しながら、価値創造の源泉としての役割を果たすとともに、学術研究振興を含むあらゆる社会的転換の鍵となる情報科学技術を生かしていくことが重要ということがうたわれております。また同時に、コロナ禍のもたらした課題への対応とともに、学術研究を取り巻く情勢・環境の変化を契機に、ポジティブに捉えられる変化、積極的に受け入れながらこれまで進められてこなかった改革を推進することによって、挑戦性、統合性、融合性、国際性を担保して、国力の源としての学術研究自体の振興を果たしていくことが重要という方向性が示されてございます。
さらに、2ページ目の一番下でございますけれども、そのような学術研究の振興において、研究の在り方の転換等のためにも、情報科学技術は欠かせないものとして密接不可分であるので、学術分科会、情報委員会の合同提言としてはどうかという案が示されております。この点につきましては、後ほど主査からも御説明があるかと存じます。
個別論でございますけれども、第2章に参りまして、3ページ目でございますが、ポスト・コロナ社会に向けた学術研究振興方策ということで、主に学術研究の点からの論点が書かれております。1点目としては、レジリエントな学術研究を支えるシステムへの移行ということで、競争的研究費制度について、それから、研究人材のサポートについて述べられております。
2点目としましては、新しい研究様式への転換という視点でございます。大学等における研究体制につきまして、情報科学技術の観点からは、研究設備の遠隔化・自動化に向けた取組の一層の強化・充実、大学等の諸手続の電子化を推進といった点も挙げられてございます。また、学術情報基盤の在り方ということも論点として挙がってございます。
3番目の視点といたしましては、学術研究の現代的要請への応答に欠かせない研究者の交流と連携を担保するための方策ということで、国際連携について、遠隔も前提とした研究現場におけるコミュニケーションについて、共同利用・共同研究体制について、論点が挙げられております。
さらに、4点目といたしまして、社会の負託に応えるための方策として、人文学・社会科学の知見の活用、積極的な社会との対話による学術界のコミットメント、それから、学術の多様性の確保・学術政策の総合的推進に当たって留意すべき事項が挙げられてございます。
このような論点に関しまして議論が行われまして、主に情報関係で出された意見についてまとめさせていただいたのが、資料3-2でございます。幾つかポイントがございますけれども、セキュリティの問題の重要性、また、研究倫理の問題の重要性が述べられてございます。また、研究資源のデジタル化に当たって、標本資料、物質資料も含めたものであるということに留意すべきだという御意見。それから、提言をまとめていく上では、振興方策とともに、社会の負託に応えるという視点の両方が大切だという点、それから、学術全般の部分と情報科学技術分野の部分をうまく交差させて、シナジー効果が出るような提言にしていくべきだという、まとめ方に関する御意見もございました。
また、リアルとバーチャル、それから、実験系・非実験系をどう組み合わせていくのかについて、長期的な議論が必要ではないかといった点。それから、新しい学術交流に情報科学技術をどう使うのかとの議論も必要ではないかという点もございました。リモート化・自動化は重要であるが、分野によって様々であるということで、短期的には全体的に進めるべきだとしつつも、中長期的にはよりエビデンスに基づいてしっかりと検討していく必要があろうという御指摘もございました。また、投資の観点でも、デジタル化には資金も非常に必要であるので、しっかりと政府も投資をしていく必要があろうというような御指摘がございました。
最後に、NIIに関しまして、SINETが全学術分野を支える基礎となっておりまして、独立した研究所になるべきではないかとの意見が示されたことにつきまして、一方で、独立については慎重な議論を積み重ねるべきである、あるいは、SINETのサポート、予算支援等も一案ではないかというような機能面の強化に着目した御意見もございました。これが学術分科会における前回の議論の状況でございます。
一方で、資料4に、情報委員会における、これまでの御議論の取りまとめの素案をまとめさせていただいております。本日、これを基に御議論いただければと考えてございます。
まず柱書きでございますけれども、今回の新型コロナウイルス感染症の世界規模での流行に関して、情報科学技術に対して非常に大きな期待が寄せられ、これまでにない新しい活動スタイルが生まれてきており、それは、まさにSociety5.0の社会像につながるものではないかということを記載してございます。
一方で、そのような新しい活動スタイルの導入により、セキュリティ、プライバシー、あるいは安定性等の課題も挙がってきており、また、情報システム自体の技術の発達のスピードについていくような取組も併せて行っていく必要があるとの趣旨を記載しております。
それから、安全、信頼できる快適なサイバー空間を最大限活用した新しい活動スタイルを世界に先駆けて生み出していけるように、研究分野の特性を踏まえてデジタルトランスフォーメーションを進めていくことが必要ではないか、さらに、それに対して、文科省としてもしっかり財源も含めて施策を講じていくべきではないかということを記載しております。
以下、個別の大きな柱といたしまして、1つ目は、情報システム基盤の整備・高度化でございます。(1)につきましては、ネットワーク×データ×計算資源の一体的情報システム基盤の整備・高度化ということです。今回の新型コロナウイルス感染症への対応におきましても、教育・研究の継続、あるいは新型コロナウイルス感染症への対応という観点から、SINETあるいは「富岳」をはじめとするスーパーコンピュータの活躍がございました。これらを活用した新しい研究データ・成果の活用の在り方、あるいはリモートでの実験装置等へのアクセスの活性化、サイバー空間でのシンポジウムの開催、シミュレーションのさらなる活用など新しいスタイルが生み出されてきております。こうした新しい研究スタイルをさらに進めていくために、全国的なネットワーク、データ、計算資源の基盤をしっかりと整備していくことが今後の重要な鍵になるということを記載しております。最後に、SINET等の情報システム基盤が全ての研究分野や教育を支える全国の共通基盤であるということに対応していくためには、国立情報学研究所をはじめ、このような情報システム基盤の研究開発・整備・運用を担う体制の充実・強化についても検討するべきではないかということを記載しております。
情報システム基盤に関しましては、(1)で全国的な視点に基づいて記載した上で、(2)に、それぞれの大学・国研における情報システム基盤の整備・高度化や、研究者がアクセスできる環境整備の重要性について記載してございます。
続きまして、2つ目の柱でございますが、3ページ目でございます。研究環境のデジタル化であります。情報システムをしっかり整備するとともに、研究者が学術情報にアクセスできるようにしていくためには、学術情報もデジタル化をしていく必要があるという視点でございます。
(1)といたしましては、大学図書館及び多様な学術情報のデジタル化です。図書館につきましては、今回、物理的なアクセスが制限されたということで、一層のデジタル化への取組が必要ではないか、それから、先ほど林先生のお話にもございましたけれども、学術情報の発信の新たな在り方としてプレプリントの活用等もさかんになってきておりますので、そのような新しい発信の仕組みも踏まえて、学術情報の蓄積や活用ができる環境を作っていくべきではないかとの視点でございます。
(2)につきましては、研究活動のリモート化・スマート化ということです。先ほど髙橋先生からもお話がございましたが、これは研究分野によっては向き不向き等もございますけれども、実験・試験等の自動化・デジタル化を進めるために、AI・ロボット技術等によるラボ・オートメーション化などの基盤技術の研究等を進めていくべきではないかとの視点を記載しております。
3つ目の柱といたしましては、コロナ新時代に向けた情報科学技術の展開ということです。(1)は、情報科学技術に対して、様々な新型コロナウイルス感染症への対応に関する期待が寄せられており、シミュレーション、AI、データを活用した研究も進められておりますが、さらにこのような期待に応えていくべきであり、その中で、AI・データ駆動型科学等新しい科学についても、専門分野の研究者と連携しながら発展をさせていくことが重要ということを記載しております。(2)につきましては、教育の発展への貢献ということでございます。遠隔・オンライン教育が、今回のコロナ禍の中で非常に活用、発展してまいりました。これまでもNII、それから、大学の情報基盤センターの先生方が主催されるサイバーシンポジウムで様々な好事例、課題を提供して、それへの対応に御尽力されてこられたところでございますが、さらに、教育への情報科学技術の展開を教育現場のニーズを把握しながら取り組んでいくことが重要であるということをまとめさせていただいております。
最後に、4番目の視点でございますが、研究データの共有を可能とする統合的なデータ基盤の重要性です。これまでもデータの活用の重要性等御議論ございました。データが活用できるような基盤を整備していく必要があるとともに、データが安全にセキュアな環境で使えるような環境整備が技術的にもルール的にも必要だということを記載しております。最後の部分ですが、個人データに関するデータの取扱い、また、研究データの保有権等の新しい課題に対しても、ルールも含めまして、研究データの共有を進めていけるような環境を醸成するとともに、研究データのシェアリングに関する研究者の意識の涵養も図っていく必要があるという点についてまとめさせていただいております。
簡単ではございますけれども、以上、たたき台として準備させていただきました。私からは以上でございます。
【西尾主査】 ありがとうございました。今の説明の中にありましたけれども、今後の進め方につきまして事務局ともいろいろ相談してきたところですけれども、学術分科会の方でも情報科学技術関係の様々な議論が出ております。そういうことを踏まえまして、学術研究の振興と、それと密接不可分な情報科学技術の振興についての学術分科会、情報委員会それぞれの審議結果を一体化して示すことでより総合的で実効性の高い取組へつなげるということを考えますと、連名での合同提言という形が取れないか、すなわち、学術分科会、情報委員会連名での合同提案という形が取れないかということを考えております。
その場合、具体的な審議の進め方としては、学術分科会における情報関連の意見については、事務局の方でこの情報委員会へのフィードバックをきっちりしていただき、また学術分科会、情報委員会それぞれで審議を重ね、最後、合同会議のような形で、両方で議論されたことを統合的に最終提言案としてまとめた上で皆様方にお諮りできればと考えております。
この進め方の案については、今日8月21日の、この情報委員会においてこの方針を了承していただいた場合という条件つきではありますが、既に開催を行いました8月4日の第79回学術分科会においては、学術分科会サイドとしてはこの方向性について了承をいただいております。
そこで、今度は皆様方に情報委員会サイドとしてこのような進め方でいいかどうかということでお諮りをしたいと思いますが、何か御異論とかございますか。特にございませんか。
【西尾主査】 安浦先生、どうぞ。
【安浦委員】 2つの提言を一緒にするということについては、異論はないのですが、注意しないといけないこととして、情報委員会が取り扱っている話は、我が国の情報科学の将来をどういうふうに持っていくかという情報科学自身の話と、全ての他の学問分野を支えるインフラとしての情報科学の話の大きく2つあります。学術分科会のほうであくまでも我々をインフラ屋と見ているような視点で話をされているようです。情報科学の技術は、非常に発展が速く賞味期限が短い技術であり、連続的に研究を続けながらそれに合わせてインフラを整備していくということをずっとやっていかないといけないことを、学術分科会の皆さんが理解されているのかどうかというのが非常に不安でございます。
【西尾主査】 非常に重要な観点だと考えます。いわゆるby ITの部分とof ITの部分があって、情報科学技術そのものに関しての振興というof ITと、情報科学技術が教育も含めて全ての学術分野を支えていくというby ITは、内容的には異なる面もあります。学術分科会ではby ITの観点から議論されており、情報委員会で議論されているof ITの部分が合同提言に入った場合に、内容的に一貫したものになるのか、という御意見と捉えてよろしいですか。
【安浦委員】 はい。of ITの部分を常に世界に先行して、世界と伍してやっていかないと、by ITができなくなるという、そこのロジックまできちんと入れていただくということが大事かと思います。
【西尾主査】 分かりました。両方の委員会で提言を出すときに、安浦先生がコメントされた部分が、きっちりと前書きの部分で書かれて、その上でof ITの部分が提言の中に明確に位置づけられるのかということと捉えてよろしいですか。
【安浦委員】 はい、そう願いたいと思います。
【西尾主査】 事務局は、今の状況でそういう方向に持っていけそうですか。
【橋爪参事官】 情報委員会では、まさに安浦先生のおっしゃったような認識で御議論いただいていると思いますので、情報委員会事務局といたしましては、そのような御指摘が入るように学術分科会の事務局とよく相談をさせていただきたいと思っております。まさにof ITが進まないと全体のby ITも進まない。そうすると、逆に学術分科会の広範な要望にも応えていけないというロジックだと思っておりますので、その点はしっかり調整をさせていただきたいと思っております。
【西尾主査】 そういう意味からは、先ほどお示しいただいた資料4の、今後の学術研究及び情報科学技術の振興方策の中に、情報科学技術の振興方策というものがof ITという形でこの提言の中にはきっちり書かれるということでよろしいですか。
【橋爪参事官】 はい。タイトルについてはどういう形になるかまた御相談をさせていただきたいと思いますが、少なくとも今、素案として出させていただいている中には、先ほど安浦先生がおっしゃったような、情報システムというのは単なる調達ではなくて、しっかりと技術の発達を念頭において世界トップクラスのものを作っていかないといけないということを柱書きのところに記載しておりますし、2ページ目の(1)の下から2つ目の段落にも記載しておりますので、こういった視点を入れ込めるように調整を進めたいと思っております。
【西尾主査】 我々としては、安浦先生のコメントも含めながら、この提言の持つ意味をもう一度考えなければなりません。9月のある段階までに2つの委員会のほうで書面による合同会議を行い、提言を出すことの意義は、来年度概算要求締切りの9月の末までに何らかの意味で、我々の意向を明示しておくということだと思っています。
そのときに、学術研究の振興という観点から、学術分科会のほうでも情報科学技術が不可欠なものとしてそれなりに書かれることは、学術分科会でも情報関連の意見が相当出ていることから確かです。そのような状況のもとで、情報科学技術だけに限定したof ITの部分だけの提言として出すということでよりインパクトを持った提言書になるのか、あるいは今まで話してきているような合同の提言書にしたほうがよりインパクトがあるのかというところの見極めをすることが情報委員会としては大事だと思っています。私としては、両方の委員会の合同で出したほうが、個別に出すよりは良いのではないかという判断をいたしております。
そのことについて何か御異論のある方や、忌憚のない意見はございませんでしょうか。
安浦先生、そういうことでよろしいですか。
【安浦委員】 はい。安浦としては、of IT、by ITがきちんと分けた形で盛り込まれて、分科会のメンバーにもそこの重要性、また情報科学は他の科学に比べてスピード感が速い部分がかなりあるというところまで含めて理解していただけるのであればよろしいかと思います。
【西尾主査】 分かりました。では、両方の連名で出すということは、学術分科会の委員もそのことを正式に認めた上で出すということになりますので、より重みは増すということですね。
栗原先生、どうぞ。
【栗原委員】 情報を使う研究について、リアルとバーチャルをどう組み合わせるか、またシーズ創出はどうなるのかは気になるところだと思いますので、学術としてはやはりこの点は忘れずにやっていけたらよいのではないかと思います。
異なる場合ですが、計測の応用を行うと、今の技術では対応できない要望が出てきます。そうすると、応用に対応することがその分野の技術や可能性を引き上げる場合もあると思いますので、そういう可能性を積極的にプロモーションしていくということも大事だと思います。
それ以外のところとして、今回伺ったこの案について意見を2点言わせていただければと思います。1つは、今回の参考資料1にも入っています国文学資料館の古典籍のデジタルアーカイブ化について、デジタルアーカイブにより国文学資料館が世界中の図書館とつながり、従来、比較的国内に閉じていた国文学を外国にも広げたとと伺い、大変すばらしい活動だと拝見しています。
2点目ですが、小中高の教育について、情報による新しい方法も期待ができると考えています。小学校でも、今回リモートで教育することによって、計らずも個別の生徒さんの姿がよく見えたりとか、少人数教育を実現したところでデジタル的に補完していく等の新しい形が色々出てきて、従来教育の課題だと言われていた点が、工夫できる要素がたくさん出てきていると聞いています。これはNIIの皆さんがシンポジウムでいろいろ工夫されて情報発信していただいたところのおかげだとも思うのですけれども、今後への期待が高いところだと思います。ありがとうございます。以上です。
【西尾主査】 栗原先生にお伺いしますけれども、安浦先生のおっしゃられたコメントをきっちりと受け止めながら、分科会と委員会とで合同で提言を出すということに関してはいかがでしょうか。
【栗原委員】 私は賛成です。
【西尾主査】 分かりました。
【栗原委員】 その場合、やはり学術分科会において議論する学術の振興、新しい研究展開を見いだして、それを育ててるというところはどの分野においても大事なことだと思います。それは情報学分野の皆さんも他の分野も皆同意するところだと思いますので、共通のあるいは補完して議論できることは大事だと思います。
【西尾主査】 どうもありがとうございました。資料4に関するコメントもどうもありがとうございました。
それでは、貴重なコメントを十分に生かしながら、今後は提言を合同で出すという方向で進めてまいりたいと思っております。
資料3-1、3-2、それから、資料4の説明がございました。資料4が中心になりますけれども、どなたかコメントとか御意見等ございませんでしょうか。
【橋爪参事官】 西尾先生、すみません、事務局でございます。佐古先生が通信の不具合のようで、林先生の御発表に関してコメントのメールをいただいております。佐古先生からは、査読つき論文に関して、査読してくれる研究者にとってのメリットが少なく、査読してくれる研究者を見つけることや論文の質を上げることに苦慮している。国際論文について、日本人の査読者について見てみる必要があるかもしれないと思っているというような御意見をおっしゃりたかったということで御紹介させていただきました。
【西尾主査】 佐古先生からのコメントは重要なことかと思いますし、学術のコミュニティとしては今後きっちり対応していかなければならない問題だと思っております。
それでは、梶田先生、どうぞ。
【梶田委員】 京都大学の梶田です。資料4の素案についてのコメントです。学術研究及び情報科学技術ということなので致し方がないと思うのですが、教育に関する記述がちょっと少ないのかなという気がしています。例えば研究についてはデジタルトランスフォーメーションという言葉が出てきますが、教育についても教育のDXという言葉を書いて良いと思います。
教育のDXのきっかけになったのが今で言うラーニングマネジメントシステム、LMSなんですが、アメリカの大学では、大体2000年前半ぐらいに普及していくのを横目に見ながらいいなと思っていたのですが、この状況が日本ではこの4月から5月のほぼ1ヶ月ぐらいで起こっている状況だと思います。そういう状況をやはりきちんと把握して提言することが重要だと思いました。
以上です。
【西尾主査】 この提言は学術振興、情報科学技術が主題ですが、私は特にデジタル技術という観点、梶田先生がおっしゃったような観点から、教育のことに関してもそれなりに記述してもいいと考えています。事務局としては、その辺りはいかがですか。
【橋爪参事官】 そこは我々のほうとしても、いただいた御意見をどのように反映できるか考えていきたいと思います。
【西尾主査】 分かりました。その点についてもどうかよろしくお願いいたします。
瀧先生、どうぞ。
【瀧委員】 情報を提供する側、情報システム環境を作っていく側と研究者の側の両方の立場で考えてみますと、研究者側の方が努力してデジタルトランスフォーメーションをしようとしているように見えます。今日の御説明の例の中でも、小さいコミュニティの中でロボットや言語等を自分達で作って共有化しようという努力をされているように見えます。研究者の努力だけで研究環境の情報化を進めるのではなく、研究者のニーズをうまくくんで、いろいろな情報環境を我々のほうで研究し、提供できるようにするという協力関係を一方通行ではなく進める、また、いろいろな環境づくりについても助言ができますというようなニュアンスのことが書いてあるといいと思いました。
【西尾主査】 例えばどの辺りに書くとよろしいですか。
事務局で今のコメントを反映できそうですか。
【橋爪参事官】 お互いにシステムを作るときに、システムを動かしながら、そのニーズを踏まえて取り組んでいくとの趣旨は、素案にも含まれてはおりますが、デジタルトランスフォーメーションのパートに、分野だけではなくて全体としての連携が図れないかということについて、瀧先生と御相談しながら考えていきたいと思います。
【西尾主査】 分かりました。来住先生、どうぞ。
【来住委員】 資料4の振興方策のところに追加していただきたいことがありますので、コメントさせていただきます。「ポスト・コロナ社会にふさわしい新しい研究様式への転換」の辺りで、研究者のライフスタイルやキャリアパスに少し触れてはどうかと思います。デジタルトランスフォーメーションとも関係していると思いますが、これからのIT系の研究者は、本業は何か別にあるけれども、新しいIT技術の研究や利用に挑戦したい、パートタイムで少しやりたいという人が増えていくように思います。在宅勤務が普及するということと関係し、本業として何か持ちながら研究をするというIT系の技術者が増えるのではと最近思うようになりました。
キャリアパスについて簡単に言いますと、大学や研究機関と産業界の人材交流、つまり企業から大学に移ったり、大学から企業に移ったりする若手の研究者がこれから増えざるを得ないと私は考えています。研究者のライフスタイルやキャリアパスの転換ということに触れていただけたらと思います。
以上です。
【西尾主査】 分かりました。大事なことだと私は思っておりますので、この点も事務局の方で来住先生とも情報交換をしていただきながら、提言への反映についてはどうかよろしくお願いいたします。
【橋爪参事官】 分かりました。
【西尾主査】 コメントありがとうございました。
奥野先生、どうぞ。
【奥野委員】 奥野です。デジタルトランスフォーメーションをすることは、もう国民の総意だと思いますけれども、やはり一番の問題は費用だと思います。特にしっかりとやろうと思うのであれば、国の予算だけでは成り立たないのではないかと思っています。そういう意味でも、やはり産学連携、また、産業界からの参入あるいは投資等、予算面のバックアップを考えなければ、案は出すけれども、結局予算が持ってこられないということになろうかと思いますので、産学連携に関しても何らか前向きな記載を入れるべきかと思いました。
【西尾主査】 分かりました。今の点についても、きっちり捉えたいと思います。それと同時に、この資料4全体の書きぶりとして、概算要求に資するものということであれば、やはり何とかすべき云々だけではなくて、それを推進するためにはそれなりの財政出動が必要だということをきっちりと書いていくことが大事かと思っております。その辺りはまた事務局と詰めていきます。今、奥野先生がおっしゃったのは、国の予算だけでは足りない場合もあるので、産学連携の観点もきっちり書くべきではないかということだと思います。それは今後検討してまいります。ありがとうございました。
喜連川先生、どうぞ。
【喜連川主査代理】 ありがとうございます。冒頭、林先生からのレポートでは、鉄道は50%の利用減少という話がありましたけれども、東京地区はどうなっているかというと、地下鉄や私鉄は30%の利用減少です。これが何を意味しているのかといいますと、要するに、エッセンシャルワーカーがいるということです。今回、デジタルトランスフォーメーションを進めるときに、世の中の一般市民は、きれいな文章に書かれているようなことは必ずしも機能しないということを最も感じました。
10万円の特別定額給付金の振込みの遅れも指摘されています。どういうことかといいますと、大学の事務機構等に対して相当しっかりとした目配りをしておかないといけない。つまり、研究の側面だけではなくて、それをサポートするフレームワークのほうが実は非常に重要であるということです。これまでは、政府として掛け声はかけるのですけれども、それを実施する体力がなかったというのが現実だと思いますので、これと同じようなことが絶対にまた起こらないようにするため、どうするかという記載が重要かと思いましたので、発言させていただきます。
【西尾主査】 私も今の点は非常に大事かと思います。喜連川先生がおっしゃったようなことが今回のコロナ禍で如実に我々の前に顕在化したということだと思いますので、それを踏まえて研究をきっちり支えていく、事務的なサポートも含めた改革をしていくということは必要ですし、そのための財政的な出動も不可欠だと思っております。その点、事務局の方でも検討よろしくお願いいたします。
安浦先生、どうぞ。
【安浦委員】 資料3-2の学術分科会の意見にNIIのことが書かれています。最初に申し上げたby ITという立場で言われたのかもしれませんが、実際にSINETをはじめデータ基盤あるいは理研がやっている「富岳」や各大学の計算資源、ハイパフォーマンスコンピューティング等が一体となって我が国の学術基盤になるわけです。この提言で短期的に書くかどうかは別として、せっかく学術分科会側でも言ってくださっていますし、やはりそういう情報基盤とそれに必要な先端技術の研究を中心的にやる研究所を一元化して日本が持つべきかどうかという議論は、これを機に始めたほうがいいのではないかというふうに思いますので、発言させていただきました。
【西尾主査】 ありがとうございます。資料3-2の学術分科会で出た主な意見の最後の丸印のところですが、2回前の学術分科会において、ある委員から、SINET等を中心にして日本の学術の基盤を支えているNIIということを考えた場合に、今のNIIが果たしている役割等を我々真剣に考えるならば、遺伝研、極地研、統数研と一緒に情報・システム研究機構の中の一員となっているというような状況ではない、と言うことでした。つまりは、独立した研究所にすべきである、という意見が学術分科会において出ました。特に、機構の中から独立するということのみならず、さらに国直轄の日本の学術研究、教育を支える情報分野の研究所にすべきだという意見でした。前回の学術分科会で、再度いろいろ意見交換が行われた内容が書かれております。
資料4では、2ページの(2)の上の4行にそのことと関連する記述がございます。今、安浦先生もおっしゃっていただきましたけれども、私も機構の中の一員というような今の状況よりも、NIIが果たしている役割・機能等を考えると、日本の学術分野を支える非常に重要な機関として、それと同時にof ITを先鋭的に進める研究所として、やはり独立した1つの研究所として機能すべきだと考えております。
このことに関しては、文部科学省においては、研究振興局の学術機関課が深く関わっていますので、今、安浦先生がおっしゃられたことも踏まえまして、情報関連の担当部署、学術分科会を所掌しておられる部署、それと学術機関課等がこの問題を本当に真剣に考えていただきたいということを私自身は思っております。
このことに関して皆さん特に何か御意見等はございますか。
【安浦委員】 安浦です。追加して申し上げますと、神戸の「富岳」やAIP等の理研がやっているところとNIIがやっているところと、どちらも情報委員会の所掌として扱っていますが、そもそもなぜそれらを違う組織でやらないといけないのかとかいう議論にまで立ち返って、あるべき姿と実際にできることを議論していくタイミングではないかと思います。
【西尾主査】 分かりました。それでは、今のことも踏まえまして、また事務局といろいろ話合いをしてまいりたいと思っております。どうもありがとうございました。
福田先生、どうぞ。
【福田委員】 大阪大学の福田でございます。手短に3点申し上げます。
1点目は、この提言がof ICTとby ICTの双方を柱とするものであり、概算要求などに向けて打ち出していくのであれば、この提言がこれら2つを柱とするものであることが題名の中でも分かる形で書かれるのがよろしいかと思います。それが1点目でございます。
2点目として、資料4の文書の中では、「個人情報」、「個人データ」、「個人情報に関連するデータ」など、幾つか個人情報に関連する用語がまちまちな形で用いられております。中でも、「個人データ」という用語は、個人情報保護法の中で特定の意味を持たせて使われている用語であり、その用語が同法における用法と異なる用法で使われてしまうと誤解を惹起しかねないおそれもあろうと思われます。これらの用語については、紛れが生ずることがないよう言葉遣いを工夫しておかれるのがよろしかろうと思われます。「個人情報」という用語自体も、個人情報保護法の中で特定の意味合いを持つ言葉として用いられておりますので、例えば「個人に係るデータ」とか「パーソナルデータ」など誤解を惹起しない単語を用いることがよろしかろうと思います。
3点目は、個人データに関連する記述に用いられている「安心・安全」という用語でございます。この最終ページで「個人データについても安心・安全に収集・管理・活用」という記述があります。また、2ページの下から2行目に「システム構築に当たっては、利用者が安全・安心に使えるよう」とあります。
安全・安心はもちろん重要なことではありますが、個人データの「安心・安全に収集・管理・活用」における「安心・安全」が誰にとっての「安心・安全」であるのかは、収集・管理・活用する研究者にとっての「安心・安全」をいうものと見受けられます。また、先ほどの2ページの下から2行目のシステム構築に当たっての利用者の「安心・安全」も、システムの利用者側の立場に立って書かれているものと見受けられます。
もちろんこの提言は研究の振興に関する提言でありますので、、個人データの利用者たる研究者の安心や、システムの利用者の安心は大事なことではありますが、当該個人データに関連する個人、データ主体にとっての「安心・安全」も、社会における受容可能性の見地から重要であろうと考えられます。そうであるとすれば、これら言葉遣いについてよく考える必要があると思います。
その点に関連いたしまして、例えば個人情報保護法の第1条を見ますと、個人情報保護法全体の目的として、「個人情報の適正かつ効果的な活用が新たな産業の創出並びに活力ある経済社会及び豊かな国民生活の実現に資するものであること」というようなことが書かれています。
これら個人に関するデータやシステムの利活用の「安心・安全」に関する表現が、研究者やシステムの利用者にとっての「安心・安全」だけではなくて、そのデータに関連する個人の「安心・安全」につながり、ひいては社会全体にとっての「安心・安全」にもつながるような言葉遣いとなるように、例えば先ほども御紹介した個人情報保護法第1条の言葉遣いなども参考にしつつ表現を考えるのがよろしかろうと思われます。
以上でございます。
【西尾主査】 この分野の専門家として福田先生にお願いなんですけれども、今おっしゃられたようなことを事務局といろいろ調整していただけないでしょうか。今後、提言が発出される際には、今おっしゃられた点を踏まえて明確な記述をしたいと思いますので。
【福田委員】 かしこまりました。
【西尾主査】 それでは、事務局もその点、よろしくお願いいたします。ありがとうございました。
【西尾主査】 鬼頭先生、どうぞ。
【鬼頭委員】 まず先ほど既に意見が出ていましたが私は学術系のほうの中にいる人間ではないのですが、外からの見た目という形で。まず1つ、皆さん一生懸命にすばらしいことをやられているのですけれども、先ほどの組織の話は、外から見ると非常に分かりにくいです。例えば、NIIさんはSINETを運営していたり、理研さんがいたりというのを、誰がオーケストレーションしているのだろうと思います。プラットフォームを作る上で、委員会とかがいろいろあるとは思うのですけれども、やはりオーケストレーションする組織があると、どこと話せばよいかというのが分かりやすくなると思います。
2つ目は、参加していて思うのですけれども、産業界から見ると、私たちがどこに入っていけばいいかが分かりません。例えば、先ほどもありましたけれども、産業界から資金を持ってきたらどうだという話がありましたが、私たちの世界では、ファンディング等が当たり前に行われています。予算を工面することを助ける手段としてのファンディングとか、国家予算だけではなくて私たちが入っていけるような体制を作っていくべきではないかということです。
3つ目は質問です。この提言には見ていて思うのですけれども、私たち産業界からすると、いつまでに何が必要だと言う納期、あるいはプライオリティ、どこに何が必要だ、いつまでにこれが必要だという観点が欠けています。特に私は情報、IT系の人間なのですけれども、ITのインフラが出来ていないと、プラットフォーム上に皆さんがデータを集めてきたり、そういうことができないと思います。これは日本の皆さんの差別化を生む一番の基盤だと思っているのですけれども、それがいつまでに何が必要だという観点が、ここには記載されるのでしょうか。これは御質問ですけれども、この3点というのが重要かと思っています。
【西尾主査】 分かりました。1番目が、組織的にどこが旗振り役かということ、2つ目が、産業界がこの提言を見たときにどういう形で参画できるかの糸口のところがなかなか分からないということ、3つ目は、いつまでに何を実現するのかというスケージュール的な問題だと思います。
最後の御質問に対しては、より明確に記述していくということで御了解いただけますか。
【鬼頭委員】 はい。
【西尾主査】 貴重な御意見、ありがとうございました。
八木先生、どうぞ。
【八木委員】 八木です。個人情報の話が出ましたが、いわゆる個人に関する情報というのは、個人情報以外にプライバシーの情報等、保護の問題もございますので、広く捉えていったほうが良いと思います。事務局で議論されるときにぜひその点御配慮いただけたらと思いました。
【西尾主査】 八木委員が現在推進されているプロジェクトの関連からも非常に重要な課題だと思います。ご指摘いただいたことの記述については、是非、八木先生にはフォローしていただければと思います。よろしくお願いいたします。
貴重な御意見の数々本当にありがとうございました。議論はここまでとさせていただきますが、皆さんからまだいろいろな御意見があると思いますので、事務局のほうに電子メール等で御意見をいただいて、資料4をより内容の深いものにしたいと思っております。その点どうかよろしくお願いいたします。
【齊藤情報科学技術推進官】 事務局のほうから、手短に今後の予定等を御連絡させていただきます。
次回委員会は、9月9日(ウェブ)を予定してございます。本日の議論も踏まえた情報委員会部分の提言案を提示させていただきまして議論いただければと思います。その後、9月中旬頃に学術分科会の提言と一体化した案につきまして、学術分科会と合同で書面審議を行う予定とさせていただいております。
以上でございます。
【西尾主査】 それでは、これにて閉会とさせていただきます。今日も貴重な御意見をたくさんいただきまして、誠にありがとうございました。また、事務局のほうではこの会議を円滑に行うためにいろいろ御準備とかサポートをしていただきまして、誠にありがとうございました。心よりお礼申し上げます。
それでは、これにて本日の会議は終わりにさせていただきます。ありがとうございました。

―― 了 ――

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