情報委員会(第19回) 議事録

1.日時

令和3年8月10日(火曜日)16時00分~17時30分

2.場所

オンライン会議

3.議題

  1. 次世代計算基盤検討部会の検討状況について
  2. 研究DXの推進方策について
  3. 令和4年度概算要求に向けた重点課題の事前評価について(非公開)
  4. その他

4.出席者

委員

安浦主査、相澤委員、井上委員、奥野委員、後藤厚宏委員、後藤吉正委員、佐古委員、田浦委員、瀧委員、塚本委員、長谷山委員、引原委員、深澤委員、星野委員、美濃委員、八木委員、若目田委員

文部科学省

川口参事官(情報担当)、宅間計算科学技術推進室長、三宅学術基盤整備室長、黒橋科学官、竹房学術調査官、池内学術調査官

5.議事録

【安浦主査】 それでは、定刻になりましたので、科学技術・学術審議会情報委員会の第19回会合を開催いたします。本日も新型コロナウイルス感染拡大防止のため、オンラインで開催することといたしました。
今回は報道関係者も含め、傍聴者の方にもウェブで参加いただいておりますが、議事の3番は事前評価に関する案件となっておりますので、非公開とさせていただきます。御承知おきをお願いします。
また、通信状態等に不具合が生じるなど続行ができなかった場合、委員会を中断する可能性がありますので、あらかじめ御了承ください。
本日は、川添委員と小池委員から御欠席の御連絡をいただいております。
配付資料の確認とオンライン会議の注意事項の説明を事務局からお願いします。

【上村専門官】 ありがとうございます。事務局でございます。資料を確認させていただく前に、前回の委員会以降、事務局に異動がございましたので御紹介をさせていただければと思います。
まず、大臣官房審議官研究振興局及び高等教育政策連携担当の坂本でございます。

【坂本大臣官房審議官】 坂本です。よろしくお願いいたします。

【上村専門官】 続きまして、参事官(情報担当)の川口でございます。

【川口参事官】 川口です。よろしくお願いいたします。

【上村専門官】 続きまして、参事官補佐の長田でございます。

【長田参事官補佐】 長田です。よろしくお願いいたします。

【上村専門官】 続きまして、専門職の佐々木でございます。

【佐々木専門職】 佐々木でございます。よろしくお願いいたします。

【上村専門官】 以上でございます。
続きまして、議事次第に基づきまして、配付資料を確認させていただければと思います。
資料1-1と1-2が、次世代計算基盤検討部会の中間取りまとめに関する資料でございます。資料2は、これまで皆様に御議論いただいてきた内容を、中間まとめ案としたものでございます。それから、非公開で御審議となりますが、事前評価に関する資料が資料3-1、3-2、3-3でございます。参考資料は、以前御審議いただきましたが、今年度の研究評価計画でございます。
既にダウンロードいただいているかとは存じますが、もし現時点でお困り事や不具合等がありましたらお知らせいただければと思いますが、いかがでしょうか。皆様、大丈夫でしょうか。もし何かありましたら事務局までお電話で御連絡いただければと思います。
引き続き、オンライン会議の注意事項を申し上げさせていただきます。
本日は通信安定のため、委員の皆様、御発言の時を除き常時マイクをオフ、ビデオをオフにしていただければと存じます。主査の安浦先生におかれましては、常時マイクをオン、ビデオをオンにしていただければと存じます。
御発言される場合は「手を挙げる」ボタンを押していただき御連絡ください。安浦主査は、参加者一覧を常にお開きいただき、手のアイコンを表示している委員を御指名いただければと思います。
議事録作成のため、本日は速記者の方に入っていただいております。そのため、発言する際はお名前から御発言をお願いいたします。
トラブル発生時には、電話にて事務局、お伝えしております指定の番号に御連絡をいただければと思います。
傍聴の方には、本日はZoomで御参加をいただいております。システム不調の場合は、後日公開する議事録を御覧いただければと思います。
なお、議事の3、事前評価につきましては非公開となっておりますので、傍聴の皆様におかれましては議事2までで御退室いただきますようよろしくお願いいたします。
以上でございます。

【安浦主査】 ありがとうございました。それでは、本日は3つ議事がございます。最初が、次世代計算基盤検討部会の検討状況について。それから2番目が、これまでやってまいりました研究DXの推進方策について。3番目が、先ほどございました令和4年度概算要求に向けた重点課題の事前評価についてということで、報告案件1件、審議案件2件ということになっております。
それでは、初めに次世代計算基盤検討部会での検討状況について、これは報告案件になりますが、資料1-1及び1-2に基づきまして、事務局から御説明をお願いします。

【宅間計算科学技術推進室長】 計算科学技術推進室長の宅間でございます。次世代計算基盤検討部会の検討状況について御報告いたします。資料1は本日資料1-1といたしまして中間取りまとめ案の概要、1-2といたしまして本文を御用意しております。本日は資料1-1、概要を用いて御説明をさせていただきます。
初めに資料1-1、4ページから御覧いただけますでしょうか。
次世代計算基盤検討部会ですけれども、我が国の次世代計算基盤、データ処理環境及びネットワークに係る推進方策を検討するため、本情報委員会の下部組織として設置していただいております。本日御報告いたしますのは、このうちの次世代計算基盤についての検討状況となります。
次世代計算基盤につきましては、いわゆるポスト「富岳」の時代において、我が国の計算基盤がどうあるべきか、その方向性についての御審議をいただいてまいりました。具体的には、前期、昨年度の秋から今期に引き続きまして、これまでに計6回の御審議をいただきました。情報委員会に御所属の先生方にも、委員として関わっていただいた方、また講演していただいた方などが複数いらっしゃるところでございまして、誠にありがとうございました。
この夏に、ここまでの御審議の内容を中間取りまとめとしておまとめいただく予定になっております。現在、7月29日、前回に開催されました部会での御意見を踏まえまして、案につきましては最終調整中の段階でございます。
今後につきましては、この中間まとめで示していただいた多くの方向性に沿いまして、具体化のための検討を引き続き行ってまいります。
具体化の検討の場といたしましては、別途、局長諮問委員会として設置をしておりますHPCI計画推進委員会、この資料で言いますと5ページ目に概要をつけてございますけれども、こちらの委員会と連携をして検討を進めていただく予定にしております。
検討の経緯と今後の進め方について、先に御説明をさせていただきました。
続きまして、中間取りまとめ案の内容について御説明を申し上げます。資料1ページ目に戻っていただきまして、中間取りまとめ案の概要でございます。
まず、中間取りまとめでは、次世代計算基盤に係る政策、また技術動向を整理いただきました。こちらの資料では主なポイントのみ取り上げておりますけれども、本年3月にスパコン「富岳」が共用を開始いたしました。また、社会全体といたしまして、AI・データ駆動科学の進展、いわゆる研究DX、また社会のデジタル化の進展などを受けまして、スーパーコンピュータを含む次世代計算基盤の重要性が高まっているところでございます。
また、世界におきましても、欧米・中国を中心に、科学技術・イノベーションのみならず、産業競争力や安全保障の観点からも、スーパーコンピュータに多額の投資が行われているという状況がございます。
次に、次世代計算基盤の必要性でございますけれども、スーパーコンピュータを含む科学技術・学術情報基盤は、科学技術・学術の成果創出のみならず、産業競争力の強化やSociety 5.0の実現、我が国が直面する社会的課題の解決に必要不可欠であること。2つ目といたしまして、スーパーコンピュータによる大規模・長時間・多数のシミュレーションにより、複雑な生命現象の再現や高精度なデジタルツインの実現など、世界をリードする卓越した研究成果が期待されること。また、量子コンピュータの実現など新たな技術の実現においても、世界最高水準のスーパーコンピュータが必要であること。さらに3点目としまして、大規模計算基盤を自国で開発・製造・運用・活用できるという経済安全保障の観点は、新型コロナウイルス感染症の拡大によってもますます顕在化いたしました。これらに必要な技術・人材の維持・育成が重要であることなどを御指摘いただきました。
この必要性を踏まえまして、次世代計算基盤のあり方について、次のページでございますけれども、まず、ポスト「富岳」時代の次世代計算基盤を国として戦略的に整備することは、科学技術の成果創出のみならず、技術・人材の維持・育成、産業競争力の強化等経済安全保障、また新たな科学技術の創出やSociety 5.0の実現、社会的課題の解決などの観点から必要不可欠であること。
また、ユーザーニーズの変化や利用分野の拡大・変化に対応するため、フラッグシップシステムを頂点とする現在のHPCI(革新的ハイパフォーマンス・コンピューティング・インフラ)から、フラッグシップシステム及び国内主要スパコン、データ基盤、ネットワークが一体的に運用され、総体として機能する基盤として転換することが望ましいことを御提言いただきました。
具体的に、やはりフラッグシップは必要であり、このフラッグシップシステムの開発に当たっては、半導体やネットワークなどの関連技術の動向、及び利用ニーズの変化などを踏まえ、調査研究を行い、我が国として独自に開発・維持するべき技術を特定しつつ、具体的な性能・機能などについて早急に検討を開始する必要があること、HPCIの戦略的な整備・運用について継続的な議論が必要であることを御提言いただきました。
次のページにつきましては、特に次期フラッグシップマシンについて、必要性を3つの観点で整理いただきました。
1つ目は、世界をリードする卓越した研究成果の創出。これには幅広い研究分野でパラダイムシフトを起こし得る圧倒的性能・機能などが必要であると御指摘いただきました。
続きまして、技術・人材の維持・育成などによる計算科学・計算機科学における我が国の優位性・独自性の確保でございます。これには、量子コンピュータなど新たな計算原理の発展も考慮することや、我が国の独自開発技術と国際協調すべき技術の特定が必要であること。アプリケーションを含めた産業への展開を見据えた検討が必要であること。サプライチェーンリスクの管理を含むセキュリティの担保が必要であることなどの留意点を御指摘いただきました。
3つ目の点といたしまして、これらを通じた新たな科学技術の創出、産業競争力の強化、社会的課題の解決などへの貢献でございます。これに関しては、今後も変化する多様なニーズに対応するため、データ基盤などと一体的に運用されるための機能や、柔軟に運用されるための機能などが必要であると御指摘いただいております。
具体的な性能・機能はまさに今後の検討事項でございますが、この方向性に沿って検討を具体化してまいりたいと考えております。
御説明は以上となります。

【安浦主査】 宅間室長、ありがとうございました。
この次世代計算基盤検討部会でございますが、今回は中間取りまとめということで、まだ完全には最終的なものになっておりませんが、中間取りまとめ案という形で、本文も資料の1-2につけてあります。こちらも御参考になって、何か御質問等があれば、挙手にてお知らせいただければと思います。
どなたか御発言、御質問ございますでしょうか。これは特に審議事項ではございませんが、こちらの部会でこういう審議がなされているということでございます。
宅間室長、今後の大まかな進め方についても簡単に説明していただけますか。

【宅間計算科学技術推進室長】 はい。資料の4ページ目に少しつけさせていただいておりましたけれども、今後については、この後、最終調整中の中間取りまとめの確定をさせていただきまして、その後、それぞれフラッグシップ、またHPCIの戦略的な整備等につきまして検討の具体化を行ってまいります。その時には、この次世代計算基盤検討部会と、また別途、HPCI計画推進委員会という局長諮問委員会がございますけれども、そちらと連携して検討を具体化していただいてまいります。
そちらの結果を踏まえて、またこちらの次世代計算基盤検討部会に、検討の具体化の結果を返させていただいて、この部会としては最終取りまとめに向けた審議を再開していただく予定にしております。

【安浦主査】 ありがとうございます。大体その間に来年度の予算の問題もございまして、最終取りまとめにできるのが年明けぐらいの部会でやって、今年度中にはこちらの委員会に最終案として御報告できるかと思います。
八木先生、お願いします。

【八木委員】 私はあまりこのような大型計算機を使ったことがないので、いまいち、ちゃんとしたコメントにならないかもしれないのですが、実際このような計算機を活用している人というのは、ある特定の領域の方々が多いという気はするのですけども、今回の提案の中では、より広いターゲットを持たれているのかなという具合に、読みながら感じました。
そうすると、ユーザーの声というものを、今の大型計算機の利用者から、さらにこのプラットフォームが求めるものというのをうまく吸い上げていただけて、今まで使っていなかった方々の利用促進が図れるような姿になるのかというところが、もしかするとポイントではないかと思いながら聞いていました。
そうすると、どういう分野がこの計算機のプラットフォームを活用するのかということが、実はこの必要な仮想専用マシンの在り方に関わってくると思います。今の大型計算機の利用者ではない、その外側にいる、極論でいえば、今のこの情報化社会の中で特にAIを発展させるといったようなことをしている人たちというのは、ローカルマシンを利用されるといった、全く別の手段を使われているケースが多いと思います。そういった方々の声も含めた中でうまくつくり上げると、より利用者も増えて、いいのではないかという具合に個人的には感じております。
以上です。

【安浦主査】 ありがとうございます。もともとこの部会には、今までの計算科学の方と、それから、計算機を作れないと意味がないので計算機科学、CSのメンバー、さらにはデータ駆動中心のデータ科学と計算科学が融合して新しい分野ができていくということで、AIを含むデータ科学の方も入っていただいておりまして、そちらの方々や、委員以外の方の御意見等も伺いながら、この部会は検討しております。
さらにはセキュリティといった問題も含めて、計算基盤全体を考えながら議論を進めてきたところでございます。
瀧先生、お願いします。

【瀧委員】 「富岳」もそうですけれども、やはりスーパーコンピュータの開発には非常に多額の予算がかかってくると思います。この概要の中にもたくさん出てきますけれども、「産業競争力」という単語が何回も出てきますので、開発において、民間から何か資金を提供してもらうことが考えられます。それを活用して、民間の方は今までも利用できますけれども、優先的に利用できるようにする、あるいは何か出資してもらって見返りがあるというような仕組みもあるといいのではないかと思っていますが、いかがでしょうか。

【安浦主査】 どうもありがとうございます。民間との関係性については、「富岳」の利用においても前期の情報委員会でもいろいろと御議論いただいた部分もございますけども、今の瀧先生の御意見は、さらに開発段階も含めて検討ということで、御意見として承っておきたいと思います。
ただ、あまりにもビッグサイエンス的になってきておりまして、我が国だけで閉じてやれる話でもありません。国際協調する面と我が国の中で維持すべき技術、そういったものを両面見ながら、当然、ソフトもハードも、開発等に参加する民間はある程度の持ち出しは当然やっていただきます。今の瀧先生の御意見は、さらに完全な利用者である民間からも少しお金を出していただくというようなストーリーも考えられないかという御意見かと思います。その辺につきましても、また部会等で検討させていただきたいと思います。どうも貴重な御意見ありがとうございました。

【瀧委員】 ありがとうございました。

【安浦主査】 他に御質問はございますでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、宅間室長、そのほか何か追加でお答えいただくものはございますか。

【宅間計算科学技術推進室長】 ありがとうございます。先ほどの主査の御質問に対しまして、私の回答が不十分で失礼いたしました。中間取りまとめを受けまして、私どもとしては、中間取りまとめの中でも御指摘いただいた調査研究の実施に着手できるように、概算要求等で必要な取組ができるように取り組んでまいりたいと考えております。
また、最終取りまとめの時期でございますけれども、これからの検討の具体化のスケジュールにもよると思いますので、今現時点でいつぐらいというのはなかなか申し上げるのは難しそうだというところはございますけれども、今年度の終わりぐらいには、次世代計算部会に、この中間取りまとめを受けて検討の具体化をした内容について御報告をさせていただいて、最終取りまとめについての審議を再開していただくということを、また御相談させていただきたいと思っております。すみません、先ほどの補足でございました。

【安浦主査】 そうすると、情報委員会へは来年度になる可能性があるということですね。

【宅間計算科学技術推進室長】 そうですね。最終取りまとめの時期はもう少し後ろになるかと思います。

【安浦主査】 ありがとうございます。本件、よろしいでしょうか。
それでは、宅間室長、ありがとうございました。この中間取りまとめを踏まえまして、引き続き次世代計算基盤の検討を進めていただければと思います。
それでは次に、研究DXの推進方策についての審議に移りたいと思います。こちらは審議事項でございます。
これまで2回にわたりまして、研究DXの推進方策についてとして、研究DXとそれを支える学術情報基盤の在り方に関して御意見をいただいてまいりました。本日は情報委員会としまして、これまでの議論をまとめたいと思っております。
事務局でまとめの案をお作りいただいておりますので、それを御説明いただきますが、その前に、前回の情報委員会の後に、相澤委員、それから塚本委員から追加の御意見をいただいておりますので、ここで御紹介いただきたいと思います。
まずは相澤委員、よろしくお願いいたします。

【相澤委員】 国立情報学研究所の相澤でございます。データの共有に当たっては、特に高品質のデータを構築するところ、そして維持管理するところにかかるコストを見える化することがとても重要だということを痛感しておりまして、その点について意見を寄せさせていただきました。
そういうデータの構築及び維持管理のコストをしっかりと見せておかないと、研究者の当然の義務であると片づけられてしまって、研究時間を圧迫するほか、研究予算も実質的に目減りするということになってしまうことも考えられます。そうすると、ブレーキとアクセルを同時に踏んでいるような感じになってしまいますので、やはり何か新しいスキームでデータの共有を促進していくということを期待したいと考えております。
以上です。

【安浦主査】 どうもありがとうございました。こちらにつきましては、NIIでもいろいろ御尽力いただくこともあるかと思いますので、よろしくお願いいたします。
それでは塚本委員、お願いします。

【塚本委員】 どうもありがとうございます。塚本でございます。グリーンと地方大学の扱いということに関しまして、2点コメントさせていただきます。
今年「骨太」等に出ていたキーワードですと、「グリーン」と「デジタル」と「経済安全保障」という三本柱があったような印象を受けるのですが、今回の紙の中にあまりグリーンに関する言及がなかったので、あったほうがいいのではないかと思いました。
ただ、先ほど次世代計算基盤の話を聞いていても、省エネですとかCO2削減という言葉はなかったので、違う場で議論をする話題でこの場ではとりあげないという整理であったとしたら、場違いな意見で申し訳ございません。
恐らく、ハードやソフトやチップ自身の省エネというのはすでにいろいろ研究対象になっていると考えますが、これからデータが増えていき、それに伴い、データセンターも増加し、ストレージも増えていくというときに、情報基盤の開発や運用時の排出量の削減の方針などについても、情報委員会から必要であれば何か提言などをすることもあるのではないかと思います。
2点目といたしまして、既に資料に入っておりましたが、情報系の研究者が十分でない地方大学等への取組の支援についてです。ここにいらっしゃるような先生たちがいらっしゃらないような地方の大学においては、情報基盤センター長が実は天文学の方だったりすることもあります。せっかくですので、そういったところに関しましては、NIIさんですとか、ほかの学術団体でリポジトリをつくっていただいて、何らかの形で活用できるような形にしていただけると、地方の研究者の人たちは安心して自分の研究に邁進できるのではないかと思います。
以上です。よろしくお願いいたします。

【安浦主査】 塚本先生、どうもありがとうございます。貴重な御意見だと思います。
グリーンについては、いろいろなところにちりばめられてはいるのですけど、まとめの中でどう具体的に表現していくかというのは、今後、最終まとめをつくっていく上で議論していきたいと思っております。
それから、全ての研究者、どんな機関に所属していても、地方の中小の大学に所属していても学術基盤の恩恵を受けるということは、これは当然あるべき姿でございます。通信基盤のSINETに関しては、SINET6で全国どこの大学にいてもアクセスが可能なベースは用意できそうな感じになってまいりました。
それからデータに関しても、できるだけ共通な部分を国全体として用意しないと、研究者はただでさえ忙しい中で、さらにデータ管理、あるいはそれの公開に関しての新たな仕事が増えてしまうというのでは、なかなか本来の研究に打ち込めないということで、自然に研究をやっていく中で必要な手続が全部できていく、そういう基盤をツールとして提供できる、そういうことも議論が進められているところでございます。今、塚本委員からいただきましたような御意見を参考にして、情報委員会からもそういう強い示唆があっているという形で、また議論のまとめのほうに反映させていきたいと思います。どうもありがとうございました。

【塚本委員】 ありがとうございます。

【安浦主査】 それでは、事務局から、資料2の第6期科学技術・イノベーション基本計画を踏まえた情報分野における研究開発等の進め方について、議論の中間まとめ案の説明をしていただきます。お願いします。

【上村専門官】 ありがとうございます。事務局の上村でございます。それでは、中間まとめに関して御説明をさせていただきます。
第6期科学技術・イノベーション基本計画を受けた、情報分野における研究開発等に関する戦略といいますか進め方といいますか、こちらの議論を、これまで皆様に情報委員会の中でしてきていただいたところでございます。
先ほど主査にお伝えいただきましたように、ここ2回は、情報委員会では研究DXの推進方策についてとして、研究DXとそれを支える学術情報基盤のあり方に関して御議論をいただいてきたところでございます。今回は、これまでの御議論をまとめていただければと考えております。
研究DXに関する議論を今回おまとめいただきまして、その後に関しまして、今後は情報分野における研究開発課題等を議論していただければと考えているところでございます。
御覧いただいております本中間まとめ案は、大きくは2部構成にしております。冒頭の2ページ、これは議論のまとめとしております。3ページ目からが、その他、関連する点、留意すべき点というところでございますが、議論のまとめのほうは情報委員会全体の御意見のまとめで、この後ろの関連する点、留意すべき点というのは、委員の皆様の個別意見に近いところはございますが、こちらも関連する点、留意すべき点として集約させていただいているところでございます。
議論のまとめに関しましては、研究データ基盤の重要性、それから研究データ等の管理・共有・利活用のシステム・ツール、それから制度・ルール、それから人材、留意点等と分けて書かせていただいているところでございます。
研究データ基盤の重要性ですが、ここではまず第6期基本計画での位置付けを2つの丸で記載しております。
まず、その基本計画では、研究DXを通じて付加価値の高い研究成果の創出を目指すとしております。そのために、研究データの管理・共有・利活用、それから研究基盤の形成・維持、さらにリモート研究やスマートラボの推進といったものの重要性を指摘しており、これにより、研究プロセスの効率化だけではなく、研究プロセスの変革を目指しているとしております。
また基本計画では、特に、研究データの管理・共有・利活用を進める環境を整備するというところの重要性も指摘しているところでございます。
また、研究現場の1つであります大学の状況といたしましては、深澤先生に御紹介いただきました大学ICT推進協議会での御提言、こちらの内容を参照させていただいているところでございます。今後の大学の情報環境整備のあり方に関する提言の中で、2030年の大学の情報環境を想定して、幾つかの点を指摘いただいているところを取り上げさせていただいているところでございます。
これらを踏まえまして、研究データ基盤の構築を行うとともに、それが安定的に運用される仕組み・体制等を国全体として整備していくことが重要であると考えられるというように、まず全体の重要性を位置付けたところでございます。
続きまして、2ページ目になります。システム・ツールに関しましては、重要な点と御指摘いただいているところをまとめさせていただいておりますが、利用者のニーズに応えるべく、必要な機能の強化。それから、研究サイクルの中で大きな負荷がかかることなく、管理・共有・利活用が進むような機能。それから産学連携・社会での活用。学術研究で集めた個人データの利活用が民間でも進むような仕組み作り。それから、データ駆動型研究の成功事例を作り出していくこと、こういったところが重要であるとまとめさせていただいているところでございます。
それから、制度・ルールに関してですが、大規模な大学等の研究機関においては、そちらが責任を持って維持管理をする。一方、中小規模の大学等におきましては、各機関での維持管理が困難な場合は、中核機関群などが中心になってデータを維持管理することが重要であるという点を挙げさせていただいているところでございますし、研究分野ごとの代表的な機関がデータフォーマットやメタデータ等の標準化を推進することが望ましい。また、分野間データ連携基盤との連携や国際的な通用性といったところも想定した標準化やルール設定が重要であるとしております。
それから、個人情報保護法の改正等を含む法的・制度的な観点、それから機密性・完全性の確保、社会受容性の向上といったことに加えて、社会的コンセンサスを得る活動といったところも重要であるというようなことを、挙げさせていただいているところでございます。それから、データを提供される方にもメリットがある仕組みづくりの重要性というのも挙げさせていただいているところでございます。
続きまして、人材に関してですが、キャリアパス創出・待遇の向上、それから流動性の確保、多様な育成メニューの提供といったところを挙げているところでございます。
それから、DXを進める上での留意点ということでございますが、研究、教育、事務作業の全体を含めた総合的なDXの推進、それから学術情報基盤全体の連携と、その安定的な運用ということも重要であろうというようなところをまとめまして、これを議論の全体的なまとめとしているところでございます。
3ページ目以降、皆様からいただいた御意見から取り上げているところを少し御紹介させていただければと思います。
最初のところ、これは先ほども御紹介させていただきましたけども、AXIESの皆様の御提言から取り上げさせていただいているところでございます。
2つ目、これは研究DXにはデジタル化による効率性向上と新たな価値の創出があると。「モード1」「モード2」という言葉で御紹介いただいておりましたが、その観点を挙げさせていただいております。それから成功事例を作り出していくことの重要性、新たな価値創出の研究として、コンピューティング環境を使ったDX的研究、それから研究DXを実現するための研究、といったものの例も御紹介いただいたところかと思っております。そういったものが、バラバラに支援するよりも、ある程度まとまった形での支援の必要性ということも御指摘いただいていたかと存じます。
続きまして、利用者のニーズに応えるための機能、先ほども御紹介させていただきました観点。それから研究サイクル上での観点、こちらも先ほど御説明させていただいたところでございます。それから、データエンジニアに加えてデータ営業、データヘルプデスク等のサービス・サポートの体制の整備といったところも御指摘いただいたところかと存じます。
それから産学連携・社会、それからヒューマンデータの利活用、先ほど述べさせていただいたところでございます。それから、CO2排出の側面として、情報基盤の開発、運用時の排出量といった観点での検討も御指摘いただいたところです。先ほど御示唆いただいたところかと存じます。
4ページ目に移りますが、大規模な大学と中小規模の大学に関しましては先ほど述べさせていただいたとおりでございますし、地方大学への配慮、先ほど塚本委員からもいただきましたけども、その観点も、大規模・中小規模の観点のところでまとめさせていただいたところでございます。
それから分野ごとの件は先ほど述べさせていただいたとおり。それから、分散させつつ共有できるシステム、こういった観点での御指摘もいただいたところです。それから、技術面と非技術面の両面での取組という観点も御指摘いただいておりました。
それから個人情報の問題の大きなところは先ほど述べさせていただいたところでございますし、同様に、インテグリティとコンフィデンシャリティも先ほどまとめのほうに入れさせていただいたところでございます。社会的コンセンサスに関しても同様です。
それから、行政とか学術のデータが企業に認知されていないのではないかという御指摘もいただいていたところで、ここに挙げさせていただいているところでございます。
5ページ目に移ります。先ほど挙げさせていただきましたが、データ提供者も評価されるというメリットのある仕組みづくりの件。それから、先導的なプロトタイプの研究を進め、成功事例の公表など、引っ張っていくことが必要という観点。
それから、人材のところで、キャリアパス創出、待遇の向上は先ほど述べさせていただきましたし、流動性の観点も述べさせていただいたところでございます。
それから、管理・運営していく人材の手当の重要性、それからデータエンジニアのレベルという観点でも御指摘をいただいたところでございますし、経済安全保障の観点からの検討の必要性も御指摘いただいたところかと存じます。
それから、総合的なDXの観点、データ駆動型の教育、それから教育に関するデータ駆動型の研究といったところの御指摘もいただいたところでありますので、ここで挙げさせていただいているところでございます。
人文・社会科学系の実験や調査のDX、この辺を全部まとめて総合的DXという観点で一旦くくってはおりますが、こういった御指摘の重要性も踏まえて、ここでは挙げさせていただいているところでございますし、グリーン関連の要素という、先ほどおっしゃっていただいた点もここに挙げさせていただいているところでございます。
最後の6ページになりますが、基盤を支え続ける安定財源の確保と、基盤センターの運用の重要性といったところが上2つのポツのところで述べていただいていたところを挙げさせていただいているところでございますし、データを蓄積することに加えて、計算基盤の整備、それから柔軟に構成可能でセキュアなネットワーク環境の構築の必要性を御説明いただいたところでもあったかと存じます。
それから、やはり予算の安定的確保や柔軟な執行、情報環境の格差の是正といったところも御指摘いただいておりますし、それから、先ほど相澤先生におっしゃっていただいたところでもありますが、コストの見える化の重要性、見落とされがちなコストがあるという観点での御指摘といったところも挙げさせていただいておりますし、最後になりますが、省庁をまたいだ戦略や統合化を考えることの重要性という御指摘をいただいた点も挙げさせていただいているところでございます。
事務局からの説明は以上でございます。

【安浦主査】 ありがとうございます。それでは、ただいま事務局から説明のありました議論のまとめにつきまして、御意見、御質問等をいただきたいと思います。挙手ボタンを押して御発言をお願いします。
佐古委員、お願いいたします。

【佐古委員】 すみません。ありがとうございます。意見というより少し質問ですけれども。

【安浦主査】 どうぞ。

【佐古委員】 「研究データ等管理・共有・利活用のための制度・ルール」というところに、データフォーマットやメタデータの標準化というのを研究分野ごとの代表的な機関が推進と書いてあるのですけれども、これは、具体的に研究分野ごとの代表的な機関というのはどこをイメージされているのでしょうか。また、研究分野ごとにフォーマットをつくるのがうまくいくのかというのが少し疑問に思いましたので、こういう方法でやればうまくいくのではないかという案がありましたら、ぜひ教えていただければと思いました。
以上です。

【安浦主査】 ありがとうございます。事務局から御回答をお願いします。

【上村専門官】 御意見ありがとうございます。
まず、この分野ごとの代表機関がデータフォーマットやメタデータ等の標準化を推進することが望ましいと挙げているところに関しましてでございますが、具体的にどこというのはまだ幾つかあるというところではございますが、恐らく、これまで情報委員会の議論の中で、例えば、材料の分野におきましてはNIMSが進められているところとか、それから、生命科学の分野で理化学研究所も1つの可能性というのをおっしゃっていただいていたのではないかなと捉えております。
そちらはまだ例ではあるかとは思いますが、一方で、ここの御意見、御議論いただければと思います。例えば、このデータフォーマットとかメタデータの標準化を行うというときに、例えば、分野ごとでもなくても、本当に全部を一まとめにして決めていこうとすると、なかなかそれは難しいのではないかと。分野ごとにやはりそのメタデータ等の中で必要な項目というのは変わってくるであろうことから、分野ごとというのが1つの区切りではないかというような御議論だったのではないかなと思っているところではございます。
ただ、例えば、分野といっても、まだその中でもいろいろあるとか、もっと細いほうがやりやすいとか、もしくは、場合によっては、機関ごとでというところも考えられなくもないかもしれません。ですが、このデータを今後共有して利活用していくというときには、まずは、その分野の中あたりが1つのくくりなのではないかというのが、この情報委員会の中で御議論いただいていたところの1つの方向性かと事務局では捉えたところではございますので、一旦、このように書かせていただいているところでございます。
御議論いただければと思います。よろしくお願いいたします。

【安浦主査】 佐古委員、いかがでしょうか。

【佐古委員】 ありがとうございます。まさしく、おっしゃるとおり、どこかの1つの組織が全部を決めるというのは難しいと思っておりますが、一方で、この書きぶりですと、代表的な機関が推進するというので、全体のハーモナイゼーションということの記述が抜けているのかと思いました。言葉的なものかもしれませんけれども、研究分野ごとの代表的な機関が連携を取り合ってというような言葉があってもいいのかと思いました。また、この情報委員会の仕事を増やしてしまう懸念も頭にありながらですけれども、連携を取り合うというところの旗振りも誰かがしないと、うまくデータがつながらないのかと思いました。
以上です。

【安浦主査】 どうもありがとうございます。
この問題は、分野間の問題と国際通用性の問題、ガラパゴスになっても意味がないので、両方考えながらやっていかざるを得ないので、その辺を併せて今後また考えていきたいと思います。どうもありがとうございます。
引原委員から手が挙がっています。お願いします。

【引原委員】 ありがとうございます。引原です。
今、読ませていただいた中で、データの戦略的な側面が少し弱いのではないかと感じています。それは、以前からこの関連する委員会でずっと言い続けていますけど、はっきり申し上げて、電子ジャーナルに関して日本はもう完全に負けてしまったわけです。それに対して、データは研究の最後のとりでであるというのが共通した認識だと思うのですけれども、それに対して、この全体のまとめはどこに対してどういう戦略で打って出るか。国内で連結は当たり前だと思うのですけれども、海外とどういうネットワークで連携していくかという、今、主査がおっしゃったような戦略的側面を明確にしたほうがいいのではないかというのが私の感想です。
皆さんで仲よくやりましょうというような雰囲気に見えるのが少し残念な気がしています。以上でございます。

【安浦主査】 どうもありがとうございます。極めて貴重な御意見で、電子ジャーナルのほうでは完全に牛耳られてしまって、大きな負担を各研究機関が強いられている状況で、データについては絶対このようにはならないでおこうというという御意見はこの委員会でもたくさんございました。もう少しその辺の表現は強めたいと思います。
それでは、奥野委員、どうぞ。

【奥野委員】 奥野です。今回の提言は研究DXに関しての文言になっておりますけれども、研究から様々な社会に対して創出をしていく、あるいは、産業界に出していくというような、出口のところも少し記載を加えたほうがいいのではないかなと思いました。あくまで、文科省の情報委員会としては研究DXというところだとは思いますけれども、様々な連携も含めて、そこの部分を踏まえてもう少し強化をしたほうがいいのではないかと思いました。
以上です。

【安浦主査】 どうもありがとうございます。事務局、いかがですか。

【上村専門官】 ありがとうございます。
今も、確かに産学連携とか社会という観点も少し書かせていただいておりますが、もう少しここの書き方に関して主査とも相談させていただいて、強化するなり何なりを検討させていただければと思います。ありがとうございます。

【安浦主査】 それでは、長谷山先生、お願いします。

【長谷山委員】 長谷山です。
先の委員の発言と関わると思うのですが、資料2の4ページ「3.研究データ等管理・共有・利活用のための制度・ルール」の7番目の項目に、「データのインテグリティ(完全性)」という記載がございます。インテグリティの単語を日本語に訳して完全性と記載したものと思いますが、“研究成果がひっくり返ってしまうため”という文脈に繋がっていることから、共有するデータこそインテグリティ管理が重要であるという、非常に大きなメッセージを伝えているものと理解しています。実は、これは第6期の基本計画の研究インテグリティを受けてのものかと思います。
そう考えますと、データのインテグリティは「完全性」だけではなく、信頼性や一貫性というような意味がございますので、そのようなメッセージも加えるべきかと思います。ご発言の委員もそれを意図されているのではないかと思います。
以上です。

【安浦主査】 ありがとうございます。事務局、いかがでしょうか。

【上村専門官】 ありがとうございます。承知しました。検討させていただければと思います。
あわせて、ここの観点に関して、後藤厚宏委員からも御意見いただいてよろしいでしょうか。

【安浦主査】 後藤先生。

【上村専門官】 後藤先生にいただいたところを取り上げさせていただいたところもございますので。

【後藤(厚)委員】 今の御指摘も大事なことだと思います。特に、データが最後の結果を左右してしまうと強くメッセージを出すことは非常にいいことでございますし、御指摘があったように、「完全性」という言葉だと、特に一般の方には分かりづらいところもあるので、「信頼性」というような言い方をしっかり取り込むのは、私も賛成でございます。
以上です。

【安浦主査】 ありがとうございます。よろしいですか、事務局。

【上村専門官】 ありがとうございました。承知しました。

【安浦主査】 井上委員、お願いします。

【井上委員】 井上でございます。
私からは、人の問題とデータガバナンスの問題についてコメントしたいと思います。
人の問題についてですけれども、全体の流れとしてはすばらしいものを事務局にまとめていただいたと思います。けれども、研究者の負担が増大して、それに伴うインセンティブがないというのは私も非常に大きな問題だと思っております。利活用できる形のデータ創出が適切に評価されるインセンティブ構造を用意する必要があるという点は本当に強調し過ぎても強調し過ぎることはないように思っております。
もう一つ、データマネジメントの人材の不足ですけれども、こちらについては、限られた財源でどのように実現するのかというのは非常に悩ましい問題だと思っております。データ駆動型研究の推進が強く期待される分野に集中的に財源を振り向けて、グッドプラクティスを創出するということが必要ではないかと。こういう分野では成果が出せると考えられていて、研究者のマインドセットも早くそちらに向きやすいということもありますので、財源を振り向ければ専門人材の育成も一定程度可能かもしれないという気がしております。
問題は周辺分野でございまして、私は法学の分野ですけれども、法学プロパーの研究でデータ駆動型の研究がこれからすぐに立ち上がるかというと、研究者自身のマインドセットがなかなか追いつかないというところもございますので、短期的な成果が望めない可能性がある。そうしますと、データをこれから蓄積していって、データ基盤をつくるということにお金をかける、あるいは、そのための人材に財源を振り向けるというところまではなかなかいかない。結果として、悪循環といいますか、人材もいないし、基盤もつくれないから、データ駆動型研究に進んでいかないというような問題があるのだろうと思います。
これはもちろん、先駆的な取組をしている分野のグッドプラクティスをうまく転用するというか、導入していくということも考えられるとは思うのですけれども、こういったことを効率的に進めていくためには、民間事業者の活力を利用することもあり得ると思っております。
日本でもDX化を進めている学術出版社ですとか、印刷会社ですとか、IT企業、様々な民間事業者がこれからサービスを構築してくるのではないかと思うのですけれども、そういった民間事業者と協働・連携し、あるべきデータエコシステムを作り上げていくということもあり得るのではないかと思います。
ただ、先ほど引原先生からもお話がありましたように、欧米のように学術出版社の大手のところに牛耳られてしまうと困るということもございますので、研究機関、研究者がしっかり関与できる形のエコシステムをつくっていくのが重要なのだろうと思います。
そこから関連したデータガバナンスに関して少しお話したいのですけれども、先ほどもお話がありましたように、今回のペーパーは、基本的には、研究機関のデータ基盤ということに中心的に焦点を当てて整理をされているのですけれども、今後は、産業界との連携ですとか、シチズンサイエンスにもデータ基盤を使ってもらうという広がりを持ったものだと考えております。
そういったオープン・アンド・クローズといいますか、広がりのあるデータ基盤、データエコシステムだといたしますと、参考になりそうなのは、内閣官房のデジタル市場競争会議より中間展望レポートが去年の6月に出ておりますけれども、それを受ける形で議論が始まったTrusted Web推進協議会のホワイトペーパーが今年の3月に出ているところでございます。そこでの議論では、特定の民間サービスなどに依存し過ぎない形で、相手に開示するデータをコントロールできるようにし、データのやり取りについても、合意形成の仕組みを取り入れる。そして、データの内容について検証できる領域を拡大して、トラスト、信頼を高めていくという方向性が示されております。
ベースとなる考え方は、研究データ利活用、エコシステムにも通じるところがあるのではないかと考えております。
以上です。

【安浦主査】 井上先生、貴重な御意見どうもありがとうございます。事務局から何か返答ございますか。

【上村専門官】 ありがとうございます。
先ほど長谷山先生からいただいたトラスト、信頼とか、そういった観点も含めてだと思いますけれども、あわせて、どのような表現の仕方にするかを検討して、主査に相談させていただければと思います。ありがとうございます。

【井上委員】 よろしくお願いします。

【安浦主査】 ほかに何かございますか。
まだじっくりお読みいただければ、いろいろあるかとは思いますが、時間もございますので、会議後、事務局までメール等で御意見をいただければと思います。
そういう御意見も踏まえまして、これまでの議論のまとめとして、あくまでも中間まとめ的な意味合いで、事務局と主査で整理するということで、主査預かりとして御一任いただければと思いますが、よろしいでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

【安浦主査】 特に御異論ないようでしたら、そのようにさせていただきます。
非常に複雑な問題を3回にわたり御議論いただきました。貴重な御意見をたくさんいただきましたので、そういったものを反映させながら、戦略的に国際戦略も見ながら、しかも、分野間の違いのことも考えながら、国としてどこにどういう投資をしていくかも見据えたまとめにしていきたいと思います。また個別に御意見を伺うこともあるかと思いますけれども、その節にはよろしく御対応のほどお願い申し上げます。どうもありがとうございました。
それでは、ここからは令和4年度概算要求に向けた重点課題の事前評価についての審議に移りたいと思います。本件は非公開で行いますので、傍聴の方はここで御退席をいただきます。事務局、Zoomの共有停止をお願いいたします。

【以下、非公開】
 

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研究振興局参事官(情報担当)付

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