量子科学技術委員会 量子ビーム利用推進小委員会(第9期~)(第43回) 議事録

1.日時

令和4年3月10日(木曜日)10時00分~12時00分

2.場所

新型コロナウイルス感染症の拡大防止の観点から、オンライン会議にて開催

3.議題

  1. 研究開発課題中間評価について
  2. 次世代放射光施設の整備進捗状況について
  3. 「官民地域パートナーシップによる次世代放射光施設の推進」中間評価の評価項目(案)について
  4. その他

4.出席者

委員

小杉主査、石坂委員、内海委員(オブザーバーとして参加)、大竹委員、岸本委員、近藤委員、坂田委員、阪部委員、佐野委員、柴山委員、高橋委員、高原委員、田中委員(オブザーバーとして参加)、古川委員、山重委員

文部科学省

古田研究環境課長、萩谷研究環境課課長補佐

オブザーバー

国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構 茅野理事、国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構次世代放射光施設整備開発センター 内海センター長、一般財団法人光科学イノベーションセンター 高田理事長

5.議事録

【小杉主査】それでは、時間も過ぎておりますので、ただいまから第43回量子ビーム利用推進小委員会を開催したいと思います。
本日も前回に続き、新型コロナウイルス感染症の拡大防止の観点から、オンラインで会議をいたします。
本日は、13名の参加ということで、欠席は森委員一人でしょうかね。田中委員は入っていますか。
【萩谷補佐】田中委員は後ほど御参加いただく予定です。
【小杉主査】後ほどですね。分かりました。
本委員会では、今後数回にわたって次世代放射光施設の中間評価を行います。そのため、評価を受ける側と委員の利害関係というのが問題になります。最初の議題(1)のところで事務局から説明がありますが、内海委員、田中委員は利害関係者に該当するということで、本日は議題(2)までということになります。議題(2)は次世代放射光施設の整備状況についてで、次世代放射光の関係者からヒアリングを行うということになっております。
議題(2)のヒアリングには、量子科学技術研究開発機構(QST)と光科学イノベーションセンター(PhoSIC)から関係者が評価を受ける側として出席予定ですが、出席者については後ほど御紹介いたします。
それでは、事務局より文科省等の出席者の報告とオンライン会議における留意事項の説明、配付資料の確認をお願いいたします。
【萩谷補佐】事務局を担当しております文部科学省研究環境課、萩谷と申します。
皆様、本日もお忙しいところ御出席いただきましてありがとうございます。
文部科学省からは、私、萩谷と、係長の轟木、渡辺、また、冒頭は別件で中座しておりますけれども、古田研究環境課長も参加させていただく予定でございます。
オンライン会議の留意事項について御説明させていただきます。通信を安定させるため、御発言されるとき以外は、可能な限り、マイクをミュート、マイクをオフの状態にしてください。
御発言される際は、ミュートを解除、マイクオンの状態にしてください。
議事録作成のため、速記者を入れておりますので、お名前を言っていただいた後に御発言をお願いいたします。
会議中、不具合などトラブルが発生した場合は、事前にお知らせしている事務局の電話番号にお電話をお願いいたします。
なお、本日は会議公開の原則に基づき、報道関係者や一般傍聴者によるWebexでの傍聴を認めておりますので、御了承ください。
次に、配付資料の確認をさせていただきます。画面の方で適宜共有をさせていただく予定でございますが、画面が見えにくい方は、適宜事前にお送りしている資料を御覧いただければと思います。
配付資料は資料1から資料5、参考資料1から参考資料5をお送りしております。
御不明点等ございましたら、会議中でも構いませんので事務局までお電話いただければと思います。
以上でございます。
【小杉主査】ありがとうございました。
それでは、早速、議題に入りたいと思います。
本日は議題(1)から(4)までございますが、議題(1)は10分程度の説明になるかと思います。議題(2)は時間をかけておりますが、30分ほど説明いただき、30分ほど質疑応答という予定で、大体この辺りで11時半頃になるかと思います。残り30分を使って、議題(3)、(4)を進めたいと思っております。
それでは、まず最初に、議題(1)中間評価の位置づけ等について、事務局より説明をお願いいたします。
【萩谷補佐】事務局より御説明させていただきます。資料1から御説明させていただきます。「官民地域パートナーシップによる次世代放射光施設の推進」の中間評価についてでございます。(資料1の1ページ)
経緯でございますけども、こちらの事業につきましては、平成30年8月に、科学技術・学術審議会量子ビーム利用推進小委員会において事前評価が行われまして、本事業を積極的に推進するべきとの評価をいただいておりまして、この結果を踏まえて本事業が進められているところでございます。
令和元年度の事業開始から約3年が経過しており、文部科学省の評価指針、また、事前評価において、「中間評価においては、3年目を目途に実施する」との記載に基づきまして、今回、中間評価を行うこととさせていただきます。
評価方針でございます。事前評価において、次世代放射光施設の整備に当たり、QST及びパートナーは、最終報告書を含めて、これら報告書にて指摘された留意事項などについて、「適切に対応する必要がある」との記載があることから、これら二つの報告書での指摘事項を中心にまとめた、評価すべき項目、今回、資料3、議題(3)で御議論いただきますが、こちらを基に評価を実施することとさせていただきます。
こちら、報告書につきましては、参考資料として配付しておりますので、適宜御参照いただければと思います。
評価の進め方でございます。小委員会において、QST及びパートナーから事業の進捗状況や「評価すべき項目」に対する回答を聴取し、評価を行うこととさせていただきます。評価は、以下のスケジュールで実施することといたします。
第1回は本日でございます。第2回は4月を予定してございますが、現地視察及び評価すべき項目に対する対応状況について、QSTパートナーから聴取を行う予定でございます。第3回、5月を予定してございますが、評価結果の素案について議論させていただく予定でございます。第4回は、6月頃を予定してございますが、評価結果について議論をいただく予定でございます。
留意事項でございます。小委員会の委員におきましては、評価に際して、評価対象課題の利害関係者に該当する可能性がある場合には、当該課題の評価に加わらないこととさせていただきます。「利害関係者の範囲は、別紙の通りとする」というところで、次のページ(資料1の2ページ)に別紙として利害関係者の範囲を記載してございます。1番、評価対象課題に参画している者、2番、被評価者(実施課題の代表者)と親族関係にある者、3番、利害関係を有すると自ら判断する者、4番、小委員会において評価に加わらないことが適当であると判断された者ということで、こちらの範囲におきましては、量子ビーム利用推進小委員会の親分科会でございます研究計画・評価分科会の利害関係者の範囲にのっとって定めさせていただきたいと思ってございます。こちらにつきまして、冒頭、小杉先生からもコメントがございましたけども、今回の量子ビーム小委員会の委員におきましては、内海委員及び田中委員につきましては、本課題の利害関係者に当たると考え、評価には加わらないこととさせていただくこと。また、本日は、議題(1)及び議題(2)のみ御参加いただくことというところとさせていただければと思います。
また、議題(2)につきましても、事実関係などについてお答えいただく場合には、小杉主査の御了解をいただいた上で御発言いただければと思ってございます。
また、利害関係者につきましては、このお二人と考えてございますが、ほか委員に関しまして利害関係者に当たっていないかということに関しましても、改めて御確認いただければと思います。
事務局から御説明は以上でございます。
【小杉主査】ありがとうございました。事務局からは、中間評価の位置づけと今後の予定、それから利害関係の説明がございましたけれど、何か御質問、御意見等ございますでしょうか。
事前にお二人の委員以外の方にも利害関係の確認を取っておりますけれど、何か、自分はどうなるかというようなことで、新たな御質問等ございましたらお願いします。ございませんでしょうか。
では、特にございませんでしたら、次は時間がかかると思いますので、次に行きたいと思います。
それでは、議題(2)に入ります。議題(2)は、量子科学技術研究開発機構(QST)及び光科学イノベーションセンター(PhoSIC)からの出席者がございます。QSTからは茅野理事が参加いただいております。それから、PhoSIC側は高田理事長が御参加いただいております。
議題(2)のヒアリングの説明は、次世代放射光施設関係者のQSTとPhoSICを中心として運営会議というものがセットされておりまして、そこの議長でございます茅野理事から主に説明いただくという予定にしております。
それでは、茅野理事、よろしくお願いいたします。
【茅野理事】量子科学技術研究開発機構の茅野でございます。今日は次世代放射光施設運営会議、これが何かはあとでまた御説明いたしますけれども、その議長として次世代放射光施設の整備進捗状況を御報告させていただきます。(資料2の1ページ)
報告の中で、コアリションビームラインと呼ばれる部分があるのですが、そこにつきましては、光科学イノベーションセンターの高田理事長に御説明をお願いすることにしております。
では、次、お願いいたします。(資料2の2ページ)既に皆様御存じのとおり、このプロジェクトは官民地域パートナーシップという枠組みで実施されております。国の主体機関として量研が指名されておりまして、民・地域のパートナーとして光科学イノベーションセンターを代表とする、宮城県、仙台市、東北大学、東北経済連合会が公募により選定されているところです。
量研と光科学イノベーションセンターは連携協力協定を締結して、共同でこの事業を進めるとともに、それぞれの機関は放射光の実績を持つ理研さんですとか、JASRIさん、KEKさんからの協力を得て、これを進めているということでございます。
この枠組みの下で、整備による役割分担があらかじめ決められておりまして、下の表に示しますように、加速器部分は国が、それから、基本建屋、用地整備は、パートナーが行うことになっております。
それから、初期ビームラインといたしましては、国が3本、それからパートナー機関が7本の整備を担当しております。
次、お願いいたします。(資料2の3ページ)この図は、次世代放射光施設が目指すものとして、プロジェクト開始前から、この小委員会で議論されてきたものでありまして、この上の図にありますように、横軸に放射光のエネルギー、縦軸に放射光の輝度を取って、次世代放射光施設の位置づけを示しております。
硬X線と呼ばれるエネルギーの高い領域においては、今もSPring-8が優位性を保っているわけですけれども、エネルギーの低い領域、軟X線領域においては、2000年代になってから、海外に3GeVクラスの放射光施設が多く建設されたことで、国内施設の競争力が低下してきました。この現状を次世代放射光施設で挽回して、さらにはリードしようとするものであります。
次世代放射光の目指すところは、この下に文字で記載しましたように、まず先端性と安定性を兼ね備えたコンパクトな高輝度3GeV放射光源を整備して、放射光による世界レベルの最先端学術研究及び多彩な産業利用成果を創出すること。それから、国内の他放射光施設との役割分担や相補性を考慮して、軟X線、コヒーレント光利用研究の促進、本格的産学連携の推進、産業利用の拡大、汎用測定のハイスループット化などに重きを置いた整備運用を行うこととされております。
次に整備スケジュールを示しております。この青い部分が私ども量研の所掌範囲、それからオレンジ色がパートナーの担当部分でございます。2019年度に政府予算が認可されまして、本格整備に着手したわけですけれども、現在5か年計画の3年目がほぼ終了したという段階にございます。新型コロナの影響というのを何とか最小限に抑えまして、整備はおおよそ当初のスケジュールどおりに進んでおります。
2022年度2月末現在でいいますと、基本建屋工事の進捗率は99%、昨年12月から加速器関係の機器の設置が開始されたところでございます。今、いろいろと懸念材料はあるのですけれども、何とか2023年度の施設完成、2024年度からの運用開始という、この大枠スケジュール、これについては遵守できる見込みでございます。
次は光科学イノベーションセンター、PhoSICさんが御担当されている基本建屋工事の進捗状況でございます。この写真で御覧いただけますように、2019年の3月はまだ建物のない、土地の整備をした状態でしたが、その後、いろいろと進みまして、2021年の5月には屋根の一部が張られ始めまして、2021年度11月15日には外観がほぼ完成しております。本年1月の雪をかぶった様子も見えております。このように、建物の建設というのは順調に進んでおりまして、地上2階、地下1階、延べ床面積が約2万5,000平米の建屋がほぼ完成しているという状況でございます。
次をお願いいたします。
次は建屋の内部ですけれども、まず本建屋に関しては、来月の現地視察でゆっくり御覧いただきたいと思いますが、設計建設に当たっていろいろな工夫がなされております。
例としましては、この左上のように、強固な地盤を構築するために、地盤として適さない表土5メートルを除去した後に、柱状のコンクリート地盤改良体を3,400本、地中に打ち込んでおります。
また、実験ホール部分の半径方向の幅というのは、実はSPring-8よりも広いのですけれども、この左下の写真のように、この大きな屋根部分ですね。
これを蓄積リングトンネルの上のV字に見える柱、これで支えることによって、この実験ホールに柱を立てることなく、広い空間を確保できるようにしております。
それから右図はライナックトンネル、クライストロンギャラリー、蓄積リングトンネルの中の現状写真ですけれども、ここにこれから多くの機器が設置されることになります。
次に、QSTがやっております加速器の進捗状況を御説明いたします。次世代放射光源として加速器が持つべき性能に関しては、量子ビーム利用推進小委員会において議論、検討がなされまして、小委員会の報告書に記載されておるわけですけれども、今、作っております加速器は、この左下の表に示すように、ほぼ報告書に提案された主要パラメータに近い設計になっております。
この左上の図は、放射光スペクトルを次世代放射光とSPring-8で比較したものですけれども、この薄いブルーで書かれた次世代放射光では軟X線からテンダーX線といわれるエネルギー領域で、SPring-8を大きく凌駕する高輝度が得られることが見てお分かりになると思います。
それから、高性能の線形加速器と新しいビーム入射技術を融合して、安定なTop-up運転の実現を目指すとともに、蓄積リングに、マルチベントアークロマートラティスを採用することで、低エミッタンス電子ビームを実現いたします。これらは理研さんやJASRIさんの全面的な協力を得て進めておりまして、SPring-8で得られた知見・技術が最大限活用されております。
次は加速器構成ですけれども、加速器はこの右図のように全長110メートルの線形加速器、下の部分。それとビーム輸送部、そして、周長349メートルの赤で示した蓄積リングで構成されております。蓄積リングには、この左の写真のように、64台の偏光電磁石と、四極、六極、併せて3,200台の多極電磁石が設置されます。また、電子源や線形加速器用のCバンド加速管の製作もいずれも順調に進んでおります。
次をお願いいたします。基本建屋はほぼ完成いたしましたので、昨年12月から建屋の中に加速器構成機器が続々と搬入されております。今はまず実験ホールで、写真のように、これら磁石を架台の上に載せて調整作業が開始されたところでありまして、調整が終わったセルから順番に加速器トンネルの方に設置されていくことになります。
あと、この右下の写真は各コンポーネントの制御機器などが格納される19インチラックの設置作業の様子でございます。
続いて、ビームラインの整備状況を御説明いたします。整備分担に従いまして、量研が課題公募ですとか成果公開、こういったことを原則にする3本の共用ビームラインを整備いたします。これは赤の線で示した部分です。紫のラインで示しましたものが、地域パートナーが整備を行う7本のコアリションビームラインです。コアリションビームラインはコアリションコンセプトに基づいてパートナー機関が運用を行うほか、一部を共用ビームタイムとして利用することを検討しております。
これら10本のビームラインは、東大、有馬教授を委員長とする次世代放射光施設ビームライン検討委員会、ここで行われた検討内容をまとめた報告書に示されているラインナップに基づいておりまして、おのおののビームラインの設置場所がこの図のように決定されております。
次をお願いいたします。ビームラインの構成機器の製作もQST、PhoSICそれぞれにおいて着実に進捗しております。現在、ビームラインごとに若干の違いはあるものの、挿入光源とフロントエンドにつきましては、令和元年度に設計を終了して、製作が現在進行中です。それから、光学系、遮蔽ハッチについては、令和3年度に設計が完了して、各構成機器の製作を順次開始しております。また、エンドステーション機器についても詳細設計が完了したものから、順次契約準備を開始しているところでございます。
ビームライン機器の基本建屋内への搬入・据付作業は、今年の5月頃から順次開始する予定としております。
次に、量研が担当しております3本の共用ビームラインから、内容について簡単に御説明いたします。この図の左側は、物質に軟X線を照射した場合に起きる代表的なプロセスを示したものです。あるものは一部が物質に吸収された後、そのまま真っすぐX線が透過し、また、あるものは散乱X線として、方向やエネルギーが変化します。それから、X線によって物質を構成する光電子というものがはじき出される場合もございます。
こうした三つの代表的なプロセス、すなわち電子の発光、X線の散乱、X線の吸収を観測手法とするビームラインを1本ずつ共用ビームラインとして整備しております。具体的にはBL06Uの軟X線ナノ光電子分光、専門の方はこれをARPESと呼んでいますけれども、BL02Uの軟X線超高分解能共鳴非弾性散乱(RIXS)、そして、XMCDなどの装置が置かれますBL13Uの軟X線ナノ吸収分光ビームライン、この3本ということになります。
これらの共用ビームラインにつきましては、ビームラインに関する意見募集による公募を行いまして、JASRIの雨宮理事長を委員長とする利用研究検討委員会での議論・アドバイスを基にして、量研でビームラインの設計・製作を行っているところです。
次、お願いします。(資料2の13ページ)まずBLO2Uの高分解能共鳴非弾性X線散乱(RIXS)ビームラインですけれども、これは散乱X線のエネルギー及び運動量変化から、電荷、軌道、スピン、格子の素励起を直接観測することを目的としています。世界中の放射光施設でこのRIXSビームラインというのはその施設の全体性能や評価を決めるバロメーターになるものですが、このビームラインは次世代放射光施設において学術の最先端ピーク成果を創出するフラッグシップ的なビームラインの一つになると考えています。世界で性能競争が繰り広げられておりますけれども、この施設では世界最高エネルギー分解能である10MeV以下というものを目指しております。
電子の振動準位が直接観測できますので、物質中の化学状態の正確な同定ができまして、材料だけでなく、生体系の応用も期待されているところです。
次、お願いいたします。これはBL06Uの概要をまとめたものです。光電子分光は、金属や半導体の電子状態を調べるための基本的な測定法の一つになっております。次世代放射光施設では、スピンやナノ空間の分解性能の向上のために角度分解型の光電子分光装置を採用して、ナノドメインのスピンとバンド情報を直接観測することを目指しています。
ナノ集光と高エネルギー分解能の両方を目指した光学系となっておりまして、最終的には先端的実験と汎用的実験のそれぞれに対応した2ブランチを設ける予定でございます。
次、お願いいたします。共用ビームラインの最後は、BL13U、ナノ吸収分光のビームラインです。このビームラインの最大の特徴は、ここにあります四分割APPLE-IIと呼ばれるアンジュレーターを用いることで、任意の向きの直線偏光、楕円偏光を高速に制御できるということでございます。これによって特に磁性・スピントロニクス材料に関して、最先端の学術研究から産業応用まで様々な利用研究が期待されます。
エンドステーション機器としては、まず顕微XMCDと呼ばれる吸収分光システムとSTXMと呼ばれるX線顕微鏡を整備することにしております。
以上が3本の共用ビームラインの概要ですけれども、この後、7本のコアリションビームラインについて、高田理事長から御説明をいただきます。
高田理事長お願いいたします。
【高田理事長】高田でございます。コアリションのビームライン、茅野理事からお話がありましたように、7本のビームラインを建設いたします。この7本でございますけれども、2018年4月に有馬先生を委員長とするPhoSICのビームラインの構想委員会で、諸外国で進められている3GeVの高輝度放射光源の整備状況を踏まえまして、国のイノベーション支援強化に貢献する放射光源としての役割を果たすべく、産業界、学術と対話を重ねまして、この7本というものを決めました。
それを基に、有馬先生のビームライン検討委員会に上げていって決定したわけでございますけれども、その中でやはり効率的に活用しようということで、分岐技術の検討等を理研、JASRIの御指導も受けながら、東北大学の国際放射光イノベーション・スマート研究センター、こちらで検討して、答申を得て、それを基にビームラインの建設を始めております。
また、この国際競争力の観点から光源性能を最大限活用するものとするために、国際審査を2021年に行っております。その際には、施設の長ではなくて、先端施設の技術のディレクターをこのチェアのHastings教授にもアドバイスいただきながら選定して行っていただきました。そういったことで、コアリションビームラインのエンドステーションのデザインも東北大学を中心に決定しております。
次、お願いいたします。これが一覧でございます。かなりビジーになっておりますけれども、上が軟X線が3本で、下がブルーのところ、硬X線が3本。そして、最後にこの施設を代表するコヒーレントイメージングのビームライン、この専用ビームラインを作成することとしております。また、そこに、メインブランチのところにメインとブランチとつけております。ブランチにつきましては、いろいろな観点から、まず最初の整備は、08Wだけを建設するということで、あとは準備だけをしておくという形にいたしました。
次、お願いいたします。このビームライン、エネルギー領域でございますけれども、そこに示しましたように、07UがRIXSの吸収端までカバーする形になっておりまして、あとは硬X線の30keVのところまで幅広い範囲をカバーいたしまして、様々な物質の化学状態、電子状態、磁性、配向・凝集、歪み、分子構造、こういったものを可視化をカバーするということになっております。
また、左下の図にありますように、できるだけビームラインを隣り合わせにして、横断的な利用ができるようにという配置にしております。
次、お願いいたします。これは個別のビームラインの説明でございます。もう7本ございますので、簡単にいきますと、BL07Uというのは軟X線の電子状態解析のものでございます。光源がAPPLE-Ⅱのアンジュレーターを用いているものでございまして、RIXS、XAS、NanoESCA、これを備えて、スピントロニクス材料の機能電子を可視化したり、水、特に酸素の電子状態を調べることによりまして、水の研究をやっていくと。特に海面水でございますけれども、そういう研究に使っていくということになります。
このRIXSに関しましては、先ほどのQSTの超高分解能のものと相補的な関係になると思います。それよりは分解能は低いですが、非常に使いやすいものということで、ユーザーにとってはこの二つがそろうということは非常に重要なことであると考えております。
次、お願いいたします。08U、これは軟X線のオペランド分光でございまして、この雰囲気制御というものに重きを置いたものでございます。特に触媒とか、材料の合成法の開発とか、そういったものに用いられることになっております。
次、お願いいたします。こちらは軟X線イメージングでございまして、これはSPring-8で開発されましたMCDのイメージング、そこをさらに光源を使って、効率的に、そして、動的な可視化をスピン、そして、化学状態について行っていく、高分解能で行っていくというものでございます。
次、お願いいたします。BL08W、局所構造解析、これはウィグラーでございますけれども、これはかなり汎用性の高いビームラインとして位置づけております。そこのエンドステーションにありますように、XAFS、SAXS、WAXD、こういう基本的な構造解析の道具立てになっておりまして、ここにブランチをしっかりと設けて利用していただくことになります。階層構造というものをしっかりと見ていくというためのビームラインでございます。
次、お願いいたします。(資料2の23ページ)この09UはX線オペランド分光ということで、HAXPESを整備いたします。SPring-8でも非常に薄い1ナノを切る膜の化学状態、これを見るということに成功しておりますけれども、それをさらにこの高輝度で、タイム、時間スケールで見ていくということで使うことになっております。
次、お願いします。09W、これも階層構造でございますけれども、これはミリ秒の分解能で、この内部構造を可視化するということで、白色のX線4DCT、そしてあとは、単色のX線CTも備えることになっておりまして、ここでは大型のハッチを用意して、様々なベンチを入れて、自分たちで観察することをやることになっております。
次、お願いします。10UがX線コヒーレントイメージングのところでございまして、基本的には小角でございますけれども、コヒーレンスを使って小角散乱から可視化、逆問題を解いて、タイコグラフィーで可視化していく。そのときに、エネルギーも変えることによりまして、そこの利用研究の左端にありますように、触媒材料の化学状態のイメージングとか、そういったもの、そして、最近はマルチスライス法を導入して、薄膜の高さ方向のイメージングをしていく。海外では、もう既にこれをコンクリートの中のケイ酸カルシウムの分布であったり、薄膜のドメイン構造を可視化するとか、そういった非常に幅広い応用が進められております。ここのビームラインはかなり産業界、学術の双方から注目されているビームラインでございます。
次、お願いいたします。我々としては、この7本のビームライン、感染症対策、マテリアル革新力、Green、そして、SDGsに対してどういう取組ができるかというものをこういうダイアグラムにいたしまして、しっかりとそのニーズを引き出していく、そういうビームラインとしても位置づけております。社会課題への対応というものを常に位置づけしながらこのビームラインを使っていくということでございます。
次、お願いいたします。ここにつきましては、これは工程と進捗状況を示してございます。今のところ予定どおりに進んでおります。2023年後半にコミッショニングを開始することになっております。
以上でございます。
【茅野理事】では、次、お願いいたします。次は放射線安全についてですけれども、次世代放射光施設においては、放射線従事者でなくても実験ホールへの入室を可能とするために、実験ホールの非管理区域化ということを目指しております。
この図にあるように、赤くなっている加速器部分は管理区域ですけれども、赤いリングの外側の実験ホールを含む白い部分、ここを非管理区域とすることを目指しておりまして、これにより、利用者の利便性が格段に向上します。
法律上の管理区域条件は実効線量が3か月で1.3ミリシーベルト以上ですので、これ以下であることを担保できれば、非管理区域にできるということになります。このため、量研では東北大学の渡部先生を委員長とする委員会での検討を基に、規制庁と度重なる協議や、申請書ドラフト版に基づくヒアリングを行ってまいりました。その結果、原子力規制庁から内容についておおむねの理解が得られまして、この3月中に放射線発生装置使用許可申請書を提出することになっております。
これは国内の放射光施設としては初となる実験ホール非管理区域化に向けての大きな前進であると考えておりまして、今後、書面審査、施設検査などにしっかりと対応していきたいと思っております。
次は、冒頭に出てまいりました運営会議についてです。このプロジェクト、量研とパートナー機関が連携協力して進めていくということが必須でございまして、これまでもいろいろな階層の会議体で協議してきたわけですけれども、これから加速器やビームラインの現地での建設が本格化し、今までにも増して調整事項が増大していること、また、2年後に控える運営期の議論を加速させる必要があるということで、今年1月に今までの会議体を整理し直して、次世代放射光施設運営会議を新たに設置いたしました。
この会議は、次世代放射光事業全体を円滑に進めるための当該施設に係る課題、特に運営期における組織体制や役割分担、利用者支援に必要な事項等々を審議、調整して、また、情報共有するということを目的といたしまして、QST、PhoSICさん、東北大さん、各組織の経営層が入ったメンバーで構成しております。また、オブザーバーといたしまして、東経連さん、文科省さん、それから、SPring-8での経験が豊富なJASRIさんにも入っていただいているところでございます。
次、お願いいたします。広報ですとかアウトリーチ活動についてです。こういった活動も幅広く行っておりますけれども、いくつかの例をお示しします。まず次世代放射光に関する合同シンポジウム、これはパートナーが選定された直後に仙台で行いまして、300人の方、聴衆にお集まりいただいて、いろいろ議論がなされました。
その後、PhoSICさんが主催される、主として企業利用者向けのコアリションカンファレンスが頻繁に開催されておりますほか、放射光学会の年会では、毎年、企画講演が設定されております。それから今年の秋には東京で、QST国際シンポジウム「次世代放射光が拓く科学技術イノベーション」というものを開催することが決定しているところです。
次、お願いいたします。国際化の観点からは、東北大学が中心となりまして、世界の放射光施設のトップが集う放射光国際フォーラム、あるいは放射光施設サミットが開催されまして、ここに書かれているようなAOBA communiqueというものが毎回採択されております。
次、お願いいたします。最後になりますけれども、次世代放射光施設の愛称についてです。次世代放射光施設もSPring-8ですとかJ-PARCのような、皆様に親しまれるような愛称が必要なのですけれども、それが決定したということでございまして、昨年1月から3月まで公募を行って、600件近い応募があって、J-PARCの初代センター長であります永宮先生を委員長とする選考委員会で候補作を選んでいただきました。商標登録の手続などに時間を要しましたけれども、ようやくこの3月、間もなくその愛称を発表できるというところまで来ております。
今日はまだお知らせできなくて残念なのですけれども、来月の本委員会においては、その愛称で呼んでいただければと思っています。
以上で私からの報告を終わらせていただきます。どうもありがとうございます。
【小杉主査】ほぼ時間どおりに御説明いただきありがとうございます。
それでは、30分ほど時間取っておりますが、委員から質問等ございますでしょうか。
【高原主査代理】質問よろしいですか。高原でございます。非常に詳細の説明、ありがとうございました。いろいろなビームラインができて、やりたいことがいろいろ実現しそうだなということで、大変心強く思っておりますけれども、この中で、例えば放射光は非常にデータがたくさん出てくるけれども、その場合の情報関係のユーティリティ、インフラですか。それとの接続はどういうふうなシステムを考えておられるのでしょうか。その点について御回答いただければと思うのですけども。
【茅野理事】すみません。QSTの技術的な部分については、実は私よりも、今日、委員として出席している内海センター長が全部やっておりますので、差し支えなければ、内海センター長からお答えいただいたほうがいいと思うのですけど。
【小杉主査】内海委員から。
【内海委員】はい。お答えさせていただきます。情報系のお話、非常に重要なところというのは十分認識しておりまして、今、種々の検討を行っているところでございます。直近の最初の整備の段階では、共用ビームラインについては、最低限のもののストレージだけを作って対応する予定です。コアリションビームラインにおいてデータが多く出てくるものについては、パートナー機関のほうで大型計算機をつなぐであるとか、民間企業との連携であるとかの、種々の計画をお持ちであると伺っておりますので、そのあたりともすり合わせながら、進めようとしている段階でございます。
ストレージや大型計算機の重要性は十分に認識しているところではございますが、残り2年間の限られた整備予算状況も見ながら進めていかないといけないというのが現状でございます。
 高田理事長、追加説明をお願いできますでしょうか。
【高田理事長】内海センター長から話がありましたように、この件に関しましては、この1年近く、ずっとQSTと共に協議もしているところでございます。PhoSICは、施設と、大学の間のネットをしっかりと結ぶというところは、PhoSICで整備するというところまでは決めておりまして、あとは大学の施設との連携をどのようにしていくかというところと、NTTがビルを仙台駅前に建てておりますけれども、そういったところともどのように連携していくかというところを今進めているというところでございます。現在お答えできるのはそこまででございますが、しっかりと協議を進めているということでございます。
【高原主査代理】ありがとうございました。
【小杉主査】ほかにございませんでしょうか。
【佐野委員】分子研の佐野ですけれども、よろしいでしょうか。
【小杉主査】お願いします。
【佐野委員】ちょっと初歩的な質問になってしまうのですが、共用ビームライン3本と、それから、パートナーのビームライン7本ということなのですが、ユーザーから見たときの使い分けを教えていただけますか。パートナービームラインの方は、コアリションメンバーの方が主に使われるのかと思いますが、実際に使わせていただくとしますと、どのビームラインに主にアプライするような形になるのかみたいなお話はできますでしょうか。
【内海委員】これも私と高田理事長とで順番にお答えすることでよろしいでしょうか。
運用のお話については、詳細をこれからまさに、先ほどの運営会議等々で決めていかないといけない、急ピッチでそれを加速しないといけないところであります。まず、少なくとも、今の段階で、ある程度はっきりしているのは、共用ビームラインに関しては従来のSPring-8やJ-PARCをほぼ踏襲した形になるだろうということです。すなわち、課題公募をした上で、審査に基づき、課題採択された課題についてユーザーにお使いいただくというという形、また成果を公開する課題に関しては、原則無料でお使いいただくという点については、おそらくそう大きくは変わらないだろうと考えている次第です。
一方で、コアリションビームラインに関しては、高田理事長からお話があると思いますが、まずはコアリションメンバー、高額の加入金をお払いいただいていますので、その方々の利用というのがまず原則として最優先となるはずです。
ただ、当然ながら学術関係の方を中心に、加入金を払っていなくても使いたいというビームラインが出てくるわけでございます、そこに関しては、この小委員会の中でも、一部を共用枠として利用するということを検討しましょうという議論が、もともとこのプロジェクト開始前からあったところだと思いますので、そういうような形を、いつから始めるかということも含めて、今、検討しているところです。これはPhoSICさんとこれから十分な協議をしていく話でありますが、共用枠というのを一部のコアリションビームラインに設定させていただいて、その部分に関しては、国側が整備している共用ビームラインと同じような扱いで利用していただくということを今、検討しているところでございます。
コアリションの使い方については、高田理事長からよろしくお願いいたします。
【高田理事長】コアリションは、建設資金を出していただいたステークホルダー、ここが使っていただくという利用方法でございます。ここもまだ共用の仕組みがどうなるかということも含めて、そこときちんと整合性の取れる形を取っていかないといけませんので、まだはっきりとしたことは申し上げられませんけれども、御説明としては、できるだけ毎月募集して、ビームタイムの配分をやっていく形を取ろうとしております。成果は非公開ではなくて専有という形でお願いしているところでございますけれども、やはりこの7本のビームライン、共用にも使っていただきたいと我々も考えております。
全体として、やはり個人の研究者がアクセスできるようにしておくということは大事でございまして、ボトムアップで使っていただくのと、コアリションという機関が参画しておりますので、機関としての戦略的な利用というところと双方がうまくかみ合っていくようにしていくというところ。それと、QSTが整備する3本、これはかなり先端的な計測を行いますので、そういったところからのシーズプッシュを基盤化して、コアリションの7本でやっていく、基盤化していく。また、その7本から出てきたニーズプル的なもの、産業界、学術双方から出てきたニーズ、これを今度はさらに課題として高度化に進めていく、そういうふうな循環をつくっていきたいと考えております。
なお、コアリションに参画しているのは企業だけではございませんで、現在、大学、そして、国県が機関として加入いただいております。かなり多くの機関に今お話をしているところでございまして、はっきり申し上げられるのは東北大学が5口入っておりまして、そのほか、国立大学、私立大学、そして、国研が加入しております。その数も今、増えつつございます。そういう状況でございます。
【佐野委員】ありがとうございます。大変すばらしい設備ができそうですので、利用を皆さん楽しみにしているのではないかなと思いましたので質問させていただきました。どうもありがとうございました。
【小杉主査】ほかにございますか。
【柴山委員】CROSSの柴山ですけど、よろしいでしょうか。
【小杉主査】お願いします。
【柴山委員】2点ございまして、一つはコアリションのビームライン、一部は共用にというお話ありましたが、どのくらいのビーム配分で一般共有になるかということがもし決まっていたら教えていただきたいと思いました。もう一つは、放射線安全のところで、実験ホールの非管理区域化の件ですが、非常にユーザーにとっていい提案だと思います。これを実現するには、実効線量の話がございましたが、ビームホールが非管理区域となるのは分かったのですけど、実験ハッチはどうなっているかということと、それから、ユーザーは実際サンプルを触れるのか、オペレーターにお願いするのかという、その辺のところはどのようなイメージで見たらいいかという点について教えていただければと思いました。
【小杉主査】では、まず共用枠の質問ですけど、これは事務局のほうで答えていただくのがいいですかね。
【萩谷補佐】事務局でございます。共用枠、コアリションビームラインの共用枠の配分につきましては、すみません。今、様々な観点から検討しているところでございまして、この場ではお答えは差し控えさせていただきます。また、次回以降、検討状況などについて改めて御説明の機会が設けられればと思います。以上です。
【柴山委員】ありがとうございます。
【小杉主査】では、管理区域の話は内海委員から。
【内海委員】内海から御説明させていただきます。柴山先生、どうも御質問ありがとうございます。今、実験ホールを非管理区域化するということ自体は、規制庁とのこれまでの協議において、大筋についてはすでに問題点をクリアできていると思っています。ただ、それを実現するための施設者側の負担はかなり大きいです。たとえば、管理区域境界がハッチになりますので、そこの入退管理を一つ一つやらないといけない。それから、当然、綿密な遮蔽設計で線量が基準値以下であることをきっちり担保しないといけない。また、安全のモニターも実験ホール内にたくさん整備して、万が一実験ホールに漏えいがあったときには加速器を止めるシステムを構築しないといけないなどなどです。ユーザーの利便性とトレードオフで施設者側に大きな責任と負荷が増すことになるというのは事実でございますが、そこをきちんとやりましょうというのが今回の目的なので、そこに関しては我々はしっかりやりたいと思います。
それから、柴山先生の御質問にあった実験ハッチについてです。軟X線ビームラインは、実験ハッチがないので、従事者登録していないユーザーの方々が自由に実験ができるのですけれど、問題は、御指摘いただいたように、いわゆる硬X線でして、硬X線ビームラインの実験装置は放射線管理区域となる実験ハッチの中にございます。なので、硬X線の利用者は、放射線従事者でないといけないのだったら、実は半分ぐらいしかメリットがないのではないのか? ということなのですが、それに関してもこの2年間、散々議論してまいりました。
結果として、いずれ正確なところをどこか別の場で御説明したいと思いますが、今、大筋はこういうふうになっております。実験ハッチが開いているときには、当然ながら安全は担保されているので、ユーザーが試料の交換とかの作業を行うことに関しては、従事者登録のない方でも自由にできるとしています。
一方で、この実験ハッチの扉を閉めて、X線を発生できるような状態にする作業については、施設スタッフあるいは放射線従事者登録を持っている人でないとできないという形の整理にしようとしているところです。したがって、実験メンバーの中にどなたか従事者登録を持っている方がおられれば、その方に実験ハッチ内の安全を確認してハッチを閉める作業を行っていただく。従事者登録をされていないメンバーの方でも、サンプル交換などは自由にやって頂けます。
 もし仮に、実験メンバーの中にどなたも放射線従事者登録をされた方がおられない場合には、実験ハッチの閉作業だけは施設スタッフが行う、ということで、事実上対応できるのではないか考えています。
【柴山委員】詳しい御説明ありがとうございました。
【小杉主査】自動化、遠隔化を進めて、中に入らなくても済むような設計を最初からするということですか。
【内海委員】そこも当然ながら視野には入っているのですけれども、ユーザー自身が、自分で試料の交換を実験ハッチの中に入ってやりたいという方が当然おられるわけですから、そういう方にも対応できるような制度設計をしていて、そこは大体クリアできそうだということです。
【小杉主査】ハードX線のエンドステーションを新しくつくった場合は、管理区域の再設定になるので、変更申請するということになってくるわけですね。
【内海委員】はい。そういう可能性はありまして、まだそのあたりの詰めをいろいろ規制庁とやっているところです。
【小杉主査】ここが少し面倒ですね。
【内海委員】はい。そういう意味ではそこら辺のところは、つまり、実験ハッチ内は管理区域であるというところは、規制庁側として譲れないところなので。
【小杉主査】そうでしょうね。
【内海委員】はい。
【小杉主査】便利にしても不便なところもあるということは余り認識しなかったですが、軟X線のところは大きな問題はないというところはメリットですね。
 それでは、ほかにございませんでしょうか。
【坂田委員】坂田ですけれども、よろしいでしょうか。
【小杉主査】お願いします。
【坂田委員】二つございまして、一つは、光学機器やエンドステーションの装置、検出器も含めてですが、そういった制御系が運用時にQSTとPhoSICで、共通化、連携などのお考え、予定がございましたらば、その方針などについて披露していただきたいということ。
 二つ目は、恐らく事務局に対しての質問になるかと思います。細かい話で恐縮ですが、本日、光の性能の説明は大変よく分かったのですけれども、具体的なエンドステーションに置かれる装置の仕様などについては御説明をいただく機会は今後ありますかということ。
 以上です。
【小杉主査】それでは、まず、最初の質問で。
【内海委員】10本の整備を進めるに当たって、当然ながらQSTのビームライングループメンバーとコアリションビームラインの整備を担当しておられるメンバーの方々とは、定例の会議体やあるいは会議体でなくても日常的に、綿密な打合せをしながら作業を進めているところです。
先ほど茅野から説明がありましたように、ビームラインの7本と3本の整備分担、所掌責任というのはあらかじめ明確になっているので、ビームラインの整備に関してお金の話が絡むところ、調整して光を出せるようにするところまでの責任は分けているところです。ただし、今、坂田委員から御説明いただいたように、特に上流部になればなるほど共通的な機器が沢山ございます。また制御系もしかりです。なので、設計段階において、両者が綿密な打ち合わせを行い、バラバラにならないような工夫をしています。ただし、財布は別なので、共同発注というような形はとっていません。
いずれ運用のときにそこを一色にするということができるかどうかというのはこれからの議論になろうかと思いますが、現実的には、お互いの機器を貸し借りするとか、少し融通し合うみたいなことは当然出てくるのだろうとは思っています。今のところは、整備期における役割分担、ミシン目が定められているので、その中でできる協力をやっているということです。
 一方で、ビームラインの遮蔽計算のようなものは、QST側で一義的にやらないと全体の安全が担保されないので、コアリションビームラインも含めてQSTでやっております。
【坂田委員】よく分かりました。ありがとうございます。
【小杉主査】完成した後どういうふうになってくるかというところに、皆さん、気になっておられますが、一応中間評価としては、今後のこともありますけれど、これまでのことも含めて評価するということだと思います。
ビームラインのスペック等については、今、学会等を通じてアンケートを取っている資料の方では、今日の資料よりは詳しくエンドステーションの性能等が出ておりますが、何か事務局のほうで補足等ございますか。
【萩谷補佐】事務局でございます。エンドステーションの具体的な仕様などに関しましても、後ほど御議論いただく中間評価項目の中身にも、ビームラインの計画、進捗状況なども含めさせていただいておりますが、次回以降のQSTパートナーからの委員への御説明の際にそちらも詳しめに御説明いただくように、機会を設けさせていただければと思います。
 以上です。
【坂田委員】ありがとうございます。
【小杉主査】今のことに関して、PhoSIC側の御説明では、ブランチをつくるのが8番だけで、ほかのところはまだ最初はブランチをつくらないということでしたけれど、資料に書いてあるエンドステーションとしてはいろんな装置が並んでいるのですが、その全てが一つのブランチ、最初につくる一つのブランチで対応できるというものではないという理解でよろしいのでしょうか。高田理事長。
【高田理事長】  はい。我々はプラグ・アンド・プレイでやっていくという形でやっておりますので、そこの入替えという形になると思います。
【小杉主査】では、そこに上がっているエンドステーション、幾つか排他的な装置もあるようなのですけれど、ブランチ1本だけでも、排他的なのを入れ替えて対応できるという見込みですか。
【高田理事長】はい。そういうことでございます。
【小杉主査】分かりました。
 ほかに何か御質問ございませんでしょうか。まだ少し時間ございますが。
【阪部委員】よろしいでしょうか。阪部でございます。
【小杉主査】はい。阪部先生、お願いします。
【阪部委員】ビームライン運転維持の人員に関してですが、今後、ビームラインごとに専門の技術員が配置されて運用されていく予定でしょうか。そうであれば、そういう人たちは、この建設の段階から関わっているのでしょうか。
【小杉主査】まず、先ほどと同じように内海委員。
【内海委員】今日の茅野の説明で時間の関係で組織図をお示ししなかったのですが量研の方だけ申し上げると、次世代放射光施設整備開発センター全体として、クロアポの方なども入れて、現在八十数名の在籍者がおります。そのうち、ビームライングループが11名で、このメンバーはほぼ全員がフルタイムで本件に従事していますが、現在、このメンバーでビームラインの設計・製作・現地設置作業などを行っています。
当然、運用期になったときに、この11人で3本のビームラインの利用者支援を行うところまでのすべてを担えるわけではないので、今後ビームライングループ人員の増員を考えるとともに、今日は議論として出てきておりませんけれども、共用促進法の適用を受けるということがこの次世代放射光でも想定されているとすれば、そこでの制度設計の中で、利用者支援をどういう形で行うのかという議論が開始されようとしています。
そのときに、ビームライン運営や利用者支援を行うにあたっては、やはりビームラインの設計・製作をやった人が一番内容をよく分かっているわけですから、その方々を中心にして、あるいはその方々が適材適所にはいるような形で組織あるいは体制を検討していきたいと考えています。
 
 共用側はそういう状況でございます。
【小杉主査】パートナー側は追加の御説明ございますか。
【高田理事長】パートナー側は事業計画に基づいて、コアリションの場合は、利用実験の支援、そして、簡単な解析の支援も行うことになっておりますので、事業計画に基づいて、各ビームラインの人員配置等は今決めていっておりますし、募集もしております。ただ、銀行との関係もございますので、ここでは具体的な数字等は差し控えさせていただきます。
【小杉主査】以上でよろしいですか。
【阪部委員】はい。ありがとうございました。
【小杉主査】最近、装置の据付け、調整ぐらいは業者がやる場合が増えていますので、実際は動き出してからの対応と最初の設計のところで、しっかりと人員がいるということかと思いますし、2年弱先のかなり完成近くに、ようやく光が出るという状況ですから、その後が大変でしょうね。
 ほかにございますか。
【岸本委員】岸本ですけど、よろしいですか。
【小杉主査】はい。
【岸本委員】御説明いただいた中で、この非管理区域化というところの話に戻ってしまうのですけれども、これは企業にとってはすごく大切なところだなと思っています。というのも、我々、これまで計測しているメンバーだけで行っていたのですけども、今後は実際に材料の研究あるいは開発する人も一緒に参加してできるというところで非常に大きなメリットがあるなと感じています。
それで、ハッチ内に入れる、入れないというのは別にしても、その場で実験しながら、少しサンプルの調整をやり直したいなということも出てくると思うのですけれども、そういった実験の試料準備するような環境の整備というのは、計画とか進められているのでしょうかという御質問です。
【小杉主査】内海委員、お願いします。
【内海委員】共用ビームラインで産業利用行わないということでは、まったくないのですが、私の理解では、この次世代放射光には、二つの大きなポイントがあって、一つは軟X線というのがキーワード、それから、産学連携というか、産業利用を大幅に進めましょうというのが従来とは大きく違うポイント。特に後者に対しては、新たな産業利用の枠組みをきっちりつくるという意味において、コアリションコンセプトあるいはそういうところの仕組みをPhoSICさんがしっかりと対応していただいているというふうに理解しております。
【高田理事長】多分、内海センター長、岸本さんが聞きたかったのは、実験準備のところが設備的にそういう用意があるかということだと思うのですが、それで、管理区域の設定がこれを非常に容易にしております。これは見学に来られた方々が皆さんおっしゃるのですけれども、この側室がSPring-8と違って、全ての側室が実験ホールにドアが直結しております。ということは、JSTと一緒にこれをつくったときに、化学準備室とかそういったものも設定しております。そういったところのアクセスがこの管理区域、今回頑張っていただいたことで非常にアクセスがしやすくなっていると。あとは中にドラフトとかそういうものをちゃんと踏まえて、使いやすくしていくというところを双方でやっていくということになると思います。そういう点で、今回の設定は、そこが大きく変わると考えております。
【岸本委員】ありがとうございます。そのお話を聞いてちょっと安心しまして、その点は、企業における研究開発のサイクルを回すために非常に重要だと思いますので、ぜひ引き続き御検討をお願いしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
【内海委員】すみません。私、質問を取り違えていまして、大変失礼しました。岸本委員、御質問ありがとうございました。
【小杉主査】ほかにございませんでしょうか。
【古川委員】すみません。古川です。
【小杉主査】お願いします。
【古川委員】その続きなのですけれども、実験ハッチ内がビームが出ていなくて、外の空間と連続空間になっているときには、その中を放射線管理区域とはみなさないという、そういう使い方だと思うのですけれども、そうした場合に、管理区域の出入りみたいな、そこで働いている人たちの健康管理にかかってくるような、管理区域内での作業における放射線のどれだけ放射線を受けたかという、その管理とかはどうなるのですかというのが一つ。
あとは、そういう意味ではそこがもう管理区域でなくなる。あとハッチを開けた瞬間というか、ビームが出ていないときに開けたらそれを管理区域ではないという取扱いが運用的にできるのは私も知っているのですけれども、そうなったら、もう放射線管理に関する教育訓練というのもその施設を使うのに当たって必要なくなってくるのですよね。そうすると、施設利用の教育訓練さえしてしまえば、使っていいということになるのだと思うのですけれども、そういったときにユーザーの方、被曝線量の管理とかも一切必要がなくなるということですか。というのが二点目なのですが、いかがでしょうか。
【小杉主査】細かい話ですが。
【古川委員】すみません。
【内海委員】まだ十分に決まっていないところもありますが、おおよその方向性において今、古川委員が御理解いただいているような方向で多分運用がなされるということを申し上げてもよいと思います。
内部スタッフは当然放射線従事者登録して、フィルムバッジを持って業務を行いますので、その点は問題ないのですけれど、今、古川先生がおっしゃっているのはユーザーですよね。ユーザーとして来られるときに、例えば大学でも放射線をふだんから使っておられる方は、そういうフィルムバッジとか持っておられますけど、そうではない、ふだんは材料だけ作っておられる方がポッと来られてというのができるようになるかという点では、できるようになるというふうにお考えいただいたら良いと思います。
そのようなユーザーに、テンポラリーなフィルムバッジをお渡しするかどうかというのは、これはこれからの課題になるかと思います。ただし、今回は、実験ホール内及び扉を開放しているときの実験ハッチ内の放射線レベル規定値以下というのが大原則なので、そういう意味では本来は必要ないはずだということだと思います。
ただし、一方で、実験ハッチが管理区域境界になるので、一つ一つのハッチにおいて個人の入退の認証をしないといけないというところが、施設者側の問題としてあり、そのあたりの設計を今我々の方で行っています。
【古川委員】ありがとうございます。なぜ私がこういうふうに質問したかというと、もう一つあって、私は中性子屋さんなので、結構ビーム光の近くは、放射化物があったり、残留放射線量があったりするのですよね。だから、そういうのも含めて試料空間周りに近づくというのがそれほど安全ではないときって、たまたまというか、ありますから、そういうときも含めて、今、何もない空間の中で開けたら何もないよというのは言えるのだけれども、実際サンプルを置いて、いろんなものに強いビームをバーッと当てた後、はい、ハッチを開けましたと言ったって、放射化していますよねという、そういうのも含めて心配があるかなと思ったので発言しました。御検討いただければと思います。ありがとうございます。
【内海委員】ありがとうございます。
【小杉主査】放射光の場合、エンドステーションでは放射化の問題はないので、中性子とは大分状況は違うと思います。
【古川委員】分かりました。ありがとうございます。
【小杉主査】また今後、中間評価を進めていく中で、次世代放射光施設側の関係者と質問等の場があると思いますので、そろそろ今日はこの辺りで打ち切りたいと思いますが、最後に短い質問でもこれだけ聞いておきたいというのがございましたら。皆さん、よろしいでしょうか。
では、ここで議題(2)を終わりたいと思います。
では、田中委員、内海委員の退席及び施設側の関係者は退席いただくということになっております。事務局よろしくお願いします。
【萩谷補佐】事務局でございます。ありがとうございました。事務局の方で退室の手続などさせていただきますので、少々お待ちください。
(関係者退室)
【萩谷補佐】事務局でございます。お待たせいたしました。関係者の方々に退室いただきましたので、議題を進めさせていただければと思います。
【小杉主査】一般傍聴の方でも関係者に関しては退室いただいたということだと思います。
 それでは、続きまして、議題(3)に移ります。議題(3)は、次世代放射光施設中間評価の評価項目(案)についての議論です。
 事務局より説明をお願いいたします。
【轟木係長】事務局でございます。中間評価において評価すべき項目ということで、今、資料も共有させていただいておりますけれども、私、研究環境課係長しております轟木から御説明させていただければと思います。
まず中間評価の項目でございますけれども、冒頭、うちの萩谷から説明あったとおり、これまで出てきた最終報告書とパートナーの選定に係る調査結果、この二つの報告書での指摘事項を基に作成させていただいております。
また、それで作成いたしました項目案を基に、これまで各委員から事前にも御説明させていただきまして、そこでいただいた意見も反映させていただいた上で今お示しをしている評価すべき項目(案)という形でまとめさせていただいてございます。
それでは、簡単ではございますけれども、私から少し各項目について御説明させていただければと思ってございます。
まず、この評価すべき項目ですけれども、全体として六つ、6個の項目で分けてございまして、計画の進捗、開発、そして、ビームラインの開発、高度化、運用、産学連携、人材育成、国内外の連携と六つに分けて整理してございます。
一つ目、計画の進捗でございますけれども、1-1といたしまして、整備・運用において、民間地域の資金、知恵等も活用し、国やQSTだけでなく、財源負担、人材確保も含めて整備運用に積極的に関わる地域及び産業界と共に、官民地域パートナーシップにおける役割分担・責任分担の計画について整備期間中と運用開始後に分けて具体的に説明という項目を一つ取っております。
続きまして、こちらがパートナーの民間資金の増加の取組でございますけれども、パートナーにおいて民間企業等からの加入が増加するような取組について具体的に説明、また、計画どおり資金調達が進まない場合があれば、そのリスク管理の計画を整備期間中と運用開始後に分けて具体的に説明という項目でございます。
続きまして、スケジュールの関係でございますが、整備状況を踏まえて、可能な限り整備スケジュールの前倒しを検討しているのか。そして、前倒しを実施した場合、その具体的な内容を説明という項目でございます。
続きまして、基本建屋でございますけれども、その設計について、将来的な施設の拡張性ですとか利用者の利便性に配慮した点について具体的に説明していただきたい。その際、量研が整備する加速器の性能が十分に引き出せるような設計としたのであれば具体的に説明していただきたい。
それで、研究準備交流棟の関係で詳細なコンセプト・設計等について、量研と協議した上での整備事業について具体的に説明。
続きまして、整備用地でございまして、その施設の合理的な配置になっているか具体的に説明というところでございます。
次が開発の関係でございまして、一つ目、諸外国で整備が進められている軟X線向け高輝度放射光施設の整備状況も踏まえ、我が国の研究力、産業競争力の強化に貢献するような放射光施設となるよう、どのようなビームラインの整備計画を検討したのか。その具体的な説明、あるいは該当する報告書の提出をしております。
少し補足させていただきますと、この項目は事前評価の際にでも、まさにこのような必要性ですとか、産業競争力の強化に貢献するとなされて、今、整備を進めているところでございますけれども、事前評価からの評価の観点の一貫性ということも問われておりまして、まさにこのような項目も、必要性ですとかそういった観点も評価の対象になっておりますので、入れさせていただいてございます。
続きまして、2-2でございますけれども、こちらは加速器について実効性能を発揮できるような現実的な設計になっているのかどうかという項目。
続きまして、2-3が、その2-2についてにも関連しますけれども、その設計について諸外国と同レベルの先端性や安定性を両立しつつ、コンパクトな3GeV級放射光源が整備されているか。さらには、先行している海外の同様な施設との比較を含めて具体的に説明していただきたいということになってございます。
次のページをお願いいたします。続きまして、ビームラインの関係でございますけれども、3-1といたしまして、この施設が担うべき研究開発の分野や方向性について、学術、産業界の利用ニーズの調査結果を報告、また、最新の研究動向・技術動向の調査結果報告ということで、まさに、あとは量子ビーム処理で取りまとめられた最終報告書にて提示された、この施設に期待されている事項に応えられるビームラインの構成になっているかについても言及していただきたいという項目でございます。
続きまして、3-2、まさに3-1の調査結果をどのようにビームラインの整備計画に反映させたのかについて。その際、QSTで整備したビームラインとパートナー側で整備したビームラインの役割分担についても説明していただきたい。
続きまして、3-3、ビームラインの開発・高度化・運用を計画的に行うための国の整備・運用主体の具体的な検討内容、そして、パートナー側の経営的基盤とマネジメント体制の具体的な検討内容について。
さらには、上記の点で、国とパートナーの協働体制の検討内容についてそれぞれ説明していただきたいという項目でございます。
続きまして、3-4、各ビームラインにおける学術利用と産業利用、そのニーズの見込みと根拠について具体的に説明していただきたい。
続きまして、3-5、共用枠の一元的な管理を含め、各ビームラインの需要に応じた適切な課題申請方法、課題審査方法についての検討内容についてという項目でございます。
続きまして、4の産学連携でございますが、こちら、一つ目がリサーチコンプレックスの形成に向けた検討、計画の内容について具体的に説明。その際にパートナーの中での役割分担、責任分担についても具体的に説明をいただきたいという項目でございます。
続きまして、4-2、こちらが次世代放射光施設イノベーションプラットフォームとなって、産業・経済活動の活性化に貢献する仕組みとなっているかどうかについて具体的に説明していただきたい。その際、パートナーの中での役割分担・責任分担についても説明していただきたい。
4-3、次世代放射光施設をプラットフォームとしまして、組織対組織で共同研究を行う体制について構築できているのか。その具体的な内容について。そして、その際のパートナーの中での役割分担・責任分担について。
続きまして、4-4でございますが、産業連携の実践に当たって、共同研究に携わる研究者など、例えば人件費相当額ですとか、これに付帯する経費も含めた共同研究の契約を結ぶなど、費用負担の適正化の検討状況・内容について。そして、その際のパートナーの中での役割分担・責任分担についてという項目でございます。
続きまして、次のページ、(資料3の3ページ)4-5でございます。こちらは民間企業の研究者、技術者などの利用ニーズを踏まえた柔軟かつ多様な支援サービスの提供について検討状況・内容について。
続きまして、4-6、支援サービスや付帯設備利用など、ビームタイムの利用料とは別に経費がかかることが見込まれるサービスについて、適正な利用料金を定めているかどうか。利用者に応分の費用負担を求めることについての検討状況についてでございます。
4-7、こちらはベンチャー企業に対して、積極的な利用開拓などの支援が行われているのかどうか。
4-8、ベンチャー企業からの寄付の拡充等について具体的な検討が行われているのかどうか。
そして、5ポツ、人材育成でございます。こちらは大学及び大学院教育を含む若手人材育成の取組の具体的な説明について。
6ポツ、国内外の連携でございますが、国内の既存の放射光施設との連携ですとか、諸外国の放射光施設との連携の取組状況について。
6-2、運用・利用技術に関するオールジャパンでの協力体制についての具体的な説明という、このような項目を御用意させていただいております。
ひとまず、事務局からの説明は以上でございます。
【小杉主査】ありがとうございました。全て具体的に回答いただくというところで宿題を出している形になっておりますが、具体的な回答といっても、どういう項目で聞くかというのはまた別途指定することになるかと思います。今、説明いただいたもので大体のものは入っているというか、参考資料4と5に報告書があって、そこでやりますとか、やる必要があるというところを受けた形で、今、どういう状況になっていますかというような作りになっています。
そこを中心に中間評価を行うということですが、何か委員から、こういうのがそもそも項目として抜けているのではないかとか、そういう御指摘等ございますでしょうか。
【坂田委員】すみません。ちょっと確認です。坂田です。
【小杉主査】はい。よろしくお願いします。
【坂田委員】1-2と3-3の両方に関係するコメントというか、踏み込めるかどうかの確認です。阪部委員が御質問されて、答えが銀行との関係で具体的な話はできないという回答でしたけれども、例えば3-3に関係することで、その建設体制が実際にどうなっているのかについて、QST側は少し説明がありましたが、パートナー側での人員の説明を求めることは可能でしょうかというのが1点目。
【小杉主査】それは聞く項目として挙げられることにはなっています。
【坂田委員】分かりました。1-2について、もし計画どおりでないという場合のことは理解できたのですけれども、もしも計画どおりです、順調ですという回答があったときにもっと踏み込めるのかどうかという点について。
【小杉主査】今後開催予定の小委員会はクローズの会議になりますので、外には出せないような資料等も出してもらうような依頼はできます。もちろん、向こうの事情で出せないと言われると、そういうこともあるかもしれないのですが、できるだけ出してほしいということを具体的に項目を挙げて出していただくということは可能だと思いますが、事務局側で何かコメント等ございますでしょうか。
【萩谷補佐】事務局でございます。御指摘いただいた点につきましては、後ほどまた、QST、パートナーと調整させていただいて、次回以降の小委員会の方でできるだけ具体的に提示いただくようにという調整を進めさせていただければと思います。
また、小杉主査から御発言がございましたけども、今後、今回は公開ということで小委員会を開かせていただいておりますけども、次回以降、調査の評価の円滑な実施のために非公開ということも視野に入れながら、検討させていただければと思いますので、なるべく具体的な議論が小委員会の場でできるように、事務局の方でも設定させていただければと思います。以上です。
【坂田委員】分かりました。あと、3点目は短いのですけれども、この評価に関連するかどうかがちょっと分からないのですが、ユーザーが申し込むときというのは、何かQSTのビームラインとPhoSICのビームラインを別々に申し込むようなイメージを持ちました。もしそうならユーザーに使い勝手がいいのかなという疑問も、今、御質問するのが適切かどうか分からないが、ちょっと思いました。
 以上です。ありがとうございます。
【小杉主査】SPring-8でもJ-PARCでも同じなのですけども、共用のところは一本化して、専用のところは専用として別枠でやるという形の二本立てになるのが一般的だと思うので、そういうところで検討されているのだと思いますが、将来の運営について質問等で聞くということは評価の段階では可能だと思いますが、事務局、そういう理解でよろしいでしょうか。
【萩谷補佐】ありがとうございます。ビームラインの運営方法というところも、運用の検討状況として、例えば3-3とかに含まれるかと思いますので、今いただいた御指摘を踏まえて、次回も、今どこまで詳細にというところは、今この場では申し上げられませんが、検討状況を御説明いただくようにさせていただければと思います。
【坂田委員】どうもありがとうございました。
【小杉主査】ほかに何かございませんでしょうか。ここに書き切れていない、こういうところはぜひ聞いておきたいとかいうもの。
【佐野委員】分子研の佐野ですけども、よろしいでしょうか。
適切なのかどうかちょっと分からないのですけれども、事前評価のときと比べますと、今コロナの影響というのが、社会環境としては大分変わってきているのではないかなと思うのですけれども、そういった不測の状態があったときの取組みたいなことで、今SPring-8ではDXの話とか遠隔実験というのはかなり進んでいるかと思うのですけども、そういったものへの対応みたいなことを考える必要はないのでしょうかというのが質問でございます。
【小杉主査】どこかの項目に入る話でしょうかね。多分、どこかの項目で聞くことはできるとは思いますが、具体的に……。
【佐野委員】運用とかでしょうか。
【萩谷補佐】まずは、恐らくコロナを踏まえた整備のスケジュールがどうなっているのかというところは、1-3とかでスケジュールの報告をしていただくということになるかと思います。
 DXの対応というところは、主に利用者の観点からいうとビームラインの状況というところになるかとも思いますので、そのビームラインの計画の具体的な内容の御報告の際にDXの対応なども視野に入れていれば、そういったところも含めて御説明をいただくように、パートナー、QSTの方にお伝えしようと思います。
【佐野委員】分かりました。ありがとうございます。
【大竹委員】理研の大竹ですが、よろしいでしょうか。
【小杉主査】お願いします。
【大竹委員】3-4のところの、各ビームラインにおける学術利用と産業利用、ニーズの見込みとその根拠についてというところと、このニーズと、それからこれまでの中間評価で行うこれまでの開発のところのリンクが分かるようにしていただきたいのです。できれば、ニーズに対しても、一、二年で達成する目標であるとか、5年後になるとかという具体的にというところ、割と過去から遡ってここを目標にしているので、現在、こういった建設計画でやっているという、そこのリンクが、各項目が独立に出てくるのは御報告としては当然とは思いますけれども、現状の開発がニーズと、どう繋がっているかというところ、それから、時系列としてどこを目標にしているかというところを明示していただけると「具体的に」の文言がより具体的になるかなと思いますが、いかがでしょう。
【小杉主査】ざくっとした話ではなく、ビームラインごとというところが重要で、この3-4の最初の頭が「各ビームライン」と書かれているので、多分、今大竹委員が懸念されているところはここではっきりするかと思いますが、そういう読み方でよろしいですね。
【大竹委員】各措置でというところ、小杉先生おっしゃるとおり、具体的な年限でという形でお願いしたいと思います。
【萩谷補佐】ありがとうございます。事務局でございます。今の各ビームラインの整備計画というのは、3-1でもございますが、今までニーズを調査して、それを踏まえて仕様などを含めて、整備を進めているというところで、ひとまずそこの対応状況。
それから、今のビームラインそれぞれの整備状況を踏まえて、今後どれぐらいニーズが見込まれるのかというところも、改めて次回以降に、どこまで詳細にひもづけをできるかというところは改めてQST、パートナーと調整させていただきますが、なるだけ大竹先生の御意見を踏まえて御回答いただくように進めさせていただきます。
【大竹委員】よろしくお願いします。
【小杉主査】次回にいろんな具体的な説明をいただいた後、その場でさらに、こういうことは出してくれないかという、1回で終わるのでなくて、もう1回ぐらいのやり取りという設定はされているのですね、これからの委員会の設定の中で。
【萩谷補佐】事務局でございます。ひとまず、次回の小委員会ではQST、パートナーから御回答いただいた上で、そこで質疑応答をいただく予定でございますが、ちょっと持ち帰って、また改めて説明をするというような項目が出れば、次々回などで改めてQST、パートナーも呼んで御説明いただくというようなことも考えてございます。
【小杉主査】1回では終わりそうにないような気もするので、その辺の対応を次回以降の委員会のときに考慮していただくようお願いします。
ほかに何かございませんか。大体、皆さん、評価内容は理解されてきたと思います。
【阪部委員】よろしいでしょうか。阪部です。
 1-1に人材確保も含めてと書いていますが、この運営の体制・組織の中で、特に運転班も含めてどれだけの人員が確保されていますか。それは正規の職員として確保できていますか、あるいは時間雇用ですか。運用上は非常に大事な点だと思いますが、これに関して確認してはかがでしょうか。
【小杉主査】そこはもう項目でこの文章にそのまま入っていますので、必ず確認する事項だと思います。
【阪部委員】よろしくお願いします。
【小杉主査】ほかに何かございますか。この場では、この文章の(案)を取っていいかどうかという審議をしているわけですが、新たに追加項目あるかどうかという御意見がなければ、(案)を取るということになります。一応、大体のところはいろんな項目、気になるところは、どこかに入る形にはなっていると思いますので、今後の委員会で、一度ではなく、そこで残された問題を次回聞くということも対応できるということですので、そういうところでこの(案)を取るというのでよろしいでしょうか。
本質的にこの項目が抜けているというのがあれば、持ち帰って、このまま(案)を取るのではなくて、少し見直す必要があると思うのですが、そういうものがなければ、これで進めていくというところで認めていただいたということで進めたいと思いますが、いかがでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
【小杉主査】では、今後、これで評価を進めていくということにしたいと思います。
【萩谷補佐】事務局でございます。ありがとうございます。
 本日いただいたコメントに関しましては、いただいたコメントを踏まえて、次回以降、QST、パートナーの方から御回答いただくように進めさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
【小杉主査】それでは、議題(3)を終わりまして、議題(4)に移ります。
 議題(4)はその他ということですけれど、事務局からの予算関係、まだ共用ガイドライン関係の説明があると思いますので、よろしくお願いいたします。
【萩谷補佐】事務局でございます。時間もなくなってきましたので、ちょっと駆け足になりますが、御説明させていただきます。
予算の状況でございます大型研究施設関係、令和4年度予算案及び令和3年度の補正予算の状況について御説明させていただきます。(資料4の1ページ)
次世代放射光施設の国側の予算でございますが、こちらは令和5年度の整備完了に向けて、着実に毎年度、歳出化をしているというところでございます。今のところ、計画どおりに財政当局からも予算を認めていただいているというところでございます。
次世代放射光施設につきましては、補正予算案につきましても措置いただいているというところでございます。
SPring-8の運転経費でございます。令和4年度予算案といたしまして、令和3年度と同額の予算を確保いただいているというところでございます。
SPring-8に関しましては、冒頭、高原先生からも御質問ございましたけども、データセンター、特に放射光の方では、大容量データが近年トレンドとなってきている状況を踏まえて、SPring-8にしっかりそのデータセンター、データインフラを整備するというところで、新たに令和3年度の補正予算で10億円を確保いただいているというところでございます。こちらは今、稼働に向けて制度設計など、ユーザーコミュニティーの方々を含めて施設側で議論しているところでございます。
SACLAでございます。SACLAは、令和4年度予算案といたしまして、運転経費は前年度と同額の予算案を確保いただいてございます。
J-PARCにつきましても、令和4年度予算案といたしまして、運転経費は前年度と同額、確保いただいてございます。
あとは共用の関係です。あとのプラットフォームですとか、大学に共用の体制をつくるというコアファシリティプログラムを当課で実施をしてございますが、こちらも前年度と引き続き、プロジェクトを実施してございまして、予算もほぼ同額を確保いただいているところでございます。
研究DXプラットフォーム、こちらは参考の資料でございますが、先ほど申し上げましたSPring-8のデータセンターにつきましては、単独というよりは、全体、様々な研究機関や大学などのデータを国としてしっかりつなげて、ユーザーが利用しやすいような環境を整備するというところで、真ん中あたりに全国的研究データ基盤という記載がございますが、こちらは省内のほかの課の担当課がございますが、国立情報学研究所、NIIを中心としたプラットフォームに、このSPring-8のデータセンターも連携して、全体として一つのプラットフォームを構築していくというところで、今、全体像を含めて様々整備を進めているところでございます。
予算の御説明は以上でございます。
続きましては、共用ガイドラインの関係につきまして渡辺係長から御説明させていただきます。
【渡辺係長】お世話になっております。担当の渡辺と申します。
私の方からは、資料5-1に基づいて、共用ガイドラインについて説明をさせていただきます。
2ページ目を御覧ください。こちらのガイドラインは、基本的には大型施設というよりは、大学等が経営戦略に基づいて整備・運用する設備・機器を対象にしているものでございますけれども、昨年8月以降、このような検討会を省内科政局及び振興局で設置し、検討を進めてまいりました。先月まで第4回を繰り返しまして、関係機関のヒアリング等も通じて、その課題の整理や先行事例の整理を加え、資料5-2、5-3にあるようなガイドラインの本文の参考事例というものを整理してきたところでございます。これをCSTI等への説明も通じた形でセットさせていただき、今月中に大学等へ通知をさせていただくということを予定してございます。
3ページ、こちらの内容、ポイントというところを御紹介したいと思います。
まず、現状というところにございますけれども、経営実現に向けて自律的な設備整備の重要性が高まっているであるとか、世界をリードする研究者にとって必要な環境整備というところが、必ずしもできてない部分もあるというふうな状況もありまして、そういった背景の中で、科学技術・イノベーション基本計画においては、赤枠で囲ってありますように、2021年度までに共用ガイドラインを国が策定するというふうに書いてございます。これを受けて今回、ガイドラインの策定を行ったものになっております。
また、その二つ下のチェックのところにございますけれども、2022年度から、今ガイドラインを踏まえて、各大学等が共同方針の策定・公表をして共用の推進を進めていくという形になっているところでございます。
真ん中のポイントのところを少し御紹介させていただきます。今回のガイドラインについては、大きく三つの柱というところで整理をさせていただいております。
一つ目が、緑のところになりますけれども、戦略的経営実現のための共用マインドセット改革というところです。こちらは、研究設備・機器を重要な経営資源として捉えていただき、そこを経営戦略の実現のために戦略的な活用を図っていくと。そのために、経営戦略にも位置づけをしていくというふうなところをまずしっかりと書かせていただいているところです。
また、右の青いところでございますけれども、研究設備・機器を最大限活用・促進する共用システム改革というところで、こちら、「チーム共用」と赤字で書かせていただいているところがございますけれども、研究設備・機器の活用のためには、物だけではなくてそれを支える技術職員等といった人材の活用というところが非常に重要になってきますので、その研究設備・機器と、それを支える人材というところを一体的に捉えていくというところとともに、さらに関係する様々な立場の人間が参画して協働していくというところが重要だというところをお示ししているところでございます。
また、その一つ下、運用改革とグレーで書いてあるところでございますけれども、こちらについては、その共用というところでどういった設備機器を共用として考えていくかというところについては、しっかりと、原則として共用化の検討をするということが大事だというところをお示ししているとともに、二つ目のポツですけれども、自律的な整備・運用のために適切な利用料金の設定というところが重要というところも示させていただいているところです。
この3点を踏まえて、各機関において、本ガイドラインを踏まえた戦略的設備整備・運用計画、こういったものを策定していただくような方向性をガイドラインでは示しているところでございます。
内容について、次の(資料5-1)4ページ以降、少し御紹介をさせていただきたいと思います。
4ページ冒頭、「現状認識」というところがございますけれども、e-CSTIというふうにマークがございます。こちらは内閣の方で様々なエビデンスを収集しているところがございますけれども、今回、ガイドラインの検討に並行するような形で、研究設備の共用化の状況等について内閣府が調査を行ってございまして、その状況を書かせていただいております。
例えば一つ目ですけれども、国立大学等における共用化の状況が全体の資産の17%にとどまるというふうな状況もございますので、こういったことも内容に盛り込みさせていただいて、その上で共用化を進めていくことが重要だというところをまとめさせていただいているところです。
次、(資料5-1)5ページをお願いします。共用システムの意義とメリットというところで、本ガイドラインは強制力があるものではございませんが、共用を進める上でのインセンティブ、あるいはメリットというところをしっかりと機関、大学等におかれましては、御理解をいただいた上で進めていただきたいと考えておりまして、その上で、メリットというところを示しているところでございます。
一つ目が、目標設定に向けた資源の有効的な活用。二つ目が、外部との連携というところで、設備・機器の共用を通じて、産学連携、あるいは地域連携というところにも大きく貢献しているというところをお示ししさせていただいているところです。
続きまして、(資料5-1)6ページ目ですけれども、共用システムの構成・運営体制というところで、先ほど言葉の出ましたチーム共用というところもございますけれども、そういった体制の中で、どのように共有を進める組織等々を整理していくかというところを書かせていただいているところです。
 マル2というところで、統括部局の確立というところですけれども、その下のマル3、財務・人事を含めた体制の整備にも関係しますけれども、こういった様々な連携体制を踏まえた形で、それを全体マネジメントするような統括部局の確立というところが非常に重要だということをお示ししさせていただいているところです。
次、(資料5-1)7ページでございますけれども、こちらは共用システム基本設計というところで、共有化のプロセスをどのように進めるか、あるいは共用の対象とする設備・機器の選定をどのように考えるかというところも、参考事例も踏まえて御紹介をさせていただいているところになります。
続きまして、(資料5-1)8ページですけれども、こちらの共用システムの実装に関連する事項として、財務の視点、人材の視点というところを書かせていただいております。こちらは冒頭、ポイントのところでも述べさせていただきましたけれども、利用料金の設定というところが非常に重要な観点というふうに思っておりますので、自律的な運営、活用というところで、必ずしも設けるということではなくて、必要なコスト等を可視化した上でそれを適切に料金に反映していくというところが重要であるというところ、幾つかの先行事例も踏まえながら、事例として御紹介しながら御紹介をさせていただいているというところになります。
また、その下の人材の観点というところですけれども、先ほどのチーム共用という、様々な協働と体制というところに加えて、特に技術職員に関しましては、さらなる活躍であるとか、活用というところが非常に重要なテーマになると思っておりますので、各機関において、技術職員の活用を促す観点での処遇改善に関する取組であったり、あるいは貢献について可視化する取組というところ、これも事例を紹介させていただきながら促していく形にまとめさせていただいているところです。
最後に、(資料5-1)9ページ、10ページを少し御紹介したいと思いますけれども、今回ガイドラインの策定の中で、ある種、制度改革であるとか、さらに政策的な検討が必要ではないかというふうな御議論も検討会の中で出たところでございますので、そこを今後の政策の検討につなげるために、議論のまとめという形でまとめているものがこちらになります。
大きく3点ございますけれども、一つ目は、(資料5-1)9ページ下の丸のところにありますように、エビデンスに基づく政策の形成というところで、さらなるエビデンスの収集であったり、その分析を踏まえていくというところが重要であるというところ。
さらに(資料5-1)10ページ目、二つ目の丸になりますけれども、こちらでは競争的研究費に関する制度改革というところがさらに重要ではないかというところで、例えば、諸外国のファンディング制度を参考とした新たな制度の検討であったり、あるいはe-Radの活用を通じて設備・機能の重複が起きないような仕組みの検討等々が重要ではないかというふうなこともまとめさせていただいているところです。
また、最後ですけども、技術職員の人材の活躍促進というところで、各機関の技術職員の配置、あるいはそれらの活用の状況というところをさらに把握・集約した上で、さらに今後の施策というところにつなげていくことが重要ではないかというところもまとめさせていただいているところです。
こちらのガイドラインに関しては、大学に通知した上でさらにフォローアップといいますか、アウトリーチ活動した上で定着をさらに図っていくとともに、そのフォローアップを通じて、こういった観点の検討にもつなげていきたいというふうに考えているところです。
説明は以上になります。
【小杉主査】ありがとうございました。
共用システム、共用ガイドラインのところは、大学共同利用とか共用の施設とか、共・共拠点の設備とかではなく、それ以外の設備に関わるところという理解でよろしいですね。
【渡辺係長】はい、基本的におっしゃるとおりです。共・共拠点等に関しましては、そちらの仕組みと別の仕組みというところがございますので、基本的には、各大学が独自に整備・運用するような設備を対象にしているという整理になります。
【小杉主査】この小委員会関係では、大学独自で量子ビームの小さな施設を持っているところが幾つかありますので、そういうところはこういうところに関わってくるという観点ですね。
【渡辺係長】はい。
【小杉主査】それから、せっかく仙台の東北大学のキャンパスに次世代放射光施設の共用施設ができるわけですので、東北大学側でこういう共用システムをつくっていただければ、うまくそことリンクして、連携を取りながら総合的な共用体制も組めるということでもあるということですね。
では、そういう意味もあると理解して、3月エンドに各大学に通知されるということなのですね。
【渡辺係長】はい、そのように予定しております。
【小杉主査】予算がつけば、皆さん、やると思いますが、その辺りは、大学独自の、そんなに強制力がある話ではないのでしょうか。
【渡辺係長】そうですね、強制力があるものではありませんので、基本的には各大学の自律的な経営とか、そういったところを後押しできるようなものとして活用していければというふうに思っております。
【小杉主査】私の方で代表して質問をいろいろしましたけれど、もう時間がほとんどないので、委員の方から、これだけは聞いておきたいこと、ございますか。
なければ終わりたいと思いますが。
よろしければ本日の議題は終わりますが、事務局から何か連絡事項等ございませんでしょうか。
【萩谷補佐事務局でございます。ありがとうございました。
この共用ガイドラインに関しましては、別の部会でもいろいろ議論した結果をこの小委員会にも情報の共有というところで御説明をさせていただいた次第でございます。
小杉先生がおっしゃっていただいたとおり、量子ビーム関係ですと、各大学で持っているような小型な量子ビーム施設の共用という観点ですとか、あとは大型研究施設に関しましても、この共用ガイドラインの基本的な考え方というところは非常に参考になるところがあるかと思いますので、そういった観点で引き続き連携の形も取らせていただきたいと考えてございます。
そうしましたら、事務局からの連絡事項でございます。
次回の量子ビーム利用推進小委員会の開催につきましては、資料1でも記載いたしましたとおり、中間評価の2回目といたしまして、来月4月14日に次世代放射光施設の現地で開催予定でございます。また、こちらはコロナの状況とかも踏まえながらというところでございます。あとは具体的な当日のスケジュールに関しましては、改めて御案内をさせていただきます。
次々回以降のスケジュールに関しましても、同じ資料1に記載しておりますので、改めて御確認ください。
本日の会議の議事録につきましては、作成次第、委員の皆様方にメールにて御確認いただき、文部科学省のウェブサイトに掲載させていただきます。
本日の配付資料につきましても、後日、文部科学省ウェブサイトに公開させていただきます。
以上でございます。
【古田課長】研究環境課長の古田ですが、一言よろしいですか。
【小杉主査】どうぞ。
【古田課長】別件がありまして、途中から拝見させていただきました。本当に御活発な議論をありがとうございます。
まさに今日から4回、次世代放射光施設の中間評価を行っていただくということであります。整備の状況についてはかなり順調に進んでおりますが、私は、やはり運用とか、今の話だと共用をきちっと外部の方にしていくというところが次の課題だというふうに思ってございます。
この半年ぐらい、私が着任してから、整備というよりは運用に関してどうやってやるのかというのをかなりQSTや東北側と相談をしてきたというところがございます。しかしながら、この中間評価の過程でやはりまだ足りないところとか、力を入れないといけないところ、ぜひ、先生方に特出しをしていただいて、我々やQSTの方に宿題として投げていただきたいと思ってございます。
やはり、次世代放射光施設、これからというか、次の放射光分野の大型プロジェクトでございますので、これはやはり国を挙げてというか、少なくともこの放射光の関係者の皆様の御協力を得て、ぜひ成功させていきたいと思ってございますので、引き続き、どうぞよろしくお願いしたいと思います。
以上です。ありがとうございました。
【小杉主査】どうもありがとうございました。小委員会の今日の意見交換でも、運用のところが気になる委員の方が非常に多いので、やっぱりそういうところが中間評価の後につながっていくように、主査としても進めていきたいと思います。よろしくお願いします。
以上をもちまして、第11期第43回の量子ビーム利用推進小委員会を閉会したいと思います。
本日はどうもありがとうございました。
 
―― 了 ――

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