ジャーナル問題検討部会(第4回)議事録

1.日時

令和2年7月20日(月曜日)16時00分~18時00分

2.場所

オンライン会議

3.議題

  1. ジャーナルに係る課題について
  2. その他

4.出席者

委員

引原主査、竹内主査代理、家委員、小賀坂委員、尾上委員、倉田委員、小安委員、高橋委員、谷藤委員、林和弘委員、林隆之委員

文部科学省

増子大臣官房審議官(研究振興局担当)、橋爪参事官(情報担当)、三宅学術基盤整備室長、土井参事官補佐

オブザーバー

上保 国立国会図書館利用者サービス部科学技術・経済課長、平田 大学図書館コンソーシアム連合事務局長、国立情報学研究所学術基盤推進部図書館連携・協力室長
 

5.議事録

【引原主査】 皆様こんにちは。お忙しい中どうもありがとうございます。
時間になりましたので、ただいまより第4回ジャーナル問題検討部会を開催させていただきます。
本日もコロナウイルス感染拡大防止のためにオンラインで開催することといたしました。よろしくお願いいたします。
通信状態等の不具合が生じるなど、続行できなくなった場合には検討部会を中断する可能性がありますので、あらかじめ御了承ください。あるいは聞き取れなかったときはその旨お伝えください。よろしくお願いいたします。
では、まず事務局より本日の委員の出席状況、配付資料の確認、オンライン会議の注意事項について説明をよろしくお願いいたします。
【土井参事官補佐】 事務局でございます。本日は、阿部オブザーバーと黒橋科学官が御欠席でございます。また、倉田先生は途中参加の予定になってございます。
なお、竹内先生は事務局と同じ会議室からの御出席となってございます。
また、前回に引き続きまして、今回も傍聴者の方を入れてございますので、御承知おきください。傍聴希望の登録は122名でございまして、報道関係の方からも登録を頂いてございます。
続きまして、配付資料の確認でございます。議事次第にありますとおり、資料1から資料3まで配付させていただいているかと思いますので御確認をお願いいたします。
オンライン会議の注意事項ですが、まず、通信の安定のために、発言を除きまして常時ミュートとさせていただければと思います。ビデオの方はオンにしていただければと思います。主査におかれましては、常時ミュートを解除、ビデオをオンにしていただければと思います。
発言する場合は、挙手をクリックして御連絡いただければと思います。主査におかれましては、参加者一覧を常に開いておきまして、手のアイコンを表示している委員に御指名をいただければと思います。挙手は事務局も確認しておりますので、サポートさせていただきます。
指名された委員におかれましては、御自身でミュートの解除の操作をお願いしたいと思います。また、御発言の後は委員御自身で手のアイコンを非表示、また、ミュートの状態に戻していただければと思います。戻されていない場合は、事務局から適宜確認をさせていただきます。
また、今回も議事録の作成のために速記者を入れてございます。発言する際はお名前から発言していただき、ゆっくり、はっきりと発言をいただければと思います。
トラブル発生時は、電話にて、事務局の指定の電話番号に御連絡いただければと思います。
以上でございます。
【引原主査】 ありがとうございました。
それでは、審議に入りたいと思います。
前回の検討部会では、平田オブザーバーよりJUSTICEの交渉状況について御発表いただきました。主に交渉力やセーフティーネットについて様々な御意見を頂いたところでございます。
今回は、主にAPCの負担状況、それから、特に若手研究者への支援等について考えていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
では、本日は学術調査官の文教大学の池内先生から、各国のAPC支援策とセーフティーネットの整備状況について御説明いただきたいと思います。池内先生、よろしくお願いいたします。
【池内学術調査官】 どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、私の方から各国のAPCの支援策とセーフティーネットの整備状況について御説明させていただきます。
内容は2本立てになっておりまして、前半で各国・地域のOA政策などについて、後半ではバックファイルを含めましたセーフティーネットの整備状況についてお話しさせていただきます。
まず、各国地域のAPC支援策からです。
少し前提の話になるんですけれども、APCについて議論する前に、APCを主としたゴールドオープンアクセスのほかにも、グリーンのセルフアーカイブのオープンアクセスであったりとか、最近ですとプレプリントなんかを使ったダイヤモンドオープンアクセスのようなものも出てまいりました。
さらに、Bibliodiversity、書誌多様性というとちょっと分かりにくいんですけれども、要するに、APCモデルへの移行のような単一のアプローチだけではない、様々なオープンアクセスモデルを構築する必要があるといったような呼びかけがフランスなどを中心として行われている状況です。
ゴールドのAPCモデルについては、先生方、よく御存じのように、Plan Sという形で、ヨーロッパの多くの機関、加えて、ザンビア、ヨルダンですとか中国もそこに賛同を示していたりとか、あとは、イギリスのウェルカム財団であったり、アメリカのビル&メリンダ・ゲイツ財団のようなところが賛同を示しています。あと、University of Californiaなど、アメリカでも一部の大学でPlan Sに同調するような動きもございます。
一方で、APCモデルだけではない考え方というのも南米とかを中心に広まっておりまして、GLOALLということで、UNESCOを中心として、ラテンアメリカ、プラス日本だとJ-STAGE、今日いらしている小賀坂先生なんかもこちらに代表として加わられていると思うんですけれども、アフリカなんかを巻き込んでグリーンOAを進めていこうという動きもございます。
ダイヤモンドにつきましては、Overlay journalということで、プレプリントの中からよいものを選んで出版するという形で、今までの問題を総括するようなといいましょうか、非営利で、APCにもよらない、そして、著者や購読者両方にとって負担のないモデルというのも提案されつつあります。
こうした動きにつきましては、Richard Poynderが非常によく、ちょっと長文ではあるんですけれども、まとめを出しておりまして、RCOSの尾城さんがそれについてブログ記事の形で詳しく紹介をされています。
それでは、このようなヨーロッパとグローバルサウスの動きがある中、今APCが各国でどうなっているかということで、それをずばっと示す資料というのはなかなか難しいんですけれども、一つの例としてSpringer Nature社が自分のところの雑誌に投稿する際、研究者がAPCをどうしようといったときに、こんなAPCのファンドがありますよといった意味で紹介しているサイトの図を持ってまいりました。
この図の、幾つかは左と右に2つ数字があるんですけれども、右側にも数字がある部分はBPCsということで、書籍のオープンアクセス出版になるんですが、左側が雑誌・論文のAPCということです。例えば、ヨーロッパであれば172のファンドがあり、アジアの場合はジャーナルだけで6、オーストラリア、オセアニアは6とか、これぐらいの状況です。北アメリカになると94ということで、この数字が全てではないんですけれども、APCの資金源としては、これくらいのばらつきがあるということが見てとれるかと思います。
APC、各国の支援策についてまとめてほしいということで、どこを紹介しようかしらというところを非常に悩んだんですけれども、こちらは、OPEN APCといいまして、APCにかかっている費用をオープンにしているところについて、データをまとめて公開しているサイトです。そちらで見ますと、上の方からUCL、Welcome Trust、そしてFWFとありますので、今日はこれらを中心に紹介させていただきます。
まず、Welcome Trustを含むイギリスの動向です。イギリス、あるいはドイツもそうなんですけれども、Block Grantというやり方をされています。トップのRCUKですとかCOAFというようなところが各助成団体に資金を渡しまして、そこから資金を受けている研究者はどうするかというと、もし、所属機関がそれらの団体からオープンアクセスの助成を受けている場合は、自分の所属機関にAPCを申請すると。
自分の所属機関がこの申請を受けていない場合は、例えばWelcome Trustから助成金を受けている研究であれば、直接そのWelcome Trustの助成金を使用するという形で、APC支援が行われています。
その規模感が、どれくらいのものになっているかということなんですけれども、年度で、2015年・16年と、2018年・19年の年度を比べますと、約9億7,564万円から約11億549万円ということで、順調にAPCの支払いが行われています。
フルオープンアクセスジャーナルとハイブリッドジャーナルの比較ということで、もともとフルのオープンアクセスの雑誌と、基本的には購読モデルであるけれども、あるピンポイントのこの論文についてはオープンアクセスにしてほしい。ついては、APCを論文単位で払いますというハイブリッドジャーナルについての変化を見てみますと、フルオープンアクセスの方が16.4%増えており、ハイブリッドの方は9.6%減るということで、フルの方に流れつつあるということが見てとれます。
Read and Publish契約について、これまでの購読料とAPCを合わせて契約するような形なんですけれども、こちらも徐々に増えてくるかなと思うんですが、2年間の推移を見ますと1億9,232万円から1億3,348万円ということで、これだけのお金がRead and Publishの契約に流れているという状況です。
続きまして、FWF、オーストリアの科学財団について御紹介させていただきます。
こちらでは財団の方がAPCを直接出版社に支払って、そうすると著者は無料で出版が可能という形になっております。単独でこの財団が支払っている場合もあれば、オーストリアの学術コンソーシアムと共同で契約している場合もあり、フレキシブルにやられているようです。
挙がっているジャーナルというか出版社を見ると、Elsevierは除かれているんですけれども、特に自然科学系であれば、出したい雑誌のAPCはほぼこちらでカバーされている状況かなと想像いたします。
契約状況についてです。契約状況の一部はやはり公開サイトの方でまとめて見ることができまして、先ほどのKEMOEとの共同契約分の契約内容なんかを確認することができます。
こちらの出典のESACですけれども、各国の年間契約について、公開されているものはこちらから見ることができます。
ジャーナルごとの支払額を先ほどのOPEN APCで確認できますので見てみましたところ、上位はPLOS ONE、Nature Communications、Scientific Reportsということで、Nature系のジャーナルにたくさんのAPCが支払われているという様子も見てとれます。
FWFでは、オープンアクセスのモニタリング結果というのも公開しておりまして、Zenodoのリポジトリの方でそちらを見ることができます。
主な結果としては、総文献数は1万354件。うち、査読済みが7,702件ということで、査読済み出版物の92%がオープンアクセスということで、過去のものと比べますと順調にオープンアクセスの件数を増やしているということが分かります。先ほどのWelcome Trustと同じようにハイブリッドに関しては前年度比2%減ということで、少し比率を落としていて、ゴールドの方が4%増ということで、全体としてはハイブリッドが多いんですけれども、ゴールドの方の比率も増えてきているところです。
今度は、ハンガリーのEISZコンソーシアムを御紹介させていただきます。
こちらは、各出版社とAPC契約を同じように結んでいて、公式サイトで契約の詳細を公開しています。ここで注目したいのが、Taylor & FrancisとのRead and Publish契約を、もっと前には結んでいたんですけれども、今回、2020年2月に関しては契約を更新していません。その理由とされているのが、もし契約を終了した場合に今まで見られたはずのジャーナルに対するアクセス権が含まれていないからということで、契約を更新しなかったということです。
これは今回の話の後半の話、セーフティーネット、バックファイルの話に関わってくると思うんですけれども、やはり契約をするときに、契約する側が心配することは、もし契約をやめてしまったら一気にそのジャーナルが見られなくなっちゃうんじゃないかというところで、そこがやはり弱みというか、ちょっと考えどころの点であるんですけれども、ハンガリーに関しては強気にというか、これが盛り込まれていないのだからということで契約を結ばないという姿勢を見せていました。
ハンガリーのコンソーシアムによる成果といいましょうか、契約をしたことで、オープンアクセスの論文がこれだけ増えましたということが2018、19、20というふうに示されていて、契約状況についても全て経年で見られるようにウェブサイトで公開されています。
実際に比率としてグラフも示されていまして、この青い部分はクローズドということで、オープンになっていない、お金を払わないと見られない部分で、左が2010年、右側が2020年なんですけれども、グリーンのものは微増しながら増えていて、オープンアクセス、ハイブリッドとゴールドも徐々に増えつつあったんですが、私がマウスで描いたこの右側の三角、ここの部分は、このコンソーシアムが交渉をし、見事、契約成立して出されたAPCによる出版分ということで、ここの部分が跳ね上がっているというか、ゴールドで見えるものが多くなっているということが成果として示されていました。
中国の動向についても一言だけ触れたいと思います。中国はあまりゴールドには積極的ではないのではないかということが言われていたんですけれども、2018年の会議においてPlan S、即時のオープンアクセスに賛同するという意向を示しました。この動きがどうなるのかなとちょっと思っていたところなんですけれども、今年の5月22日に、Oxford University Pressと転換契約を結んでおりまして、国立科学院文献情報センターがOUPと転換契約を結びまして、そうすると中国科学院の22の研究機関に所属する研究者の方々は、APCの支払いをすることなくオープンアクセスの出版が可能になったという状況でございます。
あと、カリフォルニア大学の様子について、先生方は多分御承知のとおり、Elsevierなんかとタフな交渉を長年にわたってしているカリフォルニア大学ですけれども、2020年の6月16日に、Springer Nature社と転換契約ということで、アメリカで初めて契約を結ばれています。今年に関しては、オープンアクセスジャーナルとハイブリッドジャーナル両方で追加費用なくオープンアクセス出版が可能です。
来年からの話になるんですけれども、multi-payer modelというのを出しています。カリフォルニア大学が定額を払って、多分、ここが一番契約が難しいと思うんですけれども、(事前に)どれだけAPCの費用がかかるか分からないと思うんですが、もし不足した場合は、著者や大学が負担するというmulti-payer modelというのを出されています。
もう一点、やはりバックファイルを意識して太字にしたんですけれども、2,200誌以上のジャーナルへの恒久的な閲覧が可能ということも、APCと併せて契約を結んでいまして、APCの契約と、後半の話なんですがバックファイルの話を併せた交渉の建てつけというのもあり得るのかと思いました。
ジャーナルごとの支払額を同じように見ますと、1位、Nature Communications、2位、PLOS ONE、3位、Scientific Reportsということで、やはりNature系の雑誌2つとPLOS ONEが上位に来ています。
簡単に補足しますと、PLOS ONEの方はAPCが安くて件数が多く、Nature系のジャーナルはAPCが高くて、申請件数というか、論文の件数自体はそれほど多くないんですけれども、1本当たりの金額が高いということで、Nature Communicationsは1位になっています。
こちらは補足として付け加えさせていただいたんですけれども、APCについて御議論いただく際に、資金源の内訳がどうなっているかということが一つ論点として重要ではないかと思い、こちらの資料を作らせていただきました。
こちらはSpringer NatureのAPCの財源に関する白書で、調査対象としましてはNature誌の関連雑誌の著者1,014名と機関代表者16名に対する調査の結果をまとめたものです。
かいつまんで言いますと、この図の上の方は、APCのうち、モニターするのがより簡単なものということで、機関、あるいは助成機関から受けた分のAPCの資金源で、それ以外のところから、著者が何としてもオープンアクセスにしなければいけないということでいろいろな資金源からかき集めてきたようなものが下になっています。「In the wild」ということで、野生のといっていいんでしょうか、APCというふうに表現されているんですが、モニターが難しいAPCというのがあるだろうということで白書が書かれています。
こちらがフルオープンアクセスの場合のAPCの資金源なんですけれども、こちらのグラフ、地域別に状況が書かれていて、下の方、先ほど御紹介したイギリスとかドイツなんかはBlock Grantの形でやっていて、ここの境界線から左側がモニターできるAPCということで、助成機関や所属の学術機関から出ているAPCがどれだけの比率かということを示しています。
下から――逆順みたいですけれども――申し上げると、残りのヨーロッパがこちらで、上の方に行くと北米、中国、香港、台湾。そして上が残りのアジア地域ということになっています。
右側が野生のAPCになりますけれども、ヨーロッパとかイギリスとかドイツではその比率が比較的低いのに対して、その他の地域ではそこが大きくなってしまっています。
ハイブリッドの場合、これはヨーロッパとその他の地域ということでまとめられていてさらに分かりやすいんですけれども、ヨーロッパの場合はモニターできるような助成機関であったり研究機関のものがこれだけ多いのに対して、残りの場所では野生の研究資金を使ったものが多い。こちらも基本的には同じことを言っているんですけれども、今度はフルのオープンアクセスジャーナルで紫の部分と、緑の部分に関しては、自分の助成機関、あるいは、所属機関が直接、出版社にAPCを支払ってくれるというのが紫と緑色の部分になっていて、オレンジは著者が自分自身で出版社にAPCを払っている比率になっています。
この問題については、スウェーデンのBibsamコンソーシアムの方でも、このレポートが出るより1年ぐらい前なんですけれども、随分指摘が行われていまして、今、APCの支払いの財源をもうあちこちからかき集めてきて支払っているような状況ですけれども、やはり高等教育機関と研究助成機関による学術出版費用の分担、APCの分担を考えるということで、ここで、英語でそのまま引用させていただいた部分です。
やっぱり個人の研究者がAPCの支払いをするべきではないということで、機関とか助成機関を通せばAPCの状況がもちろん透明化されますし、研究者としては、APCをかき集めるコストであったりとか、手続コストといったような間接コストが本当にばかにならない状況だと思います。
制度設計を考えるに当たって、やはり一番は研究者が研究に集中できたり、お金のことを気にせずにジャーナルに発表したりということができる環境づくりということかと存じますので、こういったことも論点として考える必要があるのではないかというふうに思います。
池内まとめなんですけれども、APCの支援策としましては、主体が助成機関だったり所属機関であるようなヨーロッパ型のものがあり、それはBlock Grantの形であったりとか助成機関が直接APCの契約をするといったもので、当然、スケールメリットが生じているものと思います。
ただちょっと気になるのはSTEM系の雑誌が多いので、人文社会科学のジャーナルはどうかなというところが少し気になりました。このやり方ですと、繰り返しになりますが、研究者としては間接コストが大分低減されている一方で、ヨーロッパ以外の研究者はワイルドなAPC資金をかき集めている状況ではないかと思います。
学術情報政策とか研究助成機関の立場から見ると、やはり、APCがどれだけ使われて、どれだけ論文が出ているかということをモニターする際に、直接支払いをしていると把握が容易ですので、透明化といった点でメリットがあるかと思います。
ハイブリッド誌は、APCがどうしても高くなりますので、そちらは減少して、フルのオープンアクセスジャーナルが増える傾向にありました。
大学が個別でやっているAPCの契約ということで、カリフォルニア大学の例を少し挙げさせていただいたんですけれども、カリフォルニア大学がやるということで、アメリカのほかの大学でも続くところとか参考にするところが出てくるかと思いますが、やはり3年ぐらいで契約更新が必要になりますので、交渉コストが相当に、タフな交渉が常に続くという状況かなと思います。
では、後半戦ということで、各国のセーフティーネットの整備状況についてお話しさせていただきます。
バックファイルについてということで、フランスのISTEXとハンガリーのEISZについて御紹介です。フランスのISTEXは、コンテンツとしてはジャーナルが9,307タイトル、電子書籍は34万863タイトル含まれているとあります。フランスとハンガリー、どちらもナショナルライセンス契約でやっていまして、対象は大学とか研究機関だけではなくて、これはフランスもハンガリーもなんですけれども、フランス国立図書館であったり、公共図書館も対象に含まれています。フランスは、交渉は高等教育書誌センターというところが行い、どのジャーナルなり電子書籍をバックファイルとして所蔵するかということは大学図書館コンソーシアムのCouperinがやっているということです。
備考といたしまして、フランスの方はプラットフォームも独自に開発していて……、というのは、先生方はこれもよく御存じかと思うんですけれども、出版社ごとにインターフェースが全く違いますので、まずElsevierのScience Directを見て、それからWileyのを見てとかしていると、それだけでもちょっと大変ということがあって、これをシームレスに検索できるようにしていることと、あと、データマイニングができるようにということで、そちらも契約に含めているということです。
ハンガリーはフランスのように統一のプラットフォームではないので、件数という形ではジャーナルの頭数はちょっと分からないんですけれども、データベースとしては58入っている状況です。ちょっとぐちゃぐちゃとしていて、中は本当に、中の人にも分からないんじゃないかと思うんですけれども、バックファイルも含まれますし、Web of ScienceとかSciValといったような書誌データベースだったり、あと研究業績のデータ分析システムとかも含まれて、いろいろな出版社のデータベースが58という状況です。
参加館が、先ほどと同じく公共図書館であったり、政府機関、医療機関なんかも対象に含まれていて、参加館の組織の規模に応じて5段階になっていて、その支払モデルが提示されていました。運営はコンソーシアムがやっていて、やはりデータベースは、ばらばら提供されると使いづらいということだと思いますが、COMPASSという検索システムが作られていて、先ほど申し上げたようにTaylor & Francisとの契約に関しては、恐らくバックファイルを含んでいないということで、APCの契約をするときにはやはりバックファイルのことを意識して、含まれないのであれば契約しないという方針を打ち出しているのではないかと推察いたします。
こちら、今御紹介申し上げたフランスのナショナルリポジトリです。ISTEXのほかにHALというのもありまして、こちらはオープンアーカイブになっています。本当に交渉が上手なんだなと思うんですけれども、グリーンオープンアクセス、よいんですけれども、エンバーゴがあったりとか、著者最終稿の草稿のようなものしかアップロードできないというような契約が多い中、24か月後ではありますが、Elsevierの印刷版をこちらで公開するということになっています。先ほど御紹介したISTEXは右側なんですけれども、合計で2,300万の文献が入っていますと。しかも1473年ということで、インキュナブラとかなのかしらと思うんですけれども、そういったものまで入っていて、テキストマイニングもできるというような状況です。
こちらはハンガリーの方のウェブサイトで、こちらに契約状況なんかの細かい情報が全て出されています。バックアップ、セーフティーネットについて考えるときに、ほかにいろんなやり方があるかと思うんですけれども、長期的な展望のセーフティーネットというか、ジャーナルをいかに見られるようにするかという展望の一つとして御紹介させていただくのが、アメリカの国立医学図書館とWelcome Trustの事業です。こちらは2004年から始まって昨年事業が終わっているものなんですけれども、150年分の生物医学雑誌、医学分野の学術雑誌をPMCとかヨーロッパのPMCで無料公開する。で、こちらもやはりテキストマイニングとか再利用が可能な形で公開するという事業が行われ、我々も含めて見られるようになっています。
あともう1点、ダークアーカイブということで、今般のコロナのこともありますし、日本は災害が多い国ですので、これから何が起こるか分からないということで、こちらの御紹介です。ダークアーカイブというのは、トリガーイベント、自然災害であったりとか、出版社が倒産してジャーナルがバックナンバーにアクセスできなくなってしまうというような状況が起きたときにのみ参加館がそのバックファイルにアクセスができるというもので、主なものとしては2つございます。どちらも歴史あるというか長くやっている、PorticoとCLOCKSSということで、日本からPorticoの方にはJ-STAGEが、CLOCKSSには国立情報学研究所や幾つかの大学図書館が参加しているというふうに聞いております。いろいろなバックファイルの在り方がある中で、セーフティーネットをどう構築していくかということを考えていく必要があるのかなと考えております。こちら、PorticoとCLOCKSSのサイトになっています。
ということで、セーフティーネットの整備状況、バックファイルはやはり、国単位でやっているところに関してはスケールメリットが大きくあるかと思います。APCの契約と併せて行っている場合があることと、フランスとかハンガリーに関しては公共図書館なんかも含めて考えていました。
1点ちょっと気になったのは、大学や研究機関が個別で契約しているジャーナルがあり、契約している間はそのバックファイルももちろん使えるわけですので、研究機関とか大学でも買っていて、さらに国としてもバックファイルを持っているという状況も恐らくあるのではないかというふうに考えられます。この辺りのコントロールをすることも大変難しいのではないかと予想されます。バックナンバーの電子化事業というのは長期的な事業として一つ考えられるということと、ダークアーカイブのような非常事態のバックアップ体制というのも一つ考えられるかなというふうに考えます。
私からの御報告は以上です。ありがとうございました。
【引原主査】 ありがとうございました。
御質問等はちょっと後に回しまして、先に事務局から資料2について説明を頂き、まとめてその後に質疑応答とさせていただきます。
三宅室長、資料2の御説明をよろしくお願いします。
【三宅学術基盤整備室長】 事務局の三宅でございます。私からは資料2に基づきまして、APCの状況及び研究費の状況についての御紹介をさせていただきます。
では、まず1ページ目です。こちらビル&メリンダ・ゲイツ財団の請求書データ分析結果で、APC価格の推移でございます。こちらの財団からAPC助成を受けた3,268本の査読付論文について財団が公開した請求書データから分析した結果でございまして、平均費用は1本当たり2,755ドルという結果が出ているところでございます。こちらの数字は割引や免除額を反映した実際の支払額で表示しており、また、APCの支払いを必要とされない論文は含まれておりません。また、2016年から2019年のOAのみの出版社の平均APC増加率は約3%、従来の出版社の平均年間APC増加率が約10%という傾向が出ているところでございます。
続きまして2ページ目、財団の公表資料で、ジャーナル選択率の変化でございます。先ほどの池内先生からの資料にも同じようなお話がございましたけれども、2016年にフルOAジャーナルで出版することを選んだ著者は22%だったところ、だんだん状況が変化してきまして、2019年は50%に増加しているという結果が出てございます。
続きまして3ページ目でございます。こちらは非営利出版と営利出版のAPC金額の比較で、15以上の論文がある出版社について抽出して比較したものでございます。こちらはAPCの平均順に上から出版社を並べていますが、一番右側の項目を見ていただくと分かるように、非営利と営利、特段、どちらか一方が、という傾向は出ておらず、それぞれ低額なものから高額なものまで分布している状況が見てとれるかと思います。
続きまして4ページ目でございます。こちらはOPEN APCの登録集計ということで、先ほど池内先生からの資料にもございましたが、ドイツのビーレフェルト大学やマックス・プランクデジタルライブラリが設立したインフラ構築プロジェクトのINTACTの一環として行われている活動で、大学や研究機関が支払ったAPCのデータを登録・公開しているものでございます。こちらはAPCの支払平均額を年度推移で出したものでございますが、フルOAの方では上昇傾向にあるというのが見てとれます。一方、ハイブリッドの方に関しては5倍という数字が出ている状況でございます。
続きまして5ページ目でございます。こちら同じくOPEN APCのデータで主な出版社別のAPC支払平均額の推移でございます。全般的な傾向としまして、APCの平均支払額はおおむね上昇傾向といえるのではないかと考えられますが、出版社によっては1.5倍程度の増加をしているものもありますし、逆に下降している出版社もありますので、出版社ごとに傾向が違うといえるのではないかと考えております。
続きまして、ここからはJUSTICEの論文公表実態調査報告書、2019年度版から抜粋させていただいた資料でございます。こちらの論文公表実態調査報告書は、JUSTICEにおいてWeb of Scienceのメタデータファイルを基に独自に調査をして作成したデータを付加して分析した調査でございます。下のグラフは国内機関所属の著者がReprint Authorになった論文を抽出しまして、フルOA、ハイブリッドOA、それぞれの出版年別に集計をしたものでございます。2012年から2017年のデータでございますが、傾向としては3倍以上に増加しているという状況です。外国為替の関係もございますので若干の変動はございますが、上昇のトレンドは見てとれるかと考えているところでございます。
続きまして7ページ目でございます。こちらも同様にJUSTICEの調査報告書の中の、フルOA論文へのAPC支払推計額でございます。APC支払推定額の上位10社、2017年の推定額でございます。上位10社ですので結果も大きい順になっておりますが、Nature Publishing GroupやBioMed Centralが上位に来ているところでございます。
続きまして8ページ目でございます。ハイブリッドOA論文へのAPC支払推定額の表でございます。こちらは上位3社、Elsevier、Springer、Wileyということで、基本的には公表論文数が多いところが順当に上位に来ている状況が見てとれるかと思います。
続きまして9ページ目でございます。こちらはブロンズOAの論文数でございます。ブロンズは購読型雑誌に掲載された論文で、著者の意思とは関係なく、出版社のサイトで無料公開されているものでございます。こちらも基本的には公表論文数が多いところが上に来るわけですけれども、特徴としては日本の学会誌が上位に出てきているのが見てとれるかと思います。
続きまして公表論文数でございます。こちらにつきましては各大学別の公表論文数とフルOAやハイブリッドOAへの支払推定額を整理したものでございます。基本的には大学規模に比例して公表論文数も増えていく傾向がございますので、上位機関はJUSTICEの会員館の上位1位から10機関のリストでございますけれども、公表論文数が多いところが順当に上に来ているという状況です。オープンアクセスでの公表の割合が、大体16%から17%程度の数字で来ているという状況でございます。11ページは同様に11位から20位を入れており、こちらも数字の平均を取ると16%から17%ぐらいになっているという状況でございます。
続きまして12ページ目でございます。どの分野で公表論文となっているものが多いのかを整理したものでございます。年度間での大きな変動はないのですが、やはり医学分野が非常に多いという傾向がありまして、それ以外だと工学、生物学、物理学、化学が上位を占めているという状況が見てとれるかと思います。
13ページ目はゴールドOA論文で整理したものでございます。医学に関しては公表論文数の先ほどのグラフでも1位でしたが、特にゴールドOA論文数でいうと50%近くを占めるという傾向が見てとれます。また、生物学は先ほども比率としては割合大きかった方ですが、特にゴールドOAの論文数では20%近くということで、工学、物理学よりも比率が高いという傾向が見えるところでございます。
続きまして14ページ目でございます。ここまで御紹介した調査結果につきましては、論文の主題別で集計しておりましたが、その主題につきましては複数付与した時期と一つだけ付与した時期があるため、なかなか複数の比較というのが難しいところがあったのですが、主題を一つだけ付与している時期が2017年度にございましたので、こちらのデータで金額を出したものでございます。全体の傾向としましてはやはり医学、生物学の数が多く、金額としても多くなってくることがこのグラフから見えてくるかと思います。
続きまして15ページ目でございます。これが主題別のゴールドOA論文の推移でございます。2012年から2017年での推移で、基本的な傾向は先ほどのグラフとは変わっておりませんが、それぞれの分野においてゴールドOA論文率の数値が上がってきているという状況かと思います。特に心理学、医学、生物学、地球科学での論文率の伸びが大きいといえるかと思います。
ここまでがJUSTICEの調査の概要でございます。
16ページ目は、京都大学で公表している論文投稿支払状況のデータを御紹介させていただきます。2016年度に関しては、財務会計システムから摘要欄に「論文投稿料」と入力されたデータを抽出し、集計したものです。それから2017年、2018年については、摘要欄に「論文」「オープンアクセス」「Open Access」のいずれかを含むデータを抽出し、集計したものということで、金額及び件数をグラフ化したものでございます。2013年から2018年度で増加の状況は見てとれると思いますが、5年かけて3倍強という数字になっておりまして、金額も2億程度になっていることが、このグラフから読みとれます。
ここからは基盤的な研究費の状況について、他の審議会等で公表されたデータを御紹介させていただきます。
まず17ページ目でございます。各年度における職務別基盤的研究経費でございます。こちらは科学技術・学術政策研究所の調査で、2000年、2005年、2013年に行われた基盤的研究経費の配分状況を職階・地位別にまとめたものでございます。これは、個人が外部から獲得する研究費や人件費は含まないものでございます。左側の図表14では、講師クラスや助教クラスでそもそもそれが配分されたと答えたのは2、3割にとどまるという状況が見てとれます。右側の図表15は、大学における基盤的経費の配分状況を示したものでございます。こちらでは、講師クラスや助教クラスは大体40万から60万程度の配分という回答が出ているところでございます。
次の18ページでございます。個人研究費の規模ということで、こちらは研究費部会で発表された資料でございまして、「個人研究費等の実態に関するアンケート」は平成27年の科研費採択上位200の大学から抽出調査で行ったものでございます。基本的には個人の裁量で使用できる資金と定義されていて、年間の個人研究費の大体6割が50万円未満と。職位別に見ると講師で約7割、助教では6割、助手では約7割が50万未満という数字になっている状況でございます。
続きまして19ページ目でございます。こちらは総合科学技術・イノベーション会議(CSTI)の参考資料から抜粋させていただきました。日本全体の研究者に対する競争的資金と採択時年齢の関係についてでございます。若手研究者は相対的に研究額の獲得額が少ないということで、若手の資金が非常に厳しい状況だということが見てとれるかと思います。ここまでが若手研究者に関する研究費の状況の御紹介でございます。
最後に、APCを含む論文投稿、出版に関する支援について、こちら、大学等の公表資料を幾つかピックアップして御紹介させていただきます。横浜国立大学のOAでは、Impact Factorランク上位25%に属するジャーナルへの投稿であったり、50%以上かつ45歳以下の教員に関して最大20万円の支援を実施しているということです。新潟大学に関してはレフェリーシステムが確立した英文誌に掲載が決定した論文に関して、ただし45歳以下というもので、最大10万円の支援金を払っています。大阪大学に関してはScopusに収録されているOA誌に投稿し、採録された英語論文ということで、こちらは平均28万と記載がございました。
21ページ目、こちらは若干対象が限られて、特に女性研究者向けの支援です。徳島大学に関しては査読が行われている英文の学術雑誌で対象に関して支援を最大30万円行うというもので、対象が同大学に属する女性研究者となっております。その下の大分大学に関しては、国際的に影響力のある査読付学術誌への投稿を予定し、ネイティブ校正を行うものであったり、逆にもう一つは受理されている論文に関して最大5万、女性研究者に対して支援を行うというものでございます。
最後の22ページは、私立大学の例でございます。慶應義塾大学の理工学部に関しては、審査により特に国際的影響力が高いと判断された海外学術論文誌に掲載された論文ということで、5万円を上限とする補助も別途あるということで、原則として論文掲載料の全額を支援していくというものでございます。東洋大学に関してはScopusのシート記載の逐次刊行物である国際学術誌に掲載された論文ということで、同大学の専任教員に対する支援を最大40万円行っているというものでございます。明治大学につきましても同様に、国際的な評価に耐え得る論文等で最大10万円と。立命館大学に関しては論文投稿料、また別途校正料も含めて助成をしておりまして、こちらについては大学院生を対象にしているところでございます。こちらがAPCに関する大学における支援の状況でございます。
事務局からは以上でございます。よろしくお願いいたします。
【引原主査】 ありがとうございました。
そうしましたら、これまでの説明につきまして質問、御意見ある方は挙手のアイコンで意思表示をいただければと思います。よろしくお願いいたします。どなたからでも結構です。
小安先生、よろしくお願いします。
【小安委員】 いろいろ御説明ありがとうございました。
引原先生にお伺いしたいのですが、いろいろな情報をこれだけ頂いて、これまで何回も議論していますが、今回この部会としては、何か結論を出して、それに向かって行動しようという方向に行くのか、それとも聞き終えただけで終わってしまうのかというところが、これまでの話を聞いていてすごく気になっています。そこら辺はどういうふうなお考えなのでしょうか。
【引原主査】 まあ、余り誘導したいとは思わないんですけれども、皆さん、APCの議論をされるとき、いろんな環境の違いがありまして、情報が共有化されていない部分がありますよね。それで、まず今日はその情報の共有化を図らせていただきました。そのため事務局及び池内先生にこの資料を集めていただいたわけです。私の個人的な意見になるかもしれませんが、このAPCと同時に、この裏側には評価というのが必ずついて回ります。APCになぜお金を払わないといけないかという状況、それから、それに応じてAPCを誰がどう負担していくかという考え方を、ここで議論していくことが重要じゃないかなと思っています。ですので、いろんなパターンがありますけれども、どこまでそれをサポートするか。全てをサポートするというような意味ではなくて、APCというのをどう考えるかということがここでの重要なポイントで、その上で予算措置等をお願いするということになれば、それはそれでいいかと思います。
お答えになっていますでしょうか。
【小安委員】 分かりました。そうすると、この議論の最初にあった、オールジャパンで行くのかどうかといところが大きく響いてくるような気がしています。それぞれの大学、研究機関で状況がすごく違う中で、どういうふうにかじ取りするかが決定的に大きくて、今の池内先生からの御紹介でも、やはりヨーロッパでも交渉に物すごい時間と労力をかけて一定のところにたどり着いているわけです。これを国としてやるのか、それとも……、この前、のどまで出てきつつも言わなかったのですが、例えば、RU11だけで取りあえず何か一つのディールを作って見せて、それを徐々に広げていくというような作戦に行くなど、そういう辺りのことを何か考えないといけないと思います。物すごく時間のかかる交渉をやらなければならないことが分かっているのに、今始めなくていつやるんだという気がします。ですから、例えば「Publish And Readで、APCを定額にして一括契約でとにかく交渉を始める」、こういうことを誰かが言ってスタートしたりしない限りは、これは解決しないのではないかと思います。私はこの分野のプロではありませんけれども、ずっとこの議論を聞いていて、そういう不安を感じています。
いきなりこういう発言で申し訳ありません。
【引原主査】 先生のおっしゃっている危機感というのは、このジャーナル問題の最初からずっとあるわけです、いつまでたっても解決しないというか、足を踏み出さない部分ですよね。ですから、先生がおっしゃる気持ちもよく分かるところではございます。でも私が言い出すわけにはいかないので、先生に言っていただいて有り難いと思っています。ありがとうございました。
一つは先生の御意見として、そしてそれにどう応えていくかというのはこの委員会の話になるかと思いますが、今はちょっと次の意見をお聞きしてよろしいでしょうか。
【小安委員】 はい、結構です。ありがとうございました。
【引原主査】 では、尾上先生どうぞ。
【尾上委員】 ありがとうございます。尾上でございます。
池内先生、非常にいろいろな情報をまとめていただきまして、ありがとうございます。オープンアクセスを支援するためのいろんな財団、財団というか、アディショナルなファンディングがあるときはいいんですけれども、いわゆるリサーチファンドのファンディングエージェンシーが、例えば、出していく以前の話になると、恐らくさっき、「In the wild」とおっしゃっていたように、著者が研究費をかき集めて出していたものが、違うところからのお金の流れが変わっていくということになったときに、要するに、水道の蛇口が違うところの流れに変わっていくんだと思うんですけれども、どの蛇口をどう締めて、どの蛇口をどうひねっていくというのがかなり難しいなというのが正直、思っております。
その中に、例えば、機関という大学であるとか研究所であるとか機構であるとか、そういうところが入ってくると、またもっとややこしくなってしまうのかなというのが正直思っているんですが、過去の他国の例として、例えばファンディングエージェンシーが、こういうようなオープンアクセスのポリシーを出して、さらにそこがお金をまとめて、ある程度面倒を見てくれるなんていうのが行った例がもしあれば、そういうところがどういう順番でやっていかれたかなんていう情報がある、あるいは、どういうふうにやったらできますよというのがもしあれば教えていただけると有り難いんですが。
【引原主査】 池内先生、いかがでしょうか。
【池内学術調査官】 私より、もしかしたら倉田先生とか竹内先生の方がお詳しいのではと思うんですけれども、混迷するというか、いろいろな支払いルートがあり、それを何とかしましょうというのが、今日の話で言いますと、スウェーデンのBibsamコンソーシアム及びスウェーデンの国としての方針と考えてよいかと思います。スウェーデンの国立図書館でも声明を出しまして、まさに蛇口という比喩がございましたけれども、リサーチファンダーと助成機関と、どちらかというと高等教育機関の方で取りまとめて支払いとか契約を進めて、個人のリサーチャー、研究者が個別に支払うとか、そういった状況は整理していきましょうというのがこちらの状況だと判断をしております。歴史的経緯については私も十分に理解していないんですけれども、あと、似たような例といたしましては、Block Grantということでイギリスの例、前半でお出しした8番のところ、こちらがもう個別に研究者がというよりは、助成機関が機関にAPCの分をお金を渡しておいて、研究者としては基本的には機関に申請をし、機関がその対象でない場合にはWelcome Trustとか、自分が取った助成金からAPCを支払うという形で、完全にシンプルとまでは言えないと思うんですけれども、ある程度思い切って流れを一本化というか二本化というか、した結果であって、それがまさにワイルドではない助成金の比率が高くなっている背景にはあると存じます。
【尾上委員】 ありがとうございます。
【引原主査】 今の御回答に倉田先生、何かつけ加えることございますでしょうか。
【倉田委員】 特にはないのですが、今の英国の例で、英国は割合と以前からJISCとRCUKとが中心になって、イギリス全体としてゴールドOAでいくという、かなり明確な方針を出していましたので、補助金といいますか、APCのための費用を各研究機関にある程度流せてきたということはあると思います。その結果イギリスだけがほかの国と比べて、明らかにゴールドOAの割合がすごく高くなっています。これは明らかに政策的なものが反映していると言えると思います。やはり全体の政策の整合性というか、大きな方針とそれを実現化する政策をどこまで調整できるのかによって成果が出るということです。一つのやり方としては明確な方向が出たと思いますけれども、今、日本の状況を考えると、暗澹とするといいますか、どこから手をつければいいのかというのが率直な感想です。私もいろいろと伺っていて、確かにいろんな情報を出していただいたんですけれども、これをどう整理すれば、日本において第一歩を踏み出せるのかというのはかなり難しいです。小安先生と同じ意見、感覚を共有させていただいているなと思っております。すみません、余り大した意見ではありません。
【引原主査】 竹内先生、いかがでしょうか。
【竹内主査代理】 ありがとうございます。個人的な感想みたいな話になるんですけれども、英国のような政策の在り方の背景には、これは明らかに国内に強力な学術出版社があってそれを産業政策的にも支えるという意識がかなり強くあって、こういう政策が出来上がっていくだろうと私は考えております。ですので、日本のように、国内にグローバルな学術出版社を持たない国というのは、英国などとは違うポリシーで行くしかないはずでして、そこを我々としてはどう考えるのかというところが一番大きなポイントになるんじゃないかと私は考えております。
以上です。
【引原主査】 ありがとうございます。
小賀坂さん、手を挙げてくださっていますが、いかがでしょう。
【小賀坂委員】 科学技術振興機構の小賀坂でございます。
尾上先生と倉田先生の御発言を伺いまして、まさにそのとおりでございまして、倉田先生がおっしゃるとおり、UKはゴールドOAを推進するという政策に基づいていると。そのとおりでございまして、APCの補助の政策を展開しますと、それは少なからず研究者の投稿行動に影響を及ぼします。ですから倉田先生が御指摘のとおり、UKはゴールド誌への投稿が多いと。ただ、依然として世界のジャーナルの80%以上は、いわゆる購読誌なわけですから、研究者の投稿行動を、言葉を悪く言いますと、ゆがめてしまっているわけです。ファンディングの立場から申しますと、少なくとも日本においては、そういう介入は余り好ましくないと思っておりますので、ファンディングの立場として、特別なAPC手当を積極的に打ち出すというのは非常に慎重になるべきじゃないかと思います。
御参考までに申しますと、科学技術振興機構のオープンサイエンスポリシーでAPCを研究費から支出してよいと明示的に書いてあるんです。従来から許可していたので明示する必要はなかったんですけれども、一応書いてみたんですけれども、その後に、「APCを支出してよいということはゴールドOA誌への投稿を促すものではない」とわざわざ書いてあるんですね。これ、ですから、非常に慎重になりました。そういうことをつらつら考えますと、先ほど尾上先生がおっしゃったように、言葉を換えますと、財布は同じだということだと思うんです。APCを個人のお金で払っている人ももはやいないんだと思いますから、何らかの格好で公的資金を、私学助成金も含めて使っているはずです。ですから、テクニカルにどこの資金を使うのかという議論になるんではないかと思います。
つまり、もうAPCは公的資金で支援されていると。ただし、それがどこの財布から出てくるかということだと思います。ですから、それを研究者が論文を投稿するという行動を大学等教職員としての業として行っているとするのか、競争的研究資金等の資金源にひもづいた行動とするのかによって、どこからお金を出すべきかという議論は一定程度議論の道筋にできるんではないかと思います。
以上です。
【引原主査】 ありがとうございます。今、御意見いただきました。最初の小安先生のお話に戻るかもしれませんけれども、結局、APCを支払わないといけない、支払ってほしい、あるいは支払いたいという研究者の方々と、読みたいというのは全然別の話でして、だから、ジャーナルの契約モデル、日本の場合は出版社がない場合ですと、ジャーナルの契約モデルと現在のAPCへの支払いによる研究活動の活性化という、そこの取り合わせの問題なんじゃないかなと思うんですけど、そういう面ではいかがでしょうか。
先ほど尾上先生がおっしゃったことにも絡むと思うんですけれども、どこから払うかということは、結局はジャーナルを読む側と研究する側は違うわけですよね。余りそういう観点では話はならないでしょうか。結局それが、Plan Sとかフリップをそのモデルに関わってくるところになるかと思うんですね。だから、そういうふうに見ていきますと、自然とAPCを支払ってほしいというグループと、それから、契約モデルの価格を下げていきたいというグループは分かれていってしまうであろうと。これは前回の委員会でも議論になったところだと思います。
当てることでは申し訳ないんですが、平田さんはいらっしゃらないですか。消えましたね。話を持っていこうと思って、平田さんはいらっしゃらなくなりました。すみません。そうしましたら、小安先生、よろしくお願いします。
【小安委員】 直接関係ないかもしれませんが、先ほどのUKの場合に、国内産業としての出版社への助成というお話がありました。この問題が20年ぐらい前に出てきたときに、私、アメリカの連中と結構話したことがあるのですが、彼らの最初の説明は、オープンアクセスはtaxpayerに対する還元だという言い方でした。彼らにとっては、論文は基本的に全て英語で書かれていますから、要するに、誰でも読めると。したがって、オープンアクセスにすることはtaxpayerに対する還元であるという議論でした。これは恐らく英国でも同じ議論が通用するのではないかと思います。ですから、資金配分機関がそこに余分にtax由来の資金を乗せることに対しても抵抗はないという訳です。他国に来ると、そういう論理は通用しなくなってくるというあたりに大きなギャップがあったと私は感じています。やはり誰が負担するかといったときに、英語圏であれば、ある程度国がそれを負担しても、国民はそれをサポートしてくれる。しかし、例えば、日本で誰がそれを負担するかといったときに、皆さんが読めるわけではないという議論はどこかで出てくるのではないかなと思い、そういうところも危惧しております。
まとまりのない表現で失礼しました。
【引原主査】 ありがとうございます。いかがでしょうか。林先生、よろしくお願いします。
【林(隆)委員】 ありがとうございます。先ほどの議論でも、もう日本の研究者も別に出版の経費を自費で払っているわけじゃなくて研究費の中から払っているというのは、それはそうだと思うんですけれども、ただ、今日の池内先生の御報告の趣旨は、31ページ最後にあったように、助成機関であったり所属機関がまとめてやることによってスケールメリットがあるんじゃないか。特に所属機関の話は分かりやすいんですが、今日、非常に興味深くお聞きしたのが、ファンディングエージェンシーの方でまとめて支払うという形ですよね。私の理解は、間違っていたら教えてほしいんですけども、資金配分機関がまとめて支払うんだけど、その対象になるのは、ファンディングエージェンシーからプロジェクト費を補助された、ファンディングエージェンシーのお金で研究プロジェクトをやっている人の出版の経費をファンディングエージェンシーが、その個々のプロジェクト費とは別に支払うと私は理解したんですけれども、まずそれでいいかという話なんですが、それでよかったときに、そうすると、悩ましいのが、例えば、日本の科研費で考えたとしたら、科研費の総額が決まっているので、個別個別のプロジェクト費とは別にAPCのお金が10%だとか取られるのであれば、そうすると、配分される人数が減るわけですよね。
例えば、オーストラリアとか科学財団とかの議論の中で、そういうふうに1つのパイの中でAPCを別に払うことによって、研究の直接経費の総額が減ってしまうことについての議論はなかったのかというのが一つお聞きしたいことと、よく分からないのが、購読料との関係なんですけれども、ファンディングエージェンシーがAPCを払ったときに、購読料との一括の話はどうなるのかと思って。大学の図書館が購読料を払っていたとしたときに、APCをファンディングエージェンシーが支払ったときにどういう形になるのかよく分からなくて、もしAPCをファンディングエージェンシーが払っていたら、大学の購読料がその分減って、日本で言えば、例えば、運営費交付金の中から図書館に支払われている額が、ある種、日本学術振興会とか科学技術振興機構に一部分がスイッチするみたいな、そういうイメージを持てばいいのかというのがよく分からなくて、結局、今まで議論があったように、どういうルートでお金を払うのか。それによって、どこに予算を国がつけるのかという、そういうことだと思いますので、その辺りを是非教えていただければと思います。
【引原主査】 池内先生、いかがでしょうか。
【池内学術調査官】 まず1点目についてですけれども、今、スライドに出ているイギリスなんかでもそうですし、該当する助成機関から研究費を受けている人がAPCの対象、それは間違いございません。各大学の個別の契約とファンディングエージェンシーが結ぶ個別の契約の話というところは、まさに私も気になっているところで、バックファイルのところでちょっと申し上げたんですけれども、結局、国のナショナルライセンスと各機関が支払っている、契約しているジャーナルとに重複があった場合に二重払いの状況が起きている可能性も考えられて、そこは慎重に制度を、もし導入するならば考えなければならないところかとは思います。
一方で、まとめてはなかなか言えないんですけれども、ヨーロッパのコンソーシアムの状況を見ますと、やはり大学図書館が非常に深く関わっているということもあって、そちらで高等教育機関の連合みたいなところと大学図書館とかが入って、コンソーシアムの方でかじ取りをしていますので、ある程度うまくすみ分けというか、うまくやっている部分はあるんだろうと考えられます。
ただ、そうなると、今度はコンソーシアムに入っているところ、入ってないところも出てくるので、本当にAPCをまとめて、例えば助成機関がとなったときには、本当に全部これでいくとしないと、結局、スケールメリットはあるけれども損している部分も出てきてしまうというようなことになりかねないかなとは思います。
【引原主査】 いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
【林(隆)委員】 ありがとうございます。先ほど示されたスウェーデンみたいな形、非常に分かりやすくて、APCと購読料がコンソーシアムでというので、そういうのが日本の場合だとどうなるのかというのが議論ができればいいのかなと思って聞いていました。ありがとうございます。
【引原主査】 いかがでしょうか。
じゃ、平田さんが戻られたというか、つながっているようですが、平田さん、聞こえていますでしょうか。
【平田オブザーバー】 すみません。ちょっと接続が悪くて切れていて、途中の議論を聞いてなかったんですが。
【引原主査】 途中の意見、抜けているかもしれないですけれども、池内先生の御説明いただいたことに対して、JUSTICEという立場からいくと、いかがでしょうか。特にAPCの支払いという意味で。
【平田オブザーバー】 先ほど林先生のおっしゃった、大学が購読費を払わなくていいのかみたいな話とかあったと思うんですけれども、その件で言うと、今、京都大学さんの方でAPCの調査をしていると思うんですけれども、そういったところで、財源を見ていただくと、いろいろ結果は出てくると思うんですけど、外部資金の間接経費でジャーナルの資金を払っている大学も多いのかなと思うので、その辺も含めて考えると、少し整理がついてくるんじゃないかなと思っているところはあります。すみません、そんな感じでいいでしょうか。
【引原主査】 ありがとうございました。要するに、各大学のジャーナル経費であるAPCの経費というのは、今、どこでどう払われているかが情報としてトータルで把握できてないというのが現実ですね。京都大学の場合は、いろいろデータとしては私も分かっていますけれども、おっしゃるように、間接経費の部分であるとか研究費のメインの部分であるとか、それはいろいろあるわけで、お金をたくさん持っていらっしゃるところはメインの部分でどんどん払っていかれるわけです。ですから、そういう状況が各大学でどれだけ把握されているかが、こういうバルクの議論になったときに、本当に共通の議論をしているかどうかが分からない部分が出てくるんです。例えば、APCの支援経費が幾つか出ていましたけれども、そういうところでも、どういう経費なのかというのは、もう少し分かればいいかなという気はします。
調査、ここまではしていただいているわけですけれども、ただ、それ以上はやめておきましょうか。内部の話になるのでやめておきますけれども、必ずしもAPCとして払うのに適切でない部分というのも当然入ってきていますので、そういうのの選別は当然必要じゃないかなとは思います。
いかがでしょうか。御意見ございましたら、よろしくお願いします。高橋先生、よろしくお願いします。手を挙げてくださっていると思うんですが。
【高橋委員】 高橋でございます。
【引原主査】 よろしくお願いします。
【高橋委員】 今日、池内先生からいろいろと資料を出していただいて理解が深まったと思います。やはり小安先生が先ほどおっしゃったことがキーポイントの一つと思います。いずれにしても、この大きな問題を一歩進めるためには、今、引原先生の方でもお話があった、各大学のデータや組織の細かいデータを含めて、どんなものであるかということを集約しながら、今後具体的にどうするかということを決める必要があると思います。何らかのトリガーとなる組織が必要になると思います、それはJUSTICEさんなのかもしれませんけれども、JUSTICEさんは、前回のお話だと、そこまでは踏み込めないというお話だったように私は解釈いたしました。そういう意味で、一歩踏み出すための具体的な工夫が、どういうことであれば可能なのかということを文部科学省の方々の御知恵を拝借して、やっぱり出さないといけないと思います。データを集約するためには一歩踏み出すところの基盤的な議論を、この委員会がやるのかどうなのかも含めてなんですが、そのような具体的な一歩を示さないと、一歩が踏み出せないと思います。大体の方向性というのはほとんど決まっているのではないかと思いますので、是非その具体策を強く押し出すことが、本委員会として求められているのだと思います。
【引原主査】 ありがとうございます。おっしゃること、そのとおりでして、ジャーナルでもどの雑誌を読んでいるか分からないという状態が各大学にあるわけですね。どれが必要かというのを完全に把握できてないということもあります。ましてや、APCも誰がどこに払っているかという、どの経費を払っているかというのは分からないままというので、要するに、ジャーナル問題に関してこれだけお金が動いているにもかかわらず、大学が制度をよく把握できてない、その実態がこのままでいいのかという話なわけです。お金が足りない、足りないという話になるんだけれど、本当に必要な部分に必要なお金が払われているのかという議論になってしまうわけですね。
ですから、この際、やはりできないんじゃなくて、やる努力が必要なんじゃないかというのは私はいつも思っていまして、京都大学の場合は、財務会計システムの一部のフラグを立てていただくようなことをお願いしてデータを取っているわけです。なぜそれがほかの大学でできないのかと、私はそこが疑問で仕方がないです。それに対して、尾上先生、いかがですか。
【尾上委員】 耳が痛い話で、我々も調べようとして、今、引原先生がおっしゃっていただいているように、結局、大阪大学で、ほかの大学もそうだと思いますが、やっぱり財務会計システム、財務のところ、会計関係のシステムをきっちり把握できないと、なかなか正確な値は分からないということなんですが、フラグとかまでやろうとすると、回収みたいなのが必要だったり、あるいはコメントとかでやっていったりとかという形なんですけれども、できないというか、やろうという気が、そろそろ進むという形だと思うんですが、あんまり先行できていないというのが一つかなというのはあります。
もう一つ、この話をし出すと、前回も同じような話をさせていただいたんですが、引原先生がさっきおっしゃった、読む側か出す側か、誰がどういうふうにお金を負担するのかというところだと思うんですけれども、前も同じ話をしたんですが、今のJUSTICEが図書館コンソーシアムで言うと、どっちかというと、どうしても、京都大学はいいんですけれども、ほかの大学の場合は読む側主体になってしまうところがどうしてもあるのかなという気はしていまして、うまく研究を推進する側、さっき小安先生はR11という話をして、そこが一番多分、先に動けるところで言うとそういうところなのかもしれませんけれども、うまくそういうところで連携してお話を進めていくしかないのかなという気が起こっております。
【引原主査】 ありがとうございます。正直ベースで言っていただいて、なかなか各大学がそこで動けなくて、データを自分のところでも把握できてないというのが現状だと思います。ですから、一方的に申し上げますと、R11という、R13か分かりませんが、そのグループをつくったとしても、そこのデータが出てこなければ何にも意味がないということになります。ですから、動くためには、まず一歩、一歩というか、すぐにでもデータを取り出さないといけないわけですね。そうじゃないと、机上の空論で交渉せざるを得なくなる。その場合、自分たちのデータが分かりませんから、何が有利な契約かということも分からないということになってしまうわけですね。そこが大きな問題だと思います。
前回のジャーナル問題の委員会のときには、ジャーナルの購読経費に関して話があったんですが、多重払いの話はそこでもあったわけです。そのときに、大学の規模に応じて契約モデルを考え直してはどうですかという、あるいは、状態を把握してはどうですかというのは提言として出しているわけですけれども、それから一切進んでいない状況があるわけですね。お金に困り出すと、そういう話が出てくるわけです。だから、自分たちが何の武器も持ってないわけですね。それが現状じゃないかなと思います。現状の把握だけでは意味がないわけですけれども、そういうことだと思います。
私、今頂いているデータで、これ、面白いなと思っている分は、アメリカなんかから、ビル&メリンダ・ゲイツ財団という、これは有名なメリンダ財団ですね。ここは、プレプリントのarXiv.orgに物すごくお金を割こうとしているんです。そこのサポートしながら、プレプリントベースのものも増やしていく。だから、単発じゃなくて、彼らも財団としても多様なオープン化を進めているわけです。ですから、全部がゴールドというわけでもなくて、この財団のほかの部分にどういうふうに出しているかというのをちょっと調べてみるのは面白いんではないかなと思います。これ、参考程度ですけれども。
いかがでしょうか。林和弘先生、どうぞ。
【林(和)委員】 ありがとうございます。科学技術・学術政策研究所の林です。あえてコントラバーシャルな点にアイデアというか、議論の論点を提示したいと思います。要するに、APCの把握をレトロスペクティブに後から会計の状況から把握して計ろうと思うとなかなか大変ですので、それを根本的に解決する方法というのは、その手前の上流工程から押さえるという議論があるかと思います。それ、すなわち、投稿のときに、まず情報を押さえてしまうということで、以前も同じ議論があったように思いますが、あえて提示したいと思います。
投稿から抑えるというのは、ハゲタカジャーナルに引っかからないという意味のフィルタリングの観点もありまして、組織のブランドを守ることもできます。ハゲタカジャーナルから守るという意味で、ちょっとネガティブな表現になりましたが、各研究機関から出された論文の総体というのはその研究機関の顔となり、今、賛否両論ありますが、大学ランキングを決める上での一つの大きな重要なデータとなり得るわけです。先ほど小賀坂委員から、研究機関が研究者の投稿動向に関与するというのはちょっとまずい、モラリティーの問題があるだろうという話が提示されましたが、殊、研究機関に関しては、雇用契約を結んでいることも踏まえて、あるいは、その研究者のブランドを守るという意味でも、むしろ投稿の段階で(研究者の投稿先を縛るような意味ではなく)あくまで情報として押さえておいて、APC、ハゲタカジャーナル等の様々な問題をまとめて解決するという方向性でいかないと、どうも議論が煮詰まった感じがしています。これはこれで、いろいろ議論がたくさんあるのは承知の上で、少しでも議論を呼び起こすために提示させていただきました。
以上です。
【引原主査】 ありがとうございます。データの取り方として、サブミッションできちんと構成を取りながらという話だと思いますけれども、ちょっと微妙なところがあるのでクローズドなところで議論した方がいい面も確かにあります。
【林(和)委員】 そうなんですよ。そうなんですけれども。
【引原主査】 そうなんですよ。これ、公開になっていますので、公開しながらというわけにはいかないですので、そこは避けさせていただいて、今の御意見としても、上流から押さえるというのは一つの手で、サブミッション、あるいはプレプリントを出したところで評価していくような、そこからということではないかな。
【林(和)委員】 まずは把握するというところが大事だと思いますし、研究機関によっては、別な事情から、(研究成果発表に関して)全て最初からちゃんと押さえている機関も、少ないですけれども、あるとも伺っています。
【引原主査】 ありがとうございます。あと、家先生、お手を挙げてくださっていると思いますが、家先生、いかがでしょうか。
【家委員】 ありがとうございます。話があちこちに飛ぶことになるかもしれませんけど、今の件にも少し関係しています。先ほどから、APCを誰が払うかという話で、ファンディングエージェンシーがまとめてという話も出てきています。日本学術振興会、科研費の立場としては、研究者が自分の研究成果をどこに投稿するかというのは、研究者の大事な基本的権利の一つだと考えています。ですから、先ほどの小賀坂さんの科学技術振興機構も、大変慎重にされていると思います。それで、APCをファンディングエージェンシーがまとめて払うことによってスケールメリットが出るのではというのは、私には全然ぴんとこないんですね。そもそも、仮に日本学術振興会がそういうことをやったとして、とても交渉力があるとは思えません。当然ながら、ファンディングエージェンシーがサポートできるのはグラントを受けた人たちですね。一方、読む方は、研究のインフラとしての研究者、大学だったら大学の人たちが等しく受けるべきインフラ。だから、最近、投稿と購読をカップルさせたというようなモデルが出てきていますけれども、それはファンディングエージェンシーがなかなかやれるようなものではないのかなと思います。後ろ向きに聞こえたら申し訳ないんですけど。
それと、今、林さんから非常にプロボーカティブなお話が出ましたけれども、例えば、投稿の段階でそれをコントロールしようとすると、場合によっては、Impact Factorとかそういう外形的な基準で投稿先のジャーナルを絞っていくというようなことも起こる可能性があるように思います。そうすると、例えば、分野によっては、日本のドメスティックジャーナルが非常に歯を食いしばって頑張っているところが、そういうことによって、ますます負のスパイラルに落ちていくんではないか、そういう心配も若干頭をよぎるところがあります。
すいません、心配事ばっかりで、取り留めのない話になりましたけれども、以上です。
【引原主査】 ありがとうございます。
先ほどの小賀坂さんと家先生の両方のお話を聞いていますと、ファンディングとしての立ち位置がよく分かるというところですが、私は逆にお聞きしたいんです。ファンディングとして、投稿が決まったものに対して、申請があったら、それに対して払うというような、そういうファンドというのはつくり得るんでしょうか。
【家委員】 別枠の予算でということですね。
【引原主査】 はい。
【家委員】 ただし、そういう二段構造にすることが研究者にとっていいことかどうかというのはよく分からないんですね。研究者は、自分が獲得した競争的資金、あるいは基盤的経費も併せてですが、トータルで使えるお金の中で工夫してベストの使い方を考え、投稿先を選ぶということだろうと思うので、アクセプトされたらそこから申請するという話になると、余計な手間もかかりますし、先ほど林さんもちらっとおっしゃっていたハゲタカジャーナルのことも気になってきます。そこは研究者の自主判断にお任せしておく方がいいのかなという気は直感的にはいたしますが。
【引原主査】 例えば、若手のファンドというのは、そんな額が大きいわけではないわけですよね。そうなったときに、APCで、ハイクラスと言うと言い方がおかしいですけれども、非常に高額なジャーナルというのになかなか出しにくいということもあるわけですが、そういうものに対しても支援を受けた中で考えなさいという、今のお答えになるわけでしょうか。
【家委員】 全体的にトータルの、研究費が少額のものは、確かにおっしゃるような問題があるかと思いますけれども、そこは、例えば、間接経費を使って研究機関として支援するとか、そういうこともあり得るかとは思います。話は多少違いますけど、人文系の場合は、学術誌というよりは出版なんですけれども、出版助成というのはまた別に制度としてあります。
【引原主査】 ありますよね。ありがとうございます。科学技術振興機構としてはいかがなんですか、小賀坂さん。手を挙げてくださっていますね。小賀坂さん、どうぞ。
【小賀坂委員】 科学技術振興機構、小賀坂でございます。家先生のおっしゃるとおりでございますが、一つ論点を加えますと、例えば、少額の若手向けファンドでは、もうAPCを賄い切れない現象が起きているというのは御指摘のとおりなんですけれども、ここまで来ますと、APCが高騰していることがいけないというところにも少し目を向けなければならなくて、「Nature Communications」、あれだけAPCが高いのに、どうしてみんな投稿するかといいますと、ネイチャーブランドを先生方が有り難がるからなので、そこのエコシステムを何とかしなきゃいけないという大きな話も絡んでくるかなと思います。少し話をそらせてしまって恐縮ですけれども、そういう問題も絡んでくるかなとは思っております。
【引原主査】 ありがとうございます。それは、先ほどのハゲタカと裏側の問題としてあるわけです。ありがとうございます。ちょっと話がおかしなところに行っちゃったかもしれませんが、手を挙げてくださっています竹内先生、どうぞ。
【竹内主査代理】 ますます話に混乱を持ち込むような気もしないではないんですけれども、先ほど林さんのおっしゃっていたような研究活動のモニタリングの問題は結構大きくて、例えば、APCの問題に関しましても、多くが財形システムに依存したデータの収集ということはされているんですが、これは本質的には、リサーチインフォメーションマネジメントという概念で、本来、研究大学、あるいは全ての大学がそうかもしれませんけれども、きちんとやっていくべきものと考えています。その部分が日本の場合完全に抜けているが故に、いつまでたってもデータが集まらない。データを集めようとすると、非常に努力をしないと集まらないという大きな問題があって、そのような欠落が、研究がデジタル化して、様々な情報流通、特にデータの共有とかといったことが問題になってくると、非常に大きな欠点として見えてくることになるのではないかということを考えております。
それから、先ほど、APCの問題で、価格が上がっているということが小賀坂さんからも御発言がございましたけれども、その傾向は既に見えているところでして、これは結局のところは、長く見れば、ジャーナルの価格が高くなってきた問題と基本的には同じところに帰結してしまうのではないかと考えております。つまり、学術情報のシェアリングのためのコストは当然かかるわけなんですけれども、それをRead And Publishでも何でもそうなんですが、今のような枠組みでやろうとしていくと、どっちかが上がる、どっちかが下がるというような構図からは抜けられないのではないかと感じております。
以上です。
【引原主査】 ありがとうございます。
じゃ、小安先生、手を挙げてくださっていますか。
【小安委員】 はい、手を挙げました。
【引原主査】 すみません、よろしくお願いします。
【小安委員】 先ほどのファンディングエージェンシーが持つかどうかということに関してですが、やはり日本の場合には、私は難しいのではないかと思っています。英語圏のときには説明がつくけど、なかなか日本の場合には説明がつかないのではないかと思っています。それよりも、やはりAPCと購読料をセットできちんとどうにかするというところにしないと、二重払いの問題はいつまでも続くと思います。きちんと交渉して、その上で、先ほどから資料にもありましたけれども、それぞれの機関が、例えば、若手に対してAPCを補助するというようなやり方をすることによって、恐らく全体の効率が上がっていく、そういう方向を目指すべきではないかと思っています。
あと、実際、各大学の情報ですけど、これはやはりどうしても必要で、逆に出版社の方は全ての情報を持っているわけです。この大学でどれだけ自社のジャーナルにAPCを払っているかを知っているわけですから、それを知らずに交渉するのはむちゃなことなので、やはりそこはきちんとそろえない限りは、まともな交渉はできないのではないかなと感じました。
以上です。
【引原主査】 ありがとうございます。ちなみに、先生の機関ではいかがですか。
【小安委員】 今、それを言いながら、私、ちゃんと分かるのかと非常に不安になっておりました。今、自分たちのところでそういうシステムをつくろうと努力はしています。少し話が離れてしまうかもしれませんが、APCの高騰という問題が出ていますが、これは恐らくずっと続くと思います。これに対する交渉のネタを私たちは今からちゃんと持っていいといけないと思っていまして、それは恐らくデータだと思っています。今のジャーナルは、今のモデルでずっといくかどうか分からない。だけど、データの価値は変わりません。今、雑誌社がデータを我々から吸い取ろうとしていますね。これをやらせてはいけなくて、やはりそれぞれの機関できちんとしたデータのリポジトリをつくっておく必要があると思います。論文として発表したものは全部オープンにしなければいけないですが、それ以外のデータもきちんと整備しておいて、それを彼らに対する交渉のネタにするとか、それぐらいのことを考えないと、この問題、いつまでたっても負け続けるのではないかと思います。そういうこともきちんと言うべきだと思います。科学技術振興機構や国立情報学研究所が一緒になってやるぐらいのことをしてもらわないと本当はいけないのではないでしょうか。
【引原主査】 ありがとうございます。以前からもジャーナルの問題については、日本としては負けている状態なので、これをいくら頑張っても、商品を変えていくだけで、お金はリダイレクションされるだけなわけです。ですから、先生がおっしゃったように、データというのは次、次というか、もう始まっていますけれども、主戦場になっていて、さらには研究のライフが全部押さえられつつある中で、どうやってジャーナルは程々に置いておいて次のところで取り返すかどうかという、そこが重要なんじゃないかなというのは前から申し上げていることなわけです。データに話を飛ばしてしまうとややこしくなるんですけれども、谷藤先生、今、物質・材料研究機構でやられているものの中では、ジャーナルと掛け合わせたような話というのは考えていらっしゃるんでしょうか。
【谷藤委員】 谷藤です。今の御質問は、ジャーナルの価格とAPCって今おっしゃいましたか。
【引原主査】 ごめんなさい。物質・材料研究機構でデータリポジトリ等、今、準備されているわけですが、それとジャーナルの問題というのは併せてお考えなんでしょうかという質問をさせていただきました。
【谷藤委員】 あえて併せていません。
【引原主査】 ありがとうございました。
【谷藤委員】 併せるべきでないと考えているからです。これは異質の話なので。
【引原主査】 分かりました。じゃ、ここでの議論は、データに関しては今回は置かせていただきまして、小安先生、手を挙げていらっしゃいます? 違いますか。
【小安委員】 下ろし忘れています。
【引原主査】 分かりました。ありがとうございます。ほかはいかがでしょうか。
【谷藤委員】 ちょっといいでしょうか、せっかくの機会なので。
【引原主査】 どうぞ。
【谷藤委員】 小安先生のおっしゃること、とてもよく分かるんですけれども、実際、私たち物質・材料研究機構は何年もかけて、この可能性ってずっと毎年話題に上げています、おおむね8社の学会や出版社と。何事も交渉であればデータが全てありき、それもよく分かっていて、データ出せますよね。ただ、痛いのは、圧倒的にスケールが小さ過ぎますね。1機関で出す論文数のうちのOAの率が、仮にAPCの20万円なり30万円、その分野によって平均値は違いますけど、掛け算をしたとしても、総額の購読料に対する比率がもうオーダーが違うので、これを何らかのバランス額に持っていこうとすると、これは相当に恣意的に論文発表の方をコントロールする必要が出てこざるを得なくなります。このバランス額を取ろうとするのは、それは図書館であるべきでないので、研究部門になると。そうすると、研究部門がやることは、じゃ、どのジャーナルが最も引用する効率が、つまり、確率が高いジャーナルかを調査し、そこに出した論文の上位何%に投資するとか、そういう話になっていくんですね。そうすると、もともと何の話をしていたんだっけという話になると、ここはなかなかバランス論ではいかないんじゃないかというのが経験上、強く思うことで、ここにおいての高騰というのは、それは出版社側から見れば当然のロジックで、ジャーナルというライセンス料を図書館から安定的に毎年収入を得ていたのに、これが個人ベースの収入になったので状態が不安定になる。だから、安定化を図るためには単価を上げて、そして、損失が出ないようにする。それに人件費だ、インフラ投資だというのを賄うとなれば、それは当然上がりますよね。ですので、それに勝っていこうなんていうのは、相当にこれは大変、日本全国挙げて、少ない研究者人口で何とかやるくらいのことをしないと難しいんじゃないかな。むしろ私たちが今日向かっている問題は、データがひたすら論文という形で流出していることです。国の中に何も残っていないことが問題なので、むしろそれをちゃんと残して、データ資産として、知的財産として持っていくということが大事なのじゃないのかなと思います。
以上、今日の発言、終わります。
【引原主査】 ありがとうございます。非常に重要な視点を言っていただいたと思っています。価格の方に目を取られているうちにということなのですけれども、それは少し、今日、議論し始めると終わらなくなりますが、残りの時間、まだ御発言なかった方でいらっしゃいますでしょうか。誰かいらっしゃいますか。よろしいでしょうか。
【小安委員】 もしなければ、一言いいですか、谷藤さんのおっしゃったことに関してです。
【引原主査】 どうぞ。
【小安委員】 私は最初、オールジャパンでとにかく取り組むんだという決意でやっているかと思っていたのですが、どうもそういう話でまとまりそうもないので、何かほかに、オルタナティブを考えなければいけないのではないですかということを申し上げました。谷藤さんのおっしゃることはよく分かりますし、全くそのとおりなのですが、このまま何もしないで終わるわけにはいかないでしょうというあたりだと思います。
【引原主査】 ありがとうございます。一番初めに小安先生に言っていただいたときに、その後、議論としてどうするかというのがあったと思うんですけれども、オールジャパンでやるということが余りにも温度差があり過ぎるわけですね。しかも、データもない。これでまとまって何とかしましょうということはあり得ないだろうというのは、私、正直なところです。だけど、立場的にはそれは言えないわけでして、あえて言わなかったんですけれども、今議論していただいた中では、やはりこれはある程度の規模と同時に、交渉ができる集団というのがあると思うんです。そうしなければ、これは交渉にならない。それがもう明らかになってきているのではないかなと思います。
あとは、バックアップをどうするかという問題と、契約の方で雑誌を読まれる方をどうサポートしていくか、ここは2つ分かれるんではないかなと思います。APCというのは、それがちょうど線引きになって入ってくるんではないかなというのが、途中で申し上げたことだと思います。
中途半端なまとめになってしまいましたけれども、次回はクローズドの会議をちょっとお話しさせていただくことになると思いますので、そこでもう少し突っ込んだ話ができればと思いますので、是非ともよろしくお願いしたいと思います。
時間的には、今日はこの時間で……。
【林(和)委員】 引原先生、すみません。資料について、一応コメントしておいた方が良いものがあります。
【引原主査】 どうぞ。
【林(和)委員】 議論ではありませんが、資料2の20ページ目で横浜国立大学のAPC支援があるんですけれども、備考のところに、「Journal Impact Factor上位25%に属する」とあるんですが、これ、分野別の上位25%なので、それを直していただくべきだと思います。これ、横国のホームページも実はちょっと分かりづらいんですけれども、ちゃんと備考まで読むと、分野別の上位25%と記されています。これ、このまま読むと、(分野を問わず)全部まとめて上から下まで並べて25%と読めてしまって、せっかく、これまでの情報委員会等で啓発してきたインパクトファクターの序列に意味がないということをミスリードしかねないので、コメントさせていただきました。
【引原主査】 ありがとうございました。事務局も、その辺の修正、よろしくお願いします。
【三宅学術基盤整備室長】 ありがとうございます。確認させていただきます。
【引原主査】 そうしましたら、今日、もう時間が来てしまいましたが、最終的には全体のまとめにはなっておりませんけれども、次の議論のための下地はできたと考えておりますので、是非ともその辺は御了解いただければと思います。時間的にはこれでいっぱいいっぱいですので事務局に戻したいと思いますが、よろしいでしょうか。
【土井参事官補佐】 事務局でございます。長時間にわたって御審議いただきまして、ありがとうございました。本日の議事録につきましては、各委員に御確認を頂いた上で公開させていただきますので、引き続き御協力をお願いいたします。
次回の日程につきましては、資料3にありますとおり、8月20日木曜日の16時から18時を候補として予定させていただいておりますが、開催方法も含めまして、決まり次第、御連絡させていただきたいと思います。
以上でございます。
【引原主査】 ありがとうございます。ほかに連絡事項はございますでしょうか。特にないでしょうか。皆さん方から何かございますでしょうか。今、たまたま中国のPlan Sが出ていますけれども、これは何か。状況が大分違うというような情報も当然あります。今日はもうここで終わりにさせていただいてよろしいでしょうか。
【高橋委員】 高橋でございます。一つ、宣伝よろしいでしょうか。
【引原主査】 はい、どうぞ。
【高橋委員】 学術会議の方からも、もう一つ新たに提言が出る予定でございますので、先日御紹介いただいた提言とは別の委員会から提言が出る予定でございます。それも何らかの機会に御紹介をさせていただいて、議論のたたき台にさせていただけるとよいと思います。
【引原主査】 ありがとうございます。提言が発出されましたら、事務局にでも御連絡いただければと思います。よろしくお願いします。ありがとうございました。
そうしましたら、本日はこれで終わりにさせていただきます。どうもありがとうございました。

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