オープンサイエンス時代における大学図書館の在り方検討部会(第6回)議事録

1.日時

令和4年11月14日(月曜日)16時00分~18時00分

2.場所

オンライン会議

3.議題

  1. オープンサイエンス時代における大学図書館の在り方について
  2. その他

4.出席者

委員

竹内主査、尾上主査代理、石田委員、大藪委員、北本委員、坂井委員、佐藤委員、引原委員、深澤委員、堀田委員

文部科学省

工藤参事官(情報担当)、藤澤学術基盤整備室長、大鷲参事官補佐、黒橋科学官、松林学術調査官

オブザーバー

高品 国立国会図書館利用者サービス部科学技術・経済課長

5.議事録

【竹内主査】  時間になりましたので、ただいまより第6回オープンサイエンス時代における大学図書館の在り方検討部会を開催いたします。
 本日は、コロナウイルス感染症の感染防止対策も行いつつ、現地出席とオンライン出席のハイブリッドで開催することにいたしました。報道関係の皆様も含め、傍聴室の方々にはオンラインで御参加いただいております。また、通信状態等に不具合が生じるなど、続行できなかった場合、委員会を中断する可能性がありますので、あらかじめ御了承ください。
 まず、事務局より本日の委員の出席状況、配付資料の確認とオンライン会議の注意事項の説明をお願いいたします。
【大鷲参事官補佐】  事務局でございます。本日の委員の出席状況でございますけれども、12名中10名の出席でございます。
 欠席につきましては、お茶の水女子大学の加藤委員、それから筑波大学の村井委員が御欠席となってございます。また、オブザーバーの国立国会図書館の高品課長、それから、科学官の黒橋先生につきましては、御出席いただいているところでございます。このほか、途中から出席の御予定といたしまして、尾上委員、大藪委員、それから学術調査官の松林先生が途中からの出席となっているものでございます。
 続きまして、配付資料の確認でございますけれども、お手元、議事次第あろうかと思いますけれども、議事次第にございますとおり、資料といたしましては、1、2を用意させていただいているところでございます。資料1につきましては、本日、引原委員からの御発表資料となっているものでございます。
 続いて、オンライン会議の注意事項でございます。オンラインで御参加の委員の先生方への注意事項でございますけれども、通信安定のため、発言する場合を除きまして常時ミュート、マイクはOFFの状態としていただき、また、ビデオに関しましては、開始(ビデオON)の状態にしていただけたらと思います。
 それから、発言する場合でございますけれども、手のアイコンまたは「挙手」をクリックしていただいてお示しいただけたらと思います。
 そして、指名された先生におかれましては、御自身でミュートの解除、マイクONの状態にする操作をしていただけたらと思います。
 なお、発言の際には、最初にお名前をおっしゃっていただき、ゆっくりとはっきり御発言いただけたら幸いに存じます。
 また、御発言終了後につきましては、先生御自身で手のアイコンを非表示、ミュート(マイクOFF)の状態に戻していただけたらと思います。
 なお、個々のパソコンにおきましてトラブルが発生する場合もあろうかと思いますけれども、その際には電話にて事務局まで御連絡いただけたらというところでございます。
 事務局からは以上でございます。
【竹内主査】  ありがとうございました。
 本日の傍聴登録はございますでしょうか。
【大鷲参事官補佐】  事務局でございます。本日の傍聴登録は187名でございます。報道関係者の方からも御登録があるところでございます。
 なお、本日は、録音、録画が入りますので、御承知おきいただけたらと思います。
 事務局からは以上でございます。
【竹内主査】  ありがとうございました。
 それでは、審議に入りたいと思いますが、その前に前回の会議で御報告いただいた内容について簡単に振り返っておきたいと思います。
 前回は、大学図書館の新たな連携の具体例として、早稲田大学図書館、長谷川課長様より早稲田大学図書館と慶應義塾大学図書館のシステム共同運用の事例について御報告をいただきました。規模の点などからほぼ同じである2つの大学図書館が利用者の利便性の向上とシステム運用コストの削減を目指して取り組まれたシステム共同運用ですが、その背景には、長年の図書館の相互利用の実績が大きく作用しており、それを踏まえて両大学合わせて1,000万冊以上の資料を仮想的に1つの図書館のものであるかのように運用する環境が構築されたということでした。
 また、近年の電子資料の急増に対応し、冊子体の資料と電子資料をワンストップで発見できるようにもされています。この共同運用を介して、スタッフの人的なネットワークの強化が図られ、このことが今後のコンソーシアムとしてのスケールメリットを生かした取組の強化につながっていくというお話でございました。
 続きまして、東海国立大学機構岐阜大学の大藪先生より、東海国立機構における大学図書館の連携について御報告をいただきました。
 早慶の連携とは異なり、大学全体としての統合の中に図書館が入っているということと、規模の点で違いが大きい2つの大学図書館の連携についての御報告となりました。
 連携後の最初の取組として、グランドデザイン2021を策定し、機構の図書館としての目標を設定されたことがあり、また教育支援、オープンサイエンス推進といったテーマごとに、両大学の図書館の職員混成のプロジェクトチームをつくって議論を進めるとともに、具体的な取組をできるところから共同化されようとしているとのことでした。
 その際、リソースとしての人と財政規模の違いが影響しているものの、それを乗り越えようとされていること、また連携できるところは連携するけれども、それぞれの大学図書館として取り組むべきことがあるといったようなことも御説明をいただきました。
 その後の質疑ではお二方の御報告に対して様々な質問がなされ活発に議論されたところですが、少し大きな論点として、村井先生、石田先生から大学図書館間の連携の在り方について、利用者の視点から見たメリットとして、図書館ネットワークを拡張していって、全国レベルの統合や協力の可能性という論点が提起され、実際に大学図書館のマネジメントの立場にいる先生方から御意見をいただきました。
 また、本日の議論につなげるために、この会議でこれまで議論されてきた点について簡単なまとめしたところでございます。
 本日は、それらを踏まえまして、今後の大学図書館機能に関する議論を深めたいと考えておりますけれども、その導入として、この検討部会の議論の中心的な課題であるオープンサイエンスの推進、また、研究のデジタルトランスフォーメーションといった視点を踏まえ、大学図書館の役割について、改めて京都大学の引原先生からプレゼンをしていただきます。引原先生は、去る8月30日に開催されました、この部会の親委員会に当たります情報委員会において、本日のプレゼンの基礎となる報告をされていらっしゃいます。本日はその抜粋版ということになります。その後で、事務局より、本日の議論を進めていくための論点である「今後の大学図書館機能に関する基本的な考え方」について説明をしていただきます。それらを踏まえまして本日の議論を進めていきたいと思います。
 それでは、引原先生、御説明をよろしくお願いいたします。
【引原委員】  御紹介いただきました引原でございます。
 本日の内容は、先ほど竹内委員長から御説明ありましたとおり、8月30日の情報委員会でのプレゼンの一部でございます。委員長の御要請により、少しそれを、駆け足になりますけども、皆様方のこの後の議論のきっかけになればと思いますのでご説明します。よろしくお願いいたします。
 では、次のページをお願いします。情報委員会におきまして、よく図書館とオープンデータの関係というのが議論され、そういう話題というか、意見が上がることが多いわけですけれども、その中で気になりますのが、情報系の方の持つ図書館のイメージです。特に情報系、この絵を見ていただきますと、左側に「Cyber」があって右側に「Physical」があるわけで、サイバーというのは情報系で、フィジカルというのは実験系だと思っていただいたらいいと思うんですけれども、この議論の中で、図書系の方々がサイバーになぞってフィジカルの間を取り持てというような意見が非常に多くあると言えます。しかし、それはちょっと違うのではないかというのを私は何度か申し上げたことがあります。
 フィジカルと最後の相互運用、今までの図書館の在り方からすれば確かに間のギャップを埋めるような活動というのが図書館にはあったわけですけども、このイメージはシステム系の「Digital Twins」という、最近ドイツとかで工場の運用なんかに使われているような考え方ですね、そういうもののアナロジーにすぎないのでして、本当の研究のマネジメントあるいは研究のサイクルを回すものとは必ずしも言えるものではありません。
 ですので、この研究のサイクルを見たときに、図書館というのがどうあるべきかというのをもう一度見直すべきであるというのが大きなところでございます。
 次のページよろしくお願いいたします。それで、大学における研究のライフサイクルというのを丁寧に、私の私見も多いですけども、描くとこのような絵になるのではないかと思っております。この絵は学術会議の委員会で提示したもので、今、文科省でも使っていただいたりしているものです。このサイクル、若干説明させていただきますと、左下のほうを見ていただきますと、「モチベーション」と書いてあるところがありますが、研究のモチベーションが何らかの学術論文、学術情報に基づいて始まったとして、それが右の上のほうに回っていく。この流れ、この1つのサイクルを研究のライフサイクルとするならば、1次データ、2次データ(0次データもありますけども)、そういうものから始まって、論理的思考が進み、理論計算、数値計算のキュレーションをしながら論証していく。論証によって一般化するという流れがあります。
 この部分というのはほとんど図書館が関与することなく、データ管理とか運用の部分で、これまで研究室の運用でなされていた部分です。研究者がここにどっぷり浸かっているわけですけれども、現在はそれの右側の研究データのところが、データ駆動とかそれからデータ運用として重きを置かれるようになっています。そこから論文化していくのが右の下側にありますが、ここは今まで研究のリテラシーとか支援、あるいは、リテラシーの中で研究者を守っていくという部分になるわけですが、研究のプライオリティという問題が最近は出ております。それがプレプリントの話です。だから、本当に論文を投稿する前に、論文化して、論文誌を決定して、プレプリントによってプライオリティを守ることになります。そのためにプレプリントが最近注目を浴びているわけですが、最近というのは、arXiv.orgが1990年代からあったものに対して、バイオ系が特にコロナによって注目されるようになったわけです。日本でいえばJxivとかが準備されています。このプレプリントというのは雑誌ではなくて、研究のプライオリティを守るためのオープンデータの1つの取組です。そのオープン化がさらに、著者と共に回っていきますと、査読を経て出版に居たり、機関リポジトリのほうに移っていく。
 この過程が、見ていただきますと、左下の部分というのが、論文誌で関わりますジャーナル問題のほとんどのところでして、ジャーナル問題は、この左下の部分で起こる論文の採択とそれから編集の価値の問題、それから客観性をどうやって確保するかという意味でオープン査読というのが入ってきたりしていますけども、そういう論文採択から出版をするという過程が非常に重要なわけです。ここにジャーナルの経費が払えないと読めないという問題が出てきます。さらに、APCを含むオープン化の流れがありますけども、論文の出版費用を払わなければ書けないという問題が起きます。読めない、書けないというのがここで起きてきて、多くのこれまでの先生方がここの委員会でも発言されますジャーナル問題というのは、ここの左下の部分なんです。
 ところが、世界の今の趨勢は、右上のデータ駆動からデータのプラットフォームの方向に動いている。そのことを忘れて左下に注目してしまいますと、時代遅れというか、これからの研究には資さない形になりかねないということです。
 さらに、ファンドとか、それから、あるいは所属機関、あるいはコミュニティからいきますと、この垂直軸の研究公正とか研究のリテラシーというところの圧力がかなり強くなっています。本来ならば左下から右上のほうに研究の流れをつくっていくべき研究者が、そこからずれる、位相がずれる研究構成あるいは研究リテラシーのほうに物すごい圧力を受けているということを見ていきますと、このサイクルを回すのは非常に難しいであろうというのが想像つくわけです。これがこのライフサイクルの絵でございます。
 主戦場となっています研究のデータ関係は右上に行っているわけですけれども、この流れをどうやってこれからつくっていくかというのが日本の重要なところです。図書館が、左下ばかり見ておりますと、この全体の流れを見失ってしまうということが簡単に言えるかと思います。
 重要なことは、出版して機関リポジトリに戻ってきたところに著者版を公開するというリポジトリの話と、同時にデータをオープンにしていくという流れは、やはり図書館が関与するところではありますが、ただもらったものをオープンにするんじゃなくて、それが次の研究に資する形で戻していくという環境をつくらないといけないということが言えるかと思います。
 それで、単純にこれを認識したら回るわけではなくて、次のページよろしくお願いします。このサイクルを回していくためにはどう考えるかなんですが、上半分はデータ管理、下側がオープン化というふうに大きく分けられますけれども、これを先ほどのデジタルツインという考え方ではなくて、現状の大学で行われているようなデータ管理、始まっているデータ管理、それから図書館が関与するオープン化という流れを1つの流れのフェーズとして見ていただいたときに、何ができていないか、組織として何が必要かというものを考える必要があります。結局はフィジカルの実験研究系というのは、そのフェーズ、フェーズで人が動いていくわけですが、個人が全部これを回すということはほとんど不可能に近いです。
 大学の中で研究者のヒアリングをいたしますと、自分たちが全て回して1つの研究だけにかかりっ切りになるのではなくて、研究の本質的な部分で回したい。そのためにはどういう人がいればいいかということを聞き取った結果がこの絵でございます。
 例えば実験データ、電圧データとか、それから流れのデータとか、いろいろありますけれども、そういうものをデータ化するデータのエンジニア、それからそれを解析していく部分、データとしての在り方、標準化を取っていくようなデータアナリストの部分、それから、キュレーションする人たち、こういう人たちがいれば、自分たち研究者が、自分もやりますけども、ある程度ツールが決まってほとんど流れるようになれば、その部分は作業化します。その作業をアルゴリズムにしていく人たちが欲しい。
 あるいは、データ駆動になったときは、データサイエンティストとしてもっと一般的なところの議論ができる人が周りにいてほしい。
 それから、論文化する前に知財オフィスとの議論がしたい。
 あるいは、論文化するときにどこを選ぶか、あるいはプレプリントどうすればいいかというライブラリアン、それから、ライセンスをどうするかという意味のライセンスライブラリアン、データライブラリアン、こういう人たちが間に入っていくことが重要だということでございます。
 研究に専念することがいいことかどうかというのは議論の余地があると思いますけども、単に研究者がかすみで生きるのではなくて、こういう流れの中で、役割分担の中で、もっとより本質的な研究のところに関与していけるような体制をつくるということが重要であろうというのが学内でも議論しているところでございます。
 竹やりの精神論ではなくて、きちんとこのプロセスを回す、サイクルを回すという体制を整えるのが、今後、大学のデータの運用支援として重要ではないかと考えております。
 このサイクルを回す中で人を配置するということは人を育成するということですので、そういう中で図書館で育成された人たちが研究全体の流れを見ながら関与していくということが、将来に向けて、研究データの運用支援、人材養成が進み、単に左下で議論しているオープンアクセスの問題を、データも含めた右上の部分での主戦場にまできちんと対応できるような体制を整えていくということが重要なのではないかと思います。
 要するに、オープンデータのイメージができていませんと研究のプロセスを知らないということになりますので、そういうことを図書館の人たちが嫌うということは当然あるかと思いますけれども、図書系職員の方々で関連する人たちは、比較的情報的な技術に強いという人たちがたくさんいらっしゃいます。ですので、自分のスキルの中でこういうところにマッピングすることによって全体の研究の支援の体制をつくるということが重要ではないかということをお話ししてきました。その意義づけがこの委員会の中でされることが重要ではないかと思っております。
 以上でございます。よろしくお願いいたします。
【竹内主査】  引原先生、ありがとうございました。先ほど引原先生からもおっしゃっていただきましたけど、本日はこれからの大学図書館機能に関する基本的な考え方の議論で、その議論のきっかけということで先生に御発表をお願いしたわけでございますが、そういったことを考えますと、議論の本質的な部分というのは、この後の議論の中で、テーマごとの議論の中で、ということになるかと思います。しかしながら、今の先生の御発表に対して、委員の先生方からの御質問も幾つかあるかと思いますので、短時間ですが、質疑をさせていただきたいと思います。御質問のある方いらっしゃいましたら挙手をお願いできますでしょうか。
 では松林先生、お願いできますでしょうか。
【松林学術調査官】  よろしくお願いいたします。学術調査官の立場で申し訳ないんですけれども、お教えいただきたいことがございまして、最後の人材のところなんですが、図を拝見していますと、どちらかというとライブラリアンはというか、図書館としては、最後の論文として発表されたもののデータをオープンにするというところを中心に担当していくというイメージなのかなと思ったんですが、途中で少し上のほうにも関わっていくというようなことをおっしゃっていたようにも思いまして、そこのところは、どちらかというと切り分けるべきなのか、それとも上の研究のプロセスで生まれてくるようなデータのこともライブラリアンが見ながら最終的にオープン化していくというところを担当するという話なのか、どちらのほうが強いのかというのをちょっとお教えいただけるとありがたいのですが。
【引原委員】  御質問ありがとうございます。おっしゃっているところは、結構曖昧にお話ししました。というのは、現状でいえば、左下の図書館の人たちが対応している部分というのが非常に強いわけです。だから、その仕事をなくして上に行きなさいということは当然ないと思います。
 ですので、それはこれまでの仕事の延長というか、流れの中でやることは当然であろうというので、そういう言い方をしていますけれども、私自身からすれば、無理にデータ処理をしなさいと言うつもりは全然ありません。ただ、全体の研究の流れを分かっているときに、最後のデータライブラリアンの方々がリポジトリでオープンデータをつくるというのは何のためかということをきちんと認識して、次のサイクルを回すための支援に使われるんだよと考えたときに、メタデータがどうあるべきかとか、データの構造がどうあるべきかとか、そういうことをちゃんと研究として把握すべきだと私は思っています。
 よくある意見は、図書館の職員が研究までするのかということが言われるんですけれども、研究支援をする限りは、研究がどう動いているかということを知らなければそれはできなくて、単なる図書館の人たちの押しつけにすぎないわけです。
 だから、私としましては、図書館にしても、情報系の人にしても、結局、主人公である研究者、若い学生の方々に並走しながらこれを回すということをしていくべきだと私は思っています。情報は処理したら次流すということで満足する場合が多いんですけれど、それでは研究の支援にはならないということは常に私は言っています。
 ですので、最初はそこでしょうけども、自分たちが全体を把握したら、より違うところに支援が移っていく可能性というのはあるのではないかと思っております。
 現に、この間のセキュリティーの文科省の訓練に出ておりましたけれども、その中の何人かは図書系の方々が情報系に転じておられました。その中で、セキュリティーというか、データをどう守るかというようなことの訓練を一緒に私もさせていただきました。
 というふうにスキルは十分にあるのではないかと思っております。
 以上、お答えになれましたら幸いです。
【松林学術調査官】  どうもありがとうございました。
【竹内主査】  ありがとうございました。ほかはいかがでございましょうか。
 石田先生、どうぞ。
【石田委員】  引原先生、どうもありがとうございました。1点、今出ている4枚目のスライドの中で、「データキュレータ」というものがありますけれども、もう少し具体的にどのような支援をするのかというところを教えていただけますでしょうか。
【引原委員】  ありがとうございます。データキュレーションというのは、非常にいろんな意見があるところだというのは理解しています。データをキュレーションするということ自身が、データの質の問題なのか、データの妥当性の問題なのか、あるいは、データがスパースであってなかなか足りないからもっと埋めなさいというのか、データの構造の問題なのか、それは研究によって変わってくると思っています。
 ここで書いていますのは、データが出てきて検証の過程に入ったデータが、理論値あるいは数値計算にかけていく過程で、このデータで十分だろうかということを理解できる人たちがなければいけないのではないかというふうな判断をして書いています。
 私の分野だと、実験データとシミュレーションというのを走らしてみて、これは駄目ねとか言ってここで戻すというようなことをしますので、キュレーションというのが論証の一般化に入ってからでは遅いと判断しています。
 これは分野の問題がありますので、例えば人社系だったらここに入るのかどうかというのはちょっと違うかなと思ったりもしています。もう少し雲のようにこの辺りにかかっている存在じゃないかなというふうに。答えを濁していますけども、そういうふうに考えています。逆にお教えいただければ幸いです。
【石田委員】  ありがとうございました。よく研究データサービスでもデータキュレーションという言葉は使っていて、もう少し今のお話よりは内容に踏み込まないというか、研究に踏み込まない形のものなので、ちょっとその辺り、少し分けていくというか、認識を合わせていく必要があるかなと思いました。ありがとうございました。
【引原委員】  ありがとうございます。おっしゃるとおりで、研究に踏み込むかどうかというのは、研究への貢献度によるかと思うんですね。ですから、こういうオレンジ色に塗った人たちは、貢献度が高ければ、著者の一部として全体の研究成果をつくり上げるということはあってもいいと思うんです。それは今後のキュレーターとかアナリストの在り方というのを決めていくのではないかと思います。
【石田委員】  ありがとうございました。
【竹内主査】  ありがとうございました。
 それでは、北本先生、お願いいたします。北本先生の御質問で、恐縮ですが、一応ここの質疑を終わらせていただいて、また引原先生のこの図で議論されていることにつきましては、この後の大学図書館機能の議論の中で扱わせていただきたいと思います。北本先生、よろしくお願いいたします。
【北本委員】  北本です。大変分かりやすい図をありがとうございます。これを見ながらいろいろ考えていたんですけれども、引原先生がおっしゃる「回す」という言葉から、フライホイールというか、はずみ車の考え方を思い出しました。少しずつでも回していくと、だんだん回転数が速くなって、回り続けるようになるという考え方と対応させると、非常にわかりやすいと思いました。ただ、回すことを意識したときに、それぞれの人がやること、つまりタスクの記述はやや違う書き方になっていくのでしょうか。今まで回すという意識はあまりなかったと思いますが、その辺りについて教えていただけると幸いです。
【引原委員】  ありがとうございます。ちょっと絵の描き方自身が、悩んだんですけども、例えばデータアナリストとかをぽんと矢印で書いていますけども、どちらかというと、このサイクルを回すために接線方向から、2次データから論証データのところへトルクがかかるような、そういうイメージで書きたかったんですが、なかなかうまく書けなくて、こんなふうな形になったものです。
 先生おっしゃったように、回すことによって研究者が次のところへステップを踏んでいけるというイメージのほうが多いのではないかなと。ですから、ポイントではなくて、丸をつないでいる部分に役割を持っているのがこういう人たちであろうと判断しています。
 お答えになったでしょうか。
【北本委員】  はい。ありがとうございました。
【竹内主査】  ありがとうございました。それでは、引原先生のプレゼンに対する質疑は以上とさせていただきまして、続きまして、事務局より「今後の大学図書館機能に関する基本的な考え方」についての説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
【藤澤学術基盤整備室長】  では、資料2を御覧いただければと思います。こちらが「今後の大学図書館機能に関する基本的な考え方(案)」ということで示させていただきました。委員の先生方におかれましては、一度見ていただいてさらに御意見いただいているというところでありますが、それを踏まえてつくらせていただいております。時間も限られていますので、ある程度省略して進めます。
 まずこちら、最初のところですけれども、令和2年9月に示された「コロナ新時代に向けた」という、この提言がございます。その中で大学図書館が相互に連携したデジタル・ライブラリとなるよう検討、取組を進めるべきと明記されています。
 さらに、随分前になるんですが、平成8年7月の学術審議会の建議の中でも、電子図書館の機能という側面から電子図書館について書かれています。
 こういったことを踏まえまして、これからのデジタル・ライブラリを実現するため、次期科学技術・イノベーション基本計画が終了する2030年度を目途に、以下3つの項目の観点からオープンサイエンス時代に求められる大学図書館機能を検討・検証し、実施可能なところから取り組むということでございます。2030年度というのは令和12年度でございます。
 デジタル・ライブラリを実現していくための3つの項目ということで、まず1つ目でございます。大学図書館が扱うコンテンツについてです。大学図書館のデジタル・ライブラリ化に対応するため、今後の教育研究における利用に適した形式でコンテンツの電子化を進めるとともに、コンテンツの有効な利活用を支援する様々なサービスの在り方を含め、現在行っている業務を利用者の視点から再構築する。
 2つ目でございます。既存のコンテンツの電子化に当たっては、各大学図書館で電子化された資料を国立国会図書館に集約し、ナショナル・アーカイブを構築するなど、引き続き、我が国の学術情報の集積、デジタル化及び学術情報の流通促進に向けたシステムを整備する。
 3つ目です。研究者とともに研究活動サイクルを回す大学全体の研究推進体制の構築(オープンアクセス、研究データ管理などを含む)や、教育のデジタル化の動向と連動し、この新しい体制における大学図書館の役割を明確にするということでございます。
 その後に具体化のための検討事項ということで3つ掲げております。まず1つ目は、既存のコンテンツにつきましては、バックアップとしての紙資料の保存。2つ目、既存のコンテンツのデジタル化ということで、紙媒体資料の電子化、ナショナル・アーカイブの構築に向け、国立国会図書館と連携・協力する際の課題の整理。3つ目、デジタル資料、電子資料の収集・管理、オープンサイエンスに関する方針の策定、上記方針に基づく研究成果の発信、研究データ管理・利活用支援、教材作成における著作物の利用促進に関する支援ということで、※1のついたものは、これは大学関係部署と連携・協力が必要だということで、示させてもらっております。
 2つ目でございます。大学図書館という「場」についてです。デジタル・ライブラリが物理的な場を意識しない大学図書館への変換が必要とされる。大学図書館機能を充実させるため、教育や研究のコンテクストを踏まえて、利用者がどのような空間を必要とするかを整理・再検討し、それを反映してデザインされた「ライブラリ・アーキテクチャ」を構築する。
 その際、現在、主に大学図書館が担っている学習環境整備に関する既存業務については、これまでの活動の評価を踏まえ、大学図書館員が引き続き行うかどうか、改めて整理するということです。
 具体化のための検討事項としては、こちら2つ掲げております。利用者にとって最適な利用環境を実現するためのプラットフォームの構築。
 ラーニング・コモンズの運用は、教育の観点から、学生対応を行っている部署を含め、大学内での役割分担を整理するというものでございます。
 3つ目でございます。人材育成についてです。今後の大学図書館の役割の明確化とそれに基づく業務の再構築を踏まえ、大学全体における人的資源配分の見直しや研究推進体制の構築等と連動する形で大学図書館における組織体制と人的資金配分を見直す。
 併せて、デジタル・ライブラリで求められるスキルについて整理検討する。大学図書館職員の専門資格として新たな認定制度を構築するなど、専門職としての能力開発を促進し、新たなキャリアパスを形成するとともに、それに適した組織体制、制度を構築する。
 次です。具体化のための検討事項としては、人事育成プログラム・カリキュラムの策定と、これを実効性のある形で運用する仕組みの構築。
 そして、今挙げました3つの項目を進めるというためには、大学図書館間の連携が必須である。そのため、以下の取組を進めるということで、一大学一図書館という前提にとらわれず、複数の大学図書館でコンソーシアムを形成し、相互運用の観点から連携して対応する。
 2つ目でございます。デジタル・ライブラリ構想を実現する過程で、今後新たに生じる共通の課題に対応する組織形態を検討する。
 具体化のための検討事項としてこちらは2つ掲げております。機関を超えた高度な専門人材の配置・利活用、一定の地域内における調達の共有化、クラウド利用、検討委員会等の在り方の検討、以上でございます。
【竹内主査】  ありがとうございました。それでは、ただいま説明いただいた基本的な考え方に示されている4つの論点、4つと申しますのは、番号が振られている1、大学図書館が扱うコンテンツについて、それから、大学図書館という「場」について、そして、人材育成についてに加え、最後に、3ページに書いてございますけれども、3つの項目を進めるために必須である大学図書館間の連携について、この4点でございます。それぞれについて本日は議論を行いたいと思います。
 それでは、まず、大学図書館が扱うコンテンツについてという部分についての議論をしたいと思います。どなたからでも結構でございますので、御発言をお願いできればと思います。よろしくお願いいたします。
 いかがでございましょうか。深澤先生、どうぞよろしくお願いいたします。
【深澤委員】  深澤でございます。まずこの4つの論点について1個1個お話をする前に、この中で抜けているものはないのかというのを少し考えてみました。そうなったときに抜けていそうなのは、大学の執行部だとか、あるいは図書館長だとか、そういう方々にどうやってアピールしていくのかということなしだと、ここでいろんな問題点を挙げても、それは結局取り上げられないようになってしまうことが懸念されるんですが、いかがでしょうか。
【竹内主査】  ありがとうございます。事務局のほうからお願いいたします。
【藤澤学術基盤整備室長】  そこはとても大事なところで、これまでも実は1年半前ですが、まさにジャーナルの検討部会で出された報告書についても、実は大学の執行部にはなかなか周知されてなかったという現状があります。
 ですので、我々としても、ここはいろんな場を通してしっかりと丁寧に各大学執行部まで伝わるように説明してまいりたいと思います。
 以上です。
【竹内主査】  ありがとうございました。恐らくこの文書に書き込むとすれば、プレアンブルみたいな形で、大学執行部等への説明というのは必ず必要なものであるということを必ずどこかに入れるという形であるのかなと思います。ただ、その中身をどういうふうにやるかといったことはちょっと議論する対象ではないかと思いますので、そういう記述をさせていただくということで今日のところは御容赦いただければと思います。
【深澤委員】  結構でございます。よろしくお願いいたします。
【竹内主査】  ありがとうございました。それでは、堀田先生、いかがでございましょうか。よろしくお願いいたします。
【堀田委員】  堀田です。ありがとうございます。今の深澤先生の御質問ともちょっと関係するんですけれども、大学執行部や図書館長へどのようにアピールするかということもそうですし、そもそもちょっと私の理解が足りてないかもしれませんけれども、今回の1、2、3、4という、この内容を含む基本的な考え方というのは、文科省が大学に示すものなんでしょうか。各大学、あるいは大学図書館に示されるものとなるんでしょうか。そもそものところが、私、何か曖昧でして、ちょっとそこが気になっておりまして。すいません、よろしくお願いいたします。
【竹内主査】  これも事務局からでよろしいでしょうか。
【藤澤学術基盤整備室長】  はい。こちら、先生方に今入っていただいております大学図書館の在り方検討部会のまとめとして大学図書館のほうに示すという形でございます。
 さらに、それをどう具体化していくかというのは、こちらの報告書を踏まえて、文科省として今後どういった施策が考えられるかというところを検討していこうと考えております。こちらの報告書をベースに、我々は政策を打ち出していくというものでございます。
 以上です。
【竹内主査】  堀田先生、よろしいでしょうか。
【堀田委員】  はい。ありがとうございます。そうしますと、これが直接大学図書館のほうに行くということだとすると、今さっき挙げられたように、1年半前に出された学術情報に関するものですか、実はそれも私1年以上遅れてから受け取ったんですけれども、そういうものが、検討部会が文科省に対して提言をして、それで文科省がいろんな政策を考えていくということかと私、実は最初思っていたんですけども、そうではなくて直接大学あるいは大学図書館に出されるものだと。もちろん理想的なことが書かれているというのはすばらしいと思います。内容はこれからまた議論されると思うんですけども、こういう書き方、内容で大学図書館側が果たしてきちんとメッセージを受け取ってくれるかどうかというところが、私、ちょっと心配になってくるんですけれども。何か一方的に感じられたりしないかというところは懸念するところです。私の感想込みで。
【竹内主査】  今の堀田先生の御意見につきましても事務局からフォローしていただけますか。
【藤澤学術基盤整備室長】  まさにそこは懸念されるところでもあり、実は先日、それぞれの図書館に、ジャーナルのまさに1年半前の結果ですけれども、さっきのちょっと繰り返しなりますけれども、説明したとき、各執行部になかなか伝わってないというのが実は現状としてありました。そういったことも踏まえまして、我々としては、なるべく、いろんな場で、例えば、国立大学でいえば国大協のいろんな委員会とか、あとは国公私の図書館協会とか、そこにまた伝えていきますし、あとは何か機会あるごとになるべく伝えようとは思っております。
【竹内主査】  ありがとうございました。
【堀田委員】  承知しました。
【竹内主査】  確かに今堀田先生から御指摘がございましたように、理想的なことと言ってしまえばそうなんですけれども、とはいえ、グローバルな研究動向であるとか、あるいは学術情報に関わる状況というものを見てまいりますと、これが単に理想論だという状況ではないのではないかと私は考えております。もちろん日本の大学というのは大きな大学から小さな大学、非常に多様でございますので、全ての大学にとってこれをきちんとゼロから100までやれというようなことは恐らく言えないと思うんですけれども、しかしながら、それぞれの大学が何を大学のミッションとして考え、何を重要として考えているかという文脈の中で、それぞれが図書館はどうあるべきなのかということを考えていく上でのヒント、手がかりというのは今回のこの文書で提示できるものと考えております。
 ジャーナルの問題のときもそうでしたけれども、この議論を踏まえて、誰が何をやるのかといったようなことについては、それぞれある程度きちんと示したということがございます。たしかジャーナルのときには、文科省がどういう対応するか、あるいは大学執行部がどういう対応するか、大学図書館はどういう対応をしていくのかというようなことで議論がされていたと思いますので、今回のこのまとめを考えていく中でも若干そういうところは考慮していく必要はあるかと思いますが、ただ、これは今後の大学図書館機能に関する基本的な考え方というものでまとめようとしているものでございますので、一つ一つの大学からすれば、そんなこと言われても無理だということはあるかもしれませんけれども、でも、我々としては、目指すべき方向としては、これを共有するという形で進めていくのがよろしいのではないかと考えております。
 ちょっと主査があまりこういうことを申し上げてはいけないかもしれませんが、あえて私の考えとして申し上げさせていただきます。
 堀田先生、よろしいでしょうか。
【堀田委員】  ありがとうございます。すみません、私も何か余計なことを申し上げたかなとは思いつつも、そこの部分、確認できましたので、そういうことで私も理解しております。よろしくお願いいたします。
【竹内主査】  よろしくお願いいたします。
 では、基本的な考え方という文書の性格についての議論ということになりましたけれども、最初の説明の筋書に戻りまして、まず大学図書館が扱うコンテンツについてというところについて御意見をいただければと思います。いかがでございましょうか。
 大藪先生、よろしくお願いいたします。
【大藪委員】  1番のところなんですけど全てに対して、大学の規模感によって、できないところは全然できない。大きなところは、例えば旧帝大さんとかだったら人数もいらっしゃって、お金もあったりとかしてできるかもしれないんですけども、やはりそのときに、基本的なことで共有したいことなんだけど、それを例えば図書館なり執行部に言ったとしても、うちは関係ないとなってしまうと思うんですよ。
 だから、そうならないために、例えばこのぐらいのレベル感の大学はこのぐらいのことができますとか、このぐらいの中小のところでも、人がいないところでもこのぐらいのところは最低ラインとしてやっていきましょうとかというふうにして分類分けしないと、全てこれだったとすると、例えば1番だったら、紙媒体と資料の電子化だったら、全然電子化を行ってきていない図書館とかもあるわけで、そうすると一体どれからやったらいいのかと、いろいろ人もいないということになるので、基本条件なんだけども、提案の仕方のときに、大学のレベル感みたいのところはやはりコメントしながら丁寧にやらないと、関係なくなって、情報は入っていかなくて、執行部もオーケーとしないということになってしまうんじゃないかなと思いましたので、併せてのことですけど、意見させていただきました。
 以上です。
【竹内主査】  ありがとうございます。確かにおっしゃるとおりに、ここに書いてあることだけを見ると、とんでもないことを各大学がやらなきゃいけないと見えると思うんですけれども、もちろん今大藪先生おっしゃったように、各大学で何が必要かということは大学のミッションに多分よってきてしまうと思いますので、一律にこれをやれということには多分ならないと思います。
 それからもう一つ大事なことは、最後に4つ目の論点として挙げております大学間の連携が必須であるということです。今1つの大学でやることは難しいことであっても、連携を進めていくことによって協力し合ってできることというのはたくさんあるのではないか、特にデジタルの環境ではあるのではないかというのが基本的な考え方かと思いますので、その辺りも十分に書き込んでいきながら、十分な資源を持たない大学が一方的に置いていかれるというようなことはなるべくないような形でこれを実現していくということについては意識をした書き方をしていきたいと思います。
 ありがとうございました。ほかはいかがでございましょうか。尾上先生、よろしくお願いいたします。
【尾上委員】  尾上でございます。ありがとうございます。僕から申し上げるより引原先生なのかもしれませんけども、今回、これ、大学図書館が扱うコンテンツということで、資料ではなくてコンテンツとしていただいているところがみそだと思っていまして、この前の国立大図協のシンポジウムで引原先生おっしゃっていたような話で、やっぱり物から分離した情報というところも含めてコンテンツとして考えていかないといけない。そういう観点を具体的な検討事項の中に何か入れておくといいかなと思ったんですが、これ見ると、何となく電子資料をデジタル化するところと、デジタルでもある雑誌的なものであるとか研究のデータとかぐらいが対象になっているように思えるんですが、やっぱり限定的じゃなくて、物理的なものからさらに情報を引き出すというところ、その引き出した情報を図書館がデジタル・ライブラリとして提供していくという観点は非常に重要だと思いまして、何かそういうものが追加できるといいかなと、議論としてはいいかなと思いました。
 以上でございます。
【竹内主査】  ありがとうございます。また、その辺りの具体的なイメージについてぜひ尾上先生から具体的な御提案をいただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
 ほかいかがでございましょうか。引原先生、よろしくお願いいたします。
【引原委員】  すいません。1番の中で国立国会図書館の役割というのが結構強めに書かれていると思うんですけれども、これは本当にこういうふうに動いて軸になっていただいたらありがたいことであると思うんです。その辺りの本当の国立国会図書館としての考えを私一度お聞きしたいなと思っているんですが、高品さん、お聞きできるでしょうかという、すみません、私が勝手にお願いしたいんですが。
【竹内主査】  ありがとうございます。この辺りは若干、主査の暴走ぎみな記述ではありますので、その辺りについては、本当に最終的な調整が必要なところと私も理解しておりますけども、今日の段階でもしオブザーバーの高品課長から何か御発言いただくことがあればお願いいたします。
【高品課長】  オブザーバー参加している高品でございます。本日はリアルの場で出席し、発言の機会をいただきまして、ありがとうございます。
 竹内先生のお力添えによると思いますが、国公私立大学図書館協力委員会と国立国会図書館との連携に係る検討会議が設けられ、実務者を中心として、大学図書館と国立国会図書館でどういった連携が取れるかということが議論されています。最終報告のまとめ段階にあると聞いておりますので、その内容を引き続き具体的にできる場を、2030年度に向けて具体化していきたい所存でございます。
 以上でございます。
【竹内主査】  ありがとうございました。国立国会図書館は、既に大学図書館に限定せずに、図書館等に向けまして電子化されたコンテンツを受け入れていくという方針をお示しになっていらっしゃいますので、既にそのことは既定の事実であると私は理解をしております。
 ただ、ここに書かれているようながっちりとした協力体制をどのように組んでいくかということにつきましては、もしかすると大学図書館側の一方的な片思いというようなところはまだあるかもしれませんので、その辺りにつきましてはぜひ今後調整を進めていければと考えているところでございます。
 それでは、坂井先生、お願いいたします。
【坂井委員】  竹内先生、引原先生、大変ありがとうございます。デジタル資料について、先ほどの尾上先生のお話とも関係ありそうなことで一つあります。センサー等から直接得られるナマの1次データの管理とか、利活用というのがあるといいかなと思いました。
 その心は、研究者があらかじめ意図して詳しく調べてから取ったデータというよりは、ナイーブに何となく取ったデータ、例えば東大アジア研究図書課でいえば、エジプトの風景をただビデオで撮ったもの、だけど、何かもしかしたら研究に資するものが得られるかもしれないとか、そういう感じでセンサーから得られた1次データというのを管理、利活用するというのを入れて置けばと思いました。ここにあえて書いておくと、システムとかのお話ともつながるかなと。例えばAIを使って、加工以前のデータを自動で利活用できるかもしれないとか、そういうのがあるかと思います。つまり、ここでデジタルデータの範囲を、センサー系から得たナマのデータまで広げて書いてみるというのはあるんじゃないかなと思いました。
 以上です。
【竹内主査】  ありがとうございます。大変重要な示唆をいただいたかなと思います。これにつきましては、恐らく研究データ管理というときの研究データって一体何を含むのかといったことと恐らく密接に関わってくることであろうかと思います。そこにつきましては、確かに現時点ではあまり書き込まれていないところでございますので、そういったことをきちんと書き込んでいけて具体的なイメージが伝わるようなものにしていきたいと思います。
 ありがとうございます。ほかにいかがでございましょうか。引原先生、どうぞ。
【引原委員】  すいません。ありがとうございます。今坂井先生、非常に重要なことを御指摘いただいたと思うんですが、学術会議のほうではゼロ次データという話を使っていました。ウエットなものというか、例えば海底の岩石のデータとかが保存されていて、そういうものが新しい分析法でデータ化すると違うものに見えてくるということが実際にございます。そういうものを想定した、今後のデータの変化ですかね、そういうものも含めたものも余力として残しておくべきかなというふうに、今坂井先生の御発言を聞いて思いました。
 ハリウッドなんかはリポジトリで音声データみたいなのをいっぱい、何とも分からない音のデータを持っているんですけども、それを集めることによって映画の宇宙人の音みたいなのが出来上がったりする。そういうものが現実にはあるわけで、何に使うか分からないデータというのはそれなりに意味がある可能性もあるということはあると思いますので、ぜひよろしくお願いいたします。
【竹内主査】  ありがとうございます。深澤先生、お願いできますでしょうか。
【深澤委員】  今の流れの中での話なんですが、研究データ集めたら管理しなきゃいけない。集めっ放しだといろいろ問題が起きるかもしれないので、研究データ集めたら、それをきっちり管理しなきゃいけないということで、NIIとか、あるいは大学ICT推進協議会だとかで研究データ管理に対する幾つか提言がございますので、参考にしていただければと思います。
【竹内主査】  ありがとうございます。
 ということで、ほかに論点の1のことについて御意見等ございますでしょうか。
 それでは、時間の関係もございますので、次に2の大学図書館という「場」についてのほうに移らせていただきたいと思います。この事柄につきまして議論いただきたいと思いますが、少し私から補足をさせていただきますと、ライブラリ・アーキテクチャという言葉が出てまいります。これにつきましては、実を申し上げれば、私が坂井先生と話をしているときに出てきた言葉を入れさせていただいているものでございまして、ライブラリ・アーキテクチャって一体どういうものかというのはひょっとするとイメージしづらいものかと思っております。
 坂井先生、大変恐縮ですが、この辺り、少し補足で御発言いただけないでしょうか。
【坂井委員】  本件、言ってしまってから、ライブラリ・アーキテクチャって図書館の建築のことを指すような気がしていて、もうちょっといい言葉あったかなと反省しています。要するに、論理構造ですよね。データベースの概念スキーマみたいな、そういうものをバーチャルとフィジカルの両方の空間にまたがってつくるということ。何かほかにいい言葉があったらぜひ変えていただきたいと思います(私も引き続き考えて見ます)。
 Society5.0に向けたリアル、バーチャルの全体論理構造ですね。すいません、言葉がよくなかったかもしれません。
 以上です。
【竹内主査】  いえ、とんでもございません。恐らくその前にデザインされたという言葉がくっついているので、余計、今坂井先生が心配されたような受け止め方がされるかと思うんですけれども、しかしながら、今先生がおっしゃったような論理構造というのは明確ではないと、物理的な場、リアルな場、それからバーチャルな場というのを考えたときに、全てがぐじゃぐじゃになってしまう可能性はありますので、やはり何らかの表現、ライブラリ・アーキテクチャという言葉をこのまま使うかどうかは別といたしまして、やはりその辺りはきちんと説明していくということが必要かなと思っております。
 もし坂井先生、何かいい言葉がありましたら、ぜひ改めて御提案いただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
 ここにつきまして、何か先生方から御意見等ございますでしょうか。
 まず大藪先生、お願いいたします。
【大藪委員】  具体的に実際図書館がというときになると、じゃあ、これ誰がつくるのかという。バーチャルとリアルなのがあった面白いなと思うんだけど、実際つくれるのって、図書館の人がつくれるのか、情報のところの人がかなり関係してくる。そことうまいことやらないと多分できないなというのがあるので、複数の大学図書館同士でやるというのはいいことだとは思うんですけども、それだけでは多分駄目で、情報系の人たちがかなり必要になってくるけれども、情報系の人たちは大学のDXでいっぱいいっぱいなので例えばグーグルで何かができるとか、こういうのができるからこういうのをつくってくださいというのを提示しないと、具体案を提示しないと、この辺は、面白いと思いますけど、実際こうなって、こういうふうにしてやるとこうなりますと、こういったものが実際にありますと、これはこういうふうにして使えますというところまでがあると本当に分かりやすいのかなと思いました。
 以上です。
【竹内主査】  ありがとうございました。その辺りは書きぶりという話になってくるかと思いますので、留意したいと思います。
 では、坂井先生、先にお願いいたします。
【坂井委員】  今の大藪先生の御指摘は、ごもっともだと思いました。小さなパイロットシステムをどこかで、科研費など補助金をいただいて作るというのはいかがでしょうか。私は情報系の人間なので、システム作りから入って、やっていこうと思っちゃうんです。いきなりここの場で誰でも使えるものって、誰にとっても価値のあるものをつくるなんて無理でしょう。どこがいいんですかね。NIIの上でつくるのがいいでしょうか。用途を限って小さなパイロットシステムを作ってみる。それをここに書くかどうかはまたちょっと別なことではありますけど、そういうか何か、将来の図書館に向けたブートストラップ的な作業を前提とした書き方はあるかなという気がしました。
 あと、それからもう一つは、ここで書いておいたほうがいいと思うのは、計算機センター系ですね。京大でいうと学術情報メディアセンター、あるいは阪大でいうとサイバーメディアセンター。そういうところとの連携とか、協力とか、役割分担とか、そういう話も一言入れておいたほうがいいかなという、そういう気がしました。
 以上です。
【竹内主査】  坂井先生、大変具体的な御提案いただきまして、ありがとうございます。そのような書きぶりにしたいと思います。
 石田先生、お待たせいたしました。よろしくお願いいたします。
【石田委員】  具体化のための検討事項の2つ目のラーニング・コモンズの運用についての記述なんですけれども、これ、役割を整理と書いてあるんですが、具体的に何を想定されているのかというところがちょっと分からないので、教えていただければと思います。
【竹内主査】  じゃあ、これは事務局からお願いいたします。
【藤澤学術基盤整備室長】  ラーニング・コモンズ、実際支援を行っているのはもちろん大学の図書館の方々だというのは分かるんですけれども、ただ、今後図書館の方々に新しい役割とか、そういったことが今の絵の中で加わってくると、今実際運用も図書館の中でやっているということだと、負担が大きくなり過ぎるのではないかと。
 ですので、例えば、学生部とか、大学の中に教務課とか、いろいろあるかと思うんですけれども、実際のそこの運用は、そちらのほうの学生主体のほうにお願いして、別なことにさらに注力していただきたいというようなイメージでございます。
【石田委員】  分かりました。ありがとうございました。ラーニング・コモンズって、割と大学図書館では重要な役割を果たしてきて、重点を置かれていたところなので、こういう方針にするのであればちょっと慎重に検討したほうがいいかなとは思いました。
【藤澤学術基盤整備室長】  ありがとうございます。
【竹内主査】  ありがとうございます。佐藤先生、よろしくお願いします。
【佐藤委員】  佐藤でございます。今の御説明を伺っていてちょっと分からなくなってきたので確認させていただきたいのですが、ここで言っている大学図書館という場というのは、人と人とが出会うスペースというような意味での場なのかなと前もってイメージをしていたのですが、どうもお聞きしていると、利用環境というような意味合いなのかなという気がしてきまして、どちらのほうに主体があるのか。もし利用環境ということであれば、場という言葉ではなくて、利用環境と言ってしまったほうが分かりやすいのかなという気がしまして、その辺のイメージがちょっと明確化できなくなってしまったものですから、確認をさせていただきたいと思いました。
【竹内主査】  ありがとうございます。これは利用環境ですよね。
【藤澤学術基盤整備室長】  利用環境、そうですね。
【竹内主査】  佐藤先生がそのように迷われた理由というのは、やはりそれはリアルな場とバーチャル場の両方が融合するというか、双方を考えていくというようなところで捉えると、場という言葉だとやはり物理的な場のほうに強く引きずられてしまうということでしょうか。
【佐藤委員】  物理的な出会いのところで、例えば今までの図書館サービスというのは、人と人とが接触するところで成り立ってきていたものが、これがバーチャル化して、いろんなサービスがオンラインで行われるようになってきました。一般的にはそういった場合に、全体の利用者に対する支援というところも含めて、ビジネス系ではユーザーエクスペリエンスといった言葉が使われるようになってきているように思います。そうした点で考えると、場というところがやっぱりどうしてもフィジカルに引きずられかねないかなというところがありまして、ちょっとすごく抽象的で曖昧にならざるを得ないのかなという、そういう懸念を持ちまして発言させていただいた次第です。
【竹内主査】  分かりました。今の御発言の趣旨は、フィジカルなものに引きずられないようにということですよね。
【佐藤委員】  はい、そういうことです。
【竹内主査】  分かりました。じゃあ、ちょっとその辺りにつきましては、ワーディングどうするかということについて、御趣旨を踏まえて少し事務局とも相談をさせていただきたいと思います。ありがとうございます。
 私の個人的な意図としては、これは物理的な場に限定しているわけでは決してないということだけは申し上げておきます。
 引原先生、お願いいたします。
【引原委員】  すいません。今、御指摘があった部分かもしれませんが、要するにコモンズというものの考え方というのが、かなりラーニング・コモンズとしては浸透したんだけども、そこから先にどこへ行くかというのが明確ではないことに起因するのではないかなというような気がしています。コモンズ自身が機能を実現する場というか、関係というか、人同士の関係というか、そういうものに置き換わっているのであればバーチャルであっても全然問題ないので、ラーニング・コモンズという言葉が持っているスペース的なイメージがちょっと強いのではないかなという気がしましたので、一言言わせていただきました。
【竹内主査】  ありがとうございます。基本的には、先ほどの佐藤先生の御懸念、それから引原先生の御意見というのも恐らく多くの方々には共有されているものではないかと思いますが、言葉の問題として誤解を招かないようにということであると理解いたしました。
 また、ラーニング・コモンズのその先は何かというのは非常に重要な御指摘でございまして、それにつきましては、これまでの活動の評価もきちんとした上で考えないといけないということかと思っております。
 ありがとうございます。では、この論点につきまして、ほかに御意見等ございませんでしょうか。
 いかがでしょうか。もしなければ、次の3の人材育成についてというところに移らせていただきたいと思います。人材育成についてというところに関しまして、御意見等あれば、お願いをいたします。
 いかがでしょうか。尾上先生、よろしくお願いいたします。
【尾上委員】  すいません。ありがとうございます。これ1番目の丸のところでいうと、ちょっと育成というか、人材確保のことも書いてあるような気がするので、人材についてのほうがいいのかななんて、あるいは確保と育成か。あとはすいません、具体的なところは、これはタイポでしょうか、人事育成と書いておりますが。
【藤澤学術基盤整備室長】  すいません、ちょっと言葉、もしかすると、ちょっとごちゃごちゃになっているところがあるかと思います。そこは整理させていただきます。人材については、いいと思います。
 以上です。
【竹内主査】  ありがとうございます。今事務局からも御発言がございましたけれども、確かに育成だけではなくて、制度に関わるものも含んでいるということでございますので、それをちゃんと反映する見出しにするとともに、先ほど事務局から御発言ありましたようにこの、3ページの一番上のところだと思いますが、人事というところについては、ちょっと言葉について確認をさせていただきたいと思います。
 ほかいかがでございましょうか。大藪先生、どうぞ。
【大藪委員】  すいません。能力開発だとか、新たな専門資格として認証制度を構築するというのは、これは誰がつくる、つくるというか、もともとあるのではないんですよね。それぞれの大学とか、共通してどこかがつくって新しい認定制度ということなのか、その辺が分かりにくいということと、能力開発の促進というのが、どういう能力を開発したいのかということがもう具体的に書かれていないと分かりにくいのじゃないかなとは思います。小さな大学だとすると、非常に少人数の組織で動かして、人的資源の再配置というのは非常に難しいところもあるので、その辺のところの配慮の書き方もあったほうがいいのではないかなと思いました。
 以上です。
【竹内主査】  ありがとうございました。資格制度の認定というようなことを言ったときに主体が一体誰なのかということと、それから能力開発というときに何を開発するのか、どういう能力を開発するのかという御指摘でございました。この辺は大変重要なポイントかなと思っておりますが、先ほど引原先生からしていただいたプレゼンの中では、研究データ管理、あるいはこれからの研究のデジタルトランスフォーメーションの中でどういう役割をというお話がございましたので、その中にも能力についての、何をというところについてのヒントはあったかなとは思っております。
 事務局からお願いいたします。
【藤澤学術基盤整備室長】  ありがとうございます。まさにそこがとても重要なところで、今後我々としても具体的な議論が必要かなと思っています。まずはここでは基本的な考え方というところで、今主査がおっしゃったような形でいろいろ検討していきたいと考えています。
 以上です。
【大藪委員】  すいません。ありがとうございます。ただもう一つだけ。研究データの管理とか研究データ自体をつくっていくということは本当に図書館がやることなのか。やはり大学としてやってもらわないと、図書館だけがやるというのはどっちにしても無理なので、大学としてコンセンサスを取ってやるべきことなんじゃないかなという気はいたしております。
 以上です。
【藤澤学術基盤整備室長】  ありがとうございます。まさにそういうところもあり、最初の丸のところで大学の中での研究推進体制の構築とか、そういうところも書かせていただいておりますので、その辺も踏まえて書き込んでいきたいと思います。ありがとうございます。
【竹内主査】  ありがとうございました。石田先生、どうぞ。
【石田委員】  私、前にもここで発表させていただきましたように、一応情報専門職の人材育成にも関わっておりますので、もしよろしければもう少し細かいレベルの具体的なスキルについて少し申し上げたいんですけれども、ちょっと細かくはなりますが、よろしいでしょうか。
【竹内主査】  どうぞ。
【石田委員】  先ほど大藪先生もおっしゃってくださったように、やはりこれまでの図書館員の人が持っているスキルが要らなくなるということは多分ないと思うので、プラスに必要な能力というのが出てくるんだと思います。それは図書館の方々はすごく大変だとは思うんですけれども、それは別に1人の方が全部の知識、スキルを持っていなければいけないというわけではなくて、それぞれ、配置というふうな言葉がありましたように、それぞれの知識、スキルを持った専門性の高い人がそれぞれいるという形がいいのかなと思っています。
 大藪先生もおっしゃっていたように、研究データ管理に関する専門人材というのは必要なのかなと考えております。
 例えばどういうスキルが必要かなというのは、私のほうでも自分のところの関係で考えていたりするんですけれども、やはり今まで研究の成果物を、それが論文だったりするわけですけれども、その管理というのは図書館の人がやってきたわけですけれども、やはりもう少し、引原先生の御発表にあったような研究そのものに関わっていくようなスキル、研究そのものに関わっていくような支援をしていく必要があるのかなと思っています。
 そういう意味では、例えばデータの公開とか、そういうときに必要な事柄の支援に関するスキルだと思いますし、あと、ちょうど引原先生がおっしゃってくださいましたし、アメリカの研究データ管理に関する求人情報などでも言われているんですけれども、研究の、もしくはサイエンティフィックワークと言っていましたけれども、全体のプロセスを理解しているかというような話とか、それから研究データライフサイクルを理解しているのかというスキルが必要です。これは多分、ポイントとしては、研究に関わることが必要というわけではなくて、やはり全体の流れを知っていることで、自分が例えば研究データ管理のどこを支援できるのか、もしくは次につながるステップにどういうふうに反映できるのかというようなところのサポートを、要は自分の役割とか、研究データ管理支援としての役割というのをちゃんと認識できるかというようなところの知識とかスキルというのが非常に重要なのかなと思っていたりします。
 具体的にそれをどこまで教えるか、知識、スキルを身につけさせるかというのはちょっとまだ私の中でもはっきりはしてないんですけれども、それが1つすごく重要かなと思います。
 それから、もうちょっとよろしいでしょうか。あともう一つ、図書館の人たちが非常にスキルを発揮できる、能力を発揮できるというところは、やはりデータに関するドキュメンテーションだと思っています。ドキュメンテーションというのはなかなか分かりづらいかもしれないんですけれども、要はデータの出どころから含めた記述の方法、もしくは記述の仕方ということで、具体的にデータを見たときにこういう記述の仕方が必要だというよりは、どういう情報をメタデータとしてきちんと保存しておかなきゃいけないかとか、例えば元データと発表した論文と著者というのをきちんと結びつけるような、今ですとDOIとか、そういったようなものがありますけれども、そういったようなものできちんと関連づけさせて、一貫性のあるデータとしてきちんと結びつけておくというようなことをきちんとデザインできる、考えられるような知識、スキルが一番重要かなと個人的には思っています。
 ちょっとすいません、レベルのばらばらな感じで申し上げましたけれども、そういうような形の知識、スキルもこれからは重要になってくるのではないかと思っております。
 以上です。
【竹内主査】  ありがとうございました。人材に関するところではこれからのデジタルレベルに求められるスキルというところが非常に重要でありまして、引原先生が今日御説明いただいた資料の最後のところでも、それぞれの役割を持った専門家が関与するということがあるわけでございますけれども、それらが相互にどのような専門知識を持ってどのように関与していくのかということを描いていくということは極めて重要なことかと思っております。今、石田先生からはかなり具体的なお話をいただきましたけれども、こういったこともきちんと共有をしていき、可能な限り、詳細にこのまとめの中でも書いていければと思っているところでございます。
 今の石田先生からの御発言なども含めまして、人材に関するところで御意見等ございませんでしょうか。北本先生、どうぞ。
【北本委員】  北本です。今の質問に関係するかもしれませんが、こちらの文章には大学図書館職員の専門資格として認定制度を構築すると書いてあります。ただ、先ほどの引原先生のお話でも、全体のサイクルに関わる人たちは必ずしも大学図書館の専門職員ではないということだったと思います。そのとき、どこに焦点を合わせてこの資格をつくるのがよいでしょうか。大学図書館員ではない人も取れるように視野を広げた資格とし、サイクルの一部に大学図書館員が関わるという形にするのか、あるいは大学図書館職員のスキルアップとして、人材育成パスをつくっていくために資格を使うのか、といった点に関して、お考えを聞かせていただければと思います。
【竹内主査】  ありがとうございます。事務局からでよろしいですか。
【藤澤学術基盤整備室長】  ありがとうございます。まさにそこは、私は両方あるかなと思っています。ここでは、要は後者のほうをイメージしていたんですけれども、そこは今後どういう形がいいのか、まさに大学全体でというところもありますので、そこも考えていかなきゃいけないなと思いました。ありがとうございます。
【北本委員】  私としては、もう少し広い視野で資格がつくれればいいのかなと思っています。
 以上です。
【藤澤学術基盤整備室長】  ありがとうございます。
【竹内主査】  ありがとうございます。この辺り、なかなか難しいところでございまして、確かに研究データ管理という業務ベースというか、機能ベースでいくのか、それとも複数の機能が関わっている大学図書館というものをベースに考えるのかということによって恐らく考え方が変わってくるかと思います。このことにつきましても、先生方からの御意見等いただきながら最終的なまとめに向けて整理をしていきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 ほかはいかがでございましょうか。引原先生、どうぞ。
【引原委員】  すいません。ありがとうございます。何度か名前出していただきましたけど、本日お話ししたのは、研究データ管理中心にお話ししたので、ああいう書き方になっておりますけれども、当然ながらデータとして教務データみたいなものを考えると、もう少し広い意味で見ていただく必要があるのではないかなと思います。
 そのときに今までのスキルを当てはめるのではなくて、北本先生おっしゃったようにキャリアパスというか、さらに上のレベルのレイヤーに上がっていくためにはこういうスキルがあるといいですよということを提示してあげないと、皆さん方、何をやったらいいのか、自分の得意などれをやったらいいのかというのがやはり明確にならないですから、こういう流れの中でこういうスキルがあれば、次の仕事、それのジョブを扱えるところにまではたどり着けるんじゃないですかという方向性を示すということが重要なんじゃないかなと思っています。
 これまで共通事務部というのを京大ではつくったことあるんですけれども、図書系の人を教務とか財務とかに出向させて勉強してもらうというのをかなりやっていました。それは、逆に戻ってきたときに、それを知った上で、図書館の財務系というか、ジャーナルの価格交渉ができるとか、そういうことをやっていたんですが、多くの場合は向こうの人たちが便利扱いをしてしまうということがあるんですね。結局はそうなってはいけないと思っていますので、回ってきたことによって最終的にはメインの図書館のところで動ける、あるいは向こうの人がこっちで協力をされる中で、図書館のことを分かって財務を回すというような、相互のやり方をきちんと定義しておかないと便利屋にしかならないという、非常に危険なところもあるということは分かっております。
 以上、コメントさせていただきました。
【竹内主査】  ありがとうございました。どういうことができる人たちを我々は今求めていくのかということは本当に慎重な議論が必要なところでございますけれども、また、同時に具体的なイメージをきちんと見せていかないと、図書館の内部で今働いている人たちも不安に思う一方ですし、また、外から見たときに、今、引原先生が図らずもおっしゃいました、便利屋というところで使われて終わってしまうというところがあるかと思います。その辺りは、やはり図書館的なバックグラウンドというか、知識のバックグラウンドとそれから技術環境などの変化とそれから社会ニーズといったところの接点でそういったものを描かれるのではないかと思いますので、その辺りについても少しこの場でもなるべく具体的に書けるように皆様方の御協力を得ていきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
 坂井先生、どうぞ。
【坂井委員】  引原先生のおっしゃる研究者に並走する人材。そういうものに対してある資格が与えられたりキャリアパスができたりするということはすごく賛成なんですね。ただ、例えばアメリカのサブジェクトライブラリアンでもシニアの人たちが尊重されるというのがあるけれど、日本で今その制度設計ができるかどうか、特にすぐにできるかどうかというのは物すごく難しいですよね。我々も東大ではそれを寄附金などを使ってやろうとしたのですけれど、現実にはキャリアパスというのはもっと、うちの大学だけじゃつくれないものでありますし、多分文科省的にも、財務省的にも、全国的にそういう組織をつくるということをいきなり言うのは難しい。
 とすると、どうすればいいのか。東大でサブジェクトライブラリアン的な地位にある人たちは、基本は研究者なんですよね。言ってみればどこかの講師や准教授・教授になるための腰かけ的なポストとして使うという場合が多いのです。したがって、彼(女)らを便利屋としては使わないという暗黙のルールがあるわけなんですよね。学術的なコンサルには使うわけですけれども。2年、3年したときに、キャリアは普通の研究者なんだけれど、図書館の経験があるから、資料のサーチとか、場合によってデータサイエンティスト的な、キュレーター的な、そういうスキルを身につけた研究者として育っていくと。現実的にはそういうパスが妥当かなという気が今はしています。もちろんたくさんお金をつけて、学術のために、サブジェクトライブラリアンを全国展開しましょうという、そういう提案もあっていいとは思いますけど、現実には、研究者の腰かけ的なポストでもあって、しかし、キュレーターにもなれるし、研究者になったときやっぱり資料の検索能力って結構大きなスキルにはなりますから、短期的なものであっても、そういう人間が育つということは結構いいのかなという気はしています。
 何かもっといい案があったらぜひいただきたいんですけど、今のところはそんな感じかと思います。以上です。
【竹内主査】  ありがとうございました。既に試みられていることを踏まえて、また、単に理想論に走らず現実を振り返るとどうかということも踏まえた御意見だったかと思います。
 なかなかここも難しくて、制度をどういうふうにつくるかというのは、我々が勝手に言っても、なかなか受け入れてもらえなかったらそれでおしまいということになってしまいますし、また一大学でつくれるものでも決してないだろうと思いますので、その辺りはどうやったら現実的な解があるのかというところがどこまで書けるのかというところが今回のこのまとめの難しいところ、あるいは我々が知恵を絞らないといけないところかもしれないと思っております。
 人材に関するところでほかにいかがでございましょうか。
 よろしゅうございますでしょうか。では、最後、4点目でございますけども、大学間連携についてでございます。この点につきまして皆様方の御意見を頂戴したいと思いますが、いかがでございましょうか。
 いかがでしょうか。大藪先生、どうぞ。
【大藪委員】  大学関係連携で、私たちだと、多分東海国立大学機構だったら名古屋大学との連携が一番やりやすく、名古屋大学は進んでいるので、そこから学んできたりとかというので、そういったことも必要なんですけども、ただ、先ほどから言っているように、なかなか規模感によって難しい部分があるので、ぜひ、できそうなところ、規模が大きくて、お金もあって、そういうのができそうなところが先にやっていただいて、そこにできたら小規模のところが入っていかせていただいくというような、段階を経てやっていくという方向で進めていただけるとすごくありがたいかなと思っています。
 ぜひその辺り、できそうなところ、手を挙げていただいてやっていただけるとありがたいかなと思います。
 それで教えていただいて、先ほど石田先生が言ってくださったようなプログラムのこともすごく面白いなと思ったので、ぜひこういうのが、例えばここにどこまで書くかですけども、例えばアメリカではこういったプログラムが既にありますとか、そういった具体的なものがないと図書館としては何をやったらいいか分からなくなるので、その辺のところも細かく書いていただけるとありがたいかなと思いました。
 以上です。
【竹内主査】  ありがとうございます。恐らく全体に通して言えることですけれども、やはりグッドプラクティスが必要だということで、それを優先的につくっていくということを我々としては考慮していくということが具体的な手段としては必要だという御意見だったかと思います。
 ほかにいかがでございましょうか。引原先生、どうぞ。
【引原委員】  大藪先生が今おっしゃった具体的な例というような話なんですけども、少なくとも研究データ及び図書館が扱うデータに関する部分を今年9月にちょっと調査させてもらったりしているんですけれども、それ見ますと、やはりまだほかの国でも、国単位になるかと思いますけど、暗中模索な部分があります。その中でやはり情報系の人と図書系の人がうまく交わらないとか、人がいないというような話は当然出てきています。
 ですので、どこかが確立したものをそのまま持ってくるよりは、日本の各大学連携するところに合った形をつくるべきなんじゃないかなと私は今考えています。
 例えば今日お話ししたような、データのサイクルというお話しましたけども、これ一大学でやるの結構大変だというのは自分でも分かっているんです。ですから、共同利用機関みたいな感じで1つのパターンをつくって、そこで訓練して、各大学の一部のパートを扱うような形で戻ってやっていくとか、何かそういうやり方があるんじゃないかなと思っています。
 ですから、それで例がつくれれば別に国際的な例になったらいいだけのことですので、もう少し気楽にやったほうがいいんじゃないかなと。私、答えがあるわけじゃないので、肝心なところは、本当は研究者のデータが回って研究が振興されるということが重要なのかと思いますので、いろんなことを試みたらいいんじゃないでしょうかというのが私の意見です。
【竹内主査】  ありがとうございます。確かにおっしゃるとおりだと思うんですが、多分大藪先生がおっしゃったのは、それをやるリソースがというところが多分厳しいという御意見だったのかなと私は理解をいたしました。
 ほかにいかがでございましょうか。石田先生、どうぞ。
【石田委員】  2つあるんですが、先ほど引原先生がおっしゃったことに追加させていただきたい感じなんですけれども、やはり研究データ管理に関しては、うまくいっている、米国で先進的な事例なども私も調査に行ってまいりましたけれども、やはり日本とアメリカの大学、大学図書館の構造というのは全然違いますので、私は前から言っているんですけど、やはり日本型モデルみたいなのをつくらないといけない。ただ、最初からつくるのはちょっと無理なので、できるところからやっていくというのが現実的で手っ取り早い方法なのかなと思っています。
 それで、あともう一つ、別の、これはちょっとセンシティブな質問になるかもしれないんですが、先ほど最初に堀田先生がおっしゃったように、この文書といいますか提案をどういうふうに使うのかということなんですが、我々、多分ここでいろいろ、こういうことを目指したいということは書けると思うんですけれども、もしあった場合に、これをベースに施策を考えると先ほどおっしゃっていたと思うんですが、そのための支援は、文科省なのかどうか分からないんですが、考えてくださるということを前提にしてもよろしいんでしょうか。要は、こっちは言ったばかりで、結局お金ないとできないよという話にもなりかねないので、ちょっとその辺りの様子を。
【竹内主査】  では、参事官、お願いします。
【工藤参事官】  私どもがこういう文書を出させていただいたのは、今先生おっしゃったとおり、ある種満艦飾かもしれないけれども、少なくとも日本からイノベーションを起こすとか、研究を少なくとも活性化させたいという意図の中で、ライブラリなり、こういった情報基盤センターなりがどういうことができるかということを我々はそれなりに考えてきております。ただし、それらを実現するに当たり、やはりある程度の理想的な形を先生方の議論の中で出していただいて、我々自身はそれを実現できるかどうか分からないけれども、かつ、どうそこに至っていいかという方法論も正直なところまだ見えない点があるんですけど、少なくともそういった目標というか、ある種の灯台的なものを見せていただいて、それに向かって、方法論は今後またいろいろ議論しながら詰めていくことだと思うんですけども、それをやっていくためにやっぱり1つのそういった理想形を見せていただくのがこの委員会にお願いすることかなと思っております。
 また、引原先生に今日プレゼンテーションいただいた、図書館以外にも、我々情報参事官組織というのは、計算資源どうするかというのを見ています。それから、データを集めるというのは当然基盤室でやっている事業でもございます。
 また、さらに言うと、そのデータを本質的に扱う機械学習的な扱いの中でもより高度な部分というのも別途投資をして研究開発という形でやってきていますので、こういった全体を統合していって、日本の研究力を向上してイノベーションという中でどういうことができるかということを今進めていますので、その中でやはり最後に、大学の現場で運用される人、方々がどういうふうな働き方をして、さらに扱われてきているデータというのを、世界的な流れでこうなってくるものをどう組み上げていくかというのは、ぜひこの場で少し御議論いただいて御提示いただけると、また、情報参事官組織という組織で扱っている、投資している範囲の他分野の中でも、また有機的な先が見えてきますので、ちょっとその辺を、ちょっと見えてないところいろいろあるかと思うのは、我々が全てをお示ししているわけではないので反省すべき点ではあるんですけども、ちょっとそういうふうな視点のこともありますので、情報委員会はまさに全てを扱う委員会として樹立されていますので、その視点の中で今後議論されていくための1つの大きな材料になると、そんなふうに考えております。
【石田委員】  ありがとうございました。
【竹内主査】  ありがとうございました。私が先ほど申し上げたことよりもはるかにリアリティーのある形で参事官から御説明をいただきましたけれども、やはり我々としては、ここではある程度きちんとこうあるべきということを示す必要があるということでございまして、先ほど私は各大学がそれぞれのミッションに従ってこれを参考にしながらということを申し上げましたが、今御発言がございましたように、国全体としてはどうあるべきなのかと、そのための具体的な施策としてこうやっていくというようなことを示すために、我々が、ここでアイデアをきちんと示すということが重要であるということでございますので、改めて先生方の御貢献をお願いをしたいところでございます。
 というところで、残り時間があと15分ぐらいでございますが、4つのポイントについてそれぞれ御意見をいただきました。最初に、前提に関する御意見ということで深澤先生や堀田先生からも御発言ございましたけれども、個々のテーマということではなく、全体ということで先生方から御意見いただくことがあればぜひお願いしたいと思いますが、いかがでございましょうか。あるいは個別の、先ほど言い忘れたということでももちろん構いません。もしあればお願いしたいと思います。
 では科学官の黒橋先生からまずお願いしたいと思います。
【黒橋科学官】  今日はオブザーバーなのかもしれませんけども、黒橋でございます。もう既に議論の中で深澤先生とか坂井先生からも御意見があったと思うんですけども、かなり大きくこれからの新しい図書館という方向性の議論ですので、各大学の情報基盤センターとの関係ですとか、それから、私もちょっと立場があれなんですけど、NIIとの関係ですとか、それから研究データのプロジェクトも走っていますので、その辺りの関係ですとか、もう少しそことの関係を踏み込んで議論いただけるといいのではないかと。それから、情報系に対しても、もしかして図書館の側からのリクエストのようなものがあれば、そこも言っていただいてもいいのではないかという気がいたしました。
 特に最後の辺りで一大学一図書館という前提にとらわれずというか、それはもう本当にとらわれている場合じゃない気がするので、そこの表現ももうちょっと強いほうがいいのではないかなと思ったりもいたしました。
 それから、人材育成が本当に重要だと思っておりまして、私は文部科学官としては研究データ基盤の将来構想連絡会みたいなのはちょっとお世話させていただいていまして、そこでも人材育成の話はかなり議論が出ています。それで、まさにこちらで坂井先生おっしゃっていたサブジェクトライブラリアンといいますか、欧米でも、特にアメリカではもっと強いんだと思うんですけども、その話も、すぐには難しいということをもちろんおっしゃって、それはそうだと思うんですが、これは2030年ですか、を目指しておられるなら、やっぱりサブジェクトライブラリアンというか、博士課程の話も、博士を採ったような人材というところの話も、非常にデリケートで難しいんですけども、例えばプロ野球選手になれる人とトレーナーになる人があるみたいな議論が連絡会のときにはあったんですけども、研究者を目指していくんですが、どこかでデータの整備みたいなこと、これは一方で非常に重要ですので、そちらへの博士取得者のキャリアパスもあってもいいかもしれませんし、そういう広い文脈の中で、もう少し発展した形のサブジェクトライブラリアンというのが将来あるのかもしれないとか、そういう議論もここでしていただけたらいいのではないかなと思っております。
 以上です。
【竹内主査】  ありがとうございました。大変示唆に富んだご意見で、重要な事柄につきまして、ここでの議論と少し違う視点を御提供いただいたかと思います。大変ありがとうございます。
 大藪先生、お願いいたします。
【大藪委員】  これの持っていき方というところと関わってくると思うんですけど、やはり最初のところも、今後の大学図書館機能に関する基本的な考え方なんですけども、こういうのが例えば学長とかに行っても、ああ、大学図書館のことだというので終わってしまう。そうじゃなくて、今後の大学自体あるいは日本の大学の研究力にとって大学図書館というのは非常に重要な意味を持っていて、そのためには大学全体で取り組まなくてはいけなくて、それで大学の図書館自体も変えていかなくちゃいけないんだという趣旨で話が入ってくると、執行部の人と大学の人も、ああ、そうなんだ、大学全体で取り組んで、それで日本の大学の研究力を上げるためにはベースとなる図書館が変わっていかなくちゃいけないし、それのために協力してもらわなくちゃいけないとなってくると思うので、図書館のデジタルなんちゃらかんちゃらで話が進むと、これは図書館の人がやったらいいこととならないような書きぶりというのが大事だと思いました。
 以上です。
【竹内主査】  大変重要な御指摘ありがとうございます。この部分につきましては、これまでの検討部会の中で先生方から様々御議論いただいてきたことも踏まえて、今後の大学図書館機能としてはこう考えるという部分が入ってくるわけでございまして、この資料だけが独立をして流通するということではございません。
 ですので、今大藪先生から御指摘がございましたように、学術の世界的な動向も含めて、そのような中で日本が今どういう立場に置かれているのか、そして日本の大学がどのような立場に置かれているのか、だからこそどういうアクションが必要であって、その中で図書館はこういう貢献ができるというような方向での書きぶりというか、まとめ方となると私は理解しておりますので、今、大藪先生から御指摘のあった点につきましてはしっかりと記録をして、その方向からぶれないようにきちんとしていきたいと思います。
 ありがとうございました。ほかにはいかがでございましょうか。引原先生、どうぞ。
【引原委員】  すいません。私が言うべきなのかどうかちょっと分からないんですけども、こういう委員会でのまとめがほとんど目に入らないという、役に立たないんじゃないかという話が最初のほうにあったと思うんですが、前回のジャーナル問題の委員会のまとめというのは結構いろんなところに刺激を与えたというのは事実です。全体ではないですけども、今進んでいる転換契約は、各大学の研究ミッションに合わせて契約をしていくという流れをこの委員会が出したことによってそれぞれの大学が自由に動けるようになったという事実があります。それがほかのところに波及していっているということもありますので、できるところが答申あるいは考え方に従って動き出すと、他が動けるんだといって動いていけるという非常に大きな効果があると思います。人が決めるというよりも、ここで議論された皆様方が最初の一歩を踏み出すということは非常に重要じゃないかなと私は思いますので、ぜひその辺はお考えいただければと思います。よろしくお願いします。
【竹内主査】  ありがとうございます。おっしゃるとおりだと思います。
 では坂井先生、お願いいたします。
【坂井委員】  文科省に関係あることですけれど、研究データエコシステムの構築事業というのを今からやられるわけですね。図書館も関わっているんですけれど、我々にはあの事業よりさらに先の未来を見据えなければならない。図書館は独特の、成文化できない知性みたいなものがたくさんあります。それは何かというと、図書館知の掘り起こし。例えば、新しい自然科学・人文科学の重点領域をどうやって発見するかとか、世界の思想がどういうふうに流動していくのかとか。割と人文系に多いのかもしれないのですけれども、そういう研究データエコシステムを超える奥行きや広がりをもつものを、温故知新的に見つけていくみたいなことが大切になるのではないか。特に日本みたいにアジアに置かれているような大学というところでは、そういう新しい価値観の下での発展をめざし、SDGsのさらに先にあるものを見つけていくということではアピールできるんじゃないかなと思うんですよ。アメリカなんかの考え方も大事なんだけど、追っかけるんじゃなくて、やっぱり独自のものを出して世界をリードするようなものが実は図書館にはあるという気が私は最近していますので、どこか全体的にそういうのを頭に入れながら新事業を立ち上げていくということをやっていただければいいかなという感じがしています。
 以上です。
【竹内主査】  貴重な御示唆をありがとうございます。恐らく大学図書館の本質は何かということと非常に関わること、しかしながら、古くからやってきたことをただやるのではなくて、そこに蓄積されている知を新たな方法等で発見していったり、あるいは独自性があるということを自らきちんと説明をしていくということも踏まえつつ新しいことを取り込んでいくという、そういうお考えかなと私は受け取らせていただきました。そのことにつきましても、今後の議論の中で、またまとめの中で十分反映していけるようにしたいと思います。貴重な御意見ありがとうございます。
 堀田先生、どうぞ。
【堀田委員】  ありがとうございます。最後に1つだけ。最後の大学間図書館連携のところ、もちろん連携は大事だということは重々承知しております。これ、ぜひ進めるべきだと思いますけども、ここのところで、もちろん電子ジャーナルの問題だけにこだわるつもりは全然ないんですが、やはり大学間連携、大学図書館の連携を進めるときに、電子ジャーナル問題というのは恐らく、現場からはそこをどうしたいのかということも含めて、何か意見というか、そういうのが出てくるようには思います。ここでジャーナルのことと絡めて書くとまたちょっと混乱するかもしれないんですけども、そこはちょっと心づもりというか、何らかそれは必要ではないですかね。それは現場に寄り過ぎの考えでしょうかね。
【竹内主査】  ありがとうございます。事務局からお願いいたします。
【藤澤学術基盤整備室長】  今先生おっしゃっていたいただいた電子ジャーナル、確かにとても大事なことではあると思います。それも含めまして、ある意味広くここで連携という形で書かせていただいていますので、もちろんそれも頭に入れたような形で何かしら書ければと思います。
 ただ、一方で、電子ジャーナルについては1回議論してある程度方向性まとめていますので、そことの整理が必要かなと思っています。
 あと、電子ジャーナルについては、ちょうど今、アンケート取っていて、別な場でアンケート結果の情報を出そうと思っています。御承知おきいただければと思います。
 以上です。
【堀田委員】  ありがとうございます。
【竹内主査】  ありがとうございました。恐らくジャーナルの問題だけに特化して何かを書くということはもう多分ないかなと私は思っておりますけれども、広くコンテンツというコンテクストの中でこれは扱っていくべきものでございますし、2030年ということを目指して考えたときに、そのときにジャーナルの問題を検討しているということはちょっと私は考えづらいと思っているところでございますので、もう少し、やや理想に傾き過ぎかもしれませんけれども、違う視点でコンテンツを大学図書館がどのように扱うかということをお見せするというのが今回のまとめの意義かなと思っているところでございます。しかしながら、今堀田先生から御指摘のあったような点については十分配慮した記述にしていく必要あるかと思います。どうもありがとうございました。
 というところで、ほぼ予定の時間が来ておりますが、何か先生方から御意見、これだけはというようなことがもしあればぜひお願いしたいと思いますが、いかがでございましょうか。
 よろしゅうございますでしょうか。
 様々な意見を頂戴いたしまして、本当にありがとうございました。こういった場ではちょっと言いづらかったというようなこともひょっとしたらあるかもしれませんので、そういったことがもしございましたら、ぜひ御意見をお寄せいただければと思います。
 本日いただいた意見につきましては、事務局のほうで責任を持って整理をさせていただきますし、また、そのようにいただいた意見についても、可能な限りまとめの中で議論の中に反映させていただきたいと思いますので、先生方におかれましては、11月21日までということであまり時間ございませんけれども、1週間時間を取らせていただきますので、それまでにメールで事務局宛てにお知らせをいただきますようによろしくお願いをいたします。
 それでは、最後に事務局から連絡事項等あればお願いいたします。
【大鷲参事官補佐】  事務局でございます。本日の議事録につきましては、各委員の先生に御確認いただいた上で公開させていただくものでございます。
 また、次回、第7回につきましては、12月26日、月曜日を予定させていただいてございます。開催方法等につきましては改めて御連絡させていただきたいと思います。
 事務局からは以上でございます。
【竹内主査】  ありがとうございました。本日の会議はいつになく音声が切れるということがございまして、参加の皆様方には大変御迷惑をおかけいたしました。また、傍聴をされていた方にもおわびをしたいと思います。
 これにつきましては、議事録の形で公開するときにその辺りについてきちんと補えるようなことをしたいと思いますので、御確認をいただくということでお許しをいただければと思います。
 それでは、本日の会議はこれで閉会とさせていただきます。どうもありがとうございました。
―― 了 ――

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