量子科学技術委員会 量子ビーム利用推進小委員会(第9期~)(第30回) 議事録

1.日時

令和元年7月11日(木曜日)10時00分~12時00分

2.場所

文部科学省 15階 15F特別会議室

3.議題

  1. 主査代理の指名について(非公開)
  2. 議事運営について
  3. 量子ビーム利用推進小委員会における調査検討について
  4. 次世代放射光施設の整備検討状況について
  5. その他

4.出席者

委員

雨宮委員、伊地知委員、内海委員、岸本委員、阪部委員、佐野委員、小杉委員、高橋委員、高原委員、田中委員、宮内委員、山重委員、山田委員

文部科学省

角田科学技術・学術総括官、渡邉研究開発基盤課長、奥研究開発基盤課量子研究推進室長、對崎研究開発基盤課量子研究推進室室長補佐

5.議事録

【對崎補佐】 それでは、定刻より少し前ではございますが、委員の先生方おそろいですので、ただいまから第10期量子ビーム利用推進小委員会第30回を開催させていただきます。委員の皆様方におかれましては、本日、お忙しい中、御出席いただきましてありがとうございます。
本小委員会の事務局を担当させていただきます量子研究推進室の對崎でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
まず、委員の皆様方は机上を御確認いただければと思いますが、委員委嘱に関する任命書を置かせていただいておりますので、御査収いただければと思います。また、傍聴者の方々に申し上げますが、本日、議題1の主査代理の指名につきましては議事を非公開とさせていただきますので、恐れ入りますが、この後、議題1の議事の際は一度御退席いただくことになりますので、御承知おきください。
それでは、委員会の開会に当たりまして、文部科学省より一言、御挨拶を申し上げます。
まず初めに、科学技術・学術政策局総括官の角田からでございます。
【角田総括官】 皆様、おはようございます。角田でございます。先生方におかれましては、大変お忙しい中、本小委員会の委員をお引き受けいただきまして、まことにありがとうございます。
この小委員会、前期もあったわけでございますが、前期におきましては、次世代放射光施設の整備、またSPring-8、SACLAの中間評価と、精力的に御議論を頂いたところでございます。本当にありがとうございます。前期の御議論を踏まえまして、文部科学省におきましても今年度、次世代放射光施設の整備について予算を計上いたしまして、本格的に整備に着手をしているところでございます。国内の量子ビーム施設は、それぞれ国、国立研究開発法人、大学、自治体等、異なる主体におきまして運営を頂いているところでございます。それぞれ機能、ニーズに応じまして整備、運用が進められているところでございます。また一方で、近年、諸外国におきましてもこの量子ビーム施設、非常に大きな進展を見ているところでございます。
この量子ビーム施設、非常に我が国の研究力、産業競争力の強化におきましては重要な役割を果たすものと考えておりますが、その機能の維持向上を図るためには、諸外国の動向も踏まえつつ、我が国全体の施設を俯瞰的に捉えまして、それぞれの施設の役割分担、整備や共用の在り方、また研究者育成・確保等を戦略的に検討していく必要があり、この小委員会におきましても是非忌憚のない御指導、御意見を頂ければと考えているところでございます。
今後どうぞよろしくお願い申し上げます。
【對崎補佐】 続きまして、研究開発基盤課長の渡邉からでございます。
【渡邉課長】 渡邉でございます。よろしくお願いします。
【對崎補佐】 続きまして、量子研究推進室長の奥からでございます。
【奥室長】 量研室の奥です。よろしくお願いします。
【對崎補佐】 それでは、事務局より、まず配付資料の確認をさせていただきます。配付資料は、お手元の議事次第から始まりまして、資料1-1、1-2、1-3、資料2シリーズが2-1、2-2、2-3、そして、横の資料で、QSTから御提出いただいております資料3、続きまして参考資料が1-1から1-6まででございます。欠落等はございませんでしょうか。資料に不備等ございましたら、途中でも結構ですので、事務局にお申し付けいただければと思います。
それでは、まず本委員会の設置の経緯及び趣旨等について、事務局より御説明をさせていただきます。お手元、参考1-1から1-6までを御用意いただければと思います。
参考資料1-1の科学技術・学術審議会関係法令の2ページ目、第5条第1項に基づきまして、科学技術・学術審議会の下に研究計画・評価分科会を置くことが定められております。
続きまして、飛びまして参考資料1-3でございます。こちらも裏のページでございますが、研究計画・評価分科会運営規則の第5条第1項に基づきまして、特定の事項を機動的に調査するため、委員会を置くことができると定められております。これに基づきまして、参考資料1-4でございますが、こちらも裏のページになりますが、平成31年4月17日に開催されました研究計画・評価分科会において量子科学技術委員会が設置されております。
続きまして、参考資料1-5でございますが、こちらは量子科学技術委員会の運営規則第2条第1項に基づきまして、参考資料1-6にございますように量子ビーム利用推進小委員会が設置されております。本小委員会の委員につきましては、量子科学技術委員会の運営規則、参考資料1-5でございますが、第2条第2項に基づきまして、量子科学技術委員会の主査が指名することとなっております。これを受け、量子科学技術委員会の雨宮主査より、資料1-1のとおり委員を御指名いただいております。また、量子科学技術委員会運営規則の第2条第3項に基づきまして、小杉委員が本小委員会の主査に指名されております。
お一人ずつ委員のお名前をお呼びし、順に御紹介をさせていただきます。
まず、本小委員会の主査の小杉委員でございます。
【小杉主査】 よろしくお願いします。
【對崎補佐】 続きまして、本日御出席の皆さんを名簿記載の順に御紹介させていただきます。
雨宮委員でございます。
【雨宮委員】 雨宮です。よろしくお願いします。
【對崎補佐】 伊地知委員でございます。
【伊地知委員】 よろしくお願いいたします。
【對崎補佐】 内海委員でございます。
【内海委員】 内海でございます。
【對崎補佐】 岸本委員でございます。
【岸本委員】 岸本でございます。よろしくお願いします。
【對崎補佐】 阪部委員でございます。
【阪部委員】 阪部でございます。よろしくお願いいたします。
【對崎補佐】 佐野委員でございます。
【佐野委員】 佐野でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
【對崎補佐】 高橋委員でございます。
【高橋委員】 高橋と申します。よろしくお願いします。
【對崎補佐】 高原委員でございます。
【高原委員】 高原でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
【對崎補佐】 田中委員でございます。
【田中委員】 よろしくお願いいたします。
【對崎補佐】 宮内委員でございます。
【宮内委員】 宮内でございます。どうぞよろしく。
【對崎補佐】 山重委員でございます。
【山重委員】 山重と申します。よろしくお願いします。
【對崎補佐】 山田委員でございます。
【山田委員】 よろしくお願いいたします。
【對崎補佐】 ありがとうございます。以上の委員に加えまして、本日は御欠席でございますが、資料1-1にございますとおり、石坂委員、鬼柳委員、及び近藤委員が御就任されております。
それでは、量子科学技術委員会の運営規則第2条第6項に基づきまして、本小委員会の議事は小杉主査にお願いできればと思います。よろしくお願いします。
【小杉主査】 改めて御挨拶をいたします。前期から務めておりますが、今回、主査という立場で、また新しいミッションもありますので、2年間、いろいろ皆さんに御議論いただきたいと思いますので、御協力をよろしくお願いします。
それでは、議題1に従って進めさせていただきます。議題1は、先ほど紹介ありましたように非公開ということですので、傍聴の方は、短い時間ですけど、御退席をお願いいたします。
(傍聴者退室)
― 主査代理の指名 ―
(傍聴者入室)
【小杉主査】 それでは、雨宮主査代理より、一言お願いいたします。
【雨宮主査代理】 主査代理に指名されましたので、そういう立場の自覚を持って、引き続き参加したいと思います。第30回になりますこの委員会、先ほど最初に角田さんからこの小委員会でやるミッションが何かという御挨拶がありました。小杉主査と一緒に、この会で議論すべき事柄に関して、効率的に、また意義ある方向が見出せるように議論ができればと思っていますので、よろしくお願いいたします。
【小杉主査】 よろしくお願いします。
では続きまして、議題2に移ります。本小委員会の運営規則等について、事務局より説明をお願いいたします。
【對崎補佐】 それでは、お手元、資料1-2と1-3をごらんいただけますでしょうか。
本小委員会の運営に必要な事項について、参考資料1-1から1-6で定められていない事項につきましては、当小委員会の運営規則等として別途定めておく必要がございます。
資料1-2は、当量子ビーム利用推進小委員会の趣旨、また議事に関すること、書面による議決を行えること、委員等の欠席に対しての扱いの問題、議事の公開、議事録の公開について定めております。続きまして資料1-3は、その公開に関する手続について、開催日程の公表、一般傍聴者、報道関係者、委員の先生方に関する傍聴の扱い、その他会議の録音等について定めております。
簡単ではございますが、以上でございます。
【小杉主査】 一応ここの規則は(案)となっておりますので、ここで案を取るということに、決めることになるんですが、何かコメント等ございますでしょうか。前期から続いている方は中身が分かっていますが。
【伊地知委員】 本当に細かいことで恐縮なのですが、資料1-2の第6条で、ここに記載されていることは「公表」、「非公表」なのですが、括弧内が「議事録の公開」となっていて、不一致なのですが、ここはいかがしましょう。
【對崎補佐】 済みません、質問の御趣旨は、非公開とすることができると。
【伊地知委員】 ではなくて……。
【渡邉課長】 公表と公開で、言葉が違う。
【對崎補佐】 失礼しました。
【伊地知委員】 条のタイトルが、中に書かれている条文と一致しないので。条文で記載されているのは「公表」、「非公表」に関することなのですが、タイトルは「公開」なので、公開と公表は異なるので、どのようにしましょう。
【對崎補佐】 条文に基づくと「公表」とすることが正しいと思われますので、訂正をさせていただければと。
【小杉主査】 具体的に、どこをどう訂正を。
【對崎補佐】 「公開」ではなくて、「公表」と。
【伊地知委員】 いや、ちょっとここは、公表と公開は違うので、つまり条文の方が妥当なのか、それともタイトルが妥当なのか、ちょっとよく分からないので、そこも含めて御検討いただくとよろしいのかなと思ったのです。
【對崎補佐】 分かりました。条文に合わせると見出しを「公表」とする方が正しいのかなと思いますが、他委員会の状況等も踏まえて修正をさせていただければと思います。
【小杉主査】 では、第6条の上にある「議事録の公開」というのを「公表」と直すということで、案を。それでよろしいですか。
【對崎補佐】 念のため他委員会のものを確認させていただいて、再度、主査と御相談させていただきます。失礼いたしました。
【小杉主査】 では、きょうの段階では、案はまだ取れないということで、そこの確認が済んだら案を取るということです。
ほかに御意見ございますか。
【山田委員】 くどいですが、この第6条というのは議事録を作成するということも含まれているんですよね。
【對崎補佐】 はい。
【山田委員】 これには議事録を作成しますということが書かれているので、公開とか公表の問題はあるんですが、議事録を作成するということもこれは含まれている条文だということで、単に議事録ということでまとめてもいいのかなと思ったんです。
【對崎補佐】 なるほど。作り、公表、公開とすると。
【山田委員】 作ることもここには書かれているという意味合いがありますよね。
【對崎補佐】 はい。
【雨宮主査代理】 そうですね。記録の取り扱いなんでしょうね。
【對崎補佐】 では、見出しは「公開」だけではなくて、その取り扱いそのものということに関して。少しそこも検討させていただきます。
【小杉主査】 きょうは結論を出さずに、検討していただくということでいいですね。
【對崎補佐】 はい。
【小杉主査】 資料1-2についての規則は、今のように、きょうの段階では案は取れないということで、見直していただくことにします。
資料1-3の方はよろしいですか。
【内海委員】 議長、よろしいですか。そもそもの話で大変恐縮ですが、この量子ビーム利用推進小委員会、今回、もう一度メンバーを新たに御指名いただいて始まっているのは承知していますが、この小委員会そのものはずっと前からあるわけですね。それで、以前から運営規則はあったと思いますが、今回改めて、メンバーが替わることによってこれも定め直すという手続を踏むということなんでしょうか。
【對崎補佐】 おっしゃるとおり量子ビーム利用推進小委員会としては継続しているものでございますが、研究計画・評価分科会が期ごとに再度設置されるということで、設置に基づいた議事運営、運営規則等の再改定ということでございます。
【内海委員】 なるほどわかりました。
【奥室長】 第30回と言っていますが、改めて量子科学技術委員会を設置し、さらに小委員会を設置するという設置行為がまた改めてあるので、議事運営規則についてはもう1回定め直す手続行為が必要ということです。
【内海委員】 そういう意味では一旦リセットされているということ。
【奥室長】 そうですね。伊地知先生がおっしゃるように、若干、文言の取り扱いが今まで不十分だったかもしれないので、ここはもう1度見直した方がよいかもしれません。
【小杉主査】 ほかに御意見ございますでしょうか。今御説明いただいたのは1-2と1-3です。
では、2つ目の方は取っていいということにしますか。事務局的には。
【對崎補佐】 改めて案を取ったもので御相談をさせていただいて、以降はメールベースになると思いますが、運営規則については再度、御連絡を委員の先生方に差し上げたいと思います。
【小杉主査】 では、もう一度精査していただいて、メール審議ということになるかもしれないですが、よろしくお願いします。
この件はここまでということで、次の議題に進みたいと思います。
次の議題は(3)ということで、調査検討についての審議です。事務局より説明をお願いいたします。
【對崎補佐】 それでは、資料2-1、2-2、2-3を御用意いただければと思います。
当第10期の量子ビーム利用推進小委員会において、どのような事項を検討していくかということについての御相談でございます。資料2-1は主な検討事項の案としてございますが、事務局と主査の相談の上で、第10期に関してはこのような事項を扱っていければと思っております。
1つ目が、我が国全体を俯瞰した光・量子ビーム施設の在り方ということについてでございます。こちらは資料2-2が詳細版になってございますので、この後、引き続いて御説明をさせていただきます。それ以外に、次世代放射光施設の整備に係る進捗状況、J-PARC中間評価に係る対応状況、SPring-8及びSACLA中間評価に係る対応状況、こういったものは定期的に、年1回か2回という程度で、当量子ビーム利用推進小委員会の方で報告、審議を頂ければと思っております。そのほか、委託事業でございます平成28年度から平成30年度に実施しております「次世代加速器要素技術開発プログラム」につきまして、今年度中に事後評価を行うことになってございます。そのほかの事項としまして、第6期科学技術基本計画に盛り込むべき事項や概算要求等の状況についても審議、報告をさせていただければと思っております。
参考に、前期第9期において、当小委員会において審議・検討いただいた事項について記載させていただいております。
続きまして、資料2-2をごらんいただければと思います。冒頭、角田の方からも挨拶がございましたとおり、我が国全体を俯瞰した光・量子ビーム施設の在り方について、今後、小委員会で検討していければと考えておりまして、その検討のたたき台としてお示しをさせていただいております。
1ポツ、検討の背景・趣旨でございますが、こちらは次世代放射光施設の整備が本年度より開始されている中で、約10年ぶりに大型施設がこのように整備されることから、施設の役割の変化や、施設利用者の分布やニーズにも大きな変化が起こると見込まれる中で、こうした光・量子ビーム施設、これは放射光施設だけではなく、中性子線の利用施設であったりレーザー施設であったりといったものを含めて、諸外国に比肩する高性能な研究基盤として整備、運用していくことが必要ではないかと思われます。そういった中で、既存施設をまずは俯瞰的に捉えた上で、1ポツの1から4に示してございますとおり、既存施設を有効活用して成果を最大化するための仕組みであったり、施設を俯瞰した役割分担、総合的・戦略的な整備・共用の方向性、それらの施設の運営に資する研究者・技術者の育成・確保、産学官の利用者の拡大、研究者の拡大といった点を検討していければどうかと考えております。
2ポツは、委員会での主な検討項目として大局的に示させていただいておりますが、今申し上げた1から4のような事項を主として検討していければいかがかと考えております。
3ポツ、検討に含める施設は、こちらは全てではなく、主なものとして記載させていただいておりますが、放射光施設、中性子線やミュオン源、大強度のレーザー施設、その他の加速器等の施設について、大型のものだけでなく、中・小型のものを含め俯瞰した検討ができればと考えております。
資料のページをおめくりいただきまして、これらの検討を進めるに当たっての留意事項、留意すべき視点として、幾つか掲げさせていただいております。こちらも簡単に申し上げますと、第6期科学技術基本計画の策定状況を注視しつつ検討することであったり、2020年1月頃と聞いておりますが、日本学術会議が作成するマスタープランでありましたり、学術研究の大型プロジェクト、ロードマップ等についての関連でありましたり、役割分担する施設の中に素粒子研究の施設を含めるべきかどうかといった点。あるいは、運営主体が国、研発法人、大学、自治体等々、異なる施設がございますので、それらをどう切り分けて、あるいは総括して考えるべきかといった点。また、共用法の範疇の施設と、共同利用機関など、共用法の適用外である施設とどう切り分けて、あるいはどう一体的に考えるべきかといった点。また、こうした委員会における検討の結果を事業の運営や展開にどのように反映させていくべきかといった視点が留意すべき点かと考えられます。
続きまして、これらの事項を検討するに当たって、まずは国内施設を俯瞰的に調査する必要があると考えておりまして、その調査の方法及び調査事項について4ポツに示しております。こちらは、事務局による書面調査と併せて、当委員会にヒアリングの場として、施設の設置者やアカデミア、産業界等からお越しいただきまして、御説明を頂く機会を設けられればと思っております。調査事項につきましては4-2に示しておりますが、施設のスペックや成果といった基本的な事項の中に、例えば施設の老朽化対策や更新計画をどのように考えているかといった点であったり、施設を拠点化したりプラットフォームを形成したりといった状況についてどのように考え、どのように取り組んでいるかといった点。また、産学官連携の状況や、3つ目のポツですが、オープンデータ・オープンアクセスの取組状況、また海外との連携状況。資料裏面に行っていただきまして、人材育成に係る取組の状況、施設の管理方法、そして、こういった国全体を俯瞰した施設・設備の整備の在り方や産学官連携の在り方、拠点化・プラットフォーム形成の在り方についてのお考え等々を各施設からお伺いしていきたいと考えております。
また、参考として、前回の量子科学技術委員会における、当委員会のこの俯瞰した施設の在り方について議論いただいたときの意見を幾つか付けさせていただいておりますが、既存のインフラの活用は重要であるけれども、こうした検討を進めるための恒常的な組織が必要ではないかといった点、施設を一覧化してポータルサイトなどにまとめるといった取組があってもよいのではないかといった点。また、施設を俯瞰して、それぞれの施設のミッションを再定義して、オーバーラップはできるだけ避けるべきではないかといった点、また、既にすみ分けられているところもあるので、現場に近いところでこういったものを行うときはコンセンサスをとる必要があるのではないかといった点が意見として挙がっておりました。
最後に参考資料として、これも全て網羅的ではございませんが、我が国の主な光・量子ビーム関連施設としてお示しをしております。国が共用法の範疇で整備・運用しているもの以外に、国立研究開発法人が所有しているもの、地方自治体が所有しているもの、あるいは大学や大学共同利用機関が所有しているものといったものを一覧にして、地図上でお示しをしております。
続きまして、資料2-3を御説明させていただきます。当小委員会における今後の議論としては、今説明申し上げた資料2-2の議論がメーンになってくるかと思いますが、一方で第6期科学技術基本計画に向けても委員会として検討することが求められております。資料2-3の1ページ目でございますが、科学技術・学術審議会の総合政策特別委員会において、第6期科学技術基本計画について今検討を進めているところでございまして、量子科学技術委員会としても総合政策特別委員会への提言をまとめる必要がございます。光・量子技術全般に関しましては、量子科学技術委員会の方で今後議論して、総合政策特別委員会への提言をまとめていくこととなります。一方で量子ビーム施設に関しましては、本日開催しておりますこの小委員会において検討して、次回の量子科学技術委員会にその結果をお示しをするというスケジュールでございます。
少し飛んでいただきまして、別紙の方をごらんいただけますでしょうか。こちらは前回の総合政策特別委員会の審議において示しておりますスケジュールでございますが、大きく2段階に分かれておりまして、6月上旬までで既に、研究環境、研究人材といったシステムに関する検討については取りまとめが行われておりまして、今後、量子科学技術委員会のような個別分野において、関係部会における検討結果を10月に向けてまとめていくというスケジュール感でございます。
資料を別紙からお戻りいただきまして、2ページ目でございます。こちらは、どのような形で打ち込むかというところは、量子科学技術委員会との相談でもございますが、量子ビーム小委員会としてはこのような形で構成・事項をまとめてはどうかと考えております。大きく柱は3つございまして、基本的な認識と、第5期科学技術基本計画期間における成果と顕著になった課題、そして今後重点的に取り組むべき事項といった点で整理をしております。
基本認識は、量子ビーム施設が、国内外の動向を踏まえてどういった点に強みや競争力があるのか、それらの施設をどのように維持、発展させていくのかといった点に関する基本的な認識でございます。例えば最先端施設の整備・共用や、国内外の施設の連携は図る必要があるといった点、計画的な整備、運用の体制が必要であるといった点、施設・設備を高度化するに当たっての関連技術の技術開発が継続的に必要であるといった点を記載しております。
その上で、2ポツの成果と顕著になった課題でございますが、成果の方は、各施設の運用、今後次世代放射光施設を整備していく点、内局事業として展開しておりました光・量子融合連携研究開発プログラム、次世代加速器要素技術開発プログラムといった点が上げられるかと思います。これらの事業の成果から得られた課題としては、施設・設備の高度化、相互利用の推進、研究・利用者支援など、利便性向上によって利用者の裾野を拡大すべきであるといった点、官民連携や産学連携をさらに推進する必要があるといった点でございます。
3ポツの今後取り組むべき事項としては、先ほど資料2-2でお示しした、量子ビーム利用推進小委員会で検討していくべき事項といった点が今後重点的に取り組むべき事項として第6期に向けて検討していくべき点ではないかと考えております。
なお、参考に、第5期科学技術基本計画における記載については2ページ目以降にお示しをしておりますが、特に裏の4枚目のページですが、産学官が利用する研究施設・設備及び知的基盤の整備・共用、ネットワーク化といった点の中に、共用法に基づく施設については産学官の幅広い共用と利用体制の構築、計画的な高度化、関連する技術開発等に対する支援が必要といった点。また共用法の施設だけではなくて、産業界を含めた幅広い研究者の利用が見込まれる施設に対して、共用可能な施設・設備等を我が国全体として拡大するといった点、こうした施設・設備のネットワークの構築であったり整備運用の継続的な改善を促すといった点が記載されております。また、大学等の施設・設備の整備と情報基盤の強化につきましても、国が計画的な更新や整備を進めるとともに、各機関の共用取組の実施を促しつつ、運転時間や利用体制を確保するといった点が盛り込まれておりまして、引き続き、こうした点は第6期についても言及していくべき点かと思いますが、さらにこれをより具体的にどこまで書けるのかといった点も検討が必要かと考えております。
簡単ではございますが、資料の説明は以上でございます。
【小杉主査】 ありがとうございました。今御説明いただいたことについて質問、あるいは御意見等を頂きたいと思いますが、時間的には11時過ぎまで、30分以上時間がございますので、今後我々の、この小委員会のミッションにも関わるところですし、いろいろ御意見頂きたいと思います。きょうで決めるものではありませんので、随時、意見が出てきたら修正を加えながら議論していくというスタイルだと思いますけど、いろいろ気付かれた点を言っていただくと今後の運営にも参考になりますので、よろしくお願いします。
では、質問、御意見ございますでしょうか。
【雨宮主査代理】 資料2-2に検討のたたき台というのがあって、その裏に留意事項、留意すべき視点がありますが、この留意すべき視点というところに対して補足を頂ければと思います。
【對崎補佐】 ありがとうございます。まさにこうした量子ビーム施設を俯瞰的に捉えるときには、放射光施設、中性子施設、レーザー施設といったものは、学術の持っているものと国立研究開発法人が持っているもの含めて議論しなければいけないので、省内にほかに検討する場がいろいろございまして、例えば学術関連に関しましては別の局の方で、ロードマップを議論しているような部局があったり、加速器全般に関しましては学術的な観点から検討しているような場がありますので、そうした検討の場とうまく整合性をとり、打ち込む議論や検討していくものにそごがないようにしていくといった点を留意すべき事項、視点として書かせていただいたものでございます。
その上で、どの範囲まで、この小委員会の中で扱うかといった点が、まさに議論すべきところかなと思っておりまして、少なくとも運営主体に関してはある程度総括して考える必要があるところもございますし、そうした点、御意見を頂ければというふうに思って記載をしてございます。
【雨宮主査代理】 議論する場所が違うけど関係しているのを拾い上げているという感じがありますよね。
【對崎補佐】 はい。
【雨宮主査代理】 その場合、そういうようなことも議論、含めながら。
【對崎補佐】 ほかの部会でやっているものの検討状況も、この場で情報のシェアをしたり、あるいはその部会の担当者に状況を説明していただいたりといったことも、この委員会の審議の中で進めていきたいと考えております。
【雨宮主査代理】 だから、どこで何が議論されているかということを事務局等を通してインプットしていただくということが、まず重要なことかと思います。
【對崎補佐】 はい。
【小杉主査】 ほかに何か。よろしいでしょうか。
ちょっと私の方からよろしいですか。資料2-3、光・量子技術関係と、量子ビーム関係と分けられていますが、光・量子あるいは光・量子ビームと、光のない量子ビームと、どういう関係にあるんでしょうか。
【奥室長】 特に意味はありません。光・量子ビーム施設で統一していただいて。
【小杉主査】 「光・」は光を少し強調した感じで、実際、「光」がなくても、量子ビームというカテゴリーの中に「光」も入っているということ。
【奥室長】 はい。基本、同じです。
【小杉主査】 分かりました。
【對崎補佐】 量子という言葉をどうプレーアップするかによって多分、時代の変遷を経て今あるような書きぶりになっているのではないかと思います。少なくとも書きぶりは今後統一させていただければと思います。
【雨宮主査代理】 ちょっと補足しますと、光・量子技術関係を扱っているのが、この上の委員会の量子科学技術委員会で、そこで主査をして。
【小杉主査】 主査は雨宮先生……。
【雨宮主査代理】 ええ。そこではレーザーも入ってきます。Q-LEAP等を議論していますが、レーザー以外では、文字どおり量子を冠にした、量子コンピューターとか量子アニーリングとか量子センサー等が入ってくるので、量子だけでくくるとレーザーが見えにくくなってしまいます。光も量子なんですけど、量子の1つである光を明示的に頭出しして「光・量子」というタームで括っているというのが今までの現状です。量子ビームというのは、量子をビーム、すなわちプローブとして使うということで切り分けています。厳密に言うと密接に相互乗り入れしている点があることは間違いないです。
【小杉主査】 ただ、資料2-2のたたき台の1ページの一番下の方に、今回の小委員会ではレーザー施設も議論するということになっているので……。
【雨宮主査代理】 そうですね。
【小杉主査】 その辺の、上の委員会の方との関係で少し整理が必要かもしれませんね。
【伊地知委員】 よろしいでしょうか。参考資料1-6で、この小委員会の任務として、先端的な量子ビーム技術の高度化及び利用促進方策について調査検討を行うと。だからそこに入らないということであれば、確認できればいいかなと思うのですけれども、国全体として、この前の、閣議決定された統合イノベーション戦略2019でいうと、国として量子技術イノベーション戦略を年末までに策定するということがあって、そこについてはここの内容とは関わってこないということでよろしいのですか。
【奥室長】 国全体の量子技術イノベーション戦略を検討する対象というのは、いわゆるクアンタムテクノロジーの概念として幾つかもう明示的に示しているものがあるんですけれども、それにとらわれずに、光も含めて量子科学技術という、もう少し広めに捉えて議論するのがこの場だと思っています。内閣府の方の議論は対象をかなり明確に絞ってしまっているんです。それをもう少し広げて、大局的な観点から量子を科学技術としてどう見るかということを御議論いただくというのがこの場だと思っています。なので、向こう側と必ずしも、完全に切り分けをする必要はないと思っています。
【山田委員】 先ほど雨宮さんが質問されていた資料2-2の裏側の留意事項です。留意すべき視点のポツの3番目、役割分担等を検討する施設・設備に、素粒子研究の施設、括弧で高エネルギー加速器研究機構のスーパーKEKBやJ-PARCのMR等を含めるべきかという点に関して、この委員会ではどういう立場でそのことを留意していけばいいのかというのが余り明確でなかったんですが、そのことをより具体的に検討しようとすると、この委員会の委員のメンバーではなかなか厳しいのではないかなという気がしています。ですので、これを留意するということは、この委員会の議論にどういう、足かせというとちょっと変な言い方なんですけど、どういうふうに考慮していくべきなのかということをもう少し具体的に分かった方がいいのではないかと思ったのですが。
【小杉主査】 事務局はいかがですか。
【對崎補佐】 まさにおっしゃるとおり、これはどこまで含めるべきか、この委員会のカテゴリーの中ではあくまで量子ビームの施設ということに着眼点を置いて議論していくべきと考えておりますので、その中で加速器の、施設としての議論をするときは、研究目的には必ずしも主眼が置かれないのではないかと思っておりますが、一方でJ-PARCのように、MLF以外にも、ミュオン実験やハドロン実験といった目的の違う研究を1つの施設の中でやっているものがあるので、それを研究目的で考えるのか施設ベースで考えるかによって少し視点が違うのではないかと、その上で我々としては、施設としての議論をしていくべきだと考えています。ただ、基本的には施設の整備・高度化といった点で議論してくべきだと我々は考えておりますが、その目的の中で素粒子研究とか、中性子の場合はそれをどう活用するかというアカデミックな視点が入ってくるので、そうした視点も完全に切り分けることはできないという意味でこちらに書かせていただいております。
【高橋委員】 今のところと先ほどの話とつながると思うんですけれども、この委員会の名前から考えると利用推進の方がむしろ中心なのかなと、量子ビームとか、その頭よりも、むしろ利用推進のところがこの場の目的なのかなと思っていまして、と理解したんですけれども、そういうわけではない。もしそういうことであれば、どちらかというと親委員会の方は、技術委員会じゃないですか。なので、そういうテクノロジーそのものの話だけではなくて、利用者、利用する側、利用を推進する側、促進する側の、そこのつなぎなのかなという印象を受けたんですけれども、何か認識間違っているでしょうか。
【雨宮主査代理】 それに関してですが、量子ビームは科学の分野名ではなく、ツールの名前です。だからツールである量子ビームをどういうふうにして利用するかという意味で、量子ビーム利用推進・・という名前になっていて、他方、量子科学技術というのは、基礎もアプリも含めて1つの分野名を名前にした委員会、と言うのが私の理解で、別にそういう切り口で分けている訳ではないというのが私の理解です。実際に、量子科学技術委員会の中では、レーザーを何に使うのか、量子コンピューターを何に使うのかを議論しますから、応用と基礎で量子ビーム利用推進小委員会と量子科学技術委員会が分かれているという形ではないと考えてもらった方が正しいと思います。
【高橋委員】 分かりました。ありがとうございます。
【小杉主査】 よろしいですか、今の点。
はい、山重委員。
【山重委員】 こちらの資料2-2の1ポツの1から4を超具体的にやるところが一番重要だと思っております。現在の戦略ですと、次の4ポツのところの各施設へのヒアリングだけでは、一般論しか出てこないのではないかと思います。我々のような民間のユーザーや、アカデミアの方のユーザーへのヒアリングがあるのであれば、施設側の現場レベルの先生方からも生の声を聞くような場を設けた方がいいのではないかと思いました。
【小杉主査】 調査については、それぞれの施設から書面でデータを頂く以外に、ヒアリングをするというのもあります。ヒアリングの調査事項にも何か加えることがあれば今言っていただくと、ヒアリングのとき、あるいは資料を求めるときにいいかなと思うんですけど。この点について何か、調査方法の4ポツのところで、情報があった方がいいんじゃないかというのがありましたら言っていただくといいかと思いますが。
どうしても今、現状を把握するという観点での調査になっておりますけど、将来に向けてどう施設を考えているかとか、そのあたりの意見を頂くというのも重要かなと思いますが、何かございますか。
【奥室長】 では改めて、問題意識だけ申し上げておくと、今期この小委員会は約2年間の任期でお願いしていますので、2年間掛けて御審議を頂きたいと思っている事項が、この我が国全体を俯瞰した量子ビーム施設の在り方についてです。これは言ってみれば、我が国、特に国の大型の施設設備であるとか、自治体の方もそうかもしれないですけれども、ややもすると、何か風が吹いたときとか、補正予算が付いたときとか、そういうときに場当たり的に整備しているものというのがかなり多いと思います。一方で、やはり諸外国、特に米国のDOEであるとか、あと欧州もそうですけれども、施設の老朽化対策であるとか新設の計画というのを、かなり中長期計画を作った上で整備を進めているというのが現状だと思います。日本には、マスタープランというのはあるのかもしれないですけれども、それが必ずしも科学技術の大型の施設についてはないというのが一番の問題だと思っています。
前期のときに次世代放射光施設については審議いただきましたけれども、単に放射光施設だけでなくて、せっかく量子ビームというふうな名を冠しているので、中性子源であるとか、あるいはレーザーの施設とか、そこら辺も全て俯瞰的に捉えた上で、では今後の中長期的、計画的な整備の在り方というのをどうしていくのか、ここを集中的に御議論いただいてはどうかと。その中長期戦略を練るに当たって、やはり既存施設をどういうふうに有効活用していくのか、既存施設でも、国が整備しているもの、大学が整備しているもの、地方自治体が整備しているもの様々ありますので、ではそれぞれの役割分担はどうなのかと、強み、弱みを生かした上でどこにその施設の特色を描いていくのか、このようなことをやはり我々の方としても1つ姿を描いていかないといけないのではないか。
さらに、今回の次世代放射光施設で問題になっていますけれども、これを中長期で整備をしていこうとすると、それを支える技術者というのが必ず必要で、ここを計画的に育成していかないと、人がいないというふうなことになりかねない。そこら辺をやはり本当に戦略的に考えていく必要があるのではないかということで、我々として問題提起をさせていただいたということです。
なので、今期はここに注力していただいて、集中的に御意見を頂きたい。その際に、やはり現状をきちんと踏まえないといけないので、もちろん書面調査もやりますけれども、ここの場にまさに現場の人たちを呼んでヒアリングをしていただいて、厳しく意見交換をしていただければよいのではないかなと思っています。これが一番の主題です。
それに加えて幾つか審議事項がありますけれども、今回、前期でSPring-8とSACLAとJ-PARCの5年に1回の中間評価をしていただきましたが、これも、大型の施設について定期的に評価をするというのは決められていますけれども、5年に一遍、10年に一遍やって、それで終わりというのだったら全く意味がないので、そこは評価を頂いたことについての改善がちゃんと図られているかどうかということを定期的にチェックしていただく。これもフォローアップの一環だと思いますし、この俯瞰した施設の在り方の検討につながってくると思いますので、きちんとこの委員会として見ていただくということが必要なのかなと思って、こういう議論の構成にさせていただいたというもので、こういう進め方、こういう考え方、問題提起について、どういうふうな御認識をお持ちかということについて先生方から御意見を頂ければありがたいなというものです。
【小杉主査】 御説明ありがとうございます。それでは何か御意見、コメント。
はい、高原委員。
【高原委員】 また戻ってしまうかもしれませんけど、留意すべき視点のところでマスタープランの次に大型プロジェクトというのがありますけれども、これはマスタープランの絡みから出てきた重点計画ということではなくて、独立した大型プロジェクトという意味で書かれているのでしょうか。例えばJSTとか。
【奥室長】 日本学術会議でマスタープランを作りますけれども、これを文科省の学術分科会のロードマップを検討する部会に掛けて、文科省としての優先順位を付けるということをやっています。それがその学術研究のロードマップでして、言ってみれば同じなんですが、学術会議で、アカデミアでやってきたものを役所の方でもう1回検討し直すというもので、そこともやはり我々は整合していかないといけないのではないかと。
【高原委員】 だからこの大型プロジェクトというのは、特にファンディングエージェンシーが関わっているというものではないわけですね。
【奥室長】 ないです。
【高原委員】 そうすると、例えば調査するとき、調査事項のところで、大型研究でかなり放射光施設とかを活用している例がありますけれども、そういうところのデータというのもうまく調査の中に入れていくと、非常にうまく活用されているプロジェクトも幾つかあると思いますけれども、そういったところも入れていけばいいのではないかというふうに、これを見ていて思いました。具体的には、ビームラインのところを一部プロジェクトで作られているところもありますし、非常に個性的な、特徴的な使用をされ、成果を出されているところもありますので。
【小杉主査】 今おっしゃった点は、資料2-3の裏面、2ページ目の第6期科学技術基本計画に向けた提言というところの2ポツに、こういう施設関係の成果という形で出ていますけれども、それ以外にいろいろあるのではないかという点ですね。
【高原委員】 はい。
【小杉主査】 このあたりはどうですか。結構たくさんありますから。
【高原委員】 たくさんあると思いますけれども。
【對崎補佐】 第6期に関しては別の議論にはなります。
【小杉主査】 そこの成果に、ほかの成果ももっとあるのではないかと、そういうのもここで議論した方がいいのではないかというコメントだと思いますが。
【對崎補佐】 調査に関しましては、そういう学術の大型プロジェクトに関わっているようなところも広く対象には入れていきたいと思っております。
【小杉主査】 そのあたりは適宜、資料等で出していただくということになります。
【對崎補佐】 事務局のイメージとしては、次回か、それまでの間に、こういう施設があるというリストをまず事務局で作成して、これらについてこういう項目を調査しますということを一度委員の先生方に御確認を頂いてから、実際の書面なりヒアリングなりの調査ということを進めていければと思います。まずそのリストアップの中に入れていくということです。
【小杉主査】 今言われたことは、資料2-2のたたき台の4ポツのところで、施設がいろいろな事業と関わりを持っているところを、利用者から……。
【高原委員】 利用者から吸い上げていただければ。
【小杉主査】 そのあたりをしっかり出していただくということですね。それが書面あるいはヒアリングのときに入るように、項目を検討します。お願いいたします。
ほか、何か。
【阪部委員】 よろしいですか。
【小杉主査】 はい、どうぞ。
【阪部委員】 今、室長がおっしゃられたように、施設の発足当時のことというのを改めて知りたいなと思いまして、そういう意味で、設備、施設が造られた当時の背景とかニーズというのも調査事項に加えてはどうかなと。室長が、言葉はあれですけど、場当たり的にできたような施設もあると、外圧とかそういうことも踏まえて、一度見直すとか整理するという意味で、そういう項目があってもいいのかなと。必ずしも造られた当時と、ニーズも変わってきていると思います。それに合わせるように、どのように対応してきたかということを見るのもいいのではないかなと。
【小杉主査】 では、今の点が調査項目に入れば、入れるようにお願いします。
ほかにございますでしょうか。
【岸本委員】 今のお話に関係してなんですけれども、当初の計画ともう一つ、先ほど室長のお話を聞いていて、その施設がどういうところで戦っていこうとされているのかという視点です。その将来を見せていただいた方が、この後ろに書かれていますミッションの再定義だとかオーバーラップを避けるところを考えていく上で必要な議論になってくるんじゃないのかなと思うので、特徴と成果に加えて、やはりその施設としてどこに向かおうとしているのかというところは入れていただいた方がいいんじゃないのかなと思いました。その方が多分、ユーザーにとっても、どの施設がどこに向かっていこうとしているのかがわかり、使い方だとかアプローチの仕方というのも変わってくることも十分考えられると思いますので。
【小杉主査】 全ての施設がそういうビジョンを持っているかどうかは……。
【岸本委員】 分からないので。
【小杉主査】 また聞いてみないと分からないとは思いますけど。
ほかに何かございますでしょうか。田中委員、何かございますか。特に?
【田中委員】 特に……、ありません。
【小杉主査】 佐野委員。
【佐野委員】 室長が先ほどおっしゃったとおりだと思うんですが、各施設を十分有効利用するという観点、またユーザーとしての利便性を考えたときに、施設の運用をする人の人材育成というのが非常に重要かなと思っています。この種の議論というのは今までの委員会でもいろいろあったと思うんですけれども、ただ、それが余り反映されていないといいますか、具体的なところが余り出ていないような気がしまして、そこら辺の議論というのがもうちょっと深掘りできたらいいのかなという感じはしております。
【小杉主査】 人材育成というのは必ず出る言葉であるんですけど、どこの人材かというのがクリアではなくて、利用者として利用技術を上げていく方なのか、施設側なのかというところが余りクリアに議論されたことはないので、そういう視点も入れていくということですね。
【雨宮主査代理】 重要な指摘だったのは、この前回の委員会で人材育成のことはたくさん議論されてきたんですが、具体的にどういうふうにすればいいのかというところまで議論が落とし込めていなかったと思います。また、大型先端施設の研究者が大学の研究者とは違った物差しで評価されるべきなのに、そういう物差しが無いがゆえに、現場の研究者が苦しんでもいるし、また、そのことが、優秀な若手研究者が入ってきにくいハードルになっているということがあると思います。学位取得後に、先端施設でいい装置は使えるけれど、研究支援することがあなたの役割ですよという文化と、大学の文化とは異なります。大学では、自分の研究のために装置を買い、それを維持するという文化ですね。それは、共用法だけではなく、共用施設、共用装置を維持運営し有効活用させるという研究者の役割と異なります。安定的な施設運営に必要な研究者・技術者の育成・確保と言う問題に関して、我々がまとめるときにどこまで何を提言できるかということは非常に重要だと思っています。
【内海委員】 よろしいですか。
【小杉主査】 はい、内海委員。
【内海委員】 今おっしゃったことは本当にそのとおりだと思っておりまして、この小委員会、前回までは次世代放射光施設という1つの、極めてシャープな目的があったので、そのゴールを意識して明確に議論を進め、報告書を取りまとめることができたのですが、今回、ここに書いてある検討のたたき台は、皆さん潜在的に問題意識としてを強く持っておられることばかりですが、一方で、これを具体的な施策とかにどう落とし込んでいくかというのはなかなか難しいのではないかと思います。
ただ報告書を作って言いっ放しみたいな形になると、ほとんど今まであちこちで行われてきた議論とあまり変わり映えしないというようなことになりかねません。今、雨宮先生がおっしゃっていた中で1つ私から強くお願いしたいと思うのは、必ずしも今回の議論は共用法の施設だけのものではないのですが、今回のこの量子ビーム小委員会での議論を次の共用法の改正の中に盛り込んでいただけるようなことがあると、具体的な話として非常に良いのではないかと思います。例えば今、雨宮さんがおっしゃった現場の研究者が支援ばかりで研究できない云々の話も、登録機関の位置付けというのが法律で今のように規定されている限り、なかなかそこに踏み込めないというところもあるのではないかという気がいたします。
ですから、もちろん共用法の改正だけが目的では全くないですけれど、ここでの議論が、何かしら具体的な施策なり法律の改正なりに反映できるようなところにつながっていくということが極めて重要かなというふうに思う次第です。
【小杉主査】 事務局で何かコメントございますか。
【對崎補佐】 ありがとうございます。まさに内海委員に御指摘いただいた、この委員会のまとめを、もちろん報告書なりの形でまとめた上で、どういうふうに施策や今後の整備運用に役立てていくかという部分は非常に重要な視点で、内海委員が御指摘いただいた点も解の1つだと思いますし、我々としても事業に単に何かビルトインするだけではなくて、ロードマップや整備計画に近いようなものであったり、文科省が今やっている事業ではなくて、改めて何か事業を立てたりするのかとか、既存の事業の中にそういうプログラムを作っていくのかといった点、アウトプットをいろいろ考えながら議論していきたいと思いますが、それで定期的に論点を整理するような形で、最後のアウトプットに向けてという審議を進めていければいいかなと思っております。
【小杉主査】 御意見は。
【佐野委員】 大丈夫です。
【宮内委員】 人材育成に関しては結構いろいろなところで議論はされているんですが、そもそも需要としてどれだけの人材育成が必要とされるか、現状としての需要がどれだけあって、将来的にどのぐらい需要が増えていくのか。それに対する供給として、ここでは大学、研究機関等のいずれかという供給源があると言っていますが、本当に一番最初の入り口といったら大学しかないんじゃないかという気がしていて、大学にそれだけの人たちが毎年毎年入るような仕組みというのをどう作れるのかというのも全然見えていない中で、これをやるためには本当に、まず需要の側を明確にイメージすると、供給しなければいけないという、その必要感というか、逼迫感というのが出てくるんじゃないかと思いますので、是非、どこにどれだけの人たちがどういうレベルで必要なのかというのをこの機会に聞いていただいて、明確にしていただくと、違ったアプローチが出てくるのかなと思います。
それから大学の方も、今どんどん学部、学科名が、訳分からないというか、何を学ぶところだか分からないようなものになっていってしまって、ある原子力関係の先生のところでも、僕のところ、大学も悪いんだよねと言っておられて、結局何だか、学生が来てみたら原子炉のことをやっているんですかと言われたというような事態が起きている。そうすると、もっと、大学における教育の分野として、この分野はこういう名前を使ってやっていくんだというようなアプローチをそこの中も入れていく必要があるんじゃないかと、こういう人たちを必要としていて、その人たちがここに来てくれるといいんだけどなというのを明確にするというのは、やはり必要なんじゃないかという気がしているんですけど、併せて、それらのネーミングも含めて御検討いただけるとありがたいと思っています。
【伊地知委員】 関連してよろしいでしょうか。
【小杉主査】 はい、どうぞ。
【伊地知委員】 そうすると、今、施設設置者の中で大学からの聞き取りというところがあるのですが、そうしたときに、工学系というのは設置基準が改正されて、そのあたりが柔軟にできるようになっているはずなので、そういった聞き取りの観点の1つとしても、そのところについてお話を伺うことができればいいのではないかなと思います。
【小杉主査】 施設に人材としての需要を聞くと、今、放射光の場合ですけど、日本はビームライン当たり1人とか2人とかが標準になってしまっていて、本当は、世界標準では四、五人は置いて、その中で人を順繰りに回していくということができているんですけど、1人、2人になったら、もう回せもしない。需要は確かにあるんですけど、実際上、予算の問題もあって人を付けられないというのがあるので、理想と、どこまでできるかという現実と、どの視点で議論するか、ちょっと難しいところはありますね。
そのあたり何か解決するような施策を考えていただく。日本がそういう世界標準から大きく離れた感じでやっているということ。
【宮内委員】 それこそ世界標準でいったらこのぐらい必要なのに、日本はこの程度しかできていないというのが……。
【小杉主査】 それはもう放射光施設で言い続けていて。
【宮内委員】 比較して、明確になるというのがあれば、それも含めての育成、まさしく人材育成の費用というのを社会的コストとしてどう考えていくのかという、そういうことになるんだろう思います。
【小杉主査】 ほかに。このあたりは。
【山田委員】 人事の話になると止まらなくなりますが、たしか前回か前々回にこの委員会で、特にファシリティーの運営、量子ビーム施設を支える方々の人事交流というか流動性というか、そういうものが非常に乏しいという話がありました。そのときに、日本の職階制、例えば研究者は助教、准教授、教授云々があるんですが、日本だと技官という、特に国立の大学等はその職種しかないということが問題じゃないかという、そういう議論もあったわけですね。その議論のときに、たしか局長かどなたかが、文科省の別の委員会でそういう人事制度に関しての議論がスタートしたというようなことをおっしゃったと思うんですが、その辺の議論がどういうふうになっているかというところと、この委員会が連携というか、情報を交流できれば、もう少し具体的な議論ができるんじゃないかと考えているんですが。
【奥室長】 検討の過程の中で、適宜報告をさせていただきたいと思います。
【山田委員】 はい。
【渡邉課長】 済みません、それに関して言いますと、私の課が担当している研究開発基盤部会というのもあって、そこで最近やはり技術職員の必要性というのがかなり問われています。それは専ら、研究者の育成は非常に重要だというのはずっと議論されてきたんですけれども、その一方で技術職員がやはり減っているのではないかと、それによって、こういった重要な研究開発基盤についての運用が非常に低下しているし、やはり育成も非常に重要だという話になってきているところで、まだそこについてどうこうしようというところまでは、方向性は出ていないんですけれども、やはりちゃんと光を当てて議論すべきだということには今なっています。
それに関して、今年の春ぐらいに、柴山プランと言っているんですけど、研究力向上のためのプランをまとめたんですけれども、技術職員の重要性、今までは政策文書に余り書いていなかったんですが、そういう人も重要ではないか、今後考えていくべきだというところまでは一応出てきているというところではあります。
【阪部委員】 私自身、今回初めてですが、実はもう十何年前に、ちょうどJ-PARCが立ち上がる時分、これの前身のような会でも委員を務めさせていただいたんですけれども、もうそのときからこの人材の話があって、言い換えたら、この十何年間何も変わっていないというのが現状かなと。そのときから、要は技官という方の厚遇を条件にしないと、大学生はほとんど魅力を感じないで企業へ就職していくと。欧米なんかはサイエンティストよりも技官の方が給与の条件がいいというのがあると、そういうふうに変わっていかないと、なかなか。それで結局、給料の面で恵まれない部分を、ちょっと科学者もどきのような、研究みたいなことを少しやらせてもらえるという、その辺の非常に曖昧なところでごまかしてきているというのが日本の現状かなと思っていますので、やはりそこはもう人材育成、特にサポートをする技官の問題は、もう長年上がっておりますので、是非根本的な解決を提言していくようにしていただければと。これは多分この分野だけではなくて、日本中のサイエンスのあらゆる分野に関係しているかと思うので、重要な課題かなと思っております。
【宮内委員】 加えて国立大学法人制度化で人件費の抑制が始まっちゃったものですから、そこで一番血祭りに上げられたのは技官の方々で、どんどんそこだけが減っていく。何で人件費、こんなに目標達成、みんなできちゃうんだというのは評価していても感じていたんですが、それはまさしく技官の職を失う人たちによって達成されてきてしまったと。その結果、国立大学の研究開発能力がどんどん喪失されていっているというのも現実的な問題として今指摘されているところですから、それも含めてこちら側からも出ていく必要があるんじゃないかというふうには思っております。
【雨宮主査代理】 それに関して、確かに、大学が法人化したときに、教員を減らすよりも技官を減らしていったというところは大きかったと思います。私は技官の必要性はあると思うんですが、昔の技官をそのまま復活させればいいかというと、そうではないと思います。技術は常に日進月歩しますが、自分ができる技術やテリトリーを守って、新しい技術や、専門以外の技術に挑戦しない技官では困ります。
研究者が何をやりたいかということに関心を持って、研究者とタッグを組む技官はいいんだけど。研究者とうまくコラボできる技官、研究のことも分かっているけど自分の軸足はここなんだという、その自覚を持った技官、そういう新しいタイプの技術者、技官を育てるということが重要です。もちろんその待遇、社会的ステータスが上がれば、学位を取った後に、PIになるより技官になりたいという優秀な学生が増えると思うんですよね。だからその辺の新しい職種というものを形成することが重要だと思っています。放射光科学や量子ビームだけに限らないことだと思いますね。
【小杉主査】 かなり人の問題の議論が長くなって、そろそろ締めないといけないんですが、この件はまた特出しでどこかで議論するということにいたしまして、ほかに、次回以降の議論で抜けている項目等ございますでしょうか。気付いた点。
きょう言われてすぐというのは難しいかもしれないので、次回また意見を頂くということで進めたいと思いますが、よろしいでしょうか。
では、いろいろ意見を頂きましたので、事務局と相談して、今後の調査検討の内容をもう少しブラッシュアップしていくということをやりたいと思いますので、よろしくお願いします。
議題3は終わりまして、議題4ということで、次世代放射光施設の整備検討状況についてです。事務局より、まず趣旨等、説明をお願いいたします。
【對崎補佐】 本小委員会では、前期第9期におきまして、次世代放射光施設の官民地域パートナーシップによる整備に関する検討を行っていただきまして、本年度より整備を開始しているところでございます。本日は、次世代放射光施設の官民で整備するビームラインの検討状況等を含めて、整備の進捗状況について、国側の整備主体でございます国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構の内海委員から御説明をお願いできればと思います。
【小杉主査】 それでは内海委員より、15分程度で説明をお願いいたします。
【内海委員】 ありがとうございます。内海でございます。今、15分程度と主査から言われたのですが、20分ぐらいの想定で資料を作ってきたもので。
【小杉主査】 ちょっと時間は余裕を持っているので、大丈夫だと思います。
【内海委員】 タイトルでございますが、次世代放射光施設、括弧付けで、軟X線向け高輝度3GeV級放射光源です。いずれ、きちんとした施設の名称、ニックネームを付けないといけないと考えていますが、今のところは次世代放射光施設という名前で呼ばせていただいているところでございます。この小委員会に今回から新しく参加される方もおられるとお聞きしていましたので、これまでの経緯について簡単にまとめた上で、今の進捗状況についてご報告いたします。特に今、皆さんの一番の御興味の対象であろうと思われる第1期に整備するビームラインのラインアップについて、少し詳しくお話させていただきます。
1ページめくっていただきまして、2ページでございます。これはもう皆さんよく御存じのとおり、東北大学の青葉山新キャンパスというところに建設することになっております。東北大学の総長は常々、世界一便利な放射光施設ができるんだというふうにおっしゃってくださっています。3ページ目でございます。これも小委員会で議論していただいたことを簡単に1枚物にまとめたものでございます。次世代放射光施設の目指すものということで、横軸がエネルギー、縦軸が放射光の輝度です。横軸のエネルギーの高い方、いわゆる硬X線と言われるところに関しましては、SPring-8が今も世界的な競争力を保っているということでございます。それに比べて、いわゆる軟X線と言われるエネルギーの低い領域に関しましては、既存の国内の軟X線の放射光施設がかなり古くなっているということもあり、ここ数年の間に世界の軟X線向け3GeVクラスの放射光源がたくさんでき競争力を失ってきているというところを今回の次世代放射光施設で大いに盛り上げていきましょうということでございます。
下の方の、1)と2)に簡単にまとめてございますが、この新しい次世代放射光施設では、まず先端性と安定性を両方兼ね備えたコンパクトな高輝度3GeV放射光源を整備する、そして放射光による世界レベルの最先端の学術研究と多彩な産業利用の双方を両輪とすることが大きな目的でございます。それから2番目に書いてございますが、SPring-8やフォトンファクトリー等々、たくさん日本には放射光施設がございますので、国内の他放射光施設との役割分担や相補性というのを考慮して、特にこの次世代放射光施設では軟X線、コヒーレント光の利用研究の促進ということと、本格的な産業連携の推進、産業利用の拡大、それから汎用測定のハイスループット化、などに重きを置いた整備運用を行うこととしております。
めくっていただきまして4ページでございますが、これまでの経緯をアウトラインだけ書かせていただいております。国が開催したこの小委員会は、2016年11月から始まり、2017年2月に中間的整理がまとめられ、その年の7月に量研が「計画案の検討を行う主体候補」に指名していただきました。2018年1月に小委員会としてのいわゆる最終報告書が出て、その段階でパートナーの提案募集が開始されたということでございます。同時に、1月の段階で量研のステータスが1ステップ、アップしまして、整備・運用の検討を進める国の主体ということで、「候補」が取れたのが去年の1月ということでございます。そこで、このパートナーの募集に寄せられた提案を小委員会で審査、審議を行い、8月に、光科学イノベーションセンターを代表機関とする宮城県、仙台市、東北大学、東経連がパートナーとして選定されたということでございます。これを受けて2018年9月に量研と光科学イノベーションセンターで連携協力協定を締結し、共同でシンポジウムの開催等も行ってまいりました。昨年12月にめでたく施設整備費の政府予算案が内示されて、これで本格的に進める体制が整ったということでございます。この3月に量研は、整備・運用を進める国の主体という御指名を頂いて、正式にこのプロジェクトを進めることになったというのが今の位置付けでございます。
5ページ、官民地域パートナーシップというのが今回のプロジェクトの大きなキーワードになっております。これも皆さんよく御存じのとおり、官と民・地域でパートナーを組んでやっていきましょうということでございますが、国側は、整備・運用を進める国の主体として量研が担当させていただいております。ただ、今の段階では、量研だけでは御期待に十分応えられるだけの人材が整っておりませんので、理化学研究所並びにJASRIさんに全面的な御協力をお願いしており、そのために量研と理研、量研とJASRIさん、それぞれの間で連携協力協定を結ばせていただいているということでございます。
それからパートナー側でございますが、一般財団法人の光科学イノベーションセンター、PhoSICと呼ばれていますが、そこを代表機関として、宮城、仙台、東北大学、東経連が協力する形がパートナー側ということでございます。最近、光科学イノベーションセンターとJASRIさんの間でも連携協力協定が締結されたとお聞きしています。
6ページでございますが、この官民地域パートナーシップ、これはもう皆さんよく御存じのとおり、あらかじめ役割分担が、財源負担も含めて明確に決められております。オレンジの部分から見ていただく方が分かりやすいのですが、基本建屋を造るところ、研究準備交流棟を造るところ、それから用地の整備をするところに関してが、パートナー側の分担ということになっております。国側、つまり量研側の分担としては加速器をきちんと整備することがまずあります。そして、ビームラインに関しては国とパートナーが協力してやっていくことになっていますが、当面の目安として、まず10本の整備を目標としましょうということになっており、そのうちパートナー側は最大7本を造るという役割分担になっています。整備費として総額約370億円ぐらいの計画になっていますが、お金の負担で申し上げますと、国側の負担が約200億円、パートナー側の負担が約170億円というのが大体の財源分担になっているということでございます。
7ページでございますが、およその整備スケジュールでございます。これも下から見ていただいた方が分かりやすいのですが、まずパートナー側において、整備用地を整地していただいた上で、基本建屋を造っていただく。整備用地に関しましては2018年度の3月から、整地が始まっています。基本建屋に関しましては現在、詳細設計が進んでおりまして、できるだけ早期に建設を始め、2021年度の終わりぐらいまでに竣工させたいというプランでございます。
これに合わせて加速器側、国側をブルーで示しておりますが、2019年度、予算を認めていただきましたので、整備に着手し、19年度、20年度は加速器に関してのいろいろなコンポーネントを製作するということでございます。建屋ができる2021年度下期に、そのできたコンポーネントを仙台に持ち込み、加速器の、いわゆる並べ、調整作業に入り、最終的に2023年度下半期をめどにファーストビームを目指すというのが、全体のスケジュール工程になっています。これに合わせて、国側とパートナー側で連携してビームラインを10本製作していくということになりますが、今年度は主に仕様の検討をし、来年度あたりからその中身について、製作に順次入りたいというふうに考えています。 8ページでございます。加速器の設計でございます。申し訳ございません。その前に資料が1枚抜けております。量研では整備のための体制づくりを行いました。きょうの私の肩書きにも付いておりますが、昨年12月に量子科学技術研究開発機構の量子ビーム科学部門の中に次世代放射光施設整備開発センターを発足させまして、そこが中心になってこのプロジェクトを進めているということでございます。その新しい体制の次世代放射光施設整備開発センターの中に計画管理グループ、加速器グループ、それからビームライングループという3つのグループを作りました。加速器グループのグループリーダーには、今日もここにおられますけれども、理化学研究所の田中副センター長に客員グループリーダーに就任していただいて、加速器の設計、製作の指揮をとっていただいております。それから、JASRIさんには全面的な協力をお願いしておりまして、加速器グループの中には12人のJASRIの方々にクロスアポイントメントで量研に来ていただいています。私のミスで1枚、体制に関する資料が抜けておりましたので、口頭だけで説明させていただきました。
加速器の設計に関しましては、今はここに簡単なスライドを1枚しか御用意しておりませんけれども、ライナック、蓄積リングの加速器の設計はほぼ終了しております。Four bend achromat latticeという新しいラティスで、非常に小さなエミッタンスを実現するということでございます。そこに、SPring-8のときの大まかなビームの大きさに比べて、次世代放射光施設ではこのぐらいビームが小さくなりますよという絵が描いてございます。
表にしてありますが、加速器の諸元に関しましては、小委員会の報告書でこういうものを作りなさいということが明確に記載されております。そこに書かれたパラメーターに比べて実際の設計上がどうなっているかということをピンク色で書いたものがこれです。見ていただきますと分かりますように、小委員会の報告書で書かれていたものをほぼ踏襲する形で、加速器エネルギー、蓄積電流、それからリング周長、エミッタンスなどの設計値が決定され、まもなくこれのコンポーネントの発注に臨む段階になっているということでございます。ビームラインに関しましては、最大26本のビームラインを設置できるという予定です。
加速器設計の大きなフィロソフィーが2つ書いてありますが、軟X線からテンダーX線の領域においてSPring-8の輝度を大幅に凌駕する高輝度光源を周長350メートル以下で実現するということ、それから、JASRIと理研の協力によって、SPring-8、SACLAで得られた知見・技術を最大限に活用して、この設計に当たったというのが大きなポイントでございます。
9ページ、設計と並行して、昨年度から頂いている補助金を活用して、加速器のR&Dを進めてまいりました。具体的には、1つの加速器の蓄積リングの一つのセルの半分に相当する磁石と架台を実際に試作し、SPring-8の実験フロアをお借りして、様々な性能チェック等をやっております。今回の3GeVに関しましては、安定的に電子を周回させるために、磁石を今まで以上に高精度で製作して、なおかつこれを高精度でアライメントしないといけないという要請がございます。磁場中心を数ミクロ程度でアライメントする手法というのが求められるわけですが、試作させていただいたこのハーフセルで、いかにしてこういうアライメントを実現するかというようなテストを今やっているというところでございます。次から次で恐縮でございます。ビームラインのお話を少しさせていただきたいと思います。どういうビームラインを造るかというのが大きな問題、課題でございます。これまでの経緯の中で、ビームラインの検討がいろいろなフェーズで行われてまいりました。その過去の経緯を少しだけまとめさせていただいています。
国の審議会が始まる以前に、東北大学が地域側の活動として外部委員に委嘱された委員会で、いわゆるエンドステーションコンペということを行われており、その報告書が2017年7月に東北大学の答申という形で出ております。それに対して国の小委員会での中間的整理、および最終報告書の中でも、ビームラインとしてはこういうものが望まれるというようなことが書かれております。一方で、2018年8月には、パートナー代表機関である光科学イノベーションセンターがその中にビームライン構想委員会という諮問委員会を作られました。イノベーションセンターは、個別出資をいろいろな企業にお願いしておられるので、その出資をされた参加企業を代表する委員と学術アドバイザーによって構成された委員会で主としてパートナーが造るビームラインについてのいろいろな検討をなさってきたという経緯がございます。しかしながら今回、官民地域パートナーシップで、国とパートナーとが一緒になってビームラインを建設していくということに当たっては、今まで個別に議論されてきたことや、パートナー側がこういうものを造りたいと考えてこられたことを踏まえながら、10本の全体をもう一度議論しようではないかということになり、昨年12月に量研と光科学イノベーションセンターが共同で次世代放射光施設ビームライン検討委員会というのを設置いたしました。ここで具体的な10本の中身について議論を進めてまいりました。
11ページにその概要が書いてございますが、量研と光科学イノベーションセンターの連携協力協定のもとで東大の有馬先生を委員長とし、量研、イノベーションセンターの職員並びに外部有識者で構成される新しい委員会を設置しました。昨年12月から今年5月までの間に4回の委員会を開催しまして、特に、挿入光源やビームライン光学系に関する技術課題の検討及び標準化、そして第1期に整備する10本のビームラインのラインアップを決定したというのが、この委員会の内容でございます。
また、この間に、ビームラインに関する意見募集というのも行いました。と言いますのは、先ほど申し上げましたように、パートナーが造られるビームラインに関しては今までいろいろな検討がされ、あるいは公募もされているのですが、国が整備するビームラインに関しては、そういう皆さんの意見を聞くというプロセスがあったのかなかったのか、ちょっと微妙な状況であったということがございます。具体的には、この意見募集では大きく分けて2つ、国が整備するビームラインに関しては、具体的な御提案があれば是非とも寄せてくださいということ、それからパートナーが整備するビームラインに関しては、その構想委員会の報告書というのが既に出ておりますので、それに関する御意見、御要望を出していただくという形で意見募集を行いました。寄せられた意見は、委員会で検討し、重要なものについては、委員会における決定に反映させていただいています。
12ページに、意見要望でどんなものが出てきたかというのを簡単にサマライズしてございますが、(1)の国が造るビームラインに関する提案として、そこに出ている1から5番までのような具体的なビームラインの御提案というのが寄せられました。詳しいことは申し上げませんが、ARPESに関するものが2つ、MCDに関するものが1つ、RIXSに関するものが1つ、コンプトン散乱に関するものが1つでした。さらに一般的な意見では、整理の仕方にもよりますが、全体で55件の要望や意見が寄せられ、そこにあるように、光源性能に関するもの、計測装置、試料に関するもの、運営やユーザー支援に対する要望、などが寄せられました。これらの意見や提案を踏まえて、ビームライン検討委員会では、ビームラインのラインアップ10本を検討し決定したということでございます。
具体的なやり方は、13ページにまとめてございます。どういう指針でその10本を決めるかということを委員会でまず議論しましたが、大きく分けて2つ、重要な観点がございます。1つは、これはまだ決まってはおりませんけれども、新しい次世代放射光施設は共用促進法の適用を受けるということを想定し、共用法の要請から、先端的な性能であるか、科学技術の広範な利用ができるかどうか、具体的にはビームライン性能が適切であるかとか、学術研究や産業利用ニーズが見込まれるかとか、SPring-8など他の放射光施設との役割分担というような観点で検討を行いました。それからもう一つ、非常に重要な別の観点として、官民地域パートナーシップによって整備・運用が行われることを鑑み、特にパートナービームラインに関しては利用料収入が十分に得られるかという点も考慮しました。
パートナービームラインについては、ビームライン構想委員会の報告書に具体的な案が、希望も含めて記載されておりますので、それを出発点として、技術的観点などを踏まえて、合理的に実現できるビームライン編成を検討しました。また、国のビームラインについては、小委員会での検討やら海外施設の動向、さらに意見募集に寄せられた具体的なビームライン提案などを参考に、新たな検討を実施したということでございます。
委員会では非常に熱心な議論が行われたんですが、最終的な結果だけを14ページ、15ページにまとめております。これが今回、ビームライン検討委員会で決定した第1期に整備すべきビームラインラインアップということになります。
まず14ページには、パートナーの7本のビームラインについてまとめてあります。特に深い意味はありませんが、便宜のために1番から7番までビームライン番号が振ってございます。光源の項目で、IVUというのが真空封止のテンダーX線用アンジュレータ―、MPWというのはマルチポール・ウィグラーでございます。それからAPPLE-SX、APPLE-EUV、APPLE-SXと書いてあるのは、アップルタイプと言われる軟X線に特化した光源ということになります。これを見ていただくと分かりますように、パートナーのビームラインとしては、1番から4番までが、いわゆるテンダー領域から硬いX線領域を主とするビームラインです。そのうち2本がマルチポール・ウィグラーを使ったビームライン、2本が真空封止型のアンジュレータを使ったビームラインということになります。ここでは、X線のXAFSでありますとかX線回折、それからイメージングというようなことを主として行うことになります。それから軟X線のビームラインとして5番、6番、7番という3つのビームラインをパートナー側として整備します。そこに書かれていますように、軟X線の磁気イメージング、電子状態解析、それからオペランド分光というようなものをラインアップとしてそろえるというのがパートナー側のビームラインとしてふさわしいというのが結論です。
次のページでございますが、共用法で造る国のビームライン3本についてです。こちらに関しましてはEUVから軟X線に関してのビームラインのラインアップという形になっています。具体的には一番上から、8番がナノ光電子分光、いわゆるARPESと言われるビームライン、9番がナノ吸収分光、いわゆるMCDのビームライン、一番下の10番が高分解能共鳴非弾性散乱、ハイレゾリューション RIXSのビームラインです。これら10本がビームライン検討委員会として決定したラインアップですが、これはあくまで全体としてラインナップを定めたものであり、特に計測のところの内容についてはあくまで例示として書いているにすぎず、各ビームラインの実際の用途、運用については、これから別途検討が行われることになります。
【小杉主査】 そろそろ。
【内海委員】 申し訳ございません。16ページ、最後です。
この報告書はウエブから取り出せますので、皆さんお読みいただければ幸いです。今後これを基に、特にエンドステーション側の議論をさらに進めていって、ビームラインの設計に反映させていきたいというふうに考えています。
最後のページには、造成が具体的に、こういうふうに現地で始まっているという写真を提示させていただきました。
済みません、長くなってしまいました。以上でございます。
【小杉主査】 どうもありがとうございました。現状の進捗状況、大体予定どおりには進んでいるような御説明でしたし、あとビームラインの10本、7本と3本の仕分け等も報告を頂きました。10分程度、何か御意見があればと思いますが、いろいろ前期の小委員会で議論して、こういうビームラインはどうかとかいう御意見等あったんですけど、結果を見ると大分違う感触もあるんですが、そのあたりは高橋委員とか高原委員、コメントございましたら。
特に、いいですか。クリスタログラフィーのビームラインがちゃんとあるわけではないようですが。
【高橋委員】 ないですね。全体的に軟X線の方を中心にされているということで。
【小杉主査】 それは元々からあります。
【高橋委員】 はい、いいと思います。当初の目的に沿っているのではないかと思います。
【小杉主査】 何か御意見等ございますか。
【田中委員】 確認ですが、X線コヒーレントイメージングで真空封止を使うのですが、円偏光、水平直線、垂直というのは、これはどういう光源を想定されているんでしょうか。それとも光源は普通の水平偏光で、位相子を使うということでしょうか。
【内海委員】 多分そうだと思います。ちょっと確認しないといけないですが。
【田中委員】 そういうことですね。
【内海委員】 はい、そうだと思います。
【小杉主査】 ほかに御意見、御質問ございますでしょうか。
【宮内委員】 これはオペレーションの費用と収益の計上の場所の区分けというのは、どういうふうになるんですか。
【内海委員】 運営の形態と運営費に関しての議論というのはこれからですが、これまでの議論では、原則的にパートナービームラインの約半分程度のマシンタイムは、パートナーが自主運営をされるということになっています。そこで得られる収益、すなわち利用収入で光科学イノベーションセンターの経営を成り立たせていかないといけないというように聞いています。一方で共用ビームラインについては、従来のSPring-8等と同じように、国からの補助金や交付金を頂いて運営をしていくという形になります。また、パートナーは7本のビームラインの整備をしていただくのですが、これまでの小委員会での議論にあったように、そこの運用に関しては、100%のマシンタイムをパートナー自主運営のために使うわけではなくて、約半分程度については共用ビームライン的な運用をしましょうということになっています。そのマシンタイムの割合に沿って国からも何らかの交付金を出すというようなことになろうかというふうに考えていますが、登録機関のあり方も含めて、詳細についてはこれからの議論だと思います。
【小杉主査】 ほかに何かございますでしょうか。
【岸本委員】 よろしいですか。12ページのところで、全体として、お話を伺ってハードウエア面についてはすごく順調に進んできているなということは感じたんですけれども、(2)の3)運営・ユーザー支援等に対する要望が14件あって、この件については特に触れられていなかったと思うんですけれども。要するに何が聞きたいかといいますと、先ほどの御議論にありましたけれども、世界標準から見たときに1本当たり5人ぐらいの整備が必要だよというような話がある中で、具体的なビームラインの運営とか、そのあたりというのは、まだまだこれから議論されるということですか。
【内海委員】 大変申し訳ありません。そこの重要性は我々QSTとしても光科学イノベーションセンターも重々承知はしているところですが、今やらなければいけないことがめじろ押しで、その辺の議論はまだ始まったばかりというところが正直なところでございます。もちろんそういうことに関して、量研側の分担とパートナー側の分担の整理も含めてしっかり検討していかなければならないと考えています。御存じのとおりパートナー側ではコウリション・コンセプトという、非常に明確なコンセプトを出されております。そういうものを実現するにあたって、どのような体制や人員が必要であるのかなどもこれからの議論であり、またそれに対しての予算措置等につなげていくということも必要になってきます。引き続きそのような要望をどんどん寄せていただければと思います。よろしくお願い申し上げます。
【岸本委員】 この委員会でも前にありましたけど、先ほどの紙にも書かれていましたとおり、10年に一度の大きな変化のときなので、人を育てるといういいチャンスの時期でもあるはずなんですね。ですので是非、世界標準になるための好事例として、この施設がまずは位置付けられるといいんじゃないかなと個人的には思いましたので、期待していますので、お願いします。
【小杉主査】 そういう意見というのがパートナー側の方にも伝わるような仕組みというのはあるんでしょうか。
【内海委員】 今日はパートナー側の方は参加しておられないのですが、当然ながら今日お示しした内容はパートナーの代表機関の光科学イノベーションセンターは100%承知しておられます。諸般の事情で本日の報告はQSTだけのクレジットで進めさせていただきましたけれど、実際には密接に連絡をとりあっていろいろな仕事を進めております。特に運用面やビームラインのところに関しましてはほぼ一体となってやっていっていると思っていただいて結構です。パートナー側の担当の方とはほぼ毎日のように情報共有しながら進めているという状況ですので、そういった意見が伝わらないということはあり得ないと思っています。
【小杉主査】 ほかに何かございますでしょうか。
【阪部委員】 質問ですけど、加速器のR&Dは若い方が携わっておられるんでしょうか。こういう何十年に1回という、そういうのはもう絶好の機会で、こういうときに人材が育っていくんですけど、ちょっといろいろ漏れ聞こえたところによると、常に加速器設計はかなりシニアのベテランの人がやっているというようなことをちょっと聞いたりしているんですが、その辺、現状いかがでしょうか。
【内海委員】 田中副センター長が、にやっとされておられるので。
【田中委員】 私が答えた方がいいですか。
【内海委員】 お願いできますでしょうか。
【小杉主査】 田中委員、お願いします。
【田中委員】 噂の通り、いや、もう大変でございまして、シニアの人たちが体にむち打ってやっています。この3GeV次世代放射光光源、その次にSPring-8の高度化が進展するという期待を持って、若手はぽつぽつと入ってきてくれています。まだコアメンバーにはなっていませんけれども、おっしゃるように3GeVを実際建設していく過程で若手が鍛えられるOJTの場にできればと考えて進めています。
【阪部委員】 時代背景が違いますけれども、やはり昔は若輩者が任されて、そこで成長してきたという、そういうのがあるので、こういうビッグプロジェクトは絶好の機会かなと思ったので、是非。
【田中委員】 ええ、おっしゃるとおりです。先ほど来、大学の学部とか講座の話がありましたけれども、加速器の担い手を教育していただける国立大学の講座というのがほぼゼロでございまして、参加していただける方は他分野から来られるので、コアになるまでに3年、4年という、年数が必要になるというところがあります。即戦力という訳にはなかなかいかないのですが、シニアがうまくサポートし、若手が早く一人前に育つよう工夫はいろいろしております。
【阪部委員】 ありがとうございます。
【小杉主査】 ほかに何かございますでしょうか。
元々、電気代がかなり放射光施設はシビアです。省エネ型ということで、8ページに5メガワットということで、抑えられた消費電力ということにはなっているようです。ちょっと話はずれますが、日本では無理だと思うんですけど、中東にSESAMEという施設があって、そこは6メガワットを太陽光発電でやっていて、その太陽電池の維持費も含めて電気代として払っているのは10%切っているそうです。そういう発電施設も、中東ですから問題ないのかもしれないですけど、5メガワットというのは、なかなか省エネになっているかと思います。
【内海委員】 SPring-8付近の航空写真を見ていただくと、播磨学研都市の中に太陽光パネルをずらりと並べたところが確認できます。その太陽光パネルを並べたものは、SPring-8の半分近くに相当するぐらいの大きさなんですが、現地を見に行くと、そこでの発電量が、たしか5メガワットか6メガワットぐらいと書いてあります。逆に言うと、そのぐらいの広さが必要ということです。もちろん太陽電池の性能もどんどん上がっていくんでしょうけれども。
【小杉主査】 具体的なSESAMEの電気代は、単価が違うと思いますけど、1か月3,500万円ぐらい掛かるところが、240万円ぐらいで済んでいるということを言っていましたね。だからかなりの節電です。ちょっと話題がずれまして、申し訳ないです。
ほかに何かございますでしょうか。そろそろお時間なんですけど。
では、本日いろいろコメントも頂けましたけど、QSTには国側の主体ということで、今後整備を進めていただきたいと思います。
予定された議題は以上ですけれど、他にないですかね。
最後に、事務局の方から連絡事項があれば、お願いいたします。
【對崎補佐】 次回の当小委員会の開催は8月中で調整しておりますので、改めて日程等、御連絡させていただきたいと思います。また、本日の会議の議事録につきましては、作成次第、委員の皆様にメールにて御確認いただきまして、非公開の案件を除きまして文部科学省のウエブサイトに掲載させていただきます。本日の資料につきましても、後日、文部科学省ウエブサイトに公開いたします。本日の資料について郵送を御希望の方は、封筒に入れた後、机上に置いたままにしていただければと思います。不要な資料については封筒に入れずに、そのまま置いていただければと思います。
なお、委員の方で手続書類を御提出いただいていない方はいらっしゃらないと思いますが、旅費手続等、押印を頂いていない方は、お帰りの際に受付にお持ちいただければと思います。
以上でございます。
【小杉主査】 どうもありがとうございました。
では、以上をもちまして、第10期の第30回の量子ビーム利用推進小委員会を閉会いたします。本日はどうもありがとうございました。
―― 了 ――
 

お問合せ先

科学技術・学術政策局 研究開発基盤課 量子研究推進室

(科学技術・学術政策局 研究開発基盤課 量子研究推進室)