量子科学技術委員会 量子ビーム利用推進小委員会(第9期~)(第29回) 議事録

1.日時

平成31年2月5日(火曜日)13時00分~15時00分

2.場所

文部科学省 15階 科学技術・学術政策局会議室1

3.議題

  1. 中間評価報告書(案)について
  2. 中間評価結果(案)について
  3. その他

4.出席者

委員

雨宮委員、伊地知委員、内海委員、尾嶋委員、金子委員、岸本委員、田中委員、宮内委員、山田委員

文部科学省

勝野科学技術・学術総括官、奥研究開発基盤課量子研究推進室長、大榊研究開発基盤課量子研究推進室室長補佐

オブザーバー

理化学研究所放射光科学研究センター 石川センター長、理化学研究所放射光科学研究センター 矢橋グループディレクター、高輝度光科学研究センター 田中常務理事

5.議事録

【雨宮主査】 それでは、定刻になりましたので、第29回の量子ビーム利用推進小委員会を始めます。SPring-8、SACLAの中間評価では第6回ということになります。
本日は、ちょっと御欠席の先生が多くて、9名の出席になります。御欠席の委員は、石坂委員、石山委員、北見委員、小杉委員、近藤委員、高橋委員、高原委員です。
本日の会議は、いつものように運営規則に基づいて、公開という形で進めさせていただきます。
それでは、事務局より配付資料の確認をお願いします。
【大榊補佐】 本日もよろしくお願いいたします。
配付資料の確認をさせていただきます。お手元の資料を御確認ください。議事次第のとおり、資料1、資料2と参考資料をそれぞれ配付してございます。また、机上のドッチファイルには、前回までの中間評価の資料、また議事録、それから、前回SPring-8、XFELの評価結果、それぞれをとじてございます。なお、第5回の中間評価の議事録でございますが、まだ先生方に御確認を頂いてございませんので、議事録案という形でとじております。また先生方に御確認いただいた上で差し替えることといたします。もし資料に不備等ございましたら、事務局までお知らせください。
以上でございます。
【雨宮主査】 どうもありがとうございました。
それでは、議事に入りたいと思います。本日も、SPring-8、SACLAの中間評価です。昨年の10月から、これまで5回にわたってSPring-8、SACLAの中間評価を行ってきましたが、今回6回目で、今回で評価の取りまとめを行いたいと思っています。
今日、SPring-8、SACLAからは、理化学研究所の石川センター長、それから矢橋グループディレクター、それから高輝度光科学研究センターからは田中常務理事に御出席いただいております。
今回は、評価の取りまとめですので、SPring-8、SACLAの関係者の皆様には、基本的には議論に加わらないということで、事実関係などについてお答えいただく必要がある場合に、私が了解を得て発言をお願いしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
それでは、議題に入ります。事務局より資料の御説明をお願いいたします。
【大榊補佐】 資料1を御覧ください。前回素案として出させていただきました中間評価報告書でございますが、今回、案という形で中間評価報告書の形にして整理をさせていただいております。
目次のところは特に変更ございません。全体の構成を改めて申し上げますが、「はじめに」というのがございまして、位置付けを書いてございます。それから、SPring-8、SACLAのそれぞれの評価。前回の中間評価での主な指摘事項に対する対応と、SACLAについては、前回の事後評価での主な指摘事項への対応。それから、CSTPによる指摘事項への対応を参考として記載したところでございます。
その後、4ポツのところでございますが、今後の重点的な課題及び推進方策ということで、前回素案という形でお示ししたものについて、報告書の形式にまとめているものでございます。最後に「おわりに」ということで、まとめを書いております。
2と3につきましては、ほぼ前回までと同様の記載になってございまして、少し細かな文言の不備等あったものを修正してございます。簡単にお目通しを頂いて、必要があれば、ここの点についても御議論をいただければとは思いますが、主には4ポツのところ、(資料1の)15ページのところから少し御説明をさせていただきます。
今後の重点的な課題と推進方策の点については、前回の素案において、先生方からの御意見と、それから、これまでどういう点を議論するのか、それから、その内容についての先生方のこれまでの御意見という形で整理をしてございましたが、今回、報告書の形で整理をさせていただきました。大体項目の構成は変わってございませんが、SPring-8の発展、例えば4の(1)SPring-8、SACLAの政策的位置付けと発展の方向性のところを御覧いただきますと、SPring-8の発展の方向性という隅括弧をつけているもの、それから、その下の方に6行目、7行目あたりに、今後速やかに講ずべき取組ということで括弧書きをしているもの、2つに分けてございます。この構成が、ほかの項目でも同様に記載してございます。
SPring-8の発展の方向性、あるいは経営基盤の強化とか、項目の直下に書いている文章は、例えばSPring-8の発展の方向性でしたら、今後20年を見据えて、中長期的に考えるべきことであるとか、あるいは全体の方向性みたいなものを記載しており、括弧を付けた、今後速やかに講ずべき取組のところについては、今後5年後にまた同じように中間評価を行うということを見越しまして、この中間評価の際にどの部分を参照して評価を中心にするべきかと、そういう点を分かりやすくするために、箇条書の形で書いてございます。すなわち、5年後には、今後速やかに講ずべき取組のところを中心に評価をしていくということになりますので、御承知おきいただければと思います。
少し御説明をさせていただきますと、SPring-8の発展の方向性について、今後20年を過ぎて成熟期を迎えているSPring-8について、この政策的位置付けと施設・設備の高性能化といった発展の方向性というのを検討することが重要であるという指摘を頂いておりました。その上で、諸外国では高輝度の軟X線、硬X線を相互に利用するという状況ですので、我が国としても同様に、高輝度の軟X線、硬X線を相補的に利用する研究開発を支えていくことが求められる、としております。
その上で、今後速やかに講ずべき取組としまして、これはそれぞれ国と設置機関と切り分けをしてございますが、国は諸外国の放射光施設の整備状況、また我が国の研究開発基盤全体を俯瞰して、施設・設備の高度化、高性能化を含むSPring-8の位置付け・発展の方向性を検討するという付け出しをしているというものでございます。その上で、理化学研究所においては、施設・設備の高性能化、利用支援の在り方について、産学官のユーザーの意見を把握するということをやっていただくというのが良いのではないかという御意見をまとめたものでございます。
その上で、SPring-8の分析装置、周辺装置の設備の整備の在り方について、理研、ユーザーコミュニティの関係者間で議論を進めるとか、運営方針に反映するということも記載したところでございます。
SACLAでございますが、SPring-8とは状況が異なりまして、整備から7年程度ということもございますので、安定運営が可能な世界最先端のXFEL施設としての特徴を発展させて、他国のXFEL施設との差別化を図るということ。それから、利用環境、利用ニーズに応じたユーザー支援を行って、世界最先端の成果創出を実現できる研究開発基盤とするという目標を立ててございます。
その上で速やかに講ずべき取組として、SACLAの光源性能を最大限活用した研究開発を推進するということ。それから、SACLA独自の技術を活用して、最先端の計測技術を開発するというのと、同時に産学のユーザーに供することができる計測装置の汎用化に取り組むということを書いてございます。
SPring-8、SACLA共通の点でございますけれども(資料1の16ページ)、これはSACLA、SPring-8両方とも近接して立地しているという特長を生かした内容を書いてございまして、SPring-8、SACLAを相補利用した研究開発を推進すること。それから、国内の他施設に対する知見等の積極的な展開といったような、放射光科学全体の発展の支援ということを記載したものでございます。
少しかいつまんで御説明をさせていただきます。経営基盤の強化につきましては、今後速やかに講ずべき措置としまして、SPring-8、SACLAの安定的な運転時間、利用時間を確保するということ。それから、従来のピアレビューによる課題選定を経なくても、利用時間をユーザーが確保できるという柔軟な利用料金制度の導入であるとか、また、SPring-8、SACLAからの電子ビーム入射、支援体制の共通化といった取組により、運営費の効率化を継続的に進める。その際に、施設全体の運営改善に向けて、理研、JASRIの役割分担等について検討するといったことを書いてございます。
また、イノベーション・エコシステムのところでございますが、SPring-8とニュースバルの相補的な利用に向けて、兵庫県との連携・協力を推進するということ。また、兵庫県が整備している放射光ナノテク研究所の実験室や装置を活用したユーザー支援というのを検討するといったことを書かせていただきました。
また、国際連携・国際協力でございますが、ここは前回の指摘、素案のところにはございませんでしたけれども、委員会後に委員から御意見を頂いたものでございまして、海外施設との継続的な共同研究、情報交換、人材交流というのを推進するということ。それから、海外の研究機関に所属するユーザーの扱いについて、国内ユーザーとの利用時間のバランスというものに留意しながら、公平性・透明性の高い課題選定、ビームタイムの配分を行うということ。また、海外の研究機関に所属するユーザーが、成果専有利用、あるいは海外機関が利用する場合に、選定に当たって慎重な判断が求められる課題がある場合、ガイドラインを策定するべきということを記載したものでございます。
おめくりいただいて(資料1の)17ページでございます。研究成果の最大化というところでございますが、成果指標の検討についてはこれまでも議論がされてございまして、ユーザーに提供した利用時間自体であるとか、あるいは利用者へのアンケートを活用したいわゆる顧客満足度といったもの、こういった視点を導入するというのを検討してはどうかということが言われてございました。
また、オープンデータ・オープンアクセスの観点でございますが、ユーザーの意見、あるいは最先端の技術動向を踏まえて、適切なデータポリシーを策定するということ。それから、可用性の高いデータベースの構築、オープン化に向けた検討を進めるということを記載したところでございます。
SPring-8の方にいきまして、ビームラインの改廃と高度化の実現ということでございますが、ビームラインを再定義するということで、アウトプットの量、利用料収入の増を目指すビームライン、あるいは新しい研究領域等の拡大を目指すビームライン、また手法・技術基盤を開発するというビームライン、そういったような位置付けがあるというお話でございましたので、こういった位置付けの明確化を行うということ。それから、専用ビームラインの設置、改廃について、実効性のある評価を行う仕組みを取り入れてはどうかということ。それから、ビームラインの上部、下部を分けて、専用ビームラインを利用するユーザーというのが迅速、経済的に研究開発を開始できる仕組みを導入するといったような点が議論されたと承知しております。
それから、ビームラインの有効利用による研究成果の最大化のところでございます。共用・専用・理研ビームラインそれぞれ3ビームラインございますけれども、その種類を超えて、横断的にビームラインを利用できる共用枠、すなわち共用ビームタイムの導入を検討するということ。また、自動解析といった効率的な成果創出を支援するシステムを導入するというようなことを記載したところでございます(資料1の18ページ)。
(3)にいきまして、産学官共用による利用促進というところでございます。産学官の共用施設については、非常に闊達(かったつ)に御議論を頂いたところでございまして、速やかに講ずべき措置に、ほかの項目よりも多く記載をしているところでございますが、利用者本位の視点で、さらなる利用促進に向けて課題募集の時期、頻度、また産業利用の時間制限の緩和といったような運用方針を継続的に見直していくということ。それから、産・学・施設間の連携協力といったようなものとか、今あるSPRUC、あるいは利用者協議会といったようなものも、ユーザーコミュニティを有効活用する仕組みを導入するということ。それから、産学の情報交換、共同研究を推進するということで、講習会の開催時期、頻度といったようなものを見直して、充実を図る、メールインサービスを導入する、コーディネート機能を強化、充実して、コーディネーターの評価、またキャリアパスといったものについても見直しを図るということ。それから、これは御議論ございましたが、FSBLについての活動が好事例だということもございましたので、これを好事例として、利用者の拡大、人材育成など、産学官のモデルケースとして拡大していくということを検討してはどうかということで、記載をさせていただいたところでございます。
また、新たな利用領域の開拓、利用者の拡大のところでございます。新規ユーザーの取り込みについても、かなり御活発に議論を頂いたところでございまして、民間企業、新規ユーザーを取り込むために、利用経験の少ないユーザーに対して放射光の利用機会を与えられるようトライアルユースを設けるということ。それから、複数ビームラインの活用を支援するためのユーザー支援の拡充の検討であるとか、あるいは潜在的なユーザーの開拓に向けて、きちんとウェブサイト上で成果公開をしていく。あるいは、利用申請を行う際のユーザビリティの向上を行う。これらは地道な活動ではございますが、こういうところも記載したところでございます。
おめくりいただいて、(資料1の)19ページでございます。人材育成、国民理解の醸成というところでございますが、人材育成も多くの先生から御意見を頂いたところでございまして、今後速やかに講ずべき措置としましては、大学等におけるウェブセミナー、あるいは施設におけるプログラムなどを実施しまして、放射光を利用する人材や施設を支える人材、両方の育成に資する若手研究者・学生向けの取組を実施するということ。それから、これは国に対する指摘でございますが、SPring-8、SACLAなどの研究開発機関との連携によって、戦略的な人材の育成・確保・交流を検討するとか、また、施設の研究者・技術者のモチベーション維持ということでございまして、自身の研究、あるいは研鑽(けんさん)に充てる時間の確保できる環境の整備といったものを設けてはどうかという御議論がございました。
最後に、施設の広報、利用支援のための情報発信のところでございますが、今後速やかに講ずべき措置としまして、利用制度、利用支援に関する取組、成果に関する情報をウェブサイト、成果報告会等を通じて積極的に発信するとか、あるいはウェブサイトや見学会などを利用したアウトリーチ活動、成果発信によって広報活動を強化していくということを記載したところでございます。
「おわりに」のところ(資料1の20ページ)は今後のところをまとめているものでございますが、今後の評価の方針について記載をしております。今後の重点的な課題、推進方策について、適時・適切なフォローアップを行うこととして、おおむね5年後を目安に、中間評価について示された今後速やかに講ずべき取組について、進捗状況を評価することが適当であるとしてございます。一方、必要に応じて適時適切なフォローアップもしていくという2段階を設けているということでございますので、そこも御議論いただければと思っております。
続きまして、中間評価結果を御覧いただければと思います。資料2を御覧いただければと思います。
取りまとめていただく報告書自体は小委員会名になります、中間評価については、最終的には研究計画・評価分科会、この親会の更に親会のところで決定をするものでございまして、そのための様式になってございます。
おめくりいただきますと、委員会の名簿(資料2の1ページ)と、SPring-8、SACLAの参考資料として、それぞれの概要(資料2の2ページ)と、中間評価票(資料2の3ページ~8ページ)という形で構成されてございます。この評価票について、親会、またもう一つ上の研究計画・評価分科会で議論をするということになってございまして、この中間評価票の中身を少し御説明させていただきます。
課題名と書いてございますが(資料2の3ページ)、これは中間評価という扱いで、過去20年、中間評価を随時5年ごとにやってきているという状況でして、今回はSPring-8、SACLAをまとめて評価するということになったわけです。この課題の進捗状況というところについては、前回の中間評価の指摘事項に対する対応ということを書いているものでございます。
中身は報告書に書いてある内容とほぼ同じ内容で、少し語尾が変わっておりますけれども、基本的には同じものを転記しおります。(資料2の)3ページ目の中段以降から5ページ目の後半のところまでの内容については、SPring-8、SACLA、それからCSTPによる評価、それぞれの中間評価、又は事後評価についての評価対応ということを、そのまま転記しております。
(資料2の)5ページ目の下、各観点の再評価というところで、研究計画・評価分科会の様式として、必要性、有効性、効率性というのを書くことにしてございますので、ここを記載したものでございます。
必要性については、これは皆さん御承知のとおりでございますが、産学官の利用者の幅広い利用に供しているということで、学術研究、産業利用において高い革新的な成果を継続して生み出していくため、科学的・社会的・経済的意義が大きいということで、国費投入の意義は変わらないと書いてございます。
おめくりいただいて(資料2の)6ページのところに有効性を書いてございます。有効性についても似通ってはございますが、SPring-8、SACLAで、施設の特長を生かした研究開発、領域開拓という取組が行われていて、新しい知の創出基盤となっているということ。また、基礎研究だけでなく製品開発のツールとしても使われていて、社会実装に向けた利用支援が行われているということで、ここについても有効性があると評価したものでございます。
最後、効率性のところでございますけれども、SPring-8、SACLAの整備・運用主体である理研は、JASRI、SPRUCと適切に連携していて、運用の共通化をはじめとした、効率的・効果的な施設運営を行っているということで、効率性があると記載したものでございます。
この(資料2の)6ページ目中段のところに、今後の研究開発の方向性というのがございまして、本課題を継続、中止、方向転換のいずれかに丸をつけるという様式になってございますので、ほかの2つを選び難いところではございますが、御審議を頂いて、まず事務局案としては継続に丸を付けさせていただいてございます。その上で、引き続き学術・産業の幅広い研究分野において、多くの利用と研究成果が創出されているということや、我が国の科学技術イノベーション政策における重要な研究開発基盤として、引き続き利用を行っていくことが重要である、とまとめてございます。以降の点については、今後の重点的な課題、推進方策からそのまま転記をしているものでございます。8ページの終わりのところに、その他と書いてございますが、従来はSPring-8、SACLA個別に評価をしてございましたが、今回まとめて評価をしますという旨を記載したもので、事務的な内容になっているということでございます。
今申し上げましたとおり、ほぼ報告書からの転記をしてございますので、もし何か報告書の方で御意見が出て修正があれば、適切に中間評価結果の方に反映するという形にしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
【雨宮主査】 どうもありがとうございました。資料1、資料2について説明していただいたわけです。議題の(1)が資料1について、(2)が資料2についてということなのですが、今説明がありましたように、資料2というのは、この委員会の上にある量子科学技術委員会、更にその上にある研究計画・評価分科会というところにどういう形で出ていくかというフォーマットの提示です。具体的に今回、ここで議論するのは、(1)、具体的には資料1の中身の精査ということになります。そこで精査されれば、それが資料2に反映されるということになると、今御説明があったとおりです。
それで、これから今日はこの資料1について、この報告書案の案が取れるところまで議論したいと思っています。今、事務局から説明がありましたけれども、資料1の報告書の4の今後の重点的な課題及び推進方策について、音読しながら説明があったわけで、5年後の評価に向けて、この中間評価の項目が分かりやすいようにという形で、丸という形で箇条書にされています。
それで今日の議論ですが、この丸は、基本的にはこの委員会で出された意見を要約しているということなのですが、その中で何か漏れがないかどうか。もうちょっと丸として新たな項目をつける必要があるかどうか。若しくは、場合によってはこの丸のついている中で、意見は言ったけど、5年後に評価する項目として、丸を立てるには及ばないよという項目もあるかもしれない。あと、場合によってはその中間で、ちょっと文言を改定して、ここはスペシフィックな文言になっていて縛りになり過ぎるよとか、若しくは逆に、ちょっと抽象的でここで何を評価しているのか分からないような表現になっているよという場合もあるかと思います。
それとあともう一つ大切な点は、最後の「おわりに」というところだと思っています。というのは、丸のところは5年後の評価に向けて、こういうフォーマットで評価しやすいようにということでやっているので、ある程度縛りがあるわけですね。しかしよく考えてみると、このSPring-8は20年を過ぎてといって、今後の20年に向かってと、もうちょっとパースペクティブなことも言っているわけで、何か丸の項目だけで何か完結しているというのは、非常に近視眼的な報告書にもなるわけです。だから、縛られない程度に物をパースペクティブにいうというところで、終わりをどういうふうに記述するかということは、我々の見識が問われるところなので、ちょっとその辺のことが私は課題なのだろうと思っていますので、あとはフリーディスカッションでお願いします。
【尾嶋委員】 ではよろしいですか。今後、速やかに講ずべき取組というのを別な項目で分けていただいたのは非常に分かりやすいと思います。それで、5年ごとに中間評価をやっておられるわけで、5年前もやはり同じように速やかに講ずべき取組を示されたのでしょうか。今回新たな試み?
【大榊補佐】 新たな試みというのは……。
【尾嶋委員】 要するに、5年後の中間評価のときに見るよという項目を分けられたのは今回初めて?
【大榊補佐】 そうです。前回の中間評価を見ておりますと、前回の中間評価は発展の方向性で記載した内容と、今後速やかに講ずべき取組とを、一緒にまとめて文書で書いているため、今回はそこを引き出して、前回中間評価での指摘事項に書き込んでいるところでございますので、ある意味では新しい取組かもしれません。
【尾嶋委員】 だから、そこのところを5年後にちゃんと評価すれば良いわけで、これは非常に良い方向だと思うのですね。そこでお聞きしたいのは、例えば(資料1の)15ページの真ん中辺に、今後速やかに講ずべき取組で、「国は」と書いてあるのですね。国は検討する。それから、(資料1の)19ページの真ん中辺にも、国はロードマップを検討するという。理研はといったら理研は考えていただけると思うのですけれども、国はというと、では誰が考えるか。この委員会でやるのですか……。
【雨宮主査】 我々は要するに、理研に物を言う、JASRIに物を言うと同時に、国というか行政に物を言う委員会で。委員会で、いろいろな意見が出てきたわけですよ。その意見を取りまとめるとこういう意見があったということの理解だと思いますけれども。
【尾嶋委員】 つまり、5年後の中間評価のときに……。
【雨宮主査】 そうかそうか、そのときに評価されるのは……。
【尾嶋委員】 評価されるのは国ですかということです。
【雨宮主査】 そうか、そういうことですね。
【大榊補佐】 事務局からよろしいですか。先生が御指摘のように、「国は」と主語を書いているものが2つございまして、人材育成のロードマップの話と、全体俯瞰の話でございます。これは5年後の評価の際には、国側がきちんとやりましたよというのを、ある意味では示さなきゃいけないものでございます。
【尾嶋委員】 ちゃんと出されるわけですね。
【大榊補佐】 はい、国に対しての付け出しでございます。というのも、この委員会自体の建て付けは、国側からお願いを差し上げて、こういった取組を評価するというもので、その評価対象には、理研と関係機関だけでなくて、国も対象になっているということでございまして、国に対する付け出しだと御理解いただければと思います。
【尾嶋委員】 それと、ちょっと細かいのですが、(資料1の)16ページの今後速やかに講ずべき取組のところに、「着実な予算措置及び運営費の効率化により、SPring-8、SACLAの安定的な運転時間」と書いてあるのですけれども、むしろ安定的よりも6,000時間を目指すとか、ユーザーの要望はもっとビームタイムを、という方向にあります、次世代も6,000時間ということを言っていますので。安定的な運転時間かつ運転時間の増加とか。
【雨宮主査】 そこが議論なのですよ。抽象的過ぎても意味がないし、具体的過ぎるとそれが縛りになってというところで、そこをどうするかという。
【尾嶋委員】 平成25年から見たらすごいよくなっているわけですよね。だから、もうこれで良いよというふうに捉えられてしまうのか。
【雨宮主査】 確かに安定的な……。そうですね。安定的なというのは、少ない時間で安定していても良いという話になってしまいますね、これだったら。安定的なというとね。だから、ちょっと曖昧といえば曖昧ですね。ちょっと現況の数値について、JASRIの矢橋さんから、データはどうなっていましたっけ。
【矢橋先生】 現状、5,200時間です。
【尾嶋委員】 5,232時間、平成29年度は。(資料1の)6ページ。
【雨宮主査】 そうすると、そこの文言をどうするか、ちょっと御議論いただければ。
【大榊補佐】 参考でございますが、前回の中間評価、平成25年時点の中間評価では、年間運転時間5,500時間以上を実現するための取組を推進することが望まれると書いてございます。
【尾嶋委員】 6,000と言ってしまうと、ちょっと首を絞めることになってしまいますか。
【奥室長】 運転時間は予算の制約をかなり受けるので、予算が毎年度変わり得る中で、運転時間の目安というのをここで掲げるのが適当かどうかという議論はあると思います。そこは先生方に御議論いただければと思います。なので、あえてここでは具体的な数値は記載しておりません。
【雨宮主査】 「安定的な」の前に、もうちょっと1つ形容詞ぐらいが欲しいですね、数値ではなくても。
【宮内委員】 直截(ちょくせつ)的に、より長時間の運転時間を実現するという話でも良いのではないかと思います。多分具体的に個々にやると、理研になるのかどこになるのか分かりませんが、年度の計画の中で具体化した時間というのは出していかざるを得ないのだろうと思うのですね。ですから、ここで余り具体化した数字を出してしまうと、余りにも縛り過ぎてしまうという関係があるのかも分からないなという感じがするのですけれども。
【尾嶋委員】 そうですね。
【雨宮主査】 ほかに意見。田中さん、何かありますか。
【田中委員】 現状、予算要求しているのは、そういう意味では5,500という目標値あたりになっているのですか。
【大榊補佐】 予算要求の観点なので事務局からよろしいですか。今、昨年度の概算要求は、つまり今年度要求分の予算要求は6,000時間で要求してございました。来年度予算要求についても、同じように上限マックスを目指して要求をしてございました。6,000時間を目指した要求をしております。
【田中委員】 それはそう要求するのだけれども、来た予算に応じて、実際できるところまでやるという、そういうことなら、そんなにおかしくないと思いますね。
【雨宮主査】 例えば1つ、SPring-8、SACLAのこれまでどおりの安定的なって、要するにマイナスになることは、これまでどおりという定性的なものであれば、どうでしょうか、数値が入るのは。安定的という言葉だけだと、本当にちょっと足りないかなという気もしますけれども。でも、どうでしょうか。尾嶋先生、この議論は今どういう立場で。
【尾嶋委員】 だから、6,000時間要求されているわけなので、6,000という数字がもう出ているのだったら、6,000で書いても良いのかなというふうに、今思ったのですけれども。それを目指して。
【宮内委員】 ここの思いは、6,000ではなくてもっと多くのという思いは入っているのですか。
【大榊補佐】 施設の最大能力が恐らく6,000程度でございます。
【宮内委員】 ということは、目指しているのですね。
【尾嶋委員】 目指している。
【奥室長】 それを次回の中間評価で評価する際に、6,000時間で目標を立てたのに、実際は予算の制約で5,200時間しか動かなかった、ということだと、評価としてはマイナスになりますよね。
【尾嶋委員】 でも、前回は5,500というふうに書いてあって、現実は5,232時間ですよね。それはまずいのですかね、やっぱり。
【奥室長】 本来的には評価でSABCをつけるのであれば、余りよろしいことではないかもしれません。
【尾嶋委員】 そうであれば、数字にこだわりません。
【雨宮主査】 でも、この運転時間、利用時間というのは非常に重要なことなので、ちょっとどうするか。
【金子委員】 よろしいですか。先日、SPring-8を見学させていただいたときに、田中委員の方から、すごい効率化して、費用を減らすことができますという提案を今考えていますという話があったのですけれども、技術的な進歩とともにそういうことができるとするのであれば、同じ予算でもより長い時間運転できるようになりますみたいな、そういうニュアンスの書き方は駄目なのでしょうか。ただ単に事務的なところで節約しますとかというそういうことではなくて、技術開発によって、もっと同じ予算の中で多くの時間が使えるようになるという方が、何となく目指す方向ではないかなというふうに思うのですけれども。
【宮内委員】 これ、5年後の話でいうと、一般的にはキャパシティが全く変わらないということを前提にした議論ではなくて、キャパシティが変わるということも含めた議論になってしかるべきなのだろうというふうに思うのですね。そうすると、先ほど言われた6,000時間というのが、今の現有勢力でリミットかもしれないけれども、今言われたように、技術革新等を伴わない、ないしは施設の設備が効率化を可能にしていくというようなことも考えると、6,000を超えて動かすことが可能な状況がそれなりに見込めるのであれば、6,000時間は6,000時間で今目指してというのでも一向にかまわない。ただ、予算の関係でというのは、評価のときにその隘路(あいろ)をどういうふうに評価するのかというのは、評価の世界の話なのではないかなという気がするのですけれどもね。
【田中委員】 良いでしょうか。今、運転時間に議論がフォーカスされていますけれども、もちろん運転時間を増やすということも1つ重要な点だとは思いますが、高度化とか施設の性能を上げるという側面は、そういう量的なところ以外にもあります。同じ時間でも、もっと効率的にデータが出れば、実は時間が同じでも成果は増える。しかも、例えばビームラインの性能が上がると、今までできなかったことができるとか、運転時間で評価するというのも1つの指標ですが、それが全てではない。施設の努力というか、高度化の実態を評価していただくには、先ほど金子委員が言われた技術的な進歩であったり、実験の効率化であったり、利用のしやすさですとか、成果に結びつくいろいろな軸で評価されるべきだと思います。余り運転時間幾つというのにこだわらなくても良いのかなというふうに思うのですけれども。雨宮先生、いかがですか。
【雨宮主査】 そうですね、でも前回に数値が入っているわけですよね。
【大榊補佐】 前回も入っています。
【雨宮主査】 だから、何時間って何々程度の安定がというような形で、何ていうのか、5年後ここの委員が誰もいなくて、安定な時間って何時間ぐらいやって評価したのということになると、何時間程度という程度のが入っていても。入っていた方が良いのではないかなと。だから、強い縛りにならない程度にあって良い、程度というのはどうですか、奥室長。
行政の立場から見れば、予算の項目で微妙な問題があるので、そこが下振れしたらマイナスの評価になるとかっていろいろなあれはあるのだけど、程度という形で、少し幅を持たせるのであればということですが、どうですか。
【奥室長】 おっしゃるとおりです。
【雨宮主査】 案としては、さっき私はこれまでどおりのと、数字を入れないのもあると言いましたけど、何々程度のという形で、有効数字1桁ぐらいにしておけば。
【奥室長】 直近の平均運転時間というのはあると思います。
【雨宮主査】 ああ、直近の?
【奥室長】 平均運転時間。
【雨宮主査】 時間の?
【奥室長】 程度ですね。
【雨宮主査】 ああ、そういうことですね。これまでどおりの直近の運転時間程度のという。
【奥室長】 直近の平均の運転時間程度。それだと5,200時間ぐらいですかね。
【宮内委員】 それはちょっと日本語としても、目指すという話にはならない。
【奥室長】 以上とするとか。
【雨宮主査】 を確保するということですから。
【岸本委員】 これまで以上のとか、何かそういう感覚ですよね。
【雨宮主査】 では、SPring-8、SACLAの安定的な運転時間、利用時間を、これまで以上……。
【岸本委員】 安定的なこれまで以上の運転時間、利用時間とか。
【雨宮主査】 安定的なこれまでどおり、以上のと。
【尾嶋委員】 「どおり」は要らないのではないですか。
【雨宮主査】 ああ、これまで以上のね。はい。安定的なこれまで以上のこれを確保すると。先ほど金子さんがおっしゃった、技術革新とか技術開発という言葉も入れた方が僕は良いと思うので。着実な予算措置及び運営費の効率化、技術開発、技術革新かな、等によりという。
【尾嶋委員】 入れた方が良いと思います。
【山田委員】 金子さんが言われたポイントは、(資料1の16ページ中段の)一番下の丸のところに、運営費の効率化という観点に関して書かれていますね。SACLAからSPring-8への電子ビーム入射の実施や支援体制の共通化など、運営費の効率化に向けた取組を云々(うんぬん)ということが書いてあって、これはビームラインとは直接的には結び付いていないことが書かれています。だから、更にその一番上の丸にそのことを入れるかどうかということです。
【金子委員】 例としては、この(資料1の16ページ中段の)3つ目の丸のことなのですけれども、別にそれ以外でも良いとは思うので、先生が言われたみたいに、「効率化」の後ろに技術革新とかでも良いのかなと思います。そうしたら、ほかのこの3つ目以外のものでも別に良いのかなという気がするのですけれども。
【雨宮主査】 そうですね。
【山田委員】 それと、今のビームタイムが国際的に見てどうなのかというのが、いつか議論になったと思います。国際的に見て日本は少ないというような話があり、そういうものを目指していくという方向性は、1つの目標の指標にはなるのかなと思います。
【尾嶋委員】 そうですね。
【雨宮主査】 その数値、理研、JASRIはお持ちでしたっけ。ESRFとか。一応そういうような質問が出ましたので、どんな感じかということを共有したいと思います。
ではその間にちょっといろいろと、ほかのことについてどんどん御議論ください。
【内海委員】 良いですか。(資料1の)15ページの一番上の(1)の、SPring-8の発展の方向性のところなのですが、ここの書きぶりは、もともとの前に頂いた素案に比べて少しトーンダウンしているように感じるのですね。というのは、あえてぼかしておられるのかもしれませんけれども、この評価の最初の頃に、高度化の話はかなり議論になっていて、そのときに世界の情勢等と比べて、そういうことを真剣に考えないといけないという議論だったというふうに思っています。
それで講ずべき取組としては、この3つの丸に集約されるのかもしれないのですけれども、その上のところの書きぶりが少し抑え気味過ぎるような気が少ししています。特に「また、諸外国において」のところで、諸外国の状況分析を軟X線と硬X線の相補的活用に活用した成果云々(うんぬん)という、そういうことにフォーカスして書かれています。もちろんそれもあるのかもしれませんけれども、むしろ極めて重要なのは、諸外国においては新しい究極のエミッタンスを目指すリングの計画であるとか、改造とかいうのがどんどん出ているという状況の中で、SPring-8が日本のトップランナー、世界の中でどういうふうに生きていくかという、そういう議論だったように思うのです。
もちろん軟X線と硬X線の相補云々(うんぬん)というのを書いていただくのは大変結構なのですが、恐らく諸外国においてというパラグラフで最初に書くべきことは、むしろ諸外国において新たな低エミッタンスリングの計画や改造計画が目白押しな中云々(うんぬん)とか。これを読んでいて、ちょっと素直な感想として受けたのですが、いかがでしょうかね。
【雨宮主査】 私も同じような印象は持っていまして、これ、5年ごとの中間評価だけど、大局的に見て、今、SPring-8が20年と、曲がり角にきているなと。いろんなファシリティ、20年のときに技術の施策が打てるかどうかで、その施設が駄目になるのか、更に発展するのかというのは非常にクリティカルポイントにきていると。それが細かい議論に入る前の大局観の中にあったわけです。しかし、こうやって議論して、5年後の評価ということになるとだんだん……。
【尾嶋委員】 ちょっと小さくなってしまっているのですよね。
【雨宮主査】 ええ。やっぱり全てのものにはライフタイムがあって、大体ファシリティというのは、20年ぐらいたつと次のことをきっちりと考えないと、考え始めてもタイムラグがあって、30年になることだってあるし。でも、そこのタイミングを誤るとずるずるといって、内部の組織のいろんな意味での老朽化が起きて手遅れになると。だから、もしその辺を盛り込むのだとすると、私は5の「おわりに」のところに、もうちょっと盛り込むのが良いのかなという感じは持っているわけです。丸のところは5年後の評価ということで、高い設定をしても低い設定をしても、5年ごとの評価のことって気にする場合には、議論が定まらないのですけれども。最後の終わりのところに、やはり大局観を述べるということをしておくということは重要だなというふうに思っていまして。今、内海委員の言われることは同感なので。
今、世界、ESRF、APS、どんどんバージョンアップしていると。そういう中でどうあるべきかというところを「おわりに」のところに盛り込むというのが良いのかなと。少なくとも丸のところに盛り込むには、ちょっと細かなポイントになるので、丸のところに盛り込むのではなくてというところなのですが、いかがでしょうか。
【尾嶋委員】 ただ、丸のところではなくて、前書きのところがやっぱり読んでいて弱い感じがするのですよ、SPring-8の発展の方向性として。これ、5年後を考えると、次世代が動き始めています。だから、軟X線の次世代と硬X線のSPring-8がどう連携していくのかというのも問われますが、SPring-8自体の次の計画が、世界に後れをとらないでやれるかどうか。その重要性がもっとここに書かれていて、5年後の評価のときにはもうコンセプチュアルデザインとか何か、かなり細かいところまで次の計画が出てないと、本当にまずいことになると思います。その辺は「おわりに」のところにもっと強く書くべきかなとは思いますけどね。
【雨宮主査】 その辺のところを「おわりに」のところにそういうことをきっちり盛り込むと同時に、SPring-8の発展の方向性といったところの、ディフラクションリミテッドなところですね。世界の動向をきっちりと見極めながら、あるべき姿というところをもうちょっと補強すべきだなという気がしますけれども。
放射光科学は、本当に国際性、学際性の最たるものですから、やっぱり国際的な視点というのは常に意識していかないと、自己満足に終わってしまうので。
ほかにいかがでしょうか。どうぞ。
【宮内委員】 よろしいですか。多分もし書くとすれば「おわりに」のところに書くことになるのかなと思っているのが、新しい次世代のお話の方では、民間からの拠出は研究開発費という位置付けで5年間でエクスパイアするという約束のもとでお金が出ることになっているので解決済みなのですが、SPring-8の場合に、各民間企業等から出された拠出なのか、出資なのか何なのか分からないのですけれども、これらについて、一体どういう形で整理がされていて、なおかつ今後の新しい施設の整備を行っていく上で、どういう位置付けができるのか。その辺のところを整理しないとうまくいかないのではないかという気がしているので、5年間でやれという話なのか、もうちょっと長いスパンで見て整理をして、今後の発展においてそこの拠出をした方たちがどういう格好で関わり続けるのか、それとももうその関わりは終わりましたという整理をするのか、何か方向性を決めないと、ネックになってしまうのではないかという気がするのですけれども、その辺はいかがなのでしょうか。
【雨宮主査】 どうぞ。
【大榊補佐】 宮内先生のおっしゃったのは、恐らくJASRIに対して出捐(しゅつえん)している金額、60億だったかと思います。こちらについては、JASRI側に出捐(しゅつえん)してございますので、理研側は金を持っていないはずです。まず議論の参考としてですが。その上で、そのお金をどう扱うかという理解ですか。
【宮内委員】 いや、そうではなくて、専用ビームラインを確保するために出されたお金、施設の整備費なのかも分からないのですけれども、そういうものの効能というか効用がいつまで続き、それはずっと維持しなければいけないものなのか。それとも、一定の期間で、もうそれは全部入れかわっているのではないのかという話になるのか、そこの整理をしないと、田中委員が言っていたように、うまくみんなをもっと専用、共用化できる話の部分ができないというネックになってしまっているというようなお話もあったので、そこは何らかの形の解決策を示していく努力をしないと、次の活動のためにネックになるのではないかという気がしているのですね。
【田中委員】 この話は、多分ビームラインにした投資の減価償却のお話ですよね。
【宮内委員】 ええ。
【田中委員】 土地代は取らない。建物はJASRIとか理研とか施設者側が整備して、そこにビームラインを作りました。でも、そのビームラインは本来減価償却というのが進んでいって、20年後には資産価値はゼロになっているのだけれども、20年前に巨額の投資をしたということを理由に、ビームラインを運用し続けることにこだわるという、その話ですね。
【大榊補佐】 なるほど、失礼しました。
【雨宮主査】 具体的に盛り込むとしたら。
【宮内委員】 そこの整理が、例えば、通常はそういうものを作ったときに、原状回復責任を設けて、要らなくなるのだったら置いていくか、原状回復のためにコストを出して整理していけ、そういうのが賃貸借であれば当たり前の話なのだけれども、どうも当たり前の話が当たり前の話で進まないという環境にあるいうのは、やっぱり当たり前の話に落とし込まないとうまくいかないのではないかという気がしているのですけれどもね。
【雨宮主査】 それは盛り込むとすると……。
【宮内委員】 どうするのと言われると……。
【雨宮主査】 余りスペシフィックに、盛り込むとしたらどういう。
【田中委員】 よく理解できるコメントなのですが、難しいのは、2種類、いや、もっとあるのかもしれませんけれども、ビームラインの運用の状況が幾つかあると言うことです。同じ時期に作ったとしても、20年たっても随時アップデートがなされて、すばらしい形で運用されているというビームラインもあれば、少ない担当者がみんな疲れ切って、維持費も少なく、施設の更新も進まない陳腐化したビームラインもある。施設として特に考えるべきは、ビームラインがかなり陳腐化しているもの、アップデートになかなかお金が回らない状況で運用されているものの更新をどうするかです。何とかそれを進めていかないと施設のアウトプットに影響がでるでしょう。専用ビームラインを一概に同じように扱えないところが、この問題の難しさかなという気がします。おっしゃるように何かしていかないと、このままの状態を維持していくことは問題だという点は同意します。
【宮内委員】 6,000時間といっても、達成できないのはそういうところがあると達成できないとかいうような話になってしまうのかどうかですよね。6,000時間というのは、それを除いてか。
【田中委員】 6,000時間は施設のトータルの運転時間についてなので、それはちょっと違う話ですね。
【宮内委員】 そうかそうか。
【雨宮主査】 どうぞ。
【大榊補佐】 例えば、今の御意見ですと、(資料1の)17ページの中段ぐらいに、SPring-8のビームラインの改廃と高度化の実現というところがございまして、今後速やかにではないのかもしれませんが、今、ビームラインの改廃と高度化の実現のところには、理念的にはビームラインの本数の限界の話と、それから、今後ビームラインの固定化を防止して、改廃、高度化が自ら起こるような仕組みの導入という2点を書いてございます。例えば、ここに既存のビームラインの在り方、整理について検討するとか、そういった記載を入れるというのはいかがでしょうか。
【雨宮主査】 どうぞ。
【石川先生】 この議論は、資料のビームラインの改廃と高度化の実現の丸2で、専用ビームラインの設置や改廃について、実効性のある評価が行われる仕組みを導入するというところです。ここが書かれたのは、実際は10年ごとの契約なのですが、それが真剣な議論なしに更新され、永遠に続くような形になっているというところが問題であり、そのために「実効性のある」という一言が入っていると理解しています。
【雨宮主査】 ということは、今、宮内委員の指摘されたことは、ここに既に入っているという。
【宮内委員】 ということですね。分かりました。
【雨宮主査】 私も見ていたけど、ちょっとすぐには頭の中で結び付かなかったので。
【大榊補佐】 よろしいですか、済みません。そういう理解だと思っておりまして、一方、目的の大項目のところに入れるかどうかについては、御議論いただければと思います。既存のビームラインの改廃の話も、最初の項目の部分、丸の前にも併せて記載をした方がよいのかどうかについては、御議論いただければと思います。
【奥室長】 趣旨は既に入っていると思います。
【大榊補佐】 ビームラインの改廃の話の中に含まれているという、それでよろしいのではないかと思います。
【雨宮主査】 広くここで、今後、ビームラインの固定化を防止し、改廃(新陳代謝)や高度化が自ら起こるような仕組みを導入することが重要であると、これは入っていますよね、ここに。
【大榊補佐】 分かりました。
【雨宮主査】 ほかにいかがでしょうか。
【金子委員】 お金絡みでついでに言うと、成果専有での支払ったお金を、それこそ個別のビームラインをやっているのか、それとも施設全体の高度化の方に回すのかという議論が出て、そこは結論付けはされてなかったというふうに記憶しているのですけれどもどうでしたでしょうか。成果専有で、要は企業としては自社の利益のために使ったという意味で、国の施設を使うという意味では、お金を払うのは当たり前でしょうと。そのお金をいかに有効活用していくかというところに関して余りコメントはされていないかなとは思っているのですけれどもいかがでしたでしょうか。成果専有のお金、利用料自体が、施設として使えるお金としてできるのであれば、それはすごくハッピーだと思っているのですけれども、ただ単に財務省とかに入ってしまっただけだとちょっとうれしくないので。その辺のことも含めて、何かよりそのお金が有効に利用できるような形にということを、何か書いておいていただけると、利用者側にとっても有り難いですし、施設側にとってもそれがもっと有効に使えるということで良いのかなと思うのですけれども。
【雨宮主査】 分かりました。ちょっと私、現状がどうであるかということの情報を確認したいのですけれども、それは事務局なのか、JASRI、理研、現状がどうなっているかということの。お願いします。
【田中先生】 利用料収入ということであれば、JASRIを経由して理化学研究所の方にいきます。それを理研さんと相談しながらビームラインの方に還元する、要するにユーザーから上がってきた利用料収入ですから、ユーザーの成果創出としてお戻しをするという形で、先ほどおっしゃった2つの側面から見ています。それは1つには、全体で共用ビームラインを見て、共用ビームラインの高性能化に資するものとして、装置のアップグレード等々をやっていくようなもの。そしてもう一つは、利用料収入をよく稼いでいるビームラインがあるわけですね。そういうビームラインのところにより多く投下してあげると、それはもっと稼いでくれる。稼ぐという表現が良いかどうかは別ですけれども。済みません、ちょっと今、良い言葉が思いつかなかったので。もっと期待値が上がるだろうというのもあって、そちらに集中的に投下するところもあるとは思います。ただ、こればかりやってしまうと、そこのところは良循環みたいになるかもしれませんけど、ほかのところが上がっていかないというのもあるので、それは部分と全体を両方見ながら、理化学研究所さんと相談しながら、どういったものをやっていくのが良いかというのは進めているところです。
【雨宮主査】 そういう現状だということに基づいた上で……。どうぞ。
【石川先生】 良いですか。頂いたお金は施設で使えます。
【金子委員】 ということですね、そこは、はい。
【石川先生】 先ほど田中理事からお話があったように、いろいろな観点があります、まとまったお金になるので、まとまったことが可能になります。そのようなことを重点的に順番に進めるという観点が1つあると思います。もう一つは、先ほどの議論のように、稼いだところに配分するという観点もあると思います。そのあたりはバランスだと思っています。
【雨宮主査】 現状はそうであって、2つの考えがあって、バランスであるというところですが。
【尾嶋委員】 要するに、支払ったお金は有効に使われているということですね。
【金子委員】 そうですね。そこにここの(資料1の)18ページでいうところの、要はSPRUCやSPring-8利用推進協議会とコミュニティを有効活用して、ニーズの部分で、例えば新しいニーズがきていることに対してそういうところに使ってもらうとかも含めて、議論の中にこういう理研さんだけではなくて、利用者、ユーザー側の意見もそこに入っていますよということがより分かると良いかなというふうに思います。
【雨宮主査】 (資料1の)18ページのどの……。
【金子委員】 真ん中あたりの丸の2個目ですかね。連携強化や企業ニーズ等の把握に向けて、CPRUCとSPring-8利用推進協議会の統合を含むユーザーコミュニティを有効活用する仕組みを導入するという、そこのニーズをお金の使い道のときにも考慮した上で、高度化とかをしていただけると良いのかなということです。
【尾嶋委員】 利用収入の有効活用にコミュニティの意見を入れる、そういう話ですか。
【金子委員】 なので、高度化の話は(資料1の)17ページの方にあって、産学官利用の方は右側のページなので、ちょっとそこをどうつなぐかというところは考える必要があります
【雨宮主査】 どういうふうに今の。今、既存の丸の中のどこにどういうふうに文言を改定すると一番趣旨が良いか。御指摘のポイントは理解しました。どうすれば良いですかね。利用料収入の有効利用のことですね。
【金子委員】 そうですね。どこの項目が良いのでしょうね。高度化の方に書くべきなのか。
【雨宮主査】 確かに1つの重要なポイントですね。利用料をきっちりと確保するということと同時に、それの有効利用。どこが良いのでしょうか。
【岸本委員】 ちょっとよろしいですか。利用のされ方なのですけれども、上流部分なのか下流部分のところをイメージされているのかで随分変わってくるのかなと思っているのですけど、ここにも(資料1の)17ページの高度化のところの丸の3のところにも書いてあるのですけれども、ビームラインの上流部分など、共通化できる施設は理研により整備・高度化し、そして下流部分は専用ビームラインを利用するユーザーって、専用ビームラインに限定されているので、ちょっと分かりづらいのですけど。ここがエンドステージのところに、そういうことをやるよということが書かれていれば。1個目の丸のところに、アウトプットの量や利用収入の増を目指すと書かれているので、それがどこにいくのかという。
【金子委員】 そことも関係するのですよね。
【岸本委員】 そういうことで、何ていうのですかね、3つ目の丸が専用ビームラインのことだけを書いているような気もして、ここはちょっと曖昧なのかもしれませんけれども。今、下流のところにもそういうことを使っていってほしいですよということを言われているのですよね。
【金子委員】 共同のところとかに、そうですね。
【田中委員】 そういうところにも、今も使われているのですよね。
【金子委員】 いるのですね。
【田中委員】 ただ、より効果的に使うにはというところがキーポイントです。そういう意味では、正にこのビームラインの改廃だとか、産業ビームラインをどうしていくかとか、SPring-8全体のビームラインのポートフォリオと役割分担の見直しですとか、役割ごとに何種類かに分類されるビームラインをどう配置していくかとか、そういうトータルな視点に立って、そのお金を有効に活用していくということが、今までどれだけできていたのかと考えると、そこは不十分だったと思います。ということで、多分ここの記述によって、そこのところはかなり改善されるのかなと私は理解しているのですけれども。
【宮内委員】 これ、財政構造的にSPring-8の建設費については、施設費で手当されているわけでしょう。
【大榊補佐】 はい。
【宮内委員】 ということは、そこのコストの部分について利用料には全く反映されていないわけですよ。あと、利用料に反映されている回収範囲というのは、どの程度に見込むのかというのが、公共料金の一般的な決定の仕方として、ランニングコストをベースにして回収するという基本的なコンセプトを考えると、ランニングコストに充当されているから、みんな使われているのです。そこで使われてしまっているので、ほかのところにいく余裕があるかといったら、私は多分ないのだと思うのですよ。そんな余裕があるほど、いっぱいとってはいないという状況なのではなかろうかと思うのですけどね。それはぐるぐる回っているから、まだ使われていないいろいろなお金があれば、それはこれからこっちに使おうねという単式簿記的なお役所の会計の世界でいくとあるかも分からないけれども、複式簿記的に見ていくと、そんなものは金に色はついていないのだからぐるぐる回っている世界で、そこでみんな使われて終わりですよという、そういう状況になるのではないかという気がするのですけれども、いかがなものなのでしょう。
【大榊補佐】 企業会計上は、確かにおっしゃるとおりなのです。これは運営費回収方式をとっておりますので、本来であれば収入を電気料金とかに還元するようなものですが、SPring-8は経緯もあり、運営費回収方式を使って利用料収入を得るのですけれども、その利用料収入を、共用施設という観点で共用に広く使うということで、装置の購入ですとか高度化というのに充てていた、経緯がございますので、そこは少し通常の会計とは異なっているかと思います。
【雨宮主査】 岸本委員、どこで盛り込むかという案を言われたような気がするのだけれども。
【岸本委員】 どこが良いのかというのはちょっと。「共通化できる設備は理研により整備・高度化し」というところが、ここが上流部分に限定されているので、今実際にお話を聞くと、下流のところの共用ビームラインのところは……。
【矢橋先生】 これ(資料1の17ページ(2)ii)3つめの丸)は専用ビームライン。
【石川先生】 これ、お金と全然関係ない話です。
【岸本委員】 そうか、これはお金と関係ないのですね。
【矢橋先生】 この文章がちょっとややこしくて、そもそも「ビームラインの上流部分」って始まっているのですけれども、これは既存の専用ビームラインについてはということですよね。ビームラインの上流部分は共通化する設備は理研によって、それで書き方が難しいのですけれども、既存の専用ビームラインを使っているユーザーはということだと思います。
【岸本委員】 それぞれ分けるという。
【雨宮主査】 ちょっと文言が不足しているのですね。
【矢橋先生】 ちょっとミスリードかなという感じがします。
【雨宮主査】 ではちょっとそこはコンフュージング、ミスリーディングなところがあるので、この丸については、現状の専用ビームラインのことに限っていっているわけですね。だから、ここに盛り込むのではなくて。
【矢橋先生】 多分言われているのは、利用料収入も使いながら、ビームラインの高度化を進めなさいということが1点と、あとそのときには、ユーザーの声をちゃんと聞きなさいということがもう1点。
【雨宮主査】 そうですね、その2つですね。だから、それをどこに盛り込むかと。
【矢橋先生】 そこはでも、今の高度化のところに、今の2点を立てて盛り込んでいただいても良いし。
【田中委員】 別の丸にした方が良いのでは。追加すれば、誤解がないかと。
【雨宮主査】 では、お願いします、事務局。文言の具体的なことはやるのは時間がかかってしまうので、そこは非常に慣れた事務局にお任せいたしたいと思います。
ほかにいかがでしょうか。
【田中委員】 良いでしょうか。皆さんの意見がかなり出たと思うので私にもコメントさせてください。(資料1の18ページの)(3)です。産学官共用による利用促進。SPring-8、SACLA共通で、産学官の共用施設としての利用促進:利用者本位の施設運営という、このポツ以下の表現がすばらしいと思って読んでいました。共用利用施設なので、利用者本位で全てのことが運用されていくべきだということには、強く賛同します。今後速やかに講ずべき取組というところに、具体的にいろいろな項目が列挙されていますが、どちらかというとサイエンスを効率的に追求していくというようなことに対して、利用者本位となるように改善を進める項目が上がっています。
ここに1個付け加えるべき項目があるのではないかという提案です。新幹線の車内でDraftを読んでいて感じたことは、実験のために施設を訪れたユーザーに対して、利用者本位の目線で、JASRI、理研が施設運営に最善を尽くすか?という疑問です。それに関する項目も上げていただきたいと思います。
具体的に言いますと、例えば最近、ようやく利用者から長年にわたって苦情のあった、リング棟のおトイレがきれいリニューアルされましたが、ものすごく時間が掛かりました。同じようなレベルで言えば、現在、放射線管理区域に入るための入管バッジ、手続が、正門脇の北管理棟内の事務所で行われておりますが、実験ホールからも宿舎からもかなり遠いところにあります。外国、それから日本各地から来るユーザーは大きなかばんを持って正門脇のバス停で下車して、そこで手続をした後に、かばんを引いて250メートルぐらいあろうかという坂道を上って、中央管理棟の玄関までたどり着きます。そこから自分の利用するビームラインの方に向かうか、又は宿舎に向かうかということになりますが、実験ホール、宿舎、それから最初の手続を行う受付、この3箇所が現在は空間的に分散されています。以前は受付が中央管理棟の2階にあり、中央管理棟の前でバスをおりて、そこで手続ができたのですが、それがある時期から現在の形になったのですね。SPring-8、SACLAを利用しに来ている人たちの利便性を追求した結果として、このような変更が行われたのか、私個人としてはちょっと疑問がありました。
実験に直結するところだけでなくて、やはりSPring-8、SACLAを利用するために来所された方々が、便利で居心地よくといっても、いわゆるやり過ぎということではなくて、可能な限り合理的に研究生活が営める、滞在できるように、問題点を検討して、改善できるところは改善していくことは、この5年でやる価値があると思います。今の所、それに該当する項目はなさそうに読めたのですが。
【雨宮主査】 あえて言うと、(資料1の18ページ(3)i)の)1番目の丸のところに併記する。「利用者本位の視点に立ち、更なる利用促進に向けて」というところの後が課題募集の話で終わってしまっていますが、そこをもうちょっと広げるということでしょうかね。
【田中委員】 はい。
【尾嶋委員】 利用者の利便性を表に出すと。
【田中委員】 岸本さんは実験にSPring-8を頻繁に利用されていますが、どうですか。現在のこのシステムは。
【岸本委員】 確かに少し遠いところに北管理棟があって、それでバッジの交換に行くときとか、我々は車で行ったりとかありますけれども、やっぱり車とかで行っていない方々は、多分歩いてそのたびに交換に行かれたりとか、いろいろとそういう不便さはあるはずなのですよね。
【田中委員】 そうですね。
【雨宮主査】 ちょっとどこに盛り込むかということと、北管理棟にかわった事情というのは、何か補足がありますか。JASRI。
【田中先生】 私が言うのもあれですが、かつて中央管理棟の2階にユーザー受付のオフィスがあって、そこでやっていました。歴史的にはそうで、あるときこの場所がかわったのですけれども、JASRIとしては中央管理棟の2階にあるのがよかったし、2階でよかったのですが、それは理研さんの方から言っていただいた方が良いのかな。
【石川先生】 法律が変わって、放射化物の保管をするための建物を作らなければいけなくなって北管理棟ができたのですが、そのときに安全管理がそこにいくことになりました。バスの経路も変わりました。ユーザーの皆様に御迷惑をかけていることは、いろんな意味で非常に認識しています。
【雨宮主査】 そういう安全管理の問題、やむを得ないバリンタリーコンディションがあるということで。
【石川先生】 人の受付というのは、いろいろやり方はあると思います。これこそSPRUC等々からのどうしたら利便性が上がるかという御要望をお聞きしながら、変えられるものは変えていくということが必要だと考えています。
【雨宮主査】 そうすると、丸を1つ新たに作った方が良いのでしょうかね。利用者本位の視点、さらなる利用促進に向けてというところの最初のやつは、課題募集のところはこれで1項目あるのは重要だと思うので、それ以外の視点で、それ以外の点、これ、何ていうのですかね。項目1つ立てて構わないですね。では、今言った趣旨の項目を1つ立てるということで、文言は事務局でお願いしたいと思います。
ほかに御意見あれば、よろしくお願いします。
【岸本委員】 済みません、よろしいですか。今さっきの「課題募集の時期や頻度」と書かれているところ、さっきの議論のあったところなのですけれども、これ、私、読み落としているのかもしれませんけれども、課題募集の分かりやすさというか、複雑なので分かりやすくシンプルにしていくというようなところが議論があって、それが盛り込まれているかなというのがちょっと分からなかったのですけれども。どこか書かれていますか。
【雨宮主査】 そうですね、議論の中でありましたね。
【大榊補佐】 (資料1の)19ページの今後速やかに講ずべき取組の中に、「利用制度や利用支援に係る取組及び研究成果に関する情報を発信する」が入っています。
【雨宮主査】 そうか、思い出しました。この議論の中で、最初のユーザーから見たら、SPring-8の上で見ても分かりにくいとかいろいろ意見がありましたよね。それが1つ全然抜けてますね。3つ目に加えてどうでしょうか。1つ目は、研究成果のアウトリーチの話ですよね。でもそうか、書いてあることは書いてあるのか、「利用制度や利用支援に係る取組及び研究成果」と。
【尾嶋委員】 含まれてはいますけど、なかなか今のニュアンスは分かりにくいですね。
【大榊補佐】 もう1回ちょっと確認をさせていただきますが、岸本先生がおっしゃったのは、利用制度をもう少しシンプルにした方が良いということでしょうか。
【岸本委員】 といいますか、いろいろな使いやすさを考えられて、いろいろと枠組みを変えられていると、何個かありますよね。募集の方式が、例えば横断型利用とかいろいろとあったと思うのですけど、あれがちょっと分かりにくいのですね、複雑過ぎて。そういうところももう少しシンプルに分かりやすい。ホームページで課題申請するときですね。
【大榊補佐】 発信の方法ですね。
【岸本委員】 ええ。
【田中先生】 制度そのものではなくて……。
【矢橋先生】 そのものもあるのではないですか。
【田中先生】 いや、聞きたい。あるならあるとお聞きしたいのですけれども、制度そのものなのですか、それとも制度の見せ方、発信の仕方の要領が悪い、分かりにくい、どうなのですか。
【岸本委員】 両方ある場合がありますよね。例えば、産業界の立場から言えば、自分たちが、具体的にちょっと言いにくいのですけど、どっちで申請した方が良いのか。
【田中先生】 そういう意味ですか。
【岸本委員】 はい。どっちでも申請できてしまうのですよね。そのときに、より適しているのはどっちなのかなという。
【田中先生】 そこですね。分かりました。
【岸本委員】 そのときにはもっと分かりやすい発信の方が良いかもしれませんし。
【雨宮主査】 またそれの窓口がどこかということですね。
【岸本委員】 はい。たくさん項目あると思うので、課題申請の仕方に。
【田中先生】 迷うということですね。
【岸本委員】 迷うということですかね。
【大榊補佐】 利用制度の方の発信の仕方を分かりやすいよう工夫しなさい、というお話でしょうか。
【岸本委員】 そうですね。
【雨宮主査】 積極的に発信すると、分かりやすさということについて何も言ってないですね。だから、ここの項目をモディファイして、うまく表現できればここの項目で。別な丸出しをした方が良いのであれば丸出しすると。どちらもありかと思うのですけれども、ちょっと事務局案をお願いします。確かに積極的に発信するのと、分かりやすく発信するの、2つの意味が込められているということですね。
【金子委員】 それでいくと、よくいろいろなホームページとかでは、初めての方へみたいな、そういう本当に初心者向けの入り口を作っていただけると、そうするとまずはどこから、最初の一歩は何をやったら良いのかとか、誰に相談したら良いのかという、本当の一歩目が分かるような、そういうところが1つあると良いのかなと。岸本さんみたいに慣れた方でも、どっちが良いのかなと迷われるぐらいなので。
【岸本委員】 多分新規ユーザーの方は分かりにくいのではないかなと思いますね。
【雨宮主査】 だから、盛り込むキーワードは、分かりやすくということと、新規ユーザーを取り込むという視点と。
【金子委員】 そういうことですね。
【雨宮主査】 そこを何か文言化すれば、議論が表現できると思いますが。
【大榊補佐】 承知しました。
【雨宮主査】 ほかにいかがでしょうか。
(資料1の)19ページの人材育成のところの3番目の丸なのですけれども、これは非常に重要なことだと思います。ただ、これを具体的にするのが、抽象的過ぎるかなという感じもするのですが、何か具体的にできることがあるのかなと思いつつ、ちょっともやもやとしているのですが。今日、尾嶋先生もそうだけれども、午前中の委員会で問題になったことの1つが、日本は限られた予算で共用法でやるSPring-8、それからJ-PARC、こういうのの利活用は大切だという話が出たのと、それから、そういうので産業界の人が使いやすくするのが重要だという話も出ました。
そこで出てきたのは人材育成で、結局、ファシリティを維持するサイエンティフィックスタッフ、技術者をどうやって教育するかというか、モチベーションを保つことができるか重要ですねと。それで今は余りないのだけど、大学ではなくなったのだけど、技術職員みたいな者のキャリアパスをきっちりと確保できる仕組みがないと、ドクターを持ってやる気のある人が集わなくなると。良い装置はできるけど、それをサイクロードに、自分だけで使うのではなくて人に使わせるというマインドでやる技術者をどう育てるかというのは大きな課題だということで、これは何もSPring-8で抱えている問題ではなくて、日本の大きな人材育成、それから投資したお金の有効活用、それからいかに先端的な研究を行うか、全てに関係してくる問題だなという議論がありました。勝野統括官もいらしてましたよね。
【勝野統括官】 はい。
【雨宮主査】 だから、これは非常に重要な問題だと思うのです。SPring-8、理研、JASRIのスタッフが本当に優秀な人をどんどん集わせると。そのためのキャリアパスみたいなものとか、モチベーションを維持するという一言に集約されていますが、ここを何かうまいことに落とし込めると、SPring-8がいわゆる日本の抱えている科学技術の問題点をブレークスルーする突破口にもなるのかなというぐらい重要な意味付けかなと思っているところです。そういうことを思うと、この表現が何かもうちょっと具体化できると良いのかなと思っているというところなのですが。
【田中先生】 ちなみにJASRIから見ると、この文章は正に共用法12条課題の実施になります。12条でJASRIの研究者自らが腕を磨いて、その磨いた成果をユーザーの実験の方にフィードバックをしていくと。この流れを今やっているわけですけれども、我々からすると、そこを言っていただければ。
【雨宮主査】 共用法12条ということ。それより具体的にはなりますね。共用法で動いているわけですから。
【尾嶋委員】 ですから、今おっしゃったキャリアパスになるということ、そこまでいくと本当にうまく回ると思うので、何かキャリアパスという言葉を入れたら良いかなと思います。もちろんモチベーションをもって、自分の研究に充てる時間を確保するというのは大事でしょうけれども、結果としてやっぱりキャリアパスになることによって良い人材が集まってきて、またうまく回る。それがやっぱり一番大きな問題、課題だと思います。
【雨宮主査】 ここは非常に重要なポイントなのだと思います。だから、12条枠の積極利用及びキャリアパス……。でも、キャリアパスの確保といっても、そう言われても理研、JASRIさん困るということもあるかもしれないですよね。
【石川先生】 良いですか。基盤施設を維持発展させるような、人事制度ですよね。
【雨宮主査】 人事制度、ええ。
【尾嶋委員】 人事制度、まさしく。
【石川先生】 人事制度ですよね。そういうものをしっかりすることが重要です。
【田中委員】 すごいところにいった。
【尾嶋委員】 国はとかいう文言をつけて。国の宿題にしては。
【石川先生】 午前中の委員会でも多分そんなところでしょうね。
【雨宮主査】 そうそう、そうなのですよ。
【石川先生】 技術職員などは今任期制で動かしているのですが、そこを変更し基盤施設を維持発展させ、継承していくための人事制度をしっかり作ることが大切だと考えます。
【奥室長】 それが多分、真ん中のポツだと思いますけれども。
【石川先生】 真ん中のポツ。国は。なるほど。
【奥室長】 全てそこに集約されているので。
【石川先生】 なるほど、はい。
【雨宮主査】 ちゃんと書いてありますね。失礼しました。
【石川先生】 書いてある。
【奥室長】 難しい宿題を頂いていて。
【石川先生】 「国は」と書いてある。
【雨宮主査】 分かりました。そうですね。
【尾嶋委員】 5年後に我々が評価して。
【山田委員】 でも石川さんが言われたように、人事制度という言葉を入れるというのは、かなり重要だと私は思います。いろんな委員会で同じことが議論されて、そこでデッドロックに乗り上げるのは、日本では研究者と技術者という2つのカテゴリーしかなくて、例えば外国のようにビームラインサイエンティストといった非常に高度な技術者など、柔軟で多様なカテゴリーのある人事制度を、これからファシリティで導入できていかないと、なかなかそういうところが……。
【石川先生】 もたないです。
【山田委員】 ええ、もうもたない。多分1つの施設だけではもたないし、いろんな施設がそういうことを行って、人が動き、循環することを、国が考えないといけないという議論を、最近しょっちゅういろんなところでやっています。
【尾嶋委員】 この2番目の文章で、「ためのロードマップ」の後にカンマして、人事制度というのを入れて、ロードマップと人事制度を検討すると書いてはどうでしょうか。
【雨宮主査】 併記するのは良いと思いますね。
【尾嶋委員】 そうですね。
【雨宮主査】 「検討する」であれば良いですよね。首をかしげているので。人事制度までいくと、ちょっと重くなるというのはよく分かりますけれども、でもそれが重要であるということですので。
【奥室長】 書き方は検討させていただきます。
【雨宮主査】 いや、でもこれは本当にSPring-8、SACLAに限らず……。
【石川先生】 これ、オールジャパンで、今日の議論はほんとそうですよね。

【雨宮主査】 そうしないと大きな装置、先端装置の有効活用ができなくなりますね。
【尾嶋委員】 先端装置だけではなくて、今大学でもそういう承継ポストがどんどんなくなっていて、若手がみんな非常勤みたいな感じで任期制に入っていますよね。博士に行くかどうか迷っている学生はそれを見ているので、自分たちの将来はこういう非正規雇用なのだということで博士に進学しなくなってしまっているのですよね。この問題は今朝の基盤部会での議論にもありました。突破口になれば良いと思いますけど。
【雨宮主査】 ほかにいかがでしょうか。時間的には……。結構な時間にきていますが、いかがでしょうか。
【山田委員】 最初に内海委員が言われたことが非常に重要だと思いますが、それはどうするのでしょうか。
【雨宮主査】 それは私として提案したのは、というか皆さんの意見を聞いて思ったことは、ここ(資料1の15ページ)のSPring-8の発展の方向性という頭書きのところの最初の6行、7行がありますよね。ここを少し書き換えるということの内海案だったと思います。ですよね。
【田中委員】 「また」以降でしたよね、たしか。
【雨宮主査】 特に「また」以降ですか。そして、それと同時に、それと同じような趣旨をちょっと「おわりに」のところに、重複してもかまわないので、20年、20年というロングスパンの、評価のためのという枠を超えたところに記述をするのはどうかという提案です。具体的な文言についてはちょっと事務局で考えていただいて、またメールで。まず主査の私が事務局とちょっとキャッチボールした上で、皆さんの了解を求めて成案にするという方向を考えていますが、よろしいでしょうか。
【山田委員】 はい。
【雨宮主査】 ほかにいかがでしょうか。どうぞ。
【矢橋先生】 よろしいですか。2点ございまして、非常に細かいところで恐縮なのですけれども、(資料1の)17ページの成果指標の検討で、最初の丸、「ユーザーに提供した利用時間自体など」ということの指標を検討しなさいということがありますが、これは意味するところはどういうことですか。というのは、ユーザーに提供した利用時間というのは今もやっている話、例えばSPring-8だと4,500時間とかありますが。これ、それともビームラインでネットした数という意味でしょうか。SACLAとSPring-8では利用時間のカウントのやり方が違っていて、SACLAはビームライン3本足したもの、SPring-8は全体の運転時間のうち4,500といっています。一番最初の議論もありましたが、安定的な運転時間、利用時間。そのときに、やっぱりキャパシティが増えていくと、これも増えていくわけですが、そういう指標をやりなさいといっておられるのか、ちょっとそこだけクリアに。
【雨宮主査】 最初の(資料1の)17ページの一番上の丸ですね。
【矢橋先生】 そうですね。つまり、ユーザーに提供した総利用時間みたいな話なのか。
【大榊補佐】 補足をさせていただいてよろしいでしょうか。
【雨宮主査】 はい、お願いします。
【大榊補佐】 伊地知先生からも何か。
【伊地知委員】 ここは指標を検討するということで、実はどういった指標自体が適切なのかということも含めて、しっかり検討いただくとよろしいのではないかと思っています。なので、飽くまでここは例示ではないかなというふうに私は思っています。
【矢橋先生】 ではその中身も含めて検討しなさいということで。了解です。
あともう1点、これも非常に細かいところで、(資料1の)18ページの下の方で、トライアルユースのことが書いてありまして、ここができるだけ多くのビームラインについてトライアルユース制度を設けると書いてありますが、一方でビームラインの再定義で、3つの階層に分けてやるということをいっているのですが、多分その話と、この「できる限り多く」の文言はちょっと矛盾があります。トライアルユースの機会を単に増やしなさいというのと、ちょっとニュアンスが違うと思うのですが。
【大榊補佐】 事務局からよろしいですか。ビームラインの再定義の話は、今後整備されるビームラインないしは改廃する場合に、再定義するという御意見だったかと思いますのと、一方、トライアルユース制度の方は、現行のビームラインに対して、一ビームラインではなくて、多くのビームライン、いろいろな種類のビームラインに対してトライアルユース制度を設けるべきということで、既存と改廃後の定義付けの話の違いだと理解しています。
【矢橋先生】 ただ、こう書かれると登録機関も困ってしまいませんか。
【田中先生】 うん。トライアルユースの中身なのですけれども、これは随時使いたいということなのか、それともお試しでやれるように使いたいというのか、大分それで、そのほかにも要因があるのですけれども、トライアルユースが目指しているものが何なのかによっては、できる部分と難しい部分とありそうな感じがしますね。
【雨宮主査】 これ、岸本委員、ここは何か御発言されていたような気がしますけれども。
【岸本委員】 トライアルユースという言葉は使ってなかったような気はするのですけれども。要するに、私が言ったのは、新規ユーザーに対して何か、まあ、お試しかもしれませんけれども、いわゆる今まで分析部門の人たちが来ていたものに対して、実際の製品だとか材料開発の人たちが使いたいのだけれども、どんなデータが出るのか分からないとか、そういうことで言っていたので、トライアルユース制度と言われると、ちょっと言葉が。昔のトライアルユースみたいなイメージも受けてしまうので、ちょっと私も何と言えば良いのか分からないのですけれども。
【雨宮主査】 そうすると、さっきの広報の問題とも関係するわけですね、分かりやすさという。窓口。
【岸本委員】 放射光利用経験の少ないユーザーに対してということなので、それを積極的な支援をしてもらえるようなことにも対応するのかもしれませんし。
【田中先生】 質問なのですけれども、その場合、御自分で実験してみたいという要望なのでしょうかね。それとも資料を持っていて、とにかくこれが放射光でできるかどうか試しに測ってみてほしいなと、僕は実験はよく分からないけど、いろんな人がいらっしゃるのだと思うのですよ。それによってどういうものを考えると良いのか、制度という言葉があるのですけれども、どういうふうに制度設計していけば良いか。あるいは、例えばですが、トライアルユースビームラインみたいなのが1本あって、いつでも誰でも使えるようなものを作っておけば良いのかって、いろんなやり方が変わってくると思われるのです。目指すものによって大分違うのではないかなと思うので、ここはちょっとよく見えない部分ではあります。
【岸本委員】 その辺はどうなのでしょうね。やっぱりそれこそ利用者本位というところで、ユーザーの声をこれから聞いていくということで、その上でのトライアルユースかもしれませんよね。
【矢橋先生】 確かに。
【雨宮主査】 そうですね。確かにできる限り多くのビームラインについてトライアルユース制度を設けるというのは、ちょっと最後のところは具体的過ぎてというか、今までのイメージもあるので、今までの制度との絡みもあるので、言わんとした趣旨をちょっと絞り込み過ぎて具体的になっていて、ちょっと齟齬(そご)が起きていますね。(資料1の18ページ下段の1つ目の丸の)「できる限り」以降のところを少し文言を変えるということですね。「利用経験の少ないユーザーに対して積極的な放射光利用の機会を提供できるよう」、ここまでは良いのですよね。
【尾嶋委員】 「できるようにする」か「検討する」か、で十分で、トライアルユース制度というのは言わなくても良いような気がしますね。
【雨宮主査】 「するように検討する」ということで、幅広で。
【大榊補佐】 「支援する」とか。
【奥室長】 趣旨を考えると、放射光利用の機会を提供できるよう適切な支援を行うという趣旨。
【尾嶋委員】 さすがうまいですね。
【雨宮主査】 できるよう、適切な支援を行う。本当にこの適切な支援、支援が強調されれば、すればするほど、先ほど言った支援する人材の育成の重要性がくっきりと出てきますね。
ほかにいかがでしょうか。大体時間も来ていますので、資料1について、今日ここでいろいろ御意見を頂いたことを踏まえて、文言化のところは量子研究推進室の方で出していただいて、その後、主査である私はいろいろやりとりした後、最後というか、でもこれをいつまでにメール会議も含めて終わらせるのでしたっけ。
【大榊補佐】 大変タイトで申し訳ないのですけれども、実は親委員会への報告、審議もございますので、一両日中ぐらいにはと思っていますので、今日頂いた御意見を事務局の方で反映をして、すぐ雨宮先生と相談をさせていただいて、速やかに先生方に配付させていただきますので。
【雨宮主査】 親委員会のスケジュールは?
【大榊補佐】 親委員会はメール審議の形になってございますが、2月14日が先生方の委員の任期になってございまして、そこまでが期限になります。
【雨宮主査】 そっちの制約で来ているのですか。この期が区切れるので。
【大榊補佐】 申し訳ございません、事務的な話で。
【雨宮主査】 親委員会のメール審議ということですが、そういう段取りがあるので、ちょっと御了解ください。
それでは、今日議論いただいたことを追記、それから修正、そして先ほど申し上げたような形で一両日中ということなので、基本的には私、主査の一任とさせていただくということにしておいた方が。皆さんのイエスが集まるまで動けないとなると困りますので、一応一任させていただいて、特別にまたコンタクトをこちらからさせていただくかもしれませんので、その節はよろしくお願いいたします。
それでは、議題は以上ですが、中間評価全体を通して何か御質問ありますでしょうか。今ありましたように、ここで一区切りということですので、最後の機会ですので、御感想を含めて一言ずつ、30秒ずつぐらい。ではそちらからという御指名ですので、伊地知委員から。
【伊地知委員】 私は専門では専門外ではあるのですけれども、評価の観点、あるいはイノベーションシステムの観点から少しでもお力になれればよかったかなと思っております。
【雨宮主査】 では、内海委員。
【内海委員】 私は、大変勉強させていただきました、ありがとうございますだけでは済まされない立場だろうと思っておりますので、今後次世代、頑張らせていただきますので、是非とも御支援、今後ともよろしくお願い申し上げます。ありがとうございました。
【尾嶋委員】 今回は29回目で、実は3分の2ぐらいしか出られなかったのですけれども、非常に充実した議論をさせていただきました。勉強になりました。ありがとうございました。
【金子委員】 産業界からの意見ということで、結構言いたいことを言わせていただいて、ありがとうございます。いろいろと本当に勉強させていただくことも多かったですけれども、たくさん聞いていただけたなというのもありまして、大変我々としてはこの委員会に出させていただいたことが、産業界としても有り難いなと思っております。ありがとうございました。
【岸本委員】 私からは、先ほど雨宮先生からもありましたけれども、先端の大型施設というのは、やはりいろいろと今抱えている課題、科学技術とか人の人材育成とか、いろいろなところを突破していく突破口であるのだろうなと思っています。今後もますますこの施設が有効に活用されて、そして発展していくということを期待しておりますし、またいろいろと支援をお願いしたいなと思っておりますので、よろしくお願いします。
【雨宮主査】 どうぞ。
【田中委員】 大変活発な委員会で、皆さんが積極的に意見を言ってくださる中で、自分も特に後半の中間評価では、立場上難しかったのですけれども、言えないところはほかの方が言ってくれるという大変恵まれた環境で、楽しくやらせていただきました。どうもありがとうございました。
【宮内委員】 全くの門外漢で、ほとんど議論されていることの理解ができない状態で、でもわずかに分かることについては意見を言わせていただいて、非常に楽しい時間を過ごさせていただきました。無責任な時間ではあったのですけれども、楽しい時間は過ごせました。
【尾嶋委員】 いや、非常に的確なコメントだったですよ、本当に。
【宮内委員】 有り難く思っております。
【雨宮主査】 どうもありがとうございます。では山本委員。
【山田委員】 私も似たような委員会にいっぱい出て、いつも議論されるのが、先ほどの大型ファシリティにおける人材というか、その意見、議論がずっと続いていたのです。昨日も実は同じような委員会がJAEAのものがあって、昨日は非常にそれが悲観的に、私も非常に悲観的な、どうしたら良いのかとみんな分からなくなってしまって。今日は、人事制度というようなことを石川センター長が言っていただいて、ちょっとその辺を国にやっぱりこれは是非考えていただきたいということで、今日この委員会だからこそ言えたというので、少しもやもやがとれたので、非常によかったと思います。非常に自分も勉強になって、この委員会、すごくよかったと思います。どうもありがとうございました。
【雨宮主査】 どうもありがとうございました。
では私からも一言。この委員会、29回ということで、本当に頻度の高い委員会で、文科省に来ると自分の仕事場に来たのかと思うぐらいな親近感を。
【尾嶋委員】 机があるのではないかという。
【雨宮主査】 親近感を。アウェーではなくてホームかなと思うぐらいに親近感を覚えるような感じになってきました。この次世代のこと、それからSPring-8、SACLAの評価のことを通していろいろなことを議論しましたけれども、やはり日本の科学技術が抱えている問題点、考えなければいけない問題点のエッセンスが全部ここにあって、人材育成の問題、それから本当に先端で、なおかつ汎用と。そして、予算規模が限られた中で、いかに予算をやるかということで、国だけではない、民間、地方自治体、そういうような知恵の絞りどころの話。それから、やっぱりいろいろなものが連携し合って、いかに運営することの重要さというか、人の輪というか、その問題点が如実に出ていますし。
それから、もともと放射光というのは、国際、学際の際という、本当にこれから科学技術が置かれているものがきっちりと最初からそろっているというか。ということは、逆にこの委員会で議論して、具体的な良いイグザンプルを出して。アメリカとか中国に追従するのではなくて、我々日本の独自の在り方で、彼らより先に行くという。アメリカや中国はお金がたくさんあってばんばんやっていますけど、隠れたファクターとして、あっちは軍事とか、日本ではそんなことは考えられないことで、見えるところだけでそういうところで勝負したって、アメリカ、中国をまねしていても始まらないと思うわけです。だから、我々が本当に日本から1つのモデルを出す1つの科学技術の分野が、この放射光科学、量子ビームではないかなという思いをしていますので、ここでの議論は非常に重要なことだと思っています。
そういう意味で、29回ですけれども、疲れず楽しく、また需要性をもって議論させていただきました。いろいろと不手際もあったかと思いますが、どうも皆さんありがとうございました。
最後、勝野統括官からお願いいたします。
【勝野統括官】 これまで29回の間、この小委員会の御議論に御参加いただきまして誠にありがとうございました。特に最後の方では6回にわたりまして、SPring-8とSACLAの中間評価を頂いたわけでございますけれども、今日の御議論の中で、個別具体的な御意見と、それからもう少し本質的、あるいは共通的というか横断的というか、SPring-8を切り口にした我が国の科学技術システムの在り方全般に係る御意見と2つあったと思うのですけれども、前半の方の御意見については、できる限り今回の報告書にも盛り込んで、また整理をしていきたいと思っております。
それからもう一つ、SPring-8を切り口にした我が国の研究開発、システムの在り方につきましては、先ほど雨宮先生からも少しお話がありましたけれども、今日の午前中の別の部会でも御意見等あったところでございます。実は先週2月1日だったと思いますけれども、高等教育と研究改革のこれからの文部科学省の方針を大臣のプランとして公表したところなのですけれども、その中におきまして、研究開発については、研究の人材、それから資金、それから研究環境の整備、これを一体的に改革を進めていくということで、今後速やかに副大臣をヘッドとする省内のタスクフォースを作って、半年ぐらい集中的に議論して改革方策をまとめようという、今検討を進めているところでありまして、その中で特に研究環境の整備については、今日も御議論ありました、研究設備、機器をどう整備するか、あるいはそれをどう共用を進めていくかというような問題とか、それから、それを支える人材、特に技術系のスタッフの育成・確保、活用の場をどうやって整備していくかというようなことが、現在既に主たる検討項目として検討予定になっております。
そういう点では、この大型研究基盤の第1号であるSPring-8の20年の成果と課題の中からあらわれてきた、今御指摘のありましたような課題というのは、ある意味個別具体的なSPring-8の課題であると同時に、我が国の科学技術システム全体のこれからの方向性に関わる大きな課題ではないかなと思っておりますので、文部科学省としてもしっかりこの点については議論をしていきたいと思っておりますし、併せてここはまた担当課の方とも相談いたしますけれども、本日の中間報告の中のSPring-8の発展の方向性のところに、やはり我々として今、そういう問題意識をもってこれから改革を進めていこうとしている、その問題意識というのが大きな背景として、この発展の方向性とも絡んでいるというふうにも考えますので、もう少しその辺の問題意識を、専門家の評価の委員会と我々とはまたちょっと別ですけれども、やはり目指すべき方向性、問題意識というのは同じだと思いますので、そういう認識というのをもう少しにじむような形で盛り込む必要があるのかなというふうに私としては思っておりますので、そういう形でこのSPring-8の評価がこれだけにとどまらずに、これからの科学技術全般の在り方の方向性の先鞭(せんべん)をつけるようなものになるような、そういう形でまとめさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
それから、この委員会におきましては、夏までは次世代放射光施設の政策的必要性ですとか、それから、整備・運用の在り方、パートナーの選定等について、これもまた熱心な御議論を頂きましたところでございます。おかげさまで平成31年度の予算案に必要な経費を計上することができたところでございまして、今後31年度から本格的に次世代の方の整備も進んでまいるかと思っております。引き続きビームラインの整備に関する方針ですとか、施設の整備状況については、私どもとしてもフォローアップをしていかなければいけないと思っておりますので、この小委員会としては、一応今期これで一旦閉じるわけでございますけれども、関係の先生方におかれましては、またこういった課題について、引き続きいろいろな形で御協力、御支援をお願いしたいと思っておりますので、これまで29回の会議への御尽力に感謝申し上げるとともに、引き続きの御支援、御協力をお願いして御挨拶とさせていただきます。どうもありがとうございました。
【雨宮主査】 どうもありがとうございました。
それでは、事務局から連絡事項等よろしくお願いします。
【大榊補佐】 長期間にわたりまして御議論を賜りまして、誠にありがとうございました。今期の委員会はこれで終了という形にさせていただきたいと思います。
今日の資料でございますけれども、後日ウェブサイトにアップロードをさせていただきます。また、本日の議事につきましては、皆様に御確認を頂いた上で、文科省のウェブサイトに掲載したいと思ってございます。また、不要な資料、ドッチファイル等についてはそのままにしておいていただければと思います。
本当にありがとうございました。
【雨宮主査】 では、以上をもちまして、SPring-8、SACLAの第6回の中間評価、通算29回の量子ビーム利用推進小委員会を閉会します。どうもありがとうございました。

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