ジャーナル問題検討部会(第10回)議事録

1.日時

令和3年1月26日(火曜日)17時00分~19時00分

2.場所

オンライン会議

3.議題

  1. ジャーナルに係る課題について
  2. その他

4.出席者

委員

引原主査、竹内主査代理、家委員、小賀坂委員、尾上委員、倉田委員、小安委員、高橋委員、谷藤委員、林和弘委員、林隆之委員

文部科学省

塩崎大臣官房審議官(研究振興局担当)、橋爪参事官(情報担当)、三宅学術基盤整備室長、土井参事官補佐

オブザーバー

阿部 前国公私立大学図書館協力委員会委員長、筑波大学副学長・附属図書館長、上保 国立国会図書館利用者サービス部科学技術・経済課長、須田 国公私立大学図書館協力委員会委員長、慶應義塾大学メディアセンター所長、平田 大学図書館コンソーシアム連合事務局長、国立情報学研究所学術基盤推進部図書館連携・協力室長

5.議事録

【引原主査】 時間になりましたので、ただいまより第10回ジャーナル問題検討部会を開催させていただきます。
本日も、コロナウイルス感染拡大防止のためにオンラインで開催することといたしました。通信状態等に不具合が生じるなど続行できない場合、検討部会を中断する可能性がありますので、あらかじめ御了解ください。よろしくお願いいたします。
それでは、早速ですが事務局より、本日の委員の出席状況、配付資料の確認、オンライン会議の注意事項について説明をよろしくお願いいたします。
【土井参事官補佐】 事務局でございます。本日、委員、オブザーバー、皆様御出席の予定でございますが、オブザーバーの阿部先生は少々遅れての参加とお伺いしております。
冒頭から傍聴者の方を入れておりますので、御承知おきください。傍聴希望の登録は91名となっております。報道関係者の方からも登録がございます。
配付資料としまして、資料1、参考資料1、参考資料2を、既に配付させていただいております。
続きまして、オンライン会議の注意事項でございます。まず、通信の安定のために、発言を除きまして常時ミュート、ビデオをオンとしていただければと思います。主査は常時マイクをオンにしていただき、ビデオもオンにしてください。
発言をする場合は、手のアイコン、又は「挙手」をクリックして御連絡ください。主査におかれましては参加者一覧を常に開いておき、手のアイコンを表示している委員を御指名いただければと思います。
指名された委員は、御自身でミュートの解除の操作をお願いいたします。また、御発言の後は御自身で手のアイコンの非表示と、ミュートの操作もお願いいたします。本日も速記者を入れてございますので、発言の際にはお名前からゆっくりはっきり発言をいただければと思います。
なお、トラブル発生時は、電話にて事務局指定の電話番号に御連絡をお願いいたします。
事務局からは以上でございます。
【引原主査】 ありがとうございました。それでは、審議に入らせていただきます。
前回の検討部会では、政策研究大学院大学の林隆之委員から、大学の研究評価制度におけるオープンアクセスの扱いや、日本学術会議における議論等について御紹介いただきました。その後、議論のまとめ案について御議論いただきました。
本日は、約1年間にわたり開催いたしましたジャーナル問題検討部会の最終回でございます。前回の御議論、それからその後頂きました御意見を踏まえまして、議論のまとめ案を事務局にて修正しております。引き続き、取りまとめに向けて御議論いただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
それでは、事務局より御説明をよろしくお願いいたします。
【三宅学術基盤整備室長】 事務局でございます。それでは私から、資料1、参考資料1、参考資料2に基づきまして、審議取りまとめの案について御説明させていただきます。
先ほど主査からも御案内いただきましたとおり、第9回で一度審議まとめの議論をしていただいております。また、その後、修正案を一度、委員の皆様に御照会をさせていただきまして、改めて意見を募って、その意見を踏まえて修正を行ったものでございます。
御説明は、前回の議論を踏まえてのものになりますので、見え消しという形で作成させていただいた参考資料1に基づいて、私から御説明をさせていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
参考資料1でございます。まずタイトルでございますが、「我が国の学術情報流通における課題への対応について(審議まとめ)」というタイトルにさせていただいております。
1ポツでございます。「はじめに」でございますが、こちらについては大きな修正はございませんが、最後の1ページ目の下段でございますが、会議における議論の組立て整理が分かりにくいという御指摘もございましたので、改めてそれを書き直しております。
赤字の部分の1行前辺りからでございますが、まず、購読価格の継続的な上昇及びAPC(Article Processing Charge:論文処理費用)の負担増への対応を検討すべく、まずは経費負担に係る問題について整理を行い、その上で学術情報へのアクセスの目指すべき姿の検討をするということの経緯を、改めて明確化させていただいております。そして、この報告書は、これまでの議論についてまとめるものであると整理をさせていただいております。
続きまして2ページ目、こちらが学術情報流通をめぐる状況でございます。
こちらにつきましても、かなり中身がいろいろ混ざっていて分かりにくいという御指摘を頂いております。それを踏まえまして、構成を見直しさせていただいております。
最初に、学術情報流通をめぐる状況の評価であったり変化であったり、オープン化であったり、データの話が次の競争の要素になっているという1段落目は、特に表現の大きな変更はしておりません。
2段落目でございます。ここからまず、海外の出版社の動向について説明をさせていただいております。海外の状況として、Horizon2020のオープン化、それに伴う出版モデルの提供であったり、Read & Publish契約等の状況、またアーカイブやプレプリントに関して対応してきている出版社の状況について記載をさせていただいております。
3ページ目に参りまして、ゴールドオープンアクセスの進展に伴う課題として、新たに粗悪学術誌、ハゲタカジャーナルの問題点について指摘をしておりまして、諸外国の例として、中国での状況について説明をさせていただいております。
最後の段落として、翻って我が国の状況としまして、日本の状況を改めてここで言及させていただいているというような流れで整理をさせていただいております。
3番目の議論の方向性でございます。こちらにつきましては、表現の適正化ということで頂いた意見を踏まえて修正を加えたのみでございますので、説明を省略させていただきます。
続きまして4番目でございます。4ページ目の下段からでございますが、対応する問題の解析と対応です。
(1)が、研究活動のサイクルにおけるジャーナル問題の位置づけでございます。こちらも表現の適正化等々、意見を頂いたところについて反映をしております。
4ページ目から5ページにかけてでございますが、プレプリントの内容、及びプラットフォームの内容、またデータ駆動型科学等々について追記をさせていただいているところでございます。
続きまして、5ページ目の下段からでございます。ここから各課題に関しての対応ということでの記載になってきます。
もともとこちらは(2)から(4)が短期的・中期的・長期的課題という整理で、もともとの議論の整理を踏まえてタイトルをつけさせていただきましたが、ここで短期・中期・長期、特に長期に関しては、長期的に対応するということはすぐに対応しなくてもいいのではないかという誤解を与えるのはないかという御意見も頂きましたので、タイトルも含めて見直しをさせていただいております。
これまで「短期的課題」という整理で記載させていただいていたところについては、「早急に取り組むべきこと」として、改めて記載を見直したところでございます。
(2)前段、5ページの下段でございますが、こちらにつきましても、表現の適正化ということで頂いた御意見を踏まえて表記の修正をさせていただいているところでございます。
6ページ目でございます。表現の適正化とともに、中段辺りでございますが、大学等研究機関がまとまり、早急に契約主体の調整と実質的な契約交渉に踏み込むという点。また、それに対してJUSTICEはサポートを行うことが求められる点、こちらについて改めて言及させていただいております。
以上でございまして、こちらにつきましては、どの機関がどのような対応をしていくかが、具体的なことが分かりにくいのではないかという御指摘がありましたので、今までの文章に追加して、本部会として要請する具体的な取組というものを各機関別に整理をしたものが、6ページの一番下の行から7ページで、具体的なアクションを明確化したものでございます。
内容としましては、まず大学等研究機関の執行部に対しては、関連データ、これは参考資料に記載されているものでございますが、これを収集した上で最適な契約形態を定めて、契約内容や経費配分を組み替えることであったり、大学等研究機関が契約主体としてグループ化し、主体を明確にして取組をするという検討を開始することであったり、各機関が契約しているジャーナルとの情報を共有し、足りない部分を補えるようなネットワークの構築について検討すること。
また、大学等研究機関の図書館の部門でございますが、関連データの収集、分析、共有であったり、APC支払額等、なかなか図書館だけでは収集できないデータについても、関係部署との連携をし収集すること。また引き続き、所属する研究所等に積極的・丁寧に説明を行うこととさせていただいております。
また、大学図書館コンソーシアム連合(JUSTICE)に対しては、これまでの経験も生かしつつ、契約主体のグループ化を検討している大学等研究機関等に役割分担を含む戦略を明示すること。また、これまで収集した情報をより共有すること。また、JUSTICE自身の今後の立ち位置を明確化し、かつ機能強化するために何が必要であるのかということを検討すること。また、出版社との交渉・契約内容について透明化するべく努力をすることとさせていただいております。
研究資金配分機関については、助成した研究の成果についてはオープンアクセスとすることが原則であることを明示すること。また、その際に必要な支援を行う枠組みを設けることの検討をすることとさせていただいております。
また、文部科学省に対しては、各機関におけるAPCの支払額の実態調査を実施し、それを把握するとともに、その内容を共有すること。
ページが変わりまして、各機関の取組状況を把握して、バックファイルへのアクセス維持、セーフティネットの構築等の在り方も含め適切な支援を行うこととさせていただいております。
続きまして(3)でございます。こちらにつきましても、構成が分かりにくいという御意見を頂いておりまして、特に、オープンアクセス、データ活用、またその基盤となるシステムと、いろいろと内容が混在しているという状況がございましたので、改めて整理をし、大きく書き直させていただいたところでございます。また、(3)については「着手を開始すべきこと」というタイトルとさせていただいております。
内容としましては、最初の部分に関してはオープンアクセスとなっている論文だけでは、必要な論文を入手することが不十分であるという中途半端な状況であり、経費のさらなる上昇を招いているということがあって、目指すべき姿を見据えながら、それに対応する必要があると。
早急に取り組むべきことというのは、当面のアクセス維持を対応していくということでありますが、今、着手を開始すべきことに関しては、公的資金で得られた研究成果のオープンアクセスの義務化、また研究データの共有及び公開を加速することであるということで、やるべきことを整理させていただいています。
続きまして3段落目としましては、諸外国の状況ということで、諸外国では既にオープンアクセス化が大前提の上で、オープン化の促進も戦略的に進めているという状況。我が国としては、このままですと世界的な潮流から取り残されるだけでなく、様々な存在感や新しい研究領域を失うことは必至であるということを出させていただいております。
その次の段から具体的な取組でございまして、研究資金配分機関については、助成した研究によって得られた研究成果論文についてはオープンアクセス化を義務化するべきであると。ただ、その際に、オープンアクセスの方法については、オープンアクセスジャーナルの出版に限定するだけではなく、例えばプレプリントサーバーへの投稿が一般的な領域であればプレプリントサーバーへの登載であったり、機関リポジトリへ搭載をすること、このような形で多様性を認め、出版社のビジネスモデルに依存せず、研究者が戦略的に選択できるようにすべき。また、負担なく寄与できるような配慮もする必要があるとさせていただいております。
8ページ目最後の段落でございます。また、研究データの共有及び公開については、突然停止するといった研究者にとって不利益になることが発生しないよう、利用プラットフォームの選択に当たっては利用条件等、十分検討を促すとともに、プラットフォーム構築とその解放に向けた環境整備も進めるべきであるとさせていただいております。
9ページ目でございます。中ほど下側の(4)のところからでございますが、こちらは「計画を開始すべきこと」とさせていただいております。
こちらは、特に研究評価について言及している部分でございますが、前回の林隆之委員からのプレゼンテーション、及び前回の議論を踏まえて、全面的に改定をさせていただいております。
学術情報流通に係る根本的な課題は、そもそも研究活動をどのように評価して、それを支え、新たな研究に挑戦できる環境をつくることができるかどうかであると。
評価に関してでございますが、評価に関しては、個々の論文自体の評価という観点と、研究者・研究機関及び研究プロジェクト等のパフォーマンスに関するエビデンスの観点が合って、こちらに関しては明確に区別した議論が必要であるという前提を書かせていただいております。
本部会で扱ってきたジャーナル問題と密接に関係するのは後者であって、定量的手法が必ずしも研究成果の質を直接表現しないものや、また、それだけでは研究成果の全体像を構成しないものがあると。
例としまして、例えばインパクトファクターは掲載されたジャーナルの評価指標であって、掲載された個々の論文の質を直接担保するものではないにもかかわらず、これが個々の論文の質の評価指標であるかのように受け取られることがあることから、個人が高い評価を得るために、例えばインパクトファクターの高いジャーナルに掲載されることを求める、またAPCを支払いオープンアクセス化することで引用を増やすというような行動を取ることになると。これが、研究活動の歪みにつながっていると。
出版社もこれに乗じて、インパクトファクターを上昇すべく様々な方策を取るなど競争が激化し、出版社が強固な地位を確立しようとしていると。
こういうサイクルにより、更にインパクトファクターの偏重がますます強まって、状況が悪化の一途をたどるという、この悪循環を断ち切らない限り、ジャーナル問題の根本的な解決は困難であるとさせていただいております。
掲載論文数や個々の論文の引用数というものは、その研究者の成果発信活動の一側面や、研究評価の指標の一部分を構成するものであることは否定されないが、それが定型的指標だけでは評価できないということも指摘されているというところでございます。
こうした指標の誤用や、定量的指標の偏重を解消するためには、特定な指標に過度に偏ることなく多様に評価できるよう、評価の方針を明確化するとともに、あらかじめ明示すること。同時に、用いられる各種指標についてルールや指針を定め、誤用を防ぐためにも常に注意を払うべきであるとさせていただいております。
以下、過去の文部科学省や科学技術学術審議会での報告書を引用させていただいております。
「学術情報基盤の今後の在り方について」の中でもインパクトファクターについての記載がございましたので、そちらを引用させていただくとともに、ページをおめくりいただきまして11ページでございますが、文部科学省における研究及び開発に関する評価指針の中での記載について、こちらでも引用させていただいております。
最後に、研究評価の在り方については、根本的な解決に向けてすぐ変わることは困難であるものの、学術研究を遂行するために、研究者にとって最適な在り方が求められるとさせていただいております。
4については以上でございます。
最後に12ページ、5でございます。「おわりに」ということでございます。
ジャーナルをめぐる動向は刻一刻と変化し続けており、世界の研究コミュニティーに学術情報流通の在り方を見つめ直す契機となっていると。現在、世界の研究コミュニティーはオープンサイエンスという理念の下で学術出版界と呼応し、あるときは相反しながら、あるべき学術情報流通を追い求めている状況であると。
我が国においては、科学技術・学術分野での、世界における我が国の国際競争力や国際プレゼンスの向上を果たすことも求められており、引き続き、研究者にとって学術研究を遂行するために最適な学術情報流通環境を保つため、国際的な動向に受け身で翻弄されることがないように、科学技術の理念の実現を希求した具体的な活動を継続できるよう、全ての関係者が問題解決を主体的に進めていくことを期待するということでまとめさせていただいております。
以降、参考資料1、参考資料2については、第9回での資料から変更ございませんので、説明は省略させていただきます。
以上でございます。よろしくお願いいたします。
【引原主査】 ありがとうございました。前回の御議論、それからその後のまとめ案につきまして、皆様から率直な御意見を頂きまして、事務局においてできる限り反映させていただいたものでございます。今日、出させていただく前に、主査と副主査で確認等をさせていただいて、ここに出させていただいております。
これから、これは最終ではなくて、皆様方に、このまとめで更に足りないところ、あるいは修正が必要だというところを御意見いただきたいと思っております。御発言いただいて、それを踏まえて最終的なものにさせていただきたいと思いますので、是非ともよろしくお願いいたします。
では、御意見ございましたら、手のアイコンを挙げていただければと思います。よろしくお願いします。こちらで全員が見える状態ではないので、忘れていたら申し訳ないですが、どうぞ御意見いただければと思います。
では倉田先生、よろしくお願いします。
【倉田委員】 まず1つは単純な表現の問題ですが、短期的課題、中期的課題、長期的課題というのをやめていただいたというのはいいと思うのですが、議論の方向性のところでは短期・中期・長期というのが残っているのですが、これはこのままでもよろしいのでしょうか。対応関係が分かりにくくなったかという気もいたしましたので、ここは何らかの形でそろえていただいた方がいいのかと思いました。最後のところで、今まで長期的と言っていて、計画を開始すべきこととなっているのが違和感がありました。これから検討を開始するというのなら分かるのですが、計画と言われてしまうと分かりにくいかとは思いました。
次は内容に関することで、本文の9ページで、評価に関しては個々の論文自体の新規性云々と、研究者・研究機関及び研究プロジェクトのパフォーマンスに関するエビデンスの観点があると区分されていますが、ジャーナル問題は後者であるということでしょうか。ここがよく分かりませんでした。
その下で書いてあるのは、ジャーナルの評価と論文の評価は違うという話で、それは、この論文という話と研究プロジェクトのパフォーマンスの評価という話とは対応していないのではないかというふうに、これを読んだときには思いました。
この2つを分けるという話も重要だとは思うのですが、インパクトファクターの問題はもうちょっと、この2つの問題よりももっと単純な話で、論文と雑誌という違うものを評価しているわけですから、それは別個に扱わなければいけないというのは、この上でおっしゃっている区分とは違うのではないかと思いました。
むしろ、量的なものだけに過度に注目しない、多様な評価を今後検討すべきだと言うだけの方が、私は分かりやすいのではないのかと思ったということです。
以上です。
【引原主査】 ありがとうございます。おっしゃっているところは、私もずっと原稿を読んでいて気になっていたところですが、特に短期・中期・長期が残ってしまったところで、議論はそちらでやって、最後にまとめるときに書き換えたという形になっているわけですが、皆さんに御同意いただけるならば、議論を短期・中期・長期でやったものを、早急に検討すべきことということでやっていったというふうに書き換えさせていただいてもいいかと思っています。それはいかがでしょう。皆様方、問題ないでしょうか。
はい、では、あっさりと書き換えるという方向で進めたいと思います。
それから、これは先生がおっしゃった「計画を開始」、これも気持ち悪いです。おっしゃるとおりです。 何かいい言葉が、落としどころが本当は欲しいのですが。計画で終わってはいけないので、始めてほしいという意思がどこかにあるわけです。それはいかがでしょうか。
これも置いておきまして、先ほどのパフォーマンスのところ、ここは意見を頂いた段階で、小賀坂委員からも、ここの部分は要らないのではないかという御意見を頂いております。たしかそうだったと思います。それをあえて、お一人の意見だったので、あえて残す形でここは入れたのですが、入れ方として、頂いた意見で、論文の部分とプロジェクトのところを分けたままが基にございましたので、ここを書き直してみたのですが、おっしゃるように、これは本当には完全には分けられないという話と、後の文章は、どちらかというと、もうそういう区分けを無視した話になっているという点は、おっしゃるとおりです。
ですから、いきなりその次に入る前の、何か導入文章としてこれが要るかどうかという判断になるかと思うのですが、これを先生は今、要らないという御意見だと思います。
前もって頂いた小賀坂委員も、ここは要らないとおっしゃっていましたが、どうですか。
【小賀坂委員】 科学技術振興機構(JST)の小賀坂でございます。この改訂された文章を拝見してやっと分かったのですが、これは論文自体の評価、1本の論文を見たときに、それがよい悪いとか、それからどこの雑誌に載っているからよいとか、あるいはサイテーションを集めているからいいとか、その論文単体として見た論文単独の評価の話と、それをエビデンスとして、その論文が産出された基となったプロジェクトや、その論文を執筆した研究者や、彼ら彼女らが所属する研究機関の評価につなげることと、2つの論点があって、今の御指摘になるのは後者の話だと。そういうことを言っておられるんですよね。
【引原主査】 そうです。
【小賀坂委員】 丸々読んでいるのと変わらないかもしれませんが、私は本当に文章を読んで腑に落ちました。ただ、いささか哲学的過ぎるかもしれないという印象を受けました。
なので、この選別は、やっと分かりました、大事だということは理解しました。ただ、これを読み手に分からせることは大変かもしれないと思いました。
以上です。
【引原主査】 ありがとうございます。それは最初の意見とは違うかもしれないですね。頂いた意見に応じて、分かりやすく書き直してみたわけですが、倉田先生の御意見としては、ここは浮いているでしょうということでした。
【倉田委員】 私は今、小賀坂さんからの指摘でやっと趣旨が分かったということで、申し訳ありません。この話があるのが違和感があるというよりは、インパクトファクターの話がその次に来るのが違和感があるということだと思います。
なので、研究評価といったときに、インパクトファクターのようなもので論文や研究者を直に測ってしまうということは、これはもう論外だと思います。適用の仕方を間違っているわけですから、その話は置いておいてというか、言うのはいいのですが、それよりは、個々の論文の評価というという話と、そうではなくて、それのエビデンスという観点とがあるというのは、その後の話とつながるのではないかと思います。むしろこのインパクトファクターの話が、これも是非書いていただきたいのですが、これはもう前提という感じがする、という意味です。やっと今、何かおかしいというか、違和感があったということでございます。ですので、お任せいたします。
【引原主査】 いえ、任せていただいても困るんです。まだ手が挙がっていますので、家先生、どうぞ。
【家委員】 日本学術振興会の家です。今のことに関しては、私も、ここの文章が何を言わんとしているのかようやく理解できました。理想論を言えば、論文というのはその内容が問題であって、どこに出されていようとその価値は変わらないはずです。
それで、別の話ですが、見え消し版で言いますと5ページの上の方に、プラットフォームのことが記述されておりまして、5行目辺りから、プラットフォームというものの定義みたいなものですが、「研究活動で生成される研究データを含むあらゆる情報の交換、共有、保管、提供というサイクルを支えるプラットフォーム」と書かれています。私は、研究データというものを議論するときに、「論文などの研究成果物の根拠となるデータ」と、「研究の過程で生成されるデータ一般」とは区別すべきだと思っているんです。
このページの記述を読むと、その辺の区別がかなり曖昧になっていて、例えばその下のところですが、次のパラグラフの下から4行目辺りに、「研究公正の観点からも不可避であり」と書かれているところがあります。研究公正の観点から言いますと、これは論文等の成果物の根拠となる研究データに限定すべき話であるということ、さらにそれらを一般にオープンにすべきかどうかというのは、私はまだ議論の余地があるところだと思っています。
つまり、論文等に何か疑義が生じたときに、それをちゃんと証明できるように、開示できるようにしておくということは重要だと思いますが、こういうオープンなプラットフォームに載せる流れが「不可避」であるというのは、私にとってはかなり踏み込んでいるという印象を受けました。取りあえず以上です。
【引原主査】 ありがとうございます。この委員会では、研究データの扱い云々というのを議論してきているわけではないので、先生がおっしゃるように。明らかに、ここに書いているベースは論文をベースとしたエビデンスデータというか、そこは議論です。
ですので、書き方として、もう見え消しばかりになって分からなくなっているのですが、ここでの、この委員会の議論としては論文ベースで、そこに必要なデータというふうな形に見えるように書き直さないといけないと思います。それは先生がおっしゃるとおりだと思います。ありがとうございます。
【家委員】 一方で、ここに書かれているように、現実問題としては、大手出版社が提供するプラットフォームが研究過程のデータも含めて囲い込もうとしているという流れは、これは確実にある話なので、そこをどういうふうに書き分けるかということになるかと。
【引原主査】 そうですね。それは書き分けないといけないですね。おっしゃるとおりです。ありがとうございます。
ついつい筆が滑っている部分があるかもしれませんが、すみません。
林和弘委員、よろしくお願いします。
【林(和)委員】 ありがとうございます。長期的課題というのを改め、今後計画する課題のところに関して、研究評価のことに踏み込んだというのは大変、この提言まとめの中で大きなインパクトを出すものだろうと思って、全面的に賛成します。
その上で、倉田先生や小賀坂委員の御議論のところも、私も同意しておりまして、その上でですが、これを読んで正直思うのは、前提となるジャーナルとか論文出版の仕組みは何も変わらないまま、評価のところをしっかりしなさいと読めて、議論としては堅実ですが、新味に欠ける。長期的に見た場合、研究成果公開メディアの在り方が、データに拡散するだけではなくて、論文や雑誌というレベルでも変容しているという点にも是非触れていただきたいと思うわけです。
そこが評価との表裏一体の関係にあるのは理解しており、あまり評価のフレームを曖昧にすると評価しづらいといったこともあるかと思うので、場合によっては「おわりに」のところでもいいかと思うのですが、このバージョンでは、ジャーナルの変容が織り込まれずに、過去から重要視されてきた評価のところだけが強調されているという感想をお持ちになるような方がちらほら頭に浮かぶものですから、その先の世界を少し記述した方がよいと思いました。
【引原主査】 ありがとうございます。おっしゃることはよく分かります。どこにどう書くかという問題かという気もしないではないですが。
【林(和)委員】 ですので、「おわりに」のところで、将来ビジョンぐらいにしておくのを、一応、対案として出させていただきます。
【引原主査】 どんどんジャーナルというか、論文という形ではないものになっていった場合にどうしていくかという話というのは、もう論文でやったことをそのまま成立させられるかというとそうでもないと思うので、おっしゃるようなところは少なくともやはり書きたいと思います。
だから、この活動は、例えばここでまとめを出したら終わりではないですよという意味だと思います。常に変わっていくものをフォローアップしていきながら、これを埋め込んでいかないといけないということだと思いますので、そういう部分は確かに「おわりに」の方がいいかもしれないですね。ありがとうございます。これを具体的にどう書くか、また御意見を求めることになるかもしれませんが、よろしくお願いします。
小安先生、どうぞ。
【小安委員】 ありがとうございます。私も、評価のことを入れていただいたのは、最初にお願いしたこともあって、非常にいいと思っているのですが、確かに、これをどういうふうに書くかはかなり難しいと思います。11/15の真ん中に、この節の最後の部分があるのですが、研究評価の在り方については、「根本的な課題の解決に向け、すぐに変わることは困難ではあるものの、新たな領域の創出等、現在適切に評価を受けていない部分については、オープン化を指向する取組を重視する等、学術研究を遂行するために研究者にとって最適な在り方を求める」と書いてあります。
何を言っているのかよく分からないという感じがあって、評価のことを言っているけれど、現在適切に評価を受けていないというような、自分の首を絞めているような感じもします。あと、「オープン化を指向する取組を充実する等」というところの意味が分かりにくいので、これはもう少しきちんと書いた方が良いと思います。しかも、オープン化すれば評価されるみたいに見えるのはよろしくないのではないでしょうか。
申し訳ないのですが、いろいろな意味に取れてしまうような気がしました。最後に「研究者にとって最適な在り方を求められる」というのは、まだ分からないからこれからみんなで考えましょうということだとは思うのですが、曖昧さが気になりましたので、コメントさせていただきました。
【引原主査】 ありがとうございました。書き手の前提条件が入ってしまっているんです。論文の公開というのはもう当たり前のことで、前提条件になって、更にそこにエビデンスのデータと、更にその周辺のシステム、アルゴリズム等をオープン化していくことがこれからの流れというのがある中で、オープン化を指向するという書き方でまとめちゃっているので。ですので、もう少し具体的に、何と何をということですね。
最後の、研究者に適切な在り方が求められる、これが曖昧過ぎるという言い方でした。はい、分かりました。それはそのとおりかもしれません。申し訳ございません。ついつい、文章のまとめの文が曖昧になる傾向がありますので、そこをはっきり言うように書き換えたつもりですが、御指摘のとおりだと思いますので修正します。
林隆之先生。
【林(隆)委員】 さっきコメントしようかと思ったけれど、別の方が同じコメントをされたのでやめたのですが、でも、いいですか、今言っちゃって。
【引原主査】 どうぞ。
【林(隆)委員】 皆さんが議論されている9ページの(4)計画を開始すべきことのところをずっと見て、どうしたものかと思っているのですが、まず、皆様が議論されたところに加えて、冒頭の3行も見出すと、学術情報流通に係る根本課題がここに書いてあることなのかというのが、よく分からなくなっていく。
学術情報流通は、研究成果をいかに学術コミュニティー、あるいは今は学術コミュニティー以外のところまで含めて、どうやって流通させていくかが根本問題だと思うので、その評価が本当に一丁目一番地なのかという、その書き方がいいのかは分からないと思って聞いていました。
その上で、改めて考え出すと、この部会で研究評価の話をどう、この部会の範疇で書くかというのが悩ましいと思っていたのですが、結局のところ理解は、今までは研究成果というものをジャーナル論文という形にまとめて、それを同じ分野のレビュアーが査読をして、よければそれが一流の雑誌に載っていって、それが評価をされるという、その発表形態、それがここでいう学術情報流通ということなのかもしれませんが、それがある程度ドミナントであったので、それに基づいて評価システムがつくられてきたのだけれど、でも最近は、もうその状況が変わりつつあると。
先ほど林和弘先生が言われたように、そもそもレビューを経る前に、もうプレプリントで先に出ていって、それが後でポストパブリケーションレビューというのもあるし、あるいは更にその段階でいろいろな研究者が見て、更に次の研究を発展させていくということもありますし、また、オープンデータの話もあれば、更に研究が論文以外の形で出て、それが社会的なインパクトという面で評価されるということも出てきていると。
なので、昔はドミナントだと思っていた仕組み、ジャーナルに出ていくという仕組みが、もう大分変わってきていて、それなのに、いつまでもいつまでも古い形態を維持して、古い形態があるかのように考えて、それを維持していることが問題なのかと理解しました。
そうすると、今の議論があって、最後の結論も、何を最後に落ちに持っていったらいいのかよく分からないと思いながらも、今申し上げたような新しい学術成果の発表の形態であるとか、あるいは学術の仕方の変化を見つつ、評価システムを随時変えていくということが必要だ、くらいのことを言っておくしか、今はどの仕組みがいいですというのを言うのは難しいかと思っているので、長期的な課題というセクションですので、その状況を見ながら、評価の仕組みも考えていきましょうというくらいのことなのかと思って見ていたところです。なかなか難しいと思って見ていました。
以上です。
【引原主査】 ありがとうございます。この委員会自身が研究評価、あるいは論文評価も含めてですが、どれぐらい取り込んで議論するかというのは、最初に議論させていただいて、どちらかというと私自身は否定的でした。林先生と小安先生、喜連川先生もおられましたが、そこをかなり強く、これが一丁目一番地みたいな発言がありましたので、これは最終的な長期的な考え方として入れてきたわけです。どう書くかというのは、評価というのは当然、どこの分野でもそれが当然出てくるわけで、これをここまで書いておいて、もうやめますというのはもったいない話だと思います。ここの最後の書き方については、もう少し修正しながら、先ほど倉田先生から御指摘のあった、出だしの部分の書き方が、この2つだけですよと書いたがために後がおかしくなっているような部分もありますので、ポイントをもう一度、ここを整理し直させていただかないといけないかというか、どう書くか御指摘いただかないといけないかと思います。
全体の流れの中で、どうしても評価の部分は浮いてしまうと言えますね。
ありがとうございます。もう少し御意見を頂きたいと思いますが、順番に行けば尾上先生になりますが。
【尾上委員】 ほかの先生方と結構同じような話ですが、さっき、最後に引原先生がおっしゃったところですが、この長期レンジで考えることというのが、研究成果を外に、要するに研究の成果をコミュニティーあるいは社会で共有することが学術を発展させるというのが、一番の多分、目的なので、そのための手段は論文であり、論文データであり、先ほど林先生もおっしゃっていただいたような、例えば変な話、もう今だとソーシャルメディアで出しているだけでも、それでひょっとすると学術が発展するかもしれませんし、YouTubeで流しているだけでも、かもしれないですよね。
そういった方法の中で、最終的な目標は、評価をされることというよりは、学術が発展することだというところを目標に置いて、いろいろなことをやっていくということ。あとは、それを見る側は、先ほど書いていただいたように、一尺度だけではないというのももちろんだと思うのですが、その中には、要するに信用できないようなデータがあったりするわけですよね、内容というのが。だから、その真贋を見極めるみたいな話も含めてやっていく。それは多分、評価者だけではなくて一般コミュニティーも、その内容の要するに信用度の尺度は、今まで論文というのはある程度信用されて、ピアレビューがされているということで、発表されている内容はほぼ正だと思って我々は読んでいるのだと思うのですが、そこには正だけじゃない、正しいことじゃないこともひょっとしたら書いているかもしれないことも含めて、見る側というのがやっていかないといけない。
そういうあたりを最初の方に、長期レンジのところ、長期レンジと言っていた計画を開始するところの最初に、その成果を使って学術を発展させるということが、この学術情報流通の最大目的だということをうまく書いていただいた上で、評価はこうしたらいいという感じかと思いました。
【引原主査】 物すごい宿題ですね。
御意見ありがとうございます。要するに、この出だしのところが問題なわけですよね。出だしで、ここは理想的なことをかなり言っておかないと、本当はいけないんだろうという御意見ですね。ありがとうございます。どう書くかは置いておいて。
御意見を引き続きお伺いします。順番で行きますが、林和弘委員、よろしくお願いします。
【林(和)委員】 度々恐縮です、林です。今の尾上先生の話とつながるのですが、「査読」というキーワードが、完全に今回の案から抜けています。
それで、このジャーナル部会のレポートとして、研究評価のことに触れるのであれば、相補的に学術コミュニティーの査読の重要性について何かしら触れておく必要もあるのではないかと。
直前の議論を踏まえると、科学的インパクトという評価におけるピアレビューの有用性、効用性というのは揺るぎないし変わらないと。ただし科学的インパクトだけ見る時代でもなくなってきた、みたいな観点を入れることによって、研究評価に踏み込むけれども、ジャーナル側、学術コミュニティー側が取り組む質のクオリティの担保に関しても、我々は考慮し、議論したとして相補性を出すと、この部会らしくなると思った次第です。
好き勝手申し上げて本当に申し訳ないのですが、1つのアイデアとして申し上げました。
【引原主査】 ありがとうございます。査読の部分というのが抜けていると確かに思っている部分でして、今おっしゃったようなピアレビューという意味の査読と、それからコミュニティーが自分たちの発展のためにやっていく査読って少し違っていて、商業誌のものと学会誌というのはかなり違う部分があるんです。
【林(和)委員】 あと教育目的とか、ありますよね。学術コミュニティーの中でも、実はベクトル(評価軸の方向性)が変わったりするので。
【引原主査】 そうです。これは書かないといけない部分だろうと思います。
極端に私見を言えば、なぜ商業誌でお金を取っているのに対して、査読はただでやらされるんだということを書きたいんですけれど。
【林(和)委員】 そうですね。本来、学会活動の互恵性の中において、査読はお互いやるものだということで、無料ということが暗黙の了解ですけれど。
【引原主査】 はい。その文化にただ乗りしているのではないですかというのが、私の個人的な意見です。
【林(和)委員】 はい。そこは時々議論になる、大事なポイントだと思います。
【引原主査】 言ってしまったら書かざるを得なくなりますけども。
いや、そう思って、水を向けていただいてありがとうございます。かなり私はずっとそれは言い続けていることです。商業誌が百何十万というお金を取り出したときに、なぜレビュアーがただ働きさせられるんだという、これは大きな話になるかと思うのです。もう一切やめちゃえばいいんじゃないのと。
そうすると、研究者は多分、やめたことによって自分のアピール力がなくなるという恐怖感があるという、何かそういう部分を残しているわけです。それがどういうふうな問題を引き起こすかだと思います。
私がしゃべっていても仕方がないので、手を挙げていただいていますが、順番で行きます。竹内先生、よろしくお願いいたします。
【竹内主査代理】 阿部先生が先に手を挙げていらしたような気がしましたけれど、話題が続くので、もしよろしければ。
【引原主査】 どうぞ。
【竹内主査代理】 査読の問題というのは、この4のところの、訳が分からないといろいろな方から御批判を頂いているところに、当初は入っていたキーワードの1つだと、私は理解しております。
この問題をきちんとやっておかないといけないと思って、この草稿を事務局から見せていただいたときには、私もいろいろと加筆をトライした部分ではあるのですが、結局のところうまく行きませんでした。今日も林隆之委員も査読という言葉を使っていらしたと思うし、過去の議論を振り返ってみると、この査読の問題については倉田委員がかなり強くおっしゃっていた記憶もあります。なので、その部分はきちっと書くべきと思っております。
ただ、極めてストイックに、この審議まとめはあくまでも審議まとめであって、ここできちんと議論されたことだけを書くべきだということでいくとすると、査読の問題について、何度もそれが問題だということは指摘されてきたけれども、査読にどういう問題があって、どうあるべきなのかということについての詳細な議論はなかったと思いますので書けなくなります。ですので今日の時間を使って少し御議論いただくと、引原先生が最後におまとめになるときにもプラスになるのではないかと、私は感じております。
【引原主査】 ありがとうございます。査読は、当初はおっしゃるとおり入っていたんです。ただ、中途半端な書き方で、議論が十分できていなかったということもあって抜けているわけです。最後、ここで議論していただけると助かります。
その前に、阿部先生の手が挙がっていますので、阿部先生、よろしくお願いします。
【阿部オブザーバー】 前の会議が延びてしまって、遅く入ってしまって申し訳ありませんでした。
今、オープン化とか研究評価で御議論があるようだったので、ひょっとして私が今申し上げることは既に終わっているかもしれないのですが、「早急に取り組むべきこと」について拝見して、ある意味、これはすごいと実は思ったんですけど、非常に精緻に仕分けられていて、大学の執行部に対して、それから、大学の中の図書館でやるべきこと、それから、JUSTICE、資金配分機関、並びに文部科学省とかそれぞれに対してアクションアイテムがかなり具体的に示されていて、これを見た感じで言うと、これができただけでもかなり実は相当進展があるのではないかと感じる内容が目白押しのような気がしたんですね。
例えば執行部に対して契約主体として大学機関でグループ化しろとか、有機的なネットワークとか、これ自体、今、私自身も苦しんでいるところなので、できるのかいというか、なかなか難しいというのは感じているんですけど、ここにうたっていただけるということ自体が恐らくドライビングフォースになるのではないかという気はします。
図書館の役割としても、丁寧に説明しなさいというのは大事なことで、やっているつもりでも、そこが欠けているのかと感じますし、それから、JUSTICEのところの最後は、出版社との交渉契約内容が秘匿されていることに対して、これを透明化すべきとか、これが行けそうですかねというのは、これは質問的ですけど、あるいは努力目標なのかですね。
文部科学省、研究助成機関に対しても、2番目のところは、オープンアクセス化する際に必要な支援を行う枠組みというのは、結果的に着手を開始すべきことの中でうたわれているオープンアクセスを義務化すべきというところ。義務化までいかなくても、資金配分機関がそういうことをやってくれればオープン化というのはかなり進むんだろうなというリンクがかかっているのかとも見受けられました。
というのと、これは早急に対処すべきこと、取り組むべきことなので、非常に強いメッセージ性があるのかと思っていて、最後の「おわりに」というところですけど、非常に美しくというか、全体的に記載されていて、これはこれで、ああ、こういうふうなまとめなのかと思ったんですけど。短期的なものというのが露骨にここに書かれたりするというのはなかなか難しい話なんでしょうねという。こういうこと、こういうこと、ネットワークを組めとか、話し合えとか、ちゃんと情報開示して、出版社とやり取りするべきであるとか、そういうことがもしも最後にドーンと出ているとかなり強いだろうと思いますけど、ただ、それはそれでまた難しい問題もあるのかと思います。
結果的に、これがオープン化とか、研究評価も業績評価的なものも、結果として、もう今はなかなかこう、そういうふうに動いちゃっているものをどうするかというのについては、そういう非常に大きな枠組みの話というのと、もう即物的に、そういうのは当てにしないでねということを執行部に対して、どれくらい認めさせるかとか、そういう話にもなるかならないか。そこら辺、早急にというところの内容に非常に取り組むべきものがあるというふうには承りましたということでした。
以上です。
【引原主査】 ありがとうございます。この「早急に取り組むべきこと」で具体的に書けというのは、前回、皆さん方から言われて、そのまま何々することという、かなり強い調子でまとめているわけです。今回、阿部先生までの議論で、誰もこれに反発されなかったということは、もうこれでよいということだと私も思っておりますので、それは何となく安心しました。
【阿部オブザーバー】 非常に慎重に書かれているという印象ですね。例えば執行部に対するものとかは、要するに、語尾の辺りですね。2番目は、「検討を開始すること」とか、3番目が「検討すること」とかですね。JUSTICEに対する最後のところは、「透明化すべく努力すること」とか、非常に難易度に応じた記載になっていて、ある意味、適切、要するに、できるものについてはやる。何々することを。できそうなことですけど、難しそうなことについてはそういう書き方にしてくださっているので、非常に精緻に組まれたものだろうというふうには読ませていただいています。
【引原主査】 傍聴されている方も含めて、これは直接読んだらドキッとする方は多いでしょうけど、阿部先生の翻訳で、その辺は優しく聞こえるのではないかとは思います。
【阿部オブザーバー】 私はこれを読んで、それはドキッとしました。
【引原主査】 これを全部まとめてみますと、それぞればらばらじゃないかということは当然出てくるんです。それで、今回の短期的な課題は、皆さん、取り組み始めないといけないということで理解されることは重要だと思いますし、学術会議の委員会などでも分野間の差があり過ぎて、なかなかオープン化と言っても、まだ論文のオープンのことを議論する人たちと、データのオープンする人たちが同じ土壌で何かをしようという話で、もうほとんど無理に近いんです。だから、集まると勉強しに来ましたという悠長な話になっちゃうんです。5年かかっても何の結論も出ないだろうと私は思ってしまうんですけれども、それはともかく、今回ここまで議論して着手することというのは、これはお認めいただいたものとして進めさせていただきたいと思います。
その上で、早急に取り組むことはお認めいただいたとして、着手するべきことという部分の曖昧さ、それから、その先の、計画じゃないな。どう書くかですけども、解決すべきことの中途半端な書き方になっている部分を直すということで集中させていただきたいと思います。残りのお時間、そこに加える、先ほど御提案があった査読……。待ってください。手がいっぱい挙がり出したんですけど、査読のことも今から触れていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
順番から言えば、どなたが最初でしたか。高橋先生、よろしくお願いします。
【高橋委員】 高橋でございます。今、先生方、阿部先生からもありました具体的取組ということが今回ありましたので、非常に具体的に分かるようになったというのがあると思いますし、よかったと思っております。ありがとうございます。
一方で、たまたま私は現場の研究者と話す機会がありましたら、想像以上に逼迫している状況であると。研究を進める上で具体的取組がなされないと、非常に厳しい状況であるということを改めて知る機会がございました。
それはどういうことかというと、この中に書いてある執行部だったり、いろいろな部門が難しい問題を抱えているというのはよく分かるんですけれども、現場の研究者にしてみたら、非常に必要だと思っている論文が入手できないことになると、それをどうしているかという具体的な解決策となると、もう国際的にそれをあるところに、これは非公式なのかもしれませんけれども、持っている人たち、要するに、個人のつてを頼りながら入手するしかないような個人ベースの環境を駆使するしかないような、そういった個人の力に及んでしまっているんですね。力の在り方に。
それはどういうことかと申しますと、もう必要不可欠な論文を入手できるための環境が整っていないんですね。基盤的な環境がないというところに、本当にそういうことが起こっていることを実感する機会がありまして、是非取組は、非常にこういうふうな形で取り組んでいくのはいいんですけれども、現実はもっと逼迫しているように思います。ですので、逼迫しているということを検討していただく。優しい形の言葉で書いていただいている。それは執行部だったり、偉い先生方に対して書いていただいているんだと思いますけれども、現場はもっと逼迫していて、それで非常に大変な思いをしながら、論文を何とか入手しながら研究環境を整え、それぞれに研究環境を整えているということがあり得るので、もう少し私としては逼迫したこと。要するに、優先度が非常に高いことはもう早急に取り組まなければならないというような踏み込んだ書き方をしていただけると大変有り難いと思いました。
それの優先順位は先生方にお任せしますけれども、これも一つ具体的取組に書いていただいたこともそうだし、一つの非常に大きな進歩でございますけれども、そんな形の言い回しをしていただけると大変有り難いかと思いました。これは現場の立場からでございます。
以上でございます。
【引原主査】 ありがとうございます。いや、それはもう研究者である者は皆さん、本当は分かっていて、なかなか周りがついてこない。そういう話をすると、分野が違うよ、みたいな話をされてしまって、振られてしまうわけです。先生がおっしゃることはもう論文の段階でそうですし、もう次のフェーズ、データの段階でも論文にひっついたデータ自身がアクセスできなくなることは、これはもう非常に迫っている問題なわけです。実際にデータに直面されている先生方はもうよく分かっていると思いますが、誰かが用意してくれるものではなくて、自分が提供しなければ相手からももらえないというその現実が分からない。だから、その部分をここに書き込めるかどうかという問題ですね。
それは私自身が思うに、このまとめを、この委員会、今日で終わりですけども、終わった後、実際は文部科学省あるいは国立大学でもそうでしょうけども、それを実質に動かすための委員会あるいは何かの会を開いていただかないといけないと思います。そこでまた同じ理想論でまとめを出して、シャンシャンというんじゃなくて、そこは実際に動く実行部隊であってほしいと思っています。
そのためには、ここにも執行部の先生方、たくさんいらっしゃると思いますので、是非そういう声を上げていただく必要があると思います。私はここの委員会の主査にすぎないわけですから、それを、これを受けてやっていただきたいと思っておりますので、是非よろしくお願いしたいと思います。
今の頂いた強い言葉はどこかに入れられるかどうか検討させていただきます。ありがとうございます。
順番で、平田さん、どうぞ。
【平田オブザーバー】 JUSTICE事務局の平田です。短期的なところにお話が行ったので、確認させていただきたいんですけれども、4つ目のポツのところです。
【引原主査】 JUSTICEのところの4つ目ですね。
【平田オブザーバー】 そうです。JUSTICEに関する4つ目。要請に関しては非常にごもっともなお話なので、重く受け止めたいとは思いますけれども、4つ目のところを確認させていただきたいんですが、例えば日本学術会議で答申のお話があったときに、出版社と秘密保持契約を結ぶというお話ですとか、あとJUSTICEにも交渉するときに秘密保持契約を結ぶように要請してくる出版社もあります。あと、出版社と大学との間での契約でも秘密保持に関する条項を入れて、契約を結んでいる大学というのは多数あると把握しているんですけれども、この部分はそういったこういう動向に関して、あまりよろしくないので改善すべきだというふうな御意見と受け止めさせていただいてよろしいでしょうかというのがまず1点目です。
もう1点目が、今回幾つか要請いただいたんですけれども、この報告書の書き方として、どうも唐突に出てきているような感じがしまして、特に1つ目のポツは、前文のところにいろいろ説明されているんですけれども、2つ目のポツ以降のところが、この要請がどういう問題解決の妨げになっているのかとか、エビデンスとか事例みたいなことがなかなか、要請に至った経緯が書いていなくて、この議論をずっと、この検討会を追っている方であれば、ああ、あのことなんだというのが分かるところがあるのかもしれないですけども、報告書としては、その辺のつながりのところが少し抜けているのかと思うところもありまして、その点、少し御検討いただけたらと思っているところです。
こちらからは以上です。
【引原主査】 ありがとうございます。最初の秘密保持契約に関する部分というのは、ここでも議論が出てきております。ですので、その議論を受けて、この4つともそうですけど、議論を受けたものになっていまして、JUSTICEがどういう行動を取っているかとか、どういう運営をしているかということを前段で書くわけにはいきませんから突然になっていますけれども、原稿をお回ししている段階でそこはもう少し前でコメントを頂いた方がよかったかと思いますね。ここまでまとまっている段階で、そこを配慮している前で書きなさいというのはストーリーが変わっちゃうと思います。
この委員会自身は、JUSTICEは一つのステークホルダーだと理解しておりますので、そこを受けた議論として書き込めるべき、書き込まないといけない部分の指摘を具体的にしていただいた方がいいかと思います。
秘密保持契約に関しては、これ自身も皆さんのかなり強い要求があったことは、平田さんも御存じだと思います。最近、GAFA自身も、2月から変わりますけども、日本の情報開示を要求されるとなっていきます。こういう流れの中で、お互いに秘匿したところで競争させること自身が正しいのかということをJUSTICE自身が言うべきではないかというのを今ここで言っておきます。議論したということになるかと思いますので、補足させていただきたいと思います。
【平田オブザーバー】 はい。そういうふうに言っていただけると、こちらとしても対応しやすいので有り難いです。ありがとうございます。
【引原主査】 はい。よろしくお願いします。では、書き込むべき項目を是非送ってください。よろしくお願いします。
それで、家先生、手を挙げていただいていますが。はい、どうぞ。
【家委員】 家です。度々すみません。引原先生が大変苦労してお書きになったものに申し訳ないのですが。
【引原主査】 いや、別に。事務局が苦労している話で。
【家委員】 今、JUSTICEのお話がありましたが、その次のところにファンディングエージェンシーに関する項目があります。この部分と、その次の8ページの真ん中から下辺りに関連の記述があります。まず7ページの最初のポツは、これは既に、例えば科研費に関しては「オープンアクセスを推奨する」という形でやっていることです。次の「枠組みを設けることを検討すること」というのは、これは検討しなきゃいけないとは思っております。一方、次の8ページの下から2つ目のパラグラフに、「ファンディングエージェンシーはオープンアクセスを義務化すべきである」と、こう言い切ってあります。これは流れなんだろうと思いますが、その際、その次に書かれている部分で、「オープンアクセスの方法はオープンアクセスジャーナルでの出版に限定するのではなく…」とあります。これはちゃんと読めば、全て事実関係が書かれているので間違いではないのですが、これをパッと読むと、ゴールドオープンアクセスがファーストチョイスであって、それが難しい分野とか、難しい研究者は、ほかの方法も選ぶ多様性があるというふうに読まれないかと心配しております。
それで、7ページに戻ると、「オープンアクセス化する際に必要な支援を行う枠組み」というのがあるわけですけども、ゴールドオープンアクセスに関しては、これはもう、一にかかって、オープンアクセスに関わるAPCを誰が負担するかという問題です。つまり、例えば科研費なら科研費の予算が伸びずに、それを義務化すれば、なけなしの研究費がそれによって削られるだけですね。だから、その辺の書き方。もちろんこれはその下の項目にあるように、文部科学省においても検討していただけるものと思いますけども、その前提のところの予算措置というのを組まなければ、単に義務化と言うと、あらぬ方向に行ってしまうかという懸念を持ちます。
以上です。
【引原主査】 ありがとうございます。おっしゃるとおり、これを読むと、最初の8ページかな。最初に2文で、ゴールドオープンアクセスのように見えてしまいますので、おっしゃるとおりだと思います。ここでの議論はもう全然そんなことではなかったわけですから、今ちょうどオープンアクセスの過渡期にあって、過去のアーカイブの部分と、それから、将来、完全にオープンアクセスになっていった場合、あらゆる形でなっていった場合に、ちょうど今、全てのものが混ざっている状態の中で、そのゴールドというのをしているわけでは当然ないわけです。ですから、ここは丁寧にもう一度修正させていただきたいと思います。ありがとうございます。
【家委員】 もう一つよろしいでしょうか。
【引原主査】 どうぞ。
【家委員】 8ページのところで、今のお話は下から2つ目のパラグラフですけども、その次に、一番下のパラグラフに、ここは研究データのプラットフォームの話が出てくるんですが、その最後の「プラットフォーム構築とその解放に向けた環境整備」、この意味するところが私は理解できなかったので。
【引原主査】 なるほど。プラットフォームの構築という、データで言えば、今、進められているわけですけども、まだ全国展開している状態ではないので、その解放というのは、それを実際に使える状態になって、また海外とも使えるような状態にしていくというのが、これからの動きになると思います。ですので、ここに込められた意味は、プラットフォーム自身が今つくられている状態で、つくり上げようとされている状態で、更にそこから先という意味です。
【家委員】 そうすると、これは開く方の「開放」ですか。
【引原主査】 待ってください。そうですね。これは私の意味としては、解放というよりは、そうですね。おっしゃるとおりですね。ニュアンスが違うと思いますね。
【家委員】 はい。理解できたような気が。
【引原主査】 前提条件としては、今申し上げたとおりです。NIIを中心としたデータサーバの話が進んでいるのと同時に、J-STAGE等でもデータのサーバというか、そうですね、サーバ等を用意していただいています。そういうものを皆さんに使えるような状態にしていくということです。ありがとうございました。ここは調整させていただきます。
それで、先ほどの査読の件に戻したいんですが、あと残り、まだ時間はありますけれども。手が挙がってしまいましたね。阿部先生、どうぞ。
【阿部オブザーバー】 今の資金支援機関についてのところですけれども、研究資金配分機関の2ポツ目は、「必要な支援を行う枠組みを設けることを検討すること」という書き方になっていて、次のページの(3)の真ん中ぐらいの段落ですか。具体的には、研究資金配分機関は、オープンアクセスを義務化すべきであるという。書き方のトーンが支援を検討すべきという前提でオープンアクセスの義務化ということなので、どちらでもいいのかもしれませんけど。
【引原主査】 いえ、先生、それはですね。
【阿部オブザーバー】 義務化だとしたら資金を必ず配るようにという言い方があると、平仄は整うかと思いました。
【引原主査】 あえて言いますけども、前の方は、早急に取り組むべきことなわけです。
【阿部オブザーバー】 ええ。
【引原主査】 それに対して、更にこれからやっていくべきこと、やっていくことの中で義務化という方向性なわけです。段階を踏んで書いているつもりですけれども、だから、全部そろえてしまうと、これは今、全部やらないとできませんという話になります。
【阿部オブザーバー】 いや、そうだということを今、改めて認識しました。早急ということを。
【引原主査】 それでよろしいですか。
【阿部オブザーバー】 もちろん。前の方が弱めで、後ろが強めですね。ということですね。
【引原主査】 そうです。ここでの議論は、そういう議論がずっと出てきているわけですね。今はグリーンでというのが基本なんだけども、別にお金も払いますよという話をしているわけですよね。それを受けた。
【阿部オブザーバー】 そういうことですよね。ええ。
【引原主査】 はい。そうです。だから、枠組みというのをどう考えるかというのは、そこの受け取り方はいろいろあると思います。
【阿部オブザーバー】 支援はとにかくやっていってもらって、最終的には、義務化だぞと。そういう趣旨ですね。分かりました。
【引原主査】 はい。ちょうどタイミングよく。小賀坂委員、どうぞ。
【小賀坂委員】 JST、小賀坂でございます。7ページの短期的なところの資金配分機関の2つのポツについて、私の解釈はこうですね。研究者に行動を求める場合には、必ずそれを支援する枠組みとペアになっていないといけなくて、それは諸外国における問題の原因の一つだと思っています。諸外国はとにかく義務化して、ポーンと行って、やれと言って、でも、支援策はついてきていないというケースは多いと思います。
日本ではそれはワークしないと思うので、強いポリシーを出すならば、ちゃんと支援策を出さなきゃいけないと。なので、これを拝見しますと、原則であることの明示と、枠組みの検討というのは、そういう意味で、トーンが、バランスが取れているんじゃないかと読んでおりました。ここで枠組みを設けなさいと書かれてしまうと、家先生がおっしゃったことと同じで、我々は窮してしまうのでというふうに読んでおりました。
以上です。
【引原主査】 ありがとうございました。ステップを踏んでいくということだと思いますので、義務化ということに伴う実際の運用の面をどう置いていくかというのは、意識して書いているつもりです。基本的に、この短期の部分。短期かな。短期じゃない。私がまだなじんでいないんです。申し訳ないですけども、早急に取り組むべきことの流れは、これはお認めいただいたものと思っておりますので、個々の言葉について、あるいはもうちょっと表現についてというのがございましたら、事務局に御連絡を頂いて、最終の調整をさせていただきたいと思います。内容的には大きく変わらないようにとはお願いしたいと思います。
全然議論が持っていけないんですけども、査読ですが、倉田先生、最初の頃におっしゃった査読に関する御意見、もう一度お願いできればと思いますが。
【倉田委員】 今考えがまとまっていないのですけども、先ほど林先生がおっしゃられた研究のコミュニティーにおいて、ピアレビューがある。雑誌のピアレビューは、私はその典型だと思っております。ただ、引原先生がおっしゃっているように、もともとは学会誌という、そのコミュニティーの中の相互互恵の仕組みで出来上がったピアレビューで、だから信頼もできて、皆それに頼るという体制が出来上がっていたのだと思います。そこに商業誌という違う基準といいますか、メカニズムといいますか、目標といいますかを持つメディアが入り込んできたが、そのピアレビューのやり方は変わっていない。研究者互恵的に論文を査読しているところは変わらない。
やり方は変わらないが、それが乗っかっているシステムが違ってしまっていて、そこにみんな違和感を覚えているということだと思います。それがここに来て、商業誌も含めた学術雑誌システム自体がきしみながらも変わろうとしているわけで、このピアレビューという研究者コミュニティーにおける成果の評価というもの自体が今後どういうふうにあるべきかということが問われていると思います。
その問われ方が、一つはもちろんずっとこれまで皆さんがおっしゃっているように、論文だけではないんじゃないかとか、研究データも含むんじゃないかという点。それから、先ほどのオープン化ということもその一部だと思います。論文をオープンアクセスにしていればいいのか。データを公開していればいいのか。それだけで評価されるのかと言われると、それはもちろん違いますが、ただ、そういう要素も含めて評価を考えた方がいいのではないかということは研究評価の在り方として考えられるのではないでしょうか。
その辺の議論は複雑なので、一つ一つを今ここできちっと議論して、結果を出すのは難しいと、いろいろ伺っていて思いました。ただ、単純に査読が全部いいという言い方はやめておいた方がいいような気がします。そうではなくて、研究者コミュニティーの中でのピアレビューという基本は変わらないし、今後も維持していくべきだという言い方はいいと思います。ただ、雑誌査読システムは、その雑誌のシステムの部分が変容しているときに使い方を誤ると非常に誤解を招いてしまうと思います。
例えば『Nature』とかそういうような雑誌は、ピアレビューの前にエディトリアルレビューをしているわけです。でも、そういうことはあんまり表に出なくて、『Nature』、『Science』の査読になってしまう。それは雑誌における方針の違いですけども、そこはなかなか感覚的につかめないので、研究者コミュニティーにおけるピアレビューという言い方で一つまとめていただいて、ただ、そのシステム全体が大きく変わっている。先ほどの論文を中心とするシステム全体が大きく変わっているということで、そこをもう一度考え直すべきではないかということを書いていただけると非常にいいのではないかと思います。
【引原主査】 ありがとうございます。期待したことをおっしゃっていただいてありがとうございます。査読の部分の変容というのは書き込まないといけなくて、それと評価とは表裏一体になっている部分がありますし、ジャーナルを講読するということもそこに関わってくることですので、今おっしゃった意見を入れ込んだ形で、最後の部分でしょうか。そこに入れられるようにしたいと思います。
小安先生、手が挙がっていますが、どうぞ。
【小安委員】 ありがとうございます。今、倉田先生がおっしゃったことに一部乗っかるようなことになりますが、そもそも研究者の評価というのも、もともとは同じ分野の人たちの会話や研究発表の場での議論によって確立されていくわけで、これは正にピアレビューによる評価です。そのシステムを雑誌での発表や研究費の申請・評価に持っていったというのがもともとだと思います。だからこそ研究評価においてピアレビューが大事だと言われていると思います。それが今お話があったように、一部の出版社がピアレビューの前に選別をするという、本来の査読を無視するようになったということが問題です。これは、本来のピアレビューの精神を損なうものですが、そのようなジャーナルがしばしば高い評価をうけ、そのようなジャーナルに発表した研究が高く評価されるということによって、サイエンスのいろいろな分野に大きな影響を与えたというのは、これは事実だと思います。
ですから、研究評価の問題とジャーナル問題はピアレビューで繋がっているという、そういう辺りを最後のところに書き込んでいただくと、なぜピアレビューが本来は大事なんだけど、それが歪んだのかということを言えるのかと感じました。ここでは意見をいろいろ出しておいた方が材料としてもいいと思いますので、言わせていただきました。
【引原主査】 一挙に手が挙がり始めたんですけども、小賀坂委員、どうぞ。
【小賀坂委員】 JST、小賀坂でございます。竹内先生が査読の話も少し議論をとおっしゃった意図に沿っているか分からないんですけども、私はずっと査読の話って何だろうと今、考えておりまして、一つ、旧来、伝統的な査読システムに対する批判というのが沸き上がった時期があり、そのことから、オープンピアレビューであるとか、それから、ポストプリントピアレビュー、それから、ペイドピアレビューというような新しい仕組みが提案されました。多分これがここ二、三年の話かと思います。
去年ぐらいから、より戻しといいますか、新しい仕組みに対する批判というのが盛り上がってきていて、例えばピアレビューに対する信頼性についてのサーベイを見ますと、意外と若年層の研究者であってもピアレビューに対する信頼度が厚いということも分かります。ですから、これは世代間の問題ではないということも見えると思います。
それから、オープンピアレビューに対する批判も多いです。つまり、これは小安先生がおっしゃったように、相互互恵の仕組みにおいて匿名性というのは一定程度の役割を果たしていたと。それをオープンピアレビューにすることで、そのバランスが崩れるだろうという批判があります。
それから、ポストプリントピアレビューについては、もうこれはパンデミックの中で、ピアレビューを経ていない論文が出ることの弊害がクローズアップされたので、これも大変コントロバーシャルになっていると。
それから、ペイドピアレビューについても、そういうものじゃないでしょうという論調が最近強いですね。ですから、我々が今ピアレビューのことを議論するのであれば、新しい仕組みが出てきたけれども、それに対する議論が沸き上がってきてという瞬間に我々はいるんだという。何というんですかね。そのポジションを明確にして概観するということもこの報告の中では必要かもしれないと思いました。
ただ、倉田先生や竹内先生が意図しておられる議論なのかどうかは分かりません。
以上です。
【引原主査】 ありがとうございます。そこまで詳細に書き込めるかどうかは別として、そのピアレビュー自身が全体の流れの中では根本的な問題をはらんでいるわけですよね。だから、そこはこの報告書というか、このまとめの中に書かないということ自身がバランスが崩れていると思いますね。ですから、今日の議論を踏まえてどう書くかは置いておいて、書かせていただくということは、皆さん、OKということでよろしいでしょうか。はい。ありがとうございます。
手を挙げていただいています林隆之委員、よろしくお願いします。
【林(隆)委員】 倉田先生がまとめられたのはそのとおりだと思って聞いていました。まず長期的な課題というよりも、短期的な課題として、どういう構成で書くかは別として、そもそも、倉田先生が言われたとおりですけども、研究成果がその質で評価される形ではなくて、掲載されたジャーナルで間接的に評価されているという状況があると。ただ、これについての議論も実は分かれていると私は思っていて、ジャーナルによって間接的に評価されていること自体が悪いと言う人と、でも、ジャーナルはそれなりにみんなレベルがあって、それなりのピアレビューの厳しさでやっているんだから、それはそれで一つのやり方だろうという意見の両方あると思っていて、この部会で関係するところの問題は、倉田先生が言われたとおり、主要なジャーナルが商業出版社によって出版されていて、それを使った間接評価をすることによって、商業出版社の地位が強化されていると。そこがこの部会での問題点だということを強調した方がいいんだと思いますね。
中国の例がどこかに書いてありましたけれども、別に日本の学会がトップジャーナルをつくるという取組はきっとあってもよくて、そこに出たら高く評価されるということはもしかしたら、ジャーナルで間接的に評価しているんだけれども、それはそれでいいかもしれないと私は思いますけれども。ただ、現状の商業出版社のトップジャーナルを評価するという評価の在り方を変えなければ、今申し上げたような日本のトップジャーナルをつくるみたいなそういう取組も促進されない。逆に妨げになってしまうと。だからこそ評価の在り方を変えるんだという、何かそういう議論なんだろうというのが、倉田先生の御意見も聞きながら思ったところというのがまず1点目です。
それから、2点目ですが、インパクトファクターの話、もう聞き飽きて、古臭いよという話もありつつも、私も前回申し上げたとおりですが、大学評価機関とか資金配分機関とかそういうところはもうみんな分かっているよという話ですけれども、個別の大学の中の現場に行くと、それが例えば個人の評価であったり、あるいは大学評価で出すための指標づくりという場では、まだまだインパクトファクターで選別しておけばいいんじゃないかという、そういう取組が実際に行われているというのが現状なので、古臭い議論ではあるけれども、大学の中とかそういう場ではこういう話をもう一回検討していただくというのは重要なことなのかと思います。
ただ、そんなに長期的という感じも。きっと、もっと急いで取り組むべき話なんだと思いますけども。長期的という話になると、論文以外の業績とかそういう話が出てくると思いますけれども、そういうところでも質管理をするという、研究成果を知識として積み上げるための質管理をするというところでは、ピアレビューが一番の方法であるというのはきっと変わらないんだと思いますけれども、ただ、現状、今、我々が直面しているのは、質管理をする前に先にもうシェアすることによって、更に研究が発展するとか、今までの質管理をしたものを出していくという行為とは違うのが、現状、もう既に起こっていて、先ほどから議論あったように、それがいいことなのか悪いことなのかというのはまだ判断がつかないんですけれども、ただ、それを妨げるような主要ジャーナル出版のピアレビューを経たものがナンバーワンだという、それを妨げることになっているような今の評価システムは注意が必要だという、何かそういう形なのかと思っていてですね。
だから、ピアレビューの重要性は変わらずにありながらも、ただ、それだけではいかない、現状もそれだけでは議論できないという、そういうなかなか難しい状況の下できっとこれを書かなければいけない、この提言を書かなきゃいけないんだと思っておりまして、きっと結論を出すのは難しくて、状況を見ながら、評価システムも考えていかなければいけないという形ぐらいの結論にしかならないのかと思っているところです。
以上です。
【引原主査】 ありがとうございます。こちらの悩みをそのまま言っていただいたように思います。このジャーナル問題検討部会自身が非常にスパゲッティ状態になった問題を割とひもといてきたというか、短期、中期という言い方で整理してきたわけです。今の査読の問題というのも、結局はそれぞれ同じようなタイムスパンで議論があるわけです。ですから、ここでは査読の問題というのを議論するわけじゃない、ジャーナル問題として見たときに、ここはもっと研究者寄りの話としてそれは考えないといけないよという部分を最後に書き込めるような形にできればと、今お聞きしていて思いました。
最終的には、研究者が負担なく、科学技術を発展させられるというのがこれは理想なわけですから、そこの部分が抜けて、財務問題みたいなだけにはしたくはないので、最後の、まだこれはスペースとしては結構ありそうですが、おわりにが長くなるような形になるかもしれませんけども、そこは工夫させていただきたいと思います。ありがとうございます。
まとめていただいたので、査読に関してはこれでいいかという気が大分してきました。いかがでしょう。ほか、何か抜けているところというのは、何かお気づきのところがありましたらどうぞ。大体出尽くしましたでしょうか。すぐには出ないかもしれませんが。はい、どうぞ。阿部先生ですね。
【阿部オブザーバー】 査読の話ですけれど、おっしゃるとおりで、御指摘のとおりなんだと思いますけれども、ピアレビューは大事なので、そのまま行きましょうということなのかもしれないんですけど、あえて極端なことを申し上げると、学会誌に対してはボランティアベースでエディターがいて、レビュアーがいてということですよね。商業誌についても、商売にされていて、結局、それをお金で買わなければいけないんですけれども、結果的にエディターもレビュアーもボランティアベースでやっているという、そういう話ですけども、とある諸外国では、レビュアーを一律お断りするという動きもあったように聞いているんですけれども。
それがどのくらいバーゲニングパワーになるのかはよく分かりませんけれども、そこら辺の矛盾みたいなものについては、あえて日本の場合は、そこまでイメージがいかない。こういった、ここの委員会とか、そういうことになるんでしょうか。あえて、私はピアレビューは大事なので、ボランティアベースでどんどんやって、仮にそれが商業誌だろうと、それはそれで大事なことだろうと。研究者の方々の研究成果を評価するという意味では思っているんですけれども、あえて申し上げるとすると、それはどうでしょうか。
【引原主査】 ありがとうございます。バーゲニングパワーと混ぜた話をしようと思ったら、日本の研究者が一体どれだけ査読しているかみたいな数値的なデータとか必ず必要になるわけです。私はデータ会社から一部を見せてもらったことがあって、それがどれぐらいに相当するか、1件当たり幾らにしたらどれぐらいになるかというのも分かっていますけれども、それはここの議論ではなかったので、それは今後の議論の短期的あるいは議論の中でやっていかないといけないんじゃないかと思います。
それが各大学から言えば、論文のアクセス権として差し上げますということでやらせているところはあるんですが、大学はもうそれは購入しているわけです。要するに、ただなものを、お金の価値があるようにして渡しているわけです。そういう何か詭弁を使われていること自身を皆さん分かっていないという現実があります。そこは次のステップとして、これは記録、議事録に残した形になるかと思いますけども、やるべきことだと思いますね。私の個人的な見解ですけども。ありがとうございます。
小賀坂さん、手が挙がっていますが。
【小賀坂委員】 JSTの小賀坂でございます。文章の中身についてではないんですが、よろしければ申し上げたいんですけれども。
【引原主査】 どうぞ。
【小賀坂委員】 こういう審議まとめが出ますと。それから、先ほど引原先生がおっしゃったとおり、これを受けて、具体的に実施に向けて動き出す会議体がなければならないとおっしゃいました。それに関連するんですけれども、この審議があった上で、我々は、出版業界ですね。特に大手商業出版社ともう少し正面からある程度向き合って対話をしていくことをやるべきなのではないかと思っていました。今これは、私の理解では、JUSTICEにお任せしっ放しになっているんじゃないかと思いますけども、なぜこういうことを申し上げるかといいますと、商業出版社の関係者と話をしますと、出版社と研究機関ないしはコンソーシアムが向き合ったときに、一体何が双方譲れない点であって、何は特段こだわりがないとか、一体どこにコンプロマイズを生み出すことができるかということを具体的に対話する。それがないと交渉ができないと。だから、ともすれば、我が国における議論は、誤解を恐れずに申せば感情的になりがちなところがあると思います。それですと対話にならないと思います。
例えば、ヨーロッパのプランSですね。あれが出たときに、出版社と、それから、プランSはブログやSNS上で激しい批判合戦をやったわけですけれども、その裏で彼らはその何倍も何倍もたくさんの対話をされて、妥協点を見いだしてきているわけですね。私が存じないだけかもしれませんけれども、そういうことが行われる必要があるのではないかと思います。
この審議会についても、在京の大手商業出版社からは、その機会をもらえれば、代表者を送り込んで意見を言いたいというような話も聞きました。なかなかそういう雰囲気ではなかったので、それは建設的だったかどうか分かりませんけれども、そういうある程度、もう少し対話を促進することはなされていいのではないかと。ナイーブな意見で恐縮ですけれども、そんなふうに感じております。
以上です。
【引原主査】 これをまとめの中に書くことは難しい話だと思いますけれども。
【小賀坂委員】 いえ、そういうことをお願いしてはおりません。
【引原主査】 はい。いや、もちろんこれは、一番の問題というのは交渉主体というのが明確ではないという部分が出てくるんですね。各大学なのか、コンソーシアムなのかと。JUSTICEにお任せしていたわけですけれども、その問題点というのが最初の頃、かなり議論されたと思います。それを受けた形で、この中ではもう一度組替え等の議論をして、交渉する主体を明確にするという表現をさせていただいていると思います。これが実現できるかどうかというのは、これは大学等がどれだけここに踏み込んでいくかという問題だと思います。研究者も含めたことだと思いますので、今頂いた御意見というのは建設的な話だと思いますので、次のステップはそこになるんじゃないかと思います。でなければ、プランSというような議論は日本では起きない、起こせないと思います。それが正しいかどうかは別として。向こうから持ってきて、コピーしなさいというようなやり方では多分何も動かないです。勝手なことを申し上げました。
そうしたら、これは事務局から、本当は6時半頃に終わりなさいと。7時まで時間を取っておいて、6時半に終わりなさいと言われているんですけど。今、かなりの御意見いただいて、おおむね御了解いただいた部分と書き加える部分は明確になってきたと思いますので、そこをもう一度まとめて、最後の部分はもう一度御意見を頂くかもしれませんが、かなりの部分は、主査、副主査にお任せいただくことになるかと思います。それは御了解いただけますか。最後に何を書くか分かりませんということにはならないと思います。大丈夫です。
【三宅学術基盤整備室長】 事務局から1点だけ。
【引原主査】 どうぞ。
【三宅学術基盤整備室長】 意見につきましては、事務局から締切りも含めて御連絡させていただきます。
【引原主査】 そうですね。
【三宅学術基盤整備室長】 なお、事務局の事情で恐縮ですが、こちらの報告書につきましては、親部会である情報委員会に近々報告を予定しており、締め切りが短くなる可能性がありますので、その点を御了承いただければと思います。
また、まとめをしっかりと整理することを優先したいと思いますので、仮に情報委員会のタイミングで最終的な取りまとめが難しかった場合は、引原主査とも相談の上、その時点のものを情報委員会には御報告させていただくことを御了承いただけると幸いでございます。以上でございます。
【引原主査】 ありがとうございます。ということですので、御意見、今日頂いたものに加えての部分は早急によろしくお願いいたします。これで一応議論としてはここまでですけども、今日は最終回でございますので、これまでいろいろな内容につきまして深く御議論いただいたことにお礼申し上げたいと思います。
最後に、事務局から御挨拶を頂くことになっております。塩崎審議官から御挨拶を頂くことになるかと思いますが、よろしいでしょうか。
【塩崎大臣官房審議官】 研究振興局担当の審議官の塩崎でございます。今期におけるジャーナル問題検討会は本日が最後ということでございますので、閉会に当たりまして、一言御挨拶申し上げたいと思います。
まず本検討部会の円滑かつ活発な運営に御尽力を頂きました引原主査に厚くお礼を申し上げたいと思います。また、約1年間にわたりまして、精力的に御審議を頂きました各委員の先生方にも深く感謝申し上げたいと思います。
とりわけ、昨年の1月に検討を始めて早々、新型コロナウイルス感染症の感染拡大を受けまして、オンライン会議の開催に切り替えさせていただきました。これによりまして、大変御不便をおかけすることになったと思いますけれども、諸先生方の御協力も頂きまして、対面開催と変わらぬ会議運営ができましたことにつきまして、重ねてお礼を申し上げたいと思います。この検討部会におきましては、ジャーナルを取り巻く問題が単にジャーナルの購読費用負担の問題にとどまらないで、APCの負担増の問題であるとか、オープンアクセス化への動きへの対応、研究評価の在り方にまで幅広くわたる複雑な問題であるということも踏まえまして、多様な視点から総合的な対応方策を御検討頂いたということでございます。
本日も最後の最後まで御熱心な御議論を頂きまして、本当にありがとうございました。1年間にわたるこれまでの審議の取りまとめをしていただいたということでございますが、短期的、中期的、長期的という視点で整理していただきまして、それぞれの段階での取組の事項を提示していただきました。とりわけ早急に取り組むべき事項につきましては、機関別に要請すべき具体の取組という形で明確にしていただきましたことに感謝申し上げたいと思います。
本取りまとめを踏まえまして、大学研究機関をはじめとする関係機関とも連携いたしまして、引き続き、この問題に取り組んでまいりたいと思います。主査もお話をされておりましたけれども、この提言をいかに実行に移していくかというところが非常に重要だと思ってございますので、しっかりと取り組んでまいりたいと思います。
本日で今期の検討部会は終了ということになるわけでございますけれども、今後とも様々な形で学術情報の流通であるとか、利活用の促進につきまして、御指導、御助言を頂ければ大変有り難いと思ってございます。簡単ではございますけれども、事務局を代表いたしまして、お礼の御挨拶とさせていただきます。
1年間にわたり、本当にありがとうございました。
【引原主査】 どうもありがとうございました。御丁寧な御挨拶ありがとうございます。
そうしましたら、今日で終わりでございます。皆様方、1年間、御協力どうもありがとうございました。個人的見解もかなり申し上げて、話を誘導したこともございましたけれども、よろしく御了承ください。では、本当にありがとうございました。
残り、事務局から伝達事項がございましたらよろしくお願いいたします。
【土井参事官補佐】 本日の議事録は、各委員に御確認を頂いた上で公開させていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
以上でございます。
【引原主査】 ありがとうございました。それでは、事務局が予定した時間より20分オーバーということで申し訳ございません。今日はどうもありがとうございました。
では、今後とも皆様方、引き続き、いろいろなところでよろしくお願いしたいと思います。どうもありがとうございました。

 

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