戦略的研究拠点育成評価作業部会

プログラム名 評価時期 課題名 代表者 実施機関 課題概要 総合評価 今後の進め方 評価結果概要
戦略的研究拠点育成 中間 国際統合医療研究・人材育成拠点の創成 宮崎 俊一 東京女子医科大学 東京女子医科大学の私立単科大学としての利点を生かし、豊富な臨床例・高度の医療技術、特色あるチュートリアル教育システム、女性に開かれた研究教育環境などの実績をもとに、医療・カウンセリング・教育・研究を統合し、伝統医療・代替医療をも包括した新しい統合医科学分野を確立するため、医師・研究者育成の先導拠点である国際統合医科学インスティテュート(IREIIMS)を設立する。 B B 基礎医学研究と臨床医療のギャップを埋めることは重要な課題である。その試みとして、高度化し、専門化が進んだ最新医科学分野を相互に連結させ、更に科学的検証を経た伝統医学を融合させて統合医科学の確立を目指していること、及び、CIMIへの情報集積と、それを用いてより広い医療知識をもった医療関係者を育成する本プロジェクトは、有効な取組みと評価できる。組織改革については、学外ではあるが、既存の教授会の意志決定プロセスを経ずに、大学法人理事会、特に学長のイニシアチブの下に新しい概念に基づく組織(IREIIMS)を立ち上げている。以上より、初期の計画と同等の取組みが行われていると評価できる。
戦略的研究拠点育成 中間 「サステイナビリティ学連携研究機構」構想 小宮山 宏 東京大学 本連携研究機構は、「サステイナビリティ学」の定義に基づき、複数の研究機関の連携により必要とされる研究教育領域を包括的にカバーするネットワーク型研究拠点を形成し、サステイナビリティ学分野における世界最高水準の国際的研究拠点の形成を目指す。本連携研究機構は、参加5大学と協力機関の強固な連携の下に、戦略的協働研究教育を推進し、人類の生存基盤の安定と持続可能な人類社会の構築に必要な国際的人材を育成する。これらの活動を通じて、新しい総合的な学術分野としてのサステイナビリティ学の創生と世界最高水準の国際研究拠点形成を達成する。 B A 本プロジェクトの特徴であるinter-disciplinaryな論文は少ないものの、個々の研究成果として論文は多数発表していることは評価できる。また、「経済と社会と環境」に関する本プロジェクトの成果を具現化するため、及び、本プログラム終了後の本取組みの持続性のために、産業界との連携を強化することを期待したい。人材育成に関しては、サステイナビリティ学の概念が未確立の段階で教育カリキュラムを進めることについて、やや時期尚早ではないかとの意見もあるが、「サスティナビリティ学」の概念については、一朝一夕に確立できるものではないことは理解できる。東京大学が中心となって全体を統括し、定期的に企画運営会議、ワークショップ、シンポジウム等を開催し、相互の研究教育の進捗状況を確認しあい、またフラッグシッププロジェクトの活動などを通じて参加5大学や協力機関の連携強化を図ったことにより、IR3Sは大学・研究機関の強固な連携によるネットワーク型研究拠点の形成が認められる。また、国際学術誌「Sustainability Science」をSpringer社より刊行できたことは、IR3Sの取組が世界的に認知されたことを示すものとして評価できる。以上より、所期の計画と同等の取組みが行われていると評価された。
戦略的研究拠点育成 中間 東工大統合研究院 伊賀 健一 東京工業大学 本構想では、社会や産業界から生じる課題を解決するだけではなく、大学が自ら描く数年後から十数年後の社会や産業界のあるべき姿に近づくため、解決すべき具体的な課題を設定し、大学が持つ多様な知識を総動員、再構築してそれら課題解決のための解答(ソリューション)を創出するためのメカニズムを構築する。このための研究拠点として「東工大統合研究院」を設置する。 B B イノベーション研究を中核に据えて、それを将来の社会・産業界のあるべき姿を目指すソリューション研究につなげるアプローチは重要であると評価される。また、困難を伴う4つの附属研究所改革にも前向きに取り組む姿勢も評価できる。しかしながら、ソリューション研究の基盤とも言うべきシンクタンク機能が組織内で十分に機能していないため、ソリューション研究の方向性が曖昧なものとなっている。シンクタンク機能の充実化を図ると共に、ソリューション研究を提案する意味・意義を組織改革の可能性とあわせてより明確にすることが望まれる。
戦略的研究拠点育成 事後 先端領域融合による開放型医学研究拠点形成 成宮 周 京都大学 本構想では生命科学、基礎科学(物理、化学、工学、情報など)、人文社会科学を基盤とする「心身の健康と人類の未来を担う」総合科学としての先端医学研究機構を構築し、「生命・理工学融合分野」、「長寿・健康科学分野」、「脳・精神科学分野」の3分野の拠点化を図ることを目的としている。 B 該当なし 本構想の中で、若手研究者を公募によって任期付き研究員として迎え、独立した研究環境を提供し、自立的かつ競争的環境において研究に専念させることによって優秀な研究者へと育成させるという新しい大学の人材システムを提案し、さらに若手研究員の研究の場としてオ−プンラボを、支援組織として先端技術センタ−を設置し、これらの結果として、5年間で22名の大学研究者を育成できたことは、先進性を含めて優れた構想、アイデア、計画の結果であり、非常に高く評価される。しかしながら、育成者の中で女性研究者の割合が低く、また、外国人がいないなど、多様性に乏しい面も見られた。これらの点については、たとえば運営委員会からの適切なアドバイス等によって修正することが可能であった。また、資金の調達等の問題から終了後の機構の継続性が十分に確保されていない現状がある。このため、さらなる発展に向けて、引き続き、外部資金の獲得、拠点の発展的再構築等の取組を推進することが期待される。以上のことから、所期の計画と同等の取組が行われたと評価できる。
戦略的研究拠点育成 事後 ベンチャー開発戦略研究センター 吉川 弘之 独立行政法人産業技術総合研究所 本事業は、「大学・公的研究機関発技術シーズの事業化のためのCOE」となることを目指して、1ベンチャー創出プラットフォーム機能の構築(組織・制度・意識改革)2ベンチャー創出の実践(成功事例作り)3大学・公的研究機関発技術シーズの創業化システムの研究(最適システムの構築)をミッションの柱とする。 A 該当なし 本課題では、各研究者の意識改革の実現、タスクフォース(TF)制度の整備などのベンチャー創出のための組織・制度改革が行われ、公的研究機関としての社会的意義や使命に沿った多様なベンチャー企業群が創出されており、所期の計画以上の取組が行われている。また、中間評価結果を受けて、提案時の目標を適切なものへと変更した点は高く評価できる。本プログラムの終了後も、理事長の強いリーダーシップにより自己経費によって制度を存続させることが確約されており、持続性についても高く評価でき、今後、産総研でのベンチャー創出が定着し、日本の産業構造を変えてゆくようなインパクトをもたらす可能性がある。また、戦略的研究拠点育成評価委員会の評価は厳正に行われており、適切な役割を果たしていた。

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