第11期地球観測推進部会(第1回) 議事録

1.日時

令和5年9月26日(月曜日)15時00分~17時00分

2.場所

ハイブリッド開催(文部科学省東館17階17F1会議室及びリモート)

3.出席者

委員

中北部会長、原田部会長代理、市村委員、川辺委員、鈴木委員、竹内委員、筒井委員、前島委員、森田委員、矢野委員
 

文部科学省

坂本研究開発局長、清浦審議官(研究開発局担当)、山口環境エネルギー課長、澄川環境科学技術推進官、鈴木課長補佐、中川地球観測推進専門官

オブザーバー

内閣府 松田科学技術・イノベーション推進事務局参事官(統合戦略担当)

4.議事録

議題(1)部会長の選任、部会長代理の指名及び議事運営について(非公開)
科学技術・学術審議会令第6条第3項の規定により、部会に属する正委員の互選により、中北委員が部会長に選任されました。また、同第6条第5条の規定に基づき、原田委員が部会長代理に指名されました。
議事運営について、地球観測推進部会運営規則(案)を事務局より説明し、了承されました。
以降、運営規則第5条の規定に基づき公開します。
【中北部会長】 第11期地球観測推進部会の部会長に御推挙いただきました中北です。本日はお忙しい中お集まりいただきましてありがとうございます。これから司会進行を務めさせていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、第11期の部会の開催に当たりまして、事務局である文部科学省から御挨拶をいただきたいと思います。坂本研究開発局長、どうぞよろしくお願いいたします。
【坂本局長】 文部科学省研究開発局長の坂本です。このたびは、皆さま御多忙の中、第11期地球観測推進部会の委員をお引き受けいただき、また本日はキックオフとなる第1回部会に御出席くださいまして誠にありがとうございます。事務局を代表して、一言御挨拶を申し上げます。
 御案内のとおり、昨年に続き今年も、わが国をはじめ世界各地で夏の記録的な猛暑あるいは大雨などの異常気象が起こり、残念ながらこういった猛暑等は日常と化しつつあります。こうした気候変動の問題や防災・減災、また生物多様性の保全等への対応を進めていく上で、客観的・科学的なエビデンスとなる地球観測の役割は、ますます重要になっています。
 また、近年では観測データあるいは予測情報の基盤が相当程度蓄積をされ、整備されてきており、AI技術を掛け合わせることによって、現象の解明あるいは予測精度の向上が大幅に進むことが期待されております。前期の部会では、わが国における今後10年を見通した地球観測の方針を議論いただき、実施方針を策定しました。政府全体でも、「科学技術・イノベーション基本計画」や「統合イノベーション戦略」、さらに「地球温暖化対策計画」などにおいて、温室効果ガスの排出量の把握、あるいは将来予測の高度化に向けて、地球環境ビッグデータの蓄積・利活用の推進が掲げられているところです。
 本日は、本部会のこれまでの経緯や、地球観測に関する国際的な動向等について事務局から御説明をさせていただきつつ、委員の皆様から、地球観測の推進に関して、専門的観点はもとより幅広い視点から忌憚のない御意見を賜われればと存じます。本日は活発な御審議をいただきますよう、よろしくお願い申し上げます。
【中北部会長】 坂本局長、どうもありがとうございました。それでは、今度は11期の部会の委員の皆さま方から御挨拶をいただければと思います。本日、13名のうち10名の委員の御参加でございます。なお、矢野委員は後ほどオンラインで参加される予定と伺っております。それでは初めに私から御挨拶をさせていただき、次に原田部会長代理より、その後はこちらの会場に御参加の委員のお二人、それからオンラインの順ということで、委員を50音順に指名させていただければと思います。1人2分程度で御挨拶をいただければと思います。
 まず私ですけれども、改めまして京都大学の中北と申します。どうぞよろしくお願いいたします。私の専門は水文気象学ということで、もともと気象レーダーと豪雨ということで、卒論以来研究をしてきております。その途中30年ちょっと前ですが、僕が30になったぐらいの頃に、地球観測委員会というのが、RESTECが事務局でしたけれども、文科省の方が正式に参加する会議としてありまして、その中の水文部会のメンバーとして、参加さしていただいたのが地球観測の始まりです。
 その後いろんな現地観測もさせていただいていますが、一番大きいのはやっぱりその時出てきたTRMM、雨ですので、宇宙からの降水レーダーというのが日米で、日本が、今のNICTが開発されたやつがあって、それを利用させていただくのが宇宙の観測利用と、始めて。それからだんだん気候変動にも興味持ちまして。今は、文部科学省環境エネルギー課がリードしていただいている、2002年からの気候変動予測のプログラムをずっとさせていただいており、途中3期ほどは、防災関係の代表もさせていただきました。
 この部会は、知らない間にすでにもう3期務めさしていただいており、4期目になりますけれども、皆さんのお力をいただきまして、良い部会として進められればと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。 それでは、続きまして原田部会長代理から御挨拶いただければと思います。よろしくお願いします。
【原田部会長代理】 東京大学大気海洋研究所の原田尚美と申します。専門は生物地球化学で、地球観測は現場で、船で、非常に時空間的に限定された観測でこつこつと実施していくという手法の研究スタイルでございます。研究対象は極域海洋で、ここ最近は南極、南大洋を研究対象にしております。主に環境の変化に伴う海洋中の炭素循環の変動を研究しております。前期に引き続きまして務めさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
【中北部会長】どうぞよろしくお願いいたします。それでは、続きまして会場で御出席の委員からお願いしたいと思います。まず、筒井委員からお願いします。
【筒井委員】 筒井と申します。今期から初めて委員を務めさしていただきます。Marble Visionsという新しい会社におります。もともとNTTデータで地球観測のデータ利用のサービスを専門で行ってきまして、そこで新しい会社を立ち上げております。
 もともとは衛星データ利用のサービスでしたけれども、衛星のシステム開発からその運用、サービス展開までを垂直統合して社会システムへ実装する取り組みを今、加速して行っており、そういった観点も含めて、幅広い議論に参加さしていただければと思います。よろしくお願いいたします。
【中北部会長】 どうぞよろしくお願いいたします。続きまして前島委員、よろしくお願いいたします。
【前島委員】 前島と申します。JAXAで地球観測統括をしております。私は昨期から続けまして、今期もよろしくお願いすることになります。
 今、JAXAで地球観測をやっているのですけれども、JAXAは御存じのとおり衛星地球観測システムの研究開発をやっております。当然、地球観測システムということで、衛星から地上まで含めたトータルのシステムとして地球観測を推進しているわけなのですけれども、最近では今年6月にGOSAT-GWという名前の衛星を打ち上げました。これはグリーンハウスガスを測るセンサーと、水を測るAMSRというマイクロ波放射計を、センサーを搭載しております。今、初期機能確認中で、間もなく定常運用に移行できる見込みです。こういった新しいツールを使いまして、データの利用実証も盛んに進めておるというところです。
 特に今期は、重点的に取り組むべきテーマというものを設定いたしまして、そこでパートナーと一緒になって具体的な便益を設定し、その便益を実証していこう、実現していこうという取り組みを始めております。研究開発も進めるのですけれども、いよいよ具体的にそれを実現する、便益としてそれを成立させていくという新しいフェーズに入ったというふうに認識をしております。まさにこの会の取り組みと合致するところだと思いますので、引き続きよろしくお願いいたします。
【中北部会長】 どうぞよろしくお願いいたします。続きましてオンラインで御出席の委員の皆さまからお願いしたいと思います。まず市村委員、どうぞよろしくお願いいたします。
【市村委員】 東京大学地震研究所計算地球科学研究センターの市村と申します。本日はオンラインにて失礼いたします。今期から初めて参加させていただいております。
 専門ですが、計算科学と社会基盤学ということになっておりまして、端的には富岳の全機を使わないとできないような大規模データセットを用いた解析ですとか、データ処理を可能とする方向の研究開発を行ってきております。作った手法で、高詳細なデータを用いた非線形ダイナミクス、要は地震研におりますので地震の解析を行っていくというところです。衛星ですと、例えばSARデータを使った超並列ベイズ推定による地震の解析等もやっております。どうぞよろしくお願いいたします。
【中北部会長】 ありがとうございました。続きまして川辺委員、よろしくお願いいたします。
【川辺委員】 東京海洋大学の川辺みどりと申します。専門は沿岸域管理で、これまで沿岸域の資源環境の管理、特に漁業を巡る社会的な課題について研究してまいりました。地域社会において、漁業者、住民それから行政、研究者といった多様な主体が、どのように協働して、コンフリクトをおさめつつ、資源・環境の地域共同体に基づくコミュニティー・ベースド・マネジメントを実現しっていくのか、そしてそれによってどうやって持続可能な資源・環境の利用を進めていけるのかというところに関心を持っております。
 研究手法としては、主にステークホルダーの方々に現場でお話をお伺いする質的研究を中心に進めております。海洋環境に関しては、10年以上前からですけれども、現場の方々が「海が変わってきた」とおっしゃいます。けれども実際には科学的データを分かりやすい形で入手できないことも多く、データをどのように伝えれば分かりやすいのか、それを人々の行動とか管理、あるいは政策判断にどう結び付けていくかについて、まだまだ工夫できるのではないかと考えております。
 本会議の協議では、こうした視点を踏まえながら、議論に貢献できればと考えております。どうぞよろしくお願い申し上げます。
【中北部会長】 どうもありがとうございました。それでは、続きまして鈴木委員お願いいいたします。
【鈴木委員】 東京大学大気海洋研究所の鈴木と申します。専門は大気物理学という分野になるのですが、人工衛星からの観測データと、それから数値シミュレーションを組み合わせて、特に雲あるいは雨の気候との関わりについて研究を行っております。特に最近では、去年の5月に日本とヨーロッパが共同で打ち上げたEarthCAREという人工衛星にかなり深く関わった研究を行っておりまして、気候変動の問題に対して観測データから何が言えるかというところの研究を行っております。
 この部会に参加させていただくのは初めてになるのですが、私自身非常に皆さんから勉強させていただきながらになるとは思いますが、少しでも議論に貢献できるように努めていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
【中北部会長】 ありがとうございます。それでは、続きまして竹内委員お願いいたします。
【竹内委員】 大阪公立大学の竹内やよいと申します。専門は森林生態学、生物多様性科学で、特に日本・東南アジアにおける森林の生物多様性や時空間的変化に関する研究を行っています。海外では特にマレーシアが主なフィールドですが、DNAの現地調査、ドローン、リモートセンシングなどマルチスケールのモニタリング技術を用いまして、持続可能な森林管理の研究などに、今取り組んでいるところです。
 「地球観測」においては、前期のこの地球観測推進部会の部会長をされていた東京大学の村岡先生がリードされている、アジア太平洋地域の生物多様性観測ネットワーク、APBONや、日本の生物多様性観測ネットワークであるJBONの活動に関わっています。これらのネットワーク活動では、研究者だけではなく、政府や民間のステークホルダーと協力しながら、アジア・日本での生物多様性のモニタリングの推進を行っています。APBONでは、文部科学省がリードされていますAOGEOのタスクグループの一つとして、大変お世話になっているというところです。
 地球観測推進部会には初めて参加させていただきますが、多様な分野の委員の方々と協働して議論を深めたいですし、こちらでの議論をJBONやAPBONにもフィードバックしていきたいと思っているところです。どうぞよろしくお願いします。
【中北部会長】 どうぞよろしくお願いいたします。続きまして森田委員お願いいたします。
【森田委員】 慶應義塾大学経済学部の森田香菜子と申します。今回初めて参加させていただきます。私の専門は社会科学で、国際関係論や環境ガバナンス・ファイナンスといった分野を専門としています。特に気候変動とか生物多様性の政策やファイナンスを研究してきておりまして、IPCCの第6次、第7次評価報告書ではファイナンスに関する章のリードオーサーを務めております。生物多様性に関するアセスメントであるIPBESの社会変革アセスメントでもリードオーサーを務めておりました。社会科学の観点からこの地球観測をどう活用できるかというところで、何か貢献できればと思っております。よろしくお願いいたします。
【中北部会長】 どうもありがとうございます。皆さま方、御紹介どうもありがとうございました。
 それでは、次は議題(2)のほうに進みたいと思います。議題(2)は地球観測推進部会のこれまでの経緯についてということで、改めて皆さまと一緒に復習をさせていただければと思います。資料2に基づきまして、説明を事務局からお願いできればと思います。よろしくお願いします。
【中北部会長】 どうもありがとうございます。皆さま方、御紹介どうもありがとうございました。
 それでは、次は議題(2)のほうに進みたいと思います。議題(2)は地球観測推進部会のこれまでの経緯についてということで、改めて皆さまと一緒に復習をさせていただければと思います。資料2に基づきまして、説明を事務局からお願いできればと思います。よろしくお願いします。
【澄川推進官】 文科省の環境科学技術推進官の澄川と申します。資料2に基づいて御説明をさせていただければと思います。では、1枚めくりまして、地球観測推進部会のこれまでの活動というところを少し御説明、御紹介したいと思います。
 まず、本部会に関しましては、文科省に設置されている科学技術・学術審議会というところがございます。その下に研究計画・評価分科会という分科会がさらに設置をされております。その下にさまざまな分野別の委員会が設置されており、地球観測推進部会についてはそのうちの1つという位置付けになっています。
 その大きなミッションとしましては、その下、枠囲みにあります「地球観測の推進戦略」というものが、古くは平成16年、内閣府の総合科学技術会議(CSTI)で策定をされております。そういったところをトリガーとして、関係部署・機関の緊密な連携・調整の下で、地球観測の推進に関する重要事項、これに関する調査・審議を行うということが、この部会のミッションということになっています。
 では、具体的にどのようなことをするのかということで、主な活動というものを下に書かせていただいております。大きくは、まずは「今後10年の」と書いてあります、いわゆる10年間にわたる長期のわが国の地球観測の実施方針というものについて、御議論いただいておりました。こういった方針を策定するというのが1つ。これを策定すると、今度はこの方針に基づいて、毎年度どういうふうにやっていくのかという計画というものについても策定をさせていただいておりまして、この計画を取りまとめ、毎年それに関する活動をフォローしていくというようなことを行っています。
 その他、後ほどまた御説明させていただきますが、地球観測に関する政府間会合という国際枠組みがあり、こういったところでもさまざま地球観測に関する議論というのがありますが、そういうところの議論をフォローしていくとか、フィードバックをかけていくというようなことも、本部会を通じてこれまで行ってきたところであります。その他関係する提言等というものは、必要に応じて提言を出していくということが、本部会のこれまでの取り組みと、概略となってございます。
 次のページに参りまして、これまでの策定の流れ少し御紹介しますと、先ほど御説明しました10年の実施方針というものが、前期で言いますと平成27年の8月にまず策定をされておりました。その後、10年程度を目処とし5年の計画というふうな位置付けですので、令和2年に、5年たったところでいわゆるフォローアップ的な見直し、フォローアップ報告書というものを出しております。その後、SDGsなど政策提言的なものも令和5年に、前期の最終的な成果物としては、令和7年の1月に、今後10年の実施方針というものが、前期の地球観測推進部会の先生方の御議論をいただいた上でまとめられているところです。
 次のページに移りまして、第2期「今後10年の我が国の地球観測の実施方針」(令和7年1月)につきまして概略を御説明、御紹介をしたいと思います。10年程度先を見据えた5年程度の基本的な方針という位置付けになっていまして、そのポイントとなる主な内容としましては、これまで観測というところを当然議論してきたものですが、さらに今回の方針の中では、観測というのが一定程度達成されてきている中で、次は利活用を促進していくというところに重点が移行しております。
 このため、これを「地球インテリジェンス」とし、いわゆる観測したデータだけで終わらせるのではなく、それを利活用、課題解決、さまざまな問題解決まで至っていくという取り組みを、全体として「地球インテリジェンス」というふうにここで御説明しておりますが、こういったところまで創出をしていく、それが重要であるということが大きなポイントとして置かれております。
 その心としては、今御説明したようにデータ利活用みたいなところであり、そのために必要な基盤の整備や、データのバリューチェーンの整備、こういったところを進めていく。少し、右下に絵が小さく付てるのですが、要するに観測だけではなくて、そのデータを統合・分析し、評価・価値化、そうすると利活用に進む。利活用が進むと、今度はこういうデータが欲しいということで、観測のほうにも、次に観測でどういうものが必要であるという正のフィードバックがかかる。このサイクルを回していくことをトータルで取り組んでいくというのが、ここで打ち出された大きな流れというふうになっています。
 次のページ行きまして、これが最初の全体像となりまして、あとはだんだん細かくなりますが、わが国の基本的な考え方となります。実施方針の構成としましては、これまでの10年間として、観測というところをしっかり立ち上げていくところはおおむね達成というところではありますが、さらにそれを超えて、観測活動あるいはその利活用が進んだというのが次なる問題認識です。そのために、2ポツのところで、いわゆる公共セクターだけではなく、企業を含む多様なセクターというものが、この地球観測活動とその利活用というところにステークホルダーとして参加されるようになっているという状況を踏まえ、その利活用を促進する仕組みづくりというのが次の課題であろうというのが、当時検討した時に位置付けられています。
 その上で3ポツ、これからの地球観測の在り方というところで、最後の3つ目のポツになります。成果利活用を進めるためには、例えばデータを取り扱う市場の整備、情報の取り扱うルールの整備といったものと併せて、インフラの整備、あるいは人材育成、こういったところをしっかり取り組んでいくことが必要であるというふうにされています。
 また、次の3つ目の柱で、先ほどの利活用というところの、データバリューチェーンの実現に向けた取り組みの方向性というものも位置付けがなされています。こちらの中では、データバリューチェーンというのが、いわゆる、ここでいう例えば2つ目のポツで、企業等の地球観測データ等の具体的な利活用事例を一つでも多く創出していくというようなことですとか、それを支えるものとして、例えばこちらの、当課の事業でやっておりますが、DIASデータ統合・解析システム、こういったデータプラットフォームというものも、しっかりと維持管理、そしてその高度化ということを支えるものとしてしっかり進めていく。
 その上で2ポツ、最先端の科学技術イノベーションに基づく地球観測の利活用の促進ということも併せてしっかりやっていくことが必要であるということを言われております。最初のところにはAIで、AIを活用した検索向上といった、こういうこともありますし、このポツの下ほど4つ目であれば、気候予測モデルの高度化、これまでも随時やっておりますが、こういったものを着実に進めていくと。そして、最新のデータというものも継続的にしっかりと創出・提供していくということ。
 併せて3ポツに関しましては持続可能な地球観測ということで、当然、こういったものを支えるインフラの整備・高度化を着実に進める必要もありますし、これを支える人材の継続的な育成、こういったものも当然しっかりやっていかねばならない。
 あとは4ポツ、国際協力を通じたリーダーシップの発揮ということで、こちらは後ほどの説明資料にもありますが、地球観測に係る国際的な枠組みとして、例えばIPCCやGEO、こういったものがあります。こういったところにわが国のリーダーシップというものをしっかり発揮をしていくということが、この方針においてしっかり取り組みをなされるべきということがさまざま位置付けられているところでます。
 あとは最後、ローマ字数字の4.としまして、分野別の地球観測ということで、ここでは1~8までさまざま分野が指定されていますが、これは個別にやるということではなくて、重要分野を提示しつつも、それぞれの分野間の連携・統合の視点を持った上で、トータルで地球観測を実施していくべきというような形で、今後10年の地球観測の実施方針がまとめられているところです。
 御紹介は以上とさせていただきたいと思います。
【中北部会長】 ありがとうございました。それでは、皆さま方から御意見、御質問等あればお伺いしたいと思います。いかがでしょうか。今までの経緯の整理ということで、10年の計画、10年間の話ではあるのですが、5年ごとに見直しは図ってきているというところが一つポイントになるのというふうに思います。
 先ほど私が話した地球観測委員会っていうのが30年前できた時に、一番大きなパラダイムシフトが何だったかっていうと、その当時までは日本の場合、結構新たなセンサーの開発というのが主目的であって、ここに持続可能っていうのが最後にありましたけども、地球の状態の継続観測っていうのがまだ重視されていない中で、その継続観測というのを大切にしようと、予算の付き方も含めてそういうのが大事だというのが出てきました。CO2の観測でもそうですが、継続的に次の衛星を上げて、精度はより良くするということはありますけれども、地球温暖化の監視に貢献しているという感じですので、そこのとこが非常に大事だなというふうに思ったのを記憶しています。森田委員、よろしくお願いいたします。
【森田委員】 今回初めて参加させていただくのでお伺いしたいのですが、欧米などでは、IPCCやIPBESを見ていても、社会科学の研究が日本と比べて、こういう環境分野でも進んでいる印象があります。地球観測の分野でも、こういった社会科学の活用や、今の社会問題への適用の仕方といった議論が欧米でかなり進んでいるのではないかと思っております。そういったものと照らし合わせて、日本が遅れているというか、まだできていないことや、もうちょっと工夫が必要なところとか、これまでや今行われている欧米の研究プロジェクト、研究との違いなどというのは、何か調べられたり議論されたりしていたのでしょうか。
【中北部会長】 ありがとうございます。事務局から回答をお願いします。
【澄川推進官】 今、ぱっときれいに何かと対比してお答えが、私ができるわけではないのですが、少なくとも今の日本の中でここの推進が、十分に利活用のほうができているかというと、まだまだ課題があるというふうに思っております。
 先ほど御説明した、今われわれが実施しておりますDIASにおいては、利活用していただくところの対象のステークホルダーを増やすようなサービスを拡大したいとか、そういうことはやっております。あるいは環境省や他省庁と連携をして、企業の方と気候変動の取り組みをされている先生たちの対話の場を設置して話をするというような機会を作る取り組みについては、着手しているところです。
 おそらく御指摘いただいたような、欧米の先進的な事例と比べると、まだまだ取り組みをするところ、余地はたくさんあると思っておりますし、ちょうどこの期は今後10年の方向性が示されたばかりのところですので、今後、こういった場において、そういった取り組みについてのヒアリングですとか、資料紹介とか、それに関する御意見、御議論というものを深めながら、取り組みをしっかり立ち上げていけたらということを、今は考えています。
【中北部会長】 ありがとうございます。森田委員、よろしいですか。
【森田委員】 ありがとうございます。もしそういうものが、具体的に何か海外でこういうのが進んでいますというのがあると、具体的な話がこちらもインプットしやすいと思ったので、今後よろしくお願いします。
【中北部会長】 そうですね。社会科学への貢献ということも御質問の中には含んでいるということでよろしいでしょうか。
【森田委員】 実務だけではなく、社会科学とリンクさせた議論というのもあると思います。その辺りが、多分日本ではあまり行われていなかったと思いますので、もしそういうのが進んでいるのであれば知りたいと思いました。
【中北部会長】 貴重な意見ありがとうございます。これは事務局で調べてもらったらいいのではないかと思います。
【澄川推進官】 ありがとうございます。ぜひ先生の御知見をいただきながら、しっかり議論させていただきたいと思っていますので、今後ともよろしくお願いいたします。
【中北部会長】 非常に興味深い点、御質問いただきましてありがとうございました。他はいかがでしょうか。原田委員お願いいたします。
【原田委員】 ありがとうございます。地球観測が重要であるということを、わが国が持っている様々な基本計画や政策にもしっかりと反映させていく必要があると思います。今、第7期の科学技術・イノベーション基本計画が、案の段階で練られている最中かと思いますので、ここにもしっかりと、地球観測の重要性を打ち出していく必要があると思うのですが、この科技イノベーション計画に反映できるタイミングはありますか。
【中北部会長】 ありがとうございます。ここで言いたいことが出た時に反映できるタイミングって、まだ大丈夫ですかということも含めて、返答を事務局からお願いします。
【鈴木補佐】 今、科技基本計画、新しい計画は、内閣府の総合科学技術・イノベーション会議のほうで検討が進められていると承知をしております。もちろん政府内、文科省含めて、何をその中に入れていくのかというところをわれわれもインプットしているところでありまして、そこはコミュニケーションを取りながら進めていければと思います。
【原田部会長代理】 ぜひお願いいたします。ありがとうございます。
【中北部会長】 これも大事なポイントを御指摘、御質問いただきまして、どうもありがとうございます。それでは続きまして竹内委員、それから川辺委員も新たに手を挙げてくださっています。まず竹内委員、よろしくお願いいたします。
【竹内委員】 地球インテリジェンスについて、データバリューチェーンという、観測から末端の利活用まで含められていて、非常に野心的なお話だなと興味深く拝見しています。特に、利活用は、データの価値を高めるために非常に重要なところだなと思っていますし、この推進部会の委員に、民間の方も加わっているのは、利活用の部分の実践的な御意見を伺うためと想像しています。利活用は、この推進部会の目的の一つと理解していますが、「利活用をどう進めるか」「どう具体化していくか」だけでなく、「利活用されている成果を、どう評価するか」までが、推進部会の目的に入るのでしょうか。こちらが1点目の質問です。
 特に、DIASの名前が例として挙がっていました。DIASを起点として、例えばデータが分析・評価・価値化されて、最終的に利活用まで至るまでの流れについて、具体的な「グッドプラクティス」を提示することができれば、非常に有意義ではないかなと思いました。そのようなデータから利活用までの実践例の提示について、お考えがあればお聞かせいただきたいです。
【中北部会長】 ありがとうございます。では事務局から回答をお願いします。
【澄川推進官】では、事務局のほうから御説明させていただきます。御指摘いただいたところで、われわれが取り組んでいる例えば具体の事業でいいますと、DIASとか先端プロといった事業をやっています。いわゆる予算事業そのものとしての事業評価は、実は別のところで、例えばわれわれでいうと環境エネルギー委員会がありまして、そういったところで事業評価を行うことになっています。
 ただ、この部会におきましては、例えばDIASであればDIASの取り組みについて、まさにデータとその利用と評価した上での利活用につなげたグッドプラクティスを御紹介させていただいて、その取り組みについての御意見、御知見をいただくということで、われわれの事業、ひいてはデータバリューチェーンとか、そこのところに成果をつなげていくというところに結び付けていければということを考えております。今後そういった必要なものを御説明するとともに、御意見とか御議論をいただきたいと考えております。
【中北部会長】 ありがとうございます。DIASに関しては、私からもさらに強調する形で補足さしていただければと思います。こちら、環境エネルギー課で引っ張ってもらっている気候変動予測の5年ごとのプログラム、2002年以来のものの中で、将来予測の大アンサンブルデータというのを作って、それをDIASの中に置いて、今はもう民間も含めて、将来気候予測の情報というのが自由に使える形でなっています。
 特に、国交省が全国の百数河川の気候変動対応マスタープランの気候変動適応化に動いていて、三十数河川変更しています。そのための大事な資料をやはりDIASから、例えば国総研と呼ばれる国交省の研究機関が再解析した上で、2度上昇、例えば1割増しの雨に対して治水計画を立てるとか、かなり深い利用まで進んでいるというところもあります。まだまだ広い分野で使っていかれるというところも、期待されていると思っています。補足としてお話しさせていただきました。その他、御質問いかがでしょうか。
【竹内委員】 生物多様性のデータの利活用というのは、社会で今すごく求められているところです。一方で、現在のデータはまだまだ使いにくいという課題もあるので、ほかの分野での観測データの利活用の「グッドプラクティス」あるようであれば、参考にしたいと考えていました。今まさしく先生にご紹介ただいた事例が好例だと思ったところです。ありがとうございます。
【中北部会長】 ありがとうございます。そういう利用に関しても、どういうふうにしたらより一般、民間の方が利用できるかっていうところは、例えば気候変動の話だと環境省が一生懸命このプログラムと連携してやっています。気候変動に関しては結構いろんなことが、地球情報利用に関しては進んできているというとこではあります。ありがとうございます。またいろんな例あれば御紹介いただくようにできればと思います。
 それでは川辺委員、よろしくお願いいたします。
【川辺委員】 今の竹内委員の御発言とかなり重なるかと思うのですが、今期のこの地球観測推進部会は具体的にどういうことに取り組んでいくのかについて、少し疑問に思っております。
 前期に関しましては、第2期「今後10年の我が国の地球観測の実施方針」の策定にかなり焦点を当てていたと思うのですが、今回は5年目に中間評価が行われると伺いました。この部会としては、その中間評価に向けて、どのような取り組みを想定されているのか、事務局のお考えをお聞かせいただければと思います。
 また、方針のなかでさまざまな事項が挙げられているわけですが、その中で、竹内委員がおっしゃられたグッドプラクティスの紹介、あるいはグッドと言い難い事例に対して、どのような課題が存在し、どのような支援の仕組みが考えられるのかといった点を明らかにしていくことも重要ではないかと思います。
【中北部会長】 大事な意見ありがとうございます。事務局から回答をお願いいたします。
【澄川推進官】 ありがとうございます。今いただいたのが御回答になってしまうのですが、御指摘のとおり、まさに今後10年の実施方針が定められたところで、フォローアップとしては5年後ということになります。しばらくの間ちょっと間が空くというのは事実です。その上で、新しいこの方針に基づいて、新しく利活用部分というところを、バリューチェーンも含めて地球インテリジェンスを、実際にどういうものか実現をしていくというフェーズの入り口にあります。
 御指摘いただいたようにグッドプラクティスですとか、いろんな取り組みをこちらから今後、例えばヒアリングとかいう形でこういった場で御紹介をしつつ、そこに対する課題ですとか、どうすればいいのか、こうしたほうがいい、これもあったほうがいいというようなさまざまな御意見をいただくことによって、それの具体化というところをより図っていきたい。それが、例えば5年後とかになりますが、フォローアップの時には一定の形が見えてくるというような流れができたらということを期待しております。
今、これから始まる10年の形を作る入り口の重要なところにいると思っていますので、ぜひ今後ともさまざまな御知見・御意見いただけたらというふうに考えている次第でございます。よろしくお願いします。
【中北部会長】 ありがとうございます。新しいフェーズ、10年のスタートではあるのですが、今おっしゃっていただいたように、また5年後計画をリニューアルするということもありますので、今の10年計画の中の何かだけではなく、次の10年のためにも大事だとお気付きの点は、やはりどんどん御意見いただいて弾込めをしておくというのも、この11期の大事なところだとは思います。あんまりみんなで縛りを付けない、少し広い感じで、皆さまからフリーに御意見をいただくというのが大事だと思いますので、そちらの面も皆さま方、どうぞよろしくお願いいたします。
 今のも大変大事な御質問をいただきまして、ありがとうございました。それでは、市村委員からお手挙げていただいておりますので、御意見を伺いたいと思います。どうぞお願いいたします。
【市村委員】 データバリューチェーンという、その構想は非常に分かりやすくて、非常に意義深いものだというのはよく分かるのですけれども、これは、自立してデータバリューチェーンというのが出来上がるということを目標とされているのでしょうか。それとも、例えばどこかの国研が地球観測をやるようなデータ整備をするようなものをずっと持ち続けるということを考えられているのでしょうか。それによって出口のイメージが変わってくるような気がします。
【澄川推進官】 私の認識を正直にお話すれば、データバリューチェーンというところの概念はありますが、それをわが国においてどのような形で実現していくかというところは、まだ緒に就いたばかりというような認識を持っています。まさに、先ほど御説明したように例えば環境省とかとの枠組みで、企業の方との対話の場をつくっておりますが、実際に、ではどういう形でそれを実現していいかというのはまだこれからであると考えています。そういったこれからの試行錯誤の取り組みを御紹介させていただきたいと思いますし、それについて御意見いただくことで、逆に形作るような流れがつくれたらと考えています。
【市村委員】 分かりました。ありがとうございます。6ページに、今書かれいてるものっていうのが、例えば幾つかありますけれども、地球観測の実施方針ということで、観測のほうを下に書いてあるので、観測するものということでこういうふうに書かれているのはそうなのですけれども、実際データバリューチェーンを自律的なものとして考えるだとかっていうことになってくると、どういうようなものに使えるからこういうようなものを測るのだっていうことはやはり重要ですよね。
 実際の問題として、例えば衛星っていうのは、今いろんな科学技術政策のところに、キーワードの一つになっている。例えばSIPとか社会実装だとかを決めるところでも、衛星データの利活用をどういうふうにするかだとかっていうのはいろいろ議論されていると思うのですけれども、そういう観点で、例えば社会実装に近いようなところで行くと、こういうようなデータがこれぐらいの精度であってほしいだとかっていう、そういうニーズはすでにいろいろ出てきているかと思います。
 ですので、そういったようなものを、観測が主体なので観測のほうから見るのはいいのですけれども、ぜひそういうところと連携をして、出口のほうから見て、どういったものを観測すると、データバリューチェーンと変わらない、なるべく自律的なものになっていくのか、例えばニーズを満たすだとかっていうことになるかと思いますので、ぜひそういうようなところとの連携も考えながらやっていただけると、非常に面白くなるのではないかと思います。
【澄川推進官】 御指摘ありがとうございます。
【中北部会長】 貴重な御意見と思います。ありがとうございます。基本的に、先ほど私も言いましたように、単なるセンサーの開発だけが科学的に偉いんのではなく、やはりユーザーとして何を見たい、何を知りたいかというのに即して、センサー開発なり観測体制を整えて、データ提供を整えるというのも大事ですので、今のお話、市村委員からいただいた点は、まさしくその方向で非常に大事な御指摘いただいたと思います。ありがとうございました。
 それでは、議題の2に関してたくさん御質問・御意見いただきましてありがとうございました。
 続きまして議題3に入らせていただきます。地球観測等の国際的な動きについてということで、資料3-1と3-2に基づきまして、事務局から説明いただければと思います。よろしくお願いいたします。
【澄川推進官】 事務局のほうから、資料の3-1、3-2について御説明をさせていただきます。まず資料3-1について御説明します。先ほども少し話に出ていましたがGEOに関してになります。地球観測に関する政府間会合ということで、GEO(ジオ)と呼んでいます。
 1枚をめくっていただきまして、GEOの概要ということで。御承知の方も多いかもしれませんが、いわゆるGEOというのが、地球観測の国際連携による国際的な政府間のパートナーシップという位置付けで設置をされております。もともとの位置付けとしましては、全地球観測システムGEOSSを構築することということで、各国の衛星観測システムを一体的に運用することでデータを共有し、全地球的な観測システムを作ること。こういった枠組みを構築するところが、GEOの最初の立ち上げの動機になっています。2005年に設立、参加国からの拠出金により運営ということで、わが国からも一定の拠出金を拠出させていただいております。
 ここではSDGsですとか気候変動、防災・減災、都市の強靭化、こういった分野というものを位置付けた上で、GEOSSを活用したワークプログラム、こういったものを通してさまざまなグローバル課題の解決に貢献をするといった活動をしている枠組みとなります。
 また、直近の活動でお話ししますと、ここもいわゆる10年計画的なものを、戦略を作っておりまして、2026年以降のPost-2025 Strategyというものが、GEOSSのほうは少し早くて、もう23年の段階で、26年以降はこれで行こうという次の10年計画みたいなものがすでに採択をされています。ここの議論には日本のほうからも当然参画をさせていただいておりまして、これまでの観測部会の議論というものとフィードバックをかけることによって、こちらでも地球インテリジェンスの創出というものがコアとして位置付けられているところです。
 あとは、この資料の左下のほうにGEOのビジョン、ミッションというのがあります。その下のGEOSSとありますが、これが各国の複数の観測システム、それぞれ持っているものを組み合わせた地球観測システムということで、各国の地球観測データ、これを広範囲のユーザーに対して提供するポータルというものを運営しています。
 また、データを提供するだけではなくて、こういったデータを活用して、実際に課題解決につなげていくという取り組みをしておりまして、それが、下の段にありますワークプログラムといったものをさまざまなお題に対して企画をし、データを活用した課題解決の活動プロジェクト、こういったものを推進しているところでございます。
 参加国が現状ECを含む117カ国、参加機関は157機関ということで、世界的な枠組みとなっています。
 次のページに参りまして、地球観測推進部会の関係性、先ほども少し御説明しましたが、まず左側がGEOの歴史、これまでの大きなイベントを記載しています。もともとはG8エビアン・サミットが2003年に開催されました。この時に、いわゆる当時の小泉総理がおられた頃に、日本提案ということで、こういった枠組みの構想について話があり、2004年には東京で閣僚級会合をやりましょうということが決まりました。2004年の4月には、実は間があってもう第2回なのですけれども、この時に、いわゆるGEOSSをどう組んでいくのかという枠組みを示すようなフレームが採択をされ、翌年2005年には第3回の地球観測サミットで、いよいよGEOの設立が決まったというのが国際的な流れとなります。
 こういった一連の流れの時に、わが国におきましても内閣府総合科学技術会議、今のCSTIにおきまして「地球観測の推進戦略」というものが作られて、この観測部会がつくられた時のきっかけも、この推進戦略が基底になっています。その後、わが国のほうは今後10年の観測の実施方針を作り、それが10年たったところで、第2期の10年の方針を作るというような動きをしておりますし、左のほうのGEOのほうでも、GEOの戦略計画というものが、最初の10年がありまして、2026年以降の次のGEOの戦略というのも、もうすでに採択をされており、今後これに基づいて推進をしていくことになります。
 ただ、コンテンツとしては、その概念、コンセプトとしては、いずれも地球インテリジェンスの創出といったところが中核的なコンセプトとなっています。それぞれが、日本から推進部会の御意見をフィードバックもしますし、逆に国際での議論というものを部会のほうにフィードバックさせていただくことによって、ここを連関させながら議論を進めてきた歴史があります。
 次のページに参りまして、先ほど、2026年からの、次のGEOの次期戦略というのがもうすでに策定されていると御説明しましたが、こちらが、いわゆる地球インテリジェンスというものを普及させる、創出させるということが中核として位置付けられております。
 下のところでは、1.地球観測における国際的な公平性、やっぱり衛星を持てる国というのはそれほど多くありませんので、そういったものを共用できる枠組みというのは国際的にも非常に重要となります。それを、平等にリソースや機会を提供するということが1つ大事なポイントとしてありまして、その上で、これを観測データだけでなく、地球インテリジェンスということで、課題解決まで含めた全体として貢献をしていくということで、取り組みとしてはやはりこちらも地球観測データの利活用を重視するというのが方向性となっています。
 次のページに参りまして、最近、直近の会合的な動きでお話しますと、この春5月には、イタリアのローマでGlobal Forumというものが開催されました。いわゆるGEOの本会合となります。こういったところで、今後のGEOの戦略実施計画についてシェアして、それまでの取り組みの共有といったことがなされています。
 最後、もう1枚めくりまして、先ほどのローマで実施したものがGEOの全体の会合になりますが、これとは別に地域GEOというものありまして、アジア地域のGEOというところに、日本は参画をさせていただいております。こちらも毎年シンポジウム開催といった活動を行っており、この秋、10月には、タイ、バンコクにおきまして、アジア・オセアニア地域のGEOの活動に関するシンポジウムということで、これまでの取り組みや、さまざまなセッションをし、それぞれの活動をシェアするというようなことが、企画されています。まずは以上、GEOに関する御紹介となります。
 引き続いて資料3-2「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の概要と動向について」御紹介させていただきます。
 1枚めくりまして、気候変動に関する国際的枠組みということで、まず大きくは、右側ありますとおり、国連気候変動枠組条約(UNFCCC)があります。これに基づいて、国際的にはガバメンタルな条約がございまして、例えば昔は京都議定書ですし、現在ではパリ協定に基づいて、COPのような会議というのが気候変動の世界では毎年開催をされており、国際的にはこういったところで大きな動きが議論されているところです。
 ここに対して、いわゆる科学的根拠や知見、こういったもののインプットをする、こういった役割を担っているのが、左側にあります気候変動に関する政府間パネル(IPCC)というこちらの枠組みがあります。
 こちらの枠組みは、気候変動に関する科学的・技術的、あるいは社会経済学的見地から包括的な評価を実施するというフレームワークになっております。ここに、総会(195カ国・地域)が、その下に第1から3の作業部会、インベントリタスクフォースという大きく4つと、さらにワーキンググループをつくって、それぞれのところで科学的な評価と報告書をまとめるということをやっています。特に文科省におきましては、この第1作業部会で、自然科学的な根拠、こういったところの科学的知見に関する報告書というものを、随時これまでもまとめて提供しています。
 次のページになりまして、引き続きですけれども、IPCCの先ほど御説明した科学的知見ということで、随時報告書をまとめておりますが。例えば2021年ノーベル物理学賞を受賞された真鍋淑郎先生は、これの第1次あるいは第3次報告書の際の執筆者でもありますし、共同でノーベル賞を取られたハッセルマン博士も第2の評価報告書の作成に参画されたというようなことで、いわゆる、こういった分野の極めてトップの方々が執筆に関わられているということでます。現状でもこの執筆者というのは、各国政府や国際機関からのいわゆる推薦によって選ばれていくものですが、例年わが国からもかなり多くの先生方に執筆者として御参画をいただいているという状況となっています。
 めくりまして、先ほど委員のほうから御指摘もいただきましたが、今、第6次まで報告書が作られていて、次は第7次の報告書というものが検討されるというサイクルになっています。その中でも、ワーキンググループごとに少し時期が異なってくるのですが、例えば第1作業部会、科学的根拠に関しては、自然科学的根拠に関する報告書については、今、公表予定が2028年の5月ということになっております。わが国でもこういったとこにインプットをするため、先端プログラムやさまざまな研究プログラムを実施しており、成果を反映できればという取り組みを進めております。最終的に統合報告書の公表予定は、現状では2029年5月となっています。
 現状の最新版となる第6次評価報告書(AR6)に関しまして御紹介させていただきます。ワーキンググループ1では何がポイントかといいますと、いわゆる地球温暖化というのが、これまで起きている、起きていないというところが科学的に明らかになったことが一つポイントであったわけですが、AR6の時には、その地球温暖化というのが、人間の影響、人間活動の影響、これによって起きているということが疑う余地がないということを報告書としては今回初めて評価をしているところです。
 下のグラフを見ていただいても、左下のところで観測値というのが、ここ1850年~2020年ぐらいのところを見ると明らかに急に上がっているというのが私でも分かります。これが、いわゆる自然要因の推定値というものと、人間と自然要因を考慮した推定値を比較すると、明らかに後者のほうに推定値としては近しいであろうといったことも、比較した結果として、人間活動の影響がなければこういった観測値の説明が付かないであろうということが、大きなポイントして打ち出されています。
 では最後、これまでのAR6までに至る類似の報告書の簡単な概要を付けさせていただいております。以上、御紹介となります。
【中北部会長】 どうもありがとうございました。地球観測それから気候変動に関する政府間の取り組みについて御紹介をいただきました。御質問等ありましたらお伺いをしたいと思います。いかがでしょうか。
 この後議題4ということで、今回初めて、第11期の第1回ということで、もう少し自由討論をさせていただければと思っておりますが、まずは今御紹介いただいた資料3につきましてお伺いします。森田委員、どうぞよろしくお願いいたします。
【森田委員】 IPCCの話がありましたので、少し補足です。IPCCのワーキンググループ1をメインで今日お話しされていたと思うのですが、第7次評価報告書では、1回目の執筆者会合が、ワーキンググループ1、2、3合同で開催されますので、ワーキンググループ間の連携というのが、非常に今後大事になってくると思っています。
 私は社会科学の分野で、ワーキンググループ3に関わってきているのですが、第6次評価報告書の時も、ワーキンググループ1と何も関わりがないかというとそうではなく、例えば土地の分野とかですと、やはり自然科学的な根拠がちゃんと分かってないといろいろな政策決定やファイナンスなどの設計もできないわけなので、よりこの3つのワーキンググループの連携が必要になり、今後もっと連携が進められると思います。残念ながら日本国内ではそういった連携がまだ乏しいというふうに思っています。それが念頭にないと、IPCCへのインプットといっても少しずれてしまうかなと思います。
 あと、IPBESのほうも、今回私が関わったのは、かなり社会科学の研究者が入ったアセスメントでした。IPBESも以前は自然科学がメインだったと思うのですが、そういった大きな変化があるということも踏まえて、この地球観測の生かし方を議論する必要があると思います。
【中北部会長】 補足説明と貴重なコメントありがとうございます。国内のほうがまだ連携が進んでないのではないかということをいただきました。
【澄川推進官】 ありがとうございます。ワーキング1に意識が引きずられた説明をしてしまいました。もちろん御指摘のとおりで、連携は必要だという議論をこちらでもしております。まさにこういったところもしっかり進められたらと思っていますので、今後も御意見いただければと思っております。ありがとうございます。
【中北部会長】 森田委員、ありがとうございました。他はよろしいでしょうか。それでは議題4というので自由討論に移ります。大阪府の矢野委員が御参加いただきましたので2分程度の自己紹介をいただいてよろしいでしょうか。
【矢野委員】 皆さん、遅れて来てすいません。大阪府河川室の矢野と申します。皆さんよろしくお願いいたします。少し私のことを御紹介いたしますと、今日名簿見させていただいているのですが、行政の関係者は私だけということで、ちょっと私がこれまで何をしてきたかだけ、御紹介さしていただきます。
 私は平成7年に大阪府へ入庁いたしまして、そこからずっと、40歳ぐらいまで河川の工事であるとか計画をしておりました。40代からだいたい50代にかけて、ダムの工事なんかをやってまいりました。今現在は、大阪府の河川室の河川整備課というところで、大阪府の河川の全ての計画と、河川の工事の予算を管理しております。
 少し大阪府の御紹介をいたしますと、大阪府は、この気候変動の影響を踏まえた雨の増大がどうなるかというようなことを、国のほうも提言出されましたが、大阪府独自で、大阪府の流域に合ったような雨の降雨倍率も検討をしており、中北先生にも大阪府の審議会で委員となっていろいろ御助言をいただいた結果、やっているところです。
 今後は気候変動の影響を踏まえて、大阪府の河川の計画にどう位置付けていくのかというところを、今現在大阪府のほうでも考えておりますので、今回のこの部会のやっていることなんかを、われわれの実際の行政のほうに落とし込めていくとか、どういうふうに落とし込んでいくかとかいうようなところを、皆さんにも御助言いただければなと思っております。よろしくお願いいたします。
【中北部会長】 矢野委員、どうもありがとうございました。今までの議論のつながりにもなるような御意思を表明していただきました。どうもありがとうございました。それでは、全員そろいましたところで、本日最後の議題でございますが、今まで全体の中で御質問まだあるかもしれませんし、意見を言いたかったこと等もあると思いますので、少し自由討論という形で進めさしていただければと思います。だいたい20分程度、弱くらいで考えております。どうぞよろしくお願いいたします。どうぞ御随意にお手を挙げていただければと思います。
【筒井委員】 今日、民間から参加させていただいているのは私と思いますので、民間の視点も含めて思ったことを話させていただきます。御説明いただいたことですとかこれまでの経緯、それと、あと今後10年の方針というか方向性ですが、率直に民間の視点からもタイムリーというか、共感できるといいますか、現状をとらまえていて、課題感としてはすごく共感できるところと思いました。
 委員の先生からも御指摘ありましたが、これからの方向性の中の課題の対応として、グッドプラクティスや課題のあるプラクティスについて、一つのアクションとしてこの部会で見ていくということもありますが、実際ここに書かれているバリューチェーンは、絵にすると簡単ですが、ほんとにいろいろな課題が起きていまして、私自身も利用から始まって、まさにこのバリューチェーンを渡り歩いていくというか、今、全部をつなげようとしておりますが、その経験からも課題が大変良く分かるところです。
 一方で、IPCCについて先ほど御指摘もありましたが、一つのバリューチェーンと見ると、連携というお話もありましたが、ここに書かれている課題をこれから5年でどのように進めていくかという観点の具体的な進め方の一つがグッドプラクティスということかもしれませんが、他にはどういう進め方があるかなということを考えながら聞かしていただきました。
 私自身に今具体的な案があるわけではないですが、もう少し幾つかできることが、この部会でもあるのではという点を議論できればありがたいと思っております。今答えがない話で申し訳ありませんが、以上です。
【中北部会長】 いえいえ。ありがとうございます。バリューチェーンに関しては、いろんな、また事例も含めて紹介いただいたりしながら、新しい意見が出てきたり、そういうところを望まれているということでよろしいでしょうか。
【筒井委員】 そうですね。
【中北部会長】 ありがとうございます。事務局、よろしいですか。
【澄川推進官】 はい。ありがとうございます。
【中北部会長】 ありがとうございました。他はいかがでしょうか。前島委員、よろしくお願いします。
【前島委員】 1つ、話題提供になるかと思いますけれども、今、JAXA、例えばこの資料2の13ページに、先ほど御説明いただいたところに大きく図が描いてあって、非常に分かりやすいなと思って見ておりました。ちょっと、JAXAのことで恐縮なのですが、この左から観測、統合・分析、評価・価値化のここまで、われわれ、これを事業としてやっております。最後の利活用のところは皆さん使っていただくというところで、ここに少し分断があるわけなのですけれども、どのように利活用していただけるかというところで、まさにこれ、データからソリューション、インテリジェンスに変換するところであり、非常に重要なのだろうというふうに、われわれも考えているところです。
 今、われわれ、ここをどういうふうに使っていただけるソリューション、インテリジェンスを作れるかというところを昨今考えているところなのですが、1つキーワードとして出てきているのが、総合性というところです。
 われわれ、衛星の開発研究をやっているものですから、当然衛星のデータを使っていただきたいところなのですが、世の中には衛星データだけではなくていろいろ使えるデータはあるでしょう。地上のデータもありますし、それ以外にモデルもあるでしょうし、そういったところを全部組み合わせて、総合的にソリューション、インテリジェンスを作るべきであろうというような議論をしているところです。
 というところで、やはりバックキャストというのもキーワードになるかと思いますけれども、利活用、どのようなものが望まれているのか、課題はどのようなものがあるのか、それを解決するためにはどういうデータを組み合わせて、どういったソリューション、インテリジェンスが作れるのか。
 あとは、先ほどどなたか少し議論されていたところもありますが、どういったプラットフォーム、DIASもそうですが、どういったプラットフォームを作ればさらに利便性が高まって、ユーザーに届くのか、こういったところが必要になってくるのだろうという議論を、JAXAの中でしているところです。
【中北部会長】 ありがとうございます。最後の利活用と結び付けるのに、利活用からのバックキャストという議論というのが非常に重要だということでしょうか。その間に5年10年隔たりがあったとしても、それをちゃんと見とくというのが非常に大事、それに向かってまた観測、計画を考えていくと、技術も開発もさせると、そんな感じでしょうか。
【前島委員】 そのとおりです。
【中北部会長】 あと、プラットフォームの話も大事な点だと、ユーザーへの提供手段として大きなものでもありますということでしょうか。前島委員、ありがとうございました
それでは、鈴木委員、それから森田委員にお伺いしてよろしいでしょうか。
【鈴木委員】 多分1つ前の議題で質問すべきことだったかと思うのですが、地球インテリジェンスというのが何を表しているのかが、正直あまりはっきり理解できていないです。これはコンセプトを表しているのか、それとも何かもう少し具体的なシステムを想定したようなことを指しているのか、そのあたりはどのように考えたらよいでしょうか。つまり、少なくともコンセプトとしては、観測データだけではなくて、それをモデルや予測などと組み合わせて、ある意味より使えるデータにするとか、データからもっと意味のある情報を引き出したものというようなことかと思いました。それを実現するためのもう少し具体的なシステムとか、何か戦略ということを指しているのか、それとも、そこまで行かなくてもコンセプトぐらいのことを意味しているのか、その点はいかがでしょうか。
【中北部会長】 さきほど、前島委員から話していただいたのとも絡みますが、事務局から回答をお願いします。
【澄川推進官】 
資料でお見せしているとおりなのですが、地球インテリジェンスというのは、地球環境データをはじめとするデータの統合とモデル、予測、シナリオ分析を組み合わせたものとしていますが、その上で、課題解決に向けた政策判断、行動に必要な知識の提供までを含んでいるものということで、いわゆる、今の委員の御指摘で言うとコンセプトに当たるというふうに解しています。
 今まではGEOSSから始まって観測網を立ち上げるとか、観測というところから始まった動きが観測部会などでもメインのマターではあったと思うのですが、さらに、それだけではなくソリューションまでつなげていくというところまでを含めた、大きな広い概念、コンセプトとしての地球インテリジェンスというものであるというふうに理解をしています。
 その上で、今後こういった部会とかでは、まさに具体事例とかグッドプラクティス、これがいったい何なのかと言われれば例えばこういうことですというようなことを、少しでも具体的に、見える形にできたらよいのかなということをイメージしております。
【中北部会長】 ありがとうございます。いかがでしょうか。
【鈴木委員】 分かりました。ありがとうございます。
【中北部会長】 何か、今の話聞いていると、このミッションのとこにも書いていますが、社会に環境的課題というものがあって、環境に関してはやはり観測があります。フィールド観測もありますが、社会の観測というものがないのというのが、さきほどの社会科学的なことでも質問をいただいたのとつながるのだと思います。そのあたりについては、考えてみてもよいのではないかというところでしょうか。単なるリモセンという意味だけではなく、場としてのインテリジェンスをもたらす、あるいは対象の場、それ自体もまた非常に大事なとこではないかと思います。
【澄川推進官】 部会長と御相談をさせていただきながら議論を進めさせていただきたいと思っています。
【中北部会長】 何かそのようなコンセプトも出てきたら面白いと思いました。それでは、鈴木委員、どうもありがとうございました。続きまして森田委員、よろしくお願いいたします。
【森田委員】 データの整備などで、今後10年もまだやらなくてはいけないことがたくさんあるのだと思いますが、今後10年で、本当に問題解決に向けて、ちゃんと実務の観点からも取り組みを進めなくてはいけない状況で、あらゆるステークホルダーが、今、いろいろな環境対策を推進するために動き始めている中で、データの整備を待たずに使えるものはどんどん活用していく必要があるというふうに思っています。
 その中で、国際からローカルまでどのあたりでどのようなことに使えるのかということが、あまりまだよく分かっていません。例えばグローバルなレベルだと、企業とかは今、気候変動であっても生物多様性であっても、グローバルなサプライチェーンを見て、その影響が、国内に限らず他の国にどんな影響があるのかということも知って、それに対して対処してかなくてはいけない。国内のレベル、また自治体でもいろいろな取り組みが進んでいますが、その中でも活用できるようなものがあるのでしょうか。
 このデータ整備に時間がかかって大変だということはよく分かっているのですが、国際からローカル、どのレベルでどのようなことに使えるのかということがもう少し明確に分かってきて、もう使えるものはどんどん活用するべきではないかと思っています。
 もう1点は、分野別に気候変動、防災、生物多様性などいろいろな問題がありますが、実際に政策的な議論に関わっていて、これらの関係性、例えば再生可能エネルギーを導入するに当たって、それの生物多様性への影響であったりとか、本当にいろんな分野にまたがるシナジー、トレードオフの問題というものは、いろんな研究が進んでいる中で、そのあたりにもこういう地球観測のデータっていうのがどのぐらい活用できるのかというところにも、もっと議論が必要なのではないかなと思っています。
 正直なところを言うと、社会科学の人たちや実務の人たちというのは、対策をどんどん進めなくてはいけないので、データが少ない分野であっても、もういろいろ対応方法や対策を考えたり、制度も考えたりして、これから10年どんどん進めなくてはいけないと考えていると思います。10年後に出ましたということでは遅いと思うので、もう少しスケジュール感というか、どういうところでデータが活用できるかというのがもう少し分かると良い議論ができるかなと思います。
【中北部会長】 ありがとうございます。最初、グローバルからローカルの話をされましたが、基本的に、後の意見でもおっしゃっていただいたのは、結局はどういう情報がどういうスケールも含めてあるかという情報共有のシステムというか、プロセスみたいなのがしっかりされいてる必要があるという感じでしょうか。
 それを、情報共有ということなので、社会科学的な人でも生態系の人も、その掛け算をやろうとしている人も、どういうところの情報があって、何が欠けているか、あるいは少なくとも私がこうすべきだというための証拠として使えるものが、ひょっとして全体ではないけれど一部としてあるとか、何かそういうのが見えていくようにしたいというようなことでよろしいでしょうか。
【森田委員】 はい。その通りです。
【中北部会長】 ありがとうございます。大事な視点だと思いますので、そういうものもこの部会の中で少し整理するようなことはできますか。事務局で何か少し概念図みたいなものを作ってもらったりするのはありではないかと思いました。
【澄川推進官】 森田委員にもぜひ御相談させていただきながら、よろしくお願いいたします。
【中北部会長】 いいアイデア出していただきましてありがとうございます。 続きまして、市村委員、それから竹内委員というので、順番に行きたいと思います。まず市村委員、よろしくお願いいたします。
【市村委員】 今の話と関連付ける形で少しお話しさせていただきますと、先ほど出てきました資料2の13ページ目のところで、観測と分析、評価・価値化、利活用というものがあったと思うのですが、先ほど少しお話がありましたが、地球観測データというふうに言っても、地球上のデータというふうに見たら、もう何でもありになってしまうところがあるし、一方でリモセンだけなのですかという話になると、それはそれでというところがあるのかと思います。
 ただ、一方で手を広げ過ぎると大変なことになるところもあるので、この委員会として、推しとして考えている、こういうような地球観測データというのはいったいどういうようなもので、それがこの利活用というふうに考えた時に、マーケットとしてどういったものを考えられているのか。
 先ほど御質問させていただいたところに関連するところでもあるのですが、例えば民間が非常に欲しがるようなものであるとすると、そこのデータの多少整形とかがすごく大変だったとしても、非常に大きなマーケットがあるのだとすると、実装は進むでしょうし、というような市場原理がもともとあるわけです。一方で、ここで言っている気候変動だとかのデータセットの場合は、そういうのが比較的働きにくいようなものなので、公的なサポートでしっかり作っていったほうがいいですよねとか、そういうような議論が入ってくるであろうことは、それは想像に難くない。
市場、マーケットというふうに言ったとしてもいろんな意味のマーケットがあるかとは思うのですけれども、ここで中心として考えているデータと、それとどういったマーケットを想定しているのかというのを考えてみると、話としては非常に整理がしやすくなってくるのではないかなというふうに思うのですけれども、なかなかそういう簡単な話ではないのも分かるのですが、いかがでしょうか。
【中北部会長】 ありがとうございます。事務局、いかがでしょうか。
【澄川推進官】 これも御指摘のとおりだと思っています。地球観測といいますと、捉え方によってはいくらでも広がっていくようなマターだと思っています。ただ、逆をいえば、例えばわれわれDIAS事業でいえば、DIASで今収蔵しているデータの範囲が、まずこちらが一義的に御紹介するプラットフォームのデータです、となるのですけが、ではこれをもって全部でいいのかっていうところは当然あるとも思っています。
 例えば言えるのは、今われわれが取り組んでいるものを御紹介させていただきつつ、足りないところはそれを言っていただくという議論もありますし、その上で、何でもかんでもということではないと思っています。そこはまさに御議論の中で整理をさせていただきながら、じゃあマーケットでいえばこういうとこが有効であるといったら、そこにある程度フォーカスをするということもあるでしょうし、最終的には、ある程度の効能というものが期待できるような議論に持っていけたらということを、今考えております。
【中北部会長】 ありがとうございます。
【市村委員】 先ほどお見せいただいたリストからすると、必ずしも民間はあんま考えてないというような、そういうリストではないかと思うのですが、どちらかというと官庁のほうのいろいろなテーマを見ながら書かれてそうな感じに見えなくもないところがあるので、それはそれでいいところだと思います。
 ただ、逆に言うと、そっち側のほうで、マーケットとしてそういうところを考えているのだとすると、そういうところとどんな感じでやっていくだとかというのは、SIPも含めていろんなものが動いているかと思います。短期的にもそういうところと連携し、冒頭のほうでお話が出ていたと思うのですが、基本計画だとか、そういうところと連携していると思いますので、ぜひデータバリューチェーンを考える上で役に立ちそうだっていうところを具体化していただけると、非常に面白いと思います。私からは以上です。
【中北部会長】 ありがとうございます。
具体的なところも集めながら作っていけたらいいと思います。それから、先ほど観測とモデルのタイアップという話がありましたが、そこで出てくる出力も地球観測上大事。例えば気象の再解析情報ですが、あれはやはり、観測とモデルがあるからユーザーがものすごく使いやすい情報として出てくるのではないかと思います。そういうようなのも地球観測の中に入ってくるのかなというふうには思います。ユーザー側から見たら欲しくてたまらなかった情報を作ったという感じで、そういうようなのも一例だとは思います。
 ありがとうございました。それでは、竹内委員、それからあと川辺委員の順番にお伺いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
【竹内委員】 先ほど森田委員が言われていた、「どこにどれだけデータがあるのか」に関してですが、生物多様性や生態系分野において私たちがデータの棚卸の結果から、日本は非常に豊富にデータを有する国で、国際的に見ても、データの蓄積の点では高いと評価しています。というのも、多分過去10年20年ぐらいでオープンデータ化が非常に進んで、それはこの推進部会も推進されてきたことだと思いますが、それが功を奏し、公開されているデータが着実に増えてきています。一方で、データプラットフォームとしてはいろんな機関がそれぞれで運用していることがほとんどで、オープンデータのガイドライン、例えばFAIR原則に照らし合わせると、相互運用性の点はまだまだ十分ではなく、それが利活用に至らない理由の一つであると考えています。
 アジアを見てみると、アジアもオープンデータ化が進んでいる国もありますが、まだ手付かずの国もたくさんあります。公開までに至らない理由としては、実は観測データはあるのだけれども、流通していない非公開の文献にとどまっているとか、そもそも観測されていないとか、その国々によって異なる背景があるという現状があります。
 その点において、いただいた資料にも書いてありましたが、キャパシティービルディングを行って観測やオープンデータのリテラシーの向上はやっていく必要があると思っています。特に、日本がリーダーシップを取ることも重要です。地球観測部会では、地球観測コミュニティー自身の醸成も一つのスコープとして入れていただければと思っています。以上です。
【中北部会長】 ありがとうございます。データ等の情報のオープン化というところも大事ながら、キャパシティービルディングのほうも非常に大事だという、両方の御意見いただきました。ありがとうございます。竹内委員、どうもありがとうございました。続きまして川辺委員、それから原田委員という順番で行きたいと思います。よろしくお願いします。
【川辺委員】 この「地球インテリジェンス」や「バリューチェーン」といったお話は、前期にも伺ったように思うのですが、結局のところ、「社会」と言っても社会全体を対象とするのは難しく、どの「場」を対象とするのかというところが重要になるのかと思います。たとえば一つの都市や村落-漁村でも農村でもよいのですが-そのコミュニティーにおいて生じている問題をどのように解決し、どのようなソリューションを導き出していくのか。そうした場面で、このインテリジェンスが活用できるとよいのではと考えます。一つの場には多様な問題が複合的に存在しており、課題同士がトレードオフの関係にあったりもします。そのような時に、「何をすれば、どういう結果が生じるのか」という、複数のシナリオを提示し、地域の方々が地域に合ったソリューションを自分たちで選び取る、そのプロセスを支援するツールとして、地球インテリジェンスを考えていけるとよいのではないかと思っております。
【中北部会長】 なるほどね。面白いですね。
【川辺委員】 ぜひ、そういった事例も探っていただければと思っております。
【中北部会長】 ありがとうございます。利益相反のものが、この観測情報とかいろんな情報をうまく組み合わせることによって、掛け算の良さ、要するに一つ一つだと利益相反のものが、結果的には2つ一緒でよりハッピーになるような解が出てくる。そのように役立てられたらいいなという、そういう御意見と理解してよろしいでしょうか。
【川辺委員】 はい、そうですね。おまとめいただき、ありがとうございます。
【中北部会長】 川辺委員、どうもありがとうございました。続きまして原田委員、よろしくお願いいたします。
【原田部会長代理】 私のほうからは、現時点の「今後10年の我が国の地球観測の実施方針」にも書かれているのですが、引き続きしっかりと取り組んでいくべきと強調して、報告にまとめていっていただきたい点は、地球観測、現場のデータをしっかりと取るということに関してです。
 先ほど見せていただいた資料の13ページ目の、一番初めの部分ですが、地球観測を実施し、その後データをどう利活用していくかについて図式化されていたところで課題解決を志向した、地球観測インフラの長期的持続性の確保、非常に重要です。
 海洋の場合は、リモートで観測できる部分は海洋の表面しかないので、その下の数千メートルにわたる海水中に、無人でロボット型タイプの測器を入れ、地球観測、全球を観測する国際アルゴ計画があります。海洋の現場観測は、表層から深層までの観測が重要で、国際アルゴ計画が立ち上がった2000年代は日本が非常に大きな予算的な貢献をしました。今現在、全球で4,000台ぐらい稼働していて、この台数を維持することで、全球海洋の水深2,000メートルまでの水温・塩分・酸素濃度の監視観測が継続されています。
 さらに、海洋は、温暖化によって海洋熱波、線状降水帯の出現など大きな災害を今後もますますもたらす位置付けになっています。そんな中で、海洋観測のビッグスポンサーだった米国が、政権が変わることで、気候変動への取り組みが一気に後退してしまう状況が懸念されているので、日本は今まで以上に貢献が求められると思っています。
 もちろん、日本一か国だけでこういった監視観測、現場観測の取り組みを充実させていくことは難しいので、親日国、日本同様に自然災害の多い東南アジアの国々を巻き込みながら、国際連携・協調しながら現場のデータを取り続ける仕組みをどう維持させていくか、そういう議論も、今後も不可欠だと思います。従って、この11期でも、現場データを取り続ける仕組みの持続性に関して、国際協調、国際連携も含めて議論ができたら良いと思います。以上です。
【中北部会長】 どうもありがとうございます。リモセン観測だけじゃなくて、フィールド的な観測、それも常時観測に近いような観測体制、それもグローバルで、大事な点に関して進めて、あるいはキープしながら発展させるというところをもっとしっかりと訴える、あるいは具体的に提案していくべきである。特にアメリカが今あのような形になっていますので非常に困っている、衛星観測でも困っているところがたくさんあると思います。そのようなところに対して日本がイニシアチブを取りながら、アジアとの協働も含めてやっていくべきだという、御意見でした。ありがとうございます。
 この観測のところは、もともとこの地球観測の推進部会はリモセンだけじゃなくて、地球の直接観測も全部入っているということで、そこを改めて認識せよ、皆さん、というような形で今言っていただいたのだと思います。大事なお言葉としても、事務局のほう、キープいただきながら、また必要なところで情報共有していただければと思います。
 皆さん、すごく貴重な、改めて気付かされる点、あるいは再認識しとかないといけない点、しっかりと意見をいただきました。本当にありがとうございます。非常にいい感じで第11期の最初が始まったと思いますので、引き続きこの議論の場、それと同時に事務局から今まで御要望があったような、少し具体的な例とかも出していただいき、議論をスティミュレートしていただくということになればいいと思っています。
 以上で自由討論については、これで終わらしていただければと思います。どうも委員の皆さま方、ありがとうございました。予定されている議題は以上でございます。最後に事務局から連絡事項をお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
【中川専門官】 本日の公開部分の議事録につきましては、部会長と御相談の上で、後日事務局よりメールで委員の皆さまにお送りいたします。各委員に御確認いただいた後、文部科学省のホームページにて公開いたします。次回の会合につきましては、別途日程調整等の御連絡をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。事務局からの連絡事項は以上となります。
【中北部会長】 どうもありがとうございました。それでは、以上をもちまして第11期の地球観測推進部会第1回会合を閉じたいと思います。委員の皆さま方、活発な御意見、御議論をいただきまして、本当にありがとうございました。それから文科省の皆さまもお疲れさまでございました。本日はありがとうございました。
 
 
―― 了 ――
 

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