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資料3

中間評価結果

(3) 「eサイエンス」実現プロジェクト
1 スーパーコンピュータネットワークの構築
 達成目標について
 バイオ研究では、分散した研究資源をネットワーク経由で利用することは必要不可欠であり、この意味で研究の目標は妥当である。国際的にも類似研究が数多く行われているが、本プロジェクトはグリッド基盤技術の研究に焦点を当てていることに特徴がある。

 目標達成に向けた研究開発等の進捗状況
 セキュアグリッド技術、マルチスケール生体シミュレーション、タンパク質化合物相互作用検索、オンライン解析技術などの面で成果がでており、達成目標に向けて着実な研究が進められている。グリッドコンピューティングに関して、世界をリードする応用プロジェクトとして推進されていることは高く評価できる。
 一方、どこにオリジナリティがあるのかが不明であり、研究開発目標をより限定する必要があるのではないか、という意見もあった。

 実施体制について
 成果の普及を目的としてNPO法人を設立するなど、研究実施体制は優れており、今後のプロジェクト研究のモデルケースのひとつになると考えられる。

 研究成果の普及への取り組みについて
 グリッド基盤技術について、グローバルグリッドフォーラム(GGF)を舞台に、標準化へ向けた取り組みを行っており、普及に向けてのNPO法人の設立も評価できる。

 人材育成について
 人材育成の取り組みは十分なされている。

 今後の進め方について
 社会的、経済的効果は、潜在的には大きいが、そのためには本プロジェクトの成果が実用的に利用されなければならない。NPO法人を組織するなど、活発な普及活動を行っているが、製薬などの産業界における実用化をより確実なものとするため、他のグリッド研究(例えば、『超高速コンピュータ網形成プロジェクト(NAREGI:ナレギ)』)や応用ソフトウェアプロジェクト(例えば、『戦略的基盤ソフトウェアの開発』)との連携強化や役割分担の明確化を行い、重複を排除しつつ研究開発内容を重点化すべきである。

2 スーパーコンピュータネットワーク上でのリアル実験環境の実現
 達成目標について
 遠隔地の研究者による共同研究を活性化するための、高臨場感を共有できるコラボレーション環境を実現するソフトウェアを開発することを目標としていることは理解でき、将来的にIT技術の重要なテーマとなるものであり、完成すれば社会的貢献が大きいとの意見はあるものの、それを実現するための研究開発項目として、三次元データによる遠隔地間コミュニケーションの実現を中心においていることは、ネットワーク性能や研究者のニーズ、三次元データの表示装置の普及等の点で、現時点で妥当とは判断し難い。

 目標達成に向けた研究開発等の進捗状況
 研究の中心であるボリュームコミュニケーション技術については、報告からは特徴のある成果が上がっているとは思えず、学術的な成果および論文等も高い質のものが出ていないことから、最終的な達成目標の実現性についての見通しが明らかでない。
 一方で、ボリュームコミュニケーションのための要素技術については、想定した目標をほぼ達成しつつあり、今後、実用的速度に高速化するなどして、連携企業と協力し、製品化標準化を推進することが期待される、との意見もあった。

 実施体制について
 産業界との連携企業が一社のみであり、実施体制が弱いように思える。

 研究成果の普及への取り組みについて
 特許出願やシンポジウムの開催など、研究成果の普及の取り組みは行われているものの、本研究の波及効果は、開発したソフトウェアの普及と標準化がなされる必要があり、そのためのプロセスを検討すべきである。

 人材育成について
 修士課程および博士課程の大学院生を研究開発に参加させ、通信分野、可視化分野等の専門家を育成しているが、更なる努力が望まれる。

 今後の進め方について
 目標達成の見通しが明らかでないことから、今後は、研究開発内容を有望な要素技術に重点化するとともに、産業界からの参画度を高め、要素技術の商品化や標準化を推進するべきである。

3 ITを活用した大規模システムの運用支援システムの構築
 達成目標について
 大規模システムの信頼性向上という課題は、一般性のある重要なテーマであると考えられる。目標設定にあたっては、得られる成果が大規模システムの運用支援システムの単なる構築ではなく、一般的な方法論の提示にまで発展させなければ不十分である。

 目標達成に向けた研究開発等の進捗状況
 現時点で、何が達成できたかが不明確であり、目立った成果も得られていない。また、題材である「ロケット打ち上げ運用支援システム」についても、システムの実現に必要なオントロジー辞書構築等の見通しが明らかでなく、達成目標の実現性には疑問がある。

 実施体制について
 ロケット打ち上げ運用を題材にしているにもかかわらず、適用現場とのすり合わせが不十分であり、実施体制として適切とはいえない。

 研究成果の普及への取り組みについて
 学会発表は極めて不足している。

 人材育成について
 人材育成に対する取り組みは不足している。

 今後の進め方について
 大規模システムの信頼性向上のための運用支援システムの構築という課題は、重要な目標であるが、題材としているシステムの適用現場との連携が不十分であり、中間時点でも特徴のある成果はほとんど得られていない。今後は、これまでの研究開発の成果を適切にとりまとめた上で、抜本的に達成目標や実施体制等を見直すべきである。

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