量子ビーム施設利用推進委員会(第7回)議事録

1.日時

令和8年3月6日(金曜日)15時00分~17時00分

2.場所

文部科学省内15階局1会議室及びオンラインのハイブリッド形式

3.議題

  1. 量子ビーム施設の今後の推進方策について
  2. その他

4.出席者

委員

有馬主査、梅垣委員、大竹委員、川北委員、河野委員、久米委員、高橋委員、高村(山田)委員、唯委員、田中委員、橋田委員、古川委員、矢橋委員、山重委員

文部科学省

(事務局)科学技術・学術政策局長 西條正明、大臣官房審議官(科学技術・学術政策局担当) 福井俊英、大学研究基盤整備課長 俵幸嗣参事官(研究環境担当) 馬場大輔、推進官 葛谷暢重、参事官補佐 伊藤有佳子

オブザーバー

高エネルギー加速器研究機構 理事 足立伸一、物質構造科学研究所長 船守展正、放射光実験施設長 五十嵐教之
自然科学研究機構分子科学研究所 極端紫外光研究施設長 解良聡
広島大学放射光科学研究所長 島田賢也
東京大学物性研究所 教授 原田慈久
高輝度光科学研究センター 理事長 中川敦史、常務理事 井上哲也、部長 久保田康成、室長 佐藤眞直

5.議事録

【有馬主査】  それでは、定刻になりましたので、ただいまから第7回量子ビーム施設利用推進委員会を開催いたします。本日は、お忙しい中、御出席いただきありがとうございます。
 まずは事務局から、事務連絡、参加者、定足数の確認など、よろしくお願いいたします。
【伊藤補佐】  かしこまりました。本日は、オンラインとのハイブリッド形式で会議を開催しており、全員の委員の皆様に御出席をいただいております。内訳は、対面による御参加が7名、オンラインでの御参加が7名です。
 事務局からは、後ほど局長の西條、審議官の福井が参ります。また、参事官の馬場、伊藤が参加しております。
 加えて、本日は、議題1に関連して、オブザーバーとして、高エネルギー加速器研究機構から足立理事、船守所長、五十嵐施設長、自然科学研究機構分子科学研究所から解良施設長、広島大学放射光科学研究所から島田所長、東京大学物性研究所から原田教授、高輝度光科学研究センターから中川理事長、井上常務理事、久保田部長、佐藤室長にご参加いただいております。また、文部科学省からも、大学研究基盤整備課の俵課長、基礎・基盤研究課の葛谷推進官が後ほど参りますのと、量子研究推進室の田渕室長、素粒子・原子核研究推進室の邉田室長が参加しております。
 なお、会議公開の原則に基づきまして、報道関係者や一般傍聴者によるユーチューブでの傍聴を認めておりますので、御了承ください。
 次に、配付資料の確認をさせていただきます。オンライン参加の方はZoom上に、現地参加の方はスクリーン上に画面を共有しておりますので、御覧ください。
 配付資料は議事次第のとおり、資料1から7、参考資料1から参考資料3を配付しております。何か御不明点ある場合には事務局まで御連絡いただければと思います。
 以上でございます。
【有馬主査】  ありがとうございました。
 それでは、議題1に移ります。「量子ビーム施設の今後の推進方策について」です。
 まずは資料1について、事務局より説明をお願いいたします。
【伊藤補佐】  承知いたしました。事務局より、資料1を用いまして御説明をさせていただければと思います。
 1ページ目、本日の議題は、量子ビーム施設の今後の推進方策についてで、1から6の順番で御発表いただき、意見交換をさせていただければと考えております。
 2ページ目でございますけれども、こちらは12月の部会で御審議いただいたところですが、SPring-8-IIの共用開始に向けて早急に検討すべき事項として、主な検討事項を三つ掲げさせていただきました。
 3ページ目でございますけれども、順次ヒアリングを進めながら検討するということになっております。
 続きまして、4ページ目、前回の御検討いただいたものでございますけれども、検討事項丸1から丸3にかけて、詳細なヒアリング事項等をまとめています。本日は7ページ目にございますが、今まであった検討事項のうち、国内放射光施設へのヒアリング事項としてまとめた(1)から(3)について、皆様からヒアリングをして、御意見を伺いたいと考えています。
 また、議論に先立ちまして、8ページ目でございますけれども、前回御紹介いたしましたが、放射光施設の皆様に御協力をいただきまして、現状の調査をさせていただいています。まだ取りまとめている最中ではありますが、現状の取りまとめ状況の御報告といたしまして、9ページ目でございますが、まず放射光施設の概要として、どんな場所にどんなエネルギー帯の放射光施設があるのかをまとめています。
 また、次のページでございますけれども、ビームラインの整備状況ということで、こちらの丸の大きさがビームラインの最大本数になっており、赤が共用/共同利用を目的としたビームライン、青が施設設置者の研究開発を目的としたビームライン、それ以外に、施設設置者以外の産業界、地域が設置したビームラインですとか、学術機関が設置したビームライン、公的機関が設置したビームライン、また、空きポートの状況をこちらのようにお示ししております。
 また、次のページでございますが、成果公開と成果専有の実施状況ということで、バブルサイズは、課題の実施数というところでございますけれども、そのうち成果公開のものが赤いもの、成果非公開のものが青いものという点で、実施状況もお示ししております。
 また、その次のページは、先ほどの実施課題数を、今度は属性別に表しているものでございまして、国内外の大学、学術機関、国内外の民間企業の皆様がどういった形で御利用いただいているのかといったところをお示ししております。
 続いて、13ページ目でございますけれども、こちらは課題の総実施時間数といったところで、このバブルサイズの大きさが課題の総実施時間数と、また、その課題の実施件数も括弧の中に入れて書かせていただいているところでございます。
 14ページ目でございますけれども、先ほどは時間でしたが、今度は利用者数についてどういった形になっているのかといったものもこちらにおまとめをさせていただいております。
 続きまして、15ページ目以降は、詳細な御説明を省かせていただきますけれども、それぞれの施設がどういった利用制度の単位があって、実際に課題の実施数ですとか、利用料金ですとか、公募の回数といったところをまとめさせていただいている状況になってございます。
 最後、24ページ目でございますけれども、今後のスケジュールといたしまして、今回、量子ビーム施設利用推進委員会でヒアリングをさせていただいた後、4月17日には、今日、御報告いただく施設以外の国内の放射光施設の皆様からも状況をヒアリングさせていただいて、引き続き御審議を進めていただきたいと考えている次第です。
 事務局からは以上でございます。
【有馬主査】  ありがとうございます。
 続いて、JASRI、井上常務理事より資料2について御説明をお願いいたします。
【井上常務】  井上から、表題のとおり、SPring-8-IIアップグレード停止期間中の代替施設について、JASRIで検討した内容について御説明いたします。
 まず2ページ目でございますけれども、これは企業利用者様が、2024年に御利用になられた分析法の、上段が利用されたシフト数の多いものから順に並べたものでございます。
 サンビーム共同体様と、豊田様の専用ビームラインにつきましても情報を出していただいて、整理をつけたものでございますけれども、まだもう少し、数字そのものは精査の余地がありますけれども、利用者様からは、こうした上位の非常によく使うビームについて、停止期間中も研究や開発が止まらないような代替であり、利用が止まらないようにしてほしいという御要望がありますので、JASRIのほうで想定して、各分析法別に候補となるビームラインの整備をしてみました。
 まず、最上位のイメージングの分析についてでございます。イメージングの分析につきましては、そこに記載いたしましたNanoTerasu様、PF様、それから、SPring-8が停止している間は、SACLAがとまるわけではございませんので、SACLAでもバックアップができる部分がございますので、SACLAも候補として考えております。
 それから、海外施設で言いますと、ESRFの第4世代の施設ということで、こちらもそこに記載のようなエネルギー体でイメージングもできるということで考えております。SPring-8の、主に40keVから100keV以上の高分解能のイメージングにつきましては、国内だけではやはり厳しいものがありますので、こうした第4世代のESRFも候補に調査をしております。そして第4世代のESRFのこうしたイメージングをきちんと分析、検討するということが、やはりユーザー様が今後、SPring-8-IIになって、光源を使いやすいようにするための空間分解能のエンドユーザー側での調整とか、コントラストの調整法とか、そういったことがこの停止期間中にきちんと予行演習をしておくということが必要だと考えております。
 次に、2番目に、利用の多いXAFSについてでございます。XAFSにつきましては、そこに記載のNanoTerasu様と、NanoTerasu様の中でも新しく用意されているビームラインについて、利用可能だろうと考えております。
 また、PF様のほうは、そこに記載の5本のビームラインである程度カバーできる。それからSACLAにつきましても、フィージビリティスタディが必要ですけれども、ある程度のユーザーはバックアップができるので、代替が使えるようになるのではないかと考えております。
 全体としては、測定技術そのものはもう標準化されている面もありますので、こうしたXAFSの利用ニーズについては、キャパシティー的にはPF様の、例えば5本を使えば互いのものが技術的にはカバーできると考えておりますけれども、それには、現在使われているSPring-8での利用時間に相当するものの運転時間を確保することが必要であると考えております。
 次に、HAXPESでございますけれども、HAXPESは、国内においては、NanoTerasu様のBLO9Uというのが一番の候補かと考えております。海外で言いますと、ドイツのPETRA3のHAXPESが候補になっております。こうした海外のものについても、ちょうど我々のSPring-8と同時期にPETRA3も第4世代光源への転換ということでアップデートをするわけですけれども、先ほどのように、ESRFと同様に、PETRA3とも情報交換をしながら、ユーザー様が、新しいSPring-8-IIになったときに、どういうふうにやるのが利用しやすいのかということも情報交換しながらやっていく必要があると考えております。
 ただし、HAXPESにつきましては、備考欄に記載いたしましたように、サンプルの種類とか、利用されるユーザーの用途によっては、非常にそのサンプルを通関といいますか、経済安全保障上、出すのが非常に難しいようなものもありますので、そうしたものは非常に、どういうふうにやるかということについてのサポート体制を考えるのか、国内でよりHAXPESを充実したバックアップを考えるかということも必要かと考えております。
 次に、多目的回折実験につきましては、ほぼ同様の内容でございますので、一つずつはコメントいたしませんけれども、SPring-8では非常に多様な実験がされておりまして、それぞれ、そこに記載のようなPF様とか、先ほど言いました海外の第4世代、ESRFとか、PETRA3というもので、ある程度の範囲をカバーできるとは考えているのですけれども、やはりそれぞれのやられる実験そのものが多様にわたっておりますので、やはりそういったところは、今のJASRIのスタッフ等が十分にサポートして、実験ができる、測定ができるようにする必要があるかと考えています。
 それから、ESRFは第4世代なので、やはりこれも同じようなXRDとか分光の技術については、きちっとユーザー様が将来使えるようにするための分解能をどういうふうに調整するか、サンプルダメージの調整をどうするかというようなことは、この運転停止期間中にきちんと情報を取って、サンプル測定とか予行演習を行ったということが非常に重要で、それが一番にユーザー様のためになると考えております。
 次はPXでございますけれども、これは基本的に国際的に標準化された測定技術もありますし、メールインも標準化されていることもありますので、特に国内、海外問わず、代替利用が可能で、特に大きな問題はないのではないかと考えております。
 次、SAXSです。SAXSにつきましては、そこに書かせていただきましたけれども、いわゆるUSAXS以外であれば、PFさんのお持ちのビームで技術的な対応は可能と考えておりますけれども、これも先ほど述べましたように、運転時間そのものはやはり分量に応じて延長する必要があるのかなということで、そういったところも検討の余地はあるかなということでございます。
 USAXSのほうにつきましては、ESRFのID02というビームラインのものが恐らく代用として使えると考えておりまして、これを将来の第4世代のビームとしてどういうふうに扱うかということはきちんとJASRIとしてもやっておかないと、ユーザーの支援になかなか、SPring-8-IIのときに役に立たないので、そういったところもやっていく必要があると考えています。
 粉末回折です。粉末回折につきましては、そこに書きましたように、現状のところですともう少し装置そのものには機器の整備が必要かなということで考えております。それから、SACLAにつきましても、一部のフィージビリティスタディが必要ということでございますけども、対応できると考えております。SACLAにつきましては、昨日も産業利用のためのワークショップというものを行いまして、SACLAをいかにバックアップとしても使っていただけるかということについて、今後は研修会ですとか、勉強会とか、試しの設定会とか、そういったもので広くSACLAの利用も促進して、ユーザー様のバックアップに充てていきたいと考えております。
 次の2ページ分につきましては、これまでのところは分析法別に書いたものを施設別に書き直しただけのものということでございます。この国内施設のビームラインの工法や代替ビームラインにつきましては、現在、サンビーム共同体様の7社様とこうしたデータを共有しておりまして、その下、利用者様がどういうようなビームラインのバックアップなり、整備を要望されているということの意見集約を今、行おうということで動いております。
 それから海外につきましては、先ほど申し上げたように、第4世代であるとか、PETRA3のものにつきましては、どういう体制で、その予行演習なり、ユーザー様の支援をしていくかということもしっかりとつくっていかないと、実際にはいろいろな研究開発等が止まるということで、この辺もしっかりやっていきたいなと思っております。
 最後、まとめになります。現時点での認識といたしましては2つあります。1つは、ここに記載のような手法につきましては、国内のほかの施設様の連携とか、御協力をいただいて、何とか用意ができるのではないかと考えております。それから、結構、使われているシフト数のイメージングとHAXPESについては、さらにほかの施設様からの情報をいただいて、きちんと、どの程度対応できるかということは、今月中ぐらいにも整理していきたいと考えております。
 課題でございますけれども、ある程度、そうした技術的なめどを立てた上で、施設間連携を促進するための制度設計、人材をどういうふうに支援していくか、運転時間をどのように確保していくかということが必要かと考えています。
 それから、海外施設につきましてはどのような形で運用して、ユーザー様の支援をしていくかということを進めていく必要があるのかなということでございます。
 最後です。今後の予定とかスケジュール感ですけれども、私が考えているのは、まずサンビーム共同体様の分析法別の御要望をもう一度きちっと細かく集約をいただいて、それを3月末までにはまとめる予定でおります。それと並行して、3月24、25日に行われる、ビームラインアップグレードワークショップで皆様からの要望とか意見を集約するということを行いまして、そうしたもののまとめとして、3月末ぐらいまでに全体の代替施設やビームライン候補の再整備をしたいと考えております。そうしたものが出来上がった上で、4月の中旬頃までをめどに、どうしたら利用制度が必要だろうかということの大枠の外部設計をきちっと検討していきたいと考えております。
 また、これまでの報告の中に入れていましたSPring-8が止まっても、SACLAが利用できるということで、SACLAの利用促進のための研修会とかお試し会などはもう既に設定しておりまして、昨日からも始まっております。こうしたものの制度面についても少し見直す必要があるのかなということで検討してまいります。
 本日御説明になかったあいちSR様とか、佐賀LS様についても代替可能性があると聞き及んでおりますので、こうしたもののいろいろな情報をこれからいただきながら検討していきたいということであります。
 私からは以上です。
【有馬主査】  ありがとうございます。
 ただいまの御説明につきまして、御質問、御意見ありましたら、どなたからでも結構ですので、御発言をよろしくお願いいたします。
 山重委員。
【山重委員】  トヨタ自動車の山重です。代替施設につきまして各施設のビームラインの整備状況を調査いただき、ありがとうございました。これまでに、JASRIの産業利用推進室の方を中心に海外施設につきまして、サポートされるということをお伺いいたしました。先ほどのスライドのご紹介の中で、国内施設につきましても紹介だけではなく、技術的に入り込んだ形でサポートいただけるとお伺いいたしましたが、その辺りのご予定はどのような状況でしょうか。
 
【井上常務】  今、出てきた2つの、NanoTerasu様とPhoton Factory、ARのものの各ビームラインにつきましても、そちらの研究者の方と連携をとって、各ビームラインごとに、きちんとどういうことができるかということのさらに詳細な詰めはこれから行います。それについて、実際に停止期間中に、JASRIの今の各SPring-8に張りついているビームラインの研究員とか支援技術者をそちらのほうの各ビームラインのほうでも支援して、ユーザー様の利用に貢献できるようにしたいと思っております。ただ、その中では、最後のまとめのところに表しております課題1のいわゆる制度設計、具体的にはJASRIのメンバーが例えばPhoton Factoryへ行って、ビームラインのユーザー様を支援するための制度設計とかそうしたことがこれから検討していく必要があると考えております。基本は、今まで御利用いただいて、我々の研究員と深くいろいろな研究開発について知り合っているものがサポートに回れると考えています。
【有馬主査】  よろしいでしょうか。
【井上常務】  回答になっていましたですかね。
【山重委員】  ありがとうございます。我々としても心配しておりまして、そのような手厚いサポートをいただけるということは大変ありがたいです。引き続きよろしくお願いいたします。
【有馬主査】  そのほかいかがでしょうか。
 有馬ですけど、イメージング、特に高エネルギーのイメージがなかなかないということで、もちろん空間分解能はすごく違うんですけど、中性子という可能性も一応お考えいただければと。もう一つある粉末回析も多分、中性子はかなりあると。
【井上常務】  ありがとうございます。中性子も先ほどのバックアップの一つというか、手段の一つに加えて検討させていただきます。
【有馬主査】  そのほかいかがでしょうか。川北委員。
【川北委員】  J-PARCセンターの川北です。今のお話を聞くと、課題は一旦、SPring-8で受けてからいろいろな施設に回すという形になるのでしょうか。
【井上常務】  そこは各施設さんと御相談しながらになります。全て、変な話、ユーザー様にSPring-8という名前がついているわけではないので、例えばNanoTerasu様でしたら、登録機関が、JASRIが一緒でございますけれども、例えばPF様とか、ほかの施設になると利用制度も違いますので、その辺りは分けた利用制度でやっていくのか、窓口はどちらでやるのかもこれから検討という状況でございまして、すみません。今、きちっとした回答はできないです。ただ、おっしゃっている問題点は非常によく理解しております。
【有馬主査】  そのほかいかがでしょうか。
 いろいろと御検討が進んでいるということで、また次回以降も進んだところについてお話しいただければと思います。どうもありがとうございました。
 続きまして、高橋委員より、資料3について御説明をお願いいたします。
【高橋委員】  承知いたしました。では、資料3に基づきまして、NanoTerasuの状況について御説明いたします。いただいていたヒアリング項目、1、2、3の回答に資するような内容についてから述べていきます。
 このページ、受け入れられるSPring-8のユーザー層、キャパシティー。2ページ目になりますけれども、まとめたものになってございます。上のほうに書いてあるのが、NanoTerasuのビームラインのポートフォリオ、現在、NanoTerasuで、稼働中もしくは計画中のビームラインについてどういった高エネルギー、光子エネルギーをカバーするかということをまとめたものになっています。上のほう、7本目まではコアリションビームライン。本日は、共用に関する議論ということになっているわけですけれども、参考までに書いてございます。
 その下、共用ビームライン(フェーズ1)というところに3本書いてございますけれども、こちらが現在稼働中のNanoTerasuの共用ビームラインになっております。3本とも軟X線を中心にしたビームラインとなっております。
 その後に、既に予算を認めていただきまして、現在整備が進んでいる3本の共用ビームラインが書いてございます。BL11W、XRD、それから、ビームのポートの位置はまだ現在、調整中ですけれども、XAFSのビームライン、それから、軟X線のビデオイメージングの3本というのがこのようなエネルギー範囲をカバーするビームラインとして整備中でございます。
 その下には、R&Dビームラインということで、整備中ですけれども、こちらは共用ではなくて、QSTのほうで高度化とかを進めていくためのビームラインということになっております。こちらが今、既に動いているか、既に建設が決まっているビームラインのカバーする光子エネルギーを示したものになってございます。
 これに対しまして、参考にSPring-8の代表的な、特にユーザー数の多いXAFSのビームラインとX線回折ビームラインのカバーするエネルギーについても並べて書いてございます。これを見比べてみますと、NanoTerasuのMPWというのはマルチポールウィグラーですけれども、こちらの多極ウィグラーのビームライン、それから、IVU、真空封止アンジュレータのビームラインを中心に、SPring-8のユーザー層と一部重なりができておりますので、こちらに相当するユーザーさんに関しては受入れ可能であると考えてございます。
 特に共用ビームラインでは、フェーズ2でこれから整備が進められる2本のビームラインというのがこれに該当するものとなります。
 あと、左側、左下のほうに運転時間、実績と、それから、来年度の計画が書いてございますけれども、加速器の調整、この2年間で非常に順調に推移しておりまして、初年度は、加速器の調整時間、2,500時間を確保して、ユーザーさんには約3,500時間の提供ということになっていたわけですけれども、調整が順調に進んだことによって、今年度は調整が短くなっていて、ビームラインで使える時間というのは4,500時間を上回るところに拡大してきています。来年度はさらに5,000時間を超える時間を運転するということで計画をしているところです。
 ただ、ここに記載したビーム供給の時間は施設側でのビームライン調整等を含む時間でございまして、ここからビームラインの高度化、調整に使う一定割合というのを差し引いた形でユーザーさんに提供することになります。その差し引いた結果としては、大体4,000時間が実際にユーザーさんのほうに提供できるような時間ということになっております。この4,000時間というのがどの程度かといいますと、SPring-8のX線回析の課題の場合でいうと大体100課題に相当するような時間となっております。
 次のページに行きますが、NanoTerasuの位置づけ・設置目的ですけれども、今のポートフォリオでもお分かりのように、NanoTerasuは軟X線に強みを持つ高輝度放射光施設ということになります。軟X線では非常に、国内施設の100倍以上の高輝度を実現する施設になっていて、かつ、軟X線からテンダーX線を中心に非常に広範なX線領域で、高輝度であり、かつ安定性の高い光を供給するという施設になっております。
 利用制度の面では、特定先端大型共用施設として位置づけられておりまして、先端性と汎用性を兼ね備えたものであるべきということで、そのような計画、運用になっております。
 あと、運用上の特徴といたしましては、官民地域パートナーシップに基づくということで、2つの異なる制度が並列して行われております。整備においては、国が主体であるQSTのほうで加速器と共用ビームライン3本の建設と、及びそれらに関連した先端技術の開発を行うと。官民地域パートナーシップのほうでは、建屋とビームライン7本の建設を行って、コアリション利用というのを促進していくという分担で進めてまいりました。
 運用を開始した2024年4月以降は、国のほうは共用利用ということで、課題審査を経て、成果公開の場合はビーム利用料免除という形で使っていただくという共用利用を2025年の3月から開始しております。一方、官民地域パートナーのほうは、コアリション利用ということで、課題審査はない代わりに全て成果専有で使うことができ、ビーム利用料は負担するというようなことで、2024年4月からこのような形での利用が進められているところになってございます。
 これまでのNanoTerasuの施設としての経緯、4ページ目になります、これまでの経緯として、2018年にパートナーが選定されて、2019年からそれぞれの分担の整備が始まりました。整備は非常に順調に進んで、計画どおり5年間で完成いたしまして、2024年から運用開始が行われたということです。同時に共用法が施行されて、JASRIさんが施設利用機関として登録をされました。また、コアリションビームラインの利用も始まったということでございます。
 2025年には共用利用も始まって、あと、蓄積電流が、2020年運用開始当初は160mAで始まりましたけれども、2025年11月からは400mAで100%の計画値どおりの運転ということを達成したという状況になってございます。
 加速器の運転状況を右上にまとめてございます。蓄積電流値は400mA、この変動幅はトップアップ運転によって0.1%以下で、非常に安定した運転を行っております。また、光源稼働率、計画していたビームに供給する時間、計画値に比べて実際にビームダウンといった時間を除いて、実際にどれだけ光を供給できたかという値ですけれども、99.6%という非常に高い値を、実績を残しております。これは平均故障間隔、1回、マシントラブルがあって、次のトラブルが起こるまでの平均間隔、300時間を超えております。NanoTerasuの運転としましては、1回のユーザー時間の長さというのは大体2週間をサイクルとして行っておりますので、300時間ということは、2週間の間、止まることはほぼないという、そういう実績でございます。あと1回、何かマシントラブルが起こって、それから復帰するまでの時間も、1.5時間と非常に迅速な時間で復帰するということになっております。
 共用ビームラインの利用状況ですけれども、既に2期、実験が行われておりまして、2026A期はこれから来年度の最初の実験ですけど、3回応募が行われております。申請数といたしましては、大体30件弱いただいている中、受け入れることができている時間、課題というのは大体10件から15件程度というところにとどまっておりまして、採択率という意味で言いますと、2025年度に関しては40%程度、2026年に至ってはもう20%切るようなところで、非常にたくさんの方に応募いただいて、非常に厳しい採択状況になっているというところがございます。非常に競争率が高い状況が続いているということです。
 この辺の高過ぎる競争率の緩和ということは、施設側でも大きな課題であると考えております。一方で、加速器は非常に安定に運転されておりますので、これ以上、時間を増やすということは難しいという状況にもございます。ですので、より多くのユーザーさんを受け入れていくということからいきますと、例えばAIを導入した調整時間の短縮ですとか、あるいは測定そのものを効率的にするといった抜本的なことが必要になってくるという状況になってございます。
 今後の方向性ですけれども、5ページ目になります。QSTさんのほうで共用ビームラインの増設はフェーズ1から4に分けて、段階的に、計画的に進めるということでやってまいりました。今、フェーズ1はもう既に整備期に完成した3本ですけれども、フェーズ2、非常にユーザーさんのニーズが高い、重要分野で使われるビームラインということで建設を進めてまいりまして、3本が今、整備に入っているという状況です。X線回折のビームラインにおいては、2027年度中に共用を開始できる見込みで今整備が進んでおります。2本目、3本目のXAFSビームライン、それから、軟X線ビデオイメージングのビームラインに関しましては、それぞれ年度中には、2027年度中あるいは2028年度中には、いわゆるファーストビーム、ビームラインに光を導入できる体制に持っていきまして、なるべく速やかにユーザーさんに使っていただけるように持っていきたいということで、今整備を進めているところでございます。
 課題審査等の方法について、6ページにまとめてあります。
 まず、課題の申請・審査の方法ですけれども、まず、一般課題、現状では年2回の募集、一般課題のみということで行っておりますが、今後はこれを課題の募集の頻度を増やす、あるいは成果専有課題など増やすということ、種別を増やすということの検討を進めております。また、利用料金に関しましても、今は一般課題のみですので、消耗品実費の負担ということで行っていただいていますが、今後ほかの種別が、検討を進めていくにおいて、成果専有利用というのが乗ってくるようなことも考えて検討が進められております。その利用料、例えば代行測定ですとか、付加サービスですね。解析サービス等の受益者負担といったところを盛り込んだ料金体系を今、JASRIさんとともに検討しているところになってございます。
 最後ですけれども、研究データの取扱いということです。右上に、今後、NanoTerasuのビームラインが増えていくことに伴って、データ生成量の推計を行った結果をまとめてあります。今、ビームライン10本の体制であるのが2028年には14本、しかも、イメージングというデータ量の多いビームラインができてくることに伴って、3年後には1テラバイト・パー・アワーといったようなデータの生成量が推定されております。これに対応するために、既に備えを進めておりまして、緑色で書いている部分というのが、既に整備が終わっているものです。NanoTerasuと東北大学のスパコンのAOBAとの連携ということで、ストレージは既に整備してあって、そこをつなぐ100Gbpsの接続というのを進めてきております。
 また、AOBAの中に、GPUデータ処理装置ということで、データ駆動型研究で対応できるような計算資源というのも既にインストール済みになっております。今年度、さらにそれに加えて、整備を行っているところとしては、NanoTerasu全体の基幹ネットワークの接続スイッチのところに100Gbps対応の高速スイッチの導入をしているというところですとか、あるいはSINET6によって全国の大学・研究機関と10Gbpsの接続を確立するという整備を今、進めているところです。来年度以降は、さらにそれに加えて、ビームラインのエンドステーションの接続のネットワークを100Gbpsに対応するとか、あるいは高速データ転送のサーバーを導入、あとはNanoTerasuの基幹ネットワークを400Gbpsまでさらに拡張して、複数のビームラインで、100Gbpsに相当するようなデータが発生してもパラレルに送れるというような基盤をそろえていきたいということで、進めているところになります。
 NanoTerasuの状況については以上になります。
【有馬主査】  ありがとうございます。
 ただいまの御説明につきまして、御質問、御意見等ございましたら、どなたからでも結構ですので、御発言をよろしくお願いいたします。いかがでしょうか。
 それでは、有馬より。まず1点目は、資料についてというか、資料1の10ページのところは全部のビームラインについているものですけど、11ページから先は、今、高橋委員が御説明された共用のところだけの話という理解でよろしいですか。だから、10ページの3本分についてが11ページ以降は書いてあると。
【高橋委員】  はい。
【有馬主査】  資料1はそうなっているということで、次回、多分、コアリションのほうがあったら別の話が来るというふうに理解しています。
 それからもう1点は、最後のビッグデータの話ですけど、当面、全部のデータを送るというスタイルで考えられていると思いますけども、恐らく10年とかいうレベルでいうと、その手前に、エッジか何かでAIを利かせて、要するに、量を減らしてから送るということも多分検討すべきことだと思いますので、その辺は。多分、SPring-8さんもそういうふうに考えていると思いますので、ぜひ協力してお願いしたいと思います。
 そのほか、皆様、いかがでしょうか。よろしいですか。確かにこの委員会で、NanoTerasuの話はよく聞いているので、よろしいかと思いますね。どうもありがとうございました。
 続きまして、高エネルギー加速器研究機構、物質構造科学研究所、放射光実験施設、足立理事より、資料4について御説明をお願いいたします。
【足立理事】  KEKの足立でございます。本日は、お時間いただきまして、誠にありがとうございます。
 KEK、物質構造科学研究所が運営しております放射光実験施設、Photon Factory、通称PFと呼んでおりますけども、その取組についてお話しさせていただきたいと思います。
 アウトラインとしましては、この委員会は共用がテーマであることは十分理解した上でございますけど、多分、大学共同利用機関、大学共同利用という考え方がそれほどまだ御存じない方もいらっしゃるかと思いますので、大上段に振りかぶっているかもしれませんが、大学共同利用機関の沿革とミッションという話を先に1枚、2枚させていただきまして、その後、Photon Factory、PFの現状と今後の方向性ということで、いただいたヒアリング事項に基づいて整理したものをお話しし、最後にまとめさせていただきます。
 大学共同利用機関の沿革ですけれども、出発点は、戦後、1950年代ぐらいから始まっていると思います。研究資源が偏在していて、戦後、限られた研究設備・資料を全国の研究者が共同で利用できるようにするという理念からスタートしたと理解しております。その後、70年代ぐらいに入って、実際に研究所がスタートし、我々の前身でございます高エネルギー物理学研究所、現KEKは1971年からスタートしております。あと、分子科学研究所、国立天文台などが設立されまして、全国の大学教員、研究者等が利用できる施設として整備されてまいりました。
 現在の意義としては、ネットワーク型の研究を促進するという意味で、研究資源の共同利用、学術アクセスの平等、あと、新分野創成に資するといったようなミッションも非常に重要かと思いますけれども、このような資料もございますが、コミュニティーを支える、さらにコミュニティーから新しい新分野が創成されて、それを支えていく。そういう形のネットワーク型の研究基盤として重要かなと理解しております。
 では、Photon Factoryの紹介です。茨城県のつくば市、あと、東海村のほうにも、これはPhoton FactoryではなくてJ-PARCでございますけれども、つくばキャンパスの中にはPhoton Factoryというリングと、あとPhoton Factory Advanced Ringと呼んでいるリング、エネルギーの違う2つのリングがございます。1982年に初の放射光取り出しに成功しまして、翌年から放射光の共同利用をスタートしております。幾つかのアップグレードを経て、現在、43年目というかなり古い施設になっています。
 PFと、あと、PF-AR併せて48本のビームラインを運営しておりまして、エネルギー領域が非常に広い、真空紫外から硬X線までの領域をカバーしております。字が小さくて大変申し訳なくて、測定手法、あと、エネルギー領域によって色分けしておりますので、もし御興味があれば、よく見ていただければと思います。
 ここから基本データを少しまとめさせていただきました。年間の運転時間は、少しPFのほうが長めですけれども、PF-ARとPFの時間を示しております。課題の採択数はいろいろなカテゴリーございますけれども、全て併せて大体500件弱といったところです。ユーザーの所属機関別、職種別、地域別の分布を示しております。また、年間の登録数、これは延べ数ではなくて、実際に登録された数ということでございまして、コロナのときにがくっと下がっておりますけども、その後、回復していて、でも、リモート実験が非常に盛んになったものですから、来なくても実験できるという意味で、実際に登録するユーザー数が見た目、減っているということがあります。年間の登録論文数は大体500報ぐらいで、期間がずっと長い、運転期間が長いものですから、累積の論文数としては2万報告を超えているという形になっています。トップ10%論文数の割合も大体10%ぐらいのところを推移しているかなと思います。
 これはヒアリング事項のことでございますけど、まず、キャパシティーはどうですかという質問に対しまして、PFでは最も一般的な実験課題、G型課題の有効期間が2年間でございまして、有効課題のうち、評点が高い課題から優先的にビームタイムを配分するというやり方をしますので、現状で競争率の高いビームラインにさらにユーザー数が増えると、配分率の低下は当然予想されます。ですが、年間の運転時間の上限5,000時間ぐらいあるといたしますと、PF及びPF-ARでそれぞれまだ1,500時間程度拡充は可能です。ただし、予算の追加投資が必要ということでございまして、SPring-8から新規ユーザーさんを受け入れようとすると、産業界のユーザーのニーズの高い、先ほど井上理事がおっしゃっていたようなことも、整備を進める必要があるかなと考えているところでございます。
 実際に、具体的に例えばどんなことができるかということですけれども、粉末回析につきましては比較的、我々は遅れておりますので、ここの部分を例えばSPring-8さんで実施されているような自動の高速オンライン読み取り装置、回折用の検出器などを導入する、もしくはXAFSで大量の試料の自動交換システムを導入する。もしくは多素子シリコンドリフト型検出器などを導入するといったようなことが考えられるかなと考えております。
 ちなみに、タンパク質の結晶構造解析につきましては、ほぼSPring-8と同等な自動実験環境が整備されているということでございます。
 施設の強みや特色についての御質問でございまして、施設の位置づけやミッションにつきましてはもう既にお伝えしているとおりでございますけど、我々、国内外の研究者による共同利用・共同研究をサポートし、大学院生を含む若手の人材育成を推進するということで、非常に重要なミッションかなと考えているところです。
 課題としましては、当然、四十何年もたっておりますので、施設の老朽化への対策でありますとか、あと、電気代が非常に高騰しておりますことへの対応でありますとか、そのようなことが課題として考えられます。
 今後の方向性といたしまして、まずKEKが保有しております先端加速器技術、また、各種の量子ビーム施設、放射光のみならず、中性子、ミュオン、低速陽電子などございますので、複合マルチビームを生かした将来構想を立案しているところでございます。また、国内の放射光施設間のポートフォリオ、役割分担も非常に重要ですので、こういうところをちゃんと考えながら次の計画を立てたいと。特に同様なミッションを有する大学共同利用機関及び共同利用・共同研究拠点で運営されている放射光施設の連携は非常に重要であると認識しているところでございます。
 利用制度につきましては、かなりいろいろな形でニーズに合わせて増やしているところでございまして、たくさんあるんですけども、ざっくり言いますと、まずは学術研究、成果公開型のところでございまして、無償の共同利用研究というのが一番大きなパートになります。先ほど言いましたG型に加えて、初心者によるP型、U型、あと、特別型、S型などといったものが整備されております。あと、学術で成果公開ですけれども、有償で優先利用ができるという優先施設利用というのがございまして、これはここに書かせていただいている料金をお支払いいただくと優先的に利用できる。これは外部資金等で既に採択されているプロジェクト、科研費を含むということで運営させていただいているところです。
 また、産業界が主に使われている施設利用に関しましては、一般の施設利用及び試行の施設利用。これは初めての方が使えるように、比較的、入り口のハードルを下げるという意味での制度でございますけど、試行の施設利用、そして、民間等との共同研究といったようなシステムがございまして、それぞれいろいろな形で御利用いただいているということでございます。
 時代に即した利用制度の構築についてということで、いろいろ書きぶりが難しいんですけれども、我々といたしまして、まず、ポストコロナのタイミングがございますので、それに対応してのリモート実験環境の整備というのをいろいろな形でサポートいただきまして、整備してまいりました。ですので、ネットワーク経由でセキュアに施設内部にアクセスして、放射光実験できるといった環境が整備されております。特にタンパク質の結晶構造解析についてはかなり自動測定ができておりますので、試料を送れば自動測定できるといったようなことも実現しております。
 また、AI・DXの活用という意味では、物質構造科学研究所の中に新領域開拓室というのを設置しまして、AI・DXを活用した、AI for Scienceに向けた取組ということを進めています。従来のマテリアルズ・インフォマティクスでありますとか、バイオインフォマティクスの活用だけにとどまらず、計測のインフォマティクスという言い方が適切かどうかどうか分かりませんけれども、放射光初心者の利用障壁を下げるでありますとか、利用者の拡大を図るといったようなことで、取組を進めているところでございます。
 最後、まとめでございます。Photon Factory、PFは、大学共同利用機関としての理念を継承しつつ、国内施設との役割分担を有効にしまして、産学連携等も強化しつつ、AI・DXを活用した次世代型の利用制度を構築するということで、持続的な発展を目指しております。社会にとって不可欠な「知の基盤」として、先端研究と人材と技術を継続的に生み出せるエコシステムになりたいと考えております。引き続き御指導、御支援賜りますようよろしくお願いいたします。
 以上です。
【有馬主査】  ありがとうございます。
 ただいまの御説明につきまして、御質問や御意見ございましたら、どなたからでも結構ですので、御発言をお願いいたします。いかがでしょうか。
 もしないようでしたら、まず私から、有馬ですけども、よろしくお願いします。
 今後の時代に即した利用制度の構築ということですが、ここは割と何だろうな、研究側に、もちろん研究なので研究側の観点から時代に即した利用制度というのをやられていると思いますけども、産業利用は多分、ミッションからいって時代に即したというのはまだ考えなくていいかもしれませんけど、教育について、特に、放射光の人材という意味の教育というのは、やはりPhoton Factoryさんには日本中から期待されているところがあると思うんですけれども、それに関して、現在の利用制度の、例えばここをもう少し改善するといいかなとか、そういうことは何かございますか。
【足立理事】  大変重要な御質問かなと思います。多分、我々だけにとどまらず、ほかの施設の方も、若手の人材をいかに確保して、よりよい未来を開いていくかというのは非常に重要な課題で、現在、どちらかというと、利用の方々は増えているかもしれませんけど、施設をちゃんときっちり使えるようなユーザーというか、それを引き継いでいかれる若手人材がなかなか育っていないと思いますので、やはりそういう方がぜひ増えていただきたいなというのは我々の思いであります。なので、大学共同利用機関は、従来、歴史的に、スタッフとユーザーが一緒に、本当に装置を非常に上流側のところからいじって、希望の実験に合わせて使えるようにしていくということを大事にしておりますのでそういうところをうまく使えるような、実際に使えるように運営しておりますけれども、かなりそこは有効的に活用できるような仕組みというのはかなり重要かなと思います。ですので、そこはある意味、共用施設と相補的な部分かなと思いますし、大学共同利用機関ならではの取組かなと思います。
【有馬主査】  はい。よろしくお願いいたします。今、総研大というシステムをずっとやっていますけども、それ以外でも大学院生をもう少し関わらせるようなシステムをつくっていただくのがいいのではないか。個人的にはそういうふうに思っていますので、ぜひよろしくお願いいたします。
【足立理事】  大学院生の受入れですよね。
【有馬主査】  そうですね。
【足立理事】  総研大が正式な所属ではあるのですけども、それ以外にもいろいろな形で大学の先生方が指導されている研究室の学生さんを受け入れるというシステムもございます。もっと増やしてと。
【有馬主査】  はい。そのほか、いかがでしょうか。大竹委員。
【大竹委員】  足立理事、御説明ありがとうございました。今、有馬主査からの御質問にも少し関係いたしますが、11ページ、12ページのところで、やはりPFの強みというところ、それから、今日はかなり利用というところでいろいろ重きを置いて御説明いただいたように思うんですけれども、人材育成のほかに、やはりPFの規模ですと、かなり挑戦的な研究開発、また、トライ・アンド・エラーといった形での、いわゆる安定稼働の大型施設とは違った形での最先端の取組等をしていただけると私ずっと理解もしておりますし、期待もずっとしてございます。
 その中で、ここで、特に11ページの真ん中のところには、大学共同利用等を通じて、新技術と若手人材を供給し、多様な利用研究を促進し、新たな研究分野を創成すると、ここは非常に大切だと思うんですが、現在の共同利用の制度ですとか、または、様々な大学院生ですとか人材もあれば、または、大学の先生方の先端的な、または挑戦的な課題に対しての予算的な措置ですとか、そういった形でのサポートというようなところ、現状どうなっていて、そしてまた、PFとしては、どういう方向性も期待というようなことを少しコメントしていただけますと、いわゆる共用施設と違った形でのさらに特徴が出て、理解できるかなと思うんですけど、いかがでしょうか。
【足立理事】  大竹先生、どうも御指摘ありがとうございます。共用施設が先端技術を開発しないわけではなくて、まさに共用施設が非常に技術を開発されて引っ張っていらっしゃるというふうに私は理解しています。それと、大学共同利用機関の在り方として非常に違うのは、大学共同利用機関は、ユーザーの方を巻き込んで先端技術を開発していくというのが一つのミッションになっているかなと理解しています。共用施設の方は、施設側のほうで高度化をし、それをいろいろ広いユーザーの方に使っていただくといったような形の位置づけなのかなと思いますけども、やはり大学共同利用機関としては、ユーザーを巻き込んだ先端研究の進歩。なので、ユーザーの方にも、かなり加速器に寄ったところ、もしくは光学系に寄ったところもいじっていただいて、いろいろな研究ができるといったことを大事にしているというところがございます。
 システムとしてどれぐらいできているか、予算がどれぐらいつけられているかということに関してはなかなかお答えにくい部分でありますけれども、我々の、例えば2年間有効の実験課題で、比較的腰を据えて実験課題に取り組める。その中で、装置の高度化、システムの高度化も取り組めるといったのが、ある意味、我々の特徴なのかなと考えているところでございます。お答えになっていますでしょうか。
【有馬主査】  大竹先生、よろしいでしょうか。
【大竹委員】  大竹先生、ありがとうございます。あと1点だけちょっと。せっかく物構研さんなので、私は中性子の人間なので、中性子ですとか陽電子ですとかそういった形での取組がPFのほうでどういった形で生かされているかということがもしあれば、また、マルチビームの取組を今日、最後のほうで御紹介いただけるのかなと思っておりますけれども、現状で何かあれば御紹介いただけるとありがたいです。
【足立理事】  隣に物構研の所長の船守所長がおりますので。
【船守所長】  最後のところで、UVSORの解良施設長からお話がありますけれども、我々のところ(PF)では、まず硬X線と軟X線を同時に使うみたいなことをやっていこうと。実は同じ放射光でも、硬X線、軟X線あるいはVUV、エネルギー領域で使い方といいますか、装置立てが大分異なります。そういったものを同時にというようなことを今始めているところでございまして、そのほかにも、大竹先生のところ、小型中性子源を開発されて使われていると思いますが、我々、物構研でも小型ミュオン源を現在開発しているということもございますので、そういった線源も含めて、ワンルーフのところでやっていく、全て集約していくというような取組を進めたいと考えている次第です。
 以上です。
【大竹委員】  どうもありがとうございます。
【有馬主査】  そのほかの方、いかがでしょうか。久米委員。
【久米委員】  花王の久米です。御説明ありがとうございます。今回の時代に即した利用制度の構築というところで、企業等の制度というのもつくられているという、非常にありがたいなと思っております。例えば7ページ目のところのユーザー分布とか見ますと、これは今、インダストリーが7.4%となっておりますが、この制度をつくって、企業利用の割合はどれくらいを目指しているとか、どれぐらいまでが適切だろうとか、そういうお考えがあれば教えていただければと思います。
【足立理事】  内部的な取組といたしまして、各ビームラインの20%を超えないといったような内規を定めておりまして、それが一つの制限になっているところでございますが、今回、例えばSPring-8さんが停止している期間に、例えば大きな産業利用のユーザーの方が困っているという状況があったとすると、そこの運用はまた別な形であり得るのかなというのは内部的にいろいろ検討しているところでございます。
【久米委員】  ありがとうございます。
【有馬主査】  そのほかいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、どうもありがとうございました。
 続きまして、自然科学研究機構、分子科学研究所、極端紫外光研究施設、解良施設長より、資料5について御説明をお願いいたします。
【解良施設長】  分子科学研究所の解良でございます。UVSOR施設長を務めております。どうぞよろしくお願いいたします。
 今回用意させていただいた資料が必ずしもこの委員会のリクエストに沿っていない構成になってしまっておりまして、申し訳ございません。
 UVSORの現状を御説明いたします。先ほどのPhoton Factoryさんの翌年に、東の地域性に対して、地域性に関連して西の地区にできた施設でございます。また、分子科学研究所の設置の当初から、巨大インフラの目玉の一つとして、分子科学のコミュニティーを牽引していこうと。そういったスタイル、ミッションで進められております。ということで、我々が持っている今バリューというのは、分子科学のボトムアップを今後も継続していくスタイル、なおかつ、小型放射光施設リングの自由度を生かした学術創発と技術開発というものを、特定のものを進めております。
 現在は、直近の中期目標的には、見えない科学を可視化するということで、少数スタッフですけれども、大学共同利用機関としてユーザーの皆さんとともに進めている施設になってございます。
 それで、ここは全体の概要をお示しする統計数値データです。53メートルの小型リングになってございまして、0.75GeV、300mAのトップアップオペレーションが実現しております。ただ、最初のファーストビームは、今からもう43年前になっておりまして、2003年、2012年と、幸いにして補正、高度化の予算措置がつくことによって、その時代時代の技術革新を入れて、現在では国際競争力のある小型の低エネルギー放射光施設としては世界トップレベルの性能を誇っております。
 ここにある数値として、例えば5,000人user * dayというのが、先ほどの資料1のページ14と異なっている表記になってございますが、先ほど資料1のページ14に対して、実際に使っていらっしゃる日にちを掛けているような形で、若干大きく見えるようになっている点を御留意ください。
 年間として大体220件程度の課題申請を受理しておりまして、民間利用がそのうち数%、最近7%ぐらいですけども、もともと分母の小さい組織ですので、こういった統計データは若干ばらつきが大きいと御理解ください。
 国際利用に関しても、10数%程度で維持しております。この辺の変化につきましては、後ほど御紹介いたします。
 写真に写っている方々が実際にUVSORに関わる皆さんです。ほかの放射光施設、特に海外と比較しますと、決定的に違うのは、極めて少数のスタッフでの運営になってございます。特に分子科学研究所の特徴でもございますけれども、設置当初から技術職員、この場合は14名、事務系3名ですけども、14名の技術職員が非常に多いと。研究者とほぼ同数というか、研究者よりも多い人数で回していると、そういった施設になってございます。
 戦略としましては、低エネルギーの光源、特に光との相互作用が大きくなる波長域でございますので、科学、ケミストリー、材料、そして、生命、環境、宇宙、そういった分野に特定のトピックにやや偏った形ではございますけれども、やはり放射光施設の特徴として非常にブロードなユーザーに対応する努力を進めております。
 大きく分けると、現在、13のビームラインがございます。最大、一番込み入っていたときは、20数年前が22、3本、ビームラインがあった時代もございました。現在、13。このうち、大きく分けると3つ、カテゴリーがございまして、BとかAのラベルがついているところが一般的な標準的な計測で、低エネルギーの長波長帯の光源の特徴を利用するような、材料評価等々で活躍しているビームラインになってございます。それから、Uの頭文字がついている6つのビームラインが先端光源、アンジュレータを利用した国際競争力の高い成果を発信するビームラインでして、これも予算問題がございますけれども、今のところ、5年ないし、10年程度で装置開発して、その時代の先端分析法を導入し、ユーザーに開放するというスキームで回してございます。
 3つ目は、最後にまた振り返りますけれども、小型の放射光そのものを加速器科学の物理学の研究者の皆さんが研究に使って、新しい量子ビームあるいは放射光の使い方というのを模索すると。これも小型施設の強みとして挙げられるかと思います。
 現在、教授2名、准教授2名、それから、2名の主任研究員が主にアンジュレータの黄色い帯のビームラインにコミットしていただいて、御自身の研究と周辺のコミュニティーを巻き込んだ研究成果を出されております。
 緑のほうは、基本的に技術職員、マネジメント関係は教員が見ますけれども、現場のオペレーションあるいは装置の改修、改良等は技術職員がやっていると。今後はここをAIの自動化の流れに乗りまして、可能な限り時間をうまく使うような方向に高度化していきたいと考えてございます。
 統計データになってございます。まず左側、左上が論文の数になります。分母が小さいので、年間40件、50件程度のものになってございます。左下が先ほど冒頭で御紹介しました。当初は、我々の戦術的な側面で、海外のビジビリティの高いフロントにいらっしゃる各分野の先生方と、我々が持っている実験設備のマッチングのいい先生方をお招きして成果を出していただくというスキームで回していたのですが、COVID-19の後、一旦途切れたわけですけども、そういったスタイルですとなかなかそれを維持することが難しいというのが浮かび上がってきたところです。
 一方で、コロナ禍が終わった後、ユーザーの分布が劇的に変わり始めていると感じております。一つは地域、アジア地区の研究者の皆さんが自らアプライして使いたいということで件数が増えておりますし、また、分野に関しても、これまでケミストリーの分野が中心だったBL3UとかBL4Uという実験装置がございますけれども、そこに限らずにいろいろな装置を使いに来るというフェーズに移行しつつあるということで、今後の動向に注意したいと思っております。
 右下が今回のこの委員会で非常に大事なところかと存じますけれども、波長域としましては、SPring-8さんからは一番遠いところにございます。短波長からは離れた低エネルギーのほうですけれども、ここで何が起きたかというと、今回、SPring-8-IIの更新によりまして、SPring-8さんが受け入れていた赤外のユーザーさん、コミュニティーがどうしようかという問題に直面いたしました。これは学会を通じてアナウンスをもう既にされておりますけれども、我々UVSORがここのSPring-8さんの赤外ユーザーさんを受け入れる体制で、準備を今進めております。具体的には、地域性もございますので、必ずしも皆さんが全員こちらに移るわけではございませんし、実際使っている設備、計測のところは全く同じものを使っておりません。その辺のいいとこ取りをこれを機会に整理して、今後の赤外コミュニティーの動向に応えたいと思っているところです。
 最後のスライドになりますけども、UVSORの強みについて述べさせていただいて、終わりたいと思います。主に2つの点を挙げさせていただきました。
 いずれも設置された42年前からの持っていたミッションに従ったものと私は理解しておりますけども、1つ目は、先ほども言いましたが、加速器自体を上手に使って、新しい光源技術を開発して国際主導しようと。ここの右に十幾つ、世界初と呼べるようなものが80年代から脈々と途絶えることなく発信されているということを見ていただけるかと思います。最近では、アンジュレータ、放射光施設としては、時間軸を使った実験というのはなかなか難しいところがあるのですけれども、例えば放射光でもアト秒の干渉現象を使うことでアプローチできると。そういった新しい放射光の使い方というものも我々の施設から発信されてきているところです。
 2つ目は、分野を開拓するような役割で成果として挙げられるもので、有機化合物、有機分子の電子状態を国際主導してきたという歴史がございます。古くは90年代から、当時は世界的に見ても、非常にきれいな放射光施設関係を崩したくないということで、有機分子というのは実は敬遠されてきたマテリアルでもございました。真空を汚染するとか、オプティクスを汚染すると、そういった視点ですね。そこをここだけでは、この施設においては、主体的にそういったチャレンジングな実験をしてきたおかげで、今日の有機エレクトロニクスの基盤になるような物理学を構築してきたという歴史がございます。
 最近の成果の一つは、左にございますけれども、こちらは、例えばNMRで計測アプローチが難しいような鉄に関する化学状態を放射光でちゃんと調べることができているという事例でして、ケミストリーのまだ光を使いこなせていないような研究者の皆さんがこういったことを情報を得て、口コミで、人づてで徐々にアクティビティが広がっているというのも感じている次第です。
 これからは我々、分子科学研究所、50年たちますけれども、分子科学の先の展開としてより複雑な分子系、まだ光を使いこなしていないコミュニティーに強くコミットしていこうということで、現在、スタッフ共々進めているところです。今後ともよろしくお願いいたします。
【有馬主査】  ありがとうございました。
 皆様から御質問に入る前に、ヒアリング事項についてだけ確認させてください。まず、産学の利用者の受入れ体制の整備ということで、キャパシティーとかもあるのですけど、もう既にお話しされたと思うのですが、今の話ですと、SPring-8とは重なりがほとんどないので、ダイレクトにそれを受け入れるのはIR以外はない、そういうふうに理解してよろしいですか。
【解良施設長】  そうですね。エネルギーが高いところの光は、我々4keVまで出ますが、その辺の波長体で、X線吸収分光を望まれる先生方がいらっしゃいましたら御協力できると思います。
【有馬主査】  なるほど。それから、将来構想、後でお話あると思うので飛ばしまして、今、利用制度、課題申請審査の方法とか利用料金設定の考え方というのはどういうふうになっていらっしゃいますか。
【解良施設長】  すみません。ちゃんと資料として用意していませんが、先ほど資料1のページ18に、数字を見ていて気づいたのですが、最近の物価高騰に合わせまして、我々、利用料を改定しております。基本的にはアカデミックな成果公開型は無料で変わりませんけれども、成果専有の有償利用に関しましては、時間当たり2万4,200円と変えたかと思います。確認いたしまして、修正させていただければと思います。
 利用制度としましては、年間、半期ずつ、2回の申請期間がございます。それ以外にビームタイムが空いている場合には、随時、申請書を出していただければ、また受入れスタッフと相談して使うことも可能となっております。
【有馬主査】  なるほど。ありがとうございました。
 それでは、ここからは、御説明につきまして、質問、御意見ございましたら、どなたからでも結構ですので、御発言をよろしくお願いいたします。いかがでしょうか。
 それでは、興味があるので、有馬よりもう一つお伺いしたいです。
 ビームラインの数が一番多いときに比べて減らしたということですけど、これはどういう戦略的な、例えばユーザーの調査をしたとか、どういう感じでやってきた。多分それはどの放射光施設でも、要するに、ビームラインの入替えとか、減らしたりと、その判断は難しいと思うんですけど、それをどういうふうに実現されたのか聞かせてくださいませんでしょうか。
【解良施設長】  まず増えていったほうは、大体1983年に始まりまして、20年後、徐々に分野が成熟していった背景と、あと、我が国の経済成長がリンクしております。なので、ユーザーの皆さんが御自身で外部資金を獲得されて、その資金を使ってビームラインをつくらせてくださいというような、いわゆる大学共同利用機関のど真ん中にあるミッションをユーザーとともにやってきた事例がございまして、そのとき、最大、もう詰め詰めに入っていた状態ですね。そこから、実際にそういう背景から御推察いただけると思うんですけども、ユーザーが維持できにくくなってくると、今度はメンテナンスの維持費というのがまず最初にクリティカルな問題になりまして、もちろんそういう状況でもコミュニティーが成熟して、利用者が右肩上がりであれば施設として維持すると。そういう判断で、イエス、ノー、ユーザーの意見も聞きながら進めてきていると私は理解しております。
【有馬主査】  ありがとうございました。
 そのほかの皆様、いかがでしょうか。橋田委員。
【橋田委員】  東海大学の橋田です。私も少し興味があって、ユーザーとして使っているのですけども、今、国内にテラヘルツから見ている範囲のところの出ている施設はなくなりましたね。大学として多分、東大と京大と阪大にあったと思うのですけども。私が聞きたかったのは、彼らが共通して言っているところがあって、加速管と言うのですかね。それがもう作っている会社がほとんどなくて、だから、それがなくなると結構大変なのですよみたいなことを言っているのですけども、分子研ではそういう問題はクリアできそうなのでしょうか。
【解良施設長】  恐らく、細かい技術のところを完全に掌握できていないですけども、同じ問題はあると思います。
【橋田委員】  ということはあるというところで。それに対して今後どういうふうな、皆さん、国内の人で持っている分を共通して何とか持続していきましょうということを考えているのか。それとも、どこかの会社につくっていただくと、長期的にこういう施設を考えたときに、国内の会社につくっていただくということを考える必要があるのかというところを少し何か現状であれば教えていただきたいなと。
【解良施設長】  すみません。質問の中身を確認させていただきたいのですけども、橋田さんのおっしゃる加速管というのは、テラヘルツの発生源のところ。
【橋田委員】  発生源、電子ビームを発生するところだと思うのですけど。
【解良施設長】  電子ビーム自体、我々放射光なので、蓄積リングから出てくる光を分光して使います。ただ、先ほど私は技術的に難しいとお伝えしたのは、テラヘルツの検出側の話です。すみません。勘違いしておりました。
【橋田委員】  電子ビームを出すところは、何を使っている。
【解良施設長】  放射光です。
【橋田委員】  電子ビームも放射光。
【解良施設長】  電子ビームはもともと、電子銃が加速する前に低エネルギーの電子銃源があります。
【橋田委員】  ありますよね。今、その部分を言っているのです。
【解良施設長】  なるほど。
【橋田委員】  ただし、フットカソードタイプと熱電子タイプがあって、そのための加速管みたいなものが初期段階であるらしいのですけど、そこを作っているところがもうほとんどないというふうに、今、大学で使って、私は聞いているのですけども、何かそういう措置は考える必要があるのかなと。私が間違っていたらすみません。教えていただきたいと。
【解良施設長】  ありがとうございます。私が今、技術的に知識がないのでお答えしないほうがいいかもしれませんけれども、我々の光源のチームから聞いているところでは、私の理解では、我々の持っている電子銃のタイプはまだしばらく。
【橋田委員】  大丈夫と。
【解良施設長】  はい。特にそういった心配がないタイプのものと理解しております。
【橋田委員】  分かりました。ありがとうございます。
【有馬主査】  矢橋委員。
【矢橋委員】  理研の矢橋です。今の御質問について補足しますと、基本的にコンベンショナルなもので、国内の加速器のコンポーネントの維持はできると理解しています。ただ、もちろん、新しいいろいろな性能が上がってきていますので、そこにどういうふうにアプローチしていくかというのは別の問題ですが。
【橋田委員】  分かりました。ありがとうございます。
【有馬主査】  ありがとうございます。
 そのほかいかがでしょうか。高橋委員。
【高橋委員】  QST、高橋です。代替施設、SPring-8の代替ということを考えるとき、もちろんビームラインの光の波長とかそういったところは非常に重要な要素ではあるんですけども、当時にビームライン以外の、例えば試料調整だとか、予備的な測定だとか、そういったものもないと多分ユーザーさん、なかなか、特にSPring-8さん、かなり充実していると思いますので、そういったところも結構実は重要な要素になってくるのではないかなということを考えています。その点から、分子研、UVSORさんの状況はどんな感じなのかお伺いしたいんですけど。なぜかというと、6ページのところで、マテリアルサイエンスが非常に多くて、ケミストリーとかライフは割合、分子研という名前から想像する割には少ないなと思ってしまったので、そういったところの環境というのはどういうふうになっているのかお伺いできますか。
【解良施設長】  ありがとうございます。分子科学研究所には、似たような計測機器支援サービスに機器センターというものがございます。そこはオフラインで、施設とは全く別のロケーションでそれぞれのものをつくったり、測ったりという設備を整えているのですけども、残念ながらそこの、そういった汎用機器で測定した後に、それを下地に放射光につなぐとか、そういったところがまだ我々の中ではシステムとしてできていないところがございます。ただ、特定のマテリアルの中でもある本当にスペシフィックな業界に対しては、施設の中にそういった作業所と、簡易に事前に観測するシステムがございまして、お答えとしましては、あくまでかなり特定の領域にのみサポートしていると、そこのマッチングがよろしければ、SPring-8さんにも御協力できるとは思います。
【高橋委員】  ありがとうございます。
【有馬主査】  そのほか、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 どうもありがとうございました。
 それでは、続きまして、広島大学放射光科学研究所、島田所長より、資料6について御説明をお願いいたします。
【島田所長】  本日は、このような機会をいただきまして、ありがとうございました。
 広島大学放射光科学研究所には、今、左側に示します写真のように、小型放射光源、我々はHiSORと呼んでいますけれども、これがあります。エネルギーは0.7GeV、周長22メートルの小型放射光源でございまして、1997年から稼働しております。右側のスペクトルがHiSORから発生している放射光のスペクトルですけれども、おおむね2eVから5,000eVまでの光が出ておりますが、主としては、紫外線域の2エレクトロンボルトから大体300エレクトロンボルトの放射光を利用する研究に特色があるということになります。
 質問事項でございますけど、まず最初に、施設の強みや特色の明確化による相互補完関係の強化や持続的な発展を可能とする仕組みのところから説明したいと思います。
 まず、設置の沿革、先ほど申し上げました1996年にセンターが設立されまして、2024年に概算要求の組織整備によりまして、放射光科学研究所に改組されています。研究所の目的は、紫外線から軟X線域の放射光を用いた、大学における独創的、先端的物質科学研究の推進ということと、それから、大学の中に置かれている放射光実験施設として、学部、大学院教育を通じた人材育成というのが非常に重要なミッションです。
 利用の日数についてですけれども、大体火曜日から金曜日まで、1日11時間の運転で、年間の稼働日数としては155日程度です。
 共同利用・共同研究の課題数ですけれども、年間、大体110件から120件程度の課題を採択しております。海外からの利用申請がおおむね全課題の4分の1程度です。
 受入れの実人数ベースですけれども、170人から180人程度、やはり海外からの利用者というのが4分の1程度です。
 今回の調査で、令和6年度の実績ということでございましたけれども、実は令和6年度は、ほぼ年間を通じて老朽化によって共同利用・共同研究課題をほとんど実施できなかったという状況でして、令和5年度の実績ということで示させていただいてございます。
 今後の持続的な発展を可能にするというところで、やはりこの老朽化をどうするかというところが非常に重要な課題になっておりますが、一番重要なのは、やはりトップアップ自動運転によって安定した放射光を使えるようにしたいというところです。これは後ほどまた申し上げます。
 HiSORでは、紫外線域の利用研究に特色があり、ここに挙げています3つの特色ある先端計測技術というのを持っております。1番目が高解像度電子構造解析、2番目がスピン電子構造解析。専門的に言いますと、高分解能角度分解電子分光、高分解能スピン角度分解光電子分光という手法が、世界的にも競争力のある先端計測技術です。
 それから3番目が、真空紫外円二色性解析ということで、これは溶液の中に溶けているタンパク質だとかDNAだとかそういった生体高分子の高次構造解析を行う実験手法として、世界に先駆けて、本研究所で開発しています。
HiSORで開発した高分解能スピン電子構造解析技術というのは、それまでの検出器に比べますと、100倍の検出効率を持っておりまして、しかも、それを放射光で、ビームラインで実験ができるということが強みで、2010年頃から運用開始しております。ちょうどその頃、トポロジカル絶縁体というものが脚光を浴びまして、スピン分解が非常に重要で決定的な結果を与えるような測定手法でありましたので、世界各地から研究者が訪れて、実験を行って、インパクトのある成果を上げました。この技術は、今やいろいろな施設が技術を導入しているわけですけれども、この解析技術というのは電子スピンを利用する次世代の半導体技術の開発だったり、あるいは新しいスピン検出の技術のところで、基盤的な情報を与えるものでございます。
 もう一つの、真空紫外円二色性解析というものは、紫外線域の右回り、左回りの円偏光を、溶液中の生体高分子に照射して、透過してきた吸収スペクトルの右と左の違いを見るという実験手法です。これは溶液中の生体高分子に適用できるようにしたというところが本研究所のオリジナルな部分でございます。この手法は、溶液中の生体高分子について、例えばヘリックス構造やシート構造などの二次構造が、どういうふうに変化するのかということを、非常に敏感に検出することができます。こうした特徴を活用いたしまして、例えば毛髪タンパク質に熱を加えたときにダメージが起きるわけですけども、そのダメージを抑制するような成分の探索に応用いたしまして、それが実際に、製品化されています。
 それから、ここ数年ぐらいのところで、広島大学のPSI GMP教育研究センターと連携しまして、核酸医薬品の開発のところでこの手法を応用しています。ワクチンとなるメッセンジャーRNAを内包した脂質性のナノ粒子というのがあるのですけども、この中のメッセンジャーRNAの構造を非破壊で解析したという成果でございます。こうした特徴をほかのところでも生かしていきたいと考えております。
 人材育成に関しましては、私も含めまして、研究所の職員は、学部と大学院で授業を担当しております。ここに示しますのは、毎年、学部生、修士の学生、博士の学生をどれぐらい輩出できているかというところを示しています。とりわけ学部の卒業生はいろいろな分野に就職いたしますので、放射光科学の裾野を広げるところで貢献できているかと思います。それから、学位を取得した学生は民間企業にも勤めておりますし、もちろん大学研究機関のほうでも勤めています。そういうことで、様々なレベルで、放射光を利用したり、あるいは利用技術の中核を担ったりという人材を育成できているのではないかと思います。
 このスライドは、当研究所の運営面だったり、あるいは技術的なところの役割だったり、強み、特色を示したものです。
 今後の持続的な発展ということを考えますときに、一番我々にとって重要なのは、放射光源の安定化です。29年前にできた放射光源、当時はよく工夫された標準的な光源だったのですけれども、29年経過いたしまして、老朽化は置いておくにしても、今、一番大きなネックとなっておりますのが、トップアップ自動運転ができないような仕様になっているということです。これは非常に深刻でして、放射光の強度が入射して6時間たつと半分ぐらいに減少してしまいます。先端的な計測というのは放射光の強度が一定であるということを前提としたものが今や標準になっていますので、こういったところが非常に大きな障壁になっているということで、これを解決したいというのが今後の課題です。
 これを解決するだけで、まず利用時間というのが倍増になりますし、それから、長時間積算して、精密な測定を行ったり、あるいは網羅的なデータベースを構築するための測定を自動化することによって、利活用が非常に大きく広がってくるということが期待できます。放射光源が安定化いたしますと、今のビームライン、分光器、測定装置をそのまま新しい光源、安定化した光源で活用、転用することができます。それだけで、今申し上げてまいりましたHiSORが強みをもつ3つの測定手法というのがそれぞれ高性能化するというか、つなげるだけでさらに性能を発揮する、ということが期待できます。
 HiSORの現状と整備ということで申し上げましたけど、先ほど解良施設長から、ご紹介がありましたUVSORは、世界の中でも非常に優れた光源となってます。先端的な光源を使った先進的な研究というのがUVSORで展開されております。HiSORでは、光源としては、並みというか、標準的ではありますけれども、その代わり、大学の中での教育研究、それから、シーズ的な研究だったり、あるいは特色ある計測装置の開発というところで強みを出してきたと思います。2つの拠点で、先進性と、厚みというか、利用のいろいろな技術の裾野の拡大ということを担ってきているのではないかとも思います。
 世界的に言いますと、50ぐらいある放射光実験施設の中で、紫外線領域の研究に強みのある施設というのは希少でございます。そういう意味で、我が国で、こういった分野をしっかりカバーして、先進性を持たせるということは非常に重要ではないかと考えております。
 質問事項の1番目ですが、先ほどUVSORの解良先生からも御説明がありましたけれども、HiSORというのは低エネルギー側をカバーしているということで、SPring-8からかなり遠いということにはなります。ただ、現光源で実施可能な、例えば予備的な実験だったり、あるいは計測、測定系のいろいろな予備的な試験であれば対応可能です。現状、1.2keVぐらいまでは利用可能ですので、それで何らかの実験をしたいということであれば、それはぜひ受け入れさせていただきたいと存じますし、それから、データ解析だったり、そういった手法の開発というところでも、我々ができる範囲でぜひ協力させていただきたいと考えております。
 キャパシティーに関しましては、マッチングの問題はありますが、今申し上げたような条件でよろしければ、大体年間10課題程度の受入れが可能かなと考えております。
 それから、3番目の質問事項で、時代に即した利用制度の構築ということになりますけれども、先ほど申し上げましたが、これまでは共同利用・共同研究拠点ということで学術研究をメインにやってきておりますが、今は大学の中で融合研究だったり、いろいろな重要拠点との連携を深めておりますし、それから産学連携のほうも積極的に取り組んでいるところでございます。
 本学では、コアファシリティ事業による学外利用の実績というのは当然、大学としてはありまして、放射光科学研究所につきましても、全学のコアファシリティマネジメントの枠に組み入れて、課題の申請・審査方法、利用料金の設定等の考え方を整理した利用制度を構築するということになります。
 本学のほうで考えておりますコアファシリティマネジメントセンターによる全学共有機器の利活用の拡大、技術職員の育成の一体的推進の概要につきましては、このポンチ絵に示しますとおりです。
 この中にHiSORというのも組み入れて、コアファシリティのマネジメントセンターの中での利活用、および利用制度の構築を進めてまいります。
 それから、時代に即したデータの取扱いということになりますけれども、今後はやはりデータの量がどんどん増えてきます。検出装置の効率も上がってきますし、今後、もし安定化した光源が実現いたしましたら、格段にデータの量が増えてまいります。実験で得られるビッグデータの共有、利活用ルールを整備して、解析を支援する、そういったビッグデータを解析するようなプライベートAI等の環境の整備が今後必要になってくると考えてございます。
 以上でございます。
【有馬主査】  ありがとうございました。
 それでは、ただいまの御説明につきまして、何か御質問、御意見ありましたら、どなたからでも結構ですので、御発言をお願いいたします。いかがでしょうか。
 では、有馬より。1点お伺いさせてください。産業界の利用で、参考資料のところに幾つかの会社さんと産学連携の取組みたいなことが書いてありますけど、これは成果公開でやられているんでしょうか。
【島田所長】  今、トライアルユースということで進めておりまして、秘密保持契約を結んで共同研究に進めるという前段階の段階です。トライアルユースのほうも、今のところは秘密保持契約の枠の中で行っています。
【有馬主査】  なるほど。今後に関してはどのような。これはまだトライアルだということですけども、実際にこれで使いたいとなったらどういう感じの利用制度にされるというような予定がもしございましたら教えていただけませんでしょうか。
【島田所長】  現時点では、トライアルユースとして、まず、どういうデータが取れて、企業様にとって、それが実際に共同研究契約に進めるだけのものかどうかというところを御判断いただいております。その上で、現在、東京エレクトロンさん、それから、日鉄テクノロジーさん、ミルボンさんとは共同研究契約を締結するという方向になっております。共同研究の枠組みの中で利用する分に関しましては、成果非公開という形になります。共同研究経費を頂きますが、その額は、オープンイノベーションを担当する、本学の部署とも連携して設定いたしまして、それで進めています。
 今後に関しましては、先ほどのコアファシリティマネジメントセンターというところで、その辺も含めて、利用の在り方というものを整理して、進めてまいりたいと思っております。
【有馬主査】  ありがとうございました。
 そのほかいかがでしょうか。田中委員。
【田中委員】  九州大学、田中でございます。どうもありがとうございました。
 24時間連続トップアップ運転のお話があったかと思うんですが、これが実現されると、3ページ目にある運転スケジュールというのが変わってくるかと思うんですが、年間運転日数というか、これも全部変わってきて、受入れの数とかも全部変わってくるということになるんですか。
【島田所長】  おっしゃるとおりです。今は週に利用できる時間が火水木金の4日間の11時間ずつで、44時間ということになります。これが単純に同じ日数で24時間ということになると、ほぼ倍以上の利用が可能になります。それから、今は、人が付いて、一旦ビームを落として、もう1回入射するというオペレーションになっているのですね。つまり入射のときにはどうしても人手が必要でして、1日11時間の運転というのは精いっぱいでやっている状況でございます。それが24時間の連続自動運転ということになりますと、オペレーションのために常時人がついていなくてもいいというような状況になります。
 もう一つ、重要なことは、強度が6時間たつと半分ぐらいになってしまうことです。放射光強度が半減すると、実験で得られるデータの信号の強度も半分とかになってしまうのですね。ですから、放射光強度が一定であれば、同じ測定をくりかえすときに、データの信号強度がずっと一定で得られます。実効的にはそれだけでもかなり効率が上がるというか、データの蓄積ができるというか、そういう状況になります。
【田中委員】  分かりました。ありがとうございます。
【島田所長】  ありがとうございます。
【有馬主査】  それでは、お時間の問題もあるので、議論はこの辺りにしたいと思います。
 続いて、高エネルギー加速器研究機構 物質構造科学研究所 船守所長と、それから、自然科学研究機構 分子科学研究所 極端紫外光研究施設 解良施設長のお二人より、資料7について御説明をお願いいたします。
【船守所長】  ありがとうございます。物質構造科学研究所の船守と申します。今後の放射光施設の在り方に関しまして、我々大学共同利用機関と共同利用・共同研究拠点からの共同提案であります、量子マルチビーム共創拠点構想の説明の機会をいただきまして、誠にありがとうございます。
 PF、UVSOR、HiSORにつきましては、先ほど各施設の御紹介がございました。これらの施設に加え、本提案には、世界初の放射光専用施設、ソールリングを運用した実績を持ち、現在はSPring-8やNanoTerasuで共同利用等を展開する東大物性研 ISSP-SOR、また、LASOR、及び物構研のSPF、KEKの加速器と共通基盤の両研究施設も参画しております。LASORはレーザー研究を推進、また、物構研のSPFは陽電子研究を推進しており、放射光にとどまらない量子ビーム施設からの提案になっております。
 本日は、分子研 UVSORの解良施設長から構想について御説明いたします。
【解良施設長】  分子科学研究所の解良でございます。
 では、2ページ目を御覧ください。表題に、「ケミストリーを科学する」としました。科学は、サイエンスの産みの母で、新しい分子とか物質を生み出し続けてきています。その発展の先には何があるんだろうと。例えば、多彩な物性や機能を提供するようなマテリアルサイエンスとして現代産業の成功につながっていることは御理解いただけるかと思います。
 では、その先に何があるのだろうか。ケミストリーの概念が研究者によって次のステージに昇華されれば、自然界の最高傑作である極限的な複合物質、つまり、生命。その生命の大いなる謎も解き明かせるのではないだろうかと。深遠なる生命の理解に向けた重要な一歩を踏み出すときだろうというふうに我々は考えました。
 そのために必要な研究が今度はサイエンスの父に当たる計測と評価方法の開拓です。そして、物理学による理解であって、観測すること、刻々と移ろいゆく現象を、姿をあるがままに見ることが、こうした生命の謎をひもとくための最低限の大前提条件だと思います。
 これを実現させるのがマルチビームで、拠点としての量子マルチビーム共創拠点、ここでMB-LINQと名づけます。これを考えます。これまで個々に技術発展してきた各種ビームがございますけれども、それを世界に先駆けてワンルーフ集約したいと思います。左下にあるように、希少なサンプルと一期一会を生かす計測というのが必要不可欠でして、同じ、同一のサンプルを同時に、いろいろな時間軸があると思いますけど、一つの貴重な試料をそのまま測るということです。時間や空間サイズの異なる階層性がありますけども、その階層を横断して、各科学状態とか電子状態、そういった状態を多角的に計測し、相関情報を得る必要があるということです。
 3ページ目です。こうした価値観と可能性に4つの研究所が合意していただけました。我が国の未来に向けて、研究者の知恵を今回結集させたいと考えております。人材不足の昨今でございますけれども、本提案は、機関の枠組みを乗り越えるという大胆な融合が可能にするとします。既にある人的リソース、4機関で活躍している皆さん、人材を集約することで効果的に実施できる計画と思います。
 言うまでもなく放射光施設としては、ハードX線のフラッグシップであるSPring-8、それから、軟X線のフラッグシップのNanoTerasuが共用施設として国内放射光を先導し、多くの成果を発信されています。ここに大学共同利用機関と共・共拠点の連携施設として、本提案のMB-LINQが、今度は開発と教育に軸足を置いて、第三極として強力にコミットしていきたいと思います。
 三極体制というのは、欧米、そして、最近では中国の組織を見て明らかなように、各地域の重要なローカル戦略的体制になります。我々のMB-LINQは、単なる小型の高輝度放射光施設ではなくて、世界に先駆けた量子マルチビーム拠点であるということが最大の特徴です。高輝度小型放射光リングは、この共創拠点の象徴的な存在となり、ビームの同時利用で新領域を切り開く中心ハブ的な役割であると同時に、放射光のサイズでお分かりいただけるかと思いますけども、近赤外からVUV、軟X線の低エネルギー領域でのフラッグシップとしても位置づけられます。小型ユニットの運転自由度を生かすことで、ゼロイチの開発研究を推進して、大きな成功のための失敗込みの試行錯誤の実験がきちんと実施できるという、そういう研究環境を提供したいと思います。
 こうした環境で育てられた若手や技術職員が続々と他施設に輩出されて、また、MB-LINQで開発された先端装置や計測プロトコル、解析手法が共用施設あるいは産業界へと国内循環されるでしょう。本日の委員会テーマにもありますように、三極体制があると我が国のレジリエンスが確保され、国内施設がどこか停止するときの負荷の一極集中を避け、日本の放射光基盤を止めない体制というものが完成すると考えます。
 4ページ目です。真ん中に、「自由に動かして、試して、育てる」と、MB-LINQの拠点としてのミッションをキャッチコピー的にお見せしました。MB-LINQのマルチビームは、4つ、高輝度、小型の放射光、高輝度の陽電子ビーム、それから、高次高調波レーザー、自由電子レーザー、これらを世界に先駆けてワンルーフ集約したいということです。今のところ建設場所は未確定でございますけれども、東京圏を検討しております。
 具体的な各量子ビームのスペック仕様は、こちらも今後も議論を重ねてブラッシュアップさせていきますが、暫定案としては、右図のような122メートル、高輝度小型リングを検討しています。ビームの蓄積エネルギーは1.5GeVと0.75GeVの切替え運転。これによりまして、真ん中にありますように、低エネルギー体の重要な波長域を高輝度でカバーできます。エネルギー帯域としては、重複領域、NanoTerasuさん、SPring-8さんと分けた形で、ちょうど図でいうと2つのブロックずつ、3つの波長領域がそれぞれトップレベルでの施設が誕生するということになります。
 最後のスライドです。先ほどの御質問にもありましたけれども、これまでの連携活動の実績を一つ御紹介します。
 開発研究多機能ビームラインを4研究所連携で整備して、既に利用を開始しております。具体的にはどちらも放射光ですけれども、軟X線と硬X線の2ビームを同じ場所に照射し、計測するということが可能で、本研究における量子マルチビームの同時利用に向けた準備活動と捉えていただければと思います。今後、新しいサイエンスの創発に向けては、必要な要素技術開発がまだまだたくさんございますけれども、今後もこうした形で4機関が連携し、プルーフ・オブ・コンセプト研究を進めていく予定です。
 今回、お時間の都合上、サイエンスの事例等は省かさせていただきましたが、これにつきましても、4研究機関の研究者とブレーンストーミングを進めている最中でございます。
 以上になります。
【有馬主査】  ありがとうございます。
 ただいまの御説明につきまして、物性研の原田先生より、コメントなどもしあればよろしくお願いします。
【原田教授】  物性研の原田です。よろしくお願いします。私は今、NanoTerasuに軸足を置いて、それから、SPring-8もビームラインやエンドステーションを置かせていただいて、いろいろな形で運用させていただいているのですけども、特に今、産業界との連携をたくさんやっていて、そういう中で、やはりいろいろな時間軸、いろいろな空間軸で見たいという人が多いのですね。実際には、我々が持っているツールとしてはかなり、シングルイシューしかできないというところで、例えば今、生命の話がありましたけども、生命でも産業界でもかなりマルチスケールで見ていかなくちゃいけない事例は非常に多くて、生命は特にそうですけども、時間の違う時間軸で起こっていることが多階層で連携しているというのをそれぞれの時間軸、空間軸で見ていかないと、例えば因果関係が見えないという。そこは因果が一番大事だと思うのですけども、産業界の物質開発でもやはり因果関係が分かると設計ができるということになりますので、そういった観点で、マルチビームという構想の目指しているところ、持っているツールというのはかなりマッチングがいいのじゃないかなと思っています。その観点で、放射光だけではないというところが強みにもなると思いますし、今までにないコンセプトになるんじゃないかなと思っています。
 以上です。
【有馬主査】  ありがとうございます。
 ただいまの資料7に関する御説明、それから、原田先生からのコメントについて、御質問、御意見等ございましたら、どなたからでも結構ですので、御発言をお願いいたします。
 それでは、有馬より。まずこれは時間スケールとしてどのぐらいのスケールでこういうのをつくっていきたいなというのがもし。
【船守所長】  よろしいですか。もちろん予算があればというところで、そこが一番大きな問題でございますけれども、我々のほうでは、どういうタイムスケールで可能かということだけお話しさせていただきますと、調査1年、設計1年、建設2年から3年で進められるのではないかというところです。まだまだ検討事項はたくさんございまして、よりよいものを早くやるように、全力でやっているところですけれども、予算があればそのぐらいでできるのではないかということで考えております。
【有馬主査】  ありがとうございました。
 そのほかいかがでしょうか。
【大竹委員】  よろしいでしょうか。
【有馬主査】  では、まず大竹委員。
【大竹委員】  すみません。現場の先生方より前に大変失礼いたします。ありがとうございます。
 この資料、4ページのところ、または3ページのところで、第三極での連携というのは非常に重要だと思うんです。やはりSPring-8、NanoTerasuができて、ここまでも様々な御紹介をいただいていますけれども、やはりそこが最大限生かされていくためには、こういったこれまでの連携をさらに具体化していく計画のところに、ちゃんと予算的措置もついて、また、オールジャパン、または世界も巻き込んだ形で、こういった人材育成まで全て関わっていかれるところを後押ししていく、また、率先してできるようにしていくというところ。特にマルチビームとして、やはり現場で様々なビームが使えるようになるということを同時計測できる、または先ほどの御発言、御質問にもございましたとおり、やはりスケールとして、様々な時間スケールであったり、または空間スケールであったりというところをやる。ただ、非常にいいところ、たくさんあるんですけども、今、一番、目の前のことで、実はこういう壁がありますというところ、言いにくいことは言いにくいというのは結構ですけども、おっしゃっていただけると。やはり予算をつけて、そして、私は中性子の立場がどうしても強くなりますけれども、こういったところを突破口として、様々なところで日本の強みというのを出していくためには、連携するということ、そこを実現して見せていく、また、結果を出すということが一番大切だと思っておりますので、まず直面している難しいところとか、また、制度的なところなどありましたら教えていただけますとありがたいです。
【船守所長】  あまり難しいことはないと言いたいところですというか、最後の5ページ目で御紹介しているように、我々、4研究所がかなり密に連携して推進しております。一緒にやるということがとても大切だということを身をもって実感したといいますか、それで、そういう連携を続けてきたことで、今回、一緒にやりましょうというのをいうような機運が盛り上がってきまして、ここにこういうふうに御提案させていただくことができたのはとても素晴らしいことだと思っております。
 大竹先生おっしゃるように、予算の問題はございますけれども、まずはこういった我々の活動をしっかり成熟させ、それによって、本当に素晴らしいんだというのをコミュニティーとしてしっかりやっていけたらと思っておりますし、それが、放射光とか中性子とかミュオン陽電子とか、そういうところ(量子ビーム利用)に限らない。あと、レーザーもですけど、そういうところに限らない、日本全体の成果創出につながっていくということを目指しておりますので、ぜひ御指導いただきたいと思います。
 以上です。
【有馬主査】  それでは、川北委員。
【川北委員】  大竹さんがほぼ質問されてしまったというか、私は、技術的な壁があるのかどうかというのを聞きたかったのですが、それも含めて大竹さんが質問されましたので、いいです。
【有馬主査】  よろしいですか。そのほかいかがでしょうか。
 有馬ですけども、主査として。必ずしもこの委員の皆様が、ケミストリーに対して陽電子が何をやるのかが分かっていない。私も含めてあまり分かっていないので、ちょっとそこを。陽電子があると何がいいのでしょうか。
【船守所長】  これも物構研がやっていますので、私ばかり回答していて申し訳ないんですけれども、陽電子といっても、低速化した陽電子のビームを使います。これを用いると何を測ることができるかというと、物質の最表面のところの構造を測ることができます。同じような装置で、電子線のビームを使って、電子線回析というのがございますけれども、電子線回析ですと、試料の中に電子が入り込んでしまうということがありまして、本当のごく表面を見たいときには、表面で反射されるような形になる陽電子がとても良いということがあります。
 あと、電子線というのは、電子線回析のときに、多重散乱というのがございまして、それで実際、構造を決めるのがとても難しくなっています。そういうことがない陽電子を使うことで、表面の情報をうまく測ることができます。そういったことと、放射光施設ですと、先ほど、UVSOR、HiSORからもARPESというような角度分解光電子分光により、物質の表面あるいは内部の電子状態をしっかり調べましょうという話があったかと思いますけど、それらと、とてもマッチングのいい手法と考えております。
 このような説明で大丈夫でしょうか。
【有馬主査】  ありがとうございました。
 そのほかの皆さんはいかがでしょうか。よろしいですか。
 それでは、どうもありがとうございました。
 それでは、事務局におかれましては、ただいまの御発表、それから、意見交換を踏まえつつ、次回のヒアリングに向けて準備を進めていただければと思います。よろしくお願いいたします。
 それでは、最後に、議題2、その他ですが、事務局から連絡事項等をよろしくお願いいたします。
【伊藤補佐】  次回の量子ビーム施設利用推進委員会の開催日程は4月17日を予定しております。詳細につきましては、後日御連絡させていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 また、本日の会議の議事録につきましては、作成次第、委員の皆様にメールにて御確認いただきまして、文科省のウェブサイトに掲載させていただきます。
 また、先ほど資料1につきまして、利用実績のところですけれども、基本的に令和6年度の実績等々をまとめさせていただきましたけれども、最新の利用制度みたいなものを分かりやすいように今後ブラッシュアップしていきたいと思いますので、次回以降もどうぞよろしくお願いいたします。
 事務局からは以上でございます。
【有馬主査】  どうもありがとうございました。
 それでは、以上をもちまして、第7回量子ビーム施設利用推進委員会を閉会いたします。本日はどうもありがとうございました。
 
―― 了 ――
 

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