【資料1】大型放射光施設(SPring-8)及びX線自由電子レーザー施設(SACLA)中間評価(第2回)における議論の概要(案)

1.中間評価(第2回)における議論の概要

〇SPring-8、SACLA における利用成果の指標として、論文数やTOP10%、TOP1%論文割合が挙げられるが、これらに加え、産業利用における「成果の最大化」を評価するための効果的な指標を検討すべきではないか。


〇SPring-8 ビームラインの固定化を防止し、施設全体としてパフォーマンスを最大化することが重要。
共用、専用、理研ビームラインの種別を超えたビームラインの有効利用が可能となる仕組みを検討すべきではないか。
具体的には、専用ビームラインにおける共用ビームタイムの設定や、施設者による専用ビームラインの管理、一部整備(例えばビームラインの上流部分)、評価・入替えなどが考えられるのではないか。


〇専用ビームラインを含めたSPring-8 ビームラインの設置や改廃等の実施主体を明確化すべきではないか。


〇従前、産業界ユーザーの中心は企業の分析部門であったが、産業利用の目的やニーズは多様化している。
施設のシーズからニーズを探るのではなく、ニーズ主導型の支援の取組を検討すべきではないか。
産業利用を含めた利用促進の取組として、ユーザーのニーズに即した柔軟な利用料金の検討や、複雑化している課題申請の整理、複数のビームラインにおいて利用実験を行うためのビームタイム方式の導入などが考えられるのではないか。


〇潜在的な放射光利用ユーザーを開拓し、更なる利用促進を図ることが重要。
幅広いユーザーのニーズに応えるためには、施設のコーディネート機能を活性化する取組を検討すべきではないか。


〇施設のコーディネート機能の活性化が重要という議論がある一方、コーディネートの形態や体制、コーディネーターの役割を担う人材の評価やキャリアパスについて更なる議論が必要ではないか。
例えば形態について、施設と分析会社との連携により、放射光利用だけでなく、中性子利用など他の分析手法を含めたコーディネートを実施することなどが考えられるのではないか。

2.中間評価(第2回)後に寄せられた意見

○山田委員より


1)「世界最先端研究施設としての更なる飛躍」で指摘を受けた、SPring-8 のアップグレードにおける、我が国の放射光施設全体を俯瞰した整備計画の立案と、新しい利用者と既存の利用者とのバランスの考慮は必須で、その意味で理研・JASRI・SPRUC による三者会合の定期開催がスタートしたのは大きな前進。
近い将来には我が国の放射光施設全体を俯瞰すべき立場の放射光学会を加えた“四者会合”や、わが国の放射光施設全体の会合を可能な限り定期的に開催していくことが必要ではないか。


2)産業利用について小杉委員をはじめ何人かの委員が指摘されているように、「産業利用と学術利用に明確な区別はない」というのが、本委員会での共通した考え方だと思います。わが国の最先端研究施設の産業利用の割合が海外と比較して高い理由の一つは、海外では、産業界と学術界の共同利用という形態が多いためではないかとの意見が京の評価委員会で出されました。
わが国でもこのような共同研究はかなり行われており、学術界中心から産業界中心の共同研究まで幅広いスペクトルの共同研究があります。
このような共同研究を活性化するのに、尾嶋委員が指摘されたコーディネーター(コンシェルジェ)はどうあるべきかという点が重要で、現状のように各施設数名のコーディネーターだけでは質量ともに不十分です。現実の共同研究では共同研究者の誰かが実質的なコーディネーター役を務めています。
施設のコーディネーターには、これを補佐する役割が必要ですが数多くの共同研究に対して目配りが出来ていないのが現状ではないでしょうか。
施設の利用者協議会(SPring-8 ではSPRUC)にそのような機能を持たせることは可能か?


3)人材育成については、矢橋グループディレクターが重要な点を指摘されたと思います(発表資料※33 ページ)。
施設を支える人材育成は、キャリアパスと基盤施設としての組織づくりが必須で、このことは次世代放射光施設の運用組織の制度設計や、この(コメント1)に書いた、
我が国の放射光施設全体を俯瞰した整備計画(ハードだけでなくソフトや組織も含めての計画)の立案とも深く関連しています。


※事務局注釈:平成30年11月22日「大型放射光施設(SPring-8)及びX 線自由電子レーザー施設(SACLA)中間評価(第2回)」資料4-1

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