ジャーナル問題検討部会(第2回)議事録

1.日時

令和2年4月20日(月曜日)15時00分~17時00分

2.場所

オンライン会議

3.議題

  1. 議事運営等について
  2. 今後の議論の方向性について
  3. その他

4.出席者

委員

引原主査、竹内主査代理、家委員、小賀坂委員、尾上委員、倉田委員、小安委員、高橋委員、谷藤委員、林和弘委員、林隆之委員

文部科学省

増子大臣官房審議官(研究振興局担当)、橋爪参事官(情報担当)、三宅学術基盤整備室長、土井参事官補佐

オブザーバー

喜連川情報委員会主査代理、阿部 国公私立大学図書館協力委員会委員長、筑波大学副学長・附属図書館長、上保 国立国会図書館利用者サービス部科学技術・経済課長、平田 大学図書館コンソーシアム連合事務局長、国立情報学研究所学術基盤推進部図書館連携・協力室長
 

5.議事録

【引原主査】 それでは、ただいまから情報委員会のジャーナル問題検討部会第2回を開始させていただきます。よろしくお願いいたします。本日は、コロナウイルスの感染拡大防止のためにオンラインで開催することとしております。通信状態の不具合が生じることなど、続行できなくなった場合に検討部会を中断する可能性がありますので、あらかじめ御了承ください。
まず、オブザーバー及び科学官、学術調査官が交代されておりますので、事務局より紹介をお願いいたします。
【土井参事官補佐】 まず、今回の部会、委員の方々全員御出席となってございます。また、後ほど、喜連川先生が参加される予定とお伺いしております。
オブザーバーですが、早稲田大学図書館の笹渕洋子総務課長が大学図書館コンソーシアム連合運営委員会委員を退任されたことに伴いまして、大学図書館コンソーシアム連合事務局長であります国立情報学研究所学術基盤推進部図書館連携・協力室の平田義郎室長に新たに御就任いただいております。
次に、科学官、学術調査官ですが、科学官としまして、黒橋禎夫・京都大学大学院情報学研究科教授、学術調査官としまして、竹房あつ子・国立情報学研究所アーキテクチャ科学研究系准教授、池内有為・文教大学文学部専任講師に新たに御就任いただいております。
また、事務局ですが、三宅隆悟学術基盤整備室長と私、参事官補佐の土井が4月から着任してございます。どうぞよろしくお願いいたします。
【引原主査】 ありがとうございました。
では、次に、配付資料の確認とオンライン会議の注意事項の説明を事務局からお願いいたします。よろしくお願いします。
【土井参事官補佐】 それでは、資料の確認をさせていただきます。
まず、議事次第にありますとおり、配付資料については、資料1から資料6まで事前に配付させていただいております。
また、今回のオンライン会議の注意事項を何点か説明させていただきます。
本日、通信の安定のために、発言を除きまして、常時ミュート、またビデオの停止にしていただきますようお願いいたします。主査におかれましては、常時ミュートを解除、また、ビデオを開始にしておいていただけると大変助かります。委員の方々、発言する場合は「手を挙げる」ボタンを押して御連絡をくださいますようお願いいたします。主査におかれましては、参加者一覧を常に開いておいていただきまして、青い手のアイコンを表示している委員を御指名いただければと思います。発言者のミュートの解除、ビデオの開始の操作は事務局でさせていただきます。
議事録作成のために速記者を入れておりますので御承知おきください。発言の際には、お名前を申してから御発言いただけますようよろしくお願いいたします。
また、トラブル発生時には、事務局の指定の電話番号に連絡をお願いいたします。
以上でございます。
【引原主査】 ありがとうございました。主査の方で、発言者の手が挙がるんですが、こちらの画面で参加者全員がばっと全部見られる状況じゃなくて、もし気がつかなかったら、そちらから言ってください。
【土井参事官補佐】 分かりました。
【引原主査】 よろしくお願いします。
では、議事運営についてでございます。まず、議事運営等については、本検討部会運営規則の一部改正につきまして事務局から説明をお願いします。
【土井参事官補佐】 資料2を御覧ください。今回、コロナウイルスの感染防止の観点からオンライン会議とさせていただいておりますが、それに当たりまして、事前に資料をお送りさせていただいた際に、運営規則の改正についてお諮りをさせていただいております。
第2条の第2項、「検討部会の主査が必要と認めるときは、委員等は情報通信機器を利用して会議に出席することができる」、第3項、「情報通信機器を使用した出席者は、第1項に規定する出席に含めるものとする」と追加させていただいております。これついては、過半数の委員から御賛同の意見を頂いておりますので、このような形で改正させていただきたいと思います。
以上でございます。
【引原主査】 ありがとうございました。おかげさまで、これで全部遠隔で進めることができますので大変助かると思います。よろしくお願いします。
それでは、審議事項についてでございます。早速ですけれども、審議に入らせていただきます。前回の検討部会では、いろいろな意見を頂きました。ジャーナルを取り巻く論点・課題は多岐にわたっておりまして、全ての論点を同時に議論すると議論は発散してしまいます。それで、次回以降は観点を絞って議論を進めていきたいと考えております。また、今期どこまで議論するのかを明確にした上で進める必要がございます。
事務局により、前回の検討部会における主な意見を踏まえて修正いただいた論点・課題、今後の進め方について整理を頂きました。これにつきまして、まず意見交換をいただければと思います。
それでは、まず事務局より資料の説明をよろしくお願いいたします。
【三宅学術基盤整備室長】 事務局の三宅でございます。4月1日付で丸山室長の後任として着任いたしました。引き続きよろしくお願いいたします。
資料3から資料6について御説明を申し上げます。先ほど、引原先生からも紹介いただきましたけれども、ジャーナル問題検討部会が始まる前から、また、第1回の御議論の際にも様々な御意見を頂いております。当初、第2回を3月に開催する予定で、特に海外の状況について御講演いただこうと準備をしていたところ、昨今のコロナウイルス感染拡大防止の状況があり、その対応がなかなか難しいということもございまして、主査と御相談の上、今回の検討部会では、特に今期においてどのようなことを行うのかということについて、一度先生方の意見をお聞きしながら全体をまとめていこうと考えており、このような形での開催とさせていただいております。
それでは、資料の説明をさせていただきます。
まず、資料3でございます。ジャーナル問題検討部会(第1回)における主な御意見等について、前回の検討部会の議事録及び事務局まで頂いた意見等々をまとめさせていただきました。簡単に御紹介させていただきます。
第1回では、倉田委員より、ジャーナルの位置づけを過去の経緯から御説明を頂くとともに、様々な点について問題提起を頂きました。研究プロセス全体がデジタル化している中、商業出版社がジャーナルを出版するだけではなく、多くの種類のジャーナルが並列する形態が続くのかが疑問であるという点。また、研究データと論文の関係は今後変わっていく可能性が高いのではないかという点。また、論文の質の評価については、今後、論文が増えるのであれば、現在の査読制度が継続可能なのか疑問だという点等、問題提起を頂いたところでございます。
意見交換の際の主な意見については、まず、ジャーナル問題そもそもの意見としましては、研究者のライフサイクルが出版社に抑えられている中で、特に図書館コミュニティーだけではなくオールジャパンで考えていく必要があるのではないか、既存のシステムに追従するというやり方ではジャーナル問題は解決しないのではないか。
また、米国の例についても御紹介いただきましたが、日本でその議論をそのまま使うわけにはいかないだろうという点。
ジャーナル問題は構造が非常に複雑であって、例えば、発信力を上げるという切り口、財政面の問題という切り口等、どのような切り口で議論するのかということをまず整理しないといけないのではないかという御指摘を頂いたところでございます。
ジャーナルの契約形態やビジネスモデルの観点では、特にビッグディールという契約形態についていろいろ御意見を頂きました。新しい契約形態は様々提案されていますが、透明性がなければ契約が硬直化するおそれがある、ビックディールの二の舞になるのではないかという御指摘いただいております。その観点で、今後継続するとは思えないという御指摘を頂いたところでございます。
オープンアクセスの観点でございますと、日本のオープンアクセスの割合は世界に比べて低いわけではないが、ジャーナルの高騰に対して、オープンアクセスが対抗軸になり得るのか検討していく必要があるのではないか。科学コミュニケーションについて誰かがコストを負担しないといけないが、オープンアクセスは基本的に情報の生産者のコスト負担モデルであり、消費する一方という人たちも出てくる。その中で、オープンアクセスというものをサスティナブルにするためには、利用者から広く浅く集める、そういう形から新しいビジネスモデルを考えないと成り立たないのではないか。また、オープンアクセスと査読の簡易化には関係がなく、また、全体的に査読にかける時間は減っており、査読に時間がかからない雑誌が選ばれる可能性が高いのではないか、という御指摘を頂いているところでございます。
プラットフォームビジネスの観点ですが、新興国の状況はよく分からない部分があるとともに、出版社は研究者のライフサイクル全体に進出し、研究データを管理するところに入り込んでいこうとしているのではないか、という御指摘を頂いているところでございます。
学協会の状況の観点ですが、学協会は経営的に非常に厳しい状況で、大手の出版業者にプラットフォームを移すという選択も多いという報告も頂いております。
その他の観点ですが、査読者という立場からの研究調査が少なく、実態が把握されていないのではないか、ジャーナルの位置づけを学術コミュニケーションの中に位置づけし直すということは、学協会の位置づけをし直すのとほぼ同義ではないか、また、プレプリントサーバーへの言及、エコシステムの発展、その関係の産業が発展していないのではないか、また、海外のオープンアクセスジャーナルでは論文もデータも我が国に残らないという事実が非常に残念ではないか、という御指摘を頂いたところでございます。
このような御意見を踏まえ、改めてジャーナルに係る論点・課題を整理したのが資料4「ジャーナルに係る論点・課題(第1回での議論を踏まえて)」でございます。こちら、第1回の資料6「論点・課題」を、第1回の議論を踏まえてアップデートしたものです。特に追加した部分に関して簡単に御紹介させていただきます。
1点目はジャーナルの購読料負担への対応です。特にファイナンスの問題という観点では、新しい契約形態や、価格交渉力の強化、諸外国の交渉の背景、実情、効果検証、特にドイツの例をお出しいただいたかと思います。また、査読を行うことが価格交渉力の強化につながらないかという御意見も頂いております。 また、セーフティネットの確保という観点では、ビッグディール契約を中止した実例を把握し状況を確認してはどうか、バックファイル整備の在り方、現状把握、特にオープンアクセス前の論文に対するアクセスの保障というものをどういうふうにしていくべきかという観点で御意見を頂いております。
2番目は「オープンアクセス化への動きへの対応」です。特に後段のOA2020、PlanSの問題等々については、海外の事例・競争的資金の枠組み、大学等におけるAPC負担の状況に関して調査の実施をすべきではないか。また、大学院生、若手研究者等への影響に関して実情を踏まえるべきではないか。また、オープンアクセスを含めた契約モデルの検討については、大学内の業務の分担や経費の負担、連携の在り方等々について検討すべきではないかという御意見を頂いたところです。
3番目は「研究成果の発表・公開の在り方」です。特にプラットフォームの強化の中では、各大学における取組はどのような状況か、オープン査読制の検討、科研費で行われた成果公開促進費がどのように生かされたかという検証をしていくべきではないかという御意見を頂いたところです。
また、4番目は、「研究者評価の在り方」です。こちらは新しい観点ではございませんが、評価の在り方について幾つかの考え方を示していただいたところです。
また、その他の観点としましては、出版社の動向、研究成果公開・発表に係る産業の発展の状況について把握すべきではないかという御意見を頂いたところです。
以上が、第1回の議論を踏まえ、改めてジャーナルに係る論点・課題をまとめたものでございます。
続きまして、資料5でございます
ジャーナルの問題については、直近では平成26年に報告書が出ております。先ほどの論点・課題については、今までの検討会の中でも議論を深めたものもありますし、また、新しく出てきた論点もありますので、改めて課題・論点別に過去の検討会の報告書ではどのような報告が行われていたか、また、文部科学省等においてはどのような取組が行われたかに関して、取りまとめたものがこちらの資料になります。
順番に簡単に御説明させていただきます。ジャーナルの購読料負担への対応については、過去の検討会においても幾つか言及がされておりまして、短期的にこれを解決する方策が見当たらない、ジャーナルの購読料に対して膨大な予算を支出し続けているのは適当ではない、当面の策としてはオープンアクセス化を推進すること、国内ジャーナルについても出版モデルの1つとして促進していくことが肝要ではないか。また、利用者のニーズを把握した上で、最も合理的なものを契約のときに各大学が判断して選択することが求められるのではないか。また、そのために必要なデータの収集・情報提供について各大学等の図書館が責任を持って行い、機関の中での意思決定者と十分な情報の共有が必要なのではないか。また、大学間の広範な連携・協力を積極的に進めることが重要ではないかという指摘をされているところでございます。
関連して文部科学省の取組としましては、大学等における機関リポジトリの構築支援やオープンアクセスの推進のような取組が行われているところでございます。
2枚目ですが、新しい契約形態の検討という観点では各機関の状況に応じたジャーナルの契約形態の見直し、資料需要に応えるジャーナル・論文取得の最適化であったり、従来のジャーナル講読モデルに過度に依存しない環境整備への転換が必要であるという御指摘を頂いたところでございます。
価格交渉力の強化についても、同様な記載がされております。具体的な取組として、大学図書館コンソーシアム連合(以下JUSTICE)の取組が2011年度から始まっているところでございます。
一方、arXivのようなリポジトリの活用等々については、前回の検討会では特段の記載はなかったと認識をしております。
3枚目です。セーフティネットの確保という観点ですが、特に実例を、ということもあり、現状について調べていく必要があると考えております。グリーン・オープンアクセス(セルフアーカイブ)の促進という観点につきましては、セーフティネットとして、論文を機関リポジトリで公開するオープンアクセスを全国的に推進して環境を創出する意義は大きい、具体的な方策として、各大学等における機関リポジトリをグリーンOAの基礎として更に拡充して、オープンアクセスジャーナルの育成にも努めていく方法が妥当である、研究成果としての学術論文や関係データのオープンアクセス化を推進することが重要である、という点について御指摘を頂いております。
関連する文部科学省の取組としては、機関リポジトリの件、J-STAGE、成果公開促進費、オープンアクセスの推進等々が行われていたところでございます。
4枚目です。オープンアクセスに対する対応という観点では、検討会においての記載では、研究者等にオープンアクセスの意義が十分浸透しているとは言い難く、これらを科学者コミュニティーに定着させることが肝要であるという点。また、オープンアクセスを促進するための方策として、機関リポジトリをグリーンOAの基盤として拡充すること、オープンアクセスジャーナルの育成にも努めていくこと。また、JSTの支援事業や科研費等で行われた研究の成果についてはオープンアクセスの義務化をするなど、オープンアクセス化が当然であるという意識を広く研究者に普及させることも重要ではないかという観点の指摘でございます。
なお、この時点では、OA2020やPlanSについて直接的な動きについての言及はなかったのではないかと認識をしております。
続きまして、5ページ目、現状の把握という観点でございます。オープンアクセスジャーナルの育成に関して、信頼に足る査読制度の構築に取り組むことを推奨する必要性、研究成果公開促進費の充実、出版プラットフォームであるJ-STAGEの強化、学協会が協働して、質が高く、またAPCを低額に抑えるようなことが可能なオープンアクセスジャーナルを構築することが望ましい、という御提言を頂いているところでございます。
大学等におけるAPCの負担の状況という観点では、APCの高額化に関する懸念、ハイブリッドジャーナルについては二重取りの問題の指摘がございます。額の妥当性、算出根拠の検証等に注意する必要がある。また、研究者の学会の会費も含めた多重払いが生じているのではないかという御指摘も頂いているところでございます。
このほか、大学院生等の若手等への影響、OAモデルを含めた契約モデルの検討等につきましても、現状の把握を含めて対応していくことが必要なのではないかと考えているところでございます。
続きまして、6ページ目です。「研究成果の発表・公開の在り方」という観点です。最初が、我が国の研究者の論文の発信力強化、下は、プラットフォームの強化という観点について、J-STAGEについて国際的な存在感を増すことを検討すべきである等の記載がございます。具体的に文部科学省の取組としまして、これも再掲になりますけれども、J-STAGE、機関リポジトリの取組、研究データ基盤の構築等々の記載がございますが、プレプリントに関する新たな動きへの対応やデータジャーナルの対応ということに関しては、検討会の時点での記載とは空白とさせていただいているところでございます。
続きまして、7ページ目でございます。我が国のジャーナルの発信力強化、質的向上、オープンアクセスライセンスの表示等々については様々な記載がございました。学協会の状況として、学協会運営体制の脆弱性、また、国内ジャーナルに投稿するというインセンティブが働かないことの研究者の行動を変えていくのはなかなか難しいであろうという観点、また、我が国の学協会が刊行するジャーナルの評価を高めること、編集体制の強化、ジャーナルの国際流通力を高めるための情報・ノウハウの共有、相互の連携を強める取組を推進することが求められること。また、論文の著作権ポリシーの明確化、データのオープン化についても、機関リポジトリに保存することを積極的に取り組み、研究成果の信頼性の向上に努めることが重要であるという点、御指摘いただいているところでございます。
記載は次のページにもございまして、人文科学への言及、オープンアクセス化を推進して海外の出版社に過度に依存しない体質に転換する必要性、また、図書館や学協会が連携して、ジャーナルに対して十分な知識を有する人材を確保、という観点の指摘もございました。これらを含めて、包括的に学術・研究情報流通基盤の創出に取り組む必要があるという御指摘を頂いているところでございます。
また、オープンアクセスジャーナルの育成の強化という観点では、特に科研費における研究成果公開促進費についての議論ですが、国際発信力の強化に真摯に取り組む学協会を適切に評価する体制を整えた上で制度の充実を図るべきであるという御指摘を頂いているところでございます。
また、将来の研究成果公開の考え方として、オープンアクセスを推進していることを研究者に積極的にアピールすること、そして、大学等においても、教員・研究職員評価等の際の研究評価に多面的な指標を活用する体制を整備すべきであるという御指摘を頂いているところでございます。
最後、9ページ目でございます。「研究者(及び研究機関の)評価の在り方」ということで、ジャーナルのみに依存しない評価の在り方という観点については、平成26年度の検討会では、分野間の相違の補正など複数の手法の導入や多角的評価をすることが必要であること、また、包括的な情報分析が不足しており、国際発信した結果を定量的・定性的に十分評価できていないのではないかという点、また、新しい評価指標の整備や学術情報流通モデルの構築など、現在の学術情報流通を改革する戦略的な取組が求められること、世界的に通用する指標の策定を目指すべきであること等の御指摘を頂いているところでございます。
このほか、その他の観点で言いますと、データポリシーの話については、直接的な記載はございませんが、政府の取組としましては、国立情報学研究所のデータ基盤の取組等が行われているところでございます。
資料5については以上でございます。
このように、資料4で掲げさせていただきましたジャーナルの論点・課題については、これまで検討会で議論されたもの、されていないもの、様々な論点がございます。そういう状況も踏まえ、今後、今期の検討部会においては、次のように検討を進めてはどうかということを提案させていただきたいと思いまして、資料6を用意させていただきました。
資料6、「ジャーナル問題検討部会における今後の検討について(案)」でございます。「過去の議論及び第1回の議論を踏まえ、今期は、以下の論点について集中的に調査・議論を進めてはどうか」とさせていただいております。
まず、短期的な課題でございます。こちら、特に費用の面、お金の面で速やかに取り組まないといけないことの中でどのようなものがあるかというのを整理いたしました。1つが、ジャーナル購読料の高騰への対応の在り方ということで、例えば、価格交渉力の強化方策、セーフティネットの用意の仕方という観点でございます。
また、具体的に困っている方々への支援の在り方、APCの負担増に対する支援の在り方という観点、特に若手研究者や大学院生への支援方策をどのように考えていけばいいかという観点でございます。こちらの問題を検討する上で、改めて整理すべき情報はどのようなものがあるかということについて、四角囲みの方で整理いたしました。
必要な情報としましては、ジャーナルの購読料の価格交渉の状況、APCの負担の状況、特に研究費が余り多くない若手を中心とした研究者の負担状況について整理する必要があるのではないか、また、各機関におけるバックファイルの整備状況や機関リポジトリの論文登録状況、これらを包括して、諸外国においてはどのような状況であるかをまずは整理すべきではないかと考えております。こちらについては、各機関等々の協力を得ながら情報を整理していく必要があるのではないかと考えております。
2番目、中期的課題でございます。費用・ファイナンスの面を超えてくるところですが、世界の動きに合わせて対応していかなければいけないものに関して、中期的課題として整理させていただきました。
2点ございます。1点目が、オープンアクセス化への動きへの対応ということで、オープンアクセスジャーナルへの対応方針や諸外国における取組との連携です。OA2020やPlanSに対して我が国としてどのように対応していくのかについて検討が必要であると考えております。
また、研究成果の発表・公開の在り方として、特にジャーナルだけでなく、研究データ自体の管理も含めて一体的に考えていく必要があるのではないか、プラットフォームやデータジャーナルへの対応の在り方であったり、研究データの保存・管理というものをどのように考えていくのかということも考えていく必要があるのではないかと考えています。
整理すべき情報としましては、国内のプラットフォームにおける現状や諸外国の動き・対応状況について改めて整理をしていく必要があるのではないかと考えております。
2枚目でございます。若干中長期的な論点ではございますけれども、これらの論点についても引き続き検討を進めることとしてはどうかという観点で書かせていただいております。1つが研究成果の発信力強化、我が国の研究者による論文等の発信力強化です。2番目は評価の在り方で、論文数のみに依存しない研究者評価の在り方、これは研究コミュニティーの考え方そのものについてのところ関係していきますが、こういうような観点についてもジャーナルの問題と密接に関係することから、検討を進めていく必要があるのではないかと整理させていただいております。
長くなりましたが、事務局から以上です。引原主査にお返しいたします。よろしくお願いいたします。
【引原主査】 三宅さん、ありがとうございました。非常に多岐にわたっておりますが、今までの検討の状況、それから、今期、この委員会が立ち上がってからの議論、その周辺の議論をまとめていただいたのがこの資料でございます。今日はこの内容について、今後の議論のために御議論いただくという設定になっております。まず、ここで自由に御意見を頂ければと思っています。
先ほど、ちょっと質問があったんですけれども、せっかくこの遠隔会議機能を使うんだったらチャット機能が使えないのかという声が上がっていました。これはやっぱりまずいんでしょうか、事務局として。じゃあ、今後考えていただくことにします。というのは、聞いているときに気がついたことを残しておくことは結構重要かもしれませんので、また考えてみてください。
そうしたら、今説明していただきました資料のまとめですが、これにつきまして自由に御議論をいただければと思います。
先に私が言って申し訳ないんですけれども、1つは、前回の委員会、平成26年の委員会、ジャーナル問題に関する検討会の中でかなりの議論はなされているわけです。そのなされている議論の中で、どれだけが更に進んで、皆さんが検討されて、あるいは、次を目指して新しい展開をされているかというのが余り評価されていない。一方で、検討されていないというのは非常に重要な問題というか、大きな問題だと思います。せっかくジャーナル問題に対する検討会で議論したものに対して、それはそれというような感じで過ごされてしまっていて、結果的に現状になってしまっている部分がかなり多いんではないかと思われます。そういうことも含めて、皆さん方に御意見を頂戴できればと思います。よろしくお願いいたします。手を挙げていただけますと当てさせていただけるかと思います。
では、小安先生、よろしくお願いします。
【小安委員】 2つ申し上げたいと思います。最初、資料6を示していただきましたが、かなりよくまとまっていると思いました。価格交渉力の強化方策というのは、これはもしやるとしたら、日本全国でやらなければ駄目だと思っていまして、前回もお話ししましたけれども、大学だけでやるのではなくて、研究機関全てを含めてやるというようなことを是非考えていただきたい。
現在、科研費の申請資格もかなり広くなっていまして、国として科研費を分配する機関は大学以外にも大変増えているわけですから、研究の場が大学だけではないという現状をもう少し考えていただいて、オールジャパンで価格交渉ができるようにしていただきたいというのが1つです。
もう一つは、オープンアクセスに関してですが、ちゃんと私、フォローしてないのですが、つい最近、『Nature』がPlanSにのるということを言い出したのが報道されていました。PlanSの状況が大きく変わっているのかどうかというのを、どなたか御存じだったら是非教えていただきたい。それによって、オープンアクセスに関してどのように我々が考えていくかということが、大分違ってくるのではないかと思いました。その2点です。ありがとうございました。
【引原主査】 林さんは、今の小安先生の御意見に対するコメントでしょうか。
【林(和)委員】 林です。質問したかった内容が被るので手を挙げさせていただきました。資料6の位置づけの確認をさせていただきたいのですが、国際的な関係(戦略性)に対しては意図的に表現を抜いているように読めまして、その点に関して事務局の意図を確認したいと思います。なぜならば、小安さんのような御指摘の点を踏まえて、国外の情報の整理はすると書かれていますが、そこから一歩踏み込んで、国際的な戦略性を持つとか協調性を持つなどの表現がない点が気になり、事務局はどのように整理されたのを議論の前に確認させていただきます。
以上です。
【引原主査】 いかがでしょう、三宅さん。
【三宅学術基盤整備室長】 三宅でございます。
まず、研究のくだりについては、幾つか具体的な整理すべき情報を書かせていただいております。これらの対応について諸外国ではどのように対応しているのかというものを含めて、国内の状況と諸外国の状況を整理していく必要があるのではないか、という考えで書かせていただいております。
一方、中期的な課題については、むしろ海外の状況を踏まえて国内はどうするのかとなりますので、主従が逆になってくるという認識でおりました。諸外国の動きとして、先ほどPlanSの話でもございますけれども、そういう動きがリアルタイムで動いている中、じゃあ、国内はどういうふうにしていくのかという、課題に応じて対応していく、情報の調べ方も変わってくるのかなと思いまして、表現ぶりとしては同じですけれども、そういう情報の整理の仕方をしていく必要があるのではないかという考えで、この整理をしております。
【林(和)委員】 ありがとうございました。よく分かりました。あと、非常に難しい資料の整理、どうもありがとうございました。それを最初に言うのを忘れていましたので、今申し上げます。
【引原主査】 ありがとうございます。先ほど、小安先生の話に戻りますけれども、小安先生が最初に言われたのは、「オールジャパン」という言葉を使われましたけれども、ジャーナルの購読料の価格交渉力という点でございますが、今まで、JUSTICEのような大学中心とした組織でやっていて、これ、先生がおっしゃるような理研だとか国研とかがあるし、それ以外の組織もあるわけです。科研費も受けて居られる。要するに、科学研究に従事している人たちが論文を読む際に、当然ながらジャーナルの経費、それが重要なポイントになってくるという点でございます。その価格交渉力の在り方を、現状のやり方ではもう駄目だよ、駄目という言い方は悪いですけど、これでは交渉できないであろうというのが小安先生の御意見じゃないかと思うんですが、端的に言えばそういうことでよろしいですか。
【小安委員】 そういうことです。もう少し考えていただいた方がいいのではないかと思います。
【引原主査】 そうですね。ジャーナルという一括して話ができるかどうかは難しいところがあるんですが、パッケージの価格という問題なのか、個々のジャーナルの問題なのかという話があるかと思います。ここの短期的な課題で書かれているのは、どういうふうに高騰へ対応していくかをここで次の機会に議論する、中心課題に置きましょうという提案ですので、それ自身は先生、全然問題はないですよね。
【小安委員】 ありません。
【引原主査】 ありがとうございます。APC云々というのがここにもございますが、APCの話よりも前に、さっき林さんがおっしゃったように、国際的にどう展開するかという部分もありますけれども、ジャーナル問題を起点として、どんどん研究の在り方、それがプラットフォームとして、あるいは研究のサイクルとして議論していきますと、やっぱりこれは発散していきますので、まず短期的な課題として、先ほどまとめていただいたこの2つに絞っていくことに対して御異存がある方は御意見を頂ければと思います。よろしくお願いします。
倉田先生、どうぞ。
【倉田委員】 異論ということではなくて確認なんですけれども、ジャーナル購読料と言われてしまいますと、基本的にビッグディールという文脈での話に限定するということなのでしょうか。トランスフォーマティブ契約のことが一言も触れられていないのですが、それはあえて抜かされたのでしょうか。今、ジャーナルだけに焦点を絞るという意向、方針は賛成なのですが、ビッグディールを前提としての価格交渉力、ビッグディールを前提としてのジャーナル購読料の高騰への対応だけでいいのかというのは、私にはやはり違和感があります。国際的にそうではない方向にかなり行っていて、もちろん日本に対してまだ動きが鈍いので分からない点はあると思いますが、少なくとも何年かすれば、そういう方向へ動く可能性が非常に高いときに、ビッグディールを前提とした価格交渉力や対応の仕方だけを短期的な課題としていいのかということに関しては、どういう立場でそういう方針にするのかもう少しはっきりさせていただいた方がよろしいんじゃないかと考えました。
【引原主査】 ありがとうございます。おっしゃることはもっともだと思います。日本だけがビッグディールの話を、価格が高い高いという話をしていますから、そうではなくて、世界的な動向の中で、次の次を狙ってどうしていくかというのが重要なポイントだと思うんですね。倉田先生がおっしゃるのは、そこをちゃんと見定めて動きなさいねということと私は理解したんですけれども、そういう理解でよろしいでしょうか。
【倉田委員】 そのとおりです。
【引原主査】 ありがとうございます。その中にAPCというのが大きく含まれてくるわけですね。それについてはいかがですか、先生。
【倉田委員】 そこが短期的な課題とあえてされなかった理由なのかなと思いました。要するに、財政問題ではなくなってしまう部分、より広い文脈が出てきてしまうので、短期的課題にはならないということなら、少なくともそこを見定めた上での今という、そこだけは押さえておいていただいた方がよろしいんじゃないかということです。
【引原主査】 ありがとうございます。この区分けというのは結構混乱してしまって、いつも議論の中でどっかに行ってしまうような部分があるわけです。APCに関しては、もう予算をたくさん取ってやれるようなライフ系とか、いろんな研究分野では、別にそんなもの全然関係なくて、幾らでも払いますよという世界があるわけです。それに対して、若手とか大学院生でという、ここの記述になっているわけですが、その人たちをきちんと支援していかなければ伸びていけない、そのための施策は絶対必要であろうというのが短期的な課題に置かれたという理解なわけですけれども、三宅さん、そういう位置づけでよろしいですね。
【三宅学術基盤整備室長】 はい、それで結構です。
【引原主査】 この短期的課題、今、この2件に絞っていただいていますが、もちろん周辺の部分がここから出てくると思います。では、まずここから入っていくということで、設定させていただくということはいかがでしょうか。何か御意見……。
小賀坂さん、どうぞ。
【小賀坂委員】 小賀坂でございます。倉田先生の御質問と同じ趣旨なんですけれども、APC支援の話は、ともすると、どうやってお金を払うんだという話に行きがちなんですけれども、1つ目のジャーナル購読料の高騰への対応と併せてなんですが、結局、我が国における論文執筆、投稿、閲覧に係る経費をどう支えるかという、そういう文脈かと思います。正に倉田先生が御指摘のとおり、いわゆる移行契約なるものも出てきていますけれども、あれもやっぱり同じポットでどう払うかという話から出た工夫の1つなわけでありまして、APC負担増に対する支援という文脈の前に、今申しましたけれども、学術出版、講読、閲覧に係る経費をどういうふうに配分するかという、そういう文脈の方が捉えやすいんじゃないかという気もいたします。
それから、若手研究者、大学院生への支援がなぜ必要かというのを私なりに捉えますと、これは彼らが論文を書かなきゃいけないからでありまして、それから、OA誌への投稿に偏ってAPC負担が更に増すというのは、彼らは早く論文を出さなきゃいけないからということでもあるわけです。ですから、これは長期的な課題の中に分類されてしまっていますが、研究者評価の在り方と絡んできてしまうので、これは特に案があるわけではありませんけれども、議論が難しかろうと。これ、ファンド機関の立場でもそういうふうに感じております。
昨今、中国が、いわゆるトップティアジャーナルへの投稿に対して、もうリワードを払わないという政策を決めております。ですから、研究者評価の在り方もどんどん変わってきている。ビッグプレーヤーである中国が変わってきているので、これは余り長期的ではないのかもしれないという気もしております。
以上です。
【引原主査】 ありがとうございます。コメントせずに、手が挙がっているので、そちらに行ってもよろしいでしょうか。
谷藤先生、どうぞ。
【谷藤委員】 谷藤です。倉田先生の御指摘に賛成です。やはり先を見た仕分をすることが、この課題をもう一度考えるタイミングとしては、今よいと思いました。なぜならば、ジャーナル購読料ということ自体が、既にもう古い言葉で、図書館費で買うという意味ではもちろんそういう言葉になるんでしょうけれども、この組合せは今、多様な組合せになっているので、必ずしもビッグディールということにはなり得ないし、独立行政法人研究図書館コンソーシアムが今、このビッグディールからもう手を離してしまったのはビッグにならないから。つまり、それぞれの研究ドメインの活性化によって、今、買い方がいろいろあるので、単一にみんな集まって共同で買いましょうという時代は終わったということを思うと、その先を見た買い方の問題も含めた話なのではないかと思います。
買い方の中に、次の論点なんですけれども、このAPC負担増を考えるという話と一緒になっている若手支援の方なんですが、これは買い方支援の方に最初から、若手向けのスキームを考えるということも十二分にあり得て、海外にも例があると思いますけれども、そのように、買い方を1通りではなく階層分けにする、つまり、類型に分けるというのも1つ、アプローチとしてはあるんじゃないかと思います。
その中の選択肢の1つに、例えば、APCとパックにした売り方があったときに、それがどうかというのは調べる価値はあると思いますけれども、その前に、まず、講読のモデルそのものを今一度、先を見た編成で考えるということでどうでしょうかという意見です。
【引原主査】 ありがとうございます。今、小賀坂さんと谷藤さんから御意見を頂きました。このお二方の御意見に対しまして何かコメントございましたら、委員の皆様、よろしくお願いします。
竹内先生、よろしくお願いします。
【竹内主査代理】 諸先生方の御意見、全くそのとおりだと思って聞いておりましたけれども、先ほど、三宅さんからの御説明のときに、短期的課題、中期的な課題というのをどれくらいのスパンで考えるかということについて御発言がなかったので、その辺を補足していただく方がよろしいのではないかと思いました。よろしくお願いいたします。
【引原主査】 三宅さん、よろしくお願いします。
【三宅学術基盤整備室長】 資料6については、短期的、中期的課題というのは今期のジャーナル問題検討部会ということですので、本年度いっぱいの検討と考えております。短期的課題が本年度の前半、中期的課題が本年度の後半、そういうイメージを想定しているところでございます。
【引原主査】 それは審議の話ですよね。でも、実際には問題としての短期的なもの、中期的なものというのも意識はされているわけですよね。
【三宅学術基盤整備室長】 そうですね。特に短期的な問題について、これは費用面という話になりましたけれども、実際に状況が動いていることがございますので、速やかに検討を進める必要があるのではないかということで入れております。中期的な課題につきましても、諸外国の状況を踏まえて日本の動きを決めていかなきゃいけないので、こちらは動きの状況を踏まえて速やかに回答しなきゃいけないということで中期的な課題にしております。
先ほど、先生方の御意見もございました長期的な課題に関しても、当然、短期、中期に連動する内容もございますので、完全に議論を行わないという観点ではないかと思いますけれども、議論の主軸をどこに置くかという観点で、短期的、中期的な課題をこのように置いてはどうかという御提案でございます。
【引原主査】 竹内先生、これについて何か。どうぞ。
【竹内主査代理】 先生方の御意見を伺っていてちょっと感じたのは、課題を短期と中期と分けてしまったことを、少し厳しくというか、資料6にある書きぶりに若干引きずられて狭く捉えていらっしゃるかなという気が少し気になったものですから、先ほどそのような発言をいたしました。
ジャーナル購読料の高騰への対応というのは、新しい契約モデル、トランスフォーマティブアグリーメントなどを当然視野に入れて考えるべきなんですけれども、そのときの議論の焦点がどこにあるのかということを少し考えるべきではないかということです。特に短期的な課題の方は、主としてファイナンスの問題としてこの問題をどのように扱っていくのかというところに焦点を当てた議論をしようということであって、アグリーメントの形そのものをどういうふうに変えていくかということについては中期的な課題として捉えて整理する方が議論を発散させないためにはいいだろうということで、こういう整理がされていることであると御理解いただく方がよろしいのではないかと思います。
以上です。
【引原主査】 ありがとうございます。それでは、先ほど、小賀坂さん、谷藤さんから頂きました意見に対して何かコメントを頂ければと思いますが、ほかの先生方、いかがでしょうか。
林さん、よろしくお願いします。
【林(隆)委員】 先ほど長期的な課題についても併せて議論した方がいいという話があったんですが、先ほど座長からの御説明で、平成26年ですか、前の検討会のところで大分議論はされているんだけれども、様々な問題があって、それが展開していないというのは、現在の課題に対する処方箋を出すという、そういうところだけだと、恐らく全体的な国の流れができていかないんではないかと思うんですね。
具体的にどういうことかというと、先ほど、PlanSみたいな公的研究費で行われた研究成果をオープンアクセスにしていくべきだということに対して、国全体としてそういう方向に行くべきだという合意が取れているかというのが、なかなか研究者のところでは浸透していない。先ほど、資料には、国立研究開発法人科学技術振興機構はそういう方向に向かっているというのはあったんですが、そういうところが浸透してないと。
じゃ、実際にほかの国を見るとどうかというと、私、バックグラウンドが大学評価とかをやっていますので、そうすると、日本で言えば運営費交付金を配分するための大学評価に提出する研究業績はもうオープンアクセスじゃなければいけない。日本の場合だって、国立大学の運営費交付金は公的資金ですので、そうすると、競争的資金だけじゃなくて、交付金も含めると、公的資金で行われるものはオープンアクセスでなければいけないという方向になれば、例えば、ここにある若手研究者、大学院生の支援の方策というのも、当然ながら交付金等でも行われているような活動なのであるから、それがオープンアクセスにならなければいけないのであれば、交付金というものの仕組みをそれに合わせるように考えなければいけない。全体的に国としての方向性の議論がなくて、ここにある最初の2つだけをテクニカルに議論しても、なかなか大きな流れになっていかないんじゃないのかと。それが平成26年で進まなかったのと同じ状況になってしまうんじゃないのかなという気がちょっとするんですね。
なので、先ほど委員が言われたように、もちろん短期的な課題を議論するにしても、その文脈をもうちょっと明示的に議論することも併せてやっていった方が全体的には動きやすいんじゃないのかとは思っております。
以上です。
【引原主査】 ありがとうございます。先ほど申し上げました平成26年の答申ですけれども、これに対して、状況がそんなに変わっているわけでも全然なくて、その後、26年の頃にオープンアクセスという考え方、それを進めていこうというのはかなり強くは出ているわけです。その後どうなってきたかという状況は御存じのとおりだと思いますが、オープンアクセスという、グリーンなオープンアクセスとゴールドなものがありますけれども、ゴールドの方で一種の新しい講読モデルのような形になっちゃったわけですね。
トランスフォーマティブとおっしゃいますけれども、若い人たちは、そこに出すことがやはり評価につながると。そういう意味で全部の問題が絡んできてしまいますので、これ、当然ながら短期的課題と書いていただいていますけれども、それはテクニカルにこれだけやるわけじゃなくて、全体の中でどういう位置づけをするかというのは当然考えることだと思います。その考える中で、全部をやらないとこれができないということをやっても、結局は26年、何も皆さんがやらなかったということとほとんど変わらないようになると思いますので、この位置づけというのは、先を見ながらここを動かしていくというのが一番早いのではないかと私は思うんです。それについて林さん、いかがでしょうか。
【林(隆)委員】 もちろん座長が言われるように、焦点が分散してしまうと議論にならないので、それはそのとおりだと思うんですけれども、ただ、議論していく中で、やっぱり併せてだと思うんです。最終的に報告書を出していくときに、本当に公的資金に基づいての研究成果の活用を広く進めるということの意味が今どういう状況にあるか。つまり、ほかの国で見ると、もう研究評価のところでも、結局、研究成果が学術界だけじゃなくて広く使われて、そしてインパクトが出ていることも積極的に評価しようとか、そういう全体的な文脈の中で、そうしたら、当然ながら成果がオープンアクセスになってなければみんなが使えないとか、やっぱりそういうところの議論、全体的な文脈を少しクリアにしておいた方が、日本としてもどういう方向で考えるのかというのが出てくるだろうと思いますので、もちろん焦点を絞って具体の議論をすることを否定しているわけじゃないんですけれども、併せて文脈のところも同時にということだと思っています。
【引原主査】 ありがとうございます。おっしゃることはよく分かっていて、今、例えば、コロナウイルスの感染拡大の中で、ジャーナルってほとんど意味を持ってなくて、プレプリントみたいなのが走り回っているわけです。評価されるよりも、今の対策の方に、その情報というのは非常に重要なわけですが、そういう流れの中で、オープンアクセスというのか、プレプリントなのかという、フェーズが大分変わってきているような状況もありますから、そういうものを見定めながら、この在り方は当然置いていくと思います。ですので、それぞれに対して、周りに考えないといけない課題を置きながら議論を進めさせていただければと思います。ということを、今、お聞きして個人的に思いました。
家先生、どうぞ。
【家委員】 ありがとうございます。いろいろ御議論を聞いていまして、大変よくまとめていただいたと思うんですけれども、短期的な課題として、APC支援、特に若手対象ということをやっていこうという、その背景には、先ほど小賀坂さんも言われたように、若手はとにかく論文を書かなきゃいけないということがあるんだと思います。例えば、学位申請の条件として、査読つきのジャーナルに何編とかそういうものを課しているところもあると聞きます。また、ポスドクレベルの人はやっぱり業績を積まなきゃいけない。それはあるんですけれども、特に若手でと特出しされたのは、もう少し下世話な話をすると、これを概算要求につなげようとか、そういうことがあっての話なんでしょうか。それによって、随分議論のやり方も違うんじゃないかなということなんですけれども。
この問題は、ずっと長期的な方向にある評価の在り方とも密接に関連しているわけですけれども、成果発信という意味だったら、今は分野によっては、どこかの資料にもありましたけれども、例えば、物理とか情報の関係では、研究の情報交換という意味では学術誌よりもプレプリントサーバーで勝負しているところも結構あるわけですね。一方では、キャリアの観点では論文のクオリティー評価というものがあって、その辺の兼ね合いで若手にとっては非常につらい立場にあるのかなと思います。
先ほどのちょっと生々しい話に関しては、文部科学省はどういうふうにお考えでしょうか。短期的課題というふうに特出しされたのは、何か思惑があってのことでしょうか。
【引原主査】 三宅さん、どうぞ。
【三宅学術基盤整備室長】 よろしいでしょうか。
特にAPC負担増の論点では、結局、そのお金が支払えない人たちはどうするのかという話になり、特にそういう声が上がってくるのが、やはり若手研究者であったり大学院生で、やはり研究費の配分が比較的多くはない若手研究者、大学院生の立場としてどうのようにしていくかという観点で書かせていただいております。
APCの負担増は、当然、全体に掛かってくるわけでございますので、そこは問題をどこまでフォーカスするかというのはあるかもしれませんが、特に短期的な課題と整理した場合、直近で困る対象としてはどこなのかという観点で書かせていただいたというものでございます。
予算については、当然、全体のパッケージの中でどう配分していくかという話でございますので、当然、注力してやっていかなければいけないということであれば、予算要求もありますし、そういう形ではない支援の仕方ということも当然あり得るわけでございまして、それは調査の状況とか、データの状況とか、今回の検討会議の議論の状況を踏まえて、適宜対応していくものではないかと考えています。
【家委員】 ありがとうございます。
あえてお聞きしましたのは、個々の若手に対する支援というと、多分、競争的資金の枠組みで、とかいう話になると思いますが、そうではなくて、組織を通じての支援というふうな方式を考えるのか。それによって随分考え方が違ってくるだろうと思うんですね。
科研費について言えば、ただでさえ研究費、非常に少ないのに、それのかなりの部分をAPCに取られるという、そういう切実な声も上がっていますけど、支援をすると言いながら、それを既存の競争的資金の枠組みでやってねという話になると、なかなか現実には動かないのかなという気がします。
【引原主査】 そうでしょうね。ありがとうございます。ポイントを明確にしていただいたと思うんです。若手を支援するということの意味付けですね。今、家先生の方から御指摘いただいたことだと思います。
では、ちょっと手が挙がっていますので、先に尾上先生から。
【尾上委員】 尾上でございます。
皆様のお話と多分近いところだと思うんですけれども、ここで書いていただいているように、短期、中期で、その先というところで議論することに関しては僕も異存が全くないんですが、やっぱり最終的なゴールというのは、ある程度、設定しておかないと、多分、短期的なところは、どちらかというと、どうしてもその場しのぎになってしまうものですから、それが最終的な目標とずれた方向に行っているというのは余りよくないと思いますんで、ちょっとバックキャスト的な考え方も入れて、やっぱり先ほどの先生方の御意見でもありましたけど、本来、この状況をどういうふうにしていくべきなのかということを何とか念頭に置きながら議論ができるといいかなと思いました。
【引原主査】 ありがとうございます。
小安先生、どうぞ。
【小安委員】 短期的に議論する、中期的に議論する課題を決めようとしているのか、それとも中に入っていいのか、少し分からなくなってきましたので、ちょっと変な発言するかもしれません。
若手研究者という先ほど話題が出ていた部分に関しても、実は林さんのおっしゃったことは結構すごい重みがあって、結局、APCを誰が負担をするのかというときに、家さんも、じゃあ、科研費からどうするのだ、競争的資金からだけなのかというお話をされましたね。公的資金でやっている研究を全てオープンにしなさいと言うのであれば、それぞれの機関がリポジトリを作るか、あるいはAPCを負担するか、どちらかにならないと本来おかしいという議論にどんどんなっていくはずです。
ところが、じゃあ、リポジトリを作ればいいとしても、それも全ての出版社がそれでいいかどうかというような交渉もしなければなりません。短期的と書いてあっても、実はこれは中長期的な問題を含んでいるはずです。座長として、ここの部分だけを、とにかく短期的に何らかの結論を出したいということがあるのであれば、そこをもう少し分解していただかないと、何かいろいろな議論が出てきてしまうと思いましたので、発言させていただきました。
【引原主査】 ありがとうございます。
今、お聞きしていますと、当然ながら、いろんな議論が入ってきて、ぶれてしまうと言うと申し訳ないんですけれども、緊急に対策をとらないといけない部分を、先を見据えながら、どういうふうに、尾上先生の言い方をすれば、バックキャストして、ということになるかと思うんですが、短期がこの委員会の機能の部分ですね。前期でしょうか。余り集まれないので、こういう形になるかもしれませんが、前期の間に、まず、ここを集中的に議論させていただいて、そこに短期的というのは、議論としては短期的で、できるだけ即応性のあるような議論が、ここでできればありがたいです。そのときに、先々の仕分をきちんとしたスキームを置いていくというのが必要だというのが皆さん方の御意見だと思いますので、そういう意味で、まずここから議論をさせていただくという項目の中で、まずやらないといけないことと、先々の議論の中に埋め込みながら話を進めていくものと、そういうことを今後の議論の中でやっていっていただきたいなと思っているわけです。ちょっと答えになっているかどうか分かりませんが、今考えていることは、そういうことでございます。
手が挙がりましたので、阿部先生、どうぞ。
【阿部オブザーバー】 阿部でございます。
ちょっと戻るかもしれませんけれども、単純な話で申し訳ありませんが、価格交渉力の強化といったときに、それというのは、恐らく高いか安いかという情報を持っていて、共通して、それに当たるかどうかということなのかなと思っておりまして、結果的に大学なら大学のところとかが出版社ごとにばらばらの金額であるという話も聞いておりますけれども、そこら辺、例えば、そういうメリット、デメリットあるにしても、情報の共有化ができないかなというのは、即物的に考えると、そういうふうな気がしますというのと、先ほどのお話だと、若手というのの支援というのについて、投稿する際のお話が主にで、APCを払えるかどうかということだったように思うんですけれども、大学、筑波大学はじめ、かなりの数の若手がいるところでいうと、結果的に運営費交付金が削られて、個人個人の特に資金力がない若手とかが情報を得ようとすると、いろんな手段を駆使するんですけれども、やっぱり大学として電子ジャーナルとかがあると、それは非常に基盤的な支援になるということがありまして、結果的に、これから芽が出るような若手をいかに潰さないかという観点で言うと、嫌でも電子ジャーナル的なものを最低限のサービスとして維持せざるを得ないのかな。ただし、先ほどのような話で、金額がどんどん上がりますので、どうしたらいいかというですね。それがありていに言うと低く抑えられないかなという話に、単純に言うとなってくるのかなというふうに思っていたんですけれども、少し実際に投稿するなとか、APC払うなというふうな観点もあるかとは思うんですけれども、そこは価格交渉力をどう考えられるかという、そこについてはいかがなものなのかなと思ったんですけれども、いかがでしょうか。
【引原主査】 ありがとうございます。
まず、個人的な意見を申し上げますと、今の議論というのは、もうずっと続けている議論なわけですね。それに対して、平成26年に対して、こういうふうな作戦を打ちましょうというのを提案されたのがこの検討会で、その副座長が竹内先生だったわけですけれども、このときの議論で、大学及びその機関が価格交渉力を持つようなことをしてきたか、あるいはJUSTICEの価格交渉の点からそういう枠組みを一部見直したかどうかということを、もう一回考えないといけないんだろうと思います。ですから、今までどおりのことを続けていくということは、価格交渉力はないということをこちらから表明するようなものではないかなと思います。今回、交渉力を持つにはどうするかという考え方は、先ほどの買い方の問題、あるいはビッグディールじゃない多様な在り方というものを含めた議論をすることになるんじゃないかなと思うんですが、これはちょっと個人的に思っているわけですが。
【阿部オブザーバー】 いや、正にそういうことかなと思って、お話をお伺いしていました。
【引原主査】 ありがとうございます。だから、値段下げなさいとか、そんなことを言っても、これはもう、らちが明かない話になると。
話がかなり広がりつつあってしまっているんですが、この……。
【喜連川情報委員会主査代理】 一言。僕、最初の方、全然聞けてなかったんですけど、三宅さん、これ6期の話とかは、何かされたんですか。
【三宅学術基盤整備室長】 今回は6期についての話は入れておりません。資料に基づいて、現状の取りまとめと、今後この検討部会において、どういう形で議論を進めていくか、御提案をさせていただいています。
【喜連川情報委員会主査代理】 ありがとうございます。
これ、30分ぐらい、前半の一番重要なことを聞いていないので、とんちんかんなことを申し上げるかもしれないんですけど、短期か中期か長期かといったところのどこかに、第6期の話をメッセージ感として意識するのが、やっぱり重要じゃないかなという気がするので、ちょっと発言をさせていただきたいと思った次第です。
総合政策特別委員会への打ち込みの手前で、情報委員会の方からは、評価というものが非常に重要であるという言い方は、前回の打ち込みの段階では入れたんですよね。要するに、そこを変えないと、このロジックというのは、もう変わらないんで。
さっき御発言があったように中国がシフトを始めたわけです。それはやっぱり、こんなもん、何の役にも立たないというのがだんだん分かってきたからですね、彼らは。論文だけいっぱい書くというようなことでは国は変わらないということが、もう分かってきたので、そこをシフト掛けているわけですよね。
うちの研究所なんかでも、ここのところの書き方も大幅に変えていますので、大学や世界が今後大きく変わる。特に今回のCOVIDの論文なんていうのは、もう中国、出し放題になっているわけです。ある意味。最初の実験場が中国ですから、全部中国からの論文になっている。そんな中でジャーナルもへったくれももうないんです。そういう意味で、相当大きなゲームが変わってくるというようなところの中で、国家として見ると、やっぱり6期の基本法というのが相当インフルエンシャルですので、そこを1つの、短期か中期か長期か分からないですけれど、何かメッセージの置場という意味では、御検討されてはいかがかなと思ったので、すいません、手の挙げ方がよく分からなかったんで、失礼します。
【引原主査】 ありがとうございます。サジェスチョン、ありがとうございます。
情報委員会から、この委員会でやれと言われたというか、やらされたというか、そのときに第6期の話というのは西尾先生からお聞きはしているわけですが、ただ、問題の本質的なところが明確じゃないと、第6期で単にお金の無心をするということになりかねないので、問題の整理をしていただいているというのは御理解いただければと思います。ありがとうございます。
ほか、御意見を頂けますと幸いです。
【林(和)委員】 林です。誰も手が挙がらなかったので、つなぎ代わりのコメントとして、何でこのジャーナル問題について、同じ議論を繰り返しているのかを考えると、これ、いわゆる逃げ水問題なんですよね。結局、現状の論点を整理していざ片付けようと思ったら、整理した議論のフレームが、どんどん変わっていっている。例えば、今回正にトランスフォーマティブ契約という新しい試みが出てきたおかげで、ビッグディール対策などを中心に固定した議論のフレームが、また逃げていくわけですよね。そういう中で、短期、中期の議論をするのも、大変難しいな思いながら聞いています。その上で、喜連川先生の御発言を踏まえて、あるいは、他の委員がおっしゃったバックキャストという考え方は、我々も(科学技術予測を長年行っている)予測センターで科学技術政策づくりのためによく使うんですけれども、日本として固定しやすいのは、やっぱり5年間です。すなわち、第6期科学技術基本計画で打ち出される5年間のビジョンを基に、来年度、再来年度の予算取りを含めて計画する、これが短期の計画です。そして第6期の終了時点ぐらいが中期の見通しで、その先の根本的なゲームチェンジを見越すのが長期のビジョンです。という格好で、何かの工夫をしながら固定していかないと、結局、実質的な議論に全く進まないなと思った次第で、ちょっとつなぎでコメントしてみました。
【引原主査】 ありがとうございます。
今の御議論はもっともで、議論していくうちに、皆さん方の意識が大体そういうふうなところにはまっていくんではないかなと思いながら期待しているわけです。
状況が大きく変わっているというのは、そのとおりで、その変わっていくものを追いかけられなくなっているのが、今の日本の状況です。そうしますと、ゲームチェンジするとか、次の状況を考えたときに、何が必要かというのを考えると、それを短期ですることは当然できませんから、長期のものとして、まず何かを置かないといけないというのが、それは方向性として、ゴールの設定というような意味かもしれませんし、先を見つけて走らせるという意味での御発言が先ほどからあったんだと思っています。
評価の話というのが当然出てきて、ここは前の委員会でもございましたし、情報委員会でも議論がありましたし、ほかでも結構出ているわけですが、評価が大きく変わっているという現状、小賀坂さんがおっしゃったことでございます。何が評価で、評価って何だという話を、当然ながら、これはしないといけないんですが、ジャーナル問題で、ジャーナルの評価だけでというのは当然違って、それは違いますよというだけになってしまいます。ですから、今の状況からして、どういう評価が若手、あるいは研究の本当の評価かというのは、ちょっとこの委員会の中で全部決めることは当然できないですから、いろんな調査をするということが重要なんじゃないかなと思います。物すごく変わっていくという中国の状況というのは、それまでは『Nature』、『Science』に出せば、500万の給料が出るとかボーナスが出るというような状況を、日本では聞いていたりしているわけですけど、もうそれもなくなるわけです。そのときに、どこへ何が動いていくかというのが全然読めないままなくなるという話をしています。ですから、我々としてどうするのかというのを、ここは一度、皆さんの御意見をいろいろ出していただいて議論して、提案してということの課題になるんではないのかなというふうに思うんですが。ですので、ジャーナル問題として、それを置くというのは、ちょっと難しいかなと思っています。
小賀坂さん、どうぞ。
【小賀坂委員】 小賀坂でございます。僕が話を申し上げましたので、ちょっとフォローさせていただきたいんですけれども、引原先生おっしゃるとおりだと思います。研究評価についての大きな議論をする場ではないという御趣旨かと思いますけれども、そうであろうと思います。
ただ、学術情報を扱うコミッティーとして、論文というものがどのように受け止められているかということのランドスケープを取りまとめて発信するという必要性は依然としてあろうかと思います。
前回、倉田先生からお話ありましたとおり、論文が大量生産される引き金の1つは国家規模の研究支援であり、また、国がそれを求めるという要素があったからだという御説明があったかと思います。記憶は不正確かもしれませんけれども、そう認識をいたしました。
ですから、歴史をひもといて、論文がどう受け止められてきたかと、現在はどう受け止められつつあるかということを少なくとも発信する価値はあろうかというふうに思います。
それに基づいたときに、論文というものが、研究評価のエビデンスとして、どう扱われていくべきかという、そういう切り口の取りまとめはあり得るのではないかというふうに思います。
以上です。
【引原主査】 ありがとうございます。
そうですね。ジャーナル問題の中で、ジャーナルの価値というものから出てくる置き方というのを、ここでは提案していくというのが重要かと、おっしゃるとおりだと思います。
その中で、先ほどから何回か出ていますけれども、プレプリントであり、リポジトリであり、ジャーナルという、この3段階の状況と、それからデータ、データジャーナルを含めたデータ、こういうものを考えたときに、長期的な話というか、中期に出ていますけど、プラットフォームの在り方というのが、これは非常に重要なポイントになるだろうなというのは思われます。
なぜ重要かというと、それを包括的に扱える場がなければ、幾らこんな、全部重要ですよと言っても連携した動きがとれないわけですね。ですから、中期的な目標として、プラットフォームというものの在り方というのは、これはJ-STAGEステージ、あるいは国立情報学研究所のシステム、ほかのシステムを含めてですが、これは議論を一度しないといけないかなと思って、中期的な課題の中に書き込んでいただいているんだと思います。
これは小賀坂さん、いかがですか。無理やり当てましたけど。
【小賀坂委員】 国立研究開発法人科学技術振興機構、小賀坂でございます。
御指摘のとおりと思います。そう伺った上で拝見しますと、オープンアクセスジャーナルの問題とプラットフォームの問題というのもリンクしておりますし、正に御指摘のとおりかと思います。
当事者になってしまいましたので、ちょっと何とも申し上げようが難しいんですけれども、このプラットフォームの問題は、いわゆるITシステムの問題だけではなくて、ワークフローですとか、それからジャーナルならジャーナルの競争力、それはひいてはコミュニティーの発信力になるわけですけれども、そういうものの育成、涵養等も絡んでくるのではないかというふうに思いますので、この言葉から発想するよりは、やはり少し重たい課題のような気もしております。
すいません。今のところ、そんなふうに感じておりました。
以上です。
【引原主査】 ありがとうございます。
倉田先生、いかがですか。この点につきまして。
【倉田委員】 うまく表現できないのですが、プラットフォームの在り方が重要で、これが正にこれまでの枠組みをどんどん変えてしまっているということは事実だと思います。ただ、それは議論が大きくなり過ぎて、中期的な課題だとおっしゃるのも大変よく分かりますし、じゃあ、今、具体的に、国立情報学研究所や国立研究開発法人科学技術振興機構に何を期待するのかというような話になってしまうと、逆に歪曲化されてしまうのかなという感じがしております。そういう意味では、短期的なところに焦点を絞るのはいいのですが、ただ、やはり文脈としては、こっちを目指しているということは、ある程度明確に言った方がいいのではないでしょうか。むしろ目指す先を固定させてしまって、さっき林さんもおっしゃっていたように、大体この辺まではこうだろうと、最終的には、こっちに行きたいというところだけは言った方がいいのではないでしょうか。プラットフォームに関しても、統合的なものを考えなきゃいけないというところは、ある程度、皆さんの共通認識になるのではないかと思います。そこを固定させた上で、やはり今、今すぐ、とにかくどうするんだということに戻るという戦略といいますか、方針でやっていくと良いのではないかと思っております。
【引原主査】 ありがとうございます。
ちょっと落としどころが明確でないですね。皆さん方の意識としては、最終的にどうするかというのは、当然、考えてらっしゃる中で、今のことを考えるというのは必要だとおっしゃるのは、そのとおりだと思います。御意見を酌みながら、この後のストーリーを作っていくことになるのかと思います。
まだ御意見いただいていない喜連川先生、どうぞ。御意見いただきましたけど、どうぞ。手が挙がっていますけど、先生、どうぞ。
【喜連川情報委員会主査代理】 さっき6期のところで、評価の話をさせていただいて、引原先生は、それはこの委員会の課題としては大き過ぎるとおっしゃるのは、それはそのとおりなんですけど、世の中の問題は、今、こういうふうに非常に難しい問題しか残ってないんですよね。僕から言わせると。引原現象とは言わないですけれども、全ての委員会は、自分の考える分はここですよねというところで議論をして、それより広い話を避けています。つまり、ほとんどは局所解になってきているんです。局所解では、もはやうまくいかないというのは、もう我々全員、学者は分かっているわけです。なので、一定程度はバウンダリーを広げるという努力をしないと、もう勝てません。たとえ冗長になろうとも、一定程度、評価の話もプラットフォームの話も議論はやっぱりやってゆく必要があるのではないでしょうか?
プラットフォーム、皆さん、この委員会だけの話だと思っておられるかも分からないですけれども、そうではなく、いわゆるクールジャパンというか、知財本部の中で延々と議論されてきています。それが議論だけして、何一つ進めなかったので、コンテンツ業界というのは、今、物すごく大きな打撃を受けていますし、ゲームもそうです。プラットフォームが重要だということは、大分前に、五、六年前に角川会長がおっしゃっていたと思います。ですけど、この会議の対象ではないと言ってアクションをとらなかったわけです。国立情報学研究所は、今回のマスタープランはSINETじゃなくて、その上のプラットフォームを学術会議で提案させていただきました。ネットワークだけではなく、データ基盤を載っけるんですというメッセージを出し、非常に高い御評価を頂きました。今度のSINET5の後というもののプラットフォーム化は、我々としては全ての学術が、学術会議の全ての部がエンドースされたということと理解しています。
こんなふうに、どこでも、界面が広くなっちゃってなっています。この委員会でも、評価を、小生は一定程度は議論した方が良いと個人的には思います。
以上です。
【引原主査】 ありがとうございます。
小さく議論するなという御意見だと思います。
【喜連川情報委員会主査代理】 言いたい放題言ってすいません。
【引原主査】 いろんな委員会で御一緒しますと、僕が小さい方に動くのをよく御存じなのかもしれないですけど、貴重な御意見だと思います。
短期、中期、その後、というような流れの中で、どういうふうに議論をし、位置付けというか、流れを作っていくかということを意識してやらせていただきたいと思います。
当然ながら、評価の話というのは、私自身はやってもいいとは思っているんですけれども、これは何か雲をつかむような話がいっぱいあって、じゃあ、この評価をしてくださいと国立研究開発法人科学技術振興機構にお願いしますと言ったら、できないわけで、だから、もう少し実態と合わせたような形というのは、調査する必要は当然あると思います。ですので、いきなりこれを始めるわけにいきませんから、短期的課題のところから御議論させていただきたいというふうには思います。
手を挙げていただければ、まだ御発言できる時間はあるかと思います。あと15分ぐらいですかね。まだあります。
どちらが早いか。阿部先生、どうぞ。
【阿部オブザーバー】 すいません。ちょっと小さい話になりますけど。
短期的の方の課題で、交渉力にちょっとこだわっているんですけれども、強化策の隣にセーフティネットって書いてくださっているんですけれども、この意味をちょっと確認したいんですね。それは今のプラットフォームと関係するというふうに思われるんですけれども。つまり、代替のそういったプラットフォームとか、例えば、評価に関わるのでも結構ですし、そういうふうな情報を得るというふうな代替のプラットフォームとかがあるんであれば、電子ジャーナルをやめてもいい。ただし、やめた際における現状の短期的な影響に対して、どんなふうな対応があるのかという意味でのセーフティネットという理解でよろしいんですか。それとも違う意味なんでしょうか。
【引原主査】 いや、今おっしゃったとおりです。価格交渉力って、これはやめられないという話が当然あって、やめたときにどうにもならないから、そこのまま購入し続けるという状況があるわけです。ですから、それに対してセーフティネットは何があり得るかというのは、当然、冊子体の時代でも、ILL(インターライブラリーローン)があったわけです。それに相当するものが EILL というようなものを本当にやるかどうかという問題です。その部分は、今まで図書館界を含めて余り議論してこなかったというのが実態です。ですから、もう一度、そこは眺め直してみないといけませんし、研究者は全部ナンバーが付いていますから、その人たちは共通なところにアクセスできるようなものというのはあり得ると思います。だから、何らかの方策というのを考えてこなかった部分は、ここで議論しても悪くはないなというのは思います。それが価格交渉力のバックグラウンドになるのではないかなというのが、ここの意見が出てきたときに、私が申し上げたことですけど、そういうことでよろしいでしょうか。
【阿部オブザーバー】 先ほど喜連川先生のすばらしい、何回お聞きしても感動する話で、ジャーナルなんかで評価されないというふうな、そういうことがあるんであれば、やはりある程度のサイズの大学で、電子ジャーナルというのは、そういう重みが低くなるんであれば、当然、交渉能力として、ほかのそういうプラットフォームでいくんですよということが、もしリアリティーを持つんであれば、交渉力はあるのかな。
ただ、OA2020とか、いろいろ、そういう話をお伺いするにしても、なかなか現実的には難しいのかな。ただ、時代が変わっているというお話ありますんで、案外、この時点においてパラダイムシフト、短期的、中期的という話があるのかもしれませんけど、その端境で変わり得る時期に来ていないかなということを、ちょっと考えているんですけれども、いかがでしょうか。
【引原主査】 このタイミングしかないんじゃないかなとも思いますし、これを過ぎると、もう購入もできなくなる。そういうときにどうするかというのはセーフティネットの話ですので、これは当然ながら価格交渉するときには必要な議論ではないかなと思います。
ほかの御意見がありそうなので、順番にいきます。小安先生、どうぞ。
【小安委員】 ありがとうございます。
先ほど喜連川さんがおっしゃったこと、私も同感です。やはり、評価の問題は避けて通れないと思っていて、今回の資料の6を見ても、この問題は次期、来期以降に先送りすると書いてありますが、これがやはり、気になります。
こういう資料があるかどうか分からないのですけれど、各大学研究機関で教員を採用する、あるいは研究者を採用するときに、どういう評価をしているかという情報はあると思います。それが、どのように変わってきているのか、それが分野によってどうなってるかという、そういう資料を集めることはできるのでないでしょうか。もしかしたら、もう既にある程度あるかもしれない。そういうものを基にして、ある程度議論をしないと、その方向、どちらの方に我々はこれを進めるのかというのは、なかなか見えてこないような気がしますので、それを是非やった方がいいという意見です。
【引原主査】 ありがとうございます。それは本当におっしゃるとおり、ちょっと調べながらやらざるを得ないと思います。ありがとうございます。
竹内先生、どうぞ。
【竹内主査代理】 皆さんの話を伺っていて、やはりなるべく大きなコンテクストで議論をという話は非常によく理解ができるんですけども、最初に引原主査がおっしゃっていたように、議論を拡散させてしまうということは得策ではないので、一定程度の制約というのは、やっぱり掛けるべきではないかなと思います。
それから、評価の問題ということについても、研究者の評価ということが学術コミュニケーションというトピックの中で、それとどのように関わっているのかというところに特化して話をするんだったら、それは非常に価値のある話なのではないかという気はしますけれども、評価そのものについて、ただ広く話をしても、部会の議論としては難しいかなというふうに思います。
それから、先ほど第6期の科学技術基本計画との関連という話がございましたけれども、これは非常に大事な話だと思っておりまして、当然のことながら、プラットフォームというところで関わってくるだろうというふうに私は理解をしています。やはりその場合も、この部会においては学術コミュニケーションという視点から見たときにプラットフォームをどう理解すべきものなのかと考えた上で、第6期とのリンクを考えていく必要があるのではないかと思いました。
今回の短期的な課題、中期的な課題、それからそれ以降の課題ということになるんですけれども、やはりそこに通っている軸というのはあるはずであって、その軸は学術コミュニケーションの問題を、今、我々はどう理解をするのかというところにあるだろうと考えております。
オープンアクセスの問題でありますとか、今ここで議論していることが、もともとどこに目標をおいているのかという話でいえば、今回の資料3の中に何回か出てきておりますけれども、研究のライフサイクルを支援するという1つの大きな目標があって、その中に学術コミュニケーションという問題が入っていて、その中に、恐らく今回、我々が短期的に議論をしていくジャーナルの問題というのが出てくると理解しております。できればそういったフレームワークについては、一定の共通理解を持った上で、短期的な課題、中期的な課題についてディスカッションしていくというような形を作る方が、集中的にやっていく上ではプラスになるのではないかなというふうに考えているところです。
以上です。
【引原主査】 ありがとうございます。
ちょっと残り時間が少ないので、意見だけ先に聞きます。先にどちらが手を挙げられたか分からない。林さんかな。
【林(隆)委員】 すいません。研究評価のところで1点だけ申し上げたいのは、研究評価の話が、今、短期的な問題になっているということをお伝えしたいと思っています。
先ほども座長から、大学でどうやっているかという話もあったんですけれども、今、新年俸制度が入ってきて、そうすると、やはり業績をある程度標準化して測定しなければいけないという流れがある。それから、国立大学の先生方、御承知ですけれども、交付金が来年から共通指標の中で、研究業績を分野ごとに測定をするという話になる。今、国大協であるとか、あるいは学術会議も、それに関しての議論をしているんですが、やはり何らかの評価を測定して、それを資金の配分であるとか、あるいは雇用であるとか、そういうのに結び付けようとすると、ある程度の標準化が必要だと。
ただ一方で、正に学術コミュニケーションが分野によって多様であり、あるいは、それがまた多様化を更にしているという、そういう状況の中で、現場の先生、分野ごとの先生方に聞くと、昔ながらのジャーナル論文みたいなもので測定するのはちょっと無理なんだ、合わないんだという話があるんです。ただ、じゃあ、どういう指標を、ある程度の標準性を持って測定できるかとなると話が全部とまっちゃって、みんなばらばらですという話にしかならない。人文社会系の話とかは、資料6には余り入っていませんけれども、人文社会系も、質が担保されたような日本の人文社会系の学会誌であるとか、あるいは書籍も含めてですけれども、そういうものが、ある程度標準性を持って測定するという方法がなくて、今もう直近で、来年度の交付金配分の指標とか、そういうものを考えるときに困っているという状況があります。
当然ながら、ここは研究評価の議論をする場ではないので、そこまで全部を議論するものではないにしても、やはり先ほどの先生が言われたように、学術コミュニケーションとして、今どういう状況にあって、何を考えなければいけないのかというのを、この委員会から少しサジェスチョンが出てくれば、ここだけで議論するわけじゃなくて、国大協なり学術会議なり、いろんなところで議論していますので、ここの専門性からのサジェスチョンがあれば、それは非常に有効な情報になるんじゃないかとは個人的には思っております。
【引原主査】 ありがとうございます。
次、家先生、どうぞ。
【家委員】 少し違う観点になるかと思うんですけれども、短期的課題の1番目の方の価格交渉力で、先ほどから当初からオールジャパンでやらなきゃいけないというお話がありました。そのとおりだと思います。
学術の利用という意味では、主体は大学とか国立研究開発法人になるかと思うんですけれども、昨今、産業界で多くの大企業で中央研究所を縮小するとか、そういう動きもずっとあったわけですね。マクロなデータで、産業界からの論文産出が減っているという傾向が出ていたと思います。それに関連して企業の研究開発部門で学術ジャーナルを講読する数が実際に減っているのかどうかという、もしそういうデータがあれば何かの機会に教えていただきたいと思います。それと、論文だけじゃなくて、この話が、特にオープンデータにまで広がっていくと、サスティナブルなシステムを作るには、産業界の協力も得て足並みを揃えることが欠かせないというふうに思うんですね。なので、是非、そういう産業界の関連のデータも、何かの機会に教えていただければというふうに思います。
以上です。
【引原主査】 ありがとうございます。
喜連川先生、どうぞ。
【喜連川情報委員会主査代理】 さっき小安先生が、一体どうやってハイアリングしているのかという話をされて、私の知っている範囲では、米国ではアーカイブを丁寧に御利用されていて、サイテーションなど気にしていないのが実情と聞いています。
僕ちょっと、先ほど竹内先生がおっしゃっておる学術コミュニケーションという言葉は、何となく余りよく分からないんですけれども、論文を出すということは学術コミュニケーションだし、データを送るというのもコミュニケーションだし、ノーベル賞をとるためにも学術コミュニケーションしなきゃいけないから、わざわざアメリカやスウェーデンに行って講演していると。そういう意味でいうと、全てが学術コミュニケーションじゃないのかなと思っていまして、学術コミュニケーション抜きの評価というのは、論理的にどういうことをおっしゃっておられるのか、ちょっとよく分からないんですけれども。ただ、これはハイアリングなんですね。小安先生。ハイアリングと最終的な給与とか何とかの、ちょっと林先生もおっしゃっておられたと思いますけれども、その評価と、これ、ちょっと直交軸だと思います。
国立情報学研究所は、というか我々のところは、必ずしも、この論文をよく書いたから、給料これだけあげますみたいな、そんなせせこましいような評価は一切しようとも思っていないですし、やっぱり長く税金を使って研究できるという、そのような機会が与えられているという事実をもっとアプリシエイトすべきであって、たかが二、三本、いい論文を書いたぐらいで、云々かんぬんみたいな、そんな評価軸というのは、僕は余り個人的には好きじゃない。だけど、ハイアリングには、これはめちゃくちゃ効くというのだけはお伝えしたいと思って、ちょっと御紹介いたしました。
以上です。
【引原主査】 ありがとうございます。
評価の方向に話が当然出てくると、皆さん、いろいろ御意見いただいていると思うんですが、例えば、やはり今まで林さんからも出ましたけれども、一度、ここでも議論をする機会を何か作りたいと思います。
私、最後にちょっと言いたいんですけれども、その評価のときに、文部科学省、あるいはいろんなファンド機関が各機関に出すことを求めるデータが、特定の会社のデータベースを使うことを想定しておられるということです。それが今のジャーナルの大きなオキュペーションを持っているE社ですけれども、E社のものを使わないと出せないようなものを文部科学省、あるいは機関が求める。それ自身がやはり問題です。ですから、そういうようなことを、やはりきちんと把握しないといけないであろうと思っています。ですから、それはちょっと、いきなりそこへ行くと、違う方向に行ってしまいますから、ちょっと後で、いろんなデータを調べながら議論をさせていただいて、後半、そういう話になればと思いますので、是非、そのときにもう一度、皆さん方、御意見いただければと思います。よろしくお願いします。
小安先生、どうぞ。
【小安委員】 さっきの喜連川さんのことにフォローしたいのですけれども、年次評価で給与を決める仕組みが物すごく難しいのは最初から分かっていましたので、それであえて私は採用と言ったつもりです。これであれば、どの大学、どの研究機関でも、ある程度、一定程度の方針を持っているはずなので、そこを取りあえずは比較してみたらどうかということを申し上げました。
【引原主査】 ありがとうございます。それはデータに基づいてやらないと、これは困ることになりますから、それは意識させていただきます。ありがとうございました。
予定されている時間もありますので、そろそろ締めないといけないわけですが、きょうはまとめてしまうんじゃなくて、方向性として、資料6の方で出した短期、あるいは中期の書き方ですけれども、これをもう少し修正させていただいて、実際に次の議論の論点化させていただきたいと思います。その点はお認めいただけますでしょうか。お認めいただける方は手を挙げていただけると。ありがとうございます。これ、手が挙がっているのかな。ありがとうございます。皆さん、手を挙げてくださっています。さっき、きょうの午前中、授業で、「分かっている人、手を挙げろ」と言うと挙がらなくて困ったというのもあるんで。ありがとうございます。
では、皆様方、ほとんどお認めいただきましたので、この修正を、また事務局と進めながら、議論に反映させていただきたいと思います。ありがとうございました。
では、まず、短期の問題の提示の仕方も含めて整理して、お伝えさせていただきます。
じゃあ、ここで事務局にお戻ししたいと思います。
【土井参事官補佐】 それでは、事務局から連絡事項でございます。本日の議事録については、各委員に御確認いただいた上で公開させていただきます。
次回以降の日程については、後日、開催方法も含めて、日程調整をさせていただきます。先の予定がいろいろ不透明だと思いますけれども、御協力いただきますようお願いいたします。
以上でございます。
【引原主査】 ありがとうございます。
委員の先生方から、この情報の会議に対して、何かコメント等ありますでしょうか。特に問題ないでしょうか。私なんか、もう毎日、朝から晩までZoomばっかりなんです。
【小安委員】 顔を見ずにやるのは、結構難しいと感じました。通信の問題はあるのだろうとは思いますが。
【引原主査】 そうですね。私は委員会に出ている皆様方を横顔ぐらいしか見てなくて、この方が正面が見えていいのかもしれないと思いました。
竹内先生、どうぞ。
【竹内主査代理】 一回だけなんですけれども、引原先生の御発言が20秒ぐらい途切れました。
【引原主査】 そうですか。余り用事のないところだったらいいですけれども。ざれごと言っているときは、飛んでもらってもいいかなと。ありがとうございます。これは多分、こちら側のネットの問題かもしれませんね。
ほか、何かトラブルありましたでしょうか。大丈夫でしょうか。特になさそうですね。
じゃあ、事務局にお戻しします。
【橋爪参事官】 ありがとうございます。このZoomの会議、これ1回で終わればいいんですけど、また開催をしないといけないかもしれないですから、いろいろ不都合な点や、お気づきの点があれば、事務局にお寄せいただき、我々もレベルアップしていきたいと思っております。
実は情報委員会の関係では、この作業部会がZoom開催トップバッターでございまして、この後、検討部会、作業部会、いろいろとあると思いますけれども、是非、この経験を生かさせていただきたいと思います。ありがとうございます。
【引原主査】 ありがとうございました。
そうしましたら、一応、予定の内容は済ませていただきましたので、これにて本日の委員会を終了させていただきます。どうもありがとうございました。

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