量子ビーム施設利用推進委員会(第10回)議事録

1.日時

令和8年5月15日(金曜日)15時00分~17時00分

2.場所

文部科学省内15階局1会議室及びオンラインのハイブリッド形式

3.議題

  1. 量子ビーム施設の今後の推進方策について
  2. その他

4.出席者

委員

有馬主査、梅垣委員、大竹委員、川北委員、河野委員、久米委員、高橋委員、高村(山田)委員、唯委員、田中委員、古川委員、矢橋委員

文部科学省

(事務局)大臣官房審議官(科学技術・学術政策局担当) 福井俊英、参事官(研究環境担当) 馬場大輔、参事官補佐 伊藤有佳子、原子力課 課長補佐 滝沢翔平

オブザーバー

J-PARCセンター 金正副センター長、中村副ディビジョン長、総合科学研究機構 柴山センター長、中性子産業利用推進協議会 志満津運営委員長、日本放射光学会 山本会長、杉本庶務幹事、理化学研究所 石川センター長、高輝度光科学研究センター 中川理事長

5.議事録

【有馬主査】  それでは、定刻になりましたので、ただいまから第10回量子ビーム施設利用推進委員会を開催いたします。本日は、お忙しい中、御出席いただきありがとうございます。
 まずは事務局から、事務連絡、参加者・定足数の確認等をお願いいたします。
【伊藤補佐】  かしこまりました。まず参加者の確認をさせていただきます。本日は、オンラインとのハイブリッド形式での会議を開催しており、橋田委員と山重委員を除く12名の委員の皆様に御出席をいただいております。内訳は、対面による御参加が8名、オンラインでの御参加が4名となっております。
 事務局からは、参事官の馬場、伊藤が参加しております。また、審議官の福井が遅れて参加する予定でございます。
 加えまして、本日は、議題1に関連いたしまして、オブザーバーとして、J-PARCセンターより、金正副センター長、中村副ディビジョン長、総合科学研究機構「CROSS」より、柴山センター長、中性子産業利用推進協議会より、志満津運営委員長、日本放射光学会より山本会長、杉本庶務幹事、理化学研究所より石川センター長、高輝度光科学研究センター「JASRI」より中川理事長、文部科学省より原子力課の滝沢課長補佐、以上の皆様に御参加をいただいております。
 なお、会議公開の原則に基づき、報道関係者や一般傍聴者にYoutubeでの傍聴を認めておりますので、御了承ください。
 続きまして、配付資料の確認をさせていただきます。オンライン参加の方は、画面上にございますので御覧ください。配付資料につきましては、今、議事次第に投影されておりますとおり、資料1から資料7、参考資料1から参考資料4を配付しております。
 何か御不明点等あれば、事務局まで御連絡をください。
 以上でございます。
【有馬主査】  ありがとうございました。
 議題1に入る前に、J-PARCセンター、金正副センター長から、現在の施設の稼働状況について御説明をお願いいたします。
【金正副センター長】  J-PARCセンター、副センター長の金正でございます。どうぞよろしくお願いします。
 先日から、申し上げておりますとおり、4月7日に50GeV変電所で火災を発生させてしまいました。それに伴って、現在、原因の特定と再発防止策を進めているところでございます。
 まず原因の特定に関しましては、公設消防の方々とのお話も含めまして、原因が見えてきました。一つは、今回、火災が起こったのは、6.6キロボルトの高圧ケーブルというケーブルです。これはEMケーブルといいまして、いわゆるエコケーブルです。大体2000年ぐらいからエコケーブルを使用するということが推奨されていまして、ちょうどJ-PARCが建設される頃に、ほぼ全てのケーブルがこのエコケーブルを使用しています。今回、焼けたケーブルというのは、2014年に製造されて、2015年から使用している、比較的新しいケーブルでございました。このエコケーブルの特徴としまして、今日は図がないので申し訳ないのですが、一番外側のシースと呼ばれるところにポリエチレンを使っているケーブルで、実はこれは温度変化ですね。特に温度変化によって縮むという現象が多数報告されています。これはシュリンクバックという現象ですが、それで、その一番外側のシースが縮むだけだったらいいのですが、それに引っ張られて、その内側にあるアースを取るための銅箔も一緒に縮んでしまうのです。それによって、その銅箔が破断するということが起こり得ます。今回、我々の事象も多分それであろうということがいろいろな検証から分かってきました。
 ですので、一番外側のシースがシュリンクバックと言って、負荷の変動とか温度変化によって縮むことによって、その内側にあったアースを取るための銅箔が破断されて、それで、最終的に損傷に至ったというのが今回の原因だということがほぼ特定できました。
 これに伴って、同じようなケーブルをJ-PARCでどれぐらい使っているかということで、全ての施設について総点検しました。多いところでは、例えば3GeVシンクロトロンには約1,500本使っています。もう一つのメインリングですね。メインリング、シンクロトロンでは約3,000本使っています。それを今、総点検していまして、今週中にほぼ全ての点検が終わります。現在得ている情報では、やはりシュリンクバックという現象はほぼ全てのケーブルで起こっています。一方で、銅箔まで破断しているケーブルというのは複数箇所あることまで分かっています。さらに、そこを見てみて、火災の兆候とか、例えば何かどこか溶けているとかそういうところは、今のところ一切見つかっていません。
 ということで、火災の兆候があるところはないのですが、今、申し上げたような銅箔が切れているところが数か所ありますので、そこをどのように補修をするか、どのように再発防止をするかというのは、外部の例えば電中研の先生だとか、大学の先生だとか、ケーブルメーカーの方々に御意見を頂戴しながら、今、検討を進めていて、再発防止策をつくっているところです。再発防止策がきちっと出来上がって、補修が全て終わったら、地元自治体、茨城県、東海村の地元自治体に御説明を申し上げて、それで御理解いただいた上で、施設を稼働させたいと考えているところでございます。
 以上です。
【有馬主査】  ありがとうございました。
 ただいまの御説明につきまして、御質問、御意見等ございましたら、どなたからでも結構ですので御発言をお願いいたします。よろしいでしょうか。
 どうもありがとうございました。
【金正副センター長】  ありがとうございました。
【有馬主査】  J-PARCにおかれましては、今回の事象の原因、今後の施設の稼働状況について、進捗がございましたら御報告お願いします。
 それでは、議題1に移ります。「量子ビーム施設の今後の推進方策について」です。
 まず事務局より資料1について御説明をお願いいたします。
【伊藤補佐】  かしこまりました。資料1を用いまして御説明させていただければと思います。本日は、量子ビーム施設の今後の推進方策についてのヒアリングの4回目です。ヒアリング事項は記載のとおりです。
 2ページ目、これまでのヒアリング状況・主な御意見等ということで、前回御説明させていただいた資料から、国内放射光施設における産学の利用者の受入体制の整備、施設の強みや特色の明確化による相互補完関係の強化、持続的な発展を可能とする仕組み、時代に即した利用制度の構築に関して、主にいただいている御意見を並べさせていただいております。
 特に前回は、SPring-8利用推進協議会ですとか、SpRUCの皆様から、期待ですとか人材育成の重要性、また、SPring-8の産業利用を通じた戦略17分野への貢献について御説明をいただいたところです。今回は、放射光施設に加えまして、中性子施設の果たす役割、また、諸外国の状況及び社会の状況を踏まえた共用制度の枠組み等についてヒアリングをさせていただければと考えております。
 次のページですけれども、主な議論の経過といったところで、昨年12月から始まりまして、今、第10回といったところになってございます。
 4ページ目、これまでヒアリングしてきましたSPring-8の運転停止期間中における国内放射光施設の対応策を、ヒアリングに基づいて事務局がまとめたものです。
例えばPFは、1,000から1,500時間程度の運転時間の拡充が可能、ただし、追加予算が必要といったところですとか、今、機器の整備を推進しているというところ。
 NanoTerasuは、新規の共用ビームライン3本を令和9年より順次、共用を開始することや、コアリションビームラインの共用の利用のところ、また、成果専有利用制度の追加といったところも検討を進めていただいています。
 AichiSRは、600時間の増加の予定ですとか、新規ビームラインの増設。
また、SAGA Light Sourceは、最大35日、最大50日と、ビームラインによって受入れ可能といったところも御発表いただきました。
 NewSUBARUは、硬X線領域のところで、最大15日分の追加が可能というところで、もちろんオペレーター側のところが必要になってきますけれども、そういったところが考えられるという御発表をいただいております。
 HiSORは、SPring-8-IIに向けた予備実験、測定手法・新規実験に対するデータ解析手法の開発等に参画が可能といったところを御発表いただいております。
UVSORは、赤外ユーザーの受入れですとか、また、大学と大学共同利用機関から成る4機関が連携した新たな量子マルチビーム共創拠点の構想といったところも御提案をいただいております。
 RitsSRのところにつきましては、SPring-8-IIを見据えたフィージビリティスタディの新規ユーザー層の開拓ですとか、また、地域密着型の中小規模の汎用放射光源として、産業界をはじめとする多様なニーズに対応して、利用を促進するといった御発言をいただいているところでございます。
 おめくりいただきまして、5ページ目でございますけれども、本日、ヒアリングに当たりまして、主な検討事項として、こちらは詳細な説明は割愛させていただきますけれども、掲げさせていただいており、今日のヒアリングにつきましてもこういったところをお伺いしたいと思っております。
 6ページ目、7ページ目、8ページ目も従来と同じですので説明を割愛させていただきまして、9ページ目に移っていただければと思います。今回、事務局のほうで、ホームページ等に公表されている情報を基に、欧州の量子ビーム施設連携の先行事例といったものを調べて、こちらにおまとめをしているという状況でございます。
 左上、放射光・XFELの施設の戦略的連携、LEAPSといったところでは、欧州全域の施設を一つの巨大な研究インフラのように機能させるために、欧州全体での開発計画のロードマップを共有し、リソースを効率的に活用することを目指した取組がなされています。特に2018年に発表されたものでは、各施設がばらばらにアップグレードするのではなく、欧州全体で役割を分担し、重複を避けた効率的な投資といったものもされていると記載がございました。
 右側でございますけれども、中性子施設の戦略的利用というところで、LENSといった取組があるところもございます。各施設の独立性を保ちつつ、欧州全体の中性子利用基盤を強化するといったところで、戦略、広報、政策、資金スキーム、ユーザーアクセス方針等をワーキンググループで検討し、横断的に調整するとともに、将来的には中性子減などの技術開発、運用面の共同化を推進していくといった取組がなされております。
 左下のWAY FOR LIGHTのところにつきましては、欧州全域にある多数の施設、ビームライン等の詳細な情報がデータベース化されていて、横断的な検索が可能といったところもございますし、多数の施設で利用可能な主要な項目を共通化した標準フォーマットといったものも導入されているところでございます。
 右下は、放射光、中性子、FELの横断アクセス支援プロジェクトということで、nephewsでございますけれども、これまで別々の枠組みで支援されることが多かった放射光と中性子の施設につきまして、先ほど御紹介しましたLIPSSとLENS、さらにユーザー組織が共同で運営するという取組もなされているといったところでございます。
 10ページ目でございますけれども、こちらは世界の主な放射光施設の概要でございます。今、SPring-8も第4世代へ高度化中といったところでございますけれども、世界各国、既に第4世代化されている、もしくは計画がなされているという状況でございます。また、軟X線領域につきましては次のページにまとめておりまして、今、第4世代は、NanoTerasu、MAX-Ⅳ、Siriusとなってございますけれども、そのほかの施設についても、今、第4世代へ高度化中といったようなところ、または新設中という状況になってございまして、国際的な競争が激化している状況でございます。
 12ページ目でございますけれども、こちらは最後に事務局から御紹介させていただきたいのが、前回のところでは、SPReADが公募を開始しましたということで、個人型のAI for Scienceに係るプログラム、公募が開始されたのですけれども、また、ARiSE、AI for Scienceの革新的研究推進事業につきましても、5月12日から公募が開始されておりますので、こちらで御紹介させていただければと思います。
 事業内容のところについて、例えば戦略ターゲット型のところでございますけれども、複数の研究開発課題をまとめられた束ねたポートフォリオから成る、世界から顔が見えるフラッグシップ事業として、科学基盤モデル、AIエージェント、次世代AI駆動ラボシステムの開発を一体的に推進するということが目標として掲げられてございます。
 3年後までに達成すべきターゲットのマル3を御覧いただければと思いますけれども、大型研究施設・研究装置における自動自律化、大量データの分析能力向上に資するAIエージェント・AI基盤モデルの開発についての公募が始まってございます。
 また右上のところの国際・融合型につきましても、世界と伍する研究チームを構築し、AI for Scienceに係る独創的な研究やツール開発、高度化などを推進するといったところにつきましても20課題程度、公募がされている状況でございますので、こういったところと連動して、研究基盤というところの強化も進めていきたいと考えているところでございます。
 事務局からは以上でございます。
【有馬主査】  ありがとうございます。ただいまの御説明につきまして、御質問、御意見等ございましたら、どなたからでも結構ですので、御発言をお願いいたします。皆さん、よろしいですかね。
 それでは、次に移ります。
 続いて、大竹委員より、資料2について御説明をお願いいたします。
【大竹委員】  本日は、中性子のほうで、何件か御紹介させていただけますこと、大変ありがたく存じます。
 まず最初に、中性子科学会から、中性子ビーム利用の未来の学術振興構想の公募が昨年、改定等の公募がございまして、それを基にした形での御説明をさせていただきたいと思っております。昨年度、学会のほうで、中長期将来計画として、2022年度が、「中性子ビーム利用いつでもどこでも」というものに対して、「だれでも、みんなで」と、さらに「人」を主体として加えました。その趣旨としては「ぜひとも中性子利用がさらに広がると同時に、量子ビーム、特に放射光、中間子、陽電子、中性子という4量子ビームの連携をさらに強化していきたい」ということを明確に出してございますので、そういったところを踏まえまして、中性子ビーム利用施設の将来計画の全体最適化、シームレスな接続ということで御説明させていただきたいと思います。
 次のページに行きます。2ページ目でございます。中性子ビーム利用ということで、中性子の特徴というよりは、まず私どもの大型の施設で、こちらはJ-JOIN、次のページで御説明いたしますが、そこのポータルサイトを引用させていただいておりますが、中性子での様々な非破壊のビームの特徴といたしまして、観測の空間スケールと、縦軸に時間スケールという形で書いているものを基に、まず紹介させていただきたいと思います。
 こちら、英文字で出ているものが様々で、JRR-3、こちらは原子炉でございますけれども、原子炉とJ-PARC MLFでの特徴的な装置で、どういった空間スケールや時間スケールが網羅されているか。また、こういった形での空間スケールですと、0.01ナノから、1ミクロン、実はもっと大きいところ、センチメートル、数十センチメートル、1メートル弱まで行くわけですけれども、そういったところを特徴的に非破壊に、様々な材料開発から非破壊観察まで含めて、中性子のビーム利用というのは現在既に行われてございます。また、観測時間のスケールといたしましては、上のほう、緑色で動的構造解析と書いてございますけれども、動的構造解析のほう、10のマイナス7乗からマイナス15乗までという早い動きを非破壊でとらえることができる中性子散乱計測技術という意味です。また、下のほうには静的構造解析といたしまして、空間スケールともに示させていただいてございます。
 では、こういった技術がどういった分野に使われているか、また、期待されているかということで、右側のほうに書かせていただいておりますが、こちらはグリーンエネルギー、次世代蓄電池のところにございますように、リチウムや水素といった軽元素が中性子は非常に得意であるということは皆様も既に御存じのところと思いますけれども、さらにこういった形で、エネルギー分野、また、バッテリー分野に対してもさらに利用を広げているところでございます。
 また、インフラの安全・ものづくり・文理融合ということで、こちらは新分野になりますけれども、橋梁の非破壊の計測というのは、私ども理化学研究所のほうでも中心的にやらせていただいておりますが、こちらがまさに中性子で、20センチ、30センチ、60センチの厚さのものの内部劣化を非破壊で検出、計測可能するという非常に大きな構造物に対して非破壊計測を現場でやっていく。また、金属も数センチ以上のものに対しての内部応力、文化財の非破壊検査と、こういったところは中性子の透過能や高い分析機能を持っているということで、一つずつ細かい御説明いたしますと長くなりますけれども、インフラの安全、そして、3番目、創薬・生命科学、タンパク質の構造解析。4番、電子デバイス・次世代情報通信。5番、ソフトマター、非常に日用品まで広い応用範囲、そして、当然ながら基礎的な科学研究ということで、原子核、素粒子物理のみならず、基礎的な物性物理、そして、宇宙、惑星科学に及ぶまで非常に広い分野を網羅させていただいておりまして、内閣府の今回の戦略17分野、ほぼ全てに貢献しているということで、こちらは下のほうに書かせていただいておりますが、中性子は既にかなりいろいろな分野で、利用されているだけではなくて、その成果が出されているところでございます。
 1枚、まためくっていただきまして、ユーザーのための量子ビーム施設間連携、J-JOIN、AI for Science、ここで2つの話題をこちらで御説明させていただきます。まず左側のほう、J-JOINでございますけれども、これは実は2年前にもこの委員会で、本日御出席いただいている柴山センター長からも御説明させていただいたことがございますけれども、ワンストップで相談していくところということで、中性子のみならず、様々な量子ビームとの連携をその当時、試みたわけでございますけれども、現状では、J-PARCとJRR-3、また、中性子とミュオンの連携というところで、量子ビームの相補利用や、加速器、原子炉のハイブリッド利用、そして、ワンストップの相談・支援体制、特に次世代の材料開発への直結ということで、こういったことがシステムとして現在、可能となってございます。
 そういった意味で、先ほど御説明いたしました空間スケール、時間スケールに関しまして、分かりやすい図を出して、ユーザーの方たち、初めての方たちに対しても、どの装置をどういった形で使ったらいいか、またそこへのサポート体制としてどういうふうにしたらいいかに関しましては、各分野エキスパートによる相談・支援ということを既に行ってございまして、さらなる発展を現在、取り組んでいるところでございます。
 こういった支援に関しまして、右側に書いてございますとおり、やはりAI for Science、AIの利用というのは必須でございます。具体的には中性子データ解析の発展ということで、既に学会のほう、JSNSの2025年度では、全体の3%になりますけれども、機械学習、深層学習での発表が4件ございました。
 中性子科学会は現在、会員数608名おりまして、その中でも、私ども新しい制度として始めているシニア会員制度、数年になりますけれども、シニア会員44名含んでおりまして、一般会員521名、学生44名、会員数609名で、実は中性子科学会、まだ会員数は減少してございません。毎年微増をしてございます。そういった意味でも、特にこの量子ビーム連携を始めましてから、また、産業利用推進協議会の志満津委員長から今日お話しいただきますけれども、この連携を始めましてから、この微増の「微」が少し傾きが大きくなりつつあるという意味では、各学会の会員が減っている中で、中性子に対する期待が非常に高いと私どもは認識してございます。そういった中でも、やはり最初の利用相談、AI for Scienceに戻りますが、やはりここでの窓口の一本化だけではなくて、AI化ということでも取り組んでございますし、やはり最初の実験課題で、初期スクリーニングでの利用において、やはりAI for Science、AIといったものの導入ということで、こちらを御紹介させていただいております。
 中性子散乱とAIと非常に相性もいいところでございますが、やはり新しいものに対しては、現場で実験してデータを出すというところが非常に重要となっております。
 次のページに行かせていただきます。こちらの図のほうが、先ほど最初に申し上げました学術振興構想、昨年度、申請しているもので、学会としての新たな4つの戦略的柱というものを立てさせていただいてございます。右側に4つ書いてございまして、まず第1に、新たな中性子利用分野の開拓と基盤技術の高度化ということで、これを1番にした意味は、どうしても施設中心になってしまいますけれども、新たな技術というのは、利用を拡大していく中でのニーズに応えていくものと、やはりそこが両輪にならなければいけない。そのためには、2番目に書いてございますサイエンスダイバーシティ、これは私が会長になってから新しい言葉でございますけれども、中性子特有、または大型の施設を使っているところ特有のユーザーとして、またはサイエンティストとエンジニアとか、そういった相対する思想ではなく、ダイバーシティを促進していくことで、人材育成をし、また、学会として、また、科学として発展して明るい未来を迎えていきましょうという取組。特にそこにおいては、中性子においては多様な人材育成に焦点を当ててございます。そして当然、人も横断的な量子ビームの連携、そして、最後の理解と共創のための戦略的社会関与、こちらが全く新しいものとして出させていただいてございまして、この左側の図にございますように、真ん中に中性子を置いて量子ビーム連携、そして、多様な人材育成。それが戦略的な社会的関与を生んでいくというような形が重要です。この中期計画、中長期計画に対しての基本的な概念は、学会員全員と共有しており、昨年度の年会でも学会主催のシンポジウムを開催いたしまして、こういった中期計画、中長期計画を広く議論することを学会として取り組んでございます。
 次のページお願いいたします。そういった基本的な取組のある中で、SPring-8停止期間に関しまして、中性子として対応できる施設には、大型施設のほかに小型施設も入っておりますので、この令和6年度の原子力白書を使わせていただいておりますが、こちらのほうも、太い青で囲っているところは、大型、中型施設であったり、これからまた出てくる新試験研究炉であったりというところで、3つピックアップさせていただいておりますが、小型も上がってございます。特に大型施設に関しましては、右側に書かせていただいておりますとおり、2027年度、2028年度に関しましては8サイクル、22掛ける8という数を予定しているということで、当然この中で放射光ユーザーの方たちが、これをきっかけとして、中性子のビームを使ってみたらこんな新しい現象も見えますねというところで、学会としてもこういった新しい利用に対して非常に後押ししているところでございます。
 3号炉の原子炉に関しましては、2027年度は、実はメンテナンス等も入りますので、サイクルは少なくなっておりますけれども、4サイクル稼働予定、28年度は7サイクルということで、1サイクル3週間となりますけれども、こういった稼働を予定してございますので、この停止期間には十分対応可能と。さらに対応可能なだけではなくて、先ほど御紹介いたしました、学会としても進めております量子ビーム連携を通して、ぜひとも放射光のユーザーの方たちとともに中性子利用を発展させていきたいと思ってございます。
 今、御説明したことの基となりますものが、昨年度、この第3期というのは2024年度、2025年度の2年間となりますけれども、学会の中で中性子科学の短中長期の戦略的な計画をつくっております推進委員会の報告の要点となってございます。
 こちらは主な取組として3点ございます。中長期戦略の改定案の作成、施設群を時間軸で接続する10年戦略ロードマップの提案、実行課題の整理ということです。細かいところはお読みいただきたいと思いますけれども、一番下のところの国家的な「中性子ビーム利用機会喪失リスクの低減」と「中性子科学が生み出す社会価値の増幅」のための中性子施設群の戦略的接続については具体的には最後のページから2ページ目になります図のところで書いてございますけれども、きちんと実行して、課題を整理しながら取り組んでいくということで、2025年度までの2年間の報告として、学会として受けてございます。
 それでは、具体的な施設の将来計画、提言検討などはどうしているかというところに関しましては、次のページで御紹介したいと思います。昨年度の後半でございますけれども、「中性子施設将来計画への提言検討」実行委員会を立ち上げて、3か月、4か月という非常に短い時間でしたけれども議論を十分行い、その報告を受けてございます。こちらは2025年度の主な取組として、3点挙げさせていただいております。このきっかけとなってございますのは、新しい線源ですとか様々な取組を、私ども中性子利用者、また、施設で取り組んでいるものがございますので、それを網羅的に扱っていかれないかというところで、マル1といたしまして、新試験研究炉・MLFの将来計画を考慮に入れた、まず、今、稼働してございます3号炉、JRR-3の最適化。これは喫緊の課題でございましたので、こちらを中心的に扱いました。また、それを基にいたしまして、施設の高度化や将来計画を議論できる場や仕組みの検討。そして、これが2026年度、2027年度、今後へつながるということで、先ほど御紹介いたしました中性子科学推進委員会の中に分科会を設けることを検討し、まだこれは仮称でございますけれども、「中性子施設将来計画への提言検討」分科会の設置ということで、こちらの分科会のほうも既に4月に1回開催し、ちょうど昨日が日本中性子科学会の第1回の評議委員会でございましたけれども、全て承認されて、具体的な動きのほうになってございます。こちらは新試験研究炉原子炉へむけた将来計画ならびに現在動いている3号炉と、J-PARC、MLF、この2つを有機的に利用して、さらに中性子科学、また、量子ビームのさらなる発展ということが何よりも国力を強化していくというところを意識しながら進めているところでございます。
 めくっていただきまして、中長期ビジョン、これは非常にざっくりとした絵になってございますけれども、上のほうには、J-PARCの現在稼働しているターゲットステーション1と、ターゲットステーション2(TS2)。こちらは、私ども学会としても、また、ユーザーとしても悲願でございますターゲットステーション2の計画ならびに実現時期などを書かせていただいております。また、原子炉に関しましては、JRR-3と新試験研究炉、JRR-5ということで、大型のパルス源と原子炉というのをこの2つの線で模擬的に書かせていただいておりまして、その下の矢印は現在動いている施設でございますとか、また、計画が進んでいるものを実現するところの年代辺りを濃い色にさせていただきまして、具体的にどういった形で学会員、ユーザー、そして、施設を含めた議論として進めているかというところを御紹介させていただきたいと思います。
 現在、J-PARCの継続的な高度化、こちらは3号炉とも共同しながらでございますけれども、人材の交流等も含めまして最新のアップグレード等をしながら、当然、世界最高レベルの中性子散乱・回折技術と、多様な測定ニーズの対応力の更なる充実などに取り組みながら、中期のところでは絶対的にTS2を実現する。そして、原子炉のほうでは新試験研究を目指しながらやってございますけれども、JRR-3を利用しながら、さらに高精度の測定や偏極測定、産業利用、そして、やはり原子炉の特徴としては教育の基盤という非常に強いものがございますので、こちらに活用していくということで、こちらは2026年度の短期から、長期のほうは2050年よりも先を見据えまして、原子炉に関しましては、やはり中性子科学会としては、当初より申し上げてございますけれども、最高強度中性子ビーム、定常ビームとしてはJRR-5までを視野に入れた形での長期ビジョンというものを立てさせていただいております。こちらがやはり学会員全員の悲願となってございます。
 最後のページに参りますが、まとめに代えてということで、コミュニティと、それから、やはりこういった大型施設、原子力、そして、パルス源、共用施設、様々なバリエーションを抱えているのが日本中性子科学会でございますし、そこを網羅的に、また、シームレスにつないでいく包括的な連携を実現することが何よりも中性子科学、また量子ビーム科学、そして、日本の科学の発展、そして、明るい未来を実現するものということで、やはり将来構想の提案としてはコミュニティとして常にやっていきたいですし、こうした行政との対話の場というのは非常にありがたいと思っております。
 そして、運営法人との連携というのが何よりも重要ですが、そこではお互いがニーズの吸い上げ、そして、将来構想の計画の提案等をやり取りしながら、実際にはここの運営法人が装置を造っていくわけでございますけれども、先ほどJ-JOINの御紹介をさせていただきましたが、ユーザーの窓口といたしましては、仕組みづくりというところをさらに拡大していくことが重要でございますので、こういった三つ巴のシステムをさらに充実させていただきたいと思ってございまして、コミュニティと運営法人が段階的に成果を受渡しながら共に発展していきます。ただ、その実現には、担当する行政における局や課とみんなで乗り越える連携が課題でございまして、当然装置でしたり、施設でございますので、実現のための包括的な研究開発予算、そういった必要性に関しましては、学会のほうでもリードしながら皆様と議論させていただきたいと思っておりますし、先ほど御紹介いたしました1ページ前の長期ビジョンといたしましても、中性子科学の必要性という意味で、明確にTS2、JRR-5、新試験研究炉、また、JRR-3の高度化ということ、また、TS1のほうでの新しいビームラインということも入れさせていただいておりますので、現在、特にこの委員会では様々な局や課の方々が御出席いただけている中で、こういった御紹介をさせていただけること、非常にありがたく存じておりますし、様々な局を超えての連携としての御支援をお願いしたいと思ってございます。
 中性子科学会からは以上でございます。
【有馬主査】  ありがとうございました。ただいまの御説明につきまして、御質問、御意見等ございましたらどなたからでも結構ですので、御発言をお願いいたします。いかがでしょうか。
 田中委員ですかね。よろしくお願いします。
【田中委員】  九州大学、田中でございます。大竹先生、どうもありがとうございました。
【大竹委員】  ありがとうございます。
【田中委員】  量子ビーム連携について教えていただきたいのですけど、今日の量子ビーム連携の話は、MLFの中の連携がメインだったと思うんですが、実際には放射光との連携というのが多分ユーザーサイドからすると一番興味があるというか、やりたいことだと思うんですけども、実際に例えば中性子を測らせていただいて、いや、これ、放射光でもやりたい、あるいは逆のケースもあると思うのですけども、こういった施設を超えたビーム連携に関して、ここではワンストップな相談支援体制というのがあるのですけども、ここからの御支援というのが現状どの程度検討されていらっしゃるのかというのが1点と、2点目はJRR-5の話ですが、3とあって、5とありますけど、この4というのはどういうふうに考えていらっしゃるのか。これは新試験研究炉が4になるという、そういう位置づけなのですか。
【大竹委員】  はい。大変失礼しました。実は4号炉というのが既に存在して、停止してございます。ですので、3号炉の後にもう既に存在していた原子炉でございますので、そういった意味で、4号炉までは東海のほうでこれまで稼働していた実績がございます。ですので、4の次というと5になるということで。実は3号炉が途中で、改造3号炉ということで、運転をちょうど30年前に開始しておりますので、実は3号炉は途中で炉心を全部改造いたしまして、パワーアップした形ということがございますので、4号炉は実は存在しておりまして、現在稼働しておりません。
 最初の御質問の量子ビーム連携に関しまして、誠にありがとうございます。まず学会としての具体的な取組の御紹介をさせていただきたいのですけれども、現在、4学会の量子ビーム連携科学会長連絡会というのがございまして、こちらは文科省関係の方も御出席いただいて、半年に1回、各学会長を中心とした各学会での情報交換、また、共通の課題に対しての議論の場というのがございます。また、量子ビーム、この4学会に関しましては2025年に4学会で共同の学会誌というのを秋から冬にかけて出してございまして、それぞれの学会員が他の学会の学会誌に対しても横断的な投稿や、また、閲覧できるというようなシステムというのを、最初、実はこれが中性子と放射光だけだったのですけれども、それを中間子、そして、2025年には陽電子、この4学会での連携というのを実際に学会誌や会員同士が編集委員ですとかそういったところでの情報交換もしながら、施設連携を見据えながら、学会同士でやってございます。
 また、J-JOINのところに関しましては、放射光ユーザーとのワンストップという議論は2024年度でしたかね。柴山先生。具体化をしようとした議論がございました。そちらに関しましても、もしよろしければ柴山先生から一言だけお答えいただければと。
【柴山センター長】  まだ現在、規模的にはJ-JOINというのは中性子の中でとどまっている感がありますが、コーディネーターの方はどちらにも通じた方が多いので、状況に応じては放射光側の利用をお勧めするということを弾力的にやろうとしておりますし、これからさらにそれを発展させようと考えております。
【田中委員】  ありがとうございます。ユーザーサイドとして、例えばもう1回アプリケーションをやり直すのかとか、そういうところがすごく時間の短縮につながって、最終的には研究のアウトプットにつながってくるのですけども、例えばどちらかでデータを持っていると、次の相手側の申請が物すごく簡素化されるとか、そういうところまでぜひ御検討いただけると、ユーザーとしてはうれしいなと思いました。
 以上でございます。ありがとうございます。
【大竹委員】  御意見ありがとうございます。ぜひとも検討したいと思っております。
【有馬主査】  ありがとうございました。
 そのほかの方、いかがでしょうか。高橋委員。
【高橋委員】  QSTの高橋です。3ページ目の「AI for Scienceへの期待」というところに関して御質問をさせてください。拝見しますと、施設側にとってのメリットというような感じの印象をちょっと受けていまして、学会ですと、ユーザー目線での期待ということも気になるところですが、マル2の、例えば利用相談のAI化のところで、AIに相談をすることによって、機密、セキュアなところというのはやはり気になるところだと思います。そういったところで、どういうメリットがあり、あるいは対策が必要と考えていらっしゃるのかということをまず一つ。
 それから、マル3の初期スクリーニングは、施設側にとって負担を低減するという明らかなメリットが考えられるのですが、一方で、利用者側からすると、やはりいろいろな不安が発生するかと思います。審査員の属人性というか、いわゆるバイアスを除くことも、もしかしたらメリットと考えられるかもしれないので、そういったところにもコメントありましたらお願いします。
【大竹委員】  ありがとうございます。こちらはCROSSのほうから。
【川北委員】  CROSSの川北です。私が後ほど発表する中でも少し触れるところがあるのですが、今、いろいろつくり込みを考えている、テストをしているという段階でして、例えば実験報告書を読み込んだり、課題申請書はどうかというのはちょっとナーバスなところでありますけど、そういういろいろなものを読み込んで、質問を投げたときにいろいろなものを返してくれるようなところの、NotebookLMを使ったようなシステムとかそういうものをいろいろ試しているところです。その中で知財に関するようなところはどういうふうに解決できるかというのを今、実際に確認しながら進めている段階です。
 スクリーニングに関しまして、こちらもどうもある程度できそうだなというような感じ、感覚は持ってきています。ただ、最終的な審査という意味では、やはり抵抗感はあるだろうと思うので、スクリーニングの段階で使うのかなと。ある程度の分類分けとかそういうところで、実験計画はよく書けているとか、よく書けていないとか、そういうレベルでのスクリーニングというのはできるかなという気はしております。まだそれも今後の課題です。まだそういうのができるかどうかというのを試しているという段階です。
【高橋委員】  分かりました。ありがとうございます。
【有馬主査】  よろしいですか。そのほかいかがでしょうか。久米委員。
【久米委員】  花王の久米です。田中委員の部分と重なるところがあると思うのですが、やはりJ-JOINの話ですけども、中性子・ミュオン連携というところで、これは大型のところだけだと思うのですよね。そして、連携としては放射光とかも含めて、そして、今ある小型、中型とも含めて、特に産業のものだと、そこまで先端でなくてもこういうところだったら行けるのではないかという情報があったほうがいいということもあると思うのです。こういうふうに広げていくという方向での、学会の立場での何かお考えがあれば教えてください。
【大竹委員】  ありがとうございます。当然そういった意味では、4ページ目のところで示させていただいておりますとおり、中性子科学会といたしましては、パルス源、定常源、そして、小型中性子源、そして、新試験研究炉、新たな定常炉という形で、様々なこういった施設、または装置というものを網羅的にやっていきたいと思っております。今、そういった意味では、おっしゃっていただきましたとおり、最先端の、非常に強いビーム強度が必要な実験と、そうではなくて、やはりより広いユーザーに対して手頃に使えるというほうが優先されるものと当然あると思ってございまして、J-JOIN、この取組の中に小型を入れるという話はもう数年前から取り組んでいただいております。では、具体的にそれをやったときに本当にどう受け入れますかとか、では、そのために予算化をどうしますかといったところが非常に今ハードルになっておりまして、そこで具体化が進んでいないというところです。ただ、実際どうしているかといえば、やはり研究者同士であったり、または企業様からの御相談を受けた方が、例えば理研であれば私のところに連絡が来て、「じゃあ、やってみますか」とやっていたり、「これは理研よりも北大の小型のほうがいいですね」ということで、北海道大学の先生のほうに御紹介したりという形で、数は少ないですけれども、実は運用としては既に動いているところがございます。
 学会としては、今おっしゃっていただきましたとおり、外から見て分かりやすい入り口ということで、せっかくこういったJ-JOINの取組がございますし、CROSSのほうでより広い形での網羅をしていただいておりますので、さらにここが発展できていくと、本当に最先端で必要な装置、また、施設と、より手軽に使えるということで、新しい利用開拓になっていくと思っておりますので、ぜひとも進めたいと思ってございます。そこでやはり大きなハードルになっているのが予算的なものであったり、人材の交流であったりというところが現状でございます。そこが非常に大きな課題となっております。
【久米委員】  ありがとうございます。
【有馬主査】  まだまだ議論あるかと思いますが、お時間ですので、続きまして、中性子産業利用推進協議会の志満津運営委員長より資料3につきまして御説明をお願いいたします。
【志満津運営委員長】  運営委員長の志満津です。よろしくお願いします。本日、このタイトルでお話させていただきます。
 次、お願いします。アウトラインとしましては、協議会の御紹介をした上で、産業界として要望しておりますBL13の新設ラインの必要性、また、産業界からの全般としての要望、また、施設・学術の将来計画への期待ということをお話しさせていただきます。
 次、お願いします。中性子産業利用協議会ですが、高性能、新機能製品の開発により産業の先進性を高めるために、大型中性子施設を活用するため、産学連携を推進するという目的で、民間企業を中心につくられた団体です。現在、56社が加盟し、あと、3研究機関と併せた59会員で運営されています。中性子の産業利用を促進する観点から、研究会やセミナーなどの掘り起こし、また、施設との連携を取っております。
 次、お願いします。現在の中性子産業利用協議会に参加している会員が、今、内閣府の出されている戦略17分野にどういう関連をしているかという数字だけですが、まとめたものになります。また後ほど御覧ください。
 次、お願いします。現在、協議会の中では2023年に協議会設立15周年の節目を迎えまして、11個の研究会ごとに、5年ごとの技術のマイルストーンとしての将来ビジョンを策定しています。その中で、産業ニーズの高いビームラインという意味で、小角散乱とイメージングというものが非常に多くの領域にニーズが高いということが分かりました。産業界自身は、実材料と実プロセスを扱える解析技術を求める傾向がだんだん強くなっておりまして、小角散乱とイメージングを含めて、BL13の新設を要望しております。
 次、お願いします。J-PARC、MLF、BL13新設の必要性ということでまとめておりますが、現在、お話を聞いている新設BL13のラインに関しましては、先ほど御紹介した中性子の小角散乱、BL15の持つ機能と、イメージングBL22の持つ機能、ナノメートルのスケールの材料分析とミリメートルのシステムの分析を同一ビームラインで切り替え、共存することが最大の特徴と考えています。
 この解析ギャップであったナノメートルとミリメートルの間のマイクロメートルの領域の構造情報を同時に取得できることが非常に重要になります。特に、昨今、競争が激しい電池や燃料電池のような領域では、軽元素が支配的に効くため、中性子の優位性が直接的に効く重要な領域ですが、このマイクロメートルの領域をカバーすることで、実プロセスのその場観察をしながら、その起因の起点である材料の分析ができるということが、開発スピードを圧倒的に向上するために必要であると思っています。
 また同様に、既存のビームラインの15番と22番に関しましては、現在、22番のイメージングについては産業ニーズが大幅に急増しており、今後も増加の見込みがあり、また、海外の施設の更新が進む中で相対的に優位性が低下してきていると考えています。
 中性子強度は分析の速度に直結するため、評価が必要だと考えております。この観点で、BL13は現行より高い中性子強度になるとお聞きしておりますので、トップ集団に伍するレベルとなることが必要と考えています。
 また、BL15のほうに関しても非常に高い競争力となっており、産業界が必要なタイミングで十分に利用できる環境が失われつつあると危惧しております。
 3つ目ですが、環境技術で産業競争力強化の重要性が高まる中で、燃料電池や電池、またインフラにおけるコンクリートの水の分析などの開発を死守することが今後の産業界の生命線であると考えています。
 次、お願いします。これは先ほどお話ししたBL22の成果占有課題が今、増加しているという傾向を右の上に示しています。また、小角散乱のBL15は、ほかのビームラインに比べて要望が非常に多く、利用機会がタイトになっております。この22、15ともJRR-3が稼働再開後も高い競争力となっており、ユーザーである産業界にとって、必要な時間、使用できる環境を確保していただきたいと考えております。
 次、お願いします。「中性子でしか出来ないこと」ということでは、先ほどお話しした軽減水やリチウムなどの観察や、高透過力を生かした計測などが非常に重要だと思っています。ここに4つの事例がありますが、例えば水を見る技術。右の上にあるように、中性子の持つ宇宙線に対する耐性みたいな評価ができる研究。左の下にある、樹脂を含めた材料の分析。右の下にありますように、コンクリートの中の水分やインフラに対する技術などが必要とされています。
 次、お願いします。「産業界からの要望」ということで、毎年、文科省への要望書というのを提出しています。ここにそれを列記しております。
 大きく分けると、高出力安定運転ということで、今日、最初に金正さんからもお話ありました老朽化対策の予算重点配分をお願いしています。また、ビームラインの使用時間の確保ということで、9サイクルの確実な遂行をお願いしております。ビームラインの建設などの高度化というところでは、先ほどのBL13のお話を申請しています。また、中性子及び放射光の利用手続きの一元化ということですが、学術界の皆様に比べて経験の浅い産業界にとっては、やはりこの両者をうまく使いこなすという意味ではサポートが必要だと考えています。中性子と放射光が、利用手続が一元化されるだけではなく、技術的な見える化などサポートもお願いできればと思います。DXに向けた基盤整備に関しては、当然、データ数が膨大になってくる中で、DX化を進め、AI化、自動化をしていきたいというニーズはあります。
 次、お願いします。この中で特に最近、気になっていることとしましては、産業界として中性子を信頼できる研究開発のツールとして位置づけたいと願っています。そのためには、企業の視点で言うと、やはり中長期の計画、最低でも年間計画に対して予算、人、課題などを設定し、投資を行っていきます。その観点からは、施設がいきなり止まるようなことは避けたい、計画している時間は使えるようにしていただきたいと考えておりますし、当然こういった研究開発の設備ですので、機能の更新というのは必須でして、更新のために停止はやむを得ないと思いますが、多様なビームラインがありますので、そのビームラインの同じような機能が同時に停止することがないように、いろいろな対応をお願いしたいというのがあります。
 特に長期間、特定のビームラインが停止してしまいますと、企業はこれを研究開発のツールと位置づけたときにどうしてもやらざるを得なく、海外へ出て、研究開発を継続することになります。費用面の課題以上に、セキュリティやデータの移動など懸念点が多く、国内の施設が上手に連携して運用されることを望んでいます。
 次、お願いします。産業界からの全般としての期待ですが、かなり繰り返しも入りますが、産業競争力の向上と持続可能社会の実現には、中性子・放射光利用した高度な分析技術が不可欠であると考えておりますし、必要な施設・環境の整備と、まだまだ足らない技術もあると思いますので、分析技術の高度化を進めていただきたいと思います。
 また、中性子計測の真の産業応用には、計画した期間の安定稼働が最低条件であり、高度化やメンテナンスが必要な際も、国内の量子ビーム施設間で実施時期を調整いただくなど、長い利用できない期間が発生しないように御検討いただければ幸いです。
 また、量子ビーム施設の安定的な利用には、技術面に加えて、稼働時間の確保、また、申請の利便性を含めた統括・管理できる仕組みがあると、産業界の参入障壁が減ると考えております。そのために産官学が緊密に協調し、量子ビーム施設間の連携強化、全体の最適に取り組むことを期待しております。
 次、お願いします。
 以上です。
【有馬主査】  どうもありがとうございました。ただいまの御説明につきまして、御質問、御意見等ございましたら、どなたからでも結構ですので御発言をお願いいたします。いかがでしょうか。
 では、有馬から一つ。J-PARCを産業界の方が使われているのはよく存じているのですが、JRR-3というのはどのぐらいの利用がありますか。
【志満津運営委員長】  JRR-3も結構な頻度で使われております。
【有馬主査】  それは小角が多いのですか。
【志満津運営委員長】  小角以外でもですね。イメージング小角が。
【有馬主査】  そうなのですね。イメージングが。なるほど。ありがとうございます。やはり透過力とか生かしてですね。
 ほか、いかがでしょうか。よろしいですか。13番の話は後でまた出てくると思いますので。
 それでは、続いて、J-PARCセンターの中村副ディビジョン長より、資料4につきまして御説明をお願いいたします。
【中村副ディビジョン長】  J-PARCセンターの中村です。本日は、「MLF高度化の必要性」ということでお話しさせていただきます。特に新規中性子実験装置BL13の必要性を中心にお話をさせていただきます。
 まずこのスライドですけども、「中性子が貢献しうる戦略17分野」ということで掲げておりますけれども、一つ一つ説明することはありませんが、とにかく中性子というのはあらゆる分野で貢献できるという非常に有用なツールであります。
 今回、ビームライン13番を紹介するわけですけども、13番が貢献する戦略分野として、この六つの戦略分野を挙げてみました。創薬・先端医療からマテリアルまで、いろいろ挙げていますけども、ビームライン13番は、マイクロメータ領域に現れる観測対象をターゲットとするというのが最大の特徴であります。戦略分野の中で具体例を幾つか挙げておりますけれども、このうちの赤で書かれた「薬物キャリア」とか「脂肪球の凝集」といったテーマは、過去に相談を受けたものの、既存の装置では実現できませんということでお断りしたテーマで、青字で書いている部分もそうですけども、こちらは過去に実験を実施したものの、十分な目標を達成できなかったという課題になります。これらの課題を、13番を使えば課題克服できると考えておりまして、マイクロメータ領域というのは、従来の中性子実験装置ではアクセスできなかったということで、これは言い換えますと、中性子の特徴を生かした観測・測定が未開拓の領域であるということです。ということで、産業界も当然ながら、学術的にもここでの新発見等々、期待できると思っております。
 続きまして、BL13の概要ですけれども、昨年の6月にJ-PARCからBL13の概要については説明させていただいております。我々、BL15とBL22にそれぞれ小角散乱装置とイメージングの装置があるわけですけれども、既存の装置ではどうしてもアクセスできない領域がございます。そこを我々は今、マイクロメータギャップと呼んでおりますけれども、そこを埋めるべく、BL13では大強度ビームによる高分解能イメージング装置と、スピンエコーSANS法によるハイスループット極小角SANS装置を実現することで、マイクロメータギャップを埋めようということを考えております。
 昨年の6月にBL13の重要性は既に御認識いただいていると思っていますので、今回は3つの視点を通じて、すぐにでも着手すべき必要性について述べさせていただきます。1つが国家戦略、2つ目が産業ロードマップ、3つ目が国際競争という観点です。
 MLFの高度化計画におけるBL13の位置付けについて説明させてください。御存じのとおり、MLFは2008年にファーストビームを受けました。その後、徐々にビームパワーを上げながら、2024年に、当初の目的である1メガワットの安定運転を達成しました。1メガワット安定運転を達成したときには、残念ながら既に実験装置の老朽化が進行しておりました。ということで、我々は2025年度よりMLF-doubleプログラムというのを立ち上げまして、スタートさせております。MLF-doubleでの問いというのは何かといいますと、「我々は既存施設のポテンシャルを最大限に活かせているか?」というところを問い続けるというところで、いろいろ高度化の開発を進めております。
 実績としましては、各ビームラインのハード的なところと組織的なところですね。MLFの高度化推進室であったり、データサイエンスセクションを立ち上げたりというところが実績になっていまして、今、計画進行中のものも幾つかあります。
 その中で、MLF-doubleの最優先の課題として掲げているのが、新規中性子実験装置ビームライン13番の建設であります。右上の図にありますとおり、現在、21台の中性子実験装置が運用中ですけれども、空きポートが2つあります。その2つのうち、BL13(CM)というのは、非常にビーム強度の強いビームポートです。これが空いているということで、「我々は既存施設のポテンシャルを最大限に活かせているか?」という観点から言っても、ここにちゃんと実験装置を造って、成果を上げるというのは、MLF-doubleの最たる例といいますか、非常に分かりやすい例だと思います。というわけで、BL13の建設を最優先課題に掲げているということです。
 それでは、今なぜBL13が必要かということについて説明させていただきます。
 まず1つ目、国家戦略の観点からです。2026年から2030年にかけての計画ですけれども、第7期科学技術・イノベーション基本計画が最近出ております。我々としては、この第7期計画にぜひ貢献したいと考えておりますが、この計画に貢献するには、2029年までにBL13の完成と供用が必要だろうと考えております。この基本計画の中では、「科学とビジネスの近接化」ということが書かれておりまして、基礎研究の段階から社会実装を見据えた研究開発が同時並行的に進行するという研究活動が主流であるということが書かれているのですけれども、ここを読み取ると、学術利用もしくは産業利用の色分けというのは、今ほぼ無意味になりつつあるということと、成果創出に至るスピード、つまり、即戦力装置が求められているのだろうと考えています。
 というわけで、我々のBL13こそが今求められている装置だと考えておりまして、BL13は、右の図にありますとおり、MLF最強のビームフラックスを利用することになります。さらに、既に学術利用と産業利用双方で実績のあるイメージングとSANSの二刀流装置とあります。BL13は、最新の技術を取り込むと同時に、BL15や、BL22といった既存の装置の問題点と反省点をカバーすることで、さらに機能を強化していきたいと考えております。
 次、産業ロードマップの観点からですけれども、現在、多くの産業ロードマップが2030年頃を「実証から社会実装への転換点」と位置づけているようです。右の箱にありますのが、各製造業が掲げている2030年度の達成目標になりますけれども、2030年を区切りとして、いろいろな業種のところで目標を掲げているということもありますし、左のほうに、国の掲げている方針として、GXや水素・燃料電池に関する基本方針およびロードマップがあります。今回は、特に水素・燃料電池戦略ロードマップにBL13がどのように貢献できるかというのを具体的に示していきたいと思います。
 まず1つ目が製造プロセス解析です。左下の図は、触媒インクの製造プロセスを図示していますけども、まず最初にインクを調整して乾燥させていくということですが、触媒インクというのは、触媒粒子とアイオノマの分散液になっていまして、プロセスごと、インク調整のときと乾燥初期と乾燥の終期で分散構造が変化しております。この微細構造の最適化が課題でありまして、いわゆるレシピですね。ここで何度にして、何分やってみた。そういうパラメータですけども、従来、勘やコツに頼った試行錯誤であったり、各種組合せの総当たりをしたり、膨大な費用と時間がかかっていたというところで、BL13によるハイスループット極小角SANS測定により最適化を実現したいと思っています。
 左下に書いていますけども、BL13を使って一気通貫で解析したいということです。この製造プロセスの研究が重要であるということは、アメリカ、中国が既に指摘をしておりますが、SPring-8も含めて、量子ビームを用いたin-situの製造プロセス解析に取り組んでいるのは今、日本のみなので、この強みをぜひ生かしたいと思っております。
 続きまして、水電解セル中の気泡解析の話をさせていただきます。水電解と燃料電池の関係ですけども、プロセスが逆で、非常によく似たプロセスになっています。水電解のほうは、水から酸素と水素が発生するというところで、プロセスが燃料電池とは逆であり、水電解の研究には燃料電池で培った中性子解析技術が使えることになります。
 水電解に関しましては、気泡の制御が水電解装置の効率を左右すると言われておりまして、この気泡がもたらす悪影響が幾つかあります。抵抗が増大したり、物質移動をブロックしたり、気泡が離脱するときに、電極・触媒層を劣化させたりというような悪影響があると言われております。
 まず下の図は、既存装置、BL22で気泡の分布を観察しましょうという実験になっております。こちら、水電解セルを模擬した実験でして、下から空気を送り込んで、ガスの拡散層から上に抜ける様子を観察しようとした実験であります。真ん中の図は、赤いところに、気泡がちゃんと出ていますということです。後で資料はアップするときに修正しますけども、ガス拡散層の中も一応、水と気泡が混在している様子は見えているということらしいのですけども、触媒層に関しては見えない。触媒層というのは、メンブレンフィルターのところが触媒層を模擬したものですけども、さすがにそこはBL22 RADENの分解能では見えないというところです。
 なので、ガス拡散装置の気泡は見えないと書いていますけども、これは一応何とか見えていて、触媒装置の気泡が見えないというのが正しいのですけども、そこを見えるようにするために、BL13で空間分解能10ミクロン以下を達成して、触媒層中の気泡観察に挑戦するということです。
 次、国際競争に関してですけども、パルス中性子イメージング装置の開発競争というのが日本、イギリス、アメリカ、ヨーロッパ、中国で熾烈に行われております。「なぜ、世界中がこぞって中性子のイメージング装置を作ろうとしているのか?」というところですが、これは単なる施設間の競争ではなくて、自国の産業を下支えする国際競争力の強化を意識しております。2030年頃までには各国の新規イメージング装置が出そろうという状況にあります。
 日本の2台目の黄色い矢印がBL13です。1台目、BL22ですね。BL22は世界に先駆けてパルス中性子イメージング装置を作って運用した実績があります。この成功を見て、各国、追随してきているわけですね。だから、このBL13を作らない限り、我々のプレゼンスはどんどん凋落していくということになります。
 次ですけども、極小角SANS装置の開発競争についてもお話しさせてください。国内の状況としましては、JRR-3にPNOという装置が今、動いております。この装置は、測定時間の長さがネックとなって、多くのユーザーが海外装置へ流出しているということを3号炉の皆さんから聞きました。海外に行ける人はいいのですけれども、海外に行けずに、実験そのものを諦めたユーザーさん、企業の皆さんもいらっしゃるようです。これはユーザーだけではなくて、技術とか知見等も流出していることになって、いろいろ問題があると思っています。BL13を実現できれば、測定時間はPNOの20分の1程度になると思っておりまして、国内ユーザーの呼び戻しが可能になるだろうと考えております。
 一方、海外に目を向けますと、イギリスのISISにLarmorという装置があるのですけども、これは現在、世界最高性能で、我々のライバルになる装置であります。「d-max」と書いていますけども、どの程度の構造の大きさをターゲットにできるかの指標です。つまり、マイクロメータギャップにどれだけ迫れますかということだと思っていただいて結構ですけども、BL13の目標の「d-max」は50ミクロンです。定常炉に関しても、幾つかオランダの装置でもSESANSの装置はありますし、中国でもあるという状況にあります。
 左下の図は、今年の2月に発表されたISISのホームページに出ている実験例ですけども、牛とヤギの乳タンパク質の構造解析に関する研究例です。このようにフードテック的な研究成果ですが、Larmorからも今、顕著な成果が出始めてきております。
 BL13とLarmorは線源勝負です。これは強度で10倍の勝ち目があるので、これは絶対勝てるというところです。もう一つ、BL13を成功させるキーとして、超電導Wollastonプリズムの開発をしなければいけないのですけども、こちらも最近、JRR-3のスタッフである大学とJAEAの皆様や、KEKの低温センターの皆さんにもご協力いただくことができまして、こうした施設間連携によって、超電導マグネットの開発を加速して、BL13に実装していくという流れが今できております。世界最高性能のハイスループット極小角SANS装置を実用化するのがBL13であるということです。
 最後、まとめますと、2029年というのは、国家戦略、産業ロードマップ、国際競争の3つの波が重なる唯一の年であって、このタイミングでBL13を稼働させることが、日本が次世代産業の国際競争で主導権を維持するための最低条件であると考えております。下の年表にありますとおり、今がぎりぎりのタイミングだというのが我々の認識であります。
 発表は以上となります。ありがとうございます。
【有馬主査】  ありがとうございました。ただいまの御説明につきまして、御質問、御意見等ございましたらどなたからでも結構ですので御発言をお願いいたします。
 河野委員。
【河野委員】  どうもありがとうございました。国際競争のところで確認させていただきたいのですけれども、9ページと10ページで御説明いただいた、例えば、今、世界最高性能というのがLarmorのイギリスで稼働中なのですか。これは9ページでいきますと、どの矢印のところに相当するのですか。
【中村副ディビジョン長】  9ページはイメージング装置で、10ページ目が小角散乱です。
【有馬主査】  いや、そうではなくて、さっきので言うと、イメージングというのがどんどん小さいほうに行って、小角がこちらに行っているので、ギャップを左から埋めるほうの話です。
【中村副ディビジョン長】  そうです。
【河野委員】  そういうことなんですか。だから、見ているものが違うということですね。分かりました。ありがとうございました。
【有馬主査】  古川委員。
【古川委員】  古川です。今のページですけども、イメージングのほうで言うと、これは1台目、2台目、各施設が作っているところで、長さの領域としてどんな領域を作っていて、今、日本が足りていないかというコメントありましたらお願いしたいのですけれども。
【中村副ディビジョン長】  空間分解能と強度というのがトレードオフになっていまして。強度が強ければ強いほどより短い領域に迫ることができるということになるのですけども、そういう意味で言いますと、先ほどの志満津さんの資料の7ページ目に、BL13の強度というのが、世界の施設と比べて書いてあるのですけども、BL13というのは、強度が今、圧倒的に強いので、より短い領域に行けるポテンシャルがあるということです。
【古川委員】  そういう意味では、さっきISISやSNSで作られている2台目に関して目標とされているところというのが、今からでも日本がカバーし切れる領域ということになる。
【中村副ディビジョン長】  線源だけではなくて、もちろん検出器の開発とかいろいろあるのですけれども、MLFは線源が強いというのが圧倒的なアドバンテージなので、そこを利用して、周辺機器の開発も含めて勝っているということです。
【古川委員】  分かりました。ありがとうございます。
【有馬主査】  そのほかいかがでしょうか。久米委員。
【久米委員】  花王の久米です。御発表ありがとうございました。BL13の必要性ということは非常によく分かったかなと思って、聞かせていただきました。先ほどの推進協からの発表の中にも、イメージング、それから、小角というのは非常に需要が高くて、産業のほうでは足りないというようなところがあるのと、今回の中村様の御発表はどちらかというと、新しい、こういうことができる。そのためにも必要だというようなお話があって、その2つの面があると思うのですが、今、新しいBL13ができた場合に、足りていないものというのが、それなりにちゃんと需要に対応できるかどうかとか、やはり新しいものをやったら新しいものも必要、使いたいと思うことがあると思いますので、その辺の見積りとかなかなか難しいと思うのですけども、お考えとかがあればお教えください。
【中村副ディビジョン長】  BL13は、今日はSESANSの話ばかりしたのですけど、通常のSANSもちゃんと使える装置にします。多分そちらのほうがユーザーさんは多いのでしょうけども、そういう意味で、今、混んでいる3号炉も含め、小角散乱のニーズというのはそこで吸い取れると思います。
 イメージングに関して言うと、通常のイメージング実験であればBL13が最適なのですけども、そうではなくて、ブラックエッジイメージングとか、シャープな中性子ビームが必要な実験はBL22が向いているので、イメージングの装置の中で、その辺がだんだんすみ分けがなされていくのだと思います。
【久米委員】  といいますか、具体的にこの辺ぐらい充当して、倍率が適切になっていくとかいうような見積りとかがあるかというようなことなのです。なかなか難しいかもしれませんが。
【中村副ディビジョン長】  難しいですね。新しいSANSがJRR3にもできますし、その辺もいろいろ勘案できると思いますので、とにかくニーズが高い装置だという認識で、利用機会は提供しましょうと思っています。
【久米委員】  分かりました。ありがとうございます。
【有馬主査】  そのほかいかがでしょうか。では、矢橋委員。
【矢橋委員】  理研の矢橋です。どうもありがとうございます。このBL13のお話、2025年の6月にもお話をお伺いして、技術的にも非常にきっちりやられていて、今のやり取りでもありました必要性も非常に高いということも十分な説明をいただきました。それで、私はてっきり、もうこれは予算化されて進んでいるのではないかと思っていたのですけども、まだこれからという段階ですね。
【中村副ディビジョン長】  そうですね。
【矢橋委員】  そこがやはり予算の問題が一番クリティカルということでしょうか。技術的には全て解決されているという考えでよろしいでしょうか。
【中村副ディビジョン長】  開発項目はあるのですけど、先ほどのWollastonプリズムの話をしましたが、そこはまだ開発項目が残っているのですが、まずは、お金が今、何もついていないので、今、停滞しているというところです。
【矢橋委員】  なるほど。ただ、これは産業界も含めて非常にニーズは高いと思いますので、多角的なバジェットソース、それも恐らくイニシャルのインフラであったり、継続的なオペレーションフェーズになったときの投資であったり、いろいろなことが可能性あると思うのですが、その辺りの検討状況、いかがでしょうか。
【中村副ディビジョン長】  すみません。質問の意味がよく分からなくて。
【矢橋委員】  つまり、多角的なお金が必要だということだと思いますので、いろいろな予算を検討はされていると思うのですけど、その辺りの状況が。
【中村副ディビジョン長】  それはそれこそ文科省さんとも相談になると思うのですけど、まずは、いわゆる共用ビームラインとしての申請も考えているのと、内閣府が出すSIPにそれも挑戦して書いてみるとか、予算の意味では、多角的に取りに行けるものを取りに行くというように、いろいろ考えているところでございます。
【矢橋委員】  ありがとうございます。
【有馬主査】  ありがとうございます。まだ議論があるかと思いますが、時間ですので、次に行きたいと思います。川北委員より資料5について御説明をお願いいたします。
【川北委員】  よろしいでしょうか。4月よりCROSS中性子科学センターに移りました川北が報告させていただきます。「ユーザーフロントエンド」計画byCROSSということになります。
 CROSSの中性子科学センター、登録期間としてですけれども、第4期をこの4月から迎えました。第4期で、「中性子をもっと身近に。研究と産業に新たな推進力を」というのを評語に進めているところです。4つ項目を上げていますが、そのうちの3つ、赤字で示したのは、次のページで、ポテンシャルユーザーや、4-2、AI、DX、幾つか書いてありますが、それを簡単な標語で言いますと、ポテンシャルユーザーへのアプローチをやっていこう、AIコンシェルジュ・DXの最大利用をしていきましょう。CROSS Neutron Plazaというのは新事業としてやっているところですけど、伴走型コンシェルジュを実践していこうということをもう既に始めようとしております。
 今の仕組みですけども、J-PARCの中で、計測DX統合環境というものを整備しようとしています。今、J-PARCで、高品位の成果創出をするためのボトルネックになっているのは、結局、利用者が課題を、どんな課題を持っているか、その解決方法の提案や、実験の実施、成果創出に至るプロセスにすごい多くの手間がかかっていて、そこにすごい時間がかかるのですね。それが利用者と施設双方の負担になっています。ここをAI、DXを利用しながら一気に加速させようというのが計測DX統合環境の考え方です。これを5年程度で整備していこうとしています。
 大きなものとして、System A、B、Cと上げてありますけど、System Aは入り口のところですね。ここにAIコンシェルジュを整備したいと。我々の強みというのは、過去のデータがいっぱいある。特に実験報告書だったり、申請書だったり、そういうものがたくさんありますので、それらを利用して、課題の分析をしたり、解決方法を提案するような生成AIというのはすぐにつくれるというところで、そういうものをやっていこう。さらに、課題申請書の作成支援、申請支援。場合によっては、課題のスクリーニングと。既にもう話題になりましたが、そういうことも可能ではないかと考えております。
 System Bのところは、これはどちらかというとデータ公開に関わるような部分ですが、課題、実験装置、試料環境、化学薬品など、いろいろなものを登録していくわけですね。その登録が結構煩雑で難しいというのはユーザーがよく言われることなので、これをワンストップで実験準備が整う環境を構築するというのと、ビームタイム配分というのが自動的に効率的にできるようなシステムというのがあるだろう。
 System Cとしては、実験支援。これは出口のほうをやっていこうと。実際に共用ビームラインを使って、このシステムというのを試作している段階です。プロトタイプ的なものをつくっていこうとしています。Aのところは、例えばこれは共用ビームラインのBL02という中性子準弾性散乱に沿ってですが、その実験報告書を入れ、データとして入れ、装置グループから白球を入れたりしながら、NotebookLM等を使ってアシスタントを試作したりしております。
 そうすると、いろいろな問いを投げると、それなりに正しい答えを導いてくれるような感じに、実はもう仕上がっています。まだこれは公開されていないのですが、今、どういうふうにバイアスがかかるのかというところを我々の中で勉強しているところなので、これを今年度中にいろいろな装置に展開していって、オープンにできるような方向を今、目指そうとしています。
 System Bのところは、これはいろいろな登録システムがばらばらで、連携がよくなかったというところがあって、これが実はデータ公開にとって非常にデメリットになっているので、それを一気に解決するためにシステムを統合していこうということを今進めています。
 System Cのほうは、これもBL02の例ですが、例えば中性子準弾性散乱の絵ですが、ノイズの大きいガタガタしたスパイクがありますが、その辺のところを実は関数フィッティングするということはこの実験にとっては重要ですが、そういうところにベイズ解析等の統計解析みたいなものを導入していこうというつくり込みができていたりしています。そういうことによって、例えば計測時間をちゃんと見積もってやるとか、出てくるデータをちゃんと標準的に解析してやるとかそういうことが可能になろうとしています。
 特に今のSystem AのAIコンシェルジュの部分だけを考えてみますと、量子ビームワンストップ窓口というものができるだろうと考えています。解決したい課題を持ったポテンシャルユーザーがいたとして、その人は量子ビームで何ができるのか分からない、どこにどのように聞けばいいか分からないというふうに、的を射た問合せは初心者に難しいわけですね。ここで中性子を例に、いろいろな施設があって、どこに問合せするのか分からないという状況があります。これが一元化された問合せ窓口、あるいはAIコンシェルジュができると、ユーザーはAIコンシェルジュに対して、まず課題解決にどんな手法があるのか、量子ビームでできることはあるのか、どうやって利用するのかということをChatGPTに聞くような形で問合せができる。その得た知識を持ってワンストップ窓口に申請すると、どの施設でどういう装置を使えばどういう成果が得られるかというのをちゃんと導いてくれて、場合によっては申請書を書いて提出するところまでサポートしてくれるのが理想であると。さらに量子ビーム利用の経験のない研究者にとっては、例えばAIコンシェルジュを使うことによって科研費の申請書を書くときに、その研究計画の中に、量子ビームでできることを入れ込んでみようということができるわけですね。こういうユーザーが、研究費が当たると確実に量子ビームユーザーになってくれる。これも新たな裾野を広げるための戦略になるだろうと思っています。
 また、J-PARCにとっては、伴走型コンシェルジュ、利用者支援を実装することによって、実験準備期間を最短にして、実験実施ができるようになる。あるいはAIも活用した標準的なデータ解析により、より早く成果まで導くということができるようになります。そうすることによって、成長戦略17分野の以下のような分野で既に多くの成果が出ているわけですけども、今後も新たな成果が期待できると考えています。
 こういうふうに、J-PARC、JRR-3いろいろな窓口があるわけですけども、そうした大型施設の間ではもう連携ができてきている部分もあります。J-PARC、MLF、TS1というのは我々が見ているところですけども、実は同じ敷地内に、500メートル離れたぐらいのところにJRR-3という研究炉が隣接しております。このパルス中性子源と定常中性子源が本当にすぐそばにあるという、非常に良い環境が原子力機構の中にはあります。
 現在、連携協力している中性子・ミュオンポータルサイト、J-JOINの共同運営だったり、産業利用推進協議会も御協力いただきながら行っている中性子産業利用報告会の共催をしたり、中性子・ミュオンスクールの共催をしたり、あるいは、兼務スタッフによる共同研究開発ができていっています。
 その中で、例えば昨年、いろいろ議論した中で、今年度から、JRR-3、SESANS、ハイスループットのSANS装置というのをかなり産業寄りの装置を造ろうというふうに予算措置もされたと思います。その中で、右下の部分ですね。物性研が持っていた、3号炉に持っているiNSEというスピンエコーの装置の移設が必要になったと。移設する際に、移設しながら、かつ、ここはまだ予算化されていないと聞いていますが、高度化しようとされています。高度化して、超伝導コイルを導入して、フーリエタイムを一気に増やそうという、長くしようということを考えられている。移設と高度化によってブラックアウトタイムができるのですね。日本にあるスピンエコー装置が、これが長い時間の装置が使えないということになります。
 幸いMLFのBL06にもスピンエコー装置、ミーチェタイプのスピンエコー装置があります。時間領域は少し限られるのですが、かぶっている領域もありまして、この時間にiNSEユーザーが、課題数は絞るかもしれないのですけど、BL06に申請することが可能であるということ、そういう協力ができるということです。
 また、iNSE側では、超伝導コイルを導入することが重要ですが、ここではJ-PARCのBL06なり、低温セクションがその設計に協力するということが既に始まっています。さらに今、中村副ディビジョン長から報告がありましたとおり、BL13番という装置がSANSとイメージング装置の間を埋めるような、マイクロメータギャップを埋めるような新しい測定技術を導入しようとしています。こういうものが合わさって、連携して、政府の戦略17分野の、ここに真ん中に書いてあるようなこういう領域で様々な成果を出し続けるだろうと考えています。
 解決すべき課題もありまして、実は法律が違うというところで、測定資料の施設間移動というのがなかなか難しいという問題があります。これは何らかの形で解決したいと常に思っているところです。J-PARC側では資料の前処理、後処理のラボをかなり整備してきているのですが、JRR-3側からもそのラボを利用したいという声もありまして、そういうところが予算措置とかいろいろな関係でどういうふうに乗り越えられるかと、これから整備していかないといけないところです。
 大型量子ビーム施設間の将来的な理想像を考えたときに、TS1、MLF側ではJAEA、KEK、CROSS、それぞれ予算措置が違うのですが、これに統一的なユーザーフロントエンドを運営して、伴走型利用者支援を一体として導入したいと考えています。
 JRR-3との間では、相談窓口や申請窓口、申請書フォーマット、場合によっては審査の共通化で、課題採択時の施設を超えた利用機会最適化というのができればいいだろうと。このためにはユーザーフロントエンドの一体的運営が必要ですが、ここをCROSSに担わせてほしいと考えています。それが将来的なMLFのTS2建設や、新試験研究炉の建設、あるいは新量子ビーム施設、JRR-5とというような大竹さんが言われた施設が建設されるだろうと。そこの段階では、やはりリソースを効率的に使っていきたい、共同で技術開発、いろいろな共通項目があります。これはやはり共同でやっていけるということが非常に大事です。
 実際にそれで施設ができた後は、既存のユーザーフロントエンドがあるわけですから、それを導入して、すぐにビーム利用の当初から本格運用ができるという形になっていくと。そういうことによって、中性子利用の将来像が出来上がってくるだろうと思っています。
 その中で一体的運営体制の構築と課題ということが記載してありますけども、J-PARCで進める計測DX総合環境を基盤にして、ユーザーフロントエンドの一体的運営をCROSSが担いたいと。J-PARCとJRR-3の協働を支えるような体制を目指したいと思っています。そのためには、CROSSが利用料金やデータ解析利用料を一元的に徴収し、それを運営に還元するような仕組みを構築することが必要だと思っています。ワンストップに必要な費用、他の施設の支援ができるような連携予算なり、何らかの仕組みづくりが必要であって、この辺は文科省さんとも相談していきたいと思っています。最終的には効率化が達成されると思いますが、それまではやはり人員増が必要であるということも訴えていきたいと思います。
 SPring-8のブラックアウト対応ということがありましたので、ここで一言言いますと、中性子・ミュオンを使って、SPring-8のブラックアウト対応ではないですが、その期間に中性子・ミュオンを使って、プラスアルファの成果を出しませんかということも提案したいと思います。
 8サイクルの利用運転というのを、176日ですが、それを毎年、我々は要望していて、ここ数年は7.2サイクルを基準として運転を認めていただいております。
 その中で、現在、共用ビームライン7台で、New User Promotion課題を受け付けて、中性子の初心者支援をしています。その中では、日本語申請も可能にしていますし、申請書作成の事前相談をしています。
 ブラックアウト対応として、8サイクル利用運転ができるということであれば、共用ビームライン以外の中性子・ミュオン実験装置にもNUP課題を拡大して、放射光に習熟しているけれども、中性子は初心者であるという方々の利用促進を行うために使いたいと。そのために8サイクル運転を強く要望します。その中では伴走型利用者支援を実装していきたいと思っています。相談窓口はJ-JOINということになります。
 まとめますと、ユーザーフロントエンド計画として、Step1として、J-PARC内で、まず計測DX統合環境の構築、AIコンシェルジュの全ビームライン適用を図っていきます。Step2として、J-PARC内での伴走型コンシェルジュを開始したいと。Step3としては、AIコンシェルジュの施設間連携による量子ビームワンストップの窓口を運用していく。Step4は、CROSSによるユーザーフロントエンド一体運営、各種利用料金の一元徴収と運営への還元の仕組みを構築していく。これにより、全国の量子ビーム施設間のシームレスな連携が実現しますし、量子ビーム利用がよりシステマチックになり、開発プロセスに組み込まれることにより、科学研究と社会実装の一体的推進というのが実現します。
 ポテンシャルユーザーがより量子ビーム利用を取り入れやすくなるということで、外部資金申請段階で計画策定にも利用されることにより、若手研究者の研究力向上に寄与できます。また、将来建設される新量子ビーム施設へ即応できるようなことで利用機会の最大化にも貢献できます。
 なぜCROSSがというところですが、施設間連携を横に広げていくために、施設に縛られない組織がまとめやすいのではないかと考えています。
 なぜ今かということに関しては、AIはやはり進歩が急速で、今、始めないと海外に大きな遅れをつくる。第7期科学技術・イノベーション基本計画の推進のためには、今、始めないといけないということを考えています。
 以上です。
【有馬主査】  ありがとうございます。ただいまの御説明につきまして、御質問、御意見等ございましたら、どなたからでも結構ですので御発言をお願いいたします。
 梅垣委員ですかね。
【梅垣委員】  ありがとうございます。KEKの梅垣です。大変よい御提案をいただいたと思います。私たちも、あまり明示されていなかったと思うのですけれども、量子ビームワンストップ窓口にはぜひミュオンも含めて、進めていただければよろしいと思います。
 課題提案だけとりましても、その支援というのは私たちの重要な仕事ではあるのですけれども、例えば定型的なところや共通化みたいなところがAIで簡略化できると、私たち施設側が楽をしているのではなくて、私たちが注力できる部分というのがほかのところにできて、研究者の力と時間を新しいアイデアとか、新しいアイデアをもう少し深掘りするとか、そういったところに注力して、よりよい研究にしていくことができると思いましたので、施設だけではなくて、ユーザーにとって結果的にプラスになる御提案と思いました。
 コメントです。ありがとうございました。
【川北委員】  ありがとうございます。J-JOINというのは、中性子・ミュオンポータルサイトで、ミュオンももちろん入っていて、今回は中性子の施設間連携というのを中心に話させていただきましたけども、ミュオンは重要なJ-PARCの一部ですので、一緒にやっていきたいと思っています。お願いします。
【有馬主査】  中川さんから。何かコメントでしょうか。
【中川理事長】  JASRIの中川です。量子ビームのAIコンシェルジュ、窓口ということで、ユーザーから見るといろいろな、要するに、問題解決が大事でということで、使うビームは、ある意味、何でもいいというところであると、放射光の我々も同じようなことを検討しているので、ぜひ御協力させていただければと思っております。よろしくお願いします。
【川北委員】  ありがとうございます。AIコンシェルジュというのを考えたときに、いろいろな施設のいろいろな装置がその中にちゃんとデータとして入っているということは非常に大事で、その段階では当然、放射光が入っていることももちろん大事だと思っていますので、そういう横展開ができるようなことをぜひ一緒にやっていければと思っていますので、よろしくお願いします。
【有馬主査】  柴山センター長からもしコメントがありましたら。
【柴山センター長】  CROSSの柴山でございます。私はこの5月をもちまして退職して、今度、川北次期センター長に譲りますが、今回はこのような機会を与えていただきまして、誠にありがとうございます。御挨拶というか、今の議論の中で少しコメントさせていただければと思っています。
 まずJ-JOINは2年ほど前に私から提案させていただきまして、残念ながら予算化までは至らなかったのですけど、CROSS内でできる限りのことをやっておりまして、限られた予算、それから、マンパワーですね。CROSSは大体60人ほどの定員しかありませんし、2023年から始まりました茨城県ビームラインのスタッフを入れても70人強という状況であります。その中で、J-JOINに関しては全力を尽くして行っております。それまでも持ち回りでしたけど、それをCROSSが事務局を担当するということで、組織的に今、動けるような形になっております。そこには私も将来含めまして、シニアパワーを活用するとか、放射光、中性子、両方知った人をさらに活用したいと思っているところであります。
 それから、先ほど高橋委員から御質問がありました、AIをどう活用していくかや、申請書をどうするかということに関しましては、先ほど川北からの話もありましたように、ローカルランゲージモデルなど、LLMなど、今検討しておりまして、実装する形で進めております。卑近な例でありますと、私自身の論文から総説等々を読みましてチェックすると、非常にいい回答を出してくれております。これは業者に頼みますと、契約したりして半年前という形になってしまいますが、その間にもう日進月歩で進んでいくことを考えますと、日夜勉強してやることが大事だということであります。
 そういうことで、両方見ながら、今、進めているところが、今日お話ししたAIの話です。先ほどもう一つありましたスクリーニングに関するコンタミとかいろいろな問題がありますけど、まずスクリーニングに関しては、重複申請、コピー申請、剽窃などがあります。例えば大学の博士論文などもそうですけど、それをあらかじめスクリーニングする。まず一次スクリーニングと、サイエンスそのものではなくて、そういうテクニカルなところのスクリーニングが入って、その次に、今言いました内容に関して持っていければと考えているところであります。そして今、現在募集中でありますAI for Science、ARiSEのほうにも申請していく方向で今、検討していると考えております。
 それから、CROSSは、これまでもそうですが、非常にユーザー目線というか、ユーザーに近いところに位置しておりまして、多数の御意見を聞いてきております。例えば、機能性高分子コンソーシアムというのを3年ほどやりまして、それから、量子ビーム分析アライアンスが終わって、現在、CROSS Neutron Plaza、今日の資料にも入っておりますが、そういう形でどんどん洗練された形で、限られた資産の中でいかにユーザーに使っていただけるか、利用していただけるかということを検討しております。
 さらに望むらくは、ぜひ予算化等、あるいは規模を大きくして、このプログラムに協働していただければ、放射光、さらにほかの量子ビームという形で広げていければと思っているところであります。どうぞこれからも御支援をお願いしたいと思います。
 以上でございます。
【有馬主査】  ありがとうございました。
 まだいろいろあるかと思いますが、時間の問題がありますので、次に行かせていただきます。
 続きまして、日本放射光学会の山本会長より、資料6について御説明をお願いいたします。
【山本会長】  放射光学会長を昨年10月から務めております山本雅貴と申します。
 本日は、いろいろ発表内容について御指示いただきましたので、それにできるだけのっとる形でお話を進めさせていただきます。
 まず全体の内容ですが、最初に放射光学会を簡単に説明させていただいて、産学官から見た放射光の位置づけ、そして、運転停止期間中に求められるいろいろな対応、今後の方向性・将来構想、あくまでも現状分析に基づく課題というような形。最後に、将来構想実現に向けた工程と学会の役割というお話をいただいておりますので、その辺りについて順にお話しさせていただきます。
 そもそも放射光学会、目的と業務内容ということを1枚目に出しましたが、基本的には放射光科学、放射光技術、及び、これらに密接に関する学問、総称として「放射光学」の進歩と発展を図り、社会貢献を目指すということを当初の目標としております。それらの中で、学会自身としては、「迅速な内外の情報交換の場」であるという位置づけで、学会運営しております。
 主な事業内容でありますが、学術的会合の開催ということで、年会・シンポジウム、放射光学会年会・放射光科学合同シンポジウムを年に一度、年明けに開催して、会員に研究発表や討論の場を提供する。さらには、講習会・研究会ということで、基礎講習会、若手研究会などで、人材育成と新しい若手の展開を議論する場を提供するということを進めております。
 あと、学会誌の発行、国際交流、アジア地区での放射光のアジアオセアニアフォーラム等の主要メンバーとして活動等をしておりますし、顕彰、他団体との連携。先ほど大竹会長からもお話ありましたが、量子ビーム関連学会との連携等をいろいろ進めております。
 学会の現状ということで、会員総数に関しましては、スタート時から2倍程度の現在、1,200人規模、学生会員は現時点では200人を超えるという比率で推移しております。年会・合同シンポジウムは、最も大きなイベントになります。参加者数の推移ですが、コロナの時点、明けではかなり減少しておりましたが、徐々に回復して、特に今年、正月明けの東北での年会では、NanoTerasu、さらには、北川先生のノーベル賞受賞に伴う記念講演等もありまして、非常に多くの参加者を得ることができております。
 非会員の方が20%前後ということで、学会そのものが、スタート時は施設者を中心にパワーユーザーまでというような学会だったものが、徐々にエンドユーザーの皆さんにも参加いただけるようになりつつあると理解しております。
 続きまして、現状の2枚目ですが、会員数1,217名、188で、特別賛助会員ということで、放射光施設関連の機関の皆様にも賛助会員として加盟いただいております。
 続きまして、ここからが本題になりますが、放射光の位置づけ・必要性ですが、放射光は、全ての面で広範な学術分野や産業応用において「なくてはならない」強力な研究開発の基盤ツールと位置づけられていると我々認識しております。その必要性としては、学術・技術革新と国際競争力の強化という面において、一番基盤ツールの一つであると理解しております。
 あと、それは何を生むのか、地球規模・社会的な課題の解決につながるものであると。カーボンニュートラル、GX社会の実現等、現在、我が国においてもいろいろ議論されている内容、さらには、食、薬の安全、自然災害や感染症リスクの低減、社会にとっても安心安全のツールとして非常に重要であると。さらには、その結果として国民生活の支えと経済安全保障の観点から、我が国がこれから科学立国として頑張っていくためには、技術の流出を防ぎ、自分たちで全ての技術開発等を進めるためにも必要なインフラ、社会インフラだと考えております。
 そういうような大変重要な施設でありますが、放射光学会として、SPring-8の「ブラックアウト」期間への対応をどうできるのかという問いをいただいておりますが、学会といたしましては、「ブラックアウト」期間への対応について自らが直接的なユーザーサポートのリソースを出すことは、基本的には学会である限り、できないということで、国内各施設が連携した取組を側面から支援し、また、放射光ユーザーの皆さんに向けて情報提供と政策の提言を行うという立場で対応を進めていきたいと考えております。
 一番重要なポイントは、高度人材の維持と雇用の安定化の提言ということで、以前から、現委員会の前、特別委員会から進めている議論の中で、ブラックアウト期間における放射光コミュニティの最大のリスクとしましては、利用支援や施設の技術基盤を担ってきた高度人材の流出ということが危惧されています。ビームが供給されない期間ですね。人材の位置づけが現時点では不明確である。その部分を危惧して、少なくとも以下のような制度的な枠組みの整備が必要であると考えております。
 基本的には、SPring-8の人間だと思うのですが、他施設でのユーザーのための利用支援業務への展開ということが必要ですし、SPring-8-II時代に向けた最先端の利用技術開発、利用支援環境の整備等に従事する必要がある。それを進めなければ、せっかく光源がよくなっても、利用技術そのもの、サイエンスが進まない。そして、技術開発や高度化業務に従事する研究者・技術者の雇用そのものが安定的で減らないこと。ただでさえ足らない人間がここで減ってしまっては、次、せっかく光源をよくしても何もできなくなってしまうという危機感を学会としては抱いております。
 また、学会としての取組としては、施設間および放射光ユーザーへの情報交換・提供と連携の促進と。各施設が協力して放射光ユーザーの代替利用を受けるための連携や、その取組について学会から広くユーザーに情報公開を支援していきたいと思っております。
 あともう一つ、次の視点としましては、ブラックアウトを「改革と人材育成の契機」とする逆転の発想を取りたい。ピンチとするのではなく、チャンスとして、様々な障壁があろうかとは思いますが、全国の施設間の連携・協力体制を新たに構築する改革の契機と捉えていきたいと。これにつきましては、現在、放射光科学将来構想特別委員会というものを学会内で組織して、これから議論していきます。4月からになっておりますので、まだ議論の取っかかりでしかないので、お話しすることはできませんが、そのような取組を進めていきます。
 あと、様々な機関、組織が取り組んでいる人材育成の取組についても支援できればと思っております。その中で学会として取り組んでいるコミュニティ活性化に向けた教育連携の強化、人材育成につきまして、次の資料のページです。
 新規潜在ユーザーの開拓ということで、放射光ショールームということでオンライン講習会、ユーザーの皆さんに放射光の魅力を直接伝える企画として、オンライン講演会をまずは来月辺りからどこかで1度目を開催しますが、複数回、サイエンスの視点からの放射光利用をオンライン講習会で広く、直接参画していない研究者の皆さんにも広めていきたいと。視聴者と講演者のマッチングというものも取り組んでいきたい。あと、基礎講習会というものを現在続けておりますが、放射光導入教育であると同時に、講師を育成していく。しゃべる人もしっかり勉強してもらって、聞く人、教える人、両者とも若手専門人材育成機能を持たせようという議論を進めております。
 あと、専門技術の継承と教育ということで、若手施設者、専門人材を対象とした技術継承の講習会、施設との連携、逆に言うと、今回、停止期間中、特に人材が交流していかねばならないという考えがありますので、その中で人を育てていきたいと。
 あと、分野融合も推進していきたいと思っております。
 続きまして、潜在ユーザーの開拓と利用最適化、当然、CROSSの皆さん、大変すばらしい論点でもお話されていました。我々としてもそれと類似なことというよりは、より直接的な施設者ではないので、情報提供、いろいろなコンテンツを充実させて、一般潜在ユーザーへの見える化、それから、実験手法と何ができるか。全く新規参入の促進をしたい。それから、各施設の特徴を紹介するような、ワンストップではありませんが、ショールームを学会ホームページで開催というか、設置できればと考えております。具体化に向けては、敷居の低さ、柔軟性、目新しさで、LLMでの情報公開を現在、検討を進めております。
 先ほどからセキュリティだというお話が出ておりますので、公開できる情報、あくまでも公開情報から我々は拾ってきて、導きの情報提供ということで、学会としては進めていきたいと思っております。実際は、施設者ホームページへのリンク等で、詳細は正確な内容等は全て施設者側の情報に頼りたいと思っております。
 続きまして、学会、放射光(学会)中心では見ておりますが、今後の方向性・将来構想、現状分析に基づく課題ということで、全体的な方向性と将来構想。「放射光科学」への再定義とコミュニティの拡大。放射光そのものというより、学会といたしましては、放射光技術からより広範な研究者・技術者が利用する社会基盤としての、ここで言う研究者は一般的な研究者ですね。「放射光科学」へと活動範囲を広げて、ユーザー層を開拓したい。それによって、国家・地域規模課題解決のプラットフォームとして、より今まで以上に放射光を魅力あるものにしていきたいと思っております。
 次世代半導体、カーボンニュートラル、Society5.0、未来産業、社会課題を解決する等、いろいろ検討があるかと思います。
 続きまして、施設間の相互補完とネットワーク化。重要なのは、施設間がしっかりネットワーク化されていくことだろうと考えております。課題ですが、老朽化、国際競争の激化、そして、人材基盤の弱体化、SPring-8のブラックアウト期間への対応、さらには、利用制度の分断ですね。施設ごとに申請、選定、支援が縦割りである点、その辺をぜひとも解消していければと思っております。
 そうした中、ちょっと大きくカテゴライズさせていただきまして、共用、学術、地域。フラッグシップ施設、大学の研究機関、そして、中小、産業利用施設という視点から、それぞれの位置づけ、さらには課題を一旦整理します。共用施設、大型フラッグシップ施設、SPring-8等ですが、共用法に基づく世界トップレベルの共用施設です。我が国の研究力・競争力を牽引するプラットフォーム。学術施設、PFですとかUVSOR、HiSOR等については、新しい共通基盤技術や最先端の計測手法の開発、さらには、学生、若手研究者の教育・実習の場として広く活用していければと思っております。
 さらには地域施設ですね。中小の汎用・産業利用施設。AichiSR、SAGA-LS、NewSUBARU等ですが、「誰でも使える放射光」として、参入障壁を下げ、地域密着型の「ホームドクター」となれるようにうまく機能していただければと思っております。共用施設に関してはとにかく早期のアップグレードが重要。あと、データ量の増大、実験効率化の壁というものがあると考えております。
 それについては、トップ性能への進化。SPring-8-IIへのアップグレードを早期に確実に実現していただきたい。さらには、戦略利用の創設、DX推進というものが重要になってくるかと思います。
 学術施設。基本的には、持続的な運営基盤を早期に確立して、既に提案が出ておりますが、アップグレードが必要であれば、早期のアップグレードを実現する。人材育成と学術開拓の中心拠点と位置づけていければと考えておりますので、ぜひとも学生教育の充実を期待したいと思います。
 地域施設に関してもやはり老朽化の改修と資金確保。将来目標は、とにかく「ホームドクター」としての機能。隣の隣にある放射光ではないですけど、ぜひとも2次アクセスな施設として広く独自の効率化を進めていただければと思います。
 個別がありますが、全体に共通する課題と将来目標といたしまして、とにかく現状、施設を支える高度人材の不足。もう高齢化甚だしい分野ではないかと考えております。施設ごとの利用制度が分断されているということで、人材育成、とにかくもう待ったなしで、ぜひとも施設間の人材交流、さらには次世代を担う若手人材とキャリアパスの多様化を進めていただきたいと思います。
 あと、コミュニティ全体で連携した人材育成を進めながら、日本の量子ビーム全体をシームレスにつなぐワンストップ窓口、既にもういろいろお話しいただいているところでありますが、ゲートウェイの設置が今後重要ではないかと考えております。図らずも文言は一緒になりましたが、コンシェルジュ機能、さらには料金制度、データパッケージ制度の導入等が重要かと思います。
 最後になりますが、将来構想特別委員会を設置して、将来のビジョンを責任持って学会として提言できればと、現在、議論を進めております。
 以上になります。ちょっと長くなりましたが、ありがとうございます。
【有馬主査】  ありがとうございました。今の共用のところに関連して、石川センター長より、「AI for Science時代における共用促進法の課題」というところを御説明いただければと思います。よろしくお願いいたします。
【石川センター長】  理化学研究所、SPring-8センターの石川でございます。「AI for Science時代における共用促進法の課題」ということでお話をさせていただくわけでございますが、もう終了時間を過ぎているようですので、非常に簡単にやらせていただきます。
 まず1ページめくっていただいて、AI for Science時代、まずこの「AI for Science時代」が何かということが問題にはなるわけですが、なかなかAIがいろいろな使われ方をしている。共用促進法をつくった1994年は、もう30年以上前になるわけですが、そのときには、皆さんが施設にやってきて使うということが当たり前で、そのときに大型施設については広く公平な利用機会を提供するということで、共用法ができたわけです。
 ですが、だんだんもう30年たつと状況が変わっていって、施設に来ないで使う人がいっぱいいるとか、Agentic AIができたということは、科学研究のやり方をもう根本的に変えてしまっているわけでございます。SPring-8が生み出す大量の測定データをAIが解析して、自動的にディスカバリーを生み出す時代が来つつあると。研究者がそこから新しい知を生み出すことに注力できるように、ソフトとハードのオープンなプラットフォームが不可欠だと認識しております。
 この30年以上前に整備した「巨大な施設」の共用という考え方にとらわれずに、運用しながら柔軟かつ不断に設備と活用法の双方を高度化するような、アジャイルな開発・運用更新が多分これから不可欠になっていくだろうというのが基本的な考え方です。
 そういう意味で、2ページ目のとおり、AI for Science時代の新たな「共用」への転換というものを考えなければいけないのではないかと。理化学研究所は、SPring-8、SACLAと、あと計算機の「富岳」という2つの共用施設を持っているわけでございますが、この2つの運用主体として、AI革新におけるパラダイムシフトに対応して、世界最先端であり続けるための施設の共用という法制定時の考え方にとらわれることなく、時代に即した大胆なアップデートが不可欠だと思っています。
 ここは量子ビームですが、計算基盤については、世界最高水準の計算基盤として必要十分な量を提供することが不可欠で、この必要十分な量というのは時間の関数でございまして、時間がたつとどんどんと必要十分な数が増えていくというものでございます。放射光施設については、この陳腐化による「宝の持ち腐れ」にならないように、実験データの爆発的増大やAIなどの科学研究の急速な進展に対応して、柔軟かつ継続的に機能の高度化を図ることが不可欠だと思っています。
 このAIにおけるパラダイムシフトというのは、もちろんサイエンスだけではなくて、産業やイノベーション全般にも波及して、今、サイエンスがフロントエンドに立っているわけでございますが、この変革期への対応こそが、我が国の将来を決定づけることになるだろうという意識を持っています。
 次が共用促進法の説明でございますが、ここは読んでおいていただいて、次のページ、5ページ目にいきます。5ページ目は、3つの特定先端大型研究施設が担うべき機能・体制でございますけれども、リモート計測、あと、データ・オープンサイエンス等AI for Science時代の新たな利用形態へどう対応していくか、は非常に重要です。
 もう一つ、2番目としては、既存の「幅広く研究者等が公平に共用できるしくみ」は残しつつ、国の戦略や産業競争力の強化に資する研究開発を機を逃さず実施するための「戦略利用」の実施、これを両立させることが非常に重要ではないかと思っています。
 3番目、共用補助金の中で、施設の柔軟かつ継続的な高度化のための開発。今は明示的にはそうなっていないわけですが、これができることが必要ではないか。
 あと、施設設置者と登録利用促進機関の分担の再定義・最適化。これはこの2つの間で、間に落ちて、抜け落ちてしまっているものがかなりあるのではないか。特にユーザーの居心地のよさなどは、施設者としての理研も考えませんし、JASRIさんでもあまり考えられていないところがある。
 あと、共用促進対象施設とそれ以外の施設との連携をどう取っていくか。今、文部科学省様のほうで、EPOCHとかいろいろなレベルでの共用があって、それを多分全部つなげることができるのではないかと思うわけですが、その辺をどう考えていくかというのが次の課題になります。
 次のページです。次のページが現行法における隘路ということを書いてあるわけですが、例えばリモート計測とかAI実験とか、人が行かない場合、どうするか。データ・オープンサイエンス等AI for Science時代の新しい利用形態への対応。今の共用法は物理的インフラを前提としているわけでございますが、この物理的インフラがない実験というのが出てくるわけです。
 もう一つは、データ駆動型のサービス提供のための環境整備。これが非常に重要であって、多分、量子ビーム施設だけではどうしようもない。これは計算施設、スーパーコンピュータといかにうまくつないでやるかという視点が重要になってくると思います。
 あと、アメリカ、ヨーロッパで、データポリシーということが非常に言われるわけですが、ただ、アメリカとヨーロッパはまた違っているというところが問題ですが、日本の場合、データポリシーについての統一的な指針がないというところがあります。これは可及的速やかにつくり上げる必要があると考えております。
 次のページは、先ほども申し上げました戦略利用というのをやっていかなければいけない。これは、経済安全保障とか産業競争力の源泉となっていくわけでございまして、この戦略利用というのを戦略的・重点的・機動的に特定の戦略的利用を行うことは今、想定されていないわけですが、これからこういうことを考えていくことが非常に重要になっていくだろうと思っています。従来のボトムアップ型の共同利用に加えて、トップダウン型の戦略利用を入れていくということがこれから求められることだろうと思います。
 その後、次のページが、これも共用補助金の中で施設の柔軟かつ継続的な高度化のための開発を行っていく。これは施設ライフサイクル管理という考え方を入れなければいけないのではないか。もちろん単年度補助金でやっていくことが基本ですが、加速器、どうしても単年度だと納め切れないものが多いので、そういうところをどうしていくかということは非常に大きな問題だと考えています。
 次のページに、施設設置者、登録機関との分担の再定義と最適化。この辺はいろいろな議論があるところですが、こういうことを将来的に考えていかなければいけないという、今までの1、2、3に比べると将来的な話かなと。5番目の共用促進法対象施設とそれ以外の施設の連携というところも、少し先の話になるのかなというところがありますが、データサービスの運用の連携において、これから非常にいろいろな問題が起こってくるだろうと思っています。
 AI for Science時代に対応した研究データ基盤の施設横断的、一体的かつ戦略的な推進のための体制の確立が必須ではないかと考えています。最後のページです。まずやるのは、この課題を皆さんで共有して、どこが重なるのか、どこは個別なのか。そういう課題を共有して、これから考えていくのかなと。SPring-8-IIへの更新があるわけでございますが、このIIへの更新というのは、共用制度の枠組みを点検するチャンスでもございまして、AI for Science時代に応える在り方を、IIに替わる時期にしっかりと議論したらどうかと考えているところです。
 非常に急ぎましたが、以上でございます。
【有馬主査】  どうもありがとうございました。ただいまの御説明につきまして、非常に大切なことがいろいろありましたので、御質問、御意見ありましたらどなたからでも結構ですので、御発言をお願いしたいと思います。いかがでしょうか。
 高橋委員。
【高橋委員】  丁寧にコメントすると長くなってしまうので、簡潔にさせていただきます。SPring-8が30年近いのに対して、NanoTerasuは共用を開始してから、まだ実質1年余りしかないのですけれども、ここで上げていただいた課題は全て思い当たり、日々格闘しているところです。特に1から4のところ。5についてはこれからの課題だと認識しておりますけれども、まさに共感できますので、ぜひ進めていけたらと思っております。よろしくお願いします。コメントです。
【石川センター長】  実はNanoTerasuのことを思い浮かべながら書いておりますので、おそらくNanoTerasuは非常に思い当たるところが多いのだと思います。
【有馬主査】  そのほかの方、いかがでしょうか。中川さん。はい、どうぞ。
【中川理事長】  どうもありがとうございます。石川先生、今回のまとめ、どうもありがとうございます。登録機関として、施設と連携して、どうやってこの後、続けていくかということに関して、また改めて御相談させていただきたいと思います。
 あと、山本先生からですけれども、特にブラックアウトの期間での人材をどうするか、非常に重要な問題だと思っております。我々としても直接影響するということもありますので、ぜひ放射光学会としても進めていただければと思っています。
 あと1点、私もこの間まで、どちらかというと大学のほうにいたということで、やはり意識的に薄くなるところがあるのですけれど、やはり学会として産業界へのサポート、特にブラックアウト期間での産業界をどう支えていくかというところも改めて考えていただければいいかなと思います。よろしくお願いいたします。
【有馬主査】  そのほか、いかがでしょうか。大竹委員。
【大竹委員】  石川先生、ありがとうございます。中性子の立場から、まさに5番まで全部入っていて、特にそれ以外の施設との連携という主張が今日全部出てきたかと思います。そのほかにも、施設ライフサイクル管理というところも、実際に今、J-PARCで非常に苦心しているビームラインの管理であったり、加速器ベースであったり、共通する問題が非常に多くあるのと、これでどんどん高度化していって、やはり莫大なデータが出てきたときに、どうしますかというところ。施設間連携について、ブラックアウトをきっかけに、今こうしていろいろな施設で議論させていただいているので、まさにそこを乗り越えていかないと次のフェーズに入れないと思っていたので、中性子のほうも一緒にいただいて議論させていただきたいと思っております。
【石川センター長】  放射光のほうは、もう既に莫大なデータが出てしまって困っていると。どうやってAIを使って、莫大なデータから、今までというのは、どちらかというと、これを狙って、これを出すという実験をやっていたわけですが、今はもうそうでなくて、ワーッと出た中から、どこにどういう宝があるかを探す時代になっているので、その辺りは多分、中性子のほうもだんだんそうなってくるのだと思います。
【大竹委員】  ぜひよろしくお願いします。
【有馬主査】  そのほかの方、いかがでしょうか。川北委員。
【川北委員】  CROSSの川北です。石川先生のおっしゃったとおり、以前は確かに公平な選定だったり、利用者支援だったりというのが登録機関の本業だったと。今もそうだと思っています。特に中性子はまだ競争率が2倍あったりということがあります。
 一方で、産業界で、志満津さんがおっしゃったように、適時適時に常に利用できるようなことがないと産業利用はやっていけないということをおっしゃっている。適時に入れていくような戦略的なやり方というのをやはり考えていくのがまた登録機関の今後の在り方かなと思ったりします。
 SPring-8のように、100倍の輝度が得られるようになると、多分、課題選定が必要なくなるのかなと思ったりもしているのですけど、順次、来た課題はどんどんこなしていくというような形の、新たな登録機関の在り方というのがあるのかなと思っております。
 中性子のほうも、ある意味、TS2だったり、新試験研究炉であったり、新たな施設ができたときに、まさしくそのようなフェーズに入っていくのかなということを考えたりしておりますので、また御議論させていただければと思います。
【有馬主査】  そのほかの方、いかがでしょうか。志満津さん。
【志満津運営委員長】  産業利用協議会の志満津です。どなたに質問していいか分からないのですけど、今後どんなことをするにしても人は多分必要で、人材育成は非常に重要だと思います。今日、放射光学会が1,200人ぐらいというお話を聞いて、中性子学会が600人。ここから10年、15年後、20年後に何人ぐらいのそういう専門性のある人が世の中にいるのかというのは、何か具体的なデータとかあるのでしょうか。予測値みたいな。
【大竹委員】  中性子科学会では、そういった会員数予測値というのは出していません。ただ、先ほども申し上げましたとおり、微増を続けているので、学会として、この微増がいつまで行くかという議論はしております。
【志満津運営委員長】  学会もそうですし、関連する大学の卒業生がどれぐらい出てくるのかとか、結局出てくるのは母数しかないので、例えば20年後にその数が今より半分になると言われたら、やれることを半分にしないとバランスが合わないと思うのですよね。それか、すごく効率を上げるかどちらかしかないので。もし何かそういう値がどこかにあるなら教えていただきたいなというのが質問です。
 以上です。
【山本会長】  放射光学会について言うと、実は、だから放射光科学というか、放射光学という技術面をサポートしていた研究室というものがもうほぼ失われつつある状況にあると理解しています。そういう意味では、もう大学の教育として放射光の施設技術の教育は期待できないのではないか。本当はしてほしいのですが、そういう意味では、本当に裾野を広げて、エンドユーザーを1人でも取り込む中で、興味を持つ人がそちらの人材に施設の中で成長していただくというのが実は近道ではないかと思ってはいますが、ただ、それがどう見込めるかというのは、はっきり言うと分からないという状況です。
 母数を1人でも増やさないことには、そういう芽も出ないのではないかというので、学会を大きくしたい。ユーザーが全て学会員ではないので、そういう点も含めてどんどん広めていきたいと、学会としては思っています。
【志満津運営委員長】  ただ、実際に研究者がエンジニア的にサポートしてくれるわけではないので、研究者の母数に対して、多分エンジニアの母数があって、その中の何人かがこういうコーディネーターを含めた産業利用の協力をしていただけるとしてもだんだん減っていくわけですよね。母数を増やすのも大事ですけど、エンジニアの育成みたいなこともシステムとしてあるのでしょうか。
【有馬主査】  矢橋さん、よろしいでしょうか。
【矢橋委員】  エンジニアのところとは若干それるかもしれませんが、山本会長の意見、コメントに、少し違う観点からですけども、やはり放射光にしても、中性子にしても、本当のコアのコアというところは、やはり幾ら裾野を広げても、裾野はやはりエンドユーザーであって、そこは非常に重要なわけですが、コアのところは別途考えていく必要があり、そこは技術のところも同じだと思います。
 一方で、では、どこから人を探してくるかというと、大学がなくなってしまったら、そこは駄目ではないかという志満津さんのコメント、まさにおっしゃるとおりですので、やはりコア、従来、放射光の勃興期のような形の大学に講座というのはないのですけども、そうではない、アップデートした形で、やはり新しいコアとかフロンティアは常にあるわけですので、そういったところを大学と施設が連携してできるような仕組みは積極的に考えていかないと。そこに学会も当然入っていただきたいと思います。
 以上です。
【杉本庶務幹事】  日本放射光学会の杉本です。山本会長が報告されたところにも基礎講習会というのを再定義していまして。この中には、いわゆるエンジニアを育てるということも検討しています。実際、いつですかね。今年度中にもこういうような稼働をしていこうことを進めていますので、そういうところでも学会では活躍していけるかなと考えています。
 以上です。
【有馬主査】  古川委員。
【古川委員】  古川です。私はユーザーの立場からでお伝えしたいと思います。今日、お話を伺っているのは、もちろん施設の利用、未来構想だと思うのですけれども、私たち大学の人というのも、ある程度の装置運営などをしながら、この業界にも多分に貢献してきていると思います。装置の箱物のほうの将来構想というのももちろん、今、大事な議論になっているところではありますけれども、今おっしゃってくださったように、未来の産業界を支えていくという人材育成の面では、大学というのが基本的には大事なポジションにあると思います。
 そういう意味でも、大学の中にあるような、こういう施設の中でも活躍されている大学の組織がありますので、そういったところとの連携を、今既におっしゃいましたけれども、ぜひ充実していただけたら、ユーザーの声も届く。また、私たちは学術的な面でのユーザーですけれども、産業界からの声もよく聞きながら進めていただけたら非常に大変ありがたいかなと思います。コメントです。
【有馬主査】  そのほか、いかがでしょうか。
 それでは、有馬より。共用法のほうに戻りますが、やはり戦略的な利用のことがないというところ、それからもう一つ、あれですね。データのうち、成果公開でやっている人のデータがその次の2次利用のときに、そういう話が全く今、欠けているので、そこを共用法でどういうふうに扱うかというのはやはり変えていかなければいけないかなと思いました。あと、施設が、ずっとある施設の性能で数十年ずっと、だんだん減価償却していくのは、どこにとっても得なことはないはずなので、それをどういうふうに随時いろいろな部分で更新していくかというところを入れていくというのも、やはり法律上は重要ではないかなと思います。ぜひ、この委員会でも、そこは本丸の一つですので、今後とも議論していきたいと思います。
 いろいろどうもありがとうございました。大変時間を超過したのですが、いろいろ議論をさせていただきました。事務局におきましては、これまでの議論を踏まえて、量子ビーム施設の今後の在り方について検討を進めていただければと思います。
 最後、その他ですが、事務局から何か連絡事項等ありますでしょうか。
【馬場参事官】  ありがとうございます。恐らく今日も時間が少し足りなかったところもありますので、また次回以降、継続的に、本日、皆様からいただいた御意見を踏まえながらやっていきたいと思います。
 1点だけ。文科省として、人材育成について、皆様から17分野という話がずっと出ていますけど、それとは別に縦と横の関係、人材育成については文科省としても、今、政府を挙げて取り組んでいるところになります。その流れでは、大学はもちろんですけど、産業界と連携して、そういった人材育成をしっかりとやっていくと。恐らく先ほどの志満津会長の話を踏まえれば、普通に推計を取れば確実に減っていくところではあるところをどう取り組んでいくのかというところが今まさに議論が進んでいるところですので、そういったところとも整合性を取って、しっかりと取り組んでいければと考えております。
 次回は6月24日を予定しておりますので、これまでの議論を踏まえた論点なども整理していきたいと思っております。
 また、本日の議事録については、またいつもどおり先生方に確認でき次第、文科省のウェブサイトに掲載したいと考えております。
 事務局からは以上でございます。
【有馬主査】  ありがとうございました。
 以上をもちまして、第10回量子ビーム施設利用推進委員会を閉会いたします。本日はどうもありがとうございました。
 
―― 了 ――
 
 

お問合せ先

科学技術・学術政策局 参事官(研究環境担当)付

(科学技術・学術政策局 参事官(研究環境担当)付)