AI for Scienceを支える研究データの管理・利活用と流通の在り方ワーキンググループ(第2回) 議事録

1.日時

令和8年2月13日(金曜日)10時00分~12時00分

2.場所

文部科学省東館17階局4会議室 及び オンラインのハイブリッド形式

3.議題

  1. AI for Scienceを支える研究データの管理・利活用及び流通の在り方について
  2. その他

4.出席者

委員

尾上主査、石田委員、江村委員、工藤委員、千葉委員、林委員、宮田委員、矢守委員、吉田委員、若目田委員

文部科学省

麻沼参事官補佐、轟木参事官補佐、原田科学官、込山学術調査官、松林学術調査官

オブザーバー

国立情報学研究所
 副所長/アーキテクチャ科学研究系 教授 合田 憲人
 アーキテクチャ科学研究系 教授 栗本 崇
 コンテンツ科学研究系 教授 山地 一禎
 ストラテジックサイバーレジリエンス研究開発センター 上級学術基盤研究員 田中秀樹

5.議事録

【尾上主査】  それでは、定刻になりましたので、科学技術・学術審議会情報委員会AI for Scienceを支える研究データの管理・利活用と流通の在り方ワーキンググループの第2回会合を開催させていただきます。
 委員の皆様におかれましては、お忙しいところをお集まりいただきありがとうございます。
 本日は、現地出席とオンライン出席のハイブリッドでの開催としております。
 また、通信状態等に不具合が生じるなど続行できなかった場合、委員会を中断する可能性がありますので、あらかじめ御了承ください。
 まず、事務局より本日の出欠状況などについて御案内願います。
【麻沼参事官補佐】  事務局でございます。
 本日の出席者につきましては、10名全ての委員に御出席いただいております。なお、本ワーキングには、国立情報学研究所からもオブザーバーとして御参画いただいておりますが、本日は合田先生、栗本先生が現地から、山地先生がオンラインから、また、高倉先生は本日御欠席のため、田中先生にオンラインにて御出席をいただいておりますのでよろしくお願いいたします。
 続きまして、陪席いたします科学官及び学術調査官につきましては、原田科学官、込山学術調査官、松林学術調査官がオンラインにて御出席いただいております。
 事務局からは以上です。
【尾上主査】  ありがとうございました。
 次に、配付資料の確認とハイブリッド開催に当たっての注意事項について、事務局より御説明をお願いいたします。
【麻沼参事官補佐】  事務局でございます。
 それでは、配付資料の議事次第に基づきまして確認をいたします。現地出席の先生方は、お手元の配付資料を、オンライン出席の先生方は、ダウンロードいただいている資料を御確認ください。
 議事次第の1枚目に配付資料一覧の記載がございますとおり、資料1-1、1-2、資料2と3、参考資料1がございます。もし万一、不備等ございましたら、議事の途中でも結構ですので事務局までお知らせをお願いいたします。現地出席の先生方は手を挙げていただきまして、また、オンライン出席の先生方は事務局までお電話などで御連絡いただければと思います。
 続きまして、ハイブリッド開催に当たっての注意事項を申し上げます。御発言時を除きまして、マイクは常にミュートとしていただくようお願いいたします。ビデオのほうは常時オンにしていただき、通信状況が悪化した場合には、ビデオ停止をお願いいたします。運営の都合上、現地出席の方も含めまして、御発言いただく場合には手を挙げるボタンを押して御連絡をお願いいたします。尾上主査におかれましては、参加者一覧を常に開いていただきまして、手のアイコンが表示されている委員の御指名をお願いいたします。
 また、議事録作成のため速記者の方に入っていただいております。御発言される場合は、お名前をまずおっしゃってから御発言をお願いいたします。
 また、恐れ入りますが、マイクの数が限られておりますので、現地出席の先生方におかれましては、少し大きめの声で御発言をお願いいたします。
 本日、傍聴希望をいただいた方々におかれましては、今回ユーチューブ配信により御参加をいただいている状況でございます。トラブルが発生した場合には、現地出席の先生方は、手を挙げていただき、また、オンライン出席の先生方は、お電話にて事務局まで御連絡をお願いいたします。
 事務局からの御案内は以上でございます。
【尾上主査】  ありがとうございました。
 本日は、1番、AI for Scienceを支える研究データの管理・利活用及び流通の在り方について、2番、その他の2件の議題を用意しております。
 前回は、研究データの管理・利活用、流通を支える情報基盤の現在地ということで、SINETや研究データ基盤、NII RDCがどのように構築されてきたか、また、オープンサイエンス、そしてAI for Scienceの急速な進展に呼応して、これからどのような基盤を目指していこうとお考えなのかなどを国立情報学研究所から御説明いただき、議論を行っていただきました。
 今回は、その中でも、全国1,000以上、300万人を超える大学等関係者のデータ流通を支えているSINETに関して深掘りをしていきたいと思います。
 また、今後のAI for Scienceの推進に当たって大量に創出されるデータの流通を支える上で、最も懸念されるであろうポイントの1つとして、流通における安全・安心の確保のために、セキュリティーに関しても議論ができればと思います。
 それでは、早速ですが、まず、NIIの栗本先生よりネットワークSINETに関する御説明をお願いいたします。セキュリティーに関しては、ネットワークの議論の後に、改めてNIIから御説明いただくこととします。よろしくお願いいたします。
【栗本教授】  どうもありがとうございます。
 SINETの現状と今後といたしまして、国立情報学研究所の栗本から御明させていただきます。
 本日は、このような構成で御紹介させていただきます。
 まず初めに、海外の情報通信ネットワークの動向でございます。諸外国にも、SINETと同じような学術網が存在しております。こちらの表は、その諸外国の中からピックアップしたものになってございます。
 アメリカには、州と州の間をつなぐInternet2及びESnetという2つのネットワークがあります。また、州にも、それぞれSINETと同様の学術ネットワークがありまして、例えばカリフォルニア州ですとCalRENといったようなネットワークがございます。
 また、ヨーロッパには、ヨーロッパの各国を結ぶGÉANTnetworkがあり、それぞれの国が、学術ネットワークを持ってございます。イタリアですとGARR、オランダですとSURFといったような名前で呼ばれております。
 また、中国におきましてはCERNET、韓国におきましてはKREONET、KORENといった2つのネットワークございます。
 それぞれのネットワークにおきましては、現在400ギガbpsの容量を持つ回線で構成されているのが基本的、一般的となってございます。容量の必要なところにつきましては、400ギガの回線を複数本使って構成しているというような形になってございます。また、欧州及びアメリカにおきましては、400ギガに加え800ギガの技術を使ったネットワークが導入されつつあるという現状になっています。
 こちらは、大陸間をつなぐ国際回線の整備状況です。これまでは100ギガ1波の技術を使って大陸間をつなぐ構成が整備されてございました。近年は、特に大西洋区間でございますが、1波400ギガという技術を使った国際回線の整備も進んでおりまして、特に欧州と北米の間は、数テラbpsの容量が確保されているという状況にございます。
 また、こちらの図は、諸外国のネットワークにおける波長当たりの速度比較となってございます。ここで、黒い線がSINETを表わしております。それぞれ各国とも徐々に速度を上げてございます。SINETにおきましては2019年に、世界に先駆けて400ギガの導入を進めました。しかしながら、現在は、欧州及び米国で800ギガの導入が進みつつあり、日本は遅れつつあるという現状にあります。
 こちらからのスライドは参考として御確認ください。各国のネットワークの状況をまとめてございます。
 最新の技術動向を御紹介いたします。まず、長距離伝送用の伝送速度でございますが、現在は、1波当たり800ギガbpsの開発が進み、装置の導入が始まりつつございます。
 伝送装置の省電力化という観点では、この800ギガ技術の開発におきまして、LSIの高速化・高集積化がなされており、ビット当たりの省電力化が実現されています。既存の400ギガの技術に比較し、大幅な削減が期待されております。
 また、標準化も重要なファクターでございます。現在、Ethernetの標準化におきましては、800ギガEtherの標準化が完了しており、製品市場の確立が進んでございます。
 また、ルーター、通信装置におきましても、800ギガの機能の取り込みが進んでおります。このルーターの中核を構成する専用ASIC、LSIですが、800ギガEtherの対応と同時に最新LSIというものも取り込みまして、こちらのルーター装置におきましても大幅な省電力化が見込まれてございます。
 また、日本発のIOWN技術についても着目をしております。こちらのIOWN技術につきましては、大幅な消費電力の低下、あとは大容量化というものを両存させるという技術で、今、研究が進んでございます。
 特にIOWN技術の適用例の中で着目されているのが分散データセンターの技術でございます。これは、異なるデータセンター間を、このIOWN技術で接続することで、異なるコンピューター、異なる拠点に配備したコンピューターをあたかも一体的なコンピューターとして扱うことで、コンピューターの利用率の向上を実現するという技術でございます。これらの技術はSINETに接続されている複数の研究機関が持つコンピューターを一体的な運用を可能とし、資源の有効な利用に資するのではないかという形で期待してございます。
 続きまして、通信を取り巻く政策動向についてでございます。現在、第7期の科学技術・イノベーション基本計画におかれましては、まず、AI for Scienceにおける科学研究の革新という柱、また、研究設備の有効利用という点での柱、それぞれにおきまして、このデータを流通させるSINETというものは大きな役割を担うと考えております。
 AI for Scienceの推進におきましては、基本的に散在するデータを一元的に集め、それに対してのアクセスを確保するという面で、ネットワークというものが果たす役割は大きいかと考えてございます。
 また、オートメーションラボにも重要な項目として挙げられております。AIでデータを処理したり、実験室の装置を遠隔から操作するという面でもネットワーク技術は欠かせないものとなってございます。
 また、先端研究基盤の供用促進事業でありますとか、地域中核・特色のある研究大学強化という取組においても、それぞれの組織間を接続するネットワーク基盤としてSINETの活用をしていただいております。
 また、総務省、経産省が検討を進めていますワット・ビット連携や、デジタルインフラ整備に関する有識者会合等での検討におきましては、東京一極集中の形態から地域・地方にデータセンターを分散し、そのデータセンターをネットワークで接続することで均一・均等的な発展を目指すという方向性が示されてございます。
 続きまして、SINET6の現状について振り返りさせていただきたいと思います。SINET6は、2022年の4月より運用を開始いたしました。SINET6では、5から比べて4つのポイントについて強化し、サービスを提供してございます。この1つずつについて状況を御紹介させていただきます。
 まず初めに、全国400ギガbps化と接続拠点数の拡大です。データセンターと呼んでいる接続拠点間を400ギガの回線で接続しております。また、SINET5では50拠点に設備を持っておりましたが、それを70拠点に増やしてございます。この拠点増と回線速度の400ギガにより、大学からのネットワークへのアクセス環境を改善してございます。
 また、5Gモバイルサービスも提供しております。こちらは野外での研究活動を支援する取組として、様々な野外での研究活動に御利用をいただいてございます。
 また、ネットワークサービスにつきましても、ユーザー様との共考共創という形でサービスの拡充を続けてございます。右肩にありますようなユーザー様からの声をいただきまして、それに対応するような形で新しいネットワークサービスを提供してございます。
 こちらのスライドは、サービスの詳細になりますが、こちらは参考として御確認いただければと思います。
 続きまして、国際回線の増強です。SINETでは、各研究プロジェクトが国際的な協調の中で研究を進める中で、その進展に合わせて国際回線の増強も進めてございます。
 現時点での国際回線としましては、東京から北米及び欧州に向けて400ギガbpsの容量を持っています。また、アジアに向けては、シンガポール、グアムに対して100ギガbpsの回線を持ち、サービス提供をしてございます。
 次はSINETを活用いただいている例となります。まず、SINETは、ケーブル障害等の問題が発生しても、サービスが継続できるように設計・構築・運用を行っております。図はケーブル障害の例でございますが、これらのケーブル障害においても、サービスを中断することなくサービス提供を続けてきたということが言えます。
 また、SINETは、普通のキャリアでは提供していないサービス、研究者向けのサービスを提供してございます。このL2オンデマンドサービスにつきましては、大学の研究者が研究をするタイミングで、必要に応じてVPNネットワークを設定できるという機能で、こちらに示させていただくような研究で活用いただいてございます。
 また、仮想大学LANサービスというものを提供してございます。たくさんの拠点を持つ組織様におかれましては、このサービスを利用いただいておりまして、複数の拠点をこのサービスでつなぐことで、あたかも1つの拠点にあるLANのような形で拠点間を結ぶことができるサービスになってございまして、様々な研究組織様に御利用いただいているサービスとなります。
 また、直結クラウドサービスについても、多くの機関様、584の加入機関様に御利用いただいているものになります。これは、クラウド上のコンピューターと大学拠点との間をSINETを介して直結することで、クラウドのコンピューターをあたかも大学のコンピューター資源として利用できるようなサービスになってございます。
 こちらが直結クラウドサービスの活用例となりますが、福井大学様の利用例では、クラウド上に医療情報を含むようなセキュリティーの高いシステムを構築し、そのクラウド上のシステムと大学との間を直結クラウドを使って接続して御利用いただいている例でございます。
 40ページになります。続きまして、国際回線の利用例の御紹介となります。高エネルギー研究の例でございますが、こちらは欧州にある国際的な共同実験設備と日本との間をSINETを使ってつないでいただき、大量のデータを受信している利用例でございます。
 また、こちらはBelle II実験の例ですが、日本にある実験設備から、逆に海外に向けてデータを提供するといったような形での御利用もいただいている次第でございます。本実験でも非常に大きなデータを通信で利用いただいている状況にあります。
 また、核融合の研究などでも御利用いただいています。欧州にある実験設備と日本にある実験設備を連携して共同研究していただいている例でございまして、やはり100ギガを超えるような通信がなされているという状況です。
 また、素粒子の研究などでは、この日本国内の神岡にある実験設備と水戸、柏にある拠点間をSINETで結んで、実験のデータ等をやり取りするというような形で御利用いただいてございます。
 また、スーパーコンピューターにつきましてもSINETに接続いただいております。研究機関、理化学研究所様ですとか大学の情報研究センターさんが保有するスーパーコンピューターをSINETを使って接続し、スーパーコンピューターを共同利用いただいております。左下に示しましたように、ストレージ間の通信は非常に大きなものとなっていまして、例えば200ギガぐらいの情報通信がなされているいうのが現状でございます。
 また、45ページ目以降にお示ししますのは、医療ビッグデータの研究でございます。医療関係でもSINET利用いただいておりまして、このような大量の医療画像データを収集し、AIで分析するというような研究にも使われます。
 こちらは、医療情報のバックアップの利用例になります。国立大学病院様におかれましては、医療情報を東と西の2か所にデータをバックアップし、災害時でもデータが失われないような形で運用をしてございます。
 また、モバイルSINETの利用例でございます。こちらに示すような野外での研究で利用いただいております。流氷の研究ですとか気象の研究といったようなところで御利用いただいてございます。
 また、48ページは、映像配信技術の研究においてSINETの上で実証評価を行うという形でも利用いただいております。沖縄と札幌のカメラの映像を、途中、映像処理をしながら、東京、大阪のテレビで再生するといったような実証実験にも活用いただいた例になってございます。
 続きまして、小中高への開放の現状となってございます。こちら、小中高での利用も進んでございまして、現在時点では10%、133万人の生徒・児童様に利用いただいている状況になってございます。
 こちらに投影していますのは、教育委員会さんの参加者一覧となってございます。この画面の右の横を見ていただきたいのですが、横浜市教育委員会さんの例では、常時40ギガbpsの通信がなされるというような形で、非常に大きな通信が、このSINETを介してやっていただいているという状況になります。このように、1人1台の環境では通信量が多いことから、高速・広帯域なSINETというものを使っていただいているという状況にあるのかなと捉えてございます。
 また、51ページ目以降は、SINETに関するニュースリリースの例を載せてございます。こちらのほうは別途、参考までに御確認ください。
 では、SINETの課題と利用機関からの要望について御紹介させていただきます。SINE6になったことの効果について、2022年度から3年たった現在、アンケートを実施させていただきました。主に3つの点で評価をいただいています。
 1つ目は、対外接続速度の向上ということで、バックボーン速度が速くなったと、そのことからスムーズなアクセスができるようになったとの御評価をいただきました。
 2番目が、安定性・信頼性が向上したという評価。こちらは新しい冗長化サービスなどを使って、より信頼性が上がったと御評価いただいております。
 また、コスト削減と効率化という面では、データセンターの数を50から70増やしたということで、より近い拠点に大学からアクセス回線を接続できることによって、例えばアクセス回線の速度を増やすことができる、または、同じ速度であればコストを安くすることができるというような形での効果があったと評価いただいております。
 続きまして、ユーザー要望につきまして、この4つのサービスに関する需要調査をいたしました。
 まず、1個目はモバイルSINETの需要に関してです。こちらにつきましては、今、携帯のサービスで提供していますが、携帯では届かない、圏外のエリアでの研究活動においても通信を行いたいといった、より広範囲なエリアへの対応を寄せていただきました。
 2番目はセキュリティーですが、セキュリティーに対しては、商用サービスなどを低廉で利用できるような支援ができないかといったような形の要望をいただきました。
 VPNの高度化につきましては、実験設備の共用化などで、より柔軟にVPNに参加できるような機能の要望をいただきました。
 光波長パスサービスにおきましては、分散された装置間を高速・高品質なネットワークでつないで運用するといったような面で需要があるということをいただきました。
 また、外部委員の皆様にNIIの事業評価を行っていただいております。こちらは事業評価のサマリーでございます。こちらの評価の結果、高い評価をいただいてございます。
 課題としましては、我々の提供しているサービスを安定的に提供する、継続的に提供するというところで、その体制づくりや人材確保という面が課題ではないかということで御指摘をいただいてございます。
 続きまして、将来に向けた大型研究の動向についても需要をヒアリングしてございます。先ほど御紹介した高エネルギー研究におきましては、測定装置の高度化に伴い生成されるデータが増えるという報告をいただいております。例えば400ギガ以上のデータを流すという計画があると御報告をいただいています。
 ほかの大型研究プロジェクトからも将来の需要をヒアリングしてございます。このスライドに示しますとおり、黒の部分が現在のデータ量、赤い部分が将来の需要ということで、将来に向けては様々な測定機器の精度向上という点からも、データが増えていくというような形で報告をいただいてございます。
 また、1枚戻りまして、SINETのアクセス回線についての状況となります。大学の拠点からSINETに向けましては、アクセス回線を大学さんにて引いていただいておりますが、そのアクセス回線の回線速度の合計値を左のグラフに示してございます。SINETの更新に合わせ順次、アクセス回線速度の合計は増えてございます。SINET5の終了時から、SINET6の現在時点におきましては、2.5倍ほどアクセス回線の合計値が増えている状況になってございます。これは大学からSINETに接続されるアクセス回線の速度が増えれば増えるほど、速い間隔でデータが送れますので、研究サイクルを早く回すということが期待できるから速度が増えているのではないかと考えてございます。
 ただ、このような形で速報が増えると1つ懸念がございまして、右にありますように、例えば4つの大学さんが100ギガ回線で一度に通信を行うと、中継回線400ギガがあっという間に埋まってしまうというような懸念がございます。
 続きまして、SINETで運ぶデータ通信量の伸びをまとめた表になってございます。こちらは2014年から2024年の10年間の伸びを示しており、コロナのときの2年間を除いた平均が年率1.37倍となってございます。日本のインターネットの通信量の増加率は1.2倍程度と言われていますので、この学術系の通信の伸びは、それよりも大きい現状にあります。
 また、このデータの伸びにつきましては、外部の予測もございまして、例えばこちらに示す予測におきましては、2020年から30年の10年間で、8から14倍になるとの報告もございます。
 大学様に小中高に関するヒアリングもさせていただいております。大学と高校が連携することによって教育が進むとのポジティブな御意見をいただいております。
 一方、課題としましては、小中高がSINETに接続するに当たって、アクセス回線のコストの負担が大きい点や、ネットワークの運用のサポートが必要ではないかといったような懸念点を挙げていただきました。
 最後に、次期SINETの方向性について御説明させていただきます。左が、今、御紹介しましたユーザー要望、あとは技術動向、海外動向から、ネットワークの今後の方向性として、5つ挙げさせていただいております。この5つのポイントを強化することにより、右にありますように、学術・社会への還元が進むのではないかと考えてございます。
 こちらは再掲になりますが、現在、これまでの10年間、年率1.37倍で通信が伸びていることを基に、今後の通信量の予測を行いました。次期SINETは2028年から開始して6年程度の期間運用する想定の下、中間期、2031年の時点でのトラヒックの流量予測を示してございます。こちらは、2024年度のデータ通信量を6.6倍して求めてございます。1.37倍を6乗した値が6.6倍となります。御覧いただいて分かりますとおり、400ギガ以上800ギガが必要な通信区間、1,200ギガbpsが必要な通信区間が出てくることが予測されます。
 また、次のスライドは、最終期、2034年末のトラヒック流量予測になります。こちらも同様に、2034年時点、17倍した値で算定してございます。図を見ていただければ分かりますとおり、400ギガ以上800ギガ必要な区間が広がるとともに、1,200ギガの必要な区間、さらには、東阪間では2,000ギガbpsという通信量が発生するというような予測されます。
 この通信量予測に基づきまして、次期SINETの構成案を検討してございます。次期SINET、2028年の開始時には、新しい800ギガ技術を用いて速度を上げていくことが必要ではないかと考えてございます。また、さらなる需要増も予測されておりますので、適切なタイミングで800ギガから1.6テラへ増速する2段階構成で検討を進めてございます。
 また、ネットワークアーキテクチャーにつきましては、SINET6のネットワークアーキテクチャーを踏襲し、構築するという方向で検討してございます。この3層アーキテクチャーを用いることで、データセンター間を最短経路で通信することが可能となってございます。
 また、IOWN技術などを取り込み、新たに光パスレイヤーの切替えを実現するということを考えています。こちらは、光伝送レイヤーのファイバーが切れたときに、別のファイバーを使って通信を再開するという技術です。この光パス切替えを組み合わせることで、光パスレイヤー、論理パスレイヤー、ルーターレイヤーと、この3階層での多層切替えでさらなる信頼性が確保できると考えてございます。
 また、インターネットとVPNの両方のサービスの提供においてセキュリティーを確保するためにロジカルシステム技術で論理分割を実現しておりますが、新たなネットワーク制御技術を取り入れて論理分割を行うことも考えてございます。
 また、こちらのスライドは、光パス切替え技術の検討状況になります。こちらは、図に示しますとおり、AとCの間の光ファイバーが切れたときに、AからB、BからCといった別の経路を通ることで通信を継続するという技術です。通信が10分以内に復活することも実証評価を行い確認が済んでございます。
 また、ルーターの信頼性向上も重要なポイントだと考えてございます。現在1台のルーターで構成しているところを2台のルーターで提供することで、さらなる信頼性向上を見込んでございます。また、アクセス回線におきましては、1ギガEtherから400ギガEtherと、非常に幅の広いサービスの提供を考えてございます。
 また、VPNサービスの拡充も進めたいと考えてございます。2つ候補があり、1つ目はアクト・アクト型のVPNと呼んでいるものです。現在は、左の図にありますように、2つの経路があっても、どちらかの経路しか使えないアクト・スタンバイ型のサービスを提供してございます。これを、新しい技術を導入することによって、両方同時に使うということができるというサービスを提供したいと考えてございます。
 また、右は、VPNへの接続をインターネットを介して接続するサービスで、柔軟にVPNに参加し、共用実験装置等にアクセスできるという環境を整備するシーンで貢献できるかと考えてございます。
 また、エンド‐エンド光パスについても現在検討を進めてございます。この図にありますように、共用設備間を光パスで接続し一体的な装置として運用することを実現したいと考えてございます。
 また、モバイルにつきましては、携帯電波が届かないようなエリアでの研究活動を支援するために、例えば衛星通信や、飛行船を介した通信と組み合わせ、より広い野外での研究を支援したいと考えてございます。
 また、サイバー攻撃に対する耐性の強化も進めてまいります。セキュリティーは別のパートとして後ほど説明しますのでここでは簡単に紹介します。NII-SOCSによる攻撃の検知、また、DDoS Mitigationとによる大量の攻撃データを送りつけられたときのトラヒック防御といった機能を組み合わせ一体的なサービスとして提供します。また、セキュリティー用の装置を複数大学で共用する仕組みを用意することで、設備費用を低下させる支援を考えています。
 また、米国・欧州回線におきましては、トラヒックが今、順調に増えてございます。国際回線の通信の伸びの予測も行っていますが、いずれにしろ1テラ以上の通信容量が必要になると予測してございます。この予測も踏まえ、次期SINETにおきましては、今400ギガで接続している欧州・アメリカの回線を400ギガの2倍の800ギガに増やすということを目指したいと考えてございます。
 また、海底ケーブルにおきましては、新しいケーブルの敷設計画もございます。これら新しいケーブルの採用も含めまして、地政学的な観点からも、より安定的なケーブルを選定して構築したいと考えてございます。
 最後に、次期SINETのポイントとスケジュールでございます。需要増に合わせた最新の800ギガ技術の導入、SINET6を超える高信頼化、地政学を考慮した国際回線の強化を重点的に進めたいと考えてございます。また、SINETの安定的な運用に必要な人材確保が課題だと我々は捉えております。
 次期SINETは、2028年の4月からの開始を想定しています。これから2年間、調達・設計・構築を進め、2027年度の最後のクオーターで移行を行い2028年4月にサービス開始とのスケジュールで検討をすすめてございます。
 長くなりましたが、以上で御紹介を終わります。
【尾上主査】  栗本先生、ありがとうございました。
 それでは、ただいまの御説明に関しまして御質問等ございましたら、挙手にてお知らせいただければと思います。
 宮田委員、どうぞ。
【宮田委員】  ありがとうございます。勉強になりました。よく分かってなくすみません。
 ユーザーが、基本的にはデータ量も増えていって、回線としては太くしていかないといけない、速くしていかなきゃいけないという話だと思うんですけれども、ユーザーは、この後どのぐらい増えていく見込みなのかなというところを何となくお伺いしたくて、多分、今、結構主要な大学とかは既に使っていらっしゃるのかなという気がしていて、そうすると、この後どういうところが増えていきそうなのかなというのと、すごく増えてきてしまったときに、じゃあ、みんなどうぞつないでくださいにするのか、その辺は絞っていかなきゃいけないのかとか、そういう辺りってどんな感じで進められるのか教えていただいてもよろしいでしょうか。
【栗本教授】  御質問ありがとうございます。
 現時点で研究機関・大学様あわせて1,033機関さんに入っていただいております。大学・研究機関におきましては、まだ増加はしておるものの、増加の傾向は落ち着いてくと考えてございます。
 次に考えられのが、小中高の接続です。小中高の接続が、これから増えるのではないかと見込んでおります。小中高の接続は非常に大きい変革ですので、文科省様と御相談させていただきながら、どのように進めていくのか検討が必要と考えてございます。
【宮田委員】  ありがとうございます。
【尾上主査】  ありがとうございます。
 続きまして、林委員、どうぞ。
【林委員】  NTTの林です。栗本先生、御説明ありがとうございます。
 この次期SINETが800ギガから1.6テラという回線、高速化するというのがすごいすばらしいことだなと思うんですが、ただ、一方、最初のほうで御説明いただいたとおり、回線速度だけ見ると、ようやく海外に追いつくということかと思います。せっかく学術網なので、ユーザーが安心・安全に使えるインフラですとかサービスを提供するということが一番かと思うんですが、やっぱり世界から見て最先端の技術とかサービスとか、そういったものを提供する場であってもいいんじゃないかなと思っているんです。
 そのときに、本日御紹介いただいた、例えば73ページ目の光パス切替え技術で信頼性をより高める技術であったり、あとは76ページ目のエンドーエンドの光パスサービスであったり、その1個前のVPNサービスの拡充であったり、そういったところの技術とかサービスが、ほかの世界各国の学術網で既にあるものなのか、それともここら辺はSINETとして、世界から見ても最先端だと言えるものなのか、その辺りをちょっと教えていただけますと幸いです。
 よろしくお願いいたします。
【栗本教授】  御質問ありがとうございます。
 世界に先駆けた新しい技術なのかとの御質問かと理解いたしました。
 今回考えている光パス切替え技術は、これまでいろいろ研究レベルでは検討されているものの、なかなか実運用には入っていないというような現状でございます。なので今回、実網になかなか導入されていない技術を先駆けて取り込むことで、技術の進展というところにも寄与したいと考えてございます。
 一方、VPN技術は、成熟している技術ではありますので、安定的なサービス、通信を行うという観点で提供したいと考えてございます。
【林委員】  ありがとうございます。
【尾上主査】  若目田委員、お願いいたします。
【若目田委員】  結構聞きたいことがあるんですけれども、選んで。私も大変参考になりました。よく詳しく、ニーズとか含めて分析されていたと。一部、課題等も掲げられていて、大変参考になりました。
 1つ、先ほどの御質問にも重なるんですけれども、今回、IOWN技術も取り入れてというようなことがありましたが、ぜひ、この学術系のネットワークで、今後民間が導入していくようなものを先行して使っていただくというのは大変いいことではないかなと思いました。
 もう一つ、データの戦略に関連するのが幾つかコメントがあったんですけれども、多分、データって今もう一元的にどこかに集めるという時代から、分散していてデータ主権を担保しつつ連携するという時代になっていくのではないかなと思っていまして、今後何を集約し、何が分散されるべきかという、むしろネットワークの上のレイヤーに関しても、しっかり連携を取りながらプランニングいただけたらなと思いました。
 それと、海外と接続をというのがあったんですけれども、これ、民間との共同研究であるとか、そういったようなものとかでSINETを、私が知らないだけなんですが、何か使うというケースみたいなのがあるのかどうか。だとしたら、そういうようなことのニーズとか需要に応える必要性があるのかどうかというところです。
 それと私、今回初めて知ったんですけれども、学術研究だけではなく小中高の学校の接続とか、あとはこれ、いわゆる大学の研究ではない大学の運営に関わる学務であるとか、そういうものにも使っているのかどうかみたいなところもちょっと教えていただきたい。例えば大学病院、いわゆる病院としての機能というのも、このネットワークにつながっているのかどうか、そういったところも教えていただけたらなと思っております。
 あと、やはりネットワークが抜きん出る、これだけ足りなくなるんだからという考え方ではなく、もっと世界最先端の研究をするために、必要な容量ということだけじゃなくネットワークの速度や機能で抜きん出て、それによって突破できる研究があるのかどうか。ネットワークがそういう研究の限界を突破するようなものがあるのかどうかということがあれば、むしろそういうようなことを目指してプランニングするのがいいんではないかなと思いました。
 あと、すみません、本当にいろいろ。気になるのが運用のところで、何か慢性的なリソース不足というコメントがさらっと書いてあったと思います。恐らくこれは純粋にネットワークシステム運用なのか、ダイナミックにプランニングしていくようなものなのか、これで多分、今後の運用費用の見込みとか、そういったものが重要だと思いますので、そのリソース不足している状況に関して、もう少し教えていただけたらなと思います。
 あともう一つ、いろいろなニーズに関してセキュリティーの話が一部ありましたが、昨今強く言われています安全保障の要請で、ネットワークそのものの機能であるとか、何らか運用とかを見直す必要性があるのかどうか、この辺について教えてください。
 たくさん申し上げまして申し訳ありません。
【栗本教授】  ありがとうございます。
 まず、第1点目、分散管理されているデータとネットワークとを連携させて設計すべきというアドバイスかと理解しました。そちらのほうは次の回になると思いますが、データ処理基盤の技術議論も踏まえて、ネットワークに反映させていただければと思います。
 もう一つ、民間との連携でしょうか?
【若目田委員】  はい。例えば海外の研究機関との接続ってあったと思うんですけれども、民間の研究機関との接続がされているかどうか、もしくはニーズがあるのかどうかというところで。
【栗本教授】  現在、国内の民間企業もSINETに接続し、利用いただいております。民間企業の研究活動に必要なケースでSINETに接続をいただいております。特に大学との共同研究で大きなデータを流す場合など、共同研究を行う上でSINETを御利用いただいています。
【若目田委員】  承知しました。
【栗本教授】  また、小中高などの接続も進む中で、今後SINETがどこまで門戸を広げるのかという趣旨において、例えば病院等でのご利用において、現状、国立大学病院の研究においてSINETを御利用いただいています。さらに病院業務で利用いただくといった公共的、社会インフラ的な利用拡大につきましては文科省さんとも相談しながら、活用を広げる議論をする必要があるかと考えております。
【若目田委員】  一般的な、病院だけじゃなくて大学の研究ではない部分、学校の運営に関わる諸業務のネットワークとか、あと逆に、大学から一般的なインターネットにアクセスするとか、そういうような場合というのは、それは各研究機関とか大学が学校運営として別にやっているみたいなものなんですか。SINETを使わずに。
【栗本教授】  大学の研究教育、または教育を進める、その業務を進める上で必要な通信はSINETを使って問題ないという今、整理になってございますので、大学さんは、そういう観点でSINETを利用いただいています。なので、校務や教務、運営に必要な財務など含めてSINETを使っていただいている状況になります。
【若目田委員】  そういうのは使っておられるということですね。承知しました。
【栗本教授】  あとは……。
【尾上主査】  リソース不足。
【栗本教授】  リソース不足ですが、これはよく言われていることですが、ネットワークの運用、またネットワークの開発に関わる人材が大分減ってきてございまして、募集しても応募が少ないというのがネットワーク業界の抱える問題になってございます。なので、そういう中でもいい人材を確保して、運用を安定的に進めるというところが今、課題というところでございます。
 御質問としては、人数はどのぐらいでやっているのかという……。
【若目田委員】  いや、そこまではあれだったんですけれども、純粋にネットワークの、例えば24時間運用のような、多分それは外託しているのではないかと思うんですが、そういうところも集まりにくいみたいな問題なのか、設計だとかプランニングだとか、そういうような割と高度なネットワークに係る人材が不足していて、それは多分、NIIさんの職員としても不足しているみたいな、そういうものなのかな。その辺の実情を知りたかったというところです。
【栗本教授】  それは、両方ですが、特に後者のほうが問題です。ネットワークの動作原理を理解し、その上で中で課題を分析し対応できるという人材が不足しております。そういう人材をちゃんと育成し、現場のマネジメントをできるような環境を維持していくというところが現在課題でございます。
【合田副所長】  あと安全保障。
【栗本教授】  安全保障につきましては、後半のほうの議論の中でやっていただくほうが。
【尾上主査】  そうですね、セキュリティーの話をしてから。
【若目田委員】  セキュリティーという位置づけですか。例えば今後、調達基準みたいなものの反映だとか、ネットワークの全体、グローバルのそういうところについての問題とか、何かいろいろ多面的にあるのかなみたいなのがあったので、その辺が何らかの、今後、次期SINETの機能要件とか設計要件に入ってくるのかどうかみたいなところを伺えたらと思います。
【栗本教授】  ありがとうございます。
 最近、サーバー等でもハードウェアが問題ないかどうかということをチェックして、問題ないことを確認し動かすチェック機能が入っています。ルーター等も、そういうハードウェアの認証機能が、取り込まれつつありますので、この調達に際しては、そういったセキュリティーをきちんと担保できる装置を選んでいくことが重要であると今、考えてございます。
【若目田委員】  ありがとうございます。
【尾上主査】  ありがとうございます。
 次、江村委員お願いいたします。
【江村主査代理】  ありがとうございます。
 先ほどの若目田さんの質問ともちょっと関係するんですけれども、データセンターとかそういうの変化が起きてきている中で、SINETの接続ポイントをどこに置くかというところについての何か基本的なポリシーみたいなものがあるのかどうかというのを、まず教えていただきたいと思います。
【栗本教授】  ありがとうございます。
 基本的なポリシーとしましては、加入機関からの距離がなるべく近くなるようなところに接続ポイントを置くという形で拠点選定を実施してございます。ただ単に数を増やすということは、予算的な観点で難しいので、主要な大学さんの拠点と、その拠点に対して公平になる位置を地図を見ながら1個1個選んでいます。ポリシーというか、そういう地道な作業で、なるべく最適化するよう拠点を選んでいます。
【江村主査代理】  分かりました。
 質問した意図は、裏側で言うと、いわゆる大学間ネットワークという観点でスタートしたと思うんですけれども、データヘビーのポイントって変わってきているという状況があると思うんです。データセンターの立地の問題とか、データヘビーなところって、今日の資料でいっても高エネルギー研究だったり、SPring-8とかNanoTerasuみたいな放射光施設には、非常に多くのデータがその中にはたまってきていると思います。このようなポイントを考えたときに、そういうものをネットワーク構築の中でどう位置づけていくのかなみたいにちょっと思ったので伺いました。それに対しては、今そこまで議論されていないというような感じだろうなと思って伺ったので、ちょっとコメントです。
 それから、2点目が、今の話ともちょっと絡むんですけれども、容量の伸びの予測のページとかもあるんですが、これは何か従来の使い方の伸びでいくとこうだよねという議論になっているのかなと。これも想像なんですけれども。ただ、AI for Scienceみたいなもので、実験の自動化みたいなことがどんどん進むと、従来と桁の違うスピードでデータが出てきたり、先ほどの、どこまでつなぐかという問題がありますけれども、データヘビーなコアファシリティーみたいなところをつなぐというようにアプリケーション広げていくと、データ容量の伸びって、もっと桁が違ってくるんじゃないかなということも想定されるのではないかと思いながら聞いてたんですが、その辺はいかがでしょうか。
【栗本教授】  ありがとうございます。
 まず、最初のほうの拠点の選び方なんですが、ちょっと私、言葉足らずだったかもしれませんが、加入機関の位置を見ながら最適なポイントを選ぶという中には、通信量が多い機関さんとの距離とかもうまくサポートできるような形で選定しているという状況でございます。なので、通信量の多いところには、なるべく近くにデータセンターを配置するというような形で工夫はしてございます。
【江村主査代理】  分かりました。ありがとうございます。
【栗本教授】  2番目のデータの伸び予測につきましては、御指摘のとおりだと思います。確かに使われ方が大きく変わると、通信の出方も大きく変わるということだと思うのですが、今、ちょっとそこに確たるデータがなく、例えば、こちらのワット・ビット連携の懇談会で三菱総研さんが示されたデータからは、2020年から40年の20年で350倍と、これは非常にデータが増えたときの予測データもあります。なので、大きく予測すると、非常に大きい予想もある中で、今、実際のエビデンスとしてある、この10年間の予想を使って今、計画はしています。どこまで大きく予想を取って設計すべきかというのは非常に悩ましいところでございまして、今々は、先ほど御紹介した実績に基づく予想というもので計画をするのが妥当なのではないかと考えているところでございます。
【江村主査代理】  分かりました。ありがとうございます。
【尾上主査】  吉田委員、お願いいたします。
【吉田委員】  ありがとうございます。
 SINETの話をこんなにまとめて聞いたのは初めてです。知らないことがたくさんありまして、例えば、この直結クラウドサービスとかモバイルSINETとか、多分、私もそうですし、アカデミアの研究者、知らない人がほとんどなんじゃないかなと思うんです。せっかくこういったサービスがあるのに、活用するための機会がないというか。特に、例えばモバイルSINETとか、いろいろなセンサーの研究なんかがいろいろあって、実験室の中にもいろいろなセンサーがあって、それを多分、セキュアな形でつないだりとかできるということなんですけれども、どこに行けばその情報にアクセスできるのかがちょっとよく分からなかったりもするので、もうちょっと一般の研究者にリーチするための活動というか、そういうのも何か、どうやったらうまくいくのかちょっと分からないんですが、と思った次第です。せっかくすばらしいインフラだと思うので。
 もっと言うと、ほかにも何か、SINET以外にも、NIIさんはいろいろなインフラ的なリソースを持っているじゃないですか。データのクラウドサービスとか。あれももっと広がっていいかなと思っていて。一方で、そういう日本の基盤的なインフラがあるにもかかわらず、例えばデータのクラウドに関しては、やっぱり独自の機関でクラウドをつくっていたりして、同じことをいろいろなところでやっているのはもったいないと思っていたりするので、という、すみません、コメントでした。
【栗本教授】  コメントをありがとうございます。
 御指摘のとおりだと思っております。我々NIIの事業全体でも、その課題認識があります。実はNIIの事業をPRするようなフォーラムというのも年に1回は行って、幅広く、我々にとって幅広く声をかけて御紹介しているつもりではございますが、まだまだリーチが足りないというところもありますので、そういうところを強化して、研究者さんにちゃんと情報を伝えられるよう、チャネルをより強く太くできるように今後も強化していきたいと考えてございます。
 合田先生、いかがですか。
【合田副所長】  1点、補足させていただきます。
 おっしゃるとおりでありまして、私ども、イベントを行ったり大学を回ったりしているんですけれども、まだまだリーチできていないところを痛感しておりまして、所内の我々のサービスの広報組織というのを今、強化しているところであります。そういったところも通じて広報を努めてまいりたいと思いますし、逆に、こちらからお願いで申し訳ありませんが、こういったチャネルですとか、こういったところで話してほしいといったような機会をいただけますと、私どもはもう本当にすぐ参りますので、いろいろ一緒に議論させていただく場を持てればと考えております。
 よろしくお願いいたします。
【吉田委員】  SINETなんかもう無意識で皆さん、使っているわけなんですけれども、多分あんまり意識していなくて。意識しないということは、それだけちゃんとした技術的なインフラだということだと思うんです。何かシンポジウムとかをやったとしても、なかなかそこに足を運ぶということはないなと思っていて、学内でそういうのをやったとしても、よっぽど関心がなければ、なかなか行かないなと思います。各大学だったり研究所なんかで、ある意味、皆さん、受講しなきゃいけない、そういうようなところにうまく入れ込めたらと思うんですけれども、いろいろな反発があるのかなと思ったりもします。
 以上です。
【栗本教授】  ありがとうございます。
【尾上主査】  時間がちょっと迫ってきていますので、矢守委員、石田委員、そして千葉委員から御質問等いただいた上で、まとめて御回答いただくということでお願いいたします。
 矢守委員、お願いいたします。
【矢守委員】  お世話になります。では、手短に。
 私からは、1点コメントです。まず、本学は、大学としては文系の大学なんですけれども、トラヒックの伸びが非常に大きくなっています。その背景は、恐らく学生がAIを非常に利用しているということかと思います。ですので、68ページにも再掲されておりますが、トラヒックの伸び、恐らく、これより高くなる見通しがあるのではないかというのが1点ありますので、予測よりもしかしたら、これから小中高も入ってくるということであれば、これよりもSINETの利用が増えるのではないかという、1つの学生の通信行動の変化によるトラヒックの伸びも変化があるのではないかという懸念がありますということです。
 それに踏まえまして、あと、本学もですけれども、GakuNin RDMを使わせていただくように利用推進を進めておるところですが、そういった中で、やはりNIIのサービス利用というのが今後も増えて、お世話になりますというところなんですが、増えていくのではないかということで、ある程度ユーザーの行動が変わっていくというところとトラヒックの伸びというのは相関があると思いますので、そういった点も多少なりとも御配慮いただけたらいいのかなと思いました。
 以上、コメントでございます。
【尾上主査】  ありがとうございます。
 石田委員、お願いいたします。
【石田委員】  九州大学の石田です。御説明いただきましてありがとうございました。
 次期SINETについての幾つか方向性というのをお示しいただいたと思うんですけれども、それにつきまして、例えば最優先事項として考えられているというものがどういうものなのかというのを教えていただければと思っております。
 また、ちょっと具体的に私がイメージできないのもあるんですけれども、予算の規模として、どの項目が最も予算的にかかるものなのか、この項目はもしかしたらあまりかからないというようなことが分かるようでしたら教えていただければと思います。
 以上です。
【尾上主査】  ありがとうございます。
 千葉委員、お願いいたします。
【千葉委員】  東京大学の千葉です。
 まず、コメントからなんですけれども、先ほど若目田委員、江村委員からも出ましたが、ネットワークの整備計画というのは、大型実験施設の整備計画ですとか、あとコンピューティングの基盤の整備計画とやっぱり連携して考えられるのがいいんじゃないかと思っております。それぞれの設備がどこに設置されるかというのは、なかなか最後まで決まらないと思うんですが、やはりそれは考えて、恐らく今、一番太い回線のどこかには設置はされると思うわけなんですけれども、そこへアクセスが集中する場合もありますので、なるべく、特に文部科学省の中でやっている事業の場合には、それぞれの計画を計画段階、決まる前から、やはり情報交換をして整備するのがいいんじゃないかと思っております。
 あと、それからもう一つ目のコメントなんですけれども、やはり宣伝が重要ということなんですが、各拠点の接続していただいている組織の担当者の方と連携を強めて、一般の方に、こういうサービスがあります、ああいうサービスがありますというのをふだんから言ってもなかなか覚えないと思うので、やっぱりそういうところの人たちがワンストップの窓口になって、何かネットワークで困ったら、そういう大学さんですとか研究所の担当の人に言うと、そこの人がNIIにつないでもらえるんだということ周知するのがいいんじゃないかと思っています。
 あんまり私がよく分からずに言うのはよくないのかもしれないですが、民間企業でも、営業部隊はサービスをやっている会社だけがやるのではなくて、大抵、共同している会社さんとやって、営業は各人に任せるというのが、特に法人の場合多いと思うので、そういうことを、ただウェブサイトに載せたりイベントをやるだけではなかなか人は動かないので、現実に各大学等々にいる人が顔を出すというのは結構大事なことなのではないかと。特にこういう時代なのでと思っております。
 あとは、2点だけ質問なんですが、さっきネットワークもソブリンだって話が出ていましたが、北極海の回線は結構重要だと思うんですが、これは民間のものを使って整備されるのでしょうかということで、民間の場合、国内企業なんでしょうかというのが質問の1つと、あともう一つは、ネットワークのレイテンシの見通しはどんな感じでしょうかという質問です。特にワット・ビット連携の話も出ていましたが、ストレージをどうするかというのがかなり重要だと思うので、レイテンシ今後どういう整備計画なのかによって、そちらのほうの設計も変わってくると思いますので、教えていただければと思いました。
 以上です。
【尾上主査】  お願いいたします。
【栗本教授】  ありがとうございます。
 まず、矢守先生からのコメントで、もう少しトラヒックの見込みとしては、先ほどの御質問にもありましたが、業態も変わるので、より通信が増えるという可能性があるんじゃないかということで御指摘いただきました。こちらにつきましては、また、我々のほうでも持ち帰って検討を深めたいと思います。
 あと、石田委員からは、次期SINETでの最優先のポイントはどこなのかというお話をいただきました。あと、予算の大きいところはどこなのかと。まず、やっぱり一番大きいのは、400ギガでつくったとネットワークを800ギガに上げるというところ、ここはもう全国の装置を換えていかなきゃいけないので、やはり一番予算が必要になるところだと考えております。なので、将来を見据えながら増やす、増やすとき必要なところを見極めることが、一番大きな肝かなと捉えてございます。一番の大きいところは、やはりこの回線容量の増速というところがメインかなと考えてございます。
 あと、千葉先生からいただきました、大学、大型研究設備の動向等を踏まえてやるべしというところ、ありがとうございます。こちらにつきましてもヒアリングをみっちり行わせていただきまして、計画にきちんと反映できるように進めていきたいと思います。
 また、宣伝につきまして、先ほどの御意見もありましたが、うまいやり方、地域の大学のセンターの皆様にも協力いただいて、SINETの利活用がより進むような形で進めてまいります。
 また、質問いただきました北極回線につきましては、現在は、これ、民間の企業様をどう誘致していくかというところでいろいろと取り組んでいるところでございます。取り組みとしては立ち上がったところなので、今後、欧州と日本間の北極回線が成立するように、関連団体で含めて進めてございます。
 あと、最後のネットワークレイテンシにつきましては、これ、基本グーグルでこのポイントとこのポイント、データセンターの距離をグーグルで測っていただくと、大体の道のりの距離が出てくると思ますが、この距離に1.3倍ぐらいしたところがファイバー距離でなってございます。なので、SINETで言えば、ほぼほぼ道が通っているところでつながり光通信が実現されているというふうに捉えていただければいいかなと思っています。遠回りせず最短ルートを使った通信が可能というふうになってございます。なので、ぜひ、この特徴を生かした形で御活用いただければと考えてございます。
 以上になります。
【尾上主査】  ありがとうございました。
 それでは、続きまして、セキュリティーに関しても、NII合田先生のほうから御説明いただきまして議論したいと思います。
 本日、田中先生にオンラインで参加いただいておりますので、質疑等の際には御対応いただくことといたします。
 合田先生、お願いいたします。
【合田副所長】  NIIの合田でございます。
 私のほうから、セキュリティーサービスの現状と今後について、簡単に御説明させていただきます。私ども、ここにありますNII-SOCSというサービスを展開しております。これはNII Security Operation Collaboration Serviceというものでありまして、世の中で一般的によく言われますSOC セキュリティーオペレーションセンターと、コラボレーションという言葉を使っているところはちょっと違うということを最初お話しさせていただきたいと思います。これは何を意味しているかといいますと、私どもSINETの通信というのをモニタリングいたしまして、そこで不審な通信を発見しますと、そのターゲットになっている大学に対して通知を行います。その後、通知を受けた後、大学での対応については、基本的に大学の担当者の方に進めていただくという方針を取っておりまして、私どもが一方的に全部やるというようなことは取っておりません。また、大学の方々が対応できるための教育にも力を入れておりまして、こういった取組によって、各大学機関が主体的に情報セキュリティー体制を強化、底上げしていくところをNIIも一体となってお助けするという意味でコラボレーションという言葉を使っていると御理解いただければと思います。
 それで、このNII-SOCSの発足の経緯を少し詳しめに御説明させていただきます。2015年の日本年金機構の件については御記憶のある方もいらっしゃるかと思いますけれども、このときに、中央省庁ですとか独法等に対して、きちっと通信というものを見ましょうというような体制が出来上がったわけです。このときに、大学はどうするという議論がございました。大学というのは、かなり特徴が違いまして、例えば学生さんは、これは大学に雇用されている方ではないと。さらには、学問の自由との兼ね合いというのもありますし、また、何よりも端末数が桁違いに多いわけです。なので、こういった大学も一緒の枠組みで進めるというのは難しくて、別の枠組みが求められたというような経緯がございます。
 こういった中で平成30年のサイバーセキュリティー戦略におきまして、学術情報ネットワークを運営する機関は、国立大学、大学共同利用機関と連携して、サイバー攻撃を観測・検知・分析するシステムを構築して情報提供を行うと。また、それに伴いまして、大学等の方々の育成に向けた研修を実施するということが定められまして、我々の活動につながっているということでございます。
 また、その後も、サイバーセキュリティー2024におきましては、NIIにおいて引き続き、国立大学法人等のインシデント対応体制を高度化するための支援を行うということが言われているところであります。
 それでは、具体的な私どものミッションを3つ、これ、3つなんですが、御紹介いたしたいと思います。
 1つ目は、今これまでも話しましたように、重大なサイバー攻撃の検知及び情報提供であります。こちらについては詳しく、後ほどのスライドで御説明いたします。
 2つ目が人材育成です。国立大学法人等のサイバーセキュリティーを担当する方々、これはいわゆる技術だけではなくて広いレベル、CISO、管理職の方からCSIRT要員等の方々に対する研修を実施して、大学のサイバー攻撃に対する対処能力の高度化を図るというがあります。
 3つ目が研究です。NII-SOCSで観測しているデータというのは、これはサイバーセキュリティーの研究という視点では非常に貴重なデータと言えると思いますので、こういったデータを統計化・匿名化したものをお使いいただくということをしています。さらには、観測されたマルウェア等の情報についても御用意しているという状況であります。
 それでは、取組について、もう少し詳しめな技術的なことも含めて御説明したいと思います。私ども、このSINETに流れるトラヒックについて、対外観測・内部観測という2種類の観測を行っております。
 対外観測は、この右上の図のグレーの輪があると思いますけれども、SINETとSINETのインターネットとの、外部との接続点の通信というものを観測しているというものであります。これ、通信の挙動を分析していますが、我々NIIの人間が通信の中身を見るということはもちろんしておりません。また、専門情報、いろいろなセキュリティーの情報等と照合しながら、不審な通信を見つけていくということをしております。
 内部観測は、SINETの中の大学間の通信に関する観測でありまして、対外観測等で不審な通信を発見いたしますと、ターゲットになっている大学等も含めて、より深掘りして内部の観測を行って、攻撃の可能性がある通信を識別するということを行っております。
 また、通信の監視についてですけれども、左下にありますが、実は24時間365日絶え間なく全ての通信を観測できるかというと、そこは技術的なかなか難しいものがございまして、私ども平時は、既存装置によって内外通信の巡回観測、サンプリングした通信を、観測を行っております。この中で異常検知した場合は、さらにそれを深掘りするという形で、2段階の観測を行っているとお考えいただければと思います。
 観測の結果、不審な通信を検知いたしますと、その情報を関係する大学に通知を行います。この異常な通信の検知については、外部のセキュリティー機関ですとか、民間も含めた専門的な情報というのを私どもは持っておりますので、そういったものも含めながら解析・分析を行っております。
 私ども、この不審な通信とともに平常時の通信も含めて一定期間の通信の情報を、私どもの中央にありますサーバーに常に保存しております。この情報というのは、大学の担当者の方々がウェブを通して見えるようになっておりまして、もちろん、これは自分の機関だけですけれども、NII-SOCSから不審な通信の通知を受けた管理者の方々は、そのポータルを使って中の分析を進めていただくことができるというような形を取っております。
 実際の分析の方法でありますけれども、先ほども申しましたが、基本的にNIIの人間が通信の中身を見ることはありません。そもそも、まず、今のインターネットの通信が、8割から9割が、もう暗号化されておりまして見られないという状況もありますけれども、通信の秘密の保護という観点でこのような方針を取っています。
 一方で、我々のセンサーは通信の中身を見て、不審なマルウェア等の情報や脆弱性がないかというのを見て、合致したものがあると、それを知らせてくれるという仕組みを取っております。
 実際、私ども、大体1日当たり41億件の通信を解析対象としております。ここから自動的な方法、様々なセキュリティー情報を使った自動的な方法、また一部、監視員による手動の照合等を行って、最終的には、1日2,3件の不審な通信を検知して大学に通知差し上げているという状況でございます。
 これらの処理は、かなりもう自動化されておりまして、不審な通信見つかった後の大学への通知も含めて自動化されているというものであります。
 このような取組をずっと続けてまいりまして、成果として1枚スライドを御用意させていただきましたけれども、私ども2017年に試行運用開始してから9年たちますが、大学等の即応力は著しく向上したと考えております。不審な攻撃を受けた場合に、それに気づかない、または気づいても放置されることは現在、まず、ない状況と言い切れると思います。
 また、攻撃開始前に予防的な情報も、最新な情報を私どもから大学へ通知することも行っておりまして、そうしますと大学側でも迅速に対応いただいて、被害が発生する前に対応できているということも見受けられます。
 不幸にも被害が発生してしまった場合というのは、これは初期初動が大事なんでありますけれども、この初期消火の迅速化も非常に進んでいると考えております。これは、私どもが進めておりますインシデントマネジメント研修などでもいろいろ情報提供しているところで、大学側の能力も上がっていると考えております。
 このような取組のこともありまして、これまで大学等が攻撃を受けると、それをマスコミに取り上げられるということがあったわけですけれども、過去6年間、マスコミのスクープ記事となった大学における情報インシデントはないと考えておりまして、一定の効果は出ているものと考えているところであります。
 ここからは今後の話であります。今日、まず、栗本から御紹介しましたように、SINETでDDoSの検知・制御というのを行っておりますし、私が御説明しましたサイバー攻撃検知・解析といったものが動いておりまして、SINETとしてもネットワーク全体として、こういったセキュリティー対策というのは一体的に進めるという方針でまいりましたし、今後についても同じように進めていく予定であります。
 今後は、今日お話ししましたように、実は、このサイバー攻撃の検知・解析の対象は国立大学等のみになっております。これを希望する全ての国公・私立大学に拡大することを現在検討しているところであります。
 また、さらに、今、御紹介したことに加えまして、新たに検討を開始したことが幾つかございます。このスライドの上から3つ目のポチでありますけれども、今、ネットワークを使って研究教育する上で、認証というのは非常に重要なファクターになっております。いろいろなデータにアクセスするにも、サービスを利用するにも、きちっと認証する、認証も年々厳しくなっているところでありまして、大学が運用している認証基盤の役割も高度化していると思われます。
 こういったことに関しまして、認証基盤の運用も技術的なスキルが必要ですので、左下にありますようなIdP、これは認証の基盤のホスティングですとか、万一、大学の認証システムに障害が起きたときに、それを代行するようなことができないかということを検討しております。
 さらにはファイアウォールの運用も大学にとっては頭の痛い問題かと思いますので、複数の大学でクラウド型のファイアウォールを共同利用するような仕組みができないかということも検討しているところでございます。
 簡単ではございますが、以上でセキュリティーの説明を終わりたいと思います。ありがとうございました。
【尾上主査】  合田先生、ありがとうございました。
 それでは、ただいまの御説明に関しまして御質問等ございましたら、挙手にてお知らせいただければと思います。
 千葉先生、どうぞ。
【千葉委員】  ありがとうございました。
 やっぱりファイアウォールで中を守るというよりは、だんだんゼロトラストに対応するということが、特に小規模なところほどあると思うんですが、そちらに対しての支援は計画されていますでしょうか。
【合田副所長】  はい。大学のセキュリティー対策の支援に関することかと思われます。中でも検討はしているんですけれども、やはりなかなかここはコスト的に難しい点があるということを御理解いただければと思います。私ども、このセキュリティーのサービスは、民間を使った場合の比重に比べて非常に小さいといいますか、桁が違うぐらいの価格で何とか抑えて動かしているところなんですけれども、これを各大学の中まで広げますと、実はかなりのコストがかかってしまいまして、私ども、必要性は感じていながら、コストも見合いながらうまい解はないかというのを日頃検討しているところであります。
 ダイレクトな回答でなくて申し訳ありません。
【千葉委員】  ありがとうございます。
 もう一つ、あと、認証が今後大事であるということをおっしゃっていたんですけれども、この委員会は、一応AI for Scienceを冠しているので、思うのですが、今までは、計算基盤、情報基盤というときに、いわゆるスーパーコンピューターに代表するHPCの話があって、そちらはそちらでずっと整備・進歩が進んできたんですけれども、認証基盤という意味では、今2系統併存している段階だと思うんですが、やはり今までと違ってHPCはHPCでやって、こういう基盤は基盤でやるという時代ではもうなくなってきていると思うので、統合を考えたほうがよいと思いますが、いかがでしょうかと。そういう質問をする一方で、その話は昔から出ているけれども、技術的になかなか困難だというのは承知しているのですが、もしコメントがありましたらお願いします。
【合田副所長】  ありがとうございます。
 千葉委員がおっしゃったのは、NIIで進めておりますGakuNinという大学間の認証連携と、HPCI、スパコン間の認証連携が別々に動いているということかと思います。その問題は、HPCIを開始した当初からも認識しておりました。まず、なぜ分かれているかといいますと、実は技術的には同じ技術を使っているんですが、当時、スパコンで求められる認証のレベルと、大学等で、例えばオンラインジャーナル等にアクセスする認証のレベル、これはIDの発行方法ですとか認証の方法等が異なっていて、1つにすることができなかったという事情がございます。
 一方で、GakuNin、大学等におきましても、近年、多要素認証というのが広まりつつありますし、こういった認証の方法についても、そこを近づけていく下地がかなり出来上がってきていると考えておりますので、HPCIとも連携いたしまして、今、両者を1つにするという動きを進めているところでございます。なので、徐々に実験も進めていきながら、最終的にはGakuNinのほうの、大学のIDでもってスパコンも使えるといったようなことに向けて検討を進めております。
【千葉委員】  それに関しては文部科学省さんのリーダーシップも必要な局面だと思いますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。
【尾上主査】  ありがとうございます。
 それでは、工藤委員、お願いいたします。
【工藤委員】  大阪大学の工藤でございます。御説明いただきありがとうございます。大変勉強になりました。
 また、9ページ目で御紹介されていたとおり、近年で情報インシデントをゼロに抑制されているというのは非常に大きな成果があったなということを改めて感じました。
 私からの質問は2つございます。1つ目の質問は、この会議体の特性上、AI for Scienceということを考えていくということに当たって、AIが導入されることによるセキュリティーリスクに関して、どういったことを今、想定されていて、どういうマネジメントが、もしかしたら追加で必要かもしれないと何かお考えになっていることがあるのかというのを伺いたいと思います。
 研究領域じゃなくて一般的な産業領域において言われているのは、生成AIによって、あまりソフトウエアプログラミングの知識がない方でもローコードやノーコードとかで新しいAIを使ったアプリができることになるので、いわゆるシャドーITならぬシャドーAIみたいな形で、許可がないAIが陰で動いてしまって、それがあまりセキュアじゃないために、攻撃を受けてしまうことがあるんじゃないかということが言われたりします。あるいは、いわゆるAIエージェントが導入されることによって、なぜか、権限を付与していないにもかかわらずアクセスができてしまって、そこがセキュリティーホールになってしまうみたいなことも指摘されていたりするところです。そういった新しいAIの利活用が導入されることによって生じるサイバーセキュリティーや情報インシデントなどの対策について、何か既に検討されていることがあれば教えてください。これが1点目です。
 2点目は、前半のほうで、若目田委員や千葉委員が指摘されていた、ナショナルセキュリティーのほうに近いお話なんですけれども、文部科学省さんでも、研究インテグリティに加えて研究セキュリティーなる概念を打ち立て、研究セキュリティーの確保に向けて取組の方向性なども打ち出されているところでございます。そういったサイバーセキュリティーと経済安全保障の重なり合う領域について、既に取り組まれていることですとか、そういったリスクマネジメント、リスクアセスメントなどをもしされているようでしたら教えていただければと思います。
 以上です。
【合田副所長】  ありがとうございます。
 非常に重要かつ難しい課題だと考えております。1点目につきましては、2点あると思います。まずは、利用者をしっかりと認証しましょうという話があると思います。いわゆるここについては、これはAIにとどまらず、これから研究データ、AIは研究データが必要なわけですけれども、利用する上で、例えば、このサービスを使うときというのは、きちっと多要素認証しなきゃいけませんですとか、IDを発行するときも、メールじゃなくてちゃんと対面で本人がいる前で渡さなきゃいけません、そういったいろいろな認証のレベルというのが今、定められておりまして、そのレベルを整理して、サービスやデータの重要度に応じて要求するレベルをうまく制御しようといったような議論を既に始めておりまして、これは次世代GakuNinとして今、実証実験も動き出しているところであります。
 一方で、AIがいろいろ、こちらの予期しないというか、あまり正しくない動きをすることに対してどう対処するかということについては、ちょっとすみません、私のレベルでは、まだ十分に議論はできていないところなんですけれども、今日、同席しております田中さん、何かこの辺、センターで議論している点はありますか。
【田中上級学術基盤研究員】  田中です。
 AIについては、AIの対策として議論しているというところではないんですけれども、守る側として通信の内容をAIで解析するようなことで、不審な通信をできるだけ早く検知できるように進めていきたいというふうにはしております。
 実際、私たちが見ている内容というのは、通信の中身というのは暗号化されていて、ほとんど実質見えなくて、どこからどこへの通信かとか、通信の振る舞いとか、そういうところを見ることになっていますので、そういう切り口で対応できるように進めていければなと思っています。
【合田副所長】  ありがとうございます。
【田中上級学術基盤研究員】  以上です。
【合田副所長】  2点目につきましては、ある意味、研究インテグリティですか、そういった部分に関係するかと思いまして、ここは恐らく次回の研究データ基盤の中での議論にもなると思うんですけれども、こういった中で一番重要なのはデータだと思っておりまして、ある研究データが、誰がいつ、どうやってつくったものなのかと。そういったことをしっかり担保しながら、それを誰が正しく使えるのかというところも含めて、しっかりコントロールすることが重要だと考えております。この辺り、詳しくは次回で、またお話しさせていただければと思います。
【尾上主査】  ありがとうございます。
【工藤委員】  ありがとうございます。
【尾上主査】  石田委員、お願いいたします。石田委員、どうぞ。
【石田委員】  石田です。御説明ありがとうございました。
 前の質問のお答えで少し含まれていたかなとも思うんですけれども、研究データというのは、多分、今後、利活用が進めば、大学間もしくは国際共同研究等で共有というのが進むのかなと思っております。共有される場合に、もちろん公開できるデータというのもあると思うんですけれども、非公開もしくはほかと共有してはいけないというようなデータもあると思うんですが、そういったデータを共有する場合には、転送をしなきゃいけないということがあるかと思うんですけれども、今のこのSINET、それからNII-SOCSの技術であれば、多分、専用回線を一時的につなぐというような形になるのかなとは思うんですが、そういった形で公開できないデータの共有というのが現時点で可能なのかということを聞かせていただきたいのと、それから、もし可能ではない場合、そういったことを検討されているのかというところを教えていただければと思います。お願いします。
【合田副所長】  御質問ありがとうございます。
 まず、データの転送については、今日、栗本から御説明ありましたSINETのVPNという機能を活用いただいております。これは仮想的にではありますけれども、SINETの上で自分たち専用のネットワークを引いた形で使うことができるようなものでありまして、現に、その上で、いわゆる医療系の研究データ等の転送にも使われておりまして、非常に安全なネットワークということは言えるかと思います。
 一方、データを共有するためのプラットフォームについては、こちらについては、今現在NIIで、ここに置けば、高い機密性の求められるデータをみんなが使えるプラットフォームというのはないんですけれども、逆に言いますと、そういったデータというのは、その関係者のみが触れるような設備ですとか計算機上に保存されることになりますが、そういったことを研究プロジェクトとして用意して、例えば研究者だけがアクセスできる計算機サーバー等を用意して、その間をSINETのL2VPNでつないでデータを共有して、例えば医療系の研究をするといったような事例も既にございます。
【尾上主査】  ありがとうございました。
 それでは、お時間になりましたので、このセキュリティーに関しても議論を一度締めたいと思います。本日の議論で出していただきました皆様のコメントなども踏まえまして、NII様では、今後さらに検討を進めていただきつつ、このワーキンググループとしても方向性を決めていければと思っております。
 次回は、先ほどもお話がありましたが、データを中心とした研究データ基盤の今後についての詳細を御議論いただく予定でございますので、引き続きよろしくお願いいたします。
 続いて、議事2のほう、その他についてですが、事務局より令和8年度の当初予算案の状況と、AI for Scienceの推進に向けた基本的な戦略方針についての検討状況につきまして御紹介いただきます。続けて、どうぞよろしくお願いいたします。
【麻沼参事官補佐】  事務局でございます。
 まず、令和8年度当初予算案について簡単に御紹介をさせていただきます。資料は、資料2の2ページ目を御覧ください。情報分野の全体像と記載しておりますけれども、こちらは参事官(情報担当)付で担当している予算の全体像になりますが、大きく2つに分けておりまして、左側は先端的な情報科学技術分野の研究開発、右側、青いほうが、その開発を支えておる情報基盤の運用、高度化という分けになっております。本ワーキングで関連するところとしましては、この青いほうの情報基盤のほうになっており、本日御議論いただきましたSINETの運用開発経費が2ポツ目のところに記載がございます。
 また、次回御議論いただく予定の研究データ基盤の開発費のところは、1ポツ目のAI等の活用を推進する研究データエコシステム構築事業のほうで措置されておりますので、こちらの1ポツに目が該当するものでございます。
 続きまして、3ページ目を御覧ください。こちらは、AI for Scienceによる科学研究の革新とタイトルがございまして、AI for Science関連のパッケージになっている予算の状況でございます。こちらも4つの柱がございまして、本ワーキングで関連するところもパッケージの中に含まれております。
 左下のAI for Scienceを支える次世代情報基盤の構築というところに、先ほどのデータエコシステム構築事業ですとか、SINETのほうも記載があるという状況でございます。
 簡単ですけれども、予算状況としては以上でございます。
 続いて、AI for Scienceの推進に向けた基本的な戦略方針検討状況につきましては、轟木補佐のほうで御説明をお願いいたします。
【轟木参事官補佐】  文部科学省情報参事官付の轟木と申します。本日は、どうぞよろしくお願いいたします。
 まさに今回のワーキンググループでもAI for Scienceを支える研究データの管理・利活用と流通の在り方ワーキンググループということでAI for Scienceを取り上げていただいておりますけれども、文部科学省においても、昨今の国内外のAI for Scienceの活発な動きを踏まえまして、AI for Scienceの推進に向けた基本的な戦略方針を今年度末までに策定をするということを考えてございます。
 現在、2月9日、先週の月曜日にAI for Science推進委員会、この図のところの青字のところでございますけれども、第1回を開催させていただきまして、AI for Scienceの戦略方針の基本方針の方向性を示させていただいたところでございます。今、文科省においては、AI for Scienceの推進体制といたしまして、前回第1回が開催されたAI for Science推進委員会、ここで戦略方針を決定に向けて議論をしていただきながら、まさに米国でもジェネシス・ミッションなどが打ち出されておりますけれども、それがEUですとかイギリスですとかグローバルサウスをはじめとした各国とも戦略的な国際連携を図っていくと。さらに日本国内においては、経産省、総務省、外務省などとも連携をしながらAI for Scienceの推進を進めていきたいということを考えているところでございます。
 ページをおめくりいただきまして、3ページ目でございます。2月9日に第1回が開催されましたAI for Science推進委員会、趣旨といたしましては、令和8年度から始まる第7期科技・イノベ基本計画を踏まえまして、With AI時代の新しい科学研究の在り方の追求に向けて、官民一体となって具体的な対応策の検討を行うということをさせていただいてございます。
 検討事項といたしましては、AI for Scienceに関して、我が国が戦略的に取り組むべきことの調査・検討ですとか、AI for Science推進に向けた基本的な戦略方針に関する助言、課題等の検討、そのほか、今、麻沼補佐からも御説明があったように、補正予算でAI for Scienceによる科学研究革新プログラムが措置をされておりますけれども、これの推進に関する助言など、そのほかAI for Scienceに関する今後の推進方策に関する検討・提言などをいただくということをしてございます。
 構成員は以下15名とさせていただいておりまして、今後のスケジュールといたしましては、2月9日に第1回、そして3月に第2回、第3回を開催いたしまして、戦略方針を取りまとめる予定としてございます。
 次、おめくりいただきまして、4ページ目でございますけれども、AI for Scienceの基本的な戦略方針の位置づけについて簡単に図示をしているものでございます。まさに来年度から第7期科技・イノベ基本計画が始まるというところ、それに加えまして、右に書いてありますAI基本計画、これが去年の12月に閣議決定されているというところでございます。科学の観点とのAIの観点、両方に関わってくるものだと思ってございまして、これらを踏まえましてAI for Scienceの基本的な戦略方針を決定すると。
 ここの基本方針では、AI for Scienceを推進するに当たって当面の基本的な戦略方針を策定する、具体的な取組内容などを策定すると。さらには、日本の強みを踏まえた研究開発の重点分野をここで設定をさせていただきたいと。その際には、第7期基本計画でも議論されています重要技術領域、これらも念頭に置きながら検討を進めていきたいと思ってございます。
 さらに、その戦略方針に基づいてAI for Scienceによる科学研究革新プログラム、基金事業とチャレンジ型の2つのプログラムが走っておりますけれども、この基本方針もしっかりつくっていきたいと。その際には、戦略方針で示された重点分野を踏まえまして、日本が強みを持つデータなどを念頭に重点領域を設定して、ここをしっかり重点的に進めていきたいということを考えてございます。
 次のページ、5ページ目でございます。これが2月9日の推進委員会でも示させていただきましたAI for Scienceの推進に向けた基本的な戦略方針の概要イメージになってございます。まさに上段には、第7期科技・イノベ基本計画ですとかAI基本計画、さらには、まさに各国でもAI for Scienceを国家的ミッションと位置づけて戦略が策定されておりまして、そのような海外動向も踏まえまして、今、整理をしているというところでございます。
 我々は、AI for Scienceをどう戦略的に進めていくかというところで、日本の強みを分析しております。日本の強みというところで3つ基盤の観点から書かせていただいておりますけれども、まさに今回議論をいただいた世界最高水準の情報流通基盤であるSINETですとか、NII RDC、計算基盤である富岳・富岳NEXT・HPCI、こういうような情報基盤が一体となって存在しているというのは日本の強みであろうと考えてございます。
 そのほか研究基盤というところでは、世界トップレベルの基礎科学力と多様な研究者がいるというところですとか、世界最先端の研究装置群や大型研究施設が存在している点ですとか、まさにこれまでの蓄積によって信頼性の高い実験・観測データがあるというようなところも研究基盤としての強みと考えてございます。
 最後、社会基盤のところでは、世界有数の経済規模、精密な製造・計測技術・ロボティクス、すり合わせや暗黙知を含む現場知ですとかAIに対する社会的・産業的な需要、こういうような3つの強みを生かしながら、少し真ん中に書かせていただいている目的達成に向けて、今、戦略方針をまとめているというところでございます。
 戦略方針の目的といたしましては、大きく3つ考えてございます。AI for Scienceによって研究の生産性ですとか効率性の向上、ひいては研究者の創造性の拡大、こういったところを狙いとしながら、科学研究の革新と科学的発見の加速・質の変革ですとか、それと同時に科学的研究成果もしっかり出していかなければならないと考えておりまして、研究力の抜本的強化と科学の再興、それらを踏まえた上で、日本として国際的優位性・戦略的自律性を確保していくということを考えてございます。
 少しAI for Scienceという文脈で、具体的な取組目標としてちょっと掲げさせていただいているのが真ん中のオレンジのところでございまして、科学基盤モデル/AIエージェントですとかAI駆動ラボの活用によって、第7期科技・イノベ基本計画の議論されているような重要技術領域における先端的成果の創出ですとか、研究開発期間を10分の1にするというところを少し具体的な目標として掲げさせていただいてございます。
 そのさらに具体的なターゲットの例としましては、例えば材料の分野では、3年後までに新素材開発速度10倍の潜在力を有するAI駆動ラボシステムの開発ですとか、ライフの分野であれば、大規模なデータ取得を通じて高機能なバイオ製品の高効率設計を実現するバイオ生成基盤モデルを開発するですとか、はたまた分野を問わず、AIエージェント群による最先端大型研究施設・研究装置からの大量・高品質のデータ産出、仮説検証・実験の自動化・自立化を実現して、将来的には新規性の高い研究を探索的に行う一体的になったシステムの開発を通じて科学研究の新しい方法論を示すということを考えてございます。
 これを少し図示したものが左下になってございまして、これは日本における研究者のトップ層、これをしっかり引き上げて世界を先導する科学研究の成果を創出するというところと同時に、AI for Science波及・振興によって日本全体の科学研究力の底上げ、裾野拡大を図っていこうと、この両輪で進めていって、日本として科学力のこの三角形を大きく広げていこうということを図示したものでございます。
 さらに、そのためには、今回議論いただいているように、SINETですとか、NII RDCですとか、計算基盤などの研究基盤の構築・高度化も必要なものと思っていまして、まさにこういった図示をしているというところでございます。
 それの実現に向けての具体的な取組といたしましては、各国の戦略でも、この3つが大きく打ち出されているところが多いところではございますが、研究力・人材の柱、計算資源の柱、研究データの柱、3つを整理してまとめ始めているというところでございます。
 最後に、前回2月9日のAI for Science推進委員会において研究データに関する意見も様々いただいておりましたので、ちょっと御紹介を最後にさせていただきたいと思います。
 1つ目、研究データの共有は不可欠ではあるものの、やはり研究者にとってなかなかネガティブなデータですとか研究の中間におけるデータを共有するモチベーション低いというような御意見ですとか、研究者がデータを提供することに関する評価ですとかインセンティブ設計が不可欠ではないかという点ですとか、あとやっぱり今、データ、どんどん流通量が増えているというお話もありましたけれども、それを格納するリポジトリ/エージェントホスティング等の基盤の国内整備が不足しているという点ですとか、やはりAI-readyデータというメタデータですとか、それが出された装置の情報ですとかといったものが重要になっていまして、単純なデータ蓄積を超えた、その背景データも含めた構造化が必要であるという点ですとか、データの共有をすることによって研究における捏造の抑止や検証性の向上につながる一方で、公開の範囲(オープン/クローズ)の戦略、これは分野・用途に応じた設計が必要ではないかという点、大規模かつ高価値なデータは国の強みになるという点ですとか、データセット作成自体への支援(データを集める人材の予算・評価)ですとか、作業負担を減らすための自動化(AIによるメタデータの付与など)が求められるのではないか。さらにAI for Scienceを進めるに当たって最初のデータセットは、なかなかクローズなデータを公開するというのは研究者にとっても苦痛になるというところで公知のデータを使ってやるべきであって、その最初の一歩を踏み出す研究者への支援が必要ではないかですとか、産学連携・産業側の誘致、参加誘導にはエコシステムの設計、例えば年会費を支払ってもらった会員に対して優先的にデータを配布するですとか、対価を支払っていただくなどが有効ではないかという点ですとか、あとデータの共有、チャンピオンデータだけではなくてチャンピオンデータを出すまでの過程で生じたダークデータなども共有される仕組みがあるとよいのではないかという点ですとか、データ共有の観点において国としてしっかり明確な方針・指針を出すべきではないかですとか、あとは、どのようなデータを取得するのか、それは例えば装置情報であったり取得条件であったりはデータの価値に直結をするので、データ取得プロセスそのものの設計・記述が必要ではないかというような御意見がございました。
 以降、参考資料には、2月9日のAI for Science推進委員会で、今、御説明した日本の現状、強みを少しブレークダウンしたものであったりですとか、まさにデータが強みというところでどんなものが実際にあるのかという資料ですとか、日本の現状の課題の部分ですとか、国としてどういった研究データの取扱いに関する考え方を示していくべきかという案みたいなものもちょっとこのような形でお示しをさせていただいてございますので、お時間あれば御覧いただければと思います。
 事務局からは以上でございます。
【尾上主査】  ありがとうございました。
 それでは、ただいまの御説明に関しまして何か御質問ございましたら、挙手ボタンにてお知らせいただければと思います。
 千葉先生、どうぞ。
【千葉委員】  東京大学の千葉ですが、御説明ありがとうございました。
 AI for Scienceというのが、ある意味ではふわっとしたキーワードですので、受け止める方によっていろいろな考え方があると思うんですが、今日のお話では、比較的データ、データセットの話も出てきた感じで、データにかなり力点が置かれている感じもしたんですけれども、先頃、文部科学省から出ました計算基盤を整備するという補正予算のコールがありますが、ああいったものですと割とGPUといいますか、計算能力が大事なんだというスタンスを感じるんですけれども、御省としては、どういうふうに切り分けて考えていらっしゃいますでしょうか。あるいは、両方あったほうがいいのは当たり前なんですけれども、やっぱりともすると、人によっては、いや、計算能力が大事なんだという人もいれば、いや、データだけあれば重要なんだと、今日のように、ネットワークがあれば。何か割とばらばらな印象を受けなくもないんですけれども、その辺どのようにお考えでしょうか。
【轟木参事官補佐】  ありがとうございます。
 各国の戦略を見てみても、データですとか計算資源ですとか研究力、この3つをいかに糾合して一体的に、国として総力戦でやっていけるかというところが、かなりAI for Scienceでしっかり推進していく上で非常に重要だということを認識しているところでございます。なので、どっちがどっちというわけではないんですけれども、一方で、なかなか日本としても予算的な資源においても限りがある中で、AI for Scienceでしっかり日本が勝っていかなければならないという戦略を考えるに当たっては、やはり日本の強みにしっかり投資をしていくということが重要ではないかなということが議論されていたところです。
 そうなったときに、計算資源の観点であれば、日本はかなり富岳とか富岳NEXT、HPCIをはじめとして、高性能な計算基盤があるというのはかなり強みだと思っているんですが、米国、中国とかと比べると、その計算資源の規模というところでは、なかなかちょっと厳しい状況があるかなというところも我々認識をしております。
 そうなったときに、日本強みとして、やっぱりデータというところは、これまでの蓄積もございますので、そこをしっかり強みとして生かしながら、ただ、それを活用するためには計算資源も必要になりますので、そこの必要な計算資源の増強もしながら日本の強みとしてのデータを生かしていくという戦略、ないしは計算資源とかでは、例えば海外国際共同研究などを通じた利用ですとか、そういったことも考えられるのではないかなとちょっと思いながら、今、戦略をまとめていっているというところですので、ぜひ御意見いただければと思ってございます。
【千葉委員】  若干不規則発言気味なことを申し上げますけれども、やはり広報されるときに、どういうチャネルから出てくるかで、失礼な言い方をすると、縦割りの弊害が出ているのではないかと思っていて、ある室から出ると、非常に計算能力に重きを置いた施策を推進しているかのようなドキュメントが出てきますし、こちらの会議に出ますと、データに非常に力を入れているという、それが通信ですね、というドキュメントができますし、恐らく総務省さん、あるいは経産省さんから来ると、また、例えば経産省さんですと、電力、電力、電力というコールが出てきて、もちろん分かるんですが、やはり総力戦と先ほどおっしゃったので、その辺の足並みをそろえるというか、もちろん、この施策ではここに注力しているんだけれども、別にそれだけではないというのは、出されるほうは当然のこととして理解されていると思うんですが、先ほどNIIがすごくいいSINETを出しても、それが浸透しないと使ってもらえないという、広報をどうするかという問題が指摘されましたが、同じことが我々にもあるのではないかと思いました。
 以上です。
【轟木参事官補佐】  ありがとうございます。
 まさに、そういった縦割り感をなくすために、我々としてもしっかり戦略をつくって打ち出していきたいと思って、引き続き御意見いただければと思います。
 ありがとうございます。
【尾上主査】  あと1件ぐらい、もし何かございましたら御質問を受けられると思いますが。
 じゃあ、どうぞ。まず、吉田委員から、その後、若目田委員、お願いいたします。
【吉田委員】  最後に主な意見がまとめられているんですけれども、これは研究データだけに関するところだけを取り出したという感じですか。
【轟木参事官補佐】  おっしゃるとおりでございます。これ以外にも様々御意見がありましたが、一旦このワーキンググループというところで少しこういったところで取り出し方をさせていただきました。
【吉田委員】  ここに書いてあることをぱっと見てみると、何か10年前から同じ議論をしていて、問題意識はもう分かっているんだけれども、具体的に、じゃあこれをどうするのかという話のほうがすごく重要で。一方で、ジェネシス・ミッションなんかも、米国の研究データをこういうふうに集めて、それにAIをやっていくみたいなことが書かれていて、ある意味、日本のほうがそういう取組って結構先に進んでいるんですけれども、個人的にはジェネシス・ミッション、日本ができなかったことがアメリカからできるのかとか、その辺はすごく興味があるかと思っています。
 あと、ちょっと個人的な興味としてお伺いしたいのが、AI for Scienceによって、多分、ジェネシス・ミッションとか国際連携ということをやっていくというふうには話は聞いているんですけれども、具体的にどういうふうな連携をやっていくのか。多分、これ、今、話し合っている段階なんですかね、きっと。
【轟木参事官補佐】  おっしゃるとおりで、ジェネシス・ミッションはあれですけれども、重点メニューをジェネシス・ミッションのほうも定めて出していこうという話があって、ちょうど今朝、ニュースもあったようなお話も聞いておりますが、そういった重点分野も踏まえながら、我々として、ある種、互恵的に、我々だけの利益でもないし、向こうだけの利益にもならないように、しっかり戦略的に国際連携していくということが重要かなと思っていますので、ちょっとそこら辺はまさに今、検討を進めているというところでございます。
【吉田委員】  双方の何かうまみみたいなところがないと、やっぱり連携って……。
【轟木参事官補佐】  おっしゃるとおりだと思います。
【吉田委員】  なので。
【轟木参事官補佐】  なので、そこはちょっとなかなか多分、今後の議論を通じてというところはあると思うんですが、やっぱり1つあるのは、日本の強みとして、米国が見て、データの蓄積みたいなところですとか、それこそSPring-8、NanoTerasuをはじめとするデータの創出基盤みたいなところにも注目をされているというような話も聞いておりますし、一方で我々としては、先ほどもあったように計算資源の規模ですね、質というところはあれだと思うんですけれども、あるので、例えばそういった互恵的なといいますか、じゃあ、こちらはデータを例えば提供して、向こうからは計算資源を得るみたいな、そういった連携みたいなところも1つの選択肢としてはあり得るのではないかというところもちょっと思いながら、今、検討を進めているというような状況でございます。
【吉田委員】  アメリカが、各日本のデータを狙ってくるというのはもちろん当然分かっていて、資産、データの流出、そこがちょっと心配な点かなと思っています。
【轟木参事官補佐】  ありがとうございます。
【尾上主査】  若目田委員、どうぞ。
【若目田委員】  私は割と意見が同じでして、結構前から言われていることと、この意見というのが同じというのと、もう一つ言えば民間の抱えている課題も全く同じで、いや、日本はデータが強みというふうに、とても言えるような状況ではないと思っています。現場そのものに潜んでいるものは結構あると思うんですけれども、データが流通しているかどうかというと、そういう状態じゃないというふうに、これは危機的状態だと思っています。
 そういったことで1点、オープン/クローズのバランスという表現でしたけれども、昨今やはりクローズに関するいろいろな配慮・仕組みができると進むことが多いんじゃないかなとちょっと思っております。コンフィデンシャルコンピューティングであるとか、そういうPrivacy Enhancing technologies、こういったようなものに対する研究投資等も必要ではないかと思います。
 以上です。
【轟木参事官補佐】  ありがとうございます。
【尾上主査】  ありがとうございました。
 最後に、今後のスケジュールについて、事務局から御説明をお願いいたします。
【麻沼参事官補佐】  事務局でございます。
 各委員の先生方におかれましては、既に御予定を抑えていただいておりますが、次回の第3回につきましては、3月26日木曜日の16時から18時を予定しております。なお、令和8年度以降の開催に関しましては、取りまとめに向けての審議に入ってまいりますが、日程調整をお願いしているところでございます。4月の予定に関しましては、一旦、仮押さえをさせていただいている日程がございますが、以降に関しましても日程を固め次第、早急に日程確定の御連絡をさせていただきますので、併せてよろしくお願いいたします。
 以上でございます。
【尾上主査】  ありがとうございました。
 それでは、本日の議論はここまでとさせていただきます。
 その他、事務局より事務連絡があればお願いいたします。
【麻沼参事官補佐】  本日も御議論いただきましてありがとうございました。
 次回も文科省におけるAI for Scienceの推進に向けた基本的な戦略方針の状況に関しまして、進捗などございましたら、この場でも御紹介させていただければと思います。
 以上でございます。
【尾上主査】  それでは、これで閉会とさせていただきます。どうもありがとうございました。次回もよろしくお願い申し上げます。
 
―― 了 ――

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