量子科学技術委員会 量子ビーム利用推進小委員会(第9期~)(第27回) 議事録

1.日時

平成31年1月16日(水曜日)10時00分~12時00分

2.場所

文部科学省 15階 15F1会議室

3.議題

  1. 今後の重点的な課題及び推進方策について
  2. 中間評価報告書(素案)について
  3. その他

4.出席者

委員

雨宮委員、内海委員、金子委員、小杉委員、近藤委員、高橋委員、高原委員、田中委員、宮内委員

文部科学省

勝野科学技術・学術総括官、奥研究開発基盤課量子研究推進室長、大榊研究開発基盤課量子研究推進室室長補佐

オブザーバー

理化学研究所放射光科学研究センター 石川センター長、理化学研究所放射光科学研究センター 矢橋グループディレクター、高輝度光科学研究センター 田中常務理事

5.議事録

【雨宮主査】 それでは、ほぼ定刻になりましたので、第5回SPring-8、SACLA中間評価を開催いたします。
今日は9名の委員に出席いただいております。欠席の委員は、石坂委員、石山委員、尾嶋委員、伊地知委員、岸本委員、北見委員、山田委員です。今日、御欠席がいつもよりも多いです。
本日の会議ですが、小委員会の運営規則に基づいて、公開という形で進めさせていただきたいと思います。
それでは、事務局より配付資料の確認等、お願いいたします。
【大榊補佐】 本日もよろしくお願いいたします。
配付資料の確認をさせていただきます。お手元の資料を御確認ください。議事次第のとおり、資料1-1から資料5まで、また参考資料を配付しております。また、机上のドッチファイルには、前回までの中間評価の資料等をとじております。なお、第4回中間評価の議事録でございますが、まだ先生方に御確認いただいてございませんので、議事録案という形でとじております。後日、先生方に確認いただいた上で差し替えることといたします。もし資料に不備等ございましたら、事務局までお知らせください。
以上でございます。
【雨宮主査】 ありがとうございました。
それでは、議事に入りたいと思います。今回も引き続き、SPring-8、SACLAの中間評価を行うことといたします。SPring-8、SACLAからは、理化学研究所の石川センター長、矢橋グループディレクター、また高輝度光科学研究センターの田中常務理事に御出席いただいております。
それでは議題(1)に入ります。事務局において、これまでの委員会での委員や有識者の方からの指摘のあった内容、それと前回の委員会の後に委員から寄せられた御意見についてまとめています。本日、議論いただくテーマを示した資料を用意していますので、事務局より説明をお願いいたします。
【大榊補佐】 それでは、資料1-1から資料2までを説明させていただきます。資料1-1は、前回までの中間評価における有識者からの発表の概要でございますので、お目通しいただければと思います。また、資料1-2は、前回の中間評価(第4回)での議論の概要ですので、適宜、御参照いただければと思います。
資料1-3を、少し詳細に御説明させていただきます。資料1-3は、第4回、前回の中間評価以降に伊地知先生から寄せられた意見をまとめたものでございます。少し御紹介させていただきますと、EBPM、いわゆるEvidence Based Policy Makingの関係の御専門であるというところもございまして、指標の話を、特にSPring-8とSACLAの中間評価における評価の指標について、御意見を頂いたところでございます。トップ10%論文の割合など論文に準拠したような指標を、今、直接的に用いることについては、やや懸念を示されているというところでございます。特に、理研、あるいは専用ビームライン、それから共用ビームラインと、それぞれ性格がございますので、その3つのビームライン群の割り振りも含めて、共用ビームラインに係る部分を適切に捉えることができるような指標群を用いるべきではないかという御意見です。
ページをおめくりいただいて、(資料1-3の)2ページ目でございますが、こういった指標の設定について、具体的にどのような指標を設定するとよいかということについて、指標の代表性とかデータの利活用性に大きく依存するので、施設の利用の内容に通じている方からの意見が当然欠かせないと書いていただいておりますが、指標を設定する際の考え方について例を紹介いただいてございます。
後ろの方に参考資料を付けてございまして、昨年の11月に文部科学省で、研究開発評価人材育成研修というのをやってございまして、その中で伊地知先生から発表いただいた資料でございます。つづりの最後のページを1つ前におめくりいただくと(資料1-3(別紙)の16ページ)、「アウトカムの例」というものが出てまいります。「インプット、活動、アウトプット、アウトカムの相互関係(例示)」と「アウトカムの例」というのが、それぞれ見開きのページに書いてございますが、すなわちインプットというのは、何かしらアクションをして、研究開発活動がなされて、それをアウトプットとして、例えば論文とかノウハウとか、そういったものが出てくるわけでございますが、それを実際に活用とか受容して受け手に生じる各種の変化をアウトカムと定義してございます。このアウトカムにも幾つか種類がございまして、長期的なアウトカムとか、媒質・非媒質のアウトカムというのがそれぞれございます。伊地知先生の御意見は、特に施設の評価に当たっては、非媒質アウトカムのようなものも考えて、例えば施設をユーザーが利用することができた利用時間などを、これは当たり前という部分かもしれませんが、利用時間がきちんと継続して得られているかどうかとか、そういった点を評価に使うべきではないかということを御指摘いただいたところでございます。また、製品とか発明とかに直接結実しなかったとしても、明示化、公開させにくいアウトカムという形で、ノウハウ、知識が蓄積されるといったようなことを指標として捉えるべきではないかということで、指標群というのを設定すべきではないかということを御意見として頂いているところでございます。
済みません。簡単でございますが、伊地知先生の御意見は以上でございます。
資料1-4の方を御覧いただければと思います。岸本先生から御提出いただいた意見でございます。今時点で、低エネルギーのX線と高エネルギーのX線、両方について、特に今、次世代放射光、軟X線向けの高輝度放射光源の完成後に様々な解析ができるようになった先を企業目線で考えた場合に、より実製品に近い環境で解析をすることが重要であるということで、これは産業界、学術界においても同じだということでございます。そうすると、軟X線と硬X線の相補的な利用が必要であるということでございまして、大型の放射光源について、これまでできなかった領域に、日本としてアプローチしていく必要があるというところでございます。今回の中間評価では、詳細な議論ができないということで、別の場ででも次世代の大型放射光としてのSPring-8の高度化について議論していくことが重要ではないかと書いてございます。特に軟X線については一歩遅れを取ってしまったけれども、高輝度な軟X線光源についての産業利用ニーズ、期待は大きかったということで、軟X線、硬X線の両方を生かした成果を創出するためにも、そういった観点が重要であるという御指摘を頂いたところでございます。
先生方からの御意見は以上でございます。
資料2を御参照いただければと思います。資料2はごく簡単に御説明させていただきますが、15ページにございますように、今までの論点整理のペーパーについて、「今後の重点的な課題及び推進方策」のところ、赤い四角と青い点線の四角で囲んでございますが、それぞれこれまで理化学研究所、またJASRIから御発表いただいた点でございまして、今回の御発表をもって、今後の重点的な課題と推進方策については、いずれも網羅的に一度、御発表いただくというところでございます。本日は赤いところを中心に御両名から御発表いただくということになるかと思います。
以上でございます。
【雨宮主査】 ありがとうございました。今、説明のあった資料について、何か御意見とか御質問とかありますでしょうか。
伊地知委員からはかなりボリュームのある資料を頂いています。資料2は中間評価に当たっての主な論点ということで、赤枠、青の点線のところを、今後、議論していくわけですが、いかがでしょうか。
それでは、特にないようですので、今日の発表に進んでいきます。理化学研究所と高輝度光科学研究センターから、SPring-8、SACLAの今後の重点的な課題と、検討されている推進方策等について、これまで議論し切れていない箇所を中心に説明していただきます。それぞれからの説明に対して、10分程度、質疑応答の時間を設けたいと思います。その後で中間評価報告書の素案について議論に移りたいと思います。
それでは、理研、JASRIよりお願いいたします。まず理研の矢橋グループディレクター、15分程度でよろしくお願いいたします。
【矢橋先生】 よろしくお願いします。私からの報告でございますが、「SACLAとSPring-8の発展の方向性」ということで、これ(資料3-1の2ページ~4ページ)は赤、青が少し見にくいのですが、論点整理ペーパーの今後の課題・推進方策ということで、これで、今回をもって一応、全ての項目を網羅したということでございます。
今回の目次(資料3-1の5ページ)でございますが、主に2点ありまして、SPring-8とSACLAの発展の方向性、それからSACLAを中心にした産業利用推進ということで進めたいと思います。
まず、XFELの国際比較ということから(資料3-1の6ページ)、SACLAの状況から始めたいと思いますが、SACLAは2012年から運用を開始しておりますが、先行するLCLSと、昨年までは2施設でやってまいりましたが、2017年から順に、韓国、それからヨーロッパのEuropean-XFELが動き出し、それからスイスのSwissFELがユーザー運転をもうすぐ開始ということで、基本的には5つの施設が稼働を始めております。これに加えまして最近では、中国・上海で、SHINEという計画がございまして、2025年に稼働を予定しているということです。これ(資料3-1の7ページ)が写真です。
それで(資料3-1の8ページ)、いろいろ出てきたなということですが、これらは大きく分けて2つのカテゴリーに分類できまして、1つは常伝導のライナック、線形加速器を利用した施設。もう一つは超伝導ということでございます。大きな違いは、パルスの繰り返しが低いか高いかということでございまして、常伝導の方は、SACLAは60ヘルツ、LCLSが120ヘルツということで、大体100ヘルツ前後ということでございます。一方、超伝導の方は非常に高い繰り返しが可能でございまして、メガヘルツというところが可能になってくると。一方で、1発のパルス当たりの強度というのは、繰り返しが高くなるとやはり限界がございますので、常伝導の方が高くて超伝導が低くなる。
あと、建設・運転コストというところも超伝導がかなり高額になっております。2つ、ドルが書いてありますが、これはSACLAの建設予算とEuropeanを比較したもので、1つが200億円単位ということで、超伝導は非常に高い。オペレーションコストも高い。
一方で、検出方法、実験方法でございますが、例えば検出器や試料の交換というところでございますが、常伝導、100ヘルツ程度のところだと、パルスごとに弁別可能と書いてありますが、1つのパルスが1つの実験として扱うことができます。一方で、超伝導の場合、例えばメガヘルツになると、2次元イメージをメガヘルツで検出したり、試料をメガヘルツで交換したりするのは非常に難しくなっておりますので、パルスごとにできるのは大体10キロヘルツ程度まで、それ以上になると、もう連続的に見るということで、これは、いわゆるCW光源、放射光と近い形になっております。
実例として、常伝導としては、SACLA、LCLS、それからSwissFEL、PAL-XFEL、超伝導が、European XFEL、それからLCLSのアップグレードの計画、更に中国・上海のSHINEということでございます。
それで(資料3-1の9ページ)、こういう状況で、SPring-8とSACLAを2つ併せて持っている我々がどういうふうにやっていくかということを考えておりますが、やはりこれは同じサイトにある2つの光源を相補的に活用して、2つ併せて世界最先端をキープしたい。このときに、超伝導でメガヘルツ領域をやっていくかどうかという判断もありますが、我々としてはむしろ、メガヘルツのCWに近い領域については、SPring-8、リングを活用することで、かなりの部分が超伝導のXFELに対抗できるのではないかと考えております。一方で、SACLA、常伝導XFELの高繰り返し化も、これはメガヘルツというところまでは言いませんが、例えばキロヘルツ、10キロヘルツといったところについても、長期的なR&Dとして進めたい。
それを模式的に表したのが次の絵(資料3-1の10ページ)でございまして、高輝度放射光源があって、この上側が、いわゆるコヒーレント光源というXFELでございます。今、常伝導ライナックから100ヘルツ級のXFEL光源ということで、SACLAはここにありますが、一方で、超伝導ライナック、メガヘルツの光源がここに来ている。ただ、これは2つ大きな目的があって、パルス的な、一発一発で実験をする使い方。もう一つはCW的、まとめて使う使い方というのがあって、一発一発のところは、SACLAの常伝導の技術を更に発展させることで、10キロヘルツ級まで繰り返しレートを上げていきたいという戦略を持っております。一方で、CWのまとめて測定する方は、今、SPring-8はここでございますが、これを、回折限界級のSPring-8-IIという形で、まずアップグレードをする。ただし、これはまだいわゆるカオス光源でございますので、更にその先は、本来であればリング型のXFEL型光源というのが、やはり一番望ましいわけですが、ここは技術的に大きなジャンプが必要ですので、長期的な話になります。施設の計画としてはこのように考えております。
一方で、うんと足元に戻りまして、産業利用推進に関して、SPring-8の方は大分御議論を頂きましたが、SACLAの方はまだ不十分ですので、今回少し御説明したいと思います。このスライド(資料3-1の11ページ)は以前もお見せしましたが、SACLAのところは、非常に先端的な光源であって、産業利用にも期待されていましたが、なかなか使っていただくのが難しいということがあり、理化学研究所で産業利用推進プログラムというのを準備しまして、試験的な利用を含めて産業界のニーズを酌み取るということをやってございました。この成果、結果が出てきまして、いわゆる一般課題のところは成果専有課題にもつながっている。例えば、一般課題のところも常に数課題、3課題から5課題ぐらいの応募を頂き、実験もしていただいているという状況で、成果もどんどん出てきている状況でございます。
ただ一方で、これはSPring-8と違いまして、SACLAの場合、やはりリソース、特にビームタイムのリソースが限られているという、大きな問題がございます。これ(資料3-1の12ページ)も、SACLAの共用課題選定の状況ということで、半期ごとのものを示してございますが、例えば課題採択率というところがやはり6割前後で行ったり来たりで、更にメインのビームラインのBL3というところに至っては非常に競争率が高い。海外も含めて競争率は高うございますので、やはりここをうんとたくさん押しのけて産業利用が入れるかどうかというところは、なかなか難しいところがあります。
したがって、SPring-8と同じ戦略はなかなか適用はできませんが、一方でやはり芽出しのところは非常に重要ですので、先ほどの様々なプログラムも含めてしっかりやっていきたい。ただ、芽が出た後、どうやってボリュームを稼いでいくかというところが難しいところでございまして、一応、ここで我々は2つ考えておりまして、1つは、典型的なアプリケーションを容易にする装置作りと書いてありますが、これは特に学術の方、例えばバイオのところでSFX、タンパク質結晶のシリアル構造解析のプラットフォームというのを作ってきましたが、これは当然、学術、バイオだけではなくて、例えば産業利用の材料開発といったところにも当然役に立つはずでございますので、こういったところに展開できないかというところをいろいろ考えております。もう一つは、SACLAで、今でないとできないわけですが、本来であればSPring-8-IIというか、高輝度な次世代リングが望ましいアプリケーションというのはいろいろございまして、そこに向けて考えていきたい。
それで、1つ、これはお手元の資料にはございません。このスライド限りでございますが、実例ということで、最近出てきた成果で、これもSACLA産業利用プログラムから発展した成果でございますが、新日鐵住金さんがSACLAを使っていただいて、これは鉄材料、鉄鋼材料を急速に加熱したり冷却したりして、その条件下における構造解析をしたという例でございます。詳しくは論文が出版されたタイミングで御報告したいと思いますが、ポイントとしましては、SACLAのXFELで測るのは簡単なのですが、この状況をどうモニターするかというのが難しいわけですが、この場合は高速の計測器によって温度をモニターしながら測定が行われています。
こういうアプリケーションは、今、SACLAでないとできないからやっているわけですが、本来であれば、次世代大型光源の方が望ましい。というのは、やはり一過性とか、あと繰り返しが効かないような系を動画で見ていくというのがやりたいわけで、今回、SACLAではそこはできないので、1パルスごとに、セットアップと温度の条件をモニターしながらやっているわけですが、本来であればリングでやっていくのが望ましい。
ただ、そのような利用をSPring-8-IIまで待ってくださいというわけにもいきませんので、我々としましては、前回も少しお話ししましたが、ビームラインの部分の高度化を先行して、産業、学術の先進利用を展開したいと考えておりますが(資料3-1の13ページ)、この進め方についても是非、先生方の御意見を頂ければと思います。
これ(資料3-1の14ページ)はまとめのスライドでございまして、いろいろな御提案も含めてさせていただきましたが、この先の5年間は3GeV光源もできまして、当然、SPring-8も変わっていかないといけないという極めて重要な時期でございますので、そういうことも含めて、いろいろな御提案をさせていただきました。本中間評価もあと残り2回ということで、これまで委員の先生方にはすばらしい御意見を頂きまして感謝しております。最後まで是非、忌憚(きたん)のない御議論を頂きまして、レポートいただければと思います。どうもありがとうございました。
【雨宮主査】 ありがとうございました。では、続けて御説明いただいて、後でまとめて質疑応答の時間を取りたいと思います。次はJASRIの田中常務理事、お願いいたします。
【田中常務理事】 それでは、今後の重点的な課題及び推進方策に関して、資料3-2で御説明しますので、紙面を御覧いただければと思います。
本日の目次(資料3-2の2ページ)ですが、地域全体の利用促進、そしてオープン・イノベーションの推進に関する取組に関して御説明をいたします。
(資料3-2の)3ページ目になります。地域全体の利用促進ですが、地域研究基盤の一体的活用ということで、兵庫県との連携を検討しております。ニュースバルのビームラインとSPring-8の相互的利活用の可能性を今後検討していきたいと思います。兵庫県の放射光ナノテク研究所、右側の地図の真ん中辺にあります。ちょうど同じ敷地内にあるのですが、この研究所との連携、そして研究所には先端設備がありますが、そういった先端設備や実験室等の有効活用の検討、そして人材の交流、共同研究などを今後検討してまいりたいと思っております。
普及啓発と情報発信に関してですが、地域ユーザー拡大のための取組として、これまでもいろいろとやってきてはいるのですが、研究会、講習会を共同開催することを強化していきます。秋の学校、これは座学が中心になるのですけれども、秋の学校における地域産業界からの参加枠を確保して、参加を推奨していくなど、今後行っていきたいと思います。
では、(資料3-2の)4ページ目に行っていただいて、オープン・イノベーションの推進に関する取組について御説明いたします。有用な利用制度の整備ということで、これは前回、少し触れさせていただいたのですけれども、成果公開優先利用課題というのが現在ございます。ここを拡大して、産学連携利用枠の新設を現在検討しております。これまでの成果公開優先利用課題は、競争的資金による利用料によって実施してきたものですが、今回これを拡大して、優先利用の利用料を、企業資金を想定するということで、検討しています。利用実験終了時に成果専有への切替えも可能です。そして、課題審査は簡素化されるということで、ビームタイムを優先的に配分するという制度です。できましたら2019Bより実施いたしたいと思っております。
利便性向上の取組ですが、IoTを活用したユーザビリティー、そしてアクセシビリティーの向上を、今後目指していきたいと思います。SPring-8の利用成果、そして専門家の情報の検索ツールの強化、これはITの技術を使ってですが、それから研究内容に適した課題種の選択をスムーズに行えるようなシステムを検討していきたいと思っております。ビームライン・手法の横断的な支援体制を確立し、これも前回御説明しましたが、産業利用ビームラインが3本ありますが、この3本以外の23本のビームラインを使った先進技術活用による産業応用課題など、間もなく実施となりますが、行っていきたいと思っています。それから、コーディネーター機能の強化という御意見が、この委員会の中でも何回かあったのですが、JASRIのグループリーダーによるコーディネート活動の推進と強化を考えています。それから、JASRIスタッフ以外へのコーディネート活動の協力、これはコーディネーターをやっていただくわけではないのですけれども、リエゾンをやっていただくとか、それからリンクマンですね。エンドユーザーとJASRIとの間でハンドシェークがうまくできるような、そういったことをやっていただけないかということで、協力の依頼をいたしたいと考えております。これは山田委員からありましたがSPRUC、それからSPring-8利用推進協議会、パートナーユーザーなど、今後お願いしていきたいと考えております。
(資料3-2の)5ページ目の方に行っていただいて、ちょっと見にくい図になっていますが、これまでいろいろと発表してきましたところを、絵にしております。まずユーザーのアクセシビリティーを向上。これは、必要な情報、欲しい情報になかなかすっとうまく近づけない、手に入らないという御意見が、この委員会の中でもいろいろ御議論されました。ここを向上させたいと考えております。産学の連携及びオープン・イノベーションの推進へとつなげていきたいと考えています。この図の中で赤い字、ちょっと茶色っぽく見えているのですが、赤い字の部分がユーザーのアクションです。その下の黒い字の部分がJASRIの取組と、分けて書いてあります。まず利用成果の検索と専門家情報の入手、1のところですが、これを入手していただいて、右側の2の方に行って、専門家へのコンタクトを取っていただく。必要な情報へ的確に誘導するということを考えています。共同研究計画を立案していただいて、SPring-8を利用する。そして、最後に成果を創出し、公開していただくということで、ステップごとに適切に支援することを推進していきたいと思っています。
最後のページ(資料3-2の6ページ)になりますが、JASRIの取組について次のページを御覧ください。6ページ目です。左側がユーザーのアクションになります。お時間が来ましたので簡単に。右がJASRIの取組ですが、IoTを活用したユーザビリティーの向上。先ほど申し上げました、コーディネート機能も強化いたしたいと考えております。研究支援の強化として、課題の申請の支援やサポートシステムの検討、ビームラインの横断的な利用、そして利用制度の整備、最後に情報公開制度の整備として、オープンデータ、それからオープンアクセス、いろいろと強化してまいりたいと、今後取り組んでいきたいと思っております。
以上で終わります。
【雨宮主査】 ありがとうございました。それでは、今のお二方の説明について、御意見、御質問等があればよろしくお願いいたします。
【小杉主査代理】 最後の御説明のコーディネートのところ、いろんな切り口があると思うのですけれど、特定のビームラインでもっと深く使いこなしたいというような辺りのコーディネートと、試料を持ってきたときに、どういう手法を使ったら良いかとか、1つの手法ばかりではなくて組合せとか、その辺のコーディネートがあると思いますが、JASRIのグループリーダーというのはどういう位置づけなのですかね。試料を持ってきたときに、その試料の分野で使えるいろんなビームラインを知っていて、こういうことができるという側のグループリーダーなのか、あるいは特定のビームラインを深く掘り下げて使いこなすという側のグループリーダーなのか。どういう……。
【田中常務理事】 専門性はあるにせよ、前者です。組織的な話をしますと、グループの下にチームがあって、チームにもチームリーダーがいて、そこにビームラインの担当者が、あるビームラインの何本かをひとくくりにして、チームが面倒を見ています。そのチームが2つあるいは3つで1つのグループを形成していて、ここのグループリーダーは、自分の下にあるチームが見ているビームラインに関しては熟知しているはずなのです。知っているはずなのです。ですので、そこの面倒を見ているビームラインの全てに関しては、こういう試料を測りたいのだけどという、例えばお問合せがあった場合は、答えられるはずなのです。それはむしろ答えられなければいけない。ですので、そこは本来、できる状況にあると考えていますので。それで、研究オリエンテッド、もちろん大事なのですけれども、それに加えて、そういった外部からのお問合せとかコーディネーション。コーディネーターになるわけではないのですけれど、コーディネーションのところも少しやってほしいなと。中間管理職になって、ただただ管理的な仕事をするのではなくて、そういうプロモーションといったところも、もっともっとやってほしいなというところがあって、やっていこうと考えているところです。
【小杉主査代理】 基本的には若いときは研究から始まっているので、研究の目は持っていると思うのですけれど、上に行くほどそれが抜けてくる。だから、JASRIとして人を育てるという点。研究をちゃんと残していくというスタイルを持っていけば、多分、上の方へ行っても、そういう目はずっと維持できて、いろんなコーディネート機能がちゃんと維持できると思うのですけど、そのあたりですね。
【田中常務理事】 現場の人たちは、若い研究員がビームライン担当者になってユーザーさんと対応しているのですけれども、そういう現場の研究者にコーディネーション機能をもっともっとというと、研究のウエイトが下がってくると、田中委員が御指摘されましたけど、士気も下がるし、能力的にも下がってくるから、そういうのはよくないというのがありました。確かに若い人には、がんがん研究もしてもらいつつ、ユーザーのサポートもしてほしいと、バランス感覚が大事だと思っているのですけど、上の人たちは、その経験値を基に上がってきているはずですので、そこのところをうまく使ってコーディネーションをやってもらえればと考えていますので、そこを少し強化していきたいと思っています。
【小杉主査代理】 あと、タコつぼに入らないように、少し主導的にほかのところへ移していくとか、そういうのが将来につながると思うのですけれども。
【田中常務理事】 そうですね。スペシャリストは非常に重要なのですけれど、ゼネラリストとしての目線も重要だと思っています。ありがとうございます。
【田中委員】 済みません。
【雨宮主査】 どうぞ。
【田中委員】 小杉委員にかなり近い印象を持ちました。何回も議論されてきていて、田中良太郎理事も十分聞いているから理解はされていると思いたいのですが、説明を聞いていると、確かに、すごく言葉はきれいで、アメリカのコンサルタントの説明のようにスマートなのですが、何というのでしょう、耳触りは良いけれど具体性もないし、何というのかな、どうやるのだろうというのが見えてこない。今みたいな抽象的ことは、言うのは勝手というか、言えますよ。でも、どうやって結果を出すのでしょうか。逆に自分の立場で本当に結果を出そうとしたときには、やっぱりもうちょっと具体的な話というのか、何か具体的なビジョンを考えませんか。それでグループリーダーに、かなり人に期待しているのですよね、結局。だけど、期待しても本当にそうなるかどうかというのは、システムに依存します。トータルシステムの話が重要ですよというのは、ここでも何回も議論してきたと思います。2つの相容(い)れない課題をやるというときにさっきも正に小杉さんはそこを気にされていろいろと言われていましたけれど、継続的に研究者をencourageし、サイエンスがやれる環境を作りながら、どのようにして実験に来るユーザーにも十分なサービスを提供するのか、言うのは簡単だけど、実現するのは本当に難しいですよね。この間、事実誤認で怒られてしまったのですが、そういうことを実践されているところも日本にはあるようです。けれども、これは本当に、言うのは簡単だけどやるのは大変だと思います。そんなにストレートフォワードにそこに行けるのだろうかという懸念がありますね、長らくSPring-8にいて現場を見ている者として。そこはぶっちゃけ、どうなのですか。本当にどういう改革をされるつもりなのですか。言葉は大変きれいだったのですが。
【田中常務理事】 まず、もう少しグループリーダーの説明をした方が良いと思うのですけど、グループリーダーは、グループリーダーを本務にしてほかに何もしないとなると、正に管理だけやるような中間管理職になってしまって、浮いてしまうのです。そうならないように、できるだけですけれども、グループリーダーはチームリーダーを兼務するように、組織的にはやっています。兼務するということは、現場を知っているということが大事だと思っているので兼務してもらっています。それで、この委員会の中でも、欲しい情報になかなかたどり着けない。それから、手を伸ばした、その手を握ってくれる先がなかなか見当たらない。どうして良いかよく分からないという御意見が幾つもありました。
そういうのを、一体、JASRIとしてどういうふうに強化していこうかなと考えたときに、こちらの情報発信がまずいのだなと少し考えています。それは、情報発信の仕方、それから量もそうなのですけど、足りていないのではないかなと。今日はIoTという話をさせていただいたのですけど、もっともっと、JASRI側が出しているユーザーの皆さんにとって欲しい情報を、分かりやすく発信するようなシステムに持っていかないと、たどり着けないのではないか。その辺が、たどり着きやすくするように。ただグループリーダーにアクセスしていただければ良いですよと言っただけでは、やっぱり駄目だと思います。それは御指摘のとおりです。なので、そこを、もっともっとたどり着きやすいようなやり方を、今考えているのはウエブですね。ポータルサイトのようなものを見やすく作っていって、できるだけたどりやすいようにしていったら良いのではないかなと、これは1つの方策ですけど、それは考えてはいます。
【雨宮主査】 小杉委員。
【小杉主査代理】 何でも相談に対応しますよというのでは多分駄目だと思います。我々研究者は論文を見て、こういう研究、実験が、SPring-8でできるのだと。それを見て、できないかと来るわけですけど、でも決してそういう人ばかりではない。試料を持っている人は、何をやって良いかが分からない、ただSPring-8で結構、いろいろ分かりそうだと思ってくる人だと思うのです。そういう人をちゃんと指導するには、何でもできるというよりは、SPring-8では、こういう分野とこういう分野、こういう試料については特に強みがあるので御相談に乗りますとか、そういうのを出さないと、一件、ウエブで相談に乗りますよというだけでは、多分人は来ない。こういうところを強化しているのだというのが外に見えれば、どんどんそういう分野がSPring-8で広がってくる。見せ方として、何でもではなくて、この分野とこの分野については特に、SPring-8は世界に誇る成果を出せる設備が整って、いろんなビームラインが使えますというような柱をちゃんと見せないと、多分、SPring-8の生かし方としても良い方向に行かないのではないかなと思います。柱を見せずにやると、無理にSPring-8を使わなくても良いような研究の相談が来たりするわけですよ。そういうのは、SPring-8からほかの施設を御紹介するというようなところまでできれば、それはもちろん日本にとっては非常に良いのですけど、そこまでの対応は一施設では無理。光ビームのプラットフォームで横断的に産業利用に対応していますけど、実際はなかなか難しい。
【田中委員】 本当にそこまで分かる人材が何人もいて、自分のところに呼び込むべきものなのか、そうではないのかというところもガイドできることが理想的です。分析会社のそういう機能が重要という指摘もありましたよね。この点に関して、SACLAはうまくいっているなと私は感じているので、矢橋さんにこの後、コメントをしていただければと思います。ビームラインも含めた光源の特性を理解していれば、そういうことというのは、完璧ではないにしても、ある程度分かると思う、これはここでやるべきなのか。例えば愛知に行っていただいた方が良いのか。先ほど、産業ビームラインが3本ありますが、ほかのビームラインでも産業利用が可能なようにという議論がありました。しかし、そもそも論として、今の3本の産業ビームラインでやっていることが本当にSPring-8でやるべき産業利用なのかどうかという、まずはそこから再検討すべきでしょう。そのプロセスがあってから、その先という気がして聞いていました。
話が脱線しましたが、元に戻って、実験に対する光源の適正も判断できるような、そういう人たちがビームラインにちゃんといて、そうするとユーザーも信頼して、安心感をもっていろいろと相談できるわけです。そういう人を育てようとしたら、やっぱり、小杉先生も言われていたけれど、研究者は研究が、常時というか継続的にできて、サポートもできる環境が必要。そういう組織としてのインフラがちゃんとそろっていて、タスクの機能の分離ができており、研究者は研究者がやるべき仕事にフォーカスできる環境、それをファシリティーが組織としてサポートするという、やっぱりそこをちゃんと作っていかないと、駄目だと思う。それをやらずして、小手先のことをやっても、ちゃんと実態に反映しないと理解しているのですが、矢橋さん、何か補足いただけませんか。
【矢橋先生】 SACLAの例とSPring-8の例は少し違うとは思うのですが、やはりこれも何回もこの場で議論になりましたが、SPring-8が非常に大きな施設でございますが、そのあるセクターの中として話をしても、なかなかいかないところがあって、もちろんJASRIのグループリーダーもしっかりやっておられますが、分野によっては、例えば専用ビームライン、NIMSの坂田ステーション長は材料科学分野を積極的に呼び込んでやっておられます。また、理研ビームラインだと例えばBaronさんがInelastic Scatteringの分野で世界的に活躍していますが、そういったところを、俯瞰し、役割分担をしながら全体をコーディネートするような機能がないと、なかなか局所最適化に落ち込んでしまうのかなという気がしています。学術もそうですし、産業もいろいろなレイヤーが必要だという話はございましたので、例えばある部分は、前回もありましたが、兵庫県さんにお任せできればやっていただく。ただし、このときに、全体を統括する機能が、今のところ欠落しているという気がしています。
【雨宮主査】 ほかの視点についても。
【金子委員】 では、コーディネーターのつながりのお話でいきますと、社内でも同じようなことが起きるのです。特に、うちみたいな自動車会社ですと、同じ材料ばかりではなくて、金属から樹脂からいろいろなサンプルが来るということで言うと、ある程度、その材料に通じた人が、どういう分析をすれば良いかというのを、社内でもコーディネートするわけです。前回も分析会社の話をしましたが、やっぱり鉄鋼系の分析会社さんは、鉄鋼の分析手法に関しては非常に精通していて、例えば、そのメカニズムが知りたければ放射光だけではなくて、透過電顕も使った方が良いですねとか、いろんな分析手法を知った上で、やっぱりこれはSPring-8でないとできませんという話を提案くださるような形なのです。それでいきますと、やはりある程度、材料に通じたコーディネーターの方がいてくださって、もちろん放射光にも通じた方で、更にほかの、放射光でない分析手法も使ってやると良いですよというような方がいてくださると、一般の企業の人間としては大変助かると思います。
あいちシンクロの場合ですと、例えば豊田中央研究所の、定年された方が、コーディネーターをされたりしています。なので、例えば分析会社等でリタイアされた方など、産業界の言葉も分かる方がコーディネーターになっていただけると、大変有り難いです。学術の方たちと産業界の人では、通訳機能も必要な部分もあると思うので、そういう方たちがコーディネーターをしてくださると非常に敷居が下がるのではないかなと個人的には思っております。
以上です。
【石川先生】 施設側からコメントします。オープン・イノベーションと言うときの「オープン」がすごく大切なような気がして、このオープンというのは、例えば登録機関に閉じたり施設側に閉じたりユーザーに閉じたりする話ではなくて、もっと広いところでイノベーションを目指してやっていくというのが重要ではないかと感じました。そのときに、今のコーディネーターのお話ですが、コーディネーターも多分、どこかに機能を完璧に作ることは難しいので、正にオープンな形で、時間の関数として組み替わっていくような形のコーディネーション機能というのがうまく作れると、SPring-8だけでなくて、例えば日本の放射光全体を見回して、SPring-8ではなくてこっちの方が良いですよ、などと言うこともできます。このオープンという考え方を深めていくことが必要だと思います。そのときにユーザー支援をどうするのかが問題になります。今は法律で、ユーザー支援は登録機関がやるということになっていますが、SPRUCとか、放射光学会とか、何かもう少し広いところで、サイエンスと産業利用をバックアップするような仕組み作りができないかなということを感じました。
以上です。
【雨宮主査】 どうもありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。
【高原委員】 よろしいでしょうか。
【雨宮主査】 どうぞ。
【高原委員】 今ちょうどその図が画面にありますけれども、情報公開制度整備のところで、一番下のオープンアクセスというのは、どういうもののオープンアクセスを意味しているのでしょうかということで、例えば論文とか学位論文とかですと、かなり著作権的にクリアしなければいけないところがあり、それぞれの学会などによっても異なりますが、どういう意味のオープンアクセスかというのをお尋ねします。
【田中常務理事】 前回ちょっと触れたと思うのですけど、まずできるのは、SPring-8の成果集です。これは、レフェリーがいて、作者がいて、成果集に出していただいたものは、もうオープンになっていますので、まずそういったものをとっかかりにしていきたいと思っています。
【高原委員】 これを更に大規模化にするのでしょうか。
【田中常務理事】 ここから先は、前回もオープンデータのディスカッションのときに、データをどういうふうに公開していくかという御議論がされたと思うのですけれども、アクセスは飽くまでもペーパーに対してのアクセスですけれども、我々ができることとしてはSPring-8の成果集ですけれども、それに加えてデータに関しては、今後、標準的なデータとして、産業利用推進室が測っているXAFSのデータとか、HAXPESもあるのですけど、そういうものを限定的に公開しているのですけれども、今度はユーザーさんのデータの公開といった動きが出てくるのではないかと思っていますので、その辺のところの検討を少しずつ始めているというところですので、まだ実験データに関しては少し時間が掛かるかなと思ってはいます。
【高原委員】 そこでは、データフォーマットに関する議論というのは、もうかなりなされているのでしょうか。
【田中常務理事】 データフォーマットに関しては、メタデータに関してはNIMSと共同で今やっているところです。実験データそのものに関しては、例えばHDF5とかNEXUSとか、いろいろあると思うのですけれども、あるいはヨーロッパだとPaNdataという、FP7でできたものがあるのですけど、世の中の傾向といいますか、世界の情勢と日本の中の情勢と、いろいろと見ながら、その標準化を考える必要があります。我々だけでは、その標準といってもガラパゴスになってはいけないので、そこは議論させていただければと思っています。
【高原委員】 ですけれども、多分、産業界は、構造データだけではなくて、物性データなども含めた包括的なものをやはり要求していると思いますので、やはり単独ではなかなか難しいところもありますので。
【田中常務理事】 正にそうです。
【高原委員】 そのあたりを連携して是非やっていただければ良いのではないかなと思うのですけれども。
【田中常務理事】 はい、御意見として伺いました。
【雨宮主査】 ほかにいかがでしょうか。
【田中委員】 ではちょっと。
【雨宮主査】 どうぞ。
【田中委員】 全然違うコメントをさせていただきます。矢橋さんの話の中の、光源の進化の説明がありました。軟X線がようやく遅れを取り戻す体制になりましたが、世界的にはハードX線の方でも、光源の進化というか高度化の進展があり、かなり激しい競争にさらされていてという話がありました。そこの回折限界級リング光源というのが、多分、今のSPring-8のアップグレードに対応している部分で、これも、今の世界のトレンドからすると、早晩に、立ち上げていかないといけないようなタイミングにあると思います。SPring-8はトップランナーとして、かなり長い間とどまることができたのですが、今後もそのフロントローポジションを守っていくことを考えると、タイムリーなアップグレードを考えていく必要があります。そのあたりはどうですか。
【矢橋先生】 多分、次のディスカッションでもされると思う。
【田中委員】 分かりました。ではそこで。
【雨宮主査】 それでは次の議題に進んで、そこでまたディスカッションの時間を取りますので、何かあればまたそこで議論をお願いいたします。
それでは議題(2)に入ります。事務局において、これまでの議論で示された指摘などを踏まえて中間評価報告書の素案を作成しています。こちらについて、事務局より説明をお願いいたします。
【大榊補佐】 それでは、資料4の中間評価報告書の素案について御説明させていただきます。資料4を御覧いただければと思います。
既に報告書のような形にしてございますが、飽くまで素案でございます。おめくりいただきますと、目次が書いてございまして、全体の報告書の構成を先に御説明させていただきますと、まず1に、「はじめに」というのがございまして、この評価の位置づけですとか、周辺状況、どういった内容の評価を今後するのかというようなことを少しかいつまんで書いたものでございます。2のところにありますのが、「大型放射光施設SPring-8について」ということで、「SPring-8の概要」と「前回の中間評価での主な指摘事項に対する対応」というのを書いてございます。同じような形で、3にSACLAの方を書いてございまして、3(1)に「SACLAの概要」、(2)に前回の事後評価、これはSACLAの事後評価でございます。平成23年の評価でございますが、この事後評価での主な指摘事項に対する対応。それから関係機関における評価、これはCSTPの評価でございますが、この関係機関における評価での主な指摘事項に対する対応と、それぞれ記載しております。それから4のところにありますのが、「今後の重点的な課題及び推進方策」ということで、今、正に御議論いただいたような内容も含めて、今まで出てきている御意見をまとめているものでございます。最後に、「おわりに」ということで、必要な付け出しなどがあれば、ここに書いていくと。そのような構成になってございます。
少し中身を御覧いただきますと、(資料4の)2ページ目から、SACLAの評価、15ページのところまでの間は、前回の中間評価での指摘事項等々を書いており、例えば本日御説明した資料2と、ほぼ同じ内容を転記するような形で記載してございます。今まで、前回までの指摘とそれに対する対応状況というのを書いてございましたので、それをなぞるような形で報告書にそのまま転記してございます。基本的中間評価にありますような前回の指摘に対する対応というのは、(資料4の)2ページから15ページまでの間で書いておくということでございます。
なので、その部分はちょっと割愛させていただいて、(資料4の)16ページのところを御覧いただければと思います。(資料4の)16ページに、「今後の重点的な課題及び推進方策」ということで、第3回目、2回目の後半以降はずっとこちらの方を中心に御議論いただいてございますが、先ほどの資料2にありました、事務局で整理した論点整理と、それからその論点に対応して、委員の皆様又は有識者の先生、あるいは理化学研究所、JASRIから示された指摘、御意見を、「委員等から示された指摘」というところに、それぞれの論点に対応して記載しているものでございます。例えば「SPring-8の今後の発展の方向性」というところで申し上げますと、高度化の話ですとか周辺施設の話というものが委員の先生から御指摘がございましたので、そういった内容を下のポツにそれぞれ書き込んでいるところでございます。
おめくりいただいて(資料4の)17ページのところを見ていただくと、SACLAについて書いてございますが、SACLAの今後の発展の方向性、またSPring-8、SACLAに共通するような経営基盤の強化、イノベーションエコシステムの形成というようなところについて、これまで論点整理のペーパーでもって論点を書いた内容に対して先生方から御指摘を頂いた内容をそれぞれ記載しております。先生方からの御指摘に加えて発表資料等も一部参照して、事務局で一度整理して、意見のような形でまとめたものでございます。
(資料4の)18ページに「研究成果の最大化」、それから20ページに「産学官共用による利用促進」、また21ページに「人材育成及び国民理解の醸成」ということで、それぞれの項目、論点整理の項目をそのまま引いてきて、列記しております。
特に今回は素案でございますので、これを報告書のような形にまとめる際には、論点の部分はもう少し論点らしい書き方に変えますし、あるいは委員から示された御指摘につきましても、もう少し方向性を打ち出すような形の記載にしたいと考えてございます。あわせて、高度化の話もそうなのですが、飽くまで今回は、SPring-8、SACLAの5年に1度の中間評価というところでございますので、今回の中間評価の位置づけというのをきちんと踏まえた上で、報告書という形で整理したいと考えてございます。先生方の御意見によっては、突っ込んだ部分もございますが、評価という観点、背景を踏まえて、一度、事務局で整理した上で報告書という形にまとめていきたいと思ってございますので、そこは御容赦いただければと思います。なので、委員から示された御指摘が、そのまま報告書に載るというものではございませんので、そこはあらかじめ御容赦いただければと思ってございます。
特に4ポツのところ、(資料4の)16ページ以降から22ページまでを見渡していただきますと、これまで御意見が多く出てディスカッションを頂いた部分と、必ずしもそう御意見が多くなかった部分というのはございまして、多少濃淡がございます。特に本日は、例えば17ページの下の方にございますような「施設を最大限に活用したイノベーションエコシステムの形成」ですとか、(資料4の)19ページにあるような、「ビームラインの有効利用による研究成果の最大化」の点、実際に既設のビームラインをいかに有効活用して成果を最大化していくかという点、あるいは20ページにございますような、「産学官共用による利用促進」ということで、「利用者本位の施設運営」、また「多様な利用者支援」ということで、例えば課題の選定、審査の時期、タイミングといったようなものを今後増やしていくべきなのか、今のままで良いのかとか。そういった、やや具体的な議論も頂ければ有り難いかなと思ってございます。更に(資料4の)21ページをおめくりいただいたところで、例えばパワーユーザーの獲得の話ですとか、また人材育成、国民理解の醸成ということで、人材育成のところも従前から御議論いただいていますが、また御議論を頂ければと思いますし、「施設の広報、プロモーション」も非常に大事でございますが、御議論が今まで必ずしも多くございませんでしたので、特に4の項目の後半部分を中心に深掘りして御議論いただけたら有り難いかなと思ってございます。内容には余り踏み込んでございませんが、説明は以上でございます。
【雨宮主査】 ありがとうございました。今、御説明いただいた報告書の素案、特に4のところ、(資料4の)16ページですね、「今後の重点的な課題及び推進方策」について、これまでの議論も踏まえて御議論をお願いしたいと思います。それから、今、説明がありましたけれども、必ずしも十分に議論というか、更にもうちょっと議論してほしい点について、事務局の方から少しポイントが示されましたけれども、もちろんこれ以外、トータルに、これから少し時間を持って議論していきたいと思っています。
それではしばらく議論していきたいと思います。今日のお二方の発表のこととも絡んできますので、適宜そこを含めて議論できればと思っています。よろしくお願いします。
【高原委員】 よろしいですか。
【雨宮主査】 どうぞ。
【高原委員】 ビームラインの有効利用のところなのですけど、先ほどビームタイムの申請時期というのも少し触れられたかもしれませんが、成果優先課題の申請なのですけれども、現在、いろいろな大型研究は必ずしも申請時期にマッチした形で採択通知が来なくて、そのために半年間を何とか別のやり方でしのがなければいけないなどということがあるのですが、そういった場合に、こういう成果優先の課題が、かなり例えば4分の1、半期ごとというか、3か月ごととか、そういった形で申請することができれば、かなり効率的に、そういう大型の研究費を活用した形で、有効な、かなり成果が出る仕事を活性化できると思いますし。それで、もう一つ、今日、田中さんのお話であった、産業界の成果優先課題ですか、それに関しては、先ほどのお話だと、企業からの申請ということを主体にお話をされたような気がするのですけれども。
【田中常務理事】 いや、産学という想定ですけれども、資金としては企業の資金で。
【高原委員】 企業の資金で、例えば民間との共同研究で大学に入ってきたものをうまく活用するということをやれば、かなり。そのとき、今は、申請書にSPring-8をどういうふうに使用するということをちゃんと書いていないと、申請できない仕組みになっているのですかね。
【田中常務理事】 そういう意味では……。
【高原委員】 だから、そこを、大学を通した共同研究に関しても申請しやすいような形にしていただくと、やはりそういった産学連携の課題というのが、その場合は大学の先生が多分、コーディネーターみたいな形でいろいろなことをやると思うのですけれども、かなり有効な申請ができるのではないかと思いますので、御検討いただければと思いますけれども。
【田中常務理事】 了解しました。今日、ちょっと時間の関係で小さい字のところを読まなかったのですけれど、実は私の資料(資料3-2)の4ページ目のところに、ちょっと読みますけれども、「科学技術的妥当性の審査基準である『期待される研究成果の産業基盤技術としての重要性および発展性』等については、産学連携に際しての企業における審議・判断結果を尊重し、二重審査を行わない」というふうに考えています。ですので、既に企業さんの方で、これはお金を投資してでもやる価値があるという判断をされたものに関しては、それは、そこで既にバリューに関しては判断されたとして、審査はしないということになります。安全審査とフィージビリティーというのは見る必要があるのですけれども、バリューに関しては、見る必要は、そこで済んでいるという考え方です。これは案ですけど、そういうふうに、今、考えています。
【高原委員】 共同研究の場合、時期的な、採択されるというか、その契約時期がいろいろ大学の場合ありますので、やはり3か月ごととか、そういった……。
【田中常務理事】 タイミングですね。
【高原委員】 割と頻繁に申請ができる機会があれば有り難いかなと思いますけれども。
【田中常務理事】 はい。
【雨宮主査】 それは、具体的には四半期ぐらいですかね。
【高原委員】 3か月ぐらいですね。
【雨宮主査】 3か月ですね。
【高原委員】 四半期で良いと思いますけど。
【雨宮主査】 テクニカルに何か問題があるということはない。
【田中常務理事】 産業利用に関してですけれども、産業利用は年に2回だったものが4回になって、今、6回になっているのです。
【雨宮主査】 それで今、高原委員のおっしゃっているのは、成果優先課題についても年に4回ぐらいという御意見なのだと思いますけど。
【田中常務理事】 経験値は、そういう意味では持っているということです。
【雨宮主査】 はい。
【石川先生】 ただ、いろいろな大型研究が、研究費が入ってくる中で、SPring-8の共用ビームラインだけでそれを回していくというのは、なかなか無理があるのではないかというところがございまして、これはちょっと、専用ビームライン、あと理研のビームラインを巻き込んだ何かを始めていかないと、増えていくいわゆる大型研究に対応し切れなくなるのではないかということは、ちょっと感じております。それで、高原先生というかイトウ先生がやられたインパクトも、ある意味で理研のビームラインの中でやることによって、かなりフレキシブルにできたのではないかと思っておりますが、これは理研のビームラインもある程度制限があるので、何となく、今は出していただいていない、契約上ある専用ビームラインの20%枠とか、そういうのも入れて、全体として考えていかないと、なかなか大変かなという感じはしております。
【高原委員】 一般のユーザーを圧迫するということになりかねません。
【石川先生】 そこもございますし。
【雨宮主査】 ほかにいかがでしょうか。
【宮内委員】 よろしいでしょうか。
【雨宮主査】 どうぞ。
【宮内委員】 素朴な疑問で。今の専用ビームラインと共用ビームラインのコンセプトというのが、多分皆さんは分かっておられるのだろうけれども、私は外から見ていると、企業の名前が付いた、いわゆるどこどこのための専用ビームラインというのが片方であり、もう一つは、一定の目的を付された分析だとか研究だとかを行うための専用というのもコンセプトとしてはあり得るのではないかと。ベーシックに、最初に作られたときは何に使うかというのは分からない状態で来たのかも分からないけど、これだけの期間、研究していく中で、このビームラインはこういうもののために特化していって、皆さんに稼働率を上げてもらうというコンセプトが発生してきてもおかしくはないのだろうと思いまして、そういう意味では、専用というのも、一定の目的に基づいた専用というのがコンセプトとしてあり得るのではないかというのと、もう一つは、そういう目的を付すことができないような、もっとベーシックな研究のために使われるような、それもまた専用なのか共用なのか分かりませんけれども、そういうコンセプトでもう一回、見直さないと、今、言われたような。
【石川先生】 済みません。ごめんなさい。デフィニションから説明しなければいけなかったのですが、共用ビームラインというのは、国が整備して皆さんがお使いになるビームラインのことを共用ビームラインといいます。それで、専用ビームラインというのは、サードパーティーがお金を出して自分のために作るものが専用でございます。ですから、共用ビームラインの中にも、ある目的専用に使われているものは。
【宮内委員】 もう既にある。
【石川先生】 ありますし。そこは、専用、共用というデフィニションは、国がお金を出して皆さんがお使いになるものと、例えば企業グループとか、あと別のルートで専用に、我々というか作った人が使うと。そこがデフィニションでございます。
【雨宮主査】 そういう意味で、御質問は、SPring-8で共用・専用と言われた使い方ではない意味での専用・共用のコンセプトの、専用の在り方ということがあって良いのではないかということだったと思いますが。
【石川先生】 その御指摘はとても大切で、特に会社が作るビームラインというのは、その会社がやりたいいろんなことが1つのビームラインに入り込んでいるのですが、実はそうするのが良いのか、それとももっと高度なものを作って、それを皆さんで一緒にシェアするような形にするのが良いのかという議論は当然あるわけで、そうすると、先生がおっしゃったような、あるビームラインは専用になって、専用の装置になって、それをいろいろなところが使いに来る。これは共用ビームラインではないのですけれども、あるところが作るのだけれども、そういう形になるというのは、これから議論していかなければいけないところかなと思っています。
【雨宮主査】 その辺、そうですね。ほかにいかがでしょうか。
【近藤委員】 よろしいですか。
【雨宮主査】 どうぞ。
【近藤委員】 今、御報告があった(資料4の)16ページ以降に、SACLAと、それからSPring-8と、あるいはその共通というような項目で分けてお話が整理されているのですけれども、とても分かりやすいのですけれども、一方で、さっき田中常務理事が少し御指摘されていた、今後のX線の光源の進化という観点があって、SACLAとSPring-8が同じサイトに一緒にいるということは、非常に大きなアドバンテージになり得る。もう既にその効果が出てきているところだと思うのですけれども、そういう、両方が一緒にあるということで初めて生まれるようなメリットとか、今後のそういうものを目指した方向性とか計画とか、そういったものも(資料4の)16ページ以降のところに項目を設けて書いていただけるとよいのかなと思ったのです。そういうお話が、多分さっきの矢橋先生のお話の中に少し含まれていたのだと思うのですけれども。そういう意味で、光源の進化、SPring-8-IIIの話もありましたけれども、本当にずっと先、どういう方向へ進んでいくかというビジョンも、もしもう既にあるようであれば御紹介していただけると有り難いなと思ったのですけれども、いかがでしょうか。
【雨宮主査】 そうですね。これをどういうふうにまとめるかということですが、今日、まず、そうか。矢橋さんに振られていますから、矢橋さん、何か。
【矢橋先生】 将来構想というのは、やっぱりこういう大型施設は、将来構想がなくなると本当にあっという間に衰退していきますので、常に持っていることが必要だということで、どこかに書いていただけると、それは非常に有り難いのですが、一方で、まだSPring-8-IIIとかSACLA-IIというのは、ちょっと遠いところもありますので、そこのあたり、どこまで言及いただくということはあります。大きなビジョンを意識しながら、いろんなことをやっているということはありますが、書き方については御議論をお願いします。
【雨宮主査】 (資料)4の16ページ以降のところの、「今後の重点的な課題及び推進方策」。当然、今、世界ではどうなっているのかと。また、世界のこれから5年、10年、15年がどうなっていきそうなのかと。そこはきっちりとグリップしておくことが重要で、そういう中で、それぞれSPring-8、SACLAの今後の推進方策というのが出てくるわけですから、将来のことがきっちりと何か盛り込まれているのは、もう当然だと思います。ただ、盛り込み方が、どういう盛り込み方にするかというのは、今日も事務局からありましたけど、これは中間評価ということなので、将来計画のための評価ではないという意味ですよというのが、今、事務局の言いたかったことだと思いますけどね。
【大榊補佐】 済みません。ありがとうございます。そういう趣旨です。
【雨宮主査】 だから、そこが本来、この報告書の目的を踏まえた上でパースペクティブをきっちりと語るというのが、この報告書の趣旨になるかと思います。そういう意味では、ここではいろんな意見をどんどん言ってもらって、言われた意見がそのまま載るわけではないですので、それがサマライズされた形で載っていきますので、議論においては、もういろいろ御闊達(かったつ)に進めていきたいと思います。どうぞ。
【小杉主査代理】 この中間評価というのは、5年ごとなのですよね。だから、今回指摘するのは、これまでのことプラス、今後5年後、どういう課題を解決していくかというところが中心なのですよね。
【大榊補佐】 はい。
【小杉主査代理】 それを超えるような長い話では決してない。
【大榊補佐】 いろいろ御議論はあろうかと思いますけれども、SPring-8は、20年、これまでたってございますので、当初の目的としては、今後20年先の世界最先端の施設であり続けるためには、直近5年の課題をどういうふうに解決していくべきかというような。
【小杉主査代理】 もちろんそうです。
【大榊補佐】 視野としては少し長期視点を見つつも、次の5年後にもう一度、評価をするということを考えた上で、御評価いただくということになるかとは思います。
【雨宮主査】 ですので、近藤委員から御指摘のあった、SPring-8、SACLAの相乗効果。これは非常に、同じサイトにあるということが世界的に見ても強みだと。そうすると、そこは当然、盛り込まれていくことになると思いますが、その頭出しをした方がクリアなのかどうかという問題については、ちょっといろいろと素案をこれから積み上げていきながら、どういう見方が見やすいか。近藤委員としては、何か項目を1つ出した方がクリアではないかという御指摘ですね。
【近藤委員】 そうですね。
【雨宮主査】 確かに、「共通」というところに何か少し大きく盛り込むという手もあるかなという感じがしますが、ちょっとその辺、私もそこの相乗効果というのは、同じサイトにあることの強みを生かすという今後の方針というのは重要な点だと思いますので、レイアウトをどうするか、ちょっと事務局で御検討いただければと思います。
【大榊補佐】 はい。
【雨宮主査】 ほかにいかがでしょうか。どうぞ。
【金子委員】 (資料4の)21ページの「人材育成及び国民理解の醸成」のところで、人材育成というのは、もう既に研究者となられた方を、どう育成するかだと思うのですけれど、この後の「広報、プロモーション」ともセットで考えると、まずはそれを目指す人をやっぱり作らないといけないのではないかと思っているのです。近年、日本だけではなくて世界的に、AIとか、そういうソフト面的な研究の方に人材が流れていて、なかなかハードとか材料系は人材確保がちょっと厳しいところがあると思っているのですけど、だからこそ目指す人材そのものを、ちゃんと生まないといけない。繰り返しになりますが、育てる前に生まないといけないのではないかなと思っていて、そういう意味で、「広報、プロモーション」は重要であり、放射光研究をやるとどういう、明るい未来が見えるのかなどというようなことを、もっとアピールする必要があるかなと。ただ単にユーザーを増やすとか、そういうことだけではなくて、学生さんたちがそっちの道も楽しそうだなとか、何か夢があるな、などというようなプロモーションを、施設としては是非やっていただきたいなと思っております。
【石川先生】 そのあたり、一般論ではなくて、かなり具体的にいろんなことを進めていかないと、多分、なかなかうまくいかなくて、そういう意味では、今、内海先生のところと阪大と我々で、レーザーの関西3拠点と言っているわけですが、その協力をやっているわけですが、放射光についても、例えば阪大の産研あたりが非常に興味を持ってくれているとか、もちろん、蛋白研とはやっているわけですが。あと京大の工学部がRISINGやら何やら、そういう関係で入ってきてくれているなどということがございまして、ちょっと日本の西側での大きなコラボレーションというのができないかということを、いろいろな御相談を始めたところでございます。
【宮内委員】 よろしいでしょうか。
【雨宮主査】 どうぞ。
【宮内委員】 我々公認会計士業界も後継者育成というのをずっと考えていて、大学に入る前の段階で結構、日本の場合には行方が決まってしまうというケースが多いと思うのです。それで、大学に入ってから自由に自分の方向を変更するというのは、どうもメンタリティーとして余りないように思えて、我々も最初は高校生をターゲットとして、「ハロー!会計」という、会計というのはこういうことをやっているのですよというのをアピールするための短い講座を作って、要請されると各高校に出向いて講義をするというようなことをやってきておりましたが、最近はもうそれでは間に合わないというので、小学生相手に、小遣い帳の作り方というのを昔やっていましたけれども、それにプラスアルファした程度のものを付けて回っていく。だから、多分、入ってきてくれない人には教育も効果も何も及ぼすことができないので、入ってくるためにどうやったら良いのかというのは、考えないとならない重要な事柄なのだろうと私は思いますので、それは是非是非、お考えになっていただいた方が良いと思います。
【雨宮主査】 そうですね。重要な御指摘だと思います。
【高橋委員】 済みません。同じところと関係すると思うのですけれども、先ほど事務局の方が、ここも重点……、意見が足りないというお話のあった(資料4の)17ページの一番下の、一度話題に上がってすぐ立ち消えてしまったような気がするのですけれども、地域を含めた、施設を利用したイノベーションエコシステムのところです。実際、こういう話は一度あったと思うのですけれども、現実的に地域的にあの場所がどうなのかという話も含めてという話題だったと思うのです。それで、今の教育という話題で言うと、例えばそれこそ、何でしたっけ、オープンキャンパスみたいなの。施設公開でしたっけ。
【雨宮主査】 施設の一般公開ですね。
【高橋委員】 一般公開。やっていらっしゃるのも、もちろん最初の入り口の一つだと思うのですけれども、それにしてもやっぱり気軽に行くには遠いという現実があって、そういったところから、もう少し、このエコシステムということを含めて、できるのか、できないのかという議論はあるのかなと思っていまして、現実的にやっぱり行くのが大変という立地は、どうしても揺るがざるものとしてあると思うのです。だったら、もう例えばそれこそ今の時代でしたら、行かなくても良い、バーチャルな何か情報発信の場であるとか、それこそSPring-8のホームページに行けば何でも分かるというようなものがあると、もう少し身近に感じられるものがあるかもしれないですし。それこそ、先ほどJASRIの田中常務理事のおっしゃられたことの最後にあったように、ユーザビリティー、IoTの話ですか、そういった点も含めて、今、やっぱりどうしても……。
済みません。正直に申し上げると、SPring-8のホームページ、ウエブページ、使いやすいとは言い難いところがあって、課題申請しようとしても、この点についてはこちらを参照ください、この点はこちらを参照ください、あちこちに飛ばされて。そういうところは、やっぱり正直あるので、そういったところも含めてバーチャルの場をもっと有効活用するというのは、最初の理屈としてあるのかなと、一般ユーザーの側として思います。
【雨宮主査】 広報のところとも関係。
【高橋委員】 すると思います。
【雨宮主査】 してきますが、引き続きそこを強化していくということですね。
【田中委員】 今のは、ホームページがシャビーだということなのですね。
【高橋委員】 余り分かりやすいとは言い難いかなとは思います。
【田中委員】 それは非常に具体的なコメントで、多分、フィードバックしやすいコメントかもしれません。
【高橋委員】 一般人として見たときでも、どれが最新の情報か。多分いっぱいあるのですけど、そのうちの幾つかは、もう大分古い情報だったりして。
【雨宮主査】 ウエブは何人ぐらいでメンテナンスというかバージョンアップしているのですか。
【田中常務理事】 職員としては2人ぐらいですね。2ないし3人ですけど、全く御指摘のとおりで、僕がこんなことを言ってはいけないのですけど、分かりにくいのですよ。情報を出し過ぎてしまっているところがあって、ずっと読んでいかないといけなくて、途中でもう疲れてしまうのですよね。それは全く御指摘のとおりで、今風なポータルサイトに全くなっていないのですよ。それはもう改善点だと本当に思っています。真剣にそう思っています。
【高橋委員】 例えば研究機関としてのエコシステムという意味で言うと、現場に行かなくても、ITの仕事というのは遠隔でできる方もいらっしゃるわけではないですか。その遠隔でできる方を積極的に利用するというのはエコシステムにならないですかね。そういうふうには、皆様は捉えられないですかね。
【田中常務理事】 この意味でのエコかどうかですけど、今できている遠隔実験も、結局、Webの技術を使ってITでやっています。これは企業のとある方がおっしゃったのですけど、試料を持って新幹線に乗って山の奥(SPring-8)に行って試料を測ったら、すぐに駄目だと分かってしまった。もう帰らないといけないね。いてもしようがないね、と。このような場合は、何かもっと遠隔でできたら、行かなくて済むのだが、ということをおっしゃった方がいらっしゃって、正にそうだろうなというのはあるのです。これは遠隔実験の話ですけど。同じようなことが、もうウエブで、あるいはモバイルで取れるようになったら、もう本当にそれは正にエコだと。時間と労力からしてエコだとは思います。
【雨宮主査】 どうぞ、いろいろ御意見とか提案をしていただければと思います。
先ほど宮内委員からありましたけど、確かに放射光……。だから、このSPring-8だけの問題ではないかもしれませんが、高校生ぐらいあたりから、一般公開、1万人ぐらい来る?
【石川先生】 高校生という意味では、SPring-8の、全国のスーパー……。
【雨宮主査】 SSH。
【石川先生】 あの高校生がバスを連ねてきてくれて、そこは結構、面白がっていただいているというところがあります。
【雨宮主査】 そういう人には、講義をしているわけですか。それとも見学ですか。
【石川先生】 簡単な説明をして、あと見学ですね。やはり彼らは物を見るところで、すごく感激して帰っていくと。それで、もう一つは、特に西日本、九州などですけれども、修学旅行のコースに、SPring-8を見学して、その次の日にUSJか何かに行くというのが1つのコースになっているようで、そういうのが結構来ます。ですから、高校生はかなりの方が来ているのですが。
【矢橋先生】 よろしいですか。
【雨宮主査】 どうぞ。
【矢橋先生】 今のお話に関連して、宮内先生がおっしゃるとおり、高校生を引き寄せるのは非常に重要だと思います。私の個人的な体験なのですけれども、実は高校のときに、アメリカのDOEのプログラムがありまして、そこに応募してブルックヘブンに2週間ぐらい行ったことがありました。当時アメリカの5施設か6施設だったと思うのですけれど、面接を経てそこに振り分けられる。私の1年上では、阪大の関山明さんも行かれていたのですけれども、全米の各州から1人、それから各国から1人ぐらいで募集し、全体で60人程度を集めて、結構詰め込みをやるわけですけれども、ある意味でハードルを上げて呼び込むわけです。高校生としては、一旦そこで終わってしまうわけですけれども、大学で実際、研究室を選ぶときになると、やはりそういう体験は非常に物を言ってきます。そういうプログラムは主催者側としても非常に大変だと思いますが、SPring-8にとどまらず、例えば放射光学会とか、いろんなことで、非常にハイレベルな合宿を開催するようなことは考えても良いのかなという気がしています。
【雨宮主査】 座学だけではなくて、実際、走って見せるというところのインパクトが大きいのですよね。
【矢橋先生】 そうですね。それで、簡単な実験もやらせるようなことがありました。
【雨宮主査】 ほかに。この素案の取りまとめに盛り込む内容、また取りまとめ方について、いろいろと御意見を頂ければと思いますが。ちょっと今日は欠席の方が多くて、委員の人数が少ないのですが。どうぞ。いろんな視点で御議論いただければと思います。
ユーザーから見て使いやすいという視点で、今までお話の中に、SPRUCも含めてやっているというようなことはあったと思いますが、大分、いろんな情報の流れがよくなってきたとは思っていますけれども、施設側から見て、もう十分だと考えているのか、もうちょっとそこはどうしたいと考えているのか。何かありますか。いや、これはユーザーというのは、新しいユーザーを取り込むというのは、とても難しいことというか、重要だけに難しいところだと思うのですけれども、そこをどうするかということで、何か具体案が幾つかここに盛り込めれば良いなと思っているので。いや、施設側に聞くのではない。こちらの委員ですね。委員にちょっと、何かお考えがあればお聞きしたいなと思うのですけれども。多分、先ほどのコーディネーターのことにしても、本当に初級者、中級者、上級者、それぞれレベルが違うので、それぞれ広報の仕方、対応の仕方が違うと。その辺のきめ細かさをどういうふうにするかとか。
【高橋委員】 今の点で申し上げますと、先ほどお話にあったように、今は本当に全部、出していただいているというところはあると思うのです。逆に、全部あり過ぎて初心者には分かりにくい。そこは本当に、ウエブの情報を階層別に見てかなり整理するだけでも、かなり違うと思いますし。
【雨宮主査】 そうですね。
【高橋委員】 むしろ情報があり過ぎるぐらいなのかなと思いました。
【石川先生】 そのあたりは多分、登録機関、施設、一緒になって、改善の方向を真面目に考えるところだと。
【雨宮主査】 どうぞ。
【田中委員】 今の視点で、たしか岸本委員と、それ以外の方も何かコメントされていたような気がしたのですが、その部分が見当たりません。放射光を利用する実験に不慣れな方々に対するトライアルユース的なビームラインを、SPring-8にはビームラインが五十何本もあるのだから、1本ぐらいそういうものを作ったらどうかという提案があったような気がしましたが。
【大榊補佐】 (資料4の)21ページに。
【田中委員】 出ているんですか。
【大榊補佐】 「新たな利用領域の開拓」の観点のところで少し触れておりますので、もし追加があれば。
【田中委員】 新たな利用……。本当だ。ここに入っていますね。新たな利用開拓ですか。利用領域の開拓。これは、でも新規ユーザーなどにももちろん結び……。
【大榊補佐】 そうですね。これは「パワーユーザー」と書いているので、ちょっと誤解があるのかもしれません。新規ユーザーの開拓も目指したトライアルユース型ビームラインということで御提案いただいたものです。
【田中委員】 たしか、そういう指摘が委員会で2回ぐらいあったような気がしました。
【大榊補佐】 パワーユーザーという表現が誤りかもしれません。新規ユーザーですね。ありがとうございます。
【雨宮主査】 ほかにいかがでしょうか。
【金子委員】 どこの項目に入るのか、ちょっと微妙だなと思っているのですけど、オープンデータ、オープンアクセスとはちょっと違うかもしれないのですけど、やはりデータを取るところまでも非常に重要で、良いデータが取れなければ話にならないのですけど、データを取った後に、例えばハイスループットで、データが山のように取れるようになりましたとなった場合に、そこをいかに効率よく解析ができるかという意味でいくと、AIにデータのパターンなどを、ばっと読み込ませておいて、例えば同じような白金のXAFSを見たら、これは酸化していますね、ここはメタルですねなどというのが、自動で解析ができるようにするなどというところも、データをたくさん取れるようになったらなったで、それの処理のところがやっぱりすごく重要になると思うので、解析方法も進化させていっていただけると有り難いなと思います。
【石川先生】 全部をぱらぱらと見るのではなくて、何か類型化をAIにやらせるとか。
【金子委員】 そうですね。100本取れるようになりましたとなったときに。そのうち何番と何番はこういう系統、何番と何番はこういう系統などというふうに、ある程度、分けて見られるようにしていただけるとかまでできると良いですね。それは解析そのものが大変というよりも、たくさんデータが出てきたときに仕分が大変という場合があり、じっくり解析をしたいがために、最初にざっと仕分がしたいということです。SACLAのときもそうでしたが、使えるデータが、一部しかなくそのごくわずかなデータを解析するための前段階として駄目データを仕分けるのが結構大変だと言っていました。そこも同じだと思うのですけれど、使えるデータと使えないデータの仕分などをできるようにしないと、ハイスループットで出てきたデータに埋もれてしまって、せっかく取れたのに使えずじまいになってしまうというのはもったいないかなと思います。そういうところもちょっと今後のためには入れていただけると有り難いかなと思っています。それを各企業が用意するのは、ちょっと負担が大き過ぎると思っていますので。
【矢橋先生】 SACLAの例で言うと、たんぱく質の結晶構造解析は比較的ソーティングがしやすいので、いわゆるダメデータというのをはじくと、大体、有効なものが2割とか1割とかですよというので、そこから始めます。イメージングはもうちょっと難しいのですが、一応、いろいろなクラシフィケーションが進んでいますので、そこは大分よくなってきています。一方で、SPring-8の方も、やはりデータがすごいことになるので。特にCTをまず中心に、今、JASRI、理研で、少し相談を始めているところです。そこでやはり一個一個に対して丁寧にプラットフォームを作っていくという。作り込みの作業は結構しんどいのですけれど、そこをやっていかなくてはいけないのかなと思います。
【高橋委員】 済みません。今の話をもう少し大きく言うと、それこそもうちょっとソフトに強い、ITに強い方をもう少し入れても良いのかなという感じが。
【矢橋先生】 そうですね。最終的にはそうなのです。ただ、やはりITのいわゆるエンジニアの方と、まずお話をするところが大変でして、例えば民間の会社を使っていろんなプログラムを作ってもらうというのは当然できるわけですけれども、まずそこのブリッジをどうするかというところが当面の課題だと認識しております。そこをやはり一個一個やっていくことで、1つできると多分、2つ目、3つ目は、すっと簡単にできると思いますので、そこをしっかりやっていきたい。
【雨宮主査】 ほかにいかがでしょうか。
矢橋さんのお話の中で、スーパーコンダクティング、それからハイレペティション、1メガヘルツ。でも、実際に使えているのは10キロヘルツと。
【矢橋先生】 それは一つ一つ弁別するという意味ですので、10キロはまだ大変で、キロヘルツです。
【雨宮主査】 それで、ちょっとこの委員会の取りまとめには直接関係しないのかもしれないのですが、将来、1メガヘルツを弁別して使うというつもりで、スーパーコンダクティングのFELの人たちは考えているのでしょうか。
【矢橋先生】 アプリケーションによりまして、例えば画像データの、例えば先ほど、たんぱくのようなものをメガヘルツで使うというのは、恐らく考えていないと思います。それは試料も導入できないので、かなり難しい。一方で、例えばXPCSのようなものはあると思います。そうすると、競合領域としてXPCSのようなものがリングでもし代替できると、非常にそれは強いので、そこが何とかできないかというのは、考えているところです。
【石川先生】 結局、メガヘルツでやる実験というのは、メガヘルツで打ってもサンプルが壊れないというか、ある意味で、そこが仮定されているところがあって、そうすると、パルスレーザーとしての強みを、言い方によっては半分殺していると。
【雨宮主査】 そうですね。世界の流れが、光源の進化がどういう方向に行くかと。多分、20年ぐらい先までも、ある程度、何というのか、こうなっていくという動向をちゃんとやっぱり知っていることが重要ですよね。その中で、今後、SPring-8、SACLAを同じサイトにあってどうやっていくかというところのビジョンを示していただくということが重要だと思っていますので。どうぞ。
【内海委員】 今後も間違いなくSPring-8は日本の中の放射光施設をリーディングしていかれる立場だと思います。新しい次世代放射光源ができると、全体で10個、放射光施設ができることになりますが、国全体の放射光施設のポートフォリオをSPring-8が考えてくださいというつもりは全くないのですが、SPring-8でこれだけたくさん蓄積されてきたノウハウとか、今後進めようとされている、さっきのビッグデータの取扱いとか、そのようなところを、日本の中のトップであるSPring-8が、是非ともほかの施設のところに恩恵をやっていただきたい。もっと具体的に言うと、これからの5年間の中で3GeVの建設があるわけですから、そこに関しての積極的な貢献を望むみたいなところの観点の記述をちょっと書いておいていただけると、我々にとっても非常に有り難いし、SPring-8側としても、3GeVに協力しているのは、こういう位置づけでやっているのだよということが明確になると思いますので、是非ともそこの記載をしていただけると有り難いなと思います。
【雨宮主査】 はい。
【金子委員】 今のに関して、ユーザー側からしても、どこか1つが、すごく良い、例えばソフトがある場合に、なぜ、他の施設に入れてくれないのだろうと感じます。良いものだったら、どんどんほかの施設でも使ってくれたら、我々ユーザーにとってもすごく有り難いのにと思います。施設間の協力体制ももちろんそうかもしれないですけど、ユーザーのためにも、そこは是非ともやっていただけると、より放射光というものの有り難みが感じやすくなるのではないかと思います。不都合なところが少しあるだけでも、何か使いにくいなといってマイナス要因になってしまうところがありますので。特に企業ですと、良い施設を知ってしまうと、そっちばかり行ってしまうというふうになるので、良い施設がたくさんあれば、ユーザーが分散され、空いているところに使いに行く、若しくは適したところに使いに行くということができるようになるので、そういうところは是非、施設間での協力をお願いできると有り難いと思います。
【矢橋先生】 そういう意味では、多分、テクノロジーを移すことを前提とした開発の仕方というのがあります。要は、余り属人的になり過ぎると、職人さんがいないと動かなくなって、その人ごと連れていかないといけなくなって、なかなか難しい。それで、我々もSACLAでいろいろ勉強させていただいて、属人的な要素をなるべく排除して、細かい作業はメーカーに発注するということでやれるようになってきていますので、そうすると、あとは受け手の方のむしろアドミニというのですか、システムさえちゃんとやってつくっていただくと、それができるようになりますので、是非そういう方向で展開を進めていきたいと思います。
【石川先生】 正に……、どうぞ。
【小杉主査代理】 昔は、それぞれの施設はそれなりに余裕もあったので、チャレンジを含めて、ちょっと人と違うことをやろうというのが基本的にあったと思うのですけど、今、そういう時代でもなくなってきたので、施設間連携は絶対必要で、他の施設がそちらをやるのだったら自分の施設はこちらをやるとか、そういう話もやっていかないといけないフェーズに入っています。その辺の調整は、各施設で問題意識がありますので、うまく学会側で誘導しようとは思っています。
【石川先生】 御指摘のとおりで、正にその点がオープン・イノベーションと。みんなで相補的にというか、お互いに足りないものを補い合ってやっていくところですので、そこは放射光学会に、ある意味で旗を振っていただいて、進めていけたら良いなと思います。
【雨宮主査】 ほかにいかがでしょうか。大体意見は出ていたと思いますし、この後、また何か御意見が出た場合には、メール等で事務局に御連絡いただければと思いますが、よろしいでしょうか。
それではいろいろと御議論いただきありがとうございました。この議論の中でいろいろ出た意見を事務局においてまた取りまとめていただいて、また私が主査として事務局と相談して、報告書(案)という形で取りまとめて、また次回の委員会で審議を行いたいと思います。
それでは、今日、「その他」の議題が1つあります。「その他」の議題は、SPring-8、SACLAの中間評価と直接は関係がありませんが、「光・量子科学研究拠点形成に向けた基盤技術開発」事業の「光・量子融合連携研究開発プログラム」に関わる事後評価について、事務局より御説明をお願いいたします。
【大榊補佐】 それでは、資料5に従って説明させていただきます。SPring-8、SACLAの中間評価と別の話題で申し訳ございませんが、本委員会で光・量子融合連携研究開発プログラムの評価をさせていただきたいと思ってございまして、今回は、そのアナウンスでございます。
資料5(の1ページ)にありますポンチ絵を御覧いただきますと、「光・量子科学研究拠点形成に向けた基盤技術開発」ということで、幾つかプログラムが立ってございます。左側にございます、「最先端の光の創生を目指した研究拠点プログラム」というものと、右側にあります、赤い四角で囲ってございますが、「光・量子融合連携研究開発プログラム」と。それぞれ、平成20年と平成25年から開始しており、終期は平成29年です。よって昨年度に課題としては終了してございまして、左の課題については、今度、2月に行われます量子科学技術委員会で評価を行うこととしてございます。右側の光・量子融合プログラムの方でございますが、こちらも同じ委員会で評価をしていくことになりますが、それに当たりまして、御専門の方が多いということもございまして、こちらの量子ビーム小委員会で一度評価を頂いた上で、それを親会に上げていくという形を取りたいと考えてございます。平成25年からの5年間の事業でして、産業競争力強化のための先導研究開発の推進という観点で開始した事業です。
おめくりいただいて(資料5の)2枚目のところに、研究開発プログラムと、それぞれPO、代表研究者の一覧を書いてございます。こちらに、横断研究のプロジェクトと基盤技術のプロジェクトがあり、高原先生も参加されてございますが、これを御覧いただきますと、それぞれ複数の光量子ビーム技術ですとか計測技術を融合させて、その設備を横断的に活用して研究開発を行うというプロジェクトです。その研究成果を広く展開していくということが求められており、拠点形成などとは異なり、課題別の研究開発を行う事業です。特に基盤技術開発、下3つにつきましては、新しい光源の開発ですとかイメージング技術の開発といったようなものになっており、こちらも研究開発課題ということです。総括プログラムオフィサーとプログラムオフィサーを、それぞれ家先生、井上先生、森井先生にやっていただいて、昨年度までで事業としては終了してございます。
今回、研究計画・評価分科会まで評価をしていくに当たりまして、評価書を作成することになりますが、一部、利害関係の点もございまして、この取りまとめを小杉先生にお願いしたいと思っております。事務局と小杉主査代理との間で、一度、評価書案を作成させていただいて、それを書面審査という形で皆様に審査いただきたいと思ってございます。期間が大変短くなってしまって申し訳ございません。この光融合のプログラムは、ほかのプログラムと違い、後ろに後継のプログラムが立っていないこともあり、簡潔に評価を行いたいということもあり、1回若しくは2回書面の形で皆様にお諮りして、その結果を評価書にフィードバックするような形で、評価書として固めたいと考えてございます。その評価書につきましては、この委員会が終わってから、早い段階で小杉先生と相談させていただいて、皆様にお送りして、大体2週間ぐらいで評価を頂ければということを考えてございます。短い時間での持ち回りとなりますことを御容赦いただければと思いますが、どうぞよろしくお願いいたします。
【雨宮主査】 今、御説明がありましたように、本小委員会で小杉主査代理が取りまとめて、持ち回り開催、要するにメール開催ということで、事後評価を行うということで進めたいのですが、御異議ないでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、そういう形で進めさせていただきたいと思います。では小杉委員、よろしくお願いいたします。
【小杉主査代理】 はい。
【雨宮主査】 全体を通して今日の小委員会に関して御質問等があれば。よろしいでしょうか。
では、本日の議題は以上となりますけれども、事務局から何か連絡事項等ありましたらよろしくお願いします。
【大榊補佐】 本日もどうもありがとうございました。今後の委員会の開催スケジュールについて簡単に御説明いたします。参考資料の方を御覧いただければと思いますが、こちらの1枚物でございます。SPring-8、SACLAの現地調査は、1月28日、月曜日を予定してございます。詳細は改めて事務局から御連絡させていただきますが、午後一ぐらいから現地で調査を頂いて、夕方頃に終わるというようなイメージで考えてございます。また、第6回につきましては、今のところ2月5日の開催を予定してございます。また日程が近くなりましたら、改めて先生方にお諮りしたいと思ってございます。
次回の委員会につきましては、先ほど雨宮先生からもありましたけれども、中間評価報告書を先生と御相談させていただいて、事務局にて反映して、報告書の案という形で御提出させていただきます。併せて評価書も別途作成いたしますので、そちらも併せて御審議いただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
本日の資料につきましては、後日、ウエブサイトに公表させていただきます。また、会議録につきましても、また後ほど、先生方に御確認いただいて、ウエブサイトに掲載させていただきます。その他、資料の取扱い等につきましては、従前と同じでございますので、割愛させていただきます。
以上でございます。
【雨宮主査】 それでは、以上をもちまして、第5回のSPring-8、SACLAの中間評価を閉会いたします。本日はどうもありがとうございました。

 ―― 了 ――

お問合せ先

科学技術・学術政策局 研究開発基盤課 量子研究推進室

(科学技術・学術政策局 研究開発基盤課 量子研究推進室)