ア |
達成目標について
遠隔地の研究者による共同研究を活性化するための、高臨場感を共有できるコラボレーション環境を実現するソフトウェアを開発することを目標としていることは理解でき、将来的にIT技術の重要なテーマとなるものであり、完成すれば社会的貢献が大きいとの意見はあるものの、それを実現するための研究開発項目として、三次元データによる遠隔地間コミュニケーションの実現を中心においていることは、ネットワーク性能や研究者のニーズ、三次元データの表示装置の普及等の点で、現時点で妥当とは判断し難い。
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イ |
目標達成に向けた研究開発等の進捗状況
研究の中心であるボリュームコミュニケーション技術については、報告からは特徴のある成果が上がっているとは思えず、学術的な成果および論文等も高い質のものが出ていないことから、最終的な達成目標の実現性についての見通しが明らかでない。
一方で、ボリュームコミュニケーションのための要素技術については、想定した目標をほぼ達成しつつあり、今後、実用的速度に高速化するなどして、連携企業と協力し、製品化標準化を推進することが期待される、との意見もあった。
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ウ |
実施体制について
産業界との連携企業が一社のみであり、実施体制が弱いように思える。
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エ |
研究成果の普及への取り組みについて
特許出願やシンポジウムの開催など、研究成果の普及の取り組みは行われているものの、本研究の波及効果は、開発したソフトウェアの普及と標準化がなされる必要があり、そのためのプロセスを検討すべきである。
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オ |
人材育成について
修士課程および博士課程の大学院生を研究開発に参加させ、通信分野、可視化分野等の専門家を育成しているが、更なる努力が望まれる。
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カ |
今後の進め方について
目標達成の見通しが明らかでないことから、今後は、研究開発内容を有望な要素技術に重点化するとともに、産業界からの参画度を高め、要素技術の商品化や標準化を推進するべきである。 |