オープンサイエンス時代における大学図書館の在り方検討部会(第1回)議事録

1.日時

令和4年2月16日(水曜日)10時00分~12時00分

2.場所

オンライン会議

3.議題

  1. 議事運営等について
  2. オープンサイエンス時代における大学図書館の在り方について
  3. その他

4.出席者

委員

竹内主査、尾上主査代理、石田委員、大藪委員、加藤委員、北本委員、坂井委員、佐藤委員、引原委員、深澤委員、堀田委員、村井委員

文部科学省

川口参事官(情報担当)、三宅学術基盤整備室長、土井参事官補佐、竹房学術調査官、池内学術調査官

オブザーバー

高品 国立国会図書館利用者サービス部科学技術・経済課長

5.議事録

○主査代理に科学技術・学術審議会情報委員会運営規則第2条第8項に基づき、竹内主査が尾上委員を指名した。
○事務局からオープンサイエンス時代における大学図書館の在り方検討部会運営規則(案)及び公開手続(案)について説明があり、了承された。
(傍聴者入室)
【竹内主査】  では、ただいまより第1回オープンサイエンス時代における大学図書館の在り方検討部会の議事を進めさせていただきます。
 本会合の審議のために資料4-1から4-3を用意してございます。事務局より説明をお願いいたします。
【三宅学術基盤整備室長】  事務局の三宅でございます。審議に先立ちまして、審議の参考資料として事務局より資料4-1から4-3を御紹介させていただきます。
 まず資料4-1でございます。こちらは、過去、科学技術・学術審議会における大学図書館関係に関する審議経過でございます。
 これとは別に、関係の深いジャーナル関係の議論もしてはおりますが、今回は大学図書館の関係ということでそれを中心に整理をさせていただいております。
 直近の議論では、2013年の8月に「学修環境充実のための学術情報基盤の整備について」という報告書が出ております。こちらの概要ですが、学修環境充実に係る学術情報基盤整備については、コンテンツ、学習空間、人的支援の有機的な連携を図ることが重要ということで、コンテンツや学習空間、人的支援について報告を頂いているところです。
 また、更に遡ると、2010年に「大学図書館の整備について」という報告書を頂いております。、こちらにつきましては、大学図書館に求められる機能・役割として、学習支援及び教育活動への直接的な関与、研究活動に即した支援と知の生産への貢献、コレクションの構築と適切なナビゲーション、他機関・他地域との連携及び国際対応、これらの必要性について提言を頂いているところでございます。
 更に遡ると、2009年の7月、「大学図書館の整備及び学術情報流通の在り方について」で、外国出版社との契約交渉についてのコンソーシアムの在り方の検討であったり、機関リポジトリの構築・充実の推進及び大学全体におけるリポジトリ事業の位置づけの明確化、図書館業務としての定着、専門性の向上等について御提言を頂いているところでございます。
 更に遡ると、2006年の3月、「学術情報基盤の今後の在り方について」の中では、電子環境下の新しい学術情報流通モデルを理解した上での対応、また、機関リポジトリ対応や大学図書館のサービスの機能強化、このような課題について御提言を頂いたところでございます。
 続きまして、資料4-2でございます。昨今の政府文書等における大学図書館に関する記述について御紹介させていただきます。これにつきましては、今回の検討部会を立ち上げた経緯とも関連しており、その関係の周辺の情報を整理しております。
 まず、令和3年3月に閣議決定をいたしました科学技術・イノベーション基本計画でございます。この中には、下線部でございますけども、研究データの管理・利活用など、図書館のデジタル転換等を通じた支援の機能の強化を行うためにその方向性を定めるという記載。
 また、研究データの管理・利活用を進めるため、これは例示でございますが、図書館員の参画や図書館のデジタル転換等の取組について、その方向性を定めるというふうな記載がございます。
 また、科学技術・学術審議会の学術分科会・情報委員会の令和2年の9月の提言では、例えば、多様な研究データや蓄積された学術情報に対し、研究者が、いつでもどこからでもオンラインでアクセスでき、目的に応じて容易に利用できるシステムや仕組みの構築が必要であるという点。
 また、コロナ禍により、大学図書館への物理的なアクセスが制限された結果、教育研究活動に大きな影響が生じたことを踏まえ、より一層デジタル化を進めることが必要であるということ。
 また、資料の下部でございますが、我が国における学術情報の集積とデジタル化及び学術情報のオンラインでの活用促進に向けたシステムの整備について、オープンサイエンスを進める観点からも推進する必要がある。
 2枚目に参りまして、一番上段のところでございますが、大学図書館のデジタル化と学術情報のデジタル化は密接に関連する課題である。我が国全体で、多様な学術情報資源の共有等により、大学図書館が相互に連携したデジタル・ライブラリーとなるよう、検討・取組を進めるべき。このような記載を頂いているところでございます。
 また、関連する政府の計画としまして、知的財産推進計画の中でも言及がございます。こちらは大学図書館に限らず図書館関係全体の話でございますが、図書館関係の権利制限規定の見直しに係る著作権法改正を踏まえ、円滑な施行に向けた準備を着実に進める、このような記載があるところでございます。
 続きまして、資料4-3でございます。こちら、事務局にて審議の主な論点案を主査と相談の上整理させていただいたところでございます。
 まず、審議の前提として考慮すべき点として3点ほど挙げさせていただいております。
 まず1点目としまして、我が国における研究のデジタルトランスフォーメーション及び教育のデジタルトランスフォーメーション、この取組の方向性という観点がございます。
 また2点目として、国立国会図書館の「デジタルシフト」、この動きについても審議の前提として考慮すべき点と挙げさせていただいております。
 また、3点目としまして、これまでの大学図書館における電子化の対応等に関する取組、これは昨今のコロナの問題も含んでおりますが、それ以前からも進めていた大学図書館における対応等についての取組、これを審議の前提として考慮すべきではないかとさせていただいているところでございます。
 この上で、これらを踏まえた主な審議の論点という形で整理をさせていただきました。
 まず1つ目、今後の大学図書館に求められる教育研究支援機能や新たなサービスという観点でございます。
 1つ目ですが、学術情報流通や大学における学術情報基盤整備という観点から見て、大学図書館の不易な機能とは何なのか。
 2点目としまして、研究DXや教育DXの取組が進行している中で、大学図書館に新たに求められる機能とは何なのか。特に既存の資料収集という役割から、大学内で生成された成果の発信という役割にシフトしているのではないかという観点。
 3点目としまして、大学図書館がそれらの機能を果たすために行うべき新たなサービスとは何か。研究データの管理・利活用において大学図書館が果たすべき役割やサービスとは何か。大学内のどのような部署とどのような連携が考えられるのか。教育DXに関連した著作物の利活用において大学図書館が果たすべき役割やサービスとは何か、また大学内のどのような部署とどのような連携が考えられるかという点でございます。
 4点目としまして、大学図書館がこれまで果たしてきた機能・サービスについてはDXの中でどのような変革が求められるか。大学図書館が行ってきたサービス、資料のデジタル化であったり、ILLであったり、機関リポジトリ等、これをどのように捉え直していくのか。また、学内他部署の連携や大学図書館間の連携によって相乗効果を発揮する機能やサービスとは何なのか。
 また5点目としまして、大学図書館の在り方の変容に対する大学教員・学生や社会の理解をどのように得ていくか。これは図書館員自身のコミュニケーション等も含んでおりますが、そのような理解をどのようにしていくか、という観点です。
 では、2ページ目に参ります。(2)といたしまして、これら(1)で挙げさせていただきました支援機能やサービスを実現するための情報科学技術及び「場」としての大学図書館の効果的な活用という観点でございます。
 まず1つ目です。「多様な学術情報資源の共有等により大学図書館が相互に連携してデジタル・ライブラリー」という情報委員会の提言がございましたが、これを実現するためのシステム的な基盤はどのようなものなのか。特に、このようなプラットフォームに求められる要件は何か、またどのような課題があるか。
 2点目としまして、現在の情報科学技術を活用しても実現できない大学図書館の「場」としての価値とは何なのか。
 3点目としまして、情報科学技術によってつくられるバーチャルな「場」をどのように考えるか。どのような場面で、どのような取組において、バーチャルな「場」の効果が発揮されるのか。また、リアルな「場」とバーチャルな「場」の間にはそれぞれ長所、短所を踏まえてどのような補完関係が成り立つのか、という観点でございます。
 では、3つ目の観点でございます。(1)、(2)がございましたけど、それらの機能やサービスの実現に求められる人材という観点でございます。
1点目としまして、今後の大学図書館に求められる教育研究支援機能や新たなサービスに関わる人材はどのようなスキルを備えるべきか。特にこれまで備えてきたスキルをどのように転換すべきかという観点。また、例えば研究データ管理において、これに関わる様々な人材(URAなど)とどのように役割を分担していくのか。
 2点目としまして、必要なスキルを持つ人材を確保するための方策はどのようなものが考えられるか。
 3点目としまして、これまでの大学図書館の人材が新たに必要となるスキルを修得するためにはどのような仕組みが必要かという観点でございます。
 最後に4つ目の観点、大学図書館間の効果的な連携という観点でございます。DXやオープンサイエンスという流れの中で、大学図書館の役割を最大限発揮するために大学図書館間でどのような連携方策を取るべきか。また、大学図書館が相互に連携したデジタル・ライブラリーとなるためには、どのようなモノ・コトを共通化できるか(すべきか)という観点でございます。
 事務局からの資料の説明は以上でございます。
【竹内主査】  ありがとうございました。このことにつきましても御質問等あるかと思いますけれども、この後研究のデジタルトランスフォーメーションと教育のデジタルトランスフォーメーションに関しますプレゼンを行った後に意見交換の中で議論していただければと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、続きまして、研究のデジタルトランスフォーメーションにつきまして、尾上委員からプレゼンテーションをお願いしたいと思います。
 尾上委員、よろしくお願いいたします。
【尾上主査代理】  ありがとうございます。尾上でございます。それでは、「DXの流れで大学の研究推進をどう変えていくか」という内容で簡単に話題提供させていただこうと思います。
 先ほど御紹介いただきましたように、私、研究と情報推進と図書館を担当しておりますが、図書館サイドから見ると、何を勝手なことを言っているんだというような内容が含まれていると思うんですけども、大学の執行部、研究推進を担当する者からの意見ということでお聞きいただければと思います。
 これは先ほども少し出てきておりましたが、第6期の科学技術・イノベーション基本計画の中にも、新たな研究システムの構築、オープンサイエンスとデータ駆動型研究などの推進における目標として、ここに書いている4行で示されているような文言が、抜粋ですけども、書かれております。この4行に書かれている各それぞれの単語というのは非常にたくさんの意味を持っていると思っております。
 「オープン・アンド・クローズ戦略に基づく研究データの管理・利活用、また世界最高水準のネットワーク・計算資源の整備、設備・機器の共用・スマート化により、研究者が必要な知識や研究資源に効果的にアクセスすることが可能となり、データ駆動型研究等の高付加価値な研究が加速されるとともに、市民等の多様な主体が参加した研究活動が行われる」。
 研究活動に対して非常に盛りだくさんの、個々の単語に多くの意味を持たせながら方向性が示されていると思っております。
 研究DXという面で、じゃあ、一体どういうことをやって、どんな効果が得られるのか、あるいはどういうことを目指していかないといけないのかというところで、私の方で整理をしたのでいうとこういう2つかなというふうな形で考えてございます。
 1つは、研究環境自体のデジタル化というところでございます。これは例えばここに項目に出ておりますように、必要な知識や研究資源へのアクセス性向上。これはコロナの状況で非常に進んだところではありますが、より研究スタイルが多様性を持ってできるようなことが望まれていると思っております。
 また、先端研究・実験機器の共用化促進。こちらも国として考えたときには非常に重要だという認識でございます。先端研究機器というのが大学の中にも幾つもあるんだと思うんですが、これが大きな例えば研究費を当たったとか、取得した方が、交付を受けた方が使っている。それだけではなくて、そういうものをどんどん活用して皆さんで利用できるような、そういう環境が必要だろうと。
 また、研究データの適切な管理、公開共有並びにセキュリティー面での機密性担保。また、研究自体のマネジメント、これとプロジェクト推進という意味ですが、企画・立案・プロジェクト推進の効率化。研究者や研究組織の評価への活用。こういうものが研究環境をデジタル化することによって得られる。
 また、もう一方では、研究自体のDX、研究内容に関するところということで、データ駆動型による研究高度化、こういうものが挙げられると思っております。最新のデータ・AI技術などを活用した研究データの高度処理によって、今までデータ分析できなかったようなことが分かってくると、新たな理論が確立できる、そういうことが得られる可能性があります。
 また、研究や実験等の手法自体をAI技術等を用いて効率化することによって、例えば総当たりしないといけなかったもので、よりよい解に容易にたどり着くことができ、また、そういうことによって結果が、研究成果が得られる、そういうこともあると思います。
 ただ一方で、こういうデータ技術、AI技術のそういう関連の基盤技術自体の研究というのも、対象となる研究データ等が多様化することによって新展開が図られます。
 また、研究データ自体をどういうふうに捉えるか、あるいはデータの組合せなどによってデータ・セントリックな考え方での新たな研究分野・領域の開拓、そういうことの効果も考えられると思っております。
 研究遂行プロセスのトランスフォーメーションということで、これは非常にざっくりとしたプロセスで書いているんですけども、研究の一連のライフサイクルで考えると、研究企画や立案を行っています。それに基づいて文献の検索や研究動向の調査を行います。研究を実際に実施して、その結果、データを取得したりデータを分析したりした結果を、得られた成果を論文として執筆し、成果公表した上で、それを社会に還元する、アウトリーチがあって、それに基づいて研究自体の評価が行われる。こういう一連のプロセスだと仮定するとします。この全てのプロセスにオンライン化の可能性、また、それによる付加価値の向上の潜在性があると思っております。
 では、大学も含めて、機関として、あるいは国として、こういうことのオンライン化・デジタル化に必要な経費はどう確保するのか。
 また、このプロセス、たくさんあって、いろんなことをやっていかないといけないんですけども、どのような順序で実施するのか。
 また、導入する以上は、その効果の検証はどういうふうにやるのか。
 どのような主体あるいは部署が牽引してこれを実施していくべきか。
 また、検討部会の対象となっておりますように、附属図書館がどのようにコミットすべきか。
 さらに、1回切りで終わるというものではなくて、これをずっと続けていくための持続性、また発展させていく、そういうことのためにはどういうことが必要か。
 このような観点で皆様と議論ができればなと思っております。
 これはちょっと細かいもので、かつ、これはDXかと言われるものも含まれていると思うんですけども、先ほど申し上げたプロセスに対して、実際にデジタル化で実施する内容の例、あるいはもう行われているものの例を示しております。
 右側は大阪大学でどういう組織がやっているかということで、後ほど御参照いただければと思います。
 例えば研究の企画・立案に関して言うと、研究企画につながるようなブレインストーミングやディスカッション、研究支援業務自体もオンライン化できるだろうと思われます。実際にそういうことも行われていると思っております。
 研究データを利活用した新しいプロジェクトを創起すること。
 また、もちろん研究公募のプロセス、これも現在行われていますが、フルオンライン化。
 こういうことで、研究企画・立案からそれのスタートまで、プロジェクトのスタートまでというところはオンライン化が進むということでございます。
 文献検索や動向調査、こちらは今までの図書館でも行われていることですが、電子ジャーナルなどの知的情報リソースへのアクセス性拡充、技術動向や政策動向などのオンラインサーベイ、また研究集会やイベントなどのオンライン実施、オンライン参加、こういうところかと思っております。
 実際の研究実施のところ、これは「調査・実験・分析等」と書いてございますが、こちらは非常に盛りだくさんだと思っております。例えば先ほども申しましたが、先端的実験機器の遠隔化・自動化・共用化、こちらは必ず必要になってくると思われます。これ、機関に限定するものではなくて、国としてどういうふうに対応していくかというところも重要かと思います。
 また、研究・実験データ集約基盤の整備。実験結果・研究結果のデータをどういうふうに集めていくか、また、それをどういうふうに保存していくか、活用できるようにするか、そういうような基盤、インフラの整備というのが必要になります。
 データ駆動型研究の実施ということで、こちらも先ほど申しましたように最新情報技術の活用による高度処理・高度分析及び計算資源を確保する。また、新たな研究・実験実施法の導入、こういうことの効果が得られる可能性があります。
 研究データ管理の高度化というところで、これはここと成果公表のところに分けて書いてございますが、研究データ管理の計画であるとか、データ生成、データの保存、データ共有、データの再利用。
 研究インテグリティの確保ということで、研究遂行のマネジメント、研究公正や研究ノートによって、研究自体のデータだけではなくて、研究の内容等についても、進捗の管理、そういうことが必要になるかと思っております。
 論文執筆は、例えばオンラインでの共同執筆や、いわゆるモディフィケーションをして、きっちり完成させるということと、あとは投稿プロセスの、現在も行われておりますが、フルオンライン化。
 また成果公表といたしまして、論文のオープンアクセス化、研究データ管理の高度化。こちらは研究データを公開したりコミュニティー間で共有する、コミュニティー内で共有する。そういうことが挙げられると思います。
 また、アウトリーチとして、研究成果を広報していくこと、また各ステークホルダーへのオンラインのアクセスを行って、今後の研究活動に更に生かす、そういうことが挙げられるかと思います。
 研究評価としては、研究者、あるいは研究プロジェクト個々の評価を行ったり、組織の評価を行う、あるいは取られている施策自体の評価や検証、こういうことが関係すると思っております。
 右側にございます、非常に小さい字で申し訳ないんですけども、本学でのこのようなことを実施するときに、研究者や研究部局以外が、どういう部署が実施、支援をしているかというところをまとめさせていただいております。記述させていただいております。
 研究推進部/研究オフィス、あるいはURAの部門、あるいは情報基盤系のセンター、あるいはコアファシリティーに関するようなセンターであるとか、広報、共創関係、財務、人事、いろんなところが関わっております。
 附属図書館が関わっているところを赤で塗っております。非常に重要なところをずっと担当はいただいていると思っております。これに対して今後どういうふうなことに期待したいかということについて簡単にお話ししたいと思います。
 先ほども書かせていただいた、「研究DXに向けた附属図書館への期待」ということで自省ということ、これ、図書館のディレクターとしてはそういうこと自らが先導してリーダーシップを持ってそういうことに進んでいかないといけないという面で言うと、全くもって無責任な発言になってしまうんですけども、やっぱり自省を込めてこういうところにきっちり我々としては図書館としても乗り出していってコントリビュートしたいなというところでございます。
 今までずっと行ってきているところで言いますと、知的情報リソースの整備。こちらは例えば電子ジャーナルであるとか、それ以外のデータ、あるいはオフラインの図書等についても同じだと思うんですけども、データベースも含めてのリソースの整備。また、研究成果の公開・発信。それとともに、研究データ管理の政策的な支援。政策的というのはちょっとあれなんですけども、どういうふうに管理していくかというところの指南であるとか、サポート、そういうところに関しては図書館として貢献ができてきているのではないかと思っております。
 我々として研究推進サイドからのリクエストとしては、例えば研究や実験データの集約をしていくところ、これはデータ管理をどういうふうにやっていきましょうというところだけではなくて、実際に研究者をうまく巻き込んでいこうと思うと、そこにハンズオンで、手取り足取りというわけではないですけども、集約にもきっちり関わっていただくような、そういうようなことができると、より研究者のDXでのデータ集約が進んでいくのではないかと思っております。
 また、研究データを利活用した新しいプロジェクトの創起の支援。こういうところにも関与が積極的にできるのではないかと思っております。例えばデータを集約するのを一緒にお手伝いする、あるいは、それを公開するところも支援していくときに、データの性質であるとか、そういうところもある程度理解した上で、プロジェクトの例えばマッチングをさせた上で新しいプロジェクトをつくっていくことの契機となる、トリガーとなる、そういう活躍ができるといいかなと思っております。
 次のページ以降に本学でやっている、ここの赤い文字で示している2つの内容の簡単な概要を説明させていただきます。
 こちら、「研究データ集約基盤の拡充整備と活用」というところでございます。こちらは、左に書いていますサイバーメディアセンター、いわゆる情報基盤センターを中心に研究データの集約基盤を整備しております。ONIONという名前で呼んでおります。もともとこのONIONというのは、いわゆるハイパフォーマンスコンピューティングのHPCIのストレージシステムとして整備するようなところでスタートしたところなんですけども、これを拡充・整備することによって研究データ全体のうまく集約する基盤に持っていけないかというところで考えてございます。
 左下にありますように学内部局で例えば研究の結果出てきているような生成されるようなデータ、あるいは実験機器から計測されるデータを自動的にストレージにためるような仕組み、またウェブ経由のユーザーインターフェースでデータ操作を容易にするようなこと。また、外部ストレージとの連携であるとか、あるいは学外のステークホルダーとのデータ共有、こういうようなことができた上でデータがバックアップとれる。こういうようなところがデータ集約基盤というところでございます。
 左下の学内部局というところで、データをきっちりためていって、それを左上の利用する部分、こういうようなところに図書館からのコミットメントというか、貢献ができるのではないかと、期待できるのではないかと思っております。
 こちら、「データマッチングによるプロジェクトの創起支援」というところでございます。本学では、データビリティフロンティア機構というところで、例えば研究者同士で、左側にある「データビリティ基盤部門」というのが情報系の研究者がいるところでございます。それと右側の「学内既存部局」と書いているところが、いわゆるユーザー系というか、一般的な研究者がいるところで、普通に考えると、情報系の研究者がユーザーの部局とマッチング、人と人とが会って、どういうふうなデータ処理をやっていけばいいですよ、そういうことを言うことによって新しい共創プロジェクト、学際プロジェクトなんていうのが生まれるというのがあるんですけども、それ以外にデータマッチング、今のは研究者マッチングなんですが、データマッチングというところにトライしております。
 こちらは、例えばいろんな部局で出てきたデータと研究グループから出てきたデータをきっちり理解した上で、データを組み合わせた連結データベースを構築したり、それによって新しいプロジェクトがまたでき上がる。そういうことが期待できます。
 実際右の下でありますのが、少し小さくて申し訳ないんですけども、例えばいわゆるゲノム情報と臨床情報とを連携させるようなデータマッチングで連結データベースを構築して、新しいプロジェクトの推進ができる、そういう例が示しております。
 こういうようなところにも、先ほど申しましたように、研究者と近くでいろいろな活動をしていただくようなことができると、情報系の研究者と一緒にこういう新しいプロジェクトを創起することの支援ができるのではないか、そういうふうに思っております。
 図書館、「Library」というのが、「liber」「-arium」ということで、本と物事が保存される場所という語源だと思うんですけども、積極的に研究活動、デジタル化されて研究活動に関与していただいて、関与していって、大学の様々な活動を支える未来の図書館、例えば「Active * -arium」、そういうような形になっていければなと思っております。
 非常に雑駁なお話でしたが、私からの御説明は以上でございます。
【竹内主査】  ありがとうございました。ただいまの尾上委員の御発表に対する御質問あるいは研究のデジタルトランスフォーメーションと大学図書館の役割、関係等について御意見をいただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 坂井委員、お願いいたします。
【坂井委員】  大変ためになる話をいつも、そして今日もありがとうございます。単純な質問が2つあります。、1つは、今のDX込みの研究支援あるいは研究プロジェクトを全学で何かやるというときに、関連部局、関連事務組織がたくさんあって、統率がとても難しいという感じが私どもの大学でもしております。研究支援の事務、図書館、各研究教育部局などですね。先生、今日一番右側に大阪大学の場合という表を出されましたけど、どうやって統率したり意思決定したりしていけばいいのかというのが1点であります。
 もう1点は、データ駆動で研究を推進する人材、例えば図書館での、うちでいえばサブジェクトライブラリアンみたいな制度があるんですけれども、理科系あるいは情報系でそういう人材をいかに確保するかというのは実は至難であります。優秀なそういう人材は世の中で幾らでも需要があるので、しかも高給で需要があるわけで、学内でそういう人を確保するというのが難しい。現実には、学生のバイトの方が優秀だったりするんですけども、特にシニアの人については難しくなっているかなと思って、何かお知恵のようなものがあればここでちょっと御披露いただければと思います。以上、2点です。よろしくお願いします。
【尾上主査代理】  坂井先生、ありがとうございます。まず最初に、申し訳ないんですけども、両方すばらしい答えというのは実は僕も持ち合わせておりません。最初の方のお話なんですけども、例えば、先ほど御紹介した研究プロセスの個々のトランスフォーメーションで、こういうことをやっていかないといけないということを皆様に説明すると、ほとんどの方がそれは大事だって言っていただけるんですよね。一方で、右側でも、見ていただいたら分かるように、我々のところでも、ばらばらの組織で、協力は一応するような形はしているんですけども、サポートしていっているというところでございます。まさに統率というところをきっちり取っていかないといけない。関連の組織というのが比較的、私が担当しているところは多いのは多いんですけども、とはいうものの、全部をきっちりタクトを振るということがやっぱりできないというところでございまして、横串を通すような組織というのを、連携、バーチャルですけども、つくって、連絡会のような形で情報共有をしながら、うちのやることを違うところが協力して、また逆に、バイスバーサで協力して、そういうような形で何とか運営していこうと思っているところでございます。
 あともう1点の、まさにおっしゃっていただいた情報の関係の、特に研究者もそうだと思うんですけども、いわゆる技術者の方々をうまく確保しないと、こういうデータ駆動型研究というのがなかなか進んでいかない。一方で、研究者の方々というのが、例えば単に情報関係をほかの分野での、ちょっと言葉は悪いですけど、お手伝いをしているというところだと、その研究者の方は特にそこに関わるモチベーションが上がってこなくなるというところがあると思います。我々のところも、先ほどのデータビリティフロンティア機構等で、いわゆる研究者の方、技術者の方というふうな形でいろいろプロジェクトを推進していただいているんですけども、やはりそこに関わって、共創で同じように、情報技術者、情報研究者の側(がわ)でも御自身の研究とかに生かせるというところがポイントであるかなと思っております。
 あとは、やはりいろんな面で、スキルアップという、スキルアップという言葉は良くないんですけど、スキルを拡大していくというところは必要かなと思っておりまして、例えば先ほどの研究共用、研究機器の共用とかをやるようなコアファシリティー関係のところでいうと、技術職員の方とかたくさんいらっしゃるんですけども、やっぱりそういう方々に情報技術をある程度支援できるような、そういうことをうまくスタッフディベロップメントみたいなことをやっていこうと、そういうところがポイントになってくるかなと思っております。全て我々のところでばっちりできていますということを申し上げられないのがお恥ずかしいところでございますが、以上でございます。
【坂井委員】  ありがとうございます。大変参考になりました。横串組織については、もしかすると文科省の指導ででもモデルプランみたいなのをつくっていただくような提案がここから出てくるといいかななんて思いましたし、専門の人については、技術屋であれ、研究者であれ、こうした仕事を通じてアカデミアで有利な立場に立つことはあり得るんですよね。つまり、データ検索のやり方を習熟するとか、プロジェクトマネジメントが上手になるとか。確かにそれはそうなんだけど、うちの大学でもそれができた人は売れていっちゃいます。実は図書館の研究部門あるんですけど、できるようになると、文科系の先生でも、スキルが身につくとよその大学に取られちゃうという、現象があります。図書館でないところですね。何とかならないかなと思いました。ありがとうございました。
【竹内主査】  ありがとうございました。ほかいかがでございましょうか。深澤委員、お願いいたします。
【深澤委員】  ありがとうございます。早稲田大学の深澤でございます。今お話しいただいた尾上先生の御意見も坂井先生の御意見も全くそのとおりだと思っておりますが、1個抜けているなと思っていたのは、図書館の職員のメンタリティーというところかなと思っています。つまり、今お話しいただいたようなことを大所高所からすべきだというべき論で言うと、絶対そのとおりなんですよね。でも、図書館員ってどう思っているかというと、多くの図書館員は、本が好きで、という方が多くて、じゃあ、今みたいな話に乗ってくるかというと、なかなか、少なくとも、多くの大学の図書館職員の場合には乗ってこないような気がするんですが、そこら辺どのようにお考えでしょうか。
【尾上主査代理】  深澤先生、ありがとうございます。非常に大事なポイントだと思っております。実際に幾らいろんなことをやっていきましょうと言っても、いやいや関わっていただくというのは全然プラスにもならないですし、お互いにハッピーな結果にはならないと思っています。
 一方で、例えばうちの図書館の職員の方々と話していると、まさにおっしゃっていただいたように、ちょっと言葉は悪いですけど、従前のやっている業務というところにすごい愛着と慣れと、あと、やっぱりそれが大事だというところ、これは揺るがないと思っています。
 一方で、特に若手の職員とかも、話をすると、やっぱりいろいろ幅を広げていきたいと思っている方もいらっしゃるかなと思っています。また、図書館自体がこのままでずっとやっていくというよりは、やはり活動を変えていくという必要があるという、そういう意識は持っておられると思うので、うまくそういう意識をちゃんと生かすような形と、あとはやっぱりいろいろなことに関わっていただける方に対するいわゆる処遇であるとか、あるいはリコグニションというのが大事なのかなというふうな形で思っていまして、やはりそういうところの、いわゆる人事評価も含めてだと思うんですけど、制度をきっちり拡充していくということが1つの契機にはなるかなと思っております。
【深澤委員】  ありがとうございます。もう少し言うと、日本の図書館の皆さんはやっぱり図書館の危機みたいなものをきちんと感じていただきたいなと思っています。でも、現実的には、図書館は多くの大学でガラパゴスみたいな離れ小島になってしまっているというのも事実だと思っておりますので、そこら辺、この委員会を通じていろんな議論ができればなと思っております。よろしくお願いいたします。
【尾上主査代理】  もう1点、そういう面で言うと、我々の図書館のところも、やはり普通に一部局というような形で、特に図書館事務部が中心となっていますので、なかなか例えば大学本部との交流というのが多くはなかったんですけども、やはりそこを変えていこうという形で事務部自体も考えていただいて、本部事務機構のいろんな部局で、部門でやっておられる、今日もお示ししたようなサポート、どういう活動をやっているかというのにも一緒に関わっていただけるような、あるいは議論していただけるようなことというのが進みつつあるので、こういうのをちょっとうまくやっていかないといけないなと思っております。ありがとうございます。
【竹内主査】  ありがとうございました。それでは、引原委員、お願いいたします。
【引原委員】  引原です。尾上先生、どうもありがとうございました。非常に刺激的な御発表だったと思います。ちょっとお聞きしたいのは、大阪大学は最近教員の方を採用され、附属図書館として採用されていると思うんですけれども、その方の今のお話の中での動きというのはどういうふうに理解したらよろしいでしょうか。
【尾上主査代理】  ありがとうございます。これ、引原先生にも会っていただきましたけども、たくさん採用できているわけじゃなくて、お一人だけで、非常に優秀な方で、きっちりむしろリードしていっていただくというのは大事だと思うんですけども、例えば先ほど僕がお願いしたいと思っているような図書館の活動拡大というのを主導的にやっていただくということはもちろん期待はしているんですけども、全部そこでやってというのではなくて、やっぱりちょっと言葉は悪いですが、教職協働という形で、やっぱり教員を介して、各部署の例えば職員の方々がうまく巻き込んでいただけるような、そういうリエゾンみたいな形の活動をしていただけるとありがたいかなと思っていて、いろいろ無理難題をお願いしているというところでございます。
【引原委員】  ありがとうございました。先ほどのお話にもありましたように、お手伝いに終始するとモチベーションが上がらないという話は当然ありまして、それは図書館に配置された教員もそうですし、図書系の職員の方もそういう傾向があるんですね。情報系の方々は割と研究者の方という意識づけはされるんですけれども、なかなか図書系の方々が、同じ立場でありながらも、なかなかそういうモチベーションが上がってこなくて、科研費の申請もできなかったりとか、何か図書館のお守り屋さんのような認識をやはり世の中が持ち過ぎていて、新しいスキルの方に展開しないような構造になっちゃっているんじゃないかなと思ったんですけど、その辺いかがでしょうか。
【尾上主査代理】  おっしゃるとおりだと思います。これ、なかなか難しくて、例えば科研費が応募できないというのを、例えばサービスに関わっていただいているから、これは別に図書館だけじゃなくてほかもだと思うんですけども、じゃあ、大学として科研費以外の代わりに大学で研究費をサポートするよと言えば、そこは研究自体はできるのかもしれませんけども、でも、例えばそれを個人評価とかで考えると、科研費取得件数何件なのと言われると、全然そういうふうなことにならないので、どういうふうにそこを本当に後押ししていけるかというところと、やっぱりそういう中でうまくキャリアパスあるいはキャリアをうまく、むしろキャリアアップできるような、そういう環境を何とかつくっていかないといけないなというところでございます。
【引原委員】  ありがとうございます。結局は先生のおっしゃるように、人文系という中での評価と図書系の評価と、それから、これからDXを進めていくとき、スキルを上げていくことの評価というのを、従来の言うことを聞いて仕事をこなすという評価でやっていたら、これはもうじり貧になるだけなので、その辺のところ、やっぱり大学の執行部の問題だと思うんですね。先生の御意見もそうだと思います。よい情報をありがとうございました。
【竹内主査】  ありがとうございました。では、次に、堀田委員、お願いいたします。
【堀田委員】  どうも大変興味深いというか、参考になるお話ありがとうございます。本学の状況と見比べて、何か頭の痛いことが3つ、4つ、5つ、6つあるような感じで聞いておりました。
 それで、研究遂行プロセスのトランスフォーメーションのところで、主な実施支援組織、挙げておられて、これ、阪大での例だと思うんですけれども、既に御質問もありまして、学内組織、どのように横串を刺していくのかというようなこともありましたけれども、こういう支援組織、活動の中で教員が主導で進めているという部分と、教員の関わりという部分ですね、それ、どういう感じかというのが質問が1つと、それともう一つは、附属図書館と、もう一つやっぱり研究推進というものが複数箇所見受けられて、附属図書館と研究推進という部門との連携というのはあらわに取っておられるのか、あるいは、極端に言えば同じ組織に属するという形に思い切ってされたりしているのか、ちょっとその辺り、お聞かせいただければと思います。
【尾上主査代理】  堀田先生、ありがとうございます。ここに書いている組織が完全にうちの大学の組織名になっていまして、この中には、先ほど御質問いただいたように、いわゆる教員系と職員系がごっちゃになった形に見える、見えるというか、なっております。ざっくり申し上げると、〇〇部と書いてあるところは職員の方が多いところでございます。センターとか、オフィスとか、あるいは本部とか書いてあるところは、あるいは機構もですか、教員系の方々が主となって動かれているところなんですが、例えば研究推進部とスラッシュして研究オフィスという形を書かせていただいているのは、これは教職協働でやっていこうというような形で、協力してやるというのを明確に出しているところだと御認識いただければと思います。
 こういう横串的なところで、これは教員の仕事だ、職員の仕事だとやっていたら多分回っていかないと思うので、私も含めて意識改革しないといけないと思うんですが、何とかそういうところをうまくやっていくようにできないかなというのが1点でございます。
 あと、附属図書館と研究推進の関係で言いますと、先ほど少し申しましたが、附属図書館自体は独立部局化しておりまして、そこの事務部であるとか、あるいはそこの研究者という方々に、研究オフィスの会議に、図書館長、今は僕なのであれなんですけど、前のときにも私が図書館長をやっていたときに、研究オフィスに関わらせていただいて、会議に毎回出ておりまして、そこには図書館長とさらに図書館事務部長も出ておりますので、そういう面で言うと、連携を進めて、やはり図書館の業務の中に研究推進をちゃんとサポートというか、連携していくという意識をうまく持っていただこうということで進めております。いろんな委員会とか会議等にも参加いただくということを追加していっています。これ、本来はやっぱりきっちり、先ほど坂井先生の御質問もあったんですけど、どんどんつくるだけじゃなくて、ちゃんとスクラップとビルドしていかないと、会議でパンクすることになっちゃうので、整理は必要かなと思っております。ありがとうございます。
【堀田委員】  どうもありがとうございます。確かに、音頭というか、掛け声は掛けても、なかなか各所でどれだけ踊っていただけるか、あるいは踊りがばらばらだというのはなかなか大変かなと思います。どうもありがとうございました。
【竹内主査】  ありがとうございました。それでは、大藪委員、お願いいたします。
【大藪委員】  大藪です。ありがとうございました。非常に勉強させていただきました。
 今、阪大さんは大きい大学で、非常に立派なものをつくっていらっしゃるなと思っていたんですけど、岐阜大学も名大と一緒になっていて、システムをまたがらがらっと全部変えなくてはいけないということに直面していて、それに結構時間がかかるんですけども、今後例えば全部の大学とか関西エリアだとか、いろいろとつながっていくときに、やはりそれぞれの大学がそれぞれの部署とかでやっていると、今度は混乱して難しくなってくると思うんですけれども、その辺はどのようにお考えか、教えていただけたらと思います。よろしくお願いします。
【尾上主査代理】  大藪先生、ありがとうございます。全くおっしゃるとおりでして、これ、ここに、先ほどの議論したいと書いていたところにも、予算どうやって確保するのかというのも実はありまして、相当なお金もかけないといけないんだろうというところでございます。
 一方で、これ、例えば当然こういう研究のデジタル化とかのやり方というのに大学の各機関の特徴というのはもちろん出すべきだとは思っているんですが、一方で共通部分というのは必ずあるだろうと思っています。例えばインフラの整備でシステムを開発するときに、いろんなところでちょっと似たようないろんな違うシステムを開発するのは明らかに損なので、もちろん文部科学省様に、あるいは内閣府様に音頭を取っていただいて、あるいは費用負担していただいて開発できたらいいんですけども、やっぱり時代はそういう時代ではなくて、多分どこかの大学でつくったものをうまく横展開していくような、自律的に大学間で相互に助け合えるような、そんな環境に何とか持っていきたいなと思っております。
【大藪委員】  ぜひ最初にやっていらっしゃるところにいろいろノウハウとかを教えていただいて、なるべくそろえていって、一緒に共有できるようにすればいいかなと思っています。ありがとうございました。
【竹内主査】  ありがとうございました。他にいかがでございましょうか。
 もし御質問がないようでしたら、次に移らせていただきまして、最後の方にまとめの質疑の時間を取っておりますので、またそのときに討議をお願いできればと思います。
 それでは、続きまして、主査が出しゃばって申し訳ないんですけれども、私から教育のデジタルトランスフォーメーションと大学図書館ということでプレゼンをさせていただきたいと思います。
 デジタルトランスフォーメーションという言葉、よく使われておりますけれども、これ、いろいろな定義がどうもあるようでございます。平成30年の経産省の説明によりますと、激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立することと説明されているようでございます。
 先ほどメンタリティーという言葉がございましたけれども、メンタリティーの変革というのもこの中に含まれるのだろうと理解をいたします。
 私なりに定義をしてみますと、デジタルトランスフォーメーションというのは、デジタル技術を活用することで、これまでの業務の手順や手法の限界を超えて、組織や個人の果たすべき役割を合理的に達成できるようにすることと言ってはどうかと考えております。
 「誰も来ないキャンパス」というかなり刺激的なことを書かせていただいておりますけども、これはCOVID-19パンデミックの入構制限等によって我々が過去2年間の間に経験をしてきたことでございます。
 言うまでもなく、そのためにデジタル化というのが大きく進んだのは事実ですけれども、デジタル化というのは別に今に始まった話じゃなくて、例えば高等教育におきましては、かつてから様々な試みがございました。例えばオープンコースウェアであるとか、あるいはMOOCsのようなものというのももうかなりの年数がたっていると思います。
 しかしながら、先ほど申し上げましたように、COVID-19パンデミックによって本当に誰も来ない状況になったわけです。従来のオープンコースウェアとかMOOCsというのがどちらかというと補助的なものであったのに対して、まさに教育のメインの活動のデジタル化というのが我々にとって重要なことになり、ほとんど全ての高等教育機関においてデジタル技術を用いた授業の実施をせざるを得なくなったという状況だと思います。
 しかしながら、これは、本来あるべき変化に対応し切れていなかったという多くの教育機関にある種の目覚めをもたらしたと考えることができるものかもしれません。
 しかし、この状況が、あくまでもそのパンデミックへの緊急の対応というようなことになったのであって、これが終息した後はどうなるかというようなことを今我々は考えなきゃいけないわけです。人によっては単に元に戻ればいいということをおっしゃるかもしれませんけれども、多くの方々は、キャンパスに行かなくても教育が成り立つ可能性があるということを明確に認識をされただろうと思っております。
今後の議論というのは、キャンパスに行かなくても教育が成り立つという方向で進んでいくものに間違いないと考えております。
 オンライン授業というのがこの2年間広く実施されるようになりましたけれども、これについては様々な評価がございます。取りあえず授業を成立させるという段階、つまり、この段階では、教員も学生も多くの不十分な点を我慢し、とにかく授業と呼べるようなものを何とか実施しようという、そういう状況だったと思いますけれども、今、我々はそれを脱し、カリキュラムポリシーや各授業の目的に沿って最適な方法で授業を行うという段階に入ってきていると思います。
 下に「『デジタル』と『リアル』の最適な組み合わせ」と書いておりますけれども、これは去る2月7日に文部科学大臣から中央教育審議会に諮問された第4期教育振興基本計画の策定において言及されていることでございまして、2040年以降の社会を見越してということになっています。しかし例えば社会人を対象としたリカレント教育のように全面的にデジタルを中心とした授業実施が必要になっている領域というのも既にあるわけでありまして、長期的にはデジタルが基本のものに変わっていくだろうと思うわけです。
 「学修者本位の教育」とか「教育の質保証」というのは、「2040グランドデザイン答申」の中で特に重視されていることであります。デジタルという技術のことを考えていくとしても、その前に本来教育はどうあるべきなのかということの議論が必要ということです。「学修者本位の教育」というのは、何を教えたかから何を学び何を身につけたかということへの転換であると言われておりまして、その中でも、学生や教員の時間と場所の制約を受けにくい教育研究環境へのニーズに対応し、生涯学び続ける力や主体性を涵養するために、大規模な教室での授業ではなくて、少人数のアクティブラーニングやICTを活用した新しい手法の導入が必要だというようなことが言われています。
 そのような中で考えないといけないのは、アクティブラーニングというのは決して手法ではないということかと思います。そこにはどういう人材を育てるべきかという点についての意識改革が必要であるはずであって、ここで挙げております東大の藤垣先生、柳川先生がお考えの「新しい『教養』」というのは、単にいろんなことを知っているということではなく、自分で考える、議論を通じてそれを磨き上げて、よりよいと思われる答えにたどり着こうとする態度であろうと思うわけです。
 先ほども言及いたしました第4期教育振興基本計画の諮問においても、OECDが2030年を見据えて、子供たちが、自ら考え、主体的に行動して、責任を持って社会変革を実現する力を発揮しながら、新たな価値を創造する力、対立やジレンマを克服する力、そして責任ある行動を取る力という変革を起こすコンピテンシーを身につけていくということを提言しております。
 このコンピテンシーについては、「2040グランドデザイン答申」の中でも言及されていることであって、単に知識や技能だけではなくて、技能や態度を含む様々な心理的・社会的なリソースを活用して、特定の文脈の中で複雑な要求に対応することができる力であるという説明がされているわけです。
 つまり、ここで言う新しい教養も、それから、これまでの政策文書で言われてきたコンピテンシーというのも基本的には同じベースにあるものと考えることができるのではないかと思います。
 このようなコンピテンシーあるいは新しい教養ということを意識した場合に、それがどのように涵養されるべきかということを考えることが必要になるだろうと思います。もはや言い古された言葉でありますけれども、学生が主体的に学ぶ、つまり、手法としてのアクティブラーニングではなくて、学びの姿勢としての学生の主体性というのがやはり重要であると言うことができるかと思います。
 この図は以前「国立大学法人等の施設整備に関する調査研究協力者会議」というところで報告をさせていただいたときに使ったものなんですけれども、学生が主体的に行う学習というのは、情報のインプット、知識への統合、その知識の応用、そしてその成果を公表するというサイクルの中で動いていくものであって、これがスパイラルを形成して、知識のみならず、課題に取り組む力などが上がっていき、なおかつそのことを学生自身が実感して自己効力感を高めて社会に出ていく。それが授業への参加を超えて、社会に出ても自らが学び続けることができるようにするという、まさに今日の高等教育の使命と言えるものなのではないかと考えております。
 それでは、このような学習をデジタルという環境の中で実現していくためには何が必要かということなんですけれども、従来、LMS、Learning Management Systemというのがあって、また個別的なアプリケーションの開発がされてきましたけれども、それでは恐らく不十分であって、今日、Learning Platformへの転換というのが求められているだろうと思います。
 このLearning Platformというのはどういうイメージかということなんですけれども、いつでも、どこでも、誰とでも学ぶことができるということを実現するためのもので、これは物理的な場所に縛られていると実現はできません。これはデジタル環境の大きな利点であると言うことができると思います。
 また、ネットワークによってほかにつながる、あるいはオープンであるということは必須となってきておりまして、このようなプラットフォームの上で様々行われている個々の活動につきましては、例えばNII主催の「大学等におけるオンライン教育とデジタル変革に関するサイバーシンポジウム」においても様々な紹介がされているところであります。
 ここではっきりしているのは、様々なデジタル技術がツールやインターフェースをつくり出しているということなんですけれども、しかしながら、一度つくられたものが永遠に続くというものでも決してないということかと思います。
 ですので、ここでいろいろなリソースを挙げました。例えばVRの教材であるとか、あるいは今はやりのメタバースとか、そういったものが様々出来上がっていき、そしてそれに対してオンラインの形での学修支援、あるいはコンピューターベースドテスティング、あるいはそのE-portfolioのようなものがつくられて、学習者を中心とした学習というのが進められていくだろうと。その基盤にあるのはもちろんコミュニケーションのツールであり、インターフェースであるということは間違いないと思います。そのようなプラットフォームをうまく活用していきながら、Learning Analyticsのようなことが行われて、学習者本位の教育として、学習成果の可視化がなされ、個別最適学習というものが実現していく、こういう方向性にあるのではないでしょうか。
 また、Micro-credentialsのようなものが考えられていって、従来の学位と比べるとはるかに小さな学習モジュラーがたくさんつくられて、そのデジタル証明書のようなものを持つ学生たちが、場合によっては、1つの大学ではなく、複数の大学を渡り歩きながら自らの力を示していくというような環境になっていくのではないかと思われるわけです。
 それでは、このような文脈の中で大学図書館は何をどのように行っていけばいいのかということです。先ほど「誰も来ないキャンパス」というのがありましたけれども、図書館も誰も来ないという状況に直面をいたしました。ただ、これは、COVID-19パンデミックが終わった後も容易に出来し得るだろうと思います。なぜなら、今は学生たちが様々な形で学習している中で、特にデジタル技術を活用している中で、図書館がそれに十分対応した機能を果たしていかなければ、機能しない場所というのはないに等しい扱いを受けるからです。
 従来は学生なり教職員なりが大学図書館という物理的な場所に来て初めてコンテンツへのアクセスとか人的支援を受けるというような状況にありました。これでは大学図書館機能としては甚だ不十分であるというのはもはや議論の余地はないところであります。
 ラーニング・コモンズモデルは、2013年の審議まとめ「学習環境充実のための学術情報基盤の整備について」以降、日本の大学図書館には非常に広く受け入れられてきたものでありますけれども、これは学生が図書館に来るということを前提にしていたモデルだったと思います。
 それゆえ、ただそのままでいては全く何も機能しなくなるわけであって、大学図書館の機能というのは原則非来館型で実現するものに変えていかなければならないということになります。
 一方、いつでも、どこでもという機能を超えた人々を引きつけるような価値というものが物理的な場所としての図書館には備わっているとしたら、それは今後どのようなものになるのかということを考える必要があるだろうと思います。
 例えば、アメリカのジョージア工科大学は、2016年に図書館にあった資料の95%をエモリー大学と共同で設置したライブラリーサービスセンターというところに移しました。そのセンターは、紙の資料の保存環境として極めて安定的なものであって、必要なときにはオーダーの翌日には図書が届けられるというようなサービスを展開しています。キャンパスでの日々の活動というのは原則的にデジタルのコンテンツをベースに行うというようなことを実現しています。紙の資料を移すことで空いた空間というのは学習のための空間として使うというようなことをしているわけであって、そこにわざわざ行きたいと思うような活動があるかどうかというのが非常に重要かと思います。
 COVID-19パンデミックの間に大学図書館が実際にやってきたことの1つとして紙の資料を郵送などで提供するというような努力がございました。これが業務量的にかなり厳しかったという話を聞いたこともあります。危機的な状況だからできたことであって、これが安定的にできるようなものでは決してないと思います。ですので、今後は、利用する環境などを踏まえた最適な形態での教育・学習リソースの提供を可能にするということが大学図書館にとって大前提になってくるということになるわけです。
 ここに挙げられております空間とコンテンツと人的支援というのは、先ほど言及しました2013年の「学修環境充実のための学術情報基盤の整備について」の中において言及されていたものであって、学修環境充実に関わる学術情報基盤整備のためには、コンテンツとそれから学習の空間とそれから人的支援の有機的な連携が重要であるということが指摘されてきました。
 しかしながら、これらというのは全てオンライン、あるいはバーチャル、あるいは電子的なものへと変換していかなければならないということになります。ここでは大学図書館はもはや建物として議論するのではなくて、大学図書館の機能として何が必要か、何がどのように実現されるかということを議論することになります。
 この絵は、研究を例にとってコンテンツ基盤がどのように関わるかということを以前あるところで説明したものです。尾上委員の先ほどのプレゼンの中にございました研究遂行プロセスのトランスフォーメーションということとの関わりになるわけですけれども、ここでは尾上委員が書かれたよりももう少し広く図書館あるいはコンテンツ基盤の関わる可能性はあると理解をして説明をいたしました。
 このような考え方に立っていくと、Learning Platformの上で行われる学生の主体的な活動の様々な面においてDigital Libraryが関わることに関わっていくということが恐らく今後の姿になるのではないかと考えます。Learning Platformと密接に関わるDigital Libraryというのは、情報委員会の提言コロナ新時代に向けた今後の学術研究及び情報科学技術の振興方策について」において言及されておりますように、多様な学術情報資源の共有などによって大学図書館が相互に連携したDigital Libraryになるということは不可欠である。そのためには、これまで蓄積されてきた学術情報資源が、全てとは言わなくても、通常必要とされるものについてデジタルで利用可能になることが大前提になります。恐らく今後生産されるものについては、デジタルで生産されるということが基本になっていきます。
 それをどれくらいのタイムスパンで、誰が、どのように実現をしていくのが合理的かということをしっかりと考えるということが必要で、恐らくこの検討部会に課せられた1つの課題であろうと思っております。
 最後、若干付録のようなものなんですけれども、大学図書館機能がどのように変化をしてきたかということを振り返りつつ、図書館員のスキルの変化というものについて少し確認をしたいと思います。
 教育、学習と関わるということについて大学図書館が大きな節目を迎えたのはラーニング・コモンズの導入にあったと考えております。その方向性については2010年の「大学図書館の整備について」などでも言及されてきたわけでございますけれども、これは教育活動への直接的な関与が図書館という具体的な場において実装されるということであって、図書館職員には教育学習支援者としての専門職能を身につけるということが求められていたと言うことができると思います。
 しかし、これは、これまでの大学図書館員が身につけてきたスキルの単純な延長上にはなかったと思います。1980年から2000年にかけての変化というのは、図書館員がこれまで蓄積してきた様々なスキルの上に、経験を踏まえて何とか対処できるような新たなスキルだったと言うことができると思うんですけれども、2000年以降の変化は明確に違います。しかしながら、その違いということを大学図書館コミュニティーが正確に理解してきたかというところはやや心もとないところがあって、メンタリティーということとも関わると思いますけれども、これは非常に重要な課題なのではないかと思っております。
 当然のことながら、研究データに関わるような研究遂行プロセスへの関与ということを考えるともっと大きな変化ということになるだろうと考えております。この辺りについてもこの検討部会において様々な議論ができればと考えているところでございます。
 ちょっと主査としてはしゃべり過ぎという気がいたしますけれども、検討すべき課題についても少し膨らませるプレゼンテーションをさせていただきました。どうもありがとうございました。
 それでは、ただいまより今の私の報告に対する御質問、あるいは教育のデジタルトランスフォーメーションと大学図書館との関係についても御意見をいただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 引原委員、よろしくお願いいたします。
【引原委員】  竹内先生、ありがとうございます。非常に刺激を頂きました。今先生おっしゃった中で非常に重要だと思ったのは、タイムスパンということだと思うんですけども、図書館員が持っているタイムスパンというか、時定数と、それから、先ほど、一番最初にありました第6期のイノベーション計画とかに書かれている時定数、それから世界の動きというのが何かずれているんじゃないかというのを私は感じているところです。特に、先生の今お話の中にあったときに、いろんな既に確立した先進国の中でもそれをリセットしてもう一度構築するという活動がされながら、日本の場合は、いまだに建物とか、それから言ってみれば予算の取り方も、円×人×日という、そういう考え方でしか動いてなくて、機能を実現するということに価値を見出していない。ところが、機能というのはタイムスパンからいえば非常に速いものが求められているということなんですけれども、その辺のミスマッチがあるということを、先生もおっしゃっていたと思うんです。
 それが、今、これからのスキルのところに関係すると思うんですけども、言いたいことは、先生がいろんなカテゴリーをおっしゃってくださっているものをどう方向づけるかというところに、図書館として、今、どういうやり方で考えればいいかということを、先生御意見ございましたら、よろしくお願いしたいと思います。
【竹内主査】  ありがとうございます。正直申し上げて、今の引原委員のお尋ねに対してこれが正解というようなアイデアは私もまだ見出せておりません。しかしながら、研究のプロセスあるいは教育のプロセスの大きな変化というものと、やはりきちんとそれにスピードが合って進まなければ大学図書館は絶対に時代遅れになってしまって、箱としてあっても、物としてあっても、先ほど申し上げたように機能的にはないものとして扱われていくだろうということは間違いありません。
 ですので、既に研究の方も、あるいは教育の方も、何年を見越してこういったことをやるということを明確に言っているわけですので、図書館のことについても、恐らく、言葉をちょっと換えて言えば、大学図書館のデジタルトランスフォーメーションというのも、やはり明確な達成すべきタイミングを決めた上で、バックキャスト的にそれに向かって何をやっていくのかというつくり方をきちんとしないと恐らくもたないだろうとは考えております。
【引原委員】  ありがとうございます。先生がまさにおっしゃったバックキャストというのを考えたときに、コロナ禍で大きく変化したのは事実ですけども、中学生、高校生の情報教育が入っていく中で、9年ぐらいたつと、全部学生の感覚というか、スキルも入れ替わっちゃうわけですね。そう考えたとき、図書館が提供するものというのは、9年ぐらい、あるいは10年が限界だと思います。それを前提にバックキャストして、今何を変えていかないといけないか、あるいは何から変えられるかということを明確に議論できればありがたいなと思います。
 もう一つ考えますと、日本の技術発展というのは明治からずっと積み上げてきた歴史的経緯があるわけで、その上に図書館であるとか、いろんな教育が乗っているわけですけれども、そのままをほかの国がたどるんだと、開発国がたどるんだというものすごく間違った感覚を日本の国全体が持ってきたんじゃないかなと私は思うんです。国もそうだと思います。今の世界の状況からすれば、携帯から全て始まるという状況で、そこから情報が来るわけであって、図書館というのはそこに乗るかということをやはりもう1回考えたときに、今の中高校生も変わらないと思うんです。小学生かもしれません。携帯から始まるという事実をやはりもっと深刻に考えて対応しなければ、郵送で送っている場合じゃないと思うんです。そういうことをここで議論していただければと思います。ぜひよろしくお願いいたします。
【竹内主査】  ありがとうございます。9枚目ぐらいのスライドだと思うんですけれども、今は目立つ技術というのがあって、技術というのは出てくると、どうしてもみんなそれに向かって走っていくというところがあるわけなんですが、でも、それが一旦つくられたからといって永遠に続くものでは決してないということがあるわけであって、それで踊ってしまうと、やはり基盤の整備というのは間違うことになるだろうというのははっきりしているのではないかと思います。
 ですので、そのようなコミュニケーションツールとインターフェースというのは常に変わっていくものだということを認識しつつ、じゃあ、基盤として我々は何をやっていくのかということの議論が必要だということを私も一応認識はしているつもりでございます。今の引原委員の御発言というのは、私がベースに持っている考えをより補強していただいたものかなと受け取らせていただきました。もし間違っていたら御指摘いただければと思います。
【引原委員】  いえいえ、ありがとうございます。そのとおりでございます。よろしくお願いいたします。
【竹内主査】  ありがとうございます。ほかいかがでございましょうか。加藤委員、お願いいたします。
【加藤委員】  お茶の水女子大学の加藤でございます。大変良いお話を伺いまして、ありがとうございました。
 1点質問というか、お考えを伺いたいのですが、これからの図書館は非来館型のサービスが主流になってくる。本当にその通りだと思っています。しかし図書館の職員にはやはり来館型のサービスが念頭にあるという印象ですが、その点の意識改革をどのようにしていけばよろしいのでしょうか。まとまりのない質問ですが、ちょっと伺いたくて質問させていただきました。よろしくお願いいたします。
【竹内主査】  ありがとうございます。なかなかこれはお答えが難しいかなと思っておりますが、私が答えてしまうよりもというか、私も正直言って本当にいい答えがないので、ぜひ委員の皆様方から今の加藤委員の問いかけに対してお答えをいただければと思いますが、どなたかいらっしゃいませんでしょうか。
 深澤委員、ありがとうございます。よろしくお願いいたします。
【深澤委員】  決して私ができたという意味ではないんですが、やっぱり図書館長のリーダーシップしかないんだと思います。放っておいたら、きっと皆さん好きな方、つまり昔ながらの図書館の方に走ってしまいますので、そこを新しい方に持っていくのはやっぱり誰かがリーダーシップをとらなきゃいけなくて、それは多くの場合図書館の館長のお役目かなと思っています。もちろん最初にお話ししましたように、私も10年くらいやっていましたが、それができたかと言われれば、できなかったところもあるとは思っております。
【加藤委員】  ありがとうございました。館長のお役目というのは、もちろんそういうところもあると十分認識いたしました。ありがとうございます。
【竹内主査】  ありがとうございました。ちょっと余計なことを申し上げますと、本当に今図書館で働いていらっしゃる方が昔ながらの伝統的な仕事が本当に好きかということについて私は若干疑問を持っているんですけれども、もしもそれらの点についても御意見等あればぜひお願いをしたいと思います。あるいはそれ以外のことについても結構でございますので、ぜひ積極的な御発言をお願いいたしたいと思います。特にまだ今日御発言いただいていらっしゃらない先生方。大藪委員、どうぞ。
【大藪委員】  その答えというわけではないんですけれども図書館にも、新しい方もどんどん入っていらっしゃいますので、そういった新しい感覚、お考えを持っていらっしゃる方ももちろんいらっしゃると思いますけれども、大学教員も、今回のコロナのことによって、大学がロックアウトしたときでも、自分で学ばなくちゃいけないみたいな、自分でやり方を全部学べみたいなところがあって、図書館も一緒だと思うんですけども、その辺のところがすごく負担、負担というか、すごく時間もかかったので、先ほどおっしゃったように、教育をしていくという、システムに基づいた教育ですね、図書館員に対する教育だとか、大学教員に対する教育、デジタルトランスフォーメーションなると、図書館だけじゃなくて非常に重要になってくるかなと思いました。
 取り残されているというか、分からないような人も非常に多くて、学生も実は先ほど携帯から情報が全部行くという話がありましたが、確かにそのとおりで、本当にこのままずっと何十年もその形が続くのかどうかちょっと私もよく分かりません。また新しい何かが出てくるのかもしれないんですけれども、パソコンは、学生さんは使わないので、それで図書館に行ってパソコンが置いてあって、引いてしまうというか、どうやったらいいかが分からないとか、そういったこともあって、学生さんも実は、若い人たちもデジタルのところにたけているかといったら、ものすごく偏ったところでたけているだけであるというところなので、その辺をつないでいかないと、学生、大学、図書館員だとか、外の人たちというふうにして、情報の基盤みたいなのをつないでいかないと、非常にいびつな形で、それぞれが得意なところだけでつながっているという、そういった状況が今現状としてあるのかなと思うので、かなり教育というのは非常に必要になってくるかなと思っています。以上です。
【竹内主査】  ありがとうございます。大変重要な示唆を頂いたかなと思います。
 ほかの委員の先生方いかがでございましょうか。村井委員、よろしくお願いいたします。
【村井委員】  貴重なお話を頂きまして、ありがとうございました。筑波大学の村井と申します。直接はお話に出てきておりませんが、著作権についてお伺いできればと思います。例えば紙の資料を取りあえず郵送していたけれども、今後は変わっていかなければいけないというようなお話が出てきておりました。これは、おそらく著作権の問題で、本来望ましいインターネットを通じた資料の提供などが従来は難しかったという背景もあると思います。令和3年の著作権法も改正がなされたところで、よろしければ今の先生の著作権法上の問題に対するお考えを聞かせていただければと思います。
【竹内主査】  それは委員の先生方広くということでよろしいですか。
【村井委員】  よろしければ竹内先生にお願いいたします。
【竹内主査】  著作権に関しましては、35条の改正に伴ってできました授業目的公衆送信補償金制度にかなりコミットしてまいりましたので、軽々には発言できないと思うのですが、一つにはやはりマスとしての著作物を使うような環境というのが今後必要になってくるだろうと考えております。これはおそらく審議会の方で既に研究目的利用の際の権利制限ということで検討されているんじゃないかと思うんですけれども、これだけテキストのデジタル化が行われる、あるいはそれが必要だという議論がどんどん進んでいきますと、人が一つ一つの資料を読むのではなくて、マシーンが非常に大量のテキストを読むというような行為が当然出てくるだろうと。それが今の著作権法の下でできるかというようなところが少し引っかかってくるかなとは思っております。それが第1点でございます。
 それから、そして31条の改正ができまして、現在具体的な制度づくりのために運用の環境づくりのための議論が進んでいるという状況かと思いますけれども、やはりなかなか一筋縄ではいかないなあというのが率直な感想でございます。
 大学図書館の立場として著作権法というのはやっぱり非常に重要かつ影響の大きいもので、それがいろんなことを規定していくわけなんですけれども、ただ、大学図書館が完全に著作権法のしもべみたいになってしまうと、これはやはり困ったことであって、法によって様々なことができるようになるということを意識しつつも、我々は現在オープンサイエンスの時代に生きているということがありますので、特に学術的な研究成果については、オープン化、つまり、経済的な利益と密接に関わる著作権による制約みたいなものとは違うところで学術の様々な情報、知識の共有というのが実現するということを考えざるを得ないのではないかとは思っております。
 極めて雑駁な意見で申し訳ありませんが、以上でございます。
【村井委員】  ありがとうございました。
【竹内主査】  今日まだ御発言いただいていらっしゃらない先生方いらっしゃるかと思いますけども。佐藤委員、よろしくお願いいたします。
【佐藤委員】  佐藤でございます。竹内先生の14ページのスライドのところに関わることなのですが、よろしいでしょうか。
【竹内主査】  どうぞ。
【佐藤委員】  14ページのスライドというのが、これPosada et al.の論文かと思うんですが、たしかこれは、エルゼビアが学術コミュニケーションの全てのプロセスといいますか、研究の開始から評価に至るまで全てのプロセスに関わっているという、そういう図だったように思います。そこで、先ほど来、尾上先生、引原先生からお話のありました図書館員のメンタリティーというような問題というよりは、もはや経済合理性の問題と言わざるを得ないような状況になっている。つまり、資料というのは図書館の中にはもはやなくて、外部にあって、誰かが、一つ一つの図書館がそれを何とかするということではなくて、どこか1か所できちんと管理をしてアクセスをできるようにするという、そういう仕組みの問題になってきているのではないかと思われるわけですね。
 そうした中で、上の方に書いてある図の元の図と下の方の竹内先生が追加してくださった様々な要素に関して、どのような部分でこういった商業出版社と競合をするか、あるいは補完関係を構築していくのかといったところについて何かお考えございますでしょうか。
【竹内主査】  ありがとうございます。今佐藤委員から御指摘がございましたように、スライド14ページの図は、おっしゃったとおり、既に研究プロセスの様々なところに商業的な活動が入り込んでいるということを説明している図でございました。今御指摘がございましたように、この下に書いてあるデジタル・ライブラリーのようなものが、各プロセスと関わっていきますが、デジタル・ライブラリーというのは単独の大学で維持しているものでもなければ、非商業的なものあるいは商業的なものどちらかに限定しているものでも決してないということはまず前提として御説明をしたいと思います。
 この丸く囲った部分については、今回、時間がなかったので、極めて簡単にしか言及しませんでしたが、意識としては、様々な大学図書館、大学の連携によってつくられるデジタル・ライブラリーというものをざっくりと描いているものにすぎません。
 この中にある一つ一つのものが商業的か、非商業的かというよりも、むしろ利用者から見たときに、様々なデジタルコンテンツというのが相互にきちんと連携してつながって、1つのデジタル・ライブラリーであるかのように見える環境というのがあって、その環境と、それから研究の様々なプロセスというのが、必要に応じてコンテンツのやり取りをすること、そして場合によってはそのやり取りに際して図書館員が介在をして支援を行うというようなことをイメージしている図と御理解いただければと思います。
【佐藤委員】  ありがとうございました。
【竹内主査】  それでお答えになっていますでしょうか。
【佐藤委員】  はい、大丈夫です。
【竹内主査】  ありがとうございます。では、北本委員、お願いいたします。
【北本委員】  北本です。実は私も同じ図について質問しようかと思っていました。この図に関する議論では、商業的かどうかという点も重要ですが、図書館的なものが図書館の外部につくられていろいろつながっていくと、図書館の機能が外部に流出していくということもイメージする必要があると考えています。図書館のコアな部分は多分残るのでしょうが、それがどこなのかを見極めていくところも、議論として必要なのかなと思っています。
 この図には青い境界が描かれていますが、現実には境界にかなり穴が空いていて、そこから機能が流出していくようなイメージもあります。それに対してコアの部分をどうやって維持していくか。先ほどから出ている「機能」という話にもつながると思いますが、そうした点についてもし竹内先生に、御意見がありましたら、ぜひお聞きしたいと思いました。以上です。
【竹内主査】  ありがとうございます。方向性としては、まさに大学図書館の機能として論じればよいと思っておりまして、館としての図書館ということを考えたら、そこから漏れていくというのは100%間違いなく、なおかつ一つ一つの大学というような括りもできないというのも間違いがないだろうと思います。
 ですから、図書館という機能のイメージというのは、例えばコンテンツがネットワーク上にどのようにあるかということを考えると、多分境界はほとんどどこにもないという状況になるのではないでしょうか。相互に何らかの形でつながっている限りにおいては、それはイメージ的には1つのものになっていく可能性は極めて高いだろうと考えております。
 とはいえ、そういったふうにコンテンツがつながっていくということと、それから図書館機能というものがどのように研究者ないしは学生から見えるかというところは少し多分ずれているところはあるはずですので、それがきちんと言語化できて説明できるかが重要かと思います。先ほどの引原委員とのやり取りを踏まえて申し上げれば、我々が、ある時間のポイントを決めて、そこまでに何を我々が実現すべきかというときに、そこにあるべき図書館機能は何かという記述をすることは今回の検討部会の中でできればやりたいことと私も考えているところです。
【北本委員】  ありがとうございます。この図には学生と教職員が明示的には書かれてませんが、それぞれの立場から見える風景は異なりますし、人々から見えるインターフェースとしての図書館という点は確かに考える必要があるなと思いました。ありがとうございました。
【竹内主査】  ありがとうございました。では、石田委員、お願いいたします。
【石田委員】  九州大学の石田でございます。貴重なお話ありがとうございました。竹内先生に質問なんですけれども、先ほどラーニング・プラットフォームとデジタル・ライブラリーというのを一緒に考えていく必要、もしくは整備していく必要があるというお話でしたが、私ももちろんそれに賛成いたします。ただ、先ほどの尾上先生のお話にもありましたように、研究DXも図書館だけでは進めていけないと思っているので、これ、教育の方のDXを考えたときにもやはり図書館単独では無理なのかなと感じました。
 それで、教育の場合というのは、連携先といいますか、協力先というのは具体的にはどのようなところを何か想定されているものがあれば教えていただきたいと思っております。というのは、大学によっても組織構造って違うとは思うんですけれども、教育組織それぞれですと、ちょっと相手先が多過ぎて、なかなか難しいかなと思いますので、どういうところと連携していくのがいいというふうに、もしお考えがありましたら教えていただきたいと思います。
【竹内主査】  ありがとうございます。恐らくスライドの9枚目の図を誰がどのように支えていくのかというようなところと関わりがある話だろうと思いますけれども、当然のことながら、図書館がこれらの基盤の整備から始まって、様々なコンテンツの整備というのを全て単独でやっていくのは不可能だろうと思います。これはいろいろな考え方はあると思うんですけれども、1つの大学の中に閉じている話でも恐らくないだろうと思います。商業的に利用可能になっているサービスというのもあるかもしれませんし、あるいは大学の中で言えば、情報処理センター、コンピューターセンターと密接に関わってやるというようなこともあるでしょうし、あるいは大学によっては、全学的な教育支援を行うためのセンターがあって、そこと関わっているということもあると思います。ここに挙がっているMOOCsのようなものを見たときに、図書館がやっているというところは日本の国内には多分ないんじゃないかなと思います。しかしながら、それ以外のサービスについては、場合によっては図書館が関わるということは十分にあり得る話だろうと思いますし、またこのあたりの話というのは、教育・学習支援のための大学内のセンターのみならず、教育ないし学習に関する学内の意思決定を行う組織との密接な関わりというのが重要になるだろうと思います。
 ただし、先ほど申し上げたことの繰り返しになりますけれども、1つの大学の中でそれらの機能というのが全部閉じてないといけないという時代ではもはやないだろうと思いますので、それほど規模の大きくない、独自に全学的な教育学習支援センターのようなものを持てないというところは、例えば複数の大学で共同でつくるということもあるかもしれませんし、あるいはその部分は完全に民間ベースの商業ベースのサービスに乗るというようなこともあるはずでして、それは各大学の教学マネジメントのコンテクストの中でどのように行っていくというふうに決めるかというところに関わっているのではないかと思います。
 その際に、特にコンテンツに関わる部分については図書館が外されないようにということは強く意識しておくべきではないかと思っておりまして、先ほど尾上委員のプレゼンテーションの中で、図書館長が研究推進に関わる会議にも出るというようなことがありましたけれども、やはり図書館長なり図書館の関係者が全学の教学マネジメントに関わる会議に参加するというような形というのは重要ではないかと考えております。
【石田委員】  どうもありがとうございました。私も、もちろん大学内でということがあると思いますし、横展開、先ほど研究DXのときにもありましたけれども、そういうことも重要だという考えに賛同します。ありがとうございます。
【竹内主査】  ありがとうございました。残り時間が少なくなってまいりましたけれども、先ほどの私のプレゼンに限らず、尾上委員からお話しいただいた研究のデジタルトランスフォーメーションに関すること、あるいは、先ほど事務局から説明がございました審議の論点等についても含めて、御意見、御質問があればお願いしたいと思います。
 堀田委員、どうぞ。
【堀田委員】  大学図書館の整備についてということで、様々な機能とか役割が求められる、追加されるというような状況で、それで何度か話題に出ております図書館の職員、メンタリティーのことを含めても、いろいろ考えていかないといけないでしょうし、あと、図書館長のリーダーシップというようなこともお話出たと思います。
 それで、ちょっと一つ、外れるかもしれないんですけど、素朴な疑問なんですけども、図書館の職員の方の多くの方は司書あるいは司書補の資格をお持ちだと思うんですけども、そういうライブラリアンの資格を持って図書館職員になられるということだと思うんですけども、そうしたときに、司書の資格というものに求められていること、それ、今ちょっと見てみたら、文科省のホームページに司書についてというところで定義されているんですけども、そういった仕事の内容と今日語られているDXの話というのがちょっと素人目にはマッチしていないように見えるんですけども、その辺りまでこの検討部会というのは踏み込んだりするという可能性はあるんでしょうかね。
【竹内主査】  これは釈迦に説法なんですが、司書という資格そのものは図書館法に基づく資格でございまして、公共図書館の専門的な職員のための資格というふうに一般的に理解されております。この検討部会では大学図書館における新しい機能の実現等に求められる人材についてということは検討いたしますので、どういうスキルを持っているの人材が必要かという議論は必要ですが、司書の資格というものの中身については、大学図書館の職員に求められているものとそもそもイコールではないと理解をすべきものではないかと思っておりますので、司書資格制度そのものについてはここでは議論するという予定はございません。
【堀田委員】  承知しました。ただ、文科省のホームページを見ますと、図書館には公共図書館、大学図書館ということで、大学図書館も含めて説明があるようなので、ちょっとすいません、全く素人で、ちょっとその辺りが気になりましたけど、検討部会での立ち位置は了解いたしました。ありがとうございます。
【竹内主査】  ありがとうございました。ほかいかがでございましょうか。大藪委員、どうぞ。
【大藪委員】  3つ。バーチャルライブラリーみたいな感じで、ブラウジングは図書館、非常に重要な意味があって、必要な文献だとか本だけを探し、送ってもらうんじゃなくて、必要なところを見ていたら、これも大事だったとか、あれも大事だったというふうなので、本棚がネット上で見られて、自分で見て、これが結構大事だなというようなのもこれから図書館の役割としてはあるのかなと思いました。
 それからもう一つ、人が来なくなってというような話がありまして、そのとおりだと思うんですけども、金融機関とかでも、今までは人が来て全部やっていたということですけど、全部今はマッチングというか、紹介というか、そういったところにすごく大きな役割を持ってきていますので、図書館も多分先ほどの、外ともですけども、産官学と先生方はつながっていますけど、そこが図書館に入ってないという話が先ほどもあったと思いますけど、そういったところのマッチングとかいうのを、学内とそれから学外とのマッチングができるようなことがあればいいなと思いました。
 それからもう1点ですけども、DXとかでバーチャルとか、いろいろそういうふうになっていく、情報化になっていくのはもちろんそうだと思うんですけど、例えば銀行のATMが動かなくなったら全部駄目になるとか、今日もどこか航空会社のところが全部ネットが動かなくてできなくなったということがありましたが、今後あり得ると思いますので、残しておく部分とそれから情報化にしていく部分というのを切り分けて考える部分というのもこれから必要ではないかなと思いました。
 以上です。
【竹内主査】  ありがとうございます。大変貴重な御示唆があったと思います。とりわけ、やはりこれまで蓄積されたものをきちんと残すということの重要性というのははっきりあるわけでございまして、ただそれをやみくもにみんながやるという時代ではもはやないだろうと思いますので、その辺りをどのように考えていくかということも今回の議論の中にも含まれてくるかなと思っております。
 様々な御意見頂戴いたしまして、大変に主査としてはありがたく思っております。本日、審議の主な論点案というのを事務局の方から御説明いただいておりますけれども、この論点案を1つのガイドラインとしてこの検討部会では様々な検討を進めていきたいと考えております。
 また、本日頂きました御意見等につきましても、事務局の方でも整理をした上で今後の審議に生かしていきたいと考えております。
 では、最後に事務局より連絡事項等があればお願いいたします。
【土井参事官補佐】  本日の議事録につきましては、各委員に御確認を頂いた上で公開をさせていただきますので、御協力のほどよろしくお願いいたします。
 次回、第2回につきましては、改めて日程を照会させていただき、日時等が決まり次第御連絡をいたしたいと思います。
 事務局からは以上でございます。
【竹内主査】  ありがとうございました。次回は資料4-3の「審議の主な論点案」の前提として書かれております国立国会図書館の「デジタルシフト」、出版物のナショナル・デジタル・アーカイブの構築というようなことについてのお話と、それを実現していくためにも必要な著作権法の問題について御報告を頂くということを考えているところでございます。
 それでは、本日はこれで閉会とさせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。

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