情報委員会(第2回) 議事録

1.日時

令和元年8月7日(水曜日)10時00分~12時00分

2.場所

霞山会館 霞山の間

3.議題

  1. 第6期科学技術基本計画に向けた検討に関する前回の議論のとりまとめと総合政策特別委員会の議論の状況について
  2. 第6期科学技術基本計画に向けた情報分野に関する検討について
  3. 令和元年度研究評価計画及び事前評価について
  4. その他

4.出席者

委員

西尾主査、井上委員、上田委員、奥野委員、梶田委員、来住委員、喜連川委員、鬼頭委員、栗原委員、田浦委員、瀧委員、津田委員、新居委員、長谷山委員、引原委員、八木委員、若目田委員

文部科学省

村田研究振興局長、増子大臣官房審議官(研究振興局担当)橋爪参事官(情報担当)、坂下計算科学技術推進室長、丸山学術基盤整備室長、相澤科学官、越前学術調査官、佐藤学術調査官

オブザーバー

中村 東京大学大学院情報理工学系研究科教授

5.議事録

【西尾主査】  皆さん、おはようございます。それでは、定刻になりましたので、科学技術・学術審議会情報委員会の第2回会合を開催いたします。
 本日は本当に暑い中お集まりいただきまして、どうもありがとうございました。本日は、乾委員、佐古委員、辻委員、福田委員、安浦委員から欠席の御連絡を頂いております。また、本日は2つ目の議題の説明者として、東京大学大学院情報理工学系研究科の中村宏教授にお越しいただいております。なお、3つ目の議題は、事前評価に関する案件となりますので、その部分は非公開とさせていただきます。
 初めに、事務局より資料について確認願います。
【齊藤情報科学技術推進官】  本日の会議はペーパーレスで行わせていただきます。委員の皆様には、お手元にタブレット端末をお配りしております。このタブレット端末に会議資料を入れておりますので、御確認いただきたいと思います。現在は議事次第のページが開かれていると思いますが、配付資料1から7につきましては、上の方のタブをクリックしていただけると見えるようになっております。また、参考資料につきましては、左下のフォルダーを開いていただきまして、都度立ち上げていただくようにお願いいたします。
 万一欠損等ございましたら、またタブレットの電源が切れる等ございましたら、事務局までお申し付けいただければ、新しいものと交換させていただきます。
 以上でございます。
【西尾主査】  どうもありがとうございました。まず議事の1番目ですが、6月の本委員会で御議論いただいた内容につきまして、事務局と私で取りまとめをさせていただいた上、皆様にも再度御確認いただき、7月23日に開催されました総合政策特別委員会で関係部会などにおける検討結果として報告されています。
 総合政策特別委員会での状況とともに、改めて事務局から説明をお願いいたします。
【橋爪参事官】  それでは、説明をさせていただきます。大丈夫でいらっしゃいますか。資料の1の方をクリックしてごらんいただければと思います。第6期科学技術基本計画の検討に向けた論点(情報分野の視点から)ということで、前回御議論を頂いたもの、その後、事務局にお寄せいただいた御意見も含めまして、主査と御相談して現段階の検討状況として、23日の総合政策特別委員会に提出させていただいたものでございます。
 それでは、資料1に従いまして順次御紹介させていただきます。まず、冒頭のところで、あくまで今の段階だということで、この文書のステータスを述べさせていただいております。それで、四角の中が要旨ということで、全体のポイントとして3点記載させていただいております。第1のポイントといたしましては、教育ということで情報科学技術に関するリテラシーから専門人材までの教育が大切であり、これによって知識集約型社会への転換を加速する好循環を生み出すということと、あと教育手法自身も情報科学技術の利活用を進めるべきであるということを書かせていただいております。
 第2のポイントとして、人間中心の社会の構築について指摘をしております。健全で成熟した知識集約型社会を構築するためにも、安全安心、倫理、多様性、持続可能性等の視点に十分留意する必要があるということでございます。
 2ページ目に行っていただきまして、第3点といたしましては、データに関するルールと情報基盤の重要性、これについて指摘をいたしております。以下、1から4まで続きまして、できる限り皆様の御意見を取り入れたつもりでありますが、詳細な部分でございます。まず第1番目は教育と研究者の評価という視点でございます。教育につきましては、先ほど冒頭でも申し上げましたとおり、データが基盤、あるいは情報化技術が基盤となっていく中で、主権者である国民、消費者の理解が重要であるということで、リテラシー教育の重要性、さらには情報化技術分野の研究者、それに社会の様々な分野で情報科学技術やデータを使いこなせる人材の教育の重要性、そして情報科学技術などを利活用した教育の推進について指摘をしております。
 それから、2つ目のぽつにつきましては、研究者の育成における情報科学技術等の重要性について指摘をしておりまして、3つ目のところで情報分野の研究人材の育成のためにも、研究者全体が魅力的な職業であるようにすることが必要であるという点に言及しております。
 最後は、評価の点でございます。研究者の育成のためには論文以外の活動も適切に評価をするシステムということが重要だということで、書かせいただいております。
 2番目といたしまして、次世代の社会経済活動・研究活動を支え発展させる情報科学技術ということで、情報科学技術が今後の社会経済活動、研究活動の基盤となっていくということで、新たな価値や考え方の創出の加速ということが生まれていくという点。
 それから、3ページ目に参りまして、研究に関してもデータ駆動科学、あるいはAI駆動科学と言われるような新らしいスタイル、手法が期待されているということを書かせていただいております。そのような状態の中でAI、あるいは情報科学技術、データの利活用に当たって人間中心の原則、あるいはFairness, Accountability and Transparency、あるいは、Diversity と Inclusion、英語が並んでおりますが、あとELSI、あるいはSDGs、安全安心への対応が重要だということで書かせていただいております。
 ちょっと視点を変えまして、そうした情報科学技術への研究支援に関しては多様な手法の組み合わせが必要であるという点、あるいは使いやすさの向上も重要であって、インターフェースの研究開発も重要だという点、さらには人間中心の社会を構築するためには、脳科学や心理学、あるいは社会科学系の学問領域との連携も重要だということについて書かせていただいております。
 3番目といたしましては、データの重要性とデータの取り扱い、取得の在り方ということでございます。3ページ目の下のところで、研究データの取得、保存・管理、流通に加えて、研究活動において個人、あるいは社会活動等に係るデータを適切かつ有効に利用できるようにすることが必要であるということで、そのためのルール作りということに取り組んでいく必要があるということを書いております。
 4ページ目に参りまして、2つ目のぽつで、オープンサイエンスについて引き続き推進していく必要があるという点、また、データに関しては、企業との共同研究等に当たっては、その扱いについて配慮するようにという点についても書かせていただいております。
 4ぽつ目で、大学等の情報基盤、あるいは研究環境の高度化について書かせていただいております。1つ目のぽつで、大学あるいは研究開発機関が今後の知識集約型社会において、知識の創出、あるいは知識を利活用したイノベーション創出の拠点となるためには、大学においてデータベース、計算資源、ネットワーク等の情報基盤を整備するとともに、全国の情報基盤を学術情報ネットワークでつなぐことによって、取得、解析、あるいは保存・管理、流通を加速していくべきだと。そのための全国的なデータプラットフォームを整備することの重要性について書かせていただいております。
 2つ目のぽつ、3つ目のぽつについては、計算資源の重要性について述べております。5ページ目に行っていただきまして、そうした計算資源について企業ニーズに即応するために、簡易に利用できる仕組みの構築という点についても触れさせていただいております。
 さらに、5ページ目の1つ目のぽつで、地方の視点の重要性、あるいは情報基盤のラボ改革への活用、さらには新しい時代における図書館の機能の高度化、転換、あとはジャーナル問題への対応、そのあたり、頂いた意見を取りまとめさせていただいた状況でございます。
 以上で情報委員会としての現段階の意見の取りまとめでございますが、ちょっと左下のフォルダーから参考資料2を開いていただければと思っております。PDFの上のところには出ておりませんので、申し訳ございません、左下にフォルダーがございまして、参考資料2ということで、総合政策特別委員会の中間取りまとめに向けた骨子案というものがございます。
【西尾主査】  皆様、よろしいですか、ファイルは開けましたか。
【橋爪参事官】  御不明な点、ありましたら。
【西尾主査】  それでは、続けてください。
【橋爪参事官】  はい。これにつきまして、7月23日、事務的には並行して作業しておりましたので、完全に今回の意見が入っているかどうかというところは、今後引き続き調整の部分もございますが、総政特の方の状況について簡単に御紹介させていただきます。
 中間取りまとめに向けた骨子案ということで、まず1ページ目に、最初に基本的考え方として、デジタル革命、あるいはグローバル化の進展によって、知識集約型社会への大転換が加速されていくということ、それに対して、対応していくことが必要だという基本的認識に立っております。
 真ん中の四角の2ぽつのところで、科学技術イノベーションシステムの目指すべき方向性ということで、5点指摘されております。情報関係は、主に(4)のデジタル化による新たな研究システムの構築ということでの取りまとめになっております。
 さらに、最後の四角でございますが、今後さらに検討すべき事項。1つが、我が国の強みを生かした研究戦略の構築ということで、これは個別分野におけるさらなる深堀りを期待されているところでございまして、当委員会においても引き続き御検討をお願いできればと思っているところでございます。
 簡単に、4以外のところにも情報関係、いろいろ触れられておりますが、主に4でございますが、一番最後の4ページに飛んでいただければと思っております。(4)デジタル化による新たな研究システムの構築というところでございます。基本的方向性と具体的取組ということで、研究システムのデジタル転換、研究データ基盤の整備と活用、教育・人材育成と、骨子の段階ではこの3つの柱に沿って整理をしているという状況でございます。
 緊急システムのデジタル転換に関しましては、先ほども申し上げましたように、情報科学技術の進展によって研究のスタイル自体も変わっていく中で、研究の中で情報資源、情報科学技術をしっかりと使っていこうというところでございます。
 それから、2点目の研究データ基盤の整備と活用につきましては、情報基盤の重要性、あるいは情報基盤のプラットフォームの構築の重要性が指摘されておりますのと、あとはデータ基盤構築に貢献するようなインセンティブの話、あるいは必要なルール整備について主に挙がってございます。
 それから、教育・人材育成につきましては、先ほど申し上げましたように、初中教育の段階からシニア世代までのリテラシー教育に加えまして、高度な専門人材というものの育成、それからデータ、あるいはデータ掛ける専門分野の人材育成という点が指摘されております。これ、今骨子の段階でございまして、今後、総合政策特別委員会の方では、8月、9月に掛けまして中間取りまとめの文書化を行っていくということでございますので、先ほどの取りまとめの中身をなるべく反映できるように、事務局としても調整をしていきたいと考えてございます。
 9月下旬に総政特としては中間取りまとめを行うということで聞いている状況でございます。簡単ではございますが、以上でございます。
【西尾主査】  どうもありがとうございました。7月23日の総合政策特別委員会に向けてこの委員会で議論したことを取りまとめ、その内容は先ほど御説明いただいたとおり7月23日の特別委員会で報告がなされています。
 これは報告事項ですので、特段審議はいたしませんけれども、何かお気づきの点等ございますか。よろしいですか。それでは取りまとめの内容をさらに第6期基本計画に反映できるように、事務局の方、よろしくお願いいたします。
 次に、この秋までに総合政策特別委員会への報告を求められております個別分野の議論を進めていきたいと思います。そこでまず、資料2に基づきまして、当面、秋までに行う検討の進め方について確認いただき、その後、本日の議論に入っていきたいと思います。
 事務局より説明をお願いいたします。
【橋爪参事官】  それでは、続きまして、資料2の方で御説明をさせていただきたいと思います。PDFの方の資料2、よろしくお願いいたします。先ほど主査からもございましたけれども、科学技術・学術審議会の総合政策特別委員会からは、第6期科学技術基本計画に反映すべき事項で、個別分野に特化した部分、そこの深堀りをやって、10月を目途にまた報告をしてほしいうということが求められている状況でございます。
 10月に向けて、今後3回、情報委員会をできれば開催いただきまして、深堀りをしていってはどうかという提案でございます。資料2にございますが、この分野の深堀りということですので、テーマとしては、今後進めるべき情報分野の研究開発と、その支援方策、あるいは基盤整備ということが大きなテーマかと考えております。
 それに関しまして、幾つかサブテーマがあるのではないかと考えております。大きく分けますと、1つはデータの利活用の推進に向けた情報基盤の整備ということがあるのかなと考えております。もう一つは、研究開発自体、どういった分野に今後力を入れていくのか、あるいは支援をどうしていくのかというテーマがあるかと考えております。さらには、計算資源の整備とネットワーク化というような論点もあるかと思います。もちろん、ほかにもいろいろあるかとは思いますが、大きくこの分野に特化した部分として、そのあたりについて議論を3回に分けて状況を御説明しつつ、議論を行っていただいてはどうかということで、1回目の8月7日、本日はデータ利活用の推進に向けた情報基盤の整備と、現状と課題ということでお願いできればと思っております。
 9月19日が2回目でございますけれども、これにつきましては、事務局等から研究開発動向、あるいは支援の現状について全体的な俯瞰を御説明した後に、学術界の見方、あるいは産業界の見方ということで、それぞれ動向、ニーズについて御説明させていただき、御議論いただいてはどうかと考えております。
 さらに、10月18日については、計算資源の整備とネットワーク化ということで、HPCIの整備状況、あるいは今後の利活用方策の検討状況について御説明をさせていただいて、御議論と。さらに、それ以外にも重要なテーマということで先生方から御指摘がございましたら、適宜追加ということで、できれば10月18日、並行して事務局としても取りまとめ案、素案を考えさせていただいて、御議論いただければと考えてございます。
 一方で、総政特では、10月以降、10月に関係部会からその検討結果を出してもらった後、三、四回程度議論が行われて、最終的には2020年の3月に最終取りまとめ案というような計画で進んでいるという状況でございます。以上でございます。
【西尾主査】  どうもありがとうございました。今度は個別分野ということで、情報分野のどういうことを強力に行っていくのかという議論の仕方について、今御説明がございました。本日、それから9月、10月、3回に分けて行い、今日はデータの利活用に関すること、9月には、学術界の見方ということも入っておりまして、一例として、日本学術会議でどういう議論がなされているのか。さらに産業界になりますと、経団連等々においてどういう議論がなされているのか、そのようにさまざまな情報提供していただいて、議論を深めたいと思います。
 それから、10月には計算資源の整備とネットワーク化について議論したく考えております。以上のように3回の議論の仕方で個別分野の検討を進めていくということに関しまして、何か御意見等ございますか。
【橋爪参事官】  ちょっとだけ補足させていただきます。主査からございました学術界のところ、日本学術会議の動向ももちろんございますが、あと学会の動向も是非調べさせていただきたいと思っております。
【西尾主査】  分かりました。もう一つの重要なステークホルダーとして、学会、特に情報処理学会等でどういう活動が展開されているのかということも、是非伺っていきたいと思っております。
 今のような方法でよろしいですか。どうぞ。
【栗原委員】  いろいろな学会の動向ということですけれども、今学会で情報科学技術に対する要請や関心は幅広く高まっていると思いますので、今情報科学技術のより専門的な学会と、比較的、どちらかというとユーザー的な立場の学会と、できればそういう違う立場からの活動についても何か聞く機会があればと思います。よろしくお願いします。
【西尾主査】  重要な視点の御指摘、ありがとうございました。情報分野をさらに広く進めていく、より理解を得て第6期基本計画にきっちりと反映させるには、今おっしゃった意見が非常に重要だと思います。事務局にて、そういう立場からの学会の意見もきっちり吸い上げていただいて、より強力な資料、提案としてまとめていただきたく、お願いいたします。どうも貴重な御意見、ありがとうございました。
 ほかにございますか。どうぞ。
【瀧委員】  一番最初の項目に含まれているかとは思いますが、応用だけではなくて、研究分野も、GAFAが非常に牽引しているというのがございますので、そういったところの分析も見ながら対応していく必要があるのではないかと思います。
【西尾主査】  貴重な御意見、ありがとうございました。これも世界的な動向の中で、GAFAと比べてどうなのか、どこでユニークさがあるのか、そういうところを問われていくと思います。そういう動向分析をきっちり踏まえながら、創造性のあるものとして考えていければと思います。よろしくお願いいたします。
 ほかにございますか。喜連川先生、どうぞ。
【喜連川委員】  ちょっと遅れてしまったので恐縮なんですが、この総政特の資料を見ておりますと、一言で言うとデジタル化ということの強いメッセージの中で、学術全体をデジタル化していきましょうと、それが日本にとって重要だと。このメッセージはそれで多くの方々に、先ほど栗原先生もおっしゃられたような感じで迫ると思うんです。
 ところが、情報分野そのものはさらにその先を行っておかないと追いついていけないわけですけれども、そのメッセージはどこに書かれているのかがいま一つよく分からないんです。どういうふうになっていくんでしょうか。
【西尾主査】  事務局、お答えいただけますか。
【橋爪参事官】  それについては、今後各分野の深堀りということをしていきますので、今は共通的な部分ということで主に書かれておりますので、今後の情報委員会のまさに秋の議論を踏まえて深堀りしていくところかなと、考えております。
【喜連川委員】  深堀と言うよりも、この文章が非常にトップレベルで出ることはそれほど悪いことではないんですけれども、これだけデジタル化を推進するためには、そもそもデジタルを主体とする学問分野をもう少しプライオリティーを上げざるを得ないのではないかというメッセージが、トップレベルでどこにも入っていないような気がするんですけれども。
 個別論ではなくても、デジタルそのものの研究を推進しなくてはならないというのは入れておくのが、極めて妥当ではないかと思う次第です。
【橋爪参事官】  分かりました。では、今後、文章化していく中で、その点については事務局の方からもプッシュしていきたいと思います。
【喜連川委員】  どうぞよろしくお願いいたします。
【西尾主査】  どうかよろしくお願いします。どうぞ。
【梶田委員】  京都大学の梶田と申します。学会、それから産業界から意見をというお話がありましたが、情報基盤、特に学術情報基盤の担い手としての大学の意見も是非伺っていただきたいということで、個々の大学の意見を聞くのは大変だと思いますので、その取りまとめをやっている、例えば大学ICT推進協議会――安浦先生も初代会長でありましたけれども、大学ICT推進協議会とか、あるいは図書館協議会というところから意見を是非聞いていただきたいなと思います。
【西尾主査】  是非それも検討いただけますか。大事なことだと思います。
 ほかにございますか。それでは、貴重な御意見、本当にありがとうございました。今後、3回という限られた会ですので、おのおのの会をできるだけ充実したものにして、今いただいた意見を踏まえて各会の構成をどうするのかを、再度検討いただければと思います。10月まで、その方針に基づいて議論を進めまして、総合政策特別委員会への提言をまとめていきたいと思います。
 その中で、先ほど喜連川先生がおっしゃられた、情報分野が持つ現代的な要請からの重要性については、きっちりと深堀りの議論を進めることも、これからの3回の会議において大事だと思います。
 その方針のもとで、今回はデータ利活用の推進に向けた現状と課題について説明いただき、議論を行いたいと思います。先ほど説明いたしました3回の委員会の第1回目の議論をこれからしていきたいと思います。説明をお願いいたします。
【高橋参事官補佐】  それでは、資料3でございます。私、情報担当参事官付の高橋でございます。よろしくお願いいたします。まず、私の方から御説明をさせていただこうと思っております。今現在、Society 5.0が目指すインクルーシブな社会を実現するために、我が国全体のネットワークインフラでありますSINETと、それから地域における知識集約の中核を担う大学を起点とした知識集約型社会構築ということが、非常に重要であるというふうに考えております。
 そのため、データ活用社会創成プラットフォームの実現促進に向けました解析、活用を必要とする研究開発でありますとか、技術の実証のための基盤システム整備、産学連携体制の構築でありますとか、それから中核としての大学の役割といったものを重点的、集中的に討議するために、データ活用社会創成プラットフォームの推進に関する有識者会合というものを設置いたしまして、こちらの情報委員会の委員でございます、本日は欠席しておりますが、安浦委員の方に主査をお願いしまして、これまでに3回にわたり議論をしていただいているところでございます。
 本日は、こちら資料3にございますとおり、データの利活用推進に向けた情報基盤整備の現状と課題ということで、まず私の方から、こちらのSINETというものがどういったものであるかという基本的なところから、まずは御説明をさせていただきまして、現在、先ほど申し上げました有識者会合で行われております議論の観点について、東京大学の中村先生の方から御説明を頂こうと考えております。
 まず1ページ目をごらんいただければと存じます。まずSINET(学術情報ネットワーク)の概要でございます。こちら、一番上のところに青印で線を引いてございますとおり、日本全国の国公私立大学、公的研究機関とを結ぶ超高速、セキュアなバックボーンネットワークといったものを、国立情報学研究所が効率的に整備、運用しているものと。国内のみならず、海外学術ネットワークとも相互接続しておりまして、国内外に最先端の研究等に大きく貢献しているというものでございます。
 その下、SINETの変遷でございます。大きくは、SINETという名前が付きましてから、1992年から現在、2016年まで第5世代にわたって、この学術情報ネットワークというのが構築されてきているということでございます。その上で、SINET5の概要というところでございますけれども、こちらは我が国で整備されているSINETというものが、100ギガBPSという帯域を持つ通信網を我が国全体に網目状に構築しているものでございまして、これは単位面積当たりのバンド幅という観点では、世界最先端のネットワーク網でございます。
 また、我が国には、世界的に見ても良質な、様々なデータが存在しているということで、最先端のネットワーク上で多種多様なビッグデータを集めて、つないで、活用するという、そのデータプラットフォームのこれから作られるに当たって、その集約するポテンシャルを有するということを可能とするものであって、このデータ利活用の国際的なフロンティアになるものではないかと考えております。
 また、それから、この下にございますとおり、海外との接続についてでございますが、米国、欧州を経由いたしまして、北半球を100ギガでつなぐリンクネットワーク等の国際回線も運用しているというところでございます。さらに、その下にございますとり、モバイル網というものをSINETと直結して、広範なエリアから収集したデータというものを利活用する、それを促進するというところで、公益データ収集基盤、モバイルSINETというものの運用も始まっているというところでございます。
 今後の課題でございますけれども、大学をハブとした地方創生、それから産学連携の基盤としての活用促進ということが大きな課題であるというとともに、今申し上げましたとおり、広域データ収集基盤の高度化ということで、次の世代の5Gへの対応ということも必要であると。それから、遠隔教育等の基盤としての初等中等教育への開放ということも、非常に重要な課題となってきてございます。
 このような課題を踏まえつつ、年々増加するデータ量というものでありますとか、学術コミュニティー等からの要望に対応するためのSINETの高度化というものを、一層推進していくという必要性があるのではないかと考えているところでございます。
 続いて、2ページ目でございます。本日、後ほど中村先生の方から、今、現状の議論の観点を御説明していただくことになりますが、まずSociety 5.0を実現するためのデータ活用による知識集約社会の創成というところでございまして、データ活用社会創成プラットフォームの構築というものでございます。
 先ほど冒頭でも述べましたように、今現状の認識といたしましては、爆発的なICT機器の普及でありますとか、AI、ビッグデータ、IoT等の社会実装が進むなどの競争が激化する中、一部の企業や、国のデータの囲い込みによって、経済社会システムの健全な発展を阻害される懸念があると、こういった中で、我が国が成長していくためには、デジタル新時代において、データを我が国全体の共同資産として、スピード感を持ったデータ利活用環境の整備が急務であるというふうに考えているところでございます。
 このような現状認識というものがありまして、その中で文部科学省における取組といたしましては、このような経済財政運営と改革の基本方針2018――こちらは骨太方針でございますとか、未来投資戦略等におきまして、重要性が指摘されておりますリアルデータの利活用を念頭に、データ活用社会創成プラットフォームを推進するため、SINETを通じて収集されるリアルデータの集積や、解析結果を速やかにフィードバックする機能を備えたシステムの整備というものが必要ということで、2019年度予算におきまして、下の左の方にございますデータ高度利活用環境ということで、NII、東大に先行して、このデータ活用社会創成プラットフォームを構築するための基盤設備というものの整備をしたというところでございます。
 今後は、文科省と大学コミュニティー、それから地域社会とが一体的に連携しまして、全国の国立大学等をハブとしましたデータ活用社会創成プラットフォームの実現、促進に向けた検討を行うための、先ほど申し上げました有識者会合を設置して、現状議論をしていただいているところでございます。
 その下の右側にございますとおり、データ活用社会創成プラットフォームの推進に関する有識者会合におきましては、この下にございますようなリアルタイム処理対応基盤、社会創成プラットフォームの実現に向けた実務的な検討を行う場といたしまして、主な検討課題といたしましては、リアルタイムデータの解析、活用を目的とした基盤ソフトウエアの研究開発、それから技術の実証のための基盤システムの整備の在り方、それから産学連携体制、コミュニティーの構築強化、その中核としての大学の役割と一体的な連携を確保する仕組みなどにつきまして、精力的に御審議を頂いているところでございます。
 それでは、私の方からは以上でございますが、3ページ目にございますデータ活用社会創成プラットフォームの推進に向けた議論の観点、現状の議論の状況につきまして、中村先生の方から御説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
【中村東京大学教授】  それでは、引き続きまして資料3ページからになりますが、この有識者会合で議論されました議論の観点につきまして、本日、安浦先生は御欠席ということで、私の方から御説明させていただきます。
 3ページ目、4ページ目が議論の観点でございます。見ていただきますと、5章からなっております。まず1章では、データプラットフォームが求められる背景、それを受けまして、2では、その推進においては何が課題かというその課題を述べて、3ページでその課題を受けて、長期的にどういう仕組みが必要であるかということを整理した後で、4章で整備の現状を述べた後、5章で当面の方策を述べているというところでございます。
 では、3ページの1章から説明させていただきます。データプラットフォームが求められる背景でございますが、2つあります。まず1つは、地方の産業、自治体を含む我が国全体でのデータ利活用推進が重要であると。本部の言葉に任せていただきますが、データ活用社会は、地域格差などの課題を解消し、地域の特色を生かした多様な産業の活性化に貢献するSociety 5.0が目指す社会であると。これを人材が集積する大学等を中核とした地域集約型拠点を形成・実現していくことで実になっていくと。
 これからの社会では、あらゆる分野でデータの利活用が必須であると。学術コミュニティーにおいても、社会実装を指向した、いわゆる実学をベースとした研究分野が重要であると。しかしながら、データ利活用においては、必要となる異分野のデータの把握、データを利活用する解析ノウハウの獲得、さらに解析に用いるITインフラの構築が必要であって、データの利活用に至る障害の大きさから、様々なデータが広く有効活用されていないという背景もございます。
 イとしまして、データ利活用の推進に向けた早急な利活用環境の整備の必要性。データの利活用を推進するためには、Proof-of-Conceptによりその効果を実証することが重要であり、このPoCをいかに迅速に行えるかが活用の成否を左右すると。また、データ利活用を促進するためには、データ量の大小にかかわらず、自身が有するデータと利用可能な公共データを合わせて様々な解析を行い、より高い技術を習得する、いわゆる「データ工房」と呼んでいますが、データ工房として位置づけていくことが重要であると。
 2章では現状の課題ですが、まずアとしましては、地方創生、地方活性化に向けたデータ活用のための人材に関する課題でございます。データの利活用を推進していくためにはデータを実際に生成する地方・地域社会の現場の知識と、データ活用の知識の両者が必要であるが、実際にはそのアイデアがあっても、データを収集・集積・解析する情報技術が分かる人材がおらず、データ活用の知識・ノウハウを持つ人材とつながりがないことも多い。また、地方・地域社会でのデータ活用は、活用の範囲をそれらの地方・地域内で閉じて考えがちなため、波及効果が限定的でエコシステムも成立しないことが多く、広く展開するシステムがない。
 イとしましては、データ利活用のインフラ(基盤)の未整備と方法論の確立に関する課題です。現時点において、大量データ処理、リアルタイム処理に利用可能なインフラがない。また、地方・地域社会の現場では、データを活用することで何が実現できるかについて十分な知見がなく、解決したい課題に対し、どのようなデータと解析技術があれば実現できるのかが分からない。
 ウとしましては、データの流通における課題です。データは、量・種類ともに多く、大量のデータを分析するためには専門的な知識を有した人材が必要であるが、人材が不足していることもあり、どのようなデータが利用可能であるか、そのデータをどうすれば入手できるのかといった情報は広く共有されていない。また、データを有する研究者や企業等がデータをほかに活用させることへのインセンティブが明らかではないため、有用なデータが流通しないことや、個人情報の問題によりデータの活用が進んでいない。従来の産学官連携の仕組みは、どのような技術が必要か明確な場合のみ機能するものが多く、潜在的な需要を拾い上げるには適していない。
 エとしましては、エコシステムの機能ですが、エコシステムの機能が高まる中、潜在的なデータ活用の需要を拾い上げるエコシステムが存在していない。また、データ活用にコストを掛けることによって得られる利益に対し、全事例が成功するとは限らないためリスクがあり、当初のデータ利活用を担う主体が、広範囲に広がるデータ利活用を最後まで担うとは限らず、利益を生み出すエコシステムが確立されていない。これが課題でございます。
 資料4ページに行きまして、3章として、実現すべきデータ活用を促進する長期的な仕組みでございますが、4つ挙げさせていただいております。まず、アとしましては、基盤整備と先導アプリケーションの開発。データ利活用の方法論を確立するためには、データ提供者・利用者が利用可能な共通基盤を整備するとともに、先導的なデータ利活用アプリケーションの開発プロジェクトを推進し、成功事例を蓄積、再利用することが必要である。具体的には、共通基盤の整備やアプリケーション開発の推進を通じて、全国に分散した設備や人材を適材適所で活用することにより、オールジャパンの体制で取り組むべきである。
 イとして、データ利活用を推進する体制の構築です。全国的なデータ利活用体制を構築するためには、データの整備・流通を図るとともに、データ活用のコンサルティング機能、データ提供者/データ解析技術者/データ利用者、この三者のマッチング機能を全国に展開する必要がある。全国展開に当たっては、先導的機関による取組から事例を蓄積するとともに、全国の大学がハブとなり、地方自治体や企業も含め展開するコミュニティーを形成していくことが重要である。
 ウとしましては、セキュリティーの話ですが、医療情報等、機微データを扱う場合等も想定し、扱うデータに応じ、最適なレベルのセキュリティーを確保する方策、あるいは基盤運用上のセキュリティーを高める方策を検討し、常にセキュリティーレベルの向上に努めていく必要がある。実際に機微な情報をデータ保有者が提供するためには、セキュリティー要件に関し広く認められた基準を設定する必要がある。このため、法制化等、社会的に認められるセキュリティーレベルの基準を定める方策が必要である。
 エとしましては、エコシステムの形成です。共通基盤やデータ利活用推進体制を維持するための予算施策と、全国的なデータ利活用サービスを新たな産業として安定させるための施策を検討すべきであると。また、データ利用の許諾に関わる手続を、データ利用者・データ提供者双方が速やかに進められる仕組みが必要であり、また、データ利用中の事故や不適切なデータ利活用等が発生した場合の訴訟等のリスクや、その保障制度等の対策について検討し、利用者に提示する仕組みが必要であると。
 それに対して、今どういう整備が現状なされているかということです。データ利活用を推進していく上での現状のデータ利活用の共通基盤として、DIAS、あるいはABCIが運用されているとともに、全国利用を前提としたデータ活用社会創成プラットフォームの先導的システムの整備、これが先ほど資料2ページの方に書かれている先導、データの高度利活用環境、NII等で先行して整備というものでございますが、これが予定されており、今後は設備を運用するためのアプリケーション開発や、データ利活用を推進する体制の構築について検討を進めていく必要がある。
 また、これらの共通基盤は全国の900以上の機関を100Gで接続し、広帯域かつ、セキュアな通信環境を実現するSINETに接続されるものであり、今後の有効な利活用環境の構築が期待されると。なお、SINETへの新たなアクセス環境として、先ほど御説明がありましたモバイル網による広域的なデータ収集基盤の構築も進められておりまして、実際、これはユーザーが増えています。やっぱり新しい基盤ができると、それで物事が変わっていくということも実感している次第でございます。
 5章としましては、当面の方策として、上記の課題や現状を踏まえ、データ活用のためのアイデアを持っていても、それを実現するためのデータ収集・集積・解析する仕組みを実際に作ることが困難な地方大学や自治体等に、それを可能にする場を提供し、解析されたデータから新たな「知」の創出を容易にするシステムとしてのデータ活用社会創成プラットフォームの実現を目指し、リアルタイムデータの解析・活用を目的としたリアルタイム処理対応基盤ソフトウエアの研究開発や、技術の実証のための基盤システム整備、産学連携体制(コミュニティー)の構築・強化、その中核としての大学の役割等について、重点的、集中的に検討・整備していく必要があるとまとめている次第でございます。
 説明は以上となります。
【西尾主査】  お伺いしたいのは、第6期の基本計画にデータ活用関係でどういうことを提案していくかというときに、今中村先生から御説明いただいた、データ活用社会創成プラットフォームを作っていきますという提案をするという内容なのですか。
 今御説明いただいた内容を全部踏まえて、どういうことを推進していくのかということを、ここで議論していくということなんですか。今日、これからの時間が非常に限られているので、今から全てを考えていくということになると、時間が足らないのですけれども、その辺りのスタンスがどうなっているのかが分からないのですが。
【橋爪参事官】  データ活用していくための全国プラットフォームの重要性というのは、事務局としては考えておりまして、こうしたものの重要性について、是非6期の方でも打ち込んでいければと思っております。
 今の事務局としての検討状況を御説明いたしましたので、今後これをさらに発展させていく方向性として、いろいろ委員の先生からも御指摘いただいて進めていければと考えております。
【西尾主査】  ということは、今御説明いただいた内容は、文部科学省としては第6期基本計画の方向性として捉えておられる。それを踏まえて、さらにどういうところを先鋭化し、よりインパクトのあるものにしていくかということを、ここで議論すれば良いですか。
【橋爪参事官】  はい。あと、SINET等もこれからどんどん活用していかなければなりませんので、我々の視点としてはこの活用プラットフォームは重要だと思っておりますが、ほかに、もし先生方からデータの利活用で、ルールとか、前回で御指摘いただいておりますので、これまで議論のないところでもしありましたら、頂ければ、それもありがたく存じます。
【西尾主査】  という状況でございます。ご意見いかがでしょうか。どうぞ。
【奥野委員】  アドバンスにはならないんですけれども、今時代、データ利活用が中心で書かれているので、データの補完とか、古いんですけれども、データストレージとか、大量のデータを分散型で保管するのもそうなんですけれども、そのあたりをどういうふうにデータを保存していくのかといったことというのは、古くて、すごく大事なネタです。
 例えば我々、ライフサイエンスとかですと、ゲノムとか、いろいろなプロジェクトでとるんですけれども、分散して、プロジェクトが終わると、なくなって、誰が管理しているかも分からないと。そういうことは駄目ですよという、またそれが利活用できる、あるいはストレージでどこかにちゃんと集めるといった、そこは少し古いですけれども、しっかりと明示しておかないといけないのではないかと思いました。
【西尾主査】  おっしゃるとおりです。今のことは重要課題の1つとしてきっちりと考えていくということですね。
 ほかにございますか。どうぞ。
【鬼頭委員】  済みません、私は学術の方でなくて、産業界で来ているんですが。出していただいた統計データを見ると、民間が9しか入っていないという状態に見えています。下の方では、エコノミーは関係ありませんよと書いてある文字がちょっと引っかかるんですけれども、私たちはエコノミーの世界で生きていますので。これは、どうやって官とつながっていくのか。それをどういうふうに活用するのか。多分産業界の方が社会に出していくデリバリーの能力が高いと思っていますので、そこをどうやってつなげていくのか。
 ちょっと質問があるんですけれども、先ほどインフラ整備を先立ってやりました。でも、途中からインフラはないような書き方になっているんですね。僕はこれを見ると、インフラはもうあると理解してよろしいでしょうか。ネットワークももうできています。そういうのもあります。僕、そこが今の御説明を聞いていて、パレート図でいくと、どんどんきれにしようとすると、そこに工数がすごく掛かるので、どこに力を入れるんだというのがちょっと分からなかったので、そこの御説明をちょっと頂きたいんですけれども。
【丸山学術基盤整備室長】  丸山でございます。よろしくお願いします。データ利活用の関連に関しましては、まず、データの流通のインフラとしてはSINETが全国的には整備されているという状況です。それから、データを収集する拠点としては、モバイルSINETを活用し、IoT機器等から出てくるデータをどう活用するのかといった観点もあります。このあたりは今後、5Gなどの展開も見ながら考えていかなければいけない部分かもしれません。
また、そういったデータをどう分析活用していくという観点に立てば、大学、あるいは研究所等が所有しているスーパーコンピューター等の計算資源を上手く活用するなどしてデータの価値を高めていく、さらには、リアルタイムデータの活用等も念頭においた整備も進めております。
ただいま、御指摘のあった、インフラという面では一定のボリューム感はあるのではないか。ただ、これらを実際、有機的にどうつなぎ、どう活用していくのかという仕組みの部分が今、非常に欠けていると認識してございます。そういう意味で、システムとして全国からこのような情報インフラをどう活用していくのかといった仕組みづくりが今後、ポイントになるのではないかと考えております。そういう観点で、整備の方向感を考えているところでございます。
【鬼頭委員】  もう一つだけ、済みません。国でやっている、このほか、データを集められるもの、たくさんあると思います。病院関係とか、大学病院とか、そういう方から集められるデータもたくさんあることをまずは認めていますが、先ほどGAFAの話もありましたが、サービスをやっている人間たちの方がデータを持っている。その人間たちが研究開発をしているGAFA、まさにそうなんですけれども。
 そうすると、多分先生たち、違う学校の先生たちと話すんですけれども、私たち、データがないですと。必ず言われます、私たちキャリアなので5G、ネットワーク、IoT、バズワードでずっとお話をしていかれます。でも、データ、お持ちですか。データ、ありますと言うんです。先生方によっては質だと言う先生もいらっしゃる。これも当たりだと思いますが、多分データとかを起こしているヨタ級のデータをどうやって集めていくのかといったときに、これは先ほど言いましたけれども、学術界のデータというのはたくさんあると思うし、大学病院とか、そういうところもあると思うんですけれども、企業が持っているデータをどう取り込むかをしないと、多分GAFAやほかのところには、私の概念の中では勝つ、負けるというのはないんですけれども、じゃないとデータが使えない。
 つまり、皆さん、料理人だとすると、材料が集まっていない、加工できない、うまい料理ができない、人が育たない、次に行けない。やっぱりGAFAの人たちのお話を聞くと、ヨタ級のデータをどんどん分析されているのを、私も友人がいますので見ていますので、やっていくと、やっぱり私の感じからすると、官とどうしていくのか。
 もう一つは、SINET、私、ここに来て知りましたので、いろいろお話を聞いたりとかしてやったときに、どうやって官とやってデータを集めてくるか。それをどうやって経済というか、私たち、会社、企業とそれを世の中にデリバリーしていくのかというところを、強目に論議する場を作っていただきたいなと思っております。
 済みません、長くなりましたが、終わります。
【西尾主査】  貴重な御指摘だと思います。どうですか。
【丸山学術基盤整備室長】  御指摘ありがとうございます。今御指摘……。
【喜連川委員】  私が半分ぐらい答えた方が早いかもしれませんが、今、SINETを初めてここで知りましたというソフトバンクさんですが、実はソフトバンクの別のご担当から私どものNIIに対して接続の御要求が既に来ております。この施策の半分ぐらいは、恐らく民と学がよりタイトにくっ付くということを実践していこうということの表れだと思っていただいても構わないと思います。
 特にIoTのソリューションというのは、今スタートアップとか、地方の小さい企業が一番エントリーとして入りやすいところですので、学とどこかでくっ付いていただく必要がありますが、産学連携はしていただく必要があるわけですけれども、その段階で産学のネットワーク、あるいは収集網としてのSINETに積極的にお入りいただくということをプロモートしているということです。
 それから、後半おっしゃられました産の持っているデータをどうするのかというのは、例えば物材機構もそうなんですけれども、産のデータは相当デリケートなので、かなりセキュアなシェアリングのフレームワークをどうデザインしていくかがポイントです。これは我々としても非常に重要と考えております。業態ごとにリクワイアメントが違いますから、個別に対応したいと考えております。一番最近、ここ1週間ぐらいで出たのは、アメリカではリフトがデータを出したと報道され、衝撃的でありました。
 じゃ、日本の自動車産業はそれを出すのかというところでは、3.11以降、全く出ないわけです。ですから、LIFTのような動きを日本の中からもっと発信していただく、そのための起爆剤の衝撃的かどうか分からないですけれども、今日のデータプラットフォームは国家としてやりたいというメッセージと御理解いただければいいのではないかと思います。
 以上です。済みません、丸山室長が御回答になるべきところを半分だけ御説明しました。
【西尾主査】  貴重な御質問をいただき、それに対して喜連川先生から現況を踏まえた回答をいただきありがとうございました。
 SINETが、今までの学術ネットワークとして大きな役割をしてきましたが、今度は国益として産学連携をいろいろ進めていく上での重要なリソースになっていくとか、そういうようなことを第6期基本計画できっちり方向性を出して、それなりの資金を獲得するようなシナリオを明確に出していった方がよいと思います。
 そういうことが、今まで御説明いただいたところで具体的に見えなかったので、先ほどいろいろ質問させていただきました。
 ほかにございますか。どうぞ。
【井上委員】  資料1で、第3のポイントとしてデータのルールの整備ということが重要だということを挙げていただいていました。今回の資料3を見せていただくと、4ページの3.のエ、エコシステムの形成のところの2番目のぽつに、データ利用の許諾に係る手続を速やかに進められるような仕組みを作るですとか、訴訟リスクなどの検討も必要ということが書いてあります。これ、重要な点を打ち込んでいただいていると思います。
 ただ、データの利用のルールがある意味出来上がっていて、みんな分かっていますねと。その手続を円滑に進められるようにしましょうとか、不適切なデータの利活用というのはどんなものかという基準が既にあって、それに対して訴訟対策どうしましょうというふうにちょっと読めるものですから、データの利活用のルールそのものについて、特に学術関係のものでどうするのかということからきっちり詰めて、その上でさらに手続を円滑に進めるような仕組みを作るというような書きぶりにしていただいた方がよろしいかなと思いました。書きぶりの問題でございます。
【西尾主査】  貴重な御示唆どうもありがとうございました。【栗原委員】  まずSINETですけれども、今後、これだけのデータのやりとりがあらゆる場面で期待されている中で、高度化というのは絶対マストだと思うので、その点についてどのようにやっていくのかというのは、非常に重要だと思います。今どんどんデータ活用の話になっているんですけれども、そのように活用するための基盤としてのSINETというものについて、常に充実していくという観点から十分なのかということを確認して、是非高度化という言葉が入っているんですけれども、その点がまず大事なのではないかと思っています。
 あとは、この中に書かれている、データを利活用したいんだけれども、それをうまく使えないというための技術提供という観点です。これも非常に大事ではないかと考えているというよりは、そのような話を聞いたという経験で、物質・材料機構は非常にたくさんのマテリアルズに対するデータを持っていて、質も非常にいいのですが、マテリアルズインフォーマティックスでデータベースを作るのに、情報技術は少し足りなくて、理研の情報技術を活用してようやくできたという話を伺いました。
 そういう意味で、早い段階から理研で情報科学技術センターを整備されたということは、全体的なスピード感に対して非常に適切だったということと、うまく連携できたということだと思います。今回、そういう技術をどんどん一般の人に見えるような形に整備しようという視点も大変重要なのではないかと思っています。
 あと、もう一つ、今出ていない観点で、データのやりとりが非常に大きいと想定されるのは京とか、今度の富岳とか、そういうのもありますし、Spring-8もありますし、大型の共用施設です。そこからのデータのやりとりは非常に重要だと思いますので、そういうものをうまく、広く産学地域で使えるような環境としてのネットワークの整備というのも、是非観点に入れていただければと思います。以上です。
【西尾主査】  どうもありがとうございました。全て大事な観点だと思いますので、きっちり踏まえて進めていただければと思います。どうぞ。瀧先生。
【瀧委員】  大体このデータのお話になると、データというのは、色々なものを引っくるめて全てデータと呼んでいます。データを作るときに重要なものがあって、いわゆるそのデータが解釈できるようにメタ的な情報、例えばどういう環境で作られて、どういう条件で作ったデータであるとか。そういったもののデータの作り方を明確に整備しておかないと、使う側が非常に困ることがあります。
 それから、データを出す方のインセンティブが高まるような社会を創っていかないと。日本はまだ余り進んでいないですけれども、外国だとデータを作る会社というのがあって、データを高く売るというのがあります。そのかわり、データの質を保障するとか、そういう仕組みも併せて、データに関する新しい制度整備も併せてしていくことが重要かなと思います。以上です。
【西尾主査】  どうもありがとうございました。
【引原委員】  済みません、京都大学の引原でございます。資料の3ページ目のデータプラットフォーム推進における課題の1番目ですけれども、人材に関する課題という面で、人材がいない、それからノウハウがない、この辺のことは言えるとは思うんです。これに対する対応策というのが明確には示されていないわけです。今までですと、人材というのは垂直で分業していくというのが多かったのですが、データに関して言いますと、これは水平の分業になっています。そういう面をもう少し明確に書かないと、既存の分野を縦割りにして、部局を作って、そこで処理しなさいとなってしまいます。要するに研究者が全部やらないといけないということになると思います。そういう面が抜けているように思います。よろしくお願いします。
【西尾主査】  どうも、貴重な御指摘、ありがとうございました。
 相澤先生。
【相澤科学官】  相澤です。3点ほどです。このデータ関連では、実際的な産学連携が行われ、そしてアウトプットを出していくということに関しては何の異論もありません。しかし、本来アカデミアはハイインパクトな研究をするというのはとても重要な役割です。産学連携を余りにも強調し過ぎると、産業のデータを使って、安易なタスクを行う開発に多くのアカデミアの人が流れてしまうことを懸念します。
 文章には、ハイインパクト研究は重要なんだということを含めてほしいと思ったというのが1点です。
 もう一つは、資料1の方です。全体のスケジュールが出ていました。触れられていたかもしれませんけれども、学術会議の方で、現在、重点大型研究計画の審査を進めておりまして、その審査の期間が9月14、15、16日にあります。ここでは、9月19日に次回が予定となっていました。それの直前の学術会議の審査も情報源としてご検討いただければと思います。
 あと、最後の一点ですが、情報関係の研究は、大きなネタから小さなネタまでいろいろあると思います。それが、とても集約されている場所はJSPSの科研費だと思うんです。科研費で入っている課題に少し未来の可能性もあるかもしれません。科研費情報を情報源として使用するといいのではないかと思った次第です。以上です。
【西尾主査】  では、最後ということで、お願いします。
【鬼頭委員】  済みません、1つ、誤解のなきよう言いたいんですけれども、このやつを読ませていただきました。そうすると、研究者を育てよう、どういうふうに魅力あるものにしていこうという学術研究、基礎研究、そこに関してはすごくページがあると、私は思っております。先ほど私が申し上げたのは、誤解なきように言うんですけれども、そっちにシフトしろと言っているのではなくて、今、この中で弱いところはどこですかと、強めていく。
 そうすると、産学連携というところがなくて、産としてもデータを提供させていただくチャンスがあるんだったらというのを、1企業の一人として言わせていただいています。そこを御理解いただきたいなと。私は産学にシフトしろと言っているわけではなくて、連携するために御協力したいという趣旨で参加させていただいていますので、そこだけはシフトしろという意見で言っているわけではないというのだけ、言わせていただきたいと思いました。
【西尾主査】  どうもありがとうございました。
【相澤科学官】  いろいろ確認のために申し上げました。
【西尾主査】  今日の第1回目の議論のところでは、今後、第6期基本計画に向けて書くべき内容というのは、本当にたくさんありますが、絞り込んで、どうインパクトのあるものにするかということを、是非今日いただいた意見も踏まえて考えていただければと思います。今日議論した内容は、情報分野に特化するということではなくて、全分野から賛同が得られる分野ですし、そういう中で特に情報分野は一体何をしているのかというところを、きっちりとまとめていただければと思います。
 それと、情報インフラのことですけれども、先今までNIIの本当に多大なる御尽力によって、ここまでSINETが大きく発展してきました。ここで一休みというのではなくて、やはり、先ほどあったように高度化ということは、是非進めていかなければなりません。今、国際的にもよいポジションにいるわけですから、それをもう一段高度化して、世界に冠たるものにしていくことは、第6期基本計画にきっちり入れるべきだと考えます。
【橋爪参事官】  いろいろNIIさんにも御尽力いただいていますが、ニーズが増えていく中で、やっぱりその機能とか、体制とか、しっかり強化をしていくということも、非常に重要な課題だと認識しておりますので、ありがとうございます。
【西尾主査】  それでは、貴重な御意見等、どうもありがとうございました。
 次回以降も、第6期の基本計画に向けた検討を行ってまいりたいと思います。
 次に、令和元年度研究計画及び事前評価について、審議いただきたいと思います。まずは、事務局から資料4を用いて、情報委員会における評価計画案について説明願います。
【齊藤情報科学技術推進官】  それでは、評価に先立ちまして、今年度の情報科学技術分野における研究評価計画(案)を御審議いただきたいと思います。
 済みません、手短に参ります。本件につきましては、研究計画・評価分科会の方で、分野別委員会は研究の評価のための年度計画を策定すると定められていることに基づいて定めるものでございます。本委員会は研究計画・評価分科会の下の委員会ではございませんが、第1回でお決めいただいた運営規則の評価や推進に関する重要事項については、研究計画・評価分科会へ報告することができるとされておりますので、定めさせていただくものでございます。
 まず1番、目的に関してでございます。目的に関しましては、新規課題については事前評価を行いまして、その修正の判断、また継続課題につきましては、中間評価や事後評価を行いまして、研究内容の見直しや、成果のさらなる発展、活用に向けた方策の提言等につなげるものを目的としております。
 2番目、今年度の評価対象課題につきましては、事前課題につきましては、経費によって定めた基準でございます。総額10億円以上の課題について行いたいと思っております。今年度は、本日、この後御審議いただく1件を予定しております。また、中間評価につきましては、次世代人工知能技術等研究開発拠点形成事業費補助金に係る事業について、本年度行う予定となっております。
 事後評価については、本年度は予定はしておりません。
 次、評価方法につきましては、今年度、事前評価、事後評価、どちらもまず外部有識者からなる検討会におきまして、評価表案を作成していただき、その案を本委員会で審議いただいて、それを研究計画評価分科会に報告し、分科会の方で決議いただくという形にさせていただければと考えております。
 4番目、日程でございます。事前評価の方は令和元年8月、本日の委員会で御審議いただきます。また、中間評価につきましては、年度内適切な時期に改めてお諮りして評価いただければと考えております。
 次、5番目の留意事項でございます。(1)で利害関係者について定めております。具体的に申し上げますと、評価対象課題に参画している方、親族関係にある方、自ら利害関係者であると判断する方等々につきましては、基本的には当該課題の評価には加わらないことが適当であり、そのようにさせていただきたいと思っております。また、評価に当たりましては、できる限り作業負担の軽減に努めさせていただくこと等も、この後、(2)以降で書いております。
 このあたりは計評の実施方針に従った文章でございます。
 最後に6番、その他でございます。電子メールでの意見の聴取を可能にすることですとか、議事録の公開時期を調整できること等について、置いてございます。
 簡単ではございますが、今年度の研究評価計画案について、以上でございます。
【西尾主査】  ただいま御説明がありましたように進めさせていただいてもよろしいでしょうか。何か特段御意見、ございませんか。よろしいですか。
 それでは、原案どおり決定をさせていただきたいと思います。
 そこで、早々ですけれども、決定いただきました方法に従って審議を進めたいと思います。ここからは事前評価に係る議論をしたいと思いますので、非公開で行いたく、傍聴者の方には御理解いただきまして、席を外していただきますとありがたく思います。どうかよろしくお願いいたします。
【以下、非公開】
 

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