はじめに
ITプログラムは、新世紀重点研究創生プラン(RR2002)の一貫として文部科学省の下で平成14年度から開始された事業である。
平成13年3月に閣議決定された第2期の「科学技術基本計画」において、情報通信分野は、ライフサイエンス、ナノテクノロジー・材料、環境と並び、特に重点を置くべき分野とされた。
一方、平成13年1月には、高度情報通信ネットワーク社会形成基本法が制定され、高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部が設置されるとともに、我が国が5年以内(2005年まで)に世界最先端のIT国家となることを目標とした「e-Japan戦略」が決定され、平成13年3月には、そのアクションプランとなる「e-Japan重点計画」が決定された。
「e-Japan重点計画」においては、情報通信分野は技術が発展の原動力となる分野であるとの認識の下、横断的な課題として研究開発の推進が重要で、重点的に研究開発を進めていくべき分野として、ネットワーク高度化技術、高度コンピューティング技術、ヒューマンインターフェース技術、更にはこれらの技術を支える共通基盤となるデバイス技術、ソフトウェア技術等の高度情報通信ネットワーク社会の実現に必要な基盤技術の開発が挙げられている。
ITプログラムは、「e-Japan重点計画」を推進するため、総合科学技術会議が、平成13年7月に定めた、「平成14年度の科学技術に関する予算、人材等の資源配分の方針」を踏まえ、得られた成果の実用化、企業化までを目指し、平成14年度より開始された事業である。ITプログラムは、我が国が優位な技術(モバイル、光、デバイス技術等)を核とした情報通信技術の研究開発を行う『世界最先端IT国家実現重点研究開発プロジェクト』(6研究開発課題)、および、研究開発現場に超高速研究情報ネットワーク等の高機能ITを活用することにより、研究開発スタイルを変革し、新たな研究分野(融合研究領域等)を創出する研究情報基盤技術の開発・整備・実証を行う『「eサイエンス」実現プロジェクト』(3研究開発課題)の合計9研究開発課題を設定し、実施機関を公募して実施しているものである。
本報告は、ITプログラムが、開始より3年度目を迎えたことから、4年度目以降も継続予定の8研究開発課題について、「文部科学省における研究及び開発に関する評価指針」(平成14年6月文部科学大臣決定)等に基づく中間評価の結果として、今後の研究開発の推進等に反映していくためのものである。