令和7年6月30日(月曜日)16時00分~18時00分
文部科学省内3階1特別会議室及びオンラインのハイブリッド形式
有馬主査、高村(山田)委員、唯委員、古川委員、大竹委員、川北委員、河野委員、久米委員、高橋委員、田中委員、橋田委員、矢橋委員、山重委員
(事務局)科学技術・学術政策局 参事官(研究環境担当) 野田浩絵、 参事官補佐 伊藤有佳子
J-PARCセンター 物質・生命科学ディビジョン長 大友季哉
【有馬主査】 それでは、定刻になりましたので、ただいまから第2回の量子ビーム施設利用推進委員会を開催いたします。
本日は、お忙しい中、それから、大変お暑い中、御出席いただき、ありがとうございます。まずは事務局から、参加者定足数の確認、それから、配付資料の確認などよろしくお願いいたします。
【伊藤補佐】 事務局でございます。本日の会議は、オンラインとのハイブリッド形式で開催しております。本日は14人の委員中、遅れてご出席の方を含めれば13名の委員の皆様に御出席をいただく予定となっております。
内訳といたしましては、対面による御参加が7名と、オンラインでの御参加が6名となっております。梅垣先生がご欠席です。事務局からは、参事官の野田と伊藤が参加しております。
加えて、本日は、議題1、「量子ビーム施設の今後の推進方策について」に関連いたしまして、情報・話題提供のため、J-PARCセンターの大友季哉物質・生命科学ディビジョン長にお越しいただいております。
なお、会議公開の原則に基づきまして、報道関係者や一般傍聴者によるYouTubeでの傍聴を認めておりますので、御了承いただければと思います。
続きまして、配付資料の確認をさせていただきます。議事次第のとおり、資料1-1から1-3、参考資料1-1から参考資料2-3を配付しておりますので、御確認いただければと思います。何か不備等ございましたら、事務局までいつでも御連絡いただければと思います。
以上でございます。
【有馬主査】 どうもありがとうございました。
それでは、早速議題1に移らせていただきます。「量子ビーム施設の今後の推進方策について」です。本日は、NanoTerasuとJ-PARCに関して説明いただきます。まずは事務局から趣旨の説明をよろしくお願いいたします。
【伊藤補佐】 承知いたしました。まず、本日の議題(1)につきましては、前期の量子ビーム利用推進小委員会でまとめていただいた事項のフォローアップということで検討しております。資料1-1の2ページ目でございますけれども、こちらは前回、御説明させていただいた資料になりますが、赤枠で囲ってありますとおり、J-PARCは前期で中間評価をしていただいておりますのと、NanoTerasuは前期で「NanoTerasuのビームラインの計画的な増設について」という報告書をおまとめいただいております。こちらにつきまして、報告書の取りまとめ等から約1年程度が経過していることから、昨今の状況を踏まえた動向と将来計画につきまして御報告をいただき、今後の推進方策について委員の皆様方に御審議をいただきたいと考えております。
事務局からは以上となります。
【有馬主査】 ありがとうございました。ただいまの事務局からの御説明に御質問等ありますでしょうか。オンラインの方もよろしいでしょうか。
よろしければ、それでは、最初にNanoTerasuについて、高橋委員より御説明をお願いいたします。
【高橋委員】 それでは、資料1-2に基づきまして、NanoTerasuのビームラインの今後の方向性について御報告させていただきます。
目次ですけれども、大きく2つのパートに分かれておりまして、まず1番目では、昨年度の補正予算で、増設共用ビームライン1本分の予算が認められておりますので、そちらの状況について、簡単に御報告させていただきます。続く2番目のパートでは、NanoTerasuの現在の状況及び増設ビームラインの方針としましては、NanoTerasuの現在の加速器及びビームラインの状況について御報告するとともに、共用課題の申請・利用の状況、それから、NanoTerasuと並ぶ海外の第4世代の放射光の状況、国の戦略分野といった観点から、ビームラインの増設に関してNanoTerasuと今後の方向について、どういうふうに進めていこうと考えているかということについて報告させていただきます。
3ページ目ですけれども、R6年度補正予算の状況報告ということで、まず御報告いたします。
めくっていただきまして、4ページ目になります。まず概要になります。増設共用ビームラインの概要といたしまして、まず、これは背景ですけれども、「3GeV高輝度放射光施設NanoTerasuのビームラインの計画的な増設について」という報告書が、昨年の量子ビーム利用推進小委員会の決定を踏まえて、出されました。これに基づきまして、R6年度の補正予算によって、X線回折ビームライン1本の整備が開始されたところであります。こちらのほうは2027年度の共用開始を目指して、現在、整備が進行しております。下の図の左には既設の共用ビームライン、今のNanoTerasuのビームラインの状況と、その増設ビームラインの位置関係が示してありますけれども、共用ビームラインが3本、既設のものがありまして、緑の線で示されているように、BL02、06、13Uとありますけれども、それに加えて、4本目の共用ビームラインとして赤で示してあるBL11Wというポートに新しくビームラインを設置するということが決まっております。右側には簡単に仕様について書いてございますけれども、目的とする手法といたしましては、X線回折、これは小角散乱も含みます。光源としては、多極ウイグラーを用いまして、光学系はシリコンの液体窒素冷却の111、二結晶分光器、エネルギー範囲は2keVから20keV程度と考えております。集光サイズとしては、ウイグラーですので、水平方向で200ミクロン程度、垂直方向で50ミクロン程度となる見込みです。エンドステーションには、テンダーX線領域での回折装置、それから、汎用的な多軸X線回析装置、小角散乱装置を備える予定で今進めているところです。
具体的な整備スケジュール、5ページ目に書いてございます。大きなマイルストーンといたしましては、2026年度中の後半のほうにビーム導入をすることにしておりまして、こちらのほうでビームを導入いたしました後、調整のほう、ビームラインの調整、エンドステーションの装置の調整等を進めていって、2027年度の後半の回から共用開始できるように進めてまいりたいと思っております。それのために2027年度の5月前後、課題募集を、こちらは登録機関のほうになりますけれども、そちらのほうで課題募集をしていただいて、共用に供するように進めていきたいと思っております。その目標に向かいまして、挿入光源、ハッチ、ビームラインの光学系、エンドステーションといったところ、書いてございますような契約等の手続から、製作、据付等のスケジュールで進めていきたいと思っております。現在のところ、まだ契約のところが一部終了、手続が進んでいるという状況になっております。
増設ビームラインの現在の補正予算の状況については以上になります。
続きまして、2番目、NanoTerasuの状況及び増設ビームラインの方針というところで御説明してまいります。めくっていただいて7ページ目になりますけれども、まず加速器の運転状況ですけれども、こちら、加速器の運転状況及びビームラインの立ち上げの状況につきましては、前回のこの委員会でも御報告がありましたので、簡単に進めてまいります。まず、加速器の運転状況については、稼働初年度、2024年度から世界最高水準の安定度で高輝度の軟X線の供給をするということができております。今年度、2025年度はそのような安定運転をさらに継続するとともに、蓄積電流を増加することに向けた取組を実施しているところです。2024年度の運転実績としましては、お約束をしていたユーザー運転3,500時間を上回る3,570時間を提供することができておりまして、蓄積電流としては、定格値である400ミリアンペアの半分、200ミリアンペアでの運転を行っております。これによって国内の既存施設の約50倍の高輝度な放射光を提供することができて、共用ビームラインの試験的共用及びコアリションビームラインでの使用に対して、成果創出に貢献してきたところであります。光源の安定度としましては、光源稼働率99.6%という非常に高い値と、それから、蓄積電流の安定度、0.1%という非常に安定な実績を積み重ねてきているところであります。
めくっていただいて、次は共用ビームラインの性能の達成状況ですけれども、3本の共用ビームライン、02U、06U、13U、いずれにおいても、立ち上げ・調整は非常に順調に進んで、世界最先端の非常に高いビームライン性能を実現できております。このような高いビームラインの性能を持ちまして、2025年の3月3日から予定どおりユーザーへ共用を開始することができているという状況にございます。
続きまして、ビームラインの立ち上げの一環として行われた試験的共用の成果創出状況ですけれども、建設後の立ち上げから本格的共用開始、3月までの間に、ビームラインの立ち上げ・調整を進めるとともに、試験的な利用実験を行って、本格的な共用における速やかな成果創出を目的としたものがこの試験的共用でございます。こちらのほうは、共用という名前はついておりますけれども、登録機関が行っているものではなくて、QSTが行う立ち上げ・調整の一環ですので、ここに携わる、関係する利用主体としましては、QST設置の委員会の中で選定した課題、10課題ですけれども、こちらのほう、委員会の中で選定をしていただきまして、それを2024年5月から2025年2月の期間で実施していったものです。課題の一覧は下に書いてございますけれども、その中から既に成果公表されたものも出てきておりまして、一例が書いてございますけれども、超高分解能RIXSを用いた高温超伝導体のプラズモンの振動を解明したというものが今年春に成果として出ている状況です。今後、この試験的共用だけではなくて、こういったことを引き継いで、共用の中からも非常に優れた成果というのが出てくることを期待しているところでございます。
めくっていただきまして、実際に共用課題の申請・利用状況になりますけれども、こちらは全体といたしまして、2025A期、昨年の9月から11月の間に公募を行った分、現在、利用が行われている回になりますけれども、こちらでは、応募総数75に対して採択できた課題として38、倍率として約2倍、採択率、約50%と非常に高い競争率になっております。これはSPring-8の一般課題の採択率が平均で7割程度であることと比べると非常に高い競争率となっておりまして、こちらの中でも、この応募の中には、国内だけではなくて、諸外国、しかも、それも、放射光のない国というわけではなくて、スウェーデン、イギリス、スイスといった第3世代・第4世代放射光を既に有する国からも応募があったという状況にありまして、NanoTerasuの非常に高いビームライン性能に対する期待感というものを感じております。
こういった共用ビームラインに対するニーズの高さと、それから、世界最先端の高性能に対する評価を受けた結果、非常に高い競争率になっていると受け止めておりまして、この傾向は、今年の4月から5月にかけて公募が行われた2025後半、B期の課題状況にも現れております。応募数は、前回、前半を上回る78件の応募がありまして、ビームタイムはほぼ同じですので、やはり同等以上の非常に高い競争率になるということが予想されます。公募の審査が今行われているところですので、そこは書いてありませんけれども、競争率は同程度になると予想されておりまして、ニーズの高さと成果に対する期待というのは引き続き高いものを得ていると考えております。
では、次から海外の動向ということで、まず、先行する第4世代放射光の成果創出状況というところで御紹介させていただきたいと思います。と申しましても、第4世代、NanoTerasuと同じ3GeVクラスの放射光施設というのはまだ、NanoTerasu以外にはまだ2例しかございませんので、MAX IVとSIRIUSだけの2例ですけれども、そこと比べるということになりますので、ここに挙げたのは全てMAX IVでの利用成果ということになります。ここを見ますと、先行するMAX IVの施設の中では、上から環境科学、量子材料、バイオ、半導体・エネルギー関係などの分野で非常に顕著な成果が既に出ているところです。こちらに挙げた例はいずれも、いわゆるトップ10%というような、一番下のはトップ0.1%ですけれども、非常に影響力の大きな成果と位置づけられるものになっておりまして、このように第4世代放射光施設をつくること、それは非常に高い光源性能を持っておりますので、そういったアドバンテージによって非常に影響力の大きな成果の創出が期待できるということをこの例は示していると考えているところです。
次めくりまして、このような第4世代放射光施設の世界的な動向についてまとめたものがこちらにございます。既にお話しいたしましたように、3GeV級の第4世代放射光施設は、NanoTerasuを含め、今、3施設が運用中ということになっております。MAX IVとSIRIUS、それから、NanoTerasuの3施設でございます。ただ、この状況はいつまでもそのような、ある意味、寡占状態が続くということは当然あり得ません。今後5年程度のうちに世界中で第3世代放射光から第4世代放射光への更新、あるいは新しい第4世代放射光施設を新しくつくるという計画が多数計画されております。第3世代から第4世代に更新されるような施設ということでは、イギリスのDiamond、Swiss Light Source、フランスのSOLEIL等がありまして、こちらのほう、既に存在している施設の改造という形で、第3世代から第4世代に2030年ぐらいまでにはどんどん変わってまいります。このような施設では既にビームラインが非常に多数そろっている施設になっておりますので、こういった改造が行われた途端に、量が既にありますので、それに質が加わって非常に大きな勢力になるということが容易に予想されます。また、第4世代の定義、加速器のいわゆるマルチベンドアクロマートラティスを採用していないけれども、エミッタンス的には第4世代に匹敵するような性能を示している、いわゆる第3.5世代と呼ばれる施設も、NSLS-II、それから、TPSとございますけれども、こちらのほうでもこれらは既に稼働中になってございます。
軟X線の第4世代、新しい施設としましても、中国、タイ、韓国等で新しい施設の計画が今、進められているという状況にございます。既に動いている施設、論文数、一番右の欄に示してありますけれども、非常に活発なたくさんの成果が論文という形でも出てきているわけですけれども、この数字の傾向をざっと見ますと、やはりビームライン数の多いところで、多くの成果が出ているというところが顕著に出ていまして、やはり成果というのはビームラインの数に比例していくというところが、ある意味当然のことですけれども、示されているかと思っております。
続きまして、次のページですけれども、国の戦略分野とビームライン増設のニーズといったところで御説明していきたいと思います。国の戦略分野の推進において求められる様々な解決には、まだNanoTerasuの先端光源が必須であるということを申し上げたいんですけれども、NanoTerasuの強みといたしまして、多極ウイグラー、これは従来の白色光源に比べて10倍以上強いという強みを持っております。こういったものは高速な測定、あるいはハイスループットな化学状態の可視化計測といったところに非常に期待が持たれるわけですけれども、そういう一つ強みと、それから、アンジュレータによる高輝度単色光源ですけれども、これによる高精細イメージング等を使うことによって、この国の戦略分野においても課題解決が必要な課題解決にも非常に大きな力になると考えているところです。国の戦略分野について4つほど取り上げてございますけれども、半導体、量子技術、バイオエコノミー、水素燃料ですけれども、こちらは今まで国のほうで発表されておりましたいろいろな報告書、戦略等に基づいて、QSTのほうで拾い上げたものになっております。こちらのほうを達成していくに当たって、用途に応じた最先端光源ということで、10倍強度の白色光源、高速ハイスループットな計測、それから、アンジュレータ、コヒーレント光による高精細イメージング、こういったものをこういった課題の解決に使っていくことが目標達成のために必須の環境を提供することになると考えております。
こういったことを、海外の状況、それから、国の戦略等を踏まえまして、次のページになりますけれども、増設ビームラインの方針というのを昨年度の小委員会では立てさせていただきました。基本的には、これは大きく変わるものではございません。特に国の戦略分野、2030年までの目標達成というところが、ロードマップがありますので、そこを達成するためには、それのための利用機会を提供することがまず非常に大事であるということがございましたので、その観点から、ニーズの非常に高いと考えられる5本のビームライン、EXAFS、X線回析、軟X線イメージング、テンダーX線イメージング、光電子分光といったところをまずは早期に実現していくことが大切だというところがここの提言にあったところです。もちろんNanoTerasuの特徴、潜在能力を十全に生かすような最先端のビームラインということももちろん非常に重要な課題になるわけですけれども、そういったところはフィージビリティスタディや研究開発、技術開発を行っていくことによって、次のフェーズでそういったところをきちんと整備していくということを全体としての計画では立てております。まず、早期に実現が求められる計画というところで、ここをまず整備して、国の戦略分野に資するようにしたいということを考えているところです。
次のページになりますけれども、戦略分野の中で具体的にどういうふうに生かされるかということです。まず、半導体分野におきましては、現状の課題の一例といたしまして、次世代半導体の開発というところですけれども、動的な、動作中の状態といったところ、経験則ではなくて直接測定といったところで求めていくことが求められております。そういったところを増設ビームラインによるソリューションといたしまして、光電子分光のビームラインをつくりまして、こちらのほうで、動作中の電子の振る舞い、エネルギー状態を解析することによって、しかも高速ハイスループット解析を行うことによって、いろいろな計算機等で使用される電子部品の省電力化・高性能化へつなげていきたいということを考えております。こういったところ、国の戦略分野の重点分野への貢献といたしまして、15兆円超の売上げの目標を達成するというのがございますが、こちらのほうに貢献していけるものと考えております。
次のページですけれども、量子技術に関してです。こちらの現状の課題という意味では、量子センサ、いろいろなものが提案され、作成されようとしているところですけれども、実際のデバイス等に作り込んでいくときに、X線の輝度が足りないために、広視野な評価ができず、それをしようとすると測定に非常に時間を要してしまうというところで、こういったところを増設ビームラインによるソリューションといたしまして、イメージングのビームラインを提供することによって、テンダー領域を含む様々な波長のX線が利用可能で、資料の表面を広視野で観察し、高速ハイスループット解析を可能にするといったことで、結晶数の元素や電子状態を高速分析することで、温度、磁場を超高感度で計測できるような量子センサの開発等につなげていけるものと考えております。こちらも非常に大きな市場の達成が、開発が見込まれておりますので、こういったところに貢献していくために必要な必須のツールになるものと思っております。
その次のページですけれども、今度はバイオに関してですが、こちらのほうの現状課題といたしましては、細胞内の薬剤分子などの動態の解明といったところが、創薬の観点から非常に重要なこととされております。ただ、こういったことを従来の技術で行おうとしますと、抗体等を使って、いわゆるマーカー、蛍光標識をつけて微細なところを見るというところが一般的な手法ですけれども、そういったことをいたしますと、マーカーの作用によって本来の細胞の動態が乱されてしまうといったような問題が指摘されているところです。そういったものをマーカーフリーの測定をしていくという観点から、イメージング、これはアンジュレータに基づく高精細イメージですけれども、そういったことをすることによって、切り込んでいけると考えております。こういった細胞構造の可視化ということをやることによって、今、薬剤や生体現象の理解がより深まって、新しい学理が生まれていくものと考えております。こちらのほうもバイオものづくりの加速ということで、投資3兆円を超えるような目標に貢献できると考えております。
続いて、水素燃料ですけれども、こちらのほうも、水素の燃料電池等の電極表面で進む化学反応の追跡といったところは、非常に測定の高速性が要求されるところですけれども、X線の輝度が十分でないという問題がございました。こういったことにはXAFSによる、X線吸収分光による化学状態の計測といったところが非常に重要になってまいりますけれども、こういったことを時分割で解析できるような増設ビームラインを提供できると考えております。これによって、環境問題に非常に密接に関係する燃料電池等の生産、その経済化というところに非常に大きく貢献できるものになると考えております。
以上、まとめますと、2024年の4月の運用開始から、NanoTerasuの加速器、それから、共用ビームラインの立ち上げ・調整は非常に順調に進捗しているということを御報告いたしました。一方で、海外においても、第4世代放射光への高度化及び新設というのが着々と進んでいる状況でございます。今のままでいますと、せっかく世界で3番目の3GeV級の第4世代放射光施設という、非常にいい位置につけているNanoTerasuの強みというのがどんどん失われていきかねない状況になっておりまして、早急なNanoTerasuの機能強化、増設ビームラインの増加による機能強化といったところが必要な状況と認識しております。
NanoTerasuに整備されるビームライン、いずれも先端的なものになるわけですけれども、これらは国の戦略分野、ここでは4分野挙げましたけれども、そちらの推進に当たって基盤的なツールとして必須のものと考えております。その利用機会をタイムリーに、確保することによって、この戦略目標の時宜を得た達成というところに役立っていくものと考えております。そのうちの早急整備するビームラインのうちの一つ、一本であるX線回析ビームラインは、4本目の共用ビームラインとして、予算を昨年度つけていただきましたので、それについては着々と整備を進行させているという状況にございます。
以上になります。
【有馬主査】 ありがとうございました。
ただいまの御説明について御質問や御意見ありましたらどなたからでも結構ですので、御発言をお願いいたします。
もしなければ私から。私はいろいろ聞きたいことがあるので、よろしいでしょうか。有馬ですけれども、では、初めにまず口火を出させていただきます。
NanoTerasuの重要性をいろいろと、いろいろな面から教えてくださってありがとうございます。まず、4本目、今、つくっているものに関してですけども、前身の量子ビーム利用推進小委員会で13Wで、全自動DX自動試料交換というのが書かれているんですけども、これに関してはどのような御予定でしょうか。
【高橋委員】 試料周りに関しては、まだ今、検討中のところになっております。これはこれからの検討項目になります。
【有馬主査】 なるほど。ぜひこれが入れられるような方向で考えていただければと思っております。
それから、少し前にお伺いしたのはこれと3つ、タンデムをつくるということで間違いないですね。
【高橋委員】 はい。こちらがタンデムになります。
【有馬主査】 まず、今建設中のものに関しては何か御質問等ございませんでしょうか。よろしいでしょうか。
【久米委員】 では、聞いてもよろしいですか。
【有馬主査】 はい。では、久米委員、よろしくお願いします。
【久米委員】 ちょっと的外れだったら申し訳ないんですけども、今回、4つ目のものというのは、今までのものが軟X線の3つのものに対して、いわゆるテンダーから普通のところ、X線のところまで。これのタイミングが、27年の真ん中辺りから使えるようになるというのは、例えばSPring-8-IIのシャットダウンのときは間に合うんですか。
【高橋委員】 この4本目に関しては、タイミング的にはちょうど、ある意味、たまたまですけれども、一致することになります。
【久米委員】 そういう意味でも結構重要ではないかなというふうにも思うんですけど、そういう意図があったわけではない?
【高橋委員】 それを第一の意図にしたわけではもちろんございません。
【久米委員】 そうだとは思いますが。
【高橋委員】 そういった形でお役立ていただけるのであれば、それは非常にありがたいことだと思っています。
【久米委員】 はい。そういう意味では非常に重要ではないかなとは思っているんですけども。ありがとうございます。
【高橋委員】 そういう意味で利用開始が遅れることのないようにきちんと進めてまいりたいと思っております。
【有馬主査】 川北委員、よろしくお願いします。
【川北委員】 J-PARCセンターの川北です。既存のビームライン3つで、高い競争率があるというのは非常に喜ばしいことでもありますけど、ある意味、悩ましいところでもあると思うんですよね。それを今後緩和できる方策というのはあるんですか。
【高橋委員】 まず、こちらで利用できるビームタイムのほう、現在、立ち上げの最初ですので、いろいろと内部での調整とか、そういったところにもある程度時間を割いているようなところがございます。そういったところがいずれ、劇的には減らないんですけれども、合理化されていって、多少、ユーザーさんのほうに提供できるビームタイムが増えていくということは期待できるところ、一つの点かなと思っております。あと、ビームタイム自体が、この2025年度は4,500時間ですけれども、2026年からは5,000時間、運転を計画しておりますので、そういった意味でも少しビームタイムが増えるということになりますので、完全な解決には程遠いですけれども、そういった意味で緩和の方向には向かうと思っております。
【川北委員】 ありがとうございます。
【有馬主査】 高村委員、よろしくお願いします。
【高村委員】 北陸先端大の高村です。ビームラインの件とは違うのですけれども、先ほど海外の第4世代や第3.5世代の放射光施設との比較表を見ていて、NanoTerasuのエミッタンスが少し見劣りするような気がしたのですが、この点を改善する必要はないのでしょうか。
【高橋委員】 NanoTerasuのエミッタンスですけれども、ある意味、海外の第4世代、MAX IV、SIRIUSと若干異なる位置づけを反映しております。というのは、このMAX IV、SIRIUS、海外の3GeVの施設というのは、軟X線もですけれども、比較的エネルギーの高いほうもカバーする施設ということを期待されて建設されているという事情がございます。一方、NanoTerasuに関しましては、SPring-8もございますので、軟X線のほうに重きを置く、強みをそこでより発揮することを期待されている施設、そういう立ち位置の違いがございます。このエミッタンスですけれども、小さくすればどこまでもいいかというと、必ずしもそうとだけは言えないところがあって。波長が長ければ、そこまで小さくしなくてもいいというのがありますので、どこに重点を置くかによって、求められるエミッタンスというのが変わってくるものです。そういった意味で、NanoTerasuは、エミッタンスを非合理なほど小さくするということを追求せずに、例えば運転の安定性ですとかそういったところにも重きを置いて、パラメータを決定したという経緯がございます。ということで、もちろん将来においていろいろ加速器の技術が進歩したことによって、エミッタンスの向上というのは常に考えていかなければいけないことだというのは認識しておりますけれども、現状、スタート時点でのエミッタンスはこのような値になったという、そういう立ち位置の違い、背景がございます。
【高村委員】 なるほど。そうすると、ほかの国の3GeVの放射光施設と大分違うところを目指しているということになるのでしょうか。この表だけを見せられるとそれがわからないのですが。
【高橋委員】 違うところを目指すというか、役割の違い、立ち位置の違いということになると思います。
【高村委員】 ありがとうございます。
【有馬主査】 あとはやはり安定性は圧倒的に外から見ても違うという感じがしますね。MAX IVとかはやはりそれなりに苦労されている気がしますね。要するに、初めからエミッタンスを下げようとすると相当大変なので、チャレンジングだけど、安定運転がなかなか難しいということだと認識しています。
大竹委員も手が挙がっていますね。よろしくお願いします。
【大竹委員】 24ページのところで、この増設ビームラインの方針というので御説明いただきました……。
【有馬主査】 14ですか。了解です。続けてください。
【大竹委員】 すみません。こちらで、共用ビームラインということで、今の現在のフェーズ2での建設整備の検討となっていらっしゃいます。こちら、フェーズ3で、建設整備、早期に実現が求められるということで、フェーズ2での実現に向けて、特に半導体デジタルなど、国の戦略分野におけるというところも書いていらっしゃいますので、この辺り、コアリションビームとの連携であるとか、また、特に今取り組んでいらっしゃることがあれば、もう少し詳しく御説明いただけますでしょうか。
【高橋委員】 コアリションビームラインとの連携ということに関しましては、来年度からコアリションビームラインの共用供出といったところが予定されております。ただ、コアリションビームラインにはそれぞれの仕様、性能等ありますので、そちらとのバランスや関係等も考慮しつつ、共用ビームラインとして必要なものを整備していくということで、検討ないしは整備を進めているという状況にございます。
【大竹委員】 具体的にこの早期実現に対して、限られた予算であったり、また、いろいろな状況はあると思いますけれども、特に今、集中的に取り組んでいることなどあれば御紹介いただけるとありがたいです。
【高橋委員】 集中的に取り組んでいるのは、予算を確保して、何とか建設を実現したいというところになります。
【大竹委員】 分かりました。
【有馬主査】 その後ろのほうに、15ページに、AI半導体分野とあって、そこにHAXPESの話が書いてあるんですけども、HAXPES、基本的にはSPring-8が一生懸命やっていて、もう少し高いレベルかと思いますが、少しテンダーよりのところで深さが少しずつ変わっていきますけども、そこで。とはいっても、ナノメートルオーダーで埋もれているところの電子状態を動作中で見ようと、そういう理解でよろしいんですかね。
【高橋委員】 おっしゃるとおりになります。
【有馬主査】 本当は、多分これはウイグラーだからそんなに絞れないんですけど、とりあえずそれで学術的なところをやって、実際はもっと小さい、今はもう半導体はシングルナノメートルとか出ますから、そこまでやろうとすると、やはりこのウイグラーでなくて、SPring-8-IIみたいなものが必要だと。多分そんなふうにやって、その前に、何だろうな。学術的にこの辺はこうだろうということをきちんと押さえておいて、最終的に普通にシングルナノメートルだったらSPring-8-II。そんなふうな仕分なのかなというふうに私は理解しているんですが。矢橋委員、それでよろしいですかね。はい。やはりこの同じものでも、軟X線でやる表面に近いところと、HAXPESとで随分やることは違うので、特に半導体みたいに界面が下側だと大変ですし、最近、フィーとか、相当深い方向に行っているので、その辺もきちんと、ちゃんと考えてということで計画を立てられているのだと思っています。
ほかに何か御質問ありますでしょうか。
【矢橋委員】 よろしいですか。
【有馬主査】 はい。矢橋委員。
【矢橋委員】 矢橋です。どうもありがとうございます。2点ありまして、まず1つ目が、先ほどから皆様の議論になっていますが、10ページ目、あと関連して、9ページ目の共用課題の状況ですけども、これはコメントが川北委員からもありましたが、競争率が高いというのは大変よろしいのですが、やはり絶対数がまだ少ないので、これをいかに増やしていくか。一方で、海外の人からいろいろな話を聞きますと、RIXSのビームラインは非常にビジブルになっていて、今度使いにいくよとか、応募するよ、という声を聞いていますので、非常に良いと思います。ただ、RIXSはやはり時間がかかると思いますので、ここをたくさん採択するというのは難しいかもしれません。一方で、我々はSPring-8でプロダクションビームラインを運用していますが、残りの2つのビームラインは、かなり量産ができると思いますので、そこを増やすような方策が必要だと思います。試験的共用も、最初の立ち上げは第1フェーズとしてまず使うというところですが、今後も量産に向けた取り組みをやっていかれるとよいと思います。 この試験的共用の成果創出に関して質問ですが、報告会等は開催されましたか。
【高橋委員】 まず予備的な、速報的な報告書は既に作っていて、QSTのホームページで公開しております。詳細につきましては、今年度中に報告会のようなものを予定しておりまして、そちらのほうで報告させていただいて、ユーザーの獲得等にもつなげていきたいと考えております。
【矢橋委員】 ぜひそれはお願いしたいと思います。あと、国際比較のところで、海外の動向、12ページの表がありまして、これはもう既に高橋委員がコメントされていましたが、論文数がビームラインの数に比例するみたいな話もありまして、特にDiamondとかSLSなどはクオリティが非常に高いですし、SOLEILも頑張っているというのがあります。
一方で、これは有馬委員長からもありましたが、MAX IVはマシンとしての極限的なところを追求しましたが、そこも多分影響していると思うんですけども、ビームラインの立ち上げがなかなか進まずに、最近は大分埋まってきたのですが、それでも今もまだ10本、埋まっていない状況です。特に初期の立ち上がりが非常に悪かったということが、国際的にも評判になってしまったというのがありました。スタートアップでビームラインをいかに増設していくかは非常に重要ですので、是非頑張っていただきたいと思います。
一方で、いろいろ予算要求のところも大変ですので、国内の既存のリソース等も生かしながら、何かうまく効率的にビームラインを増やせるようなそういう方策を、この場も含めて議論できると良いと思います。 以上です。
【有馬主査】 ありがとうございます。
ほかに何か御意見ございますでしょうか。
私はまだいろいろあって。有馬ですけど、では、よろしいですか。量子技術がありますよね。ここ、あと4本つくりたいのでこれを合わせたというのがあると思うんですけれども、量子技術、ここに書いてある基本、基本的に多分、ダイヤモンドNVセンターのことが頭にあると思うんですよ。ところが、ダイヤモンドNVセンターで、ウイグラーでイメージングするというものの、何というのかな。不合理性はどうしても専門家としては気になってしまっていて、ダイヤモンド、カーボン、NVはNと欠損ですけれども、それはやはり……。いや、NanoTerasuでこれをやるなら、ウイグラーではなくて、どうしてもアンジュレータのイメージングでやるべきだと思いますと。そのときに、それはそれでいいんですけども、究極のことを言うと、やはり軟X線で非常に空間分解能が高いイメージングをやろうとすると、どうしても軟X線の波長が硬X線と比べてやはり少し長いというのが問題になると思うんですね。
そのときに、試験的にでもいいので、やはり波長を、より短いところを見るというので、例えば可視光とかでも、やはりSTMと組み合わせるとかいうことで、最近そういうことを触媒の何かでやっている方、いらっしゃいますよね。軟X線をそういう範囲とカップルさせるというのはどのぐらい難しいかというのは、やはりそれはR&Dが要ると思うので、ぜひそういう、何というのかな。このアンジュレータのイメージングをぜひ実現していただくとともに、そのときに、次につながる要素技術をそこで開発するんだみたいなことをきちんと訴えて、それで早期にこういうことが必要で、これができたときにこれができます。だけど、その次に向かうこともきちんとやっていて、その次もつながるんですよみたいなことをぜひやっていただければと思うんですね。
そういう意味でもう一つ私が申し上げたいのは、今、既存、既設のビームラインのほうで、分割アンジュレータというので、円偏光を1,400より高いところ、三次光で出そうという努力をされていて、なかなか難しいと思うんです。そのままやっていると。それは分かるんですけども、もう一方で、偏光技術は高いエネルギーから下げてくるという方向性もあると思っていて、それは、要するに、ハードX線でずっとダイヤモンドとかシリコンの位相子というのを使っていましたと。そうすると、少し格子定数の大きいもの、例えば、これは僕が勝手に考えているだけですけど、BNとかグラファイトの完全結晶がもしあれば、多分二千数百までは位相子を使って、ぎりぎり届くはずなんですよね。上から攻めてくるわけですけども、そういうような技術的なことも想定しながら、両方からテンダーという未知の領域を攻めていくみたいな、そういう戦略をぜひ訴えてですね。最終的にその技術はSPring-8でやるのかもしれませんけども、そういうことをきちんとQST側のビームラインでやっていくというような、何というんですかね。将来に向けた戦略も書き込みつつやっていただくほうが、予算がなぜ必要かということを考えるときにも理解していただけるのかなと。やはり結局、国民の税金を使うわけですから、そのときのニーズというだけではなくて、将来どういうふうにこの技術が進んでいくのかということを見据えて、ちゃんとやっているんですよというところをぜひ訴えていただければなと思っています。ということです。
【高橋委員】 ありがとうございました。R&Dのことに関しまして、基本的にこちらは共用ビームラインになっておりますので、R&Dという活動をどういう立ち位置でというか、どういう時間でやっていくかというところはまた別の問題になってくるかと思います。そういったところも併せて、有効なビームラインというリソースをどういうふうに使っていけるかということは考えていきたいと思っております。ありがとうございます。
【矢橋委員】 よろしいですか。
【有馬主査】 はい、どうぞ。
【矢橋委員】 そういう意味では、SPring-8のビームライン、数的にはかなり充実していますので、そこも含めて、一体でというわけにはいかないにしても、やはりマスとして、日本全体のリソースとしていろいろな形で貢献できればと思いますので、ぜひ一緒にやっていければと思います。
【有馬主査】 ほかに何か御意見等ございますか。
【田中委員】 すみません。九州大学、田中ですが、1点教えていただいてよろしいですか。
【有馬主査】 お願いします。
【田中委員】 ありがとうございます。途中でHAXPESの話が出たかと思うんですけれども、HAXPESというのはHard X-rayですよね。その名前から言って。
【有馬主査】 名前はそうですね。
【田中委員】 名前はそうですよね。Hard --rayで角度を傾ければ浅いところは行けそうな気がして、そうしたときに軟X線でPESをやることで、需要というのはすごくあるんですか。
【有馬主査】 まずこれはウイグラーの2keV以上のところしか出ないということでやるので、いわゆる軟X線のところではないんですね。今度の05Wというところで計画されているところは。ただ、SPring-8で言っているHAXPESよりはちょっと下で、だから、今、愛知とかでやっているのと似ているような感じかなと思います。HAXPESという名前がよいかどうかは、私も田中委員と同様で、違う名前にしたほうが絶対いいと思っているんですけども。
【田中委員】 多分、ちょっと名前でこう、先に先入観というか、誤解を生んでしまうような気がしました。
【有馬主査】 そう思います。
【田中委員】 ありがとうございました。以上でございます。
【有馬主査】 だから、TXPESとか何か、そういう名前のほうがずっといいと僕は思います。そういう違うところを目指すんだということを言うためにも、ぜひ名前も含めてお考えいただければと思いますけど。
【高橋委員】 通じなくなるおそれもありますので。そこは大丈夫ですか。
【有馬主査】 いやいや、新しいことをやるという、今までにないものをやるということで、そのほうがずっといいと思いますけど。
【高橋委員】 分かりました。
【田中委員】 ありがとうございました。
【有馬主査】 御指摘ありがとうございます。
多分そういう、聞き慣れたので言うと、詳しく言わないと誤解を生むというのが結構あると思いますので、その辺もぜひ説明しやすいようにと思っております。
【高橋委員】 はい。承知しました。
【有馬主査】 ほか、皆さん、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。よろしくお願いします。高村先生ですね。
【高村委員】 度々すみません。北陸先端大の高村です。ひとつ教えていただきたいのですけれど、3,570時間のユーザー運転といった場合に、これはコアリションのビームラインも全部含めての時間だと思われます。この共用のビームラインに限るというのはどれぐらい使われているのですか。時間数として。
【高橋委員】 この時間は全てのビームラインにとって平等です。各ビームライン、同時に使っていますので。
【高村委員】 では、3,570割る、今あるビームライン数ということですか。
【高橋委員】 そうではなくて、全てのビームラインが三千数百時間です。要するに、電子ビームが回っている時間というふうにお考えいただければと思うんですけれども。
【高村委員】 ああ、これはユーザーのために放射光が提供されている時間ということで。
【高橋委員】 そうです。
【高村委員】 各ビームラインがどれぐらい使われているかという時間ではないということですね。
【高橋委員】 ではないです。
【高村委員】 そうすると、各ビームラインがそれぞれどれくらい使われているかというデータは特にないのでしょうか。
【高橋委員】 いや、それは各ビームラインごとになります。ちょっとそこまでの統計は私のほうではありません。
【高村委員】 そうなのですね。
【高橋委員】 はい。
【高村委員】 今お見せになった共用のビームラインだけではなくて、コアリションのほうにも多分たくさんユーザーがいらっしゃると思うのですが、そちらの共用に関しては、特にここでは報告はないということなのでしょうか。
【高橋委員】 コアリションビームラインは、2024年度、それから、2025年度は共用には出ておりません。
【高村委員】 なるほど。コアリションビームラインのユーザーの利用は共用ではないという立ち位置なのですね。
【高橋委員】 はい。コアリションユーザーになります。
【高村委員】 ユーザーだけど、共用ではないという。
【有馬主査】 ユーザーなんですけども、共用促進法に基づくビームラインが3本ありまして、それからコアリションという会員制の方式で使っているビームラインが7本あって、現在のところ、それは交互に何もしていないので、7本は完全に会員になっている方々が使うと。3本のほうは共用促進法で使うと。ただ、2024年に関しては、促進法の前の、その前の、何というんですかね。試験利用というのがあったんですけども、今年の、今年度に入ってから全部共用促進法でやっているのは3本だけですね。
【高村委員】 共用になっている。
【有馬主査】 だから、その3本が三千何百時間全部使っていれば、1年間で三千何百時間掛ける3ビームラインですけども、実際は共用に供されている時間が100%ではないですよね。
【高村委員】 そうでしょうね。
【高橋委員】 そうですね。7割ぐらいになると思います。
【有馬主査】 7割ぐらいなので、その分掛ける3本というのが、今実際にここに書いてある、前期、何課題で採択されたというのに使われているという、そういうような理解をしていただいたらと思います。
【高村委員】 そうなのすね。多分、国内の大学も会員になって、コアリションのビームラインを使われている先生たちもたくさんいらっしゃると思うのですけれども、そういった方々の利用は共用とみなされないので、成果としては出てこないということですか。
【有馬主査】 共用ではないです。ここでは出てこないという感じです。
【高村委員】 ここでは出てこないということですね。
【有馬主査】 ここはなかなか難しいんですけど。
【高村委員】 分かりました。ありがとうございます。
【野田参事官】 事務局から少し補足をさせていただきます。
【有馬主査】 どうぞ。
【野田参事官】 本日は、共用ビームラインの増設という報告書を前期に出していますので。
【高村委員】 ここに絞って議論しているのでということですね。
【野田参事官】 そのフォローアップということで、あくまで共用のビームラインに関して、NanoTerasuセンター長の高橋委員から報告をいただいたという建付けでございます。それと、官民地域パートナーシップでNanoTerasuは整備、運用されていまして、民側の、パートナー側のコアリションの利用もあるんですけれども、そちらについては、それも含めた形で、今後、中間評価のときには御報告させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
【高村委員】 はい。何となくコアリションで人気のあるビームラインを増設したほうがいいのではないかと考えてしまいがちですけど、全く同じビームラインはつくるものではないということなのでしょうか。
【有馬主査】 いや、それは別に、全くつくらないという判断は特になくて、要するに、こういう委員会で、ここがやはり必要だという判断をすれば、それを提言して、それをQST側が申請していくと、こういう流れになるかと思います。
【高村委員】 そうですね。そういう意味で、コアリションのビームラインのうち、どのビームラインがどの程度使われているかというのはすごく重要な情報になるような気がします。ユーザーの性質が違うから参考にならないのか、そこのところがよく分からないのですが。
【有馬主査】 中間評価に関しては必ず、先ほど参事官からも補足いただきましたように、その情報が出てくると思いますので。現在、これはどういう状況かというと、前身の量子ビーム利用推進小委員会のほうで、こういうのを第2期につくるべきというのに従って計画されているので、それに関してのフォローアップということですので。
【高村委員】 そうですね。
【有馬主査】 それで、高村委員の御指摘のとおり、ニーズということを考えるならば、実際にNanoTerasuの共用法ではないほうで、どういうふうに人気があるのかということも踏まえて、もちろん目的も少しずつ違うとはいえ、やはりそこもニーズの判断としては重要な。
【高村委員】 重要なんじゃないかという気がします。
【有馬主査】 はい。
【高村委員】 ただ、ユーザーの性質が異なってくるのかもしれません。共用ビームラインは海外の研究者も使う可能性があるとか、いろいろなちがいあると思いますので。
【有馬主査】 そうですね。その辺も含めて総合的にこちらでまた判断して、修正が必要と考えた場合には、それは修正するということになっていくのかなと思っておりますので、ぜひそこも情報が出た段階でまた御議論いただければと思っております。
【高村委員】 どうもありがとうございます。
【有馬主査】 よろしくお願いいたします。
ほかに何かございませんでしょうか。よろしいでしょうかね。
それでは、いろいろと御議論ありがとうございました。事務局におかれては、本日の議論を踏まえつつ、NanoTerasuの今後の推進方策について、QSTと連携して御検討ください。よろしくお願いいたします。
それからまた、NanoTerasuの今後の在り方について、現在、QSTでアンケートを聴取していると……。ああ、終わったところだ。
【高橋委員】 終了いたしました。
【有馬主査】 これから集計するんですね。というふうに承知していますので、次回の委員会では、今日の御意見だけではなくて、その結果も踏まえた御報告をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
それでは、次の議題、J-PARCのほうに移ります。こちらに関して、川北委員より御説明、よろしくお願いいたします。
【川北委員】 よろしくお願いします。資料1-3に基づいて御説明させていただきます。「中性子科学の将来構想」ということで、散乱実験・透過実験のμmギャップを埋める新たな可視化・分析技術への挑戦というタイトルで説明させていただきます。
一枚めくっていただきまして、2ページ目です。J-PARCでは、中性子科学の将来構想として、そこに載っている一番上の線グラフのような案を持っております。現在のTS1というか、水銀ターゲットステーションによる中性子実験というのを実行しているところですが、ようやく2024年に1メガワットに到達して、今、MLF-doubleという掛け声の下に、TS1をなるだけ効率よく使っていこうというプログラムを走らせています。その高度化のプログラムを経て、2030年代、割と早い時期にはTS2という新しいターゲットステーションを実現したいと思っています。これはTS1とは違う性能を持ったターゲットになります。上側の右の絵ですけども、TS1に向かっていく陽子ビームラインを分岐しまして、TS2に導くということを考えておりまして、陽子加速器を1メガワットから1.5メガワットに増強して、それを1メガワットと0.5メガワットに振り分けて、TS1、TS2、同時に運転していくということを考えています。
右側、下の絵ですが、新しい線源では、高輝度化を果たそう。強度としては半分なのですが、輝度としては現行のTS1の20倍の強度を目指したいと思っています。そこに世界の情勢みたいなものを書いてありますが、ESSが2027年度から運転します。ESSは幅の広いパルスを使っていますので、このような絵になります。一方、アメリカのSNSでもセカンドターゲットステーションという計画がありまして、2034年に次世代型の高輝度光源をつくろうとしています。J-PARCではそれを上回るような高輝度光源というのを実現したいと思っているということで、これを実現することで海外施設の次期計画を凌駕するようなことができるということになります。
次のページへ移りまして、MLFの現状とさらなる成果最大化への道ということで、ビーム出力が、先ほど申しましたとおり、2024年4月に設計目標である1メガワットに到達しました。一方、右側の絵で、利用課題数を見てみますと、一番高いところが申請数ですね。緑色のところが採択数です。現在、頭打ちという感じになっています。これはビームの運転日数がやはり伸びていないというか、限られてきているというところもあって、さらに、この倍率を見てもらうと、競争率が1.7倍から2倍というところにあります。こういう中にあって、さらにその中で海外課題が増えているというところもありますので、こういう中にあって世界の競争力を持った日本を実現していくにはどうしたらいいかというと、これはピークを延ばす必要がある。トップ10%を増やすようなことが必要である。裾野の拡大が必要であるという2つのことを同時に実現しないといけない。これには測定効率を上げるしかないということで、MLF-doubleという取組と新たなサイエンスの開拓というものを目指しております。
次のページ、4ページを見てください。MLF-doubleというのは、いろいろな項目の中で、実験の効率を2倍化しようという取組です。効率ですので、例えばビーム強度が上がるとかいうことだけではなくて、測定効率が上がったり、実験の種類が増えるというのも効率化の一種だと思っていますが、そういう効率化を目指して、現在、みんなで努力しているというところです。
一番分かりやすいのは、検出器の増設の部分なので、そこを今回紹介しておきます。BL18千手という装置ですが、これは極端条件の下での単結晶回析ができる中性子回折装置ですが、現装置と書いてあるところの小さな四角がいっぱい並んで設置されていますが、これがシンチレータです。このシンチレータを一番右側の830掛ける545、これは小さい検出器の2掛ける3の大きさを持った検出器です。こういう大きな検出器に取り替えるということを今やっています。これはどうしてかといいますと、小さな検出器の解析に利用できるようなエリアというのは、その四角囲みの一番左下ですが、黄色い四角で書いてある、こういう領域なんですね。その外側にやってきたスポットというのは、解析にはなかなか使えないという意味で、これを3×2に延ばしてやって、かつ、実はファンタイプと言いますけど、デッドエリアを隠すような検出器配置をしてやると、全部がつながって使えるということで、この検出カバー領域が1.4倍に増える。さらに新たな検出器ということで、シンチレータの効率も上がりまして、検出効率が1.3倍になるということで、併せて1.8倍の効率化が実現できるようになっています。現在、2台導入していて、9台導入すれば全部置き替わるんですが、装置は全部できていて、順次、入替えていっているというところになります。左下のところは、BL17写楽という中性子反射率計ですけれども、ここでは二次元型の3Heガス型MWPC検出器というのを使っています。3Heガスですが、これは現在のものは1.5barですが、それを6barに上げるという、筐体のボディを高度化しまして、6barに上げることによって、実は検出効率が2倍に上がる。これはまず、もう1台完成していまして、置き換えようとしているというようなところになります。こういう効率化を果たしています。
ところが、MLF-doubleのBL改造・新規BLというところがありますが、BL07、13というところは、実はまだビームポートが入っています。23本、ビームポートがあって、21本運転していますが、2本のビームラインが空いています。実はこのビームラインが空いているということが一番効率が悪いというところになります。ですので、成果最大化の取組として、BLの新設というのは喫緊の課題になっています。BL13、新たな装置の設置により、見える領域を拡大し、新しいサイエンスを生み出すということを検討しています。BL07では、中性子照射、ホログラフィー、新たな中性子利用方法を開拓して、若手人材育成教育にも寄与したりするようなビームラインを今、検討中です。
次のページで、BL13の目指すものを御紹介したいと思います。ここでは世界初のビームラインを整備したいと思っています。BL13で期待される課題としては、マイクロスケールの科学というところで、実は、左の図を見ていただければ分かりますとおり、現在は、散乱法では、マイクロメートルに及ぶことができない。ナノメートルとかオングストロームとか、そういう低いところは見える。小角散乱で数百ナノメートルというところも到達できるんですが、マイクロメートルというのはなかなか難しい。一方、イメージングでは、現在、最高で10マイクロメートルまでの空間分解能というのは達成していますが、マイクロメートルというのはまだ達成できていない。そこで、新設ビームラインでは、まずBL13につくるということで、現行のBL22というビームラインよりも、減速材の性能で、エネルギーの低いところの中性子に関しては10倍強度が得られます。その10倍の強度を利用して、分解能を上げてやるということができるので、マイクロメートルのギャップのところに迫ってくることができると。
一方、SANSのほうですが、ここにSpin-Echo SANSという新たな手法を取り入れることによって、これもマイクロメートルにぐっと迫ってこれるというところです。ということで、ここを攻めることによって、マイクロメートルのギャップを埋めてやると。将来的にはTS2のところで、中性子顕微鏡というものを実現したいと思います。これは高輝度を利用したビームラインということになりますが、BL13では、中性子顕微鏡のフィージビリティテストのようなものも実施できるだろうと考えています。
このマイクロメートルには多段階の不均質性が存在しますので、ここを見るということが非常に重要である。イメージングからは豊富な情報が得られますが、そこから小さなサイズのところを見てモデル化するというには、その間に多段階の不均質性がありますので、なかなか難しいわけですが、SE-SANSがこのギャップを埋めてやろうというところになります。
BL13の新設により、資源循環、低炭素化、再エネ活用、水素利用の課題解決につながるような評価技術の実現を目指しております。
マイクロスケールの領域には、これまでの技術では観察、測定できなかったような重要な現象が多数存在します。燃料電池、水電解技術、蓄電池中の水・リチウム、水とかリチウムの挙動ですね。製造プロセスのprocess informaticsのところ。コンクリート・土壌中の水分の挙動。材料科学ですね。高強度金属材料、3Dプリンティング、食品材料、農業分野への応用というところ。
また、惑星科学の中で、例えば小惑星リュウグウのサンプル中の水の分布というのもさらに解析が進むだろうというところで、ターゲットの多くは循環型社会の実現において重要な軽元素が関連する現象です。
BL13によって実現、さらに開発する研究技術ですが、Spin-Echo SANSということで、これはビームを絞ることなく、極小角の散乱情報を取得可能な手法になります。中性子をWollaston Prismという磁石を置くことによって、これを実現しようとしています。小角散乱とイメージングのどちらからも測定が困難だった100ナノメートルから10マイクロメートルスケールの構造情報を取得することができて、マイクロメートルギャップを埋めることができます。要素技術としてはWollaston Prismという、三角形のエリアに磁場を置くようなマグネットを実現しないといけないんですけど、現在、実はISISのLarmorという装置がありまして、ここではSpin-Echo SANSが実現しています。世界で唯一のビームなのですが、そこでは、実はマグネットはほぼ手作りでして、これを国内メーカーを中心にマグネットを製作、試作を進めるということが非常に重要なところです。先行に技術開発をしていく非常に重要なポイントがあります。
挿入光源というのはビームラインの一番根元のところですが、そこに非常に適した挿入光源を入れるということもまた一つ重要なところです。これらを実現して、小角散乱とイメージングの両方、世界で初めてのアイデア、世界をリードするような装置を実現したい。マイクロスケールの現象の可視化。これは解析を通じて、国内産業の本格的利用、アカデミアの先端研究を支える装置となるという予定です。
次のページ、お願いします。BL13を活用したさらなる将来構想。これはTS2で本格的に実現しようと思いますが、中性子顕微鏡という、こういう磁気レンズというものを、中性子レンズを用いたビーム結像系というのをつくり上げて、マイクロメートルの実像観察ができるといいますか、そういう状態をつくり出すというのが今後の課題になります。
一例として、水素社会実現への道ということで、燃料電池、水電解のところでどういうふうに利用できるかというところを説明したいと思います。水素を水から製造し、貯蔵し、燃料電池セルで消費して電気を取り出す。これは循環的なサイクルになっているわけですが、燃料電池というのは、御存じのように、水素と酸素を反応させて電気を取り出すような、左下に書いてあるような仕組みで動いています。電力発生後の水は酸素の供給を妨害することになりますので、排水を効率化するということ、水の輸送抵抗を最小化するということによって、左下の図の輸送抵抗をぐっと上げることによって、燃料電池の高性能化が図れるということになります。
燃料電池、水電解の可視化技術としては、現在、こういうところが頭の中にありというか、水の動的挙動の観察として、ターゲットになっています。まず、左上のところはもう実現しているものですが、稼働状態の車載燃料電池内の水分布、これは100マイクロメートルからミリメートルオーダーのものですが、この絵の緑色に見えていたり、赤色に見えているところが実は水が発生しているところで、実際に電流値600アンペアで、運転しているときにこういう状況ができると。実はBL13を実現することによって、これは実は600アンペアで定常的に運転している状態の水の分布になります。BL13では、例えばアクセルをふかして、どんどん電流値が上がっている中での水分布というのが分かるようになるというところで、これも自動車会社からは期待されているところだと思っています。左の下、燃料電池の触媒層内の水というのはやはり必要で、この触媒層内で水が出てくるわけですから、その中で水に溺れていないかというのは非常に重要な情報になりますが、これまでにこれは観測できていない領域になります。数百ナノメートルからマイクロメートルと思っています。
さらに右側に行きまして、燃料電池触媒層内のプロセス解析。これはこの触媒層をつくるためのプロセスですね。これはインクをつくりまして、プラチナを担持したカーボンがありまして、それにアイオノマを入れた溶液をつくりまして、それを乾燥させていくという過程で、この触媒層が出来上がります。その中で、例えばカーボンの周りのアイオノマというのは、今、小角散乱で捉えることができます。ところが、数百ナノメートルの細孔というのは今のところ見えていないし、この凝集した状況がどういう状況になっているかというのは実はマイクロメートルのオーダーになるので、そういうところは見えていないということになりますので、三次元構造のSANSでは大き過ぎて、イメージングでは小さ過ぎるため、これまで分かっていませんので、こういうものが分かるようになるというところが新たなところになります。
世界の中性子イメージング装置の中の新設BL13の位置づけですが、ラジオグラフィー、これは一般的な連続的な中性子ビームに利点がありますので、原子炉のほうが得意なのですが、そういう意味では、原子炉がその図の中にはいっぱい載っているわけですが、RADENの性能というのは原子炉には全然及びもつかないという状況にありますが、BL13というのは、パルス中性子の施設の装置でも、世界の原子炉設置の装置に比肩するような性能を持つことができる。それに加えてパルス中性子というところを使って、例えば水と氷を識別する技術だったり、SANSによるプロセス解析のような、新たなことができるということになります。
エネルギー分析型イメージングとしては、例えば、L/D=500とか、Δλ/λ=1%と、こういうような条件では世界最高強度を持つことになります。このように、エネルギー分析型としても世界のトップに立つような装置がBL13になります。
次、11ページですが、SE-SANSの位置づけとしましては、現在、世界で唯一、英国のISISのLarmorという装置が実現していますが、ここは線源の性能として、パルス当たりの強度がJ-PARCは4.45倍あります。さらに繰り返し周波数が2.5倍、10ヘルツに対して25ヘルツ、2.5倍、パルス数が来ますので、併せて線源の強度だけ11倍の強さがあるというところです。そういうことで、BL13までは数ミクロン程度までの構造情報、数十秒の時間分解能で解析することができるのではないかと考えています。
12ページをお願いします。これはパルス中性子イメージング装置の世界の建設状況というのをお見せしているものです。J-PARCのRADENという装置が現在ありますが、この装置は2015年に実は世界で初めて達成できたパルス中性子イメージング装置です。その後、各国では実はこのRADENという装置を追いかけるように、いろいろな装置をつくろうとしていまして、ISISでは2017年にIMATが運用、SNSではVENUSという装置が2025年、ようやく運用開始をした。ESSは、ODINという装置が現在もう出来上がっているんですが、ESSのビームが出るのを待っているという状況になっています。CSNSでは、ERNIという装置が2023年に運用を開始しています。このようにこういう装置が実現しています。
次のページを見てください。13ページ。それぞれの装置ですが、左下の図というのは、ビーム性能に対して比べたものです。ビーム性能というのは、中性子束を波長分解能で割ったものをビーム性能と位置づけますと、RADENを1としますと、今、紹介した装置は、既に運用している装置は、実はJ-PARCの線源性能の高さから、J-PARC RADENを上回ることができています。ESS、ODINが動き始めると、ようやくRADENを超えるような性能が実現します。
一方、これらの装置では、モダリティといいますか、その実験手法の数ですね。それが右上の表に載っています。いろいろな手法があるということだけ御理解いただければと思いますが、エネルギー分析型イメージングではいろいろな実験が実はできます。そのいろいろな実験の手法の多さというので、後発ですので、後発の利点を生かして、いろいろな手法を実現しようとしているというのがこの絵でよく分かります。
一方、SNSでCUPI2Dというのがあります。これは米国のSNSでセカンドターゲットステーションにDay-1で置こうとしている装置になります。これは次世代高輝度ターゲットを使った装置をつくるとこれだけ性能が上がるということを意味しています。BL13は、その間を埋めるような装置として、線源性能として、今ある装置で世界の競争力を維持するために必要な装置。さらにTS2で、まだ装置としては具体化できていませんが、これを開発していくための礎になるような装置として位置づけていますというところです。TS2の実現は2030年代に世界で勝ち続けために重要な選択であるということは、この図を見ていただければ分かると思います。
次のページ、お願いします。今後のMLF-double計画の道筋ですけども、国家プロジェクトが幾つか、大きなプロジェクトが走っていて、我々も関わっていますが、燃料電池・水電解NEDOというのが、新たに2025年から始まりました。最終年度が2029年度でして、R11年のところでは、いろいろな実験ができないと、この燃料電池NEDOのプロジェクトが成功裏に終えることができないということになります。
GTeXのところでは、ステージゲートが2028年にありまして、その先に、さらにユーザーがどんどん増えるような状況が生まれるだろうというところになります。建設材料エコシステム・地域防災に関しては、ある意味、共同研究ベースですので、どんどん、少しずつ広がっていくというところですが、このR11年というのが非常に重要な年であるということを御理解いただいて、J-PARCのMLF-doubleの新規BL部分として、まずR8年に要素技術の開発をした上で、BL13番の増設をR9年、R10年にかけて行いたいということを考えております。
その後、参考資料ですが、どんなサイエンスが実現できるかということを幾つか紹介しています。
16ページが蓄電池分野への中性子の貢献、コイン型Li電池の現状の三次元観察をお見せしまして、これがBL13ではどうなるかということを想像していただこうと思って、つくりました。
17ページでは、燃料電池の水電解可視化技術の高度化という、セル内部の水の動的挙動の観察ということで、真ん中のグラフを見ていただきますと、時間分解能、空間分解能はBL13でこれぐらい上がるよということを記載させていただいております。それによって、その周りに書いてあるサイエンスが実現できますよということです。
18ページには、建設材料に対する中性子の貢献。コンクリート中の水の研究というのがどれくらい重要かということを、背景を書かせていただいています。
19ページでは、防災・減災への中性子による貢献ということで、BL13でどういう部分が解析できるか、どういう重要な情報が得られるかということを示させていただいています。
20ページ、これはSANSの活用としまして、先ほど説明した燃料電池触媒層製作のプロセス解析です。
21ページは、この触媒層の解析プロセスが自動自律実験によって、プロセスインフォマティクスを利用して、製作のパラメータですね。プロセスパラメータを自動決定していくようなものとしてつくりたい。
22ページは、カーボンニュートラル、GXへの中性子の貢献として、燃料電池、蓄電池のものですけど、燃料電池のロードマップで中性子が位置づけられているということ。GTeXでも量子ビームに期待をかけていただいているということを説明させていただいております。
以上です。
【有馬主査】 ありがとうございました。
ただいまの御説明について、御質問、御意見ございましたら、どなたからでも結構ですので、御発言をお願いいたします。
山重委員、よろしくお願いします。
【山重委員】 トヨタ自動車の山重です。。御説明ありがとうございました。今、御説明いただきました将来構想についてのコメントになりますが、我々企業ニーズといたしましても、中性子の強みであります非破壊で実製品そのものが測定できて、かつ、5ページで御説明いただきましたBL13のマイクロレベルの領域は製品の設計指針に反映させるには非常に重要であると考えております。例えば、先生からも御説明いただきましたが、燃料電池における水や触媒層、インクのニーズは、そのスケールの情報がとても重要となります。また、リチウムイオン電池においても、反応分布や、サイクル特性、劣化などについてこのスケールでの観察が必要とされている状況です。
最後に、利用時間につきましては、弊社単独ではございませんが、グループ連携分といたしまして、最近、非常にニーズが高まっており、2022年から25年にかけまして、段階的にかなり増えている状況になります。
本件につきましては、大変期待しておりますので、引き続き御検討のほう、よろしくお願いいたします。
【川北委員】 ありがとうございます。
【有馬主査】 大変期待されているということですね。
ほかに御意見。矢橋委員。
【矢橋委員】 矢橋です。どうもありがとうございました。今、山重委員からもありましたように、このミクロンとかサブミクロンと、ちょうど穴の空いたところは非常に実利用において重要なところ、放射光でも伺っていますので、ぜひこれは進めていただきたいなと思います。
それで、ちょっと質問、教えていただきたいんですけども、BL13、非常に魅力的なスペックを教えていただきましたが、これはなぜこのタイミングでできるようになった。何か鍵となるイノベーションがあったのかということと、あと、チャレンジングなところがどういうところが、技術的なところも含めて教えていただきたいと思います。
【川北委員】 イノベーションがあったかというのはなかなか難しいところです。SE-SANSというのがLarmor、ISISというところで唯一やられているんですが、実はなかなか成果が出ていないビームラインでもあるというところ。その中でなぜ成果が出ていないかというと、やはりビーム強度だったり、そういう部分があるんだろうということを我々感づきまして、SE-SANSも実はいろいろな技術があって、SEM-SANSと言うんですか。SE modulated SANSみたいなものが、実は6ページで示している例というのは、SEM-SANSの実はジオメトリで描いた絵になりますが、そういう手法を使うと、非常に速い測定ができるだろうということも我々感づきまして、これはいろいろな要望にすぐ応えられるようなビームラインが作れそうだということが分かってきたというところが、今、このビームラインをつくろうと考えている次第になっています。
【矢橋委員】 ありがとうございます。
【大友ディビジョン長】 ちょっと追加で。
【有馬主査】 大友さん、どうぞ。
【大友ディビジョン長】 J-PARCセンターの大友です。追加ですけども、もともとBL13は、極小角散乱装置を置こうという計画があったんです。それはJ-PARC建設のときにそういう23本しかない中で、そこに極小角散乱装置が必要だろうと考えていたんですけれども、そのときに考えていた極小角散乱装置の原理では、原子炉に勝つことはできなくて、それで、今、川北が申し上げたようなSpin-Echo modulated SANSという新しい方法が適用可能であると考えたということと、やはりイメージングの装置を2台つくるという計画は最初はなくて、ここの中性子源で一番適しているのは、先ほど来から何回か申し上げている波長分析型で、波長の違いによるイメージングコントラストをイメージに生かすということでRADENが設計されて、それは非常に成功だったんですけども、その分、強度を犠牲にしていたというところで、社会のニーズからすると強度の高いイメージングで、かつマイクロメートルを埋めるというようなイメージングが必要だというところで、いろいろなアイデアが、今、川北が申し上げたように結実したという、そういう状況になります。
補足でした。
【有馬主査】 ありがとうございます。
ほかはいかがでしょうか。久米委員。
【久米委員】 花王の久米です。先ほどからの御説明、ありがとうございます。BL13の件、私も今までにも聞いたことがあったんですが、今日、詳しく聞かせていただきまして、すばらしい技術だなと。これは実際、測定時間と、それから、達成できる、今、10マイクロメートルと書かれているものは、実は小角のX線なんかよりもスペックがいいのではないかというようにまで聞こえるんですけども、実際そういうふうになれば、また使いたい人がかなり出てくるように思うんです。これは何かこう、X線の10マイクロメートルまで行けるとかという、比べて、この原理が優れているということなんですかね。
【川北委員】 現状、優れているところは、やはりスピンを使うというところですね。このWollaston Prismというのは、スピンの歳差を行うようにされるわけですけど、それが空間的にうまく分布するように広げることができて、それをさらに違う磁場でまたモジュレートをかけてやると、空間的に挙動が、モジュレートしたような挙動が得られるんですね。それを試料に当ててやるということをすると、極小角の散乱情報に応じて、実はモジュレートする幅が小さくなるんですね。その現象の率を見てやることによって、試料の大きさというのが見えてくるというようなもので、これはパルス中性子でやると、空間スケールをどんどんスキャンするということを飛行時間分析でできてしまいますので、非常に効率のいい方法になります。そういうところが重なって、いい方法だということになっていると思います。
【久米委員】 X線のほうだとコヒーレント長の関係で、ここまでいかないんじゃないかなという。僕の理解が間違っていたらあれなのですけども、そういう意味ですごいなというふうに感じました。
別のところになるんですが、2ページ目のTS1とTS2のところ。これも以前に聞いているんですが、多分普通に聞くと、ビームを分けると、前のもののほうが、TS1が減るのではないかとか、そういうところに過去できていたところが影響あるのではないかと、何か素人目には見えるように思うんですが、多分そういうことはないはずなんですが。
【川北委員】 そういうことはないです。
【久米委員】 そこを何かこう、うまく説明していただければいいなと思ったんですけれども。
【川北委員】 そうですね。それを説明するには加速器の部分の説明が必要ですね。加速器では、実は振り分ける技術はもう十分確立していまして、いろいろな振り分け方があるんですが、それぞれパルスごとに振り分けるとか、パルスごとに強度を変えるみたいなことまでできるようなところは、実は技術的にはもう試験できているという状況にあるので、実はかなりレディな状態です。ただ、1.5メガワットに上げるというところの部分は必要でして、その部分は今後やっていくというところが必要かもしれないです。
【久米委員】 MLF-doubleでちょっと上がった部分を少し分けるみたいなイメージではないんですか。そういうイメージも入っているんですか。
【川北委員】 MLF-doubleの?
【久米委員】 doubleで上がっていた分を、その余剰分をこっちに、TS2のほうに回すみたいなイメージではない。
【川北委員】 ではないです。
要するに、TS1のMLF-doubleで上がった分はそのまま利用していくという。このロードマップの表がよくないんですけど、TS1はずっと続くと思っているのが大事だと。
【久米委員】 もちろん。その辺を何か分かりやすく伝えていただければいいかなと思って聞かせていただきました。
【川北委員】 どうもありがとうございます。
【矢橋委員】 さっきの出力、大元は上げておいて、上がった分をTS2に持っていくということですね。
【川北委員】 そういうことです。
【有馬主査】 ありがとうございます。ほか、いかがでしょうか。
【古川委員】 お茶大の古川です。お話ありがとうございました。ちょっと間違っているかもしれないんですけど、情報として、先ほど小角のSpin-Echo装置というのが、ISISのLarmorというのがありますという話で、それとこれから比較されていくことになるんだと思うんですけども、私の記憶が確かであれば、FRMのガイドホールにも、原子炉ですけれども、原子炉のほうもSpin-Echo、小角Spin-Echoがありますので、何か性能比較とかのときに、もしこの情報が正しければ、比較対象で、うちはこういうことができるよというのも。
【川北委員】 そうですね。パルスと原子炉という意味での比較も必要かと思います。
【古川委員】 比較の対象になる可能性が。
【川北委員】 今後そういう情報が出せればと思います。
【古川委員】 はい。それはただの情報で、もう一つは、先ほどから、とてもいい装置ができそうな予感、わくわくという感じなのですけども、国家プロジェクトに対してもこういう装置が有効であると、最後のほうの14ページにあったのですが、結局、BL13の増設というのが稼働する時期というのが、2029年度からになるとちょっと、今挙げていらっしゃるプロジェクトにどう貢献していくかというのが間に合っていない感じがちょっとしてしまいまして、できたらプッシュして、もうちょっと早く進められるといいですねというお話です。
【川北委員】 我々もそういうふうに願っているところではあるんですが、確かにGTeXには少しステージゲートの後になってしまいますので、その後を期待していただくみたいなことになります。燃料電池、水電解NEDOに関しては、何とか計画の中でも取り上げてやっていきたいと思っておりますので、R11年度には成果が出せるだろうと考えています。何とかこのプロジェクトに貢献できる形でこの建設計画を進めたいという状況です。
【古川委員】 はい。ぜひ頑張っていただけたら思いました。
【有馬主査】 よろしいでしょうか。
大竹委員、よろしくお願いします。
【大竹委員】 この中性子顕微鏡、それから、Spin-Echo SANSのイメージングのところ、非常にすばらしい装置の計画、それから、BL13と、そこからTS2へ向けてということで、やはりすごく重要なのは、こういった技術の高度化に伴う人材育成だと思うんですね。それから、人員の倍増であるとか確保、その辺りに関してはどういった形で、また、どういった御提案というのを具体的に、例えば人員的には何割増とか何倍というのがあれば教えていただきたいです。
【川北委員】 具体的な人数はなかなか難しいところですが、基本的に、実はJ-PARCでも、これが実現しましたら、久々のビームライン建設になるんですね。そういうビームライン建設のところ、若手に経験してもらおうというのは非常に重要なところでして、この建設に関してはかなり若手の人をどんどん取り込んで実施していこうと思っているところです。人事が絡むとなかなか言いにくいところはありますが、若手をどんどん入れるという心積もりだけは持っているというところで、意欲があるというところを評価していただければと思います。
【大竹委員】 ありがとうございました。ぜひこういった委員会でやはりそういった若手を積極的に取り込んでいくようなことが必要ですということもアピールしていただくと、やはりTS2につながっていくところで、この建設があるというのは非常に重要だと思いますので、やはりぜひともそういったところで、いろいろな形で支援を得ながら進めていただければと思います。ありがとうございます。
【川北委員】 ありがとうございます。
【有馬主査】 ほかはいかがでしょうか。橋田委員。
【橋田委員】 東海大学の橋田です。中性子、先ほどから出ているSpin-Echo SANS法というのと、中性子顕微鏡ですよね。ぜひ我々も使ってみたいなと思っていて、今、気になっているのは、このBL13にだけこれをつけられるという予定なんですよね。多分これから、例えばユーザーがすごく増えますとなったときに、もう1台ぐらいつくったほうがいいとかという要求が出てくる可能性があるんですけども、そういうことは申請段階である程度、これから増えそうという予感はありそうなんですか。
【川北委員】 どうでしょうか。もちろんいろいろな、これを使いたいというユーザーさんがいるというのは調査しているところで、そういう要望も聞いているところです。実はすぐ横にBL15という小角散乱装置。これは既存の小角散乱装置ですけど、これも実は同じ減速材、ターゲットの上においては、中性子を発生する場所ですね。同じところを見ているので、同じ性能を持っています。なので、BL15に同じセットを置けばちゃんとSEM-SANSができるというところであります。そこはオプションとして考えていくということは頭の中にはあるというところです。
【橋田委員】 ありがとうございます。あと、コメントとして、材料系、私もやっているんですけど、材料の中に水素がいつも入っていますので、なので、かなり重要な技術になるという予感はしております。
【川北委員】 ありがとうございます。
【有馬主査】 ほか、いかがでしょうか。
私からもよろしいでしょうか。有馬ですけども、要素技術開発のところでマグネットの話がありますよね。これはもちろん国内メーカーを中心にということで、何か当てがあるんだろうと思いますけども、これに関してのタイムラインというか、時間スケールでこのぐらいまででいけるだろうみたいなことがもしありましたら、あるいはこういうことが課題になるみたいなことがありましたら教えていただきたいんですけど。
【川北委員】 実はこれはISISというよりは、米国のSNSでこういうマグネットを手作りでつくっているグループがいて、そことも情報を得ながら、ある意味、つくれるというのもあるんですが。
【有馬主査】 そうなんですね。
【川北委員】 そういう意味では、超伝導線材とかそういうものをこういうふうにつくればできそうだというところは頭にある。一方で、トリップしたようなときの安全装置みたいな部分というのが実は、手作りなので、結構甘いところがあるので、実はそこをマグネットメーカーとちゃんと議論しながらつくりたいと思っています。
そういう意味では、常にどういうものというのが頭にあるので、1年間で何とか試作品というものはつくれていけるだろう。その中で、建設段階の中でも幾つかつくり変えて、いいものをつくっていけるだろうというところになります。
【有馬主査】 なるほど。超伝導磁石でやるということですよね。
【川北委員】 はい。そういうことです。
【有馬主査】 ヘリウム冷却あるいはGMと。
【川北委員】 GMです。
【有馬主査】 GM冷凍機ですか。
【川北委員】 GM冷凍機。
【有馬主査】 多分全然違う用途ですけど、東北大の金研とかがやはりそういう線材とか、開発をいろいろされているので、もし必要だったらそういうところ。
【川北委員】 そうですね。オールジャパンで何か取組、オールワールドでもいいんですけど、取り組めればと。
【有馬主査】 ぜひうまくやっていただければと思っています。
ほかはいかがでしょうか。よろしいでしょうかね。なかなか魅力的な計画だったと。楽しく拝聴いたしました。
【川北委員】 ありがとうございます。
【有馬主査】 それでは、議論は大体尽きたという感じですので、事務局におかれましては、本日の議論を踏まえつつ、今後の推進方策についてJ-PARCと連携して御検討ください。進捗がございましたら、また当委員会において御報告いただければと思っております。
それでは、最後に、議題2、その他ですが、事務局から何か連絡事項等ございますか。
【伊藤補佐】 次回の量子ビーム利用推進委員会の開催日程につきましては、8月4日月曜日の10時から12時を予定しております。詳細につきまして、改めて御連絡させていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
また、本日の会議の議事録につきましては、作成次第、委員の皆様にメールにて御確認をいただいた後、文部科学省のウェブサイトに掲載させていただきます。本日の配付資料につきましても、後日、文部科学省のウェブサイトに公開をいたします。
以上でございます。
【有馬主査】 ありがとうございました。
それでは、以上をもちまして、第2回量子ビーム施設利用推進委員会を閉会いたします。本日はどうもありがとうございました。
―― 了 ――
科学技術・学術政策局 参事官(研究環境担当)付