令和8年7月31日(金曜日)13時00分~15時00分
文部科学省会議室(※Web開催)
【菅野主査】 ただいまより第13期ナノテクノロジー・材料科学技術委員会の第4回を開会いたします。委員の皆様におかれましては、御多忙のところ御出席いただき誠にありがとうございます。
本日は、文部科学省会議室及びオンラインでのハイブリッド開催となります。
それでは、事務局より委員の出欠及び本日の会議の流れの説明をお願いいたします。
【伊藤補佐】 ありがとうございます。文部科学省研究振興局ナノテクノロジー・物質・材料担当参事官付の伊藤と申します。本日はどうぞよろしくお願いいたします。
それでは、出欠確認を行わせていただきます。本日は、永次委員と萬委員が御欠席と伺っております。
また、4月1日に審議官の生田が新たに着任いたしましたので、冒頭、御挨拶申し上げたいと思います。それでは、審議官からよろしくお願いいたします。
【生田審議官】 失礼いたします。文部科学省の生田でございます。
私自身、4月に着任して、もう7月ですので、既に3か月経過しておりますが、このマテリアル分野は多くの分野に関わってくる、本当に基盤としての重要な分野だと認識しております。
文科省でも昔からずっとナノテクノロジーという形で重点領域として進めてきてはおりますけれども、昨今、AI時代になってくる中でのマテリアルの位置づけというのが、今まで以上に、これまでやってきた延長線もありつつ、今までとはまた少し違った局面を迎えてきているというふうには感じているところでございまして、第7期科学技術・イノベーション基本計画ですとか、日本成長戦略にもしっかりと重要な分野として位置づけられておりますし、それから、昨今では経済安全保障の観点でも、やはり日本の強みとしてマテリアルというのは常に言われ続けてきている。そういう意味で、かなり大きな使命を持った、そういったことを議論するこの委員会だというふうに感じているところでございます。
文科省では、今日御議論あると思うのですが、マテリアルDXプラットフォーム、これはDX化が盛んに言われたときに、いち早く対応して進めていただいていた事業だと思いますが、これについてさらなる次のフェーズアップとして、AI for Scienceという形で、皆さん御案内のとおり、今年からARiSEという事業を開始しております。また、昨年9月からは、ARIMの中でデータ共用サービスも開始されてきたということで、データの意味合い、重要性も深まってきているというふうに感じているところでございます。
いろんな意味で世の中動いている状況でございますので、科学技術は一度決めたら終わりではなく、毎回、その時代、世界情勢に合わせてどうしていくかということを議論するのが重要と思っておりますので、ぜひ皆様方にも忌憚のない御意見、マテリアル分野の今後の振興方策として御意見を賜ればと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
【伊藤補佐】 審議官、ありがとうございました。
審議官は、ほかの業務の都合もございますので、途中退席ということになります。
続きまして、配付資料の確認ということですが、議事次第の記載にあるように、資料1から資料4-2、参考資料1、2、それから机上資料1までございますので、不足等ございましたら事務局までお申しつけいただければと思います。
会議の進め方になりますが、本日、オンラインの参加者におかれましては、雑音防止の観点から、御自身の御発言時以外はマイクをミュートにしていただき、ビデオをオンにしていただくようお願いいたします。また、御発言を御希望される際には、挙手ボタンにて御発言の意思表示を表明いただければと思います。
最後に、会議の流れですけれども、本日は、まず議題(1)としまして、ナノテクノロジー・材料科学技術委員会令和8年度研究評価計画について、議題(2)といたしまして、研究開発課題の事後評価について、議題(3)といたしまして、今後のマテリアル関連施策における取組の方向性について、それから、議題(4)といたしまして、令和9年度新規要求・拡充施策についての事前評価について事務局より御説明いたしたいと思います。
なお、議題(4)につきましては、概算要求に関わる内容となりますので、本委員会運営規則第5条第3号の定めにより、非公開とさせていただきたく御提案申し上げます。よろしくお願いします。
【菅野主査】 ありがとうございます。
事務局の御提案のとおり、議題(4)は非公開としたいと思いますが、異議ありませんでしょうか。
御異議ないようですので、そのようにさせていただきます。
それでは、議題(1)ナノテクノロジー・材料科学技術委員会令和8年度研究評価計画についてに入ります。
まず、事務局より資料1の説明をお願いいたします。
【服部参事官】 服部から、資料1に基づきまして御説明申し上げたいと思います。
毎年の事務手続の観点でございますけれども、どのような事業を評価対象にするのかといったことを毎年度定めていくものとなってございます。
ここの肝は2ポツ目のところでございまして、あとは定型的なものとなってございます。
資料1の2ポツ目の評価対象課題というところを御覧いただければと思いますが、事前評価につきましては、当委員会が所掌する課題のうち、総額10億円以上が見込まれる新規・拡充課題、この委員会において評価することが適当と判断されたものということでございます。
中間評価については、予定されてございません。
事後評価につきましては、この後、議論していただきます、昨年度事業が終了いたしました「材料の社会実装に向けたプロセスサイエンス構築事業」について事後評価を行うという計画となってございます。
説明、以上でございます。
【菅野主査】 ありがとうございました。
ただいまの説明内容について御意見、御質問ありましたらお願いいたしますが、よろしいですね。ありがとうございます。
続きまして、議題(2)の研究開発課題の事後評価についてに移ります。
本件につきましては、私が研究開発課題の利害関係者でございますので、主査代理の関谷委員に委員会の進行をお願いいたします。
【関谷主査代理】 かしこまりました。
本件につきましては、令和元年度から令和7年度まで7年間実施した「材料の社会実装に向けたプロセスサイエンス構築事業」について事後評価を行うものです。既に外部有識者から事後評価に係る検討会を開催し、事後評価票案を作成いただいておりますので、当該事後評価票案について御報告いただき、本委員会において質疑応答、討議を行い、事後評価票案について検討、取りまとめを行いたいと思います。取りまとめた事後評価票案については、研究計画・評価分科会への報告を経て決定となります。
なお、参考資料1の「第13期研究計画・評価分科会における研究開発課題の評価について」で、分野別委員会等で利害関係者の範囲について明確に定めることとされています。当委員会の利害関係者についても、研究計画・評価分科会と同様の範囲とさせていただきますが、御異議ありませんでしょうか。
御異議ないようですので、そのようにさせていただきます。
本日御出席の委員のうち、菅野委員、宝野委員については、本事業に参画されており、利害関係者に当たると考えられますので、評価に係る御発言を控えていただければと思います。
では、事後評価票案の御報告の前に、まず事務局より、当該事業の概要について御説明をお願いしたいと思います。
また、事後評価票案については、中山委員より御説明をお願いしたいと思います。
では、参事官からよろしくお願いいたします。
【服部参事官】 ありがとうございます。
それでは、資料2-1を御覧ください。3ページ目を御覧いただけますでしょうか。
当委員会で平成30年8月に決定していただいた研究開発戦略の概要のポンチ絵でございまして、そこのおさらいから始めていきたいと思います。
ラボと民間のスケール差やコスト等の事業化へのギャップ、社会ニーズ・技術シーズの多様化・複雑化、産業界が抱える基礎研究フェーズの課題への対応、国際競争力の根幹に関わるプロセス技術など、論文を書きにくい技術領域に対する適切な評価軸の設定という課題を挙げられ、そこの課題に対応する形といたしまして、(2)にございます、創出された革新的マテリアルを世に送り出すサイエンス基盤の構築ということを挙げていただいたわけでございます。
このような経緯もございまして、6ページ目を御覧いただけますでしょうか。材料の社会実装に向けたプロセスサイエンス構築事業(Materealize)というタイトルの資料でございます。
この事業、3億円上下のところで、約3億円程度でこの事業は進められたわけでございます。
この概要のところでございますけれども、研究代表者(PM)を中心に、現象解明、プロセス設計、分析・計算の要素技術を含んだ、幅広い連携が行われる研究体制を構築して、材料を社会実装につなげる明確なビジョンと、具体的なターゲットを設定して、創出される成果が複数種の材料が有するものづくりの課題解決に資する取組を推進し、産学官の課題解決のための相談先としても機能し、民間企業等とともに発展し、我が国全体のマテリアルの社会実装の加速に貢献するというもので、スキームといたしましては、1.5億円×2課題、事業期間としては、令和元年度からの7年間という形で進められたものでございます。
次のページを御覧ください。この事業のポイントは、まさにこのマテリアルサイエンス、新しいモノを作ると、この作り方の理解を深め、新しく生み出していくというプロセスサイエンスの重要性ということ、やはりこれはアカデミアの力が必要である。もちろん産業界がこういったことを突き詰めていくわけでございますが、そこを支える上においても、この基礎原理、学理といったものを追究すべきであるというところで、この事業が始まったと認識しているところでございます。
9ページ目を御覧ください。Materealize事業の目標といたしましては、プロセスサイエンスの構築が1点目、2点目が、産学官から実際に相談する先を構築するという、2軸を目標として定めたところが、この事業のポイントかなと考えてございます。
この事業でございますが、計26課題の応募がありまして、結論といたしまして、予算の都合上、2課題の採択となったという背景がございます。
実際に採択された事業の概要、10ページ目を御覧ください。2課題ございます。1課題目が、ナノ材料の界面・構造制御プロセスサイエンス、2課題目が、全固体電池を実現する接合プロセスの技術革新というところでございます。
まず、東北大の阿尻先生が研究代表者となってやられました「ナノ材料の界面・構造制御プロセスサイエンス」の中身でございますけれども、こちらの部分につきましては、ナノ材料の作成にボトルネックとなる分散・凝集・配列の制御を理解し、高機能化のためにプロセスサイエンスを構築していく。それで、プロセスサイエンスの構築をするべく、ナノ材料を擬似分子として扱う、ナノ材料の化学工学熱力学を世界に先駆けて確立する、また、産学官からの相談先を構築するということを予期して行われました。
また、NIMSの高田先生がやられた「全固体電池を実現する接合プロセス技術革新」でございますけれども、こちらにつきましては、酸化物型全固体電池の実現を可能とする固体材料の革新的な接合プロセスに向けたサイエンスを構築するというところで、プロセスサイエンスの構築といたしましては、酸化物型全固体電池の実現に不可欠な固体界面科学を確立し、機能性材料の接合プロセス全般のサイエンスを構築する。また、相談先の構築というところでは、窓口をつくるとともに、関連企業のコンソーシアムを設立するということを実施内容として行われたものでございます。
まず、概要の説明につきましては以上でございます。
【関谷主査代理】 ありがとうございました。
では、続いて、中山委員より事後評価票案について説明をお願いいたします。
【中山委員】 資料2-2の3ページ目が事後評価検討会のメンバーです。本委員会は、黒田一幸先生を主査として、私は一委員として参加していたわけですが、黒田先生の代理として今回御説明をさせていただくという位置づけでございます。
4ページ目、5ページ目以降は、最初は概要でございまして、今、服部参事官から御説明いただいた内容がかなり含まれ、ご説明いたしません。
9ページ目からが事後評価票です。最初のほうは上位施策との関係などであり、あとは数値の記載がありますが、ここも説明を省略し、10ページ目の評価結果から説明いたします。
まずは、3ポツ(1)で、課題の達成状況です。最初の4行目ぐらいまでは概要で、4行目からです。社会実装の最大のハードルとなるプロセス課題に対して、個別企業に依存していたプロセス技術をサイエンスとして定義しアカデミア主導で取り組む本事業は、当時としては世界的にも画期的な取組であったということ、そして、物質・材料創製から製造プロセスまで見通すことは単独の機関では不可能であり、産学官の連携による体制が必要であったこと、大学と企業の連携体制を構築することを目的とされておりました。
さらに、中間評価結果の指摘事項として、本事業の終了後を見据えた、自立的かつ持続的な体制の構築を目指したということも付記しております。
11ページの4行目からですが、両プロジェクトともに、プロセス設計指針にかかる「プロセス」「構造」「物性」の相関の件数が増加していっております。本事業を通して査読付き論文数が両プロジェクトともに100報を超え、プロセスサイエンスの構築に向けた成果創出は認められております。
また、材料の社会実装に向けたプロセスサイエンス構築に向けての成果とともに、産学官のプロセス上の課題を解決するための相談先としての機能も構築され、単なる情報提供にとどまらない産学官からの相談件数も順調に推移し増加しております。
また、資金導入率、国費の投入に対する多方面から集めたお金ですが、これも大幅に増えており、事業最終年度においては、国の負担と同程度の資金導入を達成しております。これらもよい点だったと思います。相談窓口の構築もなされております。
次に、個別の課題についてです。11ページの真ん中より少し上、まず、東北大学の「ナノ材料の界面・構造制御プロセスサイエンス」についてご説明します。
本事業の開始時から、ナノ材料はバルク材料には見られない新機能が得られる一方で、ナノ材料を社会実装するためのプロセスの設計原理の欠落に課題がありました。要するに、研究室等で少しだけできた新物質や材料を、産業につなげるところに大きなギャップがあるというのが問題です。そこをどのように埋めていくか。研究室で1グラム作れるものを、企業や産業で扱えるように1キロや10キロ以上作るような話です。それに対し、しっかりとしたサイエンスも必要であろうということが、事業をつくったときの最初の問題意識でありましたが、それがしっかりなされているかということに対して、東北大学の課題は、ナノプロセス設計基盤の構築を目標に取り組んで、7年間で次のような成果が挙げられております。
1番として、プロセス設計のための化学工学ナノ熱力学のサイエンス基礎の構築。2番目は、インプット-アウトプット相関式で連結された多階層知識の創出と方法論の確立。3番目として、プロセス条件を提示する無次元数マッピングと逆問題を支援するワークフローの作成。そして4番目として、産学官からの相談先としてのコンソーシアムの設置などが行われました。
このように、ナノ材料のハンドリングにおいて化学工学ナノ熱力学を確立した点は特筆すべき成果であると評価されております。また、各種無次元数での表現を可能としたことにより、他の材料系や他のプロセス条件に外挿していく道筋を作り、スケールアップの可能性を示す汎用性の高いプロセスサイエンスの構築を達成しました。この施策の意義に即してしっかりと推進されていたということで、大いに評価される点でございました。
また、これらが「化学工学便覧」に掲載されたり、あるいは、ナノ粒子系のプロセスの学理として確固たる体系化が達成されたりという点でも、極めて高く評価するということで合意されております。
また、NIMSにMintというデータプラットフォームがございますが、しっかり連携が行われ、AI for Scienceが注目されている中で、AI for Processに向けたAIと連動した設計基盤プラットフォームへの展開は、まさに今の時宜を得たものであるという評価ができるとされました。
産学官からの相談先としてコンソーシアムが構築され、産学官からの課題を抽出する体制も整っています。12ページでございます。産学官からの相談件数は本事業期間に300件以上に上り、また、本プロジェクトの国費と同程度の資金導入を達成しており、自立的かつ持続的な相談窓口を構築されているということも評価すべき点です。
また、東北大学としてコンソーシアムを構築し、さらに、東北大学に実用プロセス開発イノベーションセンターが設置されました。これらは本プロジェクトを基に設置され、東北大学として恒久的にプロセスサイエンスという概念をしっかり実現する組織です。様々な材料に対するプロセスサイエンスを、これから東北大学が自身で恒久的に推進していくためのセンターが自分たちの力でつくられたということです。かなり特筆すべきであり、文部科学省としては、この施策の成果としてできたものですので、これに関しては今後もしっかりとしたケアを怠らないでほしいというような議論もありました。
また、化学工学便覧の発行元である化学工学会との多面的な相談窓口も構築されております。そのような支援体制も確立されたということです。
人材育成に関しても、教授職等への昇進が多く見られたこと、また、研究者がさらに助教等の職に就いたこと等もよいことであったと思われます。
次に、NIMSの「全固体電池を実現する接合プロセス技術革新」についてです。
これは酸化物型全固体電池の焼結プロセス、酸化物型ですので焼結プロセスを必ず伴うわけですが、この界面抵抗の低減や、電界粒界での異相生成の抑制のジレンマの解消に導くプロセスサイエンスの構築を目的に取り組んで、以下の成果を挙げております。セラミックスをつなぐことというのは非常に難しく、その困難にNIMSとして立ち向かったという課題でございます。
1番目として、セラミックス材料結合プロセスの反応予測の実現がなされました。2番目として、系統的評価技術確立による接合界面反応の効率的理解の実現がなされました。3番目として、低温稠密化・難焼結材料の接合プロセスが開発されました。
また、全固体電池MOPを活用した産学官からの相談先としての機能が構築されました。MOPというのは、Materials Open PlatformというNIMSに置かれた組織で、相談先として機能していたということでございます。
このように、低温稠密化、難焼結材料の接合プロセスなど、プロセスサイエンスの中核技術やそれらの提示、各種接合課題での顕著な成果、ソリューションを創出したことは高く評価されると思います。一方で、これらの個別の課題解決にとどまらず、他の材料系にも適用できるような普遍的な学理や基盤の構築、さらにそれらを深めることに対しての今後の努力を期待したいと考えます。
産学官からの相談先としては、全固体電池MOPで多様な企業が参画する体制が構築されております。また、協調領域と競争領域の二階建ての構造による企業ニーズに沿った相談システムを構築したことも評価されるべきものです。産学官からの相談件数も順調に伸び事業期間で140件に達し、材料メーカーや電池メーカー、装置メーカー、電池ユーザー企業等からの資金導入もあり、オープンで多様なエコシステムに成長したことは、評価できる点だと思います。
また、人材育成の点では、東北大ほどではなく、取組はやや弱い状況ですが、ポスドク研究員が研究開発を担っており、リーダーとなるような人材を育成するための取組や環境整備がなされたということは評価されるべき点だと考えます。
次、必要性に移らせていただきます。この施策の必要性が問われていますが、中間評価でも行われており、事業目標については、例えば、Horizon Europeなどでも類似の施策があります。それに対し我が国としてしっかり対応できていることとか、本事業の進捗・成果が冒頭に掲げた評価基準を満たしているということで、施策としての必要性は認められたという判断をいたしました。
次、14ページの有効性から、本事業の具体に入ってまいります。
この有効性というのは、プロセスサイエンスの構築が進んだか、人材の育成が進んだか、あるいは、特許・ノウハウ等の知的財産を適切に取り扱う体制ができたか、などを有効性として問うものでございます。
下から4行目、本事業では、我が国のマテリアル技術基盤の中で「強み」を有しているナノ材料や全固体電池を対象とし、材料の作り方にフォーカスを当てたプロセスサイエンスの構築が進みました。
重複部分は省き15ページの1行目です。広い分野でのプロセスサイエンスの発展に資するため、その有効性は非常に高いものであると評価されます。
NIMSの「全固体電池を実現する接合プロセス技術革新」では、他の材料への展開などセラミックス接合の普遍的な学理への展開が期待される成果であり、有効性が高いと思われます。人材育成についても、一部弱い面はあるものの、若手が本事業に深く関与し総合力に優れた人材の育成を意識した取組が進められたことも、評価されるべきものだと思います。
次は東北大学の話に移ります。3行目です。多面的な相談窓口の構築、匿名データ管理を含む戦略的な知的財産マネジメントの体制が構築されています。また、特に知的財産権、データの管理運用を適切に行うために、コンソーシアム運営会議の下に知的財産運営委員会を設置し、各参画機関の利害関係をしっかりと見ながら、争い事を防いでいるということも評価すべきことだと思われます。
次のNIMSのほうに行きます。知的財産権やデータを広く活用する方針については、さらなる検討が必要であったと思われますが、NIMSの知的財産室による知的財産のマネジメントの下、知的財産管理体制は構築されていたと思います。
以上をもって、この項の評価基準を満たしていると判断されました。
次、効率性です。効率性というのは、事業が実際に効率的に行われたか、特に事業全体の実施計画、運営体制の効率がよかったか、あるいは、プログラム運営委員会(PS、SPD、PO、専門委員)がしっかりとそれらを把握していたか、また、適切な指導ができたか、あるいは、そのプロセスサイエンスの知見が汎用的なプロセスサイエンスに展開していったかなどを問うものでございます。
16ページです。まずは、プログラム運営委員会のメンバーは、両プロジェクトの状況をしっかりと把握し、効率的にプロジェクトが推進されたと認められます。プログラム運営委員会のメンバーのイニシアティブの下、研究資源が極めて効率的に運用され、最大限の費用対効果を生み出したということも評価されます。
特に、東北大学については、多様な研究者が参加して、極めて効率的に学理の体系化がなされたと考えております。
一方、NIMSの全固体電池のほうです。プロセスサイエンスの構築という趣旨や目的をより理解して進め展開していれば、さらに効率性が向上したと思われますが、本プロジェクトで開発した反応予測ツールや解析ツールを活用したナノ構造材料の評価など、これらが全固体電池MOPを通じて効率的に社会に還元される体制が構築されたことは、評価されるべきものであると思われます。
よって、評価基準を満たしていると結論づけました。
次、(2)です。これは上位施策への貢献、科学技術・イノベーション基本計画にどのように貢献したかということです。詳しくは説明いたしませんが、本事業は「マテリアル革新力強化戦略」の中核として極めて大きな貢献をしたと評価されます。また、これらが「マテリアル・イノベーションの加速」への重要な貢献をしております。
産学官からの相談先の機能の構築も、「知のバリューチェーン」と同戦略に記載があるのですが、それに大きく貢献する取組であったと言えます。
これらから、第6期科学技術・イノベーション基本計画にもしっかりと貢献しているとの判断がなされました。
次、(3)です。中間評価結果の指摘事項とそれへの対応状況という項でございます。
指摘事項は、東北大学については、広義の知的財産マネジメント、その取扱い体制、運営コストについて検討してくださいという内容です。
もう一つのNIMSに対する指摘事項は、接合プロセスの体系化等、構築しようとする新しいプロセスサイエンスの思想、その全体像、方向性が十分提示されておらず、今回のプロジェクトによって生まれつつある新しい学理やサイエンスが、どこに象徴的に顕現されているかを明示する必要があるということでした。また、事業終了後に活動母体が維持運営されるための、データを含む広義の知的財産の取扱いなどを含めたルールの設計、そして、その運用体制が今後の課題という、厳しめの指摘がなされておりました。
17ページに入っています。それらの指摘事項に対する対応でございます。
まずは、東北大学です。3行目の後ろのほう、戦略的な知的財産マネジメント体制はしっかりと構築されております。十分に継続的な発展が期待できることも確認されております。また、事業終了後も持続可能なエコシステムが構築されていること、先ほど御説明したようなコンソーシアムや新しい組織もつくり、それが恒常的に動き、このプロセスサイエンスを実際にこれからも自分の力で運営していきます。しかも、広範にそれらを適用していくということで、この指摘事項に対しては、適切に、あるいはそれ以上に対応されていると極めて高く評価されております。
続きまして、NIMSで4行目からです。全固体電池の羅針盤となり得る成果は確実に得られております。一方で、当該研究領域を包括するプロセスサイエンスの思想や、その全体像が今回提示できたとの評価はできないものでした。今後、最先端研究成果の学術的整理と展開に注力し、技術革新実績とノウハウの蓄積を整理し、接合プロセスの学理創造を深化させるとともに、他の材料への展開など、体系化されたプロセスサイエンスへの展開に引き続き取り組んでいただきたいと思います。
また、この事業終了後は、国の研究開発プロジェクトであるK Programに引き継がれております。知的財産戦略はNIMSの知的財産室が中心になって維持・管理される体制が構築されております。K Programにはこれらの研究開発の成果に関しては引き継がれたものでございますが、一方、他のいろいろな研究開発プロジェクトも活用し、広範に利用する体制を構築してほしいと話し合われました。一方、本事業の成果の利活用に関する方針・体制は、本事業終了時点では必ずしも十分に構築されたとは評価できないという結論です。
今後、本事業の成果が国の研究開発プロジェクト等へ引き継がれる中で、知的財産権やデータ、ノウハウ等を広く活用できるよう、明確な利活用方針の策定と実効性のある推進体制の構築につなげていただきたいという審査委員会としての合意でございます。
PD、SPD、PO、プログラム運営委員会等は、プロジェクトへの関与を深めて、適切な指導力を発揮したということは認められており、高く評価されます。
次に、(4)の総合評価に移ります。
まず、プロセスサイエンスという概念を先んじて我が国に導入し、成功事例を残した功績は大きいです。一方で、マテリアル産業のプロセスサイエンスの構築は、幅広いマテリアル分野のほぼ全域で必要な取組です。本事業は非常に多くの応募があったにもかかわらず、服部参事官が御説明いただいたように、採択率が8%ということでした。要するに、予算が足りなかったということです。本当であれば、材料分野全体にこのプロセスサイエンスの取組がなされ、研究室で出来た材料を産業化につなげることが、この材料分野においての最も費用対効果を高めることになるはずでした。でないと、高い可能性を持つ材料が研究室に眠ってしまいますので。この、材料分野の費用対効果を高める取組を、材料分野全体でやりたかったというのが当初の思想でございました。それが、「ナノ材料」と「全固体電池」の2分野のみで実施されたということは、もちろんこの2分野はよかったのですが、それらが広範に行き渡ることが事業の趣旨であったと思いますので、その面では残念な面があったと思います。ただ、これはこの2つの課題のせいではございません。
マテリアル分野においては、物質・材料の創製から製造プロセスまで見通すことは単独の機関では困難であり、本事業では、構築されたプロセスサイエンスを活用し、企業が社会実装に向けた技術開発を行う際の産学官からの相談先としての機能を構築しました。単なる情報提供にとどまらない、社会実装に向けた産学官の共同研究の促進につながっており、本事業の波及効果は大きいと言えます。事業終了後も自立的かつ持続的なエコシステムが構築されており、予算に対しての最大限の費用対効果を生み出した事業であると評価できます。
人材育成においても、両プロジェクトともに参画した若手人材が研究開発推進を担っており、多くの昇進実績も見られるなど、次世代のリーダーとなる人材を輩出してきました。本事業を通じて育成された分野横断的な視野とプロセスへの考え方の両者を有する若手研究者たちが、次世代の日本のマテリアル産業を牽引するリーダーとして活躍することが期待されます。
次、評価の概要のところです。
大きな波及効果と高い費用対効果は実現されております。一方で、対象分野がナノ材料と全固体電池に限定されていたこと、これも先ほど御説明した内容で、有効ではありましたが限定的であったと思われます。今後は、他材料への展開も視野に入れた、より一層体系化されたプロセスサイエンスの学理創造の深化につなげていくことが期待されます。これに関して、東北大としては、しっかり手を打っていただいたということかと思います。
指摘事項としまして、プロセスサイエンスの概念は一定程度広まりましたが、幅広いマテリアル分野において普遍的な学理として体系化する方策を考えることが望まれます。また、本事業開始時には、現在のAI技術の進展を十分に見通すことが困難であったのに対して、今後は、AIとの連携や活用をしっかりと意識することも不可避であると指摘されております。今、多くの施策体系で実際にそうなっているところでございます。
(5)今後の展望でございます。
今後も本事業で得られた成果と枠組みを基盤としつつ、マテリアル分野全体に通ずる普遍的な学理としての体系化に向けたさらなる方策・取組を考えることが望まれます。
また、産学官からの相談先の機能を通して、企業との連携体制の構築、課題評価に即した効率的な運営により、本事業は極めて高い費用対効果を実現しております。今後は、本事業の知見を生かし、より一層ナショナル・イノベーション・エコシステムの効率的活動事例が積み重なることを期待したいとして、評価とさせていただきます。
【関谷主査代理】 中山委員、ありがとうございました。
それでは、ただいまの説明内容について御意見、御質問がありましたら、挙手をお願いいたします。いかがでしょうか。
オンラインのほうからもいかがでしょうか。
では、折茂委員からお願いします。
【折茂委員】 ありがとうございます。
ナノ材料に関しては、私もCOIなので、あまり深いところは紹介できないかと思うのですが、2つのプロジェクトが立ち上がって、その両者の連携というのは何かあったでしょうか。マストではなかったと思いますけれども。
【中山委員】 連携したという事例について、POは知っておりますでしょうか?
【永野技術参与】 本事業のPOをしておりました永野です。
2課題の間では、どのような研究体制をつくり、どのような進め方をするのかのノウハウ、さらに、データベースをどうやって構築し活かしていくのか、計算科学の活用方法、産業界との連携の仕方、そういったところを、相互に交換してきました。各課題のPMおよびPM補佐に相当するメンバー間で意見交換・情報交換の機会を持って学び合うということを、PD/POから促進する形でやっていただきました。これは、一定規模のプロジェクトを効果的に運営するうえで、互いに参考にし合うことが必要と考えて行いましたが、ある程度機能したと認識しております。
【折茂委員】 分かりました。重要ですね。
今後の一般化や展開のコアとして、そういったことももしされていらっしゃるようでしたら、少しコメントされたほうが、次につながるかなと思いました。
私からは以上です。ありがとうございます。
【関谷主査代理】 御質問、御意見ありがとうございました。非常に重要な視点をいただきました。
ほかにいかがでしょうか。
では、高村委員、お願いします。
【高村(山田)委員】 御説明ありがとうございました。
ナノ材料の方ですけれど、目的は、スケールアップができるようにプロセスサイエンスを構築する、ということですが、実際にスケールアップに成功したのですか。あまりその点が明確に書かれていなくて、スケールアップの可能性、としか書かれていなかったので訊きますが、いかがでしょうか。
【中山委員】 これを利用して、例えば、東北大学の拠点には、様々な相談をしてくる人がいて、いろいろな学理を構築したところまでは行きました。これをベースに、産業界から来た人が、自分の会社に持ち帰り、自分の会社で多くのプロジェクトをスケールアップさせていったということだと理解しています。
【高村(山田)委員】 そのような本当にスケールアップに成功した事例があるのであれば、それを書いた方が良いのではないかと思います。
【中山委員】 ありますか?
【永野技術参与】 実際に企業へ技術移転を行い、スケールアップ、ベンチ、パイロットへと展開し始めている事例があります。これは個々の材料をテーマとした研究というよりは、様々な材料系に適用できるプロセスのサイエンスとして、プロジェクトの成果にもとづく相関式等のかたちで活用いただくものです。企業からの具体的なプロセス上の相談に対して、この材料系、この条件だったら、こういうプロセスが必要だからこのようなプラント設計へと、反映することができる。プロセス設計に必要なデータにもとづく相関式を使っていただくような形で、技術移転する。既に幾つかの企業に適用していただいています。
【高村(山田)委員】 そのような実際の成功例があるのであれば、スケールアップの可能性を示した、だけではなくて、成功した、と書いておいた方が良いと思いました。
【中山委員】 そうですね。事業目的に資することですので。
【高村(山田)委員】 はい。よろしくお願いいたします。
【関谷主査代理】 高村委員、ありがとうございました。
おっしゃられるとおり、産学官連携が非常に密に取れたすばらしいプロジェクトだということも書かれていますし、その成功事例が少しあると、またいろいろとそれを参考に、企業の皆様はやってくださると思います。
ほかに。では、お願いいたします。
【藤井委員】 御説明ありがとうございました。
質問になるんですけれども、産学官からの相談件数という指標がございまして、今御説明いただいた資料2-2ですと、9ページに実際の数字がありまして、非常に多い数の御相談があって、注目を浴びていたのかなと思いました。
年間に70や90件、これは、実際に研究が注目されればされるほどお問合せが増えて、その対応が大変になると思います。対応すればするほど、研究者としては研究に割く時間が減っていくであるとか、全部に対応できない。ただ、相談する側としては、キープレーヤーなどに相談をしたいというので、集中してしまうということが起きると思います。この数を実際に有機的に進めていくには、何か工夫があられたのではないかなと思いますが、もしそのようなことがあれば、御存じであれば伺いたいです。広く周知していただけるとありがたいと思いましたが、何かございますか。
【中山委員】 POからお願いします。
【永野技術参与】 まさにこの事業では、プロセスサイエンスを構築することと、産学官から研究開発上の相談を受け付けて対応する機能を設けることを事業目的にしたわけです。その相談機能に関しては、組織として相談を受け付けて対応する機能が、サイクルする仕組みを両プロジェクトに設置いただきました。
実際、藤井委員からございましたように、相談は相当の数に上り、ややもすると毎月どころか毎週に近い形で様々な企業や大学から相談が持ち込まれました。その相談の多様性も、個々・特定の材料に関するプロセス条件出しみたいなものから、より大きなスケールでの分離や分散の話まで多岐に及びました。
それを適切にさばくための工夫としてコンソーシアムの形態を活用し、さらに中心となる代表機関に相談窓口を担っていただく体制を設けました。その中で、各相談の技術内容によって、プロジェクトのどのチームのどのテーマの研究者に対応いただくかが、流れとして成立するような道をつくりました。プロジェクトの研究者がそのロジスティクスにすべて割かれてしまうとうまく行かなくなるため、研究者には具体的な相談の中身へ対応いただけるようにするため、産業界出身の担当を置くなどして、スムーズな形をつくっていただきました。これが具体的な相談件数の結果として反映されたとご理解いただいてよろしいかと思います。
【藤井委員】 ありがとうございます。
その最初に相談を受ける方は、要はURAであるとか、そのような方をイメージしたらいいんですか。それとも、コンソーシアムに来ていただいた企業の方から、そのような役割の方を御用意したというような感じなのでしょうか。
【永野技術参与】 その両方です。コンソーシアムの中でも、ほかの企業へは共有したくない、あるいは、企業間でも非競争領域として共通課題として取り組みたい、様々な希望があります。そのような際に、コンソーシアム内でまずどのような相談かを受け取れる形とした上で、大学のほうには、企業出身あるいは知財や産学連携担当のような方を本事業の相談窓口担当とする場合もあります。ポジションとしてはURAの名を冠する方もおられますけれども、名称は様々です。いずれにしても、各プロジェクトの代表機関として望ましい、持続可能な相談受付体制をしっかりつくっていただくこととしました。
初めから共同研究のような形を想定するのではなく、まず課題を持っている企業や他大学が、何に困っているのか、何を解決したいのかをどう受け取るのか、プロジェクトのことをよくわかっている方に相談体制の窓口となってもらい、そこから最適な研究者へつないでいくようにしました。また、プロジェクトが蓄積しているデータに基づく相談対応や、経験・ノウハウに基づく対応などを、適切にマッチさせて抽出していくような、そのような知識アセットをプロジェクトで積み上げ活かすことをやっていただきました。これは機能したのではないかと考えています。
【藤井委員】 ありがとうございます。
非常に大事な今回の施策の一つだったと思いますので、ぜひどこかで、やり方として公開できるところがあれば、公開をして周知していただけると幸いだなと思います。
ありがとうございました。
【関谷主査代理】 藤井委員、非常に重要な御指摘ありがとうございました。
ほかにいかがでしょうか。
今触れていただきましたとおり、ナノ材料や固体電池といったところに非常に大きなプロセスサイエンスの発展性を見いだしていただいて、そのような問合せも含めてお受けする中で、ぜひ広い分野へも拡張していただけると非常に産業界との連携も密になっていきますし、マテリアル革新力強化戦略でも、まさにそれを目指した取組であったということから、非常に重要な取組をスタートしていただいたというふうに認識いたしました。
いかがでしょうか。少しこの後の議題等もございまして、何かこれだけはというところがあればお受けしようと思いますが、よろしいでしょうか。
プロセスサイエンスの非常に重要なスタートを切っていただきまして、これが、まさに今では当たり前となっているAI for Scienceも、こういった地道な研究からスタートして、非常に大きなバトンが産業界へも渡されつつある、非常に重要な成果を挙げていただきました。
本日、非常に重要な御指摘をいただきました。本日いただきました御意見を反映して、評価票案の修正を行うことといたしますが、修正においては私に御一任いただくということでよろしいでしょうか。精いっぱい取り組ませていただきます。
なお、修正した事後評価票につきましては、8月21日に開催予定の研究計画評価分科会において、事務局からナノテクノロジー・材料科学技術委員会としての報告として行われる予定でございます。
精いっぱい私も引き続き取り組ませていただきます。また、この事業に御参画くださった皆様への心からの敬意を表したいと思います。
それでは、これ以降の委員会の進行につきましては、菅野主査にお戻しいたします。よろしくお願いいたします。
【菅野主査】 どうもありがとうございました。
それでは、続きまして、議題(3)の今後のマテリアル関連施策における取組の方向性についてに移りたいと思います。
まず、事務局の服部参事官より資料3の説明をお願いいたします。
【服部参事官】 それでは、資料3を御覧ください。「今後のマテリアル関連施策における取組の方向性について」と書かれている資料でございます。
ページをめくっていただきまして、1ページ目ですけれども、本日、私がお話しいたしますのは2点ございます。1点目が、文部科学省に限らず政府における関連の政策動向について、私が把握している限りで御紹介をさせていただきたいと思ってございます。2点目で、今後のマテリアル関連施策における取組の方向性、これは文部科学省としての方向性について、私から御提案という形でお伝えさせていただきたいと思ってございます。
それでは、政府における関連施策動向についてということで、3ページ目を御覧いただけますでしょうか。タイトルとしては、第7期科学技術・イノベーション基本計画と書かれている資料3ページ目でございます。
こちらで、非常に文字が多い資料になってございますが、ポイントをかいつまんで御説明させていただきたいと思います。まず、目指すべき未来社会というところが書かれてございます。
第6期科学技術・イノベーション基本計画では、一言で申し上げれば、Society5.0を目指す、いわゆるサイバーとフィジカルの融合によって人間中心の社会を目指すというふうな2軸が示されていたかと思います。そのような観点から、大きな方向性としては変わっていないわけでございますけれども、1ポツ目では、語尾に書かれておりますとおり、国家安全保障が確保されている「豊かで安全・安心な社会」、それと、2軸目に、一人一人の多様なwell-beingにチャレンジし、実現できる社会という、この2軸が示されたというところが大きいかなと思ってございます。
このような目指すべき未来社会の一つの柱として、下の部分にありますけれども、第7期基本計画の6つの柱といったものがございます。知の基盤としての「科学の再興」、技術領域の戦略的重点化、科学技術と国家安全保障との有機的な連携、産学官が結節するイノベーション・エコシステムの高度化、戦略的科学技術外交の推進、推進体制・ガバナンスの変革という6つの柱が示されたわけでございます。
4ページ目でございますが、政府戦略におけるマテリアルの位置づけでございますけれども、第2期から重点分野としてのナノテク材料というところが脈々と引き継がれ、それで、第6期のときに、昨年でございますが、マテリアル革新力強化戦略も改定がされ、第7期の部分におきましては、政府全体としての成長戦略といったところで、マテリアル(重要鉱物・部素材)というところも話題として上がったわけでございます。
次、5ページ目でございますけれども、先ほど戦略的な重点化というところは、6つの柱のうちの一つとして挙げられておりました。実際に科学技術・イノベーション基本計画において17個の重要な領域というものは示されているわけでございまして、その中の8番目に、製造・マテリアルというところが位置づけられているわけでございます。
次のページ、6ページ目でございますけれども、その詳しい御説明でございますが、新興・基盤技術領域として、いわゆる土台として、この製造・マテリアル関連技術としては重要であろうということ。
あと、国家戦略技術領域というものもございまして、AI・先端ロボット、量子、半導体・通信、バイオ・ヘルスケア、フュージョン、宇宙といったような6領域が示されているわけでございますけれども、第7期科学技術・イノベーション基本計画の中には、こういった国家戦略技術領域に関連する素材・材料といったこともこの支援の対象とするということが明記されているといったところでございまして、マテリアル領域が幅広いところを支える技術であるということを、科学技術・イノベーション基本計画でも位置づけられているわけでございます。
7ページ目でございますけれども、科学技術・イノベーション政策から離れまして、高市政権の一丁目一番地の施策でございます日本成長戦略が、昨年の秋以降、議論が進められてまいりました。そこの中で、皆様御案内のとおり、中段に書いてございますけれども、17の戦略分野において62個の「主要な製品・技術等」で想定される国内投資が2040年度までで総額370兆円超という方向性が示され、この17戦略領域、62主要な製品・技術等が示されたというところ、また、2ポツ目で、8つの横断的な課題への対応というところ、その17戦略分野と8つの横断的な領域が示されたところが日本成長戦略の大きな特徴かなと思ってございます。
8ページに示しておりますとおり、17個の戦略分野のうち、マテリアルの部分につきましては、6個の技術領域、永久磁石、グリーン鉄、革新的金属部素材、低炭素金属部素材、一次原料・二次原料からの製錬・分離・精製、解体選別技術、AI等を活用した複合新素材という6つが示されたわけでございます。
9ページ目でございますが、マテリアルの成長戦略でのいわゆる概要についてでございますけれども、ロードマップの概要でございますが、まず自律性の確保のところで、レアアースをはじめとする重要鉱物、永久磁石等の高品質な金属部素材等は、自動車、半導体、我が国の産業活動に必要不可欠でございます。しかしながら、サプライチェーンの多くを特定国に依存しているわけでございます。供給不安定化のリスクが認識されているわけでございます。このリスクの大きさ、生産コストの差などの課題への対処を目の前でしっかりとやっていくということ、それで、一次資源の安定供給を確保するということ、あと、二次資源である再生材の質・量を確保し、利用拡大をし、サプライチェーンの強靱化に取り組むという方向性が示されたわけでございます。
また、不可欠性の確保という観点で言えば、付加価値が高い高機能部素材とかグリーン素材への重点化が重要であるという方向性、あと、各社の材料データの統合だとか、AI・機械学習による開発・社会実装を促していくという、単体だけではなくて、日本が全体として協力し合うような協調領域ということも意識したような文言も入っているところが特徴的なところかなと思っているところでございます。
日本をハブとする国際資源循環ネットワークを構築するというふうな手で打ち手を打っていくべきだという方向性が示されているわけでございます。
10ページ目を御覧ください。ここまでが日本成長戦略のお話でございました。ここから科学技術・イノベーション政策の文脈に話を戻していきたいと思います。
昨年、マテリアル革新力強化戦略が改定されたわけでございますけれども、推進方策が示されました。このように有識者会議で御議論いただきまして、この提言が先月の6月、山口座長から小野田大臣に手交されたわけでございます。
1ページおめくりいただきまして、11ページ目でございますけれども、マテリアル革新力強化戦略の推進方策でございます。
ポイントといたしましては、推進方策の軸といたしまして、川上側から川下、分析機産業、アカデミアがつながった「知のバリューチェーン」を構築し、それでAI for Materialsで従来比10倍の開発速度を実現するという方向性が示されました。
研究開発、人材育成・研究基盤、国際ブランド、設備投資という4軸で施策が整理され、主にこの上3つ、研究開発、人材育成・研究基盤、国際ブランドのところで、ここに示されているようなAI駆動開発拠点の形成、資源リスクの克服、異次元のマテリアルAI人材育成、AI駆動開発先進国ブランドの形成というふうな方向性が示されたわけでございます。
続きまして、12ページ目でございます。ナノ材の政策については、マテリアルDXプラットフォームの推進とNIMSの運営交付金というところを柱に進めているわけでございますけれども、それ以外に、この戦略的創造推進事業として、全体で毎年度400億ぐらいあるわけでございますけれども、マテリアルとしては100億ぐらい、この戦略創造事業で投資をしてきているということもございますし、次のページになりますけれども、K Programというところを御覧いただけますでしょうか。
このK Programの中でも、若干応用以降のレベルの主要ターゲットを置かれている分野ではございますけれども、15ページ目に示しておりますとおり、ナノ材で担当させていただいているのが、耐熱超合金の高性能化というところをやっているわけでございます。
引き続きまして、16ページ目でございますけれども、この秋、補正で320億円でAI for Scienceの革新的研究推進事業(ARiSE)というものを予算要求し、今まさに絶賛審査中でございますが、マテリアルでも1個このターゲットを設定しておりまして、新素材開発速度従来比10倍の潜在力を有するAI駆動マテリアル開発システムを実現するといったところで、100億円を2年半で投資するという取組も始まっておりますし、右側にありますけれども、国際・融合型といったところで2億円程度の支援も、恐らくマテリアル分野でも多くの課題が採択されるといったことを私どもは期待しているわけでございます。
引き続きまして、文部科学省の取組の方向性についてお話を進めていきたいと思います。18ページ目を御覧ください。
大きく分けて4つの軸で文部科学省としてのマテリアルの方向性を考えてまいりたいと考えているところでございます。1点目が、AI for Materialsによるマテリアル研究開発の革新、2点目が、世界をリードする研究者の育成や研究拠点の形成、3点目が、世界を先導するマテリアル×AI人材の確保、4点目が、サイエンスによる資源リスク克服と産業競争力の両立という4軸で施策を進めてまいりたいと考えているところでございます。
具体的には、19ページにありますけれども、これまで推進してまいりましたマテリアルDXプラットフォームの3つの取組に加えまして、ARiSE事業のAI for Scienceの基金事業の右上にある「かそく」と書かれている部分でございますが、基盤モデル開発、AIエージェント開発、AI駆動ラボシステム開発といったところの加速・強化をしてまいりたいと考えているところでございます。
20ページ目でございますが、NIMSの機能強化、昨今、経済・国家安全保障上の重要技術シーズ群と、オフキャンパス・オフサイト機能の強化ということがうたわれているわけでございます。このような観点で申しますと、重要技術シーズを守っていくような高セキュアな環境を国研としてもしっかりと整備していくということが、このようなイノベーションの場として大事になってくると考えているところでございます。
21ページ目でございますが、異次元のマテリアルAI人材育成の部分につきましては、年間3万人育成という、5年後には当たり前になっているであろうということからバックキャストを考えますと、できるかどうかということは分かりませんけれども、勢いとしてやらなければいけないというバックキャストから考えれば、これぐらいの育成体制をやっていかなければいけないという方向性を示されております。
スキルセット定義委員会を内閣府で設置して、文科省、経産省でこういったモデルカリキュラムとか、オンライン教材開発だとか、そういったことを協調しながらやっていくという方向性で考えていきたいと思ってございます。
22ページ目でございますが、このようなマテリアル×AI人材のコンソーシアム体制を今後形成するといったことも考えてまいりたいと考えているところでございます。
続きまして、23ページ目でございます。サイエンスによる資源リスクの克服イニシアティブでございます。
御案内のとおり、我が国は、産業活動に必要な資源の多くを特定国・地域に依存してございます。常に地政学リスクを抱えております。戦略分野を支える危機管理投資として、先手を打つべくシーズの源泉である基礎・基盤研究にも投資することで、我が国の“技術”と“人材”の基盤を確保し、サイエンスの力で我が国の構造的な資源リスクの克服と産業競争力の強化を両立するという取組を強化していきたいと思ってございます。
下に取組と書いてございますけれども、各省連携の下に、サプライチェーン上のリスクを克服する革新的技術シーズを育成して、産学共同研究や実証・実装の橋渡しにつなげ、資源リスク克服の観点から、研究開発等を通じて、製錬などに必要とされる分野の研究開発人材を育成するということ、左にありますような、関係省庁がしっかりとタッグを組み、文部科学省としては、4つのポイントと書いてございますが、代替・削減、製錬・分離・精製、環境・安全、循環という4つのポイントを踏まえてターゲットを設定して、しっかりと戦略分野に貢献するような成果を出すことを目指すようなことを考えてまいりたいと考えてございます。
私の説明は以上でございます。
【菅野主査】 ありがとうございました。
それでは、ただいまの説明内容について御意見、御質問ありましたら、挙手をお願いいたします。いかがでしょうか。
では、宝野先生。
【宝野委員】 御説明ありがとうございました。
4つの大きな事業が文科省として進んでいくという理解でよろしいですね。
【服部参事官】 事業と申しますか、4つのポイント、視点でですね。
【宝野委員】 ポイントですね。
その中で、これまでも文科省として取り組んでこられた元素戦略に近い内容として、サイエンスによる資源リスク克服イニシアティブというのがありますが、非常に重要だと思います。前回の元素戦略では、マテリアルサイエンスコミュニティの方々全員が参加できるという形になっていまして、それがゆえに、例えば、新物質探索やハイスループット計算などが進んだというところがあると思います。
一方で、この図を見ていますと、代替・削減、製錬・分離・精製、環境・安全、循環と書かれておりまして、この言葉を見ると、すごく狭いコミュニティしか参加できないような印象を得てしまいます。加えて、製錬・分離・精製や循環は、かなりサイエンスとしては共通した基盤が使われていくのかなと思います。
ここでは代替と書かれていますが、新物質探索や代替物質を探索している中では、思わぬ機能が出てきたりすることも多く、そういったサイエンスとしての遊びの要素を入れないと、限定された人しか参加できなくなってしまう。そうすると、サイエンスのレベルが落ちてしまうのではないかと危惧しておりますが、いかがでしょうか。
【服部参事官】 ありがとうございます。
私どもも、そこの部分について、検討はしているところでございますけれども、いろいろな政策ツールがあるかなと思ってございます。私ども、そういったような新しい領域を開拓するということは、戦略推進創造事業で毎年100億円の投資をしているというふうなところもあります。
その中で、追加的にどういった部分を太くしていくのかといったようなターゲット設定については、戦略創造事業との関係性も踏まえながら、私どもナノ材としても、どういうふうなポートフォリオで、どういうふうなターゲット設定をして、おのおのの事業でやっていくのかというところを考えてまいりたいと思ってございます。
私どものナノ材の政策といたしましては、ナノ材で予算要求しているもののみならず、ほかの事業との関係性とかも踏まえながら、そこのポートフォリオについてはしっかり考えて、そのバランスを踏まえた上で、新しい事業をやるときには考えてまいりたいと考えているところでございます。
【宝野委員】 それは分かりましたが、文科省の事業として提案されるときは、若い基礎的なレベルの高い研究者がこの分野を目指そうと思うような何かわくわくするような要素を入れるというのが、重要だと思います。ですから、こんながちがちの表現にしてしまうと、今、企業でも人を採るのが難しい時代に、若い人たちを誘導できるかという懸念がありますが、いかがでしょうか。
【服部参事官】 その部分についてですけれども、特にここの製錬・分離・精製とかいったところには、非常にその観点は難しいかなと思っていて、この事業がもし始まったとしても、若い人を喚起できるかどうかというところは、相当工夫しなければいけないかなと思っています。
その観点で考えると、やはりこれまた別の政策とも関わるし、この政策との連携というのは非常に大事になってくるかなと思っておりますのが、やはりAIの登場かなというようなところを考えております。若い世代の人たちが、どの分野でAIを使うと面白いこと、自分が社会に貢献できることがあるのかということは、非常に高いアンテナを持っておられるかなと、いろんな先生方と話をしていても思っているところでございます。
そういった軸、今のこの資料の中にはなかなか表現し切れていない部分がありますので、そういった若い人が入ってこられるようなワーディングというところも気をつけながら、今後の施策の打ち出しとかも考えていければいいかなと考えてございます。
【宝野委員】 よろしくお願いします。
【菅野主査】 ほかにいかがでしょうか。
じゃ、藤井先生。
【藤井委員】 御説明ありがとうございました。
御説明いただいた資料の21ページ目をお願いいたします。
この異次元のマテリアルAI人材育成というもの、人数を見るとまさに異次元だなと思いまして、マテリアル関係修士・博士卒全員1.7万人にAIを作る・使うということを教育していくとなりますと、要は、それを教える側の人材不足もかなり喫緊の問題なのではないかなと思います。
私もやっぱりマテリアルの分野で研究科に所属しているんですけれども、そんなに一つの研究科全員の学生を教育していく教員が全ての大学にいるという状況をつくり出すというのは、なかなか難しい、少しハードルがあることなのかなと思っています。
今、恐らく高度情報人材という施策も走っておりまして、あれはやっぱり情報系の学生であったり、定員であったり、教員に重点が移るというお話だと思いますが、情報系の先生方、研究者からしても、マテリアルに注目するというのは、情報系のとがった研究とは少し違った部分が出てくるので、必ずしも完全に情報系の先生から協力が得られるわけでも、もちろん協力していただける、していただけないというのはあると思いますけれども。
そのような状況の中で、これを達成するのは、やはり世界で戦っていくには重要なことだとは思うものの、どうやって達成していくかというところを、学生の数、教員の数を含めて、何かお考え等があればお教えいただきたいと思いました。
【服部参事官】 ありがとうございます。
ここの有識者会議でタスクフォースで実際に議論をしていただいて、こういうふうな方向性が示されているんですけれども、まずは、このいわゆる課題感を共有するということの、言葉をつくることが必要であるということで、こういうふうな野心的な目標設定がまずされたということで、手法論としてどういうことがあるのかというと、教える人材が少ないということで、シェアリングをせざるを得ないという先生方の御理解を賜っていく、また、学協会を超えたお力添えをいただくということが非常に重要かなと思っています。
単位化まで持っていくとなると、これもまた時間がかかるので、その単位化にこだわらない、そういうふうな新しい考え方も多分必要なのかもしれない。その中に有力な選択肢として、やはりAI for Materialsというところで、オンライン教材との相性がいいというふうなところもありますので、そういったところも活用したりとかしながら、やれることをまずしっかりやっていく、着実に走りながらやっていくということを一歩一歩着実に進めていって、教える人材を2年後、3年後にはちゃんと増やしていくというマインドセットをみんなが持ってやるということを始めていくという認識を共有する意味においても、こういうふうな若干強い言葉を御提案いただいたのかなと思っているところでございます。
手法論としては、オンライン教材を活用していくということと、その先生方や教材などをシェアリングしていくということを、新しい考え方で考えていかなければいけないのかなと思っているところでございます。
【藤井委員】 ありがとうございました。
【菅野主査】 所先生、よろしくお願いします。
【所委員】 御指名ありがとうございます。所です。
今の2つの議論に関連するんですけれども、少し議論は前に戻るんですが、代替原料や分離・精製、それから、環境・安全といった図がございまして、私もそこを専門にしておりますので、ここのところは、昨今の経済安全保障、それから、重要鉱物、資源外交、こういったことを考えますと、非常に重要であると思っております。一方で、この分野が単なる環境や循環のための分離であるとかプロセスだけに閉じたような、そういった方向に見えてしまうのはよろしくないと思っております。
何が言いたいかと言いますと、これらを実現するためには、革新的なプロセスと革新的な新機能を開拓するやはりこの分野ですから、ナノであり、材料、素材が必要であるということです。それから、プロセスですね。こういったことがやはり前提としてあるというようなことが、改めて、当たり前のことかもしれないですけれども、ここからも次世代の人材も含めて、見えるというような訴え方が必要かなと思っておりますところが1点目です。
それから、もう1点、先ほどこの分野に人材を呼び込んでいくために、AIというのは一つの魅力的なツールであるという御発言もあり、私もそれは非常に賛成しているんですけれども、一方で、この分野でこれからAIが発展して、これを使いこなし、発展していった先に見える世界は、恐らく現場人材の不足であろうと思っています。なので、AIは先進的に革新的に駆使しなければいけないですし、それも魅力的ですけれども、最後のサイエンスは現場にあるという感覚もしっかりと若手も含めて教育し、人材を育成していくというところが非常に大事だというようなことで、何かそういった方向性がこういった図からも見えてくるとよろしいかなと思いました。
以上です。
【服部参事官】 ありがとうございます。
御指摘ごもっともだと思います。そういったことが工夫できるように、世の中にそれが伝わるような表現を引き続き努力をして探していきたいと思っておりますし、人材育成の文脈でも、所先生に御指摘いただいたところが非常に私どもとしても重要な点だというところを今議論しております。モデルカリキュラムなどを検討する上においても、やはりドメイン×AIのところのドメインから見たAIというふうなところは非常に重要かなと思っているところでございますので、今日いただいた御指摘も参考にさせていただきながら、検討を進めてまいりたいと思ってございます。
【菅野主査】 ありがとうございます。
中山委員。
【中山委員】 中山でございます。御説明ありがとうございました。
今までの議論に近い話かもしれないですが、2点あります。1つは、元素戦略の最初からずっと関わってきて何がよかったかということです。例えば、化学コミュニティとか、物理コミュニティとか、金属、セラミックス等の多様な分野の人たちが、これまで縦割りで行われてきた研究開発を、みんなで横断しながら新しい相乗効果や付加価値をしっかり追求していきましょうということを強く課してきたことです。それに応じていろいろな成果が出てきて、例えば、金属材料の中に水素を入れるような仕組みを違うところに応用して化学で使っていこうとか、非常に横断的なことが行われたからこその結果だったのではないかなと思っています。
でも、これを見ると縦割り色が強い。多くのコミュニティを横断しながら課題を解決していくということを、しっかりと入れていくことが重要と感じます。要は総力戦なのです。総力戦ということは、コミュニティごとに考えていてもしようがないということです。コミュニティと結果を比べたら結果が大事なので、それを再確認していくことが大事かなというのが1点。
もう一つは、今まで新機能というお話が出ていました。左下のところ、文部科学省としては技術シーズのところを担っています。新原理とか革新的技術シーズの創出のところです。そうすると、右側の4つのポイントに対して、新機能でしっかりとアクセスしていく、もしくは、新しいものをつくっていくことが大事になります。様々な波及効果もあるし、新機能という項がないと、一本一本の細い線のようになってしまいます。技術がひょろひょろ育ってもしようがないので、研究開発の基盤としての厚さも必要です。さらに、今どき新しい材料ができれば、すぐに花開くものもあるし、AIもあるし、余計に新機能的なことをしっかりと入れておかないといけないと考えます。先ほどのコミュニティ横断の話もそうですが、どうしても縦割りになってしまいます。新しいことに対してのチャレンジ、違う分野のことをすることが大事かもしれません。みんな縦のほうしか見なくなってしまって、しかも狭い土台の上に立つようなことにもなりかねません。そういうことをなくすためにも、多くのコミュニティを連結させて融合していくということと、新機能ということをしっかりと考えていくということは非常に大事だと思います。私も同じような意見を申しましたが、この点を明示して考え、良い施策にしてほしいと思います。
以上です。
【菅野主査】 ありがとうございました。
新しい元素戦略という位置づけにするために、より広いマテリアルという研究分野がより広く関与できるような道筋があればいいというような意見が、多分我々のコミュニティとしての意見かと思います。ぜひ考えていただければと思います。
時間が迫っていますので、次の議題に移りたいと思います。
それでは、議題(4)令和9年度新規要求・拡充施策についての事前評価についてに移ります。
本議題は非公開の議題となりますので、傍聴者の皆様におかれましては、御退席をよろしくお願いいたします。本日はどうもありがとうございました。
(傍聴者退室)
非公開議題
(傍聴者入室)
最後に、議題(5)その他に移ります。事務局より御説明をお願いいたします。
【伊藤補佐】 ありがとうございます。事務局より御連絡いたします。
次回のナノテクノロジー・材料科学技術委員会につきましては、追って御連絡させていただきます。
本日の議事録につきましては、事務局にて案を作成後、委員の皆様にお諮りし、主査に御確認いただいた後に、非公開部分を除いてホームページに公開することといたします。
また、資料につきましても、議題(1)から(3)については、ホームページに公開させていただく予定でございます。
【菅野主査】 ありがとうございました。
それでは、本日のナノテクノロジー・材料科学技術委員会はこれで閉会とさせていただきます。どうもありがとうございました。