次世代学術情報ネットワーク・データ基盤整備作業部会(第1回)議事録

1.日時

令和2年5月14日(木曜日)10時00分~12時00分

2.場所

新型コロナウイルス感染症の拡大防止の観点から、オンライン会議にて開催

3.議題

  1. 議事運営等について
  2. 次世代の学術情報ネットワークとデータ基盤整備のあり方について
  3. その他

4.出席者

委員

(委員、臨時委員、専門委員)
後藤主査、田浦主査代理、辻委員、高橋委員、合田委員、漆谷委員、下條委員、棟朝委員、山口委員、山地委員、湯浅委員
(学術調査官)
竹房調査官、池内調査官

文部科学省

村田研究振興局長、増子大臣官房審議官(研究振興局担当)、橋爪参事官(情報担当)、三宅学術基盤整備室長、土井参事官補佐

5.議事録

○事務局から、次世代学術情報ネットワーク・データ基盤整備作業部会運営規則(案)及び公開手続(案)について説明があり、了承された。
○科学技術・学術審議会情報委員会次世代計算基盤検討部会運営規則第2条第8項に基づき、後藤主査が田浦委員を主査代理に指名した。

【後藤主査】  それでは、ただいまから第1回次世代学術情報ネットワーク・データ基盤整備作業部会を開催させていただきます。主査にご指名いただきました後藤でございます。本作業部会の主査を務めさせていただくことになりましたので、よろしくお願いいたします。円滑な運営に努めていきますので、御協力よろしくお願いします。
早速、議事を進めさせていただきますが、まず審議に先立ちまして、文部科学省の村田研究振興局長から御挨拶を頂ければと思います。よろしくお願いします。
【村田研究振興局長】  おはようございます。文部科学省研究振興局長の村田でございます。どうぞよろしくお願いいたします。議事に先立ちまして、一言御挨拶を申し上げます。
 この度、委員の先生方におかれましては、本作業部会委員として御就任を頂きまして、また本日は大変お忙しい中、こうした形ではございますけれども、御出席を賜り、心より御礼申し上げます。
 近年、デジタル革命、あるいはグローバル化の進展によりまして、世界は知識集約型社会へと向けて大きな変革期を迎えております。最先端の科学やアイデア、ビッグデータ等の知が圧倒的な競争力の源泉となる時代が到来しているものでございます。イノベーションの源泉となる研究成果、その基となるデータの共有や相互利用を促すオープンサイエンスの進展等によりまして、様々な分野の研究開発や社会生活において情報やデータの持つ価値が以前にも増して大きくなっており、産学官が連携して様々な取組が進められているところでございます。また、昨今の新型コロナウイルス対応におきまして、御案内のとおり5月4日に緊急事態宣言が延長されるなど、大変厳しい状況が続いております。一方では、5月に入り、情報科学技術を活用した遠隔講義の本格実施に移行する大学も多く、様々な制約のある環境下で活動をより本格化させていくという、新たなフェーズに入っていくものと考えております。
 恐らく先生方も御専門の分野で、それぞれいろいろな御苦心をされていらっしゃることと思います。こうしたことは、新型コロナウイルスに負けずに、我々がいかに効果的にその活動を継続発展させていけるかという大きな挑戦であり、その成果というものは、今後の教育研究活動の在り方、あるいは社会システムを大きく変える可能性も有しているというふうに考えているものでございます。
 この作業部会で御議論いただく次世代の学術情報ネットワークとデータ基盤は、まさにその挑戦の基盤、礎となるプラットフォームであるというふうに私ども考えているものでございます。先生方におかれましては、何とぞ活発な御審議をお願い申し上げまして、御挨拶とさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
【後藤主査】  村田局長、ありがとうございました。
 それでは、議題「次世代学術情報ネットワークとデータ基盤整備の在り方について」に入りたいと思います。
 まず事務局から御説明をお願いいたします。
【土井参事官補佐】  それでは、資料5をもちまして、今後のスケジュール等について簡単に説明させていただきたいと思います。
 資料5の2枚目にある長期的なスケジュールを、画面で共有させていただいております。現在の学術情報ネットワークとしてSINET5が運用中でございまして、令和3年度いっぱいで運用が終了、令和4年度から新たな学術情報ネットワークが運用される予定になっております。そのために、サービスを安定的に提供するという観点から、この移行を令和3年度にする必要がございます。したがって、その移行に伴う経費の概算要求を、今年度しなくてはいけないことから、今回、次期の学術情報ネットワークに関する在り方についての御審議をお願い申し上げているところでございます。
 今回は、次世代学術情報ネットワークとデータ基盤整備の在り方の全体構想について、まず国立情報学研究所(以下、NII)の合田委員から御発表いただき、その次にネットワーク基盤について漆谷委員から発表いただくこととさせていただいております。なお、データ基盤については、次回、6月でございますが、このときに発表いただく予定としてございます。
 事務局からは以上でございます。
【後藤主査】  ありがとうございます。
 それでは、まず次世代学術情報ネットワークとデータ基盤整備の在り方についての全体構想について、NIIの合田先生、御説明よろしくお願いいたします。
【合田委員】  今、画面共有いたしますので、少々お待ちください。画面、見えていますでしょうか。
【後藤主査】  はい、大丈夫です。
【合田委員】  NIIの合田でございます。ただいま御説明いただきました全体構想、この中では、タイトルにありますように、次世代学術研究プラットフォームと呼びますけれども、これについて御説明させていただきたいと思います。
 まず、幾つか現状の背景について御説明いたします。皆さん御存じのように、研究データ利活用というのは今重要な課題でありまして、このデータ利活用を推進するためにネットワークの基盤、更にはオープンサイエンスの基盤の構築といったものが世界的に進められているところでございます。こういった中で我が国の研究力を総合的に支えるためにも、国際競争に耐える基盤の整備は不可欠であると我々考えておりまして、現在、弊所で進めておりますネットワーク基盤並びに研究データ基盤といったものを融合した、新しい、世界最先端の基盤を整備したいというのが、この全体の構想の目標であります。
 下は現状を簡単に御説明したものですけれども、左側のネットワーク基盤については、SINET5におきまして今、全県に100ギガのネットワークが引かれているところでございますけれども、近年このネットワークについてもかなり混雑が出てきておりまして、今後はこういったものを、100ギガを超える、具体的には400ギガ等の回線等にアップグレードすることが、世界の水準を保つ意味で必須というふうに考えております。
 右側は研究データ基盤の現状を表したものでありまして、現在各国で様々な基盤の整備、運用が始まっております。このグラフは各地域・国における予算規模を示したものなんですけれども、日本におきましてもNIIで今年度中に研究データ基盤の運用を開始するところでございますけれども、諸外国に比べますと規模的にまだまだ小さいところがございまして、ここを何とかしないと、このままでは日本が研究データ環境の後進国になってしまうと我々危惧しているところでございます。
 オープンサイエンスの話をさせていただきます。そもそもオープンサイエンスの目的というのは2つございまして、1つが研究公正への対応、もう一つは研究成果を利用して加速しようというものであります。研究公正という意味では、下のグラフは、やや不名誉なデータなんですけれども、2018年の国別の論文撤回率を示したものであります。残念ながら日本は一番上――上というか下というか――のところにありまして、そういった課題があるということでございます。
 データの再利用については、世界的に進んでいるということは言うまでもございません。このグラフはエルゼビアのデータジャーナルの累積論文数を表したものでありますけれども、右肩上がりで論文数も増えておりまして、こういった背景を考えると、今、研究者にとって、データを公正に管理して、かつ公開することが、もう必須の責務であるということが言えるかと思います。
 一方、Society5.0についてもいろいろ議論がなされておりまして、この中でも情報基盤に対する期待というのは大きいと考えております。この図は日本学術会議と科学技術・学術審議会総合政策特別委員会の資料の表紙ですけれども、この中におきましても共通して、SINETという基盤に向けての、基盤の貢献といったものが記載されているところでございます。
 こういった背景を踏まえまして、ここから先は我々の全体構想を御紹介したいと思います。一言で言うならば、最先端かつ安定した運用実績のありますSINET5といったものを発展させまして、更に、今準備しております研究データ基盤を機能強化して、これらを融合することで、データ駆動型研究を加速する研究環境を構築しようということが目的であります。具体的には、先ほどもお話ありましたけれども、2021年度から次世代学術研究プラットフォームといったものをスタートさせたいと思っておりまして、高速のネットワークの上に研究データ基盤といったものを効率よく運用することで、目的の実現を図っていきたいと考えております。また、真ん中にありますように、こういったことを実現するためには、ネットワークと研究データ基盤の間をつなぐミドルレイヤーの部分も非常に重要でして、この部分についても今日少し御紹介させていただきたいと考えております。
 それでは、少し詳しい話に移りたいと思います。まずネットワーク基盤についてであります。このスライドは現在のネットワーク基盤、SINET5の現状を表したものでございます。先ほどお話ししましたように、現在全都道府県を100ギガの回線で接続しております。特にネットワークの利用が多い東京-大阪間については、既に400ギガのネットワークにアップグレードしております。海外は、欧、米、アジアと100ギガのネットワークで接続しているところでございます。SINET5は2016年4月に運用を開始いたしまして、その後、VPNサービスですとかモバイル網、そういった部分のサービスを強化しながら現在に至っているというところでございます。
 このネットワーク基盤の今後の方向性でありますけれども、我々の考え方といたしまして、ユーザーからの御要望といったものを最優先に考えまして今後の方向性を出していくということをしております。時間の関係で、全てを読み上げるのは避けますけれども、帯域等、ネットワークの機能だけではなくて、VPNやセキュリティといった機能の強化、国際接続性の強化、また、先ほどありましたけど、昨今の緊急事態宣言に伴いまして、今、大学等では遠隔授業が進められているところでありますけれども、こういった遠隔授業を支えるIT基盤の強化、こういったことを総合的に検討しまして進めています。また、この実現に当たっては、最新の技術動向を取り入れて、具体的には400ギガの光伝送技術ですとか5G、更に海外の動向も踏まえながら右側の5つの柱を立てまして、ネットワークの今後の方向性を議論しております。この5つの内容については次のスライドで説明したいと思います。
 5つの柱でありますけれども、上の緑の四角に書いてあるところでありまして、1つ目はネットワークの高速化、つまり400ギガのネットワークを全国に展開するというものであります。現在のSINET5では、基本的に各県に1か所接続点を設けまして、そこに大学や研究期間からつなぎ込んでいただくという形を取っておりますけれども、この接続点についても拡大することで、接続性を高めることを検討しております。具体的には、まだこれは候補のレベルですけれども、下の図の青い部分がもともと今あるSINETのデータセンター、つまり接続点でありまして、これに加えてオレンジの丸といった部分の接続点を、これは全体的なニーズですとか経済性を考慮して今決めているところでございますけれども、このような形で接続点を増やして、より大学や研究機関からの接続性を高めるということを目指しております。また、一昨年度から実験を始めておりますモバイル網については、5Gなども見据えて、モバイル網と有線を超高速で接続することを検討しておりますし、更にSINETのデータセンターの部分にエッジの機能を配備、強化いたしまして、より柔軟なネットワーク接続ですとかセキュリティの高いネットワーク接続といったもののサービスを拡大していきたいと考えております。また当然、言うまでもございませんが、国際回線の増強は必須でありまして、現在100ギガでつないでおります回線についても増強していきたいと考えているところです。
 続きまして、先ほど御紹介しましたミドルレイヤーの部分の話をしたいと思います。このような高速化されたネットワークの基盤の上で、効率よく、また研究データ基盤のニーズを満たすべくシステムを構築するためには、これらの間のミドルレイヤーの機能を強化することも重要であります。具体的には認証とクラウドの活用であります。このそれぞれについて、同じように構想を御紹介したいと思います。
 まず研究データ基盤、このスライドではNII Research Data Cloudと表記しておりますけれども、これを普及、展開する上で不可欠な要素として、我々、このスライドにあります3つの要素を考えています。1つは学内展開でありまして、データの利活用をより拡大、加速できる基盤であります。これは分野をまたいでいろいろなデータを共有するということで、例えばSTM、サイエンス、テクノロジー、メディシンの、いわゆる理工系の研究者だけではなくて、ソーシャルサイエンスですとかヒューマニティーズ、人文科学の研究者においてもデータの駆動型研究を手軽に実践できるような基盤を用意する必要があると考えています。
 2番目が産学連携であります。今後の研究開発におきましては産学連携も非常に重要な点でございまして、この産学連携を促進できるような基盤の機能といったものが必要であると考えています。
 最後は国際展開です。前半のスライドで御紹介しましたように、海外においても同様の研究データ基盤が整備されておりますので、こういったところと連携することによってさらなるデータの利活用を図ることが重要だと考えております。
 次のスライドからは、この3つを実現するために、今の認証ですとかクラウドで何をしなければいけないかということについて御説明したいと思います。
 まず現在の学術認証基盤の状況でございますけれども、今NIIで学術認証フェデレーション、学認といったものを運用しております。これは大学の構成員が大学のIDを使って、様々な電子ジャーナル等をはじめとするサービスにシングルサインオンできるというものであります。現在、下の図にありますように、IdP参加機関というのは利用している大学数、右側のSPはサービスを提供している機関ですけれども、それについても右肩上がりで利用が増えているところでありますし、こういった取組の国際的な連携をしようといったような活動にも参加しております。
 しかしながら、まだ現状で足りないと考えられるものが幾つかございます。1つ目が、いわゆる学術研究のためのIDを所持していない、例えば企業の研究者等と、どのようにしてIDを連携して、お互いのシステムやデータをシームレスに利用するかという課題があります。また産学連携を進めるに当たりましては、認証のセキュリティのレベルというのは高いものが必要となりますので、従来のID、パスワードよりも強固な認証方式といったものを学認においても提供していく必要があります。更には、国際連携をスムーズに推進するための様々な国際標準への準拠といったものも挙げられるかと思います。
 次にクラウドについて、同じように現状について御説明したいと思います。現在、クラウドの利用といったものはアカデミックなコミュニティにおいても拡大しているところでございます。NIIにおきましても、SINETに直接クラウドのデータセンターを接続して利用するSINET直結クラウドというサービスを提供しておりますけれども、現在29のクラウドサービスのデータセンターがSINETに直結されておりまして、200を超える大学から利用されております。また、学認クラウドといいまして、クラウドを大学が導入するためのコンサルティングや、チェックリスト等の作成も進めております。このチェックリストは、大学がクラウドを選んだり導入したりするときにどのようなことをきちんと仕様として考えればいいかというものをまとめたもので、これについても、右の表にありますように、多くの大学からご利用いただいているところでございます。
しかしながら、研究データ基盤を支えるという意味で現状の課題を挙げますと、1つ下の図にあるようなものがございます。研究データの基盤、研究データを活用するというフェーズは、データの収集・蓄積、管理、解析といったようなフェーズに分けられると思いますけれども、そうした場合に、現状では個々のフェーズごとに異なるクラウドですとか、同じクラウドでも異なるシステムをクラウドの上に乗せて利用するといったようなことが主流であります。したがいまして、スピード感に問題があるというわけです。データを収集してから解析するまでの流れに多少の時間がかかってしまうといった問題がありまして、ここを基盤の機能として解決するようなことが必要であると考えております。
 それでは、ただいま挙げました認証、クラウドについて、今後、紹介した課題を解決するためにどのようなことを考えているかという点を御紹介したいと思います。
 まず認証基盤におきましては、研究者のIDの基盤連携を強化しようと、すなわち、まず大学の利用数を拡大するということもあるんですけれども、産学をまたがる連携を図るということで、大学のIDだけではなくて、産業界において使われているIDとの連携を強化して、お互いの資産をシームレスに使えるようにしようと考えています。また認証方式においては、多要素認証等を取り入れて高度化することを考えております。国際化については、認証の基本的なプロトコルといったものは今同じものを使っているんですけれども、更にそれを使って研究のグループをつくるですとか、セキュリティ、それから周辺のシステムを支える部分については様々な国際標準をこれからサポートしていく、強化していって、よりシームレスな連携ができるようにする必要があると考えております。
 クラウドにおきましては、先ほど御紹介した問題を解決するために、スピード感のある研究データの利活用を実現するための機能強化を図りたいと考えております。具体的にはデータを収集してから解析するまでの流れをシームレスに、簡単に実現できるような機能といったものを用意したいと思います。また産学連携において、よりセキュアな利用環境が求められますので、先ほど御紹介したチェックリストを用いたクラウドの検証といったもので、安全性や信頼性を更に強化した制度を取りたいと考えています。更には、国内外のデータ利活用基盤との連携も重要であります。例えば国内で、HPCIにおいても今様々なデータが蓄積されておりますし、そのほか海外、国内で様々な取組がありますので、こういったところと連携できるような機能を提供することで、より幅広いデータの利活用を促進したいと考えております。
 最後に研究データ基盤についてお話しして終わりたいと思いますけれども、今、NIIではこの研究データ基盤、NII Research Data Cloudの準備を進めているところであります。このサービスは、ここにありますデータを管理する基盤、研究が進行している段階で、アクセス制限も保ちながらデータを適切に共有または蓄積していく基盤と、研究を発表する段階になって、論文とともにデータを公開する公開基盤、更には公開されたデータを他の研究者が利用するための検索基盤の3つの柱から成っております。既に公開基盤と検索基盤については我々運用しているサービスを持っておりまして、公開基盤についてはJAIRO Cloudと呼ばれている機関リポジトリのホスティングサービスを現在600以上の機関から利用していただいておりますし、検索基盤においては、CiNiiをはじめとするサービスで年間4億ページビューを誇っております。管理基盤については今年度の運用開始を目指し、今、18の機関が実証実験に参加しているところでございます。
 今後としまして、この管理基盤の部分を更に強化する必要があると考えております。具体的には研究公正です。研究不正の疑いが生じたときに、すぐにそのデータの利用状況を確認できる機能ですとか、管理されているデータをすぐに解析したりですとか、他のシステムと連携できるようにするための様々な連携機構、更には、コンプライアンス対応といたしまして、データマネジメントプラン、研究データ管理計画、そういったものをつくりやすくするための機能、更にはIRの支援ということで、こういった情報をサマライズして、まとめて活用するための機能、こういった様々な機能を今後強化していきたいと考えております。
 これは今のお話をイメージで表したものでございますけれども、右半分の青い部分を、オレンジの方にぐにゃっと伸ばしまして、例えばデータマネジメントプランをすぐつくれるようなことを実現することで、研究公正ですとかコンプライアンス対応の機能を強化するですとか、たまったデータをすぐに解析できるような機能を強化することで研究促進を図る、そのための研究の外部ツールとの連携も図るということを考えております。
 これが最後のスライドでございます。以上まとめさせていただきますけれども、我々、次期学術研究プラットフォームといたしまして、ネットワーク基盤、これはネットワークだけではなくて認証やクラウドも含みますけれども、これに加えて研究データ基盤を高度化し、かつ融合することで、我が国のデータ駆動型研究を加速する基盤を整備していきたいと考えているところでございます。
 以上でございます。ありがとうございました。
【後藤主査】  ありがとうございます。
 それでは、後ほどまとめてディスカッションの時間を取っておりますが、ここでまずお聞きになりたいこと、1問程度ございましたら、質問を受け付けたいと思いますが、いかがでございましょうか。御質問のある方は手を挙げる機能で頂ければと思いますが、よろしいですか。
 それでは、御説明を続けていただきたいと思います。次にネットワーク基盤について、NIIの漆谷先生からお願いしたいと思いますが、資料共有の御準備はよろしいでしょうか。
 それでは、よろしくお願いします。
【漆谷委員】  これ、見えますでしょうか。
【後藤主査】  見えております。
【漆谷委員】  NIIの漆谷でございます。それでは、次期ネットワークの基盤について説明をさせていただきます。
 内容といたしましては、海外動向、技術動向、SINETの現状、それからSINETの課題や要望、それから今後の方向性ということで説明をさせていただきます。
 まず海外動向ですけれども、こちらは米国のInternet2 networkです。Internet2 networkは米国の大学等のための研究教育用のネットワークでして、大学が直接接続されている場合もございますけれども、大概においては地域や州のネットワークが接続されていて、そのバックボーンとなっております。現状は全米を100ギガでつないでおりますけれども、現在、新しいネットワークを構築中でして、全て400ギガに上げる予定です。パートナーとしてCenturyLink社という光ファイバー網を提供する会社とCiena社という伝送装置の会社と組んで400ギガ化を図る予定です。その辺りのプレスリリースがこちらの4ページに書いてございます。
 続きまして、5ページが米国のESnetですけれども、こちらは米国の先端研究を支えるためのネットワークでして、米国には大きく2つ、Internet2 networkとESnetというバックボーンがございます。こちらはDOEが出資しまして、ローレンス・バークレー国立研究所が運営しております。ここにはスパコンや、高エネルギー関連のデータなどが流れております。この図は2021年の6月に、どのぐらいの回線容量が必要かを描いておりますけれども、御覧いただければ分かりますように、ほぼ全てのところが400ギガ以上、それから1テラというところもありまして、現在こちらも400ギガでネットワークを再構築中でございます。現在、Internet2 networkとESnetとは同じ伝送装置を使って構築していますので、恐らく同じような形で進めるのだろうと思います。
 こちらがESnetのトラフィックでして、10年間の伸びで言いますと1.4倍でございます。LHCONEというのが、例えば高エネルギーなどの研究用のVPNのネットワークのトラフィックですが、半分ぐらいがこれで、全体としてこのようなこととなってございます。
 こちらが先ほど述べました州のネットワークの1つでして、カリフォルニア州のネットワークです。こちらは幼稚園から大学院生までが使っているネットワークとなっています。既に400ギガは入れておりまして、2019年12月18日にはロサンゼルスからリバーサイドの間、それから2020年の中旬までにロサンゼルスからサニーベールまでを400ギガ化する予定です。
 8ページは欧州のGÉANT、これは欧州のバックボーンですけれども、40か国の1万機関が接続しております。こちらも新しいネットワークを構築中でして、この図は、ちょっと見にくいんですけれども、2025年に必要な回線の帯域を示しています。主要国であるイギリス、フランス、ドイツ、それからオランダについては2テラぐらいの回線容量を引こうというような計画でして、こちらも400ギガの回線を使う予定です。
 GÉANTの主なトラフィックですけれども、LHCONEという高エネルギー系のトラフィックがかなり多いんですけれども、こちらは各国からの接続状況を示しておりまして、左側がアジア、真ん中がアメリカ、右側がヨーロッパでして、SINETは左上の小さいところですけれども、こういうふうに非常に大きなネットワークになっていまして、日本としても高速のネットワークを用いてここに接続していかないと十分な研究ができないと、こういう状況となっております。
 こちらは英国の例ですけれども、既に400ギガを入れておりまして、バーミンガムからノッティンガムの間の400ギガ化を図っておりまして、今後600ギガなども入れていく予定です。
 こちらは北欧のネットワークです。北欧5国のバックボーンですけれども、北欧全体の人口は2,700万人と小さいんですけれども、ただネットワークにはすごく力を入れていまして、こちらもGÉANTと合わせまして新しいネットワークを構築中でして、1テラまで拡張する予定です。
 こちらは南米のプランですけれども、NSFのファンドによりまして、米国と南米ブラジルの間を200ギガ複数本で接続する予定です。現状はこのオレンジの100ギガが2本あるのですけれども、緑の回線、これは2本に分かれていますけど、実はこれは200ギガの国際回線でして、200ギガの国際回線を2本引くということで、北米と南米の間は600ギガ以上になる予定です。目的としては、LSSTという大きなテレスコープをサポートするために、これだけの回線容量が必要だということで引く予定です。
 それから、欧州も南米に向かって同じようなプロジェクトのために回線を引くんですけれども、こちらはスペインからブラジルの間を100ギガ以上で接続する予定です。
 それから、ブラジルのネットワークもそれに合わせまして太くしようということで、2018年時点では100ギガがこのぐらいだったんですけれども、2021になると、右側にあるように、100ギガ掛けるN本、可能であれば400ギガという回線を引いていく予定です。
 それからアフリカですけれども、SKAという、やはり天文のプロジェクトがある関係で、どんどん太くなる方向にございます。これはNSFのファンドによりまして、米国がブラジル経由で南アフリカまで100ギガを引くというプランでして、既に開通しております。
 それから、欧州もアフリカに向かって回線を引く予定でして、AfricaConnect1というのが最初に始まって、2が2019年12月に終わりましたので、2020年からAfricaConnect3ということで100ギガの回線をヨーロッパからアフリカに向かって接続する予定です。
 これは南アフリカですが、SKAのプロジェクトがありますので、今どんどん太くしている状況です。現状で国際回線を見ると、合わせて260ギガの回線がありまして、これがどんどん太くなる予定です。
 次にアジアですが、ここもヨーロッパの出資が結構ありますが、EUのファンドでTEINというプロジェクトがありまして、主にいわゆる発展途上国用にお金を出しています。先進国は自前で回線を引くんですけれども、例えば豪州ですと、人口もそれほど多くなく、大学もそれほど多くないんですが、主要なところは全て100ギガ以上になっていまして、今400ギガや600ギガ化に向けて実験を実施しているところです。それから、オーストラリアは国際回線にも力を入れていまして、現状、米国向けに245ギガ、それからアジア、ヨーロッパ向けに200ギガということで、合わせて445ギガの回線容量がございます。
 あと韓国ですが、韓国は通信キャリアの力が強いので、なかなか苦労しているんですけれども、専用線ベースで回線を組んでいますが、主要なところは100ギガ以上、多いところは300ギガありますし、国際回線もアメリカに200ギガ、それからアジアに100ギガの回線を持っております。
 中国ですが、中国も100ギガ化をしたのは結構早くて、これは2017年時点ですけれども、2014年から2015年にかけてこの形が出来上がっておりますので、こちらも400ギガ化に向けて検討を進めているところです。中国はファーウェイやZTEなど、有力な伝送ベンダーがおりますので、伝送ベンダーのテストベッド的な位置づけとして回線を太くしていくものと思われます。現状もZTEとファーウェイの伝送装置が半分半分に入っております。
 それからシンガポールですが、小さい国なんですけれども、インターネットエクスチェンジに力を入れていまして、いろいろな国からの回線を収容して交換をするサービスを提供しています。
 それから国際は、いろいろ連携していこうとなっておりまして、特に大型のプロジェクトでその傾向にあります。LHCプロジェクトが一番大きいんですけれども、北米と欧州の間はもう900ギガぐらいになっていて、お互いにバックアップを取ったりしています。また、SKAに向けて、相互にバックアップを取ろうとか、いろいろなバックアップのプロジェクトが動いているところです。
 25ページが国際回線全体をまとめたものですけれども、赤がSINETですが、100ギガの回線がどんどん膨らんできておりまして、今後は多分アフリカに向かってどんどん太くなっていくだろうと思います。大型の研究プロジェクトがあると一気に太くなるという傾向にございます。
 こちらは御参考までですが、海底ケーブル、国際回線のケーブルは、オーバー・ザ・トップ、フェイスブックとかアマゾンとかグーグルといったところが結構買うので、どんどん新しいケーブルが生まれようとしています。日本から見ると、この北極海のルートが欧州までできるので、こういったものを使って安く高速化できる可能性がありますので、こういった状況を見ながら国際回線を調達していきたいと考えているところです。
 こちらからが技術動向ですけれども、結構ボリュームがあるので、短めに説明していきたいと思います。
 こちらは光伝送技術の動向ですけれども、高速の回線を形成するには伝送装置というものが必要でして、こちらの黄色の対向にあるものが伝送装置です。その伝送装置にルーターという通信ノードを組み合わせまして、全体としてネットワークを組み上げます。伝送回線を太くするという意味では、まず必要なのが、このルーターと伝送装置の間です。ここは400ギガの、いわゆる400ギガイーサという製品が、間もなく本格投入される予定です。それから、伝送装置では、このルーターからのイーサネットのインターフェースを受けて、いわゆるオプティカルトランスポートネットワークのためのフレームに変える必要がありまして、更に長距離伝送するためのいろいろな符号化をして、400ギガとか800ギガに上げていきます。
このルーターと伝送装置の間は400ギガイーサがもう標準化で決まっていて、現在800ギガの標準化を進めているところです。ここの伝送装置の伝送信号のフレームですけれども、400ギガも800ギガも同様のフレーム構造で収容できますので、ルーターのインターフェースが決まれば、800ギガや更にその上の伝送が可能です。それから、伝送装置の長距離伝送の技術も結構進んでおりまして、ボーレートの高速化や多値符号化などの進展がありまして、現在では400ギガの長距離伝送が市場に投入されているところです。
 こちらがルーターと伝送装置のインターフェースでして、400ギガは2018年に標準化されたんですけれども、今市場に出て来ています。今は800ギガとか1.6テラの標準化を議論しているところですけれども、実際製品が出てくるのは2024年頃かなと思います。
 それから、こちらはルーター信号の光伝送信号への多重化ですけど、これを説明し出すと結構長くなってしまうので詳細は説明しませんが、イーサネットのフレームをOTNのフレームに変換するための技術です。
 こちらが光信号を長距離に飛ばすための技術のトレンドですが、このグラフは横軸が波長当たりの速度です。縦軸が飛ぶ距離ですが、いろいろな符号化を使って高速化はできるんですけれども、そうすると飛ぶ距離が短くなります。こちらの表で、QPSKとか64QAMがいわゆる多値符号化ですが、これと30ギガボーレートとか60ギガボーレートを組み合わせていくと、100ギガから900ギガまで実現できる。しかしながら、高速になってくると余り距離が出ないということを示しています。
 こちらが製品動向でして、例えば2016年3月発表だと200ギガぐらいまで可能で、ただ数百キロぐらいだったんですけれども、2019年2月に発表されたものだと800ギガぐらいまでは95ギガボーレートで64QAMを使うと可能で、ただ100キロくらいしか飛ばない。ですけれども、400ギガですともう数千キロぐらい飛ぶというような、ここまで技術が上がっているところです。
【後藤主査】  すみません、ピッチを上げていただけますか?
【漆谷委員】  すみません、上げます。これは割愛します。これは製品動向です。
 それで、5Gも重要な技術ですが、割愛します。
 5Gで重要なのは、我々はローカル5Gを導入したいと思っておりまして、これは地域の企業や自治体がスポットで自営するネットワークですけれども、日本は法制度的にも進んでいますので、SINETとしても導入する予定でございます。
 それから、ネットワーク技術の動向としましては、今までは基本的に個別のアプライアンスでつくっていたんですけれども、最近では汎用のサーバにソフトウェアを導入することでいろいろな機能が実現できますので、そういうNFVという機能ですけれども、入れていく予定です。このNFVを使ってのパケット処理の高速化も結構進んでいますので、割と速い速度で処理が可能です。
 こちらからが、SINETの現状になります。
 SINETの用途ですけれども、大きくは、大型実験設備が全国にいろいろございまして、この共同利用を図るということです。それから、いろいろな大学の共同研究を推進するためにVPNというクローズドな通信環境を提供していまして、これが3,000以上もあります。国際連携も非常に重要で、大型の設備は海外にも結構ありますので、そのために国際回線が必要になります。クラウドの利用がどんどん増えており、最近では、オンライン教育が必須になってきているということで教育支援、それから、地方創生、産学連携というミッションがございます。
 こちらが現状でございまして、先ほど合田が述べましたように、各県に必ず1個のノードを置きまして、全てを100ギガでつないでいて、東阪は今、400ギガになっています。
 こちらはアーキテクチャーですけれども、一番下が光のレイヤーで、一番上がルーターのレイヤーですけれども、その中間にパケット伝送レイヤーというものを設けまして、ここで高信頼化を図ったり、高性能化を図ったりしています。
 国際回線ですけれども、赤い線がSINETの線でして、欧州はアムステルダム、米国はロサンゼルス、ニューヨーク、アジアはシンガポールに100ギガで接続しています。
 それから、国際回線は結構切れやすいものですから、MoUを結んで相互にバックアップを取っています。
 SINET5の特徴ですけれども、基本的に全て自分たちで設計していますので、超高性能になるようにいろいろな形でチューニングしていて、任意の拠点で高性能になっています。それと、通信サービスが豊富で、これは大学と連携していろいろなサービスを開発しているためです。
 SINETのサービスとしましては、通常のインターネットに加えまして、VPNサービスというクローズな通信環境を提供しています。それから、オンデマンドに経路を設定したり、VPNを設定するようなサービス。あと、セキュアなモバイルサービスも、最近提供しています。
 それから、大学と連携して、サービスを開発しております。
 現在、VPNがかなり広がっていまして、共同研究、クラウド、マルチキャンパス、帯域保証、そういった形で使われています。
 利用例ですけれども、高エネルギー研究、スパコン、核融合研究、地震研究、リアルタイム津波浸水のシミュレーション、天文ということで望遠鏡をつないで仮想望遠鏡を作る、測地ということで地殻変動の研究、それから「はやぶさ」なども地球の裏側に入ってしまうと観測できないので、SINETを使って観測データを転送しています。
最近は医療にも結構使われておりまして、医療画像データのAI解析、8Kによる病理診断、医療情報のバックアップなどに使われています。
大容量のデータ転送が結構されております。
 また、遠隔教育にも、最近というか、昔からですけれども、積極的に活用されています。
 SINETは、クラウドを直結していただいていまして、そういうクラウドに対してL2VPNを使いますと非常にセキュアなクラウドサービスを提供できますので、現状、29社が226のユーザーにサービスを提供しています。
 それから、災害にも問題なく耐えています。
 最近は、モバイルのサービスも提供しておりまして、これはキャリアモバイル網の中にSINET専用の仮想網を作りまして、SINETのVPNを結合させています。そうすると、端末から解析基盤までを完全に閉じた空間に入れ込むことができますので、セキュアに研究が推進できるということで、こちらは2018年12月からサービスを提供しております。農林水産研究、自然環境研究、医療/ライフサイエンス研究、移動体、屋外活動を対象とする研究など、いろいろな形で使われています。
 こちらは、SINET利用例でして、今までのSINETではなかったような利用例がどんどん増えているところです。
 それから、ネットワークだけではなく、アプリケーション開発を支援するパッケージであるSINETストリームというものも併せて提供しております。これは合田先生のほうで提供しているんですけれども、データをリアルタイムで解析できるようなアプリケーション、こういったものも併せて提供しているところです。
 こちらは割愛します。
 こちらからがユーザーの要望ですけれども、これは現状でして、加入機関数が伸びており、トラフィックも伸びていて、VPN数もぐいぐいと伸びていて、直結クラウドの利用数も伸びています。
 利用者からの声としましては、性能が上がったという声を結構聞いておりまして、遅延時間を短くして性能を上げたSINET5の効果が表れています。
 SINET5の評価はいろいろなところで行われていまして、文部科学省さんの中でも評価されておりまして、一応、悪くないという評価をされてございます。
 大型研究のニーズですけれども、毎年、ヒアリングをしておりまして、どのような時期に、どのぐらいの帯域が必要なのかをヒアリングした結果をここに示しております。
 こちらは、SINETのトラフィックの増加傾向ですけれども、2019年度のトラフィックは2018年度と比較すると1.46倍に増加しております。SINET5は2016年から始まったんですけれども、平均増加率で見ると1.37倍、過去10年間で見ると1.35倍です。次期ネットワークは、2022年度から始めまして6年間ですので、今から見ると8年後を見なければいけないんですけれども、8年後でどのぐらい増えるかというと、このぐらいぐーっと伸びるので、十分に帯域を確保する必要があります。最低のラインで見ても、現在の11倍ぐらいにはなるということです。
 11倍ということで、現状のトラフィックから見たときに、次期ネットワークでどのくらいの平均帯域利用になるかというのがこちらの図です。平均利用帯域というのはちょっと分かりにくいので、次のページに実際に必要な所要回線帯域はどうなのかということを示してございます。
 回線にはいろいろなバーストトラフィックが流れていて、Internet2などですと、平均利用帯域が40%ぐらいになると増速するようになっていまして、先端研究ネットワークのESnetだともう少し早い段階で増速しています。SINETでは、モデストに50%ぐらいで増速するということで計算すると、このぐらいの帯域が次期ネットワークの終了時には必要になります。
 御覧いただけば分かりますように、多いところですと800ギガぐらい帯域が必要になります。100ギガでいいというところはほとんどなくて、非常に少ないですので、次期ネットワークでは全国を200ギガ以上、技術的に言うと400ギガで実現する予定でございます。
 こちらは、国際回線の状況です。これは米国のトラフィックを示しておりますけれども、結構ピークで使う場合が多いですし、ここで見ると、例えば40ギガぐらいに見えるんですけれども、平均利用帯域で見ると、押しなべて見るので12.7ギガということになります。この値で単純計算していくと、次期SINETの終わりには300ギガぐらいの回線が必要となります。欧州に関しましても、400ギガぐらいの帯域が必要になりますし、今後、Belle IIの本格化とか、ITERという核融合のプロジェクトが始まると一気にトラフィックが増えますので、そういった状況を見ながら増速する必要がございます。
 こちらはアジアですけれども、アジアは欧州や米国に比べると余裕はあるんですけれども、実は韓国と中国のトラフィックはNICTさんのJGN回線に乗っています。そういった意味で、需要としては結構あるんですけれども、トラフィック的には少なく見えています。ただ、平均利用帯域で計算していくと、次期SINETの終わりには200ギガは必要になります。
 問題なのは、回線の切断が結構ありまして、切れるとなかなか直らず1か月以上かかります。実は、現在も切れていまして、修復まで1.5か月ぐらいかかると言われています。これまで4回経験していますので、やはり冗長ルートの確保が必要かと考えているところです。
 ユーザー要望ですけれども、SINETに近いところの加入機関は安く接続できるんですけれども、SINETノードと離れているピンクのところについては、アクセス回線がちょっと高くなっているので何とかしてほしいという要望がありますので、これを解決する必要がございます。
 それから、5Gへの期待が結構高まっています。
 VPNサービスも、いろいろなVPNを提供して欲しいという要望がございます。
 セキュリティ強化、これは今回の範囲ではございませんけれども、いろいろなところから頂いているところでして、SINETとしては、トラフィックの迂回とか、ミラーとか、そういった機能を入れる予定です。
 遠隔授業のための強化、ここも叫ばれているところです。
 GIGAスクール構想支援ということで、SINETも期待されているところです。
 この関連で、実証研究事業があって、公募でSINETを実際に使ってみてどうだったかという結果です。これは京都府の例ですけれども、左下にありますように、通常のインターネットに比べると圧倒的に高性能が出て、学生の間でも非常に評判がよかったということで、早くSINETを開放して欲しいという声は結構聞かれるところです。
 これは、先ほど述べたものですので、割愛します。
 ここからが最後の章ですけれども、今後の方向性については、先ほど合田が述べましたとおり5つの方向性がございます。それらについて説明いたします。
 アーキテクチャーですけれども、これは割愛します。
 まず、1番目の回線帯域ですけれども、先ほど御説明しましたように、次期ネットワーク終了時に必要な所要回線帯域はこうですけれども、現状のトラフィックが本当にどこまで伸びるかというところもありますので、開始の段階では全てのところを400ギガで整備したいと考えてございます。実際、100ギガでいいというところは非常に少ないですし、全てを同じパッケージで構成したほうが保守費を含めて安いだろうということで、全てを400ギガで整備する予定でございます。
 アクセス環境の向上ですけれども、こちらについては、SINETノードとSINETノードの間の中継ビルを拡張DCとして使えないかと思っておりまして、加入機関にいろいろヒアリングいたしました。拡張DCの希望に関してヒアリングを行ったところ、回答数は471ありまして、設置要望数は159でございました。
 その後、いろいろ評価を行ったわけですけれども、5つの指標を設定しました。設置希望機関数、アクセス回線帯域がどのぐらい増強されるか、アクセス回線の費用がどこまで低減できるか、光ファイバールートに適合しているか、共同利用推進効果があるかということで評価を行いまして、結果として、19の拠点、黄色いポイントのところに拡張DCを設置する予定で、詳細検討を進めているところです。
 東京についても、若干変更する予定です。
 IT基盤強化ですけれども、遠隔教育がどんどん始まってきて、クラウドサービスでも、商用のクラウドにつながるところが結構ありますので、現状でも結構太く500ギガなんですが、今後の遠隔講義や教育系のクラウドなどのトラフィックの増加も考慮して、IXの接続帯域は倍以上の1テラ以上にして、遠隔教育を支えていきたいと思っております。
 5Gについてですけれども、現状のモバイルSINETを5G対応にすると同時に、ローカル5Gを入れる予定です。ローカル5Gを入れますと、エンド・トゥ・エンドで超高速のモバイル環境が出来上がりますので、大学と連携して、こういった環境を整備していきたいと考えているところです。
 こちらは、サービスの強化ですが、NFVの機能を使いまして、いろいろなサービスを提供していきたいと思っています。5Gのコアネットワーク機能とか、NFVと連携したVPN、ソフトウェアVPN、こういったVPNを強化する予定です。
 それから、共同調達も実施する予定です。アクセス回線は各大学で調達すると非常に高いものになってしまう場合がありますが、全国一括で調達するとぐっと下がりますので、アクセス回線の共同調達を実施いたします。ラックも、大学近くの場所のラックに加え、ディザスターリカバリー用の離れた場所のラックが欲しいということで、ラックについても共同調達を検討する予定です。
 最後、国際回線ですけれども、米国については200ギガを早めに実現する予定です。欧州についても、なるべく早めに増速したいんですけれども、ロシア回りの回線はなかなか高いものですから、先ほど御説明しましたように、北極海のルートなどが入ってくると競争が喚起されて安くなりますので、そういった状況を見ながら増速する予定です。アジアについても、グアム経由などの冗長ルートを今、検討しているところです。
 最後にまとめますと、400ギガの全国展開、SINET接続点の拡大、5Gを入れていく、エッジ機能、NFVを入れてサービスを展開し、更に国際回線を増強する予定でございます。
 説明は以上になります。長くなりまして、すみません。
【後藤主査】  ありがとうございます。
 それでは、これより合田先生、漆谷先生の御説明について質疑に入りたいと思います。先ほどのとおり、手を挙げるボタンで合図をお願いします。早速ですが、今、下絛先生から手が挙がりました。
 では、下絛先生、よろしくお願いします。
【下絛委員】  ありがとうございました。
 SINETにはいつもお世話になっていて、感謝しかないんですけれども、次ということで身近に申しますと、1つは、400ギガでもいいんですけれど、ある種、一極集中が非常に起こっていて、SINETだけ投資しても、結局、大学側が、例えば400ギガを使う設備とか、ルーターとか、データベースとか、そういうものを整備しないとうまく使い切れないと思いますので、そういう分散投資もちょっと考えてほしいということと、実はそれが人材についても起こっています。ヨーロッパとか、アメリカとか、中国とかの図を見て、ネットワークがあれだけ広がっているのは、要するにそれを支える人材があれだけいるということです。日本は、幸いにしてSINETがすごい頑張ってくれているのでいいんですけれども、これは多分、後藤主査とか、辻委員もよくお分かりのように、今や、もうネットワークの裾まで分かっている人材がいなくて、だんだんこれがいなくなってしまうので、ある種、NIIはすごい頑張っていただいているんですけれども、もう少しそこのところも考えて、ちゃんと人材を育成して確保するというパスもつくっておかないといけない。
 もう一つ、やはりセキュリティは非常に重要で、もうちょっとセキュリティに関する言及があってもよかったかと思います。多分、今、大学のネットワーク部隊で疲弊しているのはほぼセキュリティで、それ以外のことがほぼできなくなっているということもある。そういう意味では、スピードもいいですけれども、ぜひ高機能化をやってほしい。
 最後、小中高の話がありましたけれども、これを本当に入れるかどうかは慎重に議論したほうがよくて、それだけ手間もかかるので、リソースの投資という意味では慎重に考えたほうがいいと思います。
 以上です。
【後藤主査】  ありがとうございます。
 今の件、何かお答えになることはありますか。
【漆谷委員】  ありがとうございます。
 まず、セキュリティの部分ですけれども、セキュリティはNII-SOCSという形で、もちろんNIIで事業を行っているんですけれども、実は予算の枠組みとしてはちょっと違うということで、今回の資料には入れておりませんでした。もちろん、セキュリティは非常に重要だという認識は持っておりまして、SINETの説明会でも質問が出るのは結構セキュリティが多いです。ですので、大学と連携して、セキュリティの強化はもちろん図りたいと思っております。ただ、予算の枠組みとして、セキュリティの予算は非常に厳しいものですから、そういったところは文部科学省さんといろいろとご相談しながら、今後の方策について議論していきたいと思っているところでございます。
 小中高については、昨年の今頃、すごく盛り上がっていたんですけれども、今はそれほど盛り上がっていないというか、今はGIGAスクールで結構大変になっていますので、皆さん、そちらで手いっぱいということでしょう。それから、小中高の数はすごく多いので、例えばSINETのユーザー機関は九百数十校ですけれども、小中高は3万6,000校辺りですので、多分、NIIだけではもたない。その辺りの体制を含めて考えていかないとなかなか厳しいですし、そこは大学と連携して進めていくのだろうと思うんですけれども、ただ、大学としても、いきなり支援してくれてと言われてもなかなか厳しいところもあります。そういった辺りの全体の体制も整えながら、支援していかないといけないと思っていますので、単にSINETに収容されればいいということではなく、多分、思いは同じだと思います。
 あと、SINETとしても、ネットワークの高速化というのは本当にベースの部分であって、やはり重要なところはサービスだと思っていますので、SINETの上でいろいろなサービスを提供していく予定です。その一つが、今回、議論させていただく研究データ基盤だと思っておりますので、そういった意味で、NIIとして強化しているのはむしろサービスのほうだと考えていただければと思います。
 回答、以上でございます。
【後藤主査】  ありがとうございます。
【下絛委員】  ちょっとだけ。もうおっしゃるとおりで、実はサービスをよく考えると、先ほどの、今、大学に人材がいなくてお金がないという状況になると、むしろクラウドが進んでいて、そうすると逆にSINET上にそのサービスがないということが起こり得るかもしれないので、この観点は意外と考えなければいけないですね。
【後藤主査】  商用のクラウドサービスとの関係ですね。
【下絛委員】  そうですね。
【後藤主査】 この辺りについては、また次の機会でも議論していきたいと思います。
次、辻委員、お願いします。
【辻委員】  はい、辻でございます。
 ご説明ありがとうございました。私、主に気になったのは、SINETの伝送周りの話はかなり密に御説明いただいたところですけれども、これからアフターコロナや、あるいは、南海トラフだとかいろいろな地震、豪雨など、足回りの高速化がどんどん進むとともに、みんなが通信に対してすごく依存してくるんだけれども、その一方で、何かあったときに研究データが損失してしまうのではないかとか、そういう危険性と隣り合わせになってくると思います。なので、伝送路のバックアップをどう取るかという話に加えて、データをどういった形で配置しておいて、いわゆる研究のBCPみたいなものをどう考えていくかという話も、恐らく出てくるのではないかと思っておりまして、もし現時点で、伝送路のバックアップという話だけではなくて、データのバックアップみたいな話で進んでいるようなところがありましたら、教えていただけますと幸いです。
【漆谷委員】  研究データのバックアップというところになりますと、どちらかというと、研究コミュニティ側でデータを持っていますので、そこでどうバックアップを取るかということで、いろいろ協力しながら進めているところです。例えば、HPCIにおけるスパコンのデータのバックアップですけれども、現状、ストレージが神戸と、東京大学の柏にありまして、この間で頻繁にデータのバックアップを取っています。スパコンのデータは貴重ですから、お金をかけてシミュレーションしたデータを損失してはいけないということで、このバックアップは非常に頻繁です。これは資料にも少し書きましたけれども、90ギガのトラフィックがばーんと出て、それが6時間とか7時間続くような形で、ものすごくバックアップを取っています。
 研究コミュニティ側でそういうバックアップ装置を造っていただければ、SINETのバックボーンで高速にデータを転送することは可能ですので、研究コミュニティ側といろいろ議論しながら、研究データのバックアップを支援していきたいと考えています。
 もう一つ、医療系のデータのバックアップも結構重要でして、それもSINETが支えております。説明は割愛したんですけれども、全国の国立大学病院の医療データはSINETでバックアップが取られています。42の国立大学の46病院だと思いますけれども、北海道と福岡にサーバ、ストレージがございまして、分散してバックアップを取っています。
 そういった形で、データのバックアップは、研究だけではなくて、医療とか、いろいろなところで非常に重要ですので、SINETという高速のバックボーンがあればやりやすいです。ただ、どのようにやるのかは、いろいろコミュニティと議論しながら進めていかないといけない。医療の場合ですと、扱っているデータが非常にセンシティブですので、大きなL2VPNを設定してバックアップ取っていますし、データの位置づけをいろいろ教えていただきながら、最適なバックアップの方法を御支援していきたいと考えております。
【辻委員】  どうもありがとうございます。何を気にしたかというと、研究のBCPという観点ではあるんですけれども、予算計画を立てる上で、伝送路の部分だけをSINET側は考えておけばいいのか、いやいや、コミュニティ側ではどこまでを準備しておかなければいけないのかといったような議論にもつながるのかと思って、お伺いさせていただきました。どうもありがとうございました。
【漆谷委員】  ありがとうございます。
【後藤主査】  よろしいでしょうか。
 合田先生、特に今はよろしいですか。
【合田委員】  はい、大丈夫です。
【後藤主査】  では、次は棟朝委員、お願いします。
【棟朝委員】  北大の棟朝です。
 この度は、次世代学術研究プラットフォームという全体構想について、大変期待するところが大きいと思っておりますので、ぜひ推進していただければと思います。
 私から2点あるんですけれども、その前に、先ほどの研究データのバックアップについては、北大は北見工大と連携して、SINETを経由して相互バックアップを取っていると、そういった事例もございますということを先に紹介させていただきます。
 1点目は、地域間格差をできるだけ少なくしていただきたいということで、今回の構想にあります拡張DC、並びにアクセス回線の調達ということで期待するところは大きいんですけれども、例えばアクセス回線の調達の際に、単純に距離に、リニアに比例するというよりは、特に北海道の場合、非常に広大でございますので、拡張DCはあったとしても経費がかかる大学も多い。
 さらに、小中高の話は、先ほどまだどうなるか分からないとありましたけれども、特に小中高になりますと、更に地域になりますと回線の必要も確保できないということがございますので、ぜひ御配慮をお願いしたい。
 また、小規模な大学になりますと、回線までは引けたとしても、次のファイアウォールを入れるところでボトルネックになります。我々も、ファイアウォール等で結構費用がかかっております。大規模な大学であれば、例えば100ギガの回線を引いて、それなりのファイアウォールを入れてということはできるのですけれども、その辺りを含めて、最終的な帯域幅がどれだけ確保できるのかというところで、ぜひ御支援をお願いしたいというところが1点でございます。
 2点目については、合田先生から御紹介いただきました、更にその上にレイヤーに、クラウドも含めて検討するという、こちらも大変期待しております。例えば、最近ですと、急にeラーニングをやらなければいけないとか、オンラインをやらなければいけないということで、LMS、ラーニングマネジメントシステムを各大学でやった場合、小規模な大学ですとなかなか整備は難しい。そういうようなものは、いわゆる規模の経済が働くので、クラウドとしてある程度、共同調達して、大規模に展開するということがあると、特に中小規模の大学では非常によろしいのではないか。大規模な我々のような大学でも、急に負荷がかかっていろいろ大変なところはありますけれども、大学間連携である程度まとめると非常にメリットが大きいということで、上位レイヤーへの展開についても大変期待しているところでございます。
 今回、初回ですので、また追々、議論させていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
【後藤主査】  ありがとうございます。
 いわゆる地域間の話と、大小の問題とあったと思いますが、これについて、漆谷先生、合田先生、何かありますか。
【漆谷委員】  ありがとうございます。
 地域間格差という意味では、SINET5ですと、実は北海道地区は今、2ノードしかなくて、例えば、はこだて未来大学などは300キロぐらいのアクセス回線を用意しないといけないとか、そういった問題がございましたので、次期のSINETでは、まずアクセスの環境を改善するために、拡張DCというものを造ります。もちろん、それで環境は改善されるのですけれども、それで完璧かというと、そうではなくて、その他にもアクセス回線を極力安くするような努力は必要だと思っています。
 ただ、それをやるには、アクセス回線のところはNIIが投資できる部分ではないので、基本的に大学等と連携しながら進めていかないといけない。小中高も同じです。そこで共同調達というところで、いろいろ知恵を出しながら進めていきたいと思っています。
 実は地域の中でもいろいろな特性があり、ある程度、競争環境があるところと、そうではないところがあるので、そういった地域の状況に応じた共同調達のやり方。ただ、共同調達だけだとなかなかミートしないところがある、例えば、今の共同調達はダークファイバーと伝送装置を組み合わせてやっているので、それなりに高くなってしまいます。多分、小中高だと、それだとなかなか高過ぎて、コスト的に見合わないところがある。このため、例えば、現状のフレッツの高度版みたいなものが必要です。現状は、ギガイーサレベルですけれども、それを10ギガイーサに拡張して、品質もある程度高いものにする。ここは、NIIだけでうまくいくわけではなくて、キャリアさんの協力も得ながら、小中高の教育は非常に重要だよねという認識を共有しながら進めていかないといけないところです。それがうまくいくと、小中高のアクセス環境も、一定程度、改善されるのではないかと思っていますので、そこは引き続きいろいろ議論しながら、改善できるように進めていきたいと考えています。
 それから、ファイアウォールのところはなかなか難しいのですけれども、高速になってくればなるほど高くなってきますし、小中高の場合ですと、教育委員会で集中して持つ場合と、各学校で持つ場合があるので、それぞれの状況に応じた最適のファイアウォールを見つけていかないといけません。今は個々に調達しているんだと思いますが、共同調達みたいな枠組みが議論できるのであれば、価格的にも落ちていくと思います。そういったところでも何かしらの協力ができるのであれば、今後、やっていきたいと思っています。
 小中高については、なかなか難しくて、SINETとしてどこまで踏み込んでいいのかまだ分からないところではあります。
【後藤主査】  それでは、次は高橋委員、お願いします。
【高橋委員】  高橋でございます。
 私からは、今、先生方がお話しされたことにも関係して、2点ほど、要望と、それから期待を申し上げたいと思います。技術的なこととサービスにつきましても御説明いただきましたので、今後の計画に非常に期待をしているところでございます。
 1つは、国家プロジェクト等の大きなプロジェクトで進められているデータの蓄積、またそれを支える組織や組織間でのデータの共有とやり取りというのは、プロジェクトの実施期間が決まっており、その期間が終了すると管理ができなくなってしまう問題があります。加えて、それを支える組織間では、組織間の技術的な設定がちぐはぐだったりすると、この最低400ギガのネットワークをうまく、最大限に使うのは、なかなか難しいのではないかと思います。現状の100ギガネットワークにおいても、複数組織で最大限に使うことはなかなか難しかったという印象があります。ネットワークを最大限に使うことを目的とした具体的なプロジェクトとか、具体的な組織間とかを設定していただいて、最大限に使えるようなやり方、運用の仕方をもプロジェクトとして立ち上げていただけると大変有り難いと思います。そのような事例を積み重ねることによって、使い勝手は更によくなるのではないかと思いますのが1点でございます。
 もう一つは国際間です。やはり国際間に関しましても、例えば、私どもの地球惑星科学のような分野では、欧米のデータベースのかなり大きな機関がございますので、強く結びついていかなくていけないようなところがございます。多分、ほかの分野に関してもそうだと思いますので、国際的なネットワーク間の強化に関しても具体例を、成功例を積み上げていくことが大事だと思います。ある意味ではサービスの観点からかもしれません、ネットワークのハードウェアの整備だけではなく、ハードとサービスを最大限に活用するためのプロジェクトも、ぜひ文部科学省の方々も含めて企画していただけると大変有り難いと思います。
 以上でございます。
【後藤主査】  ありがとうございます。最初の御質問というか御意見は、次期SINETを使いこなすためのコンサルテーションとかサービスが欲しいと、そういう形で捉えてよろしいですか。
【高橋委員】  はい、そうでございます。
【後藤主査】  その点、いかがでしょうか。
【漆谷委員】  我々としても、もちろんその辺りを支援したいと思っております。すみません、十分に議論、あるいは意見交換できていなかったところは反省しているところでございます。例えば現状ですと、高エネルギー加速器研究機構さんとは結構、密に議論していて、そういった意味で、うまい形で連携が図られていると思うんですけれども、海洋研究開発機構さんを含めまして、もう少し密にいろいろな形で議論できれば、更にネットワークの使い勝手はよくなるだろうというところは、そのとおりと我々としても認識しております。サポートが行き届かなかったところは反省しておりますので、今後、密に議論しながら進めさせていただければと思います。
【後藤主査】  ありがとうございます。
 続きまして、湯浅委員、お願いします。
【湯浅委員】  高エネルギー加速器研究機構の湯浅です。
 漆谷先生に、1つ質問をさせていただきたいと思います。先生のスライド45番に、国際連携による高信頼化という御説明がありまして、バックアップの回線をMoUで締結して高信頼化を推進していただいているということで、私ども欧州との大規模研究に大変有り難いと感謝しております。これを更に推進していただきまして、例えば、現在、起きている障害を何らかの形でシェアして、末端の私どもも状況を知ることができるような、各国での、各NRENでの協力については何か進展等がございますかというのが質問です。
 と申しますのは、もちろんNIIさんもNRENの方と親しく話をさせていただける立場にあると思います。その配下にあるところまではなかなか難しいかと思いますけれども、直接、話さなくても、何かダッシュボードのようなものがあって、それにデータを提供することでシェアすることができるのではないかなどと思ったりいたします。今すぐということではございませんけれども、そういう運用状況の情報の共有と可視化みたいなものについて、コメントを頂けたらと思っております。
 以上です。
【後藤主査】  これは、漆谷先生ですね。
【漆谷委員】  ありがとうございます。
 その辺りも、我々の情報提供のやり方がちょっと悪くて、大変申し訳ないと思っているところです。我々としても、いろいろな国のNRENとは良好な関係を持っておりまして、情報交換はしております。ただ、ネットワークの障害状況で見ると、どこでどう切れているのかという詳しい情報というのは、なかなかNIIには頂けていなくて、国際回線が切れているというのはすぐ見えるんですけれども、例えば、ここで図に示すところのアムステルダムから先のネットワークが障害しているときも通信が切れるわけですが、そういった辺りの情報というのはなかなか伝わってこないところがあります。ただ、その辺りの改善はしたいと思っていまして、実は2019年2月にNIIの中に、国際全体を見て最適なルートの切替えだとか、品質の担保ができないかということで、国際ノックというものを立ち上げました。そこを中心に、もっと情報を収集して、それをKEKさんを含めていろいろな方に提供していきたいと思っています。工事状況なども収集しながら、そういった情報提供は行っていきたいと思います。
 そういうようなことで、お答えになっておりますでしょうか。
【湯浅委員】  はい、ありがとうございます。期待してお待ちしております。よろしくお願いします。
【漆谷委員】  ありがとうございます。
【後藤主査】  では、田浦委員、お願いいたします。
【田浦委員】  もちろん、ほかの皆様同様、NIIの次期計画には非常に期待するところ大なんですけれども、今の話と、今起きているコロナ関係の話とか、これから重要になってくるデータを扱うための枠組みというところで、やはり改めてセキュリティが重要だと認識しています。
 そのときに、セキュリティの中心はVPNで、組織間を閉じたネットワークでつなぐとかいうことももちろんあるんですけども、やはり今、起きていることを見ると、本当に末端の家庭にいる大学の構成員とか、物理的には完全に大学のネットワークの外にいる人たちを含めたセキュリティであり、VPNも大事とはいえ、やはりそれをどれだけソフトでというか、オンデマンドでやるかという話と、もう一つはやはり認証の話だと思います。合田先生がおっしゃっていた、認証の連携も進んでいるという話でしたけれども、それを日本全体でつくりつつも、個々の大学とか、大学の中にも教員と学生といろいろな身分がいて、いろいろ組織が分かれていて、そういうところを含めた、認証をベースとしたようなセキュリティというところに、まず一つは、どこまで今の認証連携みたいなサービスが対応できそうかという話と、もし次世代でその辺がどういうふうに使われていくか。
 あと、これは今、教育、オンライン授業みたいなコンテキストで話していますけれども、やはりデータを活用したプロジェクトとかで組織間の連携みたいな話が入ってきたときに、拠点と拠点を結ぶみたいなイメージのVPNセキュリティというよりは、やはり人に依拠したセキュリティみたいなことが中心になっていると思うので、そこら辺もちょっと教えていただければと思います。
【後藤主査】  今の点は、合田先生いかがですか。
【合田委員】  では、まず認証についてコメントさせていただきます。
 御質問ありがとうございます。先ほど御紹介した学認もそうですけれども、認証は正確に言うと、専門的ですみません、認証と認可という2つの種類に分かれると思います。認証については各大学でもシステムはありますし、それをつなぐ学認があるので大分進んできていると思います。まだ学認の連携の仕組みに入っている大学数はまだまだこれから増やす余地はあるのですけれども、そこは技術的という意味では、先ほどの多要素認証もありますけれども、ある程度解決できている一方で、認可の部分、あるユーザーがどこの資源まで使っていいかとか、このグループはこれを使っていいという部分は、技術としてはあるのですけれども、まだまだ国としてもサービスが行き届いていない部分があります。例えば、大学の枠を超えた形でグループをつくって、そのグループに対する認可をするとか、そういった部分については、今、力を入れているところですけども、特に今後のデータ管理という部分では重要になりますので、我々としても力を入れていきたいと考えているところです。
【田浦委員】  大学の中でも、今、オンライン授業とかをやる中で、まさに認証だけではなくて認可が必要だという話になっておりますので、ぜひよろしくお願いします。
【合田委員】  こちらこそ、引き続き議論させていただければ幸いです。
【後藤主査】  大事なポイントだと思います。
 これについて、漆谷先生はよろしいですか。
【漆谷委員】  はい、大丈夫です。ありがとうございます。
【後藤主査】  ほか、もうちょっと、最後の御質問ぐらいは受けられますが、コメントよろしいでしょうか。
【田浦委員】  1点、よろしいですか。すみません。
【後藤主査】  田浦先生、どうぞ。
【田浦委員】  この話、むしろ事務局への質問ですけれども、この後、何度か会議が予定されていて、最初にお示しいただいたようなスケジュールで、アウトカムが概算要求という話で、NIIの次期計画の概算要求の骨格を、オーソライズはここではしないのかもしれませんけれども、エンドースするみたいな、それが基本的なアウトプットという理解でよろしいでしょうか。ちょっと全体の位置付けがよく分からないんですが。
【後藤主査】  漆谷先生、合田先生の御説明には一通りコメントいただけました。全体としての、次回以降に向けての取りまとめという意味で、今、田浦先生から考え方を示してほしいという御要望がありましたが、では文部科学省の三宅室長、よろしくお願いします。
【三宅学術基盤整備室長】  三宅でございます。御質問ありがとうございます。こちらの委員会では、まずは今回、NII様から全体の構想とネットワークについて、次回はデータ基盤についての発表を頂きます。その上で、最終的にアウトプットとしましては、次世代の学術情報ネットワーク・データ基盤の在り方について一定の取りまとめをしていただいて、文章化することを考えております。それを今回の作業部会のアウトプットにさせていただきます。文部科学省としましては、それを踏まえて概算要求へとつなげていきたいと思っておりまして、その上で令和4年度からの次期ネットワークの整備をNII様にお願いしたいと、そういう流れを考えております。
【田浦委員】  はい。
【後藤主査】  よろしいでしょうか。
【田浦委員】  結構です。
【後藤主査】  そのほか、よろしいでしょうか。
 大体コメント、御意見、御質問が出たところだと思います。次回は、その次のステップということでデータ基盤の議論になると思いますが、私、お聞きしていて、昨今のコロナパンデミックからいうと、データというか、情報そのものの信頼性とか、最近、ディスインフォメーションというキーワードが飛び交っておりますけれども、そういうものに向けても、このSINETの基盤がどう活用されるか非常に気になっております。よろしくお願いしたいと思います。
 大体、よろしいでしょうか。それでは、どうもありがとうございました。今日の議論は以上とさせていただきまして、本日、皆様から頂いた御議論、コメント、御意見については事務局で整理していただきます。
 では、事務局から連絡事項があればお願いいたします。
【土井参事官補佐】  本日は、どうもありがとうございました。次回は、6月9日火曜日の10時からを予定しております。場所については未定でございます。このような形での開催になるかどうかも含めまして、追って御連絡を差し上げますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 本日の議事録については、事務局にて案を作成しまして、委員の皆様にお諮りし、主査の確認も頂いた後でホームページに公開させていただきますので、引き続き御協力のほどよろしくお願いいたします。
 以上でございます。
【後藤主査】  ありがとうございます。
 それでは、本日の会合は以上で閉会とさせていただきますので、よろしくお願いします。
 本日は、どうもありがとうございました。

お問合せ先

研究振興局参事官(情報担当)付学術基盤整備室

(研究振興局参事官(情報担当)付学術基盤整備室)