量子ビーム施設利用推進委員会(第1回)議事録

1.日時

令和7年5月27日(火曜日)16時00分~18時00分

2.場所

文部科学省内3階1特別会議室及びオンラインのハイブリッド形式

3.議題

  1. 主査の指名について(非公開)
  2. 議事運営について(非公開)
  3. 量子ビーム施設利用推進委員会における調査・検討事項について
  4. NanoTerasu中間評価について
  5. その他

4.出席者

委員

有馬主査、高村(山田)委員、唯委員、古川委員、梅垣委員、大竹委員、川北委員、河野委員、久米委員、高橋委員、田中委員、橋田委員、矢橋委員、山重委員

文部科学省

(事務局)科学技術・学術政策局 参事官(研究環境担当) 野田浩絵、 参事官補佐 伊藤有佳子

オブザーバー

国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構 理事 武田憲昌
公益財団法人高輝度光科学研究センター 常務理事 安藤慶明、 常務理事 山口章
一般財団法人光科学イノベーションセンター 理事長 高田昌樹

5.議事録


今回の議事は、主査の指名等があったため、科学技術・学術審議会研究開発基盤部会量子ビーム施設利用推進委員会運営規則第5条に基づき、議題1から議題2までは非公開とした。

議題1. 主査の指名について
科学技術・学術審議会研究開発基盤部会運営規則第2条第3項に基づき、研究開発基盤部会の網塚部会長から、有馬委員が主査に指名されている旨、報告された。

議題2.議事運営について
「量子ビーム施設利用推進委員会運営規則(案)」及び「量子ビーム施設利用推進委員会の公開に関する手続きについて(案)」について承認された。
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【有馬主査】  それでは、議事を進めさせていただきます。
 続きまして、議題3、「量子ビーム施設利用推進委員会における調査・検討事項について」に移ります。
 本議題について、事務局よりまず御説明をよろしくお願いします。
【伊藤補佐】  承知いたしました。資料3-1及び資料3-2を用いまして、事務局より御説明させていたします。
 まず資料3-1で、量子ビーム関連政策の動向について御説明させていただいた後、資料3-2の主な検討事項について御審議いただきたいと考えております。
 資料3-1ですが、本委員会におきましては、上の親部会であります研究開発基盤部会において、特定先端大型研究施設、国内有数の大型研究施設・設備、各研究室等で分散管理されてきた研究設備・機器の共用及び研究機器共通基盤の技術開発という全体を審議する中で、こちらの量子ビーム施設利用推進委員会におきましては、特定先端大型研究施設の共用ですとか、今後の推進方策について御審議いただく委員会になっています。
 この全体像の予算につきましては、こちらのようになっておりまして、特に特定先端大型研究施設の共用に関する法律について、次のページで御説明させていただきます。
 特定先端大型研究施設につきましては、概要(1)に書いてございますけれども、重複設置することが多額の経費を要するため適当ではない、先端的科学技術分野において比類のない性能を有する、広範な分野の多様な研究等に活用されることで価値が最大限に発揮されるという三つの要件を満たす「先端大型研究施設」のうち、国が共用すべき施設を「特定先端大型研究施設」として定義し、共用を促進するという法律になっています。
 施設設置者と登録施設利用促進機関というものがございまして、この両者が連携して、広範な分野における利用者の皆様に共用を促進するという枠組みになってございます。こちらの特定先端大型研究施設のうちスーパーコンピュータ「富岳」以外は全て量子ビーム施設となっておりまして、本委員会の議論の対象となっております。
 次のページに、簡単ではございますが、NanoTerasu、SPring-8、SACLA、J-PARCといった四つの施設の比較を書いてございます。一番左のNanoTerasuにつきましては、高輝度の軟X線を出すことができるということで、物質の化学状態を見るというところに特徴がございます。また、SPring-8につきましては、高輝度の硬X線で、放射光による物質の構造を見ること、SACLAにつきましては、高輝度なパルスX線レーザーで物質の動的変化を見ること、J-PARCにつきましては、中性子により物質の構造や磁性を見ることを得意としておりまして、それぞれどういったものを見ることができるのかというイメージ図が今、投影されております7ページ目に記載がございます。
 次のページにつきましては、登録施設利用促進機関についてということで、NanoTerasu、SPring-8、SACLAにつきましては、一番左側の高輝度光科学研究センターが、J-PARCにつきましては、真ん中にございます総合科学研究機構が登録機関として、利用者選定業務ですとか利用支援業務というものに取り組んでいるところでございます。
 これ以降は、それぞれの施設についてのトピックを御紹介させていただきます。
 まず、NanoTerasuの整備共用等につきまして御説明いたします。NanoTerasuにつきましては、我が国初めての官民地域パートナーシップにより整備がされまして、特定先端大型研究施設としても指定され、昨年から運用が開始されたところでございます。また、今年の3月には、国が整備したビームラインにつきましても法律に基づく共用が開始されています。
 次のページに、これまでの経緯が記載されておりまして、官民地域パートナーシップによって本施設を整備することが決定され、公募によって地域パートナーとして選定といった、こういったことも本委員会の前身となります量子ビーム小委員会において御議論いただき、決定してきたというところでございます。
 官民地域パートナーシップの体制といたしましては、こちらの図のようになってございまして、緑色の「官」というところがまさに共用法に基づく取組となっておりまして、量子科学技術研究開発機構が施設の設置者になりまして、登録機関として、JASRIが利用支援業務を行いながら、共用ユーザーに対して共用を着実に実施するという形になってございます。
 パートナーにつきましては、光科学イノベーションセンターを中心といたしまして、宮城県、仙台市、東北大、東北経済連合会が一緒となりまして、コアリションという新しい枠組みでユーザーに共用しています。具体的な共用とコアリションの利用の違いにつきましては、次のページになってございまして、共用につきましては、左側ですけれども、全ての方々に申請していただきまして、審査に基づいて採択された方が共用ビームラインを利用することができるという枠組みになっております。
 それに対しまして、右側のコアリションにつきましては、加入金を拠出した会員による皆様が課題審査をすることなく、原則1か月前まで利用予約が可能という形で、こういった二つの利用制度をNanoTerasuで運用がされているという形になっております。
 次のページがNanoTerasuの性能を簡単に表しておりますけれども、右側のSPring-8が、繰り返しになりますが、硬X線のところを得意とするのに比較いたしまして、NanoTerasuは、軟X線のところを得意としており、従来の国内の軟X線向けよりも100倍の性能差を一気に果たしているという、我が国初めての第4世代の放射光施設となっております。
 次のページには、NanoTerasuで期待がされます広範な分野の成果というものの例を挙げさせていただいております。こういったところに期待がされているNanoTerasuですけれども、次のページにございますが、今、共用ビームラインが3本と、コアリションビームラインが7本という形で、運用開始時点で10本のビームラインが整備されておりますが、まだあと18本のビームラインを整備することが可能という形になっております。それも踏まえまして、前身の量子ビーム利用推進小委員会のほうでは、NanoTerasuのビームラインの計画的な増設についてということで報告書をお取りまとめいただきまして、フェーズ1は、運用を開始するまでに整備するべきビームラインという形で整理され、フェーズ2、3、4と段階を分けて、ビームラインを整備していく必要があると。フェーズ2につきましては、ユーザーニーズが高いものを早期に整備しましょうという形で方向性をつけていただきました。
 これを踏まえまして、次の17ページでございますけれども、NanoTerasuの安定的な共用というものを実現するとともに、次のページでございますが、令和6年度の補正予算で新たなビームライン1本の整備を始めているところでございます。先ほどの報告書で、フェーズ2では、ビームラインは5本整備が必要とされているところですけれども、まず1本の整備に着手している段階です。
 続きまして、SPring-8の高度化について御紹介させていただきます。次のページでございますけれども、SPring-8は共用開始から25年以上が経過しておりまして、ただ、世界では次世代放射光施設の整備が進んでいることから、SPring-8の加速器、ビームライン等を刷新する必要があるという形で検討を重ねまして、昨年から整備が始まっています。
 検討の経緯について簡単に御紹介させていただきたいんですけれども、次のページになりますが、令和5年8月にSPring-8の高度化に関するタスクフォースというところで、我が国が今後、次世代半導体やGX社会の実現など、産業・社会の大きな転機を見据え、2030年に向けては、現行の100倍の輝度となる世界最高峰の放射光施設を目指した経済安全保障の最重要基盤の一つとして、アップグレードが必須であるという報告書をまとめていただいているところでございます。
 SPring-8-IIで何が見えるようになるのかというところで、繰り返しですけれども、次のページですが、次世代半導体につきまして、今は40ナノメートルの分解能であるところ、SPring-8-IIになれば、分解能1ナノメートルを実現しまして、今後の国の戦略に役立つような研究開発が期待されるということで、効果が見込まれているところでございます。
 こういった背景も踏まえまして、次のページでございますけれども、前期の量子ビーム利用推進小委員会におきまして、SPring-8-IIの整備及び今後の在り方に関する報告書というものをおまとめいただきました。こちらでも繰り返しですけれども、早急にSPring-8-IIの整備に着手する必要があるというような方向性を位置づけていただきまして、次のページでございますが、昨年から整備が開始しているという形になっております。
 続きまして、SPring-8、SACLAの整備・共用についてでございます。
 次のページでございますけれども、SPring-8-IIの高度化に向けた整備が進んできているところですけれども、SPring-8、SACLA、また、多数の研究者の方が利活用されているということもございまして、着実な運転と共用というものが求められており、それに必要な経費等が措置されているところでございます。
 次のページでございますけれども、アカデミアの研究成果の例ということで、ライフサイエンスから物質科学など、かなり広範な分野で様々な研究成果が創出されております。
 また、次のページですけれども、自動車やコンタクトレンズ、また、冷蔵庫といった様々な製品開発にもSPring-8というものが利活用されております。また、世界の主な放射光施設との比較というところで、2000年から2025年に比べまして、放射光施設はかなり増えてきているところもございます。SPring-8は常に世界を牽引するような技術開発もされてきているところでございまして、今後もSPring-8が世界を牽引していくための今後の推進方策の在り方について、引き続き検討と、必要な措置が必要と考えているところでございます。
 また、X線自由電子レーザーにつきましても、まだ世界に五つしかないということも踏まえまして、SACLAの今後の方向性について検討が必要という形で考えております。
 続きまして、J-PARCでございます。次のページでございますけれども、J-PARCにつきましては、陽子ビームをターゲットに当てて出てくる二次粒子の中の中性子を活用するという部分が共用法の対象となっております。こちらも10年以上、共用開始から着実な運転がなされているというところになってございます。
 次のページでございますけれども、昨年には、世界最強のパルス中性子源が目標性能を達成しまして、世界一の強度での長期運転が実現されているところになってございます。
 次のページでございますけれども、J-PARCもSPring-8と同様に、ライフサイエンスから物性まで幅広い研究成果が創出されているというところでございます。
 また、次のページでございますけれども、産業利用の成果というものも出てきている状況になってございます。
 また、次のページでございますが、国際研究拠点としても非常にユニークな研究施設となっておりまして、アジア・オセアニア圏のハブ施設として、国際連携もしながら今後の方向性というものも検討が必要という形で考えております。
 続きまして、昨今の科学技術政策の検討の潮流といったものも少し御紹介させていただければと思います。こちらでございますが、今、内閣府の総合科学技術・イノベーション会議というところで、第7期科学技術・イノベーション基本計画に向けた検討が進められているところでございます。現状も、第6期といたしましても、国際卓越ですとか地域中核といった様々な施策がスタートしたところでございますが、世界的に見ますと、研究設備の共用・集約、自動/自律化、遠隔化、デジタル化といった研究のスピードアップが世界の潮流となっており、こういった流れを踏まえた研究パフォーマンスを最大化するといった取組が必要ではないかという形で今、検討がなされております。
 それをどういったふうに実施していくのかというのが次のページに案としてまとまっておりますけれども、この青いマル1、黒のマル2、緑のマル3、赤のマル4という様々な取組を連関させて実施していくことで、研究パフォーマンスを最大化できるのではないかという形で検討が進められております。
 マル1のところになりますけれども、大学等で、今、研究設備ですとか機器といったものの共用が進んできているところではございますが、まだまだ全国ネットワーク化に向けては課題等もありますところ、そういったことを本格化するといったところもございますし、また、研究、分析機器といったところは海外がかなり市場を占めているというところもございますので、我が国の研究力を強化するために研究設備等の高度化も必要といったところになっております。
 共用の場を生かした研究設備の高度化といったことで、この辺りをパッケージ化して研究設備機器活用の最大化が図れないかといったところが青いところになってございます。
 また、共用と一口に言いましても、共用のインセンティブとなるような仕組みも競争的研究費改革の中に入れられないかということも併せて検討が必要と考えておりますし、また、大学共同利用機関というところを中心に、研究設備の大規模集積化、自動化といったようなものに取り組みまして、こういった様々な取組で研究基盤を強化しようという形で考えております。また、こういった研究機器からは大量なデータが出てくるというところもございますので、こういったデータを蓄積、利活用するための研究データ基盤を強化いたしまして、これらが全て連関する形で、日本の全体の研究力の飛躍的向上を図ろうといったことを検討しております。
 次のページに、今、申し上げたことが模式図になっておりますけれども、青枠が研究大学等におきまして、研究設備・機器の共用を図りながら研究設備の高度化を図る。また、大学共同利用機関で大規模集積研究基盤の整備を図る。これが赤いところで研究データの基盤の整備を図る。この三つが連関いたしまして、AI時代への対応による日本の研究力の飛躍的向上を図る。ここに、もちろんなのですけれども、右のところに書いてございますが、共用法施設といったところもかなりたくさんの広範な分野の研究者の方々が、こういったところを利用して、様々な成果を出されているという形で、今の取組と共用法施設たちも一緒になって、研究基盤を強化するということが求められていると考えているところでございます。
 続きまして、前期の量子ビーム利用推進小委員会における調査審議事項についても簡単に御紹介させていただきます。
 次のページでございますけれども、SPring-8につきましては、繰り返しになりますが、SPring-8-IIの報告書というものをおまとめいただきました。また、SPring-8/SACLAにつきましては、今後の在り方についてという中間評価も実施していただきました。
 J-PARCにつきましても、中間評価を実施していただきました。
 なお、J-PARCにつきましては、様々な機関が一緒に運用している施設になってございますので、量子科技術委員会に加えまして、原子力科学技術委員会と学術分科会研究環境基盤部会といったものの下に、合同で評価委員会を設置して評価をいただいているところになってございます。
 また、NanoTerasuにつきましては、ビームラインの今後の方向性について報告書をお取りまとめいただきましたし、そのほかといたしまして、量子ビーム施設間の連携についてといったことも委員会で取り上げていただいたところでございます。
 次のページ以降には、中間評価の概要について取りまとめをさせていただいているところでございます。今、御説明いたしました動向を踏まえまして、資料3-2を御覧いただければと思いますけれども、今後の主な検討事項ということで、第13期の2年間をかけて検討するべき事項といたしまして、まず1つ目には、NanoTerasuの中間評価というものを実施していただきたいということ。また、量子ビーム施設の推進方策について、今後どういった推進方策であるべきかといったようなことも御検討いただけないかというところ。また、前期に実施いたしましたSPring-8、SACLA、J-PARCの中間評価のフォローアップをしていただけないかといった主に3つの検討事項というものを掲げております。
 この下につきましては、今後の主なスケジュールの予定という形で、前半はNanoTerasuの中間評価を中心に御議論いただきながら、今年の年末辺りからは、推進方策についても御議論いただきたいという形で予定しているところでございます。
 事務局からの御説明は以上でございます。
【有馬主査】  ありがとうございました。
 まず、ただいまの事務局の御説明につきまして、委員の皆様から御質問などございますか。御説明はクリアでしょうか。ここは、今期、特に今年度の検討事項を決めるということなので、少しお時間をいただいて、皆様方から御意見をいただきたいと思っているんですけれども、特に3-2でいただいた今期の主な検討事項についてこれでよいか、あるいはもう少し別の検討事項も必要ではないかとかその辺のことについて皆様の御意見をお伺いしたいと思っています。
 ということなので、まず自由に何かありますか。
 なければ、今回、初めての委員会で、しかも、全員の皆様が御出席いただいていますので、お一人ずつ御意見等、感想等でもいいんですけれども、お伺いできればと思います。
 順不同になってしまいますが、多分、経験の深い方からがいいと思うので、申し訳ないですけど、矢橋委員からずっとこういうふうに行きましょうか。矢橋委員から。
【矢橋委員】  矢橋です。理化学研究所です。よろしくお願いします。
 すみません。準備ができていなかったので、いきなりとなりますが、昨年度、SPring-8、SACLAについては中間評価が実施されました。今年度は、NanoTerasuの中間評価が行われるということで、早速この後も整備運用状況の報告があります。あらかじめ資料も拝見しており順調に立ち上げが進んでいるということですが、この後のブーストに向けて非常に重要な局面だと思いますので、この委員会としてしっかりとしたレコメンデーションも含めて出していく必要があると思っていますので、ぜひよろしくお願いいたします。
 あと、J-PARCの高度化の話、それから、SPring-8-IIに向けた、諸々の課題もございまして、それが恐らく推進方策のところにかかってくると思いますが、そこも並行して進めていただくことが非常に重要だと思いますので、ぜひよろしくお願いいたします。
 以上です。
【有馬主査】  ありがとうございました。
 続きまして、橋田委員、よろしくお願いします。
【橋田委員】  私、今回から初めて出席させていただくんですけども、NanoTerasuの中間評価ということで、まだ立ち上がったばかりということなので、多分目標が達成されているかどうかということなので、今後どうそれが展開していくかというところが重要だと思いますので、その点をしっかりと聞かせていただいて、また、新たにビームをつくられるということなので、利用者もしっかりついているのかということもちょっと気になるところですので。あと、コメントとして、私自身はSACLAを利用させていただくというところがあることと、あと、レーザーを使った、少し小さな規模の施設を使っています。多分問題はいつも人と電気代というところだと思いますので、昨今、またいろいろお金が上がっていますので、できたらたくさんのお金をつけていただいて、たくさんのというのは、電気代が上がっていますので、そこら辺も含めて、文科省として最大限のサポートをして、いいものをつくっていただくというのがいいのかなと。これは個人的な感想ですけど、思っています。よろしくお願いします。
【有馬主査】  どうもありがとうございました。
 それでは、田中委員、よろしくお願いします。
【田中委員】  ありがとうございます。一番初めの感想としては、NanoTerasuの中間評価がもうあるのかというのは、いろいろな意味ですごいなと思って聞かせていただきました。これが一つでございます。
 それから、国として、この量子ビーム関連の整備をやっていただけているという話で、これがなぜかということを考えたときに、やはり研究力の強化というところに行かなくてはいけないと思うんですけども、ここをお使いいただく方は、今日、材料とかそういう話もいただいたと思うんですけれども、ここの方々の裾野を広げていくために、こういった委員会と本当にエンドユーザーの間に計画されたようなユーザーが計画されたようなパフォーマンスを見せるような研究がないと、なかなかつながっていかないのではないかと思うんですけども、ここら辺の議論というのもできると非常にいろいろなパフォーマンスを最大限に生かせるんじゃないかなと思って聞かせていただきました。
 以上でございます。
【有馬主査】  ありがとうございます。
 それでは、高橋委員、よろしくお願いします。
【高橋委員】  QST、NanoTerasuセンターの高橋でございます。おかげさまで、NanoTerasuは、運用開始から1年少々過ぎまして、非常に順調に動いていると自己評価しております。ありがとうございます。一応NanoTerasuは完成して、運用を開始したところであるんですけれども、今の御紹介の中にもありましたように、ビームラインのほうが最大で28本の設置が可能であるところ、現状、10本で、運用を開始しているという状況ですので、今後、様々な分野での活用をしていただくためにはビームラインの増設といったところが非常に重要な課題と我々考えております。どういうビームラインを増設していくかというところが、今後のNanoTerasuの進む方向、あるいは、こういう量子ビーム施設の進む方向というのをかなり決めていくことになると思いますので、そういった観点の様々な御議論等をこの委員会のほうでいただけるような形になることを期待しています。
 あと、NanoTerasuの成果の最大化に当たっては、いろいろな量子ビーム施設の連携といったところも非常に重要だと考えております。今の御紹介の中にも、AI時代を踏まえた、いろいろな推進方策とかが述べられておりましたけれども、その辺、非常に重要だと思っておりますが、一方で、施設を運営する立場からすると、そういった外に開かれた施設ということと、あと、いろいろな意味でのセキュリティーと、物理的なセキュリティーもありますし、情報のセキュリティーもありますけれども、そういったところとの両立を図っていくというところも非常に大きな課題として認識しています。そういったところの観点からのいろいろな御議論等もいただいて参考にしていければと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
【有馬主査】  どうもありがとうございました。
 それでは、久米委員、お願いします。
【久米委員】  花王の久米と申します。私は、中性子とSPring-8の推進協議会にも委員として参画させていただいております。産業界のほうの立場からいろいろと意見やコメント等させていただければと思っています。
 今回も、NanoTerasuの話とか、SPring-8-IIの話とかありましたけれども、当然のことながら、すばらしい最先端のものがどんどん性能が上がっていくというのも必要ですが、我々の立場からすると、継続的なとか安定的に、それらを活用できるということも非常に重要だと考えております。そういうような視点からも意見とか言わせていただければと考えております。今回、初めて参加させていただきますので、よろしくお願いいたします。
【有馬主査】  どうもありがとうございます。
 それでは、河野委員、よろしくお願いします。
【河野委員】  日本製鉄の河野と申します。今回初めて参加させていただきます。
 私自身は、鉄鋼材料の研究開発にも何十年と従事しておりまして、その過程でかなりSPring-8、それから、高エネセンター、あと、SACLAを使って、鉄鋼の内部の組織をin-situで観察すると。それをうまく鉄鋼材料の開発に生かすと。こういうようなPDCAを回しながら今に至っています。非常に活用させていただいております。
 民間にも門戸を開いていただいておりまして、非常に有機的に活用させていただいています。あと、J-PARCも使っております。非常に鉄鋼材料の本当に限られた分野ですけれども、やはり開発に直結できるようなデータというのはたくさん得られていますので、ぜひとも、最先端の科学技術を民間に生かすと、こういうようなところでいろいろな例を出していきたいと思っています。
 ただ、やはりユーザーとしては、その道の専門家でないとなかなか中身が分からないというところもありますので、ぜひ広い視野でいろいろPRしていただくと、我々もそういった形で裾野を広げるといった方策をいろいろ考えていきたいと思っておりますので、ぜひともよろしくお願いいたします。
【有馬主査】  ありがとうございます。
 それでは、川北委員、よろしくお願いします。
【川北委員】  原子力機構、J-PARCセンターの川北です。今回もよろしくお願いします。
 J-PARCセンターは、前回の委員会の中では中間評価、この委員会ではないかもしれませんけど、中間評価をしていただきまして、その中で、MLFのロードマップというのをつくって、将来計画というのをつくろうとしております。これは現在も将来計画をつくるという作業が進行中というところでして、その中で、実はMLFの中で、ビームライン、まだ空きポートがあって、まさしく空いているビームポートを持っているというところが一番もったいないというところではありますので、そういったところの議論をしていきたいというものと、それと、中間評価の資料にもありますとおり、TS2に向けた、ターゲットステーション2に向けた議論というのをどんどん進めなさいと背中を押していただいてもらっていますので、まさしくそういうところにあると理解しています。
 そういうところで、J-PARCとして何か、今期の委員会ではいろいろ御議論いただくところがあると思っておりますので、今後ともよろしくお願いします。
【有馬主査】  どうもありがとうございました。
 梅垣委員、よろしくお願いします。
【梅垣委員】  ありがとうございます。高エネルギー加速器研究機構の梅垣といいます。よろしくお願いいたします。私はJ-PARCセンターの構成員でもありまして、先ほど川北さんがおっしゃられたJ-PARCのMLFの中性子の前段にあるミュオンターゲットを使ったミュオンの研究、それから、ミュオンビームラインの運営に携わっております。
 このKEKに、高エネ研の職員になる前は、民間の企業で、そういう量子ビーム施設を使用した研究に携わっておりましたので、そういう観点から、もしくは大学、今は教育にも携わっている身としてのユーザーとしての観点からも御意見させていただければと思っております。
 J-PARCに関して申し上げますと、ユーザーさんに対しては安定運転というのは非常に重要だと思います。今日の御説明の中でも、誰でも使えるというようなキーワードもあったかと思うんですけれども、一方で、それは影響というか、皆さん、お使いになられる方々がたくさんいらっしゃって、企業の方、大学の教員の方、学生さんたちの教育にも非常に影響があって、そういう意味で、安定に運転ができるというところも非常に重要な課題としてありますので、その点に関しては皆さんと御議論させていただければと思っております。
【有馬主査】  どうもありがとうございました。
 それでは、オンラインで、5名の委員の方が御参加なさっていますので、順々にこちらから指名させていただきますので、御意見よろしくお願いします。
 まず山重委員、よろしくお願いします。
【山重委員】  トヨタ自動車の山重寿夫と申します。これまでの量子ビーム利用推進小委員会に続きまして、本委員会におきましてもよろしくお願いします。
 我々は、先ほど御紹介いただきましたNanoTerasu、SPring-8、SACLA、J-PARCなどを活用させていただいております。先日、社内会議で約10年前の各放射光技術の状況を確認していましたところ、現在では、過去に比べまして桁で進化しているということを知り、大変驚きました。今後も、さらなる高度化に向けまして企業ユーザーの立場として、議論・勉強させていただきたいと思っております。引き続きよろしくお願いします。
【有馬主査】  どうもありがとうございます。
 それでは、大竹委員、よろしくお願いします。
【大竹委員】  オンラインで失礼いたします。理化学研究所、また、日本中性子科学会の会長を今年、来年と第2期、2期目で、2年間させていただきます大竹と申します。よろしくお願いいたします。
 前期の推進委員会から引き続き、コミュニティーの意見ということも反映させていただいて、発言させていただいております。特に今期のところで話題になるであろう量子ビーム施設の推進方策についてといったところでも、NanoTerasuのほうの整備、また、SPring-8-IIのほうも進んでいらっしゃいますし、私ども中性子としますと、J-PARCのさらなる充実が大きな課題で、現在世界で1番のターゲットステーション1に加えて、ターゲットステーション2という、さらに特徴ある中性子散乱実験が可能なものを、作っていくという形が大切です。放射光の大型施設と連携しながら、日本の科学を推進するには、やはり世界のトップレベルを走り続けていくことJ-PARC、それが取りも直さず、多くの産業界の委員の先生方も御参加いただいておりますけれども、そういったところの国力、また、産業利用に対しての基本的な科学技術の最先端というものの開発を可能にすると思っておりますので、ぜひ委員の先生方、皆様と議論させていただきながら、さらに中性子ビーム、また、ミュオン、それから、量子ビーム全体としての発展がより明るく進むようにしたいと願っております。よろしくお願いいたします。
【有馬主査】  どうもありがとうございます。
 それでは、古川委員、よろしくお願いします。
【古川委員】  お茶の水女子大学の古川と申します。よろしくお願いいたします。
 私は、この委員会前身のところから2期目となっています。私は、専門は中性子です。つくる側ではなくて、使う側です。私は、日本でも2つの施設が中性子ありますけれども、海外でPIとして、これまでに12施設で研究を続けてまいりました。なので、また違う場所には違うルールがあるんですけれども、そんな視点も加えながら、少し意見ができたらと考えています。
 今日のお話の中で少し気になってきているのは、前回の委員会でもそうでしたけれども、今後の成果の最大化のところに、ユーザーの拡大というのが出てくるんですけれども、そのために希望というか、夢として、いろいろな効率化とか、創造性を豊かに最大化していくというのはもちろんですけれども、ユーザーを拡大するためには何が必要かとか、あと、そのためにはもちろんのこと、実験の支援を充実させるとか、いろいろなことを表面的ではなくて、深く具体的に相談しながら決めていく必要があるのかなと思っています。
 1ユーザーとしては、中性子としては、J-PARC、ここで上がっていますけれども、なかなかビームタイムが取れなくて、非常に競争率が高くて、なかなか厳しいというのは有名なお話なので、そうですね。その辺とかも少し皆さんで議論できたらなと考えています。
 以上です。よろしくお願いいたします。
【有馬主査】  ありがとうございました。
 唯委員、よろしくお願いします。
【唯委員】  名古屋大学の唯でございます。前回に引き続いて2期目になりますが、お世話になります。よろしくお願いいたします。
 前回からいろいろな議論がありまして、もうNanoTerasuも中間評価ということで、今期、もう一段先に進むフェーズに入るのかなと思っています。放射光の利用がいろいろな分野に非常に広く拡大している状況で、どこの施設も同じだと思うんですけれども、ニーズがやはり偏るところがどうしてもあって、非常に混んでいるところで、なかなか使うというところまでたどり着かない部分と、それから、ニーズとしてはそれほどないと、やはりちゃんと置いておかなきゃいけない部分というのがあるので、その辺りも含めて、次のビームラインの構成のところに全体としてのパフォーマンスを最大化できるようなやり方ということが必要かなと思っています。
 前回も大分いろいろな議論がございましたけれども、やはり今、若い人がなかなかここに根づかないという人の問題に苦労しているというのは、これはどこの施設も、大学も同じかなと思っています。やはり若い世代、いろいろな、我々の世代ともまた違って、いろいろな価値観を持っている人たちというのがここに魅力を感じて、この後、牽引していっていただくような人を育てるということはやはり非常に大事なことですので、その辺りを施設だけではなく、そこを支えていく大学も含めて一体となってやはり考えていくということが大事かなと思っています。
 以上です。
【有馬主査】  ありがとうございました。
 最後になりましたが、高村委員、よろしくお願いします。
【高村委員】  北陸先端科学技術大学院大学の高村と申します。私はこの委員会は初めてです。放射光施設との関わりは、現所属に着任して研究室を主宰するようになったときに、同僚がちょうど放射光実験に行くから一緒に行かないかと誘ってくれて、携わるようになってからです。学生時代には全く使う機会がなかったのですけれども、こうして同僚に声をかけてもらって、使うようになりました。初めて行ったのはPhoton Factoryで、その後、SPring-8で一緒に実験しないかというお話もいただきました。海外では、米国のNSLSとか、英国のDiamond Light Source、仏国にあるESRFやSOLEIL、国内では他にもUVSOR-IIIなど、いろいろな放射光施設を使わせていただきましたので、ユーザーの視点からいろいろと御意見できればと思っております。
 NanoTerasuに関しては、運営の仕方が今までと大分違っていて、これまでとは全然違うユーザーを引きつけているというところにすごく興味があります。先ほどビームラインが混んでいるという話がありましたけれども、世界的に見ると、日本にはたくさん放射光施設があるので、より効率的な、あるいは、全く新しい使い方を日本から発信できるような体制を築いていただけるといいなと考えております。
 中間評価をどのくらいの期間ごとに行うものなのか、その辺の御説明も追々いただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
【有馬主査】  ありがとうございます。
 それでは、最後に私から少し意見を申し上げますと、放射光、X線、自由電子レーザー、それから、中性子、それぞれいろいろと施設の運営に御尽力されていることは承知しています。それで特に利用者をどう拡大するか。その場合には放射光ユーザーが放射光を使うとか、中性子ユーザーが中性子を使うという、そういうステージから一歩踏み出して、もっといろいろな人が使うということを目指しているんだと思っています。
 そのときにはやはり今までとは違う宣伝の仕方というのが必要なわけですけれども、例えばNanoTerasuの前期で5本を決めたときに、私としては少し違和感があったのは、ニーズ・プル型に随分引っ張られたなと思っていて。というのは、共用ビームラインはもともとシーズプッシュというのが役割の大きなところなので、同じビームラインを要求するのでも、シーズをプッシュする側のことをもう少し考えたらいいのではないかなと個人的には思っていたりします。
 今、NanoTerasuで新たにニーズ調査をされていて、それは敬意を表しますが、そこに関してももう少しシーズをプッシュするという立場での観点が入ると、よりいいのかなと思っています。
 それから、若手の人が少なくなる。日本人に限っては、それは必ずそうなるので、もう人口が減っていますから。そのときに、最後の伊藤様の御説明のAI云々というのがありましたけども、部会のほうでも少しAIの話があって、そのときに、ある企業の方が、委員の方がVLMを使っているみたいな話がありましたけども、例えば、今、AIを活用するというと、放射光施設、それぞれ大体データをどう解析するか。そういうところでAIを使うということですけども、それ以外にも、例えばノートを全部電子ノートにするだけではなくて、実験しているところのビデオを撮っておくということにすると、このVLMのモデルを使って、どういうような手順でやったらいいかを自動的に教えてくれるようなシステムを多分5年、10年すればできるとなると思うんですね。
 そうすると、かなりそこの部分の人手は減ってくるはずなので、そういうような取組もぜひ考えていただければと思った次第です。ということで、なかなか質疑までは行かないんですけども、皆様から御意見いただきましたので、本日いただいた御意見を踏まえて、事務局と御相談しながら本部会における審議を進めることといたしたいと思いますが、よろしいでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
【有馬主査】  それでは、異議なしということで、この案について了承したいと思います。
 続きまして、議題4に移ります。議題4は、「NanoTerasu中間評価について」ということです。この議題に際しましては、まず利害関係者の確認をさせていただきます。
 参考資料4-1、こちらですね。中間評価を実施するに当たっては、「文部科学省における研究及び開発に関する評価指針」にのっとり、公正で透明な評価を行う観点から、原則として利害関係者が評価には加わらないように研究開発基盤部会で定められています。
 ここで言う利害関係者は、マル1が評価対象課題に参画している者、マル2が被評価者、実施課題の代表者と親族関係にある者、マル3、利害関係を有すると自ら判断する者、マル4、部会において、評価に加わらないことが適当であると判断された者、以上、4項目のいずれかに該当する方です。
 高橋委員におかれましては、マル1の「評価対象課題に参画している者」に該当しますので、審議には加わらないよう、お願いしたいと思います。
 そのほかで利害関係者に該当する方はいらっしゃいますでしょうか。もし気になる方がいらしたらお知らせください。よろしいでしょうか。オンラインの方もよろしいでしょうか。
 それでは、高橋委員だけということですね。ありがとうございます。高橋委員におかれましては、この審議には参画しないということです。ただし、途中、質疑の過程で、事実関係などについて御発言いただくということは可能です。問題ございませんので、よろしくお願いいたします。
 それでは、議題に入らせていただきます。本日は、NanoTerasuの概要を御説明いただくために、量子科学技術研究開発機構の武田理事、高輝度光科学研究センターの安藤常務理事、それから、オンラインから山口常務理事、光科学イノベーションセンターの高田理事長にオブザーバー参加いただいています。
 それでは、資料4-1に基づいて御説明をよろしくお願いいたします。
【武田理事】  今、御紹介あずかりました量子科学技術研究開発、QSTの理事を務めております武田と申します。よろしくお願いします。
 本日は、表紙にありますように、NanoTerasuの運営会議、後ほど説明の中に出てまいりますが、その議長として御説明を申し上げたいと思います。
 一枚めくっていただきまして、本日の内容ですけども、初めに、NanoTerasuのことを少し御紹介した後に、施設の整備状況、あと、ビームラインの運用状況、あと、コアリション事業の展開、一体的な運営ということで、この5つについて御説明を申し上げたいと思いますけども、3の2つ目のポツのコアリションビームラインの部分、あと、4ポツのコアリション事業の部分につきましては、高田理事長のほうから御説明を申し上げたいと思ってございます。
 次のページ、3ページ目でございますが、「はじめに」ということで、NanoTerasu、もう皆さん、御存じのとおりなので、あまり長く御説明する気は全くありませんけども、世界トップクラスの性能を持ち、現場、特に軟X線の領域では非常に明るい光を出すということで、非常に有意義な施設として使っていただき始めているというようなことかなと思っております。
 2ポツを見ていただきまして、先ほど来、先生方にも御指摘をいただいていますけども、官・民・地域、これがパートナーシップを組んで、手を携えて施設を設計、運営しているということで、まさに民間からの投資も誘発しながら、幅広い分野での利用をしていただいているところでございます。まさにその成果として、3ポツ、NanoTerasuを中心として、エコシステムを形成しているところでございますので、この辺りを含めて、全体、御議論を賜れればと思ってございます。
 4ページ目でございますけども、こちらにつきましては、先ほど事務局から御説明をされた資料にもありましたので、もう簡単に申し上げますが、国内外発の官民地域パートナーシップによる大型の研究基盤施設ということで、いわゆる共用法に基づきまして、施設の運用をしているということでございます。整備については、官、国が主体となって約200億円の負担で加速器、ビームライン3本の建設などをしてございます。また、地域の皆様におかれては180億円の分担をいただいて、そこにありますように、建屋の建設ですとかビームライン7本の建設ということをしていただき、2024年の4月1日から運用開始ということで、共用の部分は、共用のユーザーを迎え入れたのは今年の3月、コアリションのほうにつきましては、昨年の4月からユーザーの利用開始ということで、少し、1年ほど先にコアリションのほうが開始しておりますので、この後、御紹介あると思いますが、成果も続々と出ているという状況でございます。
 めくっていただきまして、5ページ目でございますが、NanoTerasuの整備の歩みということで、前回、令和4年6月に中間評価をしていただいていますので、それ以降ということであれば、右下の緑の囲いのところを見ていただくと、その間、立ち上げ調整をずっとしていく中で、非常に計画の前倒しするような整備の調整が進められているということでございまして、例えば一番上を見ていただくと、電子加速に1か月前倒しで成功しておりますし、その後も3GeVの電子の蓄積、放射光の取り出しというのを、少しずつではございますが、前倒しを進め、最後、もともと40mAの蓄積電流値というものを当初目標にしていましたけども、4月1日の段階で、160mAの蓄積電流値ということで、非常に強いビームを出せる状況になったということでございます。
 6ページ目は、ぜひ現地を先生方に見ていただければと思いますが、順次こういう施設ができていると、搬入させていただいているというところで、写真を御紹介と、7ページ目は、電子加速などに成功したときのデータの写真を入れさせていただいておりますので、御参考でございます。
 8ページ目に進んでいただきますと、加速器の運転状況でございますが、非常に誇るべきことだと思っておるんですが、運用の開始当初から非常に安定した放射光を供給しているということで、先ほど申し上げましたように、蓄積電流は初めから160mAということで運用を開始していますし、2024年、昨年の7月26日には、もともと25年の3月末までを目標にしていた200mAに到達しております。将来的には400mAまで上げていきたいと思いますので、ぜひその点も後押しをいただければと思ってございます。
 また、2つ目のポツですが、この光源の稼働率ということでは、99.6%、平均故障間隔が323時間ということで、ここも非常に高い数値を出していると思います。一番下にほかの施設、SPring-8ですとか、ほかの施設のものもありますけども、遜色ない数字が出ていますので、これが1年目から出ているというのが非常にすばらしいことだと我々は思っておりまして、この辺りは日本のものづくりの強みが非常に出ているかなと思ってございます。
 また、光の強さとしては約50倍ということで、これを安定的に出しているということで、非常に我々としては引き続き頑張っていきたいと思ってございます。
 次、9ページ目でございますが、ビームラインの整備状況でございます。先ほど来御指摘ありますように、28本のビームラインを置けるということですが、3本の共用、7本のコアリションということで、合計10本、残り18本ということでございますが、こちらの前身の委員会で御議論いただいた5本、第2期、御提案いただいているものの1本につきましては、事務局の御尽力もありまして、昨年の補正予算で措置をいただいておりますので、27年の共用を目指して現在整備を進めていると、こういう状況でございます。
 次のページ、10ページ目でございますが、ビームラインの運用状況、各ビームラインの中身については、もう先生方、御専門家でございますので、特に申し上げることはありませんが、一番上のRIXSを見ていただくと、右側にありますように、分解能はもともと5万というものを目標にしていますけど、5万8,000、その一つ下のほうも6万弱、5万以上で6万弱ぐらいの分解能を達成しているということで、非常に性能を高くビームが出せるということでございますので、ぜひ先生方を含めて周りの方々にもより多く使っていただきたいと思ってございます。
 次のページ、11ページ目を見ていただきますと、共用の開始に先立ちまして、最終調整という意味も込めまして、試験的共用ということをさせていただきました。QSTの中に、外部の先生方から成る検討委員会を設置しまして、それぞれのビームラインで、3課題から4課題、採択させていただいて、使っていただくというところを行ってまいりまして、その中でも、下にありますように論文がもう出てくるというような状況でございますので、これも我々にとって励みになるところでございますので、ぜひ全て成果がより一層出るようにというところで、努力をしていきたいと思ってございます。
 12ページは、共用の本格のほうでございますが、こちらについては、隣に、今日御指摘させていただいていますJASRIのほうが対応していただいているところですけども、NanoTerasuの課題の選定委員会を設置して、募集をしていただいています。去年の6月に第1回の選定委員会を開始したところですが、募集自身は9月26日から募集開始しまして、大体2倍程度の倍率の応募がございました。38件しか、マシンタイムの関係で取れませんでしたけども、こういう状況になっていまして、第1回目ということではありますけども、2倍ぐらいの応募があったということで、まずは皆さん方の期待もあったのかなと思ってございます。
 また、今、第2期、2025年B期の課題募集も開始して終了しておりますが、こちらも78件ということで、ここが、通常であれば少し数は減るかなという部分もあったんですが、要は、採択して、まだ実験をしている中でございますので、落ちた方だけ、次、応募してくる可能性もあったんですが、それ以外の方も恐らく応募いただいている関係上、78ということだと思いますので、そういう意味では非常に、裾野が少しずつではありますけども、広がっている部分がもしかしたらあるのかなと少し期待しているところでございます。
 その関係で申し上げますと、募集には直接は関係ないんですが、25年の3月1日のところを見ていただくと、まさにSPring-8とNanoTerasuを使う利用者の皆さんの団体というか、コミュニティーを広げていくという観点から、その2つを統合して、今までのスプラックという名前は一緒ですが、「P」が小さくなっているんですが、そういう共同体をつくっていただいて、コミュニティーの形成にも御尽力をいただいているというような状況になってございます。
 次、13ページですが、共用ビームラインの増設の計画につきましては、先ほど来御説明ありましたように、第2期、第3期、第4期と続いて、我々としては整備していただきたいということでございますが、今、第2期の1本ということでございますので、引き続き先生方の後押しをお願いしたいということでございます。
 続いて、コアリションの部分については、高田理事長のほうから説明をお願いします。
【高田理事長】  光科学イノベーションセンターの理事長の高田でございます。コアリションのパートにつきまして説明をさせていただきます。まず14ページ、15ページ、見開きで、コアリションの7本のビームライン。これは昨年の4月9日から、オンタイムでスタートを7本同時にさせました。これもオンタイムでQSTが加速器を回してくださったということで、非常にユーザーからは高い評価を受けております。ビームラインの左から、ビームラインの計測法と装置の周囲の写真、そして、どういうことを行われているかというのがその次のコラムにあります。そこのところの赤い星で書いてあるのは高度化、どういうことをやっているかということでございます。ユーザーからどんどん新しい要望が出ておりますので、それに応える形で高度化をしております。
 一番右側が論文の発表でございます。これは産業界だけではなくて、学術も企業として加入しておりますので、産学だけではなくて、学学の連携も進んでいるということで、『Nature Materials』とか、『JACS』とか、そういうハイレベルのジャーナルにも論文を発表していると。これもビームが非常に安定しているところの証左であると言えると思います。
 16ページでございます。ここはそれぞれの分野ごとに代表的な論文を示しております。これもいろいろとQSTとPhoSICの連携がうまくいっているということであるとは思います。
 17ページでございます。特に我々はコヒーレンスを使った可視化というところを重点をさせておりまして、リチウムイオン電池、ここのところも今、積極的にこういったナノレベルでイオンとか元素の可視化、これを大体100ナノメートルから50ナノメートル、恐らく高度化が進みますと、SPring-8との連携で高度化を進めて、数年後には1ナノメートル、1ミリ秒を目指すということになっております。
 次でございます。18ページ、見るだけでは全く駄目で、我々は課題解決までちゃんと伴走するということで、体制を整えております。といいますのも、大学が機関として入っているのはデータ科学とかAIの先生、そして、ものづくりの先生も一緒になって、これは取り組んでおりますので、こういった、単にスパコンとつなぐだけではなくて、これも直結しておりますけれども、さらにはNECとアプライアンスサーバーというのを開発して販売を始めました。ここにはデータの解析だけではなくて、シミュレーションとかインフォマティクス、こういったソフトウエアも全部入って、それを伴走してやっております。結果までしっかりと出していただくということで進めております。
 19ページでございます。非常に大事なのは、リソースをどういうふうに提供するかということでございまして、これもコアリションの企業に対して、生成AIを活用しまして、いろいろな先生を紹介していると。これも、そこの東北大学の例がございますけれども、分野に限らず、宇宙の人まで入っておりますけれども、そういった形で、生成AIでこのマッチングが進んで、これは実は半年前からやっと始まりました。大規模言語システムが出来上がってから可能になったということでございまして、25件、コアな課題についてマッチングが成立しております。最近では、もう各ビームラインが、どういったことが企業のコア課題にマッチするかというところをむしろこちらから提案して、企業とか大学の企画のところ、そこと議論しながら新しい使い方というものを進めているところでございます。
 次、お願いします。20ページでございます。そういうことで、我々はイノベーションエコシステムをつくっていくことで、その戦略としては、20ページから21ページに掲げました4つの戦略を立てておりまして、まず中核機能の強化ということで、Cスイート・マーケティングということで、経営層としっかりと話をするというところをやっております。あとは専任サポート、高度データ解析のところもしっかりとサポートしているということでございまして、そこに、写真にありますのは初日の、7本やりましたけど、そのうちの4本。そこに写っておりますのは全部、会社の役員、社長でございます。中小企業もおりますけれども、そういった形でやっているということで、連携ネットワークの拡充というところも大学連携、行政連携、地域経済連携というところで進めておりまして、中小企業の経営者も、そこの真ん中にあるように、非常に意識が変わってきたということで、自治体とも連携して、しっかりと進めております。
 21ページ、これも行政連携でございますけれども、地域も企業に対して、こういう拠点形成支援制度とか、また、国のプロジェクトも導入して、それが地域の企業ともつながっていくという形で進めております。
 3番目のところがCスイートエンゲージメントということで、それだけではなくて、しっかりと大学の機関がコアリションになっておりますので、そこの役員が集まって、いろいろとこのコアリションをどう戦略的に展開していくかということを、企業のCTOとかそういった人たちのアドバイスを受けながら進めていると。
 以上でございます。
【武田理事】  すみません。その後、まだ少し残っていますので、申し訳ありません。最後の固まりですが、一体的な運営ということで、今、PhoSICさんですとか、JASRIさんの部分を申し上げましたけども、QSTを含めて、様々な機関が中に入っているということで、NanoTerasuの運営会議というものを昨年の4月1日に設立してございます。その下にNanoTerasuの総括事務局というものを置いて、全体を取りまとめて会議をしつつ、意思疎通を図りながらやっているということです。
 昨年の6月から文科省さんにもオブザーバーとして参加していただいていまして、議長としては、右側にありますように、私が務めさせていただいているという、こういう状況でございます。
 次のページを見ていただくと、今申し上げましたNanoTerasu総括事務局で大体どんなことをやりつつ、一体的な運営を図っているかというところを少し御紹介したいと思います。
 まず1つ目、総務企画ということで、先ほど申し上げた運営会議の運営はもちろんのこと、いろいろな協定とか覚書、大小様々なものがございます。こういうものにつきまして、原案の作成ですとか制定というのをやっておりますし、全体の共通した規則などもつくりつつ、意思疎通を図っているというところでございます。
 2つ目は、まさにバラバラと動く話ではないということで、安全施設、安全をどう確保していくのかというところで、防災ですとか緊急時の対応をどうするのかとか、共通課題である、もともと放射光施設でございますので、安全審査への対応など、こういうこともさせていただいているということでございます。
 次のページに行っていただきまして、もう一つ大きな仕事としては、ネットワーク・データマネージメント整備ということで、NanoTerasu全体を無線ネットワークでつなぎつつ、外部とSINETを通じて、高速の線を引いているということでございますが、併せて、右下真ん中のほうにありますけども、東北大学さんとの連携ということでは、スーパーコンピュータのAOBAと連携させていただきましたり、昨年の補正予算で措置をいただきましたGPUサーバーを入れるというところで、今年度中には運用を開始できるんじゃないかと思いますが、そういう準備なども進めているということでございます。
 25ページが、先ほど来、先生方から御指摘をいただいています、ユーザーを広げたり、そういうような観点からまず広報を、どういうことをやっているのかというところで、1つ目は本当に広報という意味では、運用開始の式典ですとか、あと、オープンデイをはじめ、いろいろな方々に来ていただきたいというのをつくっているということでございますが、3ポツのほうは、ポータルサイトをつくって、ユーザーフレンドリーに、なるべく皆さんに情報を提供できるようにというところで努力を続けております。
 4ポツは、研究者だけではなくて、地元の方を含めて、テレビ、メディアなどでアウトリーチをしっかりやっていきたいということで、取組を御紹介させていただいています。
 26ページは、その中でもシンポジウムですとか報告会というものの開催ということで、まず1つ目は、日本放射光学会の年会のほうですが、これまで企画講演などいろいろやっておりますが、来年1月には、ちょうど仙台のほうで年会が開催されるということもありまして、手前ども中心的にその役割を果たしていきたいと思ってございます。
 また、コアリションの方法も、カンファレンスということで、そこにありますように、これまでも12回の会議を開催していただいておりまして、メンバーとの意思疎通ですとかニーズの掘り起こし、関係者>ネットワークということをしていただいておりますし、NanoTerasuの利用説明会ということで、JASRIさん、我々、PhoSICさんで、仙台だけではなくて、東京、京都、福岡といったところで説明会なども開催させていただいたりということで、あと、ほかの学会などのブースも出させていただいています。
 最後の紙になりますが、国際連携という意味では、今後も増えていくんだと思いますが、昨年の5月にはスウェーデンの施設との協力の覚書を締結したり、国際放射光サミット、AOBAサミットということで、これは東北大学さんの呼びかけで、各国の放射光施設のトップが集まったり、オンラインの部分もありますけども、皆さんで御議論いただいてということで、第6回は今年の1月に開催していただいております。そのときの写真が右下にございます。
 私からは以上でございますが、このような状況でございますので、ぜひ御意見を賜って、より皆さんに使っていただけるような設備になるように努力を我々も引き続きしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 私から以上でございます。
【高田理事長】  武田理事、ちょっと訂正をさせていただきます。先ほど論文のところ、16ページで論文の話をしましたけど、『Nature Materials』と申し上げましたが、『Nature Communications』の間違いでございます。
 大変失礼いたしました。
【有馬主査】  どうもありがとうございました。
 続きまして、事務局より、資料4-2について御説明願います。
【伊藤補佐】  承知いたしました。事務局でございます。資料4-2について御説明させていただければと思います。
 資料4-2の説明に入る前ですけれども、参考資料4-1というものがございまして、先ほど主査から、利害関係者のところについても規定を示していただきましたが、親部会でございます研究開発基盤部会におきまして、研究開発課題の評価の方法について決定いただいているところでございます。こちらの2ページ目に、(2)中間評価といったものがございまして、事前評価を実施したもののうち、中間評価の時期に当たるものについては実施するとされておりまして、大体3年ごとを目安に実施するという形で規定がされております。委員会で評価を実施していただいたものを部会にて報告して、部会にて評価結果を決定するといったような形の流れで決められており、今回、これに従いまして評価を実施していただきたいというものになっております。SPring-8やJ-PARCにおきましては、目安の3年を踏まえつつ、大体5年ごとにこれまで評価をしてきているということになっておりまして、NanoTerasuも今後については5年が目安になろうかと事務局では考えております。
 では、資料4-2に戻らせていただければと思います。資料4-2、1ポツ、経緯でございますけれども、NanoTerasuにつきましては、官民地域パートナーシップによる次世代放射光施設といたしまして、研究計画・評価分科会量子科学技術委員会の下に設置された、前身であります量子ビーム利用推進小委員会におきまして、平成30年には事前評価が、令和4年6月には中間評価が実施されております。前回の中間評価につきましては、参考資料4-2、4-3に添付させていただいているところでございます。
 中間評価の中で、特に資料4-3の15ページ目でございますけれども、「今後、国内外の動向を踏まえつつ、適時・適切なフォローアップを行うとともに、当該施設の整備が完了し運用が開始されたタイミングを目処に、本中間評価で示された課題等について進捗状況を評価することが適当である」とされていることを踏まえまして、昨年、令和6年4月に運用開始されたことから、今回、中間評価を実施していただくという形になってございます。
 資料4-2の2ポツの評価方針(評価すべき項目等)という項目に移らせていただければと思います。
 先ほどの参考資料4-1に基づいて評価を行うというところですけれども、1ポツで御説明いたしましたとおり、NanoTerasuは、整備期から運用期へと移り変わるところになってございます。既存施設(SPring-8/SACLA、J-PARC)の評価指標も踏まえまして、後ほど細かく御説明いたしますが、NanoTerasu運用期における評価指標というものを今回、事務局で御提案させていただきますので、この項目でよいかどうかというのを今回御審議いただきたいというものになっております。
 また、それが別紙1になってございまして、また、前回の繰り返しですが、参考資料4-3にあります前回の中間評価におきまして、「着実な整備完了・運用開始に向けて達成すべき事項、及び研究成果の最大化、産学官の利用促進等に向けて中長期的に取り組むべき事項について、以下に記述する。これらの項目については、今後進捗状況・対応状況を改めて確認・評価していくこととする。」ともされておりますので、こちら、別紙2にまとめておりますけれども、前回、中間評価の指摘事項についても同時に評価が必要と考えているところでございます。
 その際ですけれども、また前後しますが、参考資料4-1で評価項目とされております必要性、有効性、効率性の観点から評価をいただきたいと考えて、別紙1をまとめさせていただいているところでございます。
 また、NanoTerasuですけれども、令和6年4月1日から共用促進法における特定放射光施設とされたため、QST及びパートナーの取組に加えまして、登録施設利用促進機関のJASRIにおける利用促進業務を評価対象として、指摘事項への対応を確認していただきたいと考えているところでございます。
 めくりまして、2ページ目、3ポツの評価の進め方でございますけれども、量子ビーム施設利用推進委員会において、QST、パートナー及びJASRIからの事業の進捗状況ですとか、前回の中間評価における指摘事項に対する回答を聴取していただいて、評価を実施していただきたいと考えております。
 現時点のスケジュールですけれども、第1回が今回でございまして、先ほどNanoTerasuの整備・運用状況の概要を御説明いただいて、今回、これから御説明します、評価すべき項目についてというものを御審議いただきます。こちら、御審議いただいた項目に沿いましてヒアリングし、現地調査をしていただいて、評価結果(案)についてお取りまとめいただくという形で考えております。
 それでは、別紙1、3ページ目を御覧いただければと思うんですけれども、NanoTerasu運用期の評価の視点・項目といたしまして、現在、事務局で考えている案になってございます。まず最初がモニタリング指標といたしまして、アウトプット指標及びアウトカム指標については、通常、過去3年程度の状況を記載して評価の参考としているところですけれども、NanoTerasuは令和6年度に運用を開始したばかりということで、今回は以下に示すアウトプット、アウトカム指標の令和6年度のみのデータを示していただいて、先生方に御参照いただけないかという形で考えています。
 アウトプット指標といたしましては、SPring-8やJ-PARCと同様に、年間の運転時間ですとか、利用時間、平均故障間隔、また、申請件数、利用件数といったものもございますし、訪問者・見学・視察者の数、あと、報道発表件数、講習会の回数、国際シンポジウムの回数等が考えられると思っております。
 また、2ポツのアウトカム指標といたしましては、成果の発表論文数ですとか、成果の知財化といったものも検討できると考えております。
 2ポツ目の評価項目につきましてですけれども、今お示ししたようなモニタリング指標も御参照いただきながら、NanoTerasuの特徴に応じまして、必要性、有効性、効率性の観点で、以下のような評価項目を設定してはどうかと考えております。
 まず必要性といたしましては、国費を用いた研究開発としての意義というものがございますし、次、(2)におきましては、NanoTerasuの研究開発を通じた科学的・技術的意義、社会的・経済的意義といたしまして、共用制度の意義、コアリション制度の意義があると考えております。
 申し遅れましたが、こちらの括弧の中に、各項目に対する担当機関というものを記載しておりまして、例えば共用制度の意義については、QST、JASRIからヒアリングをいたしますし、コアリション制度の意義については、パートナーからヒアリングするということを想定して記載させていただいております。
 2ポツの有効性につきましては、研究開発成果の最大化といたしまして、共用制度を通じた成果がどういうふうに貢献していくことが見込まれるのかといったこと、コアリション制度も同様です。また、それに加えまして、国内外施設の整備・運営状況、国際情勢等を踏まえたNanoTerasuの位置づけ・発展の方向性の明確化といたしまして、加速器、ビームラインの位置づけ、コアリション制度を通じたビームラインの位置づけ、共用制度とコアリション制度の連携といったものが考えられるかと思います。
 (2)施設の高度化につきましても、加速器、ビームライン、また、ユーザーの動向も踏まえた付帯設備の高度化といったことも考えられると掲げさせていただいております。
 また、(3)といたしましては、産学官の利用促進ということで、NanoTerasuを中核とした産学官金の集積状況、リサーチコンプレックスの形成状況、それに向けたNanoTerasuの貢献といったものが考えられると掲げさせていただいております。
 また、マル2には、ユーザーの裾野の拡大、ユーザーコミュニティとの連携、革新的な成果創出に向けた検討・推進もあると項目に挙げさせていただいております。
 おめくりいただきまして、ページ5の(4)でございますけれども、人材育成への貢献も重要な観点ということで、東北大や他大学等との連携による若手人材の育成といったものも項目として挙げさせていただいております。
 また、(5)といたしましては、国内他施設との連携、国際連携といったものも掲げさせていただきました。
 3ポツの効率性につきましては、計画・実施体制と目標・達成管理の妥当性といったようなことを掲げさせていただいておりまして、QST・JASRI・パートナーの役割分担と連携ですとか、共用の利用制度の在り方、コアリション制度の検証・改善といったことを掲げさせていただいております。
 また、(2)といたしまして、費用構造や費用対効果向上方策の妥当性といったことも掲げさせていただいております。こちらは別紙1で、今回、項目として妥当かどうかというものを御審議いただきたいところです。
 また、別紙2といたしまして、おめくりいただきまして、6ページ目でございますけれども、こちらは前回の中間評価においてフォローアップするべき事項として検討されたものになってございます。これをそのまま抜粋しておりまして、そちらにJASRIを担当機関として追加させていただいているのと、黄色いマーカーの部分につきましては、ほぼ同義なものが別紙1に記載させていただいておりますので、ヒアリングするときに別紙1のものを参照いただければよいと考えている部分になっております。
 また、灰色で、例えばローマ数字2番の3(2)1と書いてございますけれども、こちらの項目は、別紙1の前の項目のここに関係しますということを網羅的になるように示させていただいているものになってございます。
 ほぼ別紙1で網羅されているところでございますけれども、例えば6ページ目の(1)のマル2の一番上ですが、着実な加速器・ビームラインの整備完了・設計性能の達成、質の高いビームの早期安定供給といったような形で、やはり整備期がきちんと完了したかどうかという項目もこちらにございますので、こちらにつきましても、QST、パートナー・JASRIの皆様からヒアリングをするべき項目として残させていただいているという形になってございます。
 事務局からの御説明は以上です。
【有馬主査】  ありがとうございました。
 それでは、資料4-1、それから、4-2、その説明についての御質問、御意見ということですが、初めに、私から、語句というか、今、伊藤様から御説明いただいた中で、別紙1の1のアウトプット指標の(3)の共用利用の利用料金収入ということですけども、これは、だから、3月から始まった分ということで、だから、アウトプット資料に残すけども、今回はまだそんなに。指標には残すけど、今回の評価には基本的に関係しないという理解かと思います。
 それからもう1点は、これは語句の問題ですが、4ページ目の有効性の(3)の産学官の利用促進のマル1で、産学官金、この「金」は何を意味しているかちょっとだけ。何でしょうか。
【伊藤補佐】  こちらにつきまして、金融といったところをイメージして書かせていただいております。
【有馬主査】  これは金融であるということで。
【伊藤補佐】  はい。
【有馬主査】  皆さん、想像は多分ついているでしょうけど、これは金融ですということですね。
 それでは、何か御質問、御意見等ございましたら、どなたからでも結構ですので御発言いただければと思いますが、いかがでしょうか。いろいろ御説明、それから、評価項目もたくさんありましたが。ありますか。どうぞ。
【河野委員】  別紙1の5ページ目ですけれども、効率性のところで、計画・実施体制の目標・達成管理の妥当性。この辺りはいいと思うんですけど、(2)ですけれども、費用構造や費用対効果向上方策の妥当性と。ここを非常に、研究に対して費用対効果を見積もるというのは非常に難しいと思うんですが、これは例えばJASRIとかQSTとか、今までもこういった項目というのはあったんでしょうか。
【伊藤補佐】  こちらにつきましては、例えば別紙2の6ページ目の一番上ですけれども、(1)のマル1の着実な予算の確保、運用期に必要な予算の精査(効果的な運営予算の検討が必要)といったような形になっておりまして、研究成果を出すだけではなくて、今回は施設がきちんと運用期として運営されているか、安定的な共用ができているかといったところも観点になっておりますので、こういった項目はよく指標としては入れさせていただいているところでございます。
【河野委員】  分かりました。ありがとうございます。
【有馬主査】  どうもありがとうございます。運営のための予算ということですね。
 そのほかはいかがでしょうか。どうぞ。
【橋田委員】  この別紙1の申請件数・利用者数(若手研究者)と書いてありますけども、この件数というのは若手がやはり重要なんですか。ちょっと分からなくて、一般的な人でもいいのかなと思っているんですけども。
【伊藤補佐】  おっしゃるとおりだと思っておりまして、最初に書いてある(2)は、申請件数・利用件数・利用者数は、若手も若手でない方も含めた、まず総数としてどうかということもモニタリングが必要だと考えておりますし、人材育成の観点で、やはり若手の研究者の方にもこういったものを活用していただいてということで、そうすると、若手と両方、フォローアップしていくことが重要ではないかという観点で、含むということです。
【橋田委員】  文科省として若手というのは何歳なんですか。そこからでしょう。42歳までなのか。私も若手なのかと。
【伊藤補佐】  科研費など、他のファンディングのものも踏まえた定義があり得るかと考えておりますが、何歳を若手と定義するかは、後ほど整理して御提案させていただければと思います。
【橋田委員】  分かりました。
【有馬主査】  ただいまの話だと、申請者の年齢は分かるような構造になっていたんでしたっけ。JASRIさんがいないと分からないかな。
【武田理事】  共用の申請のときに。
【有馬主査】  年齢が分かるんでしたっけ。
【安藤理事】  分からない?
【有馬主査】  これ、分からないですね。どうすればいいかな。いや、重要な指標であることは分かりつつ。取れないか、入れないのか。
【橋田委員】  申請者の定義は、代表者である必要があるのか、それとも、申請の中に入っているだけでいいのかというので、まず変わってきそうな気もしますけど。
【有馬主査】  一般には、これは代表者で取ります。
【橋田委員】  代表者ということですか。
【有馬主査】  例えばSPring-8だと、大学院生が申請するとか。それは取れるんですよね。つまり、システムが違うので、大学院生が何件応募しましたとか、そういうことは分かるんだけど、若手研究者は、一般に多分、文部科学省さんだと、40歳とかと統合するんですよね。あるいは博士取得後何年となっているんですけども、そこは実は取るのは難しいかもしれない。
【古川委員】  コメント、よろしいでしょうか。
【有馬主査】  どうぞ。
【古川委員】  お茶の水女子大学の古川です。今の若手関連のカウントですけれども、将来的なことを考えたときに、そこの技術を継承してくださる若手がいるかというのはとても大事なパラメータになるので、学生さんの参加、プロジェクトへの参加の人数というのは、中性子だと多分、課題申請のときに学生さんの名前も全部書くんですけれども、そういう人数も一緒に、今の若手の定義がちょっと曖昧なのですけれども、参加者として、大学院生でもいいから、何歳以下の人がどれぐらい参加したかというのも一つ取っておくといいかなと思ったんですけど、いかがでしょうか。
【有馬主査】  そういう意味では、利用者数のほうの若手研究者、大学院生は取れますよね。だから、大学院生は取れるはずです。JASRIのシステムだと、大学院生の利用者数のところは取れて、大学院生の申請件数も取れるんだけど、若手というのが難しいかもしれません。
【橋田委員】  産業界とかはちょっと。若手というのが多分。大学だと比較的年齢でというところがあるんですけど、産業界の若手というのは一体何歳なんですかね。やはりその同じ。
【有馬主査】  だから難しいですよね。結局ね。産業界は産業界で取って、若手のところは大学院生が、そういう意味では取りやすいところなのかなと思います。
 どうぞ。安藤さん。
【安藤理事】  JASRIですけど。実態上、大学院生ということについてのデータは取れると思います。ただ、SPring-8と違いまして、若手枠というものができていませんので、それはどういう形で今後運用していくかというのは、文科省さんともいろいろ相談しながら考えていくところだろうと思います。
【有馬主査】  ありがとうございます。では、ここはあれですね。定義等も含めて少し御相談させていただいてということにさせていただければと思います。ありがとうございます。
 そのほかの点につきまして、いかがでしょうか。いろいろたくさんあったので、いろいろあるとは思うんですけども。どうぞ。
【川北委員】  いいですか。J-PARCセンター、川北です。いろいろな指標があるんですが、ユーザーの声みたいなものというのはどこかで聞けるんですか。何かアンケート調査とかそういった指標というのはあってもいいのかなと思ったんですが。
【有馬主査】  使った方の満足度ですね。
【川北委員】  そうですね。満足度調査みたいなものというのはどこかで入ってくるのかなと思いました。
【有馬主査】  いかがでしょうか。施設側の方で。
【伊藤補佐】  ユーザーの動向も踏まえた内容というのは、項目は確かにあるんですけれども、アンケート調査といったような指標等を設けておりませんので、検討させていただきたいと思います。
【有馬主査】  ありがとうございます。では、これは検討項目ということで、全数は無理だと思うんですけども、幾つか行けるかもしれません。
 ほかはいかがでしょうか。
 国際標準というのが、5ページ目の(5)のところになって、国際標準、この手の軟X線が中心とする施設で、国際標準としては、例えばこういう検討項目にすると、施設側としては、例えばどういうところを考えられますかね。
【武田理事】  そういう意味では、これを、私どもは初見なんですが。
【有馬主査】  もちろんそうです。
【武田理事】  例えばここに書いていらっしゃるような国際連携は、ここのマル1、マル2の部分で、いろいろな国際連携ですとか。
【有馬主査】  連携のほうが多分簡単で。
【武田理事】  はい。ここは大丈夫、数字として何なりというのはあると思うんですが、括弧内の国際標準とか知的基盤というのはやはりある程度、もう少し運転期間が長くならないとこういうのは多分、普通に考えると出てこないと思うので、ここはほかのものとの関係で、横並びで入れられているのかもしれませんが、なかなか正直難しいんじゃないかなというのが個人的な感想でございます。
【有馬主査】  だから、これも。ここに入れておきますけども、初めのうちはこういうのが指標で入って、そのうち来ますよねという感じ。これは評価項目内に入っているので、もし何かほかの委員の方でも御意見、こういうところと比べればいいのではないかとかいう御意見があれば、今のうちにということで、放射光で一番詳しそうな矢橋委員にお伺いするわけですが。こういうのはどこと比べるのがいいですかね。
【矢橋委員】  そうですね。これはなかなか、今コメントがあったように、容易ではないところもありますね。時間をかけてやっていくというところは非常に重要だと思います。
 あと、その他のコメントもよろしいですか。
【有馬主査】  どうぞ。
【矢橋委員】  やはり運用期に入ってきたということで、定常的な運用をしながら、例えば、先ほどの資料の12ページですね、共用ビームラインの課題募集があって、倍率が2倍ぐらいで、これぐらい実施されているということですが、やはりこの数字を伸ばしていかれながら、既存の3本、新設も含めて新しいところをやっていくと。こういうところは恐らく4ページの有効性の「施設の高度化」というところの狭義では(2)のマル2などに入ってくると思うんですけども、仕組みも含めた検討が重要だと思います。要は、限られたパイの中でやってしまうと、なかなか難しいと思いますので、日本全体でどういう仕組みが適当か。それが結果的に、NanoTerasuも含めた全体の裾野の拡大という言葉が何度もありましたが、そういう視点が必要だと思いますので、それをここの項目に新たに加えるのか、それとも、こういうところで少し重点的に認識いただくのかというところがあるかなと思いました。
 以上です。
【有馬主査】  なるほど。だから、NanoTerasu固有のというよりは、放射光施設全体としての課題に対してということですね。
【矢橋委員】  はい。
【有馬主査】  ほか、いかがでしょうか。
 あと、NanoTerasuの固有の取組として、放射線管理の区域を狭めたところがありますけれども、これに関して何か、何というのかな。多分うまくいっていれば評価すべき項目だと思うんですが、こういうところを見てほしいというのがもし施設側から何かありましたら具体的に。いや、うまくいっているよというのを見てくださいということでいいですけども。
【武田理事】  よろしいですか。ありがとうございます。おっしゃるとおり、非常に管理区域を制限して使いやすくなっているというところは、まさに我々としては売りというか、非常にアクセスしやすくなるということだと思います。そういう意味で、裾野の拡大というような、まさにそういうのに一助になっているということであれば、そういうところにそういう取組の御評価の視点を入れていただけるのであれば、我々としては非常にありがたいと思いますし、明晰に書かなくても評価項目に。何かそれだけ妙にスペシフィックに書いていただく必要はないのかなと思いますので、その中で加点の評価をしていただくようなことをお取り計らいをいただけるのであれば、それでも結構かなというふうに私としては思っています。
【有馬主査】  ありがとうございます。日本は放射光施設、共用法はもちろん、SPring-8、こちらだけですけども、ほかにもいろいろあって、よい取組だったら広げていけばと思いますので、ぜひそこは、NanoTerasuでは当たり前でも、ほかの放射光施設で当たり前ではないので、うまくいっていればちゃんと評価すべきかなと思っています。
 ほかに何かございますでしょうか。オンラインの方もよろしいですか。
 いろいろと御意見いただきましたが、主な検討項目に関してはおおむね御了承いただけたと思います。なので、本件については、多少の修正をするにしても、案のとおり、ほぼ案のとおりで決定してよろしいでしょうか。よろしいでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
【有馬主査】  それでは、ありがとうございます。決定した評価項目を基に、今後、関係者からヒアリングするということにいたしたいと思います。
 それでは、最後に議題5、「その他」ですが、事務局から何か連絡事項等ございますか。
【伊藤補佐】  事務局でございます。次回の量子ビーム施設利用推進委員会の開催日程につきましては、改めて調整、御連絡させていただければと思います。
 また、本日の会議の議事録につきましては、作成でき次第、委員の皆様にメールにて御確認をいただきますので、非公開である議題1及び議題2に係る箇所を除きまして、文科省のウェブサイトに掲載させていただければと思います。
 また、本日の配付資料につきましても、後日、文部科学省のウェブサイトに公開をいたします。
 以上でございます。
【有馬主査】  ありがとうございました。
 それでは、以上をもちまして、第1回量子ビーム施設利用推進委員会を閉会いたします。本日はどうもありがとうございました。
 
―― 了 ――

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