量子科学技術委員会 量子ビーム利用推進小委員会(第9期~)(第56回) 議事録

1.日時

令和6年9月27日(金曜日)14時00分~16時00分

2.場所

文部科学省内15階局1会議室及びオンラインのハイブリッド形式

3.議題

  1. SPring-8/SACLAの中間評価について
  2. 令和7年度概算要求について
  3. その他

4.出席者

委員

小杉主査、高原主査代理、石坂委員、大竹委員、川北委員、岸本委員、阪部委員、高橋正光委員、高橋瑞稀委員、唯委員、古川委員、矢橋委員

文部科学省

野田研究環境課課長、伊藤研究環境課課長補佐

オブザーバー


高輝度光科学研究センター坂田理事

5.議事録

【野田課長】  それでは、定刻になりましたので、ただいまから第12期量子ビーム利用推進小委員会(第56回)を開催いたします。
 本日はお忙しい中、御出席いただきまして、誠にありがとうございます。小委員会の事務局を担当させていただきます文部科学省科学技術・学術政策局研究環境課の野田でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 本日ですが、オンラインとのハイブリッド形式で開催しております。全14名中12名の委員の皆様に御出席いただいておりまして、対面による御参加が6名、オンラインでの御参加が6名となっております。御欠席者につきましては、森委員、山重委員とお伺いしております。
 また、議題1、「SPring-8/SACLAの中間評価について」に関連しまして、高輝度光科学研究センターより坂田理事にお越しいただいております。
 なお、本日は、会議公開の原則に基づき、報道関係者や一般傍聴者によるユーチューブでの傍聴を認めておりますので、御了承ください。
 次に、配付資料を確認させていただきます。Zoom上に画面共有しております。画面が見えにくい方は、事前にお送りしています資料を御覧いただければと思います。
 配付資料は、資料1-1、1-2、1-3、それから、資料2、そのほか参考資料として前回資料を配付いたしております。
 何か御不明点がございましたら事務局までお知らせいただければと思います。ここまで何かよろしいでしょうか。
 それでは、小杉主査、どうぞよろしくお願いいたします。
【小杉主査】  主査の小杉です。
 それでは、早速、議題1から始めたいと思います。
 議題1は、「SPring-8/SACLAの中間評価」についてとなっております。2018年度の中間評価の際の指摘事項への対応状況を御説明いただいているところですが、前回と今回で2回に分けておりますので、今回は後半部分ということで、利用促進への取組、人材育成の取組、その辺りを資料1-1に基づいて、理研の矢橋委員から30分ほど説明いただくということになっております。
 それでは、矢橋委員、よろしくお願いいたします。
【矢橋委員】  小杉先生、ありがとうございます。それでは、理研の矢橋から説明したいと思います。
 一枚めくっていただきまして、これが今回のリストになっておりまして、このIDナンバーがついている3-3から4-5までを御報告したいと思います。3-2までは前回行いました。これは先ほども御紹介ありましたが、参考資料にまとめてありますので、適宜御確認ください。
 それから一枚めくっていただきまして、前回指摘事項のうち、このページにあるものはSPring-8-Ⅱの報告書で重複しているということで、今回は参考資料にまとめてあります。
 それでは、めくっていただきまして、4ページ、(3)産学官共用による利用促進というくくりで幾つか項目がございますので、御説明します。
 まず、(3-3)産・学・施設間の連携強化や企業ニーズ等の把握に向けた、SPRUCとSPring-8利用推進協議会の統合を含むユーザーコミュニティを有効活用する仕組みの導入状況ということで、取組の状況を御紹介したいと思います。このコミュニティー、特に学術側が主にSPRUC、産業側が利用推進協議会ということで、前回のコメントに統合という、ちょっと踏み込んだことも書いてあります。統合には至っておりませんが、二者のコミュニケーションの強化も二者で図っていただいておりますし、施設としても二者と連携してやっていくということを進めております。
 具体的な幾つかの取組としましては、その下にございますように、SPRUCの協力もいただきながら、SPring-8-Ⅱの利用ニーズ調査を昨年度実施してございます。これは昨年度、この小委員会でも報告させていただきましたが、この下にあるように、現在のSPring-8の利用希望日数をアンケートを取りまして、それが今のキャパシティーに比べて非常に多いと。すなわちSPring-8-Ⅱが待ったなしであるという、そういう結果をいただいております。
 それから、SPring-8利用推進協議会、産業側のほうでもいろいろな、特に産業界のニーズに沿った利用制度の議論をしていただいておりまして、特に成果準公開の提案も受けまして、こちらはこの後もまた出てきますが、来年度からのスタートに向けて、いろいろな整備を進めているところでございます。
 それから、新しい制度の産業利用ニーズに関するアンケートも適宜実施しております。
 それから、これはSPring-8に限らない話ですが、NanoTerasuのユーザー共同体というところも今まで別個に走っておりましたが、これがSPring-8とやはり相補的であり、しかも、かなり重なっているユーザーが大半であるということで、ユーザー共同体のほうでも統合の方向で検討されているということを伺っております。
 それで、次のページに行っていただきまして、今のところがそういうことですが、この青字のところ、上の囲みの青字のところで、この委員会の中で、委員からの関連コメントとしまして、産業と一口に言ってしまうのですが、当然その中でも様々なレイヤーがあって、例えばスタートアップ、ベンチャーから中小、それから、大企業に至るまで、大企業の中でも様々な状況があると思いますが、置かれている状況によって必要な利用制度が異なるため、そこをしっかり位置づけを明確化しながらやってくださいということを、これは実地調査のときに指摘をいただいております。
 そこに呼応する取り組みとして、その下の青字のところですが、産業界のニーズの仕分を行いながら、利用制度の改正というのを進めているところでございます。特に2025A期、来年度から導入する直近の施策としましては、これもこの場で議論させていただいておりますが、利用料収入の位置づけの再定義、それから、料金体系の改正、これは利用料収入を運営費回収方式に相当する2階建てにして、従来の1階部分と、施設が提供するサービス等の価値の相当部分の2階部分に変更しまして、特に2階部分のところで様々なニーズにきめ細やかな対応を行えないかということを検討しております。
 それから、2番目としまして、先ほどもありました成果準公開利用ということで、これは企業ユーザーの成果公開方法としまして、今まで成果を公開するか、成果を公開せずに有償で使っていただくかと、その2択しかなかったわけですが、特に後者の場合は企業でやっていただいた成果が社会に見えなくなるという課題があった。さらに、成果を公開するのも論文が主体でしたので、それもアピールするのに適当かどうかという議論がありました。今回、そこの中間といいますか、新たな成果の公開方法としまして、プレスリリースであったり、学会発表であったり、様々なPR、論文以外のPR活動のところが選択できるような制度を創設しまして、これによって産業利用の多様な成果の発信を促進しながら、認知度の向上を目指すということですが、企業自身もSPring-8を使っているという、ある意味で間接広報の役割を期待しておりまして、これはそのための第一歩の制度ということでございます。
 それから、3番目としまして、今、DXとかいろいろなことが進んでおりますが、インフラは整っていますが、オペレーションのところをどうするかという課題がありました。そこに対しまして、試料調製等を含めた実験の自動化、オートメーション化をさらにオペレーションベースでも進めていくために、消耗品の実費負担のところを改正しまして、一部ここで、こういうところも見ていくというところを実現に向けて検討しております。
 これは差し当たって、来年度頭からやるということですが、当然やったらおしまいというわけではなくて、この実施の経過であったり、結果であったり、効果であったり、そういったものをきちっとチェックしながら、引き続き、この政策の一部を変更するものであったり、あとは全く新しい提案であったり、そういったところは継続してやっていかなければいけませんので、それを実施していくという計画でございます。
 3-4ということで、産学の情報交換や共同研究の推進を目的とした、施設が主催する研究会、講習会等の開催時期、頻度の見直し、一層の充実の状況ということで、ここのページは主にJASRIにまとめていただいていますが、他機関、他組織と連携した新規イベントの立ち上げということで、SPring-8放射光先端利用技術ワークショップというのを4回、2021年から4回開催しております。それから、データ科学研究会であったり、J-PARCとの連携を促進するために、放射光・中性子の連携利用に向けた合同研修会というのを、CROSS、JASRIの共催でやっております。
 それから、この間、前回の中間評価から今までの間にコロナ禍がございましたが、それを踏まえて、オンライン、ハイブリッドの会議が非常に盛んになりました。そういったところも適宜取り込みながら、オンライン開催によって参加者数を増やす、あと個別のディスカッションが増えるといったところもありますので、現地はもちろん現地のよさがありますが、オンライン講習のメリットも生かしながら進めているということでございます。
 次のページに行っていただきまして、一方で、これは従来型の講習会、研修会でございますが、下にプッシュ型、プル型と書いてあります。これは施設から見てということです。施設から見て情報を利用者に発信するということで、これがいわゆる従来の研修会をやります、それから、講習会をやりますと利用者に呼びかけて、来ていただくということをやっております。これは既存の利用のコミュニティーの中に向けては有効ですが、コミュニティーの外にどういうふうに届けるかという課題があるのは以前から議論になっておりました。そこに対しまして、プル型と言っているのは、施設が利用者のニーズであったり、課題であったり、こういったものをアンテナ高く受信していく必要があるわけですが、例えばこういうところに今の講習会が活用できないかというところの検討を進めております。
 もう少し具体例、これはあくまでも一案でございますので、今後検討が必要ですが、例えば講習会というのは、決まった日取りでやるだけではなくて、例えばユーザー、特にポテンシャル、潜在的なユーザーの要望に基づいて、こんなことできませんか、あんなことできませんかという要望がやってくると。それがある程度、数がたまった時点で、フィージビリティスタディと言っていますが、SPring-8の分析能力、分析方法がユーザーの持つ課題に応えられるかどうかを最初のスクリーニングを行うと。もし何か行けそうだということであれば、本格的に使っていただくことができますし、なかなか難しいということであれば、例えばJ-PARCであったり、いろいろなほかのことを案内するということも可能になると考えられますので、こういった形でFS、フィージビリティスタディを実施することもできるのではないかということを検討しております。またこれは今後、検討状況を御報告したいと思います。
 それでは、次のページに行っていただきまして、3-5、産業利用ユーザーの積極的な利用が見込まれる遠隔実験(メールインサービス等)の導入についての検討状況ということでございます。これは関連コメントとして、先ほどと全く同じ、企業の様々な状況に応じたニーズをちゃんと把握すべしという青いところのコメントがついております。ここに対しましては、ニーズに合わせた利用形態のバリエーションを拡充ということで、先ほど紹介しました利用制度の改正の中で、測定代行のオプションであったり、時期指定のオプションであったり、あと、成果準公開制度、こういったところを、ある意味で、アラカルトではないですけども、いろいろなオプションをつくって、まず選択可能にしてみるということでやっております。
 特にメールインサービスとか様々な代行測定に関連しまして、先ほど少し申し上げた試料の調製サービスが一つポイントになってきております。ユーザーは、放射光で測りたい試料をつくるわけですが、それは普通に、例えば会社の研究室のラボで合成したりするわけですが、そこから実際測定するまでに、特殊な容器に入れる必要があるとか、特殊な形状に加工する必要があるとか、そういったところがありまして、そこは実は放射光特有のものである場合があります。
 具体的には、ここの下にありますが、粉末キャピラリ充填、あと、XAFSペレット作成というのがそこに相当しまして、ある特殊な形態に持っていく必要があるわけですが、そこが結構マンパワーというか、人力に頼っていたというのが今までの状況でございまして、大学の研究室で、試料が非常に数が少ない中でやっていく、今までのスタイルではよかったのですが、今後、非常に大量の試料を早く測って、組成を少しずつ変えながら、データ処理の援用も行いながら様々な開発をしていくところにはマッチしていなかったというのがあります。
 ここに対して、試料調製サービスというのは、ユーザーが事前に合成した直後の試料を送付していただけば、実験時に実験がすぐできるような形に試料を調製して、受け取りができると。場合によっては、このまま施設で代行測定をやって、ユーザーにはデータだけ返すということを計画しておりまして、まずこの2つからスタートしますが、これは今後、拡張を進めるということでございます。この右側には、細かな事務的なフローが書いてありますが、実際ここの裏づけとなる、どういうふうに何が行ったり来たりするかというところの細かいところも含めて、かなり検討は進んできておりますので、来期のサービスには何らか、皆さんにこれを使っていただける状態にはなると思います。
 次のページに行っていただきまして、(3-6)学術と産業界をつなげるコーディネート機能を充実、強化するとともに、コーディネーターの評価やキャリアパス等の見直しを図る。(3-7)利用者の拡大や人材育成に関する産学コンソーシアムの好事例の産学連携のモデルケースとしての拡大状況ということで、これも主にJASRIに資料を作成いただいておりますが、まずコーディネート機能のところで現在、この後にも出てきますが、量子ビームゲートウエイ構想というのがございまして、これは複数量子ビーム施設のタイムリーな利用と、DXを見据えた相補的利用を行っていくと。放射光、中性子施設とした量子ビーム施設の一元的な窓口、これは登録機関間の連携をして、一元的な窓口を設けて、コンシェルジュを配置するという計画でございますが、こういうことで、両方をしっかり使うことができないかという構想でございます。ここで人材育成も行うと。一方で、JASRIにもコーディネーターを設置しているということでございます。
 これにつきましても、先ほどの制度と同じように、運用実績を見ながら、ポテンシャルユーザーのアクセス向上であったり、あと、産学連携のモデルづくりであったり、施設間連携であったり、こういったところはしっかりと実績を見ながらフィードバックをしていく必要があると考えております。
 めくっていただきまして、(3-9)既存ユーザーについて、新たな成果創出が期待できる複数ビームラインの活用支援など、ユーザー支援拡充の検討状況ということでございます。それで、こちらについては、様々な利用制度を2025、来年度ももちろんやるわけですが、これまでもいろいろな改正を進めてきておりまして、特に産業関係としましては、課題募集の時期や頻度であったり、産業利用の時間制限緩和であったりを、検討というより、実施しております。例えば、これは産学共通ですが、遠隔実験を2022のA期から開始しておりまして、これは来所なしに遠隔接続して、実験機器、実験ができると。それから、先ほども少し申し上げた測定代行の充実。これは試料を施設に送ると、データが返ってくるという仕組みです。従来、主にこれはタンパクの構造解析であったり、XAFSであったりしたところでしたが、2022BからX線CT、イメージングの測定代行も導入しております。
 それから次は、かなり大きなところですが、従来、SPring-8、年2回のビームタイムの募集というのがスタンダードになっておりまして、これが大本に、半年以上待たないと実験ができないということをいろいろ言われておりましたが、そこを改善するために、年6回募集するビームラインという、そこの本数を拡大しております。
 これは測定手法、ユーザーの使い方によって全て細切れで、つまり、ターンオーバーを早く回していくことが必ずしもできないものもございますが、そこを可能な限りやるということで、従来、3本のビームラインでやっていたところを10本まで増やしましたので、かなりの手法が対応できてきております。これによりまして、対象ビームラインを拡大して、「産業利用の実施機会」とも書いてありますが、実は学術側でも有効になっておりまして、これも以前から御紹介しています、いわゆるプロダクションビームラインという非常にベーシックな測定を早くやりたいという、そういう仕分のビームラインというか、計測方法のところにおいては、なるべく募集頻度を高くして、即時の測定が可能になることを目指して、これも順次、拡大を続けているところでございます。
 それから、成果公開優先利用というのが、以前よりございましたが、これを1年課題というのを導入しまして、上にもありますが、複数ビームラインの選択が可能になっております。さらに、これは1年課題に限らず、成果公開優先利用、これまでアカデミックで、主に国のプロジェクト等の資金の裏づけがない人でないと利用できなかったのが、例えば産業界の自己資金であったり、そういったところも活用できるようになりましたので、ここもニーズに応じて対応を進めているということでございます。
 その上で、今後の計画でございますが、これも先ほど申し上げた2025A期に始めるのが、オプション利用の拡充、試料調製サービス、成果準公開利用ということですが、ここにつきましても、これらの運用実績を見ながら、今後の施策を引き続き検討してまいります。
 めくっていただきまして、(3-9)のところ、これは今申し上げたところが細かい実績のリストになっておりますので、これは読み上げませんので、また適宜御参照ください。
 (3)については以上でございます。
 引き続き、(4)に移ります。人材育成及び国民理解の醸成ということでございますが、(4-1)大学等におけるウェブセミナーの活用や施設における学生向け研究実習プログラムの推進など、大学等と施設との連携による、放射光を利用する人材又は施設を支える人材の育成に資する、学生・若手研究者向けの取組状況ということでございます。
 これは関連した委員からのコメントもございまして、青字で書いてありますが、大学・企業の若手研究者による量子ビーム利用を促す研究環境の在り方であったり、SPring-8-Ⅱと並行して、次の世代を担う若い世代の育成プログラムの立案が必要ではないかというコメントをいただいております。
 それで実績としましては、インターンシップ型の学生の受入れということで、2つ御紹介しておりますが、1つ目が、SACLAの大学院生研究支援プログラムということで、これはSACLA側で2014年から実施しておりまして、受入れ人数としては、年によってばらつきはありますが、年間、数人をコンスタントに受け入れて、実習研究。これも海外からも応募がございますし、海外から、例えば2か月以上滞在するという例もありますので、こういったところで海外施設等との連携の一助にもなっておりますし、当然、国内の大学の先生との連携を深めるというところにも、その学生を通じて行っております。
 それから、SPring-8の大学院生提案型課題を2016年からやっておりますが、これは通常、SPring-8の課題を出すのは、学生はできないわけですが、博士後期課程の大学院生を対象に、学生が実験責任者を務めるという課題の枠を設けまして、ここに通った学生については少し旅費等の支援があるということで、これはかなり多くの申請があって、採択率も結構厳しい割合にはなっていますが、ここでこういった課題を受け入れて、学生の育成にも資するということをやっております。
 それから、その下ですが、リサーチリンケージということで、これは理研で取り組んでいること、これは上の青字にも対応していることですが、これはSPring-8をハブとしまして、大学、国研、企業等の様々な連携を促進する仕組みをつくって、競争力強化を図るということでございます。特に、これも上でもありますが、大学院生、ポスドクが研究活動を通して、広い視野を涵養するところもありますし、あと、SPring-8がハブになることで、通常はなかなかアクセスができない大学の先生と施設の研究者と産業界というところ、そこのうまくブリッジを通すことができないかというところを取り組んでおりますので、そこについて個別の大学との協定等も進めておりますが、これをネットワークとしてさらにきちっと動かしていくということを今後やっていきたいと考えております。
 めくっていただきまして、(4-2)SPring-8やSACLAなどの研究開発基盤との連携による、戦略的な人材の育成・確保・交流のための人事・予算を含めた具体的方策の検討状況。これは、実は理研、JASRIではなくて、国への要請として、4-2、仕分がありますが、これは研究環境課でつくっていただいたので御紹介いたしますが、SPring-8/SACLAを活用した研究環境を維持できるよう、運営に必要な経費を継続的に確保いただいております。
 それから、NanoTerasu、日本として初めての第4世代の放射光施設でございますが、ここの建設に際して、SPring-8の人材技術を結集することによって、今年の4月からの稼働が実現できております。
 さらに、先ほどもありましたが、SPring-8、SACLA、J-PARCといった研究開発基盤の連携を促進する量子ビームゲートウエイの構想について検討し、令和7年度の概算要求中ということでございます。
 めくっていただきまして、(4-3)施設の研究者・技術者がモチベーションを維持できる、自身の研究・研鑚等に充てる時間を確保できる環境の整備状況ということで、これは関連コメントとしまして、測定のオートメーション化が進む中、装置担当者の人材育成の求められる質とはどういうものでしょうかというコメントもいただいております。
 それで、これに対しましては、施設の研究者というのは、例えば大学であったり、企業の研究者とはやはり少し違っておりまして、研究の仕分をざっとしてみますと、例えば、施設、皆さんに使っていただくための装置であったり、新しい手法であったり、こういったものの研究開発がある部分を占めます。これは主に施設内のチームであったり、プロジェクトを立てたりして、実施しているところでございます。
 2番目としまして、外からやってくる利用者との共同研究。それは国内であったり、海外であったり、様々なコラボレーションが行われると。
 3番目に、個人ベースの研究というのがあります。これがいわゆる研究というところになりますが、これに加えて、下にあるように、ルーチンのユーザーさんが来ますので、オペレーションが発生します。これを全部ひっくるめて、どれかをとてもプライオリティーを高くして、どれかを捨ててしまうということはできませんので、これをバランスよくやっていくということが重要になります。
 したがいまして、例えば自身の研究・研鑚が上にございますが、これが個人ベースの研究だというところに読み替えられると、なかなかこれはしんどいことになりますが、そうではなくて、様々なフェーズの研究があるということを理解しながらやっていく必要がありますので、若手の研究者に対しては、やはりシニアがきちっとスーパーバイズしていくことが必須ということになります。
 一方で、施設の研究者、技術者に求められる資質もどんどん変化しておりまして、これは青字のコメントにも書いてあるように、測定のオートメーション化が進みますので、これまでは、例えばビームラインのオペレーション自体が極めて複雑で、そこに、ある意味で特殊技能が求められていたところがあります。そうすると、何か実験をすると、ユーザーが「ありがとう」と言ってくれて、それがモチベーションになりますみたいなところがありましたが、そこの自動化が進みますので、そういったところはあまりモチベーションのコアにはならないと。もうちょっと言うと、ルーチンのオペレーションに対しては、施設の研究者・技術者の負荷は当然ながら減少方向に行くということです。特にルーチンで固まりができますと、外部への部分的なオペレーション委託も可能になってくると。
 ただ、一方で、では、その施設が楽になるかといいますと、特にソフトウエアのところ、これは機器を制御したり、あと、出てくるデータを解析したり、そういったところが、比重が増加してきます。特に解析のところにつきましては、SPring-8-Ⅱではとてもたくさんのデータが出てきますので、ここはかなりの体制でのてこ入れが必要ですが、一方で、ここもリソースとしては限られていますので、やり方をしっかり考えていく必要があるということでございます。
 次のページに行っていただきまして、(4-4)利用制度に関する情報や利用支援に関する取組、研究成果等のウェブサイトや成果報告会等を通じた、利用者に分かりやすい形での発信状況ということで、これもJASRIにまとめていただいておりますが、様々な情報支援であったり、普及啓発を行っているところでございます。個々については読み上げませんが、また御参照ください。
 最後のページに行っていただきまして、(4-5)ウェブサイトや施設見学会などを活用したアウトリーチ活動や成果発信等による、施設の広報活動の強化状況。関連コメントとしまして、SPring-8-Ⅱが整備された後に、これまで利用できなかった利用者層にも利用してきたことが重要で、施設を身近に感じてもらうためには、製品とともにユーザーへのアピールが必要ということをいただいております。
 これにつきましては、全国各地の中高生・大学生や産業界など、施設見学者、ルーチンで非常に多く受け入れておりまして、年間6,000人程度、今、来ていただいています。例えば高校生、全国のスーパーサイエンスハイスクールの高校生が続々と来るということを、受入れをやっております。
 それから、施設公開につきましても、従来型というよりは、オンラインでやったり、これによってアクセスが増えている。それから、これはつい先月でございますが、「物理チャレンジ2024」という企画を共催しまして、中高生がSPring-8/SACLAで見学を含むプログラムに参加しております。昨年には、SPring-8-Ⅱの特設サイトを公開するとともに、この7月からXのアカウントも開設しております。
 それから、右下の小冊子、SDGsに関連した「持続可能な未来へ」を発刊しまして、最近のプレスリリースをSDGsに関連づけて解説しております。それで、青字のコメントにも関連しますが、これはまたまた登場ですが、成果準公開利用等、こういったところを通しまして、こういったところも使いながら、やはり一般国民、社会への認知度を上げていくところを引き続きやっていきたいと考えております。
 以上でございます。
【小杉主査】  ありがとうございました。
 それでは、議論へ入っていきたいと思います。30分ほど確保しておりますけれど、これは中間評価ですので、質問もですが、もうちょっとこういうことをやるべきではないかという意見も含めて、ぜひお願いしたいと思います。それでは、細かいところでも構いません。何かございますか。
 高原先生。
【高原主査代理】  よろしいですか。では、先に。例えば7ページのところですかね。プッシュ、プルという仕組みが出てきていますし、それから、いろいろな講習会等の実施というのもこれまで継続的にやられていますけれども、例えば、後半の人材育成とも関連しますが、オンデマンド型のいろいろなシステムをつくっていて、放射光の関連する教育というのが大学であまり今充実していないというのが現状なので、そういうところが、企業でも恐らく必要だと思います。オンデマンド型のものをどこがやるかというのはまた問題ですが、そういったものを組み込んでいただくと、私たちも、実験しに来る連中に、ここをちゃんと見て、理解していくようにと言うことができますし、それを例えばSPRUCのような会員に入っている人は、そういうのを見ることができるというふうにしていただければいいのかなと思います。放射光学会でも今年から招待講演を全部ビデオで、オンデマンドで配信するようになっていますが、あれはやはり内容的に少しレベルが高過ぎるので、基礎的なレベル、実際に実験するレベルでの仕組みというのを何か考えていただければと思います。
 以上です。
【矢橋委員】  ありがとうございます。これもいろいろなレベルのものがありますが、例えば本当に実験に役に立つ流れを示すような、例えばユーチューブであったり、そういったところは工夫ができると思いますし、実際、SACLAのユーザーからもいろいろリクエストがありまして、やはりオペレーションはかなり高度なIT、高度というか、要は、Pythonごりごりで使ってやるようなことを皆さんやるのですが、それはPythonを使う人から見ると、別に普通だけども、やはりSACLAというのが入ってくることで、ここで高度になってしまうところがありますので、その特殊なところをしっかり分かるように何か説明してくれないかみたいな話がありまして、実は9月の頭に会合をやって、うちの若手が解説したのですが、やはりそういうのを聞くと、ユーザーからは、こういうのを常時見られるほうがいいということがありましたので、そういうニーズに応じた形でしっかり発信できることは工夫していきたいと思います。ありがとうございます。
【小杉主査】  では、高橋委員。
【高橋瑞稀委員】  ありがとうございます。今の高原先生のお話は非常に面白いと思いました。海外の放射光など、よくユーチューブでレクチャーを公開したりするので、私もよく見るのですが、そういった基本的なところのレクチャーが見られると面白いなと思いました。
【矢橋委員】  そうですね。
【高橋瑞稀委員】  はい。そこはコメントで、質問は、以前からも何度も出ている成果準公開のところで、産業界から要望があって、そういうところをお伺いして、非常にいい取組、向かい方だと思っております。
 質問としては、これを例えば後から選ぶことを許容するのか、いつ頃までに、時間制限などは基本的に成果公開と同等と考えていいのか。運用面で何かトラブル、いろいろな質問が出てくるようなところをどの程度詰められるのかに関して、何かコメントありますでしょうか。
【矢橋委員】  ここではディテールの御紹介まではできないと思いますが、その基準は決まっていて、いつまでだったら変えられますとか、あと、何をもって成果を出しますみたいな準公開の成果としますみたいな、そういうディフィニションは、JASRIでオペレーションしている選定委員会のところで決めていくということですが、そういう意味で、高橋委員がおっしゃったように、特に制度の走り出しのところでは、いろいろな想定外というか、ちょっと、「これ、どうなの?」みたいなことは当然あると思いますので、そこについては柔軟に対応してくださいというのを我々施設者、理研からもJASRIにお願いしているところでございます。
【高橋瑞稀委員】  実際それを個別関係について具体的に対応するのはJASRIの方々ということになるのですね。
【矢橋委員】  はい。そうです。
【高橋瑞稀委員】  個別の、それぞれの企業でやはり、おっしゃったようにいろいろな事情があると思うので、本当に最初の想定から大分違うことが出てくると思うので、ぜひ最初は意見を聴取しながら進めていただけるとありがたいので。
【矢橋委員】  はい。あと、もう少し補足しますと、間接広報をいかに担っていただくかという観点から言うと、この成果準公開で始めたところは、その中でも比較的、制度に落とし込みやすいところから始めていますが、そうではない、もっとフワッとしたところが周りにたくさんあるはずで、そこをどうしていくか。例えば個別の共同研究契約みたいなことを結んでいくと、もちろんそれはできるんでしょうけども、それは多分お互いなかなか大変だと思いますので、そこをどうやっていくかは、これを走らせながらしっかり考えていく必要があると思っています。
【高橋瑞稀委員】  そうですね。実際に成果専有で、お金は払いますけれども、実際使ったことを、SPring-8を使ったという一言を入れてほしいというところをぜひ積極的に広報していくといいと思います。ありがとうございます。
【矢橋委員】  はい。ありがとうございます。
【小杉主査】  ほか、ございますか。阪部委員、お願いします。
【阪部委員】  ありがとうございました。ビームラインの利用という観点では、年2回の公募、加えて、6回の公募があるということですが、この8ページで述べておられました試料調製サービスをしていただいた上で、遠隔実験あるいは代行オプションというメニューですと、年に何回という回数制限を設けるのではなくて、随時ということも可能かと思うのですが。
【矢橋委員】  はい。そうです。
【阪部委員】  何かアイデアを思いついて、直ぐに測っていただきたいと思った時に、審査も緩やかに行ってもらい、試料さえ送れば、特殊なことはできないでしょうけども、基本的なメニューであれば、実行していただくとかなり利用者が広がるのではないかなと期待するのですが、これは随時と思っていいのですか。やはり年6回とか。
【矢橋委員】  この8ページに書いてありますように、随時というのもありまして、これは時期指定と言っているのですが、時期指定のオプションというのはあります。ただし、全ての課題がオプションをつけられるわけではないので、基本的には年6回のような、こなれた測定が対象で、けれども、さらにこの時期早くやってほしい、随時やってほしいみたいなところはここで吸収していくことになりますが、やはり産業の、この上にも書いてある「ユーザーのニーズ」というのもまちまちでございまして、本当に超特急だと、例えば半導体等だと1週間で答えがないと困りますとか、そういうことが当然ありますので、そこについては今後、時期指定の中でも超特急、オプションで、料金も超特急料金にするとか、そういうところは検討の余地が多分にあるのだと思っています。
【阪部委員】  言葉は適切でないかもしれませんが、もう少しビジネスモードのような部分があってもいいのではないかと思います。
【矢橋委員】  そうだと思います。ありがとうございます。
【小杉主査】  では、オンラインから、まず、大竹委員、その後、唯委員、お願いします。
【大竹委員】  では、最初に、人材育成、国民理解の醸成というところで御紹介いただいて、非常にすばらしいと思っています。具体的に、先ほど外国人だと2か月という御紹介がありましたが、国内でインターンで学生さんを受け入れたりする場合、1回に何人ぐらいで、平均的に何か月とあるのか。または短期間と長期間と二つに分かれているのか。もし具体的に教えていただければありがたいです。
【矢橋委員】  外国人の2か月は、ビザの関係がありますので、3か月未満ということで、長くても2か月ぐらいが多いということです。日本人に関しては、もうこれは本当にケース・バイ・ケースでございまして、ずっといる場合もありますが、多くの場合は、短期間を何回も繰り返す。その中で少し長めの滞在もあるという。そこの辺りは、学生さんの状況に応じてフレキシブルに対応可能としております。
【大竹委員】  ありがとうございます。あと、産業利用のところで、プッシュ型、プル型ということでの御紹介と、それから、私は中性子ですので、量子ビームゲートウエイのところの御紹介いただいて非常にありがたいと思っていますが、中性子ですと、J-PARC、パルスと、定常炉のJRR-3というところが基になって、J-JOINという形での産業利用などをやる仕組みがCROSS中心にあって、今回、量子ビーム連携ということで、SPring-8、JASRIさんとというので、私どもも非常に期待しているところですが、これですと、先ほど御紹介いただいたプル型、ブッシュ型とまた違った形で、あれは特にSPring-8-Ⅱに向けて、潜在ユーザー開拓としても実施できると思いますが、何かその辺り、具体的な協力の体制、または中性子に対しての要望とか、何かそういったことというのは内部でお話が出ているのでしょうか。
 特に先ほどの年6回の募集までというのは、本当にすばらしいと思うので、逆にそういったやり方であるとか何というのがこういうところから広がるのかなと思うのですが、もし具体的なところがあれば教えてください。
【坂田理事】  この話は、CROSSとJASRIでかなり頻度を持って打合せをしているのですが、まだ、今、大竹委員にお答えできるような具体的なことは、私のほうに上がってきておりませんので、具体的なものが出てきた状況で御報告するというのでもよろしいでしょうか。
【大竹委員】  そうですか。はい。ありがとうございます。
【矢橋委員】  定期的にはやっているということは御報告で。
【大竹委員】  分かりました。ありがとうございます。先ほど矢橋さんに御紹介いただいた、SPring-8がハブになってというところ、非常にあそこも、まさにJ-PARC、JRR-3もハブになって、大学施設、産業界というネットワーク、やはりそういった視野、視点からも、施設、それから、JASRI、CROSSというものがあるにしても、連携ネットワークというもので、より深みを持った強固なものになっていくと、量子ビームの利用というのは本当に爆発的な広がりにつながっていく起爆剤になるかと思い、ぜひともそういった視点でも施設の新しいものをつくっていくところもお願いしたいと思っています。
【坂田理事】  どうもありがとうございます。
【小杉主査】  それでは、唯委員、お願いします。
【唯委員】  いろいろな施設の利用形態で自動化が進んだり、いろいろなサービスという形になって、若い人が関わる関わり方というのも二極化するのかなと伺って、思いました。一つは新しいこと、これからの例えば放射光施設の研究を含めて、そういったものを背負っていかれる新しい人材を育てていくという意味と、それから、いろいろなものに対応していくような技術的な部分の人材を広げていくという両面があると思います。例えば大学などから若い学生さんを派遣したときに、彼らのロールモデルになるようなそういう在り方というのがもう少し具体的に見えたほうがいいのではないかと思いましたが、その辺り、どうでしょうか。
【矢橋委員】  ありがとうございます。そこはまさにおっしゃるとおりで、二極化というのもおっしゃるとおりだと思います。まず、施設のコアとしてやっていくところは重要で、例えば自動化と言っていますが、自動化も勝手に自動化になるわけではなくて、当然プロジェクトを立てて、きちっとプランニングして、こういうふうになっている。ある意味で、新しい装置であったり、手法であったり、開発していくというのと同じことでございますので、そこをしっかりやる部分、担当するところと、あと、むしろそこから出てくるデータのところをどういうふうに料理していくかというところに分かれていくものだと思いますが、唯委員から、今言われたように、ロールモデル、そういう意味で、今、流動的なところもありますので、こういう将来が開けるよというのがカチッと明示できる形にはなっていませんが、だんだんとここは我々も意識してやっておりますので、次の評価、5年後に向けて、あと、SPring-8-Ⅱに向けて、そこがしっかり見えるような形にはしていく必要があると思っています。また、ここはぜひいろいろなコメントを含めて、お願いしたいところでございます。
【唯委員】  研究に関わられる方というのは、将来的には大学を含めて、やはり流動性がある程度確保できるということも非常に大事で、その辺りを含めて、見えるいい形が若い人に伝わるようなものがあるといいかなと思いました。
 以上です。
【矢橋委員】  ありがとうございます。そういう意味では、大学との連携は、ここに書いてありませんが、当然、非常に重要だと思っておりまして、これは今以上にかなりここもフェーズを変えて、行ったり来たりするような仕組みをつくっていくところを、今、検討を始めたところでございますので、ここも実際の形として徐々に御提示できるのではないかと思います。
 以上です。
【小杉主査】  では、QSTの高橋委員。
【高橋正光委員】  10ページの産学官共用による利用促進についての成果公開優先利用を産業界資金による研究にも拡大するというお話でしたが、国プロ等の競争的資金による研究の場合には、そういったものの審査に通っているということで、一定の科学的な価値というか、意義の担保というのはなされていたと思います。産業界資金による場合は、その辺の保証というか、担保はどのようにして取られる形になっているのでしょうか。
【矢橋委員】  基本的には、そこの担保は取らないのですが、当然もっと大きな枠での制約がありまして、これはたしか国内企業に限るとか、あと、当然、目的がちゃんとしていますとかそういったところはもちろんあります。ただし、自己資金でも構わないので、特に国の資金が入っていなくても構わない、そういう仕分になっております。
【高橋正光委員】  例えば、あらかじめ定められた枠以上にこういったものが来たときに、その選択をするときの基準みたいなものはどのようになっていますか。
【矢橋委員】  今のところどうですか。そこの枠を超えて。
【坂田理事】  数もそんなに多くないですよね。
【矢橋委員】  恐らく決めた枠に対して、まだあふれているということはないので、そこの問題にはなっていませんが、今、高橋委員が言われたのは、あふれたときにそこのプライオリティーづけをつけるのか、つけないのか。そこは当然何らかの議論は、あふれたら必要になってくると思います。
【高橋正光委員】  ありがとうございます。あともう一つ、14ページの人材育成のところで、施設の研究者・技術者に求められる資質もどんどん変化しているということで、特にソフトウエア開発の比重が増加しているというのは、これは全くそのとおりだと思いますが、一方で、従来からの基盤的な人材、技術のところも実は非常に人材が不足しているというのを施設として感じておりまして、具体的に言うと、モノクロメータに必要な結晶分光とか、そういったことに関する人材が非常に見つけられない。それは、大学でそういったことを専門にしている研究者がほとんどなくなっているという現状を反映しているのかなと思っています。
 なので、この辺の技術は、実は今、SPring-8をはじめ、施設の中で脈々とつながれている状況になっていると認識していまして、でも、これは放射光の施設を続ける限り、絶対に必要な人材なので、そこを育てていくような何か方策をお持ちかどうかお伺いしたいのですが。
【矢橋委員】  ここもまさにおっしゃるとおりで、大学の研究というところからは、今、加速器の技術もそうですが、光源の基盤のところは外れつつあるというのが実態でございます。ただ、では、大学に、そこをつくってくださいと言っても、なかなかそこも難しいわけで、大学にはやはりその時々の最先端のトピックで学生を集めてやっていく必要があると理解しています。しかしながら、基盤的な分野が大学の講座に必ずしも全部必要かというとそうでもなくて、ある程度こういうことをやっているということが若者に見えて、それでOJTをやっていくという体制が構築できれば、しっかり回していけると。実際、SPring-8も人集めにもちろん苦労していないかというと、苦労はしているわけですが、一応ここの維持、発展のところはできているのかなというところがあります。
 ただ、一方で、国内の施設が全部、そういう機能を持てるかというと、これはまだ、はっきり言って、これは難しいところがありますので、施設間で、この部分は、例えば硬X線のビームラインの基盤のところはSPring-8が中心となっていろいろなことをやります、軟X線はNanoTerasuでやりますとか、そういった役割分担を、そこをしっかりと施設で相談しながら分担していくということにならざるを得ないのかなと思います。
【高橋正光委員】  ありがとうございます。分担のところを一歩進めて、例えば施設間での技術人材の交換留学制度みたいな取り組みにつなげていくというのも一つの案かなと思っております。
【矢橋委員】  そうですね。結局、そこの施設に絶対、オペレーションの過程でいないといけない場合と、リモートでやれる場合がありますので、そこをもうちょっと考えながら、あと、あまりにリソースが分散されて、クリティカルマスを割り込むと、それはそれで困りますので、そこを含めてトータルで相談させていただければと思います。
【高橋正光委員】  どうもありがとうございます。以上です。
【小杉主査】  では、オンラインから川北委員、お願いします。
【川北委員】  14ページの、まさしくそこなのですが、研究者・技術者に求められる資質がどんどん変化していると。確かにJ-PARCでも同じようなことを感じております。やはりソフトウエア開発のことを挙げられたので、その点について少しお伺いしたいのですが、ソフトウエアと言ってもいろいろなレベルのソフトウエアがあると思います。データアクイジション(データ取得)に関わるような、絶対、施設で持たないといけない部分もあれば、その後の解析手法で、もっと言うと、X線も中性子もいろいろなデータを取り込んだような解析ソフトみたいな、いろいろなレベルの解析ソフトがあって、割とユーザーが求めているのは、もうどんどん高度な、後者に属するソフトウエアのような気がします。現状、例えばSPring-8ではどういうソフトウエアが開発されていて、それを例えば、組織として進めているとか、そういう現状の認識と、今後どういうふうに変わっていくかという方向性みたいなものを、もしお持ちでしたら教えてほしいなと思っております。
【矢橋委員】  ありがとうございます。ここにつきましては、実はあまり御披露できる球がないというのが非常に問題でございまして、といいますのも、歴史的な背景も説明しますと、SPring-8、とにかくたくさんのビームラインを効率的に回すという必要がありましたので、様々なところで標準的な仕様にビームライン、特に標準化というのを測って、それでしっかり回すようにしてきました。一方で、エンドステーションの、例えばデータを取ってくる、今言われたデータアクイジションのところであったり、あと、その先の解析であったり、そういうところは銘々それぞれやってくださいと、一応その仕切りで97年の共用開始当初から始めていましたが、一方で、データのところというか、検出器も含めて非常に進化が速いところがありまして、そういう今の、ある意味で、従来の草の根型のやり方では全く追いついていないというのが現状でございます。今そこを何とかしないといけないというのが、「かなりのてこ入れが必要」と書いているところでございまして、まず、その第一歩としまして、後ろのエンドステーションのデータ取得のところの、ここもユーザーに直接見える、ある意味で、顔の部分はある程度個別で設計していく必要がありますが、下で動いているアルゴリズムの部分はなるべく共通化を図るということで、3年ほど前に仕組みをつくりまして、それを今、ディプロイメントをしているという状況でございます。ただ、もう少しここは、ビームライン担当のマインド設定も含めて、時間をかけてやっていく必要があると考えています。
 一方で、ある程度データが取れて、それを解析、料理するわけですね。いろいろなデータサイエンスでやっていくわけですが、そこも含めて、全部施設で抱えるというのは多分現実的ではありませんので、そこについては、外とのコラボレーションをしっかりやっていく。そこを含めて、トータルとして、やはりデータがしっかりとバリューになっていくところをやっていかないと、幾らいいデータが取れたとしても全く意味がありませんので、そこはかなり意識して、強化していきたいと考えています。
 以上です。
【川北委員】  どうもありがとうございます。今の話に関連してですが、ソフトウエアの開発に関して、かなり装置担当者の個人の力量に頼られているように聞こえたのですが、ソフトウエアの開発部隊みたいなものを何かこう、計算器チームみたいなものをオーガナイズする形にはなっているのですか。
【矢橋委員】  なってきています。だんだんそういうふうにしてきています。そうしないと、とてもやっていけないので。
【川北委員】  そうですよね。どうもありがとうございます。
【矢橋委員】  もう少し補足をしますと、SPring-8の前にSACLAがありまして、SACLAを2012年から始めるときに、まさに、これは全くユーザー任せにはできないところがありまして、そこで、施設主導で一連のデータに関する仕組みをつくったという実績はあります。データセンターもSACLAで構築したので、そこはあるわけですが、では、そのSACLAの仕組みをそのままSPring-8に持っていけるかというと、やはり規模が違ったり、あと、アプリケーションの多様性がありますので、そこで少し時間をかけて取り組んでいるところでございます。
【川北委員】  分かりました。どうもありがとうございます。
【小杉主査】  14ページは、指摘事項の書きぶりがよくないような気がするのですが、唯委員のコメントから始まって、施設系の人材をどうしていくかという大きな問題は、別にSPring-8に限らず、いろいろなところで、技術系の技術力をどうするかという問題になっていますね。今、SPring-8-Ⅱに向かおうとしているところで、利用者が1桁ないし2桁増える前提を考えると、単にオペレーター的で、いいデータを提供するだけが施設系の人材のミッションではなくて、ソリューションまでやれるような人材を育てないといけなくて、そういうプログラム、人材というのは時間がかかるので、後追いでやるよりは、それを目指して、何か戦略的に人を育てていかないといけないという問題と、それから、先ほどNanoTerasuでもそういう問題があるということですから、単にSPring-8あるいは共用施設だけで考えるのではなくて、日本全体の問題の意識を持っていただいて、戦略的にやっていただくのがいいかなという感じがするのですが、その辺、いかがですか。
【矢橋委員】  まさにおっしゃるとおりです。そういう意味では、個別のビームラインであったり、装置をとてもよく知っている技術者、研究者というのが従来型ですが、やはりそこに横串を刺して、ある程度、全体を見渡しながらやっていくような機能が重要になってきますので、そこを誰がどう担うかというところです。ただ、いきなり全部見なさいというのも、若手に対して言うのもなかなか難しいところもあるかもしれませんので、そこは段階を追ったプログラム、先ほどもありましたが、ロールモデルのようなある部分、そういうものを構築していく必要があると考えています。
【小杉主査】  あと、技術力や開発力は設置者、利用支援はJASRIという役割分担を考えると、理研側がそういう技術開発をする大学と連携して、将来を見通した新しい技術を持って、それを共用施設で展開するという役割分担があると思いますが、その辺りはどうなっていますか。
【矢橋委員】  プライマリーにはそうなのですが、つまり、そこを組織、人で全部分けてしまうのか、1人の人間の中でうまく仕分をしながらやっていくかというのは、これもケース・バイ・ケースです。完全に分けてしまうともちろんそういうことですが、私個人的には、なるべく1人がいろいろなアスペクトを持ってやっていくのがいいのかなと思います。やっていければ、それがベストかなと思っています。
【小杉主査】  この指摘事項の書きぶりをもうちょっと変えたほうがいいですよね。
【矢橋委員】  そうですね。多分、複数の異なる要素が入っているので。
【小杉主査】  ええ。施設系の人材をいかに育てるかというところの戦略性を求めているところだと思って。
【矢橋委員】  そうですね。
【小杉主査】  まだ少し時間がありますが、何かございますか。
【阪部委員】  今ちょうど人材の話が出ていますのでお伺いしたいのですが、現在、SPring-8の施設の周辺で働いてくださっている比較的若いスタッフの方たちは、装置を利用したことがある利用者経験者なのか、あるいは、加速器や放射光の技術開発をしていた人なのか、それぞれどのような割合でしょうか。
【矢橋委員】  加速器、ビームラインを開発していた人というのはほとんどいませんので、やはり利用者が中心となります。
【阪部委員】  利用者が中心ですか。
【矢橋委員】  ただ、一方で、加速器というよりは、例えば核物理であったり、高エネルギー物理であったり、ある意味で、そこでのサイエンスのユーザーとしてやっており、加速器専門ではないけど、それで知っていましたみたいな人が加速器に来る場合はあります。そこはやはり放射光の強みかなと思うのですが、例えば高エネルギー物理等は、「当初はとてもロマンがあって、そこに入ったけれども、実際やってみると非常に社会からの隔絶というか、断絶が大きい。一方で、放射光は非常に社会とつながっているように思います」みたいなことを、例えば若手が面接で話したりしますので、社会とのつながり、サイエンス、科学技術が役に立っているというところは若手研究者からそういうふうに見てもらっているんだなというのがありますので、そこをさらに強みとしてアピールしていくことが大事かなと思っています。
【阪部委員】  「大学との連携」という言葉がよく出てくるのですが、大学側からの受け身的ではなくて、積極的にアクションする時代かと思います。例えば全国の大学の放射光やその利用も含めて関連する研究室、講座の一覧をつくられて、様々な機関や研究室と個別に交流して、あるいは時としてはあるポストをクロアポにしたり、より一層、大学と密接な連携をすることが人材発掘に必要かという印象を持ちます。
【矢橋委員】  おっしゃるとおりです。そこは鋭意進めているところでございます。
【小杉主査】  まだ発言されていないオンライン、石坂委員、岸本委員、古川委員、何かございますか。
【岸本委員】  もう既に議論されたのか分かりませんが、12ページを見せていただきたいのですが。博士後期課程のところが非常に人気だということをお聞きしたのですが、これはJASRIなりで追跡調査みたいなものをされて、効果とかそういったことを調べられたりされているのですか。
【坂田理事】  はい。大学院生課題の人たちが、今、大学の教授になっている人もいたり、具体的に始まってからの今までの、会社に行っている、研究機関に行っている、ポスドクに行っているとか、今、手元に数値はないのですが、まずお尋ねの追跡については毎年やっていて、そういう資料は、私としては持っています。
【岸本委員】  なるほど。何かそういうところで効果が結構あるならば、もっと採択件数、合否の判定を下げてでも採択件数を上げるということで人材育成につながったりするようなことができないかなと思いましたが、いかがですか。
【坂田理事】  今おっしゃっているのは、点数にプラスアルファをしたらどうかというサジェスチョンですよね。
【岸本委員】  そうですね。要するに、効果が高くて、育成につながっているのであれば、もっと採択率を上げるような工夫も今後必要なのかなと思ったのですが。
【坂田理事】  ここの資料にはないのですが、これは18年から続いている表について、今、岸本委員のコメントだと思うんですけれども。
【岸本委員】  はい。
【坂田理事】  長期、これとは別のものも始めておりまして、それについても効果が、今年4期目だったと思うのですが、効果を測りながら、今後どういうふうに進めていくのかというのをこれと併せて。だから、この効果を踏まえて、別の仕組みも今ちょうど始めたところもございまして、それと併せて、今いただいたサジェスチョンを反映できるようにしていければと思います。
【岸本委員】  分かりました。ありがとうございます。
【小杉主査】  では、次に古川委員、お願いいたします。
【古川委員】  私は、こういった業界の将来構想としては、もちろん若手人材の育成がとても大事だと思っておりまして、そのためには大学に拠点を増やすこと。私は専門が中性子ですが、中性子ですと、大学の研究者、研究室の数が極端に減っているということがありまして、そこを増やしていくことがとても業界の将来には大切だと思っております。
 今回のお話の中で、コーディネーターの評価、あと、装置責任者等の将来についてというのがあったと思いますが、こういった人たちは、もう本当に施設のことをよく御存じだし、本当に装置、細かいことまで、あそこでできるサイエンスまで非常によく知っている方たちなので、ぜひそういった方たちが外に出て、若手を育てるような拠点を大学につくっていただけると非常にありがたいと考えています。そんなところについて、どんなふうにお考えかをお聞かせいただけるとありがたいです。
【矢橋委員】  ありがとうございます。これもまさにコメントいただいたとおりでございまして、中の人材が外に出ていって構えるというのは非常に重要になっていますで、実際、最近、数年にわたって、施設内の中堅からシニアの、ある意味でPIクラスの研究者が大学に出ていって研究室を構えるという流れが結構あります。
 ただし、どちらかというと、それがシステマチックな何かというよりは、我々から見ると、どちらかというとアクシデンタルに、ああ、引き抜かれちゃったみたいなことになっているところも現状でございまして、それは少々具合が悪いところもありますので、最初に言われたように、もう少しシステマチックな連携を、要は、計画的に行ったり来たりすることができる仕組みをつくれないかというところで、今いろいろ具体化に向けて検討を進めているところでございます。
【古川委員】  ありがとうございます。
【小杉主査】  大学でそういう戦略的にポジションをつくっていくというのは、大学、受入れ側の問題もありますし、なかなかそう計画的にはできないと思うのですが。
【矢橋委員】  ただ、やはりそこも、逆に言うと、放射光をよく知っている人というのは大学にとっても魅力的なので、ある意味で、ヘッドハンティングみたいなことが起こるわけですが、そこをいきなり個別ではなくて、もうちょっとしっかり計画的に、継続的にやっていけるような仕組みはどうですかという提案は、こちらができるわけで、そういった形で今お話を進めているところもあります。
【小杉主査】  SPRUCなどは各大学の代表者が来ているので、そこで提案してみるとか、そういうところですかね。
【矢橋委員】  はい。おっしゃるとおりです。
【小杉主査】  大体お時間が来ましたが、あと、石坂委員は、特にいいですか。
【石坂委員】  では、ほとんど出ていますが1件だけ。コンシェルジュ、一元的窓口のところで、全然ピント外れかもしれないのですが、私は、コンシェルジュというのは、最近すごく賢くなっている生成AIがすごいツールとして向いているのではないかと思っていて、なので、もちろん人は必要ですが、ツールとして量子ビームに特化したようなそういうのがあるといいかなと。ホームページとか、どこで何ができるというのは、本当はもう情報としては絶対あるのですが、それにたどり着くのが難しいなと私も思っていますが、それをインプットにして、こういう実験をしたいんだけど、どこだったらいけますかと言ったら、生成AIが答えてくれるみたいなものは、お金がかかるかもしれませんが、数年以内にはできそうな気がしています。何かそういうツールはありますかねという御質問になります。
【小杉主査】  どんどん我々が質問して、勉強してもらっているんですね。
【坂田理事】  それは全く賛成で、もうこの何年も前から、理研やJASRI、特にCROSSとのプロジェクトのところでは、JASRIの幹部が、まさに今、先生がおっしゃったようなAIコンシェルジェというのに将来はなって、申し訳ないですけど、ちょっと年配の方の経験がというよりは、将来は、もう10年後、15年後はそういうふうになるというのを目指して、今、遷移期間で人も入っているという、今の位置づけを将来像の位置づけでというのは明確に議論しています。
 ただ、なかなかそれが進まず、例えば、これは私がそのときに言ったこととしては、専門にやっている情報の国の機関がありますよね。そういったところの人も、こういう大型施設の今のような仕事に、文科省さんなり、国が指揮していただいて、一緒にやりましょうという声があれば、もっとやりやすいのではないかとか、具体的な進め方まで議論しているのですが、表には出ていません。中では、いろいろなところでそういう話が、理研、JASRI、CROSSでも、具体的にこの1年ぐらいで上がっています。ということで、だから期待してくださいという結びにはならないのですが、今の御時世は本当にそういう共通認識があります。
【石坂委員】  ありがとうございます。
【小杉主査】  ChatGPTに質問すれば、結構ちゃんとした答えが返ってきますので。
【坂田理事】  ただ、個別の課題については一応、秘匿しなければいけないとか、なかなか過去のものについてもそういうふうな使い方をしていいと言って、取っているわけではないので、勉強のさせ方も実は法律上の問題があるのではないかとか、そこまで踏み込んだ議論をしています。追加の情報です。
【小杉主査】  では、大体お時間になってきましたので、また次回以降もありますので、取りあえずこの辺りで打ち切りたいと思います。
 では、次に、中間評価に向けた検討事項ということで、指摘事項等の案の説明を事務局よりお願いいたします。
【野田課長】  資料1-2を御覧ください。中間評価に向けた検討事項(案)の項目を基に中間評価の報告書をまとめていくことを想定しております。構成としては、1ポツが、前回中間評価の指摘事項への対応状況であり、これについては今日でヒアリングが一巡したところでございます。3ページ目の2ポツが、新たな論点であり、事務局案を記載しております。これについては、新しいものを追加すべきかどうか。
報告書には、さらにこの後に、次の中間評価でフォローすべき事項についてまとめたいと考えております。これについて、まず1ポツの前回中間評価の指摘事項への対応状況の各項目につきましては、次の中間評価でもフォローすべき事項として、時点修正や表現は変えた上で全て残すのか、それとも、一部はもういいのではないかというような御意見があればいただきたいと思います。
それからもう1点は、3ページ目の新たな論点として、事務局案としては、先ほども量子ビームゲートウエイの話がありましたが、NanoTerasu、J-PARC、「富岳」をはじめ、他の研究基盤との連携の在り方を入れてはどうかという御提案であり、これに限らず御意見をいただければと思います。その上で、次にフォローしていくものというのは報告書の中で取りまとめを行いたいと考えております。
 中間評価の項目がどんどん増えてしまうのもよくないので、そういった観点も含めて御意見いただければと考えております。
 以上でございます。
【小杉主査】  ありがとうございました。
 それでは、今回の中間評価の項目として妥当かどうかということと、次回に向けて新しい観点があるかという2点ですが、どなたでもよろしいですので、御意見等ございましたらお願いいたします。
 では、阪部委員。
【阪部委員】  毎回、議論になる人材育成、これは非常に重くて困難な課題と思いますので、項目4の人材育成及び国民理解の醸成というのではなくて、人材育成だけでしっかりとした章立てをしておいたほうがいいかと思います。「(4)人材育成及び何とか」というと、「その他」みたいな感じになってしまうのですが、もう毎回、人材の話が出てくるので、もう少し重みをつけても良いのかと思います。今日もいろいろな大事な議論があったかと思うのですが、いかがでしょうか。
【小杉主査】  これはそれを考慮して対応するということだと思います。
 ほかにございますか。
 これは最後の新しい論点で、「はじめとした他の研究基盤」と書かれていますが、よく横展開という話があちこちに出るので、こういうSPring-8の成果を横展開していくという。特に日本の強みとしては、9の施設ですか。光源の加速器では10ありますね。そこへどう展開していくかというところを、特にSPring-8、もう世界に見せる日本の顔になっていますので、国際連携、国際協力の項目もありますが、国内にどう横展開するかという、日本の強みを生かす方向での日本への貢献という意味でのところもあってもいいかなという気もします。そういう論点ですね。
 ほかに何かございますか。
 これは6年前の中間評価のフォローアップを毎年のようにやってきているので、もう既に古くなっている事項がございますが、矢橋委員のほうで、今回、もう特に必要ではなかったという項目は何かありますか。
【矢橋委員】  ありがとうございます。これは説明いただいたとおりで、普遍的に残るものがかなりあるということですが、一方で、個別のことになると、例えば2ページの真ん中のビームラインの再定義をして、3つに分けるとか、専用ビームラインの改廃、この辺りはもう既に終わっているところでございますので、こういうのは省略が適当です。これは一例ですが、ある程度削ることができるかなと。一方で、やはり次の5年間はSPring-8-Ⅱに向けた整備と、それから、その先の運用に対する議論というところがありますので、そこを少し手厚めにやっていただく必要があるかと思いました。
【小杉主査】  ほか、ございますか。
【阪部委員】  質問ですが。これは中間報告、中間評価ということですが、SPring-8-Ⅱの記述も大分入っても構わないということでしょうか。
【野田課長】  SPring-8-Ⅱに関して、小委員会では、SPring-8-Ⅱの整備として今年の3月に報告書を取りまとめていただいたということで、今回の中間評価では取り上げていませんが、事務局でも、この点も含めて報告書に記載することが適当ではないかと思いますので、そのようにさせていただきたいと思います。
【小杉主査】  現在の指摘事項に対してどうしてきたかということに対しての評価することと、それから、また5年か6年後に、次の中間評価を行うときの宿題をここで出しておかないといけないので、そういう意味では、SPring-8-Ⅱは宿題に入ってくるわけですね。
【阪部委員】  宿題のほうに。はい。分かりました。
【野田課長】  3月の報告書でも、今後検討するとしていた事項がたくさんありますので、それらを取捨選択しつつ、この中間評価にも盛り込んでいくということで、進めさせていただきたいと思います。
【阪部委員】  ありがとうございます。
【小杉主査】  ほか、何かございますか。
 施設側で随分努力されて、使いやすくなっていて、利用者も増える方向にあると感じておりますが、やはりSPring-8-Ⅱになると、もう桁が違う話になるので、そこに対して、場当たりでやるのではなくて、準備するというのは非常に重要なので、そこはちょっと先を見た対応というのをぜひ考えていただきたいとは思います。
【矢橋委員】  そうですね。そういう意味で、かなり質的な点が求められていますので、そういうところを評価いただくのにふさわしいような項目をお願いしたいと思います。
【小杉主査】  ほかはよろしいですか。あるいはお手元に前回の資料が参考資料に出ていますので、御説明の資料ですね。そういうのを見ながら何か追加、あるいは質問等もあってもいいと思いますが、何かございますか。
 SPring-8/SACLAは一緒にやってしまっているので区別がついていないところはありますが、SPring-8は本当に成熟した分野でもあるのですが、SACLAの状況はどういう状況か、あまり説明は受けていないような気がします。今後のSACLAの将来像というのはどういうところというのがちょっと気にはなっています。
【矢橋委員】  そこについて、そういう意味で、ほぼSPring-8-Ⅱにフォーカスを今回はしておりますが、やはりSACLAについても将来は当然考えていかないといけませんので、そういう意味で、新たな論点をそれに関連して加えていただくのは適当かと思います。SACLAも今、老朽化がすごいということではありませんが、当然年数が進むと古くなりますし、あと一方で、諸外国は、放射光のときは結構間を置いてアップグレードがありましたが、XFELは今、アップグレードとか、新設とか、ものすごいペースでやっていて、その辺りの様子も見ながら、競争力を強化していく必要があると思いますので、そこも含めて、今後検討が必要です。
【小杉主査】  SACLAは入射器に使っているので、長期に止めて、改造するというのはできないので、動かしながらどうやっていくかとか。
【矢橋委員】  そうです。一方で、線形加速器なので、リングと比べてオービットが閉じていない分、部分的な改修は大分やりやすいです。そこも含めてしっかりとしたプランを今後、計画を立てていく必要があると考えています。
【小杉主査】  それによって、利用者の研究そのものの中身は変わってくるのですか。スループット向上のため、SPring-8がSPring-8-Ⅱに行っているのですが、SACLAはどういう状況になりますか。
【矢橋委員】  SACLAも、今、検討、まだこれは本当に机上検討ですけども、方向性としましては、今、60ヘルツという繰り返しレートがありますが、それをなるべく増やしていく。一方で、海外の諸施設はそれを超伝導加速器で増やしているのですが、コストの問題、あとヘリウム、寒剤として用いるヘリウムの資源の問題、いろいろな問題が既にある。したがって、そうではないやり方でできないかというところの技術の棚卸し、検討を始めているところではあります。
 繰り返しレートを上げることと、また、やはり波長が短いほうが当然透過力が増して、いろいろなことができるようになりますので、短波長化ができないかという、その2点がSACLAを高度化していくときの技術的な目標になると思います。
【小杉主査】  繰り返しが多くなると、ビームラインも増やせると。
【矢橋委員】  そうですね。ビームラインも増やすことができます。
【小杉主査】  利用度を上げていくという意味では、そういう方向も考えないといけないですね。
【矢橋委員】  そうですね。
【小杉主査】  その辺は次の評価のところで問題になってくるかと思いますので、ぜひそういう要素は。
【矢橋委員】  はい。ありがとうございます。
【小杉主査】  ほか、ございますか。何か施設側からもございませんか。よろしいですか。
 次回はまた新たな論点、今議論になったようなところで抜けているところの御説明をいただくことになっておりますが、ほかに、次回御説明していただきたいような内容がございましたら、今言っていただくと助かります。いかがですか。よろしいですか。
【阪部委員】  先ほど出ましたように、ぜひSACLAの現在のパフォーマンスを、世界の動向とともに示して頂きたいです。それから、ハイパフォーマンスに対するニーズがあるかということもお聞かせいただければ。
【小杉主査】  では、そんなところで、事務局もよろしいですか。
【野田課長】  承知しました。
【小杉主査】  予定より早くなりましたが、それでは、議題2、「令和7年度概算要求について」ということで、資料2になっております。事務局より御説明をお願いいたします。
【伊藤補佐】  事務局でございます。資料2を用いまして、今年度の概算要求の状況について御説明させていただければと思います。
 1枚目を用いて、全体の概要を御説明します。
 まず左上に、①NanoTerasuとございますが、昨年度に比べまして60億円ということで、大幅に増額の要求をさせていただいております。前回の小委員会で事前評価をしていただきましたビームラインの増設がこちらに盛り込まれております。5本ということで事前評価いただきましたけれども、最初はまず2本ということで、2本の増設分がこちらに含まれている形になっております。
 その下が②-1ということで、SPring-8/SACLAですが、こちらも少し増額という形になっておりまして、こちらの増額分は、以前、小委員会で御説明、御議論いただきました、ゲートウエイの構想を実現する分が含まれております。
 その下が②-2ということで、今日も様々御議論いただきましたが、SPring-8-Ⅱを実現するため、初年度の概算要求といたしまして、131億7,400万円を要求させていただいているところでございます。
 ③のJ-PARCですが、こちらも少し増額させていただいておりまして、主にはゲートウエイを実現するための増が含まれています。
 小委員会で御議論いただいたことを踏まえて、概算要求しています。
 私からは、簡単ですが、以上でございます。
【小杉主査】  ありがとうございました。では、1ページ目の御報告ですが、何かございますか。この資料全体でもいいですよね。
【伊藤補佐】  そうですね。参考ということで、さらに詳細な概要が載っておりますので、もちろん御質問は後ろのところでいただいても結構です。
【小杉主査】  私からよろしいですか。
【伊藤補佐】  もちろんです。
【小杉主査】  この⑤の先端研究基盤共用促進事業と、我々にとって大事なところなのですが。これはなぜ予算が減っているのでしょうか。
【伊藤補佐】  こちらにつきましては、今年度で、支援期間が終わるものがございまして、その分が減となっていますが、その代わり、新たに今までの共用がどういうふうに効果があったのか、今ここに、まさに足りない部分は何なのかといった、全国の共用の状況を見える化するための予算を新たに5,000万円、追加して要求させていただいております。
【野田課長】  この事業に関しては、来年度に終了する研究課題が多いので、次の年度に向けて、研究基盤部会で在り方を引き続き議論することにしております。
【小杉主査】  昔からずっとやって、プラットフォーム事業に加えて、新しいところが今期入っていますが、その次、どうしていくかという議論があって、また予算化していくと。
【野田課長】  はい。
【小杉主査】  分かりました。大学のコアファシリティ関係は増えていくのですか。
【野田課長】  15機関ありましたが、今年度で5機関が終了することになります。
【小杉主査】  コアファシリティも終了するのですか。
【野田課長】  はい、その部分が来年度予算で減ることになっています。
【小杉主査】  プラットフォームのほうは。
【野田課長】  プラットフォームは来年度までです。
【小杉主査】  分かりました。
 何かございますか。今年度が510億円で、来年度が725億円という、かなり増額の要求になっております。どれだけ確保できるか心配なところはあるんですが、頑張っていただいて、よろしくお願いします。
【野田課長】  ありがとうございます。
【小杉主査】  ほか、特になければ、少し時間は早いですが。全体で何か、今日の御議論で足りない部分があったら、いかがですか。
 では、特にないようでしたら、予定より大分早く終わることになりますが、その他含めて、事務局から再度お願いしたいと思います。
【野田課長】  次回の量子ビーム利用推進小委員会の開催日程につきましては、改めて調整して御連絡させていただきます。
 また、本日の会議の議事録につきましては作成しまして、委員の皆様にメールで御確認いただいた後に、文部科学省のウェブサイトに掲載させていただきます。
 以上でございます。
【小杉主査】  それでは、以上をもちまして、第56回の量子ビーム利用推進小委員会を閉会いたします。本日はどうもありがとうございました。
 
―― 了 ――

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