量子科学技術委員会 量子ビーム利用推進小委員会(第9期~)(第31回) 議事録

1.日時

令和元年8月23日(金曜日)13時00分~15時00分

2.場所

文部科学省 15階 科学技術・学術政策局会議室1

3.議題

  1. 我が国全体を俯瞰した量子ビーム施設の在り方について(調査事項の整理)
  2. 第6期科学技術基本計画に盛り込むべき事項について
  3. 有識者からのヒアリング
  4. その他

4.出席者

委員

雨宮委員、伊地知委員、内海委員、岸本委員、鬼柳委員、小杉委員、阪部委員、佐野委員、高橋委員、田中委員、宮内委員、山重委員、山田委員

文部科学省

菱山科学技術・学術政策局長、奥研究開発基盤課量子研究推進室長、對崎研究開発基盤課量子研究推進室室長補佐

オブザーバー

量子科学技術研究開発機構関西光科学研究所 河内 哲哉所長

5.議事録

【小杉主査】 では、少し早いですが、皆さんおそろいですので、始めたいと思います。
ただいまから第10期量子ビーム利用推進小委員会、第31回を開催いたします。
本日は、お忙しい中、御出席いただき、ありがとうございます。
本日は13名の委員の皆さんに御出席いただいております。近藤委員、高原委員、石坂委員の3名は御都合により御欠席です。
また、本日は有識者ヒアリングを実施する関係で、国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構(QST)の関西光科学研究所の河内所長に御出席いただいております。ありがとうございます。
冒頭、前回は御欠席でしたけれども、科学技術・学術政策局の菱山局長がお越しいただいていますので、御挨拶いただきたいと思います。
【菱山局長】 局長をしております菱山でございます。7月からこのポストにつきまして、前回、たしか挨拶回りとかいろいろありまして、欠席をさせていただきました。恐縮でございます。
先生方、お忙しい中、本日はお集まりいただきまして、ありがとうございます。本委員会では、諸外国の動向も踏まえて、国と国立研究開発法人、それから大学、自治体、いろいろなところで今様々な加速器、量子ビーム施設が運営されていると思いますが、それを俯瞰的に捉えて、施設の役割分担とか、研究者の育成、確保、そういったことを戦略的に考えていただくというふうになっておりまして、是非先生方に活発な御議論いただきたいと思っております。
私、今までの経歴の中でも、今は量研機構になっていますが、放医研の現場に出ていたことがありまして、毎日とは言いませんけれども、結構御視察が多くて、そのときには、放医研のビーム、重粒子の加速器の中をよく御案内をさせていただいて、ということはいろいろ実際に見させていただきまして、医療用として立派な施設でありまして、いろんな実験や研究も、夜中はマウスを使った研究とか、そういうこともしていたところでございました。そういったのを実際に見たのは20年ぐらい前ではありますけれども、日本の加速器技術のすごさとか、作った方とかメンテナンスしている方のいろんなお話も聞いたりして、日本の加速器技術の大変強いところをお聞きしてきたところでございますので、そういったところを是非、今後どうするのか、いろんな主体でお持ちになっておりますけれども、御議論いただきたいと考えております。
こうした検討を行うに当たりまして、今、第5期の科学技術基本計画でありますが、もうそろそろ次の第6期の基本計画についても議論が始まったところでございますし、また、学術研究の立場から大型プロジェクトのロードマップの検討状況も踏まえて御議論いただければと思っております。
先生方には引き続き、日本のこうした量子ビーム、どうしたらいいか、是非御議論いただければと思います。よろしくお願いいたします。
【小杉主査】 どうもありがとうございました。
それでは、事務局より配付資料の確認をお願いいたします。
【對崎補佐】 事務局でございます。本日もどうぞよろしくお願いいたします。
資料の確認でございますが、議事次第がございまして、配付資料として資料1-1から資料4と、参考資料でございます。
資料1-1は、我が国全体を俯瞰した量子ビーム施設の在り方についての調査方法及び調査事項(案)でございます。そして、資料1-2が、量子ビーム施設の調査様式(令和元年時点)でございます。資料2が第6期科学技術基本計画に向けた検討について(案)でございます。そして、資料3が、分子研、佐野先生より御提出いただきました本日の資料でございます。資料4がQST関西研の河内所長から御提出いただいている資料でございます。そのほか、参考資料として、本小委員会の委員名簿をお付けしております。
過不足等ございましたら事務局までお申し付けください。よろしいでしょうか。
【小杉主査】 では、ありがとうございました。それでは、議事に入りたいと思います。議事は1、2、3、4とありますが、大体時間的には1と2がそれぞれ20分強ぐらい、3が2件ありますので、それぞれ30分強ぐらいの感じでやりたいと思います。
では、議事1は、「我が国全体を俯瞰した量子ビーム施設の在り方について(調査事項の整理)」ということです。事務局より資料の説明をお願いします。
【對崎補佐】 それでは、お手元に資料1-1と資料1-2を御用意いただければと思います。前回この小委員会で議論していくこととして、我が国全体を俯瞰した量子ビーム施設の在り方を調べるために調査等を行っていくということを決めていただいたわけですが、その調査方法及び調査事項について、前回お示ししたものを、委員の皆様の御意見も踏まえて一部修正をしております。
修正事項を中心に申し上げますと、資料1-1、2ポツの「調査事項」の「施設の特長・成果」の1つ目に、施設設置の目的及びその背景、経緯、設置当時の具体的なニーズといったものを調べてはどうかということで記載をしております。
また、「施設の特長・成果」の2つ目の「得意とする研究開発領域」に加えて、今後施設が強みとしていきたいと思っているもの、強みとしていくべきものと考えている特徴についても調査事項に加えてはどうかということで記載をしております。
そのほか、人材育成として、3つ目の点でございますが、人材の供給元に加えて、どのような需要があるかといった点も調査してはどうかということでこちらも追記をしております。
その下の4つ目の人材育成の種類に関してですが、施設の運営に関わる人についても、人材育成に関して調べてはどうかということで、こちらも加えております。
こうした調査事項を踏まえまして、調査様式を具体的に作成しております。それが資料1-2でございます。少し文字が小さくて恐縮でございますが、1番から9番までの項目が、主に施設の基本的なスペック、運営費、年間の運転スケジュール、運転体制、成果、課題の分類や利用形態等々、客観的に幾つか数字として出していただけるようなものでございます。
項目の10番以降は、記述式の形式で、戦略的な取組状況から組織からの支援の状況、施設利用に関わる取組、産学連携、オープンデータ、オープンアクセス、海外連携、人材育成、施設の管理方法、そして最後に今後の展望などでございます。
こちらの項目10番以降に関しては、現状の取組に加えて、今後どのような方向で検討していくかといったところも各施設にお話をお伺いできればと思って、そのような補注も付けてございます。
こちらは調査様式の案でございますが、具体的にどのように記載するかといった点に関しては、別紙の形で調査様式の事務的な補注として付けた上で調査を行う予定でございます。
なお、結果に関しては、集約した上で、公開する場合には、それぞれの施設に相談させていただいた上で、この小委員会等で公開といった形で進めていければと思っております。
簡単ではございますが、以上です。
【小杉主査】 どうもありがとうございました。それでは、今説明のあった調査事項について御意見があればお願いしたいんですけれども、一応きょうの議論でこのアンケートの内容が確定すれば、これから依頼するということですよね。
【對崎補佐】 はい。失礼しました。1点だけ説明が漏れていました。大変申し訳ございません。調査様式、資料1-2の最後のページに、今回この調査を行おうと思っている施設の一覧を付けてございます。こちら、「放射光施設」、「中性子線施設・ミュオン源施設」、「イオンビーム施設」、「レーザー施設」、「その他施設」といった分類にさせていただいておりまして、色分けに関しましては、赤いハイライトしているものが共用法施設及び研発法人の設置している施設、緑色のハイライトしているものが、大学や共同利用機関法人の設置している施設、青文字が自治体やその他の組織が設置しているものといった分類で一覧にしてございます。
説明が漏れ、大変失礼いたしました。
【小杉主査】 放射光施設なんかは、1から9の調査は毎年やっている状況なので、今回は、それ以外の施設にも同じような調査が行くということと、あと、10番以降は、最初の資料1-1にあるように、前回もいろいろ調査事項の御議論をいただきましたが、そういう議論を反映して落とし込んだという形になっております。この中に施設の関係者もおられますので、答えにくいとか、もうちょっと説明がないと分からないとかいうのがあれば、時間的に個々の説明をしていないんですけれども、よろしくお願いします。いかがでしょうか。
【佐野委員】 その他のところに今3つありますけれども、これはほかにもまだいろいろあるかと思うんですが、そこら辺はどういうふうに基準として選んでいるのかというのをちょっと。
【小杉主査】 いかがでしょうか、事務局の方。
【對崎補佐】 具体的に資料1-2の最後のところということですか。
【佐野委員】 そうですね。施設のうち、3つほどありますけれども、これはどういう基準みたいな、選んだ基準みたいなのがあればちょっと。ほかにも何かあるんじゃないかなという気もちょっとするものですから。
【對崎補佐】 事務局と、あとは省内の関係局課に具体的にどういうところがあるかというところも一度聞いた上で幾つか調べているところでございます。もちろんこれだけではないと思っているので、もしこういうところも実はあるということがあれば、是非調査に加えたいと思っておりますので、我々が調べたものが全てではない、漏れている可能性はあるかと思います。
【小杉主査】 何か気付かれた施設等ありますか。
【佐野委員】 ちょっと私、大分前に、例えば阪大の核物理センターですか。
【小杉主査】 入っていますよ。
【佐野委員】 入っていますか。
【小杉主査】 ええ。イオンビーム施設のところの下から2番目。
【佐野委員】 どうも失礼しました。
【小杉主査】 その他に入っていたり、施設の方に入っていたり、ちょっと分類が。
【鬼柳委員】 そういう意味じゃ、RCNPは中性子でソフトエラーもやっているので、ミュオン源だけじゃなくて。
【小杉主査】 上の欄に上げてもらいますか。
【鬼柳委員】 ミュオン源、中性子源もありの方がいいかもしれませんね。
【小杉主査】 場所はここでよくて、備考のところに中性子源を書いておく。
【鬼柳委員】 うん。
【伊地知委員】 2つあるのですが。ただ、これは継続してこれまで取られているのであるとすると、それとの兼ね合いもあるので、どちらがいいのかというのはあるのですが。1つは、まず8ですけれども、特許件数とあるのですけれども、特許出願件数のことでよろしいでしょうか、ということです。また、特許出願だとした場合に、同一の発明について、国内と国外にあった場合の取り扱いをどうするのかと。
それから2点目は、運転体制のところで、年齢・階級区分としていると思うのですが、最後の、例えば60~65歳だと5年になっているのですが、そうしたときに、ここだけ5年にするのがいいのか、そもそも、例えば25歳からずっと10年階級ごとにしていくのがいいのか。つまり、どちらの方がよりきちんとした実態をとれるのか。特に、今でいうと、大学とかを卒業するなり、そういったところを考えたときに、20~29というカテゴリーを置くのがいいのか、例えば24歳以下と25歳~34歳と置くのがいいのかというのは、データの取り方で得られる情報が違うと思いますので、そこは御検討いただくといいのかなと思ったのですが。
【小杉主査】 じゃあ、このところは後で事務局と詰めて、年齢構成のとり方を考えます。
【對崎補佐】 そうですね。年齢の方も、ほかの文科省で行っているこういったたぐいの調査と整合性が比較できるような形でとれればと思いますので、少しほかの調査の状況も洗ってみた上で検討したいと思います。
【小杉主査】 特許の方はどうですか。

【奥室長】 基本的にこれは特許の出願件数だと思います。
【小杉主査】 出願件数。
【奥室長】 はい。国内と国外をどういうふうにカウントするかというのが伊地知先生の御指摘だと思います。それも確認しておきます。
【小杉主査】 ほかは何かございませんか。
【雨宮主査代理】 質問ですが、11番の組織からの支援状況で、何を書けばいいのか、分かりにくいので、補足していただけますか。
【對崎補佐】 設置・運営者からの財政的支援に関しましては、若干リダンダントにはなるんですけど、多分運営費の方で幾つか同じような形式のものがあって、どういう予算でとっているかといった点や、その予算の中でどのくらいの人的支援をしているかということになろうかと思いますが、設置・運営者以外からの財政的支援・人的支援に関しましては、例えば運営費そのものではなくて、一部研究開発のプログラムがあったら、そこに対して支援をしてもらっているものがあるとか、5年間とか10年間の研究開発事項に関して、そこに人の技術的な協力をしていただいているとか、そうしたものを自由形式であればという形で伺えればと思います。
【雨宮主査代理】 分かりました。人的支援、組織……。
【對崎補佐】 職種や人数。
【雨宮主査代理】 そういうところの区分ということ。人的支援。具体的にどういう職種の人が何人いるかと、その辺のところですね。
【對崎補佐】 はい。
【宮内委員】 法人そのものがやっているのに、法人が支援するという論理構造は関係的に言えば全くおかしい話で、だから、財源がどうなっているのかということを伺いたいんだろうと思うので、財源としてどうなっているのかということと、それから、財源としてのキャッシュフローがないけれども、それとは別に何らかの格好でマンパワーの補完を受けているものがどのぐらいあるのかというような、そういう状況をここで答えてもらいたいんだろうと思いますので。
【對崎補佐】 おっしゃるとおりです。
【宮内委員】 しかるべき表現に変えていただいた方がよろしいかと思います。
【小杉主査】 検討するようにします。
【雨宮主査代理】 あと、とても細かいことですが、6番の公募の予定は、研究課題の公募のことですね。
【對崎補佐】 はい。
【雨宮主査代理】 公募というと、人事公募とかもあるので、明確に書いた方がいいのかなと。
【阪部委員】 利用課題。
【對崎補佐】 ちょっと広過ぎるので、ここもきちんと利用課題の公募という形で分かるようにしたいと思います。
【小杉主査】 ほか、ございませんでしょうか。
【阪部委員】 施設の一覧のところには目的別に分かれているんですけれども、恐らく色で分けていますように、組織によって大分答えにくい。一律に同じように答えるのは難しい。私のところのように研究所の一講座レベルでやっているものから国研のものまでということで、そういう意味で、全て同じようにこの質問に対して答えることは難しいですけれども、あくまで答えられる範囲での調査というぐらいのことですかね。
【對崎補佐】 はい。それはおっしゃるとおりで、これまで一部基本的な調査として当室で行ってきた調査においても、そのように施設によって可能な範囲で答えていただくという形で整理をしていきたいと思います。
【阪部委員】 ここには記載されていませんけれども、例えば京大の化研は今加速器施設の改編を理研とともに取り組んでいるんですけれども、まだ途中ということで、ここには載っていないんですけれども、またそういう状況が整ったら、質問していただいてもいいかなと思います。
【對崎補佐】 はい。
【阪部委員】 もう1点なんですけれども、人材育成の質問のところ、資料1-1の2ページ目ですかね、人材育成の人材の需要及び供給元と書いてある、この供給元というのは、現在、その施設の運営、運転に関わっておられる方がどこから来られたかという意味でしょうか。
【對崎補佐】 それもございますし、どういうところから来ていただける可能性があるかということも含めてでございます。
【小杉主査】 アンケートで16番、人材育成のところにも書かれています。
【阪部委員】 加えてちょっと気になるのは、今、加速器関係で携わっておられる方は、どういうところの出身かというデータはあった方がいいんじゃないか。例えば工学部の電気の出身か、理学部の物理の出身か、あるいはまた異分野の出身かという、どういうところが人材を生み出しているかというデータベースがあってもいいのかなという、そういう印象をちょっと持っています。
【小杉主査】 アンケート項目の16番で、人材育成では、学部学科名も含むという感じの調査にはなっていますけれども。
【阪部委員】 それで今お伺いしたら、ちょっとそれとは違うとおっしゃられたので。2ページ目の人材の供給元というのを質問したんですけれども、どういうところから供給いただけるのかという意図で書かれていたんですね、これは。
【對崎補佐】 実際今いる人材がどういうところから来ているかということと合わせて、どういうところから潜在的に取り込めるかという趣旨でございます。
【阪部委員】 分かりました。
【小杉主査】 受ける側と出す側が想定されている。
【對崎補佐】 両方を調査した方がよろしいということでしょうか。
【阪部委員】 今、大学のそういった加速器関係に携わっている人がどんどん減っているということなので、是非どういう学部学科から人を育成できるかということを調べていただければと思いますので。
【對崎補佐】 はい。
【小杉主査】 どうぞ。
【山田委員】 ここの各項目で、この調査はデータを取るというのがメインになっているかと思うんですが、各施設がどういう課題を抱えているのかというようなところは書いていただける範囲で書いていただいた方が、今後のこの委員会の議論をしていく上で非常に役に立つんじゃないかと。単にデータだけでなくて、各施設が一体どういう課題を抱えているのか、どういう項目でも結構ですけど、書いていただくことも重要かなと考えています。
【小杉主査】 最後の18番には「その他運用上の課題」というのがちょこっと書いてありますけど。
【山田委員】 そこがだーっと長くなってもいいんですけど。
【對崎補佐】 そうですね。
【山田委員】 「課題」と入れた方がいい。
【小杉主査】 展望と課題ですね。
【對崎補佐】 各項目に関して、現状と課題と今後の方向性という項目ではいかがでしょうか。
【山田委員】 できれば項目ごとに分けられていた方が。
【對崎補佐】 そうですね。
【小杉主査】 ほか、ございませんでしょうか。
【阪部委員】 もう1点。今の質問に関連しまして、1ページ目の調査事項の一番上に書いてある施設設置の目的及びその背景、経緯、具体的なニーズというのはどこに?
【對崎補佐】 調査様式の1番の施設情報の一番下の欄に施設設置の目的を入れております。
【阪部委員】 ああ、そこですか。
【對崎補佐】 はい。補足として、設置当時のニーズ等も分かればここに記載を頂くという形にしております。
【小杉主査】 ほか、いかがでしょうか。
【鬼柳委員】 先ほど情報の公開についてちょっとコメントあったんですけれども、1枚目なんか付けるわけですけれども、そこにはどういうふうに書かれるんですか。原則公開なのか。書く方としては、そこがある程度分からないとどこまで書いていいか分からないというのがあると思うんですけど。
【對崎補佐】 そこは、この小委員会で議論を進めるに当たって基本的な情報として調査をしていますという形で、原則は、公開する場合には必ず御連絡する形なので、基本的にその内容はまず事務局に頂いて、それを小委員会の場で何らか明らかにする場合は、必ず各施設に御連絡をした上で、どういう形で公開するということをお知らせした上で公開にするという調査にしたいと思っています。
【鬼柳委員】 それも明記されるということですね。
【對崎補佐】 はい。
【小杉主査】 それは委員で閉じるのか、オブザーバー、陪席者もいますけれども、そのあたりは、書く側としてはどうですか。
【鬼柳委員】 産業利用のところが一番、お金がどこから来ているかというところをどこまで出せるかというのが多分難しいのかなと思うんですけれども。
【對崎補佐】 調査は、事務局で集める段階では可能な限り答えていただいた上で、個別に施設ごとにお伺いする場合は、事務局を経由してという形でお話を聞いた上で、この場で公表するということに当たっては、こういう形で出すというものに加工した上で、まずは可能な限りの生のデータを頂ければと思っています。
【小杉主査】 今、例えば13番で「可能な範囲で企業名等を記載」というところがちょっと書きにくいということですね。
【鬼柳委員】 場合によっては書きにくい。
【小杉主査】 公開と非公開と、ちょっと工夫が必要ですね。
【對崎補佐】 はい。
【小杉主査】 非公開と言いながらも、一部。
【鬼柳委員】 一部公開で。
【宮内委員】 よろしいですか。先ほど支援の言葉がおかしいと決めつけちゃったんですけれども、運営費のところで、交付金だとか、何とか事業収入とか、利用料収入というのは、ここはこれで情報を頂いているんですよね。そうすると、11で支援というふうに言っているのは何か違うものを想定されてここで書いてもらおうと思っていたのかどうかなんですけれども。
【對崎補佐】 基本的には先ほど申し上げた通りです。
【宮内委員】 先ほど言ったような話の中で。
【對崎補佐】 はい。施設設置者以外からどういう支援を受けているかというのが本来的には一番お伺いしたいことなので、それを比較するに当たって、本来的な設置者、運営者からはどういう支援があるかということとの比較で両方答えていただこうかと思いましたが、聞きたい趣旨としては、2番の運営費のところで、施設設置者からの支援に関しては閉じると思っています。ただ、ここで2番の運営費の方では、あくまでどういう項目のコストで幾らという形で聞いているので、例えば人的支援であればどういう人を何人ぐらいということはここでは聞けなかったので、それは11番の方で聞くということを想定しておりました。
【小杉主査】 アンケートで期待した答えをもらうにはもうちょっと説明が必要ですね。
【對崎補佐】 はい。
【鬼柳委員】 エグザンプルがあるといいですね。
【小杉主査】 そうですね。例えばこういうことを書いてくださいというような。
【高橋委員】 そこも含めて素人意見で申し訳ないんですけれども、評価されるんじゃないかと思われないようにした方がいいかなと思いまして。例えばネガティブなことを出したことで何か評価が下がるようなことがあると申し訳ないのかなと。ただ、困っていることは困っていることで正直に出していただいた方が、まとめて解決していくという今後につながるわけですから、困っていることも含めて書いてほしいんですけれども、それによってネガティブな印象を皆さんに与えてしまうのは違うと思うので、そういう意味では、公開、非公開の点も含めて、慎重に判断された方がよろしいかと思います。
【小杉主査】 この小委員会がどういう目的でやっていて、そのための前向きな議論に使うというところを依頼状にちゃんと書いていただくということですね。
【雨宮主査代理】 依頼状の文言ですが、事務局に委任するのか、それとも、ここで議論するのかどちらですか。
【對崎補佐】 この場で同じように公開では議論は予定してございませんが、委員の先生方にはメールベースで、きょうの御議論を踏まえまして、こういう頭紙を付けてこういう調査で出しますというものを一度おしらせさせていただきたいと思っております。
【小杉主査】 私の名前で依頼する形ですか。それか、事務局としての依頼?
【對崎補佐】 ビーム小委の事務局としての調査ということを想定はしておりましたが、例えば小委員会としての何か意思決定というものが必要でしたら、主査のお名前をお借りすることも検討したいと思います。
【小杉主査】 そのあたりは相談して。
【對崎補佐】 はい。
【雨宮主査代理】 今高橋委員が言われたことは大変に重要で、評価されると思うと、書き方も違ってきます。議論のためのデータが求められているんだという趣旨が伝わることが大事だと思います。
【對崎補佐】 分かりました。
【雨宮主査代理】 そこの文言、この委員会、もしくは主査がきっちりと精査するのが重要かなと思います。
【對崎補佐】 はい、分かりました。誤解のない調査になるように気を付けたいと思います。
【小杉主査】 このまますぐアンケート調査に入っていくというよりは、もうワンクッションありますので、それまでに何かまた気付かれた点があれば言っていただいて、進めたいと思います。
じゃあ、ちょっと時間を使いましたので、次に移りたいと思います。では、続きまして、議題2に移ります。議題2は「第6期科学技術基本計画に盛り込むべき事項について」です。これからこの小委員会で議論するのをまとめていただいている内容になっておりますが、事務局より説明をお願いいたします。
【對崎補佐】 それでは、資料2をお手元に御用意いただければと思います。第6期科学技術基本計画に向けた検討につきましては、当小委員会での議論を踏まえた上で、親会であります量子科学技術委員会の方で全体をまとめた形で省内の総合政策特別委員会等に打ち込みをしていくというものでございます。
今主査からも御指摘ございましたとおり、この小委員会の方ではこれから2年間程度かけて俯瞰的な議論を行っていくので、現時点において6期にこういう分野をという分野としての打ち込みというよりは、今後検討していくことについて少し詳細に書かせていただいたというものでございます。
項目の構成は、1ポツ、「基本認識」、2ポツ、「第5期科学技術基本計画期間中の成果と顕著になった課題」、3ポツ、「今後、特に重点的に取り組むべき事項」という構成にしてございまして、前回の小委員会におきましては、こちらのそれぞれの項目の中の更にそれぞれの小項目について、お示し、御議論を頂いたところでございます。
それでは、説明に入らせていただきますが、1枚目の冒頭に書かせていただいているのが、既存の量子ビーム施設をまずは安全で安定的に運転を行って、継続的な整備・運用を着実に進めて、産学官の幅広い利用に供して世界を先導するような成果を創出していくというのがまず大事であるという前提に立った上で、この小委員会では、設置主体の異なる施設を総括して、今後俯瞰的な整備・共用の在り方や支援の在り方を議論していくという形でございます。
1ポツの「基本認識」でございますが、こちら、最先端施設の整備・共用及び国内外の施設間での連携の必要性につきましては、前期第9期の小委員会におきましても、各施設の中間評価等を行っていただきましたので、そちらに書いているような内容を踏まえて記載してございますが、量子ビーム各施設の安定的で確実な運用や運転時間を確保するための整備をしてきたといった点、産業界を含めて、これによって着実にユーザーが増えている点、そして、各施設を中心に産学官の連携のコミュニティが形成されて、整備・共用が着実に進展しているといった点を記載しております。
2個目の丸の施設・設備の高度化等に関する技術開発の必要性につきましても、要素技術の開発を行った上で、より効率的な運転や施設利用のための関連技術の開発も継続的に行っていくことが必要であるといった点。共通的な基盤技術に関しては、各施設が独自性のある関連技術を開発することと併せて、国としての一元的総括が必要であるといった点を記載しております
3つ目の丸の計画的な施設・設備の整備及び運用体制の構築の必要性に関しましては、各施設の経年劣化対策、更なる運転時間の確保や、ユーザーニーズに対応した利用料金の制度の確立、潜在的なユーザーの開拓等といった点や、こうした検討を行うに当たって、各施設の中長期的な視点に立った検討が必要であるといった点を記載してございます。
2ポツ、「第5期科学技術基本計画期間中の成果と顕著になった課題」でございますが、成果として各施設の運用、内局の事業等々を記載してございます。
その上で、課題としまして、先ほど1ポツの「基本認識」に書いていることと一部重複してまいりますが、施設の整備の高度化や相互利用の推進に関しましては、例えば放射光施設、中性子施設、レーザー施設を一体的・俯瞰的に捉えた上で、研究開発目的に応じたデータを活用、獲得できる適切な施設整備を選択・利用することが可能となる方策が必要であるといった点。性質の異なる施設を相補的・相乗的に利用することができる研究開発支援の方策が必要であるといった点。一方で、研究開発の内容の重複や非効率化している状況の解消も必要ではないかといった点を記載しております。
また、2つ目の丸ですが、利用者支援の充実など利便性向上による利用者の裾野拡大につきましては、ページが次のページに移りますが、施設において共用できるビームラインやビームタイムの導入、柔軟な利用料金制度の見直し、メールインサービス等の付加価値の高いサービスの提供、人材育成の必要性や充実や検討といった点を記載しております。
また、3つ目の丸として、官民連携や産学連携の更なる推進としては、産学連携のためのコミュニティの形成や更なる活性化についての検討、産業界のニーズと大学・研究機関等のシーズのマッチングの方策といった点が必要ではないかといった点を記載してございます。
そして、1ポツや2ポツを踏まえた上で、3ポツ、「今後、特に重点的に取り組むべき事項」については、これはこれからここの小委員会で議論していく点になると思いますが、既存施設を有効活用して成果を最大化するための仕組み作りとして、施設・設備の高性能化や共通基盤技術の開発、複数の施設の相補的・相乗的な利用のための拠点化やプラットフォーム形成等、2個目の丸として、施設運営に関わる研究者・技術者の育成・確保、3つ目の丸として、量子ビーム施設の利用ユーザの更なる拡大。そして、上記の点を踏まえた上での国内外の動向を俯瞰した総合的・戦略的な施設・設備の整備・共用の点。こちらに関して今後中長期的な観点で戦略を作っていくということを記載しております。
次のページ以降は第5期科学技術基本計画中の量子ビーム関係の記載の部分を抜粋して付けております。
以上でございます。
【小杉主査】 どうもありがとうございました。では、今御説明のあった事項について、御意見等ございましたらお願いいたします。
いかがですか。よく読まないと分かりにくいかもしれない。
【雨宮主査代理】 基本的なことをお聞きしますが、今、資料2を議論しているわけですが、この小委員会で議論して、その結果、「(案)」というのがとれて、それが今後どういう形で使われていくか、その位置付けをもう一度お願いします。
【對崎補佐】 失礼しました。こちらの小委員会での議論は、親会であります量子科学技術委員会の方で、ビーム施設以外にも、今、量子計測・センシング等量子戦略に関係するような、量子技術に関するものを含めた6期への打ち込みという形でまとめることになりますので、これがこのままというよりは、今後検討していく重点的に取り組むべき事項や、その要素を量子科学技術委員会全体でまとめて、それを省内の科学技術・学術審議会総合政策特別委員会の方に量子分野として提出をするというプロセスで進んでいく予定です。
【小杉主査】 1ポツの基本認識、2ポツの課題はいいんですが、最終的に3ポツで第6期に向けて取り組むべき事項というのを提案するという形だと思うんですけど、この3ポツのところの書きっぷりが、全て「検討」で終わっているのは、それでいいんでしょうかね。取り組むべき事項として、各項目、「検討。」で終わっていますが。
【對崎補佐】 最後の丸に、これもまとめたという形ではありますけれども、中長期的な何かしらの戦略といった形のアウトプットを出すということを取り組むべき事項としては書いておりますが、量子分野として全体でどういう打ち込みをかけるかというところに連動してくるところもありますので、きょうはこちらの点で議論いただいた上で、次の量子科学技術委員会の方で議論する状況も見ながら、またこちらに関してもフィードバックをかけていくといった形で、3ポツの中身の検討だけで終わらず、もう少し踏み込んだ議論を進めていければと考えております。
【小杉主査】 例えば「検討することが重要」と書けばまだいいと思うんですけど、「検討」で終わっていると、何となく提案しているようには見えなくて、我々の問題として検討しなきゃいけない。「検討することが重要」と書けば、もうちょっと意思が伝わるかなという感じがします。
【對崎補佐】 そうですね。少し時間的な制約というか、今後の6期の検討のプロセスにどのように乗っていくかということもあるとは思いますが、少しでも具体的な議論ができたものは6期に盛り込んでいけるような形で議論を進められればと思いますので、そういう意味では中間的段階のものと捉えていただければと思います。
【雨宮主査代理】 6期が始まるのが21年度?
【對崎補佐】 21年度でございます。
【雨宮主査代理】 そうすると、具体的に細かく議論されるのが、どのタイミングですか。ここで出して、盛り込まれる、盛り込まれないということは、どのタイミングで、どこで議論されるのかということの情報、確認をお願いします。
【對崎補佐】 きょうはちょっとお手元にお配りをしていなくて大変申し訳ございません。前回、この議論をしたときにスケジュール感を少しお示ししておりまして、その中で、当座の進め方としては、今年度の10月以降に、個別の量子、バイオ、情報といった個別分野の関係部会における検討結果を10月以降総合政策特別委員会で議論していく予定でございます。その上で、来年2020年の3月に総合政策特別委員会としての最終取りまとめを行って、それを政府全体の内閣府の議論に移していくという形になるので、それまでは最終取りまとめに向けた議論の中で各個別分野の検討事項は盛り込むことができるというのが当座のスケジュール感でございますので、そういう意味で申し上げますと、この量子ビーム小委で調査結果をまとめて、調査結果をまとめた上で何らかの方向性であったり、議論の深め方を総政特というか、6期の議論につなげていくことはまだタイミングとしては幾つか可能なタイミングがあるということでございます。それ以上の詳細はまだ省内でも詰め切れていないところなので、まずはそういったスケジュール感で、来年の3月の総政特でのまとめに向けて個別分野の議論を深めていくという形です。
【山田委員】 3ポツの一番最後の丸の文章ですが、これは一般論的なことを書いておられるようにも見えるんですが、途中に次世代放射光施設の運用による云々という文章が出てきて、これがどういう意味で入ってきているかが明確でなく、ちょっと唐突に感じます。例えば新しい大型ファシリティが稼働したときに、他のファシリティのユーザーの動向などの予測状況を踏まえ云々という意味で、一般論として書かれているのか、それとも、次世代放射光施設をここで明確に出して書かれているのかというところが判断しかねます。例えば中性子であれば、J-PARCのMLFに加えて、今度JRR-3という原子炉が動き始めた場合のユーザーの動向云々も考えないといけないという意味で、1つの例としてここに次世代放射光を挙げておられるんだったらいいんですが、この文章がそう読み取れるかどうかというところはちょっと注意した方がいいかなと。
【對崎補佐】 分かりました。一般論として申し上げたいというのがこの文章の趣旨ですので、あくまで次世代放射光は1つの例でありますので、それはこの1施設をもって議論をするということではないというのが分かるように少し修正を加えたいと思います。
【阪部委員】 少しまた戻ってしまって、雨宮先生の質問と同じなんですけれども、量子科学技術委員会、いわゆる親委員会の方に小委員会から上がってくる、ほかの量子関係、量子コンピューターとか、量子センシングとか、いろいろありますが、そういう意味ではここの小委員会から上がってくるのはかなり異質なものになる感じですね。施設の運用とかの話。ほかの小委員会は、恐らくある程度長期展望なりミッションを持った提案が上がってくると。そういうものが横並びになったときに、どういった議論が量子科学技術委員会でされるのかという。ほかの小委員会から見れば、大きな装置でいろいろ維持が大変ですねとか、そんなぐらいの見方をされてしまうと、非常に残念な結果になってしまうので、その辺は、どんな、量子科学技術委員会というのは、親委員会というのは?
【對崎補佐】 総合政策特別委員会でまとめていくに当たって、量子分野も含めて、バイオ等他の分野も横並びを見るという観点で、共通的にこういう視点を設定してくださいという指示として、そういう視点というか、指標というか、項目が示されてまいりますので、今、事務局が事務的に調整している限りでは、そういう項目の中に、もちろん分野としての重要性や、個別の研究開発課題の事項というのもあるんですけれども、それに加えて、研究課題や基盤の整備といった点も全体をまとめるときに視点としては入ってまいる予定ですので、そういう意味では、ビーム施設も、個別分野によらないかもしれませんけれども、そういう個別分野をプレイアップするための基盤設備という観点で盛り込むことはできると思っていますので、そこは量子科学技術委員会がどういうふうにまとめるかということはこれから事務局としてもよく相談したいと思いますけれども、違和感なくというか、ビーム施設として重要な点が、きちんと、共通的な基盤整備という点で盛り込めるようにはしたいと思っています。回答になっているか分かりませんが。
【奥室長】 量子科学技術委員会の下に置かれている小委員会は量子ビーム小委員会だけなんです。なので、柱としては、量子技術イノベーション戦略というのを今、内閣府中心に作っていますが、それをベースに文科省として量子戦略の一部分、どこを担うのかというのがファーストパートで、セカンドパートのところに量子ビーム施設の今後の在り方についてというような大きい構成にするんだろうと思っています。その両方の側面を、どう総政特の方に盛り込んでいくのかというのは、総政特のまとめ方との調整だと思っています。
【小杉主査】 どうぞ。
【伊地知委員】 2点あります。今、手元に総合政策特別委員会の7月の会合の資料を見ながら、1つ、3の「今後、特に重点的に取り組むべき事項」の4番目にもしかしたら関連するのかもしれないのですが。総合政策特別委員会ですと、こういった「研究施設の機能向上」のところ、戦略的リノベーションにより研究施設の機能向上」ということで、最先端ということだけではなくて、老朽化している施設に対することも視点と関わるので、もしそこで関連するようなところがあれば、そういったことをつなげられるような文言を入れておくというのがあるのではないかなと思うのが、1点目になります。
それから2点目は、その1つ前の量子ビーム施設の利用ユーザーの拡大というところでこう書かれているのですけれども、私が理解するところでいうと、共用施設として、民間企業がイノベーションの基盤としてこの施設を使われているというところもあって、ただ、この文言だとそこが読めない。一方で、全体の方向の科学技術・イノベーション政策、科学技術基本計画の方向としては、イノベーションの基盤としての研究というのもあるかと思うので、そういったところも読み取れるようになっているといいのではないかなと思います。
【小杉主査】 事務局、何かコメントあります?
【對崎補佐】 まさにおっしゃるとおりだと思いますので、そちらの方に盛り込んだ形で修正を加えたいと思います。
【小杉主査】 3ポツのところは、現実に即した項目4つは上がってはいるんですけど、大きなところですよね。3ポツの4つは、既存施設をいかに使うか、それから、施設の人材の方、それから、3番目はユーザーの方、それから4番目は全体の話と今後に向けた取組です。一通りは入っているんですけど、今言った基本的な施設の存在意義のところをはっきり書いておくというところですね。
ほかに何かございますか。きょう、上の委員会に上げるこの文章を確定するのは難しいので、また、今、修正したりしたのを皆さんに見ていただくというプロセスが入ると思いますけれども。何かあれば、事務局の方に知らせていただくということで、最終的に出すものは委員の皆さんにチェックしていただくということにいたしたいと思います。
では、そういうことで、上の委員会は9月12日に予定されていますので、ちょっと時間が少ないんですけれども、何とかその委員会で出すものを皆さんに見ていただくということにしたいと思います。
では、この議題は終わりまして、議題3ということで、2つのヒアリングを行いたいと思います。事務局より趣旨等、簡単に説明をお願いします。
【對崎補佐】 事務局より御説明いたします。本小委員会では今期は我が国全体を俯瞰した量子ビーム施設の在り方を検討するために、便宜的に放射光施設、中性子源・ミュオン源施設、レーザー施設といった分類にしてございますが、これらの施設の施設設置者や施設の利用ユーザーからの聞き取りを実施してまいりたいと思っております。まずは、施設の種類ごとにヒアリングを実施した形で、それぞれの施設ごとの論点といったものを少しまとめていく、小まとめをしていくような形でヒアリングも実施していければと思っております。本日は、レーザー関連の施設として佐野委員とQSTの関西光科学研究所の河内所長から御説明をお願いしたいと思います。
【小杉主査】 それでは、まず最初、佐野委員より20分程度で説明をよろしくお願いします。
【佐野委員】 佐野です。よろしくお願いします。座ってやらさせていただきます。
きょうお話しさせていただきますのは、小型集積レーザーと書いてございますけれども、ImPACTで開発をしてまいりました非常に小さいレーザーです。それがどうなっているかということと、あと、この4月に分子研にコンソーシアムを作っていただきました。そのレーザーをいろいろ産業界に展開していくという趣旨でございますけれども、その取組について御報告したいと思います。
今お話ししてしまいましたけれども、こういう小さいレーザー、それから、コンソーシアムについて、それから、最後に少しだけ今後の展開みたいなお話ができればと思っております。
まず、レーザーのお話をちょっとさせていただきたいと思います。まずImPACTでこのレーザーを開発してきたんですけれども、その理念といいますか、狙いなんですけれども、小型で高性能で安価なレーザーを最先端の研究開発と産業に広く展開したいと、一言で言いますとこんな感じでございます。
仕様でございますが、手の平に載るぐらいのレーザーで、パルスエネルギー20ミリジュールぐらいを実現したいということで、これは後ほど説明しますけれども、小さいがゆえに、パルス幅が従来のQスイッチのYAGレーザーに比べますと10分の1ぐらいになります。その結果、20ミリジュールでも200ミリジュールと同じぐらいのピークパワーがとれるということで、それぐらいのパワーが出ますといろいろな加工ですとか、いろいろなニーズに対応できるということで、こういったことができないかということを考えたものです。従来は大きくて空調が必要だったり、あるいは振動があるとなかなか使えないといったようなものを、動かしながら使えるような、いわばレーザーポインターみたいな感じで使える高出力レーザーが出来ないかというコンセプトでございます。
何をやったかということなんですが、レーザー、ご存じの方も多いかと思いますが、簡単なレーザーの構成をここに書いてございます。レーザー媒質をフラッシュランプなどの励起光源で励起しまして、鏡の間で光を往復させて増幅させて取り出すことによってレーザーの光を作るということでございますが、ハイパワー化しようとするといつも問題になるのが、どうやって冷却するかということになります。コンピューターでも半導体でも同じでございますけれども。そこで、アイデアとしまして、分割して表面積を増やす。更に熱電導性のいい透明材料を間に挟み込んで、原子レベルで接合してしまって、熱抵抗をなくすことによってヒートシンクから冷却をしようと、そういうアイデアでございます。その結果、こういった形のものが出来たということで、具体的なところは後でもう少し御説明をいたします。
このレーザーの特徴なんですけれども、冷却がうまくできるということで、ビーム品質がいいものが出来ます。我々産業界、私は今分子研におりますけれども、以前東芝にいたので産業界の視点でお話しすることが多いんですが、産業界から言いますと、小型軽量一体構造で部品点数が少ないというのが非常に使いやすい。逆に言いますと、調節しろがないわけですけれども、ちゃんと出来てしまえば、非常に自由に、また簡単に使えるものができるということでございます。
先ほどもちょっと申し上げましたけれども、共振器長が短い。これが共振器長、この中に入っておりますけれども、大体1センチとか、そんなオーダーです。従来の10分の1ぐらいになりますので、サブナノ秒の今までにないパルス幅のレーザーが出来るということでございます。
最終的な狙いは、こんな感じで、ロボットに持たせて直接加工ができないかというような構想を立てたものです。
光ファイバーを使っていろいろな加工とかをしたいと皆さん思うと思うんですけれども、パルスレーザーの場合、どうしてもファイバーの損傷というのが大きな問題になります。なかなかハイパワーのレーザーは光ファイバーで送ることができないと。一方、ミラーを使っても3次元的な加工は難しいですし、ミラーも大きくなるということで、何とかこれを光ファイバーの損傷を避けるような形でパルスレーザーが使えないかということで、最終的にはこういったようなものを作りました。直径の小さいファイバーで少しずつこのレーザーを励起して、あるときQスイッチというゲインを変えてパルスを取り出すと、そういった構造のものでございます。
こういったものが出来ますと、複雑な伝送光学系が不要となりますし、パーツも減りますので、信頼性が向上して、コストが低減できると考えています。
こちらが作ったレーザーで、デモンストレーションをしているところですけれども、3次元的な形状のものに沿わせてレーザーを動かすことができます。従来であれば普通材料の方が動くわけでございますけれども、例えばインフラの保守とかを考えると、レーザーを動かさざるを得ないわけでございますけれども、こういったことができるようになってきたということでございます。
それを実現したキー技術は接合技術になると思っています。今まで酸化物同士の接合ってなかなかできなかったんですけれども、分子研でこういった接合装置を作ってもらいまして、酸化物同士の原子レベルの接合ができるようになってまいりました。
プロセスは、ここに書いてございますけれども、真空中で表面にアルゴン原子ビームを当てて不純物をとって、ダングリングボンドを作って、その後押し当てて接合するということで、温度を上げる必要がないということで、熱膨張率の違うものも接合できるようになりました。
そういうことで、ネオジウムYAGですとかイッテルビウムYAGといったレーザー媒質、それから冷却基盤、例えばサファイアですとかダイアモンドとか、そういう異種材料も、格子間隔の違うものも接合できるようになっています。
更に、こちらの接合したのを見ていただきますと、色が付いていますけれども、光学コーティングした材料も接合できるようになっていまして、屈折率の違う材料を接合しますと接合面で反射が起きてエネルギーをロスしますけれども、それも防げるような技術が開発できました。
世の中でよく使われていますファイバーレーザー、ディスクレーザーと比べてみますと、こんな感じかと思っています。ファイバーレーザーの方は長くてゲインがありますので、CWの連続波の非常に強いレーザーを作ることができまして、溶接とか切断に広く使われています。
一方、レーザーの出るところが細いので、ピークパワーの高いものは使えないといいますか、出せないということになります。
一方、研究現場でよく使われていますディスクレーザーですが、これは面積の大きいディスクを使うので高いピークパワーがとれるんですけれども、レーザーが出る方向のゲインが小さいので、何度も励起する必要があって構造が非常に複雑だということでございます。
そこで、金属で冷却している基盤を透明材料に置き換えてしまって冷却してやると、このようにスタックすることができて、いわば多層にしたディスクレーザーができることになります。こうすることによって、軸方向、即ちレーザーの出る方向のゲインを高くすることができます。
こうすることによって、ディスクレーザーで問題であった、レーザーの出る方向と垂直な方向のゲインが高くて寄生発振が起きてしまうという問題も防ぐことができます。また、励起系も、後ろから励起できますので、非常に簡単になるということで、いわばまだ開発段階ではありますけれども、この2つのレーザーのいいとこどりをしたようなレーザーが出来たんじゃないかなと思っています。ただ、まだレーザーの出力自身は小さいです。
レーザーの単位体積当たりのパルスエネルギーにレーザーの繰り返しをかけた指標、即ち出力密度というような指標で見てみますと、今度作ったレーザーはこのあたりにありまして、世界中のパルスレーザーと比較してみましても、かなり小型で高出力なものが得られています。ただ、まだパルスエネルギーは20ミリジュール程度です。ほかのレーザーが数ジュール、数十ジュール、あるいは100ジュールとか言っているのに対して、エネルギーが非常に小さいので、これから大出力化をしていく必要があると思っています。それは、分子研の平等先生が今理研に移られて、未来社会創造事業で取り組んでいるところでございます。
1つ応用例を御説明いたしますと、これはユニタックさんという20人ぐらいの規模の小さな会社の提案なんですけれども、皮膚のあざとり、シミとりでございます。これは美容とかでかなりニーズがあるということで、装置の市場として年間50億円ぐらいと聞いています。
これは、サブナノ秒のレーザーとすることによって、従来のナノ秒のレーザーと比べて皮膚に与えるエネルギーが減りますので、皮膚の負担が小さくダメージが少ないという、そういう利点があると言われています。
また、こういった非常に小さいレーザーを先端のアクチュエーターのところに入れてしまうことによって、非常にコンパクトな使いやすいあざとり装置が出来ると期待をしております。
医療関係の装置ですので、まだ実用化には至っていないんですが、実用化に向けてユニタックさんが研究開発を進めているところです。
一方これは、私がやってきた技術をちょっと書いたものなんですけれども、右にレーザーピーニングという技術が書いてございます。これ、20年ぐらい前に原子炉に適用した技術なんですけれども、当時は、大きなパルスレーザーしかなくて、パルスレーザーをコンテナに入れて空調等でコントロールしながら、そのレーザーをパイプで約50メートル送って、50メートル先の水の中で冷却されている原子炉にレーザーパルスを照射して、応力を腐食割れを防ぐという技術でございます。
50メートル先で0.1ミリの精度で打っていくというのは非常に難しくて、非常に複雑な制御系が必要になります。この制御系がないと、このようにセンチ単位で揺れてしまうようなレーザービームを制御系でぴったり制御しながら打っていくと、そういう技術が必要だったということです。
更に言えば、パルスレーザーを光ファイバーで送ることができなくて、リジッドなパイプを使ってレーザーピーニングを行っていました。3次元的な構造物への適用が難しいので、その後、光ファイバー伝送も適用したんですが、やはりファイバーの端面の損傷があって、なかなか一般の産業には広がっていかなかったという経緯がございます。
そこで、今回の小型レーザー、バッテリーでも駆動できますので、それを使いますと、次のページにあるようなこういったインフラの保守、原子炉に限らず、例えば橋梁等の保守にも使えるようになってくるんだろうなと思っています。レーザーピーニング、あるいはレーザー超音波、そういった技術をドローン等と組合わせて使うことによってインフラの保守が非常に容易にできるようになってくるんだろうと思っています。
さて、ここからコンソーシアムのお話を少しさせていただきたいと思います。コンソーシアムの狙いは、分子研の優れたシーズをコンソーシアム会員の企業のニーズ、それから、技術、経験知に基づいて組織的に展開したいと思っています。やることは、普段言っていることと同じなんですけれども、やはり単に情報交換、情報提供するだけではなくて、ワーキンググループみたいな密に議論する場を作って、共同研究や知財ライセンスも含めたクローズな検討もできるような場を提供していきたいと思っています。
最も重要なのが人材の育成かなと思っていまして、我々、分子研、今までも社会人の受入・再教育というのをやっておりましたけれども、このコンソーシアムも使って更にこういったところを充実させて、それを基に企業も含めた人材の流動化みたいなことが促進できないかなと思っております。
1つだけうまくいった例といいますか、まだこれはコンソーシアムが出来たばかりですので、ImPACTの成果になるわけなんですけれども、眼科手術装置の開発について御説明したいと思います。これはニデックさんという、上場はしていない会社ですけれども、の開発になります。世界の3分の1ぐらいの市場をこちらの眼科手術装置で押さえているんですが、緑内障とか、後発白内障のレーザー治療装置です。
従来はフラッシュランプ励起のパルスレーザーがこの手術装置の中に入っていまして、それを使って手術をしています。その場合、どうしてもパルスの繰り返しが低い、あるいは、レーザー発振が安定しないというデメリットがございました。それを今回、分子研、それからニデックで開発したレーザーに置き換えることによって非常に安定した発振ができるようになりました。それは、従来のレーザーは共振器が長いので、その中で幾つもモードが立って、モードの重ね合わせでこういうパルス波形になってしまいます。それがパルスごとに異なってしまいますので、横軸にパルスエネルギーをとって、縦軸にプラズマが発生する確率をとりますと、このようなブロードな分布になります。そのプラズマというのは、後発白内障が生じたときに、この眼内レンズの後ろの濁った部分をプラズマで壊して再手術をするわけなんですけれども、その発生閾値が幾つになっているかというのが非常に重要でして、従来ですと5ミリジュールぐらい必要で、目にそれだけ負担がかかるわけですけれども、新しく開発したレーザーですと1ミリジュールぐらいで済みそうだということで、潜在的なダメージの可能性がかなり低くなると思っています。
それから、冷却が促進されることによってレーザーパルスの繰り返しも上がり、手術時間も減るので、医師ですとか患者の負担も軽減できるということです。
ここにブルーで書いてあるところはお手元の資料に入っていないんですが、3、4年後ぐらいには今売っている1,200台をこちらの新しいレーザーを使ったもので置き換えるという計画になっています。
これは分子研のシーズとニデックさんのニーズがうまく合致した例なんですけれども、必ずしもそれだけではなくて、やはりニデックさんの高い技術、経験知、それから人材というものが非常に大きかったと思っています。ニーズだけですと、言い方は悪いんですが、評論家でも言えるわけなんですけれども、そうではなくて、きっちりした技術を持っている、それから人材も備えた企業と組むことによって良い成果が得られたんだろうと考えています。こういった取組をコンソーシアムで組織的に展開できないかなと思っているところです。
コンソーシアムの構成は今このようになっていまして、分子研の中に社会連携研究部門という部門とコンソーシアムを4月1日付で作っていただきました。分子研の1つの部門ですので、リソースが非常に小さいので、皆様と協力しながら、連携しながらいろいろな取組を行っていきたいと思っています。
例えば分子研は現在はパルスレーザーしか開発しておりませんので、溶接に興味がある産業界の方とはこういったところのほかの機関と連携して対応していきたいと考えているところです。
コンソーシアムの発足式を6月19日に行いまして、量研室からも御挨拶を頂いたところです。
会員構成なんですが、現在、18社、会員になっていただいております。かなりバラエティーに富んだところが入っておりまして、特徴としましては、学術と豊富な経験値を併せることによって新しい展開につなげられないかなということでございます。ここに書いてございますが、多様な会員に入っていただいております。今も入会したいという企業がございまして、年末には20社を超えると考えています。
先ほどもちょっと申し上げましたけれども、会員サービスのところで、特に、ここの社会人の教育、再教育あたりは充実してやっていきたいと思っています。
活動のイメージなんですけれども、従来のコンソーシアムは恐らく交流会あたりまではかなり皆さんきちっとやられていると思うんですけれども、その先になかなかいかないというのもあるかと思います。我々としましては、分子研のシーズに基づいた、シーズを展開するような活動と、それから、会員の皆様のニーズですね、例えばレーザー加工をどのように展開していくかという、その2本立てで具体的な検討を行っていきたいと思っています。
例えばここにちょっと書いてございますけれども、分子研のシーズですと、常温接合ですとか、小さなレーザーのシステム技術、パルス幅可変レーザーですとか、波長変換、テラヘルツ発生等がございます。それから、セラミックスレーザー媒質技術、こういったものに興味のある少人数のグループを作って密な検討を行いたいと思っています。
一方、ニーズ側の方ですと、レーザー加工ですとか、計測、セキュリティとか、いろいろあるかと思います。ただ、それを進めていくにはやはり時間がかかると思っておりまして、信頼関係を構築してお互いの情報開示なりが必要になってまいります。
また、特に、ImPACTでも感じたんですけれども、1対1の開発ですと成果が限られると思っています。例えばレーザーを作る企業と分子研が協力していいものをつくってもなかなか応用につながらないということで、応用をやる会社に入っていただいて、マルチラテラルな関係で開発を進めていくようなことが重要かなと思っています。
こういった形で、今、レーザー施設、実験室、ユーザーに使っていただく施設が整備されておりまして、サブナノ秒のかなり高出力のパルスレーザーを皆様に使っていただけるような環境が整っております。もし御希望がありましたら、是非ともご連絡いただければと思っております。
最後に、今後の展開ということでお話をしたいと思います。プラットフォーム化というのは非常に重要だと思っておりまして、ネットワーク化を進めるには重要だと考えています。
きょう、後ほど関西研からもお話がありますけれども、大規模な装置、中規模な装置というのは、恐らくある程度把握ができていて、何をやっていけばいいかというのは議論の場に乗ると思っています。ただ、小規模なものになりますと、いろんなところが、各々独立に目的も違って持っているということで、ここら辺を何とか組織化できないかなと思っておりまして、それをまず、中部地域といいますか、分子研のある周りから、一遍に大きくはできないので、そのあたりから少しずつ進めていきたいと思っています。
レーザー単体の展開につきましては、産業展開という意味では、今あるレーザーを更に使いやすくするというものがございます。
もう一方で、最先端の科学にもコントリビューションしたいと思っておりまして、これは分子研の平等先生が理研に去年移っていまして、理研の中で高出力化、アレイ化をするようなことを考えていらっしゃいます。モローさんとかが昔考えたICANみたいな、1万本のファイバーレーザーを寄せ集めてハイパワーのレーザーを作るんだという話がございましたけれども、そうではなくて、この場合には、固体レーザーのアレイ化をやっていきたいと思っています。それを作ることによって、1つのモジュールは低価格に出来るんじゃないかなと思っておりまして、その1個1個を産業展開していくようなことを考えております。
一方、やり方なんですけれども、我々、少し特徴がありまして、ここに「金」と書いてございますけれども、岡崎信用金庫、あるいは岡崎商工会議所等が今メンバーに入っていただいております。ここをうまくキーにして、市場調査、それから市場の開拓も含めて、あるいは企業さんのキャッシュフロー改善も含めて一緒にやっていけないかなと思っています。
こういったことをやっていく上で一番感じておりますのは人材不足とその低い流動性かなと思っておりまして、企業も含めて、研究員ですとか、PMみたいな人材、URA、知財、ここら辺は決定的に不足しているんじゃないかなというのが私の最近感じていることでございます。
どうしたらいいかというのは、特効薬はないんですけれども、やっぱり最先端の科学の魅力を皆様に見せていくこと、それから、強い産業を作っていくことというのが重要かなと思っています。
その意味で、もし国の支援が頂けるのであれば、最先端科学に手厚くしていただく。それのトリクルダウン効果みたいなもので底辺の拡大、レベルアップが図れればいいんじゃないかなというのが、ひとつ、私、思っております。
それから、1つ重要なのは、やり方として、分野や組織の枠を超えた協業みたいなのは重要だろうなと思っています。
それから、分野としては、日本が強くて、産業人口も多い素材・材料・プロセス・加工などは非常に重要な取組の対象かなと思っております。
こういったことを進める上で、やはり量子ビーム施設ですね、放射光、中性子、ミュオンも含めた中性子、それから、レーザーなどの研究基盤の計画的な整備というのは非常に重要かなと私は思っております。
時間はまだありますでしょうか。
【對崎補佐】 予鈴が先ほど鳴ったところでございます。
【佐野委員】 ちょっとだけ、分野、組織を超えた協業について補足したいと思います。最近、分子研の平等先生が理研に移られて、今、理研と分子研で協力して、分子研の波長変換技術、これを使ってテラヘルツ加速なりができないかという検討をされています。
いきなりテラヘルツ加速ではなくて、まずは電子バンチの観察みたいなことができないかということで、RFディフレクターで今10フェムト秒ぐらいの電子ビームの構造が見れるわけですけれども、それをテラヘルツにすることによって、波長を短くすることによってフェムト秒を切るような時間分解能で例えばSACLAの電子ビームの電子構造が見れないかみたいなことを検討されています。
既にKEKではこういった空洞、テラヘルツ加速空洞を作っておりまして、こういったものを使って、先ほどのディフレクター、あるいはテラヘルツ、強いものが出来ますと、テラヘルツを使ってバンチ圧縮もできるようなことになると考えています。
また、分子研ではDESYともいろいろ共同研究をやっていまして、DESY側ではこういったテラヘルツ加速、まだエネルギーも電流も非常に少ないですけれども、できるということを既に実証しております。
また、こちらは、阪大の産研の例なんですけれども、従来のコンベンショナルなテラヘルツのFEL等を使って、こういった新しい、新しいといいますか、こういった取組も産業界にとっては重要かなと思っております。テラヘルツ、面白いと思います。今後、分野、組織を超えた協業をやっていくに当たって1つの例として挙げさせていただきました。
以上でございます。
【小杉主査】 ありがとうございました。佐野委員の御説明について、御質問、御意見等ありましたらお願いいたします。10分程度時間があると思いますが、いかがでしょうか。
【雨宮主査代理】 ナノをサブナノセカンドにすると、一部の治療効果が非常に上がるという話があったんですが、今一般的にレーザー加工でパルス幅をどうすると何が変わるかって、いろいろ学理が探求されていますが、皮膚に応用する分野では、ナノ秒よりもサブナノの方が効果が高いというデータの積み重ねがあるということなんですか。
【佐野委員】 そこら辺は、私が見る限りは、よく分かっていないと思います。経験でそういうふうに言っているのかなと思っています。実際にやっている方と話をしても、やっぱりちょっと分野が違うという感じがあって、フルエンスで議論をするとか、そういったことが上手くできないような状況です。
【雨宮主査代理】 そうですか。
【佐野委員】 印象としては、確かに効果が違うなと。ただ、きっちりと学理があってそう言っているというのではないように思います。
【雨宮主査代理】 経験的にはナノセカンドがサブナノセカンドになれば効果が高いと。そのときにはパルス当たりのパワーが減っても構わないんですか。
【佐野委員】 そうですね。同じパルス当たりのエネルギーであれば、ピークが高くなりますので、効果が出そうだというのは容易に想像できますよね。ただそれがピークが同じだったらどうかというところまでははっきり分かっていないと思います。ただ、同じピークで同じような効果が出るのであれば、当然エネルギーが減らせると。それは先ほどの目の……。
【雨宮主査代理】 目の場合にはそういうことですね。そうすると、別にパルスエネルギーを増やさなくても大丈夫なわけですね、この分野では。
【佐野委員】 そうですね。はい。
【雨宮主査代理】 はい、分かりました。
【田中委員】 どうもありがとうございました。短期間に幾つかの成果が出て、アドバルーンが上がっているという話で、ニデックさんでしたか、その例とか、すばらしいなと思い聞いていました。あるニーズがあって、そこに向けて一緒に開発していくというのは分かりやすいんですけれども、先ほどレーザー業界を取り巻く、多数の企業にわたるような大きな開発課題を組織的にやっていきたいというお話がありました。そういう方向に向かうと効率的かとは思いますが、それに関する具体的な、例えば3つほどこういう大きな問題があり、その解決に向け具体的にどうしているのか、その辺はどの程度進んでいるのでしょうか。
【佐野委員】 私の御説明が悪かったかもしれないんですが、全員で1つのことをやろうというイメージではなくて、恐らくは皆さん価値観も違いますし、生きている産業も違うので、例えば今18社の中で、小さなグループ分けをして、その中で本当に必要な人が集まって議論をしようという取組をやりたいと。
【田中委員】 いや、分かりますけれども、要するに、それぞれ個別のメーカーなので、最終的には各メーカーがマーケットで個別に利益を上げることになりますよね。開発は競争ですが、開発のある部分は一緒にできるところがあって、その外側に、別々の視点からいろんなものを付加して違うディレクションに進んで行く、そういう話がもちろん放射光の産学協力のところにもあるわけです。その辺がレーザー業界としては具体的にどこまで進んでいるのか、やりたいとはおっしゃっていたけれども、プレゼンテーションでそれが分からなかったので、その辺はどうなっているんですか。
【佐野委員】 現状、恐らくほとんど進んでいないと思います。どうでしょうか。
【河内所長】 私も同じ意見です。
【佐野委員】 阪部先生、何か御意見ありますか。
【阪部委員】 いや。
【佐野委員】 多分レーザー業界、進んでいないです。
【小杉主査】 海外では進んでいるとか、国際比較はどうですか。
【佐野委員】 海外の方が、国研とかがイニシアティブをとってやっているところが多いです。そういうふうに思っています。例えばドイツの例がいつもいいかどうか分からないんですけれども、ドイツはフラウンフォーファーがかなり強力に産業界をまとめて推進をしているという印象がございます。
【小杉主査】 そういうのが日本にはないというところが1つの問題だと。
【佐野委員】 そうですね。はい、そういうふうに感じています。
【小杉主査】 ほかに何かございますでしょうか。
【伊地知委員】 今、田中委員が御質問になったようなこと、もしあるのだとすれば、例えば制度的に技術研究組合を作っていくことを目指すであるとか、あるいは、せっかくこういうものがあるのだとすれば、企業側に対して、公的研究機関との共同研究を支えるような研究開発優遇税制とかがあるので、そういったところを御案内して、そういった企業側の巻き込みを図っていくだとか、いろいろ制度的なところはあるかと思いますので、そういったところも御検討されるといいのかなというふうに、お話を伺っていて思いました。
【佐野委員】 私の印象だけで申し上げますと、個々の技術になりますと、かなり使うレーザーも違っていて、パワーも違っていて、ということで、共通の取組ってかなり難しいと思っています。材料も違ってですね。むしろ、この後、河内先生からお話があるかと思うんですが、ハイパワーのサイエンスを目指す方はかなりそういった取組がしやすいんじゃないかなと私は個人的には思っているので、恐らく河内先生のプレゼンの後に議論した方がいいのかもしれません。
【小杉主査】 じゃあ、そろそろ時間的に次に移らないといけませんので、今の御議論を続いてやっていただくということで、移りたいと思います。
じゃあ、続きまして、QSTの関西光科学研究所、河内所長より20分程度でお願いいたします。
【河内所長】 量研、関西研の河内と申します。よろしくお願いいたします。座ったまま説明させていただきます。
今日は、関西光科学研究所、特にレーザーをやっているのは木津地区の方なので、そちらの概要説明をさせていただきます。
まず今日の話ですけれども、関西研のロケーションといったところを簡単に説明した後に、2番目といたしまして、施設ですね、先ほど佐野先生からありましたように、ハイパワーレーザーを何台か持っておりますので、その施設の説明を行い、そして、3つ目に最近の研究成果の例として幾つか御紹介します。あと、4番目に、国内外の研究機関と大学とか企業との連携状況について触れた後に、余り得意な部分ではないのですけど、施設共用の状況と、それから、最後に人材育成の取組という形で説明させていただきます。
まず、関西光科学研究所ですけれども、研発法人の量研の光科学、特にレーザーに関する研究を担当している研究拠点でございます。
関西研の研究サイトには2つございまして、1つは、京都府の南にあります木津地区と、それから、理研のSPring-8の敷地内に持っております播磨地区と、この2つでやっております。きょうはレーザーの話ということなので、京都の南の木津地区の方の話をさせていただきます。
これは研究所の写真でして、ほとんど奈良との県境でございまして、この施設が出来ましたのは約20年前、平成11年になります。職員としては研究員が60名というぐらいの所帯の研究所であります。
この関西研木津地区の研究開発ですけれども、一番大事なポイントというのが一番下の光量子基盤技術になります。ここの部分の高ピークパワーのレーザー技術であるとか、極短パルスレーザー技術であるとか、それから、計算機科学もここに入れていますけれども、こういった基盤技術で国際的な競争力を持つことが非常に大事です。ここで技術が陳腐化してしまいますと、途端にレーザーの分野での国際競争力が一気に落ちるところまで落ちてしまうことになってしまいます。
この技術をベースに、ハイピークパワーレーザーに関しましては、レーザー駆動の2次放射線発生、学術的には高強度場科学とか高エネルギー密度科学といった分野で、高エネルギーイオンを発生させたり、X線を発生させたり、γ線を発生させたりと、そういった研究を行なっています。
また、もう一つの研究の柱は、物質科学や生命科学に資するプローブ技術開発です。レーザーの極短パルス性を使ったプローブの開発をやっています。これは学術的にはアト秒科学というくくりになると思います。
あとは、これらの研究開発の中で社会実装できそうなものが出てきた場合には、積極的に産業応用とか医療応用もやっております。このように3本柱プラス1ぐらいの形で研究をやらせていただいております。
木津地区のレーザーですけれども、メインとなりますレーザーはJ-KARENという名前の、高強度のチタンサファイヤレーザーです。このレーザーの長所は、10の22乗ワット/平方センチメートルという、実用では世界トップクラスの集光強度を出せる点でありまして、このレーザーがメイン装置になります。
あとは、QUADRA-Tという高繰り返しのLD励起のセラミックレーザーです。このレーザーは、1キロヘルツぐらいでレーザーパルスを出力できるレーザーで、これはどちらかというと極短パルスの高次高調波を使ったアト秒発生などに現在使っております。あとは、テラヘルツの発生にも使うようなレーザーでございます。
上に示されておりますプラズマ軟X線レーザーは、少し前までは関西研の看板だったんですけれども、この実験室に新たにレーザーイオン加速器を作るということで昨年度シャットダウンして、今現在新しいレーザー装置を入れ始めているという状況であります。
J-KARENというのは、ペタワットレーザーというレーザーのカテゴリーに入ります。資料の世界地図はICUIL、インターナショナル・コミッティ・オブ・ウルトラ・インテンス・レーザーという、ハイピークパワーレーザーのコミュニティが作った表です。世界各国に10テラワット以上のレーザーがこんなにたくさんあるということを示したものです。
その中の幾つかは、10テラワットよりも2桁、3桁高い出力を出せるペタワットクラスと言われているレーザーでして、現在、かなり高いアクティビティで動いているものとしましては、我々のJ-KARENレーザーを含めて幾つかございます。これはフェムト秒レーザーというくくりなので、例えば日本で言いますと、大阪大学のLFEXというペタワットクラスのレーザーがありますが、ピコ秒レーザーということでここには入れておりません。
また、ほかにも今現在建設中であるとか、それから、稼働して間もないものを含めると、多分30近く、ペタワットという名前を名乗っているレーザーがございます。非常に建設とか利用に関しては競争の激しい分野になっていると実感しております。
我々のレーザーの強み、すなわちJ-KARENの持っている強みですけれども、出力的には、ペタワットというのはすでに30ぐらい施設がございます。その中でも特に我々の装置が凝っているところ、力を入れているところがレーザーのビームのクオリティであります。波面補償技術を使うことによって、非常にフォーカスビリティが上がっています。J-KARENくらいの規模のレーザーになりますと、ビーム径が25センチ程度になりますので、レーザーといいましても、普通は波面がそろっていません。ですから、いかに波面をそろえて、パラボラミラーでレーザー光を絞ったときに1点に集められるかが非常に大事な技術になります。その部分で結構我々は頑張っておりまして、このクラスでは、ほぼ、多分唯一と言っていいと思うのですが、1.4ミクロンぐらいの領域に約60%のエネルギーを集光する性能を持っています。
もう一つの力を入れている部分はパルスのコントラストです。このぐらいに非常に強いピーク強度を持つレーザーですと、仮にプレパルスが存在しますと、例えば物理の実験をやるときに、プレパルスが通常のレーザーより強くなる可能性があります。それが照射する標的を壊してしまいメインパルスが来たときには何もないということになります。従って、コントラストを非常に上げる必要があります。我々のところでは、2017年の結果になりますが、メインパルスの時間的に大体200ピコ秒くらい前のところで12桁ぐらいのコントラストを出しています。ただ、これでもまだ凝った実験をやるときには足りていない印象がございます。こういった部分が我々の強みになります。
先ほど佐野先生のときの議論でもありましたように、日本の持っているレーザー技術で、この手のレーザー技術というのは、最先端の技術ではあるのですけれども、このような最先端のレーザー装置でさえ、装置全体の大元の首根っこを押さえている技術というのは実は励起光源として使用するYAGレーザーでございます。YAGレーザー自体は古くからある技術です。資料の写真にありますようにこのレーザー装置のこれらの四角い箱は全部YAGレーザーであります。このYAGレーザーの供給に関しましては、今フランスの独壇場になっています。90年代終わりぐらいからフランスが国を挙げて高繰り返しのYAGレーザーの開発をやりまして、パルスレーザーに関しましてはフランスがイニシアティブをとっています。 同時に、加工用の連続発振のファイバーレーザーも広く使われておりますが、これについてはドイツが非常に強くなっています。
ですから、J-KAREN のような最先端のレーザーを作りたいというときに、波面補償とかコントラストを上げるという最先端の技術を仮に開発したとしても、フランス製の励起光源が無いと成立しないという問題があります。ですから、日本としても、YAGレーザーの次になる励起光源が何になるかをまじめに考えて、それをどうするかという議論をきっちりと行い、行動に移せば、もしかしたら次の世代、10年後に日本がこの分野でイニシアティブをとれるかもしれないという印象を持っています。
このハイピークパワーレーザーでどんなことができるかということを説明します。レーザーをターゲットに照射したときに、レーザーを照射した領域に高圧が発生します。更に軽い電子が前方に吹き飛ぶのですが、その際に非常に強い電流が流れるので、磁場が発生します。磁場が発生した後に、飛び出した電子と残ったイオンとの間のチャージのセパレーションが生じますので電場が発生します。例えば10の22乗ワット/平方センチメートルというレーザーの集光強度で、それらがどのぐらいの値になるかといいますと、発生する高圧は、その瞬間は3,000億気圧ぐらい。それから、電場は100テラボルト/メートル、磁場は100万テスラなどの極限状態が出来ます。
ですから、こういった極限状態での物性研究であるとか、宇宙空間で起こるような現象を実験室で模擬する実験室宇宙物理のような研究が学術的な応用になっています。これらの研究に関しては特に大学等と共同研究を積極的にやるようにしております。一方で、我々としましては、電子が飛び出すこととか、チャージセパレーションでイオンを引き出すなどの、電子加速、イオン加速や、その際に同時に発生するX線、γ線、テラヘルツ、更にはイオン加速で出てきたイオンビームを使ったミュオンとか陽電子とか中性子とか、こういったレーザー駆動の二次放射線、つまり、点源からの短パルス光源、放射線源、更にはそれらをうまく制御することによる小型加速器としての可能性、こういったものを我々の研究開発の中心に据えております。
最近の幾つかの成果について紹介します。イオン加速に関しましては、先ほど100テラボルト/メートルぐらいの電場ができると申しましたが、実際に測った例はございませんでした。そこで、我々が銀イオンを使いまして、銀がこの電場でフィールドイオン化をして銀の40プラスのイオンまで生成することを観測しました。これから逆算して、50テラボルト/メートル以上の電場がちゃんと生成しているというのを検証した例でございます。
また、X線発生に関しましては、原子からの高次高超波というのがもっと低いレーザー強度であるのですが、強いレーザー電場を使いますと、プラズマ中の電子の集団を強く振動することができまして、プラズマからの高次高調波が発生します。そういったものも実験的に観測しておりまして、いわゆるアト秒パルス発生でも成果が出ています。
今、イオン加速の例を紹介しましたが、イオン加速に関しましては、量研自体が1つの大きなテーマとして量子メス実現というテーマを掲げております。先ほど局長からもお話がありましたが、量研の放医研にHIMACという重粒子線がん治療装置がございます。年間1,000人ぐらいの方が手術を受けておられるのですが、大きさが100メートルを超える大型装置のために運用コストが非常に高く、これが重粒子線がん治療を広く一般に普及させる妨げになっているという考えがあります。そこで量研の持っております加速器技術とか超伝導技術、レーザー技術を集めまして、一気に10メートル×20メートルぐらいの小型加速器を実現しようというプロジェクトを進めております。
量子メスのメインの加速器は超伝導のシンクロトロンなのですが、直径7メートルのシンクロトロンの中に収まるぐらいのレーザー加速によるイオン源、つまりイオンインジェクターを作るというのが我々に課せられている機構内でのミッションになっております。
現在、未来社会創造事業の予算を頂いておりますので、これを活用させていただきレーザーインジェクターの部分を現在頑張って開発させていただいております。
あと、アト秒科学のところでも、例えば超高速計測でレーザーを照射したときの分子中の電子軌道の変形の観測や、Q-LEAP関係でアト秒科学や近接場光学等の光実験を丸ごとシミュレーションするような第一原理計算のコード等も筑波大学さんと共同で開発させていただいております。
また、産業応用と医療応用の例として1つずつ挙げさせてもらいます。1つは、ハイパワーレーザーを使ったトンネルの検査技術です。通常ハンマーでコンクリートを叩いて、その時の音を耳で聞いて内部の状態を判断するというやり方でやっていますが、レーザーで叩いて壁を揺らして、違うレーザーでその振動解析をする方法です。耳で聞いたデータをちゃんと数値化してデータとして残すということも可能な高速探傷技術になります。
医療応用の例としては、波長変換技術を使って、中赤外領域のマイクロチップレーザーの開発と、それを用いた採血不要の小型の血糖値センサー等の開発もしております。この2つに関しましては、一昨年と今年、ベンチャーを立ち上げまして、本格的に社会実装のフェーズに今行っているというところであります。
次に国内外との連携状況ですけれども、国内では多数の大学とは共同研究レベルでいろいろなものでやっております。企業とは、そんなにたくさんではないのですけれども、資料に挙げさせていただいている企業殿、2つはうちのベンチャーになりますが、と連携させていただいています。
また、海外機関との連携といたしましては、欧州の方にフェムト秒のペタワットクラスのレーザーが多いために、欧州の研究機関との連携が結構密になっています。これには、マシンタイムの制約という問題がありまして、双方でマシンタイムを使い合うというのが、向こうにもこちらにもメリットがあるということから、こういう形になっています。
また、国内においてペタワットレーザーを持っている阪大レーザー研と理研の播磨とは、我々も加えて3機関で国内連携をやっております。
今年の1月に文科省と米国エネルギー省の間で高エネルギー密度科学に関する日米事業協力がスタートしております。これを追い風にしまして、現在、米国のLLNL、ロチェスター大学、SLACとの連携を始めようとしているところであります。
また、アジアに関しましては、アジア高強度レーザーネットワークというコミュニティがございまして、その中に入っている韓国の光州科学院とも共同研究の覚書を締結しております。
国内外との研究機関と連携すると、やっぱり安全保障輸出管理という問題が出てまいります。基本は各研究員の使っているパソコン等がパスワードロックされており、誰も内部の情報に触れないようにすることなのですが、我々のところでは、それに加えて、各実験室のデータ保管専用端末について各課室において決められた人しかアクセスできないような管理をしたり、レーザーの設計図であるとか、アンプの製作図面とかは機微情報に当たりますので、こういったものに関しては専用の保管庫を用意して、アクセス権限を設けるなどの対応をしている状況であります。
施設共用の状況でありますけれども、これは非常に少ない状況です。これには理由があり、J-KARENがペタワットクラスにアップデートして本格的に動き始めたのはまだ2年前で、それまでの4年間、うちの研究員はほとんどレーザー装置のアップデートに専念したため実験ができなかった状況だったため、現在は、ほとんどが彼らの独自研究と国内外の研究機関との共同研究の実施が中心になっています。昨年度の割合でいいますと、全マシンタイムの5%以下ぐらいしか施設共用に割いておりません。
海外機関等からのお金払ってもいいから使いたいという希望も来ていますので、今後は少しずつ施設共用の割合を上げていき、最終的には20%ぐらいまで上げられればいいかなということは考えてはおります。
施設利用料金につきましては、J-KARENは1時間当たり施設公開型で3万円、非公開では8万円と、ちょっと割高になりますが、それでも一応何件か使っていただく方がおられまして、J-KARENの共用を開始後、2017年、18年と微々たるものですけれども、利用収入は上がっているという状況になっております。
最後のところ、人材育成の取組ですけれども、これは我々の取組というよりは、QST全体の取組でございます。QSTでは、大学生、大学院生の受入制度がございまして、来ていただいた学生さんに研究員の指導の下、大学の学部生の短期の体験から博士後期課程の研究までをカバーしております。我々は大学と違って学生さんを持てないので、こういう制度が学生さんに指導できる唯一のチャンスになります。
受け入れの学生にはカテゴリーが3つありまして、リサーチアシスタント、実習生、それからサマースクールになります。実習生の方の中で、特に希望を出された学生さんのうち、面接等の試験を受けてパスされた方についてはリサーチアシスタントとして年間80万か90万ぐらいの給与という形で奨学金のようなものをお渡しています。その代わり、常に研究所にいていただいて、研究を頑張ってもらうという制度でございます。ただ、予算に限りもありますので、関西研への割り当てられるのは1人か2人という状況であります。
実習生に関しましては、大体15人ぐらい来ていただいています。
研究所に来ていただいている学生さんは本当によく頑張っておりまして、例えばリサーチアシスタントの方の場合、今年の例だと、理論の研究で来られていたんですけれども、PRLに論文が通り、めでたく学位も取られたという例がございます。また、実習生の方も、応用物理学会とか日本物理学会でポスター賞等を受賞する例もございます。
また、大学生よりもっと低い年齢の方に関しましては、我々のところにきっづ光科学館ふぉとんという科学館がございます。小学生から中学生ぐらいが対象になりますが、量子科学技術に触れ合う場所を提供しています。実験教室であるとか工作教室なんかも我々の方でやっております。この科学館は非常に人気ありまして、場所は京都の南でけっして人口密集地ではないのですが、年間5万人ぐらいの来館者がございます。
また、高校生に関しましては、スーパーサイエンススクールの一環で、年間12回程度、近隣の高校からクラス単位で来ていただきまして、我々の方では講義形式で分かりやすく、この場合は、広く一般の科学ではなくて、少し専門性も加えたレーザーの応用について学んでいただいているという状況でございます。
非常に簡単ではありますけれども、以上になります。
【小杉主査】 どうもありがとうございました。それでは、河内所長の御説明について、質問、御意見等ございましたらお願いいたします。10分ちょっと時間がありますので、よろしくお願いします。
【田中委員】 理研の田中です。どうもありがとうございました。大変興味深いお話でした。1つ、ちょっと気になったというか、おやっと思ったことがあります。それは10ページですか、レーザーでマターを叩いて、電離させて、イオンか電子を加速するという、学術的にはすごく面白くて、先ほどPRLにも成果が出たという話でしたが、第5世代量子線がん治療装置の量子メスに、いきなりそれを適用する、しかも部分的にレーザー加速技術を入れるという点です。これは医学利用ですから、相当な確度で、再現性だとか、精度だとか、そういうものが必要になるわけです。こういう革新的なシステムを開発すると言うのはいいんだけれども、逆に言うと、どういうタイムスケジュールで実用化にもっていく計画なのか、その辺が余りにも唐突というか。
【河内所長】 そうですね。もう1枚、2枚挟んだ方がよかったのかもしれないんですけれども、量子メスに関しましては、インジェクターのプロトタイプとして、核子あたり4メガ電子ボルトの6価の炭素イオンを立体角にして1ミリステラジアンに中に2秒間に10の9乗個発生させるという要求性能でございます。資料に全く書いていなくて申し訳ありませんでした。この要求性能に対して7年ぐらいで目処を付けることを目標にしております。我々のレーザー強度ですと核子あたり4メガ電子ボルトの6価の炭素イオンは簡単に出ます。逆にもっと高いエネルギーが出過ぎているので、4メガ電子ボルトにイオンの発生量のピークが出るようなオペレーションをどうするかというのが問題になっています。
もう一つは、先ほどフランスのYAGレーザーの話がでましたが、現在、YAGレーザーの繰り返しは、大体1ヘルツから10ヘルツぐらいまでがありますが、何とか100ヘルツぐらいのYAGレーザーが出来ればいいかなと思っております。例えば、レーザーの安定性の観点から、繰り返しが1ヘルツとか、今、J-KARENは0.1ヘルツなのですが、ですと、制御の有効なフィードバックがかけにくいという問題があります。繰り返しを100ヘルツくらいまで上げることによってフィードバック制御をかけやすくすることで時間平均で発生イオン量を安定化すること等が今後の研究開発の中身になっていくのではと考えています。
実際、トンネルの検査のところで出てきましたレーザーは、100ヘルツで動くレーザーでございます。あのレーザーはLD励起方式のレーザーではなく、フラッシュランプ励起方式なのですが、現状の延長線でいくのであれば、このYAGレーザーを用いてイオンインジェクターの高繰り返し化を進めていくことになると思います。
【田中委員】 それはチタニウムホイールに当てるんですか。
【河内所長】 説明時にお見せした図は一例であり、実際は様々な材料のターゲットを用います。炭素線の発生の場合には理想的にはピュアカーボンを用います。
【田中委員】 そのときに、ターゲットはどのぐらいもつんですか。
【河内所長】 一発で穴が空きますけれども、大体数十ミクロンぐらいの穴。
【田中委員】 それでは、毎回、毎ショット、毎ショット替えるということですか。
【河内所長】 毎回レーザー照射する場所を変えていきます。あと、問題は、ピュアカーボンと言いましたけれども、実際はピュアカーボンの用意は非常に難しくて、これも現在の研究開発課題になります。例えば医療用の加速器の実現を考えた場合、8価の酸素イオンと6価の炭素イオンはQ/Mが同じなので、分離できない問題があります。ですから、炭素ターゲットを開発する際も酸素の混入は1%以下という要求性能が出ています。そういったところも研究開発をしているところであります。
【田中委員】 ターゲットをある期間、連続的に使えるようにするようなシステムとか、様々なものを開発しなければいけないわけですよね。
【河内所長】 そうです。おっしゃるとおりです。
【田中委員】 学術であれば、そういう現象を観測したということで論文を書ける。けれども、実際システムを作ろうとすると、無数の要素技術を開発し、つなぎ合わせてシステム化するということだから、相当大変だと思いますが、それを7年でやると。
【河内所長】 7年ぐらいで。まずは、先ほど酸素の混入をどのぐらい防ぐかというのは置いておいて、超伝導シンクロトロンの方からの要求の立体角に単位時間当たりイオンを入れるというところまでは是非やりたいなと思っています。
【田中委員】 分かりました。ありがとうございました。
【小杉主査】 ほかにございますか。
【阪部委員】 現在、J-KARENのマシンタイムというのは何時間ぐらいなんですか。実際照射実験できるマシンタイムというのは。
【河内所長】 これも今年からちょっと見直しをしまして、朝早く立ち上げて、運転員の方達にはお昼休憩も2交替制にしていただくことで調整時間を効率化することで、大体昼の12時ぐらいからはレーザーのショットができる状況です。運転終了時間は5時半が基本ですので、1日のショット時間は最低5時間から6時間になります。もちろんユーザーさんの御希望によっては、常時ではないですが7時まで運転する日もあるというような状況です。
【阪部委員】 話にもありましたけれども、J-KARENのいいところというのは、励起レーザーはフランス製のものかもしれないですが、システムとしては日本国内で構築していったというところがあると思うんですね。欧州とか、ほかのところもあるんですけれども、多くはフランス製のものを購入したりとか。
【河内所長】 海外の研究機関によってはメーカーから買っただけというところもあるようです。
【阪部委員】 そういうことを考えると、やっぱり加速器は日本の大手の重電メーカーとか、そういうところはコントリビューションあるんですけれども、レーザーも、しっかり日本国内の企業ができるような体制にしていくという地盤を強化していかないといけないのかなと。華々しく世界中、いろいろなレーザーありますけれども、結局は海外のものによっているということで、やはりできたらメイドインジャパンでできるような、それは佐野先生がおっしゃったような、ああいうことも国内でどんどんやっていって、地力を付けていかないと、最終的には量子メスの安定なヨウスイについてもできていかないのかなと、そういうふうに思っているので、是非企業との連携ですね。今高強度でいうと浜松ホトニクスさんぐらいしか名前が出てこないので、量研さんを中心に企業の体制を強化していただいて。こういうことを言う場ではないかもしれないんですけれども。
【河内所長】 ありがとうございます。まさしくおっしゃるとおりです。ひと昔の日本には、NECや三菱電機、東芝とかにおいて、世界トップクラスの励起レーザー作っておられたんですけれども、今、ちょっとその辺がもう撤退されていますよね。
ただ、ペタワットレーザーのような学術用に特定の性能だけが尖ってる専用の製品として作るというニーズだと、多分企業ももたないと思うんです。なぜかというと数が出ないので。ですから、基盤になるような励起レーザー、YAGレーザーのような、学術にも産業にも利用できるような基盤的なものが、新世代のものとして実現し、しかもそれが日本発で出来れば国際競争力が出ると思います。
【阪部委員】 先ほどもちょっとありましたように、将来組合という形で企業連合で何かやるようなことを模索していかないと、例えば昔、ウラン濃縮をやったとき、レーザー濃縮組合というのが出来たときは、あれは電力メーカーを含め、東芝、三菱とか、そういうところが入って、鋼蒸気レーザーですね、色素レーザーを開発したわけですから、それぐらいの規模のことをやっていかないと世界の競争力は高まらないのかなと思っているので、是非QST様の主導的な立場で。
【河内所長】 我々も大学の先生と連携しながらそういう形になっていければいいなと思っておりますので。ありがとうございました。
【阪部委員】 あと、細かい話で、J-KAREN-Pという呼称はもうなくなったんですか。
【河内所長】 これは複雑な理由がございまして。我々、中長期計画に従って研究開発を進めておりますが、中長計においてはJ-KARENという名前で記載されております。ですから、ペタワットのPは通称で、今中長期計画期間中はJ-KARENで通す予定です。多分次期中期計画からはJ-KAREN-Pという名前になるのではと思っております。
【小杉主査】 ほかに。
【山田委員】 16ページの6-1の人材育成への取組ということで、ここでは主に現状をお話ししていただいたんですが、こういう大型施設を運営していく上で、人材の流動性云々、特にそういう組織を維持管理される方々の課題にどういうものがあるかをお話しいただけるならありがたいんですが。
【河内所長】 研究所の悪いところのひとつは、人の出入りがすごく乏しいというのがあります。大学のように学生さんがどんどんとれるわけでもない。それは1つあります。あと、研究員も、例えば大学なり企業なりに積極的に転出して、また新しい方が来るのが本当はベストだと思っています。つまり語弊を恐れず申しますと、一番旬な方がお金かけて作っている装置を使って、いい成果を出されて、次の場所に移られる。そしてまた次の方が来られて装置の性能を使い倒してくれるというのが一番いいスタイルじゃないかと思います。
ただ、そうはいっても、どんどん転職、転職という形でできるかどうか現状では難しい部分もありますので、少なくとも大学との間でクロスアポイント等で来ていただける制度がもっと簡単になればいいかなと感じています。クロアポは、ルール上は可能なのですが、結局、社会保障制度とかが大学と独法で違ったりするので、そこが結局ハードルになって、例えば来られる方の給料が目減りするとか、そういうような話になると、研究と生活も両立しなきゃいけないので、途端に話が進まなくなったりすることもあります。その辺がフレキシブルにできるような体制ができれば、今よりも流動性が確保できるのかなと思っています。
【山田委員】 ありがとうございます。
【小杉主査】 ほかに。
【鬼柳委員】 共用の話ですけれども、枠を20%程度まで徐々に上げると話されたんですけれども、20%という上限はどこで決められたのかなということなんですけど。
【河内所長】 これは、特に所内で勝手に決めた数値です。現在、レーザーの実験の問題は、新しい実験をやろうというときには、放射光と違って実験の準備がシステマティックになっていないところがあり、効率的ではないです。だから、新しいセットアップとか、新しいタイプの実験をやるときにはどうしても時間をとってしまいます。所内利用の人たちがより新しい実験、より最先端の実験をやりたいときにどうしてもこのぐらい欲しいという期間の要望が強くあり、そこを勘案して算出した共用枠が20%程度という意味です。もちろんこれが仮に共促法の装置でしたら、全部共用になるんですけれども、我々のところはそういう意味での共用促進のための予算は頂いておりませんので、ですから、このぐらいで今抑えているという状況であります。
【小杉主査】 これ、装置の数としては、ここが2つ並んでいますけれども、ほかに幾つかあるんでしょうか。
【河内所長】 この他にも小さなレーザーがありまして、それも共用装置にはなっています。ただ、小さなレーザーに関しますと、例えばレーザーを使っておられる大学の先生が、大体大学に持っておられるものと同程度であるというのであれば、特に利用を希望されないと思います。ただ、逆に企業の方が、レーザーを持っていないけれども、とりあえずこの材料で加工してみたいというときには使われたりする例はあります。
【小杉主査】 この利用料金は統一されているんですか。それか、装置によって違う?
【河内所長】 利用料金は装置によって違います。基本は、レーザーのランニングコストから算出した金額になっています。
【小杉主査】 分かりました。ほかに。
【雨宮主査代理】 7ページでKARENの性能がほかの施設と比べられていますけれども、これ見ると、世界で一番いいというふうに見えるんですが、質問は、まず、コントラストというのはどういう定義なのかということと、それと、ペタワットだけど、集光することによって単位面積当たりの強度が強くなるということで、お聞きしたいことは、どの値を見ると、レーザー装置の品質というか性能が比べられるのですか。ペタワットというと、10の15乗ですよね。でも、これに記載されている値は10の22乗で、光源の15乗とは切り離されていて、トータルにはどの性能を見るのがいいのですか。波長とかパルス幅を含めて、どこを比べるのがフェアな比べ方なのですか。
【河内所長】 一番左側に集光強度とコントラストというのを表示しており、集光強度は10の22乗で、コントラストが10のマイナス12乗となっています。これらの数字において、物理現象として新しいものが見えるかどうかは、集光強度により決まります。ただし、その物理現象を実際に実験できるかどうかというときに、コントラストが問題になってきます。コントラストの定義は、主ピーク、メインのいわゆるレーザーパルスの時間的に前にある光の強度レベルです。この光の強度レベルがメインのレーザーパルスの光強度に対して何桁違うかという定義でやっています。
【雨宮主査代理】 時間軸に対するSNですね。
【河内所長】 はい、そうです。ですから、例えばコントラストが10の12乗で、ピーク強度が10の22乗/平方センチメートルですと、メインパルスが来る前に10の10乗ワット/平方センチメートルの光が物に当たっていることになります。10の10乗ワット/平方センチメートルですと、大体の材料がプラズマ化する可能性が出てきます。ですから、本当言うと、もう1桁コントラストがあれば完全にこの照射強度でピュアな固体との相互作用ができるようになってきます。そういう問題です。例えば韓国の研究所には4ペタワットのレーザーがあり、5×10の22乗/平方センチメートルで出ているとのことですが、コントラストが10のマイナス10乗なので、このレーザー単体で照射実験をする限りは大した実験はできません。だから、この2つは非常に密接な関係があって、この2つを見ながらどういうスペックの実験ができるかというのを判断することになります。
【雨宮主査代理】 次の8ページにある実験もやっぱりコントラストが重要になってくる実験ですか。
【河内所長】 そうです。これは理想的な状況を言いましたので、非常にピュアなレーザーパルスがソリッドターゲットとインタラクションしたときに、例えば高圧で3,000億気圧とか、電場で100テラボルト/メートル出るという意味です。我々のところも少しプレパルスというか、コントラストが不十分なので、実測値で50テラボルト/メートルですので理論予測の半分の電場強度で止まっています。多分コントラストの悪さに起因するところだと思います。
【田中委員】 今ちょっと話が出ていたので、質問したくなりました。7ページの左下の表、これ、多分ピークパフォーマンスに近いものだと思うんですけれども、これをどの程度簡単に、どの程度の期間、維持できる? もう本当にあっという間にこれがすぐ再現できて運転できるのか。
【河内所長】 J-KARENの場合は、例えば1×10の22乗ワットのオペレーションを行うのに、レーザー調整の準備をするのに2日、3日かかりますけれども、それを行なった後はマシンタイム期間中は、ほぼ大体この強度で実験が可能です。
【田中委員】 マシンタイム中というのは?
【河内所長】 例えば1週間とか2週間とか。
【田中委員】 2、3日かかるということですね。2、3日準備すると。
【河内所長】 ええ。ただ、先ほど言いましたように、コントラストがこの程度なので、このピークパワーでやると、少し物質とのインタラクションが始まってしまうので、例えば我々が今、経験的に一番いいのは、3×10の21乗/平方センチメートルです。3×10の21乗/平方センチメートルまで強度を落としますと、固体との相互作用がかなりきれいに見えています。
【田中委員】 プレパルスが気にならなくなる。
【河内所長】 はい、そうです。
【小杉主査】 ちょっと予定の時間が超え出したんですけれども、何か最後1つ、2つ。
よろしいでしょうか。
じゃあ、本日の予定された議題は以上なんですが、その他特にないかと思いますので、あとは、事務局から連絡事項等お願いいたします。
【對崎補佐】 本日は皆様、ありがとうございました。本日議論いただきました調査様式と第6期科技基本計画に向けた検討につきましては、きょうの御議論も踏まえまして、修正の上、主査とも再度御相談の上で、皆様にまた御確認を頂ければと思います。
次回の量子ビーム小委の開催につきましては、また改めて日程調整をさせていただければと思います。
また、本日の会議の議事録につきましては、作成次第、委員の皆様にメールにていつもどおり御確認を頂きまして、文部科学省のウェブサイトに掲載させていただきます。
本日の資料につきましても、後日文部科学省ウェブサイトに公開いたします。
また、本日の資料について、郵送を御希望の方は封筒に入れた上で机上に置いたままにしていただければと思います。不要な資料については、そのまま置いていただければと思います。
以上でございます。
【小杉主査】 それでは、以上をもちまして、第10期第31回の量子ビーム利用推進小委員会を閉会いたします。本日はどうもありがとうございました。

―― 了 ――
 

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